(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】フェイスパックシートの巻回装置と、フェイスパックシートの巻回方法
(51)【国際特許分類】
B65H 75/02 20060101AFI20250210BHJP
B65H 75/10 20060101ALI20250210BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
B65H75/02 Z
B65H75/10
A45D44/22 C
(21)【出願番号】P 2022032702
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2024-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391029325
【氏名又は名称】明星産商株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】大西 春二
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 由美
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189990(JP,A)
【文献】特開2017-52532(JP,A)
【文献】実公昭43-011496(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0065561(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00-75/32
B65H 18/00-18/28
B65H 19/00-19/30
B65H 21/00-21/02
A45D 44/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスパックシート(2)を折り畳んでなるシート体(13)を渦巻状に巻回して、円筒ロール状のシート巻回体(3)を作製する巻回装置であって、
左右方向に伸びてシート体(13)を巻き取る中空円筒状の巻取り軸(21)と、巻取り軸(21)を片持ち状に支持して、当該巻取り軸(21)をその軸心方向まわりに回転させる駆動機構(22)と、巻取り軸(21)へのシート体(13)の装着を担う装着手段(23)と、巻取り軸(21)からのシート巻回体(3)の分離を担う分離手段(24)とを備え、
巻取り軸(21)の筒面には、遊端側の開口部(28)に連通して、左右方向に伸びるスリット(29)が形成されており、
装着手段(23)は、スリット(29)を介してシート体(13)の一部分を巻取り軸(21)の中空部(27)内に押し込むブレード(30)と、当該ブレード(30)をその先端部がスリット(29)内に差し込まれる作動位置と、その先端部が巻取り軸(21)の外部に位置する待機位置との間で移動させる出退手段とを有し、
分離手段(24)は、巻取り軸(21)の外周に巻回形成されたシート巻回体(3)を係止するホルダー(35)と、巻取り軸(21)の軸心方向の遊端側に向かってホルダー(35)に係止されたシート巻回体(3)を相対的に移動させて、巻取り軸(21)からシート巻回体(3)を分離させる移動手段とを有し、
ブレード(30)により巻取り軸(21)の中空部(27)内にシート体(13)を押込んだのち、巻取り軸(21)を回転させて、シート体(13)を巻取り軸(21)の外周面で巻き取ることで、円筒状のシート巻回体(3)が作製されるように構成されていることを特徴とするフェイスパックシートの巻回装置。
【請求項2】
巻取り軸(21)によって巻取られたシート体(13)の外周面に対して、巻取り軸(21)の巻取り中心(C)に向かう方向に押圧力を付与する押圧手段(25)を備える、請求項1に記載のフェイスパックシートの巻回装置。
【請求項3】
押圧手段(25)が、左右方向に伸びる回転軸(36)を中心として回転自在に構成されたローラ(38)と、ローラ(38)を巻取り中心(C)の方向に向かって移動可能に案内支持するガイド(39)と、ガイド(39)に沿ってローラ(38)を巻取り中心(C)に向かう方向に付勢する付勢部材(40)とを有する、請求項2に記載のフェイスパックシートの巻回装置。
【請求項4】
シート体(13)に薬液を供給する液供給手段(26)を備える、請求項1又は2に記載のフェイスパックシートの巻回装置。
【請求項5】
フェイスパックシート(2)を折り畳んでなるシート体(13)を渦巻状に巻回して、円筒ロール状のシート巻回体(3)を作製する方法であって、
左右方向に伸びる中空円筒状の巻取り軸(21)の近傍に、折り畳まれたシート体(13)を配する配置工程と、
巻取り軸(21)の筒面には、筒端の開口部(28)に連通して、左右方向に伸びるスリット(29)が形成されており、当該スリット(29)を介してシート体(13)の一部を巻取り軸(21)の中空部(27)内に押込み、巻取り軸(21)の中空部(27)にシート体(13)を保持させる保持工程と、
巻取り軸(21)を回転させて、シート体(13)を巻取り軸(21)の外周面で巻き取ることで、円筒ロール状のシート巻回体(3)を作製する巻回工程と、
巻取り軸(21)の外周に形成されたシート巻回体(3)を係止したうえで、巻取り軸(21)の軸心方向の遊端側に向かってシート巻回体(3)を相対的に移動させて、巻取り軸(21)からシート巻回体(3)を分離させる分離工程と、
