(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】粘着シートの製造方法及び粘着シート付き光学フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/40 20180101AFI20250207BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20250207BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20250207BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20250207BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
C09J7/40
C09J7/38
C09J4/02
C09J133/04
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2022117582
(22)【出願日】2022-07-22
【審査請求日】2024-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】森本 有
(72)【発明者】
【氏名】久保田 陽
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113724579(CN,A)
【文献】特開2018-183940(JP,A)
【文献】特開2009-208347(JP,A)
【文献】特開平05-193041(JP,A)
【文献】国際公開第2020/009401(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
G02B5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はく離ライナーを用いて、基材シート、光硬化性組成物を含む塗布層、及び前記はく離ライナーをこの順に含む積層体に光を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、
前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程Bと、を含み、
前記工程Bで剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A及び前記工程Bが繰り返し実施され、
前記はく離ライナーとして、未使用の状態から数えて前記粘着シートから3回剥離させた後に測定した前記粘着シートとの剥離力PS
3が1.0N/50mm未満であるシートを用いる、
粘着シートの製造方法。
【請求項2】
前記はく離ライナーは、未使用の状態で測定した前記粘着シートとの剥離力PS
0が0.01N/50mm以上である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項3】
前記はく離ライナーは、未使用の状態で測定した前記粘着シートとの剥離力PS
0に対する前記剥離力PS
3の比PS
3/PS
0が10以下である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項4】
前記はく離ライナーは、未使用の状態で測定した前記粘着シートとの剥離力PS
0に対する、未使用の状態から数えて前記粘着シートから1回剥離させた後に測定した前記粘着シートとの剥離力PS
1の比PS
1/PS
0が10以下である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項5】
前記はく離ライナーは、前記塗布層の側の面に離型層を備え、
前記離型層の厚さは110nm以下である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項6】
前記はく離ライナーと前記粘着シートとの剥離力は、前記基材シートと前記粘着シートとの剥離力に比べて小さい、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項7】
前記光硬化性組成物が(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物を含む、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項8】
前記(メタ)アクリル系単量体がカルボキシル基含有単量体を含む、請求項7に記載の粘着シートの製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって形成された粘着シートの露出面に光学フィルムを配置して粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む、粘着シート付き光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記光学フィルムが、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つのフィルムを含む、請求項9に記載の粘着シート付き光学フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートの製造方法、及び粘着シート付き光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置及びエレクトロルミネセンス(EL)表示装置に代表される各種の画像表示装置は、一般に、偏光フィルム等の光学フィルムと粘着シートとを含む光学積層体を備えている。光学積層体に含まれる光学フィルム間の接合や、光学積層体と画像表示パネルとの接合には、通常、粘着シートが使用される。粘着シートとしては、アクリル単量体やシリコーン単量体等を含む単量体群を重合及び架橋により硬化させたシートが典型的である。特許文献1には、基材シート、光硬化性組成物を含む塗布層及びはく離ライナーをこの順に含む積層体に光を照射して塗布層から粘着シートを形成する方法が開示されている。この方法では、基材シート及びはく離ライナーによって塗布層の双方の主面が覆われるため、酸素による光硬化反応の阻害を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬化による粘着シートの形成には、通常、熱や光等のエネルギーが必要である。光を利用する方法(光硬化法)によれば、例えば粘着剤組成物及び溶剤を含む塗布層をオーブンにより熱硬化させる方法(熱硬化法)に比べて、粘着シートの形成に必要なエネルギーの量を削減できる。しかし、粘着シート製造時の環境負荷を低減する観点からは、塗布層の硬化に必要なエネルギー量に着目するだけでは不十分である。
【0005】
本発明は、低環境負荷での粘着シートの製造に適した技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
はく離ライナーを用いて、基材シート、光硬化性組成物を含む塗布層、及び前記はく離ライナーをこの順に含む積層体に光を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、
前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程Bと、を含み、
