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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/47 20180101AFI20250210BHJP
   F21S 45/49 20180101ALI20250210BHJP
   F21S 43/10 20180101ALI20250210BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20250210BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20250210BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20250210BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20250210BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20250210BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20250210BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20250210BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20250210BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20250210BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20250210BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20250210BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20250210BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20250210BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250210BHJP
【FI】
F21S45/47
F21S45/49
F21S43/10
F21V29/503
F21V29/70
F21V23/00 160
F21V19/00 170
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:15
F21Y115:30
F21Y115:10 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021133887
(22)【出願日】2021-08-19
(65)【公開番号】P2023028283
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2024-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】近藤 和也
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087719(JP,A)
【文献】特開2012-043571(JP,A)
【文献】米国特許第08033677(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/47
F21S 45/49
F21S 43/10
F21V 29/503
F21V 29/70
F21V 23/00
F21V 19/00
F21W 103/55
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/00
F21W 103/45
F21W 103/40
F21Y 115/15
F21Y 115/30
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有するソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられ、金属を含むベースと、前記ベースの前記ソケット側とは反対側の面に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の前記ベース側とは反対側の面に設けられた配線パターンと、を有する基板と;
前記配線パターンと電気的に接続された発光素子と;
前記ソケットに設けられた孔の内部に設けられ、絶縁性を有し、前記基板側の端部が、前記孔の前記基板側の開口よりも前記基板から離隔した位置に設けられた保持部と;
前記保持部の内部に設けられ、一方の端部が、前記保持部の前記基板側の端部から突出し、前記配線パターンと電気的に接続された複数の給電端子と;
前記複数の給電端子のそれぞれに設けられ、絶縁性を有し、前記保持部の前記基板側の前記端部と、前記基板との間を延びる筒部と;
を具備し、
前記給電端子は、前記筒部の内部を延び、前記筒部の一方の端部から突出し、
前記ベースの厚み方向において、前記筒部の一方の端部の近傍は、前記ベースの内部に位置し、前記筒部の他方の端部は、前記保持部の前記基板側の前記端部に設けられている車両用照明装置。
【請求項2】
前記ベースは、厚み方向を貫通する孔を有し、前記筒部の一方の端部の近傍は、前記孔の内部に設けられている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記ベースの厚み方向において、前記筒部の一方の端部は、前記絶縁層の前記ベース側とは反対側の面から突出している請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記ベースの厚み方向において、前記筒部の一方の端部は、前記絶縁層の前記ベース側とは反対側の面と面一、または、前記絶縁層の前記ベース側とは反対側の面と、前記絶縁層の前記ベース側の面と、の間に位置している請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
近年においては、ガソリンや軽油などの燃料の単位体積あたりの走行距離(燃費)の向上、または、電気自動車の航続距離の延長などの観点から、車両用照明装置の軽量化、ひいては車両用照明装置の小型化が求められている。
【0003】
ここで、発光素子を備えた車両用照明装置を点灯させると、発光素子から光が照射されるとともに、発光素子や、発光素子に電気的に接続された抵抗などにおいて熱が発生する。また、車両用照明装置の場合には、車両用照明装置が85℃程度の高温環境に置かれる場合もある。
【0004】
発光素子や抵抗などにおいて発生した熱や、環境温度などによって、点灯させた発光素子の温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子が故障したり、寿命が短くなったりするおそれがある。この場合、車両用照明装置の小型化を図ると、車両用照明装置の熱が伝わる部分の断面積が小さくなるので、発光素子などにおいて発生した熱の放熱がし難くなる。
また、近年においては、車両用照明装置の高光束化も求められており、発光素子などに流す電流を増加させる場合がある。発光素子などに流す電流を増加させると、発光素子などにおいて発生する熱が増加するので、点灯させた発光素子の温度がさらに高くなりやすくなる。
