(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】部品段取り支援装置、半田段取り支援装置、部品段取り支援方法、半田段取り支援方法、部品段取り支援プログラム、半田段取り支援プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20250210BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K3/34 505B
(21)【出願番号】P 2024515799
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 JP2022018256
(87)【国際公開番号】W WO2023203666
(87)【国際公開日】2023-10-26
【審査請求日】2024-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】奥村 宜紀
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/039495(WO,A1)
【文献】特開2008-217114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
H05K 3/32 - 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および別の部品実装機のうち、前記別の部品実装機に装着されている前記部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を記憶する記憶部と、
前記一の部品実装機が前記基板への前記部品の実装を開始するために、前記一の部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類である対象部品種が前記装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する部品照合部と、
前記部品を保管する部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、前記別の部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、前記部品照合の結果に応じて実行する作業決定部と、
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する部品実装機によって前記部品が実装された前記基板である部品実装基板を所定の生産計画に従ってそれぞれ生産する複数の生産ラインのうち、作業対象ラインにおいて生産予定の前記部品実装基板の前記生産計画を取得する生産計画取得部と
を備え、
前記一の部品実装機は、前記作業対象ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記別の部品実装機は、前記複数の生産ラインのうち、前記作業対象ラインとは異なる別の生産ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記装着部品種情報が示す前記装着部品種は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記部品の種類であり、
前記対象部品種は、前記作業対象ラインで前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産を開始するために、前記作業対象ラインの前記部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類であり、
前記出庫装着作業は、前記部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記流用装着作業は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記部品照合によって前記装着部品種情報における前記対象部品種の存在が確認されると、前記装着作業決定では、前記別の生産ラインにおいて前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産への前記対象部品種の前記部品の使用が終了する予定である使用終了予定時刻と、前記作業対象ラインにおいて前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産が開始する予定である生産開始予定時刻とが算出され、前記使用終了予定時刻が前記生産開始予定時刻に対して所定の流用条件を満たす場合には、前記流用装着作業を実行すると決定され、前記使用終了予定時刻が前記生産開始予定時刻に対して前記流用条件を満たさない場合には、前記出庫装着作業を実行すると決定され
る部品段取り支援装置。
【請求項2】
前記流用条件は、前記使用終了予定時刻が前記生産開始予定時刻より前であるという条件である請求項
1に記載の部品段取り支援装置。
【請求項3】
前記装着作業決定では、前記生産開始予定時刻から猶予期間が経過した猶予時刻が算出され、
前記流用条件は、前記使用終了予定時刻が前記猶予時刻より前であるという条件である請求項
1に記載の部品段取り支援装置。
【請求項4】
前記作業対象ライン以外に設けられた複数の装着箇所において前記対象部品種の前記部品が装着され、前記装着箇所から供給された前記部品が前記部品実装基板の生産に使用され、
前記装着作業決定では、前記複数の装着箇所のそれぞれについて、当該装着箇所が属する前記別の生産ラインにおいて当該装着箇所から供給された前記部品の使用が終了する予定である前記使用終了予定時刻が算出され、前記複数の装着箇所のうち前記使用終了予定時刻が最も早い前記装着箇所について算出された前記使用終了予定時刻が前記生産開始予定時刻に対して前記流用条件を満たすかが判定される請求項
1に記載の部品段取り支援装置。
【請求項5】
前記作業対象ライン以外に設けられた複数の装着箇所において前記対象部品種の前記部品が装着され、前記装着箇所から供給された前記部品が前記部品実装基板の生産に使用され、
前記装着作業決定では、前記複数の装着箇所において、当該装着箇所が属する前記別の生産ラインにおいて当該装着箇所から供給された前記部品の使用が終了する予定である前記使用終了予定時刻が前記生産開始予定時刻に対して前記流用条件を満たす複数の候補が存在する場合には、前記複数の候補のうち、当該候補に装着される前記部品の使用期限が最も早い前記部品について前記流用装着作業を実行すると決定される請求項1に記載の部品段取り支援装置。
【請求項6】
前記別の生産ラインは、複数の種類の前記部品実装基板を生産する前記生産計画に従って前記部品実装基板を生産し、
