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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】資材搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 5/04 20060101AFI20250210BHJP
   E01B 29/02 20060101ALI20250210BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
B66C5/04
E01B29/02
E01D21/00 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021002044
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107223
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596069911
【氏名又は名称】盟和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 友哉
(72)【発明者】
【氏名】井原 啓知
(72)【発明者】
【氏名】谷口 聖司
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-101492(JP,A)
【文献】特公昭46-028623(JP,B1)
【文献】特開2014-005632(JP,A)
【文献】実開昭61-052682(JP,U)
【文献】特開2017-154882(JP,A)
【文献】特開2020-133165(JP,A)
【文献】特開平10-029795(JP,A)
【文献】特開2004-115179(JP,A)
【文献】特開2020-147955(JP,A)
【文献】実開昭60-003792(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 5/00-7/16
B66C 19/00-23/94
E01B 29/02
E01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺に延びる本体部、及び前記本体部に収容された状態から、前記本体部における長手方向の一端部から前記長手方向の一方側へ伸びることによって手延べ状態へ移行する手延べ部を備える架台と、
前記架台の前記本体部に接続される走行部と、
前記架台の前記本体部に設けられ、前記架台を横方向へ移動可能な横取部と、
前記架台に対して前記長手方向に移動可能に設けられ、前記架台の下方において資材を吊り下げ可能な吊部と、を備え、
前記手延べ部の第1の長尺部材は、前記本体部の第2の長尺部材に収容可能であり、
前記吊部は、前記手延べ部の手延べ状態において、前記本体部の前記第2の長尺部材の上面、及び前記手延べ部の前記第1の長尺部材の上面を移動する、資材搬送装置。
【請求項2】
前記吊部は、前記架台の前記横方向における外側にて、前記資材を吊り下げる吊部材を有する、請求項1に記載の資材搬送装置。
【請求項3】
前記吊部は、
前記架台から前記横方向における外側に張り出して、前記吊部材を支持する張出部材と、
前記張出部材を前記横方向に伸縮させる伸縮機構と、を備える、請求項2に記載の資材搬送装置。
【請求項4】
前記吊部は、前記架台の前記横方向における内側にて、前記資材を吊り下げる吊部材を有する、請求項1に記載の資材搬送装置。
【請求項5】
前記架台は、前記横方向に並ぶ一対の前記第2の長尺部材を有し、
一対の前記長尺部材には、当該一対の前記第2の長尺部材の前記横方向における変位を抑制する変位抑制機構が設けられる、請求項4に記載の資材搬送装置。
【請求項6】
前記吊部は、吊り下げた前記資材を水平面内で回転させる回転機構を備える、請求項4又は5に記載の資材搬送装置。
【請求項7】
前記本体部に対して前記横方向に並ぶように一対の走行ユニットが設けられ、
一対の前記走行ユニットは、前記本体部の高さ位置を調節する高さ調節機構を有する、請求項1~6の何れか一項に記載の資材搬送装置。
【請求項8】
前記架台は、前記本体部に対して前記手延べ部を伸縮させる伸縮ジャッキを有する、請求項1~7の何れか一項に記載の資材搬送装置。
【請求項9】
前記手延べ部の前記長手方向における前記本体部とは反対側の端部に設けられ、前記手延べ部を支持する手延べ支持部を更に備え、
前記手延べ支持部は、地面に設置された状態で前記手延べ部を前記横方向にスライドさせるスライド機構を有する、請求項1~8の何れか一項に記載の資材搬送装置。
【請求項10】
前記手延べ部の前記長手方向における前記本体部とは反対側の端部に設けられ、前記手延べ部を支持する手延べ支持部を更に備え、
前記走行部及び前記手延べ支持部は、伸縮して地面との接触が可能な伸縮機構を有する、請求項1~9の何れか一項に記載の資材搬送装置。
【請求項11】
前記本体部は、前記吊部を前記長手方向にガイドするレールを備え、
前記吊部は、
前記レールに沿って走行する移動ローラと、