【0005】
そこで、車両用照明装置の小型化と、放熱性の向上とを図ることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-25935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、車両用照明装置の小型化と、放熱性の向上とを図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る車両用照明装置は、導電性を有するソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられ、金属を含むベースと、前記ベースの前記ソケット側とは反対側の面に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の前記ベース側とは反対側の面に設けられた配線パターンと、を有する基板と;前記配線パターンと電気的に接続された発光素子と;前記ソケットに設けられた孔の内部に設けられ、絶縁性を有し、前記基板側の端部が、前記孔の前記基板側の開口よりも前記基板から離隔した位置に設けられた保持部と;前記保持部の内部に設けられ、一方の端部が、前記保持部の前記基板側の端部から突出し、前記配線パターンと電気的に接続された複数の給電端子と;前記複数の給電端子のそれぞれに設けられ、絶縁性を有し、前記保持部の前記基板側の前記端部と、前記基板との間を延びる筒部と;を具備している。前記給電端子は、前記筒部の内部を延び、前記筒部の一方の端部から突出している。前記ベースの厚み方向において、前記筒部の一方の端部の近傍は、前記ベースの内部に位置し、前記筒部の他方の端部は、前記保持部の前記基板側の前記端部に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、車両用照明装置の小型化と、放熱性の向上とを図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】筒部を例示するための模式断面図である。
図4】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1および図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0014】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、例えば、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0015】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、例えば、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、略円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0017】
放熱フィン14は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0018】
コネクタホルダ15は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0019】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。例えば、ソケット10は、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0020】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することがさらに好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0021】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0022】
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、および素子25を有する。
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、ソケット10の一方の端部側に設けられている。基板21は、例えば、伝熱部40の上面に接着される。伝熱部40が設けられない場合には、基板21は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着される。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である。
【0023】
ここで、発光素子22を備えた車両用照明装置1を点灯させると、発光素子22から光が照射されるとともに、発光素子22や、発光素子22に電気的に接続された素子25において熱が発生する。発生した熱は、基板21を介してソケット10に伝わり、ソケット10から外部に放出される。そのため、放熱の観点から、熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。例えば、基板21は、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂などから形成することができる。
【0024】
また、基板21は、メタルコア基板とすることもできる。図2に例示をした基板21は、メタルコア基板である。基板21がメタルコア基板であれば、発光素子22および素子25において発生した熱をソケット10に効率よく伝えることができる。
【0025】
図2に示すように、メタルコア基板である基板21は、ベース21aと絶縁層21bを有する。
ベース21aは、板状を呈し、金属を含んでいる。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの熱伝導率が高い金属とすることができる。
絶縁層21bは、ベース21aの、ソケット10側とは反対側の面に設けることができる。なお、絶縁層21bは、ベース21aの、ソケット10側の面にも設けることができる。絶縁層21bは、絶縁材料から形成することができる。絶縁層21bは、例えば、樹脂などの有機材料から形成することもできるし、セラミックスなどの無機材料から形成することもできる。
【0026】
また、絶縁層21bの、ベース21a側とは反対側の面には、配線パターン21cが設けられている。配線パターン21cは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。また、配線パターン21cの表面に、金や、ニッケル-パラジウム-金などのメッキ処理を施してもよい。
【0027】
また、基板21には、配線パターン21cや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部21eを設けることもできる。例えば、被覆部21eは、基板21の、枠部23が設けられる領域の外側の領域を覆う様に設けることができる。この場合、配線パターン21cの素子25を実装する部分、および、配線パターン21cの、後述する複数の給電端子31を半田付けする部分などは、被覆部21eから露出させることができる。
【0028】