前記装着作業決定では、前記別の生産ラインにおける前記複数の種類の前記部品実装基板の生産において前記対象部品種の前記部品の使用が終了する時刻が前記使用終了予定時刻として算出される請求項
1に記載の部品段取り支援装置。
【請求項7】
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および別の部品実装機のうち、前記別の部品実装機に装着されている前記部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を記憶する記憶部と、
前記一の部品実装機が前記基板への前記部品の実装を開始するために、前記一の部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類である対象部品種が前記装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する部品照合部と、
前記部品を保管する部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、前記別の部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、前記部品照合の結果に応じて実行する作業決定部と、
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する部品実装機によって前記部品が実装された前記基板である部品実装基板を所定の生産計画に従ってそれぞれ生産する複数の生産ラインのうち、作業対象ラインにおいて生産予定の前記部品実装基板の前記生産計画を取得する生産計画取得部と
を備え、
前記一の部品実装機は、前記作業対象ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記別の部品実装機は、前記複数の生産ラインのうち、前記作業対象ラインとは異なる別の生産ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記装着部品種情報が示す前記装着部品種は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記部品の種類であり、
前記対象部品種は、前記作業対象ラインで前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産を開始するために、前記作業対象ラインの前記部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類であり、
前記出庫装着作業は、前記部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記流用装着作業は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記記憶部は、前記出庫装着作業および前記流用装着作業のいずれを優先するかを前記部品の種類に対応付けて示す優先作業情報を記憶し、
前記部品照合において前記装着部品種情報における存在が確認された前記対象部品種に対して前記優先作業情報が前記流用装着作業の優先を示す場合には、前記作業決定部は、前記装着作業決定を実行せずに、前記流用装着作業を実行すると決定し、
前記部品照合において前記装着部品種情報における存在が確認された前記対象部品種に対して前記優先作業情報が前記出庫装着作業の優先を示す場合には、前記作業決定部は、前記装着作業決定を実行せずに、前記出庫装着作業を実行すると決定す
る部品段取り支援装置。
【請求項8】
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および別の部品実装機のうち、前記別の部品実装機に装着されている前記部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を記憶する記憶部と、
前記一の部品実装機が前記基板への前記部品の実装を開始するために、前記一の部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類である対象部品種が前記装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する部品照合部と、
前記部品を保管する部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、前記別の部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、前記部品照合の結果に応じて実行する作業決定部と、
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する部品実装機によって前記部品が実装された前記基板である部品実装基板を所定の生産計画に従ってそれぞれ生産する複数の生産ラインのうち、作業対象ラインにおいて生産予定の前記部品実装基板の前記生産計画を取得する生産計画取得部と
を備え、
前記一の部品実装機は、前記作業対象ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記別の部品実装機は、前記複数の生産ラインのうち、前記作業対象ラインとは異なる別の生産ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記装着部品種情報が示す前記装着部品種は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記部品の種類であり、
前記対象部品種は、前記作業対象ラインで前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産を開始するために、前記作業対象ラインの前記部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類であり、
前記出庫装着作業は、前記部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記流用装着作業は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記部品照合によって前記装着部品種情報における前記対象部品種の存在が確認されると、前記装着作業決定では、前記別の生産ラインにおいて前記対象部品種の前記部品の使用が終了した時点において、前記流用装着作業によって前記別の生産ラインから前記作業対象ラインに移設可能な前記対象部品種の前記部品の個数である部品残数が算出され、前記部品残数に基づき前記出庫装着作業と前記流用装着作業とのいずれを実行するかが決定され