前記移動ローラが前記レールから浮き上がる動作に対して反力を発生する反力発生機構と、を有する、請求項1~10の何れか一項に記載の資材搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資材搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、資材を搬送する資材搬送装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の資材搬送装置は、長尺な架台を備えている。架台は、走行部が設けられた本体部と、本体部の端部側から延びている手延べ部と、を備えている。このような資材搬送装置では、本体部及び手延べ部の長尺部材の下側に設けられた吊部にて資材を吊り下げて、当該資材を運んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-101492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、資材搬送装置においては、シンプルな構造にて、吊部の能力を十分に発揮することで、更に重量の重い資材を搬送することが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、シンプルな構造にて、重量の重い資材を搬送することができる資材搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る資材搬送装置は、長尺に延びる本体部、及び本体部における長手方向の一端部から長手方向へ延びるように配置可能な手延べ部を備える架台と、架台の本体部に接続される走行部と、架台の本体部に設けられ、架台を横方向へ移動可能な横取部と、架台に対して長手方向に移動可能に設けられ、架台の下方において資材を吊り下げ可能な吊部と、を備え、吊部は、本体部及び手延べ部の上面を移動する。
【0007】
本発明に係る資材搬送装置では、横取部が、本体部に設けられる。また、手延べ部は、本体部における長手方向の一端部から長手方向に延びることができる。従って、手延べ部の位置で吊部材から資材を降ろす前段階において、横取部を用いて本体部の水平面内における角度を調整することができる。従って、設置位置の角度に合わせて手延べ部の位置が合うように、架台全体の角度調整を行うことができる。ここで、架台の下方において資材を吊り下げ可能な吊部は、本体部及び手延べ部の上面を移動する。このように、吊部が、本体部及び手延べ部の上面を移動することによって、資材の重量が重くなっても、シンプルな構造でありながら本体部及び手延べ部が荷重を支えながら、吊部を長手方向へ走行させることができる。以上より、シンプルな構造にて、重量の重い資材を搬送することができる。
【0008】
吊部は、架台の横方向における外側にて、資材を吊り下げる吊部材を有してよい。この場合、吊部は、架台の横方向における外側にて資材を保持し、外側にて資材を設置することができる。
【0009】
吊部は、架台から横方向における外側に張り出して、吊部材を支持する張出部材と、張出部材を横方向に伸縮させる伸縮機構と、を備えてよい。この場合、伸縮機構で張出部材を横方向に伸縮させるだけのシンプルな構成にて、吊部の位置を調整することができる。
【0010】
吊部は、架台の横方向における内側にて、資材を吊り下げる吊部材を有してよい。この場合、吊部は、架台の横方向における外側にて資材を保持し、外側にて資材を設置することができる。
【0011】
架台は、横方向に並ぶ一対の長尺部材を有し、一対の長尺部材には、当該一対の長尺部材の横方向における変位を抑制する変位抑制機構が設けられてよい。この場合、吊部が重量の重い資材を搬送しているときであっても、変位抑制機構が、一対の長尺部材の横方向における変位を抑制することができる。
【0012】
吊部は、吊り下げた資材を水平面内で回転させる回転機構を備えてよい。この場合、吊部は、搬送時とは異なる角度にて、資材を設置することができる。
【0013】
本体部に対して横方向に並ぶように一対の走行ユニットが設けられ、一対の走行ユニットは、本体部の高さ位置を調節する高さ調節機構を有してよい。この場合、地面が横方向に傾斜しているときであっても、高さ調節機構が本体部の横方向の両側で本体部の高さを調整することで、本体部を水平な状態に維持することができる。
【0014】
架台は、本体部に対して手延べ部を伸縮させる伸縮ジャッキを有してよい。この場合、伸縮ジャッキが伸縮を繰り返すことで、シンプルな構成にて、本体部に対する手延べ部の長さを調整できる。
【0015】
資材搬送装置は、手延べ部の長手方向における本体部とは反対側の端部に設けられ、手延べ部を支持する手延べ支持部を更に備え、手延べ支持部は、地面に設置された状態で手延べ部を横方向にスライドさせるスライド機構を有してよい。この場合、スライド機構は、手延べ部の横方向の位置を微調整することができる。
【0016】
資材搬送装置は、手延べ部の長手方向における本体部とは反対側の端部に設けられ、手延べ部を支持する手延べ支持部を更に備え、走行部及び手延べ支持部は、伸縮して地面との接触が可能な伸縮機構を有してよい。この場合、作業工程に応じて伸縮機構を地面と接触させることで、走行部を地面に対して動かないようにし、手延べ部を手延べ支持部で支持することができる。
【0017】
本体部は、吊部を長手方向にガイドするレールを備え、吊部は、レールに沿って走行する移動ローラと、移動ローラがレールから浮き上がる動作に対して反力を発生する反力発生機構と、を有してよい。この場合、反力発生機構が発生する反力によって、資材の重量が重くなった場合であっても、吊部の移動ローラの浮き上がりを抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シンプルな構造にて、重量の重い資材を搬送することができる資材搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る資材搬送装置を示す側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る資材搬送装置の平面図である。
図3図3(a)は、資材搬送装置の手延べ途中の状態を示す側面図である。図3(b)は、資材搬送装置の手延べ状態を示す側面図である。
図4図1のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5(a)は、手延べ部を伸ばす前段階(図1に示す状態)における伸縮ジャッキの様子を示す概略拡大断面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す状態から、伸縮ジャッキを伸ばした状態を示す拡大断面図である。
図6】変位抑制機構を長手方向から見た拡大図である。
図7】スライド機構を長手方向から見た拡大図である。
