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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】作業状況管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20250210BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20250210BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021130723
(22)【出願日】2021-08-10
(65)【公開番号】P2023025462
(43)【公開日】2023-02-22
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】梅村 勝
(72)【発明者】
【氏名】八朝 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】増澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】石濱 茂崇
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏一
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】飛鳥馬 翼
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-056214(JP,A)
【文献】国際公開第2020/196674(WO,A1)
【文献】特開2021-080787(JP,A)
【文献】特開2020-166540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械による現場の作業状況を管理する作業状況管理システムであって、
前記作業機械に取り付けられ、前記作業機械の作業状況を撮影して作業動画を取得する撮影装置と、
前記作業機械に取り付けられ、前記作業機械の作業に応じた加速度を検出して加速度情報を取得する加速度検出装置と、
前記作業機械に取り付けられ、前記作業機械の位置情報を取得する位置取得装置と、
前記加速度検出装置で取得した前記加速度情報及び前記位置取得装置で取得した前記位置情報を即時に受信するサーバ装置と、
前記サーバ装置から前記加速度情報及び前記位置情報を受信する端末装置と、を備え、
前記端末装置は、前記加速度情報に基づいて前記作業機械の稼働状況を判定して前記稼働状況を表示すると共に、前記現場の現場図面を予め記憶していて、前記位置情報に基づいて前記作業機械の現在位置を前記現場図面に重ねて表示し、
前記端末装置は、所定の管理タイミングに応じて、前記撮影装置で取得した所定時間範囲の前記作業動画を前記サーバ装置を介して受信して表示し、
更に、前記端末装置は、前記作業動画を要求するための動画要求操作を受け付けていて、前記動画要求操作に応じて動画要求を前記サーバ装置を介して前記作業機械へ送信し、
前記作業機械は、前記動画要求に応じて、動画要求時点の前後に亘る前記所定時間範囲の前記作業動画を前記サーバ装置を介して前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記動画要求に応じたタイミングを前記管理タイミングとして前記作業動画を受信することを特徴とする作業状況管理システム。
【請求項2】
前記作業機械は、特定作業の検出に応じて、前記特定作業の検出時点の前後に亘る前記所定時間範囲の前記作業動画を前記サーバ装置を介して前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記特定作業の検出に応じたタイミングを前記管理タイミングとして前記作業動画を受信することを特徴とする請求項1に記載の作業状況管理システム。
【請求項3】
前記端末装置は、複数の前記作業機械のそれぞれから前記加速度情報及び前記位置情報を前記サーバ装置を介して受信し、
複数の前記作業機械の前記稼働状況を表示すると共に、複数の前記作業機械の前記現在位置を前記現場図面に重ねて表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業状況管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重機等の作業機械による現場の作業状況を管理する作業状況管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が重機等の作業機械によって現場の作業を行うとき、現場の管理者は、作業状況を目視等によって確認する必要があり、何か事象が発生した場合には、作業者に対して作業状況の聞き取りを行っていた。そのため、管理者は、現場の作業状況を管理するために、手間が掛かり、作業状況を正確に把握することが困難である。
