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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】物品の包装方法および包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/48 20060101AFI20250207BHJP
   B65B 57/02 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
B65B11/48
B65B57/02 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022204784
(22)【出願日】2022-12-21
(65)【公開番号】P2024089430
(43)【公開日】2024-07-03
【審査請求日】2024-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】中地 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】更谷 一成
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-018857(JP,A)
【文献】特開昭51-081376(JP,A)
【文献】特開昭53-009690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/48
B65B 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部にフィルム余剰部を有するようにフィルムで胴巻きされた物品を包装する物品の包装方法において、
前記フィルム余剰部の4面のうちの1つの面である第1面を除く複数の面を、折込み機構を用いて折込む第1ステップと、
前記フィルム余剰部の前記第1面を、箱体に収納する際の前記箱体の開口部の縁部との接触を利用して折込む第2ステップと、
を備えることを特徴とする物品の包装方法。
【請求項2】
前記第1ステップでは、
前記フィルム余剰部を挟むように対向配置された圧縮空気吐出部からの圧縮空気によって前記第1面に隣接する前記フィルム余剰部の第2面および第3面を内側に折込む第1折込みステップと、
移動可能な把持ハンドによって前記第1面に対向する前記フィルム余剰部の第4面を内側に折込む第2折込みステップと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品の包装方法。
【請求項3】
前記第2折込みステップでは、
前記把持ハンドを前記物品の側面に接近させた第1位置から、前記第4面から前記第1面に向かう方向に移動させて前記フィルム余剰部の前記第4面を内側に折り込みながら前記把持ハンドと前記フィルム余剰部との接触により前記フィルム余剰部の前記第4面と同じ面を構成する前記物品の面を覆う前記フィルムのしわを除去する
ことを特徴とする請求項2に記載の物品の包装方法。
【請求項4】
前記圧縮空気吐出部は複数組設けられ、前記圧縮空気吐出部の各々は、前記圧縮空気を吐出するエアーノズルおよび前記圧縮空気の流量および流速を制御する流量制御弁を有し、
前記第1折込みステップでは、複数の前記流量制御弁を個別に制御して、前記フィルム余剰部の前記第2面および前記第3面を内側に折込む
ことを特徴とする請求項2に記載の物品の包装方法。
【請求項5】
前記第1折込みステップでは、
異なる位置に配置された複数組の圧縮空気吐出部のうちの一部を複数種類の前記物品の寸法に応じて選択して使用する
ことを特徴とする請求項2に記載の物品の包装方法。
【請求項6】
前記第2ステップでは、
前記把持ハンドに設けられたセンサによって、前記箱体の破損を検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の物品の包装方法。
【請求項7】
両端部にフィルム余剰部を有するようにフィルムで胴巻きされた物品を包装する包装機において、
前記フィルム余剰部の4面のうちの1つの面である第1面を除く複数の面を折込む折込み機構と、
把持ハンドによって把持した前記物品を搬送して箱体に収納する把持搬送機構と、を備え、
前記フィルム余剰部の前記第1面を、前記把持搬送機構によって前記箱体に収納する際の前記箱体の開口部の縁部との接触を利用して折込む
ことを特徴とする包装機。
【請求項8】
前記折込み機構は、
前記フィルム余剰部を挟むように対向配置され、圧縮空気によって前記フィルム余剰部のうち前記第1面に隣接する第2面および第3面を内側に折込む圧縮空気吐出部と、