図8図8(a)は、カントが形成された地面に対する走行ユニットの状態を示す概念図であり、図8(b)(c)は高さ調節機構の内部構造を示す拡大断面図である。
図9】回転機構の動作を示す平面図である。
図10】回転機構を示す拡大図である。
図11図11(a)は、第2実施形態に係る資材搬送装置を示す側面図であり、図11(b)は、本発明の第2実施形態に係る資材搬送装置の平面図である。
図12】吊部を長手方向から見た図である。
図13】は、吊部の吊り位置調整機構を上方から見た図である。
図14】は、反力発生機構を長手方向から見た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る資材搬送装置を示す側面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る資材搬送装置の平面図である。図3(a)は、資材搬送装置の手延べ途中の状態を示す側面図である。図3(b)は、資材搬送装置の手延べ状態を示す側面図である。図4は、図1のIV-IV線に沿った断面図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、資材搬送装置100は、資材W1を吊り下げて所定の位置まで搬送する装置である。資材搬送装置100は、架台2と、旋回式走行部3A,3B(走行部、横取部)と、吊部6A,6Bと、手延べ支持部7を備えている。資材搬送装置100は、地面の上を走行する。
【0023】
架台2は、資材W1を搬送する方向に延びる長尺の部材である。なお、架台2が延びる方向を「長手方向D1」と称する場合がある。水平方向において長手方向D1と直交する方向を「横方向D2」と称する場合がある。ここで、長手方向D1のうち、資材W1を搬送する側を「前」とし、反対側を「後」と称する場合がある。また、横方向D2において、資材搬送装置100の中央位置側を「内側」と称し、中央位置から遠ざかる側を「外側」と称する場合がある。
【0024】
架台2は、長手方向D1における両端に旋回式走行部3A,3Bが設けられる本体部2Aと、本体部2Aにおける前側の端部から長手方向D1へ延びるように配置可能な手延べ部2Bと、を備える。手延べ部2Bは、本体部2Aに収容された状態(図1の状態)から、前側へ伸びることによって手延べ状態(図3(b)の状態)へ移行することができる。
【0025】
架台2の本体部2Aは、横方向D2における両端側において長手方向D1に真っ直ぐに延びる一対の長尺部材11を備える。長尺部材11は、少なくとも資材W1よりも長手方向D1に長く延びている。長尺部材11は、横方向D2に並ぶように、互いに離間した状態で配置される。架台2の手延べ部2Bは、横方向D2における両端側において長手方向D1に真っ直ぐに延びる一対の長尺部材12を備える。長尺部材12は、少なくとも資材W1よりも長手方向D1に長く延びている。各長尺部材12は、長手方向D1に移動可能な態様で、各長尺部材11内に収容されるように配置されている。
【0026】
長尺部材11,12の構成について図4を参照して詳細に説明する。図4に示すように、長尺部材12は、角材によって構成されている。また、長尺部材11は、長尺部材12を横方向D2の両側から挟むようにして保持する一対のH型鋼11A,11Bによって構成されている。長尺部材12の上面のうち、H型鋼11A,11Bの上側のフランジ部から露出する部分には、レール14が設けられている。また、横方向D2の外側のH型鋼11Aの上面には、レール16が設けられている。レール14,16は、長手方向D1に真っ直ぐに延びる。
【0027】
図1に示すように、旋回式走行部3A,3Bは、架台2の本体部2Aの長手方向D1の両端部に接続される。旋回式走行部3A,3Bは、地面を長手方向D1に走行する。これにより、架台2全体が、長手方向D1に移動することができる。旋回式走行部3A,3Bは、支持部21及び車輪22を有する走行ユニット20を有する。支持部21は、架台2の本体部2Aの長尺部材11から下方へ延びる。車輪22は、支持部21の下端に設けられ、地面と接触する。旋回式走行部3A,3Bは、横方向D2の両側の長尺部材11に対して走行ユニット20を有している。また、旋回式走行部3A,3Bは、長手方向D1に二組の走行ユニット20を有している。従って、旋回式走行部3A,3Bは、それぞれ四つの走行ユニット20を有している。
【0028】
車輪22は、上下方向に延びる回転軸周りに旋回することができる。従って、旋回式走行部3A,3Bは、進行方向を変更することができる。例えば、旋回式走行部3A,3Bが図1に示す状態から90°旋回した場合(図4に示す状態)、横方向D2へ走行可能となる。この場合、架台2全体が横方向D2へ移動することができる。従って、旋回式走行部3A,3Bは、架台2の本体部2Aに設けられ、架台2を横方向D2へ移動可能な横取部として機能する。
【0029】
旋回式走行部3A,3Bは、伸縮して地面との接触が可能な伸縮機構23を有する。伸縮機構23は、例えばウォームジャッキによって構成される。伸縮機構23は、前側の走行ユニット20と後側の走行ユニットとの間に設けられる。伸縮機構23が縮んでいる状態(図1に示す状態)では、伸縮機構23の下端は、地面から離間している。この場合、旋回式走行部3A,3Bは、伸縮機構23に阻害されることなく走行することができる。一方、伸縮機構23が伸びている状態(図3(a)(b)に示す状態)では、伸縮機構23の下端は、地面に接触する。これにより、旋回式走行部3A,3Bを介して本体部2Aが地面に固定される。
【0030】
図4を参照して、旋回式走行部3Bの構成について詳細に説明する。なお、旋回式走行部3Aは、旋回式走行部3Bと同趣旨の構成を有している。走行ユニット20の支持部21は、上から順に梁部材26と、柱部材27と、高さ調節機構28と、駆動部29と、旋回軸部31と、走行駆動機構32と、を備える。
【0031】
