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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】電線被覆剥離装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20250210BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
H02G1/12 065
B26D3/00 603Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024162083
(22)【出願日】2024-09-19
【審査請求日】2024-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598000518
【氏名又は名称】大川三基株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】大川 真麿
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-092922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を挿通させる穴を中心に有する回転体と、前記回転体の回転軸に向かって進退自在となるように前記回転体に設けられた複数の刃とを備え、前記回転体を回転させるとともに、前記複数の刃を前記回転体の回転軸に向かって進出させることによって、電線の被覆を切断する電線被覆剥離装置であって、
前記回転体に挿通された電線の被覆を切断する位置よりも先端側の位置に当接する複数の当接部材と、
前記回転体の回転軸に向かって進退自在となるように前記回転体に設けられるとともに、前記複数の刃のそれぞれを保持する複数の保持部材とを備え、
前記複数の保持部材は、前記回転体の回転軸に向かって進退自在となるように前記複数の当接部材のそれぞれを保持し、
前記複数の当接部材は、前記複数の刃よりも前記回転体の回転軸に向かって僅かに突出するようにして前記複数の保持部材のそれぞれに保持され、前記複数の刃が電線の被覆に当接する前から電線の被覆を切断するまで電線の被覆に当接するように構成され
前記電線被覆剥離装置は、
前記複数の当接部材の位置を調整することによって、電線の被覆に対する前記複数の当接部材の押圧力を調整する調整手段を備えることを特徴とする電線被覆剥離装置。
【請求項2】
請求項1に記載された電線被覆剥離装置において、
前記調整手段は、前記複数の当接部材の押圧力を同一とするように調整することを特徴とする電線被覆剥離装置。
【請求項3】
請求項2に記載された電線被覆剥離装置において、
前記調整手段は、前記複数の当接部材のそれぞれを前記回転体の回転軸に向かって付勢する付勢部材であることを特徴とする電線被覆剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された被覆ケーブルの剥離装置(電線被覆剥離装置)は、被覆ケーブル(電線)を挿通させる穴を中心に有する回転体と、回転体の回転軸に向かってスライド自在となるように回転体に設けられた複数の刃と、回転体に挿通された電線の基端部を挟持するケーブル保持部と、回転体に挿通された電線の先端部を当接させて電線の被覆を切断する位置を設定するストッパとを備えている。
この被覆ケーブルの剥離装置にて電線の被覆を剥離する場合には、使用者は、回転体の穴に電線を挿通し、電線の先端部をストッパに当接させた後、ケーブル保持部に電線を挟持させる。そして、被覆ケーブルの剥離装置は、回転体を回転させるとともに、複数の刃を回転体の回転軸に向かってスライドさせることによって、電線の被覆を切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-124051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された被覆ケーブルの剥離装置は、回転体にて回転させながら複数の刃を回転体の回転軸に向かって入れていくので、電線の曲がり癖や、電線の被覆を剥離する際に電線を捻るような力を加えられることに起因して、電線の中心軸は回転体の回転軸からずれてしまい、ひいては電線の芯材を傷つけてしまう場合があるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、電線の芯材を傷つけてしまうことなく電線の被覆を剥離することができる電線被覆剥離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電線被覆剥離装置は、電線を挿通させる穴を中心に有する回転体と、回転体の回転軸に向かって進退自在となるように回転体に設けられた複数の刃とを備え、回転体を回転させるとともに、複数の刃を回転体の回転軸に向かって進出させることによって、電線の被覆を切断する電線被覆剥離装置であって、回転体に挿通された電線の被覆を切断する位置よりも先端側の位置に当接する複数の当接部材と、回転体の回転軸