(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】発光装置及びその発光装置を用いた照明装置
(51)【国際特許分類】
H10H 20/855 20250101AFI20250207BHJP
F21V 13/02 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H10H20/855
F21V13/02
(21)【出願番号】P 2024569041
(86)(22)【出願日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2024001219
(87)【国際公開番号】W WO2024157865
(87)【国際公開日】2024-08-02
【審査請求日】2024-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2023010227
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【氏名又は名称】浅川 哲
(72)【発明者】
【氏名】萱沼 安昭
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0091341(US,A1)
【文献】特開2017-034122(JP,A)
【文献】特開2008-270314(JP,A)
【文献】特開2011-009298(JP,A)
【文献】国際公開第2011/129203(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/209143(WO,A1)
【文献】特開2019-220399(JP,A)
【文献】特開2017-050080(JP,A)
【文献】特開2013-098219(JP,A)
【文献】特開2012-129542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10H 20/855
F21V 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設置された一対の電源端子と、
前記一対の電源端子間に電力を供給することにより発光する複数の第1発光素子及び複数の第2発光素子と、
前記複数の第1発光素子及び複数の第2発光素子が発光する光を出射する光出射面と、を備え、
前記光出射面は、平面視において前記光出射面の重心点を含む面領域である第1光出射領域及び前記第1光出射領域を含まない面領域である第2光出射領域を有し、
前記複数の第1発光素子は、平面視において前記第1光出射領域に配置されて第1発光素子群を構成し、前記複数の第2発光素子は、平面視において第2光出射領域に配置されて第2発光素子群を構成し、
前記第1発光素子群が前記複数の第1発光素子を配列した複数の第1発光素子列を備え、前記第1発光素子列を構成する複数の第1発光素子の各素子同士の隙間及び前記第1発光素子列間の間隔が前記第1発光素子の素子サイズより小さく、
前記第2発光素子群が前記複数の第2発光素子を配列した複数の第2発光素子列を備え、前記第2発光素子列を構成する複数の第2発光素子の各素子同士の隙間及び前記第2発光素子列間の間隔が前記第2発光素子の素子サイズより小さく、
且つ前記第1発光素子列と前記第2発光素子列との間の間隔が前記第1発光素子及び前記第2発光素子の素子サイズより小さく、
前記第1光出射領域から出射される光の平均輝度は、前記第2光出射領域から出射される平均輝度より高い発光装置。
【請求項8】
前記第1発光素子群は、第1電源パッドと対向電極パッドとの間に並列接続される複数の前記第1発光素子列から構成され、
前記第2発光素子群は、前記対向電極パッドと第2電源パッドとの間に並列接続される複数の前記第2発光素子列から構成される請求項1に記載の発光装置。
【請求項17】
請求項1に記載の発光装置と、前記光出射面の上方に配置される集光器と、を備える照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の発光素子を配列させた発光装置及びその発光装置を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
狭い面積の発光エリアに多数のLED(Light-Emitting-Diode)素子を実装して発光させる発光装置が知られている。例えば、特許文献1には、多数のLED素子を所定の数でグループ分けし、直列接続と並列接続を混合する発光装置が記載される。特許文献1に記載される発光装置は、駆動電圧の高電圧化を防ぐと共に、個々のLED素子の発光ばらつきを抑制することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される発光装置は、グループ毎のLED素子の並列数が同一であり、それぞれのLED素子には等しい電流値の電流が流れるため、それぞれのLED素子が発光する光量も等しくなる。そのため、特許文献1に記載される発光装置を用いた照明装置は、特定の方向への照射を強めることが困難になる。
【0005】
そこで、本発明は、光出射面に平均輝度が高い領域と、平均輝度が低い領域を設け、特定の方向への照射を効率よく強めることが可能となる発光装置及びその発光装置を用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置は、前記基板に設置された一対の電源端子と、前記一対の電源端子間に電力を供給することにより発光する複数の第1発光素子及び複数の第2発光素子と、
前記複数の第1発光素子及び複数の第2発光素子が発光する光を出射する光出射面と、を備え、前記光出射面は、平面視において前記光出射面の重心点を含む面領域である第1光出射領域及び前記第1光出射領域を含まない面領域である第2光出射領域を有し、前記複数の第1発光素子は、平面視において前記第1光出射領域に配置されて第1発光素子群を構成し、前記複数の第2発光素子は、平面視において第2光出射領域に配置されて第2発光素子群を構成し、前記第1光出射領域から出射される光の平均輝度は、前記第2光出射領域から出射される平均輝度より高い。
【0007】
また、本発明に係る発光装置は、前記第1発光素子群が前記複数の第1発光素子を配列した少なくとも一つの第1発光素子列を備え、前記第1発光素子列を構成する複数の第1発光素子の各素子同士の隙間が前記第1発光素子の素子サイズより小さく、且つ複数の第1発光素子が直列接続される一方、前記第2発光素子群が前記複数の第2発光素子を配列した複数の第2発光素子列を備え、前記第2発光素子列を構成する複数の第2発光素子の各素子同士の隙間が前記第2発光素子の素子サイズより小さく、且つ複数の第2発光素子が直列接続される。
【0008】
