(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/22 20060101AFI20250207BHJP
A63H 33/42 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
A63H33/22 Z
A63H33/42 B
(21)【出願番号】P 2023195153
(22)【出願日】2023-11-16
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】武内 さや
(72)【発明者】
【氏名】石井 朱音
(72)【発明者】
【氏名】北島 茉莉花
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-240457(JP,A)
【文献】実公昭47-018282(JP,Y1)
【文献】特開2006-262939(JP,A)
【文献】特開平02-168980(JP,A)
【文献】国際公開第2014/027644(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/083465(WO,A1)
【文献】特開平08-019669(JP,A)
【文献】実開平04-124199(JP,U)
【文献】実開平05-011999(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0209544(US,A1)
【文献】桑山哲郎,「画像からくり」口絵連載第35回 ハーフミラーを用いた画像のおもちゃ,日本写真学会誌,2016年11月,Vol.79, No.4,pp.311-312
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の光を発光可能な発光部と、
前記複数色の光の少なくとも何れかが透過可能な複数の光透過領域が設けられた光透過部と、
前記光透過部の光出射方向側に配置されたハーフミラーと、を備え
、
前記光透過部は、前記発光部からの複数の発光色に対してそれぞれ補色関係にある互いに異なる複数色を重畳して形成されている、玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具であって、
前記光透過領域の少なくとも一部は、前記発光部から出力される第1発光色に対して補色関係にある第1の色を用いて形成されている、玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の玩具であって、
前記発光部から出力される光の発光色は複数色に変更可能であり、少なくとも前記第1の色に対して補色関係にある発光色と補色関係にない発光色とに変更可能である、玩具。
【請求項4】
請求項1から
3の何れか1項に記載の玩具であって、
本体部と、
前記本体部に開閉可能な蓋部と、を備え、
前記蓋部に前記光透過部及び前記ハーフミラーが設けられ、
前記本体部に前記発光部が設けられている、玩具。
【請求項5】
請求項
4に記載の玩具であって、
前記蓋部が開いた状態で前記発光部の光が前記蓋部に導入される、玩具。
【請求項6】
請求項
5に記載の玩具であって、
前記発光部は、前記本体部と前記蓋部を連結するヒンジ部の近傍に設けられ、
前記蓋部には前記発光部の光を導入する導入口が設けられている、玩具。
【請求項7】
請求項
6に記載の玩具であって、
前記蓋部が開いた状態において前記発光部が前記導入口に対して対面する、玩具。
【請求項8】
請求項
7に記載の玩具であって、
前記蓋部には前記光透過部の背面側に前記発光部からの光を導光する導光部が設けられている、玩具。
【請求項9】
請求項
8に記載の玩具であって、
前記発光部の上面と前記導入口の少なくとも一方には、前記発光部の光を前記導光部に向かって拡散させる導光部材が設けられている、玩具。
【請求項10】
請求項
8に記載の玩具であって、
前記導光部は、前記蓋部の内面を利用した凹面構造である、玩具。
【請求項11】
請求項
4に記載の玩具であって、
前記本体部と前記蓋部を連結するヒンジ部を備え、
前記ヒンジ部の周りには、前記蓋部が開いた状態を維持する係止部が設けられている、玩具。
【請求項12】
請求項1
1に記載の玩具であって、
前記係止部は、前記ヒンジ部の外周面に設けられた突起部と、前記突起部に弾性係合する爪部を備える、玩具。
【請求項13】
請求項
4に記載の玩具であって、
