(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】エアロゾル供給装置用乳酸の加水分解方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20250207BHJP
【FI】
A24B15/167
(21)【出願番号】P 2023092896
(22)【出願日】2023-06-06
(62)【分割の表示】P 2021553041の分割
【原出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-06-15
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャリー・エム・ダル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エイチ・プール
(72)【発明者】
【氏名】セルバン・シー・モルドベアヌ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ケリー・セント・チャールズ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0103680(US,A1)
【文献】特表2018-516069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00~15/42
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル前駆体組成物を調製する方法であって、
酸の水溶液を、ニコチン及び1種以上のエアロゾル形成剤と組み合わせて、エアロゾル前駆体組成物を得ること
を含む方法。
【請求項2】
ニコチンがタバコ由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ニコチンが非タバコ由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
酸の水溶液が、約75重量%以下の酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
酸の水溶液が、約50重量%以下の酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
酸の水溶液が、約85~90重量%以下の酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸が、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸、フマル酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸が乳酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1種以上のエアロゾル形成剤がポリオールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組み合わせ工程の前、後、又はその間に追加の成分を加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記追加の成分が風味剤である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エアロゾル前駆体組成物が、約8未満のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
エアロゾル供給装置用カートリッジ内に前記エアロゾル前駆体組成物を組み込むことをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙物品のようなエアロゾル供給装置に関するものであり、より詳細には、エアロゾルの生成のために電気的に発生した熱を利用し得るエアロゾル供給装置(例えば、一般に電子タバコと呼ばれる喫煙物品)に関するものである。この喫煙物品は、エアロゾル前駆体を加熱するように構成されてもよく、前駆体は、タバコから作られるか又はタバコに由来する材料を組み込むか、又はそれ以外の方法でタバコを取り込むことができ、前駆体はヒトが消費するために吸入可能な材料を形成することができる。
【背景技術】
【0002】
多くの喫煙装置が、使用のためにタバコの燃焼を必要とする喫煙製品の改良、又は代替品として、長年を経て提案されてきた。これらの装置の多くは、タバコ、葉巻又はパイプの喫煙に関連する感覚を提供するように意図的に設計されているが、タバコの燃焼に起因する不完全燃焼及び熱分解生成物をかなりの量供給することなく該感覚を提供するように意図的に設計されてきた。この目的のために、揮発性物質を蒸発又は加熱するために電気エネルギーを利用する、又はタバコを有意な程度に燃焼させることなく、タバコ、葉巻又はパイプ喫煙の感覚を提供しようと試みている多数の喫煙製品、風味発生機及び薬用吸入器が提案されてきた。例えば、Robinsonらの米国特許第7,726,320号及びCollettらの米国特許第8,881,737号(これらは参照により本明細書に援用される)に記載されている背景技術に示されている様々な代替喫煙物品、エアロゾル供給装置及び熱発生源を参照されたい。また、例えば、Blessらの米国特許出願公開第2015/0216232号(これは参照により本明細書に援用される)の商標名及び商業的源によって参照される様々な種類の喫煙物品、エアロゾル供給装置及び電動加熱源も参照されたい。さらに、様々な種類の電動エアロゾル及び蒸気供給装置もまた、Searsらの米国特許出願公開第2014/0096781号、Minskoffらの米国特許出願公開第2014/0283859号、Searsらの米国特許出願公開第2015/0335070号、Brinkleyらの米国特許出願公開第2015/0335071号、Ampoliniらの米国特許出願公開第2016/0007651号、及びWormらの米国特許出願公開第2016/0050975号(これらの全ては参照により本明細書に援用される)では提案された。これらの代替喫煙物品のいくつか、例えば、エアロゾル供給装置は、エアロゾル前駆体(例えば、スモークジュース、e-液体、又はe-ジュース)の交換可能なカートリッジ又は補充可能なタンクを有する。
【0003】
このようなエアロゾル供給装置のエアロゾル前駆体を調製するための代替方法を提供することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,726,320号明細書
【文献】米国特許第8,881,737号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0216232号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0283859号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0335070号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0335071号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0007651号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0050975号明細書
【発明の概要】
【0005】
本開示は、エアロゾル前駆体組成物を調製する方法、例えば、電子タバコのようなエアロゾル供給装置に使用するためのエアロゾル前駆体組成物を調製する方法、及びそのような方法によって提供される組成物に関する。特定の利点、例えば、成分の安定性は、以下で完全に概説するように、そのような方法によってもたらされる。
【0006】
一態様では、本開示は、エアロゾル前駆体組成物を調製するための方法であって、以下、すなわち、水中に1種以上の有機酸を含む第1の水溶液を提供すること、及び第1の水溶液を加水分解して、第1の水溶液よりも乾燥重量ベースでより高い有機酸単量体含有率を有する加水分解された水溶液を得ること、及び加水分解された水溶液を1種以上のエアロゾル形成剤と組み合わせて、エアロゾル前駆体組成物を得ること、を含むエアロゾル前駆体組成物の調製方法を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、エアロゾル前駆体組成物内に含まれるべき目標有機酸単量体含有量を決定すること、及び加水分解された水溶液が、エアロゾル前駆体組成物中の目標有機酸単量体含有率を達成するのに十分な有機酸単量体含有率を含むことを確実にするための適切な条件を決定すること、をさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法はさらにニコチンを添加することを含む。ニコチンの添加は、(ニコチンを含む)エアロゾル前駆体組成物を得るために、様々な方法、例えば、ニコチンを加水分解された水溶液と組み合わせること、ニコチンを1種以上のエアロゾル形成剤と組み合わせること、又はニコチンを組み合わせ(加水分解された水溶液と1種以上のエアロゾル形成剤との混合物)と組み合わせることによって行うことができる。ニコチンは、タバコ由来又は非タバコ由来であり得る(例えば、合成によって調製することができる)。
【0008】
いくつかの実施形態では、水溶液は、1種以上の有機酸に加えて、有機酸の反応生成物を含む。いくつかの実施形態では、水溶液は、1種以上の有機酸に加えて、酸二量体、酸三量体、酸オリゴマー、及び酸ポリマーからなる群から選択される1種以上の反応生成物を含む。有機酸は様々である。特定の実施形態では、1種以上の有機酸はヒドロキシ酸である。1種以上の有機酸は、いくつかの実施形態では、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸、フマル酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される。具体的な実施形態では、1種以上の有機酸は乳酸を含む(例えば、単独で又は1種以上の他の酸との組み合わせにおいて)。
【0009】
加水分解は、いくつかの実施形態では、第1の水溶液を、例えば、40℃以上の温度又は50℃以上の温度で加熱することを含む。加水分解は一般に、水溶液中に存在する水の量が加水分解を促進するのに十分であるように行われる。いくつかの実施形態では、第1の水溶液は、少なくとも約10重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、第1の水溶液は、少なくとも約20重量%の水を含む。
【0010】
加水分解された水溶液は、特定の実施形態では、第1の水溶液と比較して、乾燥重量で増加した含有率の単量体有機酸を含有する。いくつかの実施形態では、加水分解された水溶液は、乾燥重量で少なくとも約85%の有機酸を含有する。いくつかの実施形態では、加水分解された水溶液は、乾燥重量で少なくとも約88%の有機酸を含有する。いくつかの実施形態では、加水分解された水溶液は、乾燥重量で少なくとも約90%の有機酸を含有する。いくつかの実施形態では、加水分解された水溶液は、乾燥重量で少なくとも約95%の有機酸を含有する。
【0011】
エアロゾル前駆体組成を得るために使用される1種以上のエアロゾル形成剤は、様々であり得る。いくつかの実施形態では、1種以上のエアロゾル形成剤はポリオールを含み、いくつかの実施形態ではそれらはポリオールである。特定の実施形態では、加水分解された水溶液は、約8未満のpHを有し、いくつかの実施形態では、pHは約7未満である。いくつかの実施形態では、対応するエアロゾル前駆体組成物は、約8未満又は約7未満のpHを有する。
【0012】
開示された方法は、特定の実施形態では、組み合わせる工程の前又は後に追加の成分を添加することをさらに含むことができる。例えば、このような追加の成分には、風味剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、本方法は、40%を超える相対湿度で(例えば、40~60%などの典型的な製造条件下で)環境中でエアロゾル前駆体組成物を保存することをさらに含む。いくつかの実施形態では、開示された方法は、エアロゾル供給装置用カートリッジ内などのエアロゾル供給装置内にエアロゾル前駆体組成物を組み込むことをさらに含む。
【0013】
本開示のさらなる態様では、エアロゾル前駆体組成物を調製するための方法であって、酸の適切な希釈水溶液(例えば、市販されている溶液)を、ニコチン及び1種以上のエアロゾル形成剤と組み合わせて、エアロゾル前駆体組成物を得ることを含む方法が提供される。例えば、酸の市販の水溶液は、いくつかの実施形態では、約75重量%以下の酸、又は約50重量%以下の酸を含む。いくつかの適切な溶液は約85~90重量%の酸を含む。いくつかの実施形態では、このようなエアロゾル前駆体組成物中のニコチンはタバコ由来であり、いくつかの実施形態では、ニコチンは非タバコ由来である。
【0014】
さらなる実施形態では、本開示は、有機酸含有水溶液を加水分解し、加水分解した有機酸含有水溶液を溶液形態で保存することを含む、有機酸含有水溶液の安定性を向上させる方法を提供し、安定性の向上は、溶液中の乾燥重量による酸単量体の含有率を評価することによって(例えば、屈折率分析によって)測定される。いくつかの実施形態では、溶液中の乾燥重量による酸単量体の含有率は、周囲温度での6か月の保存にわたって5%を超えて逸脱することはない。
【0015】
本開示の別の態様では、本明細書に開示される様々な実施形態に従って調製されるエアロゾル前駆体組成物を含む、エアロゾル供給装置用カートリッジが提供される。開示のなおさらなる態様では、エアロゾル供給装置に使用するエアロゾル前駆体組成物の容器(例えばボトル)(例えば、使用者がエアロゾル前駆体組成物をカートリッジ又は容器に補充することができる開放型エアロゾル供給装置)が提供される。このような実施形態の容器に収容されるエアロゾル前駆体組成物は、本明細書に開示される様々な実施形態の方法に従って調製され得る。