また、本発明に係る照明装置は、上記の発光装置と、前記光出射面の上方に配置される集光器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光装置によれば、光出射面の重心点を含む第1光出射領域から出射される光の平均輝度を、第1光出射領域を含まない第2光出射領域から出射される光の平均輝度より高くなるようにしたので、発光装置から特定の方向への照射を効率よく強めることができる。
【0010】
また、本発明の発光装置によれば、第1発光素子列を構成する複数の第1発光素子の各素子同士の隙間を前記第1発光素子の素子サイズより小さく設定し、第2発光素子列を構成する複数の第2発光素子の各素子同士の隙間を前記第2発光素子の素子サイズより小さく設定したので、発光装置から出射される光の色ムラの発生を抑えることができる。
【0011】
また、本発明の照明装置によれば、本発明の発光装置を用いているので、色ムラの発生を抑えた特定方向への照射を効率よく強めた照明ができる。
【0012】
さらに、本発明の照明装置によれば、本発明の発光装置を用いているので、特定方向への出射を強め、特定方向以外の方向への出射を弱めるので、光害を抑制した環境に配慮した照明ができる。また、供給する電力の電力量を低減できるので、SDGsへの寄与もできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図1B】本発明の第1実施形態に係る発光装置の平面図である。
【
図2】
図1Aの破線Aで囲われた範囲を拡大した平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る発光装置の回路図である。
【
図4A】色温度2700Kでの列数比の違いによる正面色度を示した図である。
【
図4B】色温度5000Kでの列数比の違いによる正面色度を示した図である。
【
図5】発光装置の集光器から出射される光の色ムラを模式的に示したものである。
【
図6】素子配列によって異なる素子サイズ比の例を示したものである。
【
図7】素子サイズ比に対する発光装置の色ムラの面積比を示すグラフである。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る発光装置の平面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る発光装置の平面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る発光装置の平面図である。
【
図11】本発明の第5実施形態に係る発光装置の平面図である。
【
図12】本発明の第5実施形態に係る発光装置の回路図である。
【
図13】本発明の第6実施形態に係る発光装置の回路図である。
【
図14A】本発明の第1実施形態に係る発光装置を用いた照明装置及び比較例に係る発光装置を用いた照明装置の光度分布を示す特性図(その1)である。
【
図14B】本発明の第1実施形態に係る発光装置を用いた照明装置及び比較例に係る発光装置を用いた照明装置の光度分布を示す特性図(その2)である。
【
図14C】本発明の第1実施形態に係る発光装置を用いた照明装置及び比較例に係る発光装置を用いた照明装置の光度分布を示す特性図(その3)である。
【
図15A】本発明の第1実施形態に係る発光装置を用いた照明装置の正面図である。
【
図15B】本発明の第1実施形態に係る発光装置を用いた照明装置の平面図である。
【
図16】発光装置の上方に配置した集光レンズの断面図である。
【
図18】複数の光出射面を備えた発光装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る発光装置及び照明装置について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る発光装置1の斜視図であり、
図1Bは、発光装置1の平面図である。なお、
図1Bでは、ボンディングワイヤ14及び
図1Aにおいて示した封止材12が省略されている。
図2は、
図1Aに示す破線Aで囲われた範囲を拡大した平面図である。なお、
図2では、
図1Aにおいて示した反射枠体11及び封止材12、
図1Bで示した第1電源配線91及び第2電源配線92が省略されている。
図3は、第1実施形態に係る発光装置の回路図である。
【0016】
第1実施形態に係る発光装置1は、基板10と、一対の電源端子である第1電源端子21及び第2電源端子22と、発光素子群60を構成する複数の第1発光素子31及び複数の第2発光素子32と、反射枠体11と、封止材12を有する。なお、第1発光素子31及び第2発光素子32としてはLED素子が用いられる。
【0017】
基板10は、アルミニウム等の熱伝導率が高い金属製の実装基板の上面に、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材で形成される回路基板の下面を接着した積層基板である。基板10の上面には、発光素子群60を構成する複数の第1発光素子31及び複数の第2発光素子32が絶縁性の接着剤等を介して実装される実装領域50を有する。回路基板は、実装基板と略同一の外形の平面形状を有し、実装領域50を囲む開口部が形成されていても良い。実装基板の上面には、光高反射膜が配置されていても良い。基板10は、熱伝導率が高いセラミック製の基板であっても良い。基板10の平面形状は、多角形でも良いし、楕円形でも良い。本実施形態において、基板10は、一辺が20mmの正方形の平面形状を有する。
【0018】
基板10の上面には、対角線上の両角部に一対の電源端子である第1電源端子21及び第2電源端子22が配置される。第1電源端子21及び第2電源端子22は、図示されない外部電源から供給される電力を、実装領域50に実装される複数の第1発光素子31及び複数の第2発光素子32に供給するための、銅等の導電性薄膜により形成される配線パターンである。第1電源端子21及び第2電源端子22は、ハンダメッキ又は金メッキが施されていても良い。第1電源端子21及び第2電源端子22には、コネクタ等の電子部材が実装されていても良い。第1電源端子21及び第2電源端子22は、基板10の側面に配置されても良いし、基板10の底面に配置されても良い。
【0019】
発光素子群60は、第1発光素子群61と、第1発光素子群61の両側に配置される一対の第2発光素子群62,63から構成される素子群である。
【0020】
第1発光素子群61は、複数の第1発光素子列71から構成される発光素子群である。また、第1発光素子列71は、複数の第1発光素子31から構成される発光素子列である。第1発光素子列71を構成する複数の第1発光素子31は、ボンディングワイヤ14で直列接続される。第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子列71は、第1発光素子列71を挟んで、その両側に配置される第1電源パッド81と対向電極パッド84との間にボンディングワイヤ14で並列接続される。本実施形態において、第1発光素子群61は、4列の第1発光素子列71から構成され、第1発光素子列71は、8個の第1発光素子31から構成される。