前記発光部の制御を含む制御を行う制御部は、前記本体部に設けられている、玩具。
【請求項14】
請求項1
3に記載の玩具であって、
前記制御部は、前記発光部から出力される光を複数色に変化させて前記玩具の演出を制御する、玩具。
【請求項15】
請求項1から
3の何れか一項に記載の玩具であって、
前記光透過部と前記ハーフミラーとの間に、前記光透過部を保持し且つ前記ハーフミラーを保持する光透過性の保持部材が設けられている、玩具。
【請求項16】
本体部と、
前記本体部に開閉可能な蓋部と、を備え、
前記本体部に、複数色の光を発光可能な発光部が設けられ、
前記蓋部に、前記複数色の光の少なくとも何れかが透過可能な複数の光透過領域が設けられた光透過部と、前記光透過部の光出射方向側に配置されたハーフミラーと、が設けられる、玩具。
【請求項17】
請求項16に記載の玩具であって、
前記蓋部が開いた状態で前記発光部の光が前記蓋部に導入される、玩具。
【請求項18】
請求項17に記載の玩具であって、
前記発光部は、前記本体部と前記蓋部を連結するヒンジ部の近傍に設けられ、
前記蓋部には前記発光部の光を導入する導入口が設けられている、玩具。
【請求項19】
請求項18に記載の玩具であって、
前記蓋部が開いた状態において前記発光部が前記導入口に対して対面する、玩具。
【請求項20】
請求項19に記載の玩具であって、
前記蓋部には前記光透過部の背面側に前記発光部からの光を導光する導光部が設けられている、玩具。
【請求項21】
請求項20に記載の玩具であって、
前記発光部の上面と前記導入口の少なくとも一方には、前記発光部の光を前記導光部に向かって拡散させる導光部材が設けられている、玩具。
【請求項22】
請求項20に記載の玩具であって、
前記導光部は、前記蓋部の内面を利用した凹面構造である、玩具。
【請求項23】
請求項16に記載の玩具であって、
前記本体部と前記蓋部を連結するヒンジ部を備え、
前記ヒンジ部の周りには、前記蓋部が開いた状態を維持する係止部が設けられている、玩具。
【請求項24】
請求項23に記載の玩具であって、
前記係止部は、前記ヒンジ部の外周面に設けられた突起部と、前記突起部に弾性係合する爪部を備える、玩具。
【請求項25】
請求項16に記載の玩具であって、
前記発光部の制御を含む制御を行う制御部は、前記本体部に設けられている、玩具。
【請求項26】
請求項25に記載の玩具であって、
前記制御部は、前記発光部から出力される光を複数色に変化させて前記玩具の演出を制御する、玩具。
【請求項27】
請求項16に記載の玩具であって、
前記光透過部と前記ハーフミラーとの間に、前記光透過部を保持し且つ前記ハーフミラーを保持する光透過性の保持部材が設けられている、玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー表示が可能なカラー表示装置として、例えば特許文献1において、異なる発光色を有する複数個の光源と、各発光色に対して不透明なフィルター上に形成した文字や図形とを組み合わせたことを特徴とするカラー表示装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、文字や図形を同一の位置に表示するべくカラーフィルターを用いた構成の表示装置が開示されている。しかしながら、この装置は本発明が対象とする玩具ではなく、装置自体に興趣性が必要ないものである。
【0005】
本発明は、興趣性を向上させた玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の玩具は、複数色の光を発光可能な発光部と、複数色の光の少なくとも何れかが透過可能な複数の光透過領域が設けられた光透過部と、光透過部の光出射方向側に配置されたハーフミラーと、を備えるものである。また本発明の一態様の玩具は、複数色の光を発光可能な発光部と、前記複数色の光の少なくとも何れかが透過可能な複数の光透過領域が設けられた光透過部と、前記光透過部の光出射方向側に配置されたハーフミラーと、を備え、前記光透過部は、前記発光部からの複数の発光色に対してそれぞれ補色関係にある互いに異なる複数色を重畳して形成されている。また本発明の一態様の玩具は、本体部と、前記本体部に開閉可能な蓋部と、を備え、前記本体部に、複数色の光を発光可能な発光部が設けられ、前記蓋部に、前記複数色の光の少なくとも何れかが透過可能な複数の光透過領域が設けられた光透過部と、前記光透過部の光出射方向側に配置されたハーフミラーと、が設けられる