梁部材26は、本体部2Aの長尺部材11及び手延べ部2Bの長尺部材12の下側において横方向D2に延びて、これらの長尺部材11,12を支持する部材である。柱部材27は、梁部材26の横方向D2の外側の端部から下方へ延びる部材である。このように、柱部材27を横方向D2の外側へ寄せることで、横方向D2の両側の柱部材27間に、資材W1を吊り下げておくための広いスペースSPを確保することができる。当該スペースSP1の横方向D2の大きさは、両側の長尺部材11のH型鋼11B間のスペースSP2よりも大きい。高さ調節機構28は、柱部材27の下端に設けられる。高さ調節機構28は、地面からの本体部2Aの高さ位置を調節する機構である。高さ調節機構28の詳細な構造については後述する。
【0032】
駆動部29は、高さ調節機構28の下端に設けられる。旋回軸部31は、車輪22を旋回させるための回転軸(不図示)を備えた機構である。旋回軸部31は、上下方向に延びる回転軸と、当該回転軸を回転可能に支持する軸受部と、を備える。駆動部29は、旋回軸部31の回転軸を介して、車輪22を旋回させるための駆動力を付与する。駆動部29には、筐体の内部にモータが収容されている。走行駆動機構32は、回転軸32aで車輪22を回転可能に支持すると共に、車輪22に対して走行のための駆動力を付与する機構である。走行駆動機構32は、モータと、モータの駆動力を車輪22に伝達する伝達機構を有している。
【0033】
図1及び図2に示すように、吊部6A,6Bは、架台2に対して長手方向D1に移動可能に設けられ、架台2の下方において資材W1を吊り下げ可能な機構である。吊部6A,6Bは、本体部2A及び手延べ部2Bの上面2Aa,2Baを移動する。吊部6A,6Bは、本体部2Aの上面2Aaを移動すると共に、本体部2Aから手延べ部2Bに乗り替えて、手延べ部2Bの上面2Baを移動する。吊部6A,6Bは、一対の移動部34と、連結部36と、一対の昇降部37と、一対の吊部材38と、を備える。一対の移動部34は、横方向D2の両側の長尺部材11,12に対してそれぞれ設けられ、当該長尺部材11,12に沿って長手方向D1に移動する。連結部36は、一対の移動部34同士を連結する。連結部36は、各移動部34から上方へ立ち上がると共に、横方向D2に延びる。昇降部37は、吊部材38の巻き取り及び巻き出しを行う装置である。これにより、昇降部37は、資材W1を昇降させることができる。昇降部37は、連結部36のうち、横方向D2に延びる部分に設けられる。吊部材38は、昇降部37から下方に延びて、資材W1を吊り下げる部材である。本実施形態では、吊部材38は、架台2の横方向D2における内側にて、資材W1を吊り下げる。
【0034】
図4を参照して、吊部6Bの構成について詳細に説明する。なお、吊部6Aは、吊部6Bと同趣旨の構成を有している。移動部34は、本体部用移動ローラ34aと、手延べ部用移動ローラ34bと、ベース部34cと、を備える。本体部用移動ローラ34aは本体部2Aのレール16の上側に配置され、手延べ部用移動ローラ34bは手延べ部2Bのレール14の上側に配置される。本体部用移動ローラ34aは、本体部2Aのレール16にガイドされながら長手方向D1に移動するローラである。手延べ部用移動ローラ34bは、手延べ部2Bのレール14にガイドされながら長手方向D1に移動するローラである。手延べ部用移動ローラ34bは、手延べ部2Bが本体部2Aから張り出した箇所まで移動すると、レール14と接触する。これにより、移動部34は、本体部2Aから手延べ部2Bに乗り替える。ベース部34cは、本体部用移動ローラ34a及び手延べ部用移動ローラ34bを回転可能に支持する部材である。
【0035】
連結部36は、各移動部のベース部34cから上方へ立ち上がる柱部36aと、柱部36c同士を連結する梁部36bと、を有する。梁部36bは、各柱部36aの上端の位置において横方向D2に延びる。昇降部37は、公知のホイストなどによって構成されてよい。一対の昇降部37は、梁部36bに沿って横方向D2に移動可能である。これにより、昇降部37は、吊部材38によって資材W1を吊る位置を調整することができる。吊部材38は、昇降部37から下方へ延びて、下端部に資材W1に固定させるための金具38aを有する。
【0036】
図1に示すように、手延べ支持部7は、手延べ部2Bの長手方向D1における本体部2Aとは反対側(前側)の端部2Bbに設けられ、手延べ部2Bを支持する。手延べ支持部7は、両側の長尺部材12から下方へ延びる柱部材41と、横方向D2に延びて長尺部材12を連結する梁部材42(図2参照)と、を備える。
【0037】
手延べ支持部7は、伸縮して地面との接触が可能な伸縮機構43を有する。伸縮機構43は、例えばウォームジャッキによって構成される。伸縮機構43が縮んでいる状態(図1に示す状態)では、伸縮機構43の下端は、地面から離間している。この場合、手延べ部2Bは、手延べ支持部7によって阻害されることなく移動することができる。一方、伸縮機構43が伸びている状態(図3(b)に示す状態)では、伸縮機構43の下端は、地面に接触する。これにより、手延べ支持部7を介して手延べ部2Bが地面に固定される。
【0038】
次に、図1及び図3を参照して、資材搬送装置100による資材W1の搬送及び資材W1の設置の手順について説明する。資材W1の設置位置H(図3参照)は、他の個所よりも一段低くなっている。
【0039】
まず、資材W1を受け取って吊部6A,6Bで吊り下げるための資材受け取り工程が実行される。資材受け取り工程では、図1に示すように、伸縮機構23,43を縮めておくことで、地面と接触しないようにしておく。これによって、旋回式走行部3A,3Bによって架台2全体を長手方向D1及び横方向D2へ移動させることが可能となる。資材W1が資材搬送装置100に対して横方向D2に配置されている場合、旋回式走行部3A,3Bは、車輪22を横方向D2側へ向けて旋回させる。旋回式走行部3A,3Bは横方向D2へ走行し、架台2全体を資材W1の上方まで移動させる。また、吊部6A,6Bは、吊部材38を巻き出して、資材W1を固定し、吊部材38を巻き取って資材W1を持ち上げる。旋回式走行部3A,3Bは横方向D2へ走行し、架台2全体を搬送場所まで戻す。これによって、資材受け取り工程が完了する。