【0016】
本開示は、限定されるわけではないが、以下の実施形態を含む。
【0017】
実施形態1:エアロゾル前駆体組成物を調製する方法であって、水中に1種以上の有機酸を含む第1の水溶液を提供し、第1の水溶液を加水分解すること、及び第1の水溶液よりも乾燥重量ベースでより高い有機酸単量体含有率を有する加水分解された水溶液を得ること、及び加水分解された水溶液を1種以上のエアロゾル形成剤と組み合わせて、エアロゾル前駆体組成物を得ること、を含む方法。
【0018】
実施形態2:加水分解された水溶液、1種以上のエアロゾル形成剤、又はそれらの組み合わせに、ニコチンを添加して、エアロゾル前駆体組成物を得ることをさらに含む、先の実施形態の方法。
【0019】
実施形態3:ニコチンがタバコ由来である、先の実施形態のいずれかの方法。
【0020】
実施形態4:ニコチンが非タバコ由来である、先の実施形態のいずれかの方法。
【0021】
実施形態5: エアロゾル前駆体組成物内に含まれるべき目標有機酸含有率を決定すること、及び加水分解された水溶液が、エアロゾル前駆体組成物中の目標有機酸含有率を達成するのに十分な有機酸含有率を含むことを確実にするための適切な条件を決定することをさらに含む、先の実施形態のいずれかの方法
【0022】
実施形態6:水溶液が、1種以上の有機酸に加えて、有機酸の反応生成物を含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0023】
実施形態7:水溶液が、1種以上の有機酸に加えて、1種以上の酸二量体、酸オリゴマー、及び酸ポリマーを含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0024】
実施形態8:1種以上の有機酸が、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸、フマル酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される、先の実施形態のいずれかの方法。
【0025】
実施形態9:1種以上の有機酸が乳酸を含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0026】
実施形態10:加水分解が第1の水溶液を加熱することを含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0027】
実施形態11:第1の水溶液が少なくとも約10重量%の水を含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0028】
実施形態12:加水分解された水溶液が、乾燥重量で少なくとも約85%の有機酸を含有する、先の実施形態のいずれかの方法。
【0029】
実施形態13:加水分解された水溶液が、乾燥重量で少なくとも約88%の有機酸を含有する、先の実施形態のいずれかの方法。
【0030】
実施形態14:加水分解された水溶液が、乾燥重量で少なくとも約90%の有機酸を含有する、先の実施形態のいずれかの方法。
【0031】
実施形態15:加水分解された水溶液が、乾燥重量で少なくとも約95%の有機酸を含有する、先の実施形態のいずれかの方法。
【0032】
実施形態16:1種以上のエアロゾル形成剤がポリオールを含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0033】
実施形態17:エアロゾル前駆体組成物が約8未満のpHを有する、先の実施形態のいずれかの方法。
【0034】
実施形態18:組合せ工程の前、後、又はその間に追加の成分を添加することをさらに含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0035】
実施形態19:追加の成分が風味剤である、先の実施形態のいずれかの方法。
【0036】
実施形態20:エアロゾル供給装置用カートリッジ内にエアロゾル前駆体組成物を組み込むことをさらに含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0037】
実施形態21: エアロゾル前駆体組成物を調製するための方法であって、
市販の酸の水溶液を、ニコチン及び1種以上のエアロゾル形成剤と組み合わせて、エアロゾル前駆体組成物を得ること
を含む方法。
【0038】
実施形態22:ニコチンがタバコ由来である、先の実施形態のいずれかの方法。
【0039】
実施形態23:ニコチンが非タバコ由来である、先の実施形態のいずれかの方法。
【0040】
実施形態24:酸の市販の水溶液が、約75重量%以下の酸を含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0041】
実施形態25:酸の市販の水溶液が、約50%重量以下の酸を含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0042】
実施形態26:酸が乳酸を含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0043】
実施形態27:エアロゾル供給装置用カートリッジ内にエアロゾル前駆体組成物を組み込むことをさらに含む、先の実施形態のいずれかの方法。
【0044】
実施形態28:有機酸含有水溶液の安定性を高める方法であって、
有機酸含有水溶液を加水分解すること、及び
加水分解した有機酸含有水溶液を溶液の形態で保存すること
を含み、
高められた安定性が、溶液中の乾燥重量による酸単量体の含有率を評価することによって測定される、
方法。
【0045】
実施形態29:溶液中の乾燥重量による酸単量体の含有率が、周囲温度での6ヶ月の保存にわたって5%を超えて逸脱しない、先の実施形態のいずれかの方法。
【0046】
実施形態30:先の実施形態のいずれかの方法により調製されたエアロゾル前駆体組成物を含む容器。
【0047】
実施形態31:エアロゾル供給装置用カートリッジを含む、先の実施形態の容器。
【0048】
本開示のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下に簡潔に記載する添付の図と共に以下の詳細な説明を読むことから明らかであろう。本開示は、このような特徴又は要素が、本明細書の特定の実施形態の説明又は請求項に明確に組み合わされるか、他の方法で記載されるかにかかわらず、本開示で示される、又は請求項のいずれか1つ以上に記載される2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特徴又は要素の任意の組合せを含む。この開示は、開示の文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、その態様及び実施形態のいずれかにおいて開示の分離可能な任意の特徴又は要素が、組み合わせ可能であることを意図していると見なされるべきであるように、全体的に読み取られることを意図している。
【0049】
このように前記の一般的な用語で本開示が記載されてきたが、次に必ずしも縮尺通りに描かれていない添付の図について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、乳酸二量体及びそれより高次のオリゴマー/ポリマーと平衡状態にある乳酸の模式図である。
【
図2】
図2は、開示された方法の一実施形態の方法の工程のフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の実行例に従って、制御本体に連結されたカートリッジを含むエアロゾル供給装置の側面図を示す。
【
図4】
図4は、様々な実行例によるエアロゾル供給装置の部分的切断図である。
【
図5A】
図5Aは、2つの異なる温度での乳酸単量体と乳酸(単量体+二量体)のLC-MS比のプロットである。
【
図5B】
図5Bは、2つの異なる温度での乳酸単量体と乳酸(単量体+二量体)のLC-MS比のプロットである。
【
図6】
図6は、「混合しただけ」、一次加水分解、及び二次加水分解の結果を含む、様々な時間における試料の単量体乳酸のパーセントのプロットである。
【
図7】
図7は、加水分解された及び加水分解されていない乳酸を含む5%のニコチンを含有したe-液体のpHのプロットである。
【
図8A】8Aは、加水分解時間の関数としての乳酸試料の屈折率のプロットである。
【
図8B】8Bは、加水分解時間の関数としての乳酸試料の比重のプロットである。
【
図9】
図9は、本開示に従って加水分解された、乳酸を含むe-液体についての、経時的なpHのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示は、以下、その実行例を参照して、より完全に記述される。これらの実行例は、この開示が徹底的かつ完全となるように説明され、開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載される。実際、本開示は多くの異なる形態で具体化される可能性があり、本明細書に示された実行例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実行例は、この開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」などは、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、複数の指示物を含む。
【0052】
以下に記載するように、本開示は、エアロゾル供給システムに使用するためのエアロゾル前駆体混合物を調製する方法に関する。特に、このような方法は、エアロゾル前駆体混合物に含まれるべき特定の成分の前処理を含み、種々の望ましい特性、例えば、目標濃度と一致する成分濃度及び良好な貯蔵性を示すエアロゾル前駆体を得る。特に、開示された方法は、エアロゾル前駆体混合物の組成及び特性に対する比較的高度の制御を提供し得る。
【0053】
一般に、エアロゾル前駆体は、様々な成分(ingredient)(すなわち、成分(component))の組合せ又は混合物を含む。特定のエアロゾル前駆体成分の選択、及び使用されるそれらの成分の相対量は、エアロゾル供給装置の噴霧器によって生成される主流エアロゾルの全体的な化学組成を制御するために修正され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、それに十分な熱(必要であれば空気で冷却する)を適用すると目に見えるエアロゾルを生成することができ、エアロゾル前駆体組成物は、「煙様である」と考えることができるエアロゾルを生成することができる。他の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、実質的に目に見えないが、風味又は質感のような他の特性によって存在すると認識することができるエアロゾルを生成することができる。したがって、生成されるエアロゾルの性質は、エアロゾル前駆体組成物の特定の成分に依存して変化し得る。エアロゾル前駆体組成は、タバコを燃焼させることによって生じる煙の化学的性質と比較して、化学的に単純であることができる。
【0055】
特に興味深いのは、本来は一般に液体であると特徴づけることができるエアロゾル前駆体である。例えば、代表的な、一般に液体であるエアロゾル前駆体は、液体溶液、混和性成分の混合物、又は懸濁又は分散成分を組み込んだ液体の形態を有し、これらは、エアロゾル供給装置の使用中に経験されるこれらの条件下で、熱に曝露されると蒸発することができ、したがって吸入可能な蒸気及びエアロゾルを生じることができる。
【0056】
エアロゾル前駆体は、一般に、いわゆる「エアロゾル形成剤」成分を組み込んでいる。このような材料は、本開示の特徴である噴霧器の通常の使用中に経験されるこれらの条件下で熱に曝露されたときに気化されると、目に見えるエアロゾルを生じる能力を有する。このようなエアロゾル形成材料には、種々のポリオール/多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、及びそれらの混合物)が含まれる。本開示の多くの実施形態は、水、水分又は水性液体として特徴付け得るエアロゾル前駆体成分を組み込んでいる。特定のエアロゾル供給装置を通常使用している条件下では、それらの装置内に組み込まれた水は蒸発して、発生したエアロゾルの成分を生じることができる。そのため、本開示の目的のために、エアロゾル前駆体内に存在する水は、エアロゾル形成物質であると考えることができる。例えば、エアロゾル前駆体組成物は、グリセリンと水との混合物、又はプロピレングリコールと水との混合物、又はプロピレングリコールとグリセリンとの混合物、又はプロピレングリコールとグリセリンと水との混合物を取り込むことができる。
【0057】
エアロゾル前駆体組成物はさらに、1種以上の風味剤、薬剤、又は他の吸入可能な材料を含み得る。吸い出された主流のエアロゾルの感覚特性又は性質を変化させる様々な香味剤又は風味材料を、エアロゾル前駆体の成分として組み込むことができる。香味剤を、例えば、エアロゾルの風味、芳香及び/又は感覚刺激特性を変化させるために添加することができる。特定の香味剤は、タバコ以外の供給源から提供され得る。香味剤は本質的に天然のものでも人工のものでもよく、濃縮物又は風味パッケージとして使用される。
【0058】
