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特許7630431導電性のホイルシールドを有するケーブルの、統制されたインピーダンスケーブルの終端部
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】導電性のホイルシールドを有するケーブルの、統制されたインピーダンスケーブルの終端部
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6473 20110101AFI20250207BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20250207BHJP
   H01R 24/44 20110101ALI20250207BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H01R13/6473
H01R43/00 B
H01R24/44
H01R13/42 E
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021543524
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 US2020015488
(87)【国際公開番号】W WO2020160049
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】62/797,762
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521329958
【氏名又は名称】アーデント コンセプツ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンサー,ゴードン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ディアズ,セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ディドンナ,ジョセフ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,マイケル エー.
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-534142(JP,A)
【文献】特許第2935865(JP,B2)
【文献】特開平09-204955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6473
H01R 43/00
H01R 24/44
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本または複数の信号導体、前記信号導体を取り囲んだ誘電体、及び前記誘電体を取り囲んだホイルシールドのみで構成された接地経路を有する、統制されたインピーダンスケーブルを終端させるための方法であって、
(a)各信号導体にフェルールを提供するステップであって、フェルールは剛質材料から構成され、対向する端部を持つ円筒形で、一方の端部におけるライン開口部から他方の端部におけるフェルール面面開口部まで伸びた軸方向の貫通ボアを有し、前記フェルールは、前記ライン開口部に隣接した収容セクション、及び前記フェルール面に隣接したSMAバレルの装着セクション、提供するステップと、
(b)(1)各信号導体、信号導体を取り囲む誘電体、および誘電体を取り囲むホイルシールドをシールドラインの中に形成するステップ、(2)前記信号導体が前記面開口部から突出するよう、前記フェルールを前記シールドラインに組み込むステップ、(3)前記フェルールを前記シールドラインに固定するステップ、(4)前記ホイルシールド及び前記誘電体が、前記フェルール面と同一面で平坦な嵌合面を形成し、前記信号導体は前記フェルール面から突出する、前記フェルール面を仕上げるステップ、によって、ケーブルサブアセンブリを組み立てるステップと、
(c)剛質材料から構成されたボスとカバーからなるハウジングを提供するステップであって、前記ボスは、ケーブル開口部、各シールドラインのためのコネクタ開口部、そして、前記フェルール面を前記ボスの対応するコネクタ開口部と位置を合わせるよう、各フェルールを収容するための、前記フェルールの前記収容セクションと相補的な窪み、を提供するステップと、
(d)各フェルールを対応した前記窪みに組み込み、前記ケーブル開口部に統制されたインピーダンスケーブルを取付けることによって、前記ケーブルサブアセンブリを前記ボスに組み込むステップと、
(e)前記カバーを前記ボスに装着するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ケーブルサブアセンブリを前記ボスに組み込んだ後、SMAコネクタバレルを、前記コネクタ開口部を通して各フェルールに装着するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フェルールは単一部品から構成され、前記フェルールを前記シールドラインに組み込むステップは、前記シールドラインの端部が前記面開口部から延びるまで、前記シールドラインの端部を、前記フェルールの前記ライン開口部の中に摺動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フェルールは2つの長手方向の部品から構成され、前記フェルールを前記シールドラインに組み込むステップは、前記2つの長手方向の部品を前記シールドラインに設置するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フェルールは、接合剤によって前記シールドラインに固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接合剤は、前記ボアと交差する、前記フェルールの側における穴によって、前記フェルールの中に導入される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
