(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】ヘアドライヤ
(51)【国際特許分類】
A45D 20/10 20060101AFI20250207BHJP
A45D 20/12 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
A45D20/10 Z
A45D20/12 101
(21)【出願番号】P 2024089373
(22)【出願日】2024-05-31
【審査請求日】2024-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019817
【氏名又は名称】小泉成器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】植村 正勝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏二
(72)【発明者】
【氏名】ワイホーマイケル キ-オン
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-139303(JP,A)
【文献】国際公開第2019/155763(WO,A1)
【文献】特開2012-157382(JP,A)
【文献】特開2004-208935(JP,A)
【文献】特開2014-171740(JP,A)
【文献】特開平03-131207(JP,A)
【文献】国際公開第2007/043732(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第115462608(CN,A)
【文献】特開2014-012142(JP,A)
【文献】特開2013-162830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D20/00-20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込口と吹出口とを有する本体と、
前記本体の内部に配設された筒状の内筒部とを備え、
前記本体の内部には、前記内筒部の筒内を前記吹出口に向かって空気が流れる第2の風路と、前記内筒部の外周面と前記本体の内面との間を前記吹出口に向かって空気が流れる第1の風路とが形成されており、
前記本体の前記吸込口には、前記本体の内部に空気を送る
第1の羽根と前記第1の羽根を駆動する第1のモータとを有する第1の送風部が設置されており、前記内筒部には、前記内筒部の筒内に空気を送る
第2の羽根と前記第2の羽根を駆動する第2のモータとを有する第2の送風部と、前記筒内の空気を加熱する加熱部とが設置されている、
ヘアドライヤ。
【請求項2】
前記吸込口の口径は、前記第1の送風部の外径よりも大きく、前記吸込口の内周と、前記第1の送風部との間は隙間がある請求項1に記載の
ヘアドライヤ。
【請求項3】
前記本体の前記吹出口には、フロントグリルが設置されており、
前記フロントグリルは、前記第2の風路の出口に対向する位置に設けられた第2の出口と、前記第1の風路の出口に対向する位置に設けられた第1の出口とを有し、
前記フロントグリルは、前記第2の出口と前記第1の出口との境界部分に、前記本体の外に向かって突出する壁部を有する、請求項2に記載の
ヘアドライヤ。
【請求項4】
前記壁部における前記第1の出口側の表面に、溝部を有する、請求項3に記載の
ヘアドライヤ。
【請求項5】
ノズルを更に備え、前記壁部は、筒状に構成されており、前記ノズルの内径は、前記壁部の外径より大きく、前記ノズルは、前記溝部に係合する突起部を有し、前記突起部を前記溝部に係合させることによって、前記フロントグリルを介して、前記本体の前記吹出口に着脱可能に装着されている、請求項4に記載の
ヘアドライヤ。
【請求項6】
前記内筒部の中心軸に沿って前記吹出口まで延設された絶縁基板の前記吹出口側の先端にマイナスイオンを発生させるイオン発生部が設置されている、請求項1に記載の
ヘアドライヤ。
【請求項7】
前記ノズルが前記フロントグリルを介して前記本体の前記吹出口に装着されている状態において、前記ノズルの外周面は、前記フロントグリルの前記第1の出口から吹き出す風の風路を形成している、請求項5に記載の
ヘアドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
温風によって対象物を乾燥させる加熱装置が知られている。その代表的なものに、ヘアドライヤがある。ヘアドライヤにおいては、短時間で毛髪を乾かすことができること(速乾性)が求められる。そのため、ヘアドライヤの機能として「大風量である」ことは、重要な機能の一つである。例えば、特許文献1は、モータとモータにより回転するファンを軸方向にそって2組設け大風量の風を吹き出す構成としている。
【0003】
また、ヘアドライヤは、ヘアドライヤの本体(ドライヤボディー)の小型化も求められている。しかしながら、ヘアドライヤの本体(ドライヤボディー)を小型化すると、ファンの大きさも必然的に小さくなるため、大風量の確保が難しくなり、先述のように2個のファンを採用してファンを高速回転した場合であっても、高速回転により風速は上がるもの所望の大風量の確保が難しい。つまり、風量の確保と小型化の実現とは、一見すると裏腹の関係にあると言える。
【0004】
また、従前のヘアドライヤには、その他にも様々な機能を搭載しているものが知られている。例えば特許文献2は、温風と同時に冷風(加熱しない風)を出し、さらに、冷風流路内にマイナスイオンを放出するイオン発生部を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-131207号公報
【文献】特開2004-208935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヘアドライヤの本体を小型化しようとすると、ファンの大きさ(外径)が小さくなり、風量が少なくなり、さらに風が通過する面積か小さくなり、大風量の確保が難しくなるという課題がある。これは、仮に特許文献1のようにファンを2個つなげて、これらを高速回転させても、所定の風量の確保は難しいという課題がある。
【0007】
本発明の一態様は、本体の大きさを小さくしながらも、大風量の風を吹き出すことができるヘアドライヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るヘアドライヤは、空気の吸込口と吹出口とを有する本体と、前記本体の内部に配設された筒状の内筒部とを備え、前記本体の内部には、前記内筒部の筒内を前記吹出口に向かって空気が流れる第2の風路と、前記内筒部の外周面と前記本体の内面との間を前記吹出口に向かって空気が流れる第1の風路とが形成されており、前記本体の前記吸込口には、前記本体の内部に空気を送る第1の羽根と前記第1の羽根を駆動する第1のモータとを有する第1の送風部が設置されており、前記内筒部には、前記内筒部の筒内に空気を送る第2の羽根と前記第2の羽根を駆動する第2のモータとを有する第2の送風部と、前記筒内の空気を加熱する加熱部とが設置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、本体の大きさを小さくしながらも、大風量の風を吹き出すことができるヘアドライヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一態様に係る加熱装置の一実施形態であるヘアドライヤの図である。
【
図2】
図1のヘアドライヤにノズルを装着した図である。
【
図3】
図1のBに示す切断線S-S´においてヘアドライヤを切断した矢視断面図である。
【
図5】
図1のヘアドライヤに搭載されている第1の羽根および第2の羽根のそれぞれの側面図である。
【
図6】
図1のヘアドライヤを吹出口側から見た状態において、
図1のヘアドライヤに搭載されたフロントグリルと、内筒部とを分解した状態の図である。
【
図7】
図2に示すヘアドライヤのノズルの構成を示す図である。
【
図8】
図2に示すヘアドライヤの詳細を示す図であり、ノズルが、フロントグリルを介して、本体に装着されている様子を示した部分拡大図である。
【
図9】
図1中のBと同じくヘアドライヤを吹出口の側から見た図(図中のA)と、この図における本体および内筒部を除いて内部構造を示した図(図中のB)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一態様に係る加熱装置の一実施形態について、詳細に説明する。なお、本実施形態では、加熱装置の一例として、ヘアドライヤを挙げて説明するが、ヘアドライヤに限らない。すなわち、加熱装置は、吸気した空気を加熱して温風を生成し、生成した温風を吹出口から吹き出す構成の加熱装置であれば、本発明の一態様に含まれる。特に、吹き出した温風によって対象物を乾燥させる、いわゆるドライヤに好適に適用することができる。