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、興趣性を向上させた玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一態様の玩具において蓋部が開かれた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す玩具において、蓋部が閉じられた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す蓋部が開かれた状態における玩具の断面図である。
【
図4】
図2に示す蓋部が閉じられた状態における玩具の断面斜視図である。
【
図5】蓋部の閉じ状態におけるヒンジ部の拡大断面斜視図である。
【
図6】蓋部の閉じ状態におけるヒンジ部を示す拡大斜視図である。
【
図7】蓋部の開き状態におけるヒンジ部を示した拡大断面図である。
【
図9】玩具を正面から見た拡大斜視図であって、全ての図柄が表示された場合の一例を示す説明図である。
【
図10】玩具を正面から見た拡大斜視図であって、第1シートの図柄が見えない場合の一例を示す説明図である。
【
図11】玩具を正面から見た拡大斜視図であって、第2シートの図柄が見えない場合の一例を示す説明図である。
【
図12】玩具を正面から見た拡大斜視図であって、第3シートの図柄が見えない場合の一例を示す説明図である。
【
図13】蓋部の構造の変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一態様である玩具について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の一態様の玩具1において蓋部20が開かれた状態を示す斜視図である。
図2は、玩具1において、蓋部20が閉じられた状態を示す斜視図である。
【0010】
玩具1は、
図1、及び
図2に示すように、女性が使用する化粧用のコンパクトケース(通称「コンパクト」)を模した玩具であって、例えば、女児向け変身(ヒーロー)アクションアニメ等において使用する変身グッズとして使用することができるものである。
【0011】
玩具1は、コンパクトの下側の本体部10と、上側の蓋部20と、がヒンジ部60を介して開閉可能に連結された構成を有している。例えば、玩具1を使用するときは、
図1に示すように蓋部20を開いた状態とし、操作ボタン16や中央の回転部材13等の操作を行うことで遊ぶことができる。また、蓋部20は、ヒンジ部60の後述する構成によって、蓋部20が開いた状態が維持され、この開いた状態においてハーフミラー50による光演出、スピーカ77(
図3参照)による音声演出等によって遊ぶことができる。
【0012】
一方、玩具1を使用しないときには、
図2に示すように蓋部20が閉じられている。蓋部20は、ヒンジ部60とは本体部10の反対側に配置された係止フック部20fが本体部10の突起11fに引っ掛かることでその閉じ状態が維持される。
【0013】
図3は、蓋部20が開かれた状態の玩具1の断面図である。
図4は、蓋部20が閉じられた状態の玩具1の断面斜視図である。
【0014】
図3及び
図4に示すように、本体部10は、収容部11の内部には、例えば複数の電池からなる電源76、スピーカ77、及び制御素子やLEDなどの発光素子75を有する制御基板71を備える制御部70が収容されている。そして、制御部70の上には、上方に向かって球面状に膨らんだ円盤状の内部カバー部材12、内部カバー部材12の上部に上方に膨らんだ回転部材13、回転部材13の外周縁上部を覆い回転部材13を回転可能な環状の外縁カバー部材14、更に、外縁カバー部材14の上側を覆うように、環状の装飾部材15が設けられている。
【0015】
なお、例えば、内部カバー部材12、回転部材13は、光透過性の部材に構成されており、発光素子75が上方に向かって発光した光により演出が可能な構成である。また、装飾部材15においては、例えば、光透過性のクリアー部材にて形成されており、ヒンジ部60に接近した位置には、制御基板71上のスイッチ等を押圧操作可能な、例えば2つの操作ボタン16(
図1参照)が設けられている。
【0016】
蓋部20は、ハーフミラー50、及びハーフミラー50の背面側の光透過部40(
図5及び