香味剤の例としては、バニリン、エチルバニリン、クリーム、茶、コーヒー、フルーツ(例:リンゴ、サクランボ、イチゴ、モモ及びシトラスの風味(例:ライム及びレモンを含む)、花の風味、セイボリーの風味、楓、メントール、ミント、ペパーミント、スペアミント、ウィンターグリーン、ナツメグ、クローブ、ラベンダー、カルダモン、ショウガ、ハチミツ、アニス、セージ、シナモン、白檀、ジャスミン、カスカリラ、ココア、リコリス、メントール、並びにタバコ、葉巻及びパイプタバコの風味付けに伝統的に使用される種類及び特徴の調味料及び風味パッケージが挙げられる。使用され得る特定の植物由来組成物は、Dubeらの米国特許出願第12/971,746号及びDubeらの米国特許出願第13/015,744号(その開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。)に開示されている。高フルクトースコーンシロップなどのシロップも使用できる。特定の香味剤は、最終的なエアロゾル前駆体混合物の配合前にエアロゾル形成材料内に組み込まれてもよい(例えば、特定の水溶性香味剤を水に組み込むことができ、メントールをプロピレングリコールに組み込むことができ、特定の複雑な風味パッケージをプロピレングリコールに組み込むことができる)。
【0059】
香味剤には、酸性又は塩基性の特徴(例えば、有機酸、アンモニウム塩、又は有機アミン)も含まれ得る。エアロゾル前駆体と組み合わせることができるニコチンなどの薬剤の風味、感覚、又は感覚刺激特性に望ましい改変を提供するために、有機酸をエアロゾル前駆体に特に組み込むことができる。例えば、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸、及び/又はフマル酸などの有機酸は、ニコチンと等モル(全有機酸含量に基づく)までの量又はそれを超える量でニコチンと共にエアロゾル前駆体に含まれ得る。有機酸の任意の組み合わせを使用することができる。例えば、エアロゾル前駆体は、ニコチン1モル当たりレブリン酸約0.1~約0.5モル、ニコチン1モル当たりピルビン酸約0.1~約0.5モル、ニコチン1モル当たり乳酸約0.1~約0.5モル、又は存在する有機酸の総量がエアロゾル前駆体中のモノプロトン化ニコチン含量を最大化するのに必要な量と等しいか又はそれより多い濃度まで(これは計算することができ、通常等モル量より多い)、それらの組合せを含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体はニコチン成分を含む。「ニコチン成分」とは、存在するニコチンの少なくとも一部の全身吸収を提供するための塩形態をはじめとする、ニコチンの任意の適切な形態(例えば、遊離塩基、モノ-プロトン化、又はジ-プロトン化)を意味する。典型的には、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基及びニコチン塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ニコチンはその遊離塩基の形態である。ニコチンは、タバコ由来(例えば、タバコ抽出物)又は非タバコ由来(例えば、合成又は他の方法で得られる)であり得る。
【0061】
電子タバコとして特徴付けられるエアロゾル供給装置については、エアロゾル前駆体はタバコ又はタバコに由来する成分を取り込むことができる。1つの点では、タバコは、微粉砕、粉砕又は粉末のタバコ葉身のようなタバコの部分又は断片として提供され得る。別の点では、タバコは、タバコの水溶性成分の多くを組み込んだ噴霧乾燥抽出物のような抽出物の形態で提供され得る。あるいは、タバコ抽出物は、比較的高いニコチン含有率の抽出物の形態を有してもよく、この抽出物はまた、タバコに由来する少量の他の抽出成分を組み込んでもよい。別の点では、タバコに由来する成分は、比較的純粋な形態、例えば、タバコに由来する特定の香味剤中に提供されてもよい。1つの点では、タバコに由来し、高度に精製された、又は本質的に純粋な形態で使用され得る成分は、ニコチン(例えば、医薬グレードのニコチン又はUSP/EPニコチン)である。
【0062】
タバコに由来する医薬グレードのニコチンをはじめとする、タバコ抽出物を含むエアロゾル前駆体材料の実施形態では、タバコ抽出物は、ホフマン分析物と総称される化合物を実質的に含まないと特徴付けられることが有利であり、該化合物としては、例えば、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、(4-メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、及びN’-ニトロソアナバシン(NAB)をはじめとするタバコに特異的なニトロソアミン(TSNA)、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、クリセン、ジベンズ[a,h]アントラセン、及びインデノ[1,2,3-cd]ピレンをはじめとする、多環芳香族炭化水素(PAH)などが挙げられる。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体材料は、TSNA及びPAHをはじめとする、あらゆるホフマン分析物を完全に含まないと特徴付けることができる。エアロゾル前駆体材料の実施形態は、約5ppm未満、約3ppm未満、約1ppm未満、又は約0.1ppm未満の範囲、又は検出可能な限界未満でさえあるTSNAレベル(又は他のホフマン分析物レベル)を有し得る。特定の抽出方法又は処理方法を用いて、ホフマン分析物濃度の低下を達成することができる。例えば、タバコ抽出物は、例えば、Byrdらの米国特許第9,192,193号、並びにBhattacharyyaらの米国特許出願公開第2007/0186940号、Reesらの米国特許出願公開第2011/0041859号、及びJonssonらの米国特許出願公開第2011/0159160号(これらの全てが参照により本明細書に援用される。)に記載されているようなインプリントされたポリマー又はインプリントされていないポリマーと接触させることができる。さらに、タバコ抽出物は、アミン官能基を有するイオン交換材料で処理することができ、これは特定のアルデヒド及び他の化合物を除去することができる。例えば、Horsewellらの米国特許第4,033,361号及びFiglarらの米国特許第6,779,529号(これらは参照によりその全体が本明細書に援用される。)を参照されたい。
【0063】
エアロゾル前駆体組成物は、その中で利用される様々な量の材料に基づいて、様々な構造を取ることができる。例えば、有用なエアロゾル前駆体組成物は、約98重量%まで、約95重量%まで、又は約90重量%までのポリオールを含み得る。種々のポリオール(例えば、グリセリン及び/又はプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。)が知られており、エアロゾル前駆体組成物中で使用することができる。この総量は、単一のポリオール(例えば、グリセリン又はプロピレングリコール)を含むことができるか、又は2種以上の異なるポリオール間の任意の組み合わせで分割され得る。例えば、1種のポリオールは、約50重量%~約90重量%、約60重量%~約90重量%、又は約75重量%~約90重量%のエアロゾル前駆体を構成することができ、第2のポリオールは、約2重量%~約45重量%、約2重量%~約25重量%、又は約2重量%~約10重量%のエアロゾル前駆体を構成することができる。有用なエアロゾル前駆体はまた、約30重量%まで、約25重量%まで、約20重量%まで、又は約15重量%の水、特に約0重量%~約30重量%、約2重量%~約30重量%、約2重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、又は約7重量%~約15重量%の水を含むことができる。いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は意図的に添加された水を有さない(又は約2%までのようなごく少量のみ)。風味剤など(ニコチンなどの薬剤を含むことができる)は、エアロゾル前駆体の約10重量%まで、約8重量%まで、又は約5重量%までを構成することができる。典型的には、これに限定されないが、ニコチン以外の風味化合物は、ppm若しくはμg/gレベル又は約0.004%~約0.1%で存在し得、ニコチン以外のいくつかの風味化合物、例えば、メントールは、エアロゾル前駆体に基づいて、より高いレベル、例えば、約4重量%まで存在し得る(例えば、約1.5%~約3重量%の間)。さらに、メントールが使用される場合、水の量は、いくつかの実施形態では、メントールの沈殿を生じないように、望ましく最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、風味剤は、エアロゾル形成剤溶液の形態で(例えば、水、プロピレングリコール、及び/又はグリセリン溶液中に)エアロゾル前駆体溶液内に含まれ、そのような実施形態では、風味剤含有エアロゾル形成剤溶液は、総エアロゾル前駆体重量に基づいて約5重量%~約10重量%の量で使用することができ、ここで、1種以上の風味剤は、その中に様々な濃度で含まれ得る。
【0064】
非限定的な例として、いくつかの実施形態によるエアロゾル前駆体は、グリセロール、プロピレングリコール、水、ニコチン、及び1種以上の風味剤を含むことができる。具体的には、グリセロールは、約70%~約90%重量、約70%~約85%重量、約70%~約80%、又は約75%~約85%重量の量で存在することができ、プロピレングリコールは、約1%~約10%重量、約1%~約8%重量、又は約2%~約6%重量の量で存在することができ、水は、約1%~約30%重量、例えば、約1%~約25%重量、約1%~約10%重量、約1%~約5%、約10%~約25%重量、約10%~20%重量、約12%~約20%重量、約12%~約16%重量の量で存在することができ、ニコチンは、約0.1%~約7%重量、約0.1%~約5重量%、約0.5%~約4重量%、又は約1%~約3重量%の量で存在することができ、風味剤は、約5重量%まで、約3重量%まで、又は約1重量%までの量で存在することができ、全ての量はエアロゾル前駆体の総重量に基づく。エアロゾル前駆体の1つの特定の非限定的な例は、約75重量%~約80重量%のグリセロール、約13重量%~約15重量%の水、約4重量%~約6重量%のプロピレングリコール、約2重量%~約3重量%のニコチン、及び約0.1重量%~約0.5重量%の風味剤を含む。ニコチンは、例えば、上記参照のように、タバコ抽出物由来であってもよいし、非タバコ由来/合成であってもよい。
【0065】
別の非限定的な例は、約15重量%~約40重量%、例えば、約15重量%~約30重量%又は約25重量%~約35重量%のような、より多い量のプロピレングリコールを含み、グリセロールは、約40重量%~約70重量%又は約50重量%~約70重量%のような、上記の非限定的な例よりも少ない量で存在し、水は、約5重量%~約20重量%、約10重量%~約18重量%、又は約12重量%~約16重量%の量で存在することができ、ニコチンは、約0.1重量%~約7重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.5重量%~約4重量%、又は約1重量%~約3重量%の量で存在することができ、風味剤は、約5重量%まで、3重量%まで、又は約1重量%までの量で存在することができ、全ての量は、エアロゾル前駆体の総重量に基づく。
【0066】
エアロゾル前駆体成分及び配合物の代表的な種類も、Robinsonらの米国特許第7,726,320号、Zhengらの米国特許出願公開第2013/0008457号、Chongらの米国特許出願公開第2013/0213417号、Collettらの米国特許出願公開第2014/0060554号、Lipowiczらの米国特許出願公開第2015/0020823号及びKollerの米国特許出願公開第2015/0020830号、並びにBowenらのWO2014/182736号(これらの開示は参照により本明細書に援用される。)に記載され、特徴付けられている。追加のエアロゾル前駆体組成物はSensabaugh,Jr.らの米国特許第4,793,365号、Jakobらの米国特許第5,101,839号、BiggsらのPCT WO98/57556号及び、タバコの燃焼の代わりに加熱する新しいタバコのプロトタイプに関する化学的及び生物学的研究、R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)(これらの開示は、参照により本明細書に援用される。)に記載されている。エアロゾル前駆体組成物の例はまた、E-CIGという商標名を有する電子タバコとして、米国ジョージア州アクワースのAtlanta Imports Inc.,から入手可能なデバイス内に組み込まれた材料の種類(これは、関連する喫煙カートリッジのタイプC1a、C2a、C3a、C4a、C1b、C2b、C3b、及びC4bを使用して利用することができる。)、並びに中国北京のRuyan SBT Technology and Development Co., Ltd.からのRuyan Atomizing Electronic Pipe及びRuyan Atomizing Electronic Cigaretteを含む。
【0067】
使用され得る他のエアロゾル前駆体には、R.J.Reynolds Vapor CompanyによるVUSE(R)製品、Lorillard TechnologiesによるBLU(商標)製品、Mistic EcigsによるMISTIC MENTHOL製品、及びCN Creative Ltd.によるVYPE製品に取り込まれたエアロゾル前駆体が含まれる。また、Jonson Creek Enterprises LLCから入手可能な電子タバコのための、いわゆる「スモークジュース」も望ましい。発泡性材料の実施形態は、エアロゾル前駆体と共に使用することができ、例として、Huntらの米国特許出願公開第2012/0055494号(参照により本明細書に援用される。)に記載されている。さらに、発泡性材料の使用については、例えば、Niaziらの米国特許第4,639,368号、Wehlingらの米国特許第5,178,878号、Wehlingらの米国特許第5,223,264号、Patherらの米国特許第6,974,590号、及びBergquistらの米国特許第7,381,667号、並びにStricklandらの米国特許出願公開第2006/0191548号、Crawfordらの米国特許出願公開第2009/0025741号、Brinkleyらの米国特許出願公開第2010/0018539号及びSunらの米国特許出願公開第2010/0170522号、並びにJohnsonらのPCT WO97/06786号(これらの全ては、参照により本明細書に援用される。)に記載されている。