記ボス内における前記フェルールの、前後の動き及び回転を防止するために、前記フェルールの前記収容セクションは、対向する平行壁と、幅広い足部をライン開口部付近に有し、前記窪みは対向する平行壁と前記足部のための幅広いセクションを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フェルール面を仕上げるステップは、前記フェルール面を、前記シールドラインが 所望の長さになるよう整えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記統制されたインピーダンスケーブルは、2本以上の信号導体、及び全ての誘電体を取り囲んだ単一のホイルシールドを有し、フェルールを前記シールドライン上に摺動させる前に、前記ホイルシールドを各信号導体のための部分に分割し、各部分を対応した前記信号導体の前記誘電体の周りに包んで、前記シールドラインを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記統制されたインピーダンスケーブルは2本のシールドラインを形成する2本の信号導体を有し、前記2本のシールドラインの長さまたは位相は、前記フェルール面を仕上げることによって一致される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ケーブルサブアセンブリを組み立てるステップは、誘電体を剥離し、誘電体スリーブを前記信号導体上に摺動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記カバーを装着するステップは、前記統制されたインピーダンスケーブルを前記ボスと前記カバーとの間に挟む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記統制されたインピーダンスケーブルはシースをさらに備え、前記フェルールを前記シールドライン上に摺動させる前に、前記シースを整える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ボスは絶縁性材料から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ボスは導電性材料から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
終端部アセンブリであって、
(a)1本または複数の信号導体、前記信号導体を取り囲んだ誘電体、及び前記誘電体を取り囲んだホイルシールドのみで構成された接地を有し、各信号導体はシールドラインを形成し、前記シールドラインは、信号導体を取り囲む誘電体、および誘電体を取り囲むホイルシールドによって構成される統制されたインピーダンスケーブルと、
(b)各信号導体のためのフェルールであって、フェルールは、剛質材料で構成され、対向する端部を持つ円筒形で、一方の端部におけるライン開口部から他方の端部におけるフェルール面における面開口部まで延びた軸方向の貫通ボアを有し、前記ボアは、前記シールドラインを受け入れ、かつ固定し、前記ホイルシールド及び誘電体は、前記フェルール面と同一面で平坦な嵌合面を形成し、前記信号導体は前記フェルール面から突出し、前記フェルールは、前記ライン開口部に隣接した収容セクション、及び前記フェルール面に隣接したSMAバレルの装着セクションを有する、フェルールと、
(c)剛質材料から構成されるボスとカバーからなるハウジングであって、前記ボスは、統制されたインピーダンスケーブルを取付けるためのケーブル開口部、各シールドラインのためのコネクタ開口部、そして、各フェルールを収容するために前記フェルールの前記収容セクションと相補的な窪み、を有し、前記窪みによって前記フェルール面を前記ボスの対応するコネクタ開口部と位置を合わせられる、ボスと、
(d)前記ボスに装着される前記カバーと
を備える、終端部アセンブリ。
【請求項17】
前記コネクタ開口部を通して前記フェルールに装着される、SMAコネクタバレルをさらに備える、請求項16に記載の終端部アセンブリ。
【請求項18】
前記フェルールは単一部品から成る、請求項16に記載の終端部アセンブリ。
【請求項19】
前記フェルールは2つの長手方向の部品から成る、請求項16に記載の終端部アセンブリ。
【請求項20】
前記フェルールは、接合剤によって、前記誘電体及びホイルシールドを伴う前記信号導体に固定される、請求項16に記載の終端部アセンブリ。
【請求項21】
前記フェルールは、前記接合剤が導入される、ボアと交差した前記フェルール側の穴を含む、請求項20に記載の終端部アセンブリ。
【請求項22】
記ボス内における前記フェルールの、前後の動き及び回転を防止するために、前記フェルールの前記収容セクションは、対向する平行壁と、幅広い足部をライン開口部付近に有し、前記窪みは対向する平行壁と前記足部のための幅広いセクションを有する、請求項16に記載の終端部アセンブリ。
【請求項23】
前記ボス及びカバーは、それらの間に前記統制されたインピーダンスケーブルを挟む要素を含む、請求項16に記載の終端部アセンブリ。
【請求項24】
前記ボスは絶縁性材料から構成される、請求項16に記載の終端部アセンブリ。
【請求項25】
前記ボスは導電性材料から構成される、請求項16に記載の終端部アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケーブル終端部に関し、より詳細には、導電性金属ホイルシールド、または複合金属ホイル及び接地経路としてのプラスチックで作られた、統制されたインピーダンスケーブルの、終端部に関する。それらは、製造が高価ではなく、より可撓性があり、一般的に電子機器で高周波を送信するために使用される。
【背景技術】
【0002】
ケーブル終端部の目的は、ケーブルから電気デバイスへの相互接続を提供すること、及びケーブルとその動作環境との間における、分離可能な電気相互接続を提供することである。分離可能性の特徴は、ケーブルが、ハンダ付けまたは接合などの恒久的な機械的手段によって相互接続されるのではなく、一時的な機械的手段によって相互接続されることを意味する。
【0003】
典型的な統制されたインピーダンスケーブルは、1本または複数の信号導線を有し、各々は誘電体で取り囲まれる。誘電体は接地シールドによって取り囲まれ、任意で接地シールドはシースによって覆われる。ケーブルは、1本の信号導体(コアックス)、2本の信号導体(ツイナックス)、3本の信号導体(トリアックス)、またはそれ以上を有することができ、各々はそれ自体の誘電体を伴う。各導体/誘電体は、それ自体の接地シールドを有することができるか、または単一接地シールドが全ての導体/誘電体を取り囲む。全て導電性である、織金網、金属製外被、及びホイルラップを含む、様々な接地シールド構造が利用できる。これら様々な接地シールド構造のうち、ホイルラップは製造が高価ではなく、より可撓性があり、一般的に電子機器で高周波を送信するために使用される。
【0004】
終端部の有害な電気的影響を最小限に抑えるための試みにおいて、良好な電気的接触を維持するために、SMA(超小型バージョンA)コネクタ、及びその変形が、統制されたインピーダンスケーブルに一般に接続される。統制されたインピーダンスケーブルは、半剛性の同軸ケーブルに使用されるような、標準的な可撓性ケーブルのメタルブレードまたは薄いメタルジャケットなど、ある程度の構造的整合性を有する接地シールドを有する。これらのケーブルは容易にハンダ付けすることができ、シールドがそれ自体の構造的整合性を有するために、コネクタは、接地シールド及びコネクタの結合部で故障することがない。
【0005】