【0012】
図1は、本実施形態のヘアドライヤ1を横から見た図(
図1のA)と、風を吹き出す吹出口3の側から見た図(
図1のB)と、吸込口4の側から見た図(
図1のC)である。なお、説明の便宜上、
図1のAは、ヘアドライヤ1の本体2の内部が見えるように一部透視図としている。
【0013】
図1に示すように、ヘアドライヤ1は、空気の吸込口4と吹出口3を有する本体2を備える。
【0014】
本体2は、筐体としてヘアドライヤの外殻を構成している。本体2は、主には筒状の構造を有しており、この筒状の構造の本体2の内部に、筒状の内筒部5が配設されている。
【0015】
本体2には、ヘアドライヤ1のユーザーが使用中に把持する把持部11が取り付けられている。さらに、把持部11にはドライヤの電源をON・OFFする電源スイッチ13と、吹出口3からの風量を変えるための風量調整スイッチ(スライドスイッチ)14が設置されている。また、空気の吹出口3にはフロントグリル30が設置されている。また、本体側面に、ヘアドライヤ1の使用状況をユーザーに知らせるための表示部(例えば、ハーフミラーコートのデジタルディスプレイ)が設けられていてよい。
【0016】
なお、以下の説明では、筒状の構造の本体2の中心軸を、Y軸に規定し、把持部11の延設方向をZ軸に規定し、Y軸およびZ軸の双方に垂直な軸をX軸と規定した、XYZ系の三次元座標を用いて、各構成要素の位置関係等について説明する。なお、各図にも、このXYZ三次元座標を示している。
【0017】
吸込口4および吹出口3は、本体2のY軸に沿った両端に位置する。具体的には、吸込口4が、本体2のY軸負側の端部に設けられ、吹出口3が、本体2のY軸正側の端部に設けられている。
図1のAに矢印で示すように、吸込口4によってヘアドライヤ1の外部の空気が本体2の内部に吸い込まれ、吹出口3からは本体2の内部の風路を通った風が吹き出す。
【0018】
図1のようにヘアドライヤ1は、本体2にノズルを装着しなくても使用できるが、さらに、
図2のヘアドライヤにノズルを設置した図にあるように、ノズル6をヘアドライヤ1の本体2の吹出口3に着脱可能に装着でき、ノズル6を装着した状態で使用することもできる。ノズルを装着することで、さらに風を絞り込むことができ風圧が早くなるため速乾性が向上する。ノズル6は後述する。
【0019】
図3は、
図1のBに示す切断線S-S´においてヘアドライヤ1を切断した矢視断面図である。
図3を用いて、本体2の内部の風路に関して更に説明する。
【0020】
図3に示すように、本体2の内部には、吸込口4から吸い込まれた空気が、内筒部5の筒内を吹出口3に向かって空気が流れる第2の風路20Hと、内筒部5の外周面5aと本体2の内面2aとの間を吹出口3に向かって空気が流れる第1の風路20Cとが形成されている。第1の風路20Cは、吹出口3側から見れば、内筒部5の外周に沿って円環状に構成されていると言える。要するに、第2の風路20Hと、第1の風路20Cとは、内筒部5の円筒体によって隔てられており、本体2と本体2の内筒部5により二重管のような構成で、2つの風路20H、20Cが形成されている。
【0021】
本体2には、吸込口4に、本体2の内部に空気を送る第1の送風部7が設置されている。第1の送風部7は、第1の羽根71と、第1の羽根71を包んでいる第1の筒体73と、第1の羽根71を駆動する第1のモータ75とを有する。第1の送風部7としては、ブラシレスモータを採用できる。第1のモータ75により、第1の羽根71を駆動することで、第1の羽根71が回転軸を中心に回動する。これに伴い、ヘアドライヤ1の外部の空気が、吸込口4を介して、本体2の内部に向かって引き込まれる。第1の送風部7によって、本体2の内部に引き込まれた空気は、先述の第2の風路20Hと、第1の風路20Cとを流れる。
【0022】
ここで、
図4は、
図3に示す点線枠囲み部分の図であり、吸込口4を正面視した図である。なお、
図4は、説明の便宜上、吸込口4に別途取り付けられているフィルタについては取り外した状態で示している。フィルタについては後述する。
