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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20250210BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20250210BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250210BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20250210BHJP
【FI】
F21S2/00 311
F21S2/00 350
G01N21/01 D
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020197671
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085794
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】514054029
【氏名又は名称】株式会社飯田照明
(73)【特許権者】
【識別番号】503420833
【氏名又は名称】学校法人常翔学園
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】飯田 史朗
(72)【発明者】
【氏名】板谷 賢二
(72)【発明者】
【氏名】小橋 弘
(72)【発明者】
【氏名】宮原 彰
(72)【発明者】
【氏名】堀江 昌朗
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-118207(JP,A)
【文献】特開2009-289906(JP,A)
【文献】特開2006-087472(JP,A)
【文献】特開2014-210430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G01N 21/01
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を出射する紫外線光源部と、前記紫外線光源部から出射される前記紫外線の照射位置を知らせるガイド光光源部とを備え
前記紫外線光源部から出射された前記紫外線に対して第1光学処理を行う第1光学部材を着脱可能に装着できる第1光学マウント部と、前記第1光学マウント部を通過した前記紫外線に対して第2光学処理を行う第2光学部材を着脱可能に装着できる第2光学マウント部と、前記紫外線光源部とを1つのユニットとして備え、
前記第1光学マウント部は、筒状の第1マウント本体内に前記第1光学部材を収容し、前記第1光学部材は、コリメートレンズと、所定形状の断面形状の第1貫通孔を有する第1ピンホール体とであり、
前記第2光学マウント部は、筒状部内に前記第2光学部材を収容し、前記第2光学部材は、前記第1ピンホール体の前記第1貫通孔と同じ形状であって前記第1貫通孔よりも小さい第2貫通孔を有する第2ピンホール体である
紫外線照射装置。
【請求項2】
前記ガイド光光源部が出射するガイド光は可視光である
請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記紫外線の照射を停止させる非常停止ボタンと、前記非常停止ボタンが作動した際に、前記紫外線光源部から出射された前記紫外線を遮蔽するシャッタとをさらに備える
請求項1又は2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記シャッタは、前記紫外線光源部に対して前記紫外線の光路と直交する方向の一方側に配され、
前記ガイド光光源部は、前記光路と直交する方向の他方側に配されている
請求項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射する照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線照射装置は、例えば、蛍光粒子、蛍光粒子を用いて流体が存在する場において流体の動き/運動を可視化し検査するための検査装置として利用されることがある(例えば、特許文献1)。