【0021】
前記第1発光素子群61の一方側に配置された第2発光素子群62は、複数の第2発光素子列72から構成される発光素子群である。また、第2発光素子列72は、複数の第2発光素子32から構成される発光素子列である。第2発光素子列72を構成する複数の第2発光素子32は、ボンディングワイヤ14で直列接続される。第2発光素子群62を構成する複数の第2発光素子列72は、第2発光素子列72を挟んで、その両側に配置される前記対向電極パッド84と第2電源パッド82との間にボンディングワイヤ14で並列接続される。本実施形態において、第2発光素子群62は、3列の第2発光素子列72から構成され、第2発光素子列72は、8個の第2発光素子32から構成される。
【0022】
一方、前記第1発光素子群61の他方側に配置された第2発光素子群63は、複数の第2発光素子列73から構成される発光素子群である。また、第2発光素子列73は、複数の第2発光素子32から構成される発光素子列である。第2発光素子列73を構成する複数の第2発光素子32は、ボンディングワイヤ14で直列接続される。第2発光素子群63を構成する複数の第2発光素子列73は、第2発光素子列73を挟んで、その両側に配置される、前記対向電極パッド84と第3電源パッド83との間にボンディングワイヤ14で並列接続される。本実施形態において、第2発光素子群63は、3列の第2発光素子列73から構成され、第2発光素子列73は、8個の第2発光素子32から構成される。なお、他方側に配置された第2発光素子列73を構成する発光素子は、一方側に配置された第2発光素子列72を構成する発光素子と同じ第2発光素子32で構成される。また、第2発光素子列73を構成する第2発光素子32の数は、第2発光素子列72を構成する第2発光素子32の数と同数である。
【0023】
第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71の列数は、一対の第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73の列数を足した列数より少ない。本実施形態において、第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71の列数は、第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73の列数を足した列数より、2列少ない。
【0024】
第1発光素子31は、アノード電極とカソード電極を有し、アノード電極とカソード電極との間に順方向電圧が印加されることに応じて青色光を出射する、矩形の平面形状を有する青色LEDダイである。第1発光素子31から出射される青色光の主波長は、445nmと495nmとの間の範囲内である。第1発光素子31は、透明な基板であるサファイヤ基板上に、窒化ガリウム層により形成されるPN接合層を積層して形成される。本実施形態において、第1発光素子31は一辺が0.7mmの正方形の平面形状を有し、第1発光素子31から出射される青色光の主波長は450nmである。
【0025】
第2発光素子32は、アノード電極とカソード電極を有し、アノード電極とカソード電極との間に順方向電圧が印加されることに応じて青色光を出射する、矩形の平面形状を有する青色LEDダイである。第2発光素子32から出射される青色光の主波長は、445nmと495nmとの間の範囲内である。第2発光素子32は、透明な基板であるサファイヤ基板上に、窒化ガリウム層により形成されるPN接合層を積層して形成される。第2発光素子32は、第1発光素子31と同じ特性を有する発光素子であっても良い。また、第2発光素子32は、第1発光素子31より素子サイズが小さい発光素子であっても良い。本実施形態において、第2発光素子32は、第1発光素子31と同じ特性を有する発光素子である。
【0026】
実装領域50は、基板10の上面において、発光素子群60を構成する複数の第1発光素子31及び複数の第2発光素子32が実装される領域であり、第1実装領域51及び第1実装領域51の両側に配置される一対の第2実装領域52,53を有する。第1実装領域51及び第2実装領域52,53は、縞状に隣接して配置される。さらに、第1実装領域51は、光出射面40の重心点を含む面領域、すなわち実装領域50の中央部にあって左右一対の第2実装領域52,53の間に配置される。また、第2実装領域52,53は、第1実装領域51を間に介して隔離して配置される。実装領域50は、平面形状が矩形状であることが好ましい。第1実装領域51と第2実装領域52,53の境界を示す境界線L12,L13は、
図2に示す第2の方向に平行な直線であることが好ましい。本実施形態において、実装領域50は、平面形状は矩形状であり、境界線L12及び境界線L13は第2の方向に平行な直線である。
【0027】
第1実装領域51には、第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31が実装される。第1実装領域51には、第1発光素子群61以外の発光素子群を構成する発光素子は実装されない。第1実装領域51の平面形状は、第1実装領域51に実装される複数の第1発光素子31が全て包含される最小の矩形であることが好ましい。第1実装領域51に実装される第1発光素子31は、
図2に示す第1の方向に平行に等しい間隔の長さで配置されても良いし、第2の方向に平行に等しい間隔の長さで配置されても良い。本実施形態において、第1実装領域51に実装される第1発光素子31は、第1の方向に平行に1.0mmの間隔で配置され、第2の方向に平行に1.0mmの間隔で配置される。その場合、隣接する第1発光素子32同士の隙間は0.3mmとなり、第1発光素子31の各素子の縦横それぞれの辺のサイズより小さいものとなる。なお、素子の縦横それぞれの辺のサイズは、素子サイズとも称する。
【0028】
第2実装領域52,53には、第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32が実装される。第2実装領域52,53には、第2発光素子群62,63以外の発光素子群を構成する発光素子は実装されない。第2実装領域52,53の平面形状は、第2実装領域52,53に実装される複数の第2発光素子32が全て包含される最小の矩形であることが好ましい。第2実装領域52,53に実装される第2発光素子32は、第1の方向に平行に等しい間隔の長さで配置されても良いし、第2の方向に平行に等しい間隔の長さで配置されても良い。第2実装領域52,53に実装される第2発光素子32が第1の方向に配置される間隔の長さは、第1実装領域51に実装される第1発光素子31が第1の方向に配置される間隔の長さ以上であると良い。第2実装領域52,53に実装される第2発光素子32が第2の方向に配置される間隔の長さは、第1実装領域51に実装される第1発光素子31が第2の方向に配置される間隔の長さ以上であると良い。本実施形態において、第2実装領域52,53に実装される第2発光素子32は、第1の方向に平行に1.0mmの間隔で配置され、第2の方向に平行に1.0mmの間隔で配置される。この場合、隣接する第2発光素子32同士の隙間は0.3mmとなり、第2発光素子32の各素子の縦横それぞれの辺のサイズより小さいものとなる。