に向かって進退自在となるように回転体に設けられるとともに、複数の刃のそれぞれを保持する複数の保持部材とを備え、複数の保持部材は、回転体の回転軸に向かって進退自在となるように複数の当接部材のそれぞれを保持し、複数の当接部材は、複数の刃よりも回転体の回転軸に向かって僅かに突出するようにして複数の保持部材のそれぞれに保持され、複数の刃が電線の被覆に当接する前から電線の被覆を切断するまで電線の被覆に当接するように構成され、電線被覆剥離装置は、複数の当接部材の位置を調整することによって、電線の被覆に対する複数の当接部材の押圧力を調整する調整手段を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、複数の当接部材は、複数の刃が電線の被覆に当接する前から電線の被覆を切断するまで電線の被覆に当接するように構成されているので、電線被覆剥離装置は、電線の被覆を剥離する際に、電線の被覆を切断する位置よりも先端側の位置を複数の当接部材にて押さえながら電線の被覆を切断することができる。したがって、電線被覆剥離装置は、電線の芯材を傷つけてしまうことなく電線の被覆を剥離することができる。
【0009】
また、複数の刃および複数の当接部材のそれぞれは、複数の保持部材にて保持されているので、複数の保持部材を回転体の回転軸に向かって進出させることによって、複数の刃および複数の当接部材の双方を回転体の回転軸に向かって進出させることができる。また、複数の当接部材は、複数の刃よりも回転体の回転軸に向かって僅かに突出するようにして複数の保持部材のそれぞれに保持されているので、複数の保持部材を回転体の回転軸に向かって進出させることによって、複数の刃よりも先に電線の被覆に当接することができる。したがって、電線被覆剥離装置は、簡素な構成にて複数の刃が電線の被覆に当接する前から電線の被覆を切断するまで複数の当接部材を電線の被覆に当接するように構成することができる。
【0011】
さらに、電線被覆剥離装置は、複数の当接部材の位置を調整することによって、電線の被覆に対する複数の当接部材の押圧力を調整する調整手段を備えているので、複数の保持部材を回転体の回転軸に向かって進出させることによって、複数の刃および複数の当接部材の双方を回転体の回転軸に向かって進出させるように構成した場合であっても電線の被覆に対する複数の当接部材の押圧力を調整することができ、ひいては回転体の回転を阻害することなく電線の被覆を剥離することができる。
【0012】
本発明では、調整手段は、複数の当接部材の押圧力を同一とするように調整することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、調整手段は、複数の当接部材の押圧力を同一とするように調整するので、電線の中心軸および回転体の回転軸のずれを抑制することができ、ひいては電線の芯材を傷つけてしまうことなく電線の被覆を剥離することができる。
【0014】
本発明では、調整手段は、複数の当接部材のそれぞれを回転体の回転軸に向かって付勢する付勢部材であることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、調整手段は、複数の当接部材のそれぞれを回転体の回転軸に向かって付勢する付勢部材であるので、簡素な構成にて電線の被覆に対する複数の当接部材の押圧力を調整することができ、ひいては回転体の回転を阻害することなく電線の被覆を剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る電線被覆剥離装置の要部を示す正面図
図2】電線被覆剥離装置の要部を示す側面図
図3】電線被覆剥離装置の要部を示す側面図
図4】ベース部材およびアームを示す正面図
図5】刃を保持する保持部材を示す正面図
図6】刃を保持する保持部材を示す上面図
図7】刃を保持する保持部材を示す側面図
図8】保持部材の正面部を示す断面図
図9】保持部材と、保持部材の近傍に配置された各種の部材を示す上面図
図10】電線の被覆の切断を開始した状態を示す図
図11】電線の被覆に当接部材が当接した後、さらに電線の被覆の切断を継続した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電線被覆剥離装置の要部を示す正面図である。図2および図3は、電線被覆剥離装置の要部を示す側面図である。なお、図1図3では、鉛直上方向を+Z軸方向とし、このZ軸と直交する2軸をX,Y軸として説明する。以下の図面においても同様である。
【0018】
電線被覆剥離装置1は、図1~3に示すように、電線EWを挿通させる穴を中心に有する回転体2と、回転体2の回転軸に向かって進退自在となるように回転体2に設けられた4枚の刃3とを備えている。
以下、+Z軸方向側に位置する刃3を刃31とし、+Y軸方向側に位置する刃3を刃32とし、-Z軸方向側に位置する刃3を刃33とし、-Y軸方向側に位置する刃3を刃34として説明することもある。また、図2は、図1のI-I線に沿って電線被覆剥離装置1を切断した断面を示す図であり、図3は、図1のII-II線に沿って電線被覆剥離装置1を切断した断面を示す図である。