図4に示すように、吸込口4の口径は、第1の送風部7の外径よりも大きい。
【0023】
具体的には、吸込口4の口径は、第1の筒体73の外径よりも大きい。これにより、吸込口4の内周と、第1の送風部7(第1の筒体73)との間には、隙間が形成されている。このように、吸込口4の内周と、第1の送風部7(第1の筒体73)との間に形成した離間部分は、ヘアドライヤの外部から本体2の内部に引き込まれる空気の通り道となる。なお、この通り道自体には、引き込むための構成は無いが、吸込口4の中心側において第1の送風部7が第1の筒体73を介して空気を引き込むのと同時に、通り道からも空気が引き込まれる。
【0024】
なお、
図4の例では、第1のモータ75が、正面視において円筒状の第1の筒体73を有しているため、第1のモータ75の外周に円環状の通り道が形成されている。しかしながら、第1のモータ75の第1の筒体73の形状は、円筒状に限らず、例えば、正面視において四角形などの矩形であってもよい。四角形の第1の筒体73である場合には、通り道の正面視の形状が、
図4に示すように連続した円環状にはならず、円弧状の複数の通り道が四角形の第1の筒体73の外周に並んでいてもよい。
【0025】
図3に示すように、本体2には、内筒部5に、内筒部5の筒内に空気を送る第1の送風部7とは異なる第2の送風部8が設置されている。第2の送風部8は内筒部5における吸込口4側の端に配置されている。さらに、後述する加熱部52は第2の送風部8から流れた空気を加熱する位置に配置され、加熱部52で加熱された空気が吹出口3より吹き出す。
【0026】
また、第2の送風部8は、筒状の外殻である第2の筒体83を有してもよい。第2の筒体83は、内筒部5の中心軸と同軸上に中心軸があるように配置されており、第2の筒体83と内筒部5とは、適宜連結部材を介して連結されている。なお、第2の風路20Hに風を流す第2の送風部8は内筒部5の中に配置される。さらに、内筒部5内には別体で構成している第2の筒体83内に第2の送風部8を配置してもよい。
【0027】
第2の送風部8は、第2の羽根81を有し、第2の羽根81を第2の筒体83が包んでいる。また、第2の送風部8は、高速回転ができるモータ(例えばブラシレスモータ)を採用しており、第2の羽根81の吹出口3側に、整流板(図示せず)を有している。また、第2の送風部8は、第2の羽根81を駆動する第2のモータ85を有している。第2のモータ85により、第2の羽根81を駆動することにより、第2の羽根81が回転軸を中心に回動する。これに伴い、本体2の内部における、内筒部5と吸込口4(第1の送風部7)からの空気が、内筒部5の筒内に引き込まれる。内筒部5の筒内に引き込まれた空気は、先述の第2の風路20Hを流れる風となる。また、第2の筒体83を介する場合も第2の筒体83を介して、内筒部5の筒内に引き込まれる。内筒部5の筒内に引き込まれた空気は、先述の第2の風路20Hを流れる風となる。
【0028】
なお、第2のモータ85の設置のため、モータフレームおよびモータブラケットが設置されていてもよい。
【0029】
また、本体2には、内筒部5に、筒内の空気を加熱する加熱部52が配置されている。
【0030】
この加熱部52は、例えば電熱線などで構成され従来周知のヘアドライヤに搭載される加熱部手段を使用することができる。詳しくは、内筒部5の中心軸に沿って吹出口3まで延設された絶縁基板51の周囲に加熱部52(例えば電熱線、ヒータを含む)を設置している。ちなみに絶縁基板51は、2枚の絶縁基板が十字を形成してなるが、3枚の絶縁基板51で形成してもよい。この加熱部より、第2の送風部8により内筒部5の筒内に引き込まれた空気は、設定された所定の温度まで加熱される。
【0031】
所定の温度まで加熱された空気は、内筒部5の筒内のみを流れる。つまり、第2の風路20Hのみに加熱された空気が流れる。
【0032】
第1の風路20Cには加熱部52はなく、第1の風路20Cに流れる空気は第1の送風部7によってヘアドライヤ1の外部から引き込まれた、加熱されていない空気のみである。
【0033】
ここで、本体2の吸込口4近傍に設置された第1の送風部7と、内筒部5に設置された第2の送風部8とについて更に説明する。第1の送風部7と、第2の送風部8とは、共に羽根を有した態様であるが、第1の送風部7と第2の送風部8とは物理的に離れている。その離間距離は、第2の送風部8の羽根の半径の長さよりも10%以上長く(例えば2~3cmの離間距離)離れている。