前記工程Bで剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A及び前記工程Bが繰り返し実施され、
前記はく離ライナーとして、未使用の状態から数えて前記粘着シートから3回剥離させた後に測定した前記粘着シートとの剥離力PS3が1.0N/50mm未満であるシートを用いる、
粘着シートの製造方法、
を提供する。
【0007】
別の側面において、本発明は、
上記本発明の粘着シートの製造方法によって形成された粘着シートの露出面に光学フィルムを配置して粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む、粘着シート付き光学フィルムの製造方法、
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低環境負荷での粘着シートの製造に適した技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図2】本発明の粘着シートの製造方法に使用しうるはく離ライナーの一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図4】本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図5】本発明の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図6】本発明の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図7】本発明の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1態様にかかる粘着シートの製造方法は、
はく離ライナーを用いて、基材シート、光硬化性組成物を含む塗布層、及び前記はく離ライナーをこの順に含む積層体に光を照射して、前記塗布層から粘着シートを形成する工程Aと、
前記粘着シートから前記はく離ライナーを剥離する工程Bと、を含み、
前記工程Bで剥離された前記はく離ライナーを用いて前記工程A及び前記工程Bが繰り返し実施され、
前記はく離ライナーとして、未使用の状態から数えて前記粘着シートから3回剥離させた後に測定した前記粘着シートとの剥離力PS3が1.0N/50mm未満であるシートを用いる。
【0011】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様にかかる粘着シートの製造方法では、
前記はく離ライナーは、未使用の状態で測定した前記粘着シートとの剥離力PS0が0.01N/50mm以上である。
【0012】
本発明の第3態様において、例えば、第1又は第2態様にかかる粘着シートの製造方法では、
前記はく離ライナーは、未使用の状態で測定した前記粘着シートとの剥離力PS0に対する前記剥離力PS3の比PS3/PS0が10以下である。
【0013】
本発明の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つの態様にかかる粘着シートの製造方法では、
前記はく離ライナーは、未使用の状態で測定した前記粘着シートとの剥離力PS0に対する、未使用の状態から数えて前記粘着シートから1回剥離させた後に測定した前記粘着シートとの剥離力PS1の比PS1/PS0が10以下である。
【0014】
本発明の第5態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つの態様にかかる粘着シートの製造方法では、
前記はく離ライナーは、前記塗布層の側の面に離型層を備え、
前記離型層の厚さは110nm以下である。
【0015】
本発明の第6態様において、例えば、第1から第5態様のいずれか1つの態様にかかる粘着シートの製造方法では、
前記はく離ライナーと前記粘着シートとの剥離力は、前記基材シートと前記粘着シートとの剥離力に比べて小さい。
【0016】
本発明の第7態様において、例えば、第1から第6態様のいずれか1つの態様にかかる粘着シートの製造方法では、
前記光硬化性組成物が(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物を含む。
【0017】
本発明の第8態様において、例えば、第7態様にかかる粘着シートの製造方法では、
前記(メタ)アクリル系単量体がカルボキシル基含有単量体を含む。
【0018】
本発明の第9態様にかかる粘着シート付き光学フィルムの製造方法は、
第1から第8態様のいずれか1つの態様にかかる粘着シートの製造方法によって形成された粘着シートの露出面に光学フィルムを配置して粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む。
【0019】
本発明の第10態様において、例えば、第9態様にかかる粘着シート付き光学フィルムの製造方法では、
前記光学フィルムが、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つのフィルムを含む。
【0020】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
【0021】
本発明者は、剥離後直ちに廃棄されていたはく離ライナーを再使用することにより、粘着シートの製造プロセスにおける環境負荷をさらに低減することを着想し、この着想に基づいて検討を進め、本発明を完成させた。粘着シートから剥離した後のはく離ライナーの剥離力は、未使用の状態よりも大きくなる。一方、本発明者の検討によると、剥離力の増加の程度は、はく離の回数を重ねると小さくなる傾向にある。未使用の状態から数えて粘着シートから3回剥離させた後の剥離力PS3は、剥離力の増加を反映した指標として有用である。剥離力PS3が1.0N/50mm未満であるはく離ライナーは、繰り返し使用することに適している。繰り返して使用すればそれだけ、廃棄されるはく離ライナーは減少し、環境負荷は低減できる。
【0022】
[粘着シートの製造方法]
図1を参照して、本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明する。この例では、基材シート11、光硬化性組成物を含む塗布層12、及びはく離ライナー13をこの順に含む第1の積層体10に光14を照射して、塗布層12から粘着シート1を形成する(工程A)。光14は、はく離ライナー13を透過して塗布層12に到達し、塗布層12を硬化させる。ただし、光14の照射は、基材シート11の側から実施してもよいし、はく離ライナー13及び基材シート11の双方の側から実施してもよい。工程Aでは、はく離ライナー13を用いて粘着シート1を形成している。形成された粘着シート1は、はく離ライナー13が剥離されるまでは、基材シート11及びはく離ライナー13によって挟持されて第2の積層体17の一部を構成している。工程Aの後、粘着シート1からはく離ライナー13を剥離する(工程B)。
図1の方法では、工程Bで剥離されたはく離ライナー13を用いて、工程A及び工程Bが繰り返し実施される。剥離されたはく離ライナー13を用いた工程Aは、基材シート11、塗布層12、及び剥離されたはく離ライナー13をこの順に含む第1の積層体10を形成し、形成した第1の積層体10に光14を照射して実施される。
【0023】
図1の方法では、はく離ライナー13として、未使用の状態から数えて粘着シート1から3回剥離させた後に測定した粘着シート1との剥離力PS
