(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】プッシャープロペラを備えた航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 29/00 20060101AFI20250207BHJP
B64C 5/00 20060101ALI20250207BHJP
B64C 11/00 20060101ALI20250207BHJP
B64D 11/00 20060101ALI20250207BHJP
B64D 27/31 20240101ALI20250207BHJP
B64D 27/34 20240101ALI20250207BHJP
【FI】
B64C29/00 A
B64C5/00
B64C11/00
B64D11/00
B64D27/31
B64D27/34
(21)【出願番号】P 2022548457
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 US2021017497
(87)【国際公開番号】W WO2021201991
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-02-06
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520504231
【氏名又は名称】ウィスク アエロ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティグ、ジェイムズ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】タルノトズキー、ウリ
(72)【発明者】
【氏名】ロング、ジェフリー アラン
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0105268(US,A1)
【文献】特開2017-159888(JP,A)
【文献】特表2017-507843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0033890(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 5/00- 5/18
B64C 11/00-11/50
B64C 13/18
B64C 29/00-29/04
B64D 11/00-11/06
B64D 27/24-27/359
B64U 10/20
G05D 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と;
高翼構成で前記胴体の上側部分の両側に連結されている1対の翼と;
前記1対の翼に連結されている複数のリフトファンアッセンブリであって、前記複数のリフトファンアッセンブリは、
固定された位置に装着されており、垂直方向の揚力を常に生成させるように構成されている固定された配向を有しており、前記複数のリフトファンアッセンブリは、第1の平面の中で回転するように構成されている第1のローターブレードを備えた1つまたは複数のリフトファンアッセンブリの第1のサブセット、および、前記第1の平面と平行である第2の平面の中で回転するように構成されている第2のローターブレードを備えた1つまたは複数のリフトファンアッセンブリの第2のサブセットを含む、複数のリフトファンアッセンブリと;
前記胴体のテーリング端部に連結されている1つまたは複数のプッシャープロペラであって、前記1つまたは複数のプッシャープロペラは、
固定された位置に装着されており、水平方向の推力を常に生成させるように構成されている
固定された配向を有している、1つまたは複数のプッシャープロペラと
を含む、航空機。
【請求項2】
前記第1の平面および前記第2の平面は、垂直方向に対してそれぞれ角度を付けられており、前記複数のリフトファンアッセンブリは、直接的に垂直方向である正味の垂直方向の推力を一緒に作り出し、前記複数のリフトファンアッセンブリおよび前記1つまたは複数のプッシャープロペラは、前記
正味の垂直方向の
推力が前記
水平方向の推力と方向的に直交するように構成されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記複数のリフトファンアッセンブリは、前記第1の平面と比較して反対側方向に角度を付けられている第3の平面の中で回転するように構成されている第3のローターブレードを備えた1つまたは複数のリフトファンアッセンブリの第3のサブセットをさらに含む、請求項1に記載の航空機。
【請求項4】
前記航空機は、前記複数のリフトファンアッセンブリおよび前記1つまたは複数のプッシャープロペラを互いに独立して制御するように構成可能な制御システムをさらに含
み、前記制御システムは、フライトインストラクション、前記航空機に連結されているセンサーから受信されたフライトデータ、または、遠隔エンティティーから受信された信号のうちの1つまたは複数に基づいて、前記複数のリフトファンアッセンブリまたは前記1つまたは複数のプッシャープロペラを活性化または非活性化させるように構成可能である、請求項1に記載の航空機。
【請求項5】
前記航空機は、ティルティングファンを含まず、前記1つまたは複数のプッシャープロペラは、前方方向の水平方向の推力および逆方向の水平方向の推力の両方を生成させるように構成されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項6】
前記複数のリフトファンアッセンブリのそれぞれは、同じ方向に垂直方向の推力を提供
し、1つまたは複数のリフトファンアッセンブリの前記第1のサブセットの前記第1のローターブレードは、第1の迎え角で第1の方向に回転するように構成されており、1つまたは複数のリフトファンアッセンブリの前記第2のサブセットの前記第2のローターブレードは、第2の迎え角で第2の方向に回転するように構成されており、前記第2の方向は、前記第1の方向とは反対であり、前記第2の迎え角は、前記第1の迎え角とは反対である、請求項1に記載の航空機。
【請求項7】
前記胴体は、乗客または貨物のために構成されているキャビンを含み、
前記第1の平面および前記第2の平面の両方は、前記キャビンに交差することなく、前記キャビンの上方に位置決めされて
おり、前記1つまたは複数のプッシャープロペラの回転平面は、前記キャビンに交差することなく前記キャビンの後ろに位置決めされており、前記キャビンは、前記1つまたは複数のプッシャープロペラに対して前記胴体の反対側端部において、前記胴体の前部の近くに位置決めされている、請求項
1に記載の航空機。
【請求項8】
前記航空機は、前記胴体の後方端部に連結されているVテールの形態の水平安定板をさらに含み、前記1つまたは複数のプッシャープロペラは、前記水平安定板に連結されている、請求項1に記載の航空機。
【請求項9】
前記胴体は、乗客または貨物のために構成されているキャビンを含み、前記航空機は、前記胴体の後方端部に連結されているVテールの形態の水平安定板をさらに含み、前記Vテールは、
第1の角度で突出する第1の安定板翼面および
前記第1の角度とは反対の第2の角度で突出する第2の安定板翼面を含み、前記1つまたは複数のプッシャープロペラは、第1のプッシャープロペラ
、第2のプッシャープロペラ
、および第3のプッシャープロペラを含み、前記第1のプッシャープロペラは、
前記キャビンの後ろにあり前記キャビンと交差しない第3の回転平面において、第1のプロペラブレードが前記第1の安定板翼面の前部に位置決めされた状態で、前記第1の安定板翼面に連結されており、前記第2のプッシャープロペラは、
前記キャビンの後ろにあり前記キャビンと交差しない第4の回転平面において、第2のプロペラブレードが前記第2の安定板翼面の前部に位置決めされた状態で、前記第2の安定板翼面に連結されて
おり、前記第3のプッシャープロペラは、前記キャビンの後ろにあり前記キャビンと交差しない第5の回転平面において、第3のプロペラブレードが前記胴体の後ろに位置決めされた状態で、前記胴体のテーリング端部の後部端部に連結されており、前記第1のプロペラブレードおよび前記第2のプロペラブレードは、1つまたは複数のリフトファンアッセンブリの前記第1のサブセットの前記第1の平面の上方に位置決めされている、請求項1に記載の航空機。
【請求項10】
前記航空機は、前記1対の翼の下側に連結されている複数の支持構造体をさらに含み、それぞれの支持構造体は、前記1対の翼の前方に延在する前方端部と、前記1対の翼の後部に延在する後部端部とを有して
おり、前記複数の支持構造体のそれぞれは、同一であり、前記1対の翼の上の位置間で相互交換である、請求項1に記載の航空機。
【請求項11】
前記複数のリフトファンアッセンブリのうちの1対のリフトファンアッセンブリは、前記複数の支持構造体のうちの少なくとも1つの反対側端部に連結されている、請求項10に記載の航空機。
【請求項12】
前記航空機は、前記複数のリフトファンアッセンブリおよび前記1つまたは複数のプッシャープロペラに給電するように構成されている複数のバッテリーセルを
それぞれ含む複数のバッテリーユニットをさらに含
