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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】テープ送り装置及びテーピング機
(51)【国際特許分類】
   B65B 15/04 20060101AFI20250210BHJP
【FI】
B65B15/04 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024048621
(22)【出願日】2024-03-25
【審査請求日】2024-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】星野 武
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 享
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098333(JP,A)
【文献】特開2018-193129(JP,A)
【文献】特開2019-182494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク用の収容部を複数有するキャリアテープをテープ搬送方向に送るテープ送り装置であって、
制御装置と、
テープ搬送量に基づいて、前記キャリアテープを搬送経路に沿って搬送する搬送デバイスと、
前記搬送経路において、各収容部の位置ずれ量を取得するずれ量取得デバイスと、を備え、
前記制御装置は、
前記位置ずれ量が許容範囲を超える場合、前記テープ搬送量に対する補正量を前記位置ずれ量に基づいて決め且つ当該補正量を前記テープ搬送量に反映する補正処理を行い、当該補正処理後の前記テープ搬送量に基づいて前記キャリアテープが搬送されるように前記搬送デバイスを制御し、
前記位置ずれ量が前記許容範囲内にある場合、前記補正処理をスキップし
前記許容範囲は、前記許容範囲の境界値の絶対値が前記テープ搬送方向に関するワークのサイズと対応の収容部のサイズとの差以下となるように、定められる、
テープ送り装置。
【請求項2】
前記キャリアテープは、等間隔に設けられる複数の位置基準部を有し、
前記ずれ量取得デバイスは、前記複数の位置基準部の位置と複数の収容部の位置とを比較することで、各収容部の前記位置ずれ量を取得する、
請求項1に記載のテープ送り装置。
【請求項3】
前記キャリアテープは、複数の搬送孔を有し、
前記搬送デバイスは搬送体を有し、当該搬送体が1つ以上の搬送孔に挿入されている状態で当該搬送体から前記キャリアテープに搬送力を作用させることで前記キャリアテープを搬送し、
前記ずれ量取得デバイスは、前記複数の搬送孔を前記複数の位置基準部として用いる、
請求項2に記載のテープ送り装置。
【請求項4】
前記搬送デバイスは、前記制御装置の制御下で入力される駆動信号に基づいて作動する搬送モーターを有し、
前記搬送モーターから出力される動力による前記キャリアテープの搬送量は、前記駆動信号のパルス数に基づいて定められ、
前記制御装置は、前記テープ搬送量に対応するパルス数を持つように前記駆動信号を決定し、前記位置ずれ量が前記許容範囲を超える場合には前記補正処理後の前記テープ搬送量に対応するパルス数を持つように前記駆動信号を決定する、
請求項1に記載のテープ送り装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記テープ搬送量に対応するパルス数に応じたパルスレートで前記搬送モーターが駆動されるように、前記テープ搬送量に対応するパルス数に基づいて前記駆動信号のパルスを決定し、前記位置ずれ量が前記許容範囲を超える場合には前記補正処理後の前記テープ搬送量に対応するパルス数に基づいて前記駆動信号のパルスを決定する、
請求項4に記載のテープ送り装置。
【請求項6】
前記許容範囲は、前記許容範囲の境界値の絶対値が10マイクロメートル以下となるように、定められる、
請求項1に記載のテープ送り装置。
【請求項7】
ワーク用の収容部を複数有するキャリアテープを送る請求項1~のいずれか一項に記載のテープ送り装置と、
トップテープを、前記複数の収容部を覆うように前記キャリアテープに接合するテープ接合装置と、
を備えるテーピング機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テープ送り装置及びテーピング機に関する。
【背景技術】
【0002】
