(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】容器及び容器セット
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20250210BHJP
【FI】
B65D21/02 210
B65D21/02 215
(21)【出願番号】P 2021203840
(22)【出願日】2021-12-16
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-169323(JP,A)
【文献】特開2002-179067(JP,A)
【文献】特表2015-533361(JP,A)
【文献】独国実用新案第9214997(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する略箱状の容器本体と、前記容器本体に被せられる蓋体とを備える容器において、
前記蓋体は、平面視略矩形状の天板部と、前記天板部の各側辺部又はその近傍部位からそれぞれ上方に突出する凸部と、前記凸部の内周側において前記天板部のうち前記凸部に対して離間した位置から上方に突出する規制凸部とを備え、
前記容器本体には、下面の各側辺部又はその近傍部位からそれぞれ下方に突出し、前記容器本体を設置面に設置した場合に設置面に接地する下部突条部が設けられ、
前記規制凸部は、当該規制凸部において前記天板部の側辺部側の面を構成する内側規制部と、当該規制凸部において前記天板部の中央部側の面を構成し、前記天板部の中央部側に向けて下方傾斜する傾斜部とを備え、
前記容器同士を積重ねた場合に、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記天板部のうち、前記凸部の内周側、かつ、前記規制凸部よりも前記天板部の側辺部側の部位である設置部に当接して支持され、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記凸部、又は、前記規制凸部の前記内側規制部に当接することで、積重ねられた前記容器間の水平方向における相対変位が規制される構成であって、
前記容器同士を積重ねる際に、下側の前記容器の前記蓋体に対して、上側の前記容器を、当該上側の容器の前記下部突条部が下側の前記容器の前記設置部に設置される規定位置からずれた位置に載置してから、上側の前記容器を前記規定位置側にスライド変位させるスライドスタックを行う場合に、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記天板部のうち、所定の前記規制凸部よりも前記天板部の中央部側の部位である摺接部に摺接するとともに、下側の前記容器の前記所定の規制凸部の前記傾斜部を経由して、下側の前記容器の前記設置部に設置される構成であり、
前記凸部は前記摺接部よりも上方にまで突出し、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記摺接部に摺接する際に、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記凸部に当接することで、前記スライド変位の方向に対して交差する水平方向における相対変位が規制されるように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記規制凸部は、前記天板部の側辺部のうち、前記スライド変位の方向に対して略直交する方向に延在する一対の側辺部にそれぞれ対応して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記下部突条部は、前記容器のスライドスタックが行われる際に、前記蓋体の前記摺接部に摺接する摺動部と、前記摺動部の形成範囲を、対応する前記容器本体の下面の側辺部よりも短くすることにより前記摺動部に隣接して形成されるとともに、前記容器のスライドスタックが行われる際に、前記蓋体の前記天板部、及び、前記傾斜部から離間させることの可能な摩擦低減形状部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記蓋体は、前記天板部の外周部、又は、その近傍から下方に延びる下壁部と、前記下壁部よりも前記天板部の中央部側において前記天板部から下方に突出し、前記蓋体を前記容器本体に被せた状態において少なくとも一部が前記容器本体の開口の内方側に略嵌合状態とされる嵌合突部とを備え、
上下方向において、前記嵌合突部の下端部は、前記下壁部の下端部と同じ位置、又は、前記下壁部の下端部よりも上方に位置し、
前記嵌合突部は、前記天板部の中央部側の面に作業者が指を掛けることが可能な指掛け部を備え、
上下方向において、前記傾斜部の上端部は、前記凸部の上端部と同じ位置、又は、前記凸部の上端部よりも下方に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
上記請求項1乃至4のいずれかに記載の容器と、前記容器と同様の構成を具備し、前記容器の寸法を小さくした形状の第2容器とを備える容器セットにおいて、
前記第2容器の短手幅は、前記容器の長手幅の1/2以下とされ、前記容器の上側に所定複数の前記第2容器を横並びとして載置可能に構成され、
前記容器の上側に前記所定複数の前記第2容器を横並びで載置した状態において、前記第2容器の第2下部突条部が、前記容器の前記凸部、又は、前記規制凸部の前記内側規制部に当接する、或いは、前記第2容器が別の前記第2容器に当接することで、積重ねられた前記容器と前記第2容器との間の水平方向における相対変位が規制され、前記第2容器の前記第2下部突条部が、前記容器の前記天板部の設置部に当接して支持され、
前記容器に前記第2容器を載置する際に、前記容器の前記蓋体に対して、前記第2容器を、当該第2容器の前記第2下部突条部が前記容器の前記設置部に設置される規定位置からずれた位置に載置してから、前記第2容器を前記規定位置側にスライド変位させるスライドスタックを行う場合に、前記第2容器の前記第2下部突条部が、前記容器の前記天板部のうち、所定の前記規制凸部よりも前記天板部の中央部側の部位である摺接部に摺接するとともに、前記容器の前記所定の規制凸部の前記傾斜部を経由して、前記容器の前記設置部に設置される構成とされていることを特徴とする容器セット。