を含むことを特徴とするフェイスパックシートの巻回方法。
【請求項6】
巻回工程に先立って、或いは巻回途中において、シート体(13)に薬液を供給して含浸状態とする液供給工程を含む、請求項5に記載のフェイスパックシートの巻回方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスパックシートの巻回装置と、フェイスパックシートの巻回方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の巻回装置、及び巻回方法では、フェイスパックシートを渦巻状に巻回して円筒状のシート巻回体を作製するが、このように、フェイスパックシートを渦巻状に巻回して円筒状のシート巻回体を作製すること自体は、例えば特許文献1~3などに開示されている。特許文献1では、不織布を打ち抜いてなる二つ折状のフェイスパックシートをさらに短手方向に折り畳んだのち、折り畳まれたフェイスパックシートの長手方向のいずれか一方を巻き始端にして渦巻状に巻回して円筒状のシート巻回体を作製している。特許文献2では、二つ折状の折り曲げられたフェイスパックシートに支持シートを重ね合わせ、これらを芯となる棒状体に巻き付けることで円筒状のシート巻回体を作製している。特許文献3では、上下に対向配置されて、互いに逆方向に回転するベルトコンベア状の上回転ベルトと下回転ベルトの間にフェイスパックシートを投入することで、フェイスパックシートを渦巻状に巻回させて、円筒状のシート巻回体を作製している。このようにして形成された円筒状のシート巻回体は、薬液と共に包装袋内に密封包装されたシート包装体の形態で持ち運ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-81612号公報
【文献】特開2011-189990号公報
【文献】特開2017-52532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の巻回方法では、折り畳まれたフェイスパックシートの巻き始端を掴む手順や、掴んだ巻き始端からフェイスパックシートを巻回する手順などを自動機械化することは困難である。このため、当該方法により生産性良くシート巻回体を得ることは難しい。特許文献2の巻回方法においても同様であり、芯となる棒状体に対してフェイスパックシートを巻き付ける手順を自動機械化することは困難であるため、当該方法によっても生産性良くシート巻回体を得ることは難しい。特許文献3の巻回方法を採用すれば、自動機械化は可能であるものの、実際には、ベルトの回転方向(上回転ベルトの回転方向で規定される方向)と同じ方向にフェイスパックシートを投入させることは困難であり、投入時のフェイスパックシートの姿勢が傾いていると、斜め方向にフェイスパックシートが巻かれて、型崩れすることとなる。このように、特許文献3の巻回方法では、得られたシート巻回体の形態を均一化することが困難であり、確実に円筒状のシート巻回体を得ることは難しい。
【0005】
本発明は、フェイスパックシートを巻回してシート巻回体を得る巻回装置、及び巻回方法において、自動機械化が可能であり、しかも、型崩れすることなく、より確実に円筒状のシート巻回体を得ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フェイスパックシート2を折り畳んでなるシート体13を渦巻状に巻回して、円筒ロール状のシート巻回体3を作製するフェイスパックシートの巻回装置を対象とする。巻回装置は、左右方向に伸びてシート体13を巻き取る中空円筒状の巻取り軸21と、巻取り軸21を片持ち状に支持して、当該巻取り軸21をその軸心方向まわりに回転させる駆動機構22と、巻取り軸21へのシート体13の装着を担う装着手段23と、巻取り軸21からのシート巻回体3の分離を担う分離手段24とを備える。巻取り軸21の筒面には、遊端側の開口部28に連通して、左右方向に伸びるスリット29が形成されている。装着手段23は、スリット29を介してシート体13の一部分を巻取り軸21の中空部27内に押し込むブレード30と、当該ブレード30をその先端部がスリット29内に差し込まれる作動位置と、その先端部が巻取り軸21の外部に位置する待機位置との間で移動させる出退手段とを有する。分離手段24は、巻取り軸21の外周に巻回形成されたシート巻回体3を係止するホルダー35と、巻取り軸21の軸心方向の遊端側に向かってホルダー35に係止されたシート巻回体3を相対的に移動させて、巻取り軸21からシート巻回体3を分離させる移動手段とを有する。そして、ブレード30により巻取り軸21の中空部27内にシート体13を押込んだのち、巻取り軸21を回転させて、シート体13を巻取り軸21の外周面で巻き取ることで、円筒状のシート巻回体3が作製されるように構成されていることを特徴とする。なお、本発明における巻取り軸21の「中空筒状」とは、
図5に示すような内部が中空の円筒形のほか、
図10(a)~(c)に示すような内部に空間を有する円柱形をも含む概念である。また、本発明における巻取り軸21の「筒面」は、円柱形の側面(外周面)をも含む概念である。
【0007】
巻取り軸21によって巻取られたシート体13の外周面に対して、巻取り軸21の巻取り中心Cに向かう方向に押圧力を付与する押圧手段25を備える構成とすることができる。
【0008】