【0029】
上述した第1の方向とは、第1実装領域51、第2実装領域52,53が、縞状に隣接して配置される方向である。また、第2の方向とは、基板10の上面において、第1方向と直交する方向である。
【0030】
さらに、本実施形態では第1実装領域51の両端に実装された第1発光素子列71の各第1発光素子31と、一対の第2実装領域52,53の前記第1発光素子列71に隣接する一方の端に実装された第2発光素子列72,73の各第2発光素子32との第1の方向の隙間が、前記各素子同士の隙間と同様、第1発光素子31及び第2発光素子32の各素子の縦横それぞれの辺のサイズより小さいものである。
【0031】
このように、本実施形態では第1発光素子31及び第2発光素子32の各素子同士の隙間、並びに複数の第1発光素子列71、第2発光素子列72,73の各列間の隙間、さらには第1発光素子列71と第2発光素子列72,73との間の隙間が、いずれも各素子の縦横それぞれの辺のサイズより小さいので、この発光装置の光出射領域から出射された光は、素子間でよく混色されて色ムラが抑えられる。そのため、この発光装置を用いた照明装置などでは色ムラの少ない優れた照明効果が得られる。
【0032】
第1電源パッド81,対向電極パッド84,第2電源パッド82及び第3電源パッド83は、基板10の上面において、実装領域50の近傍に配置される銅等の導電性薄膜により形成される配線パターンである。第1電源パッド81,対向電極パッド84,第2電源パッド82及び第3電源パッド83は、金メッキが施されていても良い。なお、第1電源パッド81,対向電極パッド84,第2電源パッド82及び第3電源パッド83は、後述する一つの矩形状の光出射面40の周囲を矩形枠状に囲む反射枠体11に覆われていることが好ましい。反射枠体11は、第1発光素子群61及び第2発光素子群62,63の周囲に設けられた矩形枠状のダムになっており、このダムの下面側に前記第1電源パッド81、対向電極パッド84及び第2電源パッド82及び第3電源パッド83が配置されている。
【0033】
第1電源パッド81は、基板10の上面において、第1実装領域51の近傍に配置される。第1電源パッド81は、第1電源配線91を介して第1電源端子21に接続される。第1電源パッド81は、第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71のそれぞれの初段の第1発光素子31のアノード電極に、それぞれボンディングワイヤ14を介して接続される。なお、明細書中に記載される発光素子列の初段の発光素子とは、直列接続される複数の発光素子で構成される発光素子列の一端において、アノード電極が電源パッドとボンディングワイヤを介して接続される発光素子を意味する。
【0034】
対向電極パッド84は、基板10の上面において、第1実装領域51を間に介して第1電源パッド81と対向する実装領域50の近傍に配置される。対向電極パッド84は、第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71のそれぞれの終段の第1発光素子31のカソード電極に、それぞれボンディングワイヤ14を介して接続される。また、対向電極パッド84は、第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73のそれぞれの初段の第2発光素子32のアノード電極に、それぞれボンディングワイヤ14を介して接続される。なお、明細書中に記載される発光素子列の終段の発光素子とは、直列接続される複数の発光素子で構成される発光素子列の他端において、カソード電極が電源パッドとボンディングワイヤを介して接続される発光素子を意味する。
【0035】
第2電源パッド82及び第3電源パッド83は、基板10の上面において、第2実装領域52,53を間に介して対向電極パッド84と対向する第2実装領域52,53の近傍に配置される。第2電源パッド82及び第3電源パッド83は、第2電源配線92を介して第2電源端子22に接続される。第2電源パッド82及び第3電源パッド83は、第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73のそれぞれの終段の第2発光素子32のカソード電極に、それぞれボンディングワイヤ14を介して接続される。
【0036】
第1電源パッド81、第2電源パッド82及び第3電源パッド83は、基板10の上面において、実装領域50を間に介して対向電極パッド84と対向する実装領域50の同じ側の近傍にそれぞれ配置される。
【0037】
ボンディングワイヤ14は、金及び銅等の導電体により形成されたワイヤである。ボンディングワイヤ14によって電気的に接続されている箇所は、ボンディングワイヤ14の代わりに、基板10の上面に配置される銅等の導電性薄膜により形成される配線パターンによって接続されても良い。
【0038】
第1電源配線91及び第2電源配線92は、基板10の上面に配置される銅等の導電性薄膜により形成される配線パターンである。第1電源配線91は、第1電源端子21と、第1電源パッド81を接続する。第2電源配線92は、第2電源端子22と、第2電源パッド82及び第3電源パッド83を接続する。第1電源配線91及び第2電源配線92は、ソルダーレジストとも称される絶縁膜13により覆われていても良い。第1電源配線91及び第2電源配線92は、それぞれ、導電性のジャンパー部材を介して接続される複数の配線パターンから構成されても良い。第1電源配線91と第2電源配線92の間には、ツェナーダイオード又はコンデンサ等の電子部材が接続されても良い。
【0039】
反射枠体11は、酸化チタン等の白色の粒子が含有されたシリコーン樹脂などの合成樹脂で形成され、80%以上の光反射率を有する。反射枠体11は、基板10の上面において、発光素子群60を囲むように配置され、封止材12の流出を防止するダムである。
【0040】
封止材12は、シリコーン樹脂等の透明な樹脂を母材とし、蛍光体を含有した合成樹脂材である。封止材12は、反射枠体11に囲まれる領域において、実装領域50及び発光素子群60を覆う様に配置される。封止材12に含有される蛍光体は、例えばYAG、CASN、SCASN又はKSF、又はこれらの混合物であり、第1発光素子31及び第2発光素子32が発する青色光を吸収し、赤色、緑色、黄色等に波長変換した光を出射する波長変換部材である。
【0041】
発光装置1は、第1発光素子31及び第2発光素子32から出射される青色光と、封止材12に含有される蛍光体から出射される波長変換された光との合成光を、封止材12の上面である光出射面40から出射する。
【0042】