この検査装置は、290nm~405nmの主に紫外波長を有する光を照射する1以上の光源と、前記光源から照射された紫外線または可視光を、集束または、発散させるレンズと、流体が存在する場を撮影する撮像部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6713598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置として、紫外線を照射するレーザー装置を利用する場合、その照射位置が分かり難いという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、紫外線のレーザーを照射する場合に、その照射位置が分かりやすい紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である紫外線照射装置は、紫外線を出射する紫外線光源部と、前記紫外線光源部から出射される前記紫外線の照射位置を知らせるガイド光光源部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の紫外線照射装置によれば、ガイド光を出射するため、紫外線の位置が分かりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る照射装置の斜視図であり、(a)は前側上方から見た図であり、(b)は後側上方から見た図である。
図2】照射装置から上筐体を取り外した状態の斜視図であり、(a)は前側上方から見た図であり、(b)は後側上方から見た図である。
図3】上筐体を取り外した照射装置の断面図である。
図4】紫外線光源部、装着板、第1マウント部を光源側ベースから取り外した状態の断面斜視図であり、(a)は前側下方から見た図であり、(b)は後側上方から見た図である。
図5】ガイド光光源部、装着板、第2マウント部をガイド装着部材から取り外した状態の斜視図であり、(a)は前側下方から見た図であり、(b)は後側上方から見た図である。
図6】(a)は第1マウント部の断面図であり、(b)は第1マウント部から第1光学部材、第1固定部材を取り外した状態を後側上方から見た斜視図であり、(c)は第1マウント部から第1光学部材、第1固定部材を取り外した状態を前側下方から見た斜視図である。
図7】第2マウント部を出射口側ベースから取り外した状態の断面斜視図であり、(a)は前側下方から見た図であり、(b)は後側上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る紫外線照射装置は、紫外線を出射する紫外線光源部と、前記紫外線光源部から出射される前記紫外線の照射位置を知らせるガイド光光源部とを備える。
実施形態の別態様に係る紫外線照射装置において、前記ガイド光光源部が出射するガイド光は可視光である。これにより、照射位置が使用者に視認されやすくできる。
実施形態の別態様に係る紫外線照射装置において、前記紫外線光源部から出射された前記紫外線に対して第1光学処理を行う第1光学部材を着脱可能に装着できる第1光学マウント部と、前記第1光学マウント部を通過した前記紫外線に対して第2光学処理を行う第2光学部材を着脱可能に装着できる第2光学マウント部と、前記紫外線光源部とを1つのユニットとして備える。これにより、光軸を合わせる作業等を簡易化できる。
実施形態の別態様に係る紫外線照射装置において、前記第1光学マウント部は、筒状の第1マウント本体内に前記第1光学部材を収容し、前記第1光学部材は、コリメートレンズと、所定形状の断面形状の第1貫通孔を有する第1ピンホール体とであり、前記第2光学マウント部は、筒状部内に前記第2光学部材を収容し、前記第2光学部材は、前記第1ピンホール体の前記第1貫通孔と同じ形状であって前記第1貫通孔よりも小さい第2貫通孔を有する第2ピンホール体である。これにより、ノイズの少ない照射光が得られる。
実施形態の別態様に係る紫外線照射装置において、前記紫外線の照射を停止させる非常停止ボタンと、前記非常停止ボタンが作動した際に、前記紫外線光源部から出射された前記紫外線を遮蔽するシャッタとをさらに備える。これにより、安全性を向上できる。
実施形態の別態様に係る紫外線照射装置において、前記シャッタは、前記紫外線光源部に対して前記紫外線の光路と直交する方向の一方側に配され、前記ガイド光光源部は、前記光路と直交する方向の他方側に配されている。これにより、光路と直交する方向の寸法を小型化できる。
【0009】
<実施形態>
以下に実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
1.全体構成
主に図1図3を用いて説明する。
紫外線照射装置(以下、「照射装置」とする)1は、少なくとも、紫外線を出射する紫外線光源部30と、紫外線光源部30から出射された紫外線の照射位置を知らせるガイド光を出射するガイド光光源部31とを備える。これにより、紫外線の照射位置を把握できる。
主に図2及び図3を用いて説明する。