押圧手段25が、左右方向に伸びる回転軸36を中心として回転自在に構成されたローラ38と、ローラ38を巻取り中心Cの方向に向かって移動可能に案内支持するガイド39と、ガイド39に沿ってローラ38を巻取り中心Cに向かう方向に付勢する付勢部材40とを有する構成とすることができる。
【0009】
シート体13に薬液を供給する液供給手段26を備えるものとすることができる。
【0010】
また本発明は、フェイスパックシート2を折り畳んでなるシート体13を渦巻状に巻回して、円筒ロール状のシート巻回体3を作製するフェイスパックシートの巻回方法を対象とする。この巻回方法は、左右方向に伸びる中空円筒状の巻取り軸21の近傍に、折り畳まれたシート体13を配する配置工程と、巻取り軸21の筒面には、筒端の開口部28に連通して、左右方向に伸びるスリット29が形成されており、当該スリット29を介してシート体13の一部を巻取り軸21の中空部27内に押込み、巻取り軸21の中空部27にシート体13を保持させる保持工程と、巻取り軸21を回転させて、シート体13を巻取り軸21の外周面で巻き取ることで、円筒ロール状のシート巻回体3を作製する巻回工程と、巻取り軸21の外周に形成されたシート巻回体3を係止したうえで、巻取り軸21の軸心方向の遊端側に向かってシート巻回体3を相対的に移動させて、巻取り軸21からシート巻回体3を分離させる分離工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
巻回工程に先立って、或いは巻回途中において、シート体13に薬液を供給して含浸状態とする液供給工程を含むものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の巻回装置20においては、巻取り軸21のスリット29に被るようにフェイスパックシート2を折り畳んでなるシート体13を配したうえで、装着手段23を構成する出退手段を駆動させて待機位置から作動位置に向かってブレード30を移動させて、シート体13を巻取り軸21の中空部27内に押込む。次いで、駆動機構22により巻取り軸21を軸心方向まわりに回転させて、シート体13を巻取り軸21の外周面で巻き取ることで、円筒状のシート巻回体3を作製する。そして、当該巻回後に、分離手段24を構成するホルダー35によりシート巻回体3を係止した状態で、シート巻回体3を巻取り軸21の軸心方向の遊端側に移動させて、巻取り軸21からシート巻回体3を分離する。以上より、本発明によれば、シート体13の巻取り軸21への装着から、巻取り軸21による巻取り、次いで巻取り軸21からの分離に至る一連の巻取作業を自動機械化することができる。
【0013】
このように、巻取り軸21のスリット29を介してシート体13の一部を巻取り軸21の中空部27内に押込み、巻取り軸21の中空部27にシート体13を装着保持させたうえで、巻取り軸21を軸心方向まわりに回転させることで、シート体13を巻取り軸21の外周面で巻き取って、シート巻回体3を作製するようにしていると、スリット29を介してのシート体13の中空部27内に対する押込み時の姿勢を適正化するだけで、得られたシート巻回体3が型崩れすることを防いで、より簡単且つ確実に円筒状のシート巻回体3を得ることができる。具体的には、フェイスパックシート2を折り畳んでなるシート体13の形状としては、
図3(b)に示す形態や、
図8(b)に示す形態の如く、フェイスパックシート2の形状や折り畳み方に由来して種々の形状が考えられるが、いずれにしても巻取り軸21に対する押込み時のシート体13の姿勢を、その幅方向を巻取り軸21の軸心方向である左右方向と一致させるだけで、シート体13の左右縁が左右方向にズレることなく巻回作業を進めることができるので、シート巻回体3が型崩れすることを防いで、当該シート巻回体3を円筒状とすることができる。尤も、シート体13の長さ方向を巻取り軸21の軸心方向である左右方向と一致させて、巻回作業を進めてもよく、これによっても、シート巻回体3が型崩れすることを防いで、得られたシート巻回体3を円筒状とすることができる。
【0014】
ブレード30により巻取り軸21のスリット29を介してシート体13の一部を巻取り軸21の中空部27に押込むことで、巻取り軸21にシート体13を保持させるようになっていると、当該中空部27に対してシート体13を確実に装着保持させることができるので、中空部27からシート体13が不用意に抜け出ることを防ぐことができる。したがって、シート体13の巻回作業をより効率的に進めて、確実にシート巻回体3を得ることができる。
【0015】
巻取り軸21によって巻取られたシート体13の外周面に対して、巻取り軸21の巻取り中心Cに向かう方向に押圧力を付与する押圧手段25が備えられていると、巻回途中のシート巻回体3によって巻き取られたシート体13が、当該シート巻回体3から浮き外れることを防ぐことができる。したがって、シート体13が巻きずれを起こして、シート巻回体3が型崩れすることを防ぐことができる。また、巻回途中においてシート体13が浮き外れる現象は、巻取り軸21の回転速度を大きくしたときに発生しやすいが、このように押圧手段25が設けられていると、巻取り軸21の回転速度を大きくした場合でも、シート体13が巻きずれすることを抑えて、シート巻回体3が型崩れすることを防ぐことができる。加えて、押圧手段25によりシート体13の外周面に対して押圧力を付与しながら巻回作業を進めると、得られたシート巻回体3の外径寸法をより小さくすることができ、換言すれば、より細く巻き上げることができるので、得られたシート巻回体3をよりコンパクトなものとすることができる。
