(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】アレルゲン低減化組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20250210BHJP
D06M 13/152 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
C09K3/00 S
D06M13/152
(21)【出願番号】P 2020144095
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】乾 圭一郎
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501033(JP,A)
【文献】特開2009-274972(JP,A)
【文献】特開平06-279273(JP,A)
【文献】国際公開第2007/125731(WO,A1)
【文献】特開2010-202598(JP,A)
【文献】特開2018-087177(JP,A)
【文献】特開2010-030951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/00
A61L9/00-9/22
D06M13/00-15/715
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラグ酸またはヘキサヒドロキシジフェン酸塩から選ばれる一種以上の化合物を含有するアレルゲン
低減化組成物であって、対象とするアレルゲンがスギ花粉およびダニの少なくとも一種であるアレルゲン低減化組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のアレルゲン低減化組成物を加工した加工品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルゲン低減化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、スギ花粉、ヒノキ花粉等の花粉類等のアレルゲンは、近年、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患の原因となることが知られている。これらのアレルゲンは、例えば、衣類、カーテン、布団カバー等の繊維製品に存在している。そこでアレルゲンを不活化するアレルゲン低減化組成物の開発が行われている。
【0003】
エラグ酸は美白剤や抗ガン剤としての効果があるとされているが(特許文献1および2)、アレルゲン低減化効果を有することは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-81826号
【文献】特開2007-145836号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、優れたアレルゲン低減化効果を示すアレルゲン低減化組成物を提供することである。
【0006】
従来、美白効果があるものとして知られていたエラグ酸に、アレルゲン低減化効果があることを見出し、本発明を完成させたものである。すなわち本発明は、
(1)エラグ酸またはヘキサヒドロキシジフェン酸塩から選ばれる一種以上の化合物を含有するアレルゲン低減化組成物であり、
(2)前記のエラグ酸またはヘキサヒドロキシジフェン酸塩を含有するアレルゲン低減化組成物を加工した加工品である。
【0007】
本発明によれば、優れたアレルゲン低減化効果を有するアレルゲン低減化組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のアレルゲン低減化組成物に使用されるエラグ酸は、例えば、ザクロ果実等の植物に含有される天然ポリフェノール化合物の一種として知られており、ザクロ果実等の植物を抽出することによって得られる。
【0009】
またエラグ酸は、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル等の没食子酸エステルと、酸化剤との酸化カップリング反応によりヘキサヒドロキシジフェン酸塩を合成し、このヘキサヒドロキシジフェン酸塩と酸との反応によっても得られる。
【0010】
本発明のアレルゲン低減化組成物に使用されるヘキサヒドロキシジフェン酸塩は、前段の記載にて得られるほか、エラグ酸を水に分散させた分散液のpHを水酸化ナトリウム等によりアルカリ性とし、エラグ酸の分子内の二か所のエステル部分が加水分解することでも得られる。
【0011】
本発明のアレルゲン低減化組成物は、例えば、エラグ酸またはヘキサヒドロキシジフェン酸塩から選ばれる一種以上の化合物をそのまま使用するほか、液剤、粉剤の形態として使用することができる。
【0012】
本発明のアレルゲン低減化組成物を液剤として使用する場合、本発明のアレルゲン低減化組成物を水、グリコール系化合物、石油系化合物、アルコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、ケトン系化合物、アミン系化合物等に分散または溶解させて使用することができる。
【0013】
グリコール系化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量が1000以下のポリエチレングリコール、分子量1000以下のポリプロピレングリコール等が挙げられ、
