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特許7630492緑色光を発する有機エレクトロルミネッセンス素子及び緑色光を生成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】緑色光を発する有機エレクトロルミネッセンス素子及び緑色光を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/12 20230101AFI20250207BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20250207BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20250207BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20250207BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20250207BHJP
   H10K 101/20 20230101ALN20250207BHJP
   H10K 101/25 20230101ALN20250207BHJP
   H10K 101/30 20230101ALN20250207BHJP
   H10K 101/40 20230101ALN20250207BHJP
【FI】
H10K50/12
C09K11/06 660
C09K11/06 690
H10K59/10
H10K85/30
H10K85/60
H10K101:20
H10K101:25
H10K101:30
H10K101:40
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022504570
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2020071054
(87)【国際公開番号】W WO2021014023
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】19188361.0
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19202645.8
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19218997.5
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19219378.7
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20162459.0
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20163321.1
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハメッド・シャリフィデーサリ
(72)【発明者】
【氏名】ハイメ・レガネス・カルバリョ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギオス・リアプトシス
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト・フリュッゲ
(72)【発明者】
【氏名】ザンドラ・ボーヌス
(72)【発明者】
【氏名】ダミエン・ティリオン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ジョリー
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-179809(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047639(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/102118(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/126443(WO,A1)
【文献】特開2020-167390(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181188(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0185616(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110911576(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/12
C09K 11/06
H10K 59/10
H10K 85/30
H10K 85/60
H10K 101/20
H10K 101/25
H10K 101/30
H10K 101/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、互いに独立に、
(i)少なくとも1種のp-ホスト材料H 、前記p-ホスト材料H は最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1)および最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1)を有し、式H -VIIIによる構造からなる1つの第1の化学部分ならびに式H -XI、H -XII、H -XIII、H -XIV、H -XV、H -XVII、H -XVIIIおよびH -XIXのうちずれかによる構造からなる少なくとも1つの第2化学部分を含むまたはそれからなり、
【化1】

【化2】
式中、
は、直接結合であり、
は、出現するごとに、互いに独立に、第1の化学部分を第2の化学部分に連結させる単結合の結合部位であり、または水素、重水素、Me、 Pr、 Buからなる群から選択され、
式中、少なくとも1種のR は、第1の化学部分を第2の化学部分に連結させる単結合の結合部位であり、
ならびに
Ph、前記Phは、Me、 Pr、 BuおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたは1つ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
II は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、 Pr、 BuおよびPh、前記Phは、Me、 Pr、 BuおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたは1つ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、2つまたは2つ以上の隣接する置換基R II は、3~18個の炭素原子を有する芳香族または芳香族複素環系を場合により形成し
(ii)少なくとも1種の熱活性化遅延蛍光(TADF)材料E、前記熱活性化遅延蛍光(TADF)材料Eは最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1)および最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1)を有し、E -I-3aまたはE -I-4aによって表される構造を有し、
【化3】

式中、
は、窒素(N)であり、
mは、1または2であり、
nは、1または2であり、
は、CNであり、
は、直接結合であり、
、R 、およびR は、出現するごとに、互いに独立に、水素、または重水素であり、
式中、任意の隣接する置換基R 、R 、およびR は、互いに独立に、単環式もしくは多環式、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成し;式中、場合によりそのように形成された環系の1個または1個以上の水素原子は、R 12 によって置換され、
13 は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CNであり、
式中、1個または1個以上の水素原子は、C ~C 18 -アリールによって場合により置換され
ならびに
(iii)少なくとも1種の発光体S、前記発光体Sは最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1)および最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1)を有し、式S -III-3aによって表される構造を含みまたは構造からなる
【化4】

式中、R VI 、R VII 、R VIII 、R IX 、R 、R XI 、R XII 、R XIII 、R XIV 、R XV 、R XVI 、R XVII 、R XVIII 、R XIX 、R XX 、R XXI 、R XXII およびR XXIII は、互いに独立に、水素、重水素、C -アリール、
からなる群から選択され、
前記C -アリールは、1つまたは1つ以上の置換基R 21 で場合により置換され、
21 は、出現するごとに、別のものとは独立に、水素、重水素、C ~C -アルキル、
式中、場合により、1個または1個以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CF またはFによって置換され;
からなる群から選択され、
は、水素、C ~C -ヘテロアリール、式中、場合により、1個または1個以上の水素原子は、互いに独立に、C ~C 18 -アリールによって置換される、およびC ~C 18 -アリール、式中、場合により1個または1個以上の水素原子は、互いに独立に、C ~C -アルキルによって置換される、
を含む、
1つまたは1つ以上の発光層Bを含む、有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
ここで、各Eは、エネルギーを少なくとも1種のSへ移動させ、各Sが、500nmから560nmの間の最大発光を有する光を発し、ここで、以下の式(1)~(5):
E(S1)>E(S1) (1)
E(S1)>E(S1) (2)
E(S1)>E(S1) (3)
E(T1)>E(T1) (4)
E(T1)>E(T1) (5)
によって表される関係が該当する
前記有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
TADF材料Eが、0.4eV未満の、最も低い一重項励起状態S1と最も低い三重項励起状態T1とのエネルギー差に相当するΔEST値を示すことを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
少なくとも1種の発光体Sが、0.25eV以下の半値全幅(FWHM)を示す発光スペクトルを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
少なくとも1種の熱活性化遅延蛍光(TADF)材料Eが、500nm~560nmの波長範囲内にある最大発光λmax(D)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
少なくとも1種の熱活性化遅延蛍光(TADF)材料Eが、-6.0eV≦EHOMO(E)≦-5.8eVによるエネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記式S-III-3によるRの結合部位は、C~C15-ヘテロアリールのC~C15-炭素原子のうちの1つである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
-2.6eV≦ELUMO(H)によるエネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有する、1種または1種以上のp-ホスト材料Hを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
有機発光ダイオード、発光電気化学電池および発光トランジスタからなる群から選択される素子である、請求項1~のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
少なくとも1つの発光層Bが、
(i)10~89.9重量%の1種または1種以上のp-ホスト化合物H
(ii)0~79.9重量%の1種または1種以上のn-ホスト化合物H
(iii)10~50重量%の1種または1種以上のTADF材料E;および
(iv)0.1~10重量%の1種または1種以上の発光体S;および
(v)0~72重量%の1種または1種以上の溶媒
を含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
少なくとも1つの発光層Bが、
(i)22~87.5重量%の1種または1種以上のp-ホスト化合物H
(ii)場合により、0~65.5重量%の1種または1種以上のn-ホスト化合物H
(iii)12~40重量%の1種または1種以上のTADF材料E;および
(iv)0.5~5重量%の1種または1種以上の発光体S;および
(v)0~65.5重量%の1種または1種以上の溶媒
を含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
500nm~560nmの波長における緑色光を生成する方法であって、
(i)請求項1~10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する工程と;
(ii)前記有機エレクトロルミネッセンス素子に電流を印加する工程とを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のホスト材料Hを含む少なくとも1つの発光層B、少なくとも1種の熱活性化遅延蛍光(TADF)材料Eおよび少なくとも1種の小さい半値全幅(FWHM)の発光体Sを含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、ここで、EがエネルギーをSに移動し、Sが光を発する。Sは、500nm~560nmの最大発光を有する狭い(小さい半値全幅(FWHM)と表される)緑色の発光を示す。さらに、本発明は、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の手段によって緑色光を発生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池(LEC)および発光トランジスタのような有機物に基づく1つまたはそれ以上の発光層を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子が、一層の重要性を得ている。特に、スクリーン、ディスプレイおよびイルミネーション装置のような電子製品のために、OLEDは有望な素子である。無機物に本質的に基づくほとんどのエレクトロルミネッセンス素子とは対照的に、有機物に基づくエレクトロルミネッセンス素子は、かなり可撓性であり、特に薄い層を生産可能であることが多い。今日、既に入手可能なOLEDベースのスクリーンおよびディスプレイは、良好な効率と長い寿命か、または良好な色純度と長い寿命か、のいずれかを有するが、すべての3つの性質、すなわち良好な効率、長い寿命および良好な色純度を組み合わせてはいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、高い量子収率、長い寿命および良好な色純度を有する有機エレクトロルミネッセンス素子への遭遇されていない技術的必要性が、依然として存在する。
【0004】
OLEDの色純度または色点は、典型的には、CIExとCIEyとの座標によって提供されるが、一方で次のディスプレイ世代のための色域は、いわゆるBT-2020値およびDCPI3値によって付与される。一般に、これらの色座標を達成するために、頂部発光素子は、空洞を変更することによって色座標を調整させる必要がある。これらの色域を標的としながら頂部発光素子における高い効率を達成するためには、底部発光素子における狭い発光スペクトルが典型的に望まれる。
【0005】
最近、いくつかの蛍光の近距離電荷移動(NRCT)発光体が開発されてきており、これらは、0.25eV以下であるFWHMを有するかなり狭い発光スペクトルを提示し、したがって、BT-2020およびDCPI3色域を達成するのにより好適である。
【0006】
光を発生するための有機エレクトロルミネッセンス素子の中心的な要素は、典型的には、アノードとカソードとの間に置かれた少なくとも1つの発光層である。電圧(および電流)が有機エレクトロルミネッセンス素子に印加されるとき、正孔および電子は、それぞれアノードおよびカソードから注入される。典型的には、正孔輸送層は、発光層とアノードとの間に典型的に位置し、電子輸送層は、発光層とカソードとの間に典型的に位置する。異なる層が、続けて堆積される。次いで、高エネルギーの励起子が、発光層中の正孔と電子との再結合によって発生する。このような励起状態(例えばS1のような一重項状態および/またはT1のような三重項状態)の、基底状態(S0)への減衰が、望ましくは光の発光をもたらす。
【0007】
驚くべきことに、少なくとも1種のTADF材料、少なくとも1種の小さい半値全幅(FWHM)の発光体および少なくとも1種のホスト材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層が、長い寿命、高い量子収率を有して、BT-2020およびDCPI3色域を達成するのに理想的に好適な狭い発光を示す、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することが見出された。
【0008】
ここで、少なくとも1種のTADF材料は、エネルギーを、500nm~560nmの最大発光を有する緑色発光を提示する少なくとも1種の小さい半値全幅(FWHM)の発光体へ移動する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の一態様は、互いに独立に、
(i)少なくとも1種のホスト材料H、これは最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1)および最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1)を有し;
(ii)少なくとも1種のTADF材料E、これは最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1)および最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1)を有し;ならびに
(iii)少なくとも1種の小さいFWHMの発光体S、これは最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1)および最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1)を有する
を含む、1つまたはそれ以上の発光層Bを含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
ここで、(各)Eは、エネルギーを(少なくとも1種の)Sへ移動させ、(各)Sは、(波長範囲内の)500nmから560nmの間の最大発光を有する緑色光を発し;ここで、以下の式(1)~(5):
E(S1)>E(S1) (1)
E(S1)>E(S1) (2)
E(S1)>E(S1) (3)
E(T1)>E(T1) (4)
E(T1)>E(T1) (5)
により表される関係が該当する、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0010】
好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さい半値全幅(FWHM)の発光体Sは、ホウ素含有発光体である。好ましい実施形態では、それぞれの小さい半値全幅(FWHM)の発光体Sは、ホウ素含有発光体である。
【0011】
したがって、ホスト材料Hの最も低い一重項励起状態S1は、TADF材料Eの最も低い一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。ホスト材料Hの最も低い一重項励起状態S1は、任意の小さいFWHMの発光体Sの最も低い一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。TADF材料Eの最も低い一重項励起状態S1は、任意の小さいFWHM発光体Sの最も低い一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。ホスト材料Hの最も低い三重項励起状態T1は、任意の小さいFWHMの発光体Sの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い。ホスト材料Hの最も低い三重項励起状態T1は、TADF材料Eの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、TADF材料Eの最も低い三重項励起状態T1は、任意の小さいFWHMの発光体Sの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い:E(T1)>E(T1)。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、本発明によるエレクトロルミネッセンス素子は、厳密に1つの発光層Bを含む。
【0014】
本発明の別の実施形態では、本発明によるエレクトロルミネッセンス素子は、厳密に2つの発光層Bを含む。
【0015】
本発明の別の実施形態では、本発明によるエレクトロルミネッセンス素子は、2つ超の発光層Bを含む。
【0016】
本発明による同じ有機エレクトロルミネッセンス素子中に場合により含まれる異なる発光層Bが、必ずしもすべて同じ材料を含んでいるわけではなく、またはさらには同じ材料を同じ比で含んでいるわけではないことが理解される。
【0017】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの発光層Bは、少なくとも1種のホスト材料H、厳密に1種のTADF材料Eおよび厳密に1種の小さいFWHMの発光体Sを含む。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bは、厳密に1種のホスト材料Hを含む。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bは、厳密に1種のTADF材料Eを含む。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bは、厳密に1種の小さいFWHMの発光体Sを含む。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bは、厳密に1種のホスト材料Hおよび厳密に1種のTADF材料Eを含む。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bは、厳密に1種のホスト材料Hおよび厳密に1種の小さいFWHMの発光体Sを含む。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bは、厳密に1種のTADF材料Eおよび厳密に1種の小さいFWHMの発光体Sを含む。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bは、厳密に1種のホスト材料H、厳密に1種のTADF材料Eおよび厳密に1種の小さいFWHMの発光体Sを含む。
【0019】
一実施形態では、小さいFWHMの発光体Sは、熱活性化遅延蛍光(TADF)を提示する。一実施形態では、TADF材料Eは、小さいFWHMを提示する。TADF材料Eは、場合により、例えば500nm~560nmの波長範囲内の最大発光を有する可視波長範囲における光を発しうる。一実施形態では、TADF材料Eは、小さいFWHM(例えば0.30eV以下、0.25eV以下、0.20eV以下、0.15eV以下、または0.13eV以下)を提示する。
【0020】
驚くべきことに、本発明による光電素子の発光バンドへの主な貢献は、典型的にSの発光に寄与することができ、EからSへの、および好ましくは少なくとも1種のホスト材料HからEへの、および/またはSへの十分な移動を示唆することが見出された。このことは、少なくとも1種のTADF材料Eが、その主な機能が緑色光の発光でありうる少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのためのエネルギーポンプとして作用しうることを示唆している。
【0021】
本発明による発光素子は、類似した素子構造を有する素子のそれと比べて、より長い寿命および/またはより高い効率を示し、ここで、少なくとも1つの発光層のすべては、少なくとも1種のホスト材料Hを、少なくとも1種のTADF材料Eまたは少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのいずれか(両方ではない)との組合せにおいて含む。
【0022】
特に興味深いことに、本発明のEとSとの組合せに依存して、より低いエネルギー状態からのエネルギーはまた、他の化合物の、より高いエネルギー状態へと移動されうる。TADF材料において発生する逆頂間交差(RISC)もまた考慮に入れて、本発明のEとSとの組合せは、小さいFWHMの発光体Sの特に効率的な発光をもたらす。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、10%超、より好ましくは13%超、より好ましくは15%超、さらにより好ましくは18%超、またはさらには20%超の、1000cd/mにおける外部量子効率を示し、500nmから560nmの間の最大発光を示す、エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)に関する。
【0024】
本発明のさらなる実施形態は、10%超、より好ましくは13%超、より好ましくは15%超、さらにより好ましくは18%超、またはさらには20%超の、1000cd/mにおける外部量子効率を示し、510nmから550nmの間の最大発光を示す、エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)に関する。
【0025】
本発明のさらなる実施形態は、10%超、より好ましくは13%超、より好ましくは15%超、さらにより好ましくは18%超、またはさらには20%超の、1000cd/mにおける外部量子効率を示し、520nmから540nmの間の最大発光を示す、エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)に関する。
【0026】
好ましい実施形態では、エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)は、100h超、好ましくは200h超、より好ましくは400h超、さらにより好ましくは750h超、またはさらには1000h超の、定電流密度J=15mA/cmにおけるLT95値を示す。
【0027】
本発明のさらなる実施形態は、明確な色点において光を発するエレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)に関する。本発明によれば、エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)は、狭い発光バンド(小さい半値全幅(FWHM))を有する光を発する。好ましい実施形態では、本発明によるエレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)は、0.25eV未満、より好ましくは0.20eV未満、さらにより好ましくは0.15eV未満またはさらには0.13eV未満の主発光ピークのFWHMを有する光を発する。
【0028】