ホイルで包まれたケーブルは、より小さくて密度が高いが、SMAコネクタに装着するには構造的整合性を欠く。なぜなら、ホイルは非常に薄く、可撓性があるよう設計され、ボリュームが小さいためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、SMAコネクタを、導電性のホイルラップシールドを伴う統制されたインピーダンスケーブルに装着するのを可能にする、ケーブル終端部である。このケーブル終端部は、ケーブルに剛性及び張力緩和、ならびに信号整合性及び位相長を制御するための手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2つの実施形態、すなわち分離したフェルールの実施形態、及び一体化したフェルールの実施形態を有する。
【0008】
分離したフェルールの実施形態において、シースはケーブルにおいて剥離され、誘電体を取り囲んだホイルシールドを露出させてシールドラインを形成する。代替として、誘電体も剥離され、誘電体スリーブに置き換えられる。ケーブルが、全ての誘電体を取り囲む単一のホイルシールドである場合、ホイルシールドは分割され、各誘電体の周りで再び包まれる。
【0009】
剛質フェルールは、ホイルシールドの上を摺動または締め付けられ、任意でシールドラインに接合されて、ケーブルに、SMAコネクタバレルを装着するために必要な構造的整合性を与える。フェルールの面は、ホイルシールド及び誘電体の面と同一面となるよう仕上げられ、信号導体はこの面から突出する。精確な仕上げが、ケーブルの電気長を設定するために使用される。ツイナックスケーブルの場合、シールドラインを所望のとおり精確に一致させることができる。
【0010】
このケーブルサブアセンブリは、ハウジングのボスに組み込まれ、ボスに装着されるカバーによって固定される。このボスは、フェルールを捕捉して、互いに対するフェルールの移動を防止するための特徴部を有する。これら特徴部は、各フェルール面が、ボスの側の対応するコネクタ開口部と位置が合うよう、ケーブルサブアセンブリを位置付ける。一旦ケーブルサブアセンブリがボスに位置付けられると、各SMAコネクタバレルは、この開口部を通してフェルールに装着される。
【0011】
SMAコネクタバレルが装着された後、カバーがボスに設置され、装着される。ケーブルは、張力緩和をもたらすために、ボスとカバーとの間で挟まれる。
【0012】
一体化したフェルールの実施形態において、シースは剥離され、ホイルシールドは少し剥離される。ケーブルが、分離した誘電体を有する場合、誘電体は剥離されず、各ラインを残してケーブルサブアセンブリを形成する。ケーブルが、単一の誘電体を有する場合、誘電体は、ホイルシールドと共に剥離され、誘電体スリーブが信号導体の上を摺動され、それによってケーブルサブアセンブリを形成する。信号導体は、ある角度で互いから離れるよう屈曲される。
【0013】
ケーブルサブアセンブリは、ハウジングのボスに組み込まれ、カバーによって固定される。ボスは、ケーブルサブアセンブリを受け入れるための、いくつかの窪みを有する。窪みの各々は、対応する窪みをカバーに有し、それらの組み合わせは、ハウジング内に空間を形成し、それを通してケーブルサブアセンブリは延びる。
【0014】
ケーブルは、ハウジングの一方の端部において緊張緩和部の中に適合する。緊張緩和部は、信号導体が分離するケーブル接合点を受け入れる接合空間の中に通じている。ホイルシールドとハウジングとの間の電気接続を提供するために、頸部はホイルシールドを押し込む。信号導体/誘電体は、信号導体が互いから離れるよう屈曲された角度と同じ角度で、接合空間から離れて延びた信号路に適合する。信号路は、ハウジングの縁部から突起面の開口部まで延びた突起部を通して延びる。信号導体は、突起面から突出する。
【0015】
突起面を整え、及び/または仕上げた後、SMAコネクタバレルは、適切な手段によって突起部に装着される。
【0016】
本発明の目標は、以下の図面及び本発明の詳細な説明を考慮すると、明白になる。
【0017】
本発明の本質及び目標を、より完全に理解するために、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ツイナックスケーブルのための、本発明の分離したフェルールの実施形態における、完全に組み立てられた終端部アセンブリの、正面斜視図である。
図2】コアックスケーブルのための、本発明の完全に組み立てられた終端部アセンブリの、正面斜視図である。
図3】本発明の終端部アセンブリの、背面斜視図である。
図4図1の終端部アセンブリの正面図である。
図5図1の終端部アセンブリの右側面図である。
図6図1の終端部アセンブリの背面図である。
図7図1の終端部アセンブリの上面図である。
図8】分離した誘電体及び分離した接地シールドを伴う、ツイナックスケーブル端部の斜視図である。
図9】分離した誘電体及び単一の接地シールドを伴う、ツイナックスケーブル端部の斜視図である。
図10】単一の誘電体及び単一の接地シールドを伴う、ツイナックスケーブル端部の斜視図である。
図11】分離した誘電体及び単一のホイルシールドを伴うツイナックスケーブルに、終端部を組み立てるための準備における、第1のステップのケーブルを示す図である。
図12図11の12-12における詳細図である。
図13】分離した誘電体及び単一のホイルシールドを伴うツイナックスケーブルに、終端部を組み立てるための準備における、第2のステップのケーブルを示す図である。
図14図13の14-14における詳細図である。
図15】単一部品から成るフェルールの上面図である。
図16図15の単一部品から成るフェルールの、部分的な側部透視図である。
図17図15の単一部品から成るフェルールの、フェルール面の端部を示す図である。
図18】2つの部品から成るフェルールの、分解斜視図である。
図19図18における2つの部品から成るフェルールの、分解断面図である。
図20】2つの部品から成る別のフェルールの、分解斜視図である。
図21図20の2つの部品から成るフェルールの、分解断面図である。
図22】2つの部品から成る別のフェルールの、分解斜視図である。
図23図22の2つの部品から成るフェルールの、分解断面図である。
図24】シールドラインに組み込まれる、単一部品から成るフェルールの斜視図である。
図25】シールドラインに組み込まれる、2つの部品から成るフェルールの斜視図である。
図26】シールドラインに組み込まれた、フェルールの斜視図である。
図27図26のシールドラインに組み込まれた、フェルールの詳細図である。
図28】シールドラインに組み込まれたフェルール、及びコネクタを受け入れるために仕上げられたフェルール面の、斜視図である。
図29図28のシールドラインに組み込まれたフェルールの詳細図である。
図30】複数の信号導体及び単一の誘電体を有するケーブルのための、フェルールの断面図である。
図31】複数の信号導体及び単一の誘電体を有するケーブルのための、別のフェルールの断面図である。
図32】複数の信号導体及び単一の誘電体を有するケーブルのための、別のフェルールの断面図である。