トップテープをキャリアテープに熱圧着することで、キャリアテープに設けられる多数の凹部のそれぞれに収容されているワーク(電子部品など)を、キャリアテープ及びトップテープによって封止するテーピング機が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-41083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャリアテープに設けられる多数の凹部(収容部)の各々にワークを収容するため、凹部を所定の挿入位置に順次位置づけるようにキャリアテープが送られつつ、挿入位置に次々に位置づけられる凹部の各々にワークが挿入される。
【0005】
しかしながらキャリアテープに設けられる多数の凹部は、製造誤差などの様々な要因に起因して、必ずしもすべてがキャリアテープの所望位置に正確に形成されているとは限らず、本来の位置からずれた位置に形成されている凹部を含みうる。
【0006】
そのようなずれた位置に形成される凹部は、ワークが挿入される際に、実際には挿入位置からずれた位置に配置されることになり、ワークが適切に挿入(収容)されないことがある。また場合によっては、キャリアテープ(例えば凹部を区画するエッジ部分)及びワークが意図しない状態で互いに衝突して大きな力を受け、その結果、キャリアテープ及び/又はワークが損傷する懸念もある。
【0007】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、各収容部を所望位置に精度良く位置づけるようにキャリアテープを搬送するのに有利なテープ送り装置及びテーピング機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、ワーク用の収容部を複数有するキャリアテープを送るテープ送り装置であって、制御装置と、テープ搬送量に基づいて、キャリアテープを搬送経路に沿って搬送する搬送デバイスと、搬送経路において、各収容部の位置ずれ量を取得するずれ量取得デバイスと、を備え、制御装置は、位置ずれ量が許容範囲を超える場合、テープ搬送量に対する補正量を位置ずれ量に基づいて決め且つ当該補正量をテープ搬送量に反映する補正処理を行い、当該補正処理後のテープ搬送量に基づいてキャリアテープが搬送されるように搬送デバイスを制御し、位置ずれ量が許容範囲内にある場合、補正処理を行わない、テープ送り装置に関する。
【0009】
キャリアテープは、等間隔に設けられる複数の位置基準部を有してもよく、ずれ量取得デバイスは、複数の位置基準部の位置と複数の収容部の位置とを比較することで、各収容部の位置ずれ量を取得してもよい。
【0010】
キャリアテープは、複数の搬送孔を有してもよく、搬送デバイスは搬送体を有してもよく、当該搬送体が1つ以上の搬送孔に挿入されている状態で当該搬送体からキャリアテープに搬送力を作用させることでキャリアテープを搬送してもよく、ずれ量取得デバイスは、複数の搬送孔を複数の位置基準部として用いてもよい。
【0011】
搬送デバイスは、制御装置の制御下で入力される駆動信号に基づいて作動する搬送モーターを有してもよく、搬送モーターから出力される動力によるキャリアテープの搬送量は、駆動信号のパルス数に基づいて定められてもよく、制御装置は、テープ搬送量に対応するパルス数を持つように駆動信号を決定してもよく、位置ずれ量が許容範囲を超える場合には補正処理後のテープ搬送量に対応するパルス数を持つように駆動信号を決定してもよい。
【0012】
制御装置は、テープ搬送量に対応するパルス数に応じたパルスレートで搬送モーターが駆動されるように、テープ搬送量に対応するパルス数に基づいて駆動信号のパルスを決定してもよく、位置ずれ量が許容範囲を超える場合には補正処理後のテープ搬送量に対応するパルス数に基づいて駆動信号のパルスを決定してもよい。
【0013】
本開示の他の態様は、ワーク用の収容部を複数有するキャリアテープを送る上記のテープ送り装置と、トップテープを、複数の収容部を覆うようにキャリアテープに接合するテープ接合装置と、を備えるテーピング機に関する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、各収容部を所望位置に精度良く位置づけるようにキャリアテープを搬送するのに有利なテープ送り装置及びテーピング機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、テーピング機の一例の概略構成を示す図である。
図2図2は、制御装置、ずれ量取得デバイス及び搬送デバイス(特に搬送モーター)の接続構成例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、キャリアテープの一例の概略構成を示す拡大平面図である。
図4図4は、搬送デバイスの一例の概略構成を示す側方図である。