る部品段取り支援装置。
【請求項9】
前記装着作業決定では、前記作業対象ラインにおいて前記生産計画に従って前記基板に実装予定の前記対象部品種の前記部品の個数である使用予定個数を算出し、前記部品残数が前記使用予定個数以上である場合には、前記流用装着作業を実行すると決定する請求項
8に記載の部品段取り支援装置。
【請求項10】
前記別の生産ラインは、複数の種類の前記部品実装基板を生産する前記生産計画に従って前記部品実装基板を生産し、
前記装着作業決定では、前記別の生産ラインにおける前記複数の種類の前記部品実装基板の生産において前記対象部品種の前記部品の使用が終了した時点における前記部品残数を算出する請求項
8に記載の部品段取り支援装置。
【請求項11】
前記作業決定部によって前記流用装着作業によって前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着すると決定された前記対象部品種の前記部品の前記別の生産ラインにおける所在を報知する所在報知部をさらに備える請求項
1に記載の部品段取り支援装置。
【請求項12】
前記作業決定部によって前記流用装着作業によって前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着すると決定された前記対象部品種の前記部品の前記別の生産ラインにおける所在を報知する所在報知部をさらに備える請求項
7に記載の部品段取り支援装置。
【請求項13】
前記作業決定部によって前記流用装着作業によって前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着すると決定された前記対象部品種の前記部品の前記別の生産ラインにおける所在を報知する所在報知部をさらに備える請求項
8に記載の部品段取り支援装置。
【請求項14】
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および別の部品実装機のうち、前記別の部品実装機に装着されている前記部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を記憶する記憶部と、
前記一の部品実装機が前記基板への前記部品の実装を開始するために、前記一の部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類である対象部品種が前記装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する部品照合部と、
前記部品を保管する部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、前記別の部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、前記部品照合の結果に応じて実行する作業決定部と
を備え、
前記一の部品実装機と前記別の部品実装機とは同一の生産ラインに含まれ
る部品段取り支援装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか一項に記載の部品段取り支援装置としてコンピュータを機能させる部品段取り支援プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の部品段取り支援プログラムをコンピュータにより読み出し可能に記録する記録媒体。
【請求項17】
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および
別の部品実装機のうち、前記別の部品実装機に装着されている前記部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を取得する工程と、
前記一の部品実装機が前記基板への前記部品の実装を開始するために、前記一の部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類である対象部品種が前記装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する工程と、
前記部品を保管する部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、前記別の部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、前記部品照合の結果に応じて実行する工程と
、
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する部品実装機によって前記部品が実装された前記基板である部品実装基板を所定の生産計画に従ってそれぞれ生産する複数の生産ラインのうち、作業対象ラインにおいて生産予定の前記部品実装基板の前記生産計画を取得する工程と
を備え、
前記一の部品実装機は、前記作業対象ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記別の部品実装機は、前記複数の生産ラインのうち、前記作業対象ラインとは異なる別の生産ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記装着部品種情報が示す前記装着部品種は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記部品の種類であり、
前記対象部品種は、前記作業対象ラインで前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産を開始するために、前記作業対象ラインの前記部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類であり、
前記出庫装着作業は、前記部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記流用装着作業は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記部品照合によって前記装着部品種情報における前記対象部品種の存在が確認されると、前記装着作業決定では、前記別の生産ラインにおいて前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産への前記対象部品種の前記部品の使用が終了する予定である使用終了予定時刻と、前記作業対象ラインにおいて前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産が開始する予定である生産開始予定時刻とが算出され、前記使用終了予定時刻が前記生産開始予定時刻に対して所定の流用条件を満たす場合には、前記流用装着作業を実行すると決定され、前記使用終了予定時刻が前記生産開始予定時刻に対して前記流用条件を満たさない場合には、前記出庫装着作業を実行すると決定される部品段取り支援方法。