【0003】
なお、特許文献1に記載の監督システムは、土木工事領域内で稼動する複数の土木機械や建設機械や車両に、デジタル撮影装置と携帯用電話を接続されたインターネット接続機能付き携帯用情報端末を設置し、デジタル撮影装置にて撮影した画像をインターネットを利用して発信することで、インターネット接続機能付き情報端末を所持する工事関係者であれば、自由に土木工事領域を監督するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-269176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の監督システム等の従来技術によれば、工事関係者は、デジタル撮影装置で撮影した画像を情報端末で受信して確認することができる。しかしながら、現場では通信環境が整っていないことが多く、デジタル撮影装置で現場の画像を撮影しても、工事関係者の情報端末へ画像を円滑に送信することが困難であり、特に、動画をリアルタイムに送信することは困難である。そのため、工事関係者等の管理者は、重機等の作業機械が作業を行う現場の作業状況をリアルタイムに確認することが困難である。
【0006】
また、従来技術では、管理者が現場を撮影した画像だけを確認しても、作業機械が現場のどの作業領域を作業しているかを把握することが困難であり、作業機械がどのような作業を行って、それに対して作業状況がどのように進捗しているかを把握することが困難である。なお、作業者や管理者は、現場図面を参照して作業領域を把握して現場内を移動するので、地図データを参照しても作業領域や作業機械の現在位置を把握することは困難である。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、管理者が現場の作業状況をより正確に把握して管理することができる作業状況管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業状況管理システムは、対作業機械による現場の作業状況を管理する作業状況管理システムであって、前記作業機械に取り付けられ、前記作業機械の作業状況を撮影して作業動画を取得する撮影装置と、 前記作業機械に取り付けられ、前記作業機械の作業に応じた加速度を検出して加速度情報を取得する加速度検出装置と、前記作業機械に取り付けられ、前記作業機械の位置情報を取得する位置取得装置と、前記加速度検出装置で取得した前記加速度情報及び前記位置取得装置で取得した前記位置情報を即時に受信するサーバ装置と、前記サーバ装置から前記加速度情報及び前記位置情報を受信する端末装置と、を備え、前記端末装置は、前記加速度情報に基づいて前記作業機械の稼働状況を判定して前記稼働状況を表示すると共に、前記現場の現場図面を予め記憶していて、前記位置情報に基づいて前記作業機械の現在位置を前記現場図面に重ねて表示し、前記端末装置は、所定の管理タイミングに応じて、前記撮影装置で取得した所定時間範囲の前記作業動画を前記サーバ装置を介して受信して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管理者は、現場の作業状況をより正確に把握して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る作業状況管理システムを示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る作業状況管理システムにおいて端末装置に表示される管理画面の例を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る作業状況管理システムにおいて端末装置に表示される管理画面の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態の作業状況管理システム1について説明する。図1は、作業状況管理システム1を示すブロック図である。
【0012】
作業状況管理システム1は、重機2等の作業機械による現場の作業状況を管理するものであり、重機2に取り付けられる撮影装置3、加速度検出装置4及び位置取得装置5と、重機2と通信可能なサーバ装置6と、サーバ装置6と通信可能な端末装置7とを備える。
【0013】
重機2は、作業者の操作に応じて走行や作業を行う油圧ショベル等の作業機械である。重機2は、走行や作業を操作するための走行操作部材や作業操作部材を運転席の周囲に備えていて、更に、作業者の操作を支援するマシンガイダンス機能によるガイド内容を表示するためのモニタ8を備えている。