石油系化合物としては、炭素数6~12の直鎖または分岐した炭化水素、芳香族環を持つ炭素数6~16の炭化水素が挙げられ、アルコール系化合物としては、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノールが挙げられ、グリコールエーテル系化合物としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられ、ケトン系化合物としてはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、アミン系化合物としては、エタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく2種類以上を併用することも可能である。
【0014】
また液剤として使用する際には、さらに非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤を配合することができる。非イオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ジアルキルスルホサクシネート等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては脂肪族アミン塩およびその4級アンモニウム塩等が挙げられる。両イオン性界面活性剤としてはベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。
【0015】
本発明のアレルゲン低減化組成物を粉剤として使用する場合、クレー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ等と混合して使用する。
【0016】
前記液剤または粉剤は、殺ダニ剤、防カビ剤、抗菌剤、キレート剤、防錆剤、香料、スケール防止剤、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、柔軟加工剤、柔軟剤、消臭剤、除菌剤、殺虫剤、接着剤とともに使用してもよい。
【0017】
殺ダニ剤としては、天然ピレトリン、フェノトリン、ペルメトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、マラチオン、フェンチオン、ダイアジノン等の有機リン系化合物、ジコホル、クロルベンジレート、ヘキシチアゾクス、テブフェンピラド、ピリダベン、アミドフルメト、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、サリチル酸フェニル、シンナムアルデヒド、ヒソップ油、ニンジン種子油等が挙げられる。
【0018】
防カビ剤または抗菌剤としては、例えば、5-クロロ-N-メチルイソチアゾロン、メチレンビスチオシアネート、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、グルタルアルデヒド、ヨードプロピニルブチルカーバメート、ピリジンチオール-N-オキシドの亜鉛塩、1,2-ベンゾイソチアゾロン、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、グルコン酸クロルヘキシジン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルトフェニルフェノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラクロロメタキシレノール、パラクロロメタクレゾール、ポリリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、N-n-ブチルベンゾイソチアゾロン、N-オクチルイソチアゾロン、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、2-ベンズイミダゾリルカルバミン酸メチル、テトラクロロイソフタロニトリル、ジヨードメチルパラトリルスルホン、パラクロロフェニル-3-ヨードプロパギルホルマール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニル)ピリジン、脂肪酸グリセリンエステル、ヒノキチオール等が挙げられる。
【0019】
本発明のアレルゲン低減化組成物は、塗料等のコーティング剤、プラスチック、壁紙、繊維、木材、コンクリート、金属、石、ガラス、ゴム等に加工されて使用される。
また上記のほか、本発明のアレルゲン低減化組成物を含む液剤を空間中に噴霧する、椅子やソファーなどの調度品に噴霧・塗布するなどして使用されてもよい。
【0020】
コーティング剤としては水性塗料、油性塗料、自動車用ワックス、シリコーン系コーティング剤、フッ素系コーティング剤等が挙げられる。プラスチックしてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ABS樹脂等が挙げられる。壁紙としては、ポリ塩化ビニル樹脂系、ポリオレフィン等プラスチック系、紙系、繊維系、無機質系等の壁紙が挙げられる。
【0021】
本発明のアレルゲン低減化組成物は、特に、かかる繊維を基材とした掃除用ウェットワイパー、マスク、フィルター材料、電気掃除機の集塵袋、衣料品、カーペット、ソファー、壁紙、カーテン等のインテリア類、布団側地、布団カバー、布団中綿、シーツ、枕カバー、マット等の寝具類、カーシート、カーマット、天井材および床材等の自動車部品類、ぬいぐるみ等において優れたアレルゲン低減化効果を発揮する。
【0022】
本発明のアレルゲン低減化組成物が低減化するアレルゲンとしては、ハウスダスト中のダニ由来のアレルゲン、イヌやネコ等のペットの毛や上皮、ゴキブリ、羽毛、カビ由来のアレルゲン、およびスギ、ヨモギ、ハルガヤ、ヒノキ、ブタクサ等の花粉、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0023】