み、前記複数のリフトファンアッセンブリのそれぞれは、前記複数の支持構造体のうちの対応する支持構造体において位置付けられている前記複数のバッテリーユニットのそれぞれの専用のバッテリーユニットに連結されており、前記1つまたは複数のプッシャープロペラのそれぞれは、前記胴体の中に位置付けられている前記複数のバッテリーユニットのそれぞれの専用のバッテリーユニットに連結されている、請求項
11に記載の航空機。
【請求項13】
前記複数のリフトファンアッセンブリのそれぞれは、電気モーター駆動ローターを含み、
前記胴体は、前記胴体の前縁部の近くのエンジンから前記1つまたは複数のプッシャープロペラまで延在するドライブシャフトを含み、少なくとも6つのリフトファンアッセンブリは、前記1対の翼のそれぞれに連結されて
おり、前記1対の翼は、ウィングレットを含む、請求項1に記載の航空機。
【請求項14】
航空機に連結されている制御システムによって、離陸するためのフライトインストラクションを受信するステップと;
前記制御システムによって、前記航空機に連結されている複数のリフトファンアッセンブリを活性化させるステップであって、前記複数のリフトファンアッセンブリは、
固定された位置に装着されており、垂直方向の離着陸のために垂直方向の揚力を
常に生成させるように構成されている
固定された配向を有しており、前記複数のリフトファンアッセンブリは、第1の平面の中で回転するように構成されている第1のローターブレードを備えた1つまたは複数のリフトファンアッセンブリの第1のサブセット、および、前記第1の平面と平行である第2の平面の中で回転するように構成されている第2のローターブレードを備えた1つまたは複数のリフトファンアッセンブリの第2のサブセットを含む、ステップと;
前記制御システムによって、前記複数のリフトファンアッセンブリを制御し
、地面の上の静止した位置から前記航空機が垂直方向に出発するように、垂直方向の揚力を生成させるステップと;
前記制御システムによって、前記航空機
の胴体のテーリング端部に連結されている1つまたは複数のプッシャープロペラを活性化させるステップであって、前記1つまたは複数のプッシャープロペラは、
固定された位置に装着されており、水平方向の推力を
常に生成させるように構成されている
固定された配向を有している、ステップと;
前記制御システムによって、前記1つまたは複数のプッシャープロペラを制御し、前記航空機が前方速度を得るように
水平方向の推力を生成させるステップと;
所定の量の前方速度が得られた後に、前記制御システムによって、前記複数のリフトファンアッセンブリに提供される電力を非活性化させるかまたは低減させるステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記方法は、前記制御システムによって、前記複数のリフトファンアッセンブリを制御し、前方速度を徐々に得ることと協調して、減少する量の垂直方向の揚力を徐々に作り出すステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
前記制御システムによって、ホバリングまたは着陸するためのフライトインストラクションを受信するステップと;
前記制御システムによって、前記複数のリフトファンアッセンブリを再活性化させるステップと;
前記制御システムによって、前記1つまたは複数のプッシャープロペラを制御し、減少する量の
水平方向の推力を作り出し、前方速度を低減させるステップと;
前記制御システムによって、前記複数のリフトファンアッセンブリを制御し、前方速度が徐々に低減することと協調して、減少する量の垂直方向の揚力を徐々に作り出すステップと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記制御システムは、フライトインストラクション、前記航空機に連結されているセンサーから受信されたフライトデータ、または、遠隔エンティティーから受信された信号のうちの1つまたは複数に基づいて、前記複数のリフトファンアッセンブリまたは前記1つまたは複数のプッシャープロペラを活性化させるかまたは非活性化させるように構成可能であり、前記方法は、着陸エリアの上方の場所に到着することに応答して、前記制御システムによって、前記1つまたは複数のプッシャープロペラを非活性化させるステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記1つまたは複数のプッシャープロペラを非活性化させた後に、前記制御システムによって、前記複数のリフトファンアッセンブリを制御し、前記地面の上の第2の静止した位置に到着するまで前記航空機が垂直方向に降下することを引き起こす様式で、垂直方向の揚力を作り出すステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、前記制御システムによって、前記複数のリフトファンアッセンブリおよび前記1つまたは複数のプッシャープロペラを互いに独立して制御するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、
前記制御システムによって、前記複数のリフトファンアッセンブリを制御し、
前記複数のリフトファンアッセンブリの第1のサブセットの第1のスピン回転速度を低減させることによって、および、
前記複数のリフトファンアッセンブリの第2のサブセットの第2のスピン回転速度を増加させることによって、
垂直方向の揚力を維持しながら前記航空機の垂直方向軸線の周りの回転移動を生成させるステップであって、
前記第1のサブセットは、第1の方向にスピンしており、
前記第2のサブセットは、第2の方向にスピンしている、ステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年2月10日に出願された「Aircraft with Pusher Propeller」という標題の米国仮特許出願第62/972,528号について、米国特許法第119条(e)の下での利益を主張し、その開示は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
説明されている実施形態は、概して、垂直方向の離着陸能力を有する航空機に関する。とりわけ、実施形態は、離昇、ホバリング、および着陸のために制御された方式で垂直方向の推力を提供する複数のリフトファンアッセンブリと、巡航飛行のための1つまたは複数のプッシャープロペラとを備えた航空機を提供する。
【背景技術】
【0003】
垂直方向の離着陸能力を有する航空機は、離着陸活動のために、垂直方向に配向された推進力を利用する。空中にいるときに、別の場所への移動を実現するために、水平方向の推進力も必要とされる。これは、ティルトするかまたはその他の方法で配向を変化させることができる推進力の供給源を通して実現され得る。しかし、これら種類の可動パーツは、エンジニアリングおよび製造するのが複雑である可能性があり、追加的なメンテナンス要件を導入する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
さまざまな実施形態は、垂直方向の離着陸(VTOL:vertical takeoff and landing)のために構成されている航空機を提供する。航空機は、胴体と、高翼構成で胴体の上側部分の両側に連結されている1対の翼と、1対の翼に連結されている複数のリフトファンアッセンブリと、胴体に連結されている1つまたは複数のプッシャープロペラとを含む。複数のリフトファンアッセンブリは、垂直方向の揚力を生成させるように構成されている。1つまたは複数のプッシャープロペラは、前方推力を生成させるように構成されている。
【0005】
複数のリフトファンアッセンブリおよび1つまたは複数のプッシャープロペラは、垂直方向の揚力が前方推力と方向的に直交するように構成され得る。
【0006】
実施形態は、垂直方向の離着陸のために構成されている航空機に連結されている制御システムによって実施される方法を提供する。制御システムは、フライトインストラクションを受信するステップと、垂直方向の離着陸のために垂直方向の揚力を生成させるように構成されている、航空機に連結されている複数のリフトファンアッセンブリを活性化させるステップと、複数のリフトファンアッセンブリを制御し、地面の上の静止した位置から航空機が垂直方向に出発するように、垂直方向の揚力を生成させるステップと、前方推力を生成させるように構成されている、航空機に連結されている1つまたは複数のプッシャープロペラを活性化させるステップと、1つまたは複数のプッシャープロペラを制御し、地面の上の静止した位置から航空機が垂直方向に出発した後に、航空機が前方速度を得るように前方推力を生成させるステップと、所定の量の前方速度が得られた後に、複数のリフトファンアッセンブリに提供される電力を非活性化させるかまたは低減させるステップとを含む。
【0007】
これらのおよび他の実施形態が、さらに詳細に下記に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】さまざまな実施形態による、複数のリフトファンアッセンブリと航空機のテーリング端部に提供された1つのプッシャープロペラとを備えたVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図2】さまざまな実施形態による、VテールとVテールの後ろにおいて航空機のテーリング端部に提供されたプッシャープロペラとを備えたVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図3】さまざまな実施形態による、複数のプッシャープロペラを備えたVTOL航空機の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)である。