【0016】
押圧手段25が、左右方向に伸びる回転軸36を中心として回転自在に構成されたローラ38と、ローラ38を巻取り中心Cの方向に向かって移動可能に案内支持するガイド39と、ガイド39に沿ってローラ38を巻取り中心Cに向かう方向に付勢する付勢部材40とを有するものとなっていると、シート体13の巻取りが進んでシート巻回体3の外径寸法が大きくなっていくときにも、付勢部材40の付勢力に抗しながらローラ38が巻取り中心Cから離れる方向にガイド39に沿って移動することで、常に巻取り途中のシート巻回体3の外周面にローラ38が押し付けられて、当該ローラ38がシート巻回体3の外周面に密着する状態で巻回作業を進めることができる。これにより、巻回途中においてシート体13が浮き外れることを抑えることができるので、シート体13が巻きずれを起こして、得られたシート巻回体3が型崩れすることを防ぐことができる。ローラ38が回転軸36を中心として回転自在に構成されていると、巻取り軸21によるシート体13の巻回に従って、ローラ38を従動回転させることができるので、付勢部材40の付勢力を大きくして、より大きな力でローラ38をシート体13に押し付けた場合でも、ローラ38によってシート体13が損傷されることを防ぐことができる。
【0017】
シート体13に薬液を供給する液供給手段26を備えると、巻回に先立ってシート体13に薬液を供給する、或いは巻回途中においてシート体13に薬液を供給することで、シート体13が薬液を含浸した状態で巻回作業を進めることができる。これによれば、シート巻回体3を構成する内外周に位置するシート体13どうしの密着性の向上を図ることができるので、外周側のシート体13が、シート巻回体3から不用意に浮き外れることを防いで、シート体13を巻き取られた状態に維持することができ、シート巻回体3が型崩れすることを防ぐことができる。巻取り軸21の回転速度を大きくした場合でも、シート巻回体3が型崩れし難く、巻回作業をより効率的に進めることができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るフェイスパックシートの巻回装置と巻回方法の要部を示す図であり、(a)は配置工程における巻回装置を示す平面図、(b)は保持工程における巻回装置を示す側面図、(c)は巻回工程における巻回装置を示す側面図、(d)は分離工程における巻回装置を示す平面図である。
【
図2】第1実施形態に係るフェイスパックシートの巻回方法を説明するための図である。
【
図3】(a)(b)は、フェイスパックシートの折り畳み方法を説明するための平面図であり、(c)はシート体の巻回方法を説明するための平面図であり、(d)は作製されたシート巻回体の外観斜視図である。
【
図6】シート巻回体を包装袋内に包装した状態を示す平面図である。
【
図8】(a)(b)は、本発明の第2実施形態におけるフェイスパックシートの巻回装置と巻回方法において、フェイスパックシートの折り畳み方法を説明するための平面図であり、(c)はシート体の巻回方法を説明するための平面図であり、(d)は作製されたシート巻回体の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1乃至
図7に、本発明に係るフェイスパックシートの巻回装置と巻回方法を、パックシート包装体の製造に適用した第1実施形態を示す。
図6および
図7に示すように、パックシート包装体1は、フェイスパックシート2(
図3(a)参照)を渦巻状に巻回してなるシート巻回体3と、シート巻回体3を収容する左右方向に長いトレー4と、これらシート巻回体3とトレー4とを密封包装する包装袋5とで構成される。なお、本実施形態における前後、左右、上下とは、
図1、
図3、
図4等に示す矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0020】
図3(a)に示すように展開状態のフェイスパックシート2は、不織布を素材として外形形状が扁平円形状に打ち抜き形成されており、そのシート面には、人の目、鼻、口に対応する開口7、8、9が形成されている。詳しくは、フェイスパックシート2の外形は、前後で曲率が異なる楕円形状に形成されており、しかも左右方向の中央を対称軸とした線対称状に形成されている。シート面の略中心には、横臥コ字状の切込みを設けて、人の鼻に対応する開口8が形成され、後方の左右には、人の目に対応する横長楕円状の開口7・7が形成されている。また、後半左右と前半左右のシート周縁には、シート面を顔肌に密着させるための直線状の切込み10が計10本形成されている。なお、本実施形態におけるフェイスパックシート2の前後寸法は210mmであり、左右寸法は240mmである。
【0021】
図3(a)に示すように、展開状態のフェイスパックシート2の左右の対称位置には、左右に2本ずつの計4本の折り線11(11a・11b)・12(12a・12b)が設定されており、これら折り線11・12に沿ってフェイスパックシート2を折り畳むことで、
図3(b)に示すような前後方向を長手方向とする矩形状のシート体13を得ることができる。より詳しくは、