【請求項18】
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および
別の部品実装機のうち、前記別の部品実装機に装着されている前記部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を
記憶部から取得する工程と、
前記一の部品実装機が前記基板への前記部品の実装を開始するために、前記一の部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類である対象部品種が前記装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する工程と、
前記部品を保管する部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、前記別の部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、
作業決定部が前記部品照合の結果に応じて実行する工程と
、
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する部品実装機によって前記部品が実装された前記基板である部品実装基板を所定の生産計画に従ってそれぞれ生産する複数の生産ラインのうち、作業対象ラインにおいて生産予定の前記部品実装基板の前記生産計画を取得する工程と
を備え
、
前記一の部品実装機は、前記作業対象ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記別の部品実装機は、前記複数の生産ラインのうち、前記作業対象ラインとは異なる別の生産ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記装着部品種情報が示す前記装着部品種は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記部品の種類であり、
前記対象部品種は、前記作業対象ラインで前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産を開始するために、前記作業対象ラインの前記部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類であり、
前記出庫装着作業は、前記部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記流用装着作業は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記記憶部は、前記出庫装着作業および前記流用装着作業のいずれを優先するかを前記部品の種類に対応付けて示す優先作業情報を記憶し、
前記部品照合において前記装着部品種情報における存在が確認された前記対象部品種に対して前記優先作業情報が前記流用装着作業の優先を示す場合には、前記作業決定部は、前記装着作業決定を実行せずに、前記流用装着作業を実行すると決定し、
前記部品照合において前記装着部品種情報における存在が確認された前記対象部品種に対して前記優先作業情報が前記出庫装着作業の優先を示す場合には、前記作業決定部は、前記装着作業決定を実行せずに、前記出庫装着作業を実行すると決定する部品段取り支援方法。
【請求項19】
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および
別の部品実装機のうち、前記別の部品実装機に装着されている前記部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を取得する工程と、
前記一の部品実装機が前記基板への前記部品の実装を開始するために、前記一の部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類である対象部品種が前記装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する工程と、
前記部品を保管する部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、前記別の部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、前記部品照合の結果に応じて実行する工程と
、
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する部品実装機によって前記部品が実装された前記基板である部品実装基板を所定の生産計画に従ってそれぞれ生産する複数の生産ラインのうち、作業対象ラインにおいて生産予定の前記部品実装基板の前記生産計画を取得する工程と
を備え
、
前記一の部品実装機は、前記作業対象ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記別の部品実装機は、前記複数の生産ラインのうち、前記作業対象ラインとは異なる別の生産ラインに含まれる前記部品実装機であり、
前記装着部品種情報が示す前記装着部品種は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記部品の種類であり、
前記対象部品種は、前記作業対象ラインで前記生産計画に基づく前記部品実装基板の生産を開始するために、前記作業対象ラインの前記部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類であり、
前記出庫装着作業は、前記部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記流用装着作業は、前記別の生産ラインの前記部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記作業対象ラインの前記部品実装機に装着する作業であり、
前記部品照合によって前記装着部品種情報における前記対象部品種の存在が確認されると、前記装着作業決定では、前記別の生産ラインにおいて前記対象部品種の前記部品の使用が終了した時点において、前記流用装着作業によって前記別の生産ラインから前記作業対象ラインに移設可能な前記対象部品種の前記部品の個数である部品残数が算出され、前記部品残数に基づき前記出庫装着作業と前記流用装着作業とのいずれを実行するかが決定される部品段取り支援方法。
【請求項20】
部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および
