(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】ポリオレフィン発泡体ビーズ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/18 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
C08J9/18 CES
(21)【出願番号】P 2023534734
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2020136143
(87)【国際公開番号】W WO2022126319
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダン、ヨーゼフ ジェイ.アイ.
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ボー
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/009094(WO,A1)
【文献】特開2021-100992(JP,A)
【文献】特開昭50-135142(JP,A)
【文献】特表平10-506935(JP,A)
【文献】国際公開第02/068530(WO,A2)
【文献】国際公開第2021/056406(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60
B29C 67/20
C08J 9/00- 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成された発泡体ビーズであって、前記発泡体ビーズが、80%以上のゲル含有量、及び1rad/sで0.11以下のtanδを有
し、前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーの70重量%以上が、シラングラフト化されている、発泡体ビーズ。
【請求項2】
前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーが、ポリオレフィンエラストマーを含む、請求項1に記載の発泡体ビーズ。
【請求項3】
前記シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーが、前記シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.3重量%超のシラングラフト化率を有する、請求項
1に記載の発泡体ビーズ。
【請求項4】
前記発泡体ビーズが、ペレットを発泡させる前に前記組成物のペレットを架橋することによって前記組成物から形成される、請求項1に記載の発泡体ビーズ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡体ビーズを製造するための方法であって、
(a)1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物を提供することと、
(b)前記組成物を球状化させてペレットを形成することと、
(c)前記ペレットを80%以上のゲル含有量まで架橋することと、
(d)前記架橋ペレットを発泡させて発泡体ビーズにすることと、を含み、
前記発泡体ビーズが、1rad/sで0.11以下のtanδを有する、方法。
【請求項6】
前記シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーが、前記シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.3重量%超のシラングラフト化率を有する、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーが、1つ以上のエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、1つ以上のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーが、0.1g/10分~30g/10分のメルトインデックス(MI)を有する、請求項
5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリオレフィン発泡体ビーズ及びその製造方法に関する。本開示は更に、発泡体ビーズから調製された要素、要素を含む生成物、及びビーズ充填用途における発泡体ビーズの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン製品、例えば、ENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマー(Polyolefin Elastomers、POE)及びINFUSE(商標)オレフィンブロックコポリマー(Olefin Block Copolymers、OBC)は、産業において広く使用されている。例えば、履物産業において、間底などの構成要素は、化学発泡によって生成された架橋EVA/POE及びEVA/OBC発泡体を用いて伝統的に製造されている。このようなプロセスは、しかしながら非常に労働集約的であるため、環境的プロセス及びコスト節約プロセスを有する代替の発泡技術が追求されている。
【0003】
物理的発泡の一種であるビーズ発泡技術は、選択肢を提供する。化学発泡と比較したビーズ発泡の利点には、不快な臭いがないこと、型への汚染が少ないこと、視覚と触覚が異なること、部品の等方性特性、が挙げられる。最も重要なことには、ビーズ発泡プロセスは、成形プロセスから発泡プロセスを切り離す。
【0004】
典型的には、アディダス・ブースト(Adidas Boost、TPU)及びナイキ ジョイライド(Nike Joyride)によってそれぞれ代表される、履物産業におけるビーズ発泡体の2つの種類の商業的使用がある。前者は、ビーズ製造及びスチームチェスト成形を含み、後者は、ビーズ製造及び別個のビーズを孔に充填して要素(例えば、間底)を形成することを含む。スチームチェスト成形中の良好な焼結を確実にするために、発泡体ビーズは架橋されるべきではないか、又は比較的低い濃度のゲル含有量で部分的にのみ架橋され得る。ビーズ充填用途(履物だけでなく、サドル、枕等のその他の用途においても)のために、発泡体ビーズは架橋されることができ、したがって、比較的良好な弾性を有し得る。
【0005】
弾性などの特性が改善された発泡体ビーズが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成された発泡体ビーズを提供し、発泡体ビーズは、80%以上のゲル含有量、及び1rad/sで0.11以下のtanδを有する。
【0007】
更なる態様では、本開示は、ポリオレフィン発泡体ビーズを製造するための方法であって、
(a)1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物を提供することと、
(b)組成物を球状化させてペレットを形成することと、
(c)ペレットを80%以上のゲル含有量まで架橋することと、
(d)架橋ペレットを発泡させて発泡体ビーズにすることと、を含み、
発泡体ビーズが、1rad/sで0.11以下のtanδを有する、方法を提供する。
【0008】
更なる態様では、本開示は、発泡体ビーズで充填された孔を含む、本明細書に記載の複数の発泡体ビーズから調製された要素を提供する。
【0009】
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載の要素を含む生成物を提供する。
【0010】
更なる態様では、本開示は、ビーズ充填用途における本明細書に記載の発泡体ビーズの使用を提供する。
【0011】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】周波数掃引中の種々の発泡体ビーズのTanδを示すグラフである。
【
図2】実施例で調製された発泡体ビーズの、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0014】
以下の詳細な説明は、例示として、本発明が実施され得る特定の詳細及び実施形態を示す添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、その他の実施形態を利用してもよく、また変更を加えてもよい。いくつかの実施形態は、新しい実施形態を形成するために1つ以上のその他の実施形態と組み合わされ得るので、種々の実施形態は、必ずしも相互排他的ではない。
【0015】
種々の実施形態の文脈において、特徴又は要素に関して使用される冠詞「a」、「an」、及び「the」は、特徴又は要素のうちの1つ以上への言及を含む。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。
【0016】
本明細書で開示する場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、工程、又は手順の存在を除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、補助剤、又は化合物を含んでもよい。対照的に、「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意のその他の成分、工程、又は手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述又は列挙されていない任意の構成要素、工程、又は手順を除外する。
【0017】
本明細書で開示する場合、本明細書で言及される全てのパーセントは、別段明記されない限り、重量基準であり、温度は℃である。
【0018】
A. ポリオレフィン発泡体ビーズ
本開示は、ポリオレフィンインターポリマー発泡体ビーズを提供する。発泡体ビーズは、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、1つ以上のポリオレフィンインターポリマー、及び所望により1種以上の添加剤を含む組成物から形成され得る。
【0020】
いくつかの特定の実施形態では、発泡体ビーズは、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成され得、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーの70重量%以上がシラングラフト化されている。
【0021】
いくつかの特定の実施形態では、発泡体ビーズは、(A)1つ以上のポリオレフィンインターポリマーと、(B)1つ以上の任意の添加剤と、を含む、組成物から形成され得、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーの70重量%以上がシラングラフト化されている。
【0022】
i. ポリオレフィンインターポリマー
本明細書で使用する場合、「ポリオレフィン」又は「オレフィン系ポリマー」という用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づいて)50重量%又は過半重量パーセントの、エチレン又はプロピレンなどのオレフィンを含み、所望により1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0023】
本明細書で使用する場合、「エチレン系ポリマー」という用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づいて)50重量%又は過半重量パーセントのエチレンを含み、所望により1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0024】