【0068】
エアロゾル前駆体のような配合物は、一般に、記載された純度及び/又は提供された通りの試料中に存在する可能性のある不純物を説明するための分析に基づいて配合される。本明細書中で使用される場合、100%未満の「純度」は、標識に記載されている化合物以外の化合物(複数可)(例えば、二量体、三量体、オリゴマーなどのその化合物の反応生成物を除き、化合物が希釈溶液の形成で提供される場合など、試料中に存在する可能性のある任意の溶媒を除く)の存在を示すために使用される。簡略化された理論例として、試料が95重量%純度の乳酸であり、次に乳酸20gを含むエアロゾル前駆体配合物を得ることが示された場合には、100%未満の純度を構成するために21.1gの乳酸を組み込むべきであると合理的に考えることができる。本発明者らは、一般に、市販されている有機酸の試料は、特に、有機酸単量体の記載された割合よりも実際には少なく(場合によっては著しく少なく)、典型的には、酸二量体、オリゴマー、ポリマー及び他の化合物をはじめとするが、これらに限定されない、いくつかの割合の反応生成物を(記載された酸単量体に加えて)含むことを見出した。そのため、有機酸として指定された特定の試料内では、記載された酸単量体は一般に他の種と平衡状態で存在し、酸単量体自体は標識に記載されている有機酸の総含量の100%未満を占める。「純度」という用語は、本明細書では、溶媒、例えば、水(例えば、95重量%の酸及び5重量%の水を含有する、標識強度95%の酸を有する酸溶液試料の場合)を含み得る「標識強度」と区別されると理解される。
【0069】
図1は、乳酸についての一般的な反応生成物(示されている乳酸二量体を含み、これは一般に「ラクトイル乳酸」又は「乳酸乳酸塩」と称される)を示す。有機酸自体以外(すなわち、酸単量体以外)の化合物(例えば、二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマー)の存在は、次に単量体有機酸の所望の含有量を含まない最終配合物(例えば、エアロゾル前駆体)を導くことがある(添加される有機酸の100%が単量体形態であると仮定して計算される)。特に、そのような化合物(酸単量体以外)は、有効酸性度の低下をもたらす可能性がある(例えば、2つの乳酸分子(それぞれ1つの酸官能基を有する)が、1つだけの酸性官能基性を有する(又は全く有さない)二量体を生成するために示されているように結合し、関連する酸官能基の数を2つから1つ又はゼロに減少させる)。
【0070】
本明細書中で使用される「酸単量体」、及び「単量体型」への言及は、酸自体を指すことを意図しており、例えば、市販の試料の標識に記載された化合物(典型的には、溶液のpHに依存して、プロトン化された又はプロトン化されていない単一の酸官能基を含む)を指す。「酸単量体」という用語は、塩の形態の単量体の酸を含むことを意図しており、例えば、(H+又はプロトンの形態にある)酸の水素イオンがエアロゾル前駆体中の別の成分の部分(例えば、限定されるわけではないが、ニコチンを含み、モノプロトン化ニコチンを生成する)に、例えば、ニコチン塩の形態で転移される場合が挙げられる。本明細書中で使用される「酸単量体」は、他の酸反応生成物、例えば、上記の二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマーを含む部分を明確に排除する。
【0071】
所与の酸の「二量体」、「三量体」、「オリゴマー」及び「ポリマー」形態への言及は、(特に明記しない限り)本願の関連において、酸単量体の(他の酸単量体との、又は他の部分との)反応生成物を包含することが理解され、反応生成物は、構成する酸単量体の合計中に存在するよりも利用可能な酸部分が少ない場合がある。例えば、本開示に係る特定の関心のある特定の二量体は、2つの単量体(各々が1つの酸官能基を含む)から生成し、得られる二量体は1つ(又はそれより少ない)の酸官能基のみを含有し、本開示に係る特定の関心のある三量体は、3つの単量体(各々が1つの酸官能基を含む)から生成し、三量体は2つ(又はそれより少ない)の酸官能基を含有する。これに対応して、特定の関心のあるオリゴマーは、「x」個の単量体(それぞれが1つの酸官能基を含む)から生成すると記述することができ、オリゴマーは、「x」より少ない酸官能基を含む。この考察では、それぞれ1つの酸官能基を含む単量体から製造された二量体、三量体、及びオリゴマーに焦点を当てるが、拡張的に、この考察は、2つ以上の酸官能基を含む単量体から製造された二量体、三量体、及びオリゴマーにも適用可能であることが理解される。例えば、各々が2つの酸官能基を有する単量体から形成される二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマーとの関連で、特に関心があるのは、4つ未満の酸官能基を含有する二量体、6つ未満の酸官能基を含有する三量体などであり、対応する酸単量体の形態に対して酸官能基の全体的な減少をもたらす。所与の試料内に二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマーが存在するために、酸単量体の予想含有率よりも少ない存在は、負の結果をもたらす可能性があり、例えば、別の成分との反応のために添加する試料の量を計算する場合、又は所望の量の酸性度を提供するために添加する試料の量を計算する場合がそうである。
【0072】
有機酸試料中に記載され、実際に存在する酸単量体の量における本発明者により指摘された矛盾(上で、本明細書中で言及されているような反応生成物、例えば、酸二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマーの存在のため)に対処するために、本開示は、エアロゾル前駆体の特定の成分をエアロゾル前駆体の配合前に前処理する方法を提供する。成分のこのような前処理は、いくつかの実施形態では、それが組み込まれる配合物中の所望の成分のより高い割合(例えば、標識された/所望の量をより反映する量)を保証することができる。上で言及された酸との関連で、このような前処理は、いくつかの実施形態では、その酸の標識された含有率をより反映する配合物内の酸単量体の量を有利に提供することができる。換言すれば、このような前処理は、試料中の酸の反応生成物(例えば、酸単量体から形成される二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマー種)を望ましく減少させる。得られた前処理された酸試料は、同などの未処理の酸試料よりも高いモル量の酸単量体を含むものとして特徴付けることができる。そのため、好ましい実施形態では、配合物に組み込まれる前処理された「酸」の計算された量は、(配合物に直接組み込まれた)未処理形態の同量の「酸」を含む配合物と比較して、その配合物に実際に存在する酸単量体の量とより密接に合致する。そのように、開示された方法は、本明細書に記載される前処理なしで提供されるであろうよりも、1種以上の有機酸の目標量に近い1種以上の有機酸の量を有する、配合物、例えば、エアロゾル前駆体の調製方法を提供する。
【0073】
前処理法は一般に、1種以上の有機酸試料の加水分解を含む。加水分解は水との反応であると理解される。有機酸の開示された加水分解との関連で、加水分解は、一般に、平衡を単量体酸に向けて推し進めるために、1種以上の有機酸試料を水と組み合わせることを含む。一例を
図1に示し、
図1は乳酸二量体及びより高次のオリゴマー反応生成物と平衡状態にある乳酸の加水分解を示す。本開示によれば、有機酸試料は、単量体有機酸の形態(例えば、
図1に示される例では「乳酸」)への平衡移動を促進するために加水分解に供される。
【0074】
加水分解はいろいろな方法で行うことができる。いくつかの実施形態では、加水分解前処理は、1つ以上の有機酸試料を水で希釈すること、及び希釈された試料を高温に供することの一方又は両方を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載されるような配合物内に含めるために、(より濃縮された溶液ではなく)有機酸の希釈水溶液を選択することを含む。そのように、いくつかの実施形態における加水分解はin situで起こり、一方、他の実施形態では、加水分解は、受け取った通りの試料を改変することによって起こる(例えば、それに水を加えるか、さもなければ試料を希釈することによって)。
【0075】
有機酸試料を希釈することは、一般に、試料に水を加えること、又は試料を水と接触させて、試料中の化合物(水以外)の全体的な濃度を低下させることを含む。その結果、希釈水溶液となる。水は、典型的には、希釈された水溶液の製造に使用されるが、例えば、溶解性を保証するために、他の溶媒を水と組み合わせて使用することができる。他の溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、テトラヒドロフラン、及びアセトンなどの水と混和可能な溶媒が挙げられるが、これに限定されない。このような溶媒は、エアロゾル前駆体組成物の完全な配合及び包装の前に除去を必要とすることがある。
【0076】
希釈の程度は様々であり得、本明細書に開示されているように、ある程度の結果(例えば、酸二量体、三量体、オリゴマー、及び/又はポリマーの加水分解)を提供するのに必要な真の「最小」希釈が存在するとは考えられない。典型的には、ある程度の制限があるものの、水分含量が高いほど、加水分解後の単量体酸含量が高くなることがわかっている。そのように、いくつかの実施形態では、より高い希釈は、単量体の形成を促進するのに有利であり得る。高度の加水分解のためには、酸単量体以外の酸試料中の全ての化合物と反応して酸単量体を生成するのに十分な水を使用しなければならないことが注目される。さらに、水が酸単量体以外の酸試料中の全ての化合物に接近して酸単量体を生成することができることを保証するために、典型的には、十分な水を使用しなければならない。そのため、水分含有率は特に制限されないが、これらの検討事項は適切な希釈を決定の決定に関係する。いくつかの実施形態では、希釈は、少なくとも1重量%の水、少なくとも約5重量%の水、少なくとも約10重量%の水、少なくとも20重量%の水、少なくとも30重量%の水、少なくとも40重量%の水、少なくとも50重量%の水、少なくとも60重量%の水、又は少なくとも70重量%の水(例えば、限定されないが、約10重量%~約80重量%の水を含む)である希釈試料を提供する。いくつかの実施形態では、希釈は、約50~90%の重量の水である希釈試料を提供する。
【0077】
上述の段落では「希釈」に言及されていることに注意する。しかし、いくつかの実施形態では、希釈は積極的に行われる方法の肯定的な「工程」ではない。いくつかの実施形態では、一定期間にわたって一定の希釈溶液内で加水分解が起こり、適切な単量体酸含有率を提供することができるので、(より濃縮された試料ではなく)希釈溶液を購入し、使用することが適している場合がある。いくつかの実施形態では、方法は、希釈溶液を購入し、使用前に所望の程度の加水分解を保証するのに十分な期間、それを維持/保存することを含むことができる。
【0078】
酸含有溶液が供される条件は、いくつかの実施形態では、加水分解速度に影響を及ぼすことがある。例えば、40℃の温度で加水分解を受けた溶液の方が、25℃の温度で加水分解を受けた溶液よりも加水分解が速いようである。そのように、本明細書に開示されている前処理/加水分解は、いくつかの実施形態では、温度依存性である。加水分解はまた、いくつかの実施形態では、加水分解に供される溶液の濃度に依存する。当業者によって認識されるであろうように、十分な水が、任意の酸反応生成物と反応する(したがって、所望のように、酸単量体を形成する)ために、溶液内に存在しなければならない。いくつかの実施形態では、より希薄な溶液は、より濃縮された溶液よりも速い速度で加水分解を受けることができる。理論によって限定されることを意図するものではないが、溶液のより高い水分含率及び/又はより高い温度条件は、より大きな/より速い加水分解をもたらし、より多くの酸単量体を与えると考えられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、加水分解は、少なくとも部分的には室温で行われる。他の実施形態では、加水分解は、少なくとも部分的には高温で行われる。加水分解前処理の間に希釈された有機酸試料が供される高温は、様々であり得る。温度は、試料中の特定のパーセントの酸を達成するのに必要な時間に影響を及ぼすことがある。温度が高いほど反応は速くなるのが普通である。そのため、より高い温度では、本明細書に開示された加水分解前処理は、同じ期間より低い温度で行われた同じ反応よりも溶液中の総酸単量体の割合が高くなることができる。同様に、より高い温度では、加水分解前処理は、溶液中の同じ総酸単量体パーセントを達成するために、より低い温度で行われる同じ反応よりも時間を要しないことができる。
【0080】