【0034】
さらに、モータの回転軸はそれぞれ対応した羽根と連結している(例えば、第1のモータ75は第1の羽根71に、第2のモータ85は第2の羽根81に連結している)、言い換えるとお互いのモータ軸は直接的も間接的にも共通化することはない。
【0035】
図5には
図1のヘアドライヤに搭載されている第1の羽根および第2の羽根のそれぞれの図である。第1の羽根71の個々の羽根は樹脂製、第2の羽根81の個々の羽根は金属製の羽根である。回転数は、例えば、第1の送風部7の回転数が7000~8000rpmであり、第2の送風部8の回転数は最大で75000~80000rpmである。第2の送風部8の回転数第2の羽根の方が高回転で回転するためである金属製となっている。
【0036】
第2の送風部8は、第1の送風部7に比べ、羽根の回転数が高い。このように第2の送風部8の回転数を高くすることにより、第1の送風部7による引き込みを介して本体2の内部に導かれた空気を、効率的に内筒部5の筒内に導くことができる。さらに第1の送風部7よりも回転数が格段に速く、高風圧で吹出口3から一気に空気を押し出すことができるため、風速がアップし速乾スピードが向上する効果がある。
【0037】
電源スイッチ13の操作で、OFFからONにすると第1のモータ75も第2のモータ85もON(駆動)となり。電源スイッチ13の操作電源をONからOFFにすると第1のモータ75も第2のモータ85もOFF(駆動停止)となる。
【0038】
さらに本体2の吸込口4近傍に設置された第1の送風部7は、風量が一定になるように第1のモータが制御されている。一方で、内筒部5に設置された第2の送風部8は、風量が一定でなく、複数段階の風量に切り替えられる構成となっている。一例では、第2の送風部8は、5段階で風量が切り替えられる。
【0039】
なお、第2のモータ85の風量の最小回転数であっても、第1のモータ75の回転数よりも回転数は高く設定されている。
【0040】
さらに、第1の送風部7と第2の送風部8とは、同じ方向に羽根を回転させる構成となっている。このように、第1の羽根71の個々の羽根と、第2の羽根81の個々の羽根とは同じ回転方向であることにより、大風量の風を、吹出口3から吹き出させることができる。一例として、ノズル6を装着していない状態において、1.5m3/分(JIS C 9613に基づく測定方法による)以上の風を吹出口3から吹き出させることができる。
【0041】
なお、第1の羽根71の個々の羽根と、第2の羽根81の個々の羽根とは、同じ形状であってもよく、互いに異なる形状であってもよい。また、羽根の枚数は、
図5に示すように異なっていてよいが、同じ枚数であってもよい。
【0042】
次に、ノズル6の構成と、ノズル6と本体2への取り付け態様について説明する。
【0043】
まず、
図2では、ノズル6は本体2の吹出口3に装着されている図である。
【0044】
図6は、吹出口3側から見た状態において、フロントグリル30とプレート55と内筒部5に分解した状態の分解斜視図である。なお、
図6は、説明の便宜上、本体2を除いた状態で示している。
【0045】
図6に示すように、内筒部5を通った風の吹出部分、すなわち第2の風路20Hの出口には、プレート55が取り付けられている。プレート55は、風が通る面積が大きなメッシュ構造になっており、第2の風路20Hの出口から吹き出す風を概ね遮らず通す構造である。プレート55は、内筒部5に固定されていてよい。
【0046】
フロントグリル30は、プレート55に隣接して、プレート55のY軸正側に配置されている。フロントグリル30も、プレート55と同様に、内筒部5に固定されていてもよい。
【0047】
フロントグリル30は、吹出口3から吹き出す風を通すことができるように開口している。具体的には、フロントグリル30は、第1の風路20Cの出口に対向する位置に設けられた第1の出口33Cと第2の風路20Hの出口に対向する位置に設けられた第2の出口33Hとを有する。
【0048】
先述のように、第1の風路20Cは、吹出口3から見ると、内筒部5の外周(5a)に沿って円環状に構成されている。したがって、フロントグリル30は、風路20H、20Cの位置関係と同様に、第2の出口33Hが、中心において略円形に形成されている。