3が1.0N/50mm未満であるシートを用いる。工程Aの実施に伴い、粘着シート1に対するはく離ライナー13の剥離力は、通常、増大する。剥離力の増大は、はく離ライナー13における塗布層12の側の面に存在する官能基やラジカルの量が光14の照射によって増加するためと推定される。上記増加は、光14の照射によってはく離ライナー13と粘着シート1との間に化学的な結合が生じ、その一部や結合の分解により形成された基が粘着シート1の剥離後にも上記面に残留することで生じている可能性がある。
【0024】
<工程A>
(はく離ライナー)
はく離ライナー13の剥離力PS3は、0.9N/50mm以下、0.8N/50mm以下、0.7N/50mm以下、0.6N/50mm以下、0.5N/50mm以下、0.4N/50mm以下、0.3N/50mm以下、0.2N/50mm以下、さらには0.15N/50mm以下であってもよい。剥離力PS3の下限は、例えば0.01N/50mm以上であり、0.03N/50mm以上、0.05N/50mm以上、0.08N/50mm以上、さらには0.1N/50mm以上であってもよい。
【0025】
はく離ライナー13は、未使用の状態で測定した粘着シート1との剥離力PS0が0.01N/50mm以上であってもよく、0.02N/50mm以上、さらには0.03N/50mm以上であってもよい。剥離力PS0の上限は、例えば0.2N/50mm以下であり、0.17N/50mm以下、0.15N/50mm以下、0.12N/50mm以下、さらには0.1N/50mm以下であってもよい。
【0026】
はく離ライナー13は、未使用の状態で測定した粘着シート1との剥離力PS0に対する剥離力PS3の比PS3/PS0が10以下であってもよく、7以下、5以下、4以下、3以下、2以下、さらには1.8以下であってもよい。比PS3/PS0の下限は、例えば、1.1以上、さらには1.2以上である。
【0027】
はく離ライナー13は、未使用の状態で測定した粘着シート1との剥離力PS0に対する、未使用の状態から数えて粘着シート1から1回剥離させた後に測定した粘着シート1との剥離力PS1の比PS1/PS0が10以下であってもよく、7以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1.8以下、さらには1.7以下であってもよい。比PS1/PS0の下限は、例えば、1.05以上、さらには1.1以上である。
【0028】
未使用の状態から数えて粘着シート1からn回剥離させた後の剥離力PSn(nは剥離の数に対応する0以上の整数;n=0のときには未使用の状態の剥離力PS0)は、評価対象のはく離ライナーを用いて工程A及び工程Bをn回実施し、さらに(n+1)回目の工程Aを実施して形成した第2の積層体17を幅50mmに切り出して試験片を作製し、作製した試験片からはく離ライナー13のみを引きはがす180°引きはがし試験を実施して評価できる。引きはがし試験は、粘着シート1の形成から0.5~1時間程度の時間が経過した後に実施する。粘着シート1の形成から引きはがし試験の実施まで、第2の積層体17及び試験片は23℃±5℃の大気雰囲気に置く。引きはがし試験には引張試験機を利用できる。より具体的には、試験片における基材シート11の側の面の全体を両面粘着テープにより固定板(例えばSUS板)に固定した後、固定板の長さ方向の一方の端部を引張試験機の上部チャックに固定し、はく離ライナー13における上部チャック側の端部を剥離して180°折り返し、引張試験機の下部チャックに固定して実施できる。固定板には、引きはがし試験を安定して実施できるだけの十分な機械的強度を有するものを使用できる。両面粘着テープには、引きはがし試験を実施する間、基材シート11が固定板から剥がれるのを防ぐのに十分な粘着力を有するものを使用できる。引きはがし試験の引きはがし速度は300mm/分、試験温度は23℃±5℃とする。第2の積層体17の幅が50mmに満たない場合は、原幅での測定値を幅50mmあたりの値に換算してもよい。塗布層12の形成方向を判別できる場合は、その方向であるMDに対して面内に垂直なTDを試験片の幅方向として定めることができる。基材シート11及びはく離ライナー13が長尺状である場合は、その幅方向を試験片の幅方向とすることができる。
【0029】
剥離力PS0、PSn及び剥離を繰り返すことによるPSnの増大の程度は、例えば、光硬化性組成物の組成、形成する粘着シート1の組成、形成条件及び厚さ、はく離ライナー13の材料、厚さ及び剥離面の状態、並びに、はく離ライナー13が備えうる離型層の組成、形成条件及び厚さ等により変化しうる。
【0030】
はく離ライナー13の基材(以下「ライナー基材」)の例は、樹脂フィルムである。ライナー基材に含まれうる樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、アセテート樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、並びにポリフェニレンサルファイドである。樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルである。
【0031】
はく離ライナー13は、工程Aで照射する光14の透過性に優れることが好ましい。
【0032】
はく離ライナー13の厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
【0033】
はく離ライナー13は、ライナー基材以外の層を備えていてもよい。はく離ライナー13は、離型層を備えていてもよい。
図2のはく離ライナー13は、ライナー基材131と、ライナー基材131の一方の面に形成された離型層132とを備える。
図2のはく離ライナー13は、離型層132が塗布層12の側となるように使用できる。
【0034】
離型層132は、典型的には、離型剤を含む離型剤組成物の硬化層である。離型剤には、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤、シリカ粉等の種々の離型剤を使用できる。はく離ライナー13は、シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物の硬化層(以下「シリコーン離型層」)を備えていてもよい。シリコーン離型層は、アクリル系の粘着シート1に対する密着性及び剥離性の両立に特に適している。なお、本明細書において主成分とは、最も含有率の大きな成分を意味する。
【0035】
シリコーン系離型剤は、例えば、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型、無溶媒型等の各種の硬化型シリコーン材料であり、付加反応硬化型シリコーン材料が好ましい。付加反応硬化型シリコーン材料は、アクリル系の粘着シート1に対する密着性及び剥離性の両立した離型層の形成に特に適している。硬化型シリコーン材料は、ウレタン、エポキシ、アルキッド樹脂等の有機樹脂にグラフト重合等により反応性シリコーンを導入したシリコーン変性樹脂であってもよい。
【0036】
付加反応硬化型シリコーン材料の例は、ビニル基又はアルケニル基を分子内に有するポリオルガノシロキサンである。付加反応硬化型シリコーン材料は、ヒドロシリル基を有さなくてもよい。アルケニル基の例は、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基、6-ヘプテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、9-デセニル基、10-ウンデセニル基、及び11-ドデセニル基である。ポリオルガノシロキサンの例は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、並びにポリ(ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサン)等の複数種のSi原子含有モノマーの共重合体である。ポリオルガノシロキサンは、好ましくはポリジメチルシロキサンである。