一つの矩形状に形成された光出射面40は、光出射面40の重心点を含む面領域である中央部分の第1光出射領域41と、その両側に配置され前記第1光出射領域41を含まない面領域である一対の第2光出射領域42,43を有する。第1光出射領域41及び第2光出射領域42,43は、それぞれ、平面視において、第1実装領域51及び第2実装領域52,53と同じ位置に、同じ形状で重なる領域を示す。
【0043】
発光装置1は、
図1A,
図1B及び
図3に示されるように、第1電源端子21と第2電源端子22との間に閾値以上の電位差が印加されると、第1電源端子21から第2電源端子22に向かって電流が流れ、電力が供給される。第1電源端子21から第2電源端子22に向かって電流が流れると、
図2に示されるように、実装領域50に実装される発光素子群60を構成する複数の第1発光素子31及び複数の第2発光素子32が点灯する。
【0044】
第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71の列数は、第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73の列数を足した列数より少ない。そのため、第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31のそれぞれに流れる電流の電流値は、第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32のそれぞれに流れる電流の電流値より大きくなる。
【0045】
そのため、第1実装領域51に実装される第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31のそれぞれが出射する光の光束量は、第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32のそれぞれが出射する光の光束量より大きくなる。
【0046】
第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31、第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32は、それぞれ、第1実装領域51及び第2実装領域52,53において、等しい間隔で配置される。そのため、第1光出射領域41から出射される光の平均輝度は、第2光出射領域42,43から出射される光の平均輝度より高い。
【0047】
図4A及び
図4Bは、列数比を1,2,3及び4にした時の正面色度のシフトを示した図である。ここで、「列数比」とは、第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71の列数の値で、第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73の列数を足した値を割った値である。
図4A及び
図4Bで示した黒点は、ANSI NEMA ANSLG C78.377-2015で規格化されている色温度2700K及び5000Kの中心を示すXY色度座標である。また、
図4A及び
図4Bで示した四角形に囲われた範囲は、ANSI NEMA ANSLG C78.377-2015で規格化されている色温度2700K及び5000Kの許容範囲を示すXY色度座標である。
【0048】
図4Aに示した通り、列数比を1にして色温度2700Kの許容範囲に入るように、封止材12に含有される蛍光体を設定した場合、列数比を4にすると許容範囲から外れてしまい、蛍光体の設定条件を変更しなければならない。一方、列数比が3以下であれば許容範囲内に入るので、蛍光体の設定条件を変更する必要がない。よって、列数比は3以下が好ましい。
【0049】
また、
図4Bに示した通り、列数比を1にして色温度5000Kの許容範囲に入るように、封止材12に含有される蛍光体を設定した場合、列数比を3にすると許容範囲から外れてしまい、蛍光体の設定条件を変更しなければならない。一方、列数比が2以下であれば許容範囲内に入るので、蛍光体の設定条件を変更する必要がない。よって、列数比は2以下がさらに好ましい。
【0050】
次に、上記発光装置1において、光出射面40の発光素子群60を構成する各発光素子の素子サイズに対する発光素子の間隔と色ムラとの関係を
図5乃至
図7に基づいて説明する。発光素子の間隔は素子ピッチとも称される。
図5は発光装置の集光器から出射される光の色ムラを模式的に示したものであり、リング状の黒色帯8は各発光素子から出射された光がよく混色された光として表れる部分、リング状の白色帯9は各発光素子から出射された光の混色が不十分で色ムラとして表れる部分を示す。集光器から出射される光は、タンジェンシャル方向A(放射方向)の収差に比べてサジタル方向B(回転方向)の収差が大きいため、
図5に示したように、色ムラが同心円状に幾重にも表れる。
【0051】
図6は素子配列によって異なる素子サイズ比の例を示したものである。因みに素子サイズ比=素子サイズ/素子ピッチで表される。(a)に示した素子配列の例は、素子サイズが1に対して素子ピッチが5の場合であり、素子サイズ比が約20%となる。この場合、素子同士の隙間は素子サイズの4倍となる。(b)に示した素子配列の例は、素子サイズが1に対して素子ピッチが2の場合であり、素子サイズ比が約50%となる。この場合、素子同士の隙間は素子サイズとほぼ同じになる。(c)に示した素子配列の例は、素子サイズが1に対して素子ピッチが1.25の場合であり、素子サイズ比が80%となる。この場合、素子同士の隙間は素子サイズよりかなり小さくなる。
【0052】
図7は、素子サイズ比に対する発光装置の色ムラの面積比を示すグラフである。色ムラの面積比は、前記
図5の黒色帯8の面積と白色帯9の面積を基にして計算したものである。因みに、色ムラの面積比=白色帯の面積/黒色帯の面積+白色帯の面積で表される。このグラフによれば、素子サイズ比が50%を境にして色ムラの面積比が大きく変化し、50%以上では色ムラが出にくいことが分かる。すなわち隣接する素子同士の隙間を素子サイズと同一か、それより小さくなるように設定することで、色ムラの発生を有効に抑えることが分かる。
【0053】
図8には本発明の第2実施形態に係る発光装置1-1が示されている。この発光装置1-1は、一つの矩形に形成された光出射面40の周囲を矩形枠状の反射枠体11で囲ったものである。光出射面40は、先の実施形態と同様、光出射面の重心点を含む面領域である中央部分の第1光出射領域と、その両側に配置された一対の第2光出射領域とからなる。第1光出射領域には第1発光素子群60が、第2光出射領域には第2発光素子群62,63がそれぞれ対応しており、第1、第2発光素子群によって光出射面の実装領域に実装される発光素子群を構成している。
【0054】