【請求項6】
上記請求項1乃至4のいずれかに記載の容器に関し、前記容器本体の種別として、第1容器本体と、前記第1容器本体に比べ、上端部の外寸が同一サイズとされ、下端部の外寸が小さいサイズとされる第3容器本体とが設けられ、
前記容器の種別として、前記第1容器本体に前記蓋体を被せた第1容器と、前記第3容器本体に前記蓋体を被せた第3容器とが設けられ、
前記蓋体に対し前記第1容器本体が載置された場合に、前記第1容器本体の前記下部突条部の外面と、前記蓋体の前記凸部とが当接可能に構成され、
前記蓋体に対し前記第3容器本体が載置された場合に、前記第3容器本体の前記下部突条部の内面と、前記蓋体の前記規制凸部の前記内側規制部とが当接可能に構成されていることを特徴とする容器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体及び蓋体を備える容器、及び、容器セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上方に開口する略箱状の容器本体と、容器本体に被せられる蓋体とを備える容器において、容器同士を積重ねた場合に、上側の容器の容器本体の下面の外周部に沿って設けられた下方に突出する下面側突部が、下側の容器の蓋体の上面において略四角環状に設けられた上面側凹部に挿入されて略係合状態となり、容器間の水平方向における相対変位が防止されるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業者が容器を積重ねる際に、上側に載せる容器を下側の容器の蓋体に対して一旦水平方向に位置がずれた状態で載置してから、当該位置のずれを解消するようにして上側の容器をスライドさせる(スライドスタックする)場合がある。ここで、上記特許文献1の容器をスライドスタックする場合には、上側の容器の下面側突部が下側の容器の蓋体のうち上面側凹部の内周側に位置する部位に摺接することとなるが、上側の容器がスライドスタックの方向に対して横方向にずれた場合、当該上側の容器の下面側突部が、下側の容器の蓋体のうち上面側凹部の外周側に位置する部位を越えて脱落してしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、積重ねた状態の安定化、及び、積重ねる際の作業性の向上を図ることのできる容器及び容器セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.上方に開口する略箱状の容器本体と、前記容器本体に被せられる蓋体とを備える容器において、
前記蓋体は、平面視略矩形状の天板部と、前記天板部の各側辺部又はその近傍部位からそれぞれ上方に突出する凸部と、前記凸部の内周側において前記天板部のうち前記凸部に対して離間した位置から上方に突出する規制凸部とを備え、
前記容器本体には、下面の各側辺部又はその近傍部位からそれぞれ下方に突出し、前記容器本体を設置面に設置した場合に設置面に接地する下部突条部が設けられ、
前記規制凸部は、当該規制凸部において前記天板部の側辺部側の面を構成する内側規制部と、当該規制凸部において前記天板部の中央部側の面を構成し、前記天板部の中央部側に向けて下方傾斜する傾斜部とを備え、
前記容器同士を積重ねた場合に、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記天板部のうち、前記凸部の内周側、かつ、前記規制凸部よりも前記天板部の側辺部側の部位である設置部に当接して支持され、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記凸部、又は、前記規制凸部の前記内側規制部に当接することで、積重ねられた前記容器間の水平方向における相対変位が規制される構成であって、
前記容器同士を積重ねる際に、下側の前記容器の前記蓋体に対して、上側の前記容器を、当該上側の容器の前記下部突条部が下側の前記容器の前記設置部に設置される規定位置からずれた位置に載置してから、上側の前記容器を前記規定位置側にスライド変位させるスライドスタックを行う場合に、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記天板部のうち、所定の前記規制凸部よりも前記天板部の中央部側の部位である摺接部に摺接するとともに、下側の前記容器の前記所定の規制凸部の前記傾斜部を経由して、下側の前記容器の前記設置部に設置される構成であり、
前記凸部は前記摺接部よりも上方にまで突出し、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記摺接部に摺接する際に、上側の前記容器の前記下部突条部が、下側の前記容器の前記凸部に当接することで、前記スライド変位の方向に対して交差する水平方向における相対変位が規制されるように構成されていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、下側の容器の蓋体に対して上側の容器を規定位置からずれた位置に一旦載置してから規定位置へと変位させる(スライドスタックを行う)場合に、スライドスタックの途中で、上側の容器の下部突条部が、下側の容器の凸部に当接することでスライドスタックの方向が案内されることとなり、上側の容器がスライドスタックの方向に対して横方向にずれて下側の容器の蓋体から脱落するといった事態を防止することができる。さらに、スライドスタックの途中で、上側の容器の下部突条部が、下側の容器の蓋体の規制凸部に突き当たる場合があるが、規制凸部の天板部の中央部側(摺接部側)の面は傾斜部となっていることから、上側の容器の下部突条部は、比較的容易に下側の容器の規制凸部を乗り越えて、設置部にまで変位可能となっている。従って、容器同士を積重ねる際の作業性の向上を図ることができる。また、上側の容器の積重ね作業が完了した場合、すなわち、上側の容器の下部突条部が下側の容器の蓋体の設置部に設置された場合には、積重ねられた容器間の水平方向における相対変位が規制されることから、容器同士を積重ねた状態の安定化を図ることができる。