別の部品実装機のうち、前記別の部品実装機に装着されている前記部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を取得する工程と、
前記一の部品実装機が前記基板への前記部品の実装を開始するために、前記一の部品実装機に対して装着すべき前記部品の種類である対象部品種が前記装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する工程と、
前記部品を保管する部品保管庫から前記対象部品種の部品を出庫して前記一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、前記別の部品実装機に装着されている前記対象部品種の前記部品を取り外して前記一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、前記部品照合の結果に応じて実行する工程と
を備え
、
前記一の部品実装機と前記別の部品実装機とは同一の生産ラインに含まれる部品段取り支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品を基板に実装する部品実装機や、半田を基板に印刷する半田印刷機を用いた生産ラインにおいて、部品や半田の段取り作業を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の部品を収納するテープをテープフィーダに装着して、当該テープフィーダが所定位置に供給する部品を実装ヘッドによって基板に移載することで部品を基板に実装する部品実装機が知られている。また、部品が実装された基板である部品実装基板を当該部品実装機によって生産する生産ラインでは、特許文献1に記載されているように、テープフィーダに装着された部品が使い切られるのに応じて、部品を収納したテープを部品実装機のテープフィーダに装着する部品段取り作業が実行される。また、かかる生産ラインにおいて、半田を基板に印刷する半田印刷機を用いる場合には、半田が使い切られるのに応じて、半田を半田印刷機に装着する半田段取り作業が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような段取り作業は、部品保管庫から取り出したテープを部品実装機に装着したり、半田保管庫から取り出した半田を半田印刷機に装着したりすることで実行される。この際、部品切れの度に、新たなテープが部品保管庫から取り出されて部品実装機に装着されたために、生産ラインが設置された生産現場において多数の部品が残存してしまう場合があった。また、半田切れの度に、新たな半田が半田保管庫から取り出されて半田印刷機に装着されたために、生産現場において多数の半田が残存してしまう場合があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品あるいは半田を使用する生産現場において、部品あるいは半田が残存する量を抑制可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半田段取り支援装置は、部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および別の部品実装のうち、別の部品実装機に装着されている部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を記憶する記憶部と、一の部品実装機が基板への部品の実装を開始するために、一の部品実装機に対して装着すべき部品の種類である対象部品種が装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する部品照合部と、部品を保管する部品保管庫から対象部品種の部品を出庫して一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、別の部品実装機に装着されている対象部品種の部品を取り外して一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、部品照合の結果に応じて実行する作業決定部とを備える。
【0007】
本発明に係る部品段取り支援プログラムは、上記の部品段取り支援装置としてコンピュータを機能させる。
【0008】
本発明に係る記録媒体は、上記の部品段取り支援プログラムをコンピュータにより読み出し可能に記録する。
【0009】
本発明に係る部品段取り支援方法は、部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する一の部品実装機および別の部品実装のうち、別の部品実装機に装着されている部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を取得する工程と、一の部品実装機が基板への部品の実装を開始するために、一の部品実装機に対して装着すべき部品の種類である対象部品種が装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する工程と、部品を保管する部品保管庫から対象部品種の部品を出庫して一の部品実装機に装着する出庫装着作業と、別の部品実装機に装着されている対象部品種の部品を取り外して一の部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、部品照合の結果に応じて実行する工程とを備える。
【0010】
このように構成された本発明(部品段取り支援装置、部品段取り支援プログラム、記録媒体および部品段取り支援方法)では、一の部品実装機による基板への部品の実装を開始するために一の部品実装機に部品を装着するにあたって、装着部品種情報が参照される。この装着部品種情報は、別の部品実装機に装着されている部品の種類(装着部品種)を示す。具体的には、一の部品実装機に対して装着すべき部品の種類(対象部品種)が装着部品種情報に存在するかが確認される(部品照合)。そして、出庫装着作業および流用装着作業のいずれによって一の部品実装機に部品を装着するかを決定する装着作業決定が、部品照合の結果に基づき実行される。ここで、出庫装着作業は、部品を保管する部品保管庫から対象部品種の部品を出庫して一の部品実装機に装着する作業であり、流用装着作業は、別の部品実装機に装着されている対象部品種の部品を取り外して一の部品実装機に装着する作業である。したがって、別の部品実装機における対象部品種の部品の装着状況に応じて、別の部品実装機から一の部品実装機に対象部品種の部品を移設して、当該一の部品実装機における基板への部品の実装に使用することができる。これによって、部品を使用する生産現場において、部品が残存する量を抑制することが可能となる。
【0011】
