(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】状態監視装置
(51)【国際特許分類】
G06F 18/2433 20230101AFI20250207BHJP
【FI】
G06F18/2433
(21)【出願番号】P 2024025497
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊也
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝
(72)【発明者】
【氏名】西宮 立享
【審査官】福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-215284(JP,A)
【文献】特開2020-166455(JP,A)
【文献】特開平9-175629(JP,A)
【文献】国際公開第2023/067656(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103608667(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 18/00-18/40
G06N 3/00-99/00
G06T 7/00- 7/90
B65G 15/00-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア上を搬送される物体の状態を監視するための状態監視装置であって、
前記コンベアにおける上流側の位置で前記物体の情報である第一情報を取得する第一情報取得装置と、
前記コンベアにおける前記第一情報取得装置よりも下流側の位置で前記物体の情報である第二情報を取得する第二情報取得装置と、
前記第一情報に基づいて、正常時における前記下流側の位置での前記物体の状態を予測するとともに、該予測された情報に対して畳み込み処理を施すことで、予測情報を生成する予測情報生成部と、
前記第二情報に対して畳み込みを施すことで加工済み第二情報を生成する情報加工部と、
前記予測情報と前記加工済み第二情報とを比較することで、前記加工済み第二情報に異常が含まれるか否かを判定する異常判定部と、
を備える状態監視装置。
【請求項2】
前記第一情報、及び前記第二情報は、前記物体に関する二次元画像データであり、
前記予測情報生成部、及び前記情報加工部は、前記二次元画像データを複数の区画に分割するとともに、該区画ごとに統計量を取得し、モザイク画像としての前記予測情報、又は前記加工済み第二情報を生成する請求項1に記載の状態監視装置。
【請求項3】
前記異常判定部は、前記予測情報としての前記モザイク画像に含まれる特定の前記区画と、前記加工済み第二情報としての前記モザイク画像に含まれる前記特定の前記区画同士を比較することで、前記異常が含まれるか否かを判定する請求項2に記載の状態監視装置。
【請求項4】
前記第一情報取得装置、及び前記第二情報取得装置は、赤外線カメラを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の状態監視装置。
【請求項5】
前記第一情報取得装置、及び前記第二情報取得装置は、特定の化学種の濃度を検出可能な濃度センサを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の状態監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば不燃ごみの破砕処理施設では、破砕装置の前後でごみを搬送するためにコンベアが用いられる。このコンベア上で搬送されるごみには、リチウムイオンバッテリーやガスボンベのように、破砕処理の前後で発熱又は発火するおそれのあるものが含まれる。防火安全のため、このような施設では、コンベア上をカメラ等の監視装置で監視しながら、異常の発生を検知する技術が求められる。
【0003】
下記特許文献1には、正常データに基づいて訓練データを生成し、実際の対象物から取得された入力データと訓練データとを比較することで、入力データ上の異常を検知する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の方法は、特定の一地点で、入力データと訓練データの照合を行うものに留まる。このため、上述のようなコンベア上を搬送されることで位置が時間変化する対象物に対しては十分な監視と異常検知を行うことができない。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、コンベア上を搬送される物体の状態を逐次監視し、異常を精緻に検知することが可能な状態監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る状態監視装置は、コンベア上を搬送される物体の状態を監視するための状態監視装置であって、前記コンベアにおける上流側の位置で前記物体の情報である第一情報を取得する第一情報取得装置と、前記コンベアにおける前記第一情報取得装置よりも下流側の位置で前記物体の情報である第二情報を取得する第二情報取得装置と、前記第一情報に基づいて、正常時における前記第二地点での前記物体の状態を予測するとともに、該予測された情報に対して畳み込み処理を施すことで、予測情報を生成する予測情報生成部と、前記第二情報に対して畳み込みを施すことで加工済み第二情報を生成する情報加工部と、前記予測情報と前記加工済み第二情報とを比較することで、前記加工済み第二情報に異常が含まれるか否かを判定する異常判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、コンベア上を搬送される物体の状態を逐次監視し、異常を精緻に検知することが可能な状態監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る状態監視装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る制御装置の処理フローを示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態に係る畳み込み処理の一例を示す説明図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る状態監視装置1について、