【0014】
撮影装置3は、重機2による作業状況を撮影できるような位置で重機2に取り付けられ、例えば、運転席の上方に設けられて運転席の作業者と同じ目線で作業状況を視認できる位置に配置される。また、撮影装置3は、モニタ8に表示されるガイド内容を撮影できるような位置で重機2に取り付けられる。
【0015】
撮影装置3は、SDカード等のフラッシュメモリを着脱可能に備えていて、作業状況を撮影した画像やガイド内容を撮影した画像を作業動画としてメモリに保存し、また、作業動画を出力可能に構成されている。撮影装置3は、高解像度で作業動画を撮影して保存する一方、低解像度の作業動画又は高解像度の作業動画を出力可能とする。
【0016】
なお、撮影装置3は、作業状況を撮影するカメラと、ガイド内容を撮影するカメラとの2つのカメラで構成されていてもよく、あるいは、作業状況とガイド内容とを同時に撮影する1つのカメラで構成されていてもよい。また、撮影装置3は、2つ以上のカメラで2つ以上の視点から作業状況を撮影するように構成されていてもよい。
【0017】
加速度検出装置4は、重機2の走行や作業に係る加速度を検出する加速度センサであり、その加速度を示す加速度情報を出力可能に構成されている。
【0018】
位置取得装置5は、GPS等の衛星測位システムを利用して重機2のGNSS情報を位置情報として取得する測位装置であり、その位置情報を出力可能に構成されている。
【0019】
なお、撮影装置3及び加速度検出装置4は、別体で構成されていてよいが、加速度センサ付きカメラとして一体的に構成されていてもよい。また、撮影装置3及び位置取得装置5は、別体で構成されていてよいが、一体的に構成されていてもよい。あるいは、撮影装置3、加速度検出装置4及び位置取得装置5が、全て一体的に構成されていてもよい。
【0020】
また、重機2は、インターネット等のネットワークNを介してサーバ装置6と通信可能に接続される通信装置9を備えている。通信装置9は、撮影装置3で取得した作業動画、加速度検出装置4で取得した加速度情報及び位置取得装置5で取得した位置情報をサーバ装置6へと送信する。
【0021】
撮影装置3は、撮影した作業動画をメモリに保存している一方、重機2が稼働している間に常時(例えば、比較的短い所定の時間間隔毎に)、低解像度の作業動画を取得し、通信装置9は、取得した低解像度の作業動画を即時的(リアルタイム)にサーバ装置6へと送信(アップロード)する。
【0022】
また、撮影装置3は、重機2が稼働している間に端末装置7からの動画要求時点を管理タイミングとして、所定時間範囲の高解像度の作業動画をメモリから読み出して取得し、通信装置9は、取得した高解像度の作業動画をサーバ装置6へと送信(アップロード)する。例えば、撮影装置3は、動画要求時点の前後に亘る所定時間範囲の高解像度の作業動画を取得し、このとき、動画要求時点以前の数秒(例えば、12秒)の作業動画と、動画要求時点以後の数秒(例えば、8秒)の作業動画とを合わせて、所定時間範囲(例えば、20秒)の作業動画としてよい。
【0023】
更に、撮影装置3は、重機2が稼働している間に端末装置7からの画像要求に応じて、重機2による作業状況やモニタ8に表示されるガイド内容の静止画像を撮影し、通信装置9は、取得した静止画像を即時的(リアルタイム)にサーバ装置6へと送信(アップロード)する。
【0024】
加速度検出装置4及び位置取得装置5は、重機2が稼働している間に常時(例えば、比較的短い所定の時間間隔毎に)、加速度情報及び位置情報を取得して、通信装置9は、取得した加速度情報及び位置情報を即時的(リアルタイム)にサーバ装置6へと送信(アップロード)する。
【0025】
サーバ装置6は、重機2から送信されたリアルタイムなデータとして、低解像度の作業動画、加速度情報及び位置情報を、重機2及び現場に関連付けて記録していて、リアルタイムに出力可能とする。更に、サーバ装置6は、重機2の位置情報に基づいて重機2の行動軌跡を算出し、重機2に関連付けて記録する。
【0026】
また、サーバ装置6は、端末装置7からの要求に応じて重機2から送信された高解像度の作業動画や静止画像を、重機2及び現場に関連付けて記録していて、端末装置7からの要求に対する応答として出力可能とする。
【0027】
端末装置7は、重機2による現場の作業状況を管理する端末であって、例えば、タッチパネルを備えるタブレット端末やスマートフォン、ノート型のパーソナルコンピュータ等で構成される。端末装置7は、作業状況の管理機能を有するウェブサイトにアクセスし、あるいは、作業状況の管理機能を有する管理アプリケーションを起動することにより、作業状況を管理可能となる。ウェブサイト及び管理アプリケーションの何れによっても同様の管理機能を利用することができるが、以下では、端末装置7に搭載される管理アプリケーションによって管理機能を利用する例を説明する。