紫外線を出射する方向を出射方向とし、照射装置1の設置面に対して直交する方向を直交方向とし、出射方向と直交方向とに直交する方向を幅方向とする。ここでは、照射装置1の設置面は水平面であり、出射方向は前後方向(出射する側が前側である)となり、直交方向は上下方向となり、幅方向は左右方向となる。但し、照射装置1の設置の仕方によっては、前後方向、上下方向、左右方向でなくなる場合もある。
紫外線光源部30は光源側ベース32に装着されている。ここでのガイド光光源部31も光源側ベース32に装着されている。これにより、紫外線光源部30とガイド光光源部31の位置合わせを容易に行える。
照射装置1は、紫外線光源部30から出射された紫外線に対して第1光学処理を行う第1光学部材(33,43)を着脱可能に装着できる第1マウント部34を光源側ベース32に備える。これにより、第1光学部材(33,43)と紫外線光源部30との位置(光軸)合わせを容易に行える。さらに、ユーザの用途に合わせた第1光学部材(33,43)又は第1光学部材(33,43)を備える第1マウント部34を準備することで、ユーザが容易に用途に合わせて第1光学部材(33,43)又は第1マウント部34を交換できる。また、第1光学部材(33,43)又は第1マウント部34の交換に際して、交換後の第1光学部材(33,43)又は第1マウント部34と紫外線光源部30との位置合わせが不要となる。
【0010】
照射装置1は、紫外線光源部30から出射され且つ第1マウント部34を通過した紫外線に対して第2光学処理を行う第2光学部材(46)を着脱可能に装着できる第2マウント部36を出射口側ベース37に備える。これにより、ユーザの用途に合わせた第2光学部材又は第2光学部材を備える第2マウント部36を準備することで、ユーザが容易に用途に合わせて第2光学部材又は第2マウント部36を交換できる。また、第2光学部材又は第2マウント部36の交換に際して、交換後の第2光学部材又は第2マウント部36と出射口側ベース37との位置合わせが不要となる。
ここで、第1光学処理、第1光学部材(33,43)、第1マウント部34、第2光学処理、第2光学部材(46)及び第2マウント部36は、互いに区別するために、便宜上「第1」又は「第2」を付し、「第1」を「光源側」とし、「第2」を「出射口側」としてもよい。
光源側ベース32と出射口側ベース37とは主ベース38に固定され、紫外線光源部30、ガイド光光源部31、第1マウント部34及び第2マウント部36が1つのユニット(以下、照射ユニットとする)3として構成される。これにより、照射ユニット3を筐体8に組み込む際に、光軸の調整が容易になり、生産性の向上が図れる。また、一体化されているため、光軸のズレが小さい照射装置1が得られる。結果的に、安価で高品質な照射装置1を提供できる。
【0011】
照射装置1は、照射ユニット3、回路ユニット6及びファンユニット7を筐体8内に備える。ここでの照射装置1は、図外の電源制御装置と電気的に接続され、電源制御装置からの操作により紫外線、ガイド光を出射する。このため、照射装置1は、電源制御装置用のコネクタ5を筐体8に備える。
なお、照射装置1の出射口は、出射口側ベース37の前側に第2マウント部36に装着されると当該第2マウント部36により構成され、第2マウント部36が装着されないと出射口側ベース37に設けられた紫外線用貫通孔371aにより構成される。
以下、各ユニット等について説明する。
【0012】
2.各ユニット
(1)照射ユニット
照射ユニット3は、上述のように、紫外線光源部30、ガイド光光源部31、光源側ベース32、第1マウント部34、第2マウント部36、出射口側ベース37及び主ベース38を備える他、さらに、放熱部40、遮蔽部41を備えてもよい。また、第1マウント部34は、第1光学部材(33,43)を備えてもよいし、備えなくてもよい。第2マウント部36は、第2光学部材(46)を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0013】
(1-1)紫外線出射部
紫外線光源部30は、図4に示すように、紫外線を出射するレーザー(レーザーダイオード)301により構成され、支持板303により支持されている。紫外線光源部30の装着は、光源側ベース32の貫通孔321aにレーザー301が挿入され、後方からレーザー301を支持する支持板303が光源側ベース32に固定されることで行われる。
レーザー301は、例えば、波長が355~395nm、出力が200~500mWである。出射光の形状(レーザー形状)はドットであり、出射光の直径(ビーム径)は1~4mmである。
支持板303はガイド光の光路上に貫通孔303aを有する。