図3(a)に示すように、展開状態のフェイスパックシート2の左右方向の中央の対称軸よりも左右の外側寄りには、第1の折り線11a・11bが設定され、さらに、これら第1の折り線11a・11bよりも、左右方向の外側寄りに第2の折り線12a・12bが設定されている。そして、左側の第1の折り線11aに沿って谷折りしたのち、左側の第2の折り線12aに沿って山折りし、次いで右側の第1の折り線11bに沿って谷折りしたのち、右側の第2の折り線12bに沿って山折りすることで、
図3(b)に示すような、平面視で前後方向を長手方向とする矩形状のシート体13を得ることができる。
図3(b)の正面図に示すように、シート体13は、下方側に平坦なフラット面14と、当該フラット面14の左右端から上方に向かって伸びる左右一対の折り畳み片15・15とを備える。正面視において、各折り畳み片15は、フラット面14の左右端から左右方向の内方側に向かって伸びる第1の折片15aと、第1の折片15aの左右方向の中央に連続して左右方向の端部に拡がる第2の折片15bとで構成される。
【0022】
図1(a)~(c)、
図3(c)、および
図4に巻回装置20の概要を示す。巻回装置20は、シート体13を渦巻状に巻回して、円筒ロール状のシート巻回体3を作製するものであり、左右方向に伸びてシート体13を巻き取る中空円筒状の巻取り軸21と、巻取り軸21を片持ち状に支持して、当該巻取り軸21をその軸心方向まわりに回転させる駆動機構22と、巻取り軸21へのシート体13の装着を担う装着部(装着手段)23と、巻取り軸21からのシート巻回体3の分離を担う分離部(分離手段)24と、巻取り軸21によって巻取られたシート巻回体3の外周面に対して、押圧力を付与する押圧部(押圧手段)25と、シート体13に薬液を供給する液供給部(液供給手段)26(
図2参照)とを備える。
【0023】
巻取り軸21の基端部側(
図1(a)の右端側)は駆動機構22に連結保持されており、巻取り軸21の遊端部側(
図1の左端側)の筒端には、中空部27に連通する開口部28が形成されている。巻取り軸21の筒面には、当該開口部28に連通するとともに、左右方向に伸びるスリット29が形成されている。スリット29の左右方向の開口寸法は、シート体13の左右方向の幅寸法よりも大きく設定されている。
図5に示すように、スリット29を区画する巻取り軸21の筒壁の前後方向の外側開口縁であるコーナー部29aは、円弧状に面取りされている。
【0024】
図4および
図5に示すように、装着部23は、スリット29を介してシート体13の一部分を巻取り軸21の中空部27内に押し込むブレード30と、該ブレード30をその先端部がスリット29内に差し込まれる作動位置(
図5参照)と、その先端部が巻取り軸21の外部に位置する待機位置(
図4参照)との間で移動させる、図外の出退機構(出退手段)とを有する。本実施形態では、シート体13の長手方向(前後方向)の一端部の近傍が中空部27内に押し込まれるように構成する。
【0025】
図1(b)および
図5は、ブレード30が作動位置に移動し、当該ブレード30によりシート体13が巻取り軸21の中空部27内に押込まれて、シート体13が巻取り軸21に装着された状態を示しており、当該状態において、シート体13は、スリット29および中空部27により保持される保持部分31を境界として、前後方向の長さ寸法が小さな短片部32と、前後方向の長さ寸法が大きな長片部33とを有する偏倚姿勢を取るようになっている。本実施形態では、装着状態において、シート体13の前端部の近傍が巻取り軸21に保持されるようになっており、前方側に短片部32が形成され、後方側に長片部33が形成されるようになっている。
【0026】
図1(a)(d)、及び
図4に示すように、シート巻回体3の巻取り軸21からの分離を担う分離部24は、巻取り軸21の外周に形成されて、シート巻回体3を係止するホルダー35と、ホルダー35を巻取り軸21の軸心方向に沿って移動させる図外の移動部(移動手段)とで構成される。ホルダー35は、中心部に巻取り軸21の挿通を許す軸孔35aを備える円筒形に形成されており、巻取り軸21の基端側(右側)に位置する
図1(a)の待機位置と、巻取り軸21の遊端側(左側)に位置する
図1(d)の作動位置との間で、移動部により左右方向に移動される。ホルダー35が待機位置にある状態において、巻取り軸21によるシート体13の巻回作業が進められ、ホルダー35が作動位置に移動することで、巻取り軸21の遊端よりもシート巻回体3を左側に位置させて、シート巻回体3を巻取り軸21から分離することができる。ホルダー35の左右方向への移動時に、押圧部25のローラ38(後述)と接触干渉することを避けるために、ホルダー35の周面には、左右方向の全体に亘って、半円弧状の逃げ凹部35bが切欠き形成されている。
【0027】
図1(a)~(c)に示すように、巻取り軸21によって巻取られたシート巻回体3の外周面に対して押圧力を付与することを目的として、巻取り軸21の斜め下方には押圧部25が設置されている。押圧部25は、左右方向に伸びる回転軸36と、この回転軸36を軸支するフロート台37と、回転軸36を中心にしてフロート台37に対して回転自在に構成された左右方向に長い円柱状のローラ38と、フロート台37とローラ38とを巻取り軸21の巻取り中心Cに向かって移動可能に案内支持するガイド39と、ガイド39に沿ってローラ38を巻取り中心Cに向かう方向(斜め上の方向)に付勢するばね(付勢部材)40とで構成される。ばね40は、ねじりコイル形の押しばねであり、ガイド39のベース片39aとフロート台37との間に配されて、フロート台37を介してローラ38を巻取り中心Cに向かって押し上げ付勢する。ガイド39は、巻回装置のフレーム41に固定されるベース片39aと、ベース片39aの上下から突出形成されて、フロート台37の上下を支持する脚片39b・39bとからなる。ローラ38の左右端には、丸軸からなる回転軸36が突設されており、フロート台37の上端の左右に位置するフロート枠37aのそれぞれには、回転軸36を受ける軸受孔37bが形成されている。