【0037】
シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物(以下「シリコーン離型剤組成物」)は、通常、架橋剤を含む。架橋剤の例は、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンである。架橋剤は、一分子中に2以上のヒドロシリル基を有していてもよい。
【0038】
シリコーン離型剤組成物は、硬化触媒を含んでいてもよい。硬化触媒の例は、白金系触媒である。白金系触媒の例は、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体である。白金系触媒の使用量は、組成物の全固形分に対して、例えば10~1000ppm(重量基準、白金換算)である。
【0039】
シリコーン離型剤組成物は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、剥離コントロール剤及び密着性向上剤である。剥離コントロール剤の例は未反応性のシリコーン樹脂であり、より具体的な例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノシロキサン、及びMQレジンである。剥離コントロール剤及び密着性向上剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば1~30重量%である。添加剤のさらなる例は、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び着色剤である。さらなる添加剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば10重量%以下である。
【0040】
シリコーン離型剤組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒の例は、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒である。2種以上の有機溶媒が含まれていてもよい。有機溶媒の使用量は、好ましくは、シリコーン離型剤組成物の80~99.9重量%である。
【0041】
離型層132は、例えば、ライナー基材131上に形成した離型剤組成物を含む塗布膜を加熱及び乾燥して形成できる。離型剤組成物の塗布には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。加熱及び乾燥には、例えば熱風乾燥を適用できる。加熱温度及び時間は、ライナー基材の耐熱性により異なるが、通常、80~150℃及び10秒~10分程度である。必要に応じて、紫外線等の活性エネルギー線の照射を併用してもよい。
【0042】
離型層132の厚さは、例えば10~300nmである。厚さの上限は、200nm以下、150nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、100nm未満、90nm以下、80nm以下、70nm以下、70nm未満、さらには65nm以下であってもよい。厚さの下限は、15nm以上、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、さらには50nm以上であってもよい。離型層132の厚さは110nm以下であってもよく、換言すれば、はく離ライナー13は塗布層12の側の面に離型層132を備え、離型層132の厚さは110nm以下であってもよい。
【0043】
はく離ライナー13は、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
【0044】
(基材シート)
基材シート11の例は、樹脂フィルムである。基材シート11に含まれる樹脂の例は、ライナー基材に含まれうる樹脂の例と同じである。
【0045】
基材シート11は、工程Aで照射する光14の透過性を有していてもよく、はく離ライナー13と同程度の光14の透過性を有していてもよい。
【0046】
基材シート11の厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
【0047】
基材シート11は、塗布層12の側の面に離型層を備えていてもよい。基材シート11が備えうる離型層及びその製法の例は、はく離ライナー13が備えうる離型層及びその製法の例と同じである。はく離ライナー13及び基材シート11の双方が離型層を備えていてもよい。この場合、双方の離型層は、同じ離型剤を主成分として含む離型剤組成物から形成されていてもよい。また、双方の離型層の厚さは異なっていてもよく、例えば、基材シート11が備える離型層の方が厚くてもよい。
【0048】
基材シート11には、通常、粘着シート1との剥離力がはく離ライナー13に比べて大きなシートを選択できる。
【0049】
基材シート11は、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
【0050】
(光硬化性組成物)
光硬化性組成物は、光14の照射によって塗布層12から粘着シート1が形成されうる組成物である。光硬化性組成物は、例えば、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は当該単量体群の部分重合物を含む。光硬化性組成物における(メタ)アクリル系成分、すなわち(メタ)アクリル系単量体及びその部分重合物、の含有率は、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、さらには80重量%以上であってもよく、この場合、(メタ)アクリル重合体及びその架橋物を主成分とするアクリル系の粘着シート1を形成できる。ただし、光硬化性組成物は上記例に限定されない。本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリルレートを意味する。
【0051】
(メタ)アクリル系単量体の例は、炭素数1~20のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。アルキル基の炭素数は、7以下、6以下、5以下、さらには4以下であってもよい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びオクタデシル(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、n-ブチル(メタ)アクリレートであってもよい。
【0052】
単量体群における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有率は、例えば40重量%以上であり、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、さらには95重量%以上であってもよい。なお、含有率の計算にあたり、部分重合物の重量は、重合前の各単量体としての重量に換算する。
【0053】