本明細書で使用する場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類又は異なる種類のモノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び本明細書で以下に定義されるようなインターポリマーという用語を含む。触媒残留物などの微量の不純物は、ポリマー中に及び/又はポリマー内に組み込まれ得る。典型的には、ポリマーは、非常に少量(「ppm」量)の1種以上の安定剤で安定化される。
【0025】
本明細書で使用する場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2種類の異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという用語は、コポリマーという用語(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び2つを超える異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、又は100重量%のポリオレフィンインターポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、80重量%、又は85重量%、又は90重量%、~95重量%、又は98重量%、又は99重量%、又は100重量%までのポリオレフィンインターポリマーを含み得る。
【0027】
一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、30g/10分以下、20g/10分以下、10g/10分以下、又は5g/10分以下のメルトインデックス(Melt Index、MI)を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、以下の終点:0.1g/10分、0.5g/10分、0.8g/10分、1.0g/10分、1.5g/10分、2.0g/10分、5g/10分、10g/10分、20g/10分、及び30g/10分のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のMIを有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.1g/10分、又は0.5g/10分、又は0.8g/10分、~1.0g/10分、又は1.5g/10分、又は2.0g/10分、又は5g/10分、又は10g/10分、又は20g/10分、又は30g/10分までのMIを有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.1g/10分~30g/10分、又は0.1g/10分~20g/10分、又は0.1g/10分~10g/10分、又は0.5g/10分~8g/10分、又は1g/10分~5g/10分のMIを有し得る。
【0028】
一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.850g/cm3以上、0.855g/cm3以上、0.860g/cm3以上、0.865g/cm3以上、又は0.870g/cm3以上の密度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、以下の終点:0.850g/cm3、0.855g/cm3、0.860g/cm3、0.865g/cm3、0.870g/cm3、0.875g/cm3、0.880g/cm3、0.885g/cm3、0.890g/cm3、0.895g/cm3、0.900g/cm3、0.905g/cm3、及び0.910g/cm3のいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内にある密度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.850g/cm3、又は0.855g/cm3、又は0.860g/cm3、又は0.865g/cm3、又は0.870g/cm3、又は0.875g/cm3、~0.880g/cm3、又は0.885g/cm3、又は0.890g/cm3、又は0.895g/cm3、又は0.900g/cm3、又は0.905g/cm3、又は0.910g/cm3までの密度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.850g/cm3~0.910g/cm3、0.855g/cm3~0.910g/cm3、0.860g/cm3~0.910g/cm3、0.865g/cm3~0.905のcm3、又は0.870cm3~0.905cm3の密度を有し得る。
【0029】
一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、30以上、35以上、40以上、45以上、又は50以上のショアA硬度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、以下の終点:30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、及び90のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のショアA硬度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、30、又は35、又は40、又は45、又は50、又は55、又は60、又は65、又は70、又は75から、80、又は85又は90までのショアA硬度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、30~90、35~90、40~90、45~90、50~90、又は55~90のショアA硬度を有し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、ポリオレフィンエラストマー(POE)であり得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、1つ以上のエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、1つ以上のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0031】
(1)エチレン/α-オレフィン マルチブロックインターポリマー
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、例えば、エチレン及び重合形態の1つ以上の共重合可能なC3-C20α-オレフィンコモノマー(及び任意の添加剤)からなるエチレン/C3-C20α-オレフィンマルチブロックコポリマーを含み得る。適切なα-オレフィンの非限定的実施例としては、1-プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデシレン、及び1-テトラデセンが挙げられる。いくつかの例示的な実施形態では、α-オレフィンは、C3~C10α-オレフィン、例えばC4~C8α-オレフィンであり得る。一代表的実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーを含み得る。一代表的実施形態では、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、The Dow Chemical Company、Midland、Michigan、USAから市販されている商標名INFUSE(商標)として販売されている。
【0032】
本明細書で使用する場合、「エチレン/αオレフィンマルチブロックインターポリマー」又は「オレフィンブロックコポリマー(OBC)」は、エチレン及び1つ以上の共重合性αオレフィンコモノマーを重合形態で含むインターポリマーを指し、2つ以上(好ましくは3つ以上)の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント、化学的特性又は物理的特性が異なるブロック又はセグメントを特徴とする。具体的には、この用語は、実質的に直鎖状方式で連結した2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント又はグラフト化された様式ではなく、重合した官能基に関して端と端とが連結(共有結合)している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量若しくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類若しくは程度(アイソタクチック若しくはシンジオタクチック)、領域規則性若しくは領域不規則性、長鎖分岐若しくは超分岐を含む分岐の量、均一性、及び/又は任意のその他の化学的特性若しくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤(複数化)の使用効果に基づいて、ポリマー多分散性(PDI又はMw/Mn)及びブロック長分布の両方の独特の分布を特徴とする。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的実施例、及びこれを調製するプロセスは、米国特許第7,858,706(B2)号、同8,198,374(B2)号、同8,318,864(B2)号、同8,609,779(B2)号、同8,710,143(B2)号、同8,785,551(B2)号、及び同9,243,090(B2)号に開示されており、その全体が参照として全て本明細書に組み込まれる。
【0033】
例示的に、マルチブロックコポリマーは、次の式:(AB)nによって表され得、式中、nは、少なくとも1であり、好ましくは1を超える整数であり、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100以上である。ここで、「A」は、ハードブロック又はセグメントを表しており、「B」は、ソフトブロック又はセグメントを表している。好ましくは、Aセグメント及びBセグメントは、実質的に分岐鎖状又は実質的に星形の様式とは対照的に、実質的に直鎖状様式で連結される。その他の実施形態では、Aセグメント及びBセグメントは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。言い換えれば、例えば、ブロックコポリマーは、通常は、次のような構造:AAA-AA-BBB-BBを有していない。更にその他の実施形態では、ブロックコポリマーは、通常は、異なるコモノマー(複数可)を含む第3の種類のブロック又はセグメントを有していない。なお更にその他の実施形態では、ブロックA及びブロックBのそれぞれは、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマー又はコモノマーを有する。換言すれば、ブロックAもブロックBも、残りのブロックとは実質的に異なる組成を有する先端セグメントなどの別個の組成の2つ以上のサブセグメント(又はサブブロック)を含まない。
【0034】
オレフィンブロックコポリマーは、一般に、例えば、米国特許第7,858,706号に記載されているような鎖シャトリングプロセスを介して生成され、当該特許は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの鎖シャトリング剤及び関連情報は、第16欄39行目~第19欄44行目に列挙されている。いくつかの触媒は、第19欄45行目~第46欄19行目に、いくつかの助触媒は、第46欄20行目~第51欄28行目に記載されている。いくつかのプロセスの特徴は、第51欄29行目~第54欄56行目に記載されている。以下も参照されたい:米国特許第7,608,668号、同第7,893,166号、及び同第7,947,793号、並びに米国特許公開公報第2010/0197880号。米国特許第9,243,173号も参照されたい。
【0035】