【0028】
図2に示すように、シート体13に薬液を供給する液供給部26は、巻取り軸21による巻回前のシート体13の上面に薬液を噴射するノズル44と、このノズル44に薬液を供給する、図外のポンプ、タンク、チューブなどで構成される。本実施形態では、シート体13の上面の全体に対して、ノズル44から薬液が噴射されるようになっている。
【0029】
次に巻回装置20を含むパックシート包装体1の製造方法について、
図2を参照して説明する。
【0030】
(打ち抜き工程P1) この工程では、原反ロール45から連続して供給される不織布製のシート素材46からロールカッタ47を用いてフェイスパックシート2を打ち抜く。このとき、フェイスパックシート2の前後方向が、シート素材46の搬送方向に沿うように打ち抜かれ、同時に目、鼻、口に対応する開口7、8、9、および切込み10が形成される。打ち抜き後のシート素材46は、回収ロール48に巻き取られて回収され、打ち抜かれたフェイスパックシート2は水平方向に走る第1コンベアC1で折り曲げ工程P2へと移送される。
【0031】
(折り曲げ工程P2) この工程では、フェイスパックシート2を搬送方向と平行な、前後方向に伸びる計4本の折り線11(11a・11b)・12(12a・12b)で折り曲げる(
図3(a)参照)。これにより、フェイスパックシート2は、その外形形状が前後方向に長い矩形状のシート体13とされる(
図3(b)参照)。シート体13は、下方側にフラットなフラット面14を有し、上方側に折り畳み片15・15を備えている。
【0032】
(第1の液供給工程P3) この工程では、前後方向に長い矩形状のシート体13の上面側に所定量の薬液を液供給部26のノズル44から吹き付けて、シート体13を含浸状態とする。この工程で含浸させる薬液の量は、後段の巻回工程P4において、シート体13を巻回する際に、上方側の折り畳み片15・15がフラット面14に密着する程度である。これにより、折り畳み片15・15がフラット面14から離れて、不用意に折り畳み片15・15が展開することを防ぐことができるので、シート体13の形状を保持しながら巻回作業をより効率的に進めることができる。また、薬液を含浸した状態で巻回作業を進めることで、シート巻回体3を構成する内外周に位置するシート体13どうしの密着性の向上を図って、外周側に位置するシート体13がシート巻回体3から不用意に浮き外れることを防ぐことができるので、シート巻回体3が型崩れすることを防ぐことができる。
【0033】
(巻回工程P4) この工程では、巻回装置20により、所定量の薬液が含浸された矩形状のシート体13を巻回してシート巻回体3を得る。液供給工程P3で得られたシート体13は、第1コンベアC1と、当該第1コンベアC1の前端から前方向に所定間隔を置いて設置された第2コンベアC2とにより、装着位置に移動される。ここでは、第1コンベアC1と第2コンベアC2の間に設けられた巻取り軸21の上方にシート体13を配する(配置工程)。次に、ブレード30を含む装着部23により、巻取り軸21の中空部27内にシート体13は差込装着され、これにより巻取り軸21にシート体13の一部が保持される(保持工程)。そして、巻取り軸21を反時計方向に回転させることで、巻取り軸21の外周面にシート体13を巻き付けて、シート巻回体3を得ることができる(狭義の巻回工程)。巻取り軸21は反時計方向に回転されるため、回転初期においては、前方側に位置する短片部32は大きく後方側に大きく振られて揺動されるものの、巻取り軸21が約1回転する間に、当該短片部32の全体は巻取り軸21に巻き取られる。一方、巻取り軸21の回転に伴って、後方側に位置する長片部33は、保持部分31に近い部分から順々に巻取り軸21に巻き取られる。このとき、押圧部25のローラ38により巻取り途中のシート巻回体3の外周面に押圧力を付与しながら巻回作業は進められる。また、シート体13の巻取りが進むにつれて、シート巻回体3の外径寸法は大きくなっていくが、このときにもばね40の付勢力に抗しながらローラ38は巻取り軸21から離れる方向にガイド39に沿って移動するため、常に巻取り途中のシート巻回体3の外周面にローラ38を押し付けながら巻回作業は進められる。巻回終了後、ホルダー35を作動位置に移動させることで、シート巻回体3は巻取り軸21から分離される(分離工程)。
【0034】
(収容工程P5) この工程では、巻回装置20で作製された円筒ロール状のシート巻回体3を、トレー4の収容室50内に収容する。本実施形態では、分離部24により巻取り軸21から分離されたシート巻回体3がトレー4で受止められることで、シート巻回体3は収容室50内に収容される。このとき、薬液が含浸されたシート巻回体3は、薬液によって巻き終端側のシート端部が巻回部分に張り付いた状態となっているため、シート巻回体3の巻回は解け難く、巻き姿は保持される。トレー4に収容されたシート巻回体3は、第3コンベアC3で液供給工程P6へ移送される。