この実施形態において、第1発光素子群61は、3列の第1発光素子列71から構成される発光素子群である。また、第1発光素子列71は、6個の第1発光素子31から構成される発光素子列である。第1発光素子列71を構成する複数の第1発光素子31は、ボンディングワイヤ14で直列接続される。また、第1発光素子群61を構成する3列の第1発光素子列71は、第1発光素子列71を挟んで、その両側に配置される第1電源パッド81と対向電極パッド84との間にボンディングワイヤ14で並列接続される。
【0055】
前記第1発光素子群61の両側に配置された第2発光素子群62,63は、それぞれが2列の第2発光素子列72,73から構成される発光素子群である。また、第2発光素子列72,73は、6個の第2発光素子32から構成される発光素子列である。第2発光素子列72,73を構成する複数の第2発光素子32は、ボンディングワイヤ14で直列接続される。第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子列72,73は、第2発光素子列72,73を挟んで、その両側に配置される前記対向電極パッド84と第2電源パッド82及び第3電源パッド83との間にボンディングワイヤ14で並列接続される。
【0056】
なお、この実施形態において、第1発光素子31及び第2発光素子32の素子同士の隙間は、発光素子サイズより小さいものである。また、第1発光素子列71及び第2発光素子列72,73の列同士の隙間も、発光素子サイズより小さいものである。
【0057】
この実施形態に係る発光装置1-1は、第1電源パッド81、第2電源パッド82、第3電源パッド83及び対向電極パッド84が光出射面40を囲む矩形枠状の反射枠体11の下面側に設けられ、第1電源パッド81が図示外の第1電源端子に接続され、第2電源パッド82及び第3電源パッド83が図示外の第2電源端子に接続されている。そして、第1電源端子から第2電源端子に向かって電流が流れると、実装領域に実装される発光素子群を構成する複数の第1発光素子31及び複数の第2発光素子32が点灯する。
【0058】
第1実施形態と同様、第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71の列数は、第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73の列数を足した列数より少ない。そのため、第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31のそれぞれに流れる電流の電流値は、第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32のそれぞれに流れる電流の電流値より大きくなる。そのため、第1実装領域に実装される第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31のそれぞれが出射する光の光束量は、第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32のそれぞれが出射する光の光束量より大きくなる。また、第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31、第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32は、それぞれ、第1実装領域及び第2実装領域において、等しい間隔で配置される。そのため、第1光出射領域から出射される光の平均輝度は、第2光出射領域から出射される光の平均輝度より高いものとなる。
【0059】
図9には本発明の第3実施形態に係る発光装置1-2が示されている。この発光装置1-2は、第2実施形態に係る発光装置1-1とは、光出射面40の形状、反射枠体11の形状及び発光素子の配列形状が相違している点を除いて同一の構成からなるので、共通する構成部材には同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。この発光装置1-2は、一つの円形に形成された光出射面40の周囲をリング状の反射枠体11で囲ったものである。また、第1電源パッド81、第2電源パッド82、第3電源パッド83及び対向電極パッド84は、光出射面40を囲む矩形枠状の反射枠体11の下面側に設けられている。
【0060】
この実施形態において、第1発光素子群61を構成する3列の第1発光素子列71は、各列の両端の3個の第1発光素子31が反射枠体11に近い位置、具体的には三角形の各頂点に配置されている。また、第2発光素子群62,63を構成する左右2列ずつの第2発光素子列72,73は、反射枠体に沿って曲線を描くように配列されている。このように、第1発光素子31及び第2発光素子32の配列が円形の光出射面40に対応したものとなっているので、光出射面40の反射枠体11に近い部分での十分な明るさと色ムラななどを抑えることができる。
【0061】
図10には本発明の第4実施形態に係る発光装置1-3が示されている。この発光装置1-3は、第2実施形態に係る発光装置1-1とは、発光素子の配列形状及び発光素子列の数が相違している点を除いて同一の構成からなるので、共通する構成部材には同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
【0062】
この実施形態において、第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71は1列のみである。また、第1発光素子列71を構成する6個の第1発光素子31は、光出射面40の中央部に配置されている。一方、第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73は合計で12個の第2発光素子32からなり、第1発光素子31の周囲を囲むように配置されている。なお、6個ずつの第2発光素子32で2列の第2発光素子列72,73を構成している。このように、光出射面40の中心部分に第1発光素子31が配置されると共に、その周囲を第2発光素子32が取り囲んでいるので、光出射面40の中心部分の輝度が高くなると共にその周囲が均等な明るさになる。
【0063】
図11及び
図12には本発明の第5実施形態に係る発光装置1-4が示されている。この発光装置1-4は、光出射面40の実装領域に第1発光素子群61を間に介してその両側に一対の第2発光素子群62,63を配置し、一対の第2発光素子群62,63の一方に第1電源パッド81を接続し、他方に第2電源パッド82を接続したものである。第1電源パッド81と第2電源パッド82は、光出射面40を囲むリング状の反射枠体11の下面側に設けられており、図示外の第1電源端子から第2電源端子22に向かって電流が流れると、第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31及び第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32が点灯する。
【0064】