本発明のさらなる実施形態は、ITU-R Recommendation BT.2020(Rec.2020)によって定義されて、主色緑色のCIEx(=0.170)およびCIEy(=0.797)色座標に近いCIExおよびCIEy色座標(CIEx=0.170およびCIEy=0.797)の光を発し、そのため、高精細(UHD)ディスプレイ、例えばUHD-TVにおける使用に好適でありうるエレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)に関する。この文脈において、用語「に近い」は、このパラグラフの最後に提供されるCIExおよびCIEy座標の範囲を指す。商業的用途では、典型的には頂部発光(頂部電極は典型的には透明である)素子が使用され、一方で本出願の全体にわたって使用される試験素子は、底部発光素子(底部電極および基板は透明である)を表す。したがって、本発明のさらなる態様は、その発光が、0.15から0.45の間、好ましくは0.15から0.35の間、より好ましくは0.15から0.30の間、またはさらにより好ましくは0.15から0.25の間、またはさらには0.15から0.20の間のCIEx色座標を示し、かつ/または0.60から0.92の間、好ましくは0.65から0.90の間、より好ましくは0.70から0.88の間、またはさらにより好ましくは0.75から0.86の間、またはさらには0.79から0.84の間のCIEy色座標を示す、エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)に関する。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、DCIP3により定義されているように、主色緑色(CIEx=0.265およびCIEy=0.65)のCIEx(=0.265)およびCIEy(=0.65)の色座標に近いCIExおよびCIEy色座標を有する光を発するOLEDに関する。この文脈において、用語「に近い」は、このパラグラフの最後に付与されるCIExおよびCIEy座標の範囲を指す。商業的用途では、典型的には頂部発光(頂部電極は典型的には透明である)素子が使用され、一方で本出願の全体にわたって使用される試験素子は、底部発光素子(底部電極および基材は透明である)を表す。したがって、本発明のさらなる態様は、その底部発光が、0.2から0.45の間、好ましくは0.2から0.35の間、またはより好ましくは0.2から0.30の間、またはさらにより好ましくは0.24から0.28の間、またはさらには0.25から0.27の間のCIEx色座標を示し、かつ/または0.60から0.9の間、好ましくは0.6から0.8の間、より好ましくは0.60から0.70の間、またはさらにより好ましくは0.62から0.68の間、またはさらには0.64から0.66の間のCIEy色座標を示す、OLEDに関する。
【0030】
有機エレクトロルミネッセンス素子の興味深い目的の1つは、光の発生でありうる。そのため、本発明は、所望の波長範囲の光を発生する方法にさらに関し、該方法は、任意の本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する工程を含む。
【0031】
したがって、本発明のさらなる態様は、所望の波長範囲の光を発生する方法にさらに関し、該方法は、
(i)本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する工程と;
(ii)前記有機エレクトロルミネッセンス素子に電流を印加する工程と
を含む。
【0032】
本発明のさらなる態様は、上に記載した要素を組み立てることによって有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する方法に関する。本発明はまた、緑色光を発生する方法にも関し、特に前記有機エレクトロルミネッセンス素子を使用することによる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
実施例および請求項は、本発明をさらに例示する。
【0034】
ホスト材料H
本発明によれば、少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれる1つまたはそれ以上のホスト材料Hは、高い正孔移動度を示すp-ホストH、高い電子移動度を示すn-ホストH、または高い正孔移動度と高い電子移動度との両方を示すバイポーラホスト材料HBPとすることができる。
【0035】
本発明の一実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bは、1種またはそれ以上のp-ホストHを含む。本発明の一実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bは、1つのp-ホストHのみを含む。
【0036】
本発明の一実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bは、1種またはそれ以上のn-ホストHを含む。本発明の別の実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bは、1つのみのn-ホストHを含む。
【0037】
本発明の一実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bは、1種またはそれ以上のバイポーラホストHBPを含む。本発明の一実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bは、1つのバイポーラホストHBPのみを含む。
【0038】
本発明の別の実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bは、少なくとも2種の異なるホスト材料を含む。この事例では、少なくとも1つの発光層B中に存在する1種超のホスト材料は、すべてがp-ホストであるかもしくはすべてがn-ホストであるか、またはすべてがバイポーラホストであるか、のいずれであってもよいが、それらの組合せであってもよい。
【0039】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子が1つ超の発光層Bを含む場合、それらのうちのいずれかは、他の発光層から独立に、それについて上に記載した定義が該当する、1種のホスト材料Hか、または1種超のホスト材料Hか、のいずれかを含んでもよいことが理解される。本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中に含まれる異なる発光層Bが、必ずしもすべてが同じ材料を含んでいるわけではなく、またはさらに同じ材料を同じ濃度で含んでいるわけではないことが、さらに理解される。
【0040】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の同じ発光層B中に含まれる場合、少なくとも1種のp-ホストHおよび少なくとも1種のn-ホストHは、場合により励起錯体を形成することができる。当業者には、HおよびHのHOMOおよび/またはLUMOエネルギー準位の要件を含めた励起錯体および選択基準を形成するHとHとの対をいかに選ぶかは公知である。すなわち、励起錯体形成が熱望されうる事例では、p-ホスト材料Hの最高被占分子軌道(HOMO)は、n-ホスト材料HのHOMOよりも、エネルギーにおいて少なくとも0.20eV高くてもよく、p-ホスト材料Hの最低空分子軌道(LUMO)は、n-ホスト材料HのLUMOよりも、エネルギーにおいて少なくとも0.20eV高くてもよい。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種のホスト材料H(例えば、H、Hおよび/またはバイポーラホストHBP)は、有機ホスト材料であり、これは、本発明の文脈において、それが遷移金属を一切含まないことを意味する。本発明の好ましい実施形態では、本発明のエレクトロルミネッセンス素子中のすべてのホスト材料H(H、Hおよび/またはバイポーラホストHBP)は有機ホスト材料であり、これは、本発明の文脈において、それらが遷移金属を一切含まないことを意味する。好ましくは、少なくとも1種のホスト材料H、好ましくはすべてのホスト材料H(H、Hおよび/またはバイポーラホストHBP)は、元素の水素(H)、炭素(C)および窒素(N)から主になるが、例えば酸素(O)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、フッ素(F)および臭素(Br)もまた含んでもよい。
【0042】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるp-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、好ましくは:-6.1eV≦EHOMO(H)≦-5.6eVである。
【0043】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるp-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、好ましくは:-2.6eV≦ELUMO(H)である。
【0044】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるp-ホストHは、最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1p-H)を有し、好ましくは:E(S1p-H)≧3.0eVである。
【0045】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるp-ホストHは、最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1p-H)を有し、好ましくは:E(T1p-H)≧2.7eVである。
【0046】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれるホスト材料Hについて先に定義した任意の要件または好ましい特徴が、好ましくはまた本発明によるp-ホストHについても有効であることが理解される。そのため、好ましい実施形態では、以下の式(6)~(9):
E(S1p-H)>E(S1) (6)
E(S1p-H)>E(S1) (7)
E(T1p-H)>E(T1) (8)
E(T1p-H)>E(T1) (9)
によって表される関係が該当する。
【0047】
したがって、p-ホストHの最も低い一重項励起状態S1p-Hは、好ましくはTADF材料Eの最も低い一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。p-ホストHの最も低い一重項励起状態S1p-Hは、好ましくは任意の小さいFWHMの発光体Sの一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。p-ホストHの最も低い三重項励起状態T1p-Hは、好ましくは任意の小さいFWHMの発光体Sの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い。p-ホストHの最も低い三重項励起状態T1p-Hは、好ましくはTADF材料Eの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるp-ホストHは、場合により以下を含むまたは以下からなる:
- 式H-I、H-II、H-III、H-IV、H-V、H-VI、H-VII、H-VIII、H-IXおよびH-Xのうちのいずれかによる構造を含むまたは構造からなる1つの第1の化学部分:
【化1】
【0049】
および
- 式H-XI、H-XII、H-XIII、H-XIV、H-XV、H-XVI、H-XVII、H-XVIIIおよびH-XIXのうちのいずれかによる構造を含むまたは構造からなる1つまたはそれ以上の第2の化学部分:
【化2】
【0050】
式中、
p-ホスト材料H中に存在する少なくとも1つの第2の化学部分のそれぞれは、上の式中に点線により表されている単結合を介して第1の化学部分と連結し;
式中、
は、出現するごとに、互いに独立に、直接結合、C(RII、C=C(RII、C=O、C=NRII、NRII、O、Si(RII、S、S(O)およびS(O)からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、第1の化学部分を第2の化学部分に連結する単結合の結合部位であり、または水素、重水素、Me、Pr、Buからなる群から選択され、ここで、少なくとも1つのRは、第1の化学部分を第2の化学部分に連結する単結合の結合部位であり;
Ph、これは、Me、Pr、BuおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
IIは、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Buおよび
Ph、これは、Me、Pr、BuおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
ここで、2つまたはそれ以上の隣接する置換基RIIは、3~18個の炭素原子を有する芳香族または芳香族複素環系を場合により形成することができる。
【0051】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、Zは、出現するごとに、直接結合であり、隣接する置換基RIIは、組み合わさって追加の環系を形成することはない。
【0052】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中に場合により含まれる1種またはそれ以上のp-ホストHは、以下の構造からなる群から選択される:
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【0053】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるn-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、好ましくは:EHOMO(H)≦-5.9eVである。
【0054】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるn-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、好ましくは:-3.5eV≦ELUMO(H)≦-2.9eVである。
【0055】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるn-ホストHは、最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1n-H)を有し、好ましくは:E(S1n-H)≧3.0eVである。
【0056】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるn-ホストHは、最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1n-H)を有し、好ましくは:E(T1n-H)≧2.7eVである。
【0057】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれるホスト材料Hについて先に定義した任意の要件または好ましい性質が、好ましくは本発明によるn-ホストHについても有効であることが理解される。そのため、好ましい実施形態では、以下の式(10)~(13):
E(S1n-H)>E(S1) (10)
E(S1n-H)>E(S1) (11)
E(T1n-H)>E(T1) (12)
E(T1n-H)>E(T1) (13)
によって表される関係が該当する。
【0058】
したがって、n-ホストHの最も低い一重項励起状態S1n-Hは、好ましくはTADF材料Eの最も低い一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。n-ホストHの最も低い一重項励起状態S1n-Hは、好ましくは任意の小さいFWHMの発光体Sの最も低い一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。n-ホストHの最も低い三重項励起状態T1n-Hは、好ましくは任意の小さいFWHMの発光体Sの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い。好ましくは、任意のn-ホストHの最も低い三重項励起状態T1n-Hは、任意のTADF材料Eの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bのいずれかの中に場合により含まれるn-ホストHは、式H-I、H-IIおよびH-IIIのうちのいずれかによる構造を含むまたは構造からなる:
【化4】
式中、RIIIおよびRIVは、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF
Ph、これは、Me、Pr、BuおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
構造は、式H-IV、H-V、H-VI、H-VII、H-VIII、H-IX、H-X、H-XI、H-XII、H-XIIIおよびH-XIVのうちのいずれかによって表される。
【0060】
【化5】
式中、Xは、酸素(O)、硫黄(S)またはC(Rであり;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Buおよび
Ph、これは、Me、Pr、BuおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、2つまたはそれ以上の隣接している置換基Rは、3~18個の炭素原子を有する芳香族または芳香族複素環系を場合により形成してもよく;
式中、式H-IおよびH-IIの式中、少なくとも1つの置換基RIIIは、CNであり;
点線は、式H-I、H-II、H-IIIのうちのいずれかへの結合部位を示す。
【0061】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中に場合により含まれる1種またはそれ以上のn-ホストHは、以下の構造からなる群から選択される:
【化6】
【0062】
本発明の一実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるn-ホストHでホスフィンオキシド基を含有するものは一切なく、詳細には、n-ホストHが、ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド(DPEPO)であるものはない。
【0063】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、エネルギーEHOMO(HBP)を有する最高被占分子軌道HOMO(HBP)を有し、好ましくは:-6.1eV≦EHOMO(HBP)≦-5.6eVである。
【0064】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、エネルギーELUMO(HBP)を有する最低空分子軌道LUMO(HBP)を有し、好ましくは:-3.5eV≦ELUMO(HBP)≦-2.9eVである。
【0065】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのいずれかの中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1bp-H)を有し、好ましくは:E(S1bp-H)≧3.0eVである。
【0066】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのいずれかの中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1bp-H)を有し、好ましくは:E(T1bp-H)≧2.7eVである。
【0067】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれるホストBPについて先に定義した任意の要件または好ましい性質が、好ましくは、本発明によるバイポーラホストHBPについてもまた有効であることが理解される。そのため、好ましい実施形態では、以下の式(14)~(17):
E(S1bp-H)>E(S1) (14)
E(S1bp-H)>E(S1) (15)
E(T1bp-H)>E(T1) (16)
E(T1bp-H)>E(T1) (17)
によって表される関係が該当する。
【0068】
したがって、バイポーラホストHBPの最も低い一重項励起状態S1bp-Hは、好ましくはTADF材料Eの最も低い一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。バイポーラホストHBPの最も低い一重項励起状態S1bp-Hは、好ましくは任意の小さいFWHMの発光体Sの最も低い一重項励起状態S1よりもエネルギーにおいて高い。バイポーラホストHBPの最も低い三重項励起状態T1bp-Hは、任意の小さいFWHMの発光体Sの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い。好ましくは、任意のバイポーラホストHBPの最も低い三重項励起状態T1bp-Hは、任意のTADF材料Eの最も低い三重項励起状態T1よりもエネルギーにおいて高い。
【0069】
TADF材料E
本発明によれば、1つまたはそれ以上の熱活性化遅延蛍光(TADF)材料Eのうちのいずれかは、0.4eV未満、好ましくは0.3eV未満、より好ましくは0.2eV未満、さらにより好ましくは0.1eV未満、またはさらには0.05eV未満の、最も低い一重項励起状態S1と最も低い三重項励起状態T1とのエネルギー差に相当するΔEST値を示すことによって好ましくは特徴付けられる。そのため、本発明によるTADF材料EのΔESTは、好ましくは、最も低い一重項励起状態S1の、最も低い三重項励起状態T1への、室温(RT)での熱的再増殖(アップ-頂間交差または逆頂間交差とも称される)を可能にするのに十分小さい。
【0070】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sが、0.4eV未満のΔEST値も場合により有することができて熱活性化遅延蛍光(TADF)を示すことが理解される。しかしながら、本発明の文脈における任意の小さいFWHMの発光体Sについて、これは、場合による特徴にすぎない。加えて、本発明の文脈におけるTADF材料Eは、TADF材料Eがエネルギーを少なくとも1つの小さいFWHMの発光体Sへ移動するエネルギーポンプとして主に機能することにおいて本発明の文脈における小さいFWHMの発光体Sとは好ましくは異なるが、その一方で、本発明による光電子素子の発光バンドへの主な貢献が、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sの発光に好ましくは寄与しうる。
【0071】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)を有し、好ましくは:-6.0eV≦EHOMO(E)≦-5.8eVである。
【0072】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有し、好ましくは:-3.4eV≦ELUMO(E)≦-3.0eVである。
【0073】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれるTADF材料Eは、最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1)を有し、好ましくは:2.5eV≦E(S1)≦2.8eVである。
【0074】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれるTADF材料Eは、最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1)を有し、その好ましい範囲は、ΔESTについて上に記載した好ましい範囲との組合せにおける、一重項状態エネルギーレベルE(S1)について上に記載した好ましい範囲によって、定義されうる。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、TADF材料Eは、480nm~560nm、好ましくは500nm~540nmの波長範囲において最大発光を有する。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、TADF材料Eは、有機TADF材料であり、これは、本発明の文脈において、それが遷移金属を一切含まないことを意味する。好ましくは、本発明によるTADF材料Eは、元素の水素(H)、炭素(C)および窒素(N)から主になるが、例えば、酸素(O)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、フッ素(F)および臭素(Br)もまた含んでもよい。
【0077】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種のTADF材料Eのそれぞれは、少なくとも1種の電子供与部分D(すなわち供与体)と少なくとも1種の電子吸引性部分A(すなわち受容体)とを含み、ここで、少なくとも1種の供与体Dと少なくとも1種の受容体Aとは、同じリンカーに共有結合され;
このリンカーは、3~30個の炭素原子を有する芳香族基または芳香族複素環基であり、最も好ましくはベンゼンまたはビフェニルである。
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、各部分Dは、それぞれ、以下に示す式のうちのいずれかによって表される構造を含むまたは構造からなる:
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【0079】
式中、
は、出現するごとに、互いに独立に、直接結合、CR、C=CR、C=O、C=NR、NR、O、SiR、S、S(O)およびS(O)からなる群から選択され;
#は、供与体部分Dの、前述したリンカーへの結合部位を表し;
、RおよびRは、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、N(R、OR、Si(R、B(OR、OSO、CF、CN、F、Cl、Br、I、
~C40-アルキル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C40-アルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C40-チオアルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C40-アルケニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C40-アルキニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C60-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され;
~C57-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、OPh、CF、CN、F、
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルコキシ、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-チオアルコキシ、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルケニル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルキニル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
N(C~C18-アリール)
N(C~C17-ヘテロアリール)、および
N(C~C17-ヘテロアリール)(C~C18-アリール)
からなる群から選択され;
式中、場合により、置換基R、RおよびRのうちのいずれかは、互いに独立に、単環式、多環式、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を、1つまたはそれ以上の隣接している置換基R、RおよびRと共に形成してもよく、式中、場合によりそのように形成された環系の1個またはそれ以上の水素原子は、Rによって置換されてもよい。
【0080】