また、部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する部品実装機によって部品が実装された基板である部品実装基板を所定の生産計画に従ってそれぞれ生産する複数の生産ラインのうち、作業対象ラインにおいて生産予定の部品実装基板の生産計画を取得する生産計画取得部をさらに備え、一の部品実装機は、作業対象ラインに含まれる部品実装機であり、別の部品実装機は、複数の生産ラインのうち、作業対象ラインとは異なる別の生産ラインに含まれる部品実装機であり、装着部品種情報が示す装着部品種は、別の生産ラインの部品実装機に装着されている部品の種類であり、対象部品種は、作業対象ラインで生産計画に基づく部品実装基板の生産を開始するために、作業対象ラインの部品実装機に対して装着すべき部品の種類であり、出庫装着作業は、部品保管庫から対象部品種の部品を出庫して作業対象ラインの部品実装機に装着する作業であり、流用装着作業は、別の生産ラインの部品実装機に装着されている対象部品種の部品を取り外して作業対象ラインの部品実装機に装着する作業であるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。
【0012】
すなわち、かかる部品段取り支援装置は、部品段取り作業によって装着された部品を基板に実装する部品実装機によって部品が実装された基板である部品実装基板を所定の生産計画に従ってそれぞれ生産する複数の生産ラインのうち、作業対象ラインにおいて生産予定の部品実装基板の生産計画を取得する生産計画取得部と、複数の生産ラインのうち、作業対象ラインとは異なる別の生産ラインの部品実装機に装着されている部品の種類である装着部品種を示す装着部品種情報を記憶する記憶部と、作業対象ラインで生産計画に基づく部品実装基板の生産を開始するために、作業対象ラインの部品実装機に対して装着すべき部品の種類である対象部品種が装着部品種情報に存在するかを確認する部品照合を実行する部品照合部と、部品を保管する部品保管庫から対象部品種の部品を出庫して作業対象ラインの部品実装機に装着する出庫装着作業と、別の生産ラインの部品実装機に装着されている対象部品種の部品を取り外して作業対象ラインの部品実装機に装着する流用装着作業とのいずれを実行するかを決定する装着作業決定を、部品照合の結果に応じて実行する作業決定部とを備える。
【0013】
このように構成された部品段取り支援装置では、作業対象ラインで部品実装基板の生産を開始するために作業対象ラインの部品実装機に部品を装着するにあたって、装着部品種情報が参照される。この装着部品種情報は、作業対象ラインとは異なる別の生産ラインの部品実装機に装着されている部品の種類(装着部品種)を示す。具体的には、作業対象ラインの部品実装機に対して装着すべき部品の種類(対象部品種)が装着部品種情報に存在するかが確認される(部品照合)。そして、出庫装着作業および流用装着作業のいずれによって作業対象ラインに部品を装着するかを決定する装着作業決定が、部品照合の結果に基づき実行される。ここで、出庫装着作業は、部品を保管する部品保管庫から対象部品種の部品を出庫して作業対象ラインの部品実装機に装着する作業であり、流用装着作業は、別の生産ラインの部品実装機に装着されている対象部品種の部品を取り外して作業対象ラインの部品実装機に装着する作業である。したがって、別の生産ラインにおける対象部品種の部品の装着状況に応じて、別の生産ラインから作業対象ラインに対象部品種の部品を移設して、当該作業対象ラインにおける部品実装基板の生産に使用することができる。これによって、部品実装基板の生産に部品を使用する生産現場において、部品が残存する量を抑制することが可能となる。
【0014】
また、部品照合によって装着部品種情報における対象部品種の存在が確認されると、装着作業決定では、別の生産ラインにおいて生産計画に基づく部品実装基板の生産への対象部品種の部品の使用が終了する予定である使用終了予定時刻と、作業対象ラインにおいて生産計画に基づく部品実装基板の生産が開始する予定である生産開始予定時刻とが算出され、使用終了予定時刻が生産開始予定時刻に対して所定の流用条件を満たす場合には、流用装着作業を実行すると決定され、使用終了予定時刻が生産開始予定時刻に対して流用条件を満たさない場合には、出庫装着作業を実行すると決定されるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、別の生産ラインにおける対象部品種の部品の使用状況に応じて、別の生産ラインから作業対象ラインに対象部品種の部品を移設して、当該作業対象ラインにおける部品実装基板の生産に使用することができる。これによって、部品実装基板の生産に部品を使用する生産現場において、部品が残存する量を抑制することが可能となる。
【0015】
ここで、流用条件は、使用終了予定時刻が生産開始予定時刻より前であるという条件であるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。この場合、別の生産ラインで使用が終了した対象部品種の部品を作業対象ラインで使用することができ、部品実装基板の生産に部品を使用する生産現場において、部品が残存する量を抑制することが可能となる。
【0016】
また、装着作業決定では、生産開始予定時刻から猶予期間が経過した猶予時刻が算出され、流用条件は、使用終了予定時刻が猶予時刻より前であるという条件であるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。この場合、対象部品種の部品の別の生産ラインにおける使用が終了するのを待って、当該部品を作業対象ラインで使用することができ、部品実装基板の生産に部品を使用する生産現場において、部品が残存する量を抑制することが可能となる。
【0017】
また、作業対象ライン以外に設けられた複数の装着箇所において対象部品種の部品が装着され、装着箇所から供給された部品が部品実装基板の生産に使用され、装着作業決定では、複数の装着箇所のそれぞれについて、当該装着箇所が属する別の生産ラインにおいて当該装着箇所から供給された部品の使用が終了する予定である使用終了予定時刻が算出され、複数の装着箇所のうち使用終了予定時刻が最も早い装着箇所について算出された使用終了予定時刻が生産開始予定時刻に対して流用条件を満たすかが判定されるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、別の生産ラインにおいて比較的早期に使用が終了する対象部品種の部品を別の生産ラインから作業対象ラインに移設して、当該作業対象ラインで使用することができる。これによって、部品実装基板の生産に部品を使用する生産現場において、部品が残存する量を抑制することが可能となる。また、比較的早期に使用が終了する対象部品種の部品を移設できることから、時間的な余裕をもって部品の移設作業を行うことができるとともに、移設先となる作業対象ラインにおける部品切れを回避できる。