【0028】
端末装置7は、CPU等のコンピュータで構成される制御装置10を備えていて、制御装置10は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部11や、外部機器と通信を行う通信部12に接続されている。また、端末装置7は、様々な情報を表示して作業者に出力するためのタッチパネルやモニタ等の表示部13を備え、また、作業者からの様々な情報の入力操作を受け付けるためのタッチパネルや操作キー等の入力部14を備える。
【0029】
記憶部11は、端末装置7の各種構成要素及び各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御装置10が、記憶部11に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、端末装置7の各種構成要素及び各種機能を制御する。通信部12は、インターネット等のネットワークNを介してサーバ装置6と通信可能に接続される。
【0030】
端末装置7は、作業状況の管理機能を有する管理アプリケーションをインストールして記憶部11に記憶する。管理者による端末装置7の操作に応じて制御装置10が管理アプリケーションを起動することで、端末装置7は、通信部12を介してサーバ装置6と通信可能に接続すると共に、図2に示すように、管理アプリケーションの各種機能を実行するための管理画面20を表示部13に表示する。以下、端末装置7の管理アプリケーションの動作について説明する。
【0031】
端末装置7は、現場の現場図面を入力して記憶部11に記憶しておく。例えば、端末装置7は、現場図面をSDカード等のフラッシュメモリやUSBメモリ等の記憶媒体から入力してもよく、端末装置7と接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器から入力してもよく、外部サーバ(図示せず)から通信部12を介して入力してもよい。なお、端末装置7は、様々な現場の現場図面を記憶していてよく、また、1つの現場について様々な現場図面を記憶していてよい。
【0032】
端末装置7は、現場の2点以上の位置情報を取得して、現場図面において対応する位置に関連付けて登録することで、現場図面上の各位置の位置情報を把握可能となる。このとき、実際の現場の各位置で端末装置7の測位機能を利用して各位置の位置情報を取得してもよく、あるいは、現場の各位置の位置情報を端末装置7に入力してもよい。
【0033】
端末装置7は、作業状況を管理する重機2の選択操作を受け付けていて、選択された重機2の加速度情報及び位置情報をサーバ装置6から受信する。なお、端末装置7は、選択した重機2の加速度情報及び位置情報の取得要求をサーバ装置6へ送信して、取得要求に対する応答としてサーバ装置6から加速度情報及び位置情報を受信してもよく、あるいは、選択した重機2をサーバ装置6に対して指定して、サーバ装置6が自動的に送信する加速度情報及び位置情報を受信してもよい。
【0034】
端末装置7は、作業状況を管理する現場図面の選択操作を受け付けていて、選択された現場図面を記憶部11から読み出して管理画面20の現場図面欄21に表示する。また、端末装置7は、作業状況を管理する重機2の選択操作を受け付けていて、選択された重機2の加速度情報及び位置情報を即時的(リアルタイム)にサーバ装置6から受信する。
【0035】
このとき、端末装置7は、選択された重機2の位置情報に基づいて、現場における重機2の現在位置を判定し、その判定結果に基づいて、管理画面20の現場図面上で重機2の現在位置に対応する位置に、重機2のアイコン22を表示する。また、端末装置7は、重機2の加速度情報に基づいて、重機2の稼働時間等の稼働状況を判定し、現場図面と共に、重機2の稼働状況を管理画面20の稼働状況欄23に表示する。
【0036】
なお、端末装置7は、重機2の行動軌跡をサーバ装置6から受信して、管理画面20の現場図面上に重機2の行動軌跡を表示してよい。端末装置7は、自身の測位機能を利用して現場における端末装置7の位置を把握し、現場図面上に端末装置7の位置を表示してよい。
【0037】
端末装置7は、選択された重機2に関して、作業状況やモニタ8のガイド内容を撮影装置3によって即時的(リアルタイム)に撮影した低解像度の作業動画をサーバ装置6から受信して、リアルタイムな重機2の作業状況等を簡易的に示すように管理画面20の作業動画欄24に表示可能に構成される。例えば、端末装置7は、管理アプリケーションの起動に応じて、あるいは、管理画面20上の操作に応じて、低解像度の作業動画をサーバ装置6へ要求し、低解像度の作業動画を常時、管理画面20に表示する。なお、端末装置7は、作業状況の動画とモニタ8のガイド内容の動画とを管理画面20に同時に表示してもよいが、操作に応じて何れか一方の動画を表示してもよい。