図5図5は、テーピング機(特にキャリアテープ送り装置)によってキャリアテープを送るテープ送り方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示技術の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
以下の説明において「上流」及び「下流」の用語は、テーピング機10の通常作動時における各種テープ(キャリアテープ、トップテープ及びワーク封止テープ)の走行方向を基準としており、各種テープは上流から下流に向けて送られる。
【0018】
図1は、テーピング機10の一例の概略構成を示す図である。
【0019】
図1に示すテーピング機10は、キャリアテープTaを送るキャリアテープ送り装置、トップテープTbを送るトップテープ送り装置、及びトップテープTbをキャリアテープTaに接合してワーク封止テープTcを作るテープ接合装置27を備える。
【0020】
キャリアテープTaは、ワーク用の収容部として用いられる有底の凹部を複数有し、各凹部には、ワーク供給装置30によって、ワーク(本例ではコンデンサなどの電子部品)が挿入されて収容される。トップテープTbは、ワークが収容されている状態の凹部を覆うようにキャリアテープTaに重ねられ、テープ接合装置27によってキャリアテープTaに熱圧着される。このようにして作られるワーク封止テープTcでは、それぞれの凹部に収容されているワークが、個別的に、キャリアテープTa及びトップテープTbによって封入される。なおキャリアテープTa及びトップテープTbは、例えば樹脂及び/又は紙によって構成可能であるが、相互間の接合(本例では熱圧着)を適切に行うことが可能な他の任意の材料によって構成可能である。
【0021】
キャリアテープTaは、搬送デバイス20によって搬送経路Pに沿って搬送され、キャリアテープ供給ローラー15から繰り出された後、案内ローラーRにより案内されつつ、位置ずれ取得位置P1、ワーク供給位置P2及び接合位置P3に順次送られる。
【0022】
トップテープTbは、トップテープ供給ローラー16から繰り出された後、案内ローラーRにより案内されつつ、接合位置P3に送られる。本例のトップテープTbは、接合位置P3においてテープ接合装置27によりキャリアテープTaに対して接合された後は、ワーク封止テープTcとしてキャリアテープTaとともに下流に搬送される。したがってトップテープTbは、ワーク封止テープTcの状態でキャリアテープTaから受ける搬送力によって、トップテープ供給ローラー16から繰り出され、接合位置P3に向けて搬送される。
【0023】
ワーク封止テープTcは、搬送デバイス20がキャリアテープTaを下流に送り出す搬送力によって下流に送られ、最終的にテープ回収ローラー17に巻き取られる。テープ回収ローラー17は、図示しない駆動装置(モーター等)によって能動的に回転させられ、テープ接合装置27から送られてくるワーク封止テープTcを能動的に巻き取る。
【0024】
図1に示すワーク供給装置30は、パーツフィーダー31及びインデックステーブル32を有する。パーツフィーダー31は、人手又は機械によって多数のワークが供給され、供給されたワークを1つずつインデックステーブル32に与える。
【0025】
インデックステーブル32は、パーツフィーダー31から供給されるワークを、ワーク供給位置P2に搬送する。インデックステーブル32によってワーク供給位置P2に次々に搬送されてくるワークは、ワーク供給位置P2において、キャリアテープTaの収容部に挿入されて収容される。インデックステーブル32は、図1に示す例では高さ方向(鉛直方向)に沿って延びる回転中心軸線を中心に、間欠的に軸回転するが、これには限定されない。例えば、インデックステーブル32の回転中心軸線は、高さ方向に対して傾斜する方向に沿って延びていてもよいし、水平方向に沿って延びていてもよい。
【0026】
インデックステーブル32からキャリアテープTaの収容部にワークを収容するための方法は限定されず、任意の方法が用いられうる。例えば、ワーク供給位置P2に位置するワークに対して装入装置(図示省略)が接触方式又は非接触方式で力を加えることで収容部内にワークを移動させてもよいし、重力を利用して供給位置P2に位置するワークを収容部内に移動させてもよい。
【0027】
図1に示す搬送デバイス20はワーク供給位置P2に設けられ、キャリアテープTaのうちワーク供給位置P2に位置する部分に接触しつつ力を加えることで、キャリアテープTaを下流に送り出す。このように本例の搬送デバイス20は、ワーク供給位置P2におけるキャリアテープTaの位置を高精度に調整するように、キャリアテープTaを搬送することができる。