好ましくは、エチレンは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー全体の過半数のモル分率を構成する、すなわち、エチレンは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー全体の少なくとも50重量%を構成する。より好ましくは、エチレンは、C4-C8α-オレフィンコモノマーを含むエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー全体の実質的に残りの部分で、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%を構成する。好ましくは、C4~C8α-オレフィンコモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンから選択されてもよい。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、50重量%、60重量%、又は65重量%~80重量%、又は85重量%、又は90重量%のエチレンを含有する。多くのエチレン/オクテンマルチブロックインターポリマーの場合、組成物は、エチレン/オクテンマルチブロックインターポリマー全体の80重量%を超えるエチレン含有量、及びエチレン/オクテンマルチブロックインターポリマー全体の10重量%~15重量%、又は15重量%~20重量%のオクテン含有量を含む。
【0036】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、種々の量の「ハード」セグメント及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、重合単位のブロックであり、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて、90重量%超、又は95重量%、又は95重量%超、又は98重量%超、最大100重量%の量で存在している。換言すれば、硬質セグメント中のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)は、ポリマーの重量に基づいて、10重量%未満、又は5重量%、又は5重量%未満、又は2重量%未満であり、最低でゼロであり得る。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、エチレンに由来する全ての、又は実質的に全ての単位を含む。「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて、5重量%超、又は8重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超である重合単位のブロックである。一実施形態では、ソフトセグメントのコモノマー含有量は、20重量%超、又は25重量%超、又は30重量%超、又は35重量%超、又は40重量%超、又は45重量%超、又は50重量%超、又は60重量%超であり、最大100重量%であり得る。
【0037】
ソフトセグメントは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー中に、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーの総重量の、1重量%、又は5重量%、又は10重量%、又は15重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%、又は35重量%、又は40重量%、又は45重量%~55重量%、又は60重量%、又は65重量%、又は70重量%、又は75重量%、又は80重量%、又は85重量%、又は90重量%、又は95重量%、又は99重量%存在し得る。逆に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在し得る。ソフトセグメントの重量パーセント及びハードセグメントの重量パーセントは、DSC又はNMRから得られたデータに基づいて計算され得る。このような方法及び計算は、例えば、米国特許第7,608,668号に開示されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。具体的には、ハード及びソフトセグメントの重量パーセント及びコモノマー含有量は、米国特許第7,608,668号の第57欄~第63欄に記載のように決定されてもよい。
【0038】
実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、連続プロセスで生産され、1.7~3.5、又は1.8~3、又は1.8~2.5、又は1.8~2.2の多分散指数(Mw/Mn)を有する。バッチプロセス又はセミバッチプロセスで生産された場合、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、1.0~3.5、又は1.3~3、又は1.4~2.5、又は1.4~2のMw/Mnを有する。
【0039】
好適なエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、Dow製のINFUSE(商標)、例えばINFUSE(商標)D9130.05であり得る。
【0040】
(2)エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィンランダムインターポリマーを含み得る。エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、エチレン/プロピレンランダムコポリマー又はエチレン/C4-C8α-オレフィンランダムコポリマーであり得る。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/C4-C8α-オレフィンコポリマーであり得る。エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーは、エチレン及び1つの重合形態の共重合性C4~C8α-オレフィンコモノマーから構成されるか、又は別様にそれらからなる。C4~C8α-オレフィンコモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンから選択されてもよい。
【0041】
好適なエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、ENGAGE(商標)8150、又はENGAGE(商標)7467などの、Dow製のENGAGE(商標)であり得る。
【0042】
ii シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマー
記載されるような発泡体ビーズを形成するための組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマーの少なくとも一部は、シラングラフト化され得る。換言すれば、組成物は、シランモノマーでグラフト化された、記載されるようなポリオレフィンインターポリマーを使用して形成されるシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含み得る。いくつかの代表的実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラングラフト化エチレン/C3-C20α-オレフィンマルチブロックコポリマー、例えば、シラングラフト化エチレン/C3-C10α-オレフィンマルチブロックコポリマーであり得る。別の代表的実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラングラフト化エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、例えば、シラングラフト化エチレン/C4-C8α-オレフィンランダムコポリマーであり得る。
【0043】
ポリオレフィンインターポリマーを官能化するために用いられる「シランモノマー」は、ポリオレフィンインターポリマーにグラフト化されてシラン官能化ポリオレフィンインターポリマーを形成し得、ポリオレフィンインターポリマーを架橋することができるシラン含有モノマーである。いくつかの実施形態では、シランモノマーは、加水分解性シランモノマーであり得る。適切な加水分解性シランモノマーの非限定的実施例としては、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン(VTES)、ビニルトリアセトキシシラン、及びガンマ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。代表的実施形態では、加水分解性シランモノマーはVTMSであり得る。
【0044】
シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、加水分解性シランモノマー(ビニルシランモノマーなど)がポリオレフィンインターポリマーの骨格上にグラフト化される、シオプラス(Sioplas)プロセスなどのプロセスによって形成され得る。加水分解性シランモノマーは、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンなどの好適な量の有機過酸化物を使用してポリオレフィンインターポリマーにグラフト化し、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを形成してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.3重量%超、0.5重量%超、0.6重量%超、0.8重量%超、又は1.0重量%超のシラングラフト化率を含み得る。いくつかの実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.1重量%、又は0.3重量%、又は0.5重量%、又は0.6重量%、又は0.8重量%、又は1.0重量%、~1.1重量%、又は1.2重量%、又は1.5重量%、又は1.8重量%、又は2.0重量%、又は2.5重量%又は3.0重量%又は4.0重量%、又は5.0重量%のシラングラフト化率を含み得る。いくつかの実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.1重量%~5.0重量%、0.3重量%~4.0重量%、又は0.5重量%~3.0重量%のシラングラフト化率を含み得る。本発明で使用する場合、用語「シラングラフト化率」は、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に対する、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマー上にグラフト化されたシランの重量の比を指す。
【0046】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、又は100重量%のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成され得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、70重量%、又は75重量%、又は80重量%、又は85重量%、~90重量%、又は95重量%、又は98重量%、又は99重量%、又は100重量%までのシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成され得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、100重量%のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成され得る。
【0047】
シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラン化学による架橋に有用である。架橋は、シラン化学ではなくその他の方法、例えば、電子ビーム照射、ガンマ線照射、又はフリーラジカル化学に基づく架橋で実施され得ると理解されている。
【0048】
iii 非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマー
上記のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む発泡体ビーズを形成するための組成物は、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含み得る。本発明で使用する場合、「非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマー」は、上記のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーに加えて、発泡体ビーズを形成するための組成物中に含まれる1つ以上のポリオレフィンインタープリマーを指す。
【0049】
非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シランでグラフト化されていない本明細書に記載の任意のポリオレフィンインターポリマーを含んでもよい。非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、少なくとも、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーがシラン官能化又はシラングラフト化されていないため、上記のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーとは異なる。
【0050】
実施形態では、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーと、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを形成するために使用されるポリオレフィンインターポリマーとは、物理的に、及び/又は組成的に、及び/又は構造的に、同じであり得るか、又は異なり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下、又は0重量%の非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成され得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、0重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%、~10重量%、又は15重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%までの非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成され得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含まない組成物から形成され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、非改質ポリオレフィンインターポリマーであり得る。好適な非改質ポリオレフィンインターポリマーの実施例としては、エチレン又はプロピレンランダム/ブロックコポリマー、例えば、INFUSE(商標)、ENGAGE(商標)、VERSIFY(商標)等が挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズを形成するための組成物は、高VA含有量(例えば、EVAの総重量に基づいて18重量%超のVA含有量を有する)のエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーなどのポリオレフィン誘導体を更に含んでもよい。EVAコポリマーの好適な実施例としては、ELVAX(登録商標)460、ELVAX(登録商標)360、ELVAX(登録商標)265、ELVAX(登録商標)260、ELVAX(登録商標)250、ELVAX(登録商標)40L-03が挙げられる。
【0054】
iv. 添加剤
組成物は、1種以上の任意の添加剤を含んでもよい。好適な添加剤の非限定的実施例としては、核生成剤、気泡サイズ安定剤、酸化防止剤、着色剤、無機充填剤、流動補助剤、粘度制御剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
一実施形態では、発泡体ビーズは、組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、0重量%、又は0.01重量%~0.3重量%、又は0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%の1種以上の任意の添加剤を含む組成物から形成される。別の実施形態では、発泡体ビーズは、組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、0重量%~5重量%、又は0重量%~1重量%、又は0.01重量%~5重量%の任意の添加剤を含有する組成物から形成される。
【0056】
v. 発泡体ビーズ
本出願の発泡体ビーズは、1つ以上のポリオレフィンインターポリマー、及び所望により1種以上の添加剤を含む組成物から形成され得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、80重量%、又は85重量%、90重量%、~95重量%、又は98重量%、又は99重量%、又は100重量%までの本明細書に記載のポリオレフィンインターポリマーと、組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、0重量%、又は0.01重量%~0.3重量%、又は0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%の1種以上の任意の添加剤と、を含む、組成物から形成され得る。
【0057】
いくつかの特定の実施形態では、本出願の発泡体ビーズは、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成され得、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーの70重量%以上がシラングラフト化されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は、所望により、1種以上の任意の添加剤を含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、
(A)組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、80重量%、又は85重量%、又は90重量%、~95重量%、又は98重量%、又は99重量%又は100重量%までの1つ以上のポリオレフィンインターポリマーと、
(B)所望により、組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、0重量%、又は0.01重量%~0.3重量%、又は0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%の1種以上の任意の添加剤と、を含む組成物から形成され得、
1つ以上のポリオレフィンインターポリマーは、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、70重量%、又は75重量%、又は80重量%、又は85重量%、~90重量%、又は95重量%、又は98重量%、又は99重量%、又は100重量%までの1つ以上のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーと、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、0重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%、~10重量%、又は15重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%までの1つ以上の非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーと、を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、80%以上、85%以上、又は90%以上のゲル含有量を有し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、80%、又は85%、~90%、又は95%、又は98%、又は99%又は100%までのゲル含有量を有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、記載されるような組成物のペレットから形成され得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、記載されるような組成物の架橋ペレットから形成され得る。いくつかの実施形態では、組成物の架橋ペレットは、80%以上、85%以上、又は90%以上のゲル含有量を有し得る。いくつかの実施形態では、架橋ペレットは、80%、又は85%、~90%、又は95%、又は98%、又は99%又は100%までのゲル含有量を有し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、ペレットを発泡させる前に組成物のペレットを架橋することによって、上記の組成物から形成される。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、上記の組成物の架橋ペレットを発泡させることによって形成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、0.20g/cc未満の発泡体密度を有し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、0.06g/cc、又は0.07g/cc、又は0.08g/cc、又は0.09g/cc、又は0.10g/cc、又は0.11g/cc、又は0.12g/cc、又は0.13g/cc、~0.14g/cc、又は0.15g/cc、又は0.16g/cc、又は0.17g/cc、又は0.18g/cc、又は0.19g/cc、又は0.20g/ccの発泡体密度を有する。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、0.06g/cc~0.20g/cc、0.08g/cc~0.18g/cc、0.10g/cc~0.17g/cc、又は0.12g/cc~0.16g/ccの発泡体密度を有し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、又は0.12以下の、0.1rad/sでのtanδを有し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、又は0.10以下の、1rad/sでのtanδを有し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、又は0.08以下の、10rad/sでのtanδを有し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、約100μm未満の平均気泡サイズを有し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、約10μm、約15μm、約20μm、~80μm、又は85μm、又は90μm、又は95μm、又は100μmまでの平均気泡サイズを有し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、以下に記載されるようなポリオレフィン発泡体ビーズを製造するための方法を使用することによって、調製され得る。
【0066】
B. ポリオレフィン発泡体ビーズの製造方法
本開示は、ポリオレフィン発泡体ビーズを製造するための方法であって、