図33】終端部を、単一の誘電体を伴うツイナックスケーブルに組み立てるための準備後の、ケーブルを示す図である。
図34】信号導体に組み込む、単一部品から成るフェルールの斜視図である。
図35】信号導体に組み込む、2つの部品から成るフェルールの斜視図である。
図36】信号導体に組み込まれたフェルールの斜視図である。
図37】完成したケーブルサブアセンブリの斜視図である。
図38】ボスの斜視図である。
図39】組み込まれたケーブルサブアセンブリを伴うボスの、斜視図である。
図40】組み込まれたケーブルサブアセンブリを伴うボスの、正面図である。
図41】終端部アセンブリの分解図である。
図42図6の42-42における、終端部アセンブリの断面図である。
図43】ツイナックスケーブルのための、本発明の一体化したフェルールの実施形態における、完全に組み立てられた終端部アセンブリの背面斜視図である。
図44】ケーブルサブアセンブリとして準備した後における、分離した誘電体のツイナックスケーブルを示す図である。
図45】ケーブルサブアセンブリを組み立てるための準備後における、単一の誘電体のツイナックスケーブルを示す図である。
図46】終端部アセンブリの分解図である。
図47】ボスの斜視図である。
図48】カバーの斜視図である。
図49】組み込まれたケーブルサブアセンブリを伴うボスの、斜視図である。
図50】ケーブルを伴う、組み立てられたハウジングの断面図である。
図51図50の51-51における詳細断面図である。
図52図50の52-52における突起部の構成の、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述のように、典型的な統制されたインピーダンスケーブル20は、1本または複数の信号導線22を有し、各々は誘電体24で取り囲まれる。誘電体24は接地シールド26によって取り囲まれ、任意で接地シールド26は、1本または複数のシース28a、28b(集合的に28)によって覆われる。ケーブル20は、1本(コアックス)、2本(ツイナックス)、3本(トリアックス)、またはそれより多い信号導体(22)を有することができる。いくつかのケーブル構造において、図8のように、各信号導体22は、それ自体の誘電体24及び接地シールド26を有する。他のケーブル構造において、図9のように、各信号導体22は、それ自体の誘電体24、及び全ての誘電体24を取り囲む単一の接地シールド26を有する。さらに別のケーブル構造において、図10のように、単一の誘電体24は、全ての信号導体22を取り囲み、単一の接地シールド26は誘電体24を取り囲む。本明細書は、ケーブル要素の異なる組み合わせを識別するために、いくつかの用語を使用する。ライン30は、信号導体22及び誘電体24の組み合わせである。シールドライン32は、信号導体22、誘電体24、及びシールド26の組み合わせである。
【0020】
本発明は、接地シールド26だけが導電性ホイルラップで構成された、ケーブル20を用いて使用するためのものであり、導電性ホイルラップは、メタルホイル、またはメタルホイルとプラスチックとの合成とすることができる。本明細書では、ホイルシールドという用語を、導電性ホイルラップの接地シールド26を指すよう使用される。本発明では、ホイルシールド以外のものを組み入れた接地経路を有するケーブルを用いた使用を、意図しない。
【0021】
本発明は、SMAコネクタを、ホイルシールド26を伴う統制されたインピーダンスケーブル20に装着するのを可能にする、ケーブル終端部10である。以下で詳細に説明するように、本発明のケーブル終端部10は、ケーブル20に剛性をもたらし、かつ張力緩和部、ならびに信号整合性及び位相長を制御するための手段を提供する。
【0022】
本発明は、2つの実施形態、すなわち図1図42に示される分離したフェルールの実施形態と、図43図48に示される一体化したフェルールの実施形態を有する。
【0023】
簡潔に述べると、分離したフェルールの実施形態において、シース28はケーブル20において剥離され、ホイルシールド26は誘電体24を取り囲んだままで、シールドライン32を形成する。剛質のフェルール40は、ホイルシールド26の上で摺動または接合され、シールドライン32に接合されて、ケーブル20に、SMAコネクタバレル12を装着させるために必要な構造的整合性を与える。このケーブルサブアセンブリ14は、ハウジング16のボス60に組み込まれ、ネジ64または他の機械的手段で、ボス60に装着されるカバー62によって固定される。
【0024】
ハウジング16は、SMAコネクタバレル12がフェルール40に機械的に装着できて、かつフェルール40とシールドライン32との間の接合された接点における湾曲を防止する、プラットフォームを提供する。
【0025】
図1図7は、SMAコネクタバレル12を伴う、本発明の分離したフェルールの実施形態における、ケーブル終端部アセンブリ10を示す。図1、及び図3図7は、ツイナックスケーブル20を伴う終端部アセンブリ10を示し、図2は、コアックスケーブル20を伴う終端部アセンブリ10を示す。本明細書は、ツイナックスケーブル20を用いて使用される、本発明の終端部を説明する。しかし、本発明を、1本または複数の信号導体22を有する統制されたインピーダンスケーブル20に使用することができる。
【0026】
ケーブルサブアセンブリ14は、図11図34に示されるように、フェルール40を、ケーブル20の各シールドライン32に組み込むことによって組み立てられる。シース28は剥離され、ライン30の周りにラップされたホイルシールド26を露出される。シース28が剥離される長さ、すなわち露出されたホイルシールド26の長さは、以下で説明するように、特定の用途及びハウジング16のパラメータに依拠することになる。
【0027】
各信号導体22に誘電体24及びホイルシールド26を有する、2本以上の信号導体22を伴うケーブル20の場合、シールドライン32は単に分離される。
【0028】
各信号導体22に誘電体24を有する2本以上の信号導体22と、全ての誘電体24を取り囲む単一のホイルシールド26と、を伴うケーブル20の場合、図11及び図12のように、ホイルシールド26は、ライン30の各々に対して、部分36に分割される。分割されたホイルシールド26は、図13図14のように、各誘電体24の周りに再び包まれ、シールドライン32を形成する。切断したホイルシールド26の各部分36は、誘電体24の全周の周りに延びるには十分に広くなく、そのため図14のように、各シールドライン32のホイルシールド26に空隙34を残すことに、留意されたい。ホイルシールド26が誘電体24を完全に取り囲むか、またはホイルシールド26が誘電体24を完全に取り囲まないか、のいずれの条件も、本出願ではホイルシールド26が誘電体24を取り囲むものと考慮される。
【0029】
本発明は、誘電体24を剥離して、誘電体スリーブに置き換えられることができることも意図される。これは、例えばケーブルのインピーダンスを変える必要があるときに、便利となり得る。