【0028】
ワーク供給位置P2よりも上流側(図1に示す例ではキャリアテープ供給ローラー15とワーク供給装置30(特にインデックステーブル32)との間)には、ずれ量取得デバイス25が設けられる。ずれ量取得デバイス25は、搬送経路Pにおいて、キャリアテープTaが有する各収容部の位置ずれ量を取得する。ここで言う「位置ずれ量」は、収容部が本来配置されることが予定されているキャリアテープTaの所望位置からのずれ量を指す。ずれ量取得デバイス25によって取得される各収容部の位置ずれ量は、キャリアテープTaの搬送方向(以下「テープ搬送方向」とも称する)Dtの位置ずれ量を含む。
【0029】
図2は、制御装置40、ずれ量取得デバイス25及び搬送デバイス20(特に搬送モーター21)の接続構成例を示す機能ブロック図である。
【0030】
図2に示すずれ量取得デバイス25は、各収容部の位置ずれ量を示すずれ量信号Smを制御装置40に送信する。
【0031】
制御装置40は、テープ搬送量に基づいてキャリアテープTaが搬送されるように、搬送デバイス20を制御する。すなわち制御装置40は、ずれ量取得デバイス25からのずれ量信号Smが示す各収容部の位置ずれ量に基づいて、収容部毎にテープ搬送量を決定し、決定されたテープ搬送量に応じたモーター駆動信号Sdを搬送デバイス20の搬送モーター21に送信する。搬送モーター21は、制御装置40からのモーター駆動信号Sdに基づいて作動する。その結果、モーター駆動信号Sdに応じたテープ搬送量だけキャリアテープTaが搬送デバイス20によって搬送されるように、搬送デバイス20は駆動される。
【0032】
このようにしてテープ搬送量が決定される際、制御装置40は、各収容部のテープ搬送方向Dtの位置ずれ量が許容範囲を超える場合、テープ搬送量に対し、位置ずれ量に基づく補正処理を行う。当該補正処理において制御装置40は、収容部毎に、テープ搬送量に対する補正量を位置ずれ量に基づいて決め、且つ、当該補正量をテープ搬送量に反映する。このようにして制御装置40により補正処理が行われる場合には、補正処理後のテープ搬送量に基づいてキャリアテープTaが搬送される。
【0033】
一方、各収容部のテープ搬送方向Dtの位置ずれ量が許容範囲内にある場合、制御装置40は、テープ搬送量に対し、位置ずれ量に基づく補正処理を行わない。このようにして制御装置40により補正処理が行われない場合には、本来のテープ搬送量に基づいてキャリアテープTaが搬送される。
【0034】
ここでの「許容範囲」を定める値(境界値)は限定されないが、キャリアテープTaの長手延在方向(テープ搬送方向Dtに対応)に関する、各収容部のサイズ(長さ)とワークのサイズ(特に収容部に収容される際のワークの姿勢を基準とした、テープ搬送方向Dtのワークの長さ)とに基づいて定められることが好ましい。すなわち、収容部に挿入されるワークが、キャリアテープTa(特に挿入予定の対応の収容部)に対してテープ搬送方向Dtに相対的にずれていたとしても、当該ワークが対応の収容部に適切に挿入可能なように、許容範囲が定められることが好ましい。したがって、ここでの「許容範囲」の境界値の絶対値は、テープ搬送方向Dtに関する「ワークのサイズ」と「対応の収容部のサイズ」との間の差以下であることが好ましく、当該差よりも小さいことが好ましく、例えば当該差の50%よりも小さい大きさを有していてもよく、一例として10μメート以下の任意の値であってもよい。各収容部のキャリアテープ延在方向の長さと、テープ搬送方向Dtのワークの長さと差は、例えば「0.01μm以上且つ0.2μm以下」の範囲内となりうることが想定される。この想定ケースに関する「許容範囲」の境界値の絶対値は、例えば「0.05μm以上且つ0.1μm以下」の範囲内の値に設定されてもよい。
【0035】
なお、後述のように、位置ずれ量に基づく補正処理が行われても行われなくても、テープ搬送量に対する他の処理(例えば後述の差分累積パルス数Gに基づく「調整処理」)が行われてもよい。
【0036】
上述のようにテープ搬送量は収容部毎に決定され、各収容部に対して対応のテープ搬送量が割り当てられる。搬送デバイス20が、各収容部をワーク供給位置P2に位置づける際に対応のテープ搬送量だけキャリアテープTaを下流に搬送することで、キャリアテープTaに設けられるすべての収容部を、個別的にワーク供給位置P2に精度良く位置づけることが可能である。
【0037】
図3は、キャリアテープTaの一例の概略構成を示す拡大平面図である。図4は、搬送デバイス20の一例の概略構成を示す側方図である。
【0038】