図1から
図5を参照して説明する。この状態監視装置1は、例えば不燃ごみ等の破砕処理施設に併設された運搬用のコンベア2上の物体100を監視するために好適に用いられる。
【0011】
(コンベアの構成)
図1に示すように、コンベア2は、複数のローラー21と、これらローラー21にかけ渡されたベルト22と、不図示の駆動部と、を有する。駆動部によってローラー21を回転駆動することで、ベルト22が進退動する。なお、以下の説明では、ベルト22の進退動の速度は一定であるものとする。ベルト22上には、先行する他の装置から送られた物体100(不燃ごみ等)が連続的に配置されている。ここでは、説明を簡略化するために、1つの特定の物体100が配置されている例に基づいて説明する。また、物体100が流れて来る側を上流側と呼び、流れ去る側を下流側と呼ぶことがある。
【0012】
(状態監視装置の構成)
状態監視装置1は、第一情報取得装置11と、第二情報取得装置12と、制御装置13と、を備える。
【0013】
(第一情報取得装置・第二情報取得装置)
第一情報取得装置11は、コンベア2上の物体100を上流側の位置で捕捉する赤外線カメラである。即ち、物体100の表面温度や深部の温度を非接触で撮像し、「第一情報」として外部に電気信号として送信することが可能とされている。第一情報は、空間分布を持つ二次元画像データである。
【0014】
第二情報取得装置12は、上記の第一情報取得装置11よりも下流側に配置されている。第二情報取得装置12は、コンベア2上を搬送されてきた物体100を、当該下流側の位置で捕捉する赤外線カメラである。ベルト22の速度が一定であることから、速度と搬送時間の積を求めることにより、第二情報取得装置12では、第一情報取得装置11で撮像された物体100と同一の物体100を時間差で捕捉することが可能とされている。第二情報取得装置12が撮像したデータは「第二情報」と呼ばれる。第二情報は、空間分布を持つ二次元画像データである。なお、第一情報取得装置11、及び第二情報取得装置12の画角、すなわち物体100やコンベア2に対する撮像範囲、角度は互いに同等であることが望ましい。
【0015】
(制御装置の構成)
制御装置13は、上記の第一情報、及び第二情報に基づいて、コンベア2上の物体100の異常の有無を検知する。具体的には
図2に示すように、制御装置13は、情報取得部31と、予測情報生成部32と、情報加工部33と、異常判定部34と、記憶部35と、を有する。
【0016】
情報取得部31は、上記の第一情報取得装置11、及び第二情報取得装置12から、それぞれ第一情報、及び第二情報を取得し、記憶部35に格納する。
【0017】
予測情報生成部32は、第一情報に基づいて、正常時における下流側の位置(つまり、第二情報取得装置12の位置)での物体100の状態を予測するとともに、当該予測された情報に対して畳み込み処理を施すことで、予測情報を生成する。ここで、コンベア2上を搬送される物体100には、リチウムイオン電池やガスボンベのように、破砕処理等を経ることで発熱や発火を生じるものが含まれることがある。このような発熱・発火した物体100が存在している状態を「異常状態」とし、存在していない状態を「正常状態」と定義する。予測情報生成部32は、第一情報に含まれる物体100は、正常時には下流側の位置に到達した際にも、発火や発熱等の状態変化を生じない、と仮定した上で、予め準備された予測モデルに基づいて当該物体100の下流側に到達した際の予測画像を生成する。この予測画像に対して、さらに畳み込み処理を施すことで、予測情報が生成される。予測モデルは、例えば、ディープニューラルネットワーク(DNN)などの深層学習モデル(教師あり学習モデル)である。
【0018】
また、上記の畳み込み処理では、例えば
図4に示すように、取得された二次元画像データを複数の区画に分け、異常データ(外れ値)を除去する。最後に、隣接する複数の区画同士(ここでは4つの区画同士)の統計量(例えば温度の平均値、上限値、又は下限値等)を導出する。
【0019】
情報加工部33は、第二情報に対して、上述したものと同様の畳み込み処理を施す。これにより、加工済み第二情報が生成される。加工済み第二情報の区画数は、上記の予測情報と同一になるようにコントロールされている。つまり、加工済み第二情報と予測情報は、互いに比較することが可能である。
【0020】
異常判定部34は、加工済み第二情報と、予測情報とを比較することで、加工済み第二情報に異常が含まれているか否かを判定する。即ち、正常時の状態を示す予測情報に対して、異常な値を含む区画が加工済み第二情報に含まれている場合には、発火や発熱等の異常が発生したものと判定する。
【0021】
(制御装置の処理フロー)
次いで、
図3を参照して、制御装置13の処理フローについて説明する。まず、情報取得部31が第一情報を取得する(ステップS1)。次いで、ステップS2で、予測情報生成部32が予測情報を生成する。その後、情報取得部31がコンベア2上を搬送された後の物体100についての第二情報を取得する(ステップS3)。次いで、ステップS4で、情報加工部33が第二情報に対して畳み込み処理を施し、加工済み第二情報を生成する。ステップS5では、異常判定部34が、予測情報と加工済み第二情報とを比較し、異常の有無を判定する。ステップS5で異常が検知されなかった場合には再びステップS1、S3に戻る。一方で、異常があると判定された場合には、ステップS6で異常を取り除くための処置が行われる。一例として、異常が生じた物体100をコンベア2上から取り除いたり、消火剤を噴霧したりする処置が挙げられる。