【0035】
(第2の液供給工程P6) この工程では、トレー4に収容されたシート巻回体3にノズル49から薬液を供給する。先の第1の液供給工程P3においてシート体13に含浸させた薬液の液量と、この液供給工程P6においてシート巻回体3に供給された薬液の液量とが、パックシート包装体1に供給される薬液の総量となる。供給時においてシート巻回体3に含浸されなかった薬液は、トレー4の収容室50内に溜まる。第2の液供給工程P6を経たトレー4およびシート巻回体3は、第4コンベアC4で封止工程P7へ移送される。
【0036】
(封止工程P7) この工程では、シート巻回体3が収容されたトレー4の上方開口51を密閉フィルム52で閉じる。
図7に示すように、トレー4は、左右横長の長方形状の底壁53と、底壁53の四周縁から立設された周囲壁54とを有する樹脂成型品であり、周囲壁54の上端には、密閉フィルム52を溶着するためのフランジ壁55が張出し形成されている。トレー4は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の透明樹脂を素材にして、真空成形法、インジェクション成形法、ブロー成形法などで成形される。密閉フィルム52は、透明なプラスチックフィルムを上方開口51よりも一回り大きな横長四角形状に打ち抜いてなるものである。密閉フィルム52は、ガスバリア性や薬液への耐性を備えた軟質のプラスチックフィルムで形成されており、その周縁がトレー4のフランジ壁55に溶着される。
【0037】
(包装工程P8) この工程では、シート巻回体3が収容されるとともに、上方開口51が密閉フィルム52で封止されたトレー4を、包装袋5内に密封包装する。包装は、公知の連続式ピロー包装機を用いて行い、これにより、薬液を含浸させた円筒ロール状のシート巻回体3と、当該シート巻回体3を収容するトレー4とを包装袋5に密封包装して、パックシート包装体1を完成する。C5は、パックシート包装体1を搬送する第5コンベアを示す。
【0038】
以上のように、本実施形態においては、巻取り軸21のスリット29を介してシート体13の一部を巻取り軸21の中空部27内に押込み、当該中空部27にシート体13を保持させたうえで、巻取り軸21を軸心方向まわりに回転させることで、シート体13を巻取り軸21の外周面で巻き取って、シート巻回体3を作製するようにしたので、スリット29を介してのシート体13の中空部27内に対する押込み時の姿勢を適正化するだけで、得られたシート巻回体3が型崩れすることを防いで、より簡単且つ確実に円筒状のシート巻回体3を得ることができる。具体的には、巻取り軸21に対する押込み時におけるシート体13の姿勢を、その幅方向を左右方向と一致させるだけで、シート体13の左右縁が左右方向からズレることなく巻回作業を進めることができるので、得られたシート巻回体3の筒端面は揃ったものとなる。これにて、シート巻回体3が型崩れすること(例えば、タケノコ状に型崩れすること)を防いで、当該シート巻回体3を確実に円筒状とすることができる。
【0039】
ブレード30により巻取り軸21のスリット29を介してシート体13の長手方向の一端部の近傍を巻取り軸21の中空部27に押込むことで、巻取り軸21にシート体13を保持させるようにしたので、巻取り軸21の中空部27内でシート体13を重畳状態とすることができる。これにより、中空部27からシート体13が不用意に抜け出ることを防いで、巻取り軸21の中空部27に対してシート体13を確実に装着することができるので、シート体13の巻回作業をより効率的に進めて、確実にシート巻回体3を得ることができる。
【0040】
ブレード30によるシート体13の巻取り軸21の中空部27への押込み動作に先立って、シート体13の上面側に対する薬液の吹き付けを行うようにしたので、シート体13を濡らした状態で巻回作業を行うことができる。これにより、シート体13を構成する折り畳み片15のフラット面14に対する密着性の向上を図ることができ、折り畳み片15が不用意に展開することを防ぎながら巻回作業を進めることができるので、巻回作業をより効率的に進めることができる。
【0041】
押圧部25のローラ38を巻回途中のシート巻回体3の外周面に押し付けながら巻回作業を進めるようにしたので、巻き取られたシート体13がシート巻回体3から浮き外れることを防いで、シート体13が巻きずれを起こして、シート巻回体3が型崩れすることを防ぐことができる。また、巻取り軸21によるシート体13の巻取りが進んでシート巻回体3の外形寸法が大きくなっていくときにも、ばね40の付勢力に抗しながらローラ38が巻取り中心Cから離れる方向にガイド39に沿って移動するので、常に巻取り軸21によって巻き取られたシート体13の外周面にローラ38を押し付けながら巻回作業を進めることができる。押圧部25のローラ38を巻回途中のシート巻回体3の外周面に押し付けながら巻回作業を進めると、得られたシート巻回体3の外径寸法をより小さくすることができ、換言すれば、より細く巻き上げることができるので、得られたシート巻回体3をよりコンパクトなものとすることができる。シート巻回体3の回転に伴って、ローラ38は従動回転するため、ローラ38によってシート体13が損傷することもない。
【0042】
(第2実施形態)
図8及び