【0030】
分離した誘電体24を伴うケーブル20における、各シールドライン32に組み込まれることになるフェルール40のいくつかの構成が、図15図23に示される。フェルール40は、剛質材料で構成されたシリンダである。1つの形態において、フェルール40は、真鍮または銅などの導電性材料から成る。別の形態において、フェルール40は絶縁性材料から成る。
【0031】
フェルール40は、軸方向の貫通ボア42を有し、それは一方のライン端部48におけるライン開口部44から、他方の端部におけるフェルール面50の面開口部46まで延びる。貫通ボア42は、図14に示されるようなシールドライン32を受け入れることができるような径を有する。フェルール40は、ライン開口部44に隣接した捕捉セクション80、及びフェルール面50に隣接したSMA装着セクションを有する。
【0032】
任意で、フェルール40は、図18図23のように、2つの長手方向部品40a、40bから成り、それらは共に完全なフェルール40を構成する。図18及び図19の構成において、2つの部品40a、40bは同一であり、すなわち各部品40a、40bは、フェルール40の周り180°に延びる。
【0033】
図20及び図21の構成において、大きい部品40aはフェルール40の180°よりも大きく延び、180°未満の楔型の切り込み102を残し、小さい部品40bは、切り込み102の角度の上に延びる。図20及び図21の例において、大きい部品40aは、約270°延び、90°の切り込み102を残す。この特定の形状は、2つの部品40a、40bを適合させるときに、位置合わせに役立つ。
【0034】
図22及び図23の構成において、部品40a、40bには段差が付けられ、それらを共に適合させるときに位置合わせを容易にする。2つの部品40a、40bの各々は、フェルール40において約180°延びる。第1の部品40aは、ボア42に隣接した1つまたは2つの長手方向の溝106を有し、第2の部品40bは、ボア42に隣接した長手方向の嵌合隆起部108を有する。部品40a、40bは、第1の部品40aが外面114に隣接した長手方向の隆起部110を有し、第2の部品40bが外面114に隣接した長手方向の嵌合溝112を有する、代替の方法で見做すこともできる。代替として、溝及び隆起部は、穴42及び外面114の間であるが、ボア42及び外面114から離されている。この段差のある構成は、2つの部品40a、40bを適合させるときに、位置合わせに役立ち、信号の漏洩を遮断する助けとなる。
【0035】
図15図17の、単一部品から成るフェルール40について、シールドライン32はライン開口部44の中に挿入され、図26及び図27のようにシールドライン32の端部が面開口部46から延びるまで、図24のようにシールドライン32の上を摺動される。図18及び図19、ならびに図22及び図23の、2つの部品から成るフェルール40と、図20及び図21の2つの部品から成るフェルール40とについて、楔の角度が180°に近い場合、2つの部品40a、40bは、図25のように長手方向面54を互いに当接させてシールドライン32に設置され、シールドライン32の端部は、図26及び図27のように面開口部46から延びる。楔の角度が180°よりも大幅に小さい、図20及び図21の2つの部品から成るフェルール40について、シールドライン32は第1の部品40aにおけるライン開口部44の中に挿入され、第1の部品40aは、図26及び図27のように、シールドライン32の端部が面開口部46から延びるまで、シールドライン32の上を摺動される。次に、第2の部品40bは、2つの長手方向面54を互いに当接させて、シールドラインに設置される。
【0036】
面開口部46から延びるシールドライン32の量は、ケーブルサブアセンブリ14における所望のシールドライン32の長さに依拠する。任意で、ホイルシールド26を整えることができるが、フェルール40が導電性である場合に、やはりフェルール40と電気接触させなければならない。
【0037】
フェルールが非導電性である場合、フェルールを導電性の表面でメッキすることができる。その場合、ホイルシールド26を、フェルール40と電気接触させなければならない。シールドライン32が十分なインピーダンス環境にある場合において、フェルール40は導電性でなくてよい。
【0038】
1つの形態において、接合剤がフェルール40をシールドライン32に固定し、それによってシールドライン32の端部において剛質構造を作り出す。接合剤を、ボア42と交差する接合剤用穴52を通して、ボア42に導入することができ、それは接合剤を清潔に供給するのに役立つ。代替として、接合剤は、フェルール40の一方または両方のボア開口部44、46の中に注入される。代替として、2つの部品から成るフェルール40を用いるとき、フェルール40をシールドライン32に設置する前に、接合剤がボア42の両半体に塗布される。
【0039】
接合剤は、特定の用途に適切な、任意のタイプの接着剤とすることができる。接合剤は、導電性であってもよく、なくてもよい。本発明は、接合剤を金属または非金属とすることができ、かつ温度による固着、化学的な固着、または放射による固着とすることができるよう意図される。
【0040】
2つの部品から成るフェルール40について、2つの部品40a、40bを共に装着して完全なフェルール40を形成するためにも、接合剤を使用することができる。代替として、フェルールの部品40a、40bを、用途に適切な任意の他の手段を使用して、共に装着させることができる。例として、ハンダ付け、溶接、接着、締め付け、及び以下で説明するようにボス特徴部が挙げられる。
【0041】
一旦、接合剤が固着されると、(ライン開口部44の中に挿入する前に整えられない場合に)フェルール面50、誘電体24,及びホイルシール26は、精確に整えることで仕上げられ、それによって誘電体24及びホイルシールド26は、フェルール面50と同一面にされ、それによって図28及び29の56のように、僅かに突出した、傷が付いていない信号導体22を伴う、平坦な嵌合面を生成する。フェルール40がシールドライン32上を摺動する距離と共に、このように精確に整えることは、ケーブルの電気長または位相を設定するためにも使用される。面50を整えることは、シールドライン32を電気的に短くする。ツイナックスケーブル20の場合、シールドライン32を精確に一致させることができ、それによってシールドライン32は、所望のとおりの、同じまたは特定の異なる電気長または位相長を有する。
【0042】
上述のように、フェルール40は、導電性材料または絶縁性材料で構成することができる。導電性材料の場合、フェルール40はホイルシールド26の一部として電気的に動作し、それによってホイルシールド26は、仕上げ後にフェルール面50で露出させる必要はない。
【0043】