【0009】
手段2.前記規制凸部は、前記天板部の側辺部のうち、前記スライド変位の方向に対して略直交する方向に延在する一対の側辺部にそれぞれ対応して設けられていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0010】
手段2によれば、容器同士を積重ねた状態において、スライド変位の方向における容器間の相対変位を、容器のスライド変位方向における一側部側、及び、他側部側の両方で規制することができる。結果として、容器を積重ねた状態のより一層の安定化を図ることができる。
【0011】
手段3.前記下部突条部は、前記容器のスライドスタックが行われる際に、前記蓋体の前記摺接部に摺接する摺動部と、前記摺動部の形成範囲を、対応する前記容器本体の下面の側辺部よりも短くすることにより前記摺動部に隣接して形成されるとともに、前記容器のスライドスタックが行われる際に、前記蓋体の前記天板部、及び、前記傾斜部から離間させることの可能な摩擦低減形状部とを備えていることを特徴とする手段1又は2に記載の容器。
【0012】
手段3によれば、容器のスライドスタックを行う際の上側の容器(下部突条部)と、下側の容器(天板部及び傾斜部)との接触面積を減らし、摩擦抵抗を低減させることができる。従って、容器のスライドスタックに際して上側の容器をよりスムースにスライド変位させることができ、容器を積重ねる際の作業性の向上等をより一層図ることができる。
【0013】
手段4.前記蓋体は、前記天板部の外周部、又は、その近傍から下方に延びる下壁部と、前記下壁部よりも前記天板部の中央部側において前記天板部から下方に突出し、前記蓋体を前記容器本体に被せた状態において少なくとも一部が前記容器本体の開口の内方側に略嵌合状態とされる嵌合突部とを備え、
上下方向において、前記嵌合突部の下端部は、前記下壁部の下端部と同じ位置、又は、前記下壁部の下端部よりも上方に位置し、
前記嵌合突部は、前記天板部の中央部側の面に作業者が指を掛けることが可能な指掛け部を備え、
上下方向において、前記傾斜部の上端部は、前記凸部の上端部と同じ位置、又は、前記凸部の上端部よりも下方に位置することを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の容器。
【0014】
手段4によれば、指掛け部が設けられることにより、蓋体を単体、或いは、蓋体同士を重ねた状態で作業者が持ち運ぶ場合に、指掛け部と、規制凸部の傾斜部とに指を掛けて蓋体を把持することができる。特に、複数の蓋体を重ねた状態で持ち運ぶ際に、蓋体の外周部よりも若干内方側に離間した位置にある指掛け部と、規制凸部の傾斜部とに指を掛けることで、複数の蓋体を好適に挟持することができ、例えば、蓋体の外周部又はその近傍に位置する凸部と下壁部とに指を掛ける場合のように、複数の蓋体が扇のように広がって上手く把持することができないといった事態を防止することができる。従って、蓋体を持ち運ぶ際の利便性の向上等を図ることができる。加えて、規制凸部(傾斜部)が上方に突出し過ぎないように構成され、規制凸部の損傷等が抑制されるとともに、スライドスタックに際して上側の容器の下部突条部が下側の容器の規制凸部を乗り越える際の安定化等を図ることができる。
【0015】
手段5.上記手段1乃至4のいずれかに記載の容器と、前記容器と同様の構成を具備し、前記容器の寸法を小さくした形状の第2容器とを備える容器セットにおいて、
前記第2容器の短手幅は、前記容器の長手幅の1/2以下とされ、前記容器の上側に所定複数の前記第2容器を横並びとして載置可能に構成され、
前記容器の上側に前記所定複数の前記第2容器を横並びで載置した状態において、前記第2容器の第2下部突条部が、前記容器の前記凸部、又は、前記規制凸部の前記内側規制部に当接する、或いは、前記第2容器が別の前記第2容器に当接することで、積重ねられた前記容器と前記第2容器との間の水平方向における相対変位が規制され、前記第2容器の前記第2下部突条部が、前記容器の前記天板部の設置部に当接して支持され、
前記容器に前記第2容器を載置する際に、前記容器の前記蓋体に対して、前記第2容器を、当該第2容器の前記第2下部突条部が前記容器の前記設置部に設置される規定位置からずれた位置に載置してから、前記第2容器を前記規定位置側にスライド変位させるスライドスタックを行う場合に、前記第2容器の前記第2下部突条部が、前記容器の前記天板部のうち、所定の前記規制凸部よりも前記天板部の中央部側の部位である摺接部に摺接するとともに、前記容器の前記所定の規制凸部の前記傾斜部を経由して、前記容器の前記設置部に設置される構成とされていることを特徴とする容器セット。
【0016】
手段5によれば、第2容器が容器と同様の構成を具備することから、第2容器同士のスライドスタックが可能であり、容器のスライドスタックを認識している作業者であれば、第2容器のスライドスタックも比較的容易に行うことができる。さらに、第2容器についても第2下部突条部があり、容器同士のスライドスタックと同様に、容器の上側に第2容器を容器同士のスライドスタックと同方向にスライド変位させてスライドスタックすることも可能である。加えて、容器の上側に第2容器を載置した状態、及び、第2容器同士を積重ねた状態では、容器と第2容器との間の水平方向の相対変位、及び、第2容器間の水平方向の相対変位を防止することができ、それぞれ積重ねた状態の安定化を図ることができる。
【0017】
手段6.上記手段1乃至4のいずれかに記載の容器に関し、前記容器本体の種別として、第1容器本体と、前記第1容器本体に比べ、上端部の外寸が同一サイズとされ、下端部の外寸が小さいサイズとされる第3容器本体とが設けられ、
前記容器の種別として、前記第1容器本体に前記蓋体を被せた第1容器と、前記第3容器本体に前記蓋体を被せた第3容器とが設けられ、
前記蓋体に対し前記第1容器本体が載置された場合に、前記第1容器本体の前記下部突条部の外面と、前記蓋体の前記凸部とが当接可能に構成され、
前記蓋体に対し前記第3容器本体が載置された場合に、前記第3容器本体の前記下部突条部の内面と、前記蓋体の前記規制凸部の前記内側規制部とが当接可能に構成されていることを特徴とする容器セット。