図8参照)を支持する保持部材41と、保持部材41に対して後方側に間隔を開けるように配置された導光部28と、蓋部20の外側を装飾する蓋装飾部21と、を備えている。蓋部20に設けられたハーフミラー50は、鏡として使用することができる他に鏡面の後方からの光による発光演出が可能な構成となっている。例えば、本体部10の後方収容部11cに設けられた発光部30からの光を利用して、後述するような色々な図柄(
図9~
図12参照)をハーフミラー50上に描き出すことができる。ハーフミラー50の構成として特に限定されるものではないが、本実施形態では、ハーフミラー50に対して光が照射されていない場合は表面が鏡面に見え、ハーフミラー50に対して光が照射されている場合はハーフミラー50の後方が透けて見えるものとなっている。
【0017】
ヒンジ部60の構成は、例えば、蓋部20側の一端側に設けられた管状部41bに軸部材68が貫通され、この軸部材68の両端側が本体部10の軸支持部11b(
図1参照)に回転可能に支持された構成となっている。
【0018】
発光部30は、基盤31上にLEDなどの発光素子32が設けられたもので、ヒンジ部60の後方に突出した後方収容部11c内に取り付けられ、ヒンジ部60に接近して設けられている。そして、
図3に示すように、蓋部20の開いた状態において、発光部30は、その光が蓋部20の内部に導入される。例えば、発光部30は、その発光素子32が上向きに発光するように設けられており、その光が蓋部20の横方向(図中においては下方向から)からに導入される構成となっている。また、発光素子32の上面には光を導光する導光部材15cが設けられ、この導光部材15cに対して蓋部20の導入口28hが対面しており、この導入口28hから蓋部20の内部に横方向から光が進入する。
【0019】
導光部材15cは、装飾部材15の一部がヒンジ部60の下側を通るように延出された部分であって、発光素子32の上側を覆うように構成されている。この導光部材15cは、透明な素材で構成され、光を透過させるだけでなく蓋部20内に進入する光が拡散するように、例えばその表面には多面形状(
図4参照)が施されている。また、導光部材15cは、蓋部20が閉じられているときには、後方収容部11cの外面を飾る装飾部分としての機能を有する。
【0020】
蓋部20の内部に光を入れる導入口28hは、単なる孔として構成されも良いが本態様においては、光透過性の蓋側の導光部材21cにより覆われている。この蓋側の導光部材21cは、導光部28の一端に形成された開口を閉じるように設けられた蓋装飾部21により構成されている。そして、導光部材21cは、蓋部20内に光を導入するときに必要に応じて光を拡散できる構成とすることができる。
【0021】
導光部28は、その内面28aが凹面構造となっており、導入口28hから導光された光がハーフミラー50に向かって反射する構造となっている。すなわち、発光部30の導光された光は、透明な保持部材41の裏面などに反射・拡散されて当該保持部材41、光透過部40、及びハーフミラー50を通過して外に射出される。
【0022】
図5は、蓋部20が閉じられた状態におけるヒンジ部60及びヒンジ部周辺を示した拡大断面斜視図である。
図6は、蓋部20が閉じられた状態において、ヒンジ部60を示す拡大斜視図である。
図7は、蓋部20が開かれた状態において、ヒンジ部60及びヒンジ部周辺を示した拡大断面図である。
【0023】
本体部10と蓋部20を連結するヒンジ部60は、
図5及び
図6に示すように、その周外周面に、蓋部20が閉じた状態並びに開いた状態を維持する係止部が設けられている。この係止部は、例えば、管状部41bの外周面に突設された二対の突起部61,62と、この突起部61,62に係合可能に対応する爪部63と、を備えている。ここで、爪部63は、突起部61,62に対して弾性的に当接するように構成されている。すなわち、爪部63は、装飾部材15の外周縁部分がヒンジ部60の下側に延出された一対の弾性片部64の先端に設けられて、管状部41bの外周面に当接可能に構成されている。
【0024】
したがって、例えば、
図5、及び
図6に示すように、蓋部20が閉じられた時には、下向きとなっている突起部62は、爪部63がその内側(図中において左側)に当接する状態となっている。これにより、蓋部20の開き方向の回動は阻止されて閉じ状態が維持される。また、この状態においては、蓋部20は、その係止フック部20fが本体部10の突起11fに引っ掛けられて係止されている。
【0025】