【0018】
また、作業対象ライン以外に設けられた複数の装着箇所において対象部品種の部品が装着され、装着箇所から供給された部品が部品実装基板の生産に使用され、装着作業決定では、複数の装着箇所において、当該装着箇所が属する別の生産ラインにおいて当該装着箇所から供給された部品の使用が終了する予定である使用終了予定時刻が生産開始予定時刻に対して流用条件を満たす複数の候補が存在する場合には、複数の候補のうち、当該候補に装着される部品の使用期限が最も早い部品について流用装着作業を実行すると決定されるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、使用期限が比較的早い対象部品種の部品を別の生産ラインから作業対象ラインに移設して、当該作業対象ラインで使用することができる。これによって、使用期限の経過によって未使用の部品が無駄になるのを抑制することができる。
【0019】
また、別の生産ラインは、複数の種類の部品実装基板を生産する生産計画に従って部品実装基板を生産し、装着作業決定では、別の生産ラインにおける複数の種類の部品実装基板の生産において対象部品種の部品の使用が終了する時刻が使用終了予定時刻として算出されるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、別の生産ラインにおける複数の種類の部品実装基板の生産に対する影響を防止しつつ、対象部品種の部品を別の生産ラインから作業対象ラインに移設して、当該作業対象ラインで使用することができる。
【0020】
また、記憶部は、出庫装着作業および流用装着作業のいずれを優先するかを部品の種類に対応付けて示す優先作業情報を記憶し、部品照合において装着部品種情報における存在が確認された対象部品種に対して優先作業情報が流用装着作業の優先を示す場合には、作業決定部は、装着作業決定を実行せずに、流用装着作業を実行すると決定し、部品照合において装着部品種情報における存在が確認された対象部品種に対して優先作業情報が出庫装着作業の優先を示す場合には、作業決定部は、装着作業決定を実行せずに、出庫装着作業を実行すると決定するように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、対象部品種の部品の特性に応じた作業によって、当該部品を作業対象ラインに装着することができる。
【0021】
また、部品照合によって装着部品種情報における対象部品種の存在が確認されると、装着作業決定では、別の生産ラインにおいて対象部品種の部品の使用が終了した時点において、流用装着作業によって別の生産ラインから作業対象ラインに移設可能な対象部品種の部品の個数である部品残数が算出され、部品残数に基づき出庫装着作業と流用装着作業とのいずれを実行するかが決定されるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、適切な残数の対象部品種の部品を、別の生産ラインから作業対象ラインに移設することができる。
【0022】
また、装着作業決定では、作業対象ラインにおいて生産計画に従って基板に実装予定の対象部品種の部品の個数である使用予定個数を算出し、部品残数が使用予定個数以上である場合には、流用装着作業を実行すると決定するように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、作業対象ラインでの部品実装基板の生産に必要な個数の対象部品種の部品を、別の生産ラインから作業対象ラインに移設することができる。
【0023】
また、別の生産ラインは、複数の種類の部品実装基板を生産する生産計画に従って部品実装基板を生産し、装着作業決定では、別の生産ラインにおける複数の種類の部品実装基板の生産において対象部品種の部品の使用が終了した時点における部品残数を算出するように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、別の生産ラインにおける複数の種類の部品実装基板の生産に対する影響を防止しつつ、対象部品種の部品を別の生産ラインから作業対象ラインに移設して、当該作業対象ラインで使用することができる。
【0024】
また、作業決定部によって流用装着作業によって作業対象ラインの部品実装機に装着すると決定された対象部品種の部品の別の生産ラインにおける所在を報知する所在報知部をさらに備えるように、部品段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、流用装着作業の実行主体(作業者あるいはロボット)は、対象部品種の部品の所在を確認しつつ当該作業を的確に実行することができる。
【0025】
なお、一の部品実装機と別の部品実装機とは互いに異なる生産ラインに含まれる必要はない。したがって、一の部品実装機と別の部品実装機とは同一の生産ラインに含まれていてもよい。
【0026】
本発明に係る半田段取り支援装置は、 半田段取り作業によって装着された半田を基板に印刷する半田印刷機で使用される半田を保管する半田保管庫に保管されている半田の使用期限を記憶する記憶部と、半田保管庫に保管された半田のうちに半田印刷機へ装着可能な装着対象半田が複数存在する場合には、当該複数の装着対象半田のうち、使用期限が最も早いという対象条件を満たす装着対象半田を半田印刷機に装着すると決定する作業対象決定部とを備える。
【0027】
本発明に係る半田段取り支援プログラムは、上記の半田段取り支援装置としてコンピュータを機能させる。
【0028】
本発明に係る記録媒体は、上記の半田段取り支援プログラムをコンピュータにより読み出し可能に記録する。
【0029】
本発明に係る半田段取り支援方法は、半田段取り作業によって装着された半田を基板に印刷する半田印刷機で使用される半田を保管する半田保管庫に保管されている半田の使用期限を参照する工程と、半田保管庫に保管された半田のうちに半田印刷機へ装着可能な装着対象半田が複数存在する場合には、当該複数の装着対象半田のうち、使用期限が最も早いという対象条件を満たす装着対象半田を半田印刷機に装着すると決定する工程とを備える。
【0030】
このように構成された本発明(半田段取り支援装置、半田段取り支援プログラム、記録媒体および半田段取り支援方法)では、半田印刷機で基板への半田印刷を開始するために半田印刷機に半田を装着するにあたって、半田の使用期限が参照される。そして、半田印刷機へ装着可能な複数の装着対象半田のうち使用期限が最も短い装着対象半田が、部品保管庫から取り出されて半田印刷機に装着されると決定される。したがって、使用期限の短い半田から優先的に使い切ることができる。その結果、半田を使用する生産現場において、半田が残存する量を抑制することが可能となる。