単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がカルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びクロトン酸である。単量体群におけるカルボキシル基含有単量体の含有率は、例えば10重量%以下であり、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、さらには5重量%以下であってもよい。含有率の下限は、例えば0.1重量%以上であり、0.5重量%以上、さらには1重量%以上であってもよい。単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0054】
光14の照射によるカルボキシル基含有単量体の重合及び硬化の速度は、カルボキシル基を含有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルに比べて、通常、大きい。上記速度が大きいことは、粘着シート1の弾性率を高めて変形力に対する寸法安定性を向上できる一方で、粘着シート1に対するはく離ライナーの剥離力が大きくなりやすいことを意味する。このため、剥離力PS3が抑制されたはく離ライナー13の使用は、カルボキシル基含有単量体を光硬化性組成物が含む場合に特に有利である。
【0055】
単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は、粘着シート1の凝集力向上に寄与しうる。ヒドロキシ基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル及び(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートである。ヒドロキシ基含有単量体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルである。単量体群におけるヒドロキシ基含有単量体の含有率は、例えば5重量%以下であり、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.8重量%以下、0.5重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、さらには0.1重量%以下であってもよい。含有率の下限は、例えば0.01重量%以上であり、0.03重量%以上、さらには0.05重量%以上であってもよい。単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0056】
光硬化性組成物において、上述した各単量体は部分重合物として含まれていてもよい。部分重合物は、単一重合体及び共重合体のいずれであってもよい。部分重合物は、光硬化性組成物の粘度を適度に増大させることで、塗布層12の安定した形成に寄与しうる。
【0057】
光硬化性組成物は、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤の例は、波長450nmよりも短い波長の可視光及び/又は紫外線によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤である。
【0058】
光重合開始剤の例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾインエーテル類;アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル;2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン;2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール;2-ナフタレンスルホニルクロライド等の芳香族スルホニルクロライド;1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等の光活性オキシム;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;並びにチタノセン系化合物である。光硬化性組成物は、1種又は2種以上の光重合開始剤を含んでいてもよい。
【0059】
光硬化性組成物における光重合開始剤の配合量は、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば0.02~10重量部であり、0.05~5重量部であってもよい。
【0060】
光硬化性組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤の例は、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能単量体である。多官能単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよい。多官能単量体の例は、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体、及び1分子中に1以上のC=C結合と、1以上のエポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、ヒドラジン基、メチロール基等の重合性官能基とを有する単量体である。多官能単量体は、好ましくは、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体である。
【0061】
架橋剤の例は、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA)、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート(多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物等);アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートである。多官能単量体は、好ましくは、多官能アクリレートであり、より好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
【0062】
架橋剤の配合量は、分子量や官能基数等により異なるが、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部あたり、例えば5重量部以下であり、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。配合量の下限は、例えば0.01重量部以上であり、さらには0.05重量部%以上であってもよい。
【0063】
光硬化性組成物は、上述した以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、連鎖移動剤、シランカップリング剤、粘度調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤及び紫外線吸収剤である。
【0064】
光硬化性組成物における溶剤の含有率は、例えば5重量%以下であり、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、さらには0.5重量%以下であってもよい。光硬化性組成物は、溶剤を実質的に含まなくてもよい。溶剤を実質的に含まないとは、添加剤等に由来する溶剤等を、例えば0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下の含有率で許容する趣旨である。