【0014】
(1-2)ガイド光出射部
ガイド光光源部31は、可視光(例えば、赤色光、緑色光、青色光等である)を出射する。ガイド光光源部31は、例えば、LEDやレーザー等により構成される。ここでは、図5に示すように、赤色光を出射するLED311により構成されている。
LED311はガイド装着部材313の貫通孔313aに挿入され、後方からLED311を支持する支持板315がガイド装着部材313に固定される。なお、ガイド装着部材313は光源側ベース32に固定される。
ガイド光光源部31は、紫外線光源部30の光軸と近い位置に配される。ここでは、紫外線の出射方向と直交する上下方向の他方側(上側)に配されている。紫外線がコリメートレンズ33により平行光に変換される場合は、ガイド光の光軸が紫外線と平行となるように、ガイド光光源部31を設けるのが好ましい。これにより、ガイド光を基準して、紫外線の照射位置を高い精度で知ることができる。
ガイド光に対してもガイド光学処理を行ってもよい。この場合、ガイド光学部材をガイドマウント部316に着脱可能に設けてもよい。なお、ガイド光の光学処理についても、第1光学処理と第2光学処理等と同様に、光学処理、光学部材、マウント部に「ガイド光」を付して区別する。
ガイドマウント部316を利用する場合、ガイドマウント部316をガイド装着部材313に対して着脱可能とするのが好ましい。ガイドマウント部316は、その小径部分316aがガイド装着部材313の貫通孔313aの前側部分に嵌合することで、着脱可能に構成される。
なお、ガイドマウント部316は、第1マウント部34と同じ構成をしている。これにより、部品の共通化を図ることができる。ガイド光学部材は、照射装置1の用途、紫外線の仕様、照射面との距離等によって適宜選択できるし、備えないことも選択できる。ガイド光学部材としては、例えば、平行光に変換するコリメートレンズや、集光させる集光レンズ、拡散させる拡散レンズ等のレンズや、ガイド光の形状を調整するガイドピンホール体等がある。
【0015】
(1-3)光源側ベース
光源側ベース32は、図4に示すように、紫外線の出射方向と直交する前板状部321を有している。前板状部321を出射方向(前後方向)に貫通する貫通孔321aを利用して、紫外線光源部30と第1マウント部34とが装着される。
図3に示すように、第1マウント部34が貫通孔321aの前側の大径部分に挿入され、紫外線光源部30が貫通孔321aの後側の小径部分に挿入されている。
光源側ベース32は、前板状部321の左右端部から後方へ延伸する一対の横板状部322を有し、当該横板状部322を利用してガイド光光源部31とガイドマウント部316とが装着される。なお、前板状部321及び横板状部322を区別するため、便宜上、「前」又は「横」を付している。
具体的には、図3に示すように、ガイド光光源部31とガイドマウント部316とを装着するガイド装着部材313が、光源側ベース32の一対の横板状部322に固定される。なお、前板状部321は、ガイド光の光路上に対応する部分に貫通孔321bを有している。
前板状部321及び一対の横板状部322は、下部側が開放する門型状部323の上面に形成され、門型状部323の凹み部分323aに、後述の放熱部40が設けられている。
【0016】
(1-4)第1光学部材及び第1マウント部
主に図6を用いて説明する。
第1光学部材は、照射装置1の用途、紫外線の仕様、照射面との距離等によって適宜選択できる。第1光学部材としては、例えば、平行光に変換するコリメートレンズ33や、集光させる集光レンズ、拡散させる拡散レンズ等のレンズや、紫外線の形状を調整する第1ピンホール体43等がある。ここでは、コリメートレンズ33と第1ピンホール体43とが第1マウント部34の貫通孔341に配されている。
第1マウント部34は、筒状部342を有し、内部を紫外線が通過する。筒状部342の内側には、後側から、第1ピンホール体43、コリメートレンズ33が収容される。筒状部342の外周には段差343が設けられ、小径部分344が光源側ベース32の貫通孔321a(図4参照)に挿入される。これにより、第1マウント部34が光源側ベース32に着脱可能に装着される。なお、第1ピンホール体43、コリメートレンズ33は、交換可能に第1固定部材44により固定される。
第1ピンホール体43は、第1マウント部34の貫通孔341の横断面形状と同じ形状の第1板部431と、第1板部431に設けられた第1貫通孔433とから構成される。第1貫通孔433の形状は、装置の用途により適宜決定され、ここでは円形状をしている。第1貫通孔433の孔径は、紫外線光源部30からの出射光の直径(ビーム径)より小さい。これにより、紫外線光源部30から出射された出射光の形状を整えたり、径小化したりできる。