第1発光素子群61は、2列の第1発光素子列71を含み、各素子列は2個の第1発光素子31を含む。一対の第2発光素子群62,63は、それぞれが4列の第2発光素子列72,73を含み、各素子列は1個の第2発光素子32を含む。2列の第1発光素子列71は並列接続される。また、4列の第2発光素子列72,73も並列接続されるが、第1発光素子列71と第2の発光素子列72,73とは、間に電極パッドを介さず直接にボンディングワイヤ14で直列接続されている。
【0065】
直接接続される第1素子列71の第1発光素子31及び第2発光素子列72,73の第2発光素子32は、それぞれのアノード電極又はカソード電極に複数のボンディングワイヤ14が接続されても良い。一つのアノード電極又はカソード電極に接続されるボンディングワイヤ14は、2本以下が工程上及び耐久性状好ましい。すなわち、第1発光素子群61を構成する第1発光素列71の列数の値で、第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73の列数を足した値を割った値である列数比は、2以下が好ましい。
【0066】
図10に示した第4実施形態の発光素子の配列と同様、光出射面40の中央部に4個の第1発光素子31を配置し、その周囲を8個の第2発光素子32で取り囲んでいる。この実施形態においても光出射面40の中心部分に第1発光素子31が配置されると共に、その周囲を第2発光素子32が取り囲んでいるので、光出射面40の中心部分の輝度が高くなると共にその周囲が均等な明るさになる。
【0067】
図13には本発明の第6実施形態に係る発光装置1-5が示されている。この発光装置1-5は、第5実施形態に係る発光装置1-4と同様、第1発光素子群61を間に介してその両側に一対の第2発光素子群62,63を配置し、一対の第2発光素子群62,63の一方に第1電源パッド81を接続し、他方に第2電源パッド82を接続したものである。一方、第5実施形態に係る発光装置1-4とは、第1発光素子群61を構成する第1発光素子列71と、一対の第2発光素子群62,63を構成する第2発光素子列72,73と、を対向電極パッドで接続している点が異なる。具体的には、第1電源パッド81と接続されている一方の第2発光素子列72の他端と第1発光素子列71の一端に対向電極パッド84aが接続され、前記第1発光素子列71の他端と第2電源パッド82が接続されている他方の第2発光素子列73の一端に対向電極パッド84bが接続されている。これらの電源パッド及び電極パッドは、光出射面を囲む矩形状又はリング状の反射枠体の下面側に設けられており、第1の電源端子から第2の電源端子に向かって電流が流れると、第1発光素子群61を構成する複数の第1発光素子31及び第2発光素子群62,63を構成する複数の第2発光素子32が点灯する。
【0068】
第1発光素子群61は、2列の第1発光素子列71を含み、各発光素子列71は2個の第1発光素子31を含む。一対の第2発光素子群62,63は、それぞれが3列の第2発光素子列72,73を含み、各発光素子列72,73は3個の第2発光素子32を含む。2列の第1発光素子列71は並列接続される。また、3列の第2発光素子列72,73も並列接続されるが、第1発光素子列71と第2発光素子列72,73とは、間に対向電極パッド84a,84bを介して直列接続されている。
【0069】
図14Aは、
図15A,
図15Bに示した本実施形態に係る照明装置3及び
図17A,
図17Bに示した比較例に係る発光装置2を用いた照明装置の光度分布を示す特性図(その1)であり、
図14Bは、本実施形態に係る照明装置3及び比較例に係る発光装置2を用いた照明装置の光度分布を示す特性図(その2)である。なお、本実施形態に係る照明装置3は、第1実施形態に係る発光装置1を用いたものである。
【0070】
図15Aは本実施形態に係る照明装置3の正面図であり、
図15Bは本実施形態に係る照明装置3の平面図である。
【0071】
本実施形態に係る照明装置3は、発光装置1と、発光装置1が発光した光を集光して出射する集光器としてのリフレクタ4と、発光装置1及びリフレクタ4を設置する平坦な上面を有した基台5と、を備える。発光装置1は、基台5の上面に配置され、不図示の外部電源から電力を供給されると、光を発する。
【0072】
リフレクタ4は、上面開口部402及び底面開口部403を有し、上面開口部402と底面開口部403の間に反射面401を有する。底面開口部403は、基台5の上面に発光装置1を覆うように設置される開口部である。反射面401は、発光装置1が発した光を、上面開口部402に向けて反射する反射面である。上面開口部402は、反射面401で反射された光を出射する開口部である。平面視において、反射面401の外形は円形であり、発光装置1の光出射面40の重心と反射面401の外形である円の中心は一致するように設置される。平面視において、反射面401の外形である円の中心の位置から発する光は、集光され、上面開口部402から効率よく出射される。一例として、反射面401の最外形の直径は60mmであり、底面開口部403から上面開口部402までの距離は45mmである。なお、リフレクタ4以外の集光器としては、例えば
図16に示したような集光レンズ7であっても良い。集光レンズ7は、発光装置1の上方を覆うように配置され、発光装置1から出射された光が入射する入射面7aと、レンズ内に入射した光を反射する反射面7bと、レンズ内の光を上方に出射する出射面7cとを有している。
【0073】
照明装置3は、平面視における反射面401の外形である円の中心を通り、基台5の上面の法線方向と平行に延びる軸Pに対し、角度θ(°)の方向に光度Lθ(cd)の光を出射する。光度Lθは、不図示の光度計を用いて、軸Pと基台5の上面との交点である点Oから等しい距離の位置で測定される。点Oと光度が測定される位置との距離は、ファーフィールド領域と称される距離であり、一例として1mである。
【0074】
比較例に係る発光装置2を用いた照明装置は、発光装置2を発光装置1の代わりに用いる点が照明装置3と相違する。発光装置2を発光装置1の代わりに用いる点以外の構成要素の構成及び機能は、照明装置3とほぼ同一である。
【0075】
図17Aは、比較例に係る発光装置2の正面図であり、
図17Bは、比較例に係る発光装置2の回路図である。
図17Aにおいて、ボンディングワイヤ14は省略されている。
【0076】
比較例に係る発光装置2は、第1電源配線291、第2電源配線292及び第1電源パッド281を、第1電源配線91、第2電源配線92、第1電源パッド81の代わりに有し、第2電源パッド82及び第3電源パッド83を有しない点が、発光装置1と相違する。また、比較例に係る発光装置2は、第2発光素子32を有することなく、発光装置1の第1発光素子31と第2発光素子32の個数と同じ個数の第1発光素子31を有し、発光装置2の第1発光素子31が同じ方向に接続されている点で、発光装置1と相違する。第1電源配線291、第2電源配線292及び第1電源パッド281並びに第1発光素子31以外の発光装置2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、詳細な説明は省略する。