【
図4】さまざまな実施形態による、VTOL航空機の飛行を制御するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で開示されている技法は、概して、複数のリフトファンアッセンブリおよび1つまたは複数のプッシャープロペラを備えた航空機に関する。より具体的には、本明細書で開示されている技法は、垂直方向の移動のための複数のリフトファンアッセンブリと、前方移動のために航空機のトレーリング端部に提供されている1つまたは複数のプッシャープロペラとを備えた電気VTOL航空機を提供する。さまざまな本発明の実施形態が、本明細書で説明されている。
【0010】
図1は、複数のリフトファンアッセンブリ102A~Lと航空機100のテーリング端部に提供された1つのプッシャープロペラ104とを備えたVTOL航空機100の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している。示されている例では、VTOL航空機100は、胴体(本体部)108と、1対の翼112および114とを含む。プッシャープロペラ104は、胴体108のテーリング端部に提供されている。3つの翼下支持構造体106(たとえば、ブーム)のセットが、1対の翼のそれぞれの下に提供されている。それぞれの支持構造体106は、その上に装着された2つのリフトファンアッセンブリ102A~Lを有しており、1つは、翼の前方にあり、1つは、翼の後部にある。リフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104のそれぞれは、関連のドライブメカニズム(たとえば、専用の電気モーターなど)によって駆動され得る。1つまたは複数のバッテリー135および/またはオンボード発電機が、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104を駆動するために使用され、ならびに/または、オンボードバッテリーを充電/再充電するために使用され得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、VTOL航空機100は、1つまたは複数の乗客および/または貨物を運搬するように構成され得る。
図1に示されている例ではVTOL航空機100は、胴体108(たとえば、本体部)を含み、胴体108は、さまざまな形状または形態をとることが可能である。いくつかの実施形態において、胴体108は、乗客および/または貨物を運搬するためのキャビンセクション110を含む。たとえば、キャビンセクション110は、VTOL航空機100の機首に向けて提供され得る。
【0012】
VTOL航空機100は、着陸装置130をさらに含むことが可能である。着陸装置130は、地面の上に着陸するときおよび/または着陸されるときにVTOL航空機100を支持するための1つまたは複数のスキッド、ホイール、スキー、ポンツーン、ショックアブソーバー、ストラット、および/または、任意の他の適切なコンポーネントの任意の適切な組み合わせを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、着陸装置130は、胴体108の中のコンパートメントの中へ後退可能であり得る。
【0013】
1対の翼(たとえば、第1の翼112および第2の翼114)は、胴体108の両側に連結されている。実施形態によれば、1対の翼は、任意の適切な形状および構成をとることが可能である。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の翼112および第2の翼114は、高翼構成で胴体108に連結され得る。すなわち、第1の翼112および第2の翼114は、
図1に示されているように、胴体108の上側部分の上に装着され得る。
【0015】
高翼構成は、VTOL航空機100に複数の利点を提供することが可能である。たとえば、VTOL航空機100が着陸されるときに、高翼構成は、乗客および人員の上方にある上昇位置に翼を維持することが可能であり、(たとえば、乗客ボーディング/アンボーディングおよび貨物ローディング/アンローディングのために)さまざまな方向から胴体108へのより容易なアクセスを可能にする。追加的に、胴体108は、VTOL航空機100の地面に最も近いパーツであることが可能であり、ポータブルボーディングランプまたは階段の支援なしに、乗客および人員が胴体108にアクセスすることができるようになっている。さらに、リフトファンアッセンブリ102A~Lが1対の翼に連結されているときに、高翼構成は、リフトファンアッセンブリ102A~Lをキャビン110の上方に設置することが可能であり、リフトファンアッセンブリローターが回転する平面が、(たとえば、安全理由のために)胴体および/またはその人間の占有部分と交差しないようになっている。VTOL航空機100が着陸されるときに、高翼構成は、リフトファンアッセンブリ102A~Lを地面の上方に高く上げられた状態に維持し、したがって、土、砂、および、他の破片を乱すことができない状態に維持することが可能である。
【0016】
他の実施形態において、第1の翼112および第2の翼114は、低翼構成で胴体108の下側部分に装着されてもよく、または、中翼構成で胴体108の中間高さ部分に装着されてもよい。より低い翼の設置は、他の利点のなかでも、メンテナンスのために、翼およびリフトファンアッセンブリ102A~Lへのより容易なアクセスを提供することが可能である。
【0017】
第1の翼112および第2の翼114は、任意の適切な形状および形態をとることが可能である。たとえば、1対の翼は、長方形の直線翼、テーパー付きの直線翼、丸みを帯びたまたは楕円形の直線翼、後退翼、デルタ翼、または、任意の他の適切なタイプの翼であることが可能である。
【0018】
第1の翼112および第2の翼114は、揚力の改善、抗力の低減、航空機可制御性の改善、安定性の改善、乱流の低減などのための任意の数の特徴または修正を含むことが可能である。たとえば、第1の翼112および第2の翼114は、湾曲した端部(たとえば、ウィングレットなど)を含むことが可能であり、それは、下向きのウィングレットまたは上向きのウィングレットのいずれかであることが可能である。
【0019】
複数のリフトファンアッセンブリ102A~L(「リフトファン」および「垂直方向のファン」としても知られる)は、1対の翼に連結され得る。たとえば、VTOL航空機100は、翼の間で等しく分割されている合計で12個のリフトファンアッセンブリ(たとえば、ファン、ローター、プロペラ)を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、翼に直接的に連結され得る。他の実施形態において、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、支持構造体106(たとえば、翼112、114の下側に連結され得るブームなど)の上に装着され得る。
【0020】
さまざまな実施形態によれば、それぞれのリフトファンアッセンブリ102A~Lは、電気モーター駆動ローター(たとえば、組み合わせられたファンおよびモーター)の形態であることが可能であり、たとえば、離陸、ホバリング、および/または着陸の間に、VTOL航空機100を垂直方向に移動させるように構成され得り、また、VTOL航空機100を安定化させて制御するように構成され得る。
【0021】
ローターは、任意の適切な数のブレード(たとえば、2つのブレード、3つのブレード、4つのブレード、または、5つのブレード)を含むことが可能である。ブレードは、所定の迎え角を有することが可能である。ローターは、ハブをさらに含むことが可能である。ブレードは、ハブに取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、ブレードおよび一体ハブは、単一のピースとして製造され得る。ハブは、ブレードが接続する中心構造体を提供し、いくつかの実施形態では、モーターを包む形状で作製されている。いくつかの実施形態において、モーターパーツは、ロープロファイルになっており、モーター全体がローターのハブの中にフィットするようになっており、前方に飛行するときに気流に対するより低い抵抗を提示する。ローターは、モーターの回転パーツに取り付けられ得る。モーターの静止パーツは、支持構造体106に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、モーターは、永久磁石モーターであることが可能であり、電子モーターコントローラーによって制御され得る。電子モーターコントローラーは、精密なシーケンスでモーターに電流を送り、所望の速度においてまたは所望のトルクを伴ってローターが回ることを可能にすることができる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、それぞれの翼112、114は、3つの支持構造体106(たとえば、ブーム)を含むことが可能である。支持構造体106は、水平飛行のときにVTOL航空機100の水平方向の平面と実質的に位置合わせされて装着されるように示されている。支持構造体106は、1対の翼の下側に連結され得る。支持構造体106は、翼を越えて前方に延在する前方端部と、翼の後部に延在する後部端部とを含むことが可能である。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、それぞれの支持構造体106は、その上に装着されている1対のリフトファンアッセンブリ102A~Lを含むことが可能である。たとえば、それぞれのリフトファンアッセンブリは、支持構造体106の端部に連結され得り、第1のリフトファンアッセンブリ102Aが、翼112の前部にあり、第2のリフトファンアッセンブリ102Lが、翼112の後部にあるようになっている。