第1固定部材44は、ここでは、外周面にねじ部(図示省略)441を有するねじ体により構成され、中央部に貫通孔443を、前面にドライバー等の工具用の溝445をそれぞれ有している。第1固定部材44は、第1マウント部34の貫通孔341に形成されたねじ部346に螺合する。
第1ピンホール体43は、第1マウント部34内に収容されるため、第1ピンホール体をコリメートレンズ33と別に設ける場合に比べて、部品点数が削減される。また、第1ピンホール体43の貫通孔443の光軸調整が不要となり、安価な照射装置1が得られる。
第1ピンホール体43、第1固定部材44、第2ピンホール体46及び第2固定部材47は、互いに区別するために、便宜上、「第1」又は「第2」を付している。
【0017】
(1-5)第2光学部材及び第2マウント部
主に、図7を用いて説明する。
第2光学部材は、第1光学部材と同様に、照射装置1の用途、紫外線の仕様、照射面との距離等によって適宜選択できる。第2光学部材としては、例えば、平行光に変換するコリメートレンズや、集光させる集光レンズ、拡散させる拡散レンズ等のレンズや、紫外線の形状を調整する第2ピンホール体46等がある。ここでは、一方の第2マウント部36は第2ピンホール体46を備え、他方の第2マウント部36は第2光学部材を備えない。
第2マウント部36は、筒状部362を有し、内部を紫外線が通過する。筒状部362の内側には、レンズ、第2ピンホール体46が収容可能である。ここでは、後側(紫外線光源部30に近い側)の第2マウント部36に第2ピンホール体46が収容され、第2固定部材47により固定されている(図3参照)。
筒状部362の外周には段差363が設けられ、小径部分364が出射口側ベース37の紫外線用貫通孔371aに嵌合する。これにより、第2マウント部36が出射口側ベース37に着脱可能に装着される。
第2ピンホール体46は、第2マウント部36の貫通孔の横断面形状と同じ形状の第2板部と、第2板部に設けられ第2貫通孔とから構成される。第2貫通孔は、第1貫通孔433の形状と同じである。第2マウント部36が第1マウント部34と同じ構成の場合(兼用する場合)、第2ピンホール体46は、第1ピンホール体43に対して、第2貫通孔の大きさが異なる。
第2ピンホール体46の第2貫通孔は、第1ピンホール体43の第1貫通孔433よりも小さい。これにより、紫外線光源部30から出射された出射光(紫外線)を、ノイズの少ない径小、所定形状(例えば真円)のドット光とすることができる。
第2ピンホール体46は、第2マウント部36内に収容されるため、第2ピンホール体を第2マウント部と別に設ける場合に比べて、部品点数が削減される。また、第2ピンホール体46の第2貫通孔の光軸調整が不要となり、安価な照射装置1が得られる。
第2固定部材47は、ここでは、外周面にねじ部(図示省略)を有するねじ体により構成され、中央部に貫通孔を、前面にドライバー当の工具用の溝をそれぞれ有している。第2固定部材47は、第2マウント部36の貫通孔に形成されたねじ部に螺合する。
第2マウント部36が第1マウント部34と同じ構成の場合(兼用する場合)、第2固定部材47は第1固定部材44と同じ構成となる。
【0018】
(1-6)出射口側ベース
主に、図7を用いて説明する。
出射口側ベース37は、板状部371を有し、紫外線及びガイド光の光路上に紫外線用貫通孔371a及びガイド光用貫通孔371bを有している。紫外線用貫通孔371a及びガイド光用貫通孔371bは、それぞれの光路に沿って、孔径が一定に形成されている。
ここでは、紫外線用貫通孔371aには、後側部分と前側部分との両側に第2マウント部36が装着され、一方の第2マウント部36(後側の第2マウント部36)には第2ピンホール体46が収容されている。なお、他方の第2マウント部36(前側の第2マウント部36)には光学部材が収容されていないが、用途等によっては収容してもよい。
【0019】
(1-7)主ベース
主に、図3を用いて説明する。
主ベース38は、照射装置1の設置面と平行な平板部381により構成される。主ベース38には、前側部分に出射口側ベース37が固定され、出射口側ベース37よりも後方に間隔を置いた部分に光源側ベース32が固定される。
主ベース38において、光源側ベース32との間に放熱部40が設けられ、出射口側ベース37と光源側ベース32との間には遮蔽部41が設けられている。なお、安価で高品質(光軸)の照射装置1の観点からは、放熱部40や遮蔽部41を備えなくてもよい。但し、放熱部40を設けることで、紫外線光源部30の発光効率を高めることができる。遮蔽部41を設けることで、容易に紫外線の出射を一時的に停止したり、安全性を高めたりできる。