【0040】
次に、資材搬送装置100全体を長手方向D1の前側に移動させることで、設置位置Hまで資材W1を搬送する資材搬送工程が実行される。当該工程では、旋回式走行部3A,3Bの車輪22を長手方向D1に向けて旋回させて、長手方向D1へ走行し、架台2全体を長手方向D1へ移動させる。架台2が設置位置Hの手前まで到着したら、架台2を停止する。
【0041】
次に、架台2の水平面内における角度を設置位置Hに合わせて調整する角度調整工程が実行される。この工程では、架台2の水平面内における角度を、設置位置Hの角度に合わせる。当該調整は、旋回式走行部3A,3Bの車輪22を横方向D2に向けて旋回させる。このとき、前側の旋回式走行部3Bの車輪22の駆動方向及び駆動量と、後側の旋回式走行部3Aの車輪22の駆動方向及び駆動量とを異なるものとすることで、架台2の細かい角度調整を行うことができる。
【0042】
次に、図3に示すように、架台2の本体部2Aから手延べ部2Bを設置位置H側へ向かって伸ばす手延べ工程が実行される。このとき、手延べ部2Bを伸ばす前段階では、手延べ部2Bの先端部の手延べ支持部7の伸縮機構43を縮めることで地面から離間させておく。一方、手延べ部2Bを伸ばす前段階では、旋回式走行部3A,3Bの伸縮機構23を伸ばすことで地面に接触させる。これにより、本体部2Aを地面に固定する。その後、手延べ部2Bを本体部2Aから伸ばし(図3(a))、手延べ部2Bの先端部を設置位置Hよりも前方に配置する(図3(b))。当該位置において手延べ支持部7の伸縮機構43を伸ばすことで、手延べ支持部7の下端を地面の上で支持する。
【0043】
次に、図6に示すように、吊部6A,6Bを設置位置H側へ移動させて、本体部2Aから手延べ部2Bへ移し替えることにより資材W1を設置位置Hの上方へ移動させる資材縦取り工程が実行される。当該工程では、資材W1を吊り下げた状態の吊部6A,6Bが設置位置H側へ移動することで、本体部2Aで支持された状態から手延べ部2Bへ支持された状態へ移行し、資材W1が設置位置Hの上方へ到達したら、吊部6A,6Bの移動を止める。
【0044】
次に、資材W1を設置する設置工程が実行される。当該工程では、吊部6A,6Bの吊部材38を巻き出すことによって資材W1を降ろし、設置位置Hに設置する。そして、吊部6A,6Bと資材W1との固定を解除する。
【0045】
以上の工程が終わった後、手延べ支持部7の伸縮機構43を縮めて、手延べ部2Bを縮めることによって本体部2A中に収納する。その後、旋回式走行部3A,3Bの伸縮機構23を縮める。旋回式走行部3A,3Bは長手方向D1に移動して、架台2を移動させることで次の資材W1を受け取りに行く。
【0046】
なお、直線状の走行路の設置位置Hに資材を設置する場合は、上述の工程の内、角度調整工程が省略される。
【0047】
次に、資材搬送装置100の更に詳細な構成について説明する。
【0048】
図1に示すように、架台2は、本体部2Aに対して手延べ部2Bを伸縮させる伸縮ジャッキ50を有する。伸縮ジャッキ50は、本体部2Aの長尺部材11から手延べ部2Bの長尺部材12が張り出す量を調整することができる。伸縮ジャッキ50は、両側の長尺部材11,12に対してそれぞれ設けられる。
【0049】
図5を参照して、伸縮ジャッキ50の詳細な構成について説明する。図5(a)は、手延べ部2Bを伸ばす前段階(図1に示す状態)における伸縮ジャッキ50の様子を示す概略拡大断面図である。図5(b)は、図5(a)に示す状態から、伸縮ジャッキ50を伸ばした状態を示す拡大断面図である。図5(a)に示すように、伸縮ジャッキ50は、シリンダ51と、ピストンロッド52と、固定部53,54と、を備える。シリンダ51は、油圧によってピストンロッド52を進退させる。シリンダ51の後側の端部は、固定部53を介して本体部2Aの長尺部材11に固定される。固定部53は、少なくとも手延べ部2Bの長尺部材12の後側の端部12aよりも後側にて、長尺部材11の内部に固定される。固定部53は、一対のH型鋼11A,11B間の空間(図4参照)に配置された状態で固定される。ピストンロッド52は、シリンダ51の前側の端部から前方へ向かって延びる部材である。ピストンロッド52の後側の端部は、シリンダ51内に配置されるピストン(不図示)に接続される。ピストンロッド52の前側の端部は、固定部54を介して手延べ部2Bの長尺部材12に固定される。
【0050】
図5(b)に示すように、シリンダ51内のピストンが前側に押されると、シリンダ51の前側の端部からピストンロッド52が前側に押し出される。これにより、伸縮ジャッキ50全体が伸びる。シリンダ51は固定部53によって本体部2Aに固定されているため、ピストンロッド52が前側に押し出されることによって、手延べ部2Bが固定部54と共に前側へ移動する。これにより、図3(a)に示すように、ピストンロッド52が伸び切る位置まで、手延べ部2Bを前側へ移動させる。その後、固定部53の本体部2Aに対する固定を解除する。また、シリンダ51がピストンロッド52を引き戻すことで、伸縮ジャッキ50を縮める。このとき、固定部54が手延べ部2Bに固定されているため、固定部53が前側へ移動する。固定部53は、移動後の位置にて、再び本体部2Aに固定される。そして、伸縮ジャッキ50が再び伸びることで、図5(b)に示すように、手延べ部2Bが更に前側へ移動する。
【0051】