【0019】
なお、電線被覆剥離装置1は、特許文献1に記載された被覆ケーブルの剥離装置と略同様の構成を有し、例えば、回転体2に挿通された電線EWの基端部(+X軸方向側の端部)を挟持する電線保持部(図示略)や、回転体2に挿通された電線EWの先端部(-X軸方向側の端部)を当接させて電線EWの被覆を切断する位置を設定するストッパ(図示略)等を備えている。
【0020】
この電線被覆剥離装置1にて電線EWの被覆を剥離する場合には、使用者は、回転体2の穴に電線EWを挿通し、電線EWの先端部をストッパに当接させた後、電線保持部に電線EWを挟持させる。そして、電線被覆剥離装置1は、回転体2を回転させるとともに、4枚の刃3を回転体2の回転軸に向かって進出させることによって、電線EWの被覆を切断する。
【0021】
回転体2は、図2および図3に示すように、-X軸方向側に設けられた円筒状の内筒4と、+X軸方向側に形成されたフランジ部51を有し、内筒4を内部に収納する円筒状の外筒5とを備えている。
ここで、内筒4および外筒5は、モータ(図示略)にて駆動されることによって、X軸回りに回転するようになっている。そして、外筒5は、アクチュエータ(図示略)にて駆動されることによって、X軸方向に沿って摺動自在に設けられている。
【0022】
また、回転体2は、内筒4に固定されるとともに、電線EWを挿通させる穴を中央に有する直方体状のベース部材6を備えている。このベース部材6は、4枚の刃3と対応する位置に設けられた4本のアーム7をピン61にて回転自在に軸支している。
【0023】
図4は、ベース部材およびアームを示す正面図である。
各アーム7は、図2図4に示すように、回転体2の径方向の外側に向かって延在する第1アーム部71と、第1アーム部71の先端部から折れ曲がるようにして+X軸方向に向かって延在する第2アーム部72とを有するL字状に形成されている。
【0024】
第1アーム部71は、前述したように、ベース部材6のピン61にて基端部を軸支されている。
第2アーム部72は、その基端部(第1アーム部71の先端部)に固定された矩形板状のプレート73(図2および図3参照)を備えている。このプレート73は、-X軸方向側に取り付けられた円盤部731を有し、この円盤部731は、外筒5のフランジ部51と当接している。
また、第2アーム部72は、その先端部に形成された顎部721を有し、この顎部721は、円柱状の軸体74をくわえている。この軸体74は、矩形板状のプレート75の長手方向の一端部に固定されている。そして、プレート75の他端部は、前述した刃3を保持する保持部材8に固定されている。
【0025】
図5は、刃を保持する保持部材を示す正面図である。図6は、刃を保持する保持部材を示す上面図である。図7は、刃を保持する保持部材を示す側面図である。具体的には、図5図7は、刃31を保持する保持部材8を示す図である。
保持部材8は、図5図7に示すように、矩形板状に形成されるとともに、回転体2の径方向の内側の部位に刃3を取り付ける2つのネジ穴811を有する正面部81と、正面部81から折れ曲がるようにして-X軸方向側に向かって延在する矩形板状の側面部82とを備えた断面L字状の部材である。
【0026】
ここで、刃3は、図2および図3に示すように、一方の面を傾斜面とし、他方の面を平面とする板状の刃である。そして、刃31(刃33)と交差する位置に取り付けられた刃32(刃34)は、図2に示すように、他方の面を対向させるように取り付けられている。また、刃31と向かい合う位置に取り付けられた刃33は、図3に示すように、他方の面を面一とするように取り付けられている。
【0027】
図8は、保持部材の正面部を示す断面図である。具体的には、図8は、保持部材8の正面部81をXZ平面に沿って切断した断面図である。
保持部材8の正面部81は、図5~8に示すように、回転体2の径方向に沿って貫通して形成された貫通穴812を有している。
【0028】
また、保持部材8は、図2図3、および図8に示すように、貫通穴812に挿通されるとともに、電線EWの被覆に当接する円柱状の当接部材83を備えている。
当接部材83は、図8に示すように、貫通穴812の両端に挿入された鍔部を有する2つのボス831を介して保持部材8に取り付けられている。また、当接部材83は、その両端に鍔部を有し、ボス831の鍔部と、当接部材83の鍔部とによって、貫通穴812から脱落しないようになっている。また、当接部材83は、電線EWの被覆に当接する鍔部と、ボスの鍔部との間に取り付けられたバネ部材832を備え、このバネ部材832にて回転体2の回転軸に向かって付勢されている。そして、当接部材83は、バネ部材832にて付勢された状態において、刃3よりも回転体2の回転軸に向かって僅かに突出する長さに設定されている(図1~3参照)。
【0029】
図9は、保持部材と、保持部材の近傍に配置された各種の部材を示す上面図である。
保持部材8の側面部82は、図5~9に示すように、回転体2の径方向に沿って形成された溝部821を有している。
そして、保持部材8は、図2図3、および図9に示すように、溝部821に固定されるとともに、刃3を回転体2の回転軸に向かって進退させる際に刃3をガイドする角柱状のガイド部材84を備えている。