キャリアテープTaは複数の位置基準部を有していてもよく、そのような複数の位置基準部は、テープ搬送方向Dt(キャリアテープTaの延在方向)に等間隔に設けられてもよい。この場合、ずれ量取得デバイス25は、そのような複数の位置基準部の位置と複数の収容部52の位置とを比較することで、各収容部52の位置ずれ量を取得することが可能である。
【0039】
図3に示すキャリアテープTaは、延在方向(テープ搬送方向Dtに対応)に直線上に並べられる複数の搬送孔51と、延在方向に他の直線上に並べられる複数の収容部52とを有する。複数の搬送孔51も、複数の収容部52も、基本的に、キャリアテープTaの延在方向(テープ搬送方向Dt)に関して等間隔に配置されるように、キャリアテープTaに設けられる。キャリアテープTaの延在方向(テープ搬送方向Dt)に関する収容部52間の間隔(ピッチ)は限定されないが、例えば1mmピッチ、2mmピッチ或いは4mmピッチで複数の収容部52が設けられうる。
【0040】
各搬送孔51は、基本的に位置ずれなく(特にキャリアテープTaの延在方向(テープ搬送方向Dt)に関して位置ずれなく)、キャリアテープTaの所望位置に精度良く形成される。一方、各収容部52は、製造誤差等に起因して、キャリアテープTaの延在方向(テープ搬送方向Dt)に関して位置ずれを有しうるものであり、関連付けられる搬送孔51(本例では最も近くに位置する1つ又は2つの搬送孔51)に対する相対的な位置が所望の相対位置からずれることがありうる。
【0041】
図4に示す搬送デバイス20は、搬送モーター21(図4には搬送モーター21の回転シャフトのみが図示されている)と、搬送モーター21によって回転させられる搬送体22とを有する。半径方向外向きに突出する搬送体22の突出部が1つ以上の搬送孔51に挿入されている状態で、搬送モーター21によって搬送体22が回転させられることで、当該搬送体22からキャリアテープTaに搬送力が作用して、キャリアテープTaがテープ搬送方向Dtに搬送される。
【0042】
上述のように搬送体22の突出部が搬送孔51に挿入された状態で回転することでキャリアテープTaを搬送する場合、搬送体22の突出部の回転量に対応する移動量だけ搬送孔51がテープ搬送方向Dtに移動し、その結果、キャリアテープTaが所望量だけテープ搬送方向Dtに搬送される。
【0043】
本実施形態のずれ量取得デバイス25は、そのような複数の搬送孔51を、上述の複数の位置基準部として用いる。
【0044】
図3に示す例においてキャリアテープTaが有する複数の収容部52は、それぞれの搬送孔51とキャリアテープ延在方向(テープ搬送方向Dt)の位置が一致するように設けられる収容部52と、キャリアテープ延在方向の位置が隣り合う搬送孔51間の中央位置に一致するように設けられる収容部52とを含む。
【0045】
搬送孔51とキャリアテープ延在方向の位置が一致するように設けられる収容部52の中心を通り且つテープ幅方向Dwに延びる仮想線(すなわちキャリアテープ延在方向と垂直を成す方向に延びる第1補助線)L1は、当該収容部52がキャリアテープTaの所望位置に設けられている場合、対応の搬送孔51の中心を通る。またキャリアテープ延在方向の位置が隣り合う搬送孔51間の中央位置に一致するように設けられる収容部52の中心を通り且つテープ幅方向Dwに延びる第1補助線L1は、当該収容部52が所望位置に配置されている場合、対応の隣り合う搬送孔51間の中央位置を通る。
【0046】
したがって搬送孔51とキャリアテープ延在方向の位置が一致するように設けられる収容部52の位置ずれ量は、収容部52の中心と対応の搬送孔51の中心との間のキャリアテープ延在方向(テープ搬送方向Dt)に関する位置の差(距離)に基づいて取得可能である。同様に、キャリアテープ延在方向の位置が隣り合う搬送孔51間の中央位置に一致するように設けられる収容部52の位置ずれ量は、収容部52の中心と、対応の隣り合う2つの搬送孔51の一方又は両方の中心との間のキャリアテープ延在方向(テープ搬送方向Dt)に関する位置の差(距離)に基づいて取得可能である。このようにして収容部52の位置ずれ量を求める際、各搬送孔51及び/又は各収容部52の中心を通り且つテープ幅方向Dwに延びる第1補助線L1や、複数の搬送孔51の中心を通り且つキャリアテープ延在方向(テープ搬送方向Dt)に延びる第2補助線L2が用いられてもよいし、用いられなくてもよい。
【0047】
ずれ量取得デバイス25は、上述の手法に基づいて各収容部52の位置ずれ量を取得するために、位置ずれ取得位置P1においてキャリアテープTaの撮像を行う撮像デバイス(図示省略)と、当該撮像デバイスによって取得される撮像画像を解析する画像解析デバイス(図示省略)とを有してもよい。この場合、制御装置40の制御下で、ずれ量取得デバイス25の撮像デバイスは、各収容部52が対応の1又は複数の搬送孔51と一緒に写り込むように各収容部52に関する撮像画像を取得し、画像解析デバイスは、当該撮像画像を解析することで各収容部52の位置ずれ量を取得する。