図1に示すように、一対の長尺部材11には、当該一対の長尺部材11の横方向D2における変位を抑制する変位抑制機構60が設けられる。図2に示すように、変位抑制機構60は、一対の移動部61と、変位抑制部62と、を備える。移動部61は、それぞれの長尺部材11に沿って長手方向D1に移動する部分である。変位抑制部62は、横方向D2に延びて一対の移動部61同士を連結すると共に、長尺部材11の横方向D2における変位を抑制する部分である。変位抑制機構60は、吊部6Aと連結されることで、吊部6Aが移動する事に伴って長手方向D1に移動する。変位抑制機構60は、図3(a)に示すように、吊部6Aが本体部2Aを走行しているときは、当該吊部6Aと共に長手方向D1に移動する。図3(b)に示すように、吊部6A及び変位抑制機構60が本体部2Aの前側の端部へ到達すると、吊部6Aは、手延べ部2Bに乗り移る。このとき、変位抑制機構60は、吊部6Aから切り離され、当該位置にて停止する。切り離しは、例えば、磁石や機構などによって変位抑制機構60を停止位置にて保持することなどによって行われる。なお、吊部6Aが本体部2Aへ戻ると、変位抑制機構60と再び連結する。
【0052】
図6を参照して、変位抑制機構60の詳細な構成について説明する。図6は、変位抑制機構60を長手方向D1から見た拡大図である。図6に示すように、移動部61は、それぞれの長尺部材11のレール16上を回転移動する移動ローラによって構成される。移動部61は、横方向D2の両側に鍔部を有することで、レール16に対する横方向D2のずれを抑制できる。変位抑制部62は、伸縮ジャッキ63と、一対の連結部材64と、一対の水平ローラ66と、を有する。伸縮ジャッキ63は、変位抑制部62全体の横方向D2の長さを調整する部材である。連結部材64は、伸縮ジャッキ63の横方向D2の外側の端部と、移動部61と、を連結する部材である。水平ローラ66は、伸縮ジャッキ63の横方向D2の外側の端部に設けられ、上下方向に延びる回転軸を有するローラである。水平ローラ66は、本体部2Aの横方向D2の内側のH型鋼11Bのフランジ部と接触し、当該フランジ部に沿って回転移動するローラである。伸縮ジャッキ63は、両側のH型鋼11Bの横方向D2の距離が一定に保たれるように、伸縮ジャッキ63の長さを調整すると共に当該長さで維持する。吊部6A,6Bは架台2の横方向D2における内側にて資材W1を吊り下げるため、長尺部材11が横方向D2における内側に変位しようとする。これに対し、変位抑制部62の水平ローラ66が定められた位置にてH型鋼11Bと接触することで、当該H型鋼11Bの変位を抑制する。
【0053】
図1に示すように、手延べ支持部7は、地面に設置された状態で手延べ部2Bを横方向D2にスライドさせるスライド機構70を有する。スライド機構70は、手延べ部2Bの両側の長尺部材12の前側の端部を横方向D2に微調整することができる。
【0054】
図7を参照して、スライド機構70の詳細な構成について説明する。図7は、スライド機構70を長手方向D1から見た拡大図である。図7に示すように、スライド機構70は、伸縮ジャッキ71と、一対の手延べ部用スライド部材72と、一対の手延べ支持部用スライド部材73と、を備える。伸縮ジャッキ71の一方側の端部は、手延べ部2Bの一方の長尺部材12の側面に連結される。伸縮ジャッキ71の他方の端部は、手延べ支持部7の梁部材42の上面に連結される。手延べ部用スライド部材72は、手延べ部2Bの長尺部材12の下面に固定される板状部材である。手延べ支持部用スライド部材73は、手延べ支持部7の梁部材42の上面のうち、長尺部材12に対応する位置に固定される。手延べ部用スライド部材72の下面と手延べ支持部用スライド部材73の上面とは、互いに横方向D2にスライド可能に面接触している。これらの接触面は、テフロン加工などによって滑り易い面として構成されてよい。
【0055】
伸縮ジャッキ71が伸びると、長尺部材12との連結部が、横方向D2の一方側(図7における右側)へ移動する。これにより、手延べ部2B全体が、地面に対して不動な状態である梁部材42に対して、横方向D2の一方側へスライドする。伸縮ジャッキ71が縮むと、長尺部材12との連結部が、横方向D2の他方側(図7における左側)へ移動する。これにより、手延べ部2B全体が、地面に対して不動な状態である梁部材42に対して、横方向D2の他方側へスライドする。
【0056】
図1に示すように、旋回式走行部3A,3Bの各走行ユニット20には、前述の高さ調節機構28が設けられている。従って、走行部3A,3Bは、横方向D2の両側における本体部2Aの長尺部材11の地面からの高さ位置を調整することができる。
【0057】
高さ調節機構28の構成について、図8を参照して詳細に説明する。図8(a)は、カントが形成された地面F1に対する走行ユニット20の状態を示す概念図である。図8(b)(c)は高さ調節機構28の内部構造を示す拡大断面図である。カントとは、軌道や道路の曲線部において、外側のレールまたは地面F1を内側よりも高くすること、またはその高低差のことを意味する。図8(a)に示すように、地面F1は、横方向D2の一方側(図8(a)における右側)の方が、他方側(図8(a)における左側)より高くなるように傾斜している。この場合、両側の長尺部材11,12を水平方向に平行な状態(上下方向の位置が同じ状態)とするためには、地面F1の傾斜に合わせて長尺部材11,12の高さ位置を調整する必要がある。従って、各走行ユニット20の高さ調節機構28は、走行ユニット20の長さ、すなわち長尺部材11,12と地面F1との間の上下方向の距離を調整する。地面F1が低い位置にある横方向D2の他方側の高さ調節機構28は、一方側の高さ調節機構28よりも上下方向に長くなるように構成される。
【0058】
具体的に、図8(b)(c)に示すように、高さ調節機構28は、ロッド部76と、シリンダ部77と、を有する。ロッド部76は、走行ユニット20の上側の部材に固定され、上側からシリンダ部77に挿入される。シリンダ部77は、走行ユニット20の下側の部材に固定され、ロッド部76を上下方向にスライド可能に収容する。図8(b)は、図8(a)における横方向D2の他方側の高さ調節機構28を示す。図8(c)は、図8(b)における横方向D2の一方側の高さ調節機構28を示す。図8(b)に示すように、ロッド部76の下端部がシリンダ部77の上端付近まで移動することで、高さ調節機構28の長さが長くなる。また、図8(c)に示すように、ロッド部76の下端部がシリンダ部77の下端付近まで移動することで、高さ調節機構28の長さが短くなる。
【0059】