本発明の好ましい実施形態では、供与体部分Dは、非置換カルバゾールではない。
【0081】
本発明の好ましい実施形態では、各受容体部分Aは、それぞれ、以下に示す式のうちのいずれかによって表される構造を含むまたは構造からなる:
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【0082】
式中、
点線は、受容体部分Aの、前述したリンカーに連結する単結合を表し、
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、N(R、OR、Si(R、B(OR、OSO、CF、CN、F、Cl、Br、I、
~C40-アルキル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C40-アルコキシ
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C40-チオアルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C40-アルケニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C40-アルキニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって場合により置換され;
~C60-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rによって場合により置換され;
~C57-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rによって場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、OPh、CF、CN、F、
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルコキシ、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され、
~C-チオアルコキシ、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され、
~C-アルケニル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され、
~C-アルキニル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され、
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
N(C~C18-アリール)
N(C~C17-ヘテロアリール)、および
N(C~C17-ヘテロアリール)(C~C18-アリール)
からなる群から選択され;
式中、場合により、2つまたはそれ以上の隣接する置換基Rは、互いに独立に、単環式、多環式、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成してもよく、式中、場合によりそのように形成された環系の1個またはそれ以上の水素原子は、Rによって置換されてもよい。
【0083】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1種のTADF材料Eのそれぞれは、少なくとも1つの電子供与部分D(すなわち供与体)と少なくとも1つの電子吸引性部分A(すなわち受容体)とを含み、ここで、すべての供与体Dとすべての受容体Aとは、同じリンカーに共有結合され;
ここで、このリンカーは、3~30個の炭素原子を有する芳香族基または芳香族複素環基であり、最も好ましくはベンゼンまたはビフェニルであり;
ここで、上に記載した供与体部分Dは、それぞれ、上に示す式のうちのいずれかによって表される構造を含みまたは構造からなり;
ここで、上に記載した受容体部分Aは、それぞれ、上に示す式のうちのいずれかによって表される構造を含みまたは構造からなり;
式中、RおよびRは、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され:
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換される
からなる群から選択され;
およびRは、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
フェニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、Me、Pr、Bu、CN、CF
Ph、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
ピリジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
ピリミジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
カルバゾリル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
トリアジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
およびN(Ph)
からなる群から選択される。
【0084】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1種のTADF材料Eのそれぞれは、少なくとも1つの電子供与部分D(すなわち供与体)と少なくとも1つの電子吸引性部分A(すなわち受容体)とを含み、式中、すべての供与体Dとすべての受容体Aとは、同じリンカーに共有結合され;
式中、このリンカーは、3~30個の炭素原子を有する芳香族基または芳香族複素環基であり、最も好ましくはベンゼンまたはビフェニルであり;
式中、上に記載した供与体部分Dは、それぞれ、上に示す式のうちのいずれかによって表される構造を含みまたは構造からなり;
式中、上に記載した受容体部分Aは、それぞれ、上に示す式のうちのいずれかによって表される構造を含みまたは構造からなり;
式中、R、R、RおよびRは、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
フェニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、Me、Pr、Bu、CN、CF
Ph、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;および
トリアジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択される。
【0085】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種のTADF材料Eのそれぞれは、以下を含む有機TADF材料である:
- それぞれ独立に、式E-Iの構造を含むまたは構造からなる1つまたはそれ以上の第1の化学部分R
【化9】
ならびに
- 式E-IIおよびE-IIIのいずれかによる構造を含むまたは構造からなる、場合により1つの第2の化学部分
【化10】
式中、各第2の化学部分(存在する場合)は、単結合を介して第1の化学部分Rに連結し、
式中、
#は、第1の化学部分Rの、第2の化学部分への結合部位を表し、または水素であり;
kは、出現するごとに、互いに独立に、0、1、2、3または4であり;
mは、出現するごとに、互いに独立に、0、1または2であり;
nは、出現するごとに、互いに独立に、0、1または2であり;
oは、出現するごとに、互いに独立に、0または1であり;
pは、出現するごとに、互いに独立に、0、1または2であり;
qは、出現するごとに、互いに独立に、0、1または2であり;
rは、出現するごとに、互いに独立に、0、1、2、3、4または5であり;
は、出現するごとに、互いに独立に、N、CRおよびCRからなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、C-ArEWGおよびCRQ2からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、N、C-ArEWGおよびCRQ2からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、CR、C-ArEWGおよびCRQ2からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、ArEWG、CNおよびCFからなる群から選択され;
ArEWGは、出現するごとに、互いに独立に、式ArEWG-I、ArEWG-II、ArEWG-III、ArEWG-IV、ArEWG-V、ArEWG-VI、ArEWG-VII、ArEWG-VIII、ArEWG-IX、ArEWG-X、ArEWG-XI、ArEWG-XII、ArEWG-XIIIおよびArEWG-XIVのうちのいずれかによる構造によって表される。
【0086】
【化11】
【0087】
これらは、点線によってマークされた位置を介してコア構造(ここで、好ましくは式E-I)に結合し;
Z1は、出現するごとに、互いに独立に、CNおよびCFからなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、直接結合、CR10、C=CR10、C=O、C=NR、NR、O、SiR10、S、S(O)およびS(O)からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、F、Cl、BrおよびI、
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
これは、重水素、C~C-アルキル基、C~C18-アリール基、F、Cl、BrおよびIからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R11で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R11で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素で場合により置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R11で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R11で場合により置換される
からなる群から選択され;
Q2は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF、Phおよび
カルバゾリル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CF、PhおよびN(Ph)からなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され、
、R、R、RおよびR10は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、N(R12、OR12、Si(R12、B(OR12、OSO12、CF、CN、F、Br、I、からなる群から選択され;
~C40-アルキル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R12で場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R12C=CR12、C≡C、Si(R12、Ge(R12、Sn(R12、C=O、C=S、C=Se、C=NR12、P(=O)(R12)、SO、SO、NR12、O、SまたはCONR12によって場合により置換され;
~C40-アルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R12で場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R12C=CR12、C≡C、Si(R12、Ge(R12、Sn(R12、C=O、C=S、C=Se、C=NR12、P(=O)(R12)、SO、SO、NR12、O、SまたはCONR12によって場合により置換され;
~C40-チオアルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R12で場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R12C=CR12、C≡C、Si(R12、Ge(R12、Sn(R12、C=O、C=S、C=Se、C=NR12、P(=O)(R12)、SO、SO、NR12、O、SまたはCONR12によって場合により置換され;
~C40-アルケニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R12で場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R12C=CR12、C≡C、Si(R12、Ge(R12、Sn(R12、C=O、C=S、C=Se、C=NR12、P(=O)(R12)、SO、SO、NR12、O、SまたはCONR12によって場合により置換され;
~C40-アルキニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R12で場合により置換され、
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R12C=CR12、C≡C、Si(R12、Ge(R12、Sn(R12、C=O、C=S、C=Se、C=NR12、P(=O)(R12)、SO、SO、NR12、O、SまたはCONR12によって場合により置換され;
~C60-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R12で場合により置換され;
~C57-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R12で場合により置換される
からなる群から選択され;
11は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF
フェニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
12は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、OPh、CF、CN、F、
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルコキシ、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-チオアルコキシ、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルケニル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルキニル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、場合により、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
N(C~C18-アリール)
N(C~C17-ヘテロアリール)
N(C~C17-ヘテロアリール)(C-C18-アリール)、および
5~8個の炭素原子を含む脂肪族環状アミノ基(好ましくはピロリジニルおよびピペリニジル)
からなる群から選択され;
式中、場合により、任意の隣接する置換基R、R、R、RおよびR10は、互いに独立に、単環式もしくは多環式、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成し;式中、場合によりそのように形成された環系の1個またはそれ以上の水素原子は、R12によって置換されてもよく;
式中、式E-II中、2つの隣接する基Qが両方ともNであることはないという制限付きで、少なくとも1つの、しかし3つ超ではない基Qは、窒素(N)であり;
式E-II中、2つの隣接する基Qが両方ともCRであることはないという制限付きで、少なくとも1つの、しかし3つ超ではない基Qは、CRであり;
式中、式E-III中、少なくとも1つの基Qは、窒素(N)であり;
式中、好ましくは:1≦(m+p)≦4、
1≦(n+q)≦4、
1≦(m+n+o)≦5である。
【0088】
本発明の好ましい実施形態では、R、RおよびRからなる群の少なくとも1つの置換基は水素ではなく、式中、Zは、直接結合であり、そのため、好ましくは、TADF材料E中の供与体部分が非置換カルバゾリル基であることはない。
【0089】
本発明の好ましい実施形態では、
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびフェニルからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびフェニルからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
Q2は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Ph、
カルバゾリル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CF、PhおよびN(Ph)からなる群からいに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
、RおよびRは、出現するごとに、別のものから独立に、水素、Me、Pr、Bu、CN、CF
Ph、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
ピリジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
ピリミジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
カルバゾリル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
トリアジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
ならびにN(Ph)
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル基および/または1つまたはそれ以上のC~C18-アリール基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、場合により、任意の隣接する置換基R、R、R、RおよびR10は、互いに独立に、3~30個の炭素原子を含む、単環式もしくは多環式、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系
を形成し;
ここで、上に記載した定義が該当するものは除く。
【0090】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、Zは、出現するごとに、直接結合であり;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R11で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R11で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R11で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R11で場合により置換され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびフェニルからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
からなる群から選択され;
Q2は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Phおよび
カルバゾリル、これは、PhおよびN(Ph)からなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
、RおよびRは、出現するごとに、別のものから独立に、水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
カルバゾリル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
トリアジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Buおよび
~C18-アリール、
これは、重水素、Me、Pr、Buからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、場合により、任意の隣接する置換基R、R、R、RおよびR10は、互いに独立に、3~18個の炭素原子を含む、単環式もしくは多環式、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成し;
ここで、上に記載した定義が該当するものは除く。
【0091】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、Zは、出現するごとに、直接結合であり;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびフェニルからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびフェニルからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
Q2は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素および
カルバゾリル、これは、PhおよびN(Ph)からなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、水素であり;
およびRは、出現するごとに、互いに独立に、水素、Me、Pr、Bu、CN、CF
Ph、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
ピリジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
ピリミジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
カルバゾリル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
トリアジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され、
ならびにN(Ph)
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Buおよび
Ph、これは、重水素、Me、Pr、Buからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
ここで、上に記載した定義が該当するものは除く。
【0092】
本発明の特に好ましい実施形態では、Zは、出現するごとに、直接結合であり;
ArEWGは、出現するごとに、互いに独立に、式ArEWG-I、ArEWG-VII、ArEWG-VIII、ArEWG-IX、ArEWG-X、ArEWG-XI、ArEWG-XIIおよびArEWG-XIIIのうちのいずれかによる構造によって表され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびフェニルからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびフェニルからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
Q2は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素および
カルバゾリル、これは、PhおよびN(Ph)からなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、水素であり、
およびRは、出現するごとに、別のものとは独立に、水素、Me、Pr、Bu、CN、CFおよび
Ph、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
カルバゾリル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
は、出現するごとに、水素であり;
ここで、上に記載した定義が該当するものは除く。
【0093】
本発明の一実施形態では、1つまたはそれ以上のTADF材料Eのそれぞれは、式E-I-1、E-I-2、E-I-3、E-I-4、E-I-5、E-I-6、E-I-7およびE-I-8のうちのいずれかによって表される構造を有する:
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【0094】
式中、
は、出現するごとに、窒素(N)またはCHであり、少なくとも1つのYはNであり、
13は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF、ArEWG
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
これは、重水素、C~C-アルキル基およびC~C18-アリール基から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
14およびR15は、出現するごとに、互いに独立にC-ArEWGおよびCRQ2からなる群から選択され;
16は、出現するごとに、互いに独立に、CR、C-ArEWGおよびCRQ2からなる群から選択され;
式中、2つ以下の基R13は、CN、CFまたはArEWGであり;
ここで、上に記載した定義が該当するものは除く。
【0095】
本発明の好ましい実施形態では、1つまたはそれ以上のTADF材料Eのそれぞれは、式E-I-1a、E-I-2a、E-I-3a、E-I-4a、E-I-5a、E-I-6a、E-I-7(上を参照されたい)およびE-I-8(上を参照されたい)のうちのいずれかによって表される構造を有する。
【0096】
【化13-1】
【化13-2】
【化13-3】
【0097】
式中、R13は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF、ArEWGおよび
Ph、これは、重水素、Me、Pr、BuおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、2つ以下の基R13は、CN、CFまたはArEWGであり;
ここで、上に記載した定義が該当するものは除く。
【0098】
場合により、任意の隣接する置換基R、R、R、RおよびR10は、互いに独立に、単環式もしくは多環式、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成してもよく;式中、場合によりそのように形成された環系の1個またはそれ以上の水素原子は、R12によって置換されてもよい。
【0099】
好ましい実施形態では、2つ以下の基R13は、CN、CFまたはArEWGである。
【0100】
好ましい実施形態では、1≦(m+p)かつ/または1≦(n+q)である。
【0101】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、1つまたはそれ以上のTADF材料Eのそれぞれは、式E-I-1a-1、E-I-2a-1、E-I-3a-1、E-I-4a-1、E-I-5a-1、E-I-6a-1、E-I-7(上を参照されたい)およびE-I-8(上を参照されたい)のうちのいずれかによって表される構造を有し、
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【0102】
式中、R13は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF、ArEWGおよび
Ph、これは、重水素、Me、Pr、BuおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、同じベンゼン環に結合している2つ以下の基R13は、CN、CFまたはArEWGであり;