【0030】
ここで、回転体2は、回転体2の径方向に沿ってガイド部材84を案内するガイド板91を備え、このガイド板91は、板状の支持部材9を介してベース部材6に固定されている(図2,3参照)。
また、回転体2は、図2および図3に示すように、第2アーム部72および支持部材9を跨ぐようにして取り付けられたダンパ10を備えている。
【0031】
この電線被覆剥離装置1にて電線EWの被覆を剥離する場合には、使用者は、前述したように、回転体2の穴に電線EWを挿通し、電線EWの先端部をストッパに当接させた後、電線保持部に電線EWを挟持させる(図2参照)。
なお、ストッパは、内筒4の内部に収納された円柱状の部材であり、X軸方向側に沿って進退することによって、複数の刃3との距離を調整することができるようになっているので、このストッパの位置を調整することによって、回転体2に挿通された電線EWの被覆を切断する位置を設定することができる。
【0032】
図10は、電線の被覆の切断を開始した状態を示す図である。
電線被覆剥離装置1は、図10に示すように、内筒4および外筒5を回転させるとともに(図中矢印A参照)、4枚の刃3を回転体2の回転軸に向かって進出させることによって、電線EWの被覆を切断する。
具体的には、電線被覆剥離装置1は、外筒5を+X軸方向に向かって移動させることによって(図中矢印B参照)、4枚の刃3を回転体2の回転軸に向かって進出させる。外筒5のフランジ部51は、+X軸方向に向かって移動することによって、プレート73の円盤部731を押し出し、ピン61を中心としてアーム7を回動させる(図中矢印C参照)。アーム7は、ピン61を中心として回動することによって、軸体74を介してプレート75および保持部材8を回転体2の回転軸に向かって進出させる。そして、4枚の刃3は、保持部材8とともに回転体2の回転軸に向かって進出し、電線EWの被覆を切断する。この際、保持部材8は、ガイド部材84を介して支持部材9のガイド板91にガイドされることによって、回転体2の回転軸に向かって進出することができる。
【0033】
ここで、保持部材8にて保持されている当接部材83は、4枚の刃3とともに回転体2の回転軸に向かって進出することになる。そして、当接部材83は、バネ部材832にて付勢された状態において、複数の刃3よりも回転体2の回転軸に向かって僅かに突出する長さに設定されているので、複数の刃3よりも先に電線EWの被覆に当接する(図10参照)。
【0034】
図11は、電線の被覆に当接部材が当接した後、さらに電線の被覆の切断を継続した状態を示す図である。
電線EWの被覆に当接部材83が当接した後、電線被覆剥離装置1は、図11に示すように、外筒5を+X軸方向に向かって移動させることによって(図中矢印B参照)、4枚の刃3を回転体2の回転軸に向かって進出させる。この際、当接部材83は、バネ部材832の付勢力に抗して保持部材8の内部に向かって後退し、複数の刃3は、電線EWの被覆を切断する。
【0035】
このように、本実施形態では、複数の当接部材83は、回転体2に挿通された電線EWの被覆を切断する位置よりも先端側(-X軸方向側)の位置に当接している。そして、複数の当接部材83は、複数の刃3が電線EWの被覆に当接する前から電線EWの被覆を切断するまで電線EWの被覆に当接するように構成されている。
【0036】
また、本実施形態では、複数の保持部材8は、回転体2の回転軸に向かって進退自在となるように回転体2に設けられるとともに、複数の刃3のそれぞれを保持している。
また、本実施形態では、複数の保持部材8は、回転体2の回転軸に向かって進退自在となるように複数の当接部材83のそれぞれを保持している。そして、複数の当接部材83は、複数の刃3よりも回転体2の回転軸に向かって僅かに突出するようにして複数の保持部材8のそれぞれに保持されている。
【0037】
さらに、電線被覆剥離装置1は、複数の当接部材83のそれぞれを回転体2の回転軸に向かって付勢する付勢部材としてのバネ部材832を備えている。このバネ部材832は、複数の当接部材83の位置を調整することによって、電線EWの被覆に対する複数の当接部材83の押圧力を同一とするように調整する調整手段として機能している。
なお、本実施形態では、調整手段は、電線EWの被覆に対する複数の当接部材83の押圧力を同一とするように調整しているが、同一とするように調整しなくてもよく、電線EWの被覆に対する複数の当接部材83の押圧力を個別に調整してもよい。
【0038】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)複数の当接部材83は、複数の刃3が電線EWの被覆に当接する前から電線EWの被覆を切断するまで電線EWの被覆に当接するように構成されているので、電線被覆剥離装置1は、電線EWの被覆を剥離する際に、電線EWの被覆を切断する位置よりも先端側の位置を複数の当接部材83にて押さえながら電線EWの被覆を切断することができる。したがって、電線被覆剥離装置1は、電線EWの芯材を傷つけてしまうことなく電線EWの被覆を剥離することができる。
【0039】