【0018】
手段6によれば、共通の蓋体を具備するとともに、容器本体の下端部の外寸が異なる第1容器及び第3容器を種別毎に積重ねたり、種別を組合わせて積重ねたりする場合でも、容器のスライドスタックを安定して行うことができる上、容器を積重ねた状態における安定化を図ることができる。従って、利便性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図7】容器のスライドスタックを示す断面図である。
【
図8】容器に第2容器を載置した状態を示す一部断面を含む斜視図である。
【
図9】容器に対する第2容器のスライドスタックを示す部分拡大断面図である。
【
図10】右側半分を断面で示す容器の側面図である。
【
図11】蓋体に第3容器本体を載置した場合の下側の容器の短辺側凸部、規制凸部、及び、上側の容器の短辺側下部突条部の周辺部を示す部分拡大断面図である。
【
図12】蓋体に第1容器本体を載置した場合の下側の容器の短辺側凸部、規制凸部、及び、上側の容器の短辺側下部突条部の周辺部を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2等に示すように、容器1は、上方に開口する略四角箱状の容器本体2と、容器本体2に対して着脱自在に被せられる蓋体3とを備えている。尚、容器本体2、及び、蓋体3は、ポリプロピレンによってそれぞれ一体的に形成されている。
【0021】
図2、
図3に示すように、容器本体2は、平面視略矩形状をなす底壁部4と、底壁部4の各長側辺部からそれぞれ上方に延びる長辺側側壁部5と、底壁部4の各短側辺部からそれぞれ上方に延びる短辺側側壁部6とを備えている。本実施形態の長辺側側壁部5、及び、短辺側側壁部6は、上方に向けて容器本体2の外方側に傾斜して延在している。当該構成により、下側の容器本体2の内側に、上側の容器本体2を収容させるようにして、容器本体2同士を積重ねること(ネスティングすること)が可能に構成されている。
【0022】
また、容器本体2は、長辺側側壁部5、及び、短辺側側壁部6の上辺部から容器本体2の外方側に延出する上フランジ部7と、上フランジ部7の外周縁から下方に延出する折返し部8と、上フランジ部7、折返し部8、及び、長辺側側壁部5、又は、短辺側側壁部6の間を連結する連結リブ9(
図3参照)とを備えている。さらに、各長辺側側壁部5の両側部近傍に設けられた連結リブ9を折返し部8の下端部よりも下方にまで延長させるようにして形成された段積み用リブ10が設けられている。段積み用リブ10の下端部は、容器本体2の高さ方向の中央部よりも上方に位置しており、容器本体2をネスティングした場合に、上側の容器本体2の段積み用リブ10の下端部が、下側の容器本体2の上フランジ部7の上面に当接して支持されるようになっている。
【0023】
また、
図3に示すように、容器本体2には、底壁部4(容器本体2)の下面の各長側辺部からそれぞれ下方に突出する長辺側下部突条部11と、底壁部4の下面の各短側辺部からそれぞれ下方に突出す短辺側下部突条部12と、長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12の内周側において格子状に設けられた内周リブ13とが設けられている。長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12は、両端部において互いに連結されており、全体として下面視略四角枠状をなしている。また、長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12は、内周リブ13よりも下方にまで延出し、容器本体2を床面等の設置面に設置した場合には、長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12が設置面に接地する。加えて、各短辺側側壁部6の外面側上部には、短辺側側壁部6の横幅方向を軸線方向として回動可能に連結され、容器本体2に被せられた蓋体3の脱落(浮き上がり)を防止する蓋固定具14が設けられている(
図1等参照)。
【0024】
図4に示すように、蓋体3は、平面視略矩形状の天板部21と、天板部21の各長側辺部からそれぞれ上方に突出する長辺側凸部22と、天板部21の各短側辺部からそれぞれ上方に突出する短辺側凸部23と、長辺側凸部22及び短辺側凸部23の内周側において天板部21のうち長辺側凸部22及び短辺側凸部23に対して離間した位置から上方に突出する規制凸部24とを備えている。長辺側凸部22及び短辺側凸部23は、両端部において互いに連結されており、全体として平面視略四角枠状をなしている。また、長辺側凸部22及び短辺側凸部23は、天板部21の各長側辺部及び各短側辺部から上方に延びる凸部内壁部26と、凸部内壁部26の上縁部から蓋体3の外方側に延出する凸部上壁部27と、凸部上壁部27の外縁部から下方に延びる凸部外壁部28とを備えている。凸部上壁部27と、凸部外壁部28との境界部は面取り形状とされている。さらに、凸部外壁部28は、天板部21よりも下方にまで延出している。尚、本実施形態では、凸部外壁部28の下部が、下壁部に相当する。
【0025】
また、本実施形態の規制凸部24は、天板部21の各短側辺部に対応して設けられており、各短辺側凸部23と略平行に延在している。さらに、
図4、
図6に示すように、規制凸部24は、当該規制凸部24において天板部21の短側辺部側の面を構成する内側規制部30と、当該規制凸部24において天板部21の中央部側の面を構成し、天板部21の中央部側に向けて下方傾斜する傾斜部31とを備えている。本実施形態の傾斜部31は、天板部21の中央部側の部位が若干下方(規制凸部24の内側)に膨らむようにして湾曲し、天板部21の短側辺部側の部位が若干上方に膨らむようにして湾曲している。尚、傾斜部31を別の湾曲状としたり、平面としたりすることも可能である。
【0026】
図10に示すように、本実施形態では、容器本体2に蓋体3を被せた容器1同士を水平方向への相対変位が規制されるようにして上下に積重ねる(以後、「スタッキング」とも称する)ことが可能に構成されている。