ここで、上に記載した定義が該当するものは除く。
【0103】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、1つまたはそれ以上のTADF材料Eのそれぞれは、式E-I-1a-1、E-I-2a-1、E-I-3a-1、E-I-4a-1、E-I-5a-1、E-I-6a-1、E-I-7(上を参照されたい)およびE-I-8のうちのいずれかによって表される構造を有し、
式中、Zは、出現するごとに、直接結合であり、
ここで、上に記載した定義が該当するものは除く。
【0104】
本発明の好ましい実施形態では、Xは、出現するごとに、互いに独立に、CN、
【化15】
からなる群から選択され、
これらは、点線によってマークされた位置を介して結合されている。
【0105】
本発明の好ましい実施形態では、Yは、出現するごとに、窒素(N)である。
【0106】
本発明の特に好ましい実施形態では、1つまたはそれ以上のTADF材料Eのそれぞれは、式E-I-3a-1a、E-I-3a-1b、E-I-4a-1aおよびE-I-4a-1bのうちのいずれかによって表される構造を有する:
【化16-1】
【化16-2】
式中、好ましくはREWGは、出現するごとに、互いに独立に、水素、CNおよび
【化17】
式中、式E-I-3a-1aおよびE-I-4a-1a中、好ましくは、同じベンゼン環に結合している2つのREWGのうちの厳密に1つは水素である。
【0107】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中での使用のためのTADF材料Eの例が、以下に列挙され、ここで、本発明は、当然ながら、これらの分子のうちの1つを含む素子に限定されない。
【0108】
式E-I-3a-1aによるTADF材料Eの特に好ましい例が、以下に列挙される:
【化18】
【0109】
式E-I-3a-1bによるTADF材料Eの特に好ましい例が、以下に列挙される:
【化19】
【0110】
式E-I-4a-1aによるTADF材料Eの特に好ましい例が、以下に列挙される:
【化20-1】
【化20-2】
【化20-3】
【化20-4】
【0111】
式E-I-4a-1bによるTADF材料Eの特に好ましい例が、以下に列挙される:
【化21】
【0112】
本発明による使用のためのTADF材料Eのさらなる例が、以下に列挙される:
【化22-1】
【化22-2】
【化22-3】
【化22-4】
【化22-5】
【化22-6】
【化22-7】
【化22-8】
【化22-9】
【0113】
TADF材料Eの合成を、当業者に公知の標準的な反応および反応条件を介して達成することができる。典型的には、第1の工程において、カップリング反応、好ましくはパラジウム触媒化カップリング反応を実施してもよく、これは式E-I-3a-1によるTADF材料Eの合成のために以下に例示的に示される:
【化23】
【0114】
E1は、任意のホウ酸(R=H)または当量のホウ酸エステル(R=アルキルまたはアリール)とすることができ、詳細には、2つのRは環を形成して、例えば、フルオロ-(トリフルオロメチル)フェニル、ジフルオロ-(トリフルオロメチル)フェニル、フルオロ-(シアノ)フェニルまたはジフルオロ-(シアノ)フェニルの、ホウ酸ピナコールエステルを付与する。第2の反応物としてE2が用いられ、式中、Halはハロゲンを指し、I、BrまたはClであってもよいが、好ましくはBrである。このようなパラジウム触媒カップリング反応の反応条件は、例えばWO2017/005699から当業者に公知であり、かつE1とE2との基を反応させることは、以下に示すように交換して反応収率を最適化させうることが公知である。
【0115】
【化24】
【0116】
第2の工程において、式E-I-3a-1による分子は、求核芳香族置換における窒素複素環の、ハロゲン化アリール、好ましくはフッ化アリールまたは二ハロゲン化アリール、好ましくは二ハロゲン化アリールとの反応E3を介して得られる。典型的な条件には、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)またはN,N-ジメチルホルムアイド(DMF)のような非プロトン性極性溶媒中の、三塩基性リン酸カリウムまたは水素化ナトリウムのような塩基の使用が挙げられる。
【0117】
【化25】
【0118】
特に、供与体分子E4は、3,6-置換カルバゾール(例えば、3,6-ジメチルカルバゾール、3,6ジフェニルカルバゾール、3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾール)、2,7-置換カルバゾール(例えば2,7-ジメチルカルバゾール、2,7-ジフェニルカルバゾール、2,7-ジ-tert-ブチルカルバゾール)、1,8-置換カルバゾール(例えば、1,8-ジメチルカルバゾール、1,8-ジフェニルカルバゾール、1,8-ジ-tert-ブチルカルバゾール)、一置換カルバゾール(例えば、1-メチルカルバザゾール、1-フェニルカルバゾール、1-tert-ブチルカルバゾール)、二置換カルバゾール(例えば、2-メチルカルバゾール、2-フェニルカルバゾール、2-tert-ブチルカルバゾール)、または三置換カルバゾール(例えば、3-メチルカルバゾール、3-フェニルカルバゾール、3-tert-ブチルカルバゾール)である。
あるいは、ハロゲン置換カルバゾール、具体的には3-ブロモカルバゾールが、E4として使用されうる。
続けての反応では、例えばビス(ピナコラト)二ホウ素(CAS No.73183-34-3)との反応を介して、ホウ酸エステル官能基またはホウ酸官能基が、E4を介して導入された1つまたはそれ以上のハロゲン置換基の位置において例示的に導入されて、対応するカルバゾール-3-イルホウ酸エステルまたはカルバゾール-3-イルホウ酸を生成してもよい。続けて、1つまたはそれ以上の置換基R、RまたはRが、対応するハロゲン化反応物、例えばR-Hal、好ましくはR-ClおよびR-Brとのカップリング反応を介して、ホウ酸エステル基またはホウ酸基の場所に導入されてもよい。
あるいは、D-Hを介して、置換基R[R-B(OH)]、R[R-B(OH)]またはR[R-B(OH)]のホウ酸、または対応するホウ酸エステルとの反応を介して、導入された、1つまたはそれ以上の置換基R、RまたはRが、1つまたはそれ以上のハロゲン置換基の位置において導入されてもよい。
【0119】
さらなるTADF発光材料Eが同様に得られうる。TADF発光材料Eは、この目的に好適な任意の代替的な合成経路によっても得られうる。
【0120】
代替的な合成経路は、銅またはパラジウム触媒化カップリングを介した、窒素複素環の、ハロゲン化アリールまたは擬ハロゲン化アリール、好ましくは臭化アリール、ヨウ化アリール、トリフリト酸アリールまたはトシル酸アリールへの導入を含むことができる。
【0121】
小さいFWHMの発光体S
本発明の文脈における小さい半値全幅(FWHM)の発光体Sは、ポリ(メタクリル酸メチル)PMMA中1~5重量%、特に1重量%の発光体で室温(すなわち(およそ)20℃)にて測定して、0.25eV以下(≦0.25eV)のFWHMを示す発光スペクトルを有する任意の発光体である。
【0122】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の文脈における小さいFWHMの発光体Sは、PMMA中(1~5重量%、特に1重量%の発光体Sを使用して)で室温(すなわち(およそ)20℃)にて測定して、≦0.24eVの、より好ましくは≦0.23eVの、さらにより好ましくは≦0.22eVの、≦0.21eVの、または≦0.20eVのFWHMを示す発光スペクトルを有する任意の発光体である。本発明の他の実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのうちのいずれかは、≦0.19eVの、≦0.18eVの、≦0.17eVの、≦0.16eVの、≦0.15eVの、≦0.14eVの、≦0.13eVの、≦0.12eVの、または≦0.11eVのFWHMを示す。
【0123】
加えて、本発明の文脈における小さいFWHMの発光体Sは、PMMA中(1~5重量%、特に1重量%の発光体Sを使用して)で室温にて測定して、500nm~560nmの波長範囲内の最大発光を示す。
【0124】
本発明の好ましい実施形態では、1つまたはそれ以上の少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sは、PMMA中(1~5重量%、特に1重量%)の発光体Sを使用して、室温にて測定して、520nm~540nmの波長範囲内の最大発光を示す。
【0125】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eが、0.25eV以下(≦0.25eV)のFWHMを示す発光スペクトルを有する発光体でも場合によりありうることが理解される。場合により、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、500nm~560nmの波長範囲内の最大発光も示すことができる。本発明の文脈におけるTADF材料Eは、EBが典型的に少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sへのエネルギーポンプ移動エネルギーとして主に機能する一方で、本発明による光電子素子の発光バンドへの主な貢献は少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sの発光に好ましくは寄与されうるという点において、本発明の文脈における任意の小さいFWHMの発光体Sとは異なる。
【0126】
本発明の好ましい実施形態では、任意の小さいFWHMの発光体Sは有機発光体であり、これは、本発明の文脈において、それが遷移金属を一切含有しないことを意味する。好ましくは、本発明による任意の小さいFWHMの発光体Sは、元素の水素(H)、炭素(C)、窒素(N)およびホウ素(B)から主になるが、例えば酸素(O)、ケイ素(Si)、フッ素(F)および臭素(Br)もまた含んでもよい。
【0127】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の文脈における小さいFWHMの発光体Sは、近距離電荷移動(NRCT)発光体である。
【0128】
典型的なNRCT発光体は、Hatakeyamaら(Advanced Materials、2016、28(14):2777~2781頁、DOI:10.1002/adma.201505491)により文献に記載されており、時間分解光ルミネッセンススペクトルにおける遅延成分を示し、近範囲HOMO-LUMO分離を示す。
【0129】
典型的なNRCTの発光体は、発光スペクトル中、1つの発光バンドのみを示し、ここで、典型的な蛍光発光体は、振動の進行に起因していくつかの明白な発光バンドを提示する。
【0130】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれる任意の小さいFWHMの発光体Sは、エネルギーEHOMO(S)を有する最高被占分子軌道HOMO(S)を有し、好ましくは:-5.6eV≦EHOMO(S)≦-5.4eVである。
【0131】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれる任意の小さいFWHMの発光体Sは、エネルギーELUMO(S)を有する最低空分子軌道LUMO(S)を有し、好ましくは:-3.1eV≦ELUMO(S)≦-2.9eVである。
【0132】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれる任意の小さいFWHMの発光体Sは、最も低い一重項励起状態エネルギーレベルE(S1)を有し、好ましくは:2.4eV≦E(S1)≦2.6eVである。
【0133】
本発明によれば、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかの中に含まれる任意の小さいFWHMの発光体Sは、最も低い三重項励起状態エネルギーレベルE(T1)を有し、その好ましい範囲は、一重項状態エネルギーレベルE(S1)について上に記載した好ましい範囲によって、および小さいFWHM発光体SのΔESTが0.5eV以下であるという好ましい特徴によって定義されうる。
【0134】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、ホウ素(B)含有発光体である。
【0135】
ホウ素(B)含有の小さいFWHMの発光体の公知の例は、ホウ素-ジピロメテンコアを有する構造を含み、ここで、典型的には、ホウ素元素は、2つのフッ素置換基で、または2つのアルコキシ置換基で、のいずれかで追加で置換され、ここで、1個またはそれ以上の水素原子は、フッ素(F)または2つのアリールオキシ置換基によって置換されうる。このような発光体の具体例が以下に示される:
【化26】
【0136】
一実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、多環性芳香族化合物を含むまたは多環性芳香族化合物からなる。
【0137】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-Iによる構造を含むまたは構造からなる:
【化27】
式中、Bはホウ素であり、
Ar、ArおよびArは、出現するごとに、互いに独立に、芳香族環および芳香族複素環からなる群から選択され、Ar、Ar、Arは、場合により互いに連結されて1つまたはそれ以上の追加の環を形成することができる。
【0138】
一般式S-IのAr、Ar、Arとしての芳香族環は、例えば、6~30個の炭素原子を有するアリール環であり、アリール環は、好ましくは6~16個の炭素原子を有するアリール環、より好ましくは6~12個の炭素原子を有するアリール環、特に好ましくは6~10個の炭素原子を有するアリール環である。
【0139】
一般式S-IのAr、Ar、Arとしての芳香族環の具体例には、単環系であるベンゼン環;二環系であるビフェニル環;縮合二環系であるナフタレン環;三環系であるターフェニル環(m-ターフェニル、o-ターフェニルまたはp-ターフェニル);縮合三環系であるアセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環およびフェナントレン環;縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環およびナフタセン環、ならびに縮合五環系であるペンチレン環およびペンタセン環が挙げられる。
【0140】
一般式S-IのAr、Ar、Arとしての芳香族環は、例えば、2~30個の炭素原子を有するヘテロアリール環であり、ヘテロアリール環は、好ましくは2~25個の炭素原子を有するヘテロアリール環、より好ましくは2~20個の炭素原子を有するヘテロアリール環、さらにより好ましくは2~15個の炭素原子を有するヘテロアリール環、特に好ましくは2~10個の炭素原子を有するヘテロアリール環である。さらに、一般式S-IのAr、Ar、Arとしての芳香族複素環は、環を構成する原子としての炭素に加えて、例えば、酸素、硫黄および窒素から選択される1~5個のヘテロ原子を含有する複素環であってもよい。
【0141】
一般式S-IのAr、Ar、Arとしての芳香族複素環の具体例には、ピロール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、オキサジアゾール環およびチアトレン環が挙げられる。
【0142】
一般式S-IのAr、Ar、Arとしての前述した芳香族または芳香族複素環中の1個またはそれ以上の水素原子は、置換基Rによって置換されてもよく、
式中、Rは、出現するごとに、別のものとは独立に、水素、重水素、N(R17、OR17、SR17、Si(R17、B(OR17、OSO17、CF、CN、ハロゲン、
~C40-アルキル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R17で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R17C=CR17、C≡C、Si(R17、Ge(R17、Sn(R17、C=O、C=S、C=Se、C=NR17、P(=O)(R17)、SO、SO、NR17、O、SまたはCONR17によって場合により置換され;
~C40-アルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R17で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R17C=CR17、C≡C、Si(R17、Ge(R17、Sn(R17、C=O、C=S、C=Se、C=NR17、P(=O)(R17)、SO、SO、NR17、O、SまたはCONR17によって場合により置換され;
~C40-チオアルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R17で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R17C=CR17、C≡C、Si(R17、Ge(R17、Sn(R17、C=O、C=S、C=Se、C=NR17、P(=O)(R17)、SO、SO、NR17、O、SまたはCONR17によって場合により置換され;
~C40-アルケニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R17で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R17C=CR17、C≡C、Si(R17、Ge(R17、Sn(R17、C=O、C=S、C=Se、C=NR17、P(=O)(R17)、SO、SO、NR17、O、SまたはCONR17によって場合により置換され;
~C40-アルキニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R17で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R17C=CR17、C≡C、Si(R17、Ge(R17、Sn(R17、C=O、C=S、C=Se、C=NR17、P(=O)(R17)、SO、SO、NR17、O、SまたはCONR17によって場合により置換され;
~C60-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R17で場合により置換され;
~C57-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R17で場合により置換される
からなる群から選択され;
17は、出現するごとに、別のものとは独立に、水素、重水素、OPh、SPh、CF、CN、F、Si(C~C-アルキル)、Si(Ph)
~C-アルキル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルコキシ、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-チオアルコキシ、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルケニル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルキニル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
N(C~C18-アリール)
N(C~C17-ヘテロアリール);および
N(C~C17-ヘテロアリール)(C-C18-アリール)
からなる群から選択され;
式中、
置換基RおよびR17のうちのいずれかは、互いに独立に、単環式もしくは多環式、脂肪族、芳香族、芳香族複素環および/またはベンゾ縮合環系を、1つまたはそれ以上の置換基R、R17および/または芳香族もしくは芳香族複素環Ar、ArおよびArと共に、場合により形成してもよく、ここで、このようにして形成された環は、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換されてもよい。
【0143】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-II、S-IIIおよびS-IVのうちのいずれかによる構造
を含むまたは構造からなる:
【化28】
式中、
Ar、Ar、Ar、RおよびR17について、前述した定義が適用され;
、YおよびYは、出現するごとに、互いに独立に、
NR18、O、C(R18、SまたはSi(R18
からなる群から選択され;式中、
18は、出現するごとに、互いに独立に、
~C-アルキル、これは、1つまたはそれ以上の置換基R19で場合により置換され;
~C60-アリール、これは、1つまたはそれ以上の置換基R19で場合により置換され;
~C57-ヘテロアリール、これは、1つまたはそれ以上の置換基R19で場合により置換され;
19は、出現するごとに、別のものとは独立に、水素、重水素、N(R20、OR20、SR20、Si(R20、B(OR20、OSO20、CF、CN、ハロゲン、
~C40-アルキル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R20で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R20C=CR20、C≡C、Si(R20、Ge(R20、Sn(R20、C=O、C=S、C=Se、C=NR20、P(=O)(R20)、SO、SO、NR20、O、SまたはCONR20によって場合により置換され;
~C40-アルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R20で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R20C=CR20、C≡C、Si(R20、Ge(R20、Sn(R20、C=O、C=S、C=Se、C=NR20、P(=O)(R20)、SO、SO、NR20、O、SまたはCONR20によって場合により置換され;
~C40-チオアルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R20で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R20C=CR20、C≡C、Si(R20、Ge(R20、Sn(R20、C=O、C=S、C=Se、C=NR20、P(=O)(R20)、SO、SO、NR20、O、SまたはCONR20によって場合により置換され;
~C40-アルケニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R20で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R20C=CR20、C≡C、Si(R20、Ge(R20、Sn(R20、C=O、C=S、C=Se、C=NR20、P(=O)(R20)、SO、SO、NR20、O、SまたはCONR20によって場合により置換され;
~C40-アルキニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R20で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R20C=CR20、C≡C、Si(R20、Ge(R20、Sn(R20、C=O、C=S、C=Se、C=NR20、P(=O)(R20)、SO、SO、NR20、O、SまたはCONR20によって場合により置換され;
~C60-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R20で場合により置換され;
~C57-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R20で場合により置換される
からなる群から選択され;
20は、出現するごとに、別のものとは独立に、水素、重水素、OPh、SPh、CF、CN、F、Si(C~C-アルキル)、Si(Ph)
~C-アルキル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルコキシ、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-チオアルコキシ、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルケニル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルキニル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基によって場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上のC-C-アルキル置換基によって場合により置換され;
N(C~C18-アリール)
N(C~C17-ヘテロアリール);および
N(C~C17-ヘテロアリール)(C~C18-アリール)
からなる群から選択され;
式中、
置換基R、R17、R18およびR19のうちのいずれかは、互いに独立に、単環式もしくは多環式、脂肪族、芳香族、芳香族複素環および/またはベンゾ縮合環系を、1つまたはそれ以上の置換基R、R17、R18、R19および/または芳香族または芳香族複素環Ar、ArおよびArと共に、場合により形成してもよく、ここで、このように形成された環は、1つまたはそれ以上の置換基Rで場合により置換されてもよい。
【0144】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3aの構造を含むまたは構造からなり:
【化29】
式中、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII、RXVIII、RXIX、RXX、RXXI、RXXIIおよびRXXIIIは、互いに独立に、水素、重水素、N(R21、OR21、SR21、Si(R21、B(OR21、OSO21、CF、CN、ハロゲン、
~C40-アルキル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R21C=CR21、C≡C、Si(R21、Ge(R21、Sn(R21、C=O、C=S、C=Se、C=NR21、P(=O)(R21)、SO、SO、NR21、O、SまたはCONR21によって場合により置換され;
~C40-アルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R21C=CR21、C≡C、Si(R21、Ge(R21、Sn(R21、C=O、C=S、C=Se、C=NR21、P(=O)(R21)、SO、SO、NR21、O、SまたはCONR21によって場合により置換され;
~C40-チオアルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R21C=CR21、C≡C、Si(R21、Ge(R21、Sn(R21、C=O、C=S、C=Se、C=NR21、P(=O)(R21)、SO、SO、NR21、O、SまたはCONR21によって場合により置換され;
~C40-アルケニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R21C=CR21、C≡C、Si(R21、Ge(R21、Sn(R21、C=O、C=S、C=Se、C=NR21、P(=O)(R21)、SO、SO、NR21、O、SまたはCONR21によって場合により置換され;
~C40-アルキニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R21C=CR21、C≡C、Si(R21、Ge(R21、Sn(R21、C=O、C=S、C=Se、C=NR21、P(=O)(R21)、SO、SO、NR21、O、SまたはCONR21によって場合により置換され;
~C60-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