【0024】
いくつかの実施形態において、支持構造体106のそれぞれは同一であり、したがって、支持構造体106は、翼の上の位置間で相互交換可能であり得る。たとえば、胴体のより近くの第1の支持構造体106は、隣接する第2の支持構造体106(たとえば、翼の上の中間ブーム)またはさらなる第3の支持構造体106(たとえば、胴体から最も遠くに離れたブーム)と相互交換可能であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態において(たとえば、
図1に示されている例などでは)、リフトファンアッセンブリ102A~Lの配向は固定され得る。換言すれば、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、翼112、114および/または支持構造体106に対して固定された位置に装着され得る。
【0026】
角度および推力方向を変化させることができるリフトファンアッセンブリ102A~Lおよび/または支持構造体106を利用することが可能である可能性があるが、システムを簡単化させるために、起こり得る故障点を低減させるために、および、メンテナンスの懸念を低減させるために、固定されたリフトファンアッセンブリ102A~Lおよび支持構造体106を利用することが有益である可能性がある。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、それらがVTOL航空機100に対して上向きに(たとえば、z方向に)推力を直接的に提供するように配置および構成され得り、それによって、VTOL航空機100のための垂直方向の揚力を生成させる。垂直方向は、VTOL航空機100が地面の上に着陸されるときに、または、安定したホバリングのときに、上向き方向として定義され得る。リフトファンアッセンブリ102A~Lは、VTOL航空機100を地面から持ち上げ、たとえば、離陸、ホバリング、および/または着陸の間に、制御を維持するのに十分な推力を提供することが可能である。
【0028】
垂直方向の推力は、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよび/または支持構造体106によって実現され得り、ローターブレードが、水平方向の平面(たとえば、x軸およびy軸によって画定される平面)の中でおよび垂直方向軸線(たとえば、航空機のz軸)の周りに回転するようになっている。いくつかの実施形態において、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、ローターブレードのすべてが同じ平面の中で回転するように構成され得る。他の実施形態において、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、ローターブレードのすべてが異なる平行な平面の中で回転するように構成され得る。
【0029】
他の実施形態において、リフトファンアッセンブリ102A~Lのうちのいくつかまたはすべては、所定の角度を有することが可能である。角度付きのリフトファンアッセンブリ102A~Lは、依然として、組み合わせて、直接的に垂直方向の正味の推力を提供することが可能である。たとえば、第1の翼112の上の角度付きのリフトファンアッセンブリによって提供される部分的に非垂直方向の推力は、第2の翼114の上の反対側方向に角度を付けられたリフトファンアッセンブリによって提供される等しくて反対の部分的に非垂直方向の推力によって相殺され得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、2つの隣接するリフトファンアッセンブリ(たとえば、102Aおよび102L)は、反対の迎え角で装着されているそれらのブレードを有することが可能であり、2つの隣接するファンアッセンブリが、反対側方向にスピンするようになっている。2つの隣接するリフトファンアッセンブリは、同じ支持構造体104(たとえば、102Aおよび102L)の反対側端部に連結され得る。代替的に、2つの隣接するリフトファンアッセンブリは、異なる支持構造体の上にあるが同じ翼の上にあることが可能であり(たとえば、102Aおよび102B)、または、反対側の翼の上にあることが可能である(たとえば、102Aおよび102F)。さまざまな実施形態によれば、リフトファンアッセンブリ102A~Lの第1のサブセットは、第1の方向にスピンすることが可能であり、リフトファンアッセンブリ102A~Lの第2のサブセット(たとえば、残りの部分)は、第1の方向とは反対の第2の方向にスピンすることが可能である。
【0031】
一部のものが第1の方向にスピンし、他のものが反対の第2の方向にスピンするように、リフトファンアッセンブリ102A~Lを構成させることは、スピンしているブレードによって生成される任意の角運動量を有利に打ち消すことが可能であり、VTOL航空機100が、回転することなく安定した様式でホバリングすることができるようになっている。
【0032】
さらに、VTOL航空機100の垂直方向軸線の周りの回転移動(たとえば、ヨー)は、スピンしているブレードによって生成される合計の角運動量が打ち消されないように、第1の方向にスピンしているリフトファンアッセンブリ102A~Lのいくつかのまたはすべての第1のサブセットのスピン回転速度を一時的に低減させることによって、および/または、第2の方向にスピンしているリフトファンアッセンブリ102A~Lの第2のサブセットのスピン回転速度を一時的に増加させることによって、望まれるときに実施され得る。したがって、VTOL航空機100は、別の方向に配向された推力の別の供給源を必要とすることなく、リフトファンアッセンブリ102A~L(それらは、すべて、同じ平面または平行な平面の中で回転することが可能である)の使用によって回転することが可能である。
【0033】
プッシャープロペラ104は、前方飛行、上昇、降下、および巡航のために、前方方向(たとえば、x軸)にVTOL航空機100を押すための推力を提供するように構成され得る。前方推力または水平方向の推力(たとえば、航空機のx軸に沿って)は、VTOL航空機100の上にプッシャープロペラ104を据え付けることによって実現され得り、プロペラブレードが、垂直方向の平面(たとえば、z軸およびy軸によって画定される平面)の中でおよび水平方向軸線(たとえば、x軸)の周りに回転するようになっている。プッシャープロペラ104は、1対の翼の後ろにおいて、航空機100のテーリング端部に提供されている。さまざまな実施形態によれば、プッシャープロペラ104は、VTOL航空機100に対して静止した位置に留まっている(たとえば、活性化させられときにプッシャープロペラ104のブレードは回転するが、プッシャープロペラ自身がVTOL航空機100に対して回転させられ得る)。
【0034】
プッシャープロペラ104は、電気モーター駆動ローター(たとえば、組み合わせられたファンおよびモーター)の形態であることが可能である。ローターは、任意の適切な数のブレード(たとえば、2つのブレード、3つのブレード、4つのブレード、または、5つのブレード)を含むことが可能である。ブレードは、所定の迎え角を有することが可能である。ローターは、ハブをさらに含むことが可能である。ブレードは、ハブに取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、ブレードおよび一体ハブは、単一のピースとして製造され得る。ハブは、ブレードが接続する中心構造体を提供し、いくつかの実施形態では、モーターを包む形状で作製されている。いくつかの実施形態において、モーターパーツは、ロープロファイルになっており、モーター全体がローターのハブの中にフィットするようになっており、前方に飛行するときに気流に対するより低い抵抗を提示する。ローターは、モーターの回転パーツに取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、モーターは、永久磁石モーターであることが可能であり、電子モーターコントローラーによって制御され得る。電子モーターコントローラーは、精密なシーケンスでモーターに電流を送り、所望の速度においてまたは所望のトルクを伴ってローターが回ることを可能にすることができる。
【0035】