図12に示すように、容器1がスタッキングされた状態では、上側の容器1の長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12が、下側の容器1の天板部21のうち、長辺側凸部22及び短辺側凸部23の内周側、かつ、規制凸部24よりも天板部21の短側辺部側及び長側辺部側の部位(長辺側凸部22及び短辺側凸部23の内周側に隣接する平面視略四角環状の部位)である設置部33に設置される(当接して支持される)。さらに、上側の容器1の長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12が、下側の容器1の長辺側凸部22及び短辺側凸部23の凸部内壁部26、又は、規制凸部24の内側規制部30に当接することで、積重ねられた容器1間の水平方向における相対変位が規制されるようになっている。
【0027】
また、
図7に示すように、本実施形態では、容器1のスタッキングを行う際に、下側の容器1の蓋体3に対して、上側の容器1を、当該上側の容器1の長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12が下側の容器1の設置部33に設置される規定位置から容器1の長手幅方向にずれた位置に一旦載置してから、上側の容器1を規定位置側にスライド変位させるスライドスタックを行うことが可能に構成されている。つまり、容器1のスライドスタックを行う場合には、先ず、下側の容器1の蓋体3に対して、上側の容器1を、上側の容器1の一方の短辺側下部突条部12が、下側の容器1の天板部21のうち、規制凸部24よりも天板部21の中央部側の部位である摺接部34に当接するように斜めに載置する。尚、当該状態において、上側の容器1の長辺側下部突条部11を下側の容器1の短辺側凸部23に(斜めに立て掛けるような格好で)当接させてもよいし、当接しないように作業者が浮かせて保持していてもよい。
【0028】
さらに、短辺側下部突条部12が摺接部34に当接した状態を維持しつつ、上側の容器1を規定位置側にスライド変位させる(短辺側下部突条部12を摺接部34に摺接させる)。所定長のスライド変位を行うことで、上側の容器1の短辺側下部突条部12が、下側の容器1の規制凸部24に突き当たる。このとき、規制凸部24の天板部21の中央部側(摺接部34側)の面が傾斜部31とされていることから、短辺側下部突条部12は、比較的スムースに規制凸部24を乗り越えて、設置部33に設置されることとなる(
図12の状態とされる)。また、規制凸部24を乗り越えた短辺側下部突条部12が設置部33に設置されることで、反対側の短辺側下部突条部12に関しても、短辺側凸部23よりも天板部21の中央部側に位置して設置部33に設置されることとなる。以上のようにして、容器1のスライドスタックが完了する。
【0029】
尚、
図2、
図3に示すように、本実施形態の底壁部4は、各長側辺部、及び、各短側辺部のうち、それぞれの中央部を含む範囲の部位が、底壁部4の各コーナー部を含む範囲の部位よりも底壁部4の中央部側に一段凹むような形状となしている。このため、底壁部4の各側辺部に沿って設けられる長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6と、長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12とについても、容器本体2のコーナー部を含む部位が、長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6の横幅方向中央部を含む部位、並びに、長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12の横幅方向中央部を含む部位に比べ、容器本体2の外方側に突出したような形状となっている。
【0030】
ここで、容器1のスライドスタックを行う際に、短辺側下部突条部12のうち、容器本体2のコーナー部を含む部位は、下側の容器1の天板部21(摺接部34)に当接する一方で、短辺側下部突条部12の横幅方向中央部を含む部位は、容器本体2が傾いた姿勢にあることから、下側の容器1の天板部21(摺接部34)から離間して当接しない。つまり、短辺側下部突条部12は、容器1のスライドスタックが行われる際に、蓋体3の天板部21(摺接部34)に摺接する摺動部36(容器本体2のコーナー部を含む部位)と、摺動部36の形成範囲を、対応する容器本体2の下面の短側辺部よりも短くすることにより摺動部36に隣接して形成されるとともに、容器1のスライドスタックが行われる際に、蓋体3の天板部21、及び、傾斜部31から離間させることの可能な摩擦低減形状部37(短辺側下部突条部12の横幅方向中央部を含む部位)とを備えることとなる。
【0031】
また、
図1に示すように、本実施形態の天板部21には段差がなく、設置部33と摺接部34とが同一平面上に位置する。上記のように、短辺側下部突条部12のうち、容器本体2のコーナー部を含む部位が摺動部36とされることにより、設置部33のうち、容器1のスタッキング状態において長辺側下部突条部11が設置される部位の一部と、摺接部34の一部とが重複することとなる。
【0032】
さらに、長辺側凸部22は、摺接部34(天板部21)よりも上方にまで突出するため、
図7に示すように、容器1をスライドスタックする場合に、上側の容器1の短辺側下部突条部12(摺動部36)が、下側の容器1の摺接部34に摺接する際に、上側の容器1の長辺側下部突条部11(長辺側下部突条部11のうち摺接部34と摺接する短辺側下部突条部12の摺動部36に連接する部位)が、下側の容器1の長辺側凸部22(凸部内壁部26)に当接することで、スライド変位の方向に対して交差する水平方向における相対変位が規制されるように構成されている。
【0033】
図5~
図7、