フェルール40が絶縁性材料で構成される場合、フェルール40はホイルシールド26の一部として動作せず、そのためホイルシールド26を、何らかの方法でフェルール面50まで延ばさなければならない。適切な任意な方法を、本発明によって利用することができ、それは仕上げ処理の一部として考慮される。1つの形態において、フェルール面50は、ホイルシールド26に電気的に接続された、導電性コーティングを有する。別の形態において、接合剤は導電性であり、フェルール面50まで延びる。
【0044】
単一の誘電体24と共に、ケーブル20の各信号導体22に組み込まれるフェルール40のいくつかの構成が、図30図32に示される。フェルール40は、真鍮または銅などの、剛質の導電性材料で構成されるシリンダであり、軸方向の貫通ボア120を有する。さらに上記のように、フェルール40は、単一部品、または2つの長手方向の部品から構成することができる。
【0045】
図30の構成において、フェルール40は、一体化された剛質の誘電体122を有し、それはボア120の中に備わり、ボア120の全長に延びる。誘電体122は、信号導体22のための軸方向の貫通穴124を有する。誘電体122は、フェルール40から分離され得るか、または圧入もしくは他の方法でボア120に固定され得るか、のいずれかである。フェルール40が、2つの部品から成るフェルール40である場合、誘電体は単一部品または2つの部品とすることができる。
【0046】
図31の構成は、図30と同じであるが、ライン端部48において、誘電体122に僅かな窪み128が追加される。窪み128は、シールドライン32に定着を提供する。上記のように、誘電体122は、フェルール40から分離され得るか、または圧入もしくは他の方法でボア120に固定され得るか、のいずれかである。上記のように、フェルール40が、2つの部品から成るフェルール40である場合、誘電体は単一部品または2つの部品とすることができる。
【0047】
図32の構成において、フェルールは空気誘電体130を有する。複数の誘電体スペーサ132は、信号導体22のための、軸方向の貫通穴124を提供する。
【0048】
単一の誘電体24と、誘電体24を取り囲む単一のホイルシールド26とを有する、2本以上の信号導体22を伴うケーブル20の場合、フェルール40を組み込む前に、ホイルシールド26及び誘電体24は分割及び剥離されて、図33にようにむき出しの単一導体22のみを残す。
【0049】
誘電体がフェルール40から分離されている場合、誘電体122は、整えられた誘電体24及びホイルシールド26に当接するまで、信号導体22上を摺動される。単一部品から成るフェルール40は、信号導体22/誘電体122をライン開口部44の中に挿入することによって誘電体122に組み込まれ、誘電体12がフェルール面50に至るまで、かつ図36のように信号導体22の端部が面開口部46から延びるまで、フェルール40は、図34のように信号導体22/誘電体122上を摺動される。2つの部品から成るフェルール40は、2つの部品を、長手方向面を互いに当接させて誘電体122に設置することによって、図35及び上述のように組み込まれて、それによって図36のように、誘電体120の端部をボア120に適切に位置付けて、信号導体は面開口部46から延びる。
【0050】
誘電体がボア120に固定されると、単一部品から成るフェルール40は、信号導体22を軸方向の貫通穴124の中に挿入することによって、信号導体22に組み込まれ、フェルール40は、図36のように信号導体22の端部が面開口部46から延びるまで、信号導体22上を摺動される。2つの部品から成るフェルール40は、2つの部品を信号導体22上に、長手方向面を互いに当接させて、図36のように信号導体が面開口部46から延びるよう、上述のように組み込まれる。
【0051】
任意で、接合剤がフェルール40を信号導体22に固定する。上記のように、接合剤を、軸方向の貫通穴124と交差する接合剤用穴を通して、ボア120に導入することができる。代替として、接合剤は、軸方向の貫通穴124の一方または両方の端部の中に注入される。代替として、2つの部品から成るフェルール40を用いるとき、フェルール40を信号導体22に設置する前に、接合剤を、軸方向の貫通穴124の両半体に塗布する。
【0052】
上記のように、接合剤は、特定の用途に適切な、任意のタイプの接着剤とすることができる。上記のように、2つの部品から成るフェルール40について、接合剤を、2つの部品40a、40bを共に装着して、完全なフェルール40を形成するためにも使用することができる。代替として、フェルールの部品40a、40bを、用途に適切な任意の他の手段を使用して、共に装着させることができる。例として、ハンダ付け、溶接、接着、締め付け、及び以下で説明するようにボス特徴部が挙げられる。
【0053】
一旦接合剤が固着されると、任意でフェルール面50は精確に整えることによって仕上げられ、ケーブルの電気長または位相を設定する。面50を整えることは、シールドライン32を電気的に短くする。ツイナックスケーブル20の2本のシールドライン32を、精確に一致させることができ、それによってシールドライン32は、所望のとおりの、同じまたは特定の異なる電気長または位相長となる。
【0054】
一旦面50が仕上げられると、信号導体22は、所望のSMAコネクタタイプの仕様によって決定される長さ、典型的には25~75ミル(mils)の範囲だけ、56において突出するよう整えられる。
【0055】
フェルール40が各シールドライン32に組み込まれて、仕上げられた後、図37に示されるように、ケーブルサブアセンブリ14は、ハウジング16の中に組み入れられる準備ができる。
【0056】
ハウジング16は、ボス60及びカバー62を含み、それらは両方とも剛質材料から成る。ボス60及びカバー62を、絶縁性材料または導電性材料で構成することができる。導電性材料は、より良好なEMIシールドに役立つ。
【0057】
図39図42に示されるように、ケーブルサブアセンブリ14は、フェルール40の捕捉セクション80を、ボス60における別個の特徴部66に載せることによって、かつケーブル20をケーブル開口部90に載せることによって、ボス60に位置付けられる。これら特徴部66は、各フェルール面50が、ボス60の側の対応するコネクタ開口部68と整合するよう、ケーブルサブアセンブリ14を位置付ける。任意で、特徴部66は、フェルール40と協働して、フェルール40の、ボス60内での前後の動き及び回転を防止するための要素を含む。
【0058】
図38に示される、本設計における特徴部66は、細長い部分76に隣接した一方の端部において幅広部分74を伴う、ボス60における窪み72を含む。幅広部分74を、円形または矩形の断面とすることができる。細長い部分76は、対向する平行壁78を伴う、矩形の断面である。
【0059】
図15図17に示されるように、フェルール40の捕捉セクション80は、円筒形のSMAバレルの装着セクション82よりも大きい径を伴う、相補的構成を有する。捕捉セクション80は、一対の対向した平行な平坦壁86を有し、それらはSMAバレルの装着セクション82に隣接した捕捉セクション80の一部に沿って延び、円筒形の足部84をライン端部48近くに残す。足部84は、窪み72の幅広部分74の中に適合し、平坦壁86は対向する壁78に当接した窪み7の細長い部分76の中に適合する。幅広部分74の足部84は、フェルール40が窪み7内で前後に動くのを防止し、対向する壁78に当接した平坦壁86は、フェルール40が窪み7内で回転するのを防止する。