【0049】
第1の出口33Cは、円形の第2の出口33Hと同心円であって、第2の出口33Hの外周に円環状に形成されている。なお、フロントグリル30においても、プレート55と同様に風が通る面積が大きなメッシュのような構造となっている。さらに、第1の出口33Cは複数に区分けされたかたちで形成されており、第2の出口33Hも複数に区分けされたかたちで形成されている。なお、第1の出口33Cおよび第2の出口33Hのそれぞれの区分け形状は、
図6に示すものに限らない。なお、第1の出口33Cおよび第2の出口33Hのそれぞれの形状も、
図6に示すものに限るものではない。
【0050】
また、フロントグリル30は、第1の出口33Cと第2の出口33Hとの境界部分に、本体2の外側に向かって壁部35を有する。具体的には風の吹出方向に突出する形状の壁部35である。
【0051】
図6に示すように、壁部35は、フロントグリル30を風の吹き出し側から見た(Y軸正側から負側に向かって見た)状態において円形である第2の出口33Hの外周縁と、円環状の第1の出口33Cの内周縁との間に位置した円環状であり、フロントグリル30のY軸正側の表面から、Y軸正側に向かって突出している、筒状(円筒状)の構成である。
【0052】
壁部35には、第1の出口33C側の表面35Cに、溝部37が形成されている第1の出口33C側の表面35Cとは、円筒状の壁部35における外周面である。
【0053】
溝部37は、この外周面において円筒状の壁部35に窪んだ構成であり、円筒状の壁部35における外周面に沿って全周に設けられている。なお、全周に亘って溝部37が形成されている態様に限らず、断片的に設けられていてもよい。
【0054】
図7は、ノズル6の構成を示す図である。ノズル6は、集風器として機能し、
図7のAおよびBに示すように、外側ノズル6aと、内側ノズル6bとを組み合わせた構成となっている。外側ノズル6aと、内側ノズル6bとは、同心円状の構造であり、外側ノズル6aと、内側ノズル6bが組み合わさると、外側ノズル6aが内側ノズル6bに対して回転する。なお、
図7のAの矢印が外側ノズル6aの回転方向の一例を示している。
【0055】
図7のCは、外側ノズル6aと、内側ノズル6bが組み合わせた状態でノズル6を風の吹き出し側から見た図である。外側ノズル6aには、三箇所に、風吹出部6aa,6abを有する。
【0056】
さらに
図7のDは、内側ノズル6bを基部61側から見た正面図である。内側ノズル6bには、中心に開口部62が設けられている。本体2の吹出口3から吹き出した風は、ノズル6の内側ノズル6bの基部61側からノズル6内に入り、外側ノズル6aの風吹出部6aa,6abから外に向かって吹き出す。
【0057】
外側ノズル6aの風吹出部6aa,6abと、内側ノズル6bの開口部62との重なり具合によって、内側ノズル6bに対して外側ノズル6aが所定の位置にあると、外側ノズル6aから広範囲に向かって風を吹き出すことができる。また、外側ノズル6aの位置を内側ノズル6bに対して回転させると、先の範囲よりも狭い範囲に向かって、より風速が高いく風圧が強い風を外側ノズル6aから吹き出すことができる。
【0058】
内側ノズル6bは、外側ノズル6aの内周部分に嵌った構成となっている。ノズル6の内径は、
図6の壁部35の外径より大きい。
【0059】
ここで言うノズル6の内径とは、内側ノズル6bの基部61の内径である。ノズル6の内径は、壁部35の外径より大きいことにより、ノズル6は円筒状の壁部35の外周を包むようにして、壁部35に装着されるが、内側ノズル6bの基部61には、壁部35に設けられた溝部37に係合する突起部67を有している。突起部67は、基部61における中心部(
図7のDに仮想的に示した中心部K)を挟んで対称となる二箇所に設けられている。各突起部67は、中心部Kに向かって突出している。このように内向きに突出した各突起部67は、壁部35に設けられた溝部37に係合することができ、係合することにより、ノズル6は
図6のフロントグリル30を介して、本体2の吹出口3に着脱可能に装着されている。
【0060】
図8は、ノズル6が、フロントグリル30を介して、本体2に装着されている様子を示した部分拡大図である。なお、説明の便宜上、本体2を除いて内筒部5の外周面が露出した状態で示している。
【0061】