図12に示すように、蓋体3は、凸部外壁部28よりも天板部21の中央部側(本例では、蓋体3の内外周方向において、凸部内壁部26よりも蓋体3の内周側、かつ、内側規制部30よりも外方側の位置、すなわち、設置部33の裏面側)において天板部21から下方に突出し、蓋体3を容器本体2に被せた状態において少なくとも一部が容器本体2の開口の内方側に略嵌合状態とされる嵌合突部41を備えている。嵌合突部41は、容器本体2の開口の各コーナー部に対応する挿入部42と、挿入部42の間を連結する指掛け部43とを備え、挿入部42は、指掛け部43よりも下方にまで延出している。さらに、蓋体3は、嵌合突部41の内周側において嵌合突部41のうち蓋体3の一対の長側辺部に対応する部位の間を連結する内周側補強リブ44と、嵌合突部41と凸部外壁部28との間を連結する外周側補強リブ45とを備え、内周側補強リブ44、及び、外周側補強リブ45の下縁部は、指掛け部43の下縁部と同じ高さとされている。つまり、蓋体3を容器本体2に被せた状態では、容器本体2の上フランジ部7を含む部位が、蓋体3の凸部外壁部28と嵌合突部41との間に挿入され、蓋体3の外周側補強リブ45の下縁部が容器本体2の上フランジ部7に当接して支持される。さらに、蓋体3の嵌合突部41のうち挿入部42が容器本体2の内方側に挿入されることとなる。
【0034】
尚、嵌合突部41の指掛け部43については、蓋体3を容器本体2に被せても容器本体2の内方側に挿入されることはない。但し、指掛け部43が設けられることで、挿入部42の強度や剛性が高められる上、蓋体3の下面側において、天板部21の長側辺部、及び、短側辺部の中央部を含む範囲から天板部21の中央部側に所定距離離間した位置に、作業者が天板部21の中央部側の面に指を掛けることが可能な部位が形成される。
【0035】
加えて、
図6に示すように、上下方向において、傾斜部31(規制凸部24)の上端部は、長辺側凸部22及び短辺側凸部23の上端部と同じ位置(同じ高さ)とされている。本実施形態では、水平方向において、規制凸部24の内側規制部30と、嵌合突部41の指掛け部43のうち天板部21の短側辺部に対応して設けられる部位(以下、「短辺側の指掛け部43」とも称する)との間の距離が、短辺側の指掛け部43と、凸部外壁部28との間の距離よりも短くなっている。これにより、水平方向において規制凸部24と、短辺側の指掛け部43との形成位置がそれほど離間しない構成となっている。また、
図4に示すように、短辺側凸部23の中央部を含む範囲には、蓋固定具14と係止状態とされる係止凹部46が設けられている。係止凹部46は、凸部上壁部27と、凸部外壁部28の上部とが省略される一方で、略水平方向に延在する被係止壁部47を備えている。蓋固定具14を蓋体3の脱落を防止するロック状態(上方に回動させた状態)とした場合、蓋固定具14の弾性係止片48が被係止壁部47の上面に圧接する。
【0036】
また、
図8に示すように、容器1と同様の構成を具備し、容器1の寸法を小さくした形状の第2容器51を容器1に載置して、容器1、及び、第2容器51に収容された物品等を保管、運搬等することも可能である。第2容器51の短手幅は、容器1の長手幅の約1/2とされ(1/2の幅よりも若干短い幅とされ)、第2容器51の長手幅が容器1の短手幅とほぼ同じとされている。そして、容器1の上側に2つの第2容器51を容器1の長手幅方向において横並びとして載置可能に構成されている。
【0037】
容器1の上側に2つの第2容器51を横並びで載置した状態では、第2容器51の一対の第2短辺側下部突条部52、及び、一方の第2長辺側下部突条部53が、容器1の設置部33に設置される。このため、第2容器51の第2長辺側下部突条部53、及び、第2短辺側下部突条部52が、容器1の長辺側凸部22及び短辺側凸部23の凸部内壁部26、又は、規制凸部24の内側規制部30に当接する、或いは、第2容器51が別の第2容器51に当接することで、積重ねられた容器1と第2容器51との間の水平方向における相対変位が規制される。
【0038】
また、第2容器51を容器1に載置する際に、容器1の長手幅方向において、第2容器51を規定位置(一対の第2短辺側下部突条部52、及び、一方の第2長辺側下部突条部53が、容器1の設置部33に設置される位置)からずらした位置に載置してから規定位置側にスライド変位させるスライドスタックを行うことも可能である。すなわち、一対の規制凸部24の間に第2容器51の短手幅を許容する領域が存在するため、一対の規制凸部24の間に第2容器51を傾けることなく載置する。その後、
図9に示すように、第2容器51を規定位置側にスライド変位させることで、第2長辺側下部突条部53が規制凸部24を乗り越えて設置部33に設置されることとなる。以上のように、容器1に対する第2容器51のスライドスタックを行うことが可能である。この場合、第2容器51が一対の規制凸部24の間をスライド変位する際には、一対の第2長辺側下部突条部53、及び、一対の第2短辺側下部突条部52(摩擦低減形状部37を含む)が天板部21に摺接するものの、一方の第2長辺側下部突条部53が規制凸部24の傾斜部31に摺接する際には、一対の第2短辺側下部突条部52が天板部21から離間する上、第2長辺側下部突条部53の摩擦低減形状部37についても、傾斜部31、及び、天板部21から離間することとなる。尚、第2容器51の一方の第2長辺側下部突条部53を摺接部34に当接させ、他方の第2長辺側下部突条部53を容器1から上方に離間させたような傾けた姿勢で載置し、第2容器51を規定位置側にスライド変位させることで、容器1に対する第2容器51のスライドスタックを行うことも可能である。
【0039】
また、第2容器51も容器1と同様の構成を具備していることから、第2容器51同士のスライドスタックも可能であり、第2容器51の長手幅方向に位置をずらして載置してからスライド変位させることとなる。このため、容器1の上側に第2容器51をスライドスタックする方向と、容器1の上側に載置された第2容器51の上側に第2容器51をスライドスタックする方向とは交差(略直交)することとなる。
【0040】
また、