前記把持ハンドによって前記フィルム余剰部の前記第1面に対向する第4面を内側に折込む前記把持搬送機構と、を備える
ことを特徴とする請求項7に記載の包装機。
【請求項9】
前記把持搬送機構は、
前記把持ハンドを前記物品の側面に接近させた第1位置から、前記第4面から前記第1面に向かう方向に移動させて前記フィルム余剰部の前記第4面を内側に折り込みながら前記把持ハンドと前記フィルム余剰部との接触により前記フィルム余剰部の前記第4面と同じ面を構成する前記物品の面を覆う前記フィルムのしわを除去する
ことを特徴とする請求項8に記載の包装機。
【請求項10】
前記圧縮空気吐出部は複数組設けられ、前記圧縮空気吐出部の各々は、前記圧縮空気を吐出するエアーノズルおよび前記圧縮空気の流量および流速を制御する流量制御弁を有し、
複数の前記流量制御弁を個別に制御して、前記フィルム余剰部の前記第2面および前記第3面を内側に折込む
ことを特徴とする請求項8に記載の包装機。
【請求項11】
異なる位置に配置された複数組の前記圧縮空気吐出部を備え、
複数組の前記圧縮空気吐出部のうちの一部を複数種類の前記物品の寸法に応じて選択して使用する
ことを特徴とする請求項8に記載の包装機。
【請求項12】
前記把持搬送機構は、
前記把持ハンドに設けられたセンサによって、前記箱体の破損を検出する
ことを特徴とする請求項7に記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、両端部にフィルム余剰部を有するようにフィルムで胴巻きされた物品を包装する物品の包装方法および包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の包装機では、自己粘着性および熱収縮性を有するフィルムで胴巻きされた物品に対し、物品の両側から突出するフィルム耳部に向けてエアーを吹付ける第一耳折り動作を行い、折込み板を用いてフィルム耳部を折り曲げる第二耳折り動作を行って、フィルム耳部を物品の底面に沿うようにL字に折り畳んでいる。特許文献1では、この後、ヒータにより熱シールし、フィルムを熱収縮させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-171121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、フィルム耳部の全ての面を、エアー吹出構造および折込み板を用いて折込んでいるので、折込みのための機構が複雑になり、これにより製造コスト、保守コストが上昇し、物品の包装コストが高くなる。また、フィルムを熱収縮で封止しているので、熱処理機構が必要となって構成が複雑となり、開封の妨げとなる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、フィルム折込みのための構成が簡単化され、物品の包装コストが削減され、開封性が向上する物品の包装方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の物品の包装方法は、両端部にフィルム余剰部を有するようにフィルムで胴巻きされた物品を包装する。本開示の物品の包装方法は、フィルム余剰部の4面のうちの1つの面である第1面を除く複数の面を、折込み機構を用いて折込む第1ステップと、フィルム余剰部の第1面を、箱体に収納する際の箱体の開口部の縁部との接触を利用して折込む第2ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の物品の包装方法によれば、フィルム折込みのための構成が簡単化され、物品の包装コストが削減され、開封性が向上する、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる包装機の概念的構成を示す斜視図
図2】実施の形態1にかかる包装機による物品の包装手順を示すフローチャート
図3】実施の形態1にかかる包装機の折込部による折込み動作を示す斜視図
図4】実施の形態1にかかる包装機の箱詰部による折込み動作を示す正面図
図5】実施の形態1にかかる包装機の箱詰部による把持動作を示す斜視図
図6】実施の形態1にかかる包装機の箱詰部による箱詰動作を示す斜視図
図7】実施の形態1にかかる包装機による箱詰動作後の外装箱の上部閉塞動作を説明する説明図
図8】実施の形態2にかかる包装機の折込部の構成を示す斜視図