~C57-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、場合により、1つまたはそれ以上の隣接する基の対、RVIとRVII、RVIIとRVIII、RVIIIとRIX、RとRXI、RXIとRXII、RXIIとRXIII、RXIVとRXV、RXVとRXVI、RXVIとRXVII、RXVIIとRXVIII、RXIXとRXX、RXXとRXXI、RXXIとRXXII、RXXIIとRXXIIIは、芳香族環系を形成し、これは、一般式S-III-3aの隣接するベンゼン環a、b、cまたはdに縮合し、かつ、これは、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
式中、場合により、RVIとRXXIII、RXIIIとRXIVの一方または両方の対は、結合してZ基を形成し、これは、出現するごとに、互いに独立に、直接結合、CR2223、C=CR2223、C=O、C=NR22、NR22、O、SiR2223、S、S(O)およびS(O)からなる群から選択され;
21は、出現するごとに、別のものとは独立に、水素、重水素、OPh、SPh、CF、CN、F、Si(C~C-アルキル)、Si(Ph)
~C-アルキル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルコキシ、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-チオアルコキシ、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルケニル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルキニル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上のC~C-アルキル置換基で場合により置換され;
N(C-C18-アリール)
N(C-C17-ヘテロアリール);および
N(C-C17-ヘテロアリール)(C-C18-アリール)
からなる群から選択され;
22およびR23は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、N(R24、OR24、Si(R24、B(OR24、OSO24、CF、CN、F、Br、I、
~C40-アルキル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R24で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R24C=CR24、C≡C、Si(R24、Ge(R24、Sn(R24、C=O、C=S、C=Se、C=NR24、P(=O)(R24)、SO、SO、NR24、O、SまたはCONR24によって場合により置換され;
~C40-アルコキシ、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R24で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R24C=CR24、C≡C、Si(R24、Ge(R24、Sn(R24、C=O、C=S、C=Se、C=NR24、P(=O)(R24)、SO、SO、NR24、O、SまたはCONR24によって場合により置換され;
~C40-チオアルコキシ
これは、1つまたはそれ以上の置換基R24で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R24C=CR24、C≡C、Si(R24、Ge(R24、Sn(R24、C=O、C=S、C=Se、C=NR24、P(=O)(R24)、SO、SO、NR24、O、SまたはCONR24によって場合により置換され;
~C40-アルケニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R24で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R24C=CR24、C≡C、Si(R24、Ge(R24、Sn(R24、C=O、C=S、C=Se、C=NR24、P(=O)(R24)、SO、SO、NR24、O、SまたはCONR24によって場合により置換され;
~C40-アルキニル、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R24で場合により置換され;
式中、1つまたはそれ以上の隣接していないCH-基は、R24C=CR24、C≡C、Si(R24、Ge(R24、Sn(R24、C=O、C=S、C=Se、C=NR24、P(=O)(R24)、SO、SO、NR24、O、SまたはCONR24によって場合により置換され;
~C60-アリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R24で場合により置換され;
~C57-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上の置換基R24で場合により置換される
からなる群から選択され;
24は、出現するごとに、別のものとは独立に、水素、重水素、OPh、SPh、CF、CN、F、Si(C~C-アルキル)、Si(Ph)
~C-アルキル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルコキシ、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-チオアルコキシ、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルケニル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C-アルキニル、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、CN、CFまたはFによって置換され;
~C18-アリール、
これは、1つまたはそれ以上のC-C-アルキル置換基で場合により置換され;
~C17-ヘテロアリール、
これは、1つまたはそれ以上のC-C-アルキル置換基で場合により置換され;
N(C~C18-アリール)
N(C~C17-ヘテロアリール);および
N(C~C17-ヘテロアリール)(C-C18-アリール)
からなる群から選択され;
は、水素、
~C15-ヘテロアリール、式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、ハロゲン、C~C-アルキル、CN、CF、SiMe、SiPh(Ph=フェニル)、C~C15-ヘテロアリールによって置換され、および
~C18-アリール、式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、C~C-アルキル、CN、CFおよびPhによって置換され;
ならびに
~C18-アリール、式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に
~C-アルキル、CN、CFおよび
Ph、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
ピリジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
ピリミジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
トリアジニル、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から互いに独立に選択される置換基によって置換される
からなる群から選択される。
【0145】
本発明の高度に好ましい実施形態では、Rは、
~C15-ヘテロアリール、式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、ハロゲン、C~C-アルキル、CN、CF、SiMe、SiPh(Ph=フェニル)、C~C15-ヘテロアリールによって置換され、ならびに
~C18-アリール、式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、C~C-アルキル、CN、CFおよびPhによって置換される
からなる群から選択される。
【0146】
本発明の特に好ましい実施形態では、Rは、
~C15-ヘテロアリール、式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、重水素、ハロゲン、C~C-アルキル、CN、CF、SiMe、SiPh(Ph=フェニル)、C~C15-ヘテロアリールによって置換され、ならびに
~C18-アリール、式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、互いに独立に、C~C-アルキル、CN、CFおよびPhによって置換され、
式中、式S-III-3aによるRの結合部位は、C~C15-ヘテロアリールのC~C15-炭素原子のうちの1つである
からなる群から選択される。
【0147】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-7、S-III-3a-8、S-III-3a-9、S-III-3a-10、S-III-3a-11、S-III-3a-12、S-III-3a-13、S-III-3a-14、S-III-3a-15、S-III-3a-16、S-III-3a-17、S-III-3a-18、S-III-3a-19、S-III-3a-20、S-III-3a-21、S-III-3a-22、S-III-3a-23、S-III-3a-24、S-III-3a-25、S-III-3a-26、S-III-3a-27、S-III-3a-28、S-III-3a-29、S-III-3a-30のうちのいずれかによる構造を含むまたは構造からなる:
【0148】
【化30-1】
【化30-2】
【化30-3】
【化30-4】
【0149】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-9およびS-III-3a-10のうちのいずれかによる構造を含むまたは構造からなる:
【化31】
【0150】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3a、S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-7、S-III-3a-8、S-III-3a-9、S-III-3a-10、S-III-3a-11、S-III-3a-12、S-III-3a-13、S-III-3a-14、S-III-3a-15、S-III-3a-16、S-III-3a-17、S-III-3a-18、S-III-3a-19、S-III-3a-20、S-III-3a-21、S-III-3a-22、S-III-3a-23、S-III-3a-24、S-III-3a-25、S-III-3a-26、S-III-3a-27、S-III-3a-28、S-III-3a-29、S-III-3a-30のうちのいずれかによる構造を含むまたは構造からなり、式中、Rは、水素であり、または式R-I、R-II、R-III、R-IV、R-V、R-VI、R-VII、R-VIII、R-IX、R-X、R-XI、R-XIIおよびR-XIIIのうちのいずれかにより表される構造を有し、
【化32】
式中、
点線は、コア構造への結合部位を示し;
は、出現するごとに、互いに独立に、窒素(N)およびR25からなる群から選択され;
は、出現するごとに、互いに独立に、酸素(O)、硫黄(S)、C(R25およびNR25からなる群から選択され;
25は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、ハロゲン、C~C-アルキル、CN、CF、SiMe、SiPh(Ph=フェニル)ならびに
~C18-アリール、これは、C~C-アルキル、CN、CF、C~C18-アリールおよびC~C15-ヘテロアリールからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
~C15-ヘテロアリール、これは、C~C-アルキル、CN、CF、C~C18-アリールおよびC~C15-ヘテロアリールからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
26は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、ハロゲン、C~C-アルキル、CN、CF、SiMe、SiPh(Ph=フェニル)ならびに
~C18-アリール、これは、C~C-アルキル、CN、CF、C~C18-アリールおよびC~C15-ヘテロアリールからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
~C15-ヘテロアリール、これは、C~C-アルキル、CN、CF、C~C18-アリールおよびC~C15-ヘテロアリールからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、2つまたはそれ以上の隣接する置換基R25および/またはR26は、C~C30-芳香族またはC~C15-芳香族複素環系を場合により形成してもよく、
式中、式R-III、R-IV、R-VおよびR-VI中、少なくとも1つのQはNであり;
式中、式R-III、R-IV、R-VおよびR-VI中、2つの隣接する基Qが両方ともNであることはない。
【0151】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3a、S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-7、S-III-3a-8、S-III-3a-9、S-III-3a-10、S-III-3a-11、S-III-3a-12、S-III-3a-13、S-III-3a-14、S-III-3a-15、S-III-3a-16、S-III-3a-17、S-III-3a-18、S-III-3a-19、S-III-3a-20、S-III-3a-21、S-III-3a-22、S-III-3a-23、S-III-3a-24、S-III-3a-25、S-III-3a-26、S-III-3a-27、S-III-3a-28、S-III-3a-29、S-III-3a-30のうちのいずれかによる構造を含みまたは構造からなり、式中、Rは、水素であり、または式R-I、R-II、R-III、R-IV、R-V、R-VI、R-VII、R-VIII、R-IX、R-X、R-XI、R-XIIおよびR-XIIIのうちのいずれかによって表される構造を有し;
式中、R26は、出現するごとに、水素である。
【0152】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3a、S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-7、S-III-3a-8、S-III-3a-9、S-III-3a-10、S-III-3a-11、S-III-3a-12、S-III-3a-13、S-III-3a-14、S-III-3a-15、S-III-3a-16、S-III-3a-17、S-III-3a-18、S-III-3a-19、S-III-3a-20、S-III-3a-21、S-III-3a-22、S-III-3a-23、S-III-3a-24、S-III-3a-25、S-III-3a-26、S-III-3a-27、S-III-3a-28、S-III-3a-29、S-III-3a-30のうちのいずれかによる構造を含みまたは構造からなり、式中、Rは、水素であり、または式R-Ia、R-Ib、R-Ic、R-Id、R-Ie、R-If、R-Ig、R-IIIa、R-IIIb、R-IVa、R-IVb、R-Va、R-Vb、R-Vc、R-Vd、R-Ve、R-Vf、R-VIa、R-VIb、R-VIc、R-VId、R-VIe、R-VIf、R-VII、R-VIIIa、R-VIIIb、R-VIIIc、R-IXa、R-IXbおよびR-IXcのうちのいずれかによって表される構造を有し、
【0153】
【化33-1】
【化33-2】
【0154】
式中、
点線は、コア構造への結合部位を示し;
25は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、C~C-アルキル、CN、CF、SiMe、SiPh(Ph=フェニル)および
~C18-アリール、これは、C~C-アルキル、CN、CF、C~C18-アリールおよびC~C15-ヘテロアリールからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
~C15-ヘテロアリール、これは、C~C-アルキル、CN、CF、C~C18-アリールおよびC~C15-ヘテロアリールからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、隣接する基R25が組み合わされて任意の種類の追加の環系を形成することはない。
【0155】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、R25は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh(Ph=フェニル)および
~C18-アリール、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
~C15-ヘテロアリール、これは、Me、Pr、Bu、CN、CF、C~C18-アリールおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、
隣接する基R25が組み合わされて任意の種類の追加の環系を形成することはない。
【0156】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、R25は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh(Ph=フェニル)および
Ph、これは、Me、Pr、Bu、CN、CFおよびPhからなる群から互いに独立に選択される1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換され;
式中、
隣接する基R25が組み合わされて任意の種類の追加の環系を形成することはない。
【0157】
一実施形態では、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII、RXVIII、RXIX、RXX、RXXI、RXXIIおよびRXXIIIは、互いに独立に、水素、重水素、ハロゲン、CN、CF、SiMe、SiPh
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、C~C-アルキル、C~C18-アリール、C~C17-ヘテロアリール、CNまたはCFによって場合により置換され;
~C15-ヘテロアリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、C~C-アルキル、C~C18-アリール、C~C17-ヘテロアリール、CNまたはCFによって場合により置換され;および
N(Ph)
からなる群から選択され;
式中、場合により、少なくとも1種の隣接する基の対、RVIとRVII、RVIIとRVIII、RVIIIとRIXは、式S-III-3aの隣接するベンゼン環aに縮合している芳香族環系を形成し、かつ/または、場合により、少なくとも1つの隣接する基の対、RとRXI、RXIとRXII、RXIIとRXIIIは、一般式S-III-3aの隣接するベンゼン環bに縮合している芳香族環系を形成し;
式中、場合によりこのように形成された芳香族環系のそれぞれは、3~30個の炭素原子を含み、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
式中、場合によりこのように形成された2つの芳香族環系が同一であることが特に好ましく;
式中、場合により、RVIとRXXIII、RXIIIとRXIVの一方または両方の対は、結合してZ基を形成し、これは、出現するごとに、互いに独立に、直接結合、CR2223、C=CR2223、C=O、C=NR22、NR22、O、SiR2223、S、S(O)およびS(O)からなる群から選択され;
式中、R21、R22およびR23は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、ハロゲン、CN、CF、SiMe、SiPh
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、C~C-アルキル、C~C18-アリール、C~C17-ヘテロアリール、CNまたはCFによって独立に置換され;
~C15-ヘテロアリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、C~C-アルキル、C~C18-アリール、C~C17-ヘテロアリール、CNまたはCFによって独立に置換され;および
N(Ph)
からなる群から選択される。
【0158】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3a、S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-9、S-III-3a-10のうちのいずれかによる構造を含むまたは構造からなり;
式中、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII、RXVIII、RXIX、RXX、RXXI、RXXIIおよびRXXIIIは、互いに独立に、水素、重水素、ハロゲン、CN、CF、SiMe、SiPh
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、C~C-アルキル、C~C18-アリール、C~C17-ヘテロアリール、CNまたはCFによって独立に置換され;
~C15-ヘテロアリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、C~C-アルキル、C~C18-アリール、C~C17-ヘテロアリール、CNまたはCFによって独立に置換され;および
N(Ph)
からなる群から選択され;
式中、場合により、少なくとも1つの隣接する基の対、RVIとRVII、RVIIとRVIII、RVIIIとRIXは、式S-III-3aの隣接するベンゼン環aに縮合している芳香族環系を形成し、かつ/または、場合により、少なくとも1つの隣接する基の対、RとRXI、RXIとRXII、RXIIとRXIIIは、一般式S-III-3aの隣接するベンゼン環bに縮合している芳香族環系を形成し;
式中、場合によりこのように形成された芳香族環系のそれぞれは、3~30個の炭素原子を含み、1つまたはそれ以上の置換基R21で場合により置換され;
式中、場合によりこのように形成された2つの芳香族環系が同一であることが特に好ましく;
式中、場合により、RVIとRXXIII、RXIIIとRXIVの一方または両方の対は結合してZ基を形成し、これは、出現するごとに、互いに独立に、直接結合、CR2223、C=CR2223、C=O、C=NR22、NR22、O、SiR2223、S、S(O)およびS(O)からなる群から選択され;
式中、R21、R22およびR23は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、ハロゲン、CN、CF、SiMe、SiPh
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、C~C-アルキル、C~C18-アリール、C~C17-ヘテロアリール、CNまたはCFによって独立に置換され;
~C15-ヘテロアリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、C~C-アルキル、C~C18-アリール、C~C17-ヘテロアリール、CNまたはCFによって独立に置換され;および
N(Ph)
からなる群から選択される。
【0159】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3a、S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-9、S-III-3a-10のうちのいずれかによる構造を含みまたは構造からなり、
式中、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII、RXVIII、RXIX、RXX、RXXI、RXXIIおよびRXXIIIは、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF、SiMe、SiPh、N(Ph)
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、Me、Pr、Bu、CN、CFまたはPhによって独立に置換され;
~C15-ヘテロアリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、Me、Pr、Bu、CN、CFまたはPhによって独立に置換され;
式中、場合により、少なくとも1つの隣接する基の対、RVIとRVII、RVIIとRVIII、RVIIIとRIXは、式S-III-3aの隣接するベンゼン環aに縮合している芳香族環系を形成し、かつ/または、場合により、少なくとも1つの隣接する基の対、RとRXI、RXIとRXII、RXIIとRXIIIは、一般式S-III-3aの隣接するベンゼン環bに縮合している芳香族環系を形成し、
式中、場合によりこのように形成された芳香族環系のそれぞれは、3~30の炭素原子を含み;
式中、このように形成された2つの芳香族環系が同一であることが特に好ましく;
式中、場合により、RVIとRXXIII、RXIIIとRXIVの一方または両方の対が結合してZ基を形成し、これは、出現するごとに、互いに独立に、直接結合、CR2223、C=CR2223、C=O、C=NR22、NR22、O、SiR2223、S、S(O)およびS(O)からなる群から選択され;
式中、R22およびR23は、出現するごとに、互いに独立に、水素、重水素、CN、CF、SiMe、SiPh
~C-アルキル、
式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素によって場合により置換され;
~C18-アリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、Me、Pr、Bu、CN、CFまたはPhによって独立に置換され;
~C15-ヘテロアリール、
式中、場合により、1個またはそれ以上の水素原子は、Me、Pr、Bu、CN、CFまたはPhによって独立に置換される。
【0160】
本発明の好ましい実施形態では、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII、RXVIII、RXIX、RXX、RXXI、RXXIIおよびRXXIIIは、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF、N(Ph)および
Ph、式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFによって場合により置換され;
式中、場合により、RVIとRXXIII、RXIIIとRXIVの一方または両方の対は結合されてZ基を形成し、これは、出現するごとに、直接結合である。
【0161】
本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sのそれぞれは、式S-III-3a、S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-9、S-III-3a-10のうちのいずれかによる構造を含みまたは構造からなり、
式中、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、RXVI、RXVII、RXVIII、RXIX、RXX、RXXI、RXXIIおよびRXXIIIは、互いに独立に、水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF、N(Ph)および
Ph、式中、1個またはそれ以上の水素原子は、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CFによって場合により置換される
からなる群から選択され;
式中、場合により、RVIとRXXIII、RXIIIとRXIVの一方または両方の対は結合してZ基を形成し、これは、出現するごとに、直接結合である。