プッシャープロペラ104および翼112、114の組み合わせは、前方移動およびリフトの両方を実現することが可能である。したがって、VTOL航空機100が十分な速度(たとえば、所定の量の速度)に到達し、翼が揚力を提供するようになると、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、もはや揚力を提供することを必要とされない可能性がある。この時点において、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、動作することを一時的に停止することが可能である。たとえば、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、最初にアクティブであり、VTOL航空機100を持ち上げるための推力を提供することが可能である。VTOL航空機100が、地面から離れ、および/または、所定の高さになると、プッシャープロペラ104は活性化し、および/または、水平方向の推力を増加させることが可能であり、VTOL航空機100が水平方向の速度を得るようになっている。リフトファンアッセンブリ102A~Lは、水平方向の速度が増加する間に垂直方向の揚力を提供し続けることが可能である。その理由は、所定の速度が実現されるまで、翼が十分な垂直方向の揚力を提供しない可能性があるからである。リフトファンアッセンブリ102A~Lは、それらの垂直方向の推力寄与を最終的に(または、徐々に)低減させることが可能である。その理由は、水平方向の速度の増加の間に、翼112、114がより多くの(たとえば、増加する量の)垂直方向の揚力を徐々に提供するからである。
【0036】
いくつかの実施形態において、VTOL航空機100が所定の速度にあるときに、リフトファンアッセンブリ102A~Lの代わりに、プッシャープロペラ104および翼112、114を利用し、垂直方向の揚力を実現することが、より効率的である可能性がある。
【0037】
さまざまな実施形態によれば、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、任意の適切な時間において動作することを停止することが可能である。たとえば、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、プッシャープロペラ104がアクティブであるときに、動作することを停止することが可能である。さまざまな実施形態によれば、プッシャープロペラ104およびリフトファンアッセンブリ102A~Lの少なくともサブセットは、同時に、または、少なくともいくつかの時間に動作可能であることが可能である。たとえば、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、プッシャープロペラ104によって提供される前方推力の初期の期間の間に動作し続けることが可能であり、次いで、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、VTOL航空機100が巡航速度を実現して前方飛行の状態にあるときに、動作することを停止することが可能である。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、プッシャープロペラ104は、リフトファンアッセンブリ102A~Lに対して実質的に直交するように配向され得る。結果として、プッシャープロペラ104およびリフトファンアッセンブリ102A~Lは、直交する方向に推力を提供するように構成され得る(たとえば、リフトファンアッセンブリ102A~Lからの垂直方向の推力、および、プッシャープロペラ104からの水平方向の推力)。方向性の推力を2つの別個のタイプのコンポーネントに隔離することは、VTOL航空機100の制御および設計を有益に簡単化することが可能である(たとえば、ティルティングファンを利用する航空機とは対照的に)。いくつかの実施形態において、プッシャープロペラ104およびリフトファンアッセンブリ102A~Lは、互いに独立して動作させられ、パワーオンさせられ、その他の方法で制御され得り、それによって、直交する方向に推力が独立して印加されることを可能にする(たとえば、推力は、同時におよび異なる時間に異なる方向に印加され得る)。
【0039】
図1に示されている例では、プッシャープロペラ104は、胴体108の後部端部に位置決めおよび装着されている。プッシャープロペラ104の中心場所は、望ましくない回転力を印加することなく、VTOL航空機100への水平方向の推力を可能にすることができる。追加的に、胴体108の後ろにプッシャープロペラ104を位置決めすることは、胴体108の前部に向けて位置決めされているキャビン110からの距離を最大化し、それによって、キャビン110の中の乗客によって経験されるプロペラ騒音を低減させることが可能である。また、プッシャープロペラブレードの回転平面は、胴体108またはキャビン110と交差せず、したがって、任意の反射された破片が、VTOL航空機100への損傷または乗客/貨物への障害/損傷を引き起こす可能性は低い。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、プッシャープロペラ104は、固定された配向で胴体108のテーリング端部に連結され得る。たとえば、プッシャープロペラ104は、VTOL航空機100に対して静止した位置に留まることが可能である(たとえば、活性化させられているときに、プッシャープロペラ104のブレードが回転している間に、プッシャープロペラ自身は、VTOL航空機100に対して回転させられることができない)。プッシャープロペラ104およびリフトファンアッセンブリ102A~Lの両方は、固定された配向を有することが可能であり、それによって、常に、直交する方向に推力を提供するように構成され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、プッシャープロペラ104は、他のエリアに位置付けされ得る。たとえば、プッシャープロペラ104は、胴体108の機首の上に装着され得り、または、胴体108の上に装着され得る。また、実施形態は、追加的なプッシャープロペラが含まれることを可能にする。たとえば、プッシャープロペラ104に加えて、または、プッシャープロペラ104の代わりに、2つのプッシャープロペラが翼に連結され得る。第1のプッシャープロペラは、第1の翼112の上に(たとえば、翼の上部、底部、または縁部に)装着され得り、第2のプッシャープロペラは、第2の翼114の上に(たとえば、翼の上部、底部、または縁部に)装着され得る。また、そのような追加的なプッシャープロペラは、固定された配向を有することが可能である。
【0042】
いくつかの実施形態において、プッシャープロペラ104は、いずれかの方向にスピンする能力を有するように構成され得る。結果として、プッシャープロペラ104は、反対側方向にスピンすることが可能であり得り、それが逆の水平方向の推力を提供するようになっている。逆の水平方向の推力は、VTOL航空機100を後方方向に移動させる(たとえば、ホバリング位置から格納庫エリアからバックして出る)のに有用である可能性がある。追加的に、逆の水平方向の推力は、前方飛行速度を低減させるために使用され得る。たとえば、プッシャープロペラ104からの逆の水平方向の推力は、フラップの代わりに、または、フラップに加えて、VTOL航空機100を減速させ、および/または、VTOL航空機100を静止したホバリングに持って行くために使用され得る。VTOL航空機100が減速するかまたはホバリング位置に戻るときに、リフトファンアッセンブリ102A~Lは、再活性化し、および/または、垂直方向の推力を増加させることが可能である。
【0043】
さまざまな実施形態によれば、VTOL航空機100は、胴体108に沿って延在するドライブシャフト122を含むことが可能である。ドライブシャフト122は、プッシャープロペラ104をエンジン120またはバッテリー(たとえば、航空機100の前縁部のより近くに提供されている)に連結することが可能である。
【0044】
VTOL航空機100は、任意の他の適切な制御構造体および操縦翼面を含むことが可能である。たとえば、任意の適切な数のエルロン、ラダー、エレベーター、スラット、フラップ、スポイラー、および/または安定板が含まれ得る。
【0045】
さまざまな実施形態によれば、VTOL航空機100は、電動式航空機であることが可能である。1つまたは複数のバッテリーユニット135は、VTOL航空機100に連結されており、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよび/またはプッシャープロペラ104に給電することが可能である。より具体的には、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104は、電気モーターによって駆動され得り、電気モーターは、1つまたは複数のバッテリーユニット135を含む電力システムによって給電される。いくつかの実施形態において、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104のそれぞれは、専用のバッテリーユニット135を有することが可能である。バッテリーユニット135は、リフトファンアッセンブリ102A~Lを担持する支持構造体106の上に提供されるか、胴体の中に提供されるか、または、その組み合わせであることが可能である。それぞれのバッテリーユニット135は、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104に給電するように構成されている複数のバッテリーセルを含むことが可能である。したがって、VTOL航空機100は、電気航空機であることが可能である。代替的な実施形態において、VTOL航空機100は、ハイブリッド電気航空機であることが可能である。