図9】実施の形態3にかかる包装機の箱詰部の構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる物品の包装方法および包装機を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる包装機の概念的構成を示す斜視図である。図2は、実施の形態1にかかる包装機による物品の包装手順を示すフローチャートである。図3は、実施の形態1にかかる包装機の折込部による折込み動作を示す斜視図である。図4は、実施の形態1にかかる包装機の箱詰部による折込み動作を示す正面図である。図5は、実施の形態1にかかる包装機の箱詰部による把持動作を示す斜視図である。図6は、実施の形態1にかかる包装機の箱詰部による箱詰動作を示す斜視図である。
【0011】
図1図3図6において、XYZ座標系を定義する。Z軸方向は上下方向に対応し、-Z軸方向は外装箱20の開口面から物品100を収納する方向に対応する。Y軸方向は、左右方向に対応し、±Y軸方向は物品100を胴巻きしたフィルム10のフィルム余剰部11が張り出す方向に対応する。X軸方向は、前後方向に対応し、Z軸方向およびY軸方向と直交する方向である。
【0012】
図1に示すように、包装機200は、折込部40と、箱詰部50と、制御部60と、を備える。折込部40および箱詰部50が折込み機構に対応する。折込部40が圧縮空気吐出部に対応する。箱詰部50が把持搬送機構に対応する。折込部40は、複数のエアブローノズル4と、複数の流量調整弁5と、を備える。箱詰部50は、ロボット1と、把持ハンド2と、を備える。制御部60は、折込部40および箱詰部50を制御する。
【0013】
物品100はフィルム10によって緩く胴巻きされている。物品100は、方形状を呈している。物品100としては、方形状に限らず、任意の形状を呈していてもよい。物品100とフィルム10との間には、フィルム10を伸長させたり切ったりしなくても物品100が取り出せる程度に隙間を有する。物品100の両側(+Y側と-Y側)には、物品100の+Y側の側面と-Y側の側面に沿って折り込めば、物品100の側面を覆い隠せる程度の長さを持つフィルム余剰部11が形成されている。フィルム10が胴巻きされた物品100は、外装箱20に収納される。
【0014】
外装箱20には、緩衝材30が収納されている。箱体は、外装箱20のみの状態、緩衝材30のみの状態、または緩衝材30が収納されている外装箱20に対応する。外装箱20および緩衝材30は、方形状を呈している。外装箱20は例えば、段ボールである。4つの天面フラップ20aが開口した状態で外装箱20が設置されている。緩衝材30は、外装箱20の天面フラップ20aと同じ側の面に開口部30aを有する。緩衝材30には、物品100よりわずかに大きい寸法の空間30bが設けられている。
【0015】
折込部40を構成する複数組のエアブローノズル4は、フィルム10が胴巻きされた物品100を挟んで対向するよう配置されている。複数の流量調整弁5は、複数のエアブローノズル4の供給口に接続されている。各エアブローノズル4は、長穴または複数の丸穴を有する吐出口4aを備える。フィルム余剰部11を前後方向で挟むように各組のエアブローノズル4が対向配置されている。エアブローノズル4は、フィルム余剰部11からX軸方向に適宜離れた位置に配置されている。吐出口4aがX軸方向に平行になってフィルム余剰部11を向くようにエアブローノズル4が配置される。複数組のエアブローノズル4から噴き出される圧縮空気によって、物品100の両側のフィルム余剰部11における前面および後面の2面が折り込まれる。各流量制御弁5は、各エアブローノズル4から吐出される圧縮空気の流量および流速を調整する。流量制御弁5は、例えば、ニードル弁のような手動の調整弁と、流路の開閉のみを行なう電磁弁との組み合わせで構成される。あるいは、制御部60によって各流量調整弁5の流量を個別に制御するようにしてもよい。各エアブローノズル4から吐出される圧縮空気の流量および流速を各流量制御弁5によって個別に調整して、対向する2つのエアブローノズル4からの吐出空気を打ち消し合い、乱流の発生を最低限とすることでフィルム余剰部11の折り込みの正確性を高める。
【0016】
箱詰部50は、ロボット1と、ロボット1のアーム1aの先端に取り付けられた把持ハンド2と、を有する。ロボット1は、複数のアーム1aを有し、把持ハンド2を任意の位置に移動する。
【0017】