【0162】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中の使用のための小さいFWHMの発光体Sの例が以下に列挙され、ここで、本発明は、当然ながら、これらの分子のうちの1つを含む素子に限定されない。
【0163】
式S-III-3a-1による小さいFWHMの発光体Sの例が、以下に列挙される:
【0164】
【化34】
【0165】
式S-III-3a-2による小さいFWHMの発光体Sの例が、以下に列挙される:
【0166】
【化35-1】
【化35-2】
【化35-3】
【0167】
式S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5およびS-III-3a-6による小さいFWHMの発光体Sの例が、以下に列挙される:
【化36】
【0168】
式S-III-3a-9による小さいFWHMの発光体Sの例が、以下に列挙される:
【化37】
【0169】
小さいFWHMの発光体Sの合成は、当業者に公知の標準的な反応および反応条件を介して達成することができる。式S-III-3aの構造を含むまたは構造からなる小さいFWHMの発光体Sのための典型的な反応スキームの例が以下に記載され、式中、RXVIII=RXIX、RXVII=RXX、RXVI=RXXI、RXV=RXXII、RXIV=RXXIII、RXIII=RVI、RXII=RVII、RXI=RVIIIおよびR=RIXである:
【化38】
【0170】
1,3-ジブロモ-2,5-ジクロロベンゼン(CAS:81067-41-6、1.00当量)、E1(2.20当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムPd(dba)(0.02当量、CAS:51364-51-3)、トリ-tert-ブチル-ホスフィン(P(Bu)3、CAS:13716-12-6、0.08当量)およびナトリウム-tert-ブトキシド(NaOBu;6.00当量)を、窒素雰囲気下、トルエン中80℃にて2h撹拌する。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をトルエンおよびブラインで抽出し、相を分離する。合わせた有機層をMgSOで脱水し、次いで、溶媒を減圧下で除去する。得られた粗生成物を再結晶またはカラムクロマトグラフィーによって精製し、I1を固体として得る。
【0171】
【化39】
【0172】
I1(1.00当量)、E2(2.20当量、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムPd(dba)(0.02当量;CAS:51364-51-3)、トリ-tert-ブチル-ホスフィン(0.08当量、P(Bu)、CAS:13716-12-6)およびナトリウム-tert-ブトキシド(NaOBu;5.00当量)を、窒素雰囲気下、トルエン中100℃にて5h撹拌する。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をトルエンおよびブラインで抽出し、相を分離する。合わせた有機層をMgSOで脱水し、次いで、溶媒を減圧下で除去する。得られた粗生成物を再結晶またはカラムクロマトグラフィーによって精製し、I2を固体として得る。
【0173】
【化40】
【0174】
I2(1当量)を、窒素雰囲気下、THF中で溶解して-20℃に冷却した後、またはtert-ブチルベンゼン中で溶解して-10℃に冷却した後、BuLi(2当量、CAS:594-19-4)を添加し、反応混合物を0℃にて撹拌する。リチウム化を完了した後、反応をクエンチし、1,3,2-ジオキサボロラン(2当量、CAS:61676-62-8)を添加し、反応混合物を、還流下、70℃にて2h撹拌する。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をトルエンとブラインとの間で抽出し、相を分離する。合わせた有機層をMgSOで脱水し、次いで、溶媒を減圧下で除去する。得られた粗生成物を再結晶またはカラムクロマトグラフィーによって精製して、I3を固体として得る。
【0175】
【化41】
【0176】
I3(1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(10当量、CAS:7087-68-5)およびAlCl(10当量、CAS:7446-70-0)を、窒素雰囲気下、クロロベンゼン中120℃にて16h撹拌する。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をトルエンとブラインとの間で抽出し、相を分離する。合わせた有機層をMgSOで脱水し、次いで、溶媒を減圧下で除去する。得られた粗生成物を再結晶またはカラムクロマトグラフィーによって精製して、I4を固体として得る。
【0177】
【化42】
【0178】
I4(1当量)、E3(1.1当量)、酢酸パラジウム(II)(CAS:3375-31-3、0.1当量)、S-Phos(CAS:657408-07-6、0.24当量)および三塩基性リン酸カリウム(5当量)を、窒素雰囲気下、ジオキサン/水5:1中100℃にて16h撹拌する。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をトルエンとブラインとの間で抽出し、相を分離する。合わせた有機層をMgSOで脱水し、次いで、溶媒を減圧下で除去する。得られた粗生成物を再結晶またはカラムクロマトグラフィーによって精製して、P1を固体として得る。
【0179】
さらなるFWHMの発光体Sを同様に得ることができる。FWHMの発光体Sはまた、この目的に好適な任意の代替的な合成経路によっても得ることができる。
【0180】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各TADF材料Eは、式E-Iによる構造を有し、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各FWHMの発光体Sは、式S-Iによる構造を有する。
【0181】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各TADF材料Eは、式E-I-1、E-I-2、E-I-3、E-I-4、E-I-5、E-I-6、E-I-7およびE-I-8のうちのいずれかによる構造を有し、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各FWHM発光体Sのそれぞれは、式S-II、S-IIIおよびS-IVのうちのいずれかによる構造を有する。
【0182】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各TADF材料Eは、式E-I-1a、E-I-2a、E-I-3a、E-I-4a、E-I-5a、E-I-6a、E-I-7およびE-I-8のうちのいずれかによる構造を有し、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各FWHMの発光体Sは、式S-III-3aのうちのいずれかによる構造を有する。
【0183】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各TADF材料Eは、式E-I-1a-1、E-I-2a-1、E-I-3a-1、E-I-4a-1、E-I-5a-1、E-I-6a-1、E-I-7およびE-I-8のうちのいずれかによる構造を有し、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各FWHMの発光体Sは、式S-III-3aのいずれかによる構造を有する。
【0184】
本発明のなおもさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各TADF材料Eは、式E-I-3a-1a、E-I-3a-1b、E-I-5a-1aおよびE-I-6a-1aのうちのいずれかによる構造を有し、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各FWHMの発光体Sは、式S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-9およびS-III-3a-10のうちのいずれかによる構造を有する。
【0185】
本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各TADF材料Eは、式E-I-3a-1a、E-I-3a-1b、E-I-5a-1aおよびE-I-6a-1aのうちのいずれかによる構造を有し、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各FWHMの発光体Sは、式S-III-3a-1、S-III-3a-2、S-III-3a-3、S-III-3a-4、S-III-3a-5、S-III-3a-6、S-III-3a-9およびS-III-3a-10のうちのいずれかによる構造を有する。
【0186】
本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各TADF材料Eは、本明細書に示される特に好ましい例のうちのいずれかによる構造を有し、少なくとも1つの発光層B中に含まれる各FWHMの発光体Sは、本明細書に示される特に好ましい例のうちのいずれかによる構造を有する。
【0187】
発光層B内の成分のHOMOエネルギーレベルとLUMOエネルギーレベルとの関係
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種のp-ホストHが発光層B中に存在する限り、以下の式(20)~(22):
LUMO(H)>ELUMO(E) (20)
HOMO(H)≦EHOMO(S) (21)
LUMO(H)>ELUMO(S) (22)
によって表される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが、好ましくは該当する。
【0188】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種のp-ホストHおよび少なくとも1種のn-ホストHが発光層B中に存在する限り、以下の式(18)~(22):
HOMO(H)>EHOMO(H) (18)
LUMO(H)>ELUMO(H) (19)
LUMO(H)>ELUMO(E) (20)
HOMO(H)≦EHOMO(S) (21)
LUMO(H)>ELUMO(S) (22)
によって表される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが、好ましくは該当する。
【0189】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種のp-ホストHおよび少なくとも1種のn-ホストHおよび少なくとも1種のバイポーラホストHBPが発光層Bに存在する限り、以下の式(18)~(23):
HOMO(H)>EHOMO(H) (18)
LUMO(H)>ELUMO(H) (19)
LUMO(H)>ELUMO(E) (20)
HOMO(H)≦EHOMO(S) (21)
LUMO(H)>ELUMO(S) (22)
LUMO(H)>ELUMO(HBP) (23)
によって表される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが、好ましくは該当する。
【0190】
したがって、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bに場合により含まれるp-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bに場合により含まれるn-ホストHの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーEHOMO(H)よりも好ましくは高い、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有する。
【0191】
さらに、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHの最低空分子軌道LUMO(H)のエネルギーELUMO(H)よりも好ましくは高い、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有する。
【0192】
加えて、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーELUMO(E)よりも好ましくは高い、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有する。
【0193】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sの最高被占分子軌道HOMO(S)のエネルギーEHOMO(S)よりも好ましくは低いまたは等しい、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有する。
【0194】
さらに、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sの最低空分子軌道LUMO(S)のエネルギーELUMO(S)よりも好ましくは高い、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有する。
【0195】
加えて、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPの最低空分子軌道LUMO(HBP)のエネルギーELUMO(HBP)よりも好ましくは高い、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有する。
【0196】
本発明の好ましい実施形態では、p-ホストHが発光層E中に存在する限り、以下の式(26)および/または(27):
-0.3eV≦EHOMO(H)-EHOMO(E)≦0.3eV (26)
LUMO(H)-ELUMO(E)≧0.3eV (27)
によって表されるものからなる群から選択される関係の一方または両方が、好ましくは該当する。
【0197】
本発明の好ましい実施形態では、p-ホストHおよびn-ホストHが発光層E中に存在する限り、以下の式(24)~(27):
HOMO(H)-EHOMO(H)≧0.3eV (24)
LUMO(H)-ELUMO(H)≧0.3eV (25)
-0.3eV≦EHOMO(H)-EHOMO(E)≦0.3eV (26)
LUMO(H)-ELUMO(E)≧0.3eV (27)
によって表されるものからなる群から選択される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが、好ましくは該当する。
【0198】
本発明の好ましい実施形態では、p-ホストHおよびn-ホストHおよびバイポーラホストHBPが発光層E中に存在する限り、以下の式(24)~(28):
HOMO(H)-EHOMO(H)≧0.3eV (24)
LUMO(H)-ELUMO(H)≧0.3eV (25)
-0.3eV≦EHOMO(H)-EHOMO(E)≦0.3eV (26)
LUMO(H)-ELUMO(E)≧0.3eV (27)
LUMO(H)-ELUMO(HBP)≧0.3eV (28)
によって表されるものからなる群から選択される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが、好ましくは該当する。
【0199】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、ここで、好ましくは:EHOMO(H)-EHOMO(H)≧0.3eVである。換言すると、EHOMO(H)とEHOMO(H)とのエネルギー差は、好ましくは0.3eV以上である。
【0200】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、ここで、好ましくは:ELUMO(H)-ELUMO(H)≧0.3eVである。換言すると、ELUMO(H)とELUMO(H)とのエネルギー差は、好ましくは0.3eV以上である。
【0201】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)を有し、ここで、好ましくは:-0.3eV≦EHOMO(H)-EHOMO(E)≦0.3eVである。換言すると、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるp-ホストHのHOMO(H)は、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF発光体EのHOMO(E)よりもエネルギーにおいて高くてもよく低くてもよいが、そのエネルギー差は、好ましくは0.3eVを超えない。
【0202】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有し、ここで、好ましくは:ELUMO(H)-ELUMO(E)≧0.3eVである。換言すると、ELUMO(H)とELUMO(E)とのエネルギー差は、好ましくは0.3eV以上である。
【0203】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるp-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、エネルギーELUMO(HBP)を有する最低空分子軌道LUMO(HBP)を有し、ここで、好ましくは:ELUMO(H)-ELUMO(HBP)≧0.3eVである。換言すると、ELUMO(H)とELUMO(HBP)とのエネルギー差は、好ましくは0.3eV以上である。
【0204】
本発明の好ましい実施形態では、n-ホストHが発光層E中に存在する限り、以下の式(29)~(32):
HOMO(H)≦EHOMO(E) (29)
LUMO(H)≦ELUMO(E) (30)
HOMO(H)<EHOMO(S) (31)
LUMO(H)<ELUMO(S) (32)
によって表される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが、好ましくは該当する。
【0205】
本発明の好ましい実施形態では、n-ホストHおよびバイポーラホストHBPが発光層E中に存在する限り、以下の式(29)~(33):
HOMO(H)≦EHOMO(E) (29)
LUMO(H)≦ELUMO(E) (30)
HOMO(H)<EHOMO(S) (31)
LUMO(H)<ELUMO(S) (32)
HOMO(H)<EHOMO(HBP) (33)
によって表される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが、好ましくは該当する。
【0206】
したがって、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eの最高被占分子軌道HOMO(E)のエネルギーEHOMO(E)よりも好ましくは低いまたは等しい、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有する。
【0207】
さらに、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーELUMO(E)と好ましくは等しいまたはそれよりも低い、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有する。
【0208】
加えて、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sの最高被占分子軌道HOMO(S)のエネルギーEHOMO(S)よりも好ましくは低い、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有する。
【0209】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sの最低空分子軌道LUMO(S)のエネルギーELUMO(S)よりも好ましくは低い、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有する。
【0210】
さらに、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPの最高被占分子軌道HOMO(HBP)のエネルギーEHOMO(HBP)よりも好ましくは低い、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有する。
【0211】
本発明の好ましい実施形態では、n-ホストHが発光層E中に存在する限り、以下の式(34)~(36):
HOMO(E)-EHOMO(H)≧0.3eV (34)
LUMO(E)-ELUMO(H)≧0.2eV (35)
LUMO(S)-ELUMO(H)≧0.2eV (36)
によって表される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが、好ましくは該当する。
【0212】
本発明の好ましい実施形態では、n-ホストHおよびバイポーラホストHBPが発光層E中に存在する限り、以下の式(34)~(37):
HOMO(E)-EHOMO(H)≧0.3eV (34)
LUMO(E)-ELUMO(H)≧0.2eV (35)
LUMO(S)-ELUMO(H)≧0.2eV (36)
HOMO(HBP)-EHOMO(H)≧0.3eV (37)
によって表される関係のうちの1つまたはそれ以上またはすべてが該当する。
【0213】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、ここで、好ましくは:EHOMO(E)-EHOMO(H)≧0.3eVである。換言すると、EHOMO(E)とEHOMO(H)との間のエネルギー差は、好ましくは0.3eV以上である。
【0214】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、ここで、好ましくは:ELUMO(E)-ELUMO(H)≧0.2eVである。換言すると、ELUMO(E)とELUMO(H)との間のエネルギー差は、好ましくは0.2eV以上である。
【0215】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sは、エネルギーELUMO(S)を有する最低空分子軌道LUMO(S)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、エネルギーELUMO(H)を有する最低空分子軌道LUMO(H)を有し、ここで、好ましくは:ELUMO(S)-ELUMO(H)≧0.2eVである。換言すると、ELUMO(S)とELUMO(H)との間のエネルギー差は、好ましくは0.2eV以上である。
【0216】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、エネルギーEHOMO(HBP)を有する最高被占分子軌道HOMO(HBP)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるn-ホストHは、エネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、ここで、好ましくは:EHOMO(HBP)-EHOMO(H)≧0.3eVである。換言すると、EHOMO(HBP)とEHOMO(H)との間のエネルギー差は、好ましくは0.3eV以上である。
【0217】
本発明の好ましい実施形態では、バイポーラホストHBPが発光層B中に存在する限り、以下の式(38)~(40):
HOMO(HBP)≦EHOMO(S) (38)
LUMO(HBP)≦ELUMO(E) (39)
LUMO(HBP)<ELUMO(S) (40)
によって表される関係のうちの1つ、2つまたはすべてが、好ましくは該当する。
【0218】
したがって、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sの最高被占分子軌道HOMO(S)のエネルギーEHOMO(S)よりも好ましくは低いまたは等しい、エネルギーEHOMO(HBP)を有する最高被占分子軌道HOMO(HBP)を有する。
【0219】
さらに、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eの最低空分子軌道LUMO(E)のエネルギーELUMO(E)よりも好ましくは低いまたは等しい、エネルギーELUMO(HBP)を有する最低空分子軌道LUMO(HBP)を有する。
【0220】
加えて、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sの最低空分子軌道LUMO(S)のエネルギーELUMO(S)よりも好ましくは低い、エネルギーELUMO(HBP)を有する最低空分子軌道LUMO(HBP)を有する。
【0221】
本発明の好ましい実施形態では、バイポーラホストHBPが発光層B中に存在する限り、以下の式(41)~(43):
-0.3eV≦EHOMO(HBP)-EHOMO(E)≦0.3eV (41)
LUMO(E)-ELUMO(HBP)≧0.2eV (42)
LUMO(HBP)-ELUMO(S)≧0.2eV (43)
によって表される関係のうちの1つ、2つまたはすべてが、好ましくは該当する。
【0222】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、エネルギーEHOMO(HBP)を有する最高被占分子軌道HOMO(HBP)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)を有し、ここで、好ましくは:-0.3eV≦EHOMO(HBP)-EHOMO(E)≦0.3eVである。換言すると、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPのHOMO(HBP)は、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF発光体EのHOMO(E)よりもエネルギーにおいて高くてもよく低くてもよいが、そのエネルギー差は好ましくは0.3eVを超えない。
【0223】
さらに、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、エネルギーELUMO(HBP)を有する最低空分子軌道LUMO(HBP)を有し、ここで、好ましくは:ELUMO(E)-ELUMO(HBP)≧0.2eVである。換言すると、ELUMO(E)とELUMO(HBP)との間のエネルギー差は、好ましくは0.2eV以上である。
【0224】
加えて、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に場合により含まれるバイポーラホストHBPは、エネルギーELUMO(HBP)を有する最低空分子軌道LUMO(HBP)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有し、ここで、好ましくは:ELUMO(HBP)-ELUMO(S)≧0.2eVである。換言すると、ELUMO(HBP)とELUMO(E)との間のエネルギー差は、好ましくは0.2eV以上である。
【0225】
本発明の好ましい実施形態では、以下の式(44)および(45):
HOMO(E)≦EHOMO(S) (44)
LUMO(E)<ELUMO(S) (45)
によって表される関係が該当する。
【0226】
したがって、好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sの最高被占分子軌道HOMO(S)のエネルギーEHOMO(S)と好ましくは等しいまたはそれよりも低い、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)を有する。
【0227】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sの最低空分子軌道LUMO(S)のエネルギーELUMO(E)よりも低い、エネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有する。
【0228】
本発明の好ましい実施形態では、以下の式(46):