【0020】
(1-8)放熱部
放熱部40は、光源側ベース32に熱的に結合された(密着)状態で設けられる第1冷却器401と、第1冷却器401に熱的に結合された(密着)状態で設けられる第2冷却体403とを備える。
第1冷却器401は、例えば、ペルチャ冷却器を利用し、吸熱側を光源側ベース32に、発熱側を第2冷却体403にそれぞれ結合している。
第2冷却体403は、複数のフィンを備えるヒートシンクを利用している。第2冷却体403は、光源側ベース32の門型状部323の内側に配され、門型状部323の上壁部分と第2冷却体403との間に第1冷却器401が配されている。
【0021】
(1-9)遮蔽部
主に、図2及び図3を用いて説明する。
遮蔽部41はモータ411とシャッタ413とを備える。遮蔽部41のモータ411は紫外線の光路の下方に配されている。遮蔽部41のモータ411は支持板415により支持された状態で、支持板415が主ベース38に固定される。これにより、主ベース38と紫外線の光路との間の空間を有効に利用できる。つまり、照射装置1の小型化に寄与している。また、遮蔽部41、紫外線の光路、ガイド光の光路とが上下方向に並ぶため、より一層、装置を小型化できる。
遮蔽部41は、図外の非常停止ボタンが作動した際に、紫外線光源部30から出射された紫外線をシャッタ413で機械的に遮蔽するように構成されている。これにより、安全性を向上できる。
【0022】
(2)コネクタ、回路ユニット、ファンユニット
主に、図2及び図3を用いて説明する。
照射装置1は、図外の電源制御装置用のコネクタ5を筐体8の後壁部815に備える。なお、電源制御装置とは接続ケーブルにより接続される。コネクタ5は、配線51を介して回路ユニット6に接続される。これにより、照射装置1に必要な電力が供給される他、紫外線出射のON/OFF信号、ガイド光出射のON/OFF信号、非常停止信号、紫外線光源部30の出力信号(調光信号)等が回路ユニット6に入力される。なお、回路ユニット6から、紫外線光源部30、ガイド光光源部31、第1冷却器401、遮蔽部41、ファンユニット7に接続される配線の図示は省略している。
【0023】
回路ユニット6は、紫外線光源部30、ガイド光光源部31、ファンユニット7、第1冷却器401に供給する電力を生成したり、各信号に従って各部を制御したりするための回路を有する。なお、回路は、複数の電子部品(図示省略)が基板61に実装されることで構成される。基板61は、光源側ベース32と出射口側ベース37とに跨る状態で固定される。これにより、光源側ベース32と出射口側ベース37との間の空間を有効に利用できる。また、前後方向から見たときに、回路ユニット6をシャッタ413の可動領域と反対側に設けているため、互いに干渉することもない。
ファンユニット7は筐体8の内部の空気を排出する。ファンユニット7は、モータ71とファン73とから構成されている。
【0024】
(3)筐体
主に、図1図3を用いて説明する。
筐体8は、図1に示すように、下筐体81と上筐体82とを備える。照射ユニット3、コネクタ5、回路ユニット6、ファンユニット7は下筐体81に配される。
下筐体81は、図2及び図3に示すように、下壁部811、下前壁部813、後壁部815を有している。
下壁部811には主ベース38が固定される。ここでは、主ベース38と下壁部811とは離間する。これにより、紫外線光源部30からの熱により下壁部811が過度に熱くなるのを防止できる。なお、第2冷却体403と主ベース38との間には空間(隙間)が確保されており、紫外線光源部30からの熱が下壁部811に伝わり難く構成されている。
下前壁部813は欠け部813aを上端側に有する。この欠け部813aに照射ユニット3の第2マウント部36が位置する状態で、下前壁部813は、主ベース38に固定された出射口側ベース37と接続する。なお、下前壁部813には、筐体8の内部に空気が入るための貫通溝813bを有する。
後壁部815にはコネクタ5とファンユニット7と装着されている。
上筐体82は、図1に示すように、上壁部821、側壁部823、上前壁部825を有している。
上前壁部825は欠け部825aを下端側に有する。欠け部825aに照射ユニット3の第2マウント部36が位置する状態で、上筐体82が下筐体81に着脱可能に装着される。
【0025】
<変形例>
以上、実施形態に係る照射装置を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0026】
1.紫外線照射装置