図9に本発明に係るフェイスパックシートの巻回装置と巻回方法の第2実施形態を示す。この第2実施形態では、フェイスパックシート2の形状とその折り畳み方法、装着部23による巻取り軸21の中空部27に対するシート体13の装着位置、及び液供給部26による薬液の供給方法が第1実施形態と相違する。
【0043】
図8(a)に示すように、本実施形態におけるフェイスパックシート2は、展開状態において、外形形状が三日月形状に形成されており、そのシート面には、人の目に対応する開口7が打ち抜き形成されている。詳しくは、フェイスパックシート2の外形は、前後に凹凸の湾曲縁が位置し、左右に尖鋭部が位置する三日月形状に形成されている。また、フェイスパックシート2は、左右方向の中央を対称軸とする線対称状に形成されている。後方の左右には、人の目に対応する横長楕円状の開口7・7が形成されている。前後方向の後方側の左右と、前後方向の中央部の左右のシート周縁には、シート面を顔肌に密着させるための直線状の切込み10が計6本形成されている。
【0044】
図8(a)に示すように、展開状態のフェイスパックシート2の左右の対称位置には、左右に1本ずつの計2本の折り線11・12が設定されており、これら折り線11・12に沿ってフェイスパックシート2を折り畳むことで、
図8(b)に示すような前後方向を長手方向とする矩形状のシート体13を得ることができる。より詳しくは、
図8(a)に示すように、展開状態のフェイスパックシート2の左右方向の幅寸法を3等分する位置に、折り線11・12は設定されており、右側の折り線11に沿って山折りしたのち、左側の折り線12に沿って谷折りすることで、
図8(b)に示すような、平面視で前後方向を長手方向とする縦長状のシート体13を得ることができる。
図8(b)の正面図に示すように、シート体13は、中央にフラット面14と、当該フラット面14の左右端から上下方に向かって伸びる2つの折り畳み片15・15とを備える逆Z状に折り畳まれている。
【0045】
図8(c)に示すように、本実施形態では、シート体13の長手方向(前後方向)の中央部を巻取り軸21に装着し、この装着状態から巻取り軸21を回転させることで、巻回作業が進められて、シート巻回体3が作製されるようになっている。
図9は、巻回途中のシート巻回体3の状態を示しており、本実施形態ではシート体13の前半部と後半部(
図8(c)参照)が重畳された状態で巻回作業が進められる。
【0046】
また、
図9に示すように、本実施形態では、巻取り軸21に隣接してノズル44が設置されており、先の重畳部分に対して所定量の薬液が吹き付けられるようになっている。つまり、本実施形態では、
図2の第1の液供給工程P3を廃して、巻回工程P4において、巻取り軸21による巻回の直前にシート体13に薬液を含浸させるようになっている。これによれば、先の第1実施形態と同様に、薬液を含浸した状態で巻回作業を進めることで、シート巻回体3を構成する内外周に位置するシート体13どうしの密着性の向上を図って、外周側に位置するシート体13がシート巻回体3から不用意に浮き外れることを防ぐことができるので、シート巻回体3が型崩れすることを防ぐことができる。本実施形態では、巻取り軸21は時計方向に回転される。
【0047】
上記以外の点は、先の第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0048】
(他の実施形態について) 本発明に係る巻取り軸21の断面形状は、第1実施形態に示したものに限られず、例えば
図10(a)~(c)の側面図に示すようなものであってよい。具体的には、
図10(a)及び(b)に示すように、円柱形の巻取り軸21に、スリット29に連通する陥没穴60を設けることで、中空部27が形成されているものであってもよい。
図10(a)では、内壁面がまっすぐに伸び、対向する壁面どうしの間隔が均一な、断面視でストレート状の陥没穴60が形成されており、当該陥没穴60が、本発明の「中空部27」とされている。
図10(b)では、内壁面が湾曲面とされ、対向する壁面どうしの間隔が中央部において広い、断面視で卵形の陥没穴60が形成されており、当該陥没穴60が、本発明の「中空部27」とされている。
図10(c)では、巻取り軸21に、対向する壁面どうしの間隔が均一な、断面視でストレート状の貫通孔61が穿設されており、当該貫通孔61が、本発明の「中空部27」とされている。
【0049】
本発明におけるフェイスパックシート2の形状は、実施形態に示したものに限られない。フェイスパックシート2の折り畳み方法も実施形態に示したものに限られず、シート体13の形状も実施形態に示したものに限られない。液供給部26を構成するノズル44による薬液の供給タイミングは実施形態に示したものに限られず、例えば、巻回に先立ってシート体13の巻回始端のみに薬液を含浸させる形態や、巻回が終了する直前に巻回終端のみに薬液を含浸させる形態であってもよい。付勢部材40はエアシリンダーで構成することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 パックシート包装体
2 フェイスパックシート
3 シート巻回体
13 シート体
20 巻回装置
21 巻取り軸
22 駆動機構
23 装着手段(装着部)
24 分離手段(分離部)
25 押圧手段(押圧部)
26 液供給手段(液供給部)
27 中空部
28 開口部
29 スリット
30 ブレード
35 ホルダー
36 回転軸
38 ローラ
39 ガイド
40 付勢部材(ばね)
C 巻取り軸の巻取り中心