LUMO(E)-ELUMO(S)≧0.2eV (46)
によって表される関係が該当する。
【0229】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれるTADF材料Eは、エネルギーELUMO(E)を有する最低空分子軌道LUMO(E)を有し、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に含まれる小さいFWHMの発光体Sは、エネルギーELUMO(S)を有する最低空分子軌道LUMO(S)を有し、ここで、好ましくは:ELUMO(E)-ELUMO(S)≧0.2eVである。換言すると、ELUMO(E)とELUMO(S)とのエネルギー差は、好ましくは0.2eV以上である。
【0230】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、上に記載した式(1)~(23)、(29)~(33)、(38)~(40)、(44)および(45)によって表される2つ、3つ、3つ超またはすべての関係が該当し、ここで、このことは、これらの関係において参照されているすべての種が、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に好ましくは含まれることを示唆してはいないが、代わりに、任意の含まれている種を参照している列挙された関係の群から選択されるすべての関係が該当することが特に好ましいことを示唆している。例えば、n-ホストHが、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層Bのいずれかの中に含まれていない場合、n-ホストHを参照する関係が、この特定の事例には該当しないが、その一方で、それらが、n-ホストHが含まれているときはいつでも好ましくは該当することが理解される。
【0231】
本発明の特に好ましい実施形態では、上に記載した式(1)~(46)によって表される2つ、3つ、3つ超またはすべての関係が該当し、ここで、このことは、これらの関係を参照するすべての種が、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも1つの発光層B中に好ましくは含まれることを示唆してはいないが、代わりに、任意の含まれている種を参照する関係の群から選択されるすべての関係が該当することが特に好ましいことを示唆している。
【0232】
少なくとも1つの発光層Bの組成物
1種またはそれ以上のホストH(例えば、1種またはそれ以上のp-ホストHおよび/または1種またはそれ以上のn-ホストHおよび/または1種またはそれ以上のバイポーラホストHBP)、1種またはそれ以上のTADF発光体E、ならびに1種またはそれ以上のFWHMの発光体Sが、有機エレクトロルミネッセンス素子中に、任意の量および任意の比で含まれてもよい。
【0233】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中の少なくとも1つの発光層Bのそれぞれは、少なくとも1種のホスト材料H(より具体的には:Hおよび/またはHおよび/またはHBP)を、少なくとも1種のTADF材料Eよりも重量によって多く含む。
【0234】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中の少なくとも1つの発光層Bのそれぞれは、少なくとも1種のTADF材料Eを、少なくとも1種の小さいFWHMの発光体Sよりも重量によって多く含む。
【0235】
好ましい実施形態では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中、少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかは、
(i)30~89.9重量%の1種またはそれ以上のホスト化合物H
(ii)10~60重量%の1種またはそれ以上のTADF材料E;および
(iii)0.1~10重量%の1種またはそれ以上の小さいFWHMの発光体S;および場合により、
(iv)0~72重量%の1種またはそれ以上の溶媒
を含む(またはそれらからなる)。
【0236】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中でHが場合による好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかは、
(i)10~89.9重量%の1種またはそれ以上のp-ホスト化合物H;場合により
(ii)0~79.9重量%の1種またはそれ以上のn-ホスト化合物H
(iii)10~50重量%の1種またはそれ以上のTADF材料E;および
(iv)0.1~10重量%の1種またはそれ以上の小さいFWHMの発光体S;および場合により、
(v)0~72重量%の1種またはそれ以上の溶媒
を含む(またはそれらからなる)。
【0237】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中でHが場合によるさらにより好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bのうちのいずれかは、
(i)22~87.5重量%の1種またはそれ以上のp-ホスト化合物H;場合により、
(ii)0~65.5重量%の1種またはそれ以上のn-ホスト化合物H
(iii)12~40重量%の1種またはそれ以上のTADF材料E;および
(iv)0.5~5重量%の1種またはそれ以上の小さいFWHMの発光体S;および場合により、
(v)0~65.5重量%の1種またはそれ以上の溶媒
を含む(またはそれらからなる)。
【0238】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中でHが必要である別の好ましい実施形態では、発光層Bは、
(i)10~30重量%の1種またはそれ以上のp-ホスト化合物H
(ii)40~79.9重量%の1種またはそれ以上のn-ホスト化合物H
(iii)10~49重量%の1種またはそれ以上のTADF材料E;および
(iv)0.1~10重量%の1種またはそれ以上の小さいFWHMの発光体S;および場合により、
(v)0~34重量%の1種またはそれ以上の溶媒
を含む(またはそれらからなる)。
【0239】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子中でHが必要である別の好ましい実施形態では、発光層Bは、
(i)40~74重量%の1種またはそれ以上のp-ホスト化合物H
(ii)10~30重量%の1種またはそれ以上のn-ホスト化合物H
(iii)10~49重量%の1種またはそれ以上のTADF材料E;および
(iv)0.1~10重量%の1種またはそれ以上の小さいFWHMの発光体S;および場合により、
(v)0~34重量%の1種またはそれ以上の溶媒
を含む(またはそれらからなる)。
【0240】
前述したように、本発明による同じ有機エレクトロルミネッセンス素子中に場合により含まれる異なる発光層Bが、必ずしもすべて同じ材料を含まないこと、またはさらには同じ材料を同じ比で含まないことが理解される。
【0241】
一実施形態では、発光層は、本発明による有機分子を含むだけでなく、その三重項(T1)および一重項(S1)エネルギーレベルが、1つまたはそれ以上の有機分子の三重項(T1)および一重項(S1)エネルギーレベルよりもエネルギー的に高いホスト材料、具体的には、少なくとも1種のTADF材料Eおよび/または少なくとも1種のFWHMの発光体Sを含む。
【0242】
本発明のさらなる態様は、
(a)特に発光体および/またはホストの形態にある、本発明による少なくとも1種のFWHMの発光体S、ならびに
(b)本発明による有機分子とは異なる、(TADF材料Eを含めた)1つまたはそれ以上の発光体および/またはホスト材料H
(c)場合による1種またはそれ以上の染料および/または1種またはそれ以上の溶媒
を含むまたはそれらからなる組成物に関する。
【0243】
一実施形態では、発光層は、
(a)特に発光体および/またはホストの形態にある、本発明による少なくとも1種のFWHM発光体S、ならびに
(b)本発明による有機分子とは異なる、(TADF材料Eを含めた)1つまたはそれ以上の発光体および/またはホスト材料H、ならびに
(c)場合による1種またはそれ以上の染料および/または1種またはそれ以上の溶媒
を含むまたはそれらからなる組成物を含む(またはそれらから本質的になる)。
【0244】
一実施形態では、発光層EMLは、
(i)0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に1~3重量%の、本発明による1種またはそれ以上のFWHMの発光体S
(ii)5~99重量%、好ましくは15~85重量%、特に20~75重量%の少なくとも1種のホスト化合物H;および
(iii)本発明による分子の構造とは異なる構造を有する、0.9~94.9重量%、好ましくは14.5~80重量%、特定すると24~77重量%の少なくとも1種のさらなるホスト化合物D;および
(iv)場合により0~94重量%、好ましくは0~65重量%、特に0~50重量%の溶媒;および
(v)本発明による分子の構造とは異なる構造を有する、最大30重量%、特定すると最大20重量%、好ましくは最大5重量%の(TADF材料Eを含めた)少なくとも1種のさらなる発光体分子F
を含むまたはそれらからなる組成物を含む(またはそれらから本質的になる)。
【0245】
好ましくは、エネルギーは、本発明によるホスト化合物Hから1つまたはそれ以上のFWHMの発光体Sへ移動することができ、特に本発明Sによるホスト化合物Hの第1の三重項励起状態T1(H)から1つまたはそれ以上の有機分子の第1の三重項励起状態T1(S)へ移動することができ、かつ/または、本発明Sによるホスト化合物Hの第1の一重項励起状態S1(H)から1つまたはそれ以上の有機分子の第1の一重項励起状態S1(S)へ移動することができる。
【0246】
素子の構造
当業者であれば、少なくとも1つの発光層Bが、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子中に典型的に組み込まれることを認めることになる。好ましくは、このような有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも以下の層:少なくとも1つの発光層B、少なくとも1つのアノード層Aおよび少なくとも1つのカソード層Cを含む。
【0247】
好ましくは、少なくとも1つの発光層Bは、アノード層Aとカソード層Cとの間に位置する。したがって、一般的なセットアップは、好ましくはA-B-Cである。これは、当然ながら、1つまたはそれ以上の場合によるさらなる層の存在を排除するものではない。これらは、それぞれの、Aの側、Bの側および/またはCの側において存在することができる。
【0248】
好ましくは、アノード層Aは、基材の表面上に位置する。基材は、任意の材料または材料の組成物によって形成されうる。最も頻繁には、ガラススライドが基材として使用される。あるいは、薄い金属層(例えば、銅、金、銀もしくはアルミニウムの膜)またはプラスチックの膜もしくはスライドが、使用されうる。このことは、より高い可撓度を可能にすることができる。両方の電極のうちの少なくとも一方は、エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)からの発光を可能にするために(本質的に)透明であるべきである。通常、アノード層Aは、(本質的に)透明な膜を得ることを可能にする材料からほとんどがなる。好ましくは、アノード層Aは、大きい含有量の透明な伝導性酸化物(TCO)を含むまたはさらにはそれらからなる。
【0249】
このようなアノード層Aは、例示的に、酸化インジウムスズ、酸化アルミニウム亜鉛、蛍光酸化スズ、酸化インジウム亜鉛、PbO、SnO、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、グラファイト、ドープされたSi、ドープされたGe、ドープされたGaA、ドープされたポリアニリン、ドープされたポリピロールおよび/またはドープされたポリチオフェン、ならびにこれらの2種またはそれ以上の混合物を含んでもよい。
【0250】
特に好ましくは、アノード層Aは、酸化インジウムスズ(ITO)(例えば、(InO0.9(SnO0.1)から(本質的に)なる。透明の伝導性酸化物(TCO)によって引き起こされるアノード層Aの粗さは、正孔注入層(HIL)を使用することによって補うことができる。さらに、HILは、準電荷キャリア(すなわち正孔)の注入を促進することができ、これは、TCOから正孔輸送層(HTL)への準電荷キャリアの移動が促進される点においてである。正孔注入層(HIL)は、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホネート(PSS)、MoO、V、CuPCまたはCuI、特にPEDOTとPSSとの混合物を含むことができる。正孔注入層(HIL)はまた、アノード層Aから正孔輸送層(HTL)中への金属の拡散を防止することができる。HILは、例示的に、PEDOT:PSS(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート)、PEDOT(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)、mMTDATA(4,4’,4’’-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン)、スピロ-TAD(2,2’,7,7’-テトラキス(n,n-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン)、DNTPD(N1,N1’-(ビフェニル-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-ジ-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン)、NPB(N,N’-ビス-(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス-フェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン)、NPNPB(N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-[4-(N,N-ジフェニル-アミノ)フェニル]ベンジジン)、MeO-TPD(N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)-ベンジジン)、HAT-CN(1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル)および/またはスピロ-NPD(N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(1-ナフチル)-9,9’-スピロビフルオレン-2,7-ジアミン)を含んでもよい。
【0251】
アノード層Aまたは正孔注入層(HIL)に隣接して、典型的には正孔輸送層(HTL)が位置する。本明細書では、任意の正孔輸送化合物が使用されてもよい。例示的に、トリアリールアミンおよび/またはカルバゾールのような電子に富む芳香族複素環化合物が、正孔輸送化合物として使用されうる。HTLは、アノード層Aと発光層B(発光層(EML)として働く)との間のエネルギーバリアを減少させることができる。正孔輸送層(HTL)はまた、電子ブロッキング層(EBL)であってもよい。好ましくは、正孔輸送化合物は、それらの三重項状態T1の比較的高いエネルギーレベルを有する。例示的に、正孔輸送層(HTL)は、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、ポリ-TPD(ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニル-アミン))、[アルファ]-NPD(ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニル-アミン))、TAPC(4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、2-TNATA(4,4’,4’’-トリス[2-ナフチル(フェニル)-アミノ]トリフェニルアミン)、スピロ-TAD、DNTPD、NPB、NPNPB、MeO-TPD、HAT-CNおよび/またはTrisPcz(9,9’-ジフェニル-6-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール)のような星形の複素環を含んでもよい。加えて、HTLは、p-ドープされた層を含んでもよく、これは、有機正孔輸送マトリックス中、無機または有機ドーパントからなってもよい。酸化バナジウム、酸化モリブデンまたは酸化タングステンのような遷移金属酸化物が、例示的に、無機ドーパントとして使用されうる。テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)、銅-ペンタフルオロベンゾエート(Cu(I)pFBz)または遷移金属錯体が、例示的に、有機ドーパントとして使用されうる。
【0252】
EBLは、例示的に、mCP(1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン)、TCTA、2-TNATA、mCBP(3,3-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾール、トリス-Pcz、CzSi(9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール)および/またはDCB(N,N’-ジカルバゾリル-1,4-ジメチルベンゼン)を含んでもよい。
【0253】
少なくとも1つの発光層Bの組成物を上に記載してきた。本発明による1つまたはそれ以上の発光層Bのうちのいずれかは、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.1mm以下、さらにより好ましくは10μm以下、さらにより好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.1μm以下の厚さを有する。
【0254】
電子輸送層(ETL)中、任意の電子輸送体が使用されてもよい。例示的に、例えば、ベンゾイミダゾール、ピリジン、トリアゾール、オキサジアゾール(例えば1,3,4-オキサジアゾール)、ホスフィンオキシドおよびスルホンのような電子に乏しい化合物が使用されてもよい。例示的に、電子輸送体ETMはまた、1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル(TPBi)のような星形の複素環であってもよい。ETMは、例示的に、NBphen(2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Alq3(アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン))、TSPO1(ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド)、BPyTP2(2,7-ジ(2,2’-ビピリジン-5-イル)トリフェニル)、Sif87(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン)、Sif88(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン)、BmPyPhB(1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン)および/またはBTB(4,4’-ビス-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)]-1,1’-ビフェニル)であってもよい。場合により、電子輸送層は、Liq(8-ヒドロキシキノリノラトリチウム)のような材料でドープされてもよい。場合により、第2の電子輸送層が、電子輸送層とカソード層Cとの間に位置してもよい。電子輸送層(ETL)はまた、正孔をブロックしてもよく、または正孔ブロッキング層(HBL)が導入される。
【0255】
HBLは、例えば、HBM1:
【化43】
、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン=バトクプロイン)、BAlq(ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン)-(4-フェニルフェノキシ)アルミニウム)、NBphen(2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Alq3(アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン))、TSPO1(ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド)、T2T(2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、T3T(2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、TST(2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン)、DTST(2,4-ジフェニル-6-(3’-トリフェニルシリルフェニル)-1,3,5-トリアジン)、DTDBF(2,8-ビス(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)ジベンゾフラン)および/またはTCB/TCP(1,3,5-トリス(N-カルバゾリル)ベンゾール/1,3,5-トリス(カルバゾール)-9-イル)ベンゼン)を含んでもよい。
【0256】
電子輸送層(ETL)に隣接して、カソード層Cが位置してもよい。例示的に、カソード層Cは、金属(例えば、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、LiF、Ca、Ba、Mg、In、WもしくはPd)または金属合金を含んでもよくまたはそれらからなってもよい。実用的な理由のために、カソード層Cはまた、Mg、CaまたはAlのような(本質的に)不透明な金属からなってもよい。代替的にまたはこれらに加えて、カソード層Cはまた、グラファイトおよび/またはカーボンナノチューブ(CNT)を含んでもよい。あるいは、カソード層Cはまた、ナノスケールの銀ワイヤからなってもよい。
【0257】
好ましい実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも以下の層:
A)アノード層A、これは、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、PbO、SnO、グラファイト、ドープされたシリシウム、ドープされたゲルマニウム、ドープされたGaA、ドープされたポリアニリン、ドープされたポリピロール、ドープされたポリチオフェン、およびこれらの2種またはそれ以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有する;
B)発光層B、これは、本明細書で記載されている本発明による;ならびに
C)カソード層C、これは、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、In、W、Pd、LiF、Ca、Ba、Mg、およびそれらの2種またはそれ以上の混合物または合金からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有する
を含み、
ここで、発光層Bは、アノード層Aとカソード層Cとの間に位置する。
【0258】
一実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス素子がOLEDであるとき、それは、場合により、以下の層構造:
A)アノード層A、これは、例示的に酸化インジウムスズ(ITO)を含む;
HTL)正孔輸送層HTL;
B)発光層B、これは本明細書に記載されている本発明による;
ETL)電子輸送層ETL;ならびに
C)カソード層、例示的にAl、Caおよび/またはMgを含む
を含んでもよい。
好ましくは、ここでの層の順序は、A-HTL-B-ETL-Cである。
【0259】
さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子は、場合により、例示的に水分、蒸気および/または気体を含めた環境中の有害種に損傷を与える暴露から素子を保護する、1つまたはそれ以上の保護層を含んでもよい。
【0260】
エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)は、さらに、場合により、電子輸送層(ETL)Dとカソード層C(これは、電子注入層(EIL)と称されうる)との間に、保護層を含んでもよい。この層は、フッ化リチウム、フッ化セシウム、銀、Liq(8-ヒドロキシキノリノラトリチウム)、LiO、BaF、MgOおよび/またはNaFを含みうる。
【0261】
別段の指定がない限り、多様な実施形態の層のうちのいずれかは、任意の好適な方法によって堆積されうる。発光層Bを含めた本発明の文脈における層は、場合により、液体処理(「膜処理」、「流体処理」、「溶液処理」または「溶媒処理」とも称される)の手段によって製造されてもよい。このことは、それぞれの層中に含まれる成分が、素子の一部の表面に、液状において適用されることを意味する。好ましくは、発光層Bを含めた本発明の文脈における層は、スピンコーティングの手段によって製造されてもよい。当業者に周知のこの方法は、薄くかつ(本質的に)均質な層を得ることを可能にする。
【0262】
あるいは、少なくとも1つの発光層Bを含めた本発明の文脈における層は、例えば、流延法(例えば滴下流延法)およびローリング法、ならびにプリンティング法(例えばインクジェットプリンティング、グラビアプリンティング、ブレードコーティング)のような液体処理に基づく他の方法によって製造されてもよい。これは、場合により、不活性雰囲気中で(例えば窒素雰囲気中で)で実施されうる。
【0263】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発光層Bを含めた本発明の文脈における層は、例えば熱(共)蒸留、有機気相体積(OVPD)および有機蒸気ジェットプリンティング(OVJP)による堆積のような、当業者に周知の真空処理方法が挙げられるがこれらに限定されない当技術分野で公知の任意の他の方法によって製造されてもよい。
【0264】
液体処理の手段によって層を製造するとき、層の成分を含む溶液(すなわち、本発明の発光層Bに関して、少なくとも1種のホスト化合物H、少なくとも1種のTADF材料Eおよび少なくとも1種の小さいFWHMの発光体S)は、揮発性有機溶媒をさらに含んでもよい。このような有機溶媒は、場合により、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、ガンマ-ブチロラクトン、N-メチルピロリジノン、エトキシエタノール、キシレン、トルエン、アニソール、フェネトール、アセトニトリル、テトラヒドロチオフェン、ベンゾニトリル、ピリジン、トリヒドロフラン、トリアリールアミン、シクロヘキサノン、アセトン、炭酸プロピレン、酢酸エチル、ベンゼンおよびPGMEA(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)からなる群から選択される1種であってもよい。さらに、2種またはそれ以上の溶媒の組合せが使用されてもよい。液状において適用された後、層は、続けて、当技術分野の任意の手段によって、例示的に周囲条件にて、昇温(例えば約50℃もしくは約60℃)にて、または減圧下で、乾燥されてもよくかつ/または硬化されてもよい。
【0265】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、概して、5mm以下、2mm以下、1mm以下、0.5mm以下、0.25mm以下、100μm以下、または10μm以下の厚さの薄層を形成することもできる。
【0266】