(2)複数の刃3および複数の当接部材83のそれぞれは、複数の保持部材8にて保持されているので、複数の保持部材8を回転体2の回転軸に向かって進出させることによって、複数の刃3および複数の当接部材83の双方を回転体2の回転軸に向かって進出させることができる。また、複数の当接部材83は、複数の刃3よりも回転体2の回転軸に向かって僅かに突出するようにして複数の保持部材8のそれぞれに保持されているので、複数の保持部材8を回転体2の回転軸に向かって進出させることによって、複数の刃3よりも先に電線EWの被覆に当接することができる。したがって、電線被覆剥離装置1は、簡素な構成にて複数の刃3が電線EWの被覆に当接する前から電線EWの被覆を切断するまで複数の当接部材83を電線EWの被覆に当接するように構成することができる。
【0040】
(3)電線被覆剥離装置1は、複数の当接部材83の位置を調整することによって、電線EWの被覆に対する複数の当接部材83の押圧力を調整する調整手段を備えているので、複数の保持部材8を回転体2の回転軸に向かって進出させることによって、複数の刃3および複数の当接部材83の双方を回転体2の回転軸に向かって進出させるように構成した場合であっても電線EWの被覆に対する複数の当接部材83の押圧力を調整することができ、ひいては回転体2の回転を阻害することなく電線EWの被覆を剥離することができる。
(4)調整手段は、複数の当接部材83の押圧力を同一とするように調整するので、電線EWの中心軸および回転体2の回転軸のずれを抑制することができ、ひいては電線EWの芯材を傷つけてしまうことなく電線EWの被覆を剥離することができる。
(5)調整手段は、複数の当接部材83のそれぞれを回転体2の回転軸に向かって付勢するバネ部材832であるので、簡素な構成にて電線EWの被覆に対する複数の当接部材83の押圧力を調整することができ、ひいては回転体2の回転を阻害することなく電線EWの被覆を剥離することができる。
【0041】
〔実施形態の変形例〕
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、複数の当接部材83は、複数の刃3よりも回転体2の回転軸に向かって突出するようにして複数の保持部材8のそれぞれに保持させることによって、複数の刃3が電線EWの被覆に当接する前から電線EWの被覆を切断するまで電線EWの被覆に当接するように構成していたが、これ以外の構成を採用してもよい。例えば、複数の当接部材の位置を能動的に調整することによって、複数の刃3が電線EWの被覆に当接する前から電線EWの被覆を切断するまで電線EWの被覆に当接するように構成してもよい。
【0042】
また、前記実施形態では、電線被覆剥離装置1は、複数の保持部材8を回転体2の回転軸に向かって進出させることによって、複数の刃3および複数の当接部材83の双方を電線EWに向かって進出させるように構成しているが、複数の刃3および複数の当接部材83を個別に回転体2の回転軸に向かって進出させるように構成してもよい。例えば、複数の当接部材は、複数の保持部材に保持されることなく、複数の刃に対して回転体の回転軸まわりに45度回転した位置に設けられていてもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、電線被覆剥離装置1は、複数の当接部材83の位置を調整することによって、電線EWの被覆に対する複数の当接部材83の押圧力を調整する調整手段としてバネ部材832を採用していた。これに対して、調整手段は、例えば、複数の当接部材の位置を能動的に調整することによって、電線の被覆に対する複数の当接部材の押圧力を調整するように構成してもよい。また、電線被覆剥離装置1は、調整手段を備えていなくてもよく、複数の当接部材は、複数の刃とともに、回転体の回転軸に向かって進出し、押圧力が増大するようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明は、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 電線被覆剥離装置
2 回転体
3 刃
4 内筒
5 外筒
6 ベース部材
7 アーム
8 保持部材
9 支持部材
10 ダンパ
51 フランジ部
61 ピン
73 プレート
74 軸体
75 プレート
83 当接部材
84 ガイド部材
91 ガイド板
832 バネ部材(付勢部材,調整手段)
EW 電線
【要約】
【課題】電線の芯材を傷つけてしまうことなく電線の被覆を剥離することができる電線被覆剥離装置の提供。
【解決手段】電線被覆剥離装置1は、電線EWを挿通させる穴を中心に有する回転体2と、回転体2の回転軸に向かって進退自在となるように回転体2に設けられた複数の刃3とを備える。また、電線被覆剥離装置1は、回転体2に挿通された電線EWの被覆を切断する位置よりも先端側の位置に当接する複数の当接部材83を備える。複数の当接部材83は、複数の刃3が電線EWの被覆に当接する前から電線EWの被覆を切断するまで電線の被覆に当接するように構成されている。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11