【0046】
さまざまな実施形態によれば、VTOL航空機100は、自動的におよび/または遠隔から制御され得る(たとえば、航空機を動作させるためにオンボードパイロットを必要としないことが可能であり、遠隔エンティティーから受信された制御信号またはインストラクションに基づいて制御され得る)。
【0047】
航空機100に連結されている制御システム150(たとえば、フライト制御システムなど)は、VTOL航空機100を制御するように構成され得る。制御システム150は、自動的におよび/または遠隔から(たとえば、遠隔エンティティー(たとえば、リモートコントローラー、リモートパイロット、またはリモート制御タワーなど)から受信される制御信号を介して)、VTOL航空機100を制御するように構成可能であり得る。さまざまな実施形態において、制御システム150は、本明細書で説明されている処理機能および制御機能を果たすように構成されている1つまたは複数のプロセッサーを含む。
【0048】
制御システム150は、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104がいつ動作させられるべきかを制御し、および/または、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104に提供される電力の量を制御することが可能である。制御システム150は、複数のリフトファンアッセンブリおよび1つまたは複数のプッシャープロペラを互いに独立して制御するように構成可能であり得る。さまざまな実施形態によれば、制御システム150は、リモートコントローラー(たとえば、リモートパイロット)から受信された入力、オートパイロットから受信された入力、センサー(たとえば、空気温度、電気モーター温度、航空機の対気速度などを測定するセンサー)、コンピューター、および、航空機に連結されている他の入力/出力デバイスから受信されたセンサーデータおよび/またはフライトデータに基づいて、プッシャープロペラ104およびリフトファンアッセンブリ102A~Lを制御することが可能である。
【0049】
したがって、制御システム150は、パイロットもしくは他のオペレーター入力、および/または、オンボードコンピューターによってコンピューター計算された補正を、力およびモーメントに変換するように構成され得り、ならびに/または、そのような力およびモーメントを1セットのアクチュエーター(たとえば、リフトローター;プロペラ;操縦翼面(たとえば、エルロンなど)など)および/または関連のパラメーター(たとえば、リフトファンパワー、速度、またはトルク)にさらに変換し、必要とされる力およびモーメントを提供するように構成され得る。たとえば、パイロットまたは他のオペレーター入力は、航空機の速度、方向、および/または配向の所望の変化を示すことが可能であり、ならびに/または、風もしくは他の力は、航空機に作用することが可能であり、所望の航空機姿勢(ロール/ピッチ/ヨー)、速度、および/または高度を維持するために、リフトファンおよび/または他のアクチュエーターが使用されることを必要とする。
【0050】
さまざまな実施形態によれば、制御システム150は、フライトインストラクション(たとえば、離陸、ホバリング、巡航、または着陸インストラクションなど)を受信するように構成可能であり得る。次いで、制御システム150は、VTOL航空機100の現在の場所および/または速度を決定することが可能であり、次いで、フライトインストラクションに基づいてリフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104の動作を制御することが可能である。VTOL航空機100の動作の間に、制御システム150は、フライトインストラクションを考慮して、リフトファンアッセンブリ102A~Lおよびプッシャープロペラ104の動作状態を連続的にモニタリングするように構成可能であり得る。
【0051】
プッシャープロペラおよびリフトファンアッセンブリの数および場所は、
図1に図示されているものに限定されない。VTOL航空機100は、より多い数のプッシャープロペラを含むことが可能であり、より多いまたはより少ない数のリフトファンアッセンブリを含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態によれば、および、
図3に関連して下記に説明されているように、VTOL航空機は、2つのプッシャープロペラを含むことが可能である。
【0052】
図1に図示されている例示的なVTOL航空機100は、テールを含まない。テールによって提供される制御および安定化は、必須でない可能性がある。その理由は、リフトファンアッセンブリがVTOL航空機100の制御を提供することが可能であるからである。しかし、実施形態は、そのように限定されず、同様のプロペラ構成が、テールを含む航空機に関連して使用され得る。そのようなテールは、さまざまな形状または形態をとることが可能である。たとえば、いくつかの実施形態によれば、および、
図2に関連して下記に説明されているように、VTOL航空機は、テール(たとえば、Vテールなど)を含むことが可能である。
【0053】
図2は、水平安定板を備えた別の例示的なVTOL航空機を図示している。
図2は、VTOL航空機200のテール202の上に提供されている水平安定板206を備えたVTOL航空機200の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している。
図2に図示されている例示的なVTOL航空機200は、複数のリフトファンアッセンブリおよびプッシャープロペラ204を含み、プッシャープロペラ204は、水平安定板206の後ろにおいて、航空機200のテーリング端部に(航空機200のテール202の上に)提供されている。いくつかの実施形態によれば、VTOL航空機200は、
図1に関連して上記に説明されているVTOL航空機100と同様であることが可能であるが、テール202、水平安定板206が追加されており、プッシャープロペラ204の場所が、水平安定板206の後ろになっており、テール202の上に装着されている。
【0054】
水平安定板206(たとえば、尾翼)は、胴体102の後方端部に(たとえば、テール202の上などに)連結され得る。水平安定板206は、任意の適切な形状または形態であることが可能である。たとえば、
図2に示されているように、水平安定板206は、V字形状になっていることが可能である(Vテールの形態をとっている)。Vテールは、テールから所定の角度で突出する2つの安定板翼面を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、安定板翼面のそれぞれは、後部縁部の上にヒンジ式の操縦翼面をさらに含むことが可能である。追加的に、
図2に示されているように、追加的な(たとえば、第3の)垂直安定板翼面が、テールの上に装着され得り、垂直方向下向きに延在している。
【0055】
水平安定板206を導入することは、VTOL航空機200の追加的な安定性および制御を提供することが可能である。これは、(たとえば、巡航飛行の間に)リフトファンアッセンブリが無効化されている間に、または、そうでなければ、制御および安定性のために利用されていないかもしくは依存されていない間に、特に有用である可能性がある。
【0056】
プッシャープロペラ204は、水平安定板206の後部に装着され得り、胴体の中心線に沿って位置決めされ得る。水平安定板206の後ろにプッシャープロペラ204を装着することは、有利には、VTOL航空機200の前部端部からプッシャープロペラ204をさらに遠ざけることが可能であり、それは、キャビンの中の乗客によって経験されるプロペラ騒音をさらに低減させることが可能である。追加的に、乗客安全は、ボーディングおよびデボーディング活動の間に、乗客とプッシャープロペラ204との間の距離を増加させることによって改善され得る。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、プッシャープロペラ204は、固定された配向で水平安定板206に連結され得る。たとえば、プッシャープロペラ204は、水平安定板206および/またはVTOL航空機200に対して静止した位置に留まることが可能である(たとえば、活性化させられているときに、プッシャープロペラ204のブレードが回転している間に、プッシャープロペラ自身は、VTOL航空機100に対して回転させられることができない)。プッシャープロペラ204およびリフトファンアッセンブリの両方は、固定された配向を有することが可能であり、それによって、常に、直交する方向に推力を提供するように構成され得る。
【0058】
図3は、複数のプッシャープロペラを備えた別の例示的なVTOL航空機を図示している。いくつかの実施形態によれば、VTOL航空機300は、
図1に関連して上記に説明されているVTOL航空機100と同様であることが可能であるが、(たとえば、
図2に関連して上記に説明されている水平安定板206と同様の)水平安定板306が追加されており、2つのプッシャープロペラ304A~Bを含んでおり、プッシャープロペラ304A~Bの場所は水平安定板306の縁部の上である。
【0059】