本発明のアレルゲン低減化組成物について、実施例によりさらに詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。
【0024】
(エラグ酸の合成)
1.イオン交換水120gに没食子酸メチル(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)4gおよび炭酸水素ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)4gを溶解させ、200mL容量のメスシリンダーに入れ、エアーポンプを用いて空気を1L/minの流速で6時間バブリングを行うことにより沈殿物を得た。
2.かかる沈殿物を濾別し、10%硫酸水溶液に懸濁させ、40分間撹拌した。この懸濁液を濾別した後、イオン交換水で洗浄し、25℃において風乾させてエラグ酸を合成した。
【0025】
[アレルゲン低減化組成物の調製]
実施例1
エラグ酸0.1gをイオン交換水9.9gに添加して振とうし、エラグ酸の1%分散液とすることで、本発明のアレルゲン低減化組成物を調製した。
【0026】
実施例2
エラグ酸0.1gをジエチレングリコールモノメチルエーテル8gおよびイオン交換水1.9gの混合液に溶解してエラグ酸の1%溶液とすることで、本発明のアレルゲン低減化組成物を調製した。
【0027】
実施例3
エラグ酸0.1gをイオン交換水9.5gに分散させ、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を0.4g添加してエラグ酸を溶解し、ヘキサヒドロキシジフェン酸ナトリウムの1%溶液とすることで、本発明のアレルゲン低減化組成物を調製した。
【0028】
実施例4
エラグ酸0.1gをイオン交換水9.6gに分散させ、さらにメチルジエタノールアミン(AMIETOL M12、Eastman Chemical社製)を0.3g添加してエラグ酸を溶解し、ヘキサヒドロキシジフェン酸のメチルジエタノールアミン塩の1%溶液とすることで、本発明のアレルゲン低減化組成物を調製した。
【0029】
実施例5
ザクロエラグ酸(エラグ酸純度90%、株式会社サビンサジャパンコーポレーション製)0.1gをN-メチルピロリドン8gおよびイオン交換水1.9gに溶解してエラグ酸の0.9%溶液を調製とすることで、本発明のアレルゲン低減化組成物を調製した。
【0030】
[試験例1]
スギ花粉アレルゲンの低減化率の測定
1.PBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)で2μg/mLに希釈したCry j1 モノクローナル抗体013(株式会社バイオダイナミクス研究所製)を、F16 MAXISORP NUNC-IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)に1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて1日静置した。
2.静置後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミンを含有するPBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃において60分間静置した。
3.ウェル内の液を捨て、PBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を用いてプレートをすすいだ。
4.スギ花粉アレルゲンCry j1として12.5ng/mLのアレルゲン液{12.5μg/mLとなるようにPBS-T(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)により調製した液}(以下、標準スギ花粉アレルゲン液と記す)1mLに対し、本発明のアレルゲン低減化組成物をそれぞれイオン交換水により10倍に希釈した液50μLを混合した。また対照として標準スギ花粉アレルゲン液とイオン交換水50μLとを混合した。
5.これらの混合液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃において60分間静置した。
6.ウェル内の液を捨て、PBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を用いてプレートをすすいだ。
7.ペルオキシダーゼ標識したCry j1モノクローナル抗体053(株式会社バイオダイナミクス研究所製)を蒸留水で200μg/mLに溶解し、1重量%牛血清アルブミンを含有するPBS-T(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃において60分間静置した。
8.ウェル内の液を捨て、PBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を用いてプレートをすすいだ。
9.0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)6.5mLにオルト-フェニレンジアミンジヒドロクロライド(13mg Tablet、富士フイルム和光純薬工業株式会社製)と30%過酸化水素水6.5μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃において5分間静置した。
10.2mol/Lの硫酸水溶液を1ウェルあたり50μLずつ添加し、マイクロプレート用分光光度計(テカンジャパン株式会社製)で吸光度(OD490nm)を測定した。
11.吸光度からCry j1濃度を求め、式(2)によりスギ花粉アレルゲン低減化率を計算した。