【0022】
(作用効果)
ここで、コンベア2上を搬送されるごみには、リチウムイオンバッテリーやガスボンベのように、破砕処理の前後で発熱又は発火するおそれのあるものが含まれる。防火安全のため、このような施設では、コンベア2上をカメラ等の監視装置で監視しながら、異常の発生を検知する技術が求められる。しかしながら、従来は、特定の一地点で、入力データと訓練データの照合を行うものに留まる。このため、上述のようなコンベア2上を搬送されることで位置が時間変化する対象物に対しては十分な監視と異常検知を行うことができないという課題があった。この課題を解決するために本実施形態では上述の各構成を採用している。
【0023】
上記構成によれば、実際の物体100の状態に関する加工済み第二情報と、予め予測・生成された正常データとしての予測情報とを比較することで、加工済み第二情報に含まれる異常を直ちに検知することができる。つまり、正常時であれば、コンベア2上を搬送される物体100は発火や破裂等の変化を生じることなく上流側から下流側へと向かう。他方で、搬送の中途で発火等の異常を生じると、下流側で取得される加工済み第二情報に異常が含まれた状態となる。この加工済み第二情報を予測情報と比較・照合することで、物体100の異常を漏れなく検知することが可能となる。加えて、予測情報、及び加工済み第二情報はいずれも、ローデータである第一情報、及び第二情報に畳み込み処理を施したものである。これにより、扱うデータサイズを縮小することができ、上述した異常検知のプロセスをさらに迅速、かつ的確に行うことが可能となる。したがって、コンベア2上を連続的に流れる一連の物体100群に対して、コンベア2の動きを止めることなく、リアルタイムで状態監視をし続けることができる。よって、処理施設等の運用効率を向上させるとともに、防火安全性等をさらに高めることが可能となる。
【0024】
上記構成によれば、畳み込み処理として、二次元画像データを複数の区画に分けるとともに、当該区画ごとに統計量が取得される。これにより、実際に取得される二次元画像データに比べて、データサイズを圧縮することができるため、処理を高速化することが可能となる。加えて、畳み込み処理を行うことによって、第一情報取得装置11、及び第二情報取得装置12の配置に起因するズレや微小なノイズを低減し、より正確な異常検知を行うことが可能となる。
【0025】
上記構成によれば、モザイク画像に含まれる特定の区画同士の間で、予測情報と加工済み第二情報の比較が行われる。これにより、上流側で得られた第一情報のうちのどの部位に異常が発生したかを正確に特定することが可能となる。したがって、異常が生じている場合には、当該異常が生じた部位や物体100に対して、防火処理や除去処理を迅速に行うことができる。その結果、施設の安全性や運用安定性をさらに向上させることが可能となる。
【0026】
上記構成によれば、第一情報取得装置11、及び第二情報取得装置12として赤外線カメラが含まれる。これにより、物体100の温度の変化を非接触の状態で的確に捕捉することが可能となる。したがって、発火等で生じる異常な高温状態を迅速かつ的確に検知することができる。
【0027】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0028】
例えば、第一情報取得装置11、及び第二情報取得装置12は、特定の化学種の濃度を検出可能な濃度センサを含んでもよい。即ち、上述した赤外線カメラと濃度センサとが、上流側、及び下流側の各位置で併設されている構成を採ることが可能である。
【0029】
この構成によれば、第一情報取得装置11、及び第二情報取得装置12として濃度センサが含まれる。これにより、視認できない内部領域での発火や温度上昇等を、非接触の状態で的確に捕捉することが可能となる。したがって、発火等で生じる異常な高温状態を迅速かつ的確に検知することができる。
【0030】
また、これら赤外線カメラや濃度センサに加えて、可視光を撮像する可視光カメラを備えていてもよい。
【0031】
なお、本開示の実施形態における制御装置13は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0032】
本開示の実施形態における記憶部35、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部35、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0033】
上述した制御装置13による処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ200が読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータ200が読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータ200の具体例を以下に示す。
【0034】
図5に示すように、コンピュータ200は、CPU201と、メインメモリ202と、ストレージ203と、インターフェース204と、を備える。
例えば、上述の制御装置13はコンピュータ200に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ203に記憶されている。CPU201は、プログラムをストレージ203から読み出してメインメモリ202に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU201は、プログラムに従って、上述した記憶部35に対応する記憶領域をメインメモリ202に確保する。