有機エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)は、小サイズ(例えば、5mm以下、さらには1mm以下の表面を有する)、中程度のサイズ(例えば0.5~20cmの範囲内の表面を有する)または大サイズ(例えば20cm超の表面を有する)でありうる。本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)は、場合により、大面積の光照射装置として、ルミネッセンス壁紙として、ルミネッセンス窓枠またはガラスとして、ルミネッセンス標識として、ルミネッセンス提示物または可撓性スクリーンもしくはディスプレイとしての、スクリーンを生成するために使用することができる。通常の使用に次いで、有機エレクトロルミネッセンス素子(例えばOLED)は、例示的にまた、ルミネッセンス膜、「スマートパッケージング」標識または革新的なデザイン要素としても使用することができる。さらに、それらは、細胞検出および試験のために(例えば生物標識として)使用可能である。
【0267】
さらなる定義および情報
全体にわたって使用される場合、本発明の文脈における「層」という用語は、好ましくは、広範に平面な幾何形状を有する本体を指す。
【0268】
本明細書で使用される場合、有機電界発光素子および光電子工学発光素子という用語は、1つまたはそれ以上の発光層Bを含む任意の素子として最も広い意味で理解することができ、各々は、少なくとも1種のホスト材料H、少なくとも1種のTADF材料E、および少なくとも1種の小さいFWHM発光体Sを含み、これらのすべてについて、上述されている定義が当てはまる。
【0269】
有機電界発光素子は、可視または最近紫外(UV)範囲において、すなわち、380nmから800nmの波長範囲において光を発するのに適当である有機材料に基づく任意の素子として最も広い意味で理解することができる。より好ましくは、有機電界発光素子は、可視範囲、すなわち、400nmから800nmにおいて光を発することができ得る。
【0270】
本発明の好ましい実施形態では、有機電界発光素子は、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池(LEC)および発光トランジスタからなる群から選択される素子である。
【0271】
特に好ましくは、有機電界発光素子は、有機発光ダイオード(OLED)である。場合により、有機電界発光素子は全体として、不透明、半透明または(基本的に)透明であってよい。
【0272】
本出願の全体にわたって使用される場合、「芳香族環系」という用語は、任意の二環式または多環式芳香族部分として最も広い意味で理解することができ、これについて、以下の定義が当てはまる。
【0273】
本出願の全体にわたって使用される場合、「アリール」および「芳香族」という用語は、最も広い意味で、任意の単環式、二環式または多環式芳香族部分として理解することができる。したがって、アリール基は、6個から60個の芳香族環原子を含有し、ヘテロアリール基は、5個から60個の芳香族環原子を含有し、このうち少なくとも1個はヘテロ原子である。にもかかわらず、本出願の全体にわたって、芳香族環原子の数は、ある特定の置換基の定義における下付の数字として与えられている。特に、ヘテロ芳香族環は、1個から3個のヘテロ原子を含む。再び、「ヘテロアリール」および「複素芳香族の」という用語は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む任意の単環式、二環式または多環式ヘテロ-芳香族部分として最も広い意味で理解することができる。ヘテロ原子は、各出現で同じまたは異なっていてよく、個々にN、OおよびSからなる群から選択される。したがって、「アリーレン」という用語は、他の分子構造に対して2つの結合部位を有し、それによって、リンカー構造として働く二価の置換基を指す。例証的な実施形態における基が、ここで与えられている定義と異なって定義されている場合、例えば、芳香族環原子の数またはヘテロ原子の数が、与えられている定義と異なる場合、例証的な実施形態における定義が適用されるべきである。本発明によれば、縮合(環化)芳香族多環または複素芳香族多環は、縮合反応を介して多環を形成した2個以上の単一の芳香族環または複素芳香族環で構成される。
【0274】
特に、本出願の全体にわたって使用される場合、「アリール基」または「ヘテロアリール基」という用語は、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンツピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン;ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジノイミダゾール、キノキサリノイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、1,3,5-トリアジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、カルボリン、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3,4-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾール、または上に記述されている基の組合せから誘導される、芳香族基または複素芳香族基の任意の位置を介して結合される基を含む。
【0275】
本出願の全体にわたって使用される場合、「環式基」という用語は、任意の単環式、二環式または多環式部分として最も広い意味で理解することができる。
【0276】
上記および本明細書において使用される場合、「アルキル基」という用語は、任意の線状、分岐または環式アルキル置換基として最も広い意味で理解することができる。特に、アルキルという用語は、置換基メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、i-プロピル(iPr)、シクロプロピル、n-ブチル(nBu)、i-ブチル(iBu)、s-ブチル(sBu)、t-ブチル(tBu)、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオ-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、neo-ヘキシル、シクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、シクロヘプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2,2,2]オクチル、2-ビシクロ[2,2,2]-オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、アダマンチル、2,2,2-トリフルオルエチル、1,1-ジメチル-n-へキサ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-デカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ドデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-テトラデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘキサデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-へキサ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-デカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ドデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-テトラデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタデカ-1-イル、1-(n-プロピル)-シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ブチル)-シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ヘキシル)-シクロヘキサ-1-イル、1-(n-オクチル)-シクロヘキサ-1-イルおよび1-(n-デシル)-シクロヘキサ-1-イルを含む。
【0277】
上記および本明細書において使用される場合、「アルケニル」という用語は、線状、分岐および環式アルケニル置換基を含む。アルケニル基という用語は、例として、置換基エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを含む。
【0278】
上記および本明細書において使用される場合、「アルキニル」という用語は、線状、分岐および環式アルキニル置換基を含む。アルキニル基という用語は、例として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを含む。
【0279】
上記および本明細書において使用される場合、「アルコキシ」という用語は、線状、分岐および環式アルコキシ置換基を含む。アルコキシ基という用語は、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシおよび2-メチルブトキシを含む。
【0280】
上記および本明細書において使用される場合、「チオアルコキシ」という用語は、線状、分岐および環式チオアルコキシ置換基を含み、ここで、例としてアルコキシ基のOは、Sによって置き換えられている。
【0281】
上記および本明細書において使用される場合、「ハロゲン」および「ハロ」という用語は、好ましくはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であるとして最も広い意味で理解することができる。
【0282】
水素(H)が本明細書において記述されている場合は常に、それは各出現で重水素によって置き換えることもできる。
【0283】
分子断片が、置換基であるまたはそうでなければ別の部分に付着されていると記載されている場合、その名前は、それが断片(例えば、ナフチル、ジベンゾフリル)であるかのようにまたはそれが全体の分子(例えば、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるかのように書くことができると理解される。本明細書で使用される場合、置換基または付着断片を指定するこれらの異なるやり方は、同等であると考えられる。
【0284】
別段に明記されていない限り、百分率は、重量百分率((重量/重量)、(w/w)、wt.%)を指す。
【0285】
ホスト化合物H(より具体的:HおよびH)について、第1の三重項励起状態T1のエネルギーは、典型的には、別段に明記されていない限りホスト材料Hのニート膜中で測定される1msの遅延時間および1msの積分時間にて、77Kで時間ゲート発光スペクトルの開始から決定される。
【0286】
TADF材料Eについて、第1の三重項励起状態T1のエネルギーは、典型的には、別段に明記されていない限り発光体10重量%を有するポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の膜中で測定される1msの遅延時間および1msの積分時間にて、77Kで時間ゲート発光スペクトルの開始から決定される。
【0287】
小さい半値全幅(FWHM)発光体Sについて、第1の三重項励起状態T1のエネルギーは、典型的には、別段に明記されていない限り発光体1重量%から5重量%、特に1重量%を有するポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の膜で測定される1msの遅延時間および1msの積分時間にて、77Kで時間ゲート発光スペクトルの開始から決定される。
【0288】
軌道および励起状態エネルギーは、当業者に知られている実験方法の手段によって決定することができる。実験的に、最高被占分子軌道EHOMOのエネルギーは、0.1eVの精度でサイクリックボルタンメトリー測定から、当業者に知られている方法によって決定される。最低空分子軌道ELUMOのエネルギーは、EHOMO+Egapとして算出され、ここで、Egapは、以下の通りに決定される:
【0289】
ホスト化合物H(より具体的:HおよびH)について、第1の一重項励起状態S1のエネルギーに対応する、ホスト材料のニート膜の発光の開始は、別段に明記されていない限り、Egapとして使用される。
【0290】
TADF材料Eについて、第1の一重項励起状態S1のエネルギーに対応する、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)中におけるTADF材料10重量%を有する膜の発光の開始は、別段に明記されていない限り、Egapとして使用される。
【0291】
小さい半値全幅(FWHM)発光体Sについて、第1の一重項励起状態S1のエネルギーに対応する、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)における小さい半値全幅(FWHM)発光体S1重量%から5重量%、特に1重量%を有する膜の発光の開始は、別段に明記されていない限り、Egapとして使用される。
【0292】
本明細書で使用される場合、特別な文脈においてより具体的に定義されていないならば、発光および/または吸収された光の色の指定は、以下の通りである:
バイオレット色:>380~420nmの波長範囲;
藍色:>420~475nmの波長範囲;
スカイブルー色:>475~500nmの波長範囲;
緑色:>500~560nmの波長範囲;
黄色:>560~580nmの波長範囲;
オレンジ色:>580~620nmの波長範囲;
赤色:>620~800nmの波長範囲。
【0293】
別段に明記されていない限り、小さいFWHM発光体Sに関して、こうした色は、発光体S2重量%を有するポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)膜の発光最大λmax PMMAを指す。TADF材料Eについて、こうした色は、別段に明記されていない限り、10%を有するポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)膜の発光最大λmax PMMAを指す。
【実施例
【0294】
サイクリックボルタンメトリー
ジクロロメタンまたは適当な溶媒および適当な支持電解質(例えば、0.1mol/lのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート)中で10-3mol/lの有機分子の濃度を有する溶液のサイクリックボルタモグラムを測定した。測定は、3電極アセンブリ(作用および対向電極:Ptワイヤ、参照電極:Ptワイヤ)を用いて室温および窒素雰囲気下で行い、内部標準としてFeCp/FeCp を使用して較正した。SCEに対する内部標準としてフェロセンを使用して、HOMOデータを補正した。
【0295】
密度汎関数理論算出
BP86関数およびリゾリューションオブアイデンティティ(resolution of identity)手法(RI)を用いて、分子構造を最適化した。Time-Dependent DFT(TD-DFT)方法を用いる(BP86)最適化構造を使用して、励起エネルギーを算出した。B3LYP関数を用いて、軌道および励起状態エネルギーを算出した。Def2-SVP基本セットおよびm4グリッドを数値積分のために使用した。Turbomoleプログラムパッケージをすべての算出で使用した。
【0296】
光物理的測定
試料前処理:スピンコーティング
器具:スピン150、SPS euro。
適当な溶媒を中に溶解させた試料濃度は、10mg/mlであった。
【0297】
プログラム:1)400U/minで3秒;1000Upm/sで1000U/minで20秒。3)1000Upm/sで4000U/minで10秒。コーティング後、膜を70℃で1分間試行した。
【0298】
フォトルミネッセンス分光法およびTCSPC(時間相関単一光子計数)
150W Xenon-Arcランプ、励起および発光単色光分光器ならびにHamamatsu R928光電子増倍器が備えられているHoriba Scientific、Modell FluoroMax-4、ならびに時間相関単一光子計数オプションを使用して、定常状態発光分光法を記録した。標準的な補正フィットを使用して、発光および励起スペクトルを補正した。
【0299】
FM-2013装置およびHoriba Yvon TCSPCハブを用いるTCSPC方法を使用する同じシステムを用いて、励起状態寿命を決定した。
励起光源:
NanoLED370(波長:371nm、パルス持続期間:1.1ns)
NanoLED290(波長:294nm、パルス持続期間:<1ns)
SpectraLED310(波長:314nm)
SpectraLED355(波長:355nm)。
【0300】
ソフトウェア一式DataStationおよびDAS6分析ソフトウェアを使用して、データ分析(指数関数フィット)を行った。カイ二乗試験を使用して、フィットを特定した。
【0301】
フォトルミネッセンス量子収率測定
フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)測定のため、絶対PL量子収率測定C9920-03Gシステム(Hamamatsu Photonics)を使用した。ソフトウェアU6039-05バージョン3.6.0を使用して、量子収率およびCIE座標を決定した。
【0302】
発光最大はnmで、量子収率Φは%で、およびCIE座標はx、y値として示した。
【0303】
以下のプロトコールを使用して、PLQYを決定した:
1)品質保証:エタノール中のアントラセン(公知濃度)を参照として使用した
2)励起波長:有機分子の吸収最大値を決定し、この波長を使用して、分子を励起した
3)測定
溶液または膜の試料について窒素雰囲気下で、量子収率を測定した。以下の等式を使用して、収率を算出した:
【数1】
式中、nphotonは光子計数を示し、Int.は強度である。
【0304】
有機エレクトロルミネッセンス素子の生成および特徴付け
真空堆積方法を介して、本発明による有機分子を含むOLED素子を生成することができた。層が1種超の化合物を含有しているならば、1種またはそれ以上の化合物の重量百分率を%で示した。総重量百分率値は100%に達し、したがって、値が示されていないならば、この化合物の画分は、所与の値と100%との間の差異に等しい。
【0305】
標準的方法を使用して、およびエレクトロルミネッセンススペクトル、フォトダイオードによって検出された光を使用して算出された強度に依存性の外部量子効率(%で)、および電流を測定して、非完全に最適化されたOLEDを特徴付けた。定電流密度で作動中の輝度の変化から、OLED素子寿命を抽出した。LT50値は時間に対応し、ここで、測定された輝度は初期輝度の50%に減少し、同様に、LT80は、測定された輝度が初期輝度の80%に減少した時点に、LT97は、測定された輝度が初期輝度の97%などに減少した時点に対応した。
【0306】
加速寿命測定を行った(例えば、増加させた電流密度を適用する)。例として、以下の等式を使用して、500cd/mでのLT80値を決定した:
【数2】
式中、Lは、適用電流密度での初期輝度を示す。
【0307】
値は、いくつか(典型的には、2つから8つ)のピクセルの平均に対応し、これらのピクセル間の標準偏差を示した。図は、1つのOLEDピクセルに関するデータ系列を示す。
【0308】
実験結果
スタック材料
【化44】
【0309】
ホスト材料H(ここでは、例えばp-ホストH
【化45】
【0310】
【表1】
【0311】
TADF材料E
【化46-1】
【化46-2】
【0312】
【表2】
【0313】
小さいFWHM発光体S
【化47-1】
【化47-2】
【0314】
【表3】
【0315】
【表4】
【0316】
本発明の結果を評価するために、比較実験を行い、ここで、発光層(6)の組成物だけを変動させた。
【0317】
結果I:ホストH(p-ホストHとして例証される)の変動および発光体S
発光層Bの組成物(百分率は、重量パーセントを指す):
【表5】
【0318】
=E-10およびH=mCBPについての素子結果:
【表6】
【0319】
=E-10およびH=PYD2についての素子結果:
【表7】
【0320】
結果II:ホストHおよびTADF Eの変動
発光層Bの設定(百分率は、重量パーセントを指す):
【表8】
【0321】
=S-1およびH=mCBPについての素子結果:
【表9】
【0322】
=S-1およびH=PYD2についての素子結果:
【表10】
【0323】
としてmCBPおよびEとしてE-10を含む、ホスト、TADF発光体およびFWHM発光体(H型素子)の組合せを使用するすべての電界発光素子に関して、比較T型素子と比較した場合に、発光体S-1については374%の相対寿命の延長(1.00から4.74)を観察することができ、発光体S-2については188%の相対寿命の延長(1.00から2.88)を観察することができ、発光体S-3については193%の相対寿命の延長(1.00から2.93)を観察することができ、一方、効率(EQE)は、ほぼ一定に留まった。
【0324】
さらに、HとしてmCBPおよびEとしてE-10を使用するすべてのH型素子に関して、比較T型素子と比較した場合に、発光体S-1については47%の半値全幅(FWHM)の減少(76nmから36nm)を観察することができ、発光体S-2については47%のFWHMの減少(76nmから36nm)を観察することができ、発光体S-3については47%のFWHMの減少(76nmから40nm)を観察することができた。HとしてmCBP、EとしてE-10、およびSとしてS-1、S-2またはS-3を使用するすべてのH型およびT型素子は、500nmから560nmの所望の緑色波長範囲で、510nmから550nmのより好ましい範囲でさえ発光最大を呈した。
【0325】
としてPYD2およびEとしてE-10を使用するすべてのH型素子に関して、比較T型素子と比較した場合に、発光体S-1については603%の相対寿命の延長(1.00から7.03)を観察することができ、発光体S-2については303%の相対寿命の延長(1.00から4.03)を観察することができ、発光体S-3については58%の相対寿命の延長(1.00から1.58)を観察することができ、一方、効率(EQE)は、ほぼ一定に留まった。さらに、HとしてPYD2およびEとしてE-10を使用するすべてのH型素子に関して、比較T型素子と比較した場合に、発光体S-1については46%の半値全幅(FWHM)の減少(78nmから42nm)を観察することができ、発光体S-2については46%のFWHMの減少(78nmから42nm)を観察することができ、発光体S-3については46%のFWHMの減少(78nmから42nm)を観察することができた。HとしてPYD2、EとしてE-10、およびSとしてS-1、S-2またはS-3を使用するすべてのH型およびT型素子は、500nmから560nmの所望の緑色波長範囲で、510nmから550nmのより好ましい範囲でさえ発光最大を呈した。
【0326】
としてmCBPおよびSとしてS-1を使用するすべてのH型素子に関して、それぞれの比較T型素子と比較した場合に、E-1の使用については89%の相対寿命の延長(1.00から1.89)を観察することができ、E-3については120%の相対寿命の延長(0.59から1.79)を観察することができ、E-4については120%の相対寿命の延長(1.09から2.29)を観察することができ、E-8については700%の相対寿命の延長(2.20から9.20)を観察することができ、E-8については859%の相対寿命の延長(2.29から10.88)を観察することができ、一方、効率(EQE)は、ほぼ一定に留まった。さらに、HとしてmCBPおよびSとしてS-1を使用するすべてのH型素子に関して、それぞれの比較T型素子と比較した場合に、E-1については23%の半値全幅(FWHM)の減少(86nmから68nm)を観察することができ、E-3については53%のFWHMの減少(76nmから36nm)を観察することができ、E-4については50%のFWHMの減少(80nmから40nm)を観察することができ、E-8については46%のFWHMの減少(78nmから42nm)を観察することができ、E-10については53%のFWHMの減少(76nmから36nm)を観察することができた。HとしてmCBP、SとしてS-1、およびEとしてE-1、E-3、E-4、E-8またはE-10を使用するすべてのH型およびT型素子は、500nmから560nmの所望の緑色波長範囲で、510nmから550nmのより好ましい範囲でさえ発光最大を呈した。
【0327】
としてPYD2およびSとしてS-1を使用するすべてのH型素子に関して、それぞれの比較T型素子と比較した場合に、E-3の使用については399%の相対寿命の延長(1.00から4.99)を観察することができ、E-4については590%の相対寿命の延長(1.86から7.76)を観察することができ、E-5については120%の相対寿命の延長(0.44から2.37)を観察することができ、E-6については136%の相対寿命の延長(1.08から2.44)を観察することができ、E-8については781%の相対寿命の延長(2.56から10.37)を観察することができ、E-10については981%の相対寿命の延長(1.63から11.44)を観察することができ、一方、効率(EQE)における有意な変化は観察されなかった。さらに、HとしてPYD2およびSとしてS-1を使用するすべてのH型素子に関して、それぞれの比較T型素子と比較した場合に、E-3については47%の半値全幅(FWHM)の減少(76nmから40nm)を観察することができ、E-4については48%のFWHMの減少(80nmから42nm)を観察することができ、E-5については46%のFWHMの減少(78nmから42nm)を観察することができ、E-6については47%のFWHMの減少(75nmから40nm)を観察することができ、E-8については45%のFWHMの減少(76nmから42nm)を観察することができ、E-10については47%のFWHMの減少(78nmから42nm)を観察することができた。HとしてPYD2、SとしてS-1、およびEとしてE-3、E-4、E-5、E-5、E-8またはE-10を使用するすべてのH型およびT型素子は、500nmから560nmの所望の緑色波長範囲で、510nmから550nmのより好ましい範囲でさえ発光最大を呈した。
【0328】
本発明による有機電界発光素子の追加例:
【0329】
実施例D1
小さいFWHM発光体S-1を、その上、以下の層構造で製作されたOLED D1において試験した:
【表11】
【0330】
【化48】
【0331】
OLED D1は、1000cd/mで16.1%の外部量子効率(EQE)を得た。発光最大は、7.6Vで38nmのFWHMにて532nmにあった。対応するCIEx値は0.32であり、CIEy値は0.65であった。1200cd/mで1522hのLT95値を決定した。
【0332】
実施例D2
小さいFWHM発光体S-1を、その上、以下の層構造で製作されたOLED D2において試験した:
【表12】
【0333】
OLED D2は、1000cd/mで17.7%の外部量子効率(EQE)を得た。発光最大は、7.6Vで36nmのFWHMにて532nmにあった。対応するCIEx値は0.31であり、CIEy値は0.65であった。1200cd/mで2006hのLT95値を決定した。
【0334】
実施例D3
小さいFWHM発光体S-1を、その上、以下の層構造で製作されたOLED D3において試験した:
【表13】
【0335】
OLED D3は、1000cd/mで20.2%の外部量子効率(EQE)を得た。発光最大は、7.6Vで38nmのFWHMにて532nmにあった。対応するCIEx値は0.32であり、CIEy値は0.65であった。1200cd/mで1866hのLT95値を決定した。
【0336】
実施例D4
小さいFWHM発光体S-3を、その上、以下の層構造で製作されたOLED D4において試験した:
【表14】
【0337】
OLED D4は、1000cd/mで16.3%の外部量子効率(EQE)を得た。発光最大は、7.0Vで40nmのFWHMにて516nmにあった。対応するCIEx値は0.27であり、CIEy値は0.65であった。1200cd/mで1162hのLT95値を決定した。