しかし、加水分解は、周囲温度(例えば、約25℃)、高温(約25℃より高い)をはじめとする様々な温度で、及び冷却された温度(例えば、約25℃より低い)でさえ行うことができる。特定の実施形態では、加水分解前処理は、約30℃以上の温度、約40℃以上の温度、約50℃以上の温度、約60℃以上の温度、約70℃以上の温度、約80℃以上の温度、約90℃以上の温度、又は約100℃以上の温度で、希釈した試料を加熱することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、加水分解前処理は、約30℃~約100℃、約40℃~約100℃、例えば、約30℃~約80℃又は約50℃~約100℃の範囲の温度で行われる。ある特定の実施形態では、加水分解は約40℃で行われ、他の特定の実施形態では、加水分解は約70℃で行われる。いくつかの実施形態では、加水分解反応は発熱性であってよく、したがって加熱手段又は冷却手段を直接適用しなくても、前処理の間に溶液の温度がいくぶん変動することがある。
【0081】
加水分解が行われる最高温度は、例えば、酸単量体が沸騰及び/又は分解する温度によって制限される。例えば、酸が乳酸である場合、加水分解工程の間に溶液が暴露される温度の上限は、酸単量体の最小分解温度(約130℃)未満であり、典型的には酸単量体の沸点(約127℃)未満でもある。
【0082】
このような加水分解前処理は、様々な期間にわたって行うことができ、上述のように、時間は、例えば、(加水分解処理を始める前に)存在する単量体の形態の初期含有率、酸単量体の所望の含有率、及び加水分解が行われる温度に依存する。いくつかの実施形態では、溶液が加水分解に供される時間は、約2時間~約144時間、例えば、約6時間~約48時間であることが理解される。いくつかの実施形態では、時間は、例えば、溶液が加熱されていない場合には、日、週、又は月の順で有意に長い。
【0083】
加水分解を受けた溶液は、いくつかの実施形態では、加水分解の前、最中、及び/又は後に撹拌、振盪、又は別の方法でかき混ぜることができる。しかし、これは必要ではなく、いくつかの実施形態では、希釈された溶液は、単に意図的な動きなしに静置される。加水分解を受けた溶液は、典型的には、大気圧で維持されるが、いくつかの実施形態では、圧力を変化させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、加水分解は、高圧(大気圧よりも高い)で行われる。温度と圧力の関係は一般に理解されており、いくつかの実施形態では、圧力を改変して、より低い温度で、与えられた温度を用いて得られるものと同等である結果を得ることができる。加水分解を受ける溶液を取り巻く雰囲気の組成も同様に変化し得、限定されることを意図したものではない。
【0084】
これとの関連で加水分解は、一般に、より大きな酸単量体含有率を提供し、したがっていくつかの実施形態では、pHに影響を及ぼし得る。例えば、いくつかの実施形態では、単一の酸官能基を有する二量体が単量体酸に加水分解されるにつれて、酸官能基の量が増加し、これは、試料全体のpHに影響し得る。したがって、酸性度の評価は加水分解の程度を示すものと考えられる。そのため、いくつかの実施形態では、方法は、溶液のpHを監視することを含む。所望のpH範囲は様々であり得、いくつかの実施形態では、溶液が組み込まれるように設計されている特定の製品に依存し得る。
【0085】
加水分解は、例えば、処理される溶液の屈折率又は比重を測定することによって監視又は評価することもできる。これらのパラメータのいずれか又は両方の評価は、加水分解の程度を示すことができる。一般に、単一の酸官能基を有する二量体は単量体酸に加水分解されるにつれて、溶液の屈折率及び比重が増加する。そのように、いくつかの実施形態では、この方法は、加水分解の程度を評価するために屈折率及び/又は比重を(当該技術分野で知られた方法により)監視することを含む。典型的には、時間に対して値をプロットする場合、屈折率及び/又は比重の最初の増加に続いて、値は横ばいになり及び有意に変化せず、これは、いくつかの実施形態では、十分な加水分解(例えば、酸単量体への二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマーの完全又はほぼ完全な変換)を意味し得る。
【0086】
本明細書に概説するように、得られた溶液は、加水分解による前処理後、加水分解による前処理前の溶液よりも(例えば、乾燥重量ベースで)、多くの酸単量体の全体量を有利に含む。有利には、前処理溶液は、酸二量体、酸三量体、酸オリゴマー、酸ポリマー、及び反応生成物を含むが、これらに限定されない、比較的少量の他の酸由来成分を含む。いくつかの実施形態では、前処理済溶液の酸単量体含有率は、この前処理前よりも購入時の製品の純度の標識上の表示により近い。例えば、90%純度であると標識されたボトルは、初期には80%未満の単量体酸を含んでもよく、例えば、80%未満の酸が単量体の形態であり、前処理後に、同じ溶液が約80%以上の単量体酸を含んでもよい(例えば、乾燥重量による溶液の約80%~約90%は、単量体の形態の酸を含む)。
【0087】
いくつかの実施形態では、加水分解溶液中の酸単量体含有率は、乾燥重量パーセントで報告される(すなわち、含水率なし)。所与の試料中の酸単量体の最大乾燥重量はその純度によって制限され、100%未満の純度は溶媒以外及び酸単量体、二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマー以外の不純物を示すものであると理解される。換言すれば、加水分解後の単量体の最大乾燥重量は、一般に、標識された純度によって示される単量体の乾燥重量により近いが、典型的には、純度によって示される単量体の乾燥重量を超えない。例えば、85%酸の純度を有する試料は、初期には乾燥重量で約75%の酸単量体、乾燥重量で約10%の酸反応生成物(例えば、二量体、三量体、オリゴマー、ポリマーなど)及び乾燥重量で約15%の不純物を含み得る。本明細書に記載される前処理後、試料は、乾燥重量で75%を超える(純度、例えば、85%によって示される含有率に近いか、実質的に等しい、例えば、80%を超える)酸単量体を有利に含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、加水分解溶液(本明細書に記載の前処理工程に続く)は、乾燥重量で少なくとも約75%の酸単量体、少なくとも約80%の酸単量体、少なくとも約85%の酸単量体、少なくとも約90%の酸単量体、又は少なくとも約95%の酸単量体を含む。上で言及されるように、加水分解時に提供される酸単量体の最大乾燥重量は、(純度が溶媒/水以外の成分を包含すると理解されるのであれば)最初の試料の純度に少なくとも部分的に依存することが理解される。例えば、所与の酸の純度が乾燥重量で90%と報告される試料が使用される場合、乾燥重量で90%を超える酸単量体を有する加水分解された試料を得ることは合理的ではない。いくつかの実施形態では、酸単量体の量は、加水分解に供される試料の記載された純度との比較によって説明される。例えば、加水分解による前処理後の溶液は、記載された純度の約10%以内の乾燥重量パーセントの酸単量体を含有することができる(例えば、90%の純度を有することが示された酸試料については、加水分解後、乾燥重量で約81%~約90%の酸単量体、例えば、乾燥重量で約85%~約90%の酸単量体、乾燥重量で約87%~約90%の酸単量体、又は乾燥重量で約88%~約90%の酸単量体を有する加水分解された溶液を得ることができる。他の実施形態では、加水分解による前処理後の溶液は、記載された純度の約9%以内、記載された純度の約8%以内、記載された純度の約7%以内、記載された純度の約6%以内、記載された純度の約5%以内、記載された純度の約4%以内、記載された純度の約3%以内、記載された純度の約2%以内、又は記載された純度の約1%以内の乾燥重量パーセントの酸単量体を含むことができる。
【0089】
特定の実施形態では、酸単量体のモル増加は、特に乳酸との関連では有意である。例えば、「85%乳酸」の標識強度(すなわち、重量で85%の乳酸及び15%の水を含むと想定される)であると示されたある特定の試料は、約60~70%の乳酸単量体しか含まないことが分かった。加水分解時に、最終試料が乾燥重量ベースで88%~100%、例えば、90%超又は95%超を含むように単量体含有率が上昇した。この例は総重量(溶媒などを含む)に基づく直接的な比較(「標識強度」(元の試料を記述するために使用される)を提供するものではなく、一方「乾燥重量ベース」(前処理/加水分解された試料を記述するために使用される)は乾燥重量のみに基づくもの(溶媒などを除く)であることが注目される。試料は、加水分解(上で本明細書に概略記載される)を促進するために典型的には元の溶液に水を加えるにつれて、別に参照され、そのため加水分解後の前処理された試料の比較可能な「標識強度」は、多くの実施形態では、(希釈のために)未処理試料のそれよりも実際には低いであろう。
【0090】
特定の他の酸(例えば、レブリン酸及び安息香酸)は、本明細書に開示されている加水分解方法から利益を得ることができるが、典型的には、乳酸について証明されているような単量体含有率におけるそのような有意な変化を示さない。
【0091】
加水分解に続いて、加水分解(「前処理」)された溶液はいろいろな方法で処理できる。有利には、加水分解された溶液は、二量体、三量体、オリゴマー、ポリマーなどの再形成を最小化/防止するような方法で処理される。例えば、加水分解/前処理された溶液は、典型的には、酸単量体の反応を二量体(又は他の望ましくない)生成物に向かわせる可能性がある、本明細書に記載されている加水分解に続く条件には供されない。いくつかの実施形態では、前処理された溶液は、希釈され、加水分解された溶液の形態で使用される。他の実施形態では、それは、例えば、実質的に全ての水をそこから除去する(純粋な酸を提供する)ことをはじめとする、少なくともいく分かの水をそこから除去する(より希釈度の低い酸を提供する)ために、さらに処理される。このような濃縮は、例えば、当技術分野で知られているように凍結乾燥方法により行うことができる。再び、反応生成物を形成し、酸単量体含有率を低下させることが予想され得る条件に溶液を供することを回避することが有益である。次に、純粋な酸を直接使用することもできるし、配合物内に組み込むために別の溶媒に溶解することもできる。
【0092】
次に、得られた加水分解された酸(溶液の形態又は無溶媒の形態)を所望の配合物(複数可)中に組み込む。有利には、加水分解は、酸を酸単量体の形態に維持するように、溶液が配合物に組み込まれる少し前に行われる。そのように、いくつかの実施形態では、加水分解された溶液は、有意に長い間保存に供されないことが好ましい。例えば、それは、加水分解条件が終了してから約1ヶ月以内、約3週間以内、約2週間以内、約1週間以内、約5日以内に配合物で有利に使用することができる。しかし、いくつかの実施形態(例えば、加水分解された酸が水溶液中に保たれ、及び/又は周囲温度に保たれ、及び/又は高い相対湿度条件下に維持される)では、保存時間を増加させることができる。一般に、加水分解された酸が保たれている環境中の水含有率が多いほど、酸は二量体化しにくい。したがって、いくつかの実施形態では、前処理/加水分解された酸溶液は、6ヶ月以上保存することができ、実質的な安定性を示す(前処理が行われた後に実質的に同じ酸単量体含有率を維持する)。
【0093】
所望の配合物(例えば、エアロゾル前駆体)を形成するために、配合物に含まれる成分を任意の順序で組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、加水分解された酸は、例えば、2017年10月24日に出願されたRAI Strategic Holdings, Inc.の米国特許出願第15/792,120号(参照によりその全体が本明細書に援用される。)で開示されているように、まずニコチンと組み合わされる。他の実施形態では、成分は1つずつ添加され、いくつかの実施形態では、2種以上の成分が組み合わされ、それに他の成分が添加され、いくつかの実施形態では、全ての成分が実質的に同時に組み合わされる。追加の成分は、独立して、又は1種以上のそのような成分の混合物として添加することができる。追加の成分は、当該技術分野で知られた任意の手段により、また様々な量で取り込むことができる。各添加間で任意の又は全ての成分の混合を行うことができ、複数の成分が別々に添加され、及び/又は全ての成分が一度に組み合わされる。
図2は、エアロゾル前駆体の製造のための一般的な方法を示しており、本明細書に開示されているように1種以上の「有機酸」成分を前処理して「加水分解された有機酸」を得る。その「加水分解された有機酸」、「ニコチン」、及び「他の成分」を(矢印で示されているように)独立して組み合わせてエアロゾル前駆体を得ることができ、又は(破線で示されているように)そのような成分のいずれか2種以上を最初に混合することができる。加熱及び/又は攪拌は、方法の任意の工程で、例えば、溶解/混合を促進するために使用することができる。1つの実施形態では、前処理された酸を含む配合物の調製は、熱を適用しないで行われ、例えば、その方法は室温で行われるが、本開示はそれに限定されない。
【0094】
所望の配合物内に組み込む成分は様々であり得る。配合物がエアロゾル前駆体である場合、「エアロゾル形成剤」成分として上述した化合物のような化合物が含まれることができる。開示された方法は、風味剤などの最終エアロゾル前駆体で所望される1種以上の追加の成分を添加することをさらに含むことができる。1つの実施形態では、ニコチン及び1種以上の前処理された有機酸(加水分解に供された)を水中で組み合わせて水溶液を生成し、続いて1種以上の風味剤をそれに添加し、次いで1種以上のエアロゾル形成剤(例えば、ポリオール/多価アルコール)を添加して、エアロゾル前駆体を生成する。
【0095】
得られた配合物は一般に水溶液である。「水溶液」とは、溶媒の少なくとも一部が水を含む液体を意味する。エアロゾル前駆体組成物の成分は、典型的には完全に溶解されるが、本開示はそれに限定されるものではなく、その成分の1種以上の少なくとも一部が完全には溶解されない混合物、例えば、一部の固体が液相内に分散している混合物を使用することが可能である。このような実施形態では、配合物は、任意に、例えば、濾過、遠心分離などによりさらに処理して固体材料を除去することができることが注目される。