【0035】
ストレージ203の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ203は、コンピュータ200のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース204または通信回線を介してコンピュータ200に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ200に配信される場合、配信を受けたコンピュータ200が当該プログラムをメインメモリ202に展開し、上記処理を実行してもよい。なお、ストレージ203は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0036】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータ200にすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0037】
なお、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びこれらに類する処理装置を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0038】
<付記>
各実施形態に記載の状態監視装置1は、例えば以下のように把握される。
【0039】
(1)第1の態様に係る状態監視装置1は、コンベア2上を搬送される物体100の状態を監視するための状態監視装置1であって、前記コンベア2における上流側の位置で前記物体100の情報である第一情報を取得する第一情報取得装置11と、前記コンベア2における前記第一情報取得装置11よりも下流側の位置で前記物体100の情報である第二情報を取得する第二情報取得装置12と、前記第一情報に基づいて、正常時における前記下流側の位置での前記物体100の状態を予測するとともに、該予測された情報に対して畳み込み処理を施すことで、予測情報を生成する予測情報生成部32と、前記第二情報に対して畳み込みを施すことで加工済み第二情報を生成する情報加工部33と、前記予測情報と前記加工済み第二情報とを比較することで、前記加工済み第二情報に異常が含まれるか否かを判定する異常判定部34と、を備える。
【0040】
上記構成によれば、実際の物体100の状態に関する加工済み第二情報と、予め予測・生成された正常データとしての予測情報とを比較することで、加工済み第二情報に含まれる異常を直ちに検知することができる。
【0041】
(2)第2の態様に係る状態監視装置1は、(1)の状態監視装置1であって、前記第一情報、及び前記第二情報は、前記物体100に関する二次元画像データであり、前記予測情報生成部32、及び前記情報加工部33は、前記二次元画像データを複数の区画に分割するとともに、該区画ごとに統計量を取得し、モザイク画像としての前記予測情報、又は前記加工済み第二情報を生成する。
【0042】
上記構成によれば、実際に取得される二次元画像データに比べて、データサイズを圧縮することができるため、処理を高速化することが可能となる。
【0043】
(3)第3の態様に係る状態監視装置1は、(2)の状態監視装置1であって、前記異常判定部34は、前記予測情報としての前記モザイク画像に含まれる特定の前記区画と、前記加工済み第二情報としての前記モザイク画像に含まれる前記特定の前記区画同士を比較することで、前記異常が含まれるか否かを判定する。
【0044】
上記構成によれば、モザイク画像に含まれる特定の区画同士の間で、予測情報と加工済み第二情報の比較が行われる。これにより、上流側で得られた第一情報のうちのどの部位に異常が発生したかを正確に特定することが可能となる。
【0045】
(4)第4の態様に係る状態監視装置1は、(1)から(3)のいずれか一態様に係る状態監視装置1であって、前記第一情報取得装置11、及び前記第二情報取得装置12は、赤外線カメラを含む。
【0046】
上記構成によれば、物体100の温度の変化を非接触の状態で的確に捕捉することが可能となる。
【0047】
(5)第5の態様に係る状態監視装置1は、(1)から(4)のいずれか一態様に係る状態監視装置1であって、前記第一情報取得装置11、及び前記第二情報取得装置12は、特定の化学種の濃度を検出可能な濃度センサを含む。
【0048】
上記構成によれば、視認できない内部領域での発火や温度上昇等を、非接触の状態で的確に捕捉することが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1…状態監視装置 2…コンベア 11…第一情報取得装置 12…第二情報取得装置 13…制御装置 21…ローラー 22…ベルト 31…情報取得部 32…予測情報生成部 33…情報加工部 34…異常判定部 35…記憶部 100…物体 200…コンピュータ 201…CPU 202…メインメモリ 203…ストレージ 204…インターフェース
【要約】
【課題】コンベア上を搬送される物体の状態を逐次監視し、異常を精緻に検知することが可能な状態監視装置を提供する。
【解決手段】状態監視装置は、コンベアにおける上流側の位置で物体の情報である第一情報を取得する第一情報取得装置と、下流側の位置で物体の情報である第二情報を取得する第二情報取得装置と、第一情報に基づいて、正常時における下流側の位置での物体の状態を予測するとともに、予測された情報に対して畳み込み処理を施すことで、予測情報を生成する予測情報生成部と、第二情報に対して畳み込みを施すことで加工済み第二情報を生成する情報加工部と、予測情報と加工済み第二情報とを比較することで、加工済み第二情報に異常が含まれるか否かを判定する異常判定部と、を備える。
【選択図】
図3