実施形態の照射装置1は、別体の電源制御装置に接続され、電源制御装置により制御されていたが、一体として電源制御装置が組み込まれてもよい。
【0027】
2.照射ユニット
照射ユニット3は、紫外線光源部30、ガイド光光源部31、光源側ベース32、第1光学部材(33,43)、第1マウント部34、第2光学部材(46)、第2マウント部36、出射口側ベース37及び主ベース38を一体で備えていたが、それぞれ別々に備えてもよい。但し、生産性、光軸のずれ等を考慮すると、一体で備えた方がよい。なお、主である紫外線の照射を着目すると、ガイド光光源部は一体で備えなくてもよい。
光源側ベース32、出射口側ベース37及び主ベース38は、別体で構成されていたが、これらのベースのうち、一部又は全部が一体品で構成されてもよい。
照射ユニット3は、第1マウント部34と2個の第2マウント部36を備えていたが、これらすべてを備えなくてもよいし、内部に光学部材を収容しないマウント部を備えてもよい。つまり、これらは、装置の使用目的等により適宜選択されるが、これらを備える装置とした方が適用範囲が広がる。
紫外線を照射する照射ユニットの生産性や品質に着目すると、ガイド光光源部を備えなくてもよい。この場合、紫外線の光軸の調整が煩わしいという課題を解決できる。
【0028】
3.紫外線
紫外線光源部は、レーザーダイオードにより構成されていたが、LEDにより構成されてもよい。
照射面での紫外線の形状は、円形状であったが、四角形等の多角形状であってもよいし、ライン形状であってもよい。これらの形状は、マウント部に収容されるピンホール体の貫通孔の形状によって適宜変更でき、スリット状の貫通孔(貫通溝)を板部に有するスリット体も第1光学部材又は第2光学部材に含まれるとしてもよい。
【0029】
4.ガイド光
(1)実施形態では1個のガイド光光源部31を備えていたが、複数個のガイド光光源部を備えてもよい。
複数個のガイド光を利用する場合、照射される紫外線が平行光であるとガイド光も紫外線と平行となるように設けるのが好ましく、紫外線が拡散光であるとガイド光は拡散光の外周を照射するように設けるのが好ましい。
複数個のガイド光を利用する場合、複数個ガイド光の照射位置を結んで形成される領域内に紫外線の照射位置があるのが好ましい。
(2)実施形態ではガイド光光源は、紫外線光源部の上側に配されていたが、他の位置に配されてもよい。但し、遮蔽部や回路ユニットとの関係で、紫外線光源部を基準して設置面と反対側に設け、設置面側に遮蔽部を設けるのが重量バランス的に好ましい。
なお、設置面と直交する方向の寸法を小さくする場合には、遮蔽部とガイド光光源部を、設置面と直交する直交方向と出射方向とに直交する幅方向に配置するのが好ましい。
(3)ガイド光光源部31は、ガイド装着部材313を介して光源側ベース32に装着しているが、紫外線光源部の熱の影響が少ない場合には直接光源側ベースに装着するようにしてもよい。
また、ガイド光光源部31は、紫外線光源部30の後方に配されていたが、紫外線光源部の前方に配されてもよいし、幅方向に並べて配されてもよい。
【0030】
5.マウント部
第1マウント部34、第2マウント部36及びガイドマウント部316は、同じ構成であってもよいし、別の構成であってもよい。同じ構成の場合、部品の共通化を図ることができる。
前後の第2マウント部36の内、後側の第2マウント部36に第2ピンホール体46を設けていたが、前側の第2マウント部36に第2ピンホール体46を設けてもよいし、前後の第2マウント部36のそれぞれに第2ピンホール体46及び第3ピンホール体を設けてよい。第3ピンホール体を設ける場合、第3ピンホール体の第3貫通孔は、第2貫通孔と同じ形状であって第2貫通孔よりも小さいことが好ましい。
実施形態では、第1マウント部34に第1光学部材(33,43)を収容し、第2マウント部36に第2光学部材(46)を収容していたが、例えば、光源側ベース32に第1マウント部34を設けない場合や第1マウント部34内に第1光学部材(33,43)を収容しない場合、出射口側ベース37に設けられ且つ紫外線光源部30に近い側のマウント部36を第1マウント部とし、当該マウント部に収容される光学部材を第1光学部材としてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 照射装置(紫外線照射装置)
3 照射ユニット
30 紫外線光源部
31 ガイド光光源部
32 光源側ベース
33 コリメートレンズ
34 第1マウント部
36 第2マウント部
37 出射口側ベース
43 第1ピンホール体
46 第2ピンホール体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7