【0065】
光硬化性組成物の粘度は、好ましくは、5~100ポイズである。上記範囲の粘度を有する光硬化性組成物は、塗布層12の形成に特に適している。
【0066】
(第1の積層体及びその形成)
第1の積層体10は、基材シート11、塗布層12及びはく離ライナー13以外のさらなる層を含んでいてもよい。上記さらなる層は、基材シート11及び/又ははく離ライナー13における塗布層12の側とは反対側に配置されていてもよい。塗布層12は、基材シート11及びはく離ライナー13と接していることが好ましい。
【0067】
第1の積層体10は、例えば、基材シート11(又ははく離ライナー13)の上に塗布層12を形成し、形成した塗布層12の上にはく離ライナー13(又は基材シート11)を配置して形成できる。また、互いの主面が向き合うように所定の間隔に保持された基材シート11及びはく離ライナー13の間の空間に光硬化性組成物を流しこむように塗布して第1の積層体10を形成してもよい。剥離させたはく離ライナー13は、剥離する直前の工程Aにおいて塗布層12の側にあった面、例えば離型層132側の面、が再び塗布層12の側となるように使用してもよい。
【0068】
塗布層12の形成には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。
【0069】
塗布層12の厚さは、得たい粘着シート1の厚さに応じて調整でき、例えば5~100μmであり、5~50μm、5~25μm、さらには5~20μmであってもよい。
【0070】
第1の積層体10は、長尺状の基材シート11、長尺状の塗布層12及び長尺状のはく離ライナー13を含んでいてもよく、換言すれば、長尺状であってもよい。長尺状の第1の積層体10は、例えば、巻回体から繰り出した基材シート11及びはく離ライナー13を搬送しながら両者の間に塗布層12を形成して得ることができる。
【0071】
(光の照射)
第1の積層体10に照射する光14は、例えば、波長450nmよりも短い波長を有する可視光又は紫外線である。光14は、光硬化性組成物が含む光重合開始剤の吸収波長と同じ領域の波長の光を含んでいてもよい。波長300nm以下の短波長光をフィルター等でカットした光14を照射してもよく、短波長光をカットすることは、光14によるはく離ライナー13の劣化の抑制に適している。光14の光源は、例えば紫外線照射ランプを備える光照射装置である。紫外線照射ランプの例は、紫外光LED、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、ブラックライトランプ、ケミカルランプ、殺菌ランプ、低圧放電水銀ランプ、エキシマレーザーである。2以上の紫外線照射ランプが組み合わされていてもよい。
【0072】
光14の照射は、連続的であっても断続的であってもよい。
【0073】
光14の照射強度は、例えば1~20mW/cm2である。第1の積層体10に対する光14の積算光量は、例えば100~5000mJ/cm2である。
【0074】
粘着シート1における単量体群の重合率は、好ましくは90%以上である。重合率は、95%以上、98%以上、さらには99%以上であってもよい。
【0075】
粘着シート1のゲル分率は、例えば50%以上であり、75%以上、80%以上、さらには85%以上であってもよい。
【0076】
<工程B>
工程Bでは、硬化後の第2の積層体17からはく離ライナー13を剥離する。第2の積層体17は、基材シート11、粘着シート1及びはく離ライナー13をこの順で含む。上記剥離により、はく離ライナー13と、基材シート11及び粘着シート1を含む第3の積層体15とが得られる。
【0077】
はく離ライナー13と粘着シート1との剥離力は、基材シート11と粘着シート1との剥離力に比べて小さくてもよい。
【0078】
粘着シート1に対する基材シート11の剥離力は、例えば0.1~10N/50mmであり、1~8N/50mm、2~7N/50mm、さらには3~5N/50mmであってもよい。
【0079】
はく離ライナー13を剥離して粘着シート1の製造に再利用する回数は、特に制限されないが、例えば、3回以上、5回以上、さらには7回以上であってもよい。回数の上限にも特段の制限はなく、例えば粘着シート1との剥離力PSnが3.0N/50mmを超えない範囲で使用を継続してもよい。
【0080】
剥離されたはく離ライナー13は、巻き取ることで巻回体とした後に再利用してもよい。
【0081】
粘着シート1の厚さは、例えば2~70μmであり、2~50μm、5~40μm、10~30μm、10~25μm、さらには10~20μmであってもよい。
【0082】
粘着シート1は、例えば、光学フィルムを含む光学積層体に使用できる。換言すれば、粘着シート1は光学積層体用であってもよい。光学積層体は、粘着シート付き光学フィルムであってもよい。ただし、粘着シート1の用途は上記例に限定されない。
【0083】
図3を参照して、本発明の粘着シートの製造方法の別の一例を説明する。この例では、巻回体31から繰り出した長尺状の基材シート11の片面に対して、塗布装置32により光硬化性組成物の塗布層12を形成する。次に、塗布層12の上に、巻回体33から繰り出した長尺状のはく離ライナー13を配置して、長尺状の第1の積層体10を形成する。次に、光照射装置34から第1の積層体10に光14を照射して、長尺状の粘着シート1を形成する。次に、粘着シート1を含む第2の積層体17からはく離ライナー13を剥離して巻回体35に巻き取る。以上の工程は、基材シート11及びはく離ライナー13を搬送しながら実施する。巻き取られたはく離ライナー13は、再利用される。はく離ライナー13の剥離により形成された第3の積層体15は、例えば、粘着シート付き光学フィルム又はその製造に使用できる。
図3の方法は、粘着シート1の量産に特に適している。
【0084】
図4を参照して、本発明の粘着シートの製造方法の別の一例を説明する。この例は、第2の積層体17から剥離したはく離ライナー13を巻回体35に巻き取ることなく、粘着シート1の製造に再利用している以外は、
図3の例と同じである。
図4の方法は、粘着シート1の量産に特に適している。
【0085】
[はく離ライナー]
上記とは異なる側面によれば、本発明は、上記本発明の粘着シートの製造方法に用いるはく離ライナーを提供する。当該はく離ライナーの例は、粘着シートの製造方法の説明において上述した例と同じである。
【0086】
[粘着シート付き光学フィルムの製造方法]
図5を参照して、本発明の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の一例を説明する。この例では、基材シート11、粘着シート1及びはく離ライナー13をこの順で含む第2の積層体17からはく離ライナー13を剥離することで形成された粘着シート1の露出面18に光学フィルム2を配置して、粘着シート付き光学フィルム21を形成する。粘着シート付き光学フィルム21は、基材シート11、粘着シート1及び光学フィルム2をこの順で含む。第2の積層体17は、上記工程Aにより形成できる。はく離ライナー13の剥離は、上記工程Bとして実施してもよい。粘着シート付き光学フィルム21は、そのまま又は基材シート11を剥離した後に、例えば、粘着シート1と光学フィルム2とを備える光学積層体として画像表示装置等に使用できる。光学積層体は、粘着シート1を介して対象物(例えば画像形成パネル)に貼り合わせてもよい。ただし、粘着シート付き光学フィルム21の用途は、上記例に限定されない。粘着シート付き光学フィルム21から基材シート11を剥離して形成された露出面18には、光学フィルム等のさらなる部材を配置してもよく、一例として、光学フィルム2A、粘着シート1及び光学フィルム2Bをこの順で含む粘着シート付き光学フィルム22を形成できる(