【0096】
有利には、配合物中に含まれるべき1種以上の酸成分を加水分解前処理に供することによって、エアロゾル前駆体中の意図された量の有機酸(複数可)に近似する有機酸含有率を有するエアロゾル前駆体配合物を得ることができる。例えば、有機酸の量「A」は、エアロゾル前駆体中の所望の重量パーセント「x」の有機酸Aを理想的に提供するように計算され、したがって、開示された方法では量「A」の有機酸が使用される。有利には、開示された方法に基づいて、エアロゾル前駆体中の有機酸Aの実際の重量パーセントは、含有前の有機酸の前処理のために、「x」から有意に逸脱しない。例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体中の1種以上の有機酸の濃度は、目標(100%の酸単量体を想定して計算)よりも約25%を超えて下回らず、目標よりも約20%を超えて下回らず、目標よりも約10%を超えて下回らず、又は目標よりも約5%を超えて下回らない。開示された方法において複数の異なる有機酸が使用される場合、各有機酸はこれらの制限を独立に満たすことができ、及び/又は組み合わせた有機酸がこれらの制限を満たすことができる。例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体中の1種以上の有機酸の濃度は、独立して、目標より約25%を超えて下回らず、目標より約20%を超えて下回らず、目標より約10%を超えて下回らず、目標より約5%を超えて下回らず、及び/又はエアロゾル前駆体中の有機酸の総濃度は、目標より約25%を超えて下回らず、目標より約20%を超えて下回らず、目標より約10%を超えて下回らず、目標より約5%を超えて下回らない。
【0097】
エアロゾル前駆体中の目標量により近い量の酸単量体を有する配合物に導く本開示の方法は、一定の利益を提供する。例えば、エアロゾル前駆体中の有機酸は、エアロゾル前駆体中に存在するニコチンの少なくとも一部のプロトン化を確実にするのに有利であり得ることが理解される。このようなプロトン化は、望ましくは、使用者の咽喉に低度から中程度の不快さを与える前駆体から生成されるエアロゾルをもたらす。エアロゾル前駆体内にあまりにも少量の酸が含まれていれば、より多量のニコチンがプロトン化されないまま残り、エアロゾルの気相中で、使用者は咽喉の不快さの増大を経験すると一般に理解されている。例えば、Lipowiczらの米国特許出願公開第20150020823号(参照により本明細書に援用される。)を参照されたい。そのため、目標量に近いエアロゾル前駆体中の有機酸の量を提供することができる様々な実施形態の方法は、望ましい感覚/味覚特性(例えば、不快さの減少)につながり得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体のpHを所望の範囲内に維持することができる。ここでも、1種以上の「有機酸」の添加によって寄与される酸単量体以外の化合物の存在を制限することによって、エアロゾル前駆体の目標pHをより正確に得ることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された方法は、さらに、不純物が減少したエアロゾル前駆体(すなわち、酸二量体、オリゴマー、ポリマー、及び反応生成物などの、配合物内に包含するための目標とされるもの以外の化合物の量の減少)を提供する。一般に、開示された方法は、それによって生成されるエアロゾル前駆体組成物の組成(例えば、有機酸の量、望ましくない不純物の量など)及び特徴(例えば、pH、安定性)に関する強化された制御を提供し得る。本明細書中の開示に基づいて、前処理/加水分解は、配合制御を提供するものとして記載することができることが注目される。
【0099】
「希釈」は、上で本明細書に提供された開示された方法の工程として言及されるが、いくつかの実施形態では、希釈は必要とされない、すなわち、試料が希釈された形態で購入される場合(例えば、水で希釈される場合)が注目される。例えば、酸溶液を購入することができる(例えば、50%酸溶液を含むが、これに限定されない)。いくつかの実施形態では、そのような試料の使用は、本明細書で言及する希釈工程及び/又は加水分解工程の必要性を回避することができる。水溶液の形態では、より多くの含有量の酸が所望の単量体の形態であると考えられ、したがって、標識された酸含有率に近いパーセントの単量体の形態を提供するために、このような試料を使用するとほとんどあるいは全く加水分解が必要とされないことがある。このような実施形態では、希釈された試料(例えば、市販の酸溶液)の含水率を要因とすることによって、最終的なエアロゾル前駆体は、希釈された試料を、最終的なエアロゾル前駆体に所望される1種以上の追加の成分(及びその総所望の含水率を構成するために必要とされる任意の水)と直接組み合わせることによって、調製することができる。
【0100】
開示された方法は、当技術分野で一般に知られているように、エアロゾル供給システム内にエアロゾル前駆体を組み込むことをさらに含むことができる。エアロゾル供給システムは、一般に、吸入可能な物質を形成するように材料を加熱するために(材料を有意な程度燃焼させないことが望ましい)電気エネルギーを使用し、そのようなシステムの構成要素は物品の形態を有し、最も好ましくはハンドヘルド装置と考えられるほど十分に小型である。すなわち、好ましいエアロゾル供給システムの構成要素の使用は、エアロゾルが主にタバコの燃焼又は熱分解の副生成物から生じるという意味で煙の生成をもたらすことなく、むしろ、これらの好ましいシステムの使用は、そこに組み込まれたある種の成分の揮発又は蒸発から生じる蒸気の生成をもたらす。いくつかの実行例では、エアロゾル供給システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けられ、これらの電子タバコは、最も好ましくは、タバコ及び/又はタバコに由来する成分を組み込み、したがってタバコに由来する成分をエアロゾル形態で供給する。本明細書に開示されるように調製されたエアロゾル前駆体が組み込まれ得るエアロゾル供給システムは、蒸気生成物品又は薬剤供給物品であると特徴付けることもできる。したがって、このような物品又は装置は、吸入可能な形態又は状態で1種以上の物質(例えば、風味剤及び/又は医薬活性成分)を提供するように適合させることができる。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点より低い温度で気相にある物質)であり得る。あるいは、吸入可能な物質は、エアロゾル(すなわち、気体中の微細な固体粒子又は液滴の懸濁態)の形態であり得る。簡略化のために、本明細書中で使用される「エアロゾル」という用語は、目に見えるか否かにかかわらず、また、煙様であると考えられる形態であるか否かにかかわらず、ヒトの吸入に適した形態又は種類の蒸気、気体及びエアロゾルを含むことを意味する。
【0101】
エアロゾル供給システムは、一般に、ハウジングと呼ばれることがある、外体又はシェル内に提供される多くの構成要素を含む。外体又はシェルの全体的なデザインは様々であり得、エアロゾル供給装置の全体的なサイズ及び形状を定義できる外体の様式又は構成は様々であり得る。典型的には、タバコ又は葉巻の形に似た細長い本体は、1つの単一のハウジングから形成され得るか、又は細長いハウジングは2つ以上の分離可能な本体から形成され得る。例えば、エアロゾル供給装置は、実質的に管状であり得る、そのため従来のタバコ又は葉巻の形状に似た細長いシェル又は本体を含み得る。1つの例では、エアロゾル供給装置の構成要素の全てが、1つのハウジング内に含まれる。あるいは、エアロゾル供給装置は、結合され、分離可能な2つ以上のハウジングを備えることができる。例えば、エアロゾル供給装置は、一端に1つ以上の再利用可能な構成要素(例えば、再充電可能な電池及び/又はキャパシタなどの蓄電池、及びその物品の動作を制御するための様々な電子機器)を含むハウジングを備える制御本体、及び他端にかつ制御本体に着脱可能に結合可能に、使い捨ての部分(例えば、使い捨ての風味剤含有カートリッジ)を含む外体又はシェルを有することができる。2017年9月19日に出願したSurらの米国特許出願第15/708,729号及び2017年1月27日に出願したSurらの米国特許出願第15/417,376号(参照によりその全体が本明細書に援用される。)に示されている装置の種類も参照されたい。
【0102】
本開示のエアロゾル供給システムは、最も好ましくは、電源(すなわち、電気電源)、少なくとも1つの制御部品(例えば、電源から物品の他の構成要素、例えば、アナログ電子制御部品への電流フローを制御することにより、発熱のための電力を作動、制御、調整又は停止する手段)、加熱器又は熱発生部材(例えば、単独で又は1つ以上のさらなる要素と組み合わされる電気抵抗加熱素子又は他の構成要素は、一般に「噴霧器」と称され得る)、エアロゾル前駆体組成物(例えば、通常、「スモークジュース」、「e-液体」及び「e-ジュース」と通常称される成分などの、十分な熱の適用時にエアロゾルを生成することができる液体)、及びエアロゾル吸入のためにエアロゾル供給装置から吸い出すことを可能にするための吸口端の形をした領域又は先端(例えば、生成されたエアロゾルが吸引時にそこから吸い出されることができるように物品を通る規定された空気流路)の組み合わせを含む。
【0103】
様々なエアロゾル供給システムの構成要素の選択及び配置は、例えば、本開示の背景技術の節で言及された代表的な製品などの市販の電子エアロゾル供給装置の検討に基づいて理解することができる。種々の例では、エアロゾル供給装置は、エアロゾル前駆体組成物を保持するように構成されたリザーバを備えることができる。いくつかの実施形態では、リザーバは、例えば、エアロゾル前駆体組成を収容するように構成されたポリプロピレンのようなプラスチックで一部が形成され得るタンク又は容器を備えることができる。容器の壁は柔軟で、つぶれやすくすることができる。あるいは容器の壁は実質的に硬くてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態のリザーバは、多孔質材料(例えば、繊維状材料)で少なくとも一部を形成することができ、したがって多孔質基材(例えば、繊維状基材)と呼ぶことができる。また、リザーバは、誘導加熱を容易にするために、フェライト材料内に含まれていてもよいし、さもなければフェライト材料に囲まれていてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル供給装置は、交換可能なカートリッジを使用することができ、これは、本明細書に開示される種々の例示的実施形態に従って調製されるエアロゾル前駆体組成物を含有するリザーバを含むことができる。いくつかのエアロゾル供給装置におけるリザーバとして有用な繊維状基材は、複数の繊維又はフィラメントから形成される織布又は不織布材料であり得、天然繊維及び合成繊維の一方又は両方から形成され得る。例えば、繊維状基材は、ガラス繊維材料を含むことができる。特定の例では、酢酸セルロース材料を用いることができる。他の実行例では、炭素材料を使用することができる。リザーバは、実質的に容器の形態であってもよく、その中に含まれる繊維状材料を含んでいてもよい。
【0105】
図3は、本開示の様々な実行例に従って、制御本体102及びカートリッジ104を備えるエアロゾル供給装置100の側面図を示す。特に、
図3は、互いに連結された制御本体及びカートリッジを例示する。制御本体及びカートリッジは、機能的な関係で脱着可能に整列されてもよい。種々の機構が、カートリッジを制御本体に接続して、ねじを切った係合、圧入係合、干渉嵌合、磁気係合などを生じさせることができる。エアロゾル供給装置は、カートリッジ及び制御本体が組み立てられた構成にある場合、いくつかの実行例では、実質的に棒状、実質的に管状、又は実質的に円筒状であることができる。エアロゾル供給装置はまた、断面において実質的に長方形又は菱形であってよく、それ自体が平らな電池を含む電源のように、実質的に平らな又は薄膜の電源とより適合するようにすることができる。カートリッジ及び制御本体には、別々の、各ハウジング又は外体が含まれ、これらは、多数の異なる材料のいずれかで形成され得る。ハウジングは、任意の適切な構造的に堅固な材料から形成され得る。いくつかの例では、ハウジングは、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属又は合金で形成され得る。他の適切な材料には、種々のプラスチック(例えば、ポリカーボネート)、プラスチック上の金属メッキ、セラミックスなどが含まれる。
【0106】
いくつかの実行例では、エアロゾル供給装置100の制御本体102又はカートリッジ104の一方又は両方は、使い捨てであるか、又は再利用可能であると称することができる。例えば、制御本体は、交換可能電池又は再充電可能なスーパーキャパシタを有することができ、したがって典型的な壁コンセントへの接続、車の充電器への接続(すなわち、タバコのライターレセプタクル)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)ケーブル又はコネクタによるコンピュータへの接続、無線高周波(RF)充電器への接続、又は光電池(ときに太陽電池と呼ばれる)若しくは太陽電池のソーラーパネルへの接続をはじめとする、任意の種類の再充電技術と組み合わせることができる。適した再充電技術の例を以下に記載する。さらに、いくつかの実行例では、カートリッジは、Changらの米国特許第8,910,639(参照によりその全体が本明細書に援用される。)で開示されているように、単回使用カートリッジを含むことができる。
【0107】
図4は、いくつかの実行例に従って、エアロゾル供給装置100をより詳細に示す。ここで図示されている切断図に見られるように、ここでも、エアロゾル供給装置は、制御本体102及びカートリッジ104を備え、その各々が多数の各構成要素を含むことができる。