(a)1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物を提供することと、
(b)組成物を球状化させてペレットを形成することと、
(c)ペレットを80%以上のゲル含有量まで架橋することと、
(d)架橋ペレットを発泡させて発泡体ビーズにすることと、を含み、
発泡体ビーズが、1rad/sで0.11以下のtanδを有する、方法を提供する。
【0067】
i. ポリオレフィン組成物
本明細書に記載のポリオレフィン発泡体ビーズを製造するための方法は、(a)1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物を提供することを含み、この組成物はまた、本明細書において「組成物」又は「ポリオレフィン組成物」と称され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1つ以上のポリオレフィンインターポリマー(例えば、上記の「ポリオレフィン発泡体ビーズ」の部分に記載されるもののうちの1つ以上)と、所望により、1種以上の添加剤と、を含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、又は100重量%のポリオレフィンインターポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、80重量%、又は85重量%、又は90重量%、~95重量%、又は98重量%、又は99重量%、又は100重量%までのポリオレフィンインターポリマーを含み得る。
【0070】
一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、30g/10分以下、20g/10分以下、10g/10分以下、又は5g/10分以下のメルトインデックス(MI)を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、以下の終点:0.1g/10分、0.5g/10分、0.8g/10分、1.0g/10分、1.5g/10分、2.0g/10分、5g/10分、10g/10分、20g/10分、及び30g/10分のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のMIを有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.1g/10分、又は0.5g/10分、又は0.8g/10分、~1.0g/10分、又は1.5g/10分、又は2.0g/10分、又は5g/10分、又は10g/10分、又は20g/10分、又は30g/10分までのMIを有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.1g/10分~30g/10分、又は0.1g/10分~20g/10分、又は0.1g/10分~10g/10分、又は0.5g/10分~8g/10分、又は1g/10分~5g/10分のMIを有し得る。
【0071】
一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.850g/cm3以上、0.855g/cm3以上、0.860g/cm3以上、0.865g/cm3以上、又は0.870g/cm3以上の密度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、以下の終点:0.850g/cm3、0.855g/cm3、0.860g/cm3、0.865g/cm3、0.870g/cm3、0.875g/cm3、0.880g/cm3、0.885g/cm3、0.890g/cm3、0.895g/cm3、0.900g/cm3、0.905g/cm3、及び0.910g/cm3のいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内にある密度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.850g/cm3、又は0.855g/cm3、又は0.860g/cm3、又は0.865g/cm3、又は0.870g/cm3、又は0.875g/cm3、~0.880g/cm3、又は0.885g/cm3、又は0.890g/cm3、又は0.895g/cm3、又は0.900g/cm3、又は0.905g/cm3、又は0.910g/cm3までの密度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、0.850g/cm3~0.910g/cm3、0.855g/cm3~0.910g/cm3、0.860g/cm3~0.910g/cm3、0.865g/cm3~0.905のcm3、又は0.870cm3~0.905cm3の密度を有し得る。
【0072】
一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、30以上、35以上、40以上、45以上、又は50以上のショアA硬度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、以下の終点:30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、及び90のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のショアA硬度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、30、又は35、又は40、又は45、又は50、又は55、又は60、又は65、又は70、又は75から、80、又は85又は90までのショアA硬度を有し得る。一実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、30~90、35~90、40~90、45~90、50~90、又は55~90のショアA硬度を有し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、ポリオレフィンエラストマー(POE)であり得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、例えば、エチレン及び重合形態の1つ以上の共重合可能なC3-C20α-オレフィンコモノマー(及び任意の添加剤)からなるエチレン/C3-C20α-オレフィンマルチブロックコポリマーを含み得る。適切なα-オレフィンの非限定的実施例としては、1-プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデシレン、及び1-テトラデセンが挙げられる。いくつかの例示的な実施形態では、α-オレフィンは、C3~C10α-オレフィン、例えばC4~C8α-オレフィンであり得る。一代表的実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーを含み得る。一代表的実施形態では、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、Dowから市販されている商標名INFUSE(商標)として販売されている。
【0075】
好適なエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、Dow製のINFUSE(商標)、例えばINFUSE(商標)D9130.05であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィンランダムインターポリマーを含み得る。エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、エチレン/プロピレンランダムコポリマー又はエチレン/C4-C8α-オレフィンランダムコポリマーであり得る。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/C4-C8α-オレフィンコポリマーであり得る。エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーは、エチレン及び1つの重合形態の共重合性C4~C8α-オレフィンコモノマーから構成されるか、又は別様にそれらからなる。C4~C8α-オレフィンコモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンから選択されてもよい。
【0077】
好適なエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、ENGAGE(商標)8150、又はENGAGE(商標)7467などの、Dow製のENGAGE(商標)であり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、所望により1種以上の添加剤を含み得る。好適な添加剤の非限定的実施例としては、核生成剤、気泡サイズ安定剤、酸化防止剤、着色剤、無機充填剤、流動補助剤、粘度制御剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%、又は0.01重量%~0.3重量%、又は0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%の1種以上の任意の添加剤を含み得る。別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%~5重量%、又は0重量%~1重量%、又は0.01重量%~5重量%の任意の添加剤を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、80重量%、又は85重量%、又は90重量%、~95重量%、又は98重量%、又は99重量%、又は100重量%の本明細書に記載のポリオレフィンインターポリマーと、組成物の総重量に基づいて、0重量%、又は0.01重量%~0.3重量%、又は0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%の1種以上の任意の添加剤と、を含み得る。
【0081】
いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーの70重量%以上がシラングラフト化されている、1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含み得る。
【0082】
いくつかの特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、所望により、1種以上の任意の添加剤を含み得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、組成物は、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含み得る。シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シランモノマーで更に官能化又はグラフト化された、本明細書に記載の任意のポリオレフィンインターポリマーを含んでもよい。
【0084】
いくつかの代表的実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シランモノマーでグラフト化された、記載されるようなエチレン/C3-C20α-オレフィンマルチブロックコポリマー、すなわち、シラングラフト化エチレン/C3-C20α-オレフィンマルチブロックコポリマー、例えば、シラングラフト化エチレン/C3-C10α-オレフィンマルチブロックコポリマーであり得る。別の代表的実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シランモノマーでグラフト化された、記載されるようなエチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、すなわち、シラングラフト化エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、例えば、シラングラフト化エチレン/C4-C8α-オレフィンランダムコポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、シランモノマーは、加水分解性シランモノマーであり得る。適切な加水分解性シランモノマーの非限定的実施例としては、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン(VTES)、ビニルトリアセトキシシラン、及びガンマ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。代表的実施形態では、加水分解性シランモノマーはVTMSであり得る。