図3は、2つのプッシャープロペラ304A~Bを備えたVTOL航空機300の上面図、平面図、側面図、および正面図(左上隅から時計回りに開始して)を図示している、一方は、水平安定板306の第1の安定板翼面308の上にあり、他方は、水平安定板306の第2の安定板翼面310の上にある。
【0060】
さまざまな実施形態によれば、プッシャープロペラ304Aおよび304Bは、安定板翼面308および310のそれぞれの縁部にそれぞれ連結され得る。安定板翼面308および310ならびにプッシャープロペラ304Aおよび304Bは、航空機300の垂直方向の中心平面に対して互いに対称的に位置決めされ得る。
【0061】
プッシャープロペラ304Aおよび304Bは、
図3に示されているように、プロペラブレードが第1の安定板翼面308および第2の安定板翼面310の前部に位置決めされるように装着され得る。これは、有利には、VTOL航空機300が着陸されるときに、VTOL航空機300の後ろを歩く人々(たとえば、メンテナンス人員または乗客)のための安全を改善することが可能である。その理由は、プロペラブレードがVTOL航空機300の後部端部において露出されなくてもよいからである。
【0062】
代替的に、他の実施形態において、プロペラブレードは、第1の安定板翼面308および第2の安定板翼面310の後ろに位置決めされ得る。この位置決めは、プロペラブレードと胴体の前部との間の距離を増加させることが可能であり、胴体の前部における騒音を低減させ、搭乗している乗客とプロペラブレードとの間の安全距離を増加させる。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、プッシャープロペラ304Aおよび304Bは、固定された配向で水平安定板306に連結され得る。たとえば、プッシャープロペラ304Aおよび304Bは、水平安定板306に対して静止した位置に留まることが可能である(たとえば、活性化させられているときに、プッシャープロペラ304Aおよび304Bのブレードが回転している間に、プッシャープロペラ自身は、水平安定板306に対して回転させられることができない)。プッシャープロペラ304Aおよび304Bならびにリフトファンアッセンブリは、すべて、固定された配向を有することが可能であり、それによって、常に、直交する方向に推力を提供するように構成され得る。
【0064】
いくつかの理由のために、2つのプッシャープロペラ304Aおよび304Bを導入することが有利である可能性がある。たとえば、2つのプッシャープロペラ304Aおよび304Bのうちの一方が損傷をうけるかまたは故障した場合に備えて、冗長性が存在している。異なる量の電力が、プッシャープロペラ304Aおよび304Bのそれぞれに印加され、VTOL航空機300の操縦のための不均等な推力を提供することが可能である。また、2つのプッシャープロペラ304Aおよび304Bの推力が組み合わせられるので、同じ量の水平方向の推力が、より低い回転速度によって実現され得る。これは、騒音を低減させることが可能である。その理由は、より低い速度で回転している2つのプッシャープロペラ304Aおよび304Bが、より高い速度で回転している単一のプッシャープロペラよりも小さい騒音を生み出すことができるからである。
【0065】
さらに、Vテールの縁部にプッシャープロペラ304Aおよび304Bを設置することは、
図1~
図2に示されているプッシャープロペラと比較して、プッシャープロペラ304Aおよび304Bの位置を上昇させることが可能である。より高い位置は、VTOL航空機300が着陸されるときに人々が歩く可能性のあるエリアからプッシャープロペラ304Aおよび304Bを除去することによって、安全性を高めることが可能である。追加的に、プッシャープロペラ304Aおよび304Bは、リフトファンアッセンブリのローターが回転する平面の上方にあることが可能である。これは、リフトファンアッセンブリから排出される破片によってプッシャープロペラ304Aおよび304Bが衝突されおよび/または損傷を受ける可能性を低減させることが可能である。
【0066】
水平安定板306の上のプッシャープロペラ304Aおよび304Bの数および位置は、異なる実施形態にしたがって修正され得る。たとえば、
図3に示されている2つのプッシャープロペラ304Aおよび304Bに加えて、または、その代わりに、異なるプッシャープロペラは、テールの後部端部に連結され得り(たとえば、
図2に示されているプッシャープロペラ204と同様)、および/または、他のプッシャープロペラが、翼の上に(たとえば、翼の上方に、翼の下方に、または、翼の端部に)含まれ得る。
【0067】
実施形態は、有利には、水平方向の推力コンポーネントおよび機能から、垂直方向の揚力コンポーネントおよび機能を隔離する。リフトファンアッセンブリは、離陸、着陸、およびホバリング機能のために、垂直方向の揚力を提供することが可能である。プッシャープロペラは、前方推力を提供することが可能であり、翼と組み合わせて、十分な速度が達成されたときに飛行の間に揚力を提供することが可能である。この構成は、機能的で、簡単な固定されたコンポーネントを有するVTOL航空機を提供する。垂直方向の離陸および急速な水平方向の移動の両方が、ファン/プロペラをティルティングまたは調節する必要なしに実施され得る。これは、より簡単なフライト制御を可能にし、より容易なメンテナンスを可能にし、故障しやすい可能性のある可動パーツを低減させることが可能である。
【0068】
さらに、実施形態は、冗長性を提供する。垂直方向の揚力は、垂直方向のリフトファンによって提供され得り、同様に、前方移動の間の翼によって提供され得る。追加的に、さまざまなコンポーネントが特定の時間において無効化され得るので、過熱が回避され得る。垂直方向のリフトファンアッセンブリは、前方飛行の間に動作することを停止することが可能であり、プッシャープロペラは、ホバリング、着陸、および離陸の間に動作することを停止することが可能である。
【0069】
また、実施形態は、航空機安全性を改善する。高い翼、翼の近くにあるまたは翼と同じレベルにあるリフトファンアッセンブリ、および、航空機の後ろのプッシャープロペラによって、可動ローターは、乗客がトラベルする可能性のあるエリアから除去される。追加的に、可動ローターから反射される可能性のある破片が、胴体に衝突しにくい。また、リフトファンアッセンブリを高い翼に連結することは、リフトファンアッセンブリと地面との間にスペースを提供することが可能であり、それによって、地面からの破片を取り込む可能性を低減させることが可能である。
【0070】
図4は、垂直方向リフトと前方飛行との間の移行を通して、垂直方向の離着陸のために構成されているVTOL航空機のフライトを制御するためのプロセスの実施形態を図示するフローチャートである。
【0071】
ステップS400において、航空機は、地面の上の静止した位置にあることが可能である。たとえば、航空機は、バッテリーを充電するための充電ステーションに駐機され得る。代替的に、航空機は、貨物または乗客を受け入れるのを待つ場所に駐機され得る。VTOL航空機のフライト制御システムは、所定の目的地に到着するための(たとえば、オートパイロット、パイロット、またはリモートコントローラーパイロットからの)飛行計画を受け取ることが可能である。飛行計画は、地面から離陸するためのインストラクションを含むことが可能である。
【0072】
ステップS402において、フライト制御システムは、リフトファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を活性化させるように制御することが可能である。たとえば、航空機の推力を作り出すコンポーネントは、非アクティブであるかまたはスタンバイモードにあることが可能である。フライト制御システムは、非アクティブモードからリフトファンアッセンブリの出力を上げることが可能であり、それらが垂直方向の揚力を提供する準備ができるようになる。
【0073】
ステップS404において、フライト制御システムは、地面から航空機を持ち上げるように離陸シーケンスを開始させることが可能である。たとえば、フライト制御システムは、リフトファンアッセンブリを制御し、航空機が地面を離れるように垂直方向の推力を提供することが可能である。フライト制御システムは、特定の時間が経過するまで、または、特定の高さが到達されるまで(たとえば、着陸パッドからの安全な距離)、このようにリフトファンアッセンブリを動作させ続けることが可能である。
【0074】
ステップS406において、ステップS404を実施してから所定の量の時間が経過した後に、および/または、高度が得られた後に、フライト制御システムは、前方飛行に移行するためのインストラクションを受信することが可能である。前方飛行モードに切り替える前に、制御システムは、航空機の高度、速度、および配向のうちの1つまたは複数をチェックし、パラメーターが所定の望ましい範囲内にあることを保証することが可能である。いくつかの実施形態において、制御システムは、パラメーターを遠隔エンティティー(たとえば、リモート制御タワーまたはリモートパイロット)に通信することが可能である。
【0075】
前方飛行に移行するためのフライトインストラクションを受信すると、ステップS408において、制御システムは、プッシャープロペラのうちの1つまたは複数を活性化させるように制御することが可能である。プッシャープロペラは、パワーオンして動作し始めることが可能であり、次いで、航空機のための前方推力を発生させることが可能である。フライト制御システムは、任意の適切な様式で前方加速を制御することが可能である。たとえば、フライト制御システムは、プッシャープロペラに供給される電力を徐々に増加させることが可能であり、航空機が前方速度を徐々に得るようになっている。