蓋部20を開けるときは、係止フック部20fの係合を外して蓋部20を回動(図中において、時計回りの方向に回動)する。そして、この突起部61が爪部63を乗り越える。これにより、
図7に示すように、爪部63が突起部61の外側(図中において右側)に当接し、蓋部20は、その開き状態において、閉じ方向の回転が阻止・係止される。また、蓋部20は、管状部41bの外周面に突設された一対のストッパ突起69が後方収容部11cの上面11aに当接して、開き方向の回動が阻止・係止される。
【0026】
図8は、蓋部20の分解斜視図である。
蓋部20においては、
図8に示すように、ハーフミラー50の内側に複数の光透過領域が設けられた光透過部40が設けられている。より具体的には、ハーフミラー50と保持部材41の収容面41aとの間に、例えば3枚のシート、第1シート45、第2シート46、及び第3シート47を備える光透過部40が設けられている。この第1シート45、第2シート46、及び第3シート47は、例えば透明なシート上に図示するような、例えば、第1シート45には四葉形(A)及びハート形(B)、第2シート46には丸形(D)、及び第3シート47には星形(C)が描かれている。また、各シートにおける図柄の色は、異なるように構成されている。なお、本実施形態では、3枚のシート(光透過部材)を用いる例を説明しているが、これに限られることはなく、少なくとも1枚以上あればいよい。2枚以上用いることでより複雑な演出が可能になり好ましい。また本実施形態では、各シートの図柄の色は異なるように構成されているが、これに限られることはなく、同じ色を使用していてもよい。
【0027】
このように、光透過部40は、複数色の図柄(A,B,C,D)にてカラー演出が可能となっている。一方、発光部30から出力される光の発光色は複数色に変更可能となっている。発光部30は、例えば、第1シート45のハート形(B)を第1の色とした場合、この第1の色に対して補色関係にある第1発光色、或いは補色関係にない他の発光色を、制御部70の制御によって、発光することができる。これにより、後述するように、ハート形(B)が消えたり、或いは見えたりする。
【0028】
また、第2シート46においては、第2の色からなる丸形(D)が形成され、第3シート47においては、第3の色からなる星形(C)が形成されている。これにより、発光部30が発光する第2発光色、及び第3発光色により、丸形(D)、及び星形(C)についても消えたり見えたりさせることができる。このように、光透過部40は、発光部30からの複数の発光色に対して、それぞれ補色関係にある互いに異なる複数のシートを重畳した構成となっている。
【0029】
以下、光透過部40による図柄演出について、その一例を挙げて具体的に説明する。
図9は、玩具1のハーフミラー50を正面から見た拡大斜視図であって、発光部30の制御によるハーフミラー50の光り方において全ての図柄が表示された場合の一例を示す説明図である。
【0030】
図9に示す場合は、光透過部40に設けられた図柄(A,B,C,D)の全てが現れるような発光制御を行う。この場合、発光部30から発光される発光色としては、例えば、R,G,Bの全てを発光させて白色光とした場合である。この場合においては、第1、第2、第3シート45,46,47に描かれた全ての図柄が複数色にて表現されて、図示のごとくハーフミラー50上に同時に映し出される。
【0031】
図柄においては、重なる位置に描かれたものがある。例えば、第1の色のハート形(B)と第2の色の丸形(D)とが一部重なった丸形の部分(下側寄りの左右二か所)として第1の混合色(X)が表現される。また、第1の色のハート形(B)と第3の色の星形(C)とが一部重なる星形の部分(中央の左右二か所)として第2の混合色(Z)が表現される。
【0032】
また、図柄において中央の上下方向に並んで配置された四葉形(A)は、他の図柄のように色は付けられておらず、黒色の線画像として形成されている。したがって、この四葉形(A)は、発光状態においては常時表示される。
【0033】
図10は、発光部30の制御によるハーフミラー50の光り方において、第1シート45の図柄が見えない場合を示す。
【0034】
図10に示す場合は、光透過部40に設けられた図柄(A,B,C,D)のうち、ハート形(B)の図柄が消える発光制御を行った場合である。この場合、例えば、ハート形(B)の第1の色に対して、補色の第1発光色を発光部30から発光する。より具体的には、第1の色としては、例えば「赤系色」の場合、その補色の第1発光色として「青緑系色」を発光部30から発光させる。これにより、