図8に示すようにノズル6がフロントグリル30を介して本体2に装着されている状態において、ノズル6の外周面にはフロントグリル30の第1の出口33Cから吹き出す風が当たることとなる。
【0062】
ノズル6の外周面とは、外側ノズル6aの外周面6sである。第1の出口33Cから吹き出す風は、内筒部の外周面5aと本体の内面2aに囲まれた第1の風路20Cを通った空気であり、加熱されていない空気である。したがって、加熱されていない風、換言すれば冷風が、第1の出口33Cから吹き出して、ノズル6の外周面6sに沿って流れる態様である。風の流れを、
図8中に矢印で示している。このような態様によれば、ノズル6が、過度に加熱してしまうことを防ぐことができる。第1の出口33Cから吹き出す風は、外側ノズル6aの外周面6sと、
図1および
図3に示す本体2の吹出口3側に設置されたフロントカバー12との間を流れる。
【0063】
これは、内側ノズル6bの内側方向に向いて設置している突起部67がフロントグリル30の壁部35の外側にある溝部37と係合されるためである。これによりノズル6を本体2に装着してもフロントグリル30の第1の出口33Cはノズル6でおおわれることがない。
【0064】
図1中のCに示す吸込口4には、本体2寄りにメッシュフレームが固定されており、メッシュフレームの上(外気側)に、本体2に固定された微細加工の金属メッシュフィルタ(マイクロフィルタ)と、更にその上に水洗い可能なフィルタが着脱可能に取り付けられている。なお第1の送風部7は本体2に固定されているメインフレームよりも本体2側に設置されている。
【0065】
図9は、
図1中のBと同じくヘアドライヤ1を吹出口3の側から見た図(
図9のA)と、この図における本体および内筒部を外した状態における斜視図(
図9のB)である。
図9のAに示すように、吹出口3の中央部分には、マイナスイオンを発生させるイオン発生部9が設置されている。
図9中のBに示すように、イオン発生部9は、加熱部52を有する絶縁基板51における吹出口3側の先端部に、複数の針電極91を有する。すなわち、絶縁基板51には、イオン発生部9が設置されている。針電極91を用いたマイナスイオンの発生方法としては周知の方法を採用できる。発生したマイナスイオンは、加熱部52により加熱されて第2の風路20Hを通った風に乗って、吹出口3から外に放出される。
【0066】
以上のように本実施形態の構成によれば、
本体2内に内筒部5を有し、本体2の入口付近に第1の送風部7、内筒部5には第2の送風部8を有し、さらに、駆動時、第2の送風部8の回転数は第1の送風部7の回転数より大きいことから、例えば、従来品と比較し本体2の体積比を40%減、軽量化20%減としながらも大風量を実現することができる。
【0067】
また、ノズル6の外周面6sに冷風が当たりながら吹き出されることから、ノズル6が異常な高温を呈することがない。
【0068】
〔付記事項1〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0069】
〔付記事項2〕
本発明の態様1に係るヘアドライヤは、空気の吸込口と吹出口とを有する本体と、前記本体の内部に配設された筒状の内筒部とを備え、前記本体の内部には、前記内筒部の筒内を前記吹出口に向かって空気が流れる第2の風路と、前記内筒部の外周面と前記本体の内面との間を前記吹出口に向かって空気が流れる第1の風路とが形成されており、前記本体の前記吸込口には、前記本体の内部に空気を送る第1の羽根と前記第1の羽根を駆動する第1のモータとを有する第1の送風部が設置されており、前記内筒部には、前記内筒部の筒内に空気を送る第2の羽根と前記第2の羽根を駆動する第2のモータとを有する第2の送風部と、前記筒内の空気を加熱する加熱部とが設置されている。
【0070】
前記態様1の構成によれば、内筒部の筒内に空気を第2の送風部によって送ることができるだけでなく、本体の前記吸込口に設置された第1の送風部によって、内筒部の外側(第1の風路)にも流れる風を加えることができ、吹出口からの風量を高めることができる。これにより、小型ながらも速乾性を実現することができる。
【0071】
本発明の態様2に係るヘアドライヤは、前記態様1の構成において、前記吸込口の口径は、前記第1の送風部の外径よりも大きく、前記吸込口の内周と、前記第1の送風部との間は、少なくとも一部分において離間している構成であってもよい。