把持ハンド2は、一対の把持フィンガーとしてのL字状の把持部2aと、各把持部2aの爪に相当する部分に取り付けられた、一対の折込板2bと、を有する。把持部2aは、フィルム余剰部11を左右方向に(±Y軸方向に)押圧するための把持押圧部2a2を有する。一対の折込板2bは、把持部2aの把持押圧部2a2を延長するように把持部2aに設けられ、把持押圧部2a2より厚みが薄い。折込板2bの先端部2b1によってフィルム余剰部11の上面(Z軸に垂直な上側の面)を下方に押圧する。一対の把持部2aは、開閉動作が可能である。箱詰部50は、フィルム余剰部11の上面を下方へ折り込み、フィルム10で包まれた物品100を把持搬送し、外装箱20内の緩衝材30へ収納するよう機能する。折込部40によってフィルム余剰部11の前面および後面がほぼ同時に折り込まれた後、エアブローノズル4からの圧縮空気の吐出を維持した状態で、ロボット1および把持ハンド2を動作させ、把持ハンド2の折込板2bの先端部2b1によってフィルム余剰部11の上面を下方へ折り込む。
【0018】
制御部60は、折込部40の流量調整弁5を制御する。制御部60は、箱詰部50のロボット1のアーム1aを駆動制御して、把持ハンド2を移動制御する。制御部60は、把持ハンド2の一対の把持部2aを開閉制御する。
【0019】
次に、図2図6を参照して、包装機200による物品100の包装手順を説明する。以下に説明する制御は、制御部60によって実行される。まず、図3に示すように、各流量調整弁5の供給口5aから圧縮空気が各エアブローノズル4に送り込まれ、各エアブローノズル4の吐出口4aから圧縮空気が噴出される。これにより、フィルム余剰部11のうちX軸に垂直な2面が、矢印K1で示すように、ほぼ同時に内側に折込まれる(ステップS10)。別言すれば、フィルム余剰部11の4面を構成する前面、後面、上面、下面のうちの前面が後方に折込まれ、後面が前方に折込まれる。
【0020】
つぎに、各エアブローノズル4からの圧縮空気の吐出が維持された状態で、図4に示すように、ロボット1および把持ハンド2が動作され、把持ハンド2を、物品100の幅より若干広い幅に拡げた状態で、矢印K2で示すように、上方から下方に(-Z軸方向に)移動させることで、把持ハンド2の折込板2bの先端部2b1によってフィルム余剰部11の+Z側の1面が内側に折込まれる(ステップS20)。別言すれば、フィルム余剰部11の4面のうちの上面が下方に折込まれる。
【0021】
このとき、折込み開始前の折込板2bの位置である第1位置は、把持ハンド2の動作により物品100の側面に適宜接近させた位置を起点とし、図4に示すように、-Z軸方向に折込動作を行なうことで、折込板2bとフィルム余剰部11とが接触して摩擦が発生し、フィルム10の表面のしわを除去する。
【0022】
把持ハンド2および折込板2bによる折込みが終了した後、図5に示すように、把持ハンド2の把持部2aを矢印K3方向に移動させて閉動作させることで、把持ハンド2によりフィルム余剰部11のうち+X側、-X側、+Z側の計3面が折り込まれた状態を維持したまま、フィルム10が胴巻きされた物品100が把持される(ステップS30)。把持ハンド2が把持および搬送の機構を兼ねることにより、包装機200の機構を簡易なものとすることができる。この後、エアブローノズル4からの圧縮空気の吐出が停止される(ステップS40)。なお、ステップS30の把持ハンド2を閉にする処理と、ステップS40の圧縮空気を停止する処理とは、同時並行に行ってもよいし、折込みに支障がなければ逆の順序でもよい。
【0023】
つぎに、ロボット1を動作させ、フィルム10に包まれた物品100を、外装箱20に収納された緩衝材30へ収納する。この収納の際、フィルム余剰部11の4面のうち下面(-Z側の面)は緩衝材30の開口部30aの縁に当たって上方に折り込まれる(ステップS50)。
【0024】
フィルム10に包まれた物品100の収納が終了したら、把持ハンド2をわずかに開動作させた後、ロボット1を動作させ、緩衝材30から把持ハンド2を引き抜き、外装箱20の外へ退避させる(ステップS60)。
【0025】
フィルム余剰部11は折込まれた状態で緩衝材30に収納されており、物品100と緩衝材30との間には僅かな隙間しか無く、折込まれたフィルム余剰部11が自然に開いてくることは無い。
【0026】
図7は、実施の形態1にかかる包装機200による箱詰動作後の外装箱20の上部閉塞動作を説明する説明図である。フィルム10に包まれた物品100は、外装箱20に収納された緩衝材30の内部に収納された後、緩衝材30の上面が蓋31によって閉塞され、外装箱20の天面フラップ20aがテープ、接着剤、金具等により封止される。
【0027】
このように、実施の形態1によれば、フィルム余剰部11の下面を、緩衝材30の開口部30aに収納する際の開口部30aの縁部との接触を利用して折込むようにしているので、フィルム余剰部11の全面を折込み機構によって折込む場合と比較して、フィルム折込みのための構成が簡単化され、物品の包装コストが削減される。また、実施の形態1によれば、包装の際に、熱収縮、溶着または接着などによる封止を必要としないため、熱収縮、溶着、接着などに必要な機構のための製造コスト、ランニングコストを削減できる。また、包装物が封止されていないため、開封が容易となり、再梱包が必要になった場合でもフィルムを再利用できる。