【0085】
シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、加水分解性シランモノマー(ビニルシランモノマーなど)がポリオレフィンインターポリマーの骨格上にグラフト化される、シオプラス(Sioplas)プロセスなどのプロセスによって形成され得る。加水分解性シランモノマーは、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンなどの好適な量の有機過酸化物を使用することによってポリオレフィンインターポリマーにグラフト化され、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを形成してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.3重量%超、0.5重量%超、0.6重量%超、0.8重量%超、又は1.0重量%超のシラングラフト化率を含み得る。いくつかの実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.1重量%、又は0.3重量%、又は0.5重量%、又は0.6重量%、又は0.8重量%、又は1.0重量%、~1.1重量%、又は1.2重量%、又は1.5重量%、又は1.8重量%、又は2.0重量%、又は2.5重量%又は3.0重量%又は4.0重量%、又は5.0重量%のシラングラフト化率を含み得る。いくつかの実施形態では、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.1重量%~5.0重量%、0.3重量%~4.0重量%、又は0.5重量%~3.0重量%のシラングラフト化率を含み得る。
【0087】
一実施形態では、組成物は、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、又は100重量%のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含み得る。一実施形態では、組成物は、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、70重量%、又は75重量%、又は80重量%、又は85重量%、~90重量%、又は95重量%、又は98重量%、又は99重量%、又は100重量%までのシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含み得る。一実施形態では、組成物は、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、100重量%のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含み得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、組成物は、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含み得る。
【0089】
非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、シランでグラフト化されていない本明細書に記載の任意のポリオレフィンインターポリマーを含んでもよい。非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、少なくとも、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーがシラン官能化又はシラングラフト化されていないため、上記のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーとは異なる。
【0090】
実施形態では、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーと、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを形成するために使用されるポリオレフィンインターポリマーとは、物理的に、及び/又は組成的に、及び/又は構造的に、同じであり得るか、又は異なり得る。
【0091】
一実施形態では、組成物は、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下、又は0重量%の非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含み得る。一実施形態では、組成物は、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、0重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%、~10重量%、又は15重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%までの非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む組成物からなり得る。一実施形態では、組成物は、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含まなくてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーは、非改質ポリオレフィンインターポリマーであり得る。好適な非改質ポリオレフィンインターポリマーの実施例としては、エチレン又はプロピレンランダム/ブロックコポリマー、例えば、INFUSE(商標)、ENGAGE(商標)、VERSIFY(商標)等が挙げられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズを形成するための組成物は、高VA含有量(例えば、EVAの総重量に基づいて18重量%超のVA含有量を有する)のエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーなどのポリオレフィン誘導体を更に含んでもよい。EVAコポリマーの好適な実施例としては、ELVAX(登録商標)460、ELVAX(登録商標)360、ELVAX(登録商標)265、ELVAX(登録商標)260、ELVAX(登録商標)250、ELVAX(登録商標)40L-03が挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、組成物は、1種以上の任意の添加剤を含み得る。組成物中に所望により含まれる1種以上の添加剤は、上記のものであり得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、組成物は、
(A)組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、80重量%、又は85重量%、又は90重量%、~95重量%、又は98重量%、又は99重量%又は100重量%までの1つ以上のポリオレフィンインターポリマーと、
(B)所望により、組成物の総重量に基づいて、又は更に発泡体ビーズの総重量に基づいて、0重量%、又は0.01重量%~0.3重量%、又は0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%の1種以上の任意の添加剤と、を含み得、
1つ以上のポリオレフィンインターポリマーは、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、70重量%、又は75重量%、又は80重量%、又は85重量%、~90重量%、又は95重量%、又は98重量%、又は99重量%、又は100重量%までの1つ以上のシラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーと、組成物中に含まれるポリオレフィンインターポリマー(複数可)の総重量に基づいて、0重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は5重量%、~10重量%、又は15重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%までの1つ以上の非シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーと、を含む。
【0096】
ii. 小球化
本明細書に記載のポリオレフィン発泡体ビーズを製造する方法は、(b)組成物を球状化してペレットを形成すること、を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、ペレット(本明細書では「マイクロペレット」とも称される)は、実質的に球状であり得る。いくつかの実施形態では、ペレットは、1.8mm、又は2.0mm、又は2.3mm~3.0mm、又は3.5mm、又は3.8mmの直径を有し得る。特定の実施形態では、ペレットは、2.3mm~3.0mmの直径を有し得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、小球化は、組成物のペレットを生成するためにペレタイザーを使用することによって実施され得る。いくつかの実施形態では、小球化は、水中での小球化によって実施され得る。一般に、水中での小球化は、一般に複数の穴を有する複数の孔システムを有するダイプレートを備えた水中ペレタイザーを使用することによって実施され得る。
【0099】
iii. 架橋
本明細書に記載のポリオレフィン発泡体ビーズを製造する方法は、(c)ペレットを架橋すること、を含む。
【0100】
本開示の方法において、架橋工程は、発泡工程の前に実施される。
【0101】
いくつかの実施形態では、架橋は、約80%以上、約85%以上、又は約90%以上のゲル含有量まで実施される。いくつかの実施形態では、架橋は、約80%、又は約85%、~約90%、又は約95%、又は約98%、又は約99%、又は約100%のゲル含有量まで実施され得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、架橋は、シラン化学、電子ビーム照射、ガンマ線照射、又はフリーラジカル化学に基づく架橋を使用する方法によって実施され得る。特定の実施形態では、架橋は、シラン化学、すなわちシラン架橋を使用することによって実施され得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、組成物のペレットを架橋するために架橋剤を使用してもよい。架橋剤は、コポリマーを架橋し得るものであれば特に限定されない。架橋剤としては、ポリエチレン系樹脂の架橋に使用される周知の有機過酸化物を使用してもよい。その例としては、ジクミルペルオキシド、及びtert-ブチルクミルペルオキシドなどのペルクミル系化合物、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、及びジ-tert-ブチルペルオキシドなどのペルブチル系化合物、tert-ヘキシルペルオキシベンゾエートなどのペルヘキシル系化合物、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートなどのペルオクタ系化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。いくつかの例示的実施形態では、混合される1種以上の架橋剤の量の下限は、ポリマーの総重量の100重量部当たり、約0.05重量部、約0.1重量部、約0.2重量部、約0.3重量部、約0.4重量部、又は約0.5重量部であり得る。混合される1種以上の架橋剤の量の上限は、ポリマーの総重量の100重量部当たり、約5.0重量部、約4.5重量部、約4.0重量部、約3.5重量部、約3.0重量部、又は約2.5重量部であり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、架橋は、約20℃、又は約40℃、又は約60℃、又は約80℃、又は約100℃、~約120℃、又は約150℃、又は約180℃、又は約200℃、又は約220℃の温度で実施され得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、架橋は、例えば、30KGy~80KGy、40KGy~70KGy、又は45KGy~60KGyの照射量での照射によって実施され得る。