図6参照)。光学フィルム2A,2Bは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0087】
露出面18への光学フィルム2の配置は、直接的であっても間接的であってもよい。換言すれば、光学フィルム2は、露出面18に接するように配置されても、露出面18との間に他の層を挟んだ状態で配置されてもよい。
【0088】
図7を参照して、本発明の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の別の一例を説明する。この例では、
図3の方法により形成された第3の積層体15における粘着シート1の露出面18に長尺状の光学フィルム2を配置して、長尺状の粘着シート付き光学フィルム21を形成する。光学フィルム2は、巻回体36から繰り出されて露出面18に配置される。
図7に示すように、粘着シート1の形成と粘着シート付き光学フィルム21の形成とを連続的に実施してもよい。
図7の方法は、粘着シート付き光学フィルム21の量産に特に適している。
【0089】
光学フィルム2は、例えば、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むフィルムである。光学フィルム2は、偏光フィルム及び/又は位相差フィルムを含む積層フィルムであってもよい。光学フィルム2は、ガラス製のフィルムを含んでいてもよい。ただし、光学フィルム2は上記例に限定されない。
【0090】
偏光フィルムは、偏光子を含む。偏光フィルムは、典型的には、偏光子及び保護フィルム(透明保護フィルム)を含む。保護フィルムは、例えば、偏光子の主面(最も広い面積を有する表面)に接して配置されている。偏光子は、2つの保護フィルムの間に配置されていてもよい。保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置されていてもよい。
【0091】
偏光子としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの;ポリビニルアルコールの脱水処理物、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。偏光子は、典型的には、ポリビニルアルコール系フィルム(ポリビニルアルコール系フィルムには、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムが含まれる)、及び、ヨウ素等の二色性物質からなる。
【0092】
偏光子の厚さは、特に限定されず、例えば80μm以下であり、50μm以下、30μm以下、25μm以下、さらには20μm以下であってもよい。偏光子の厚さの下限は、特に限定されず、例えば1μm以上であり、5μm以上、10μm以上、さらには15μm以上であってもよい。薄型の偏光子(例えば、厚さ20μm以下)は、寸法変化が抑制されており、光学積層体の耐久性、特に高温下の耐久性、の向上に寄与しうる。
【0093】
保護フィルムの材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、これらの混合物が挙げられる。保護フィルムの材料は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂であってもよい。偏光フィルムが2つの保護フィルムを有する場合、2つの保護フィルムの材料は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、偏光子の一方の主面に対して、接着剤を介して、熱可塑性樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされ、偏光子の他方の主面に対して、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされていてもよい。保護フィルムは、任意の添加剤を1種類以上含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。
【0094】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より10~200μm程度である。
【0095】
偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の接着剤以外の他の接着剤としては、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、各種の保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。接着剤は、金属化合物フィラーを含んでいてもよい。
【0096】
偏光フィルムでは、保護フィルムに代えて、位相差フィルム等を偏光子上に形成することもできる。保護フィルム上には、さらに別の保護フィルムを設けること、位相差フィルム等を設けること等もできる。
【0097】
保護フィルムについて、偏光子と接着している表面と対向する表面には、ハードコート層が設けられていてもよく、反射防止、スティッキング防止、拡散、アンチグレア等を目的とした処理を施すこともできる。
【0098】
偏光フィルムは、円偏光フィルムであってもよい。
【0099】
位相差フィルムとしては、高分子フィルムを延伸させて得られるものや液晶材料を配向、固定化させたものを用いることができる。位相差フィルムは、例えば、面内及び/又は厚さ方向に複屈折を有する。
【0100】
位相差フィルムには、反射防止用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0221〕、〔0222〕、〔0228〕参照)、視野角補償用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0225〕、〔0226〕参照)、視野角補償用の傾斜配向位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0227〕参照)等が含まれる。
【0101】
位相差フィルムの具体的な構成、例えば、位相差値、配置角度、3次元複屈折率、単層か多層か等は特に限定されず、公知の位相差フィルムを使用することができる。
【0102】
位相差フィルムの厚さは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは1~9μmであり、特に好ましくは3~8μmである。
【0103】
位相差フィルムは、例えば、液晶材料が配向、固定化された1/4波長板及び/又は1/2波長板を含んでいてもよい。
【0104】
上記製法により形成した粘着シート付き光学フィルムを用いて、画像表示装置を形成してもよい。画像表示装置は、例えば、粘着シート付き光学フィルム21,22と画像表示パネルとを接合して形成できる。接合は、粘着シート1により行ってもよい。画像表示装置は、有機ELディスプレイであってもよく、液晶ディスプレイであってもよい。ただし、画像表示装置は上記例に限定されない。画像表示装置は、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等であってもよい。画像表示装置は、家電用途、車載用途、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)用途等に用いることができる。