【0048】
ずれ量取得デバイス25の撮像デバイスは、2以上の収容部52と、当該2以上の収容部52に対応する1以上の搬送孔51とを同時的に撮像し、単一の撮像画像に、当該2以上の収容部52及び対応の1以上の搬送孔51を写り込ませてもよい。この場合、画像解析デバイスは、そのような単一の撮像画像から、2以上の収容部52の位置ずれ量を取得することが可能である。
【0049】
[テープ搬送量の決定例]
次に、テープ搬送量の決定方法の一例について説明する。
【0050】
以下に示す例において、搬送デバイス20の搬送モーター21はステッピングモーターにより構成され、搬送モーター21からの出力動力によるキャリアテープTaの搬送量が、搬送モーター21に入力されるモーター駆動信号Sdのパルス数に基づいて定められる。すなわち制御装置40は、テープ搬送量に対応するパルス数を持つようにモーター駆動信号Sdを決定する。したがって収容部52の位置ずれ量が許容範囲を超える場合、制御装置40は、モーター駆動信号Sdを、補正処理後のテープ搬送量に対応するパルス数を持つように決定する。
【0051】
モーター駆動信号Sdの1パルスに対応する搬送体22(搬送デバイス20)の周方向の移動量(分解能)A[μm/パルス]、搬送体22を周方向に搬送基準量だけ移動させるのに必要なモーター駆動信号Sdのパルス数(基準パルス数)B[パルス]、及び基準パルス数Bのモーター駆動信号Sdが搬送モーター21に入力される場合の搬送体22の周方向の移動量(搬送基準量)C[μm]は、以下の関係式によって表される。
【0052】
A=C/B[μm/パルス]
【0053】
ここで言う「搬送基準量C」は、各収容部52がキャリアテープTaにおいてキャリアテープ延在方向(テープ搬送方向Dt)の所望位置に正確に設けられていると仮定した場合における、隣り合う収容部52間のキャリアテープ延在方向の距離(ピッチ)に相当する。
【0054】
収容部52のテープ搬送方向Dtの位置ずれ量を「E」で表し、「E/A」の商を「q」で表し、「E/A」の剰余を「r」で表す場合、剰余rは以下の関係式によって表される。
【0055】
r=|Eー(A×q)|
【0056】
ここで言う「位置ずれ量E[μm]」は、キャリアテープTaの搬送基準量Cに対する搬送補正量に相当し、収容部52が所望位置に対して進行方向側(図3において矢印Dtで示される右側)にずれている場合にはプラス(+)で表され、進行逆方向側(図3の左側)にずれている場合にはマイナス(-)で表される。
【0057】
そして収容部52(図3に示す例では角穴ポケット)の位置ずれ量E[μm]に対応する補正パルス数D[パルス]は、以下の関係式に基づいて決定される。
【0058】
・「(A/2)<r(すなわちA/2<|E-(A×q)|)」を満たす場合:
D=q+1
【0059】
・「r≦(A/2)(すなわち|E-(A×q)|≦(A/2))」を満たす場合:
D=q
【0060】
ここで言う補正パルス数D[パルス]は、「プラス」/「マイナス」の極性を持たない絶対値として表される。
【0061】
制御装置40は、上述のようにして求められる「搬送基準量Cに対応する基準パルス数B」及び「搬送補正量(位置ずれ量E)に対応する補正パルス数D」に基づいて、「テープ搬送量に対応するモーター駆動信号Sdの駆動パルス数F」を決定する。具体的には、駆動パルス数Fの算出方法は、以下のように搬送補正量(位置ずれ量E)に基づいて場合分けされる。
【0062】
・「E<0」を満たす場合:
F=B+D
【0063】
・「E=0」を満たす場合:
F=B
【0064】
・「0<E」を満たす場合:
F=B-D
【0065】
特に本例の制御装置40は、更に「基準パルス数Bに対する駆動パルスFの差分累積パルス数G」を考慮した調整処理を行うことで、駆動パルスFを決定する。ここで言う「差分累積パルス数G」は、対象の収容部52(以下「対象収容部52」とも称する)の直前にワーク供給位置P2に位置づけられる先行する収容部52(以下「先行収容部52」とも称する)の位置ずれ量Eに相当する。
【0066】
すなわちテープ搬送量(駆動パルス数F)は、搬送基準量C(基準パルス数B)に対し、対象収容部52の位置ずれ量Eを解消するための搬送補正量(補正パルス数D)に基づく補正に加え、先行収容部52の位置ずれ量Eを解消するための累積補正量(差分累積パルス数G)に基づく調整が行われることで、導き出される。
【0067】