被覆部21eは、例えば、白レジストやガラスなどを含むことができる。被覆部21eが白レジストなどの反射率の高い材料から形成されていれば、発光素子22から出射し、被覆部21eに入射した光を車両用照明装置1の正面側に反射させることができる。そのため、発光素子22から出射した光の利用効率を向上させることができる。
【0029】
発光素子22は、基板21の上に設けられている。発光素子22は、配線パターン21cと電気的に接続されている。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。複数の発光素子22が設けられる場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。
【0030】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることもできるし、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることもできるし、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。図1および図2に例示をした発光素子22は、チップ状の発光素子である。この場合、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、チップ状の発光素子とすることが好ましい。以下においては、一例として、発光素子22がチップ状の発光素子である場合を説明する。
【0031】
チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21cに実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子などとすることができる。図1および図2に例示をしたチップ状の発光素子22は、上下電極型の発光素子である。上部電極型の発光素子の電極、または上下電極型の発光素子の上部電極は、配線21dにより配線パターン21cと電気的に接続することができる。この場合、配線21bは、例えば、ワイヤーボンディング法により接続することができる。フリップチップ型の発光素子22は、配線パターン21cの上に直接実装することができる。
【0032】
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0033】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、基板21の上に接着されている。枠部23に囲まれた領域には発光素子22が配置されている。枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン(Nylon)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0034】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0035】
また、枠部23は、省くこともできる。ただし、枠部23が設けられていれば、発光素子22から照射された光の利用効率を向上させることができる。また、封止部24が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0036】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
なお、枠部23が省かれる場合には、例えば、ドーム状の封止部24が基板21の上に設けられる。
【0037】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0038】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、基板21の上に設けられている。例えば、素子25は、枠部23の周辺に設けることができる。素子25は、配線パターン21cと電気的に接続される。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0039】
素子25は、例えば、抵抗25a、および制御素子25bなどとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0040】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21cと電気的に接続されている。抵抗25aは、配線パターン21cを介して発光素子22と直列接続されている。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗25aは、膜状の抵抗器である。
【0041】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0042】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0043】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0044】
制御素子25bは、基板21の上に設けられている。制御素子25bは、配線パターン21cと電気的に接続される。制御素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。制御素子25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。図1に例示をした制御素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0045】
その他、必要に応じて光学要素を設けることもできる。光学要素は、例えば、封止部24の上に設けることができる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などとすることができる。
【0046】
伝熱部40は、例えば、基板21と、凹部11aの底面11a1との間に設けられている。伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着することができる。伝熱部40と凹部11aの底面11a1とを接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。接着剤は、例えば、基板21と伝熱部40とを接着する接着剤と同じとすることができる。
【0047】
また、伝熱部40は、インサート成形法により、凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)からなる層を介して、凹部11aの底面11a1に取り付けることもできる。熱伝導グリスの種類には特に限定はないが、例えば、変性シリコーンに、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。熱伝導グリスの熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上、5W/(m・K)以下とすることができる。
【0048】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成することができる。
なお、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合などには、伝熱部40を省くこともできる。