図10に示すように、容器1に関し、容器本体2の種別として、第1容器本体62と、第1容器本体62に比べ、上端部の外寸が同一サイズとされ、下端部の外寸が小さいサイズとされる第3容器本体64とが設けられる。このため、容器1の種別として、第1容器本体62に蓋体3を被せた第1容器61と、第3容器本体64に蓋体3(蓋体3は第1容器61に被せるものと同じもの)を被せた第3容器63とが設けられる。尚、第1容器本体62及び第3容器本体64に関し、上端部の外寸が同一サイズとされ、下端部の外寸が異なるサイズとされる構成としては、例えば、第3容器本体64は第1容器本体62に比べ、長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6の傾斜角度が異なる、傾斜角度が同じでも長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6の上下幅が異なる、又は、長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6において段差形状が設けられる等が挙げられる。また、
図1、
図7、
図8、及び、
図9に示す容器1は第1容器61であり、
図2、及び、
図3に示す容器本体2は、第1容器本体62である。
【0041】
図12に示すように、蓋体3に対し第1容器本体62が載置された場合には、第1容器本体62の短辺側下部突条部12(摺動部36)の外面と、蓋体3の短辺側凸部23(凸部内壁部26)とが当接可能に構成される。その一方で、
図11に示すように、蓋体3に対し第3容器本体64が載置された場合には、第3容器本体64の短辺側下部突条部12(摩擦低減形状部37)の内面と、蓋体3の規制凸部24の内側規制部30とが当接可能に構成される。尚、長辺側下部突条部11に関しては、第1容器本体62、及び、第3容器本体64のどちらも、蓋体3の長辺側凸部22に当接して、水平方向(容器1の短手幅方向)の相対変位が規制されるようになっている。
【0042】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器1同士を積重ねた(スタッキングした)状態において、上側の容器1の長辺側下部突条部11、及び、短辺側下部突条部12が、下側の容器1の蓋体3の長辺側凸部22及び短辺側凸部23の凸部内壁部26、又は、規制凸部24の内側規制部30に当接することで、積重ねられた容器1間の水平方向における相対変位が規制されるように構成されている。従って、容器1を積重ねた状態の安定化を図ることができる。
【0043】
また、下側の容器1の蓋体3に対して上側の容器1を規定位置から容器1の長手幅方向においてずれた位置に一旦載置してから規定位置へと変位させるスライドスタックを行う場合に、スライドスタックの途中で、上側の容器1の短辺側下部突条部12が、下側の容器1の長辺側凸部22に当接することでスライドスタックの方向が案内されることとなり、上側の容器1がスライドスタックの方向に対して横方向にずれて下側の容器1の蓋体3から脱落するといった事態を防止することができる。さらに、スライドスタックの途中で、上側の容器1の短辺側下部突条部12が、下側の容器1の規制凸部24に突き当たることとなるが、規制凸部24の天板部21の中央部側(摺接部34側)の面は傾斜部31となっていることから、上側の容器1の短辺側下部突条部12は、比較的容易に下側の容器1の規制凸部24を乗り越えて、設置部33にまで変位可能となっている。従って、容器1同士を積重ねる際の作業性の向上を図ることができる。
【0044】
さらに、蓋体3の規制凸部24は、天板部21の各短側辺部に対応して一対で設けられている。このため、蓋体3に第3容器本体64を載置した場合(例えば、第3容器63同士を積重ねる場合)に、スライドスタックのスライド変位の方向(容器1の長手幅方向)における容器1間(例えば、第3容器63間)の相対変位を、容器1のスライド変位方向における一側部側、及び、他側部側の両方で規制することができる。結果として、容器1を積重ねた状態のより一層の安定化を図ることができる。
【0045】
加えて、短辺側下部突条部12は、容器1のスライドスタックが行われる際に、蓋体3の摺接部34に摺接する摺動部36と、容器1のスライドスタックが行われる際に、蓋体3の天板部21、及び、傾斜部31から離間させることの可能な摩擦低減形状部37とを備えている。このため、容器1のスライドスタックを行う際の上側の容器1(短辺側下部突条部12)と、下側の容器1(天板部21及び傾斜部31)との接触面積を減らし、摩擦抵抗を低減させることができる。従って、容器1のスライドスタックに際して上側の容器1をよりスムースにスライド変位させることができ、容器1を積重ねる際の作業性の向上等をより一層図ることができる。
【0046】
尚、摺動部36は、容器本体2の(下面の)コーナー部を含む範囲に設けられている。このため、スライドスタックに際し、上側の容器1の短辺側下部突条部12(摺動部36)が下側の容器1の長辺側凸部22に当接した状態となっても、上側の容器1が下側の容器1の上方の範囲から側方にはみ出すことを防止することができる。従って、スライドスタックの作業をより安定して行える上、上側の容器1の短辺側下部突条部12が下側の容器1の規制凸部24を乗り越えた際に、短辺側下部突条部12が下側の容器1の長辺側凸部22と干渉してしまい、上側の容器1をスライドスタックのスライド変位方向とは交差する方向にずらさなければ、短辺側下部突条部12を設置部33に設置することができないといった事態を回避することができる。
【0047】
また、蓋体3の下面側(嵌合突部41)に指掛け部43が設けられることにより、蓋体3を単体、或いは、蓋体3同士を重ねた状態で作業者が持ち運ぶ場合に、指掛け部43と、規制凸部24の傾斜部31とに指を掛けて蓋体3を把持することができる。特に、複数の蓋体3を重ねた状態で持ち運ぶ際に、蓋体3の外周部よりも若干内方側に離間した位置にある指掛け部43と、規制凸部24の傾斜部31とに指を掛けることで、複数の蓋体3を好適に挟持することができ、例えば、蓋体3の外周部又はその近傍に位置する短辺側凸部23の凸部内壁部26と凸部外壁部28の下辺部とに指を掛ける場合のように、複数の蓋体3が扇のように広がって上手く把持することができないといった事態を防止することができる。従って、蓋体3を持ち運ぶ際の利便性の向上等を図ることができる。
【0048】