【0076】
いくつかの実施形態において、プッシャープロペラは、航空機が依然として垂直方向のリフトファンから高度を得る過程にある間に、活性化して前方推力を提供し始めることが可能である。結果として、前方トラベルは、垂直方向のリフトと重なることが可能である。追加的に、フライト制御システムは、前方対気速度が増加することをプッシャープロペラが引き起こす間に、安定性および高度を維持するために、必要に応じてリフトファンアッセンブリへの電力を調節することが可能である。
【0077】
ステップS410において、フライト制御システムは、リフトファンアッセンブリを非活性化させるか、または、そうでなければ、リフトファンアッセンブリに提供される電力を低減させることが可能である。たとえば、高度を維持するのに十分な揚力を翼が提供するように、プロペラが所定の速度を発生させると、リフトファンアッセンブリは、もはや、垂直方向の揚力のために必要とされない可能性がある。したがって、リフトファンアッセンブリは、パワーダウンされ、非活性化させられ、スタンバイモードに設置され得り、または、航空機の前方飛行の間に低減された電力レベルで動作させられ得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、リフトファンアッセンブリに提供される電力は、前方速度を徐々に得ることと協調して、徐々に減少することが可能である。たとえば、プロペラが航空機のための前方速度を発生させるにつれて、翼は、より多くの垂直方向の揚力を徐々に提供することが可能である。翼によって提供される揚力が増加するにつれて、リフトファンアッセンブリは、それに対応して、その垂直方向の揚力寄与を減少させることが可能である。リフトファンアッセンブリは、それらが非アクティブになるまで、徐々にパワーダウンすることが可能である。いくつかの実施形態において、リフトファンアッセンブリは、完全にシャットダウンすることなく、低レベルの電力および活動を維持することが可能である。航空機は、飛行の大部分に関して、プッシャープロペラが動作しており、リフトファンアッセンブリが動作していない(または、低いレベルで動作している)状態で、このように継続することが可能である。
【0079】
ステップS412において、制御システムは、ホバリングするかまたは着陸するための(たとえば、オートパイロット、パイロット、または遠隔エンティティーからの)インストラクションを受信することが可能である。たとえば、航空機は、(たとえば、所定の距離以内にある)目的地着陸エリアに接近している可能性がある。
【0080】
ホバリングまた着陸への移行のためのインストラクションを受信すると、ステップS414において、フライト制御システムは、リフトファンアッセンブリのうちの1つまたは複数を再活性化するように制御することが可能である。リフトファンアッセンブリは、パワーオンして動作し始めることが可能であり、次いで、航空機のための垂直方向の揚力を発生させることが可能である。
【0081】
ステップS416において、フライト制御システムは、航空機をホバリングさせるかまたは地面の上に着陸させるために、ホバリングまたは着陸シーケンスを開始させることが可能である。たとえば、フライト制御システムは、垂直方向の揚力が維持されている間に、航空機の前方速度が減少することを引き起こすことが可能である。これは、プッシャープロペラの出力/推力の協調された低減、および、リフトファンアッセンブリの出力/推力の増加を含むことが可能である。たとえば、プッシャープロペラ推力が低減するにつれて、航空機速度は、抗力に起因して低減することとなり、次いで、翼によって提供される揚力が低減することとなる。翼によって提供される揚力が徐々に減少するにつれて、フライト制御システムは、リフトファンアッセンブリへの電力を徐々に増加させ、揚力の別の供給源を生成させることが可能である。これらの寄与する力は、前方速度を低減させている間に、航空機が同じ高度を維持するように、または、前方速度を低減させている間に、航空機が制御された垂直方向の降下を始めるように制御され得る。
【0082】
実施形態は、着陸シーケンスの間にさまざまな方式でプッシャープロペラが動作させられることを可能にする。たとえば、プッシャープロペラは、徐々にパワーダウンすることが可能である。代替的に、プッシャープロペラは、突然にパワーダウンすることが可能であり、航空機の前方速度は、抗力に起因して自然に減少することが可能である。別のオプションとして、プッシャープロペラは、逆の推力モードへ移行することが可能であり、航空機の前方速度が、より迅速に低減されるようになっている。
【0083】
ステップS418において、フライト制御システムは、1つまたは複数のプロペラを非活性化させるか、または、そうでなければ、プロペラに提供される電力を低減させることが可能である。たとえば、航空機がホバリングするかまたは(たとえば、着陸パッドへ)垂直方向に降下する準備ができている場所に、航空機が到着するとき、プッシャープロペラは、パワーダウンされ、非活性化させられ、スタンバイモードで設置され得り、または、制御された降下のためにリフトファンアッセンブリが使用され得るように、低減された電力レベルで動作させられ得る。いくつかの実施形態において、プッシャープロペラは、航空機の位置を制御するためにいくらかの量の動作および/または推力を維持することが可能である(たとえば、風の乱れの場合など)。
【0084】
ステップS420において、フライト制御システムは、地面の上に航空機を着陸させるための着陸シーケンスを完了することが可能である。たとえば、フライト制御システムは、リフトファンアッセンブリを制御し、制御された様式で航空機が降下するように垂直方向の推力を提供することが可能である。航空機は、地面の上の静止した位置(たとえば、着陸パッドおよび/または充電ステーションなど)に来ることが可能である。
【0085】
ステップS422において、フライト制御システムは、リフトファンアッセンブリを非活性化させるか、または、そうでなければ、リフトファンアッセンブリに提供される電力を低減させることが可能である。いくつかの実施形態において、リフトファンアッセンブリおよび/またはプッシャープロペラは、ローターブレードが止まるように、完全にパワーダウンされ得る。他の実施形態において、リフトファンアッセンブリおよび/またはプッシャープロペラは、それらがその後の飛行の準備ができているように、低いスタンバイ電力レベルを維持することが可能である。
【0086】
簡単にするために、さまざまなアクティブおよびパッシブ回路コンポーネントは、図に示されていない。先述の明細書において、本開示の実施形態は、実装形態ごとに変化し得る多数の特定の詳細を参照して説明されてきた。したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示目的の意味で見なされるべきである。本開示の範囲の唯一かつ排他的なインジケーター、および、本開示の範囲であるということを本出願人によって意図されているものは、本出願から生じる請求項のセットの文言通りの範囲および均等の範囲であり、そのような請求項が生じる特定の形態において、任意の後続の修正を含む。特定の実施形態の特定の詳細は、本開示の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく任意の適切な様式で組み合わせられ得る。
【0087】
説明されている実施形態の電子コンポーネントは、必要とされる目的のために特別に構築され得り、または、コンピューターの中に記憶されたコンピュータープログラムによって選択的に活性化もしくは再構成される1つもしくは複数の汎用コンピューターを含むことが可能である。そのようなコンピュータープログラムは、コンピューター可読のストレージ媒体(たとえば、それに限定されないが、フロッピーディスク、光ディスク、DVD、CD-ROM、磁気光ディスク、リードオンリーメモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カードもしくは光学カード、特定用途向け集積回路(ASIC)、または、電子的なインストラクションを記憶するのに適切な任意のタイプの媒体を含む任意のタイプのディスクなど)の中に記憶され得り、コンピューターシステムバスにそれぞれ連結され得る。
【0088】
追加的に、空間的に相対的な用語(たとえば、「前部」または「後ろ」など)は、たとえば、図に図示されているように、別のエレメントおよび/または特徴に対するエレメントおよび/または特徴の関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている配向に加えて、使用および/または動作におけるデバイスの異なる配向を包含するように意図されているということが理解されることとなる。たとえば、図の中のデバイスがひっくり返される場合には、「前部」表面として説明されているエレメントは、他のエレメントまたは特徴から「後ろ」に配向され得る。デバイスは、その他の方法で配向され得り(たとえば、90度回転させられるか、または、他の配向)、本明細書で使用されている空間的に相対的な記述子は、それにしたがって解釈される。