【0028】
また、実施の形態1によれば、フィルム10は物品100に対し緩く胴巻きされており、包装過程においてタイトなスリーブパック、シュリンク包装などによる張力付加が無いため、それらに必要な機構の製造コスト、ランニングコストを削減できる。また、角部を有するような物品に適用してもフィルム10の破れを軽減できる。また、表面に操作ボタンを有するような物品に適用しても、フィルムの張力により操作ボタンが押された状態を維持されることがなく、操作ボタンに内蔵されているバネの劣化を抑制できる。
【0029】
さらに、実施の形態1によれば、厚さの薄い折込板2bおよび把持部2aを有する把持ハンド2を用いて、折込板2bを物品100の側面に接近させた位置を起点とし、-Z軸方向に折込動作を行なうようにしているので、フィルム10の表面のしわが除去され、美観を損ねない。また、しわが除去されるので、カメラまたはコードリーダを用いて物品表面に記載されている品種、製品番号などを識別する際の妨げとなることはない。
【0030】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2にかかる包装機200の折込部40の構成を示す斜視図である。実施の形態2においては、Y方向の異なる位置に配置されるエアブローノズル4および流量制御弁5を複数組配置して、複数組のエアブローノズル4および流量制御弁5のうちの一部を選択使用することで、複数種類の物品の寸法に対応できるようにしている。
【0031】
実施の形態3.
図9は、実施の形態3にかかる包装機200の箱詰部50の構成を示す斜視図である。実施の形態3においては、把持ハンド2の一対の把持部2aに、センサ6を夫々設けている。センサ6は、箱体である緩衝材30が破損したことを検出する。センサ6は、光電センサ、レーザセンサ、接触式センサ、真空圧センサ、近接センサを用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。実施の形態3によれば、センサ6によって、物品100を緩衝材30に収納することに失敗したことを検出することができる。
【0032】
実施の形態1~3では、フィルム余剰部11の折込み機構として折込部40と、箱詰部50とを用いたが、下面を除く3面の折込みを、折込部40のみで行ってもよいし、箱詰部50のみで行ってもよい。
【0033】
また、実施の形態1~3では、外装箱20の上面が開放され、物品100を上から下に収納する場合について説明したが、外装箱20が横に寝かされて外装箱20の一つの面が水平方向に開放されて、物品100を水平方向に収納する場合に、実施の形態1~3の手法を適用してもよい。このように、本開示においては、フィルム余剰部11の4面のうちの1つの面である第1面を除く複数の面を、折込部40および箱詰部50によって構成される折込み機構を用いて折込み、フィルム余剰部11の第1面を、物品100を箱体に収納する際の箱体の開口部の縁部との接触を利用して折込む。フィルム余剰部11の第1面は、物品100を箱体に収納する際の収納方向に対向する面であって、物品100を収納するための開口部が形成されていない側の面である。フィルム余剰部11の第1面に隣接する第2面および第3面は、折込部40によって内側に折込まれ、フィルム余剰部11の第1面に対向する第4面は、箱詰部50によって内側に折込まれる。箱詰部50は、把持ハンド2を物品100の側面に接近させた第1位置から、第4面から第1面に向かう方向に移動させてフィルム余剰部11の第4面を内側に折り込みながら把持ハンド2とフィルム余剰部11との接触によりフィルム余剰部11の第4面と同じ面を構成する物品100の面を覆うフィルムのしわを除去する。
【0034】
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 ロボット、1a アーム、2 把持ハンド、2a 把持部、2a2 把持押圧部、2b 折込板、2b1 先端部、4 エアブローノズル、4a 吐出口、5 流量調整弁、5a 供給口、6 センサ、10 フィルム、11 フィルム余剰部、20 外装箱、20a 天面フラップ、30 緩衝材、30a 開口部、30b 空間、31 蓋、40 折込部、50 箱詰部、60 制御部、100 物品、200 包装機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9