より具体的には、駆動パルス数Fの算出方法は、差分累積パルス数Gに基づいて以下のように場合分けされる。なお差分累積パルス数Gは、先行収容部52が所望位置に対して進行方向側(図3において矢印Dtで示される右側)にずれている場合にはプラス(+)で表され、進行逆方向側(図3の左側)にずれている場合にはマイナス(-)で表される。
【0068】
・「G<0」を満たす場合:
F=F+|G|
【0069】
・「G=0」を満たす場合:
F=F
【0070】
・「0<G」を満たす場合:
F=F-|G|
【0071】
上述のように、各収容部52のテープ搬送方向Dtの位置ずれ量が許容範囲を超える場合、制御装置40は、補正処理後のテープ搬送量に対応するパルス数に基づいてモーター駆動信号Sdのパルスを決定する。また差分累積パルス数Gに基づく上述の調整処理が行われる場合、制御装置40は、調整処理後のテープ搬送量に対応するパルス数に基づいてモーター駆動信号Sdのパルスを決定する。
【0072】
さらに制御装置40は、上述のようにしてテープ搬送量に対応する駆動パルス数Fを決定した後、当該駆動パルス数Fに応じたパルスレートで搬送モーター21が駆動されるように、当該駆動パルス数Fに基づいてモーター駆動信号Sdのパルスを決定してもよい。ここで言うパルスレートは、搬送モーター(ステッピングモーター)21の速度を表し、単位時間当たりのパルス数で表され、一般的にはpps(pulse per second)の単位で表されることが多い。
【0073】
一般に、ステッピングモーターのローターは、ステーターの電磁石として機能する部位の励磁が順番に切り替えられることで生み出される吸引力及び反発力によって、動作する。このようにして動作するローターは、減衰振動(ダンピング)しつつ安定点で停止させられることがあるが、マイクロステップが利用される場合等には安定点間で停止させられることもある。このように安定点間の位置(すなわち安定点以外の位置)でローターを停止させる場合には、慣性等の影響下でダンピングが大きくなる傾向がある。したがってダンピングを抑える観点からは、ローターが安定点で停止されることが好ましい。ここで言う「安定点」は、ステーターとローターとの間に働く磁力によるトルクに基づいて決められる位置であり、例えば外力が働かない状態でローターは安定点で停止しうる。
【0074】
その一方で、ローターの停止位置は、パルスレートによっても左右される。
【0075】
そのため制御装置40は、各収容部52に対して上述のようにして決められる駆動パルス数Fを有するモーター駆動信号Sdを、搬送モーター21に適用する場合に、搬送モーター21のローターが安定点で停止することが可能なパルスレートを選択し、当該パルスレートに基づいてモーター駆動信号Sdのパルスを決定することが、ダンピングを抑制するのに有利である。
【0076】
具体的には、駆動パルス数Fに対するダンピング抑制に最適なパルスレートは、上述の補正処理も調整処理も行われない場合には、基準パルス数Bに基づいて決められるパルスレートになる。また補正処理は行われるが調整処理は行われない場合には、基準パルス数B及び補正パルス数Dに基づいて決められるパルスレートが、そのような最適なパルスレートになる。また補正処理は行われないが調整処理が行われる場合には、基準パルス数B及び差分累積パルス数Gに基づいて決められるパルスレートが、そのような最適なパルスレートになる。
【0077】
[テープ送り方法]
図5は、テーピング機10(特にキャリアテープ送り装置)によってキャリアテープTaを送るテープ送り方法の一例を示すフローチャートである。
【0078】
図5に示すテープ送り方法によれば、ずれ量取得デバイス25によってキャリアテープTaの各収容部52の位置ずれ量が取得される(図5のS1)。
【0079】
そして制御装置40によって、各収容部52に関するテープ搬送方向Dtの位置ずれ量が許容範囲内か否かが、制御装置40によって判定される(S2)。制御装置40は、収容部52の位置ずれ量が許容範囲を超えると判定する場合(S2のN)、当該収容部52に関するテープ搬送量に対して上述の「位置ずれ量に基づく補正処理」を行う(S3)。一方、収容部52の位置ずれ量が許容範囲内と判定される場合(S11のY)、制御装置40は、当該収容部52に関するテープ搬送量に対する「位置ずれ量に基づく補正処理」をスキップして行わない。
【0080】
そして制御装置40によって、各収容部52に関するテープ搬送量に対して上述の「差分累積パルス数Gに基づく調整処理」を行う(S4)。
【0081】
そして搬送デバイス20は、各収容部52に割り当てられるテープ搬送量だけキャリアテープTaをテープ搬送方向Dtに搬送することで(S5)、各収容部52をワーク供給位置P2に精度良く配置することができる。その結果、ワーク供給位置P2において各収容部52に、ワーク供給装置30(特にインデックステーブル32)からのワークを精度良く挿入できる。