【0060】
任意で、ボス60は、2つの部品から成るフェルール40の2つの部品40a、40bを共に締め付けるための特徴部を含む。
【0061】
一旦ケーブルサブアセンブリ14がボス60に位置付けられると、各SMAコネクタバレル12は。適切な手段によって、開口部68を通してフェルール40のSMAバレルの装着セクション82に装着される。SMAバレルの装着セクション82は、装着されることになるSMAコネクタバレル12の、特定のタイプのために構成される。装着は恒久的とすることができるが、好ましくは取り外し可能とする。1つの構成において、SMAバレルの装着セクション82には、SMAコネクタバレル12がフェルール40上にネジで留められるよう、ネジ山が付いている。別の構成において、SMAコネクタバレル12は、SMAバレルの装着セクション82上に圧入される。別の構成において、SMAコネクタバレル12は外側にネジ山を有し、それがコネクタ開口部68の中にネジで留められ、SMAバレルの装着セクション82上に摺動する。
【0062】
フェルール40は、サブアセンブリ14がボス60によって適切に位置付けられ、かつしっかりと保持されるのを可能にし、それによってケーブル20及びSMAコネクタバレル12の結合が、最良の信号整合性を一様にもたらす。フェルール40の整えられた面50は、平坦で予測通りのインターフェース外形をもたらし、それによって嵌合SMAコネクタは嵌合できる。
【0063】
SMAコネクタバレル12が、ボス60でフェルール40と嵌合した後、カバー62がボス60に設置され、図41に示されるようにカバー62の穴70を通してネジ64で、または他の機械的手段によって装着され、図1図7に示される完全な終端部アセンブリ10を形成する。ケーブル20におけるストレスを最小限に抑えるため、ケーブル20は、ボスのケーブル開口部90とカバー62との間で挟まれる。任意で、ケーブル20は、剛性を追加して、ケーブル20がハウジング16を出る箇所における、大きい屈曲を防止するために、挟まれるポイントにおいて、シース材料などの追加材料で包まれる。
【0064】
ボス60は、フェルール40によって、ケーブルサブアセンブリ14を掴んで保持する。それによって、フェルール40とシールドライン32との間の接合点におけるストレスを、最小限に抑える。すなわち、引張り力、押圧力、または曲げ力は、フェルール40に入る箇所のシールドライン32に存在しない。これらの力は、接合部におけるインピーダンスなどの電気的特性を有害に変化させる。これによって、ホイルシールドケーブル20とSMAコネクタバレル12との間は、安定した電気的接合部となり、それは、伝送ラインの電気的特性を変えることなく、複数回の嵌合及び嵌合解除を可能にする。
【0065】
図43図52に示される、一体化したフェルール実施形態210は、分離したホイルシールド26または1本のホイルシールドと、分離した誘電体24または1本の誘電体24と、を伴うケーブル構造を含む、任意のケーブル構造と共に使用することができる。
【0066】
簡単に述べると、シース28は剥離され、ホイルシールド26は少し剥離される。ケーブル20が、分離した誘電体24を有する場合、誘電体24は剥離されず、各ライン30を残して、ケーブルサブアセンブリ214を形成する。ケーブル20が単一の誘電体24を有する場合、誘電体24は、ホイルシールド26と共に剥離され、誘電体スリーブ220は、信号導体22上を摺動されてライン30を形成し、それによってケーブルサブアセンブリ214を形成する。ケーブルサブアセンブリ214は、ハウジング216のボス224に組み込まれ、ネジ228または他の機械的手段によって、ボス224に装着されるカバー226によって固定される。SMAコネクタバレル212は、ボス224からの突起部232に装着され、そこから信号導体22は延びる。
【0067】
ハウジング216は、ケーブル20にストレスを与えることなく、SMAコネクタバレル212が、ケーブル20に電気的に装着できるプラットフォームを提供する。
【0068】
図43は、SMAコネクタバレル212を伴う、本発明の一体化したフェルールの実施形態210の、完全に組み立てられたケーブル終端部アセンブリを示す。本明細書は、ツイナックスケーブル20を使用して、本発明の終端部を説明するが、1本または複数の信号導体22を有するケーブル20の使用にも適応され得る。
【0069】
ケーブルサブアセンブリ214は、初めにシース28を剥離して、誘電体24の周りに包まれたホイルシールド26を露出させることによって、組み立てられる。次のステップは、ケーブル構造に依拠する。分離した誘電体24を伴うケーブル20では、ホイルシールド26は、シース28よりも幾分少なく剥離され、図44のように誘電体24を露出させる。上記のように、各信号導体22/誘電体24の組み合わせは、ライン30で示される。シース28及びホイルシールド26が剥離される長さは、以下で説明するように、特定の用途、及びハウジング216のパラメータに依拠することになる。ライン30は、234において、以下で説明する角度だけ互いから離れるよう屈曲され、ケーブルサブアセンブリ214を形成する。ホイルシールド26が剥離され、ライン30が屈曲され離されるケーブル20のセクションは、接合部236と称される。
【0070】
単一の誘電体24を伴うケーブルでは、ホイルシールド26及び誘電体24は、図45のように、シース28よりも幾分少なく剥離され、信号導体22を露出させる。シース28、ホイルシールド24、及び誘電体24が剥離される長さは、以下で説明するように、特定の用途、及びハウジング216のパラメータに依拠することになる。信号導体22は、234において以下で説明する角度で、互いから離れるよう屈曲される。上記のように、ホイルシールド26及び誘電体24が剥離され、信号導体22が屈曲され離れるケーブル20のセクションは、接合部236と称される。
【0071】
単一の誘電体ケーブルサブアセンブリ214は、誘電体スリーブ220を各信号導体22上に摺動されることによって、組み立てられる。誘電体スリーブ220は、信号導体22のための軸方向の貫通穴222を有する円筒形である。誘電体スリーブ220は、以下で説明するように、信号導体22のほとんどを覆うために十分な長さである。ケーブルサブアセンブリ214は、ハウジング216に組み込まれる準備ができている。
【0072】
ハウジング216は、ボス224及びカバー226を含み、それらは両方とも剛質材料から成る。ボス224は、導電性材料から構成され、接地として動作する。カバー226は、絶縁性材料または導電性材料のいずれかで構成することができる。導電性材料は、より良好なEMIシールドとして、かつ接地の継続として役立つ。ボス224及びカバー226は、金属メッキなどの導電性材料でコーティングされる場合、絶縁性材料で構成することができる。