【0038】
また、端末装置7は、選択された重機2に関して、図3に示すように、作業状況やモニタ8のガイド内容を撮影装置3によって撮影した所定時間範囲の高解像度の作業動画をサーバ装置6から受信して、重機2の作業状況等を詳細に示すように管理画面20の作業動画欄24に表示可能に構成される。なお、図3では、重機2の運転席付近に備わるモニタ8のガイド内容を撮影した作業動画を作業動画欄24の左側に表示し、重機2の運転席の前方の窓越しにみられる作業状況を撮影した作業動画を作業動画欄24の右側に表示している。端末装置7は、管理画面20上の動画要求操作に応じて、高解像度の作業動画の動画要求をサーバ装置6を介して重機2へ送信し、動画要求に応じて撮影装置3が撮影した高解像度の作業動画をサーバ装置6を介して重機2から受信する。
【0039】
例えば、端末装置7は、管理画面20で現場図面に重ねて表示される重機2のアイコン22に対するタッチ操作に応じて、あるいは、管理画面20に設けられる動画要求ボタン等の操作に応じて、動画要求を送信する。なお、端末装置7は、高解像度の作業動画の所定時間範囲を、管理画面20の操作に応じて設定可能としてよく、例えば、重機2のアイコン22をタッチ操作する間の時間(長押し時間)に応じて所定時間範囲の長さを設定してよい。また、端末装置7は、作業状況の動画とモニタ8のガイド内容の動画とを管理画面20に同時に表示してもよいが、操作に応じて何れか一方の動画を表示してもよい。
【0040】
また、端末装置7は、選択された重機2に関して、作業状況やモニタ8のガイド内容を撮影装置3によって撮影した静止画像をサーバ装置6から受信して、管理画面20に表示可能に構成される。端末装置7は、管理画面20上の操作に応じて、あるいは、所定の時間間隔毎に、静止画像の画像要求をサーバ装置6を介して重機2へ送信し、画像要求に応じて撮影装置3が撮影した静止画像をサーバ装置6を介して重機2から受信して、管理画面20に表示する。例えば、端末装置7は、管理画面20で現場図面に重ねて表示される重機2のアイコン22に対するタッチ操作に応じて、あるいは、管理画面20に設けられる画像要求ボタン等の操作に応じて、画像要求を送信する。
【0041】
更に、端末装置7は、受信した高解像度の作業動画を重機2に関連付けて記憶部11に記憶してもよい。また、端末装置7は、重機2の行動軌跡の各位置と、各位置の作業状況に関する高解像度の作業動画とを関連付けて記憶してもよく、行動軌跡の位置を指定して高解像度の作業動画を管理画面20に表示してもよい。端末装置7は、受信した静止画像を重機2に関連付けて記憶部11に記憶してもよい。
【0042】
本実施形態では、上述のように、重機2等の作業機械による現場の作業状況を管理する作業状況管理システム1は、撮影装置3と、加速度検出装置4と、位置取得装置5と、サーバ装置6と、端末装置7とを備えている。撮影装置3は、重機2に取り付けられ、重機2の作業状況を撮影して作業動画を取得する。加速度検出装置4は、重機2に取り付けられ、重機2の作業に応じた加速度を検出して加速度情報を取得する。位置取得装置5は、重機2に取り付けられ、重機2の位置情報を取得する。サーバ装置6は、加速度検出装置4で取得した加速度情報及び位置取得装置5で取得した位置情報を即時に受信する。端末装置7は、サーバ装置6から加速度情報及び位置情報を受信する。そして、端末装置7は、加速度情報に基づいて重機2の稼働状況を判定して稼働状況を表示すると共に、現場の現場図面を予め記憶していて、位置情報に基づいて重機2の現在位置を現場図面に重ねて表示する。また、端末装置7は、所定の管理タイミングに応じて、撮影装置3で取得した所定時間範囲の作業動画をサーバ装置6を介して受信して表示する。
【0043】
これにより、現場の管理者は、端末装置7を利用することで、現場における重機2の稼働状況や位置を把握することができ、更に、作業動画を参照して重機2の作業状況を把握することができる。そのため、管理者は、作業領域から離れた場所にいても、重機2が、現場のどの位置でどのような作業を行っているかを、より正確かつ容易に確認することができる。なお、所定時間範囲に限定された作業動画を利用するので、作業動画の送受信に係る通信負荷を軽減し、作業動画を円滑に送信することができるため、現場の通信環境が悪い場合でも、端末装置7で即座に作業動画を表示することができる。
【0044】
例えば、端末装置7は、作業動画を要求するための動画要求操作を受け付けていて、動画要求操作に応じて動画要求をサーバ装置6を介して重機2へ送信する。重機2は、動画要求に応じて、動画要求時点の前後に亘る所定時間範囲の作業動画をサーバ装置6を介して端末装置7へ送信する。そして、端末装置7は、動画要求に応じたタイミングを管理タイミングとして作業動画を受信する。