【0077】
発光装置2は、一対の電源端子である第1電源端子21及び第2電源端子22を有する。第1電源端子21は、第1電源配線291を介して第1電源パッド281に接続され、第2電源端子22は、第2電源配線292を介して対向電極パッド84に接続される。第1電源パッド281と対向電極パッド84との間には、8個の第1発光素子31がボンディングワイヤ14を介して直列に接続された発光素子列が配置される。そして、この発光素子列が、同じ向きに10列、並列に接続されることにより、第1電源端子21と第2電源端子22との間に、80個の第1発光素子31が接続される。それぞれの発光素子列は、第1電源パッド281にアノード電極がボンディングワイヤ14を介して接続される初段の第1発光素子31と、対向電極パッド84にカソード電極がボンディングワイヤ14を介して接続される終段の第1発光素子31を有する。
【0078】
発光装置2は、第1電源端子21と第2電源端子22の間に電力を供給すると、第1電源端子21と第2電源端子22との間に接続された80個の第1発光素子31には、それぞれ同じ電流値の電流が流れるので、それぞれの第1発光素子31が出射する光の光束量は等しい。
【0079】
図14Aに示したW1及びW2は、発光装置1を用いた照明装置3及び発光装置2を用いた照明装置に、それぞれ同じ電力量Wの電力を供給したときの、光度分布を示した曲線である。
図14Aが示す特性図の横軸は光の出射角度θの値(単位は度である)を示し、縦軸はθにおける正規化された光度比の値であり、発光装置2を用いた照明装置に電力量Wの電力を供給したときのθ=0における光度Lθを1.00として正規化された光度比の値を示す。
【0080】
図14Aにおいて、θ=0でのW2の値は1.00であるのに対し、W1の値は1.15を示す。-5≦θ≦5の範囲では、W1の値はW2の値より大きく、W1の値とW2の値の差は0.03以上である。θ=±6.5の近傍で、W1の値とW2の値は等しくなり、θ≦-7又は7≦θの範囲では、W1の値はW2の値より小さく、W1の値とW2の値の差は-0.01以上且つ0.00以下である。本実施形態に係る照明装置3は、同じ電力量Wの電力を供給した発光装置2を用いた照明装置と比較し、特定の方向への照射を高めることができる。
【0081】
図14Bに示す特性図の横軸及び縦軸は、
図14Aが示す特性図の横軸及び縦軸が示す値と同じ値を示す。
【0082】
図14Bに示すW1は、
図14Aに示すW1と同じであり、照明装置3に電力量Wの電力を供給したときの光度分布を示した曲線である。W3は、発光装置2を用いた照明装置に、電力量Waの電力を供給したときの光度分布を示した曲線である。電力量Waは、θ=0でのW3の値を、θ=0でのW1の値と等しくなるように設定された電力量であり、一例として、電力量Waは電力量Wの1.2倍である。
【0083】
図14Bにおいて、θ=0でのW1の値及びW3の値はともに1.15である。θ=0以外の値の領域では、W3の値はW1より高い値をとる。例えば、θ=6.5でのW1の値は0.66であり、W3の値は=0.76である。
【0084】
照明装置3は、同じ正面方向の光度に設定された発光装置2を用いた照明装置と比較し、供給する電力の電力量が低減される。
【0085】
本実施形態に係る発光装置1は、発光装置2と比較し、特定の方向への照射を効率よく高めることができる。
【0086】
図14Cに示す特性図の横軸及び縦軸は、
図14Aで示した特性図の横軸及び縦軸が示す値と同じ値を示す。
図14Cに示すW2は、
図14Aで示したW2と同じであり、発光装置2を用いた照明装置に、電力量Wの電力を供給したときの光度分布を示した曲線である。W4は、照明装置3に電力量Wbの電力を供給したときの光度分布を示した曲線である。電力量Wbは電力量Wより低く、θ<|5|において、W4の値はW2の値より高く、且つθ>|5|において、W4の値はW2の値より低くなるように設定された電力量であり、一例として電力量Wbは電力量Wの0.96倍である。
【0087】
図14Cにおいて、θ=0でのW4の値は1.10であり、W2より高く、θ<|5|でのW4の値はW2より高く、θ=|5|ではW4とW2はほぼ同じ値となり、θ>|5|ではW4はW2より低い値となる。
【0088】
照明装置3は、同じ正面方向の光度に設定された発光装置2を用いた照明装置と比較し、特定方向(例えばθ<|5|の範囲)への出射を強め、特定方向以外の方向(例えばθ>|5|の範囲)への出射を弱め、かつ供給する電力の電力量を低減できる。
【0089】
図18は、本発明の第7実施形態に係る発光装置1-6の斜視図である。
【0090】
第7実施形態に係る発光装置1-6は、基板610及び複数の光出射面640a~640dを、基板10及び光出射面40の代わりに有する点が、発光装置1と相違する。基板610及び光出射面640a~640d以外の発光装置2の構成要素の構成及び機能は、発光装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、詳細な説明は省略する。
【0091】
基板610は、基板10と正面形状が相違する。正面形状以外の構成及び機能は、基板10と同一である。本実施形態において、基板610は、一辺が40mmの正方形の正面形状を有する。
【0092】
発光装置1-6は、複数の光出射面を有する点が発光装置1と相違する。本実施形態においては、4つの光出射面640a~640dを有する。光出射面の数は2つ、3つ又は5つ以上でも良い。
【0093】
発光装置1-6は、一対の電源端子である第1電源端子21と第2電源端子22との間に閾値以上の電位差が印加されると、第1電源端子21から第2電源端子22に向かって電流が流れ、電力が供給される。第1電源端子21から第2電源端子22に向かって電流が流れると、4つの光出射面640a~640dからそれぞれ光が出射される。
【0094】
光出射面640a~640dは、それぞれ、光出射面40の構成要素の構成及び機能と同一であり、それぞれが隔離されて配置される。
【符号の説明】
【0095】
1,1-1~1-6,2 発光装置
3 照明装置
4 リフレクタ(集光器)
5 基台
7 集光レンズ(集光器)
7a 入射面
7b 反射面
7c 出射面
8 黒色帯
9 白色帯
10,610 基板
11 反射枠体
12 封止材
13 絶縁膜
14 ボンディングワイヤ
21 第1電源端子
22 第2電源端子
31 第1発光素子
32 第2発光素子
40、640a~d 光出射面
41 第1光出射領域
42,43 第2光出射領域
50 実装領域
51 第1実装領域
52,53 第2実装領域
60 発光素子群
61 第1発光素子群
62,63 第2発光素子群
71 第1発光素子列
72,73 第2発光素子列
81,281 第1電源パッド
82 第2電源パッド
83 第3電源パッド
84 対向電極パッド
91,291 第1電源配線
92,292 第2電源配線