【0073】
図47に示されるように、ボス224は、ケーブルサブアセンブリ214を受け入れるための、いくつかの窪みを有する。ボスの窪みの各々は、図48に示される対応した窪みをカバー226に有し、それらの組み合わせは、ハウジング216内に空間を形成し、それを通してケーブルサブアセンブリ214は延びる。シースで覆われたケーブル20は、ハウジング216の一方の端部において、ボス224の窪み240a、及びカバー226の窪み240bで形成された、張力緩和部240の中に適合する。張力緩和部240は、ボス224の窪み242a及びカバー226の窪み242bによって形成され、かつケーブル接合部236を受け入れる、接合空間242の中に通じている。ボス224の窪み244a、及びカバー226の窪み244bで形成される信号路244は、特定の用途に依拠した互いに対する角度で、接合空間242から離れて延びる。本設計において、この角度は概ね60°である。これは、ケーブルサブアセンブリ214を組み立てるときに、ライン30/信号導体22が互いから離れるよう屈曲される角度と同じ角度である。信号路244は、ボス224から延びた指部232a及びカバー226から延びた指部232bによって形成された突起部232を通して延び、それはボス224の縁部から突起面238の開口部252まで延びる。
【0074】
図50及び図51に示すように、ケーブル20は、カバー226がボス224に装着されたときに、張力緩和部240に捕捉される。任意で、ケーブル20は、剛性を追加してケーブル20がハウジング216を出る箇所における大きい屈曲を防止するために、張力緩和部240において、シース材料などの追加材料254で包まれる。
【0075】
ケーブル20は、ホイルシールド26を受け入れる頸部246まで、接合空間242の中に延びる。ホイルシールド26/誘電体24は、ボスの頸部246aとカバーの頸部246bとの間に押し込められ、ホイルシールド26とハウジング216との間の良好な電気的接続をもたらす。
【0076】
ライン/信号導体の屈曲部234は、ボス224の窪み248a及びカバー226の窪み248bから構成される喉部248によって受け入れられる。喉部248は、空気誘電体を補うため、及び頸部領域のインピーダンスを制御するために、頸部246よりも僅かに狭い。
【0077】
信号路244は、誘電体24/誘電体スリーブ220に対して相補的な径を有する円筒形である。分離した誘電ケーブル20を伴い、ライン30は、図49の256のように、突起面238を幾分越えて延びる。単一の誘電体ケーブル20を伴い、誘電体スリーブ220は、突起面238と同一面になるまで信号路244の全長に延び、信号導体22は、図49の256のように、突起面238を幾分越えて延びる。
【0078】
上述のように、単一の誘電体24を伴うケーブル20の信号導体22が分離される場合、単一の誘電体24は、2本の信号導体22の間で分割される必要がある。それが生じた場合、誘電体24はもはや完全体ではなく、すなわちもはや精確なインピーダンスを提供しない。この問題を緩和するために、誘電体24は、ホイルシールドと共に接合部236まで剥離され、誘電体スリーブ220は、露出された信号導体22上を摺動される。誘電体スリーブ220の外径、及び信号路244の内径は、適切なインピーダンスを提供するよう、かつ分離した誘電体24を伴うケーブル20と同様に動作するよう、設計される。
【0079】
一旦ケーブルサブアセンブリ214がボス224に位置付けられると、カバー226はボス224に設置され、図46に示されるように、カバー226の穴230を通してネジ228で装着されるか、または他の機械的手段によって装着され、それによって張力緩和部240、接合空間242、頸部246、頸部248、及び信号路244を囲む。
【0080】
図46で確認できるように、突起部232は、ボス224から延びた指部232aと、カバー226から延びた指部232bとから成る。2つの部品から成るフェルール40の2つの部分40a、40bが、完全なフェルール40を共に形成するのと同じ方法で、2つの指部232a、232bは、カバー226がボス224に装着されたときに、完全な突起部232を共に形成する。2つの部品から成るフェルール40の各部品40a、40bのように、指部232a、232bは、互いに補う当接面258a、258bを有する。本発明は、2つの部品から成るフェルール40を参照して上述した形状を含む、相補的な当接面258a、258bの任意で適切な形状を使用できることを意図する。相補的な当接面258a、258bの別の例が、図52に示される。ボス224は、信号路244の180°を有し、平行接線壁260を延ばす。カバー226は、信号路244の他の180°、及び平坦な平行壁262を有する。カバーの指部232bは、ボスの指部232aの中に摺動して、突起部232を完成させる。
【0081】
カバー226が装着された後、分離した誘電体24について、誘電体24は、突起面238と同一面になるよう仕上げられる。任意で、全てのケーブル20について、突起面238は精確に整えることによって仕上げられ、ケーブル20の電気長または位相を設定する。面238を整えることは、シールド26を電気的に短くする。ツイナックスケーブル20の2本のライン30を、所望のとおり、同じまたは特定の異なる電気長または位相長を有するように、精確に一致させることができる。
【0082】
突起面238を整え、及び/または仕上げた後、SMAコネクタバレル212は、図43のように、適切な手段によって突起部232に装着される。突起部232は、前の実施形態10におけるフェルール40と同様に機能する。突起部232は、装着されることになるSMAコネクタバレル212の、特定のタイプのために構成される。装着は恒久的とすることができるが、好ましくは取り外し可能とする。典型的に、突起部232は、SMAコネクタバレル12がフェルール232上にネジで留められるよう、ネジ山が付いている。代替として、SMAコネクタバレル12は、突起部32上に圧入される。
【0083】
ボス224は、ケーブルサブアセンブリ214が適切に位置付けられ、かつしっかりと保持されるのを可能にし、それによってケーブル20及びSMAコネクタバレル212の結合が、最良の信号整合性を一様にもたらす。突起面238は、平坦で予測通りのインターフェース外形をもたらし、それによって嵌合SMAコネクタは嵌合できる。
【0084】
このように、導電性ホイルシールドを有する、統制されたインピーダンスケーブルの終端部を示し、かつ説明した。特定の変化が、本発明の範囲から逸脱することなく、本開示に成され得るので、前述の明細書で説明され、添付の図面に示された全ての事柄は、例示であり、限定ではないことが意図される。
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