加えて、上下方向において、傾斜部31(規制凸部24)の上端部は、長辺側凸部22及び短辺側凸部23の上端部と同じ位置とされている。このため、規制凸部24が上方に突出し過ぎないように構成され、規制凸部24の損傷等が抑制されるとともに、スライドスタックに際して上側の容器1の短辺側下部突条部12が下側の容器1の規制凸部24を乗り越える際の安定化等を図ることができる。
【0049】
また、短手幅が容器1の長手幅の約1/2であり、長手幅が容器1の短手幅とほぼ同じとなるサイズの第2容器51が容器1と同様の構成を具備することから、第2容器51同士のスライドスタックが可能であり、容器1のスライドスタックを認識している作業者であれば、第2容器51のスライドスタックも比較的容易に行うことができる。さらに、第2容器51についても第2短辺側下部突条部52があり、容器1同士のスライドスタックと同様に、容器1の上側に第2容器51を容器1同士のスライドスタックと同方向にスライド変位させてスライドスタックすることも可能である。加えて、容器1の上側に第2容器51を載置した状態、及び、第2容器51同士を積重ねた状態では、容器1と第2容器51との間の水平方向の相対変位、及び、第2容器51間の水平方向の相対変位を防止することができ、それぞれ積重ねた状態の安定化を図ることができる。
【0050】
さらに、容器1として、下端部の外寸が互いに異なる第1容器本体62、及び、第3容器本体64の一方と、共通の蓋体3とを具備する第1容器61及び第3容器63が設けられ、第1容器61及び第3容器63を種別毎に積重ねたり、種別を組合わせて積重ねたりする場合でも、容器1のスライドスタックを安定して行うことができる上、容器1を積重ねた状態における安定化を図ることができる。従って、利便性の向上等を図ることができる。
【0051】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0052】
(a)上記実施形態では、規制凸部24が天板部21の各短側辺部に対応して短辺側凸部23と平行に延在するようにして設けられているが、特にかかる構成に限定されるものではなく、設置部33(上側に積重ねられた容器1の長辺側下部突条部11及び短辺側下部突条部12)よりも天板部21の中央部側に位置して、容器1の所定のスタッキング状態において水平方向における相対変位の防止に寄与する場合がある構成となっていればよい。
【0053】
例えば、天板部21の4隅に対応して4箇所に規制凸部を設けてもよい。例えば、上記実施形態の各規制凸部24をそれぞれ2つに分割したような形状とした場合、容器1の長手幅方向の中央部側に傾斜部31が設けられ、容器1の長手方向に沿ってスライド変位するスライドスタックを実行可能である上、容器1の短手幅方向において小型の容器を複数(例えば、容器1の短手幅方向に2つを並べ、容器1の長手幅方向に2つを並べるようにして4つ)並べて載置することも可能となる。尚、容器1に載置される第2容器の形状や大きさ等は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態において、短手幅が容器1の長手幅の約1/3となる第2容器を3つ並べて載置することも可能である。さらに、天板部21の4隅に対応して4つの規制凸部を設ける場合の変形例として、例えば、各規制凸部において、容器1の長手幅方向の中央部側だけでなく、容器1の短手幅方向の中央部側にも傾斜部31を設け、容器1の長手方向に沿ってスライド変位するスライドスタックだけでなく、容器1の短手方向に沿ってスライド変位するスライドスタックも可能とする構成としてもよい。
【0054】
また、規制凸部24が平面視で左右対称となるように設けられていなくてもよく、例えば、天板部21の一方の短側辺部に沿って規制凸部を連続して設け、他方の短側辺部に沿って規制凸部を断続的に設ける(例えば、2つに分ける)こととしてもよい。さらに、例えば、規制凸部を平面視で左右非対称、かつ、回転対称形状となるように設けてもよい。加えて、例えば、天板部21の一方の短側辺部にのみ対応して規制凸部を設けることとしてもよい。また、例えば、天板部21の(一方の)長側辺部にのみ対応して規制凸部を設けることとしてもよい。
【0055】
(b)上記実施形態では、長辺側凸部22、及び、短辺側凸部23が、天板部21の外周縁に沿って切れ目なく全体として略四角環状に設けられているが、断続的に設ける(例えば、短辺側凸部23のうち規制凸部24と対向する部位を省略する)ことも可能である。また、上記実施形態では、天板部21が平板状に構成されているが、例えば、設置部33(天板部21の外周部位)が摺接部34(天板部21の内周部位)よりも低い位置となるように構成してもよい。但し、摺接部34は、長辺側凸部22の上端部よりも低い位置とされる。
【0056】
(c)上記実施形態の容器1として、スタッキング状態において、一方の短辺側下部突条部12が下側の容器1の規制凸部24の内側規制部30に当接した場合に、他方の短辺側下部突条部12が下側の容器1の短辺側凸部23の凸部内壁部26に当接するような構成としてもよい。また、蓋固定具14のない容器に具体化することも可能である。尚、蓋固定具14を備えることで、スライドスタックに際しての蓋体3の浮き上がり等がより確実に防止されることとなる。
【0057】
(d)上記実施形態では、容器本体2及び蓋体3は、ポリプロピレンにより構成されているが、その他のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン等)により構成してもよいし、ポリオレフィン系以外の合成樹脂(例えばABS樹脂、AES樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等)により構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…容器、2…容器本体、3…蓋体、11…長辺側下部突条部、12…短辺側下部突条部、21…天板部、22…長辺側凸部、23…短辺側凸部、24…規制凸部、26…凸部内壁部、28…凸部外壁部、30…内側規制部、31…傾斜部、33…設置部、34…摺接部、36…摺動部、37…摩擦低減形状部、51…第2容器、52…第2短辺側下部突条部、53…第2長辺側下部突条部、61…第1容器、62…第1容器本体、63…第3容器、64…第3容器本体。