図10に示すように、ハート形(B)は、ハーフミラー50上から略見えない状態となる。一方、他の補色関係にない丸形(D)、及び星形(C)は表示される。なお、四葉形(A)は表示されている。
【0035】
図11は、発光部30の制御によるハーフミラー50の光り方において、第2シート46の図柄が見えない場合を示す。
【0036】
図11に示す場合は、光透過部40に設けられた図柄(A,B,C,D)のうち、丸形(D)の図柄が消えるような発光制御を行った場合である。この場合、例えば、丸形の第2の色に対して、発光部30の発光色として第2の色の補色である第2発光色を発光する。より具体的には、第2の色としては、例えば「黄系色」とした場合、第2発光色として「紫系色」を発光部30から発光させる。これにより、
図11に示すように、丸形(D)がハーフミラー50上から略見えない状態となる。また、他の補色関係にないハート形(B)、及び星形(C)は表示され、また、四葉形(A)も表示される。
【0037】
図12は、発光部30の制御によるハーフミラー50の光り方において、第3シート47の図柄が見えない場合を示す。
【0038】
図12に示す場合は、光透過部40に設けられた図柄(A,B,C,D)のうち、星形(C)の図柄が消えるような発光制御を行った場合である。この場合、例えば、星形の第3の色に対して、発光部30の発光色として第3の色の補色である第3発光色を発光する。より具体的には、第3の色としては、例えば「青系色」とした場合、第3発光色として「橙系色」を発光部30から発光させる。これにより、
図12に示すように、星形(C)がハーフミラー50上から略見えない状態となり、他の補色関係にないハート形(B)、及び丸形(D)が表示され、また、四葉形(A)も表示される。
【0039】
なお、第1の混合色(X)並びに第2の混合色(Z)に関しては、混合する色により多種の色を表現することができる。また、例えば混合する色が補色関係にある場合には、黒色や灰色といった色を表現することができる。さらに、第1シート45、第2シート46、及び第3シート47については、透明な素材に色の付いた図柄を配置した構成としたが、カラーシート上に図側を描くように構成しても良い。
【0040】
玩具1の遊び方としては、操作ボタン16を押す操作、或いは回転部材13などを操作する。例えば、回転部材13を回転させて回転の検出で発光素子75を光らせたり、音声演出を行ったりする。更に、操作ボタン16にて例えば変身モード、占いやゲームモードなどを制御部70により制御する。このような演出に加えて、その演出に対応するように、上述の
図9~
図12に示すハーフミラー50上に発光色の演出がなされる。
【0041】
上述の補色発光における演出の説明では、3つの色で現わされた図柄(B,C,D)が現れる場合と消える場合について説明した。しかし、発光部30の発光色については、ほぼ完全に消える場合の演出に限るものではない。例えば、図柄の色合いと、発光色の色合いによっては、図柄が完全に消えない場合もある。また、必要に応じて図柄が重なるような演出も行われる。更に、発光部30の色が変わる途中においては、中間色を発光するようにして色が移り変わる演出も行われる。
【0042】
図13は、蓋部20の構造の変形例を示す分解斜視図である。
図13に示す蓋部20は、前述した蓋部20(
図9参照)と同じ構成要素を備えているが、前掲の構造と異なる点は、
図13に示すように、ハーフミラー50と、3枚のシート(第1シート45、第2シート46、及び第3シート47)を備える光透過部40と、の間に保持部材41が設けられている。
【0043】
このように、光透過部40とハーフミラー50との間に、透過性の保持部材41が設けられことで、光透過部40とハーフミラー50との間隔を大きくでき、また、保持部材41の厚さによって間隔を調整することができる。
【0044】
以上述べたように、本態様の玩具1は、複数色の光を発光可能な発光部30に対して当該複数色の光の少なくとも何れか透過させる複数の透過領域を有する光透過部40を備えることで、光透過部40越しに見る光の色の演出を楽しむことができる。更に、光透過部40の光出射方向側にハーフミラー50が配置されていることで、ミラー越しに配色の演出を行うことができ、ギミック性の高い演出を可能にする。
【0045】