ここで、図9に示すように、資材搬送装置100は、長尺な資材W2を横方向D2に延びる状態で配置してよい。これに対し、吊部6A,6Bは、吊り下げた資材W2を水平面内で回転させる回転機構80を備える。吊部6A,6Bは、互いに長手方向D1に近接した状態で、両者で一つの回転機構80を吊り下げる。図9(a)に示すように、吊部6A,6Bは、資材W2を長手方向D1に延びた状態で吊り下げて搬送する。図9(b)に示すように、吊部6A,6Bは、設置位置において、回転機構80で資材W2を90°回転させる。これにより、吊部6A,6Bは、資材W2を横方向D2に延びた状態とする。吊部6A,6Bは、当該状態の資材W2を設置位置に設置する。
【0060】
図10を参照して、回転機構80について詳細に説明する。図10は、回転機構80を示す拡大図である。図10に示すように、回転機構80は、回転部81と、保持部82と、を備える。回転部81は、資材W2を回転させる部分である。回転部81は、内部にギアなどが収容されたギアボックス81aと、ギアボックス81aに回転駆動力を付与する駆動部81bと、を備える。ギアボックス81aは、上端側にて吊部材38と固定される。ギアボックス81aは、上下方向に延びる回転軸周りに下板81cを水平面内で回転させる。保持部82は、資材W2を保持する部材である。保持部82は、上端部を下板81cに固定される。保持部82は、下端部にて資材W2と連結される。これにより、回転部81が下板81cを回転させることによって、保持部82を介して資材W2を回転させる。
【0061】
次に、本実施形態に係る資材搬送装置100の作用・効果について説明する。
【0062】
本実施形態に係る資材搬送装置100では、旋回式走行部3A,3B(横取部)が、本体部2Aに設けられる。また、手延べ部2Bは、本体部2Aにおける長手方向D1の前側の端部から長手方向D1に延びることができる。従って、手延べ部2Bの位置で吊部材38から資材W1を降ろす前段階において、旋回式走行部3A,3Bを用いて本体部2Aの水平面内における角度を調整することができる。従って、設置位置の角度に合わせて手延べ部2Bの位置が合うように、架台2全体の角度調整を行うことができる。ここで、架台2の下方において資材W1を吊り下げ可能な吊部6A,6Bは、本体部2A及び手延べ部2Bの上面2Aa,2Baを移動する。このように、吊部6A,6Bが、本体部2A及び手延べ部2Bの上面2Aa,2Baを移動することによって、資材W1の重量が重くなっても、シンプルな構造でありながら本体部2A及び手延べ部2Bが荷重を支えながら、吊部6A,6Bを長手方向D1へ走行させることができる。以上より、シンプルな構造にて、重量の重い資材W1を搬送することができる。
【0063】
吊部6A,6Bは、架台2の横方向D2における内側にて、資材W1を吊り下げる吊部材38を有してよい。この場合、吊部6A,6Bは、架台2の横方向D2における外側にて資材W1を保持し、外側にて資材W1を設置することができる。
【0064】
架台2は、横方向D2に並ぶ一対の長尺部材11を有し、一対の長尺部材11には、当該一対の長尺部材11の横方向D2における変位を抑制する変位抑制機構60が設けられてよい。この場合、吊部6A,6Bが重量の重い資材W1を搬送しているときであっても、変位抑制機構60が、一対の長尺部材11の横方向D2における変位を抑制することができる。
【0065】
吊部6A,6Bは、吊り下げた資材W1を水平面内で回転させる回転機構80を備えてよい。この場合、吊部6A,6Bは、搬送時とは異なる角度にて、資材W2を設置することができる。
【0066】
本体部2Aに対して横方向D2に並ぶように一対の走行ユニット20が設けられ、一対の走行ユニット20は、本体部2Aの高さ位置を調節する高さ調節機構28を有してよい。この場合、地面が横方向に傾斜しているときであっても、高さ調節機構28が本体部2Aの横方向D2の両側で本体部2Aの高さを調整することで、本体部2Aを水平な状態に維持することができる。
【0067】
架台2は、本体部2Aに対して手延べ部2Bを伸縮させる伸縮ジャッキ50を有してよい。この場合、伸縮ジャッキ50が伸縮を繰り返すことで、シンプルな構成にて、本体部2Aに対する手延べ部2Bの長さを調整できる。
【0068】
資材搬送装置100は、手延べ部2Bの長手方向D1における本体部2Aとは反対側の端部に設けられ、手延べ部2Bを支持する手延べ支持部7を更に備え、手延べ支持部7は、地面に設置された状態で手延べ部を横方向にスライドさせるスライド機構70を有してよい。この場合、スライド機構70は、手延べ部2Bの横方向D2の位置を微調整することができる。
【0069】
資材搬送装置100は、手延べ部2Bの長手方向D1における本体部2Aとは反対側の端部に設けられ、手延べ部2Bを支持する手延べ支持部7を更に備え、走行部3A,3B及び手延べ支持部7は、伸縮して地面との接触が可能な伸縮機構23,43を有してよい。この場合、作業工程に応じて伸縮機構23,43を地面と接触させることで、走行部3A,3Bを地面に対して動かないようにし、手延べ部2Bを手延べ支持部7で支持することができる。
【0070】
〔第2実施形態〕
図11図14は、第2実施形態に係る資材搬送装置100を示す図である。図11(a)は、第2実施形態に係る資材搬送装置100を示す側面図である。図11(b)は、本発明の第2実施形態に係る資材搬送装置100の平面図である。図12は、吊部6Bを長手方向D1から見た図である。図13は、吊部6Bの吊り位置調整機構90を上方から見た図である。図14は、反力発生機構110を長手方向D1から見た拡大図である。第2実施形態に係る資材搬送装置100は、吊部6A,6Bは、架台2の横方向D2における外側にて、資材W3を吊り下げる吊部材38を有する点で、第1実施形態に係る資材搬送装置100と主に相違する。また、第2実施形態に係る資材搬送装置100は、走行部3A,3BがレールRを走行するレール走行部86を有する点で、第1実施形態に係る資材搬送装置100と主に相違する。走行部3A,3Bは、前後方向の走行ユニット20間に、レールR上を走行可能な車輪87を有する。