図4に示されている構成要素は、制御本体及びカートリッジ内に存在し得る構成要素の代表であり、本開示によって包含される構成要素の範囲を制限することを意図していない。図示のように、例えば、制御本体は、制御部品208(例えば、電子アナログ部品)、センサ210、電源212及び1つ以上の発光ダイオード(LED)214(例えば、有機発光ダイオード(OLED))などの様々な電子部品を含むことができる制御本体シェル206で形成することができ、このような部品は、可変的に整列させることができる。流量センサは、加速度計、ジャイロスコープ、光センサ、近接センサなどの多くの適切なセンサを含むことができる。
【0108】
電源212は、Surらの米国特許出願公開第2017/0112191号(参照により本明細書に援用される)に開示されているように、リチウムイオン電池、固体電池、又はスーパーキャパシタなどの適切な電源であってもよく、又はそれを含んでいてもよい。適切な固体電池の例としては、STMicroelectronicsのEnFilm(商標)再充電可能な固体リチウム薄膜電池が挙げられる。適切なスーパーキャパシタの例としては、電気二重層キャパシタ(EDLC)、リチウムイオンキャパシタなどのハイブリッドキャパシタが挙げられる。
【0109】
いくつかの実行例では、電源212は、制御部品208(例えば、アナログ電子部品)に電流を供給するように構成された再放電可能な電源であることができる。これらの例では、電源は、抵抗温度検出器(RTD)を介して充電回路に接続されることができる。RTDは、電源の温度が閾値量を超えたときに、充電回路に信号を送るように構成することができ、充電回路はそれに応じて電源の充電動作を停止させることができる。これらの例では、デジタルプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)及び/又はデジタル処理論理回路とは独立して、電源の安全な充電を保証することができる。
【0110】
LED214は、エアロゾル供給装置100が備えることができる適切な視覚インジケータの1つの例であることができる。いくつかの例では、LEDは、有機LED又は量子ドットイネーブルドLEDを含んでもよい。聴覚インジケータ(例えば、スピーカー)、触覚インジケータ(例えば、振動モーター)などの他のインジケータは、有機LED又は量子ドット有効LEDをはじめとするLEDのような視覚インジケータに加えて、又はその代わりに含めることができる。
【0111】
カートリッジ104は、リザーバハウジングに保存されたエアロゾル前駆体組成物を、加熱器222(加熱素子と呼ばれることがある)に毛管作用で運ぶか、さもなければ輸送するように適合した液体輸送要素220と流体通信しているリザーバ218を封入したカートリッジシェル216で形成することができる。様々な構成では、この構造はタンクと呼ばれることがあり、したがって、「タンク」、「カートリッジ」などの用語は、エアロゾル前駆体組成のためのリザーバを封入し、加熱器を含むシェル又は他のハウジングを意味するために、互換的に使用され得る。いくつかの例では、弁がリザーバと加熱器の間に配置され、リザーバから加熱器への通過する、又は供給されるエアロゾル前駆体組成の量を制御するように構成され得る。様々な実施形態では、開示されたエアロゾル前駆体はカートリッジ内に収容される。このようなエアロゾル前駆体は、本明細書に一般的に記載される成分を含むことができ、本開示に概説される方法に従って調製することができる。
【0112】
電流がそこを通って印加されると熱を生成するように構成された材料の様々な例を、加熱器222を形成するために使用することができる。これらの例における加熱器は、ワイヤコイル、極小加熱器などの抵抗加熱素子であることができる。ワイヤコイルが形成され得る例示的な材料としては、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二ケイ化モリブデン(MoSi
2)、ケイ化モリブデン(MoSi)、アルミニウムをドープした二ケイ化モリブデン(Mo(Si,Al)
2)、チタン(Ti)、グラファイト及びグラファイト系材料(例えば、炭素系発泡体及び糸)並びにセラミック(例えば、正又は負の温度係数セラミック)が挙げられる。本開示に従うエアロゾル供給装置に有用な加熱器又は加熱部材の実行例をさらに以下に記載し、本明細書に記載された
図4に示されるような装置に組み込むことができる。
【0113】
カートリッジシェル216(例えば、吸口端)に開口部224が存在して、形成されたエアロゾルをカートリッジ104から排出することができる。また、加熱器222に加えて、カートリッジ104は、1つ以上の他の電子部品226を含むことができる。これらの電子部品は、集積回路、メモリ部品、センサなどを含むことができる。電子部品は、有線手段又は無線手段によって制御部品208及び/又は外部装置と通信することができるように適合させることができる。電子部品は、カートリッジ内又はその基部228内の任意の位置に配置され得る。
【0114】
制御部品208とセンサ210は別々に図示されているが、制御部品及びセンサは、電子回路基板として組み合わされてもよいことが理解される。また、電子回路基板は、電子回路基板が制御本体の中心軸に対して長手方向に平行とすることができる点で、
図4の図示に対して水平に配置することができる。いくつかの例では、センサは、それ自身の回路基板又はセンサを取り付けることができる他の基部要素を含むことができる。いくつかの例では、フレキシブル回路基板を使用することができる。フレキシブル回路基板は、実質的に管状の形状を含む、種々の形状に構成されることができる。いくつかの例では、フレキシブル回路基板は、さらに後述するように、加熱器基板と組み合わせるか、その上に積層するか、又は加熱器基材の一部又は全部を形成することができる。
【0115】
制御本体102及びカートリッジ104は、その間の流体係合を容易にするように適合された構成要素を含むことができる。
図4に例示されるように、制御本体は、その中に空洞232を有するカプラ230を含むことができる。カートリッジの基部228は、カプラと係合するように適合させることができ、前記空洞内に収まるように適合された突起234を含むことができる。そのような係合は、制御本体とカートリッジとの間の安定した接続を容易にすると共に、制御本体内の電源212及び制御部品208とカートリッジ内の加熱器222との間の電気的接続を確立することができる。さらに、制御本体シェル206は、空気取入口236を含むことができ、この空気取入口は、カプラの周りの周囲空気の通過を可能にするカプラにつながる場合にはシェル内の切欠きであり得、空気がカプラの空洞232を通過して、突起234を通ってカートリッジ内に入る場合にはシェル内へ切り欠きであり得る。
【0116】
使用時、加熱器222は、エアロゾル前駆体組成物の成分を蒸発させるために活性化される。エアロゾル供給装置の吸口端から吸い出すと、周囲の空気が空気取入口236に入り、カプラ230内の空洞232、及び基部228の突起234内の中央の開口部を通る。カートリッジ104では、引き込まれた空気が、形成された蒸気と組み合わされてエアロゾルを形成する。エアロゾルは素早く動き、吸引されるか、又は他の方法で加熱器から吸い出され、エアロゾル供給装置の吸口端中の開口部224から出る。
【0117】
本発明の開示に従って有用なカプラ及び基部は、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号に記載されており、この出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。例えば、
図4に見られるようなカプラ230は、基部228の内周面240と接合するように構成された外周面238を規定することができる。一例では、基部の内周面は、カプラの外周面の半径と実質的に等しいか、又はそれより僅かに大きい半径を規定してもよい。さらに、カプラは、基部の内周面で規定された1つ以上の凹部244と係合するように構成された外周面における1つ以上の突起242を規定することができる。しかし、基部をカプラに結合させるために、構造、形状及び構成要素の様々な他の例を使用してもよい。いくつかの例では、カートリッジ104の基部と制御本体102のカプラとの間の接続は実質的に恒久的であり得るが、他の例では、その間の接続は解除可能であって、例えば、制御本体は、使い捨て及び/又は補充可能であり得る1つ以上の追加のカートリッジと共に再利用され得る。
【0118】
エアロゾル供給装置100は、いくつかの例では、実質的に棒状又は実質的に管状、又は実質的に円筒状であることができる。他の例では、さらなる形状及び寸法、例えば、長方形又は三角形の断面、多面形状などが包含される。
【0119】
図4に図示されるリザーバ218は、現在説明されるように、容器であってもよく、又は繊維状リザーバであってもよい。例えば、リザーバは、本例では、カートリッジシェル216の内部を包む管の形状に実質的に形成される1層以上の不織繊維層を含むことができる。(本明細書に記載された)エアロゾル前駆体組成物は、リザーバ内に保持され得る。例えば、液体成分は、リザーバによって吸着により保持され得る。リザーバは、液体輸送要素220と流体接続することができる。液体輸送要素は、毛細管作用によりリザーバに保存されたエアロゾル前駆体組成物を、この例では金属ワイヤコイルの形態である加熱器222に輸送することができる。そのように、加熱器は、液体輸送要素との加熱配置となっている。本開示に従うエアロゾル供給装置に有用なリザーバ及び輸送要素の実行例をさらに以下に記載し、このようなリザーバ及び/又は輸送要素を、本明細書に記載された
図4に示されるような装置に組み込むことができる。特に、以下にさらに記載されるような加熱部材及び輸送要素の特定の組合せを、本明細書に記載された
図4に示されるような装置に組み込むことができる。
【0120】
エアロゾル供給装置の種々の構成要素は、当該技術分野に記載され、かつ市販されている構成要素から選択することができる。開示に従って使用することができる電池の例は、Peckerarらの米国特許出願公開第2010/0028766号(参照によりその全体が本明細書に援用される。)に記載されている。
【0121】
エアロゾル供給装置100は、エアロゾル発生が望まれるときに、加熱器222への電力の供給を制御するために、センサ210若しくは別のセンサ又は検出器を組み込むことができる。そのため、例えば、エアロゾル供給装置の場合には、加熱器の電源をオフにし、吸引の間に加熱器による熱の発生を作動させる又は誘発するために電源をオンにする方式又は方法が提供される。さらなる代表的な種類の感知又は検出機構、その構造及び構成、それらの構成要素、及びそれらの一般的な操作方法は、Sprinkel,Jr.らの米国特許第5,261,424号、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号、及びFlickのPCT国際公開第WO2010/003480号(これらの全ては参照によりその全体が本明細書に援用される。)に記載されている。
【0122】
エアロゾル供給装置100は、最も好ましくは、制御部品208又は加熱器222への電力量を制御するための別の制御機構を組み込む。電子部品の代表的な種類、その構造及び構成、その特徴、及びそれらの一般的な操作方法については、Gerthらの米国特許第4,735,217号、Brooksらの米国特許第4,947,874号、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号、Nguyenらの米国特許第7,040,314号、Panの米国特許第8,205,622号、Fernandoらの米国特許出願公開第2009/0230117号、Colletらの米国特許出願公開第2014/0060554号、Ampoliniらの米国特許出願公開第2014/0270727号、及びHenryらの米国特許出願公開第2015/0257445号(これらの全ては参照によりその全体が本明細書に援用される。)に記載されている。
【0123】
エアロゾル前駆体を支持するための基材、リザーバ又は他の構成要素の代表的な種類は、Newtonの米国特許第8,528,569号、Chapmanらの米国特許出願公開第2014/0261487号、Davisらの米国特許出願公開第2015/0059780号、及びBlessらの米国特許出願公開第2015/0216232号(これらの全ては参照によりその全体が本明細書に援用される。)に記載されている。さらに、種々の芯材料、及び特定の種類の電子タバコ内のそれら芯材料の構成及び操作が、Searsらの米国特許出願公開第2014/0209105号(参照によりその全体が本明細書に援用される。)に記載されている。
【0124】
視覚的合図を生じる構成要素又はインジケータの追加の代表的な種類、例えば、視覚インジケータ及び関連する構成要素、聴覚インジケータ、触覚インジケータなどが、エアロゾル供給装置100に使用されてもよい。適切なLED構成要素の例、並びにその構成及び使用については、Sprinkelらの米国特許第5,154,192号、Newtonの米国特許第8,499,766号、Scatterdayの米国特許第8,539,959号、及びSearsらの米国特許第9,451,791号(これらは、全て参照によりその全体が本明細書に援用される。)に記載されている。
【0125】