本態様の玩具1では、光透過領域の少なくとも一部には、発光部30から出力される第1発光色に対して補色関係にある第1の色が設けられていることで、第1発光色を見えなくするか或いは見え難い状態にすることが可能である。また、発光部30は、第1の色に対して補色関係にない発光色を出すことができるので、この補色でない発光色によって他の色により演出をすることができる。
【0046】
さらに、光透過部40は、発光部30からの複数の発光色に対してそれぞれ補色関係にある互いに異なる複数色を重畳して形成されているので、複数の色により複数の色の配色によって演出することができる。また、複数色を重畳することで色の重ね合わせができる。この結果、例えば、異なる色で形成された絵柄の重ね合わせも可能となり、重なった絵柄により合成絵柄を形成したり、色変化と共に絵柄の入れ替わり等を演出したりすることができる。
【0047】
また、本態様の玩具1では、制御部70によって、発光部30から出力される光を時間とともに複数色に変化させることで、発光色が時間とともに変化する演出ができる。例えば、レインボーカラー、そのほかの色、色のついていない白色発光、など様々なパターンを使って発色を制御することができ、ミラーの図柄の変化で不思議なミラーを演出することができる。
【0048】
本態様の玩具1では、本体部10に開閉可能な蓋部20に光透過部40及びハーフミラー50が設けられていることで、発光演出を蓋部20の開閉に連動させる演出が可能である。また、本体部10に発光部30を設けると共に蓋部20の横面に開口の導入口28hを設けた構成とすることで、蓋部20において光を拡散させる空間を形成できる。更に、蓋部20に発光部30が設けられていない構成であることで、蓋部20を薄くできる。
【0049】
本態様の玩具1では、本体部10のヒンジ部60の近傍に発光部30並びに導入口28hを設ける構成とすることで、導入口28hに光を導きやすくできる。
【0050】
本態様の玩具1においては、蓋部20には光透過部40の背面側に発光部30からの光を蓋部20の内面28aを利用した凹面構造での導光部28が設けられていることで、光透過部40の全面にわたって光を導光することができる。また、発光部30の上面と導入口28hの少なくとも一方に、発光部30の光を導光部28に向かって拡散させる導光部材15c,21cが設けられることで、凹面構造の導光部28への光の拡散を効果的にでき、光透過部40の全面にわたって光を導光できる。
【0051】
本態様の玩具1では、ヒンジ部60の周りには、蓋部20が開いた状態を維持する係止部である突起部61,62、及び爪部63が設けられているので、蓋部20が開いた演出状態を維持することができる。更に、突起部61,62と爪部63とは弾性係合するように構成されているので、蓋部20の開閉がし易く操作性が良い。
【0052】
本態様の玩具1においては、発光部30の制御を含む制御を行う制御部70が本体部10に設けられていることで、蓋部20の光演出領域を蓋部20の全面領域とすることができ、更に、本体部10を重くすることができ、蓋部20を開いたときの玩具1の保持・安定性を良くできる。
【0053】
本態様の玩具1では、光透過部40とハーフミラー50との間に、光透過部40を保持する光透過性の保持部材41が設けられることで、光透過部40とハーフミラー50との間隔を開けることができる。この結果、例えば、ハーフミラー50を鏡として使用するときに、すなわち、発光部30が発光していなときにおいて、光透過部40の図柄の輪郭の映りを防止することができる。
【0054】
また、本態様の玩具1は、光透過部40に設けた配色と、発光部30の発光色との補色による補色を利用した、演出について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、光透過部40における図柄の配色において補色関係の色を使用することができる。この場合、補色同士を並べることで、コントラストが強くなり、色の鮮やかさや視認性を高めることができる、所謂、「補色対比」の効果を利用した演出ができる。
【0055】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記態様においては、光透過部40が3枚のシートにて構成されたが、これに限るものではなく、2枚、或いは1枚、4枚以上のシートを使用して複数色の図柄を表すようにした構成であっても良い。
【0056】
また、上記態様においては、光透過部40のシート(第1、第2、第3シート45,46,47)は、透明シート上にカラー配色した図柄を設けた構成としたが、これに限るものではなく、シート自体が有色であっても良い。