【0071】
図12に示すように、吊部6Bは、一対の移動部34と、一対の昇降部37と、一対の吊部材38と、吊り位置調整機構90と、を備える。移動部34、昇降部37、及び吊部材38は、第1実施形態と同趣旨の構成を有する。図12及び図13に示すように、吊り位置調整機構90は、支持部91A,91Bと、張出部材92A,92Bと、伸縮機構93A,93Bと、を備える。なお、図13は、支持部91A,91B及び張出部材92A,92Bは、内部の伸縮機構93A,93Bを示すために、上壁部が省略されている。支持部91A,91Bは、横方向D2の両側の移動部34に架け渡される。支持部91A,91Bは、長手方向D1に互いに隣り合うように設けられる。支持部91A,91Bは、張出部材92A,92Bを支持する。張出部材92A,92Bは、架台2から横方向D2における外側に張り出して、昇降部37及び吊部材38を支持する。張出部材92Aは、支持部91Aの横方向D2における一方側(図12における右側)の端部から、一方側へ張り出す部材である。張出部材92Bは、支持部91Bの横方向D2における他方側(図12における左側)の端部から、他方側へ張り出す部材である。
【0072】
伸縮機構93Aは、張出部材92Aを横方向D2に伸縮させる機構である。伸縮機構93Aは、シリンダ93aと、ピストンロッド93bと、を備える。シリンダ93aは、油圧によってピストンロッド93bを進退させる。シリンダ93aの横方向D2における他方側の端部は、固定部96を介して、支持部91の他方側の端部91aに固定される。ピストンロッド93bは、シリンダ93aの一方側の端部から一方側へ向かって延びる部材である。ピストンロッド93bの他方側の端部は、シリンダ93a内に配置されるピストン(不図示)に接続される。ピストンロッド93bの一方側の端部は、固定部97を介して張出部材92の内部に固定される。これにより、伸縮機構93Aは、ピストンロッド93bを伸ばすことで、張出部材92Aの張出量を増加させることができる。支持部91B、張出部材92B、及び伸縮機構93Bは、張出方向が反対である点以外は、支持部91A、張出部材92A、及び伸縮機構93Aと同趣旨の構成を有する。これにより、吊り位置調整機構90は、張出部材92A,92Bの張出量を調整することで、吊部材38の横方向D2における位置を調整することができる。
【0073】
図1に示すように、吊部6A,6Bの車輪がレールから浮き上がる動作に対して反力を発生する反力発生機構110と、を有する。吊部6Aの前側には反力発生機構110が設けられ、吊部6Bの前側には反力発生機構110が設けられる。図14に示すように、反力発生機構110は、横方向D2の両側から水平ローラ111で挟んでいる。水平ローラ111は、上下方向に延びる軸部112で軸支される。水平ローラ111は、上下方向の両側の端部に鍔部111aを有する。例えば、吊部6A,6Bの移動ローラ34a,34bがレール14,16が浮き上がる場合、水平ローラ111の鍔部111aがレール16と干渉することで、反力を発生する。
【0074】
以上のように、吊部6A,6Bは、架台2の横方向D2における外側にて、資材W3を吊り下げる吊部材38を有してよい。この場合、吊部6A,6Bは、架台2の横方向D2における外側にて資材W3を保持し、外側にて資材W3を設置することができる。
【0075】
吊部6A,6Bは、架台2から横方向D2における外側に張り出して、吊部材38を支持する張出部材92A,92Bと、張出部材92A,92Bを横方向D2に伸縮させる伸縮機構93A,93Bと、を備えてよい。この場合、伸縮機構93A,93Bで張出部材92A,92Bを横方向D2に伸縮させるだけのシンプルな構成にて、吊部6A,6Bの位置を調整することができる。
【0076】
本体部2Aは、吊部6A,6Bを長手方向D1にガイドするレール16を備え、吊部6A,6Bは、レール16に沿って走行する本体部用移動ローラ34aと、本体部用移動ローラ34aがレール16から浮き上がる動作に対して反力を発生する反力発生機構110と、を有してよい。この場合、反力発生機構110が発生する反力によって、資材W3の重量が重くなった場合であっても、吊部6A,6Bの本体部用移動ローラ34aの浮き上がりを抑制できる。なお、当該反力発生機構110は、第1実施形態の資材搬送装置100に適用されてもよい。
【0077】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0078】
上述の各実施形態では、旋回式走行部3A,3Bは、走行部の機能を有すると共に横取部の機能を有していた。これに代えて、走行部と横取部が個々の部材で分かれていてもよい。
【0079】
上述の各実施形態で採用されていた各機構は、省略、又は別な機構によって構成されていてよい。例えば、伸縮機構23,43、高さ調節機構28、伸縮ジャッキ50、変位抑制機構60、スライド機構70、回転機構80、吊り位置調整機構90、及び反力発生機構110は、別な機構で構成されていてもよいし、省略されてもよい。
【0080】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、詳細な構成については適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0081】
2…架台、2A…本体部、2B…手延べ部、3A,3B…旋回式走行部(走行部、横取部)、6A,6B…吊部材、7…手延べ支持部、11,12…長尺部材、16…レール、20…走行ユニット、23,43…伸縮機構、28…高さ調節機構、34a…本体部用移動ローラ(移動ローラ)、38…吊部材、50…伸縮ジャッキ、60…変位抑制機構、70…スライド機構、80…回転機構、92A,92B…張出部材、93A,93B…伸縮機構、100…資材搬送装置、110…反力発生機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14