【0106】
シラン架橋が利用される一例示的実施形態では、架橋は、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む組成物のペレットを触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート)又はそのシラン溶液に浸漬し、シラン部分の湿式架橋のためにペレットを空気に曝露することによって実施され得る。
【0107】
シラン架橋が利用される別の例示的実施形態では、架橋は、シラン部分の水分架橋のために、シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーを含む組成物のペレットを熱水(例えば、80℃超の温度)に浸漬することによって実施され得る。
【0108】
iv. 発泡
本明細書に記載のポリオレフィン発泡体ビーズの製造方法は、(d)架橋ペレットを発泡させて発泡体ビーズにすること、を含む。
【0109】
本開示の方法において、発泡工程は、架橋工程の後に実施される。
【0110】
いくつかの実施形態では、発泡は物理的発泡であり得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、架橋ペレットを発泡させるために膨張剤を使用してもよい。発泡に使用される膨張剤としては、架橋粒子を膨張させ得るものであれば特に限定されない。膨張剤としては、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、酸素、及びネオン等の無機系物理膨張剤と、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、及びn-ヘキサン等の脂肪族炭化水素や、例えば、シクロヘキサン及びシクロペンタン等の脂環式炭化水素や、例えば、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、塩化メチル、塩化エチル、及び塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素や、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等のジアルキルエーテルなどの有機系物理膨張剤と、が挙げられる。これらの中でも、無機系物理膨張剤は、オゾン層を破壊せず、安価であるため好ましく、窒素、空気、二酸化炭素がより好ましく、二酸化炭素が特に好ましい。膨張剤は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、膨張剤の使用量は、目的とする膨張ビーズの見掛け密度、マルチブロックコポリマーの種類、膨張剤の種類等を考慮して決定されてもよく、一般に、ポリマーの総重量の100重量部当たり、有機系物理膨張剤については約2~約20重量部であり、無機系物理膨張剤については約0.5~約20重量部である。
【0112】
いくつかの実施形態では、発泡は、ポリマーの融解温度付近の温度で実施され得る。いくつかの実施形態では、発泡は、約70℃、又は約80℃、又は約90℃、又は約100℃、~約110℃、又は約120℃、又は約130℃、又は約140℃、又は約150℃までの温度で実施され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、発泡は、約10バール、又は約20バール、又は約30バール、又は約40バール、又は約50バール、又は約60バール、~約100バール、又は約120バール、又は約150バール、又は約180バール、又は約200バール、又は約220バールまでの圧力で実施され得る。一例示的実施形態では、発泡は、約50バール~約200バールの範囲の圧力で実施され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、ビーズの内側と外側との間のガス交換を可能にするように(例えば、室温で)調整され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、約100μm未満の平均気泡サイズを有し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ビーズは、約10μm、約15μm、約20μm、~80μm、又は85μm、又は90μm、又は95μm、又は100μmまでの平均気泡サイズを有し得る。
【0116】
予想外なことに、発泡前の架橋が弾性の改善をもたらすことが見出された。架橋がビーズ発泡前に行われる場合(すなわち、発泡前のマイクロペレットの架橋、「pre-XL」)、(得られた発泡体ビーズの動的機械分析(DMA)においてtanδによって特徴付けられる)エネルギー損失は、後架橋アプローチ(すなわち、発泡体ビーズの架橋、「post-XL」)と比較して、有意に減少され得る。換言すれば、pre-XLは、弾性を有意に強化することができる1つの因子であり得る。これは、このようなpre-XLビーズ発泡体が≧80%、特に≧90%のゲル含有量を有する場合に特に当てはまる。このような高度に架橋された高弾性ビーズ発泡体は、ビーズ充填用途において有望な潜在的使用を見出すことができる。
【0117】
C. 発泡体ビーズ充填要素及び製品
本開示は、本明細書に記載の発泡体ビーズから調製された要素を更に提供する。
【0118】
いくつかの実施形態では、要素は、発泡体ビーズ充填要素であり得る。いくつかの実施形態では、要素は、記載されるような発泡体ビーズで充填された孔を含み得る。いくつかの実施形態では、要素は、ビーズ充填適用を介して、記載されるような発泡体ビーズから調製され得る。いくつかの実施形態では、要素は、(i)孔のビーズ充填ポートを介して、記載されるような発泡体ビーズを孔の中に充填することと、(ii)例えば、孔のビーズ充填ポートを含む孔の開口部の全てを閉鎖することによって孔を閉鎖することと、によって、調製され得る。いくつかの実施形態では、孔は型孔であり得る。いくつかの実施形態では、孔は所定の形状とし得る。いくつかの実施形態では、孔は、布地、ポリマー、皮革、ゴム、繊維等を含む無機材料及び/又は有機材料から作製され得る。
【0119】
本開示は、上記の要素を含む製品を更に提供する。いくつかの実施形態では、製品は、一部として発泡体ビーズ充填要素を含み得る。製品の例としては、自動車部品、履物構成要素(間底など)、成形品(玩具又はその他の家庭用品など)、建築材料等で使用するための製品が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0120】
本開示は、ビーズ充填用途における本明細書に記載の発泡体ビーズの使用を更に提供する。
【実施例】
【0121】
次に、本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において説明するが、全ての部及びパーセントは、別段明記されない限り、重量による。
【0122】
原料
INFUSE(商標)D9130.05オレフィンブロックコポリマー(エチレン/オクテンマルチブロックコポリマー)、密度0.886g/cm3(ASTM D792)、MI1.5g/10分(ASTM D1238、190℃/2.16kg)、ショアA=80(ASTM D2240)。
【0123】
Luperox101過酸化物:Arkema製の2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン。
【0124】
XIAMETER OFS-6300:Dow Corning製のビニルトリメトキシシラン(VTMS)。
【0125】
DBTDL:Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.製のジブチルスズジラウレート、シラン湿式硬化用触媒。
【0126】
n-オクチルトリエトキシシラン:Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.製のDBTDLの溶媒。
【0127】
試料の調製
シラン-g-OBCペレットの調製
シラングラフト化INFUSE(商標)D9130.05を、直径40mm、48L/D12-バレルZSK-40Coperion二軸押し出し機で調製した。このラインには135kWのモータが装備されており、最高速度は1200回転/分(RPM)であった。INFUSE(商標)D9130.05は、重量フィーダの損失によって二軸押し出し機に供給される。ポリマーの酸化を防ぐため、配合プロセス中に第2のバレルに窒素を供給して、システムから酸素を一掃した。融成物の排出温度は、融成物の流れに直接配置した手持ち式の熱電対を使用して測定した(ホッパーからダイまでのバレル設定温度は、23/60/60/60/190/230/230/230/230/190/190/180℃であった)。シラン(XIAMETER OFS-6300)と過酸化物(LUPEROX101)との混合物を形成し、液体ポンプを介してバレル6の押し出し機に注入した。
【0128】
融成物中の揮発性成分及び残留シランの濃度を最小限に抑えるために、真空システムを使用して、プロセスのバレル11で融成物から残留揮発性成分を除去した。0.065MPa~0.070MPaの真空を使用した。
【0129】
配合ペレットの製造には、16穴ダイを備えた水中ペレタイザーを使用した。球状化中のペレット「鎖」の形成を抑制するために、16個の穴のうち12個を塞いだ。6ブレードの球状化ハブを使用した。
【0130】
得られたOBCは、Chuanmei Jiaoらの、Silane Grafting and Crosslinking of Ethylene-Octene Copolymer,41 European Polymer J.1204(2005年)に従って、フーリエ変換赤外分光法(Fourier transform infrared spectroscopy、FTIR)を使用して測定されるように、シラングラフト化エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーの総重量に基づいて、種々のグラフト化シラン濃度(0.36~2.93重量%)を有し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。表1は、シラングラフト化樹脂の情報を列挙する。
【表1】
CE:比較実施例;IE:本発明の実施例
【0131】
シラン-g-OBCペレット及び発泡体ビーズの架橋
シラングラフト化OBCマイクロペレットの予備架橋を2つの方法で行った。
【0132】
(1)ペレットを、溶媒n-オクチルトリエトキシシラン(DBTDL/n-オクチルトリエトキシシラン=3/10)中のDBTDLの触媒溶液に、室温で浸漬する。本触媒溶液の0.65重量%(ペレットの重量に基づく)を密封可能なフルオロ-プラスチックボトル中に置き、続いて計量したシラングラフト化OBCマイクロペレットを添加した。ペレットへの添加剤の均一な分布と完全な浸漬を確保するために、ボトルを最初に1分間回転させ、次に更なる均質化のためにランニング ローラー(モデル番号88881004、Thermo Scientific)上に置いた。浸漬した後、浸漬したペレットを湿式架橋のために7日間空気に曝露して、シラン部分の完全な架橋を確実にした。