【0057】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が記載されている。
【0058】
(1)
複数色の光を発光可能な発光部と、
上記複数色の光の少なくとも何れかが透過可能な複数の光透過領域が設けられた光透過部と、
上記光透過部の光出射方向側に配置されたハーフミラーと、を備える、玩具。
【0059】
(2)
(1)に記載の玩具であって、
上記光透過領域の少なくとも一部は、上記発光部から出力される第1発光色に対して補色関係にある第1の色を用いて形成されている、玩具。
【0060】
(3)
(2)に記載の玩具であって、
上記発光部から出力される光の発光色は複数色に変更可能であり、少なくとも上記第1の色に対して補色関係にある発光色と補色関係にない発光色とに変更可能である、玩具。
【0061】
(4)
(1)から(3)の何れかに記載の玩具であって、
上記光透過部は、上記発光部からの複数の発光色に対してそれぞれ補色関係にある互いに異なる複数色を重畳して形成されている、玩具。
【0062】
(5)
(1)から(4)の何れかに記載の玩具であって、
本体部と、
上記本体部に開閉可能な蓋部と、を備え、
上記蓋部に上記光透過部及び上記ハーフミラーが設けられ、
上記本体部に上記発光部が設けられている、玩具。
【0063】
(6)
(5)に記載の玩具であって、
上記蓋部が開いた状態で上記発光部の光が上記蓋部に導入される、玩具。
【0064】
(7)
(5)又は(6)に記載の玩具であって、
上記発光部は、上記本体部と上記蓋部を連結するヒンジ部の近傍に設けられ、
上記蓋部には上記発光部の光を導入する導入口が設けられている、玩具。
【0065】
(8)
(7)に記載の玩具であって、
上記蓋部が開いた状態において上記発光部が上記導入口に対して対面する、玩具。
【0066】
(9)
(8)に記載の玩具であって、
上記蓋部には上記光透過部の背面側に上記発光部からの光を導光する導光部が設けられている、玩具。
【0067】
(10)
(9)に記載の玩具であって、
上記発光部の上面と上記導入口の少なくとも一方には、上記発光部の光を上記導光部に向かって拡散させる導光部材が設けられている、玩具。
【0068】
(11)
(10)に記載の玩具であって、
上記導光部は、上記蓋部の内面を利用した凹面構造である、玩具。
【0069】
(12)
(1)から(11)のいずれかに記載の玩具であって、
上記本体部と上記蓋部を連結するヒンジ部を備え、
上記ヒンジ部の周りには、上記蓋部が開いた状態を維持する係止部が設けられている、玩具。
【0070】
(13)
(12)に記載の玩具であって、
上記係止部は、上記ヒンジ部の外周面に設けられた突起部と、上記突起部に弾性係合する爪部を備える、玩具。
【0071】
(14)
(1)から(13)の何れかに記載の玩具であって、
上記発光部の制御を含む制御を行う制御部は、上記本体部に設けられている、玩具。
【0072】
(15)
(14)に記載の玩具であって、
上記制御部は、上記発光部から出力される光を複数色に変化させて上記玩具の演出を制御する、玩具。
【0073】
(16)
(1)から(15)の何れかに記載の玩具であって、
上記光透過部と上記ハーフミラーとの間に、上記光透過部を保持し且つ上記ハーフミラーを保持する光透過性の保持部材が設けられている、玩具。
【符号の説明】
【0074】
1 玩具
10 本体部
20 蓋部
15c、21c 導光部材
28 導光部
28a 内面
28h 導入口
30 発光部
40 光透過部
41 保持部材
50 ハーフミラー
60 ヒンジ部
61、62 突起部(係止部)
63 爪部(係止部)
70 制御部
【要約】
【課題】興趣性を向上させた玩具を提供する。
【解決手段】複数色の光を発光可能な発光部30と、複数色の光の少なくとも何れかが透過可能な複数の光透過領域が設けられた光透過部40と、光透過部40の光出射方向側に配置されたハーフミラー50と、を備える、玩具1である。複数色の光を発光可能な発光部30に対して当該複数色の光の少なくとも何れか透過させる複数の透過領域を有する光透過部40を備えることで、光透過部40越しに見る光の色の演出を楽しむことができる。更に、光透過部40の光出射方向側にハーフミラー50が配置されていることで、ミラー越しに配色の演出を行うことができる。
【選択図】
図3