【0072】
前記態様2の構成によれば、前記吸込口の内周と、前記第1の送風部との間の離間部分から、空気を吸い込むことができ、第1のモータ75の第1の筒体73の口径だけよりも吸気量を高めることができる。
【0073】
本発明の態様3に係るヘアドライヤは、前記態様1または態様2の構成において、前記本体の前記吹出口には、フロントグリルが設置されており、前記フロントグリルは、前記第2の風路の出口に対向する位置に設けられた第2の出口と、前記第1の風路の出口に対向する位置に設けられた第1の出口とを有し、前記フロントグリルは、前記第2の出口と前記第1の出口との境界部分に、前記本体の外に向かって突出する壁部を有する構成であってもよい。
【0074】
前記態様3の構成によれば、前記フロントグリルを通過する風の通路を形成することができ、壁部によって、前記第2の風路と前記第1の風路とを維持した状態とすることができる。
【0075】
本発明の態様4に係るヘアドライヤは、前記態様3の構成において、前記壁部における前記第1の出口側の表面に、溝部を有する構成であってもよい。
【0076】
前記態様4の構成によれば、前記溝部を用いてノズルを係合させることが可能である。
【0077】
本発明の態様5に係るヘアドライヤは、前記態様4の構成において、ノズルを更に備え、前記壁部は、筒状に構成されており、前記ノズルの内径は、前記壁部の外径より大きく、前記ノズルは、前記溝部に係合する突起部を有し、前記突起部を前記溝部に係合させることによって、前記フロントグリルを介して、前記本体の前記吹出口に着脱可能に装着されている構成であってもよい。
【0078】
前記態様5の構成によれば、ノズルを前記フロントグリルの壁部に係合させることができる。
【0079】
本発明の態様6に係るヘアドライヤは、前記態様1において、前記内筒部の中心軸に沿って前記吹出口まで延設された絶縁基板の前記吹出口側の先端にマイナスイオンを発生させるイオン発生部が設置されていてもよい。
【0080】
前記態様6の構成によれば、マイナスイオンを含む空気が吹き出す構成を実現することができる。
【0081】
本発明の態様7に係るヘアドライヤは、前記態様5の構成において、前記ノズルが前記フロントグリルを介して前記本体の前記吹出口に装着されている状態において、前記ノズルの外周面は、前記フロントグリルの前記第1の出口から吹き出す風の風路を形成している構成であってもよい。
【0082】
前記態様7の構成によれば、ノズルの外周面は、前記本体の内部において第1の風路を通る加熱されていない風(冷風)の風路を形成するようにしてもよい。これにより、ノズルが過度に高温になりにくい構成を実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 ヘアドライヤ(加熱装置)
2 本体
2a 内面
3 吹出口
4 吸込口
5 内筒部
5a 内筒部の外周面
6 ノズル
6a 外側ノズル
6aa,6ab,風吹出部
6b 内側ノズル
6s ノズルの外周面
7 第1の送風部
8 第2の送風部
9 イオン発生部
11 把持部
12 フロントカバー
13 電源スイッチ
14 風量調整スイッチ
20C 第1の風路
20H 第2の風路
30 フロントグリル
33C 第1の出口
33H 第2の出口
35 壁部
35C 表面
37 溝部
51 絶縁基板
52 加熱部
55 プレート
61 基部
62 開口部
67 突起部
71 第1の羽根
73 第1の筒体
75 第1のモータ
81 第2の羽根
83 第2の筒体
85 第2のモータ
91 針電極
【要約】
【課題】小型を実現しつつも、大風量の風を吹き出すことができる加熱装置を実現する。
【解決手段】加熱装置の一態様であるヘアドライヤ(1)は、本体(2)の内部に筒状の内筒部(5)を備え、本体(2)の内部には、内筒部(5)の筒内を吹出口(3)に向かって空気が流れる第2の風路(20H)と、内筒部(5)の外周面と本体(2)の内面との間を吹出口(3)に向かって空気が流れる第1の風路(20C)とが形成されており、本体(2)の吸込口(4)には、本体(2)の内部に空気を送る第1の送風部(7)が設置されており、内筒部(5)には、内筒部(5)の筒内に空気を送る第2の送風部(8)と、前記筒内の空気を加熱する加熱部(52)とが設置されている。
【選択図】
図1