【0031】
スギ花粉アレルゲン低減化率(%)=(12.5-(Cry j1量))/12.5×100 (2)
【0032】
表1にCry j1濃度およびスギ花粉アレルゲン低減化率を示す。
【0033】
【0034】
[試験例2]
ダニアレルゲンの低減化率の測定
1.PBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)で2μg/mLに希釈した抗Der f2 モノクローナル抗体15E11(富士フイルムワコーシバヤギ株式会社製)を、F16 MAXISORP NUNC-IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)に1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて3日静置した。
2.静置後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミンを含有するPBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃において60分間静置した。
3.ウェル内の液を捨て、PBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を用いてプレートをすすいだ。
4.ダニアレルゲンDer f2を含有するアレルゲン液{Der f2換算タンパク質量として900ng/mLとなるようにPBS-T(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)により調製した液}1mLに対し、実施例3~5の本発明のアレルゲン低減化組成物をそれぞれ25μL混合した。また対照として、実施例3~5の本発明のアレルゲン低減化組成物に代えてイオン交換水25μLとを混合した。
5.これらの混合液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃において60分間静置した。
6.ウェル内の液を捨て、PBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を用いてプレートをすすいだ。
7.ペルオキシダーゼ標識した抗Der f2モノクローナル抗体13A4(富士フイルムワコーシバヤギ株式会社製)を、1重量%牛血清アルブミンを含有するPBS-T(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)で200μg/mLに溶解した後、1重量%牛血清アルブミンを含有するPBS-T(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)で1200倍希釈した。
8.1200倍に希釈した液を1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃において60分間静置した。
9.ウェル内の液を捨て、PBS(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を用いてプレートをすすいだ。
10.0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)6.5mLにオルト-フェニレンジアミンジヒドロクロライド(13mg Tablet、富士フイルム和光純薬工業株式会社製)一錠と30%過酸化水素水6.5μLを加えて溶解した液を1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃において3分間静置した。
11.2mol/Lの硫酸水溶液を1ウェルあたり50μLずつ添加し、マイクロプレート用分光光度計(テカンジャパン株式会社製)を用いて吸光度(OD490nm)を測定した。吸光度からDer f2換算タンパク質濃度を求め、式(1)によりダニアレルゲン低減化率を計算した。
【0035】
ダニアレルゲン低減化率(%)=(900-(Der f2換算タンパク量))/900×100 (1)
【0036】
表2にDer f2換算タンパク質濃度およびアレルゲン低減化率を示す。
【0037】
【0038】
(アレルゲン低減化組成物加工フィルターの作成)
実施例4のアレルゲン低減化組成物をイオン交換水で10倍に希釈した希釈液50mLに、13cm×13cmのポリプロピレン製不織布(目付:80g/m2)を浸漬し、絞り率100%(絞り率=(浸漬後繊維重量-浸漬前繊維重量)/浸漬前繊維重量×100)となるように絞った後、105℃の乾燥機にて15分間加熱乾燥し、アレルゲン低減化組成物加工フィルターを作成した。
【0039】
[試験例3](アレルゲン低減化組成物加工フィルターのスギ花粉アレルゲン低減化試験)
5cm×5cmに切り取ったアレルゲン低減化組成物加工フィルターをチャック付きポリ袋に入れ、標準スギ花粉アレルゲン液1mLを加えた。1時間後にチャック付きポリ袋からスギ花粉アレルゲン液を搾り出し、搾り出した該スギ花粉アレルゲン液を遠心分離機にかけ、上澄み液をスギ花粉アレルゲン抽出液とした。当該スギ花粉アレルゲン抽出液ついて[試験例1]に記載のスギ花粉アレルゲン低減化率の測定の手順に従い、スギ花粉アレルゲン低減化試験を行った。結果を表3に示す。
【0040】
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のアレルゲン低減化組成物により、ダニや花粉等のアレルゲンを低減化させることができる。また、本発明のアレルゲン低減化組成物は、塗料等のコーティング剤、プラスチック、壁紙、繊維等にアレルゲンを低減化させる機能を付与するためのアレルゲン低減化組成物として使用可能である。