【0045】
これにより、現場の管理者が必要に応じて作業動画を要求したときだけ、作業動画の送受信が行われるので、作業動画の送受信に係る通信負荷を軽減し、作業動画を円滑に送信することができる。
【0046】
上記した実施形態では、作業状況管理システム1が、端末装置7からの動画要求時点を管理タイミングとして、重機2の撮影装置3で撮影した所定時間範囲の高解像度の作業動画を、重機2から端末装置7へと送信する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、重機2の特定作業の検出に応じたタイミングを管理タイミングとして、重機2の撮影装置3で撮影した所定時間範囲の高解像度の作業動画を、重機2から端末装置7へと送信してもよい。
【0047】
重機2は、例えば、作業機を駆動するための油圧シリンダの油圧を検出する油圧センサ、作業機を駆動するためのブームやアーム等の作業角度を検出する角度センサ、重機2の傾斜角度を検出する傾斜センサ等の検出結果を閾値判定することにより、作業機に係る負荷や、作業機の姿勢、重機2の姿勢等を判定して、重機2の特定作業を検出する。重機2は、特定作業として、重要な作業や危険な作業を検出してもよく、異常作業を検出してもよい。また、作業状況管理システム1は、重機2の特定作業を検出する作業領域を設定していて、設定された作業領域で特定作業が行われたときに、所定時間範囲の高解像度の作業動画を送信するように構成してもよい。あるいは、作業状況管理システム1は、撮影装置3で撮影している画像の解析結果に基づいて異常(他の重機や作業員の転倒、衝突等)を検出した場合やこの画像を監視する監視者が同様の異常を発見した場合、若しくは重機2の衝突や衝撃を加速度検出装置4により異常として検出した場合に、所定時間範囲の高解像度の作業動画を送信するように構成してもよい。
【0048】
重機2は、特定作業を自動的に検出して、所定時間範囲の高解像度の作業動画を自動的に送信してよく、その場合、前もって特定作業の検出をサーバ装置6を介して端末装置7へ通知するとよい。なお、この通知に対して端末装置7で動画要求操作を受け付けてもよい。
【0049】
検出すべき重機2の特定作業を判定するために、上記の油圧センサ、角度センサ、傾斜センサ等の閾値を予め設定していてよく、更に、端末装置7が上記の油圧センサ、角度センサ、傾斜センサ等の閾値の設定操作を受け付けてもよい。また、重機2の特定作業を検出する作業領域を予め設定していてよく、更に、端末装置7が作業領域の設定操作を受け付けてもよい。
【0050】
上述のように、本実施形態の作業状況管理システム1では、重機2は、特定作業の検出に応じて、特定作業の検出時点の前後に亘る所定時間範囲の作業動画をサーバ装置6を介して端末装置7へ送信し、端末装置7は、特定作業の検出に応じたタイミングを管理タイミングとして作業動画を受信する。
【0051】
これにより、管理者は、重機2の特定作業を重要視して、より正確に管理することができる。
【0052】
また、図2に示す実施形態では、現場に1台の重機2がある例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、作業状況管理システム1は、複数の重機2の作業状況を管理するように構成されてもよい。
【0053】
この場合、端末装置7は、作業状況を管理する複数の重機2の選択操作を受け付けて、選択された各重機2の加速度情報及び位置情報を即時的(リアルタイム)にサーバ装置6から受信する。端末装置7は、各重機2の位置情報に基づいて、現場における各重機2の現在位置を判定し、その判定結果に基づいて、表示部13に表示する現場図面において、各重機2の現在位置に対応する位置に、各重機2のアイコン22を表示する。
【0054】
端末装置7は、各重機2の加速度情報に基づいて、各重機2の稼働時間等の稼働状況を判定し、現場図面と共に、各重機2の稼働状況を表示部13に表示する。また、端末装置7は、複数の重機2のうち、何れかの重機2を選択して、低解像度の作業動画、高解像度の作業動画、静止画像を表示する。これにより、端末装置7の現場図面上で、複数の重機2の位置や稼働状況を把握することができる。
【0055】
なお、実施形態の説明は、本発明に係る作業状況管理システムにおける一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含む。
【符号の説明】
【0056】
1 作業状況管理システム
2 重機(作業機械)
3 撮影装置
4 加速度検出装置
5 位置取得装置
6 サーバ装置
7 端末装置
図1
図2
図3