【0049】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、保持部32、および筒部33を有する。 複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31は、例えば、所定の方向に並べて設けられる。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21cと半田付けされる。すなわち、複数の給電端子31は、ソケット10の内部に設けられ、一方の端部が配線パターン21cと電気的に接続されている。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0050】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0051】
ここで、発光素子22を点灯させると、発光素子22、および発光素子22に電気的に接続された素子25などにおいて熱が発生する。また、車両用照明装置1の場合には、車両用照明装置1が85℃程度の高温環境に置かれる場合もある。発光素子22などにおいて発生した熱や、環境温度によって、点灯させた発光素子22の温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子22が故障したり、寿命が短くなったりするおそれがある。
【0052】
また、近年においては、車両用照明装置1の高光束化が求められており、発光素子22に流す電流を増加させる場合がある。発光素子22に流す電流を増加させれば、発光素子22および素子25において発生する熱が増加する。
【0053】
またさらに、燃費の向上、または、電気自動車の航続距離の延長などの観点から、車両用照明装置1の軽量化、ひいては車両用照明装置1の小型化が求められている。この場合、ソケット10を小型化すると、ソケット10の中心軸に直交する方向における装着部11の断面積が小さくなる。装着部11の断面積が小さくなると、発光モジュール20と放熱フィン14との間の、熱が伝わる部分の断面積が小さくなるので、発光素子22などにおいて発生した熱が放熱フィン14に伝わり難くなる。そのため、ソケット10の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ると、放熱性が低下するおそれがある。
【0054】
この場合、基板21がメタルコア基板であれば、車両用照明装置1の小型化を図ったとしても、発光素子22および素子25において発生した熱をソケット10に効率よく伝えることができる。
そのため、基板21がメタルコア基板であれば、車両用照明装置1の小型化と、放熱性の向上とを図ることができる。
【0055】
ところが、図1に示すように、給電端子31は、配線パターン21cと半田付けされる。配線パターン21cは、絶縁層21bの、ベース21a側とは反対側の面に設けられている。そのため、給電端子31は、基板21の内部を、基板21の厚み方向に延びている。前述したように、基板21のベース21aは金属を含んでいるので、給電端子31とベース21aが接触すると短絡が生じることになる。
【0056】
そこで、給電部30には、筒部33が設けられている。
図3は、筒部33を例示するための模式断面図である。
図3は、図1における車両用照明装置1のB-B線断面図である。
【0057】
図2および図3に示すように、筒部33は、筒状を呈し、複数の給電端子31のそれぞれに設けられている。筒部33は、例えば、円筒状や角筒状を呈している。給電端子31は、筒部33の内部を延び、筒部33の一方の端部から突出している。ベース21aの厚み方向において、筒部33の一方の端部の近傍は、ベース21aの内部に位置している。例えば、ベース21aは、厚み方向を貫通する孔を有し、筒部33の一方の端部の近傍は、孔の内部に設けることができる。筒部33の一方の端部の近傍は、孔の内部に圧入してもよいし、隙間を介して孔の内部に設けてもよいし、孔の内部に接着してもよい。筒部33の他方の端部は、例えば、保持部32の端部に設けることができる。
【0058】
筒部33は、絶縁性を有する。筒部33は、例えば、セラミックスなどの無機材料、樹脂などの有機材料から形成することができる。筒部33が絶縁性を有していれば、給電端子31と基板21のベース21aとが短絡するのを抑制することができる。
【0059】
車両用照明装置1を小型化すると、基板21の平面寸法が小さくなる場合がある。また、図1に示すように、複数の給電端子31を基板21の辺に沿って並べて設ける場合がある。この様な場合には、基板21の平面寸法に応じて、給電端子31同士の間の寸法を短くする場合がある。筒部33が設けられていれば、給電端子31同士の間の寸法が短くなっても、給電端子31が隣接する給電端子31と短絡するのを抑制することができる。
【0060】
ベース21aの厚み方向において、筒部33の一方の端部は、絶縁層21bのベース21a側とは反対側の面と面一、または、絶縁層21bのベース21a側とは反対側の面と、絶縁層21bのベース21a側の面と、の間に位置するようにしてもよい。
ただし、図3に示すように、ベース21aの厚み方向において、筒部33の一方の端部は、絶縁層21bのベース21a側とは反対側の面から突出する様にすることが好ましい。この様にすれば、給電端子31を配線パターン21cに半田付けした際に、半田がベース21aに到達するのを抑制することができる。
【0061】
また、前述したように、基板21とソケット10との間に伝熱部40が設けられる場合がある。伝熱部40が設けられる場合には、伝熱部40に、筒部33を挿通させるための孔や切り欠きを設けることができる。絶縁性を有する筒部33が設けられていれば、給電端子31と金属を含む伝熱部40とが短絡するのを抑制することができる。
【0062】
以上に説明した様に、基板21がメタルコア基板であり、且つ、筒部33が設けられていれば、車両用照明装置1のさらなる小型化と、放熱性の向上とを図ることができる。
【0063】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0064】
図4は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0065】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0066】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0067】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0068】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図4に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0069】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0070】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0071】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0072】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、20 発光モジュール、21 基板、21a ベース、21b 絶縁層、21c 配線パターン、22 発光素子、25 素子、30 給電部、31 給電端子、33 筒部
図1
図2
図3
図4