【0082】
以上説明したように本実施形態のテーピング機10及びキャリアテープ送り装置によれば、必要に応じて、各収容部52の位置ずれ量に基づく補正処理が行われてテープ搬送量が決定されるため、各収容部52をワーク供給位置P2に精度良く位置づけることができる。
【0083】
特に、そのような補正処理の要否が、各収容部52の位置ずれ量が許容範囲に照らし合わされることで判定される。このように補正処理に関する不感帯を設けることによって、処理スピードの向上を期待できる。
【0084】
このように本実施形態によれば、ワーク供給位置P2における各収容部52の高精度な位置づけと、キャリアテープTaの搬送調整処理の簡略化とを、バランス良く両立させることができる。
【0085】
[変形例]
上述の実施形態では、単一のずれ量取得デバイス25が撮像デバイス及び画像解析デバイスを有するが、撮像デバイス及び画像解析デバイスは別体デバイスとして設けられてもよい。例えば、ずれ量取得デバイス25は撮像デバイスを有するが画像解析デバイスは有していなくてもよく、制御装置40又は他の装置が画像解析デバイスを有していてもよい。この場合、制御装置40又は他の装置は、ずれ量取得デバイス25から送られてくる撮像画像の解析を行うため、実質的に「各収容部52の位置ずれ量を取得するずれ量取得デバイス25」として機能する。
【0086】
本明細書で開示されている実施形態及び変形例はすべての点で例示に過ぎず限定的には解釈されないことに留意されるべきである。上述の実施形態及び変形例は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態での省略、置換及び変更が可能である。例えば上述の実施形態及び変形例が全体的に又は部分的に組み合わされてもよく、また上述以外の実施形態が上述の実施形態又は変形例と組み合わされてもよい。また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果がもたらされてもよい。
【0087】
上述の技術的思想を具現化する技術的カテゴリーは限定されない。例えば上述の装置を製造する方法或いは使用する方法に含まれる1又は複数の手順(ステップ)をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムによって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。またそのようなコンピュータプログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な非一時的(non-transitory)な記録媒体によって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 テーピング機、15 キャリアテープ供給ローラー、16 トップテープ供給ローラー、17 テープ回収ローラー、20 搬送デバイス、21 搬送モーター、22 搬送体、25 ずれ量取得デバイス、27 テープ接合装置、30 ワーク供給装置、31 パーツフィーダー、32 インデックステーブル、40 制御装置、51 搬送孔、52 収容部、B 基準パルス数、C 搬送基準量、D 補正パルス数、Dt テープ搬送方向、Dw テープ幅方向、L1 第1補助線、L2 第2補助線、P 搬送経路、P1 位置ずれ取得位置、P2 ワーク供給位置、P3 接合位置、R 案内ローラー、Sm ずれ量信号、Sd モーター駆動信号、Ta キャリアテープ、Tb トップテープ、Tc ワーク封止テープ
【要約】
【課題】各収容部を所望位置に精度良く位置づけるようにキャリアテープを搬送するのに有利なテープ送り装置及びテーピング機を提供する。
【解決手段】電子部品用の収容部を複数有するキャリアテープを送るテープ送り装置は、制御装置と、テープ搬送量に基づいて、キャリアテープを搬送経路に沿って搬送する搬送デバイスと、搬送経路において、各収容部の位置ずれ量を取得するずれ量取得デバイスと、を備える。制御装置は、位置ずれ量が許容範囲を超える場合(S2のN)、テープ搬送量に対する補正量を位置ずれ量に基づいて決め且つ当該補正量をテープ搬送量に反映する補正処理を行い(S3)、当該補正処理後のテープ搬送量に基づいてキャリアテープが搬送されるように搬送デバイスを制御し、位置ずれ量が許容範囲内にある場合(S2のY)、補正処理を行わない。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5