【0133】
(2)湿式架橋のために、シラングラフト化OBCマイクロペレットを85℃の水に数日間浸漬する。ゲル含有量を、浸漬時間を制御することによって制御した。所望のゲル含有量に達した後、浸漬架橋を停止した。
【0134】
発泡体ビーズのPost-XLを(1)の方法で実施した。
【0135】
オートクレーブバッチ発泡による発泡体ビーズの調製
マイクロペレットを、加熱ユニット及びガス注入バルブを装備したオートクレーブに供給した。オートクレーブをポリマー融解温度付近に加熱した。同時に、膨張剤(この場合、高圧CO2)を、飽和のためクレーブに注入した(0.5時間~2時間)。オートクレーブの圧力は、ポリマーの種類によって変化する。典型的な範囲は、50~200バールなどである。ポリマーがCO2で飽和された後、急速な減圧が起こり、発泡体ビーズが調製された。調製された発泡体ビーズを、通常、ビーズの内側と外側との間でガス交換が可能になるように、数日間室温でコンディショニングした。
【0136】
性能測定
(1)ゲル含有量
ゲル含有量は、以下の様式で得られた。ペレット又はビーズの試験体を120メッシュの金属メッシュバッグに置き、600mLのキシレンで5時間煮沸した。600mLのキシレン中のペレット又はビーズの総重量は約2gであった。5時間煮沸した後、メッシュバッグを取り出し、120℃の真空オーブン中で2時間乾燥させ、次に計量した。結果を材料の総重量に基づいてパーセント(%)で記録した。ゲルのパーセントは、通常、架橋濃度の増大と共に増加する。
【0137】
(2)発泡体密度
発泡体ビーズの密度を、ASTM D792に従って水置換法を使用して測定した。結果を、1立方センチメートルあたりのグラム(g)(g/cc又はg/cm3)で記録した。
【0138】
(3)エネルギー損失特性評価のためのDMA試験
-機器
-RSA-G2,TA機器
-形状:圧縮固定具、15mmディスク
-方法
-周波数掃引
-周波数:0.1~100rad/s
-温度:25℃
-歪み:10%
【0139】
各発泡体ビーズの実施例について3つの試験片を試験し、各周波数での平均値を使用した。
【0140】
結果及び考察
(1)発泡性及びビーズ特性
表2に示すように、種々のシラングラフト化濃度を有するシラングラフト化INFUSE(商標)D9130.05のマイクロペレットから、ビーズ発泡体の実施例を調製した。発泡の前(Pre-)及び後(Post-)に、架橋(XL)を実施した。Pre(前)とは、シラングラフト化ペレットが、触媒を浸漬することによってXLであり、室温で硬化され(又は硬化のために熱水中に浸漬され)、次にXLペレットがビーズへと発泡されたことを意味する。Post(後)とは、シラングラフト化ペレットを最初にビーズに発泡させ、次に得られたビーズを触媒に浸漬し、室温で硬化させたことを意味する。
【0141】
表2は、発泡温度並びに最終発泡体ビーズの密度及びゲル含有量を示す。発泡温度は、ポリマーTm、分子量及びXL度(すなわち、ゲル含有量)に関連する。温度が低すぎると、ポリマーの粘度が高くなりすぎるため、膨張率が低くなりすぎるか、又はまったく膨張しない。温度が高すぎると、ポリマーの結晶相の融解によりペレット(非XL又はゲル含有量が低い)が互いに固着し、自由流動性のビーズを形成できなくなる可能性がある。しかし、十分なXLのペレット(すなわち、比較的高いゲル含有量を有する)については、XLによって誘発される高い融解強度を克服し、高い膨張率を得るために、比較的高い発泡温度が必要とされる。表2からわかるように、同様のビーズ密度を達成するには、非XLペレットと比較してPre-XLペレットでは比較的高い発泡温度が必要だった。ペレットのゲル含有量が高いほど、より高い発泡温度が必要とされた。これは、pre-XLによって引き起こされるより高い粘度/融解強度によって説明され得る。初期のINFUSE(商標)D9130.05(CE1)のペレットについては、0.17g/cc未満のビーズ密度に到達することが困難であることが見出された。この意味で、シラングラフト化(特定の鎖カップリングによるMIの減少)及びPre-XLは、ペレットの発泡性を改善した。
【表2】
*ペレットを85
oCの水に浸漬することによるXL
【0142】
その他の全てのXLは、室温で触媒をペレット又はビーズ発泡体に浸漬することによって行った。
【0143】
DMA試験を使用して、圧縮中の発泡体ビーズのtanδ(すなわち、エネルギー損失)を特徴付けた。より低いtanδは、より少ないエネルギー損失及びより良好な弾性を意味する。良好な弾性及び低いエネルギー損失は、ビーズ充填用途において非常に重要である。
【0144】
表3に示すように、同じシラングラフト化(1.08%グラフト化率)ペレットを、異なる発泡体ビーズにした:CE7、非XL、ゲル含有量1.4%:CE8、post-XL、ゲル含有量100%:IE9、pre-XL、ゲル含有量95.5%。これらの実施例は、非常に類似した発泡体密度を有していた。典型的な周波数:0.1、1.0、及び10rad/sでのそれらのDMA結果におけるtanδを、表3に示す。周波数掃引中(0.1~10rad/s)のtanδ曲線を
図1に示したが、更なる比較に関して、より高いtanδ値が利用可能である。
【0145】
明らかに、XL(Pre-又はPost-)ビーズは、非XLビーズ(CE7及びCE1)より低いtanδを有したが、これは、XLがPOE発泡体のエネルギー損失を低減することができるという常識に一致した。しかしながら、驚くべきことは、pre-XLビーズ(IE9)が、(post-XLのものが更にわずかに高いゲル含有量を有していたにもかかわらず)post-XL(CE8)のものよりも有意に低いtanδを有したことであった。IE10は、同じ1.08%シラングラフト化ペレットを使用し、比較的高密度の発泡体ビーズを作製した。依然として、tanδは、post-XLのCE8よりも有意に低かった。これらの結果は、Pre-XLアプローチが、post-XLアプローチに対して発泡体ビーズの弾性を有意に増強し得ることを実証した。
【0146】
CE11及びCE13では、はるかにより高度のシラングラフト化マイクロペレットをビーズへと発泡させ、次にpost-XLへと発泡させた。得られたゲル含有量も同様に100%であったが、触媒DBTDLが十分な時間でほとんど全てのシランのXLを触媒し得たので、架橋密度はCE8及びIE9より確実に高いはずである。より高い架橋密度が通常、より良好な弾性をもたらすことは周知である。しかしながら、IE9及びIE10は依然として、CE11及びCE13より低いtanδを有するが、これは、pre-XL(対post-XL)による弾性改善の有効性を更に実証した。いくつかの実施例の発泡体密度は、あまり近くなかった。研究範囲内の発泡密度は、下記のように、tanδにわずかな影響しか及ぼさなかったことに留意されたい。
【表3】
【0147】
pre-XLはtanδの効果的な減少をもたらしたが、表4の実施例は更に、比較的高いゲル含有量が必要であったことを示した。一般に、ゲル含有量が増加すると、tanδが減少する。しかしながら、変化は線形ではなかった。CE2、CE3及びCE6から分かるように、ゲル含有量が有意に増加しても、tanδの有意な減少は観察されなかった。しかしながら、より高いゲル含有量(95.5%)を有するIE9については、はるかに低いtanδが達成された。したがって、十分に高いゲル含有量は、非常に低いtanδ、すなわち良好な弾性をもたらすために重要であると考えられている。
【表4】
【0148】
上記のいくつかの実施例では、tanδの比較は、異なる密度の発泡体ビーズ間で行われた。ビーズ密度自体がtanδに影響を及ぼす重要な因子であるかどうかを理解して、これをその他の因子(pre-XL対post-XL、ゲル含有量)から切り離すことが重要である。表5において、3つのセットの実施例が研究され、ここで、シラングラフト化率、XLの方法及びゲル含有量は、各セットにおける実施例について同じであった。各セットにおける実施例について、tanδに有意差はなく、これは、範囲(約0.07~0.17g/cc)内のビーズ密度が、tanδに影響を及ぼす主要な因子ではないことを示している。
【表5】
【0149】
(2)発泡体ビーズの形態
図2は、発泡体ビーズの気泡形態を示す。これらの試料の気泡サイズは同程度であった。全ての発泡体は、100ミクロン未満の均一な気泡サイズを有していた。
【0150】
要約すると、高度に架橋されたポリオレフィンインターポリマー(OBC)ビーズ発泡体は、非XLビーズ発泡体よりもはるかに良好な弾性を有する。Pre-XLは、post-XLアプローチによって作製されたものと比較して、著しく強化された弾性を有する発泡体ビーズを作製するのに役立ち得る。好ましいゲル含有量は≧80%、より好ましくは≧90%である。このような高度に架橋されたビーズ発泡体は、ビーズ充填用途に有望である。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物から形成された発泡体ビーズであって、前記発泡体ビーズが、80%以上のゲル含有量、及び1rad/sで0.11以下のtanδを有する、発泡体ビーズ。
[2] 前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーが、ポリオレフィンエラストマーを含む、[1]に記載の発泡体ビーズ。
[3] 前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーの70重量%以上が、シラングラフト化されている、[1]に記載の発泡体ビーズ。
[4] 前記シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーが、前記シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.3重量%超のシラングラフト化率を有する、[3]に記載の発泡体ビーズ。
[5] 前記発泡体ビーズが、ペレットを発泡させる前に前記組成物のペレットを架橋することによって前記組成物から形成される、[1]に記載の発泡体ビーズ。
[6] ポリオレフィン発泡体ビーズを製造するための方法であって、
(a)1つ以上のポリオレフィンインターポリマーを含む組成物を提供することと、
(b)前記組成物を球状化させてペレットを形成することと、
(c)前記ペレットを80%以上のゲル含有量まで架橋することと、
(d)前記架橋ペレットを発泡させて発泡体ビーズにすることと、を含み、
前記発泡体ビーズが、1rad/sで0.11以下のtanδを有する、方法。
[7] 前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーが、ポリオレフィンエラストマーを含み、前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーの70重量%以上がシラングラフト化されている、[6]に記載の方法。
[8] 前記シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーが、前記シラングラフト化ポリオレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、0.3重量%超のシラングラフト化率を有する、[7]に記載の方法。
[9] 前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーが、1つ以上のエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、1つ以上のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、[6]に記載の方法。
[10] 前記1つ以上のポリオレフィンインターポリマーが、0.1g/10分~30g/10分のメルトインデックス(MI)を有する、[6]に記載の方法。