しかし、本開示のエアロゾル供給装置に組み込むことができる他の特徴、制御部又は構成要素は、Harrisらの米国特許第5,967,148号、Watkinsらの米国特許第5,934,289号、Countsらの米国特許第5,954,979、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号、Honの米国特許第8,365,742号、Fernandoらの米国特許第8,402,976号、Kataseの米国特許出願公開第2005/0016550号、Fernandoらの米国特許出願公開第2010/0163063号、Tuckerらの米国特許出願公開第2013/0192623、Levenらの米国特許出願公開第2013/0298905号、Kimらの米国特許出願公開第2013/0180553号、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号、及びDePianoらの米国特許出願公開第2014/0261408(これらの全ては参照によりその全体が本明細書に援用される。)に記載されている。
【0126】
制御部品208は、多数の電子部品を含み、いくつかの例では、電子部品を支持し、電気的に接続するプリント回路基板(PCB)から形成することができる。電子部品は、デジタルプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)及び/又はデジタル処理論理回路とは独立して作動するように構成されたアナログ電子部品を含むことができる。いくつかの例では、制御部品は、1つ以上のネットワーク、コンピュータ装置、又は他の適切に有効化された装置との無線通信を可能にするために、通信インターフェースに結合することができる。適切な通信インターフェースの例は、Marionらの米国特許出願公開第2016/0261020号(その内容は参照によりその全体が援用される。)に開示されている。また、エアロゾル供給装置が無線通信するように構成され得る適切な方式の例が、Ampoliniらの米国特許出願公開第2016/0007651号及びHenry,Jr.らの米国特許出願公開第2016/0219933号(これらの各々は参照によりその全体が本明細書に援用される。)開示されている。
【0127】
本開示は、上で提供されたようにカートリッジ又はリザーバ内に含まれる、本明細書に記載されたエアロゾル前駆体を包含するが、そのような前駆体の格納はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体は、エアロゾル前駆体を使用前にある期間保存するように設計された容器(例えば、ボトル)内に提供される。例えば、エアロゾル供給装置に使用するエアロゾル前駆体の容器(例えば、ボトル)を提供することができ、そこから使用者はカートリッジ又は容器に補充することができる。そのような容器は、いくつかの実施形態では、本明細書に概説するように様々な実施形態の方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0128】
[実施例1]
乳酸の試料(85%純度として記載)を評価し、大部分がL-乳酸を含むと判定した。試料はLC-MS(以下表1参照、「開始」)により容器から直接出した乳酸含有率を大まかに分析した。示されるように、この試料はピーク曲線の下の面積に基づいて、70.99%の乳酸単量体を有することが分かった。試料を50重量%水溶液に希釈し、得られた希釈試料を、40℃、相対湿度75%の密閉環境チャンバー内のHDPEボトルに入れた。チャンバー内の希釈試料は、0週目(希釈直後及びチャンバー内にボトルを入れる前)、1週目(チャンバー内に希釈試料を入れた後1週間)、及び2週目(チャンバー内に希釈試料を入れた後2週間)にサンプリングし、結果を以下の表1に示す。
【0129】
【0130】
[実施例2]
D,L-乳酸(純度90%として記載)及びL-乳酸(純度98%として記載)の試料を市販の供給源から入手した。水(18.2mΩ/cm)は、Barnsted Nanopure Unit(Thermo Scientific、イリノイ州ロックフォード)から得た。試料は、QDa単一四重極MS検出器(Waters Corp.、マサチューセッツ州ミルフォード)を装備したPhenomenex(カリフォルニア州トーランス)製の4μm粒子を有するSynergy Hydro-RP 250×3.0mmカラムを有するWaters UPLC Acquity I上で液体クロマトグラフィー/質量分析(LC-MS)により分析した。161.100のイオンm/zでの検出を、乳酸二量体を表すと決定し、89のイオンm/zでの検出を、乳酸を表すと決定した。
【0131】
なお、分析される種の平衡のため、比較のため(試験試料中の各種の量を定量し、総酸度を求めるために用いるため)に乳酸、乳酸二量体、乳酸三量体などの純粋な標準品を用いることは不可能であった。大まかな推定として、乳酸対乳酸二量体の質量スペクトル比を用いて加水分解の程度を推定する。この方法は、異なる種の異なるイオン化収率により幾分制限されることが理解される。乳酸は乳酸二量体と同様に約1/3をイオン化するようである。したがって補正係数として、乳酸二量体の面積に1/3を乗じ、相対濃度をより正確に推定することを可能にする。相対比を用いると、以下に概略を述べるように、加水分解の程度を追跡し、乳酸溶液を加熱して平衡に達するまでの時間を決定することが可能である。
【0132】
市販のD,L-乳酸の試料を重量比(w/w)ベースで、水で希釈して、15%~65%乳酸の範囲の希釈試料を得る。水及び乳酸の重量を化学てんびんで測定し、以下の表2に重量を示す。溶液を十分に混合し、LC-MSにより分析し、初期乳酸:乳酸二量体比を決定する。各試料をおおよそ半分に分け、2mLのGC-MSバイアルに封入し、熱加水分解する(14個の試料、各濃度に対し2個を与える)。
【0133】
【0134】
各バイアルをしっかりと密封し、70℃の加熱ブロック又は100℃の加熱ブロック(American Scientific ProductsのTemp-Blockモジュール加熱器)上に置き、6日間加熱する。24、48、144時間の時点で各バイアルから約2μLのアリコートを取り出す。採取した各アリコートを室温に30分間冷却し、1.9mLの水で希釈し、LC-MSで分析し、初期試料と比較した乳酸:乳酸二量体の比率の増加を決定する。結果を
図5A及び5Bに示す。これらのプロットのy軸は以下の式を用いて算出した。
【0135】
【0136】
図5A及び5Bに示すように、本研究における乳酸の加水分解は、70℃で48時間後に完了すると判定する。試料をより高い温度(100℃)で加熱すると、わずか24時間後に乳酸の加水分解が完了する。
【0137】
最初の加水分解後に存在する乳酸二量体、三量体、及びポリマー乳酸化合物の量を決定するための試みでは、上記の各加水分解された試料(様々な初期乳酸濃度の7個の試料)の約15mgを100mLの水でさらに希釈する。これらの溶液の各々から40μLのアリコートを得、さらに2mLのバイアル中で、水960μLで希釈する。このような希釈溶液をそれぞれ100℃で24時間「二次」加水分解し、放冷する。冷却した各溶液に内部標準(d3-乳酸のナトリウム塩)の20μLアリコートを加える。これらの試料を上記のようにLC-MS定量に供す。この方法を使用して、ポリマー形態で存在する乳酸の量を決定した(信頼できる標準は、本明細書で言及されたように利用できないので)。これらの結果と混合時の乳酸のパーセントから得られた結果及び一次加水分解後の結果を組み合わせることにより、
図6に示すように加水分解の利点が明確に実証される。混合時の組成と一次加水分解後の組成の相違は、種々希釈物で経時的に乳酸がどれだけ増加したかを強調している。
【0138】
加水分解に先立って、90%試料中の総乳酸は約66%乳酸(34%二量体/オリゴマー/ポリマー乳酸)であることが分かった。水による希釈により、
図6に示した「混合しただけ」曲線(この曲線は、得られた試料中の乳酸の%に依存し、バッチごと及び供給者ごとに異なり得る。)を得る。一次加水分解は、非単量体型(例えば、二量体、オリゴマー、ポリマーの形態)の大部分を単量体乳酸に加水分解することが実証される(
図6に「一次加水分解」曲線として示される)。「混合しただけ」曲線から「一次加水分解」曲線への変化は、e-液体が経時的にpH低下を起こす理由を実証する。「二次加水分解」曲線は、乳酸試料の全化合物を単量体に変換した場合の結果であり、「一次加水分解」曲線及び「二次加水分解」曲線の差は、どれくらいの乳酸オリゴマーが存在するかを示す。
【0139】
図6に基づいて、試料が平衡後に有する単量体の量及び二量体の量を大まかに決定できる方程式が開発される(開始時の15~55%の総乳酸の範囲の間)。15~55%乳酸間の希釈比における酸性度を算出するための係数も、以下の表3に提供される。
【0140】
【0141】
図6/表3により決定された情報に基づく計算例として、乳酸を濃度50%まで水と混合し、100℃で24時間加熱した場合、遊離の乳酸の量は、「x」(濃度)=50に表3(式2)の一次係数を乗じることによって決定することができる。乳酸二量体(乳酸として)は差係数を用いて決定することができる(式3)。51.57と4.72×0.5(乳酸二量体は利用可能な酸性度が1/2の二量体である)を加えると、利用可能な酸性度は53.93(乳酸として)となる。さらなる計算例を以下の表4に示す。これらは、特定の希釈でどれだけの量の乳酸が利用できるかを迅速に推定するために用いることができる。
【0142】
式2:一次=502×(-0.00193)×1.1278=51.57%の乳酸
式3:差=502×0.0257+50×-0.03409=4.72二量体(乳酸二量体)
【0143】
【0144】
[実施例3]
先行する加水分解がもたらす配合の制御を理解するために、モデルである5%ニコチン含有溶液のpHに及ぼす加水分解された及び加水分解されていない乳酸の影響を研究した。
図7は、ニコチンについての計算された(又は予測された)pHの滴定曲線を示す。実験のために、2つの異なる加水分解法を加水分解されていない乳酸に対して比較した。2つの加水分解法は、約51/49(%w/w)の乳酸水溶液を、1)40℃で4週間及び2)70℃で48時間インキュベートするものであった。4週間法からの加水分解された乳酸をニコチン(曲線に沿った円で表される)に0.95~1.0モル当量まで化学量論的に添加した。48時間法からの加水分解された乳酸を、わずか0.95~1.0モル当量(黒い菱形で表される)で化学量論的に添加した。この2つの方法により、滴定範囲の端部でpH単位が0.03未満異なる溶液が得られ、それによって方法間のパリティが実証された。さらに、両方法の結果として得られるpHは、弱酸によるニコチンの滴定のための予測pH曲線と厳密に一致する。著しい対照において、1.0及び1.1モル当量(「非加水分解」と表示された楕円内の上の2つの円)の両方で非加水分解乳酸を加えると、予測pH曲線とは著しく異なる。これらのデータを総合すると、非加水分解乳酸は、得られた溶液のpHが問題になるのであれば、配合制御には好ましくない選択であり、複数の加水分解アプローチを採用して同様の結果が得られることを示している。
【0145】
[実施例4]
加水分解(「前処理」)反応の完全性を検証するための分析方法を評価した。50/50(%w/w)乳酸(88%)/水溶液について、70℃で48時間加水分解中、2つの測定基準、すなわち比重及び屈折率を評価した。
図8A及び8B並びに以下の表5に示すように、これらの測定基準はいずれも、24時間後に横ばいになる前に初期増加を示した。比重曲線及び屈折率曲線ともに加水分解の過程における乳酸:乳酸二量体比のLC-MS曲線を反映している。換言すれば、単量体乳酸が加水分解中にその最大に達すると正確に同時に、比重及び屈折率の両方が横ばいになる。さらに、加水分解時に過剰な水が外に出されないようにするためには比重も適切である。これは、過剰な水が蒸発しないようにし、その後酸が濃縮されないようにするのに役立つ。
【0146】
【0147】
[実施例5]
加水分解は、既知の酸濃度を与えることに加えて、溶液のpHに関して安定性を与える。水を含むe-液体配合物では、いかなる程度の乳酸二量体又はより高次のオリゴマーも、棚でin situの加水分解に供されるであろう。これによりe-液体のpHは経時的に低下するであろう。しかし、加水分解を酸の含有前に行う場合、その後の配合物の貯蔵性は、かなりのpH安定性を与えられる。これを実験的に実証するために、ニコチンに対し1モル当量で5%ニコチン含有溶液の配合物(該溶液はグリセロール、水、プロピレングリコール及び風味化合物をさらに含む)に加水分解された乳酸を使用した。この溶液は、上部空間に不活性ガスのない密閉ボトルに、20℃で保存した。この溶液のpHを経時的に監視し、以下の
図9及び表6に示す。このモデルe-液体のpHはt=0からt=10か月まで0.03pH単位の差があり、これは加水分解された乳酸が与える著しいpH制御を示した。
【0148】
【0149】
対照的に、乳酸成分を前処理/加水分解しないで調製したe-液体は、経時的にpHの低下を示すことが分かった。この傾向は、ボトル及びカートリッジの両方に保存されたこのようなe-液体について観察され、例えば、9か月の保存後に試験された種々の風味剤について、少なくとも0.25pH単位の減少(0.29pH単位の減少~0.95pH単位の減少までの範囲)があった。
【0150】
本明細書に示される開示の多くの修正及び他の実施は、本開示が関連する分野の当業者に、上述の説明及び関連する図面に示される教示の利益を有することを思い浮かばせる。したがって、開示は開示された特定の実施に限定されるものではなく、修正及びその他の実施は添付の請求の範囲内に含まれることを意図していることが理解される。さらに、上述の説明及び関連する図面は、構成要素及び/又は機能のある例の組合せとの関連で例示的実施を記述するが、要素及び/又は機能の異なる組合せが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、別の実施によって提供され得ることを理解すべきである。この点に関して、例えば、上で明示的に記載されたものとは異なる構成要素及び/又は機能の組合せもまた、添付の特許請求の範囲の一部に記載されているように意図される。本明細書で特定の用語を用いているが、これらは包括的かつ説明の意味にのみ用いており、限定するためではない。