【実施例】
【0105】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0106】
(製造例1:光硬化性組成物の調製)
n-ブチルアクリレート(BA)100重量部、アクリル酸(AA)5重量部、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.1重量部と、光重合開始剤としてOmnirad184及びOmnirad651(いずれもIGM Resins製)を各々0.05重量部とを4つロフラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射することによって、部分的に光重合したモノマーシロップを得た。紫外線の照射は、フラスコ内の溶液の粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで実施した。次に、モノマーシロップ100重量部に対して架橋剤として1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA)0.1重量部を均一に混合し、光硬化性組成物を得た。
【0107】
(製造例2:はく離ライナーAの作製)
付加反応硬化型シリコーン(ヘキセニル基含有ポリオルガノシロキサンを含むLTC761、30重量%トルエン溶液、東レ・ダウコーニング製)100重量部、剥離コントロール剤(未反応性シリコーン樹脂を含むBY24-850、東レ・ダウコーニング製)0.9重量部、及び硬化触媒(白金触媒を含むSRX212、東レ・ダウコーニング製)2重量部、及び希釈溶媒としてトルエン/ヘキサン混合溶媒(体積比1:1)を混合して、シリコーン系離型剤組成物Aを得た。離型剤組成物Aにおけるシリコーン固形分の濃度は、1.0重量%であった。次に、ライナー基材(ポリエステルフィルムであるルミラー38R75、厚さ38μm)の片面に離型剤組成物Aをワイヤーバーにより塗布し、130℃で1分間加熱して、離型層(厚さ60nm)を片面に備えるはく離ライナーAを作製した。
【0108】
(製造例3:はく離ライナーBの作製)
ライナー基材に塗布する離型剤組成物Aの厚さを変更した以外は製造例2と同様にして、離型層(厚さ120nm)を片面に備えるはく離ライナーBを作製した。
【0109】
(製造例4:はく離ライナーCの作製)
付加反応硬化型シリコーン(ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを含むKS-847T、30重量%トルエン溶液、信越化学製)33.3重量部、及び硬化触媒(白金触媒を含むCAT-PL-50T、信越化学製)1重量部、及び希釈溶媒としてトルエン/ヘキサン混合溶媒(体積比1:1)を混合して、シリコーン系離型剤組成物Cを得た。離型剤組成物Cにおけるシリコーン固形分の濃度は、1.0重量%であった。次に、ライナー基材(ポリエステルフィルムであるルミラー38R75、厚さ38μm)の片面に離型剤組成物Cをワイヤーバーにより塗布し、130℃で1分間加熱して、離型層(厚さ100nm)を片面に備えるはく離ライナーCを作製した。
【0110】
(製造例5:はく離ライナーDの作製)
付加反応硬化型シリコーン(ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを含むKS-847H、30重量%トルエン溶液、信越化学製)66.6重量部、及び硬化触媒(白金触媒を含むCAT-PL-50T、信越化学製)0.2重量部、及び希釈溶媒としてトルエン/ヘキサン混合溶媒(体積比1:1)を混合して、シリコーン系離型剤組成物Dを得た。離型剤組成物Dにおけるシリコーン固形分の濃度は、1.0重量%であった。次に、ライナー基材(ポリエステルフィルムであるルミラー38R75、厚さ38μm)の片面に離型剤組成物Dをワイヤーバーにより塗布し、130℃で1分間加熱して、離型層(厚さ100nm)を片面に備えるはく離ライナーDを作製した。
【0111】
[剥離力PS0の評価]
基材シート(離型層を有さないポリエステルフィルムであるルミラー38R75、厚さ38μm)の片面に製造例1の光硬化性組成物をアプリケーターにより塗布し、塗布層を形成した。次に、形成した塗布層の上に製造例2~5の各はく離ライナーを配置して第1の積層体を得た。はく離ライナーは、離型層が塗布層に接するように配置した。次に、第1の積層体におけるはく離ライナーの側から、照度2.4mW/cm2及び積算光量2880mJ/cm2の条件で紫外線(ブラックライト光源)を照射し、塗布層を光硬化させて、基材シート、粘着シート(厚さ20μm)及びはく離ライナーにより構成される第2の積層体aを形成した。
【0112】
形成した第2の積層体aから長さ220mm及び幅50mmの試験片(長さの方向は光硬化性組成物の塗布方向)を切り出した。基材シートの側の面の全体を固定板であるSUS板に固定した試験片に対して、引張試験機を用いてはく離ライナーのみを長さ方向に引きはがす180°引きはがし試験を実施して、剥離力PS0を評価した。引きはがし試験の条件は上述のとおりとした。
【0113】
[剥離力PS1、PS2、PS3の評価]
試験片の採取箇所が含まれないように第2の積層体aの長さ方向の一部を切断により取り除いた後、再利用のためにはく離ライナーを剥離した。剥離したはく離ライナーを用いた以外は第2の積層体aの形成と同様にして、第2の積層体bを形成した。第2の積層体bから切り出した試験片を評価対象とした以外は剥離力PS0の評価と同様にして、剥離力PS1を評価した。次に、第2の積層体aからはく離ライナーを剥離し、剥離したはく離ライナーを再利用して第2の積層体bを形成する上記手法と同様にして、第2の積層体bから第2の積層体c(再利用2回目)を形成し、第2の積層体cから第2の積層体d(再利用3回目)を形成した。第2の積層体c及び第2の積層体dから切り出した試験片を評価対象とした以外は剥離力PS0の評価と同様にして、それぞれ、剥離力PS2及びPS3を評価した。
【0114】
[端部のみ固定した状態でのはく離ライナーの剥離の容易性(剥離容易性)の評価]
第2の積層体dについて、長さ方向の双方の端部の各々のみを基材シートの側において両面粘着テープにより固定面に固定した状態で、一方の上記端部からはく離ライナーを剥離した。当該剥離の状態に応じて、以下のように剥離容易性を判定した。
A:第2の積層体における上記固定がなされていない部分が固定面から浮き上がることなく、はく離ライナーを容易に剥離できた。
B:第2の積層体における上記固定がなされていない部分の固定面からの浮きがわずかに見られたが、はく離ライナーの剥離は可能であった。
C:第2の積層体における上記固定がなされていない部分が固定面から浮き上がることで、はく離ライナーの剥離が困難であった。
【0115】
各はく離ライナーについて、剥離力及び剥離容易性の評価結果を以下の表1に示す。
【0116】
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の製造方法により得た粘着シートは、例えば、光学積層体や画像表示装置に使用できる。
【符号の説明】
【0118】
1 粘着シート
2,2A,2B 光学フィルム
10 (第1の)積層体
11 基材シート
12 塗布層
13 はく離ライナー
131 ライナー基材
132 離型層
14 光
18 露出面
21,22 粘着シート付き光学フィルム