【0031】
また、半田は、容器に密閉された状態で提供され、半田段取り作業では、半田は当該半田の容器が開封されてから半田印刷機に装着され、作業対象決定部は、2以上の装着対象半田が対象条件を満たす場合には、対象条件を満たす装着対象半田それぞれのうち、容器が開封された時期が最も早い装着対象半田を半田印刷機に装着すると決定するように、半田段取り支援装置を構成してもよい。かかる構成では、開封の時期が早い半田から優先的に使い切ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、部品あるいは半田を使用する生産現場において、部品あるいは半田が残存する量を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】基板生産ラインが備える印刷機を模式的に示す正面図。
【
図3】基板生産ラインが備える部品実装機の一例の構成を模式的に示す平面図。
【
図4】
図1の基板生産システムが備える電気的構成を示すブロック図。
【
図7】部品段取り支援の第1例を示すフローチャート。
【
図8】使用終了予定時刻の算出方法の一例を模式的に示す図。
【
図9】部品段取り支援の第2例を示すフローチャート。
【
図10】
図9の部品段取り支援の第2例で使用される優先作業情報を模式的に示す図。
【
図11】部品段取り支援の第3例を示すフローチャート。
【
図12】部品段取り支援の第4例を示すフローチャート。
【
図13】部品段取り支援の第5例を示すフローチャート。
【
図14】部品段取り支援の第6例を示すフローチャート。
【
図15】半田段取り支援の一例を示すフローチャート。
【
図16】部品段取り支援の第7例を示すフローチャート。
【
図17】
図16の部品段取り支援の第7例に従って実行される動作の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は基板生産システムの一例を示すブロック図である。
図1および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。基板生産システム1は、複数(
図1の例では3本)の基板生産ライン10A、10B、10Cを備え、各基板生産ライン10A、10B、10Cは、基板への半田の印刷および基板への部品の実装を順に実行することで、基板に印刷された半田に部品が実装された部品実装基板を生産する。なお、以下では、複数の基板生産ライン10A、10B、10Cを区別しない場合には、基板生産ライン10と適宜略称する。
【0035】
各基板生産ライン10は、印刷機2と複数(
図1の例では3台)の部品実装機4とを備える。印刷機2と複数の部品実装機4とは、基板搬送方向であるX方向にこの順で直列に配列されている。つまり、基板は、印刷機2および複数の部品実装機4に順番に搬送されて、印刷機2で半田が印刷された基板が部品実装機4に搬入されて、複数の部品実装機4が順番に基板に部品を実装する。
【0036】
また、基板生産システム1は、印刷機2で使用される半田を保管する半田保管庫13と、部品実装機4で使用される部品を保管する部品保管庫15とを備える。そして、作業者あるいはロボットといった実行主体が、半田保管庫13から取り出した半田を印刷機2に装着する半田段取り作業や、部品保管庫15から取り出した部品を部品実装機4に装着する部品段取り作業を実行する。
【0037】
さらに、基板生産システム1は、基板生産システム1全体を管理するサーバコンピュータ5を備え、サーバコンピュータ5は、半田段取り作業および部品段取り作業を実行する実行主体を支援する。このサーバコンピュータ5の構成および動作については後述する。
【0038】
図2は基板生産ラインが備える印刷機を模式的に示す正面図である。印刷機2は、基板Bに半田Sを印刷する半田印刷を実行する。この印刷機2は、マスクMを水平に保持するマスク保持ユニット21と、マスクMの上方に配置された印刷ヘッド22と、マスクMの上方に配置された半田供給ユニット23と、マスクMの下方に配置された基板駆動機構24とを備える。
【0039】
基板駆動機構24は基板Bを保持しつつ、当該基板BをマスクMに下方から対向させる。また、半田供給ユニット23は、マスクMの上面にペースト状の半田Sを供給する。また、印刷ヘッド22はスキージ221を有し、スキージ221の先端をマスクMの上面に当接させつつY方向に移動することで、スキージ221をマスクMの上面に摺動させる。これによって、半田Sがスキージ221によって広げられて、マスクMのパターンを介して基板Bの上面に印刷される。
【0040】
半田供給ユニット23は、印刷ヘッド22に支持されている。この半田供給ユニット23は、半田Sを収納・密閉する半田収納容器131を着脱可能に保持する半田装着部231を有する。そして、半田供給ユニット23は、半田装着部231に装着された半田収納容器131内の半田SをマスクMの上面に対して吐出することで、マスクMに半田Sを供給する。半田供給ユニット23に装着された半田収納容器131の半田Sが使い切られた場合には、半田保管庫13に保管される半田収納容器131を半田保管庫13から取り出して、半田供給ユニット23の半田装着部231に装着する半田段取り作業が実行される。具体的には、半田収納容器131を開封してから、当該半田収納容器131が半田装着部231に装着される。
【0041】
図3は基板生産ラインが備える部品実装機の一例の構成を模式的に示す平面図である。部品実装機4は、基板Bに部品Eを実装する部品実装を実行する。この部品実装機4は、部品実装機4は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する搬送部41を備える。この搬送部41は、X方向に並列に配置された一対のコンベア411を有し、コンベア411によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア411の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、搬送部41は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア411の間隔を調整する。この搬送部41は、基板搬送方向であるX方向の上流側から所定の作業位置(
図3の基板Bの位置)に搬入するとともに、作業位置で部品Eが実装された基板Bを作業位置からX方向の下流側に搬出する。
【0042】
搬送部41のY方向の両側それぞれでは2個の部品供給部42(部品供給台車)がX方向に並んでおり、各部品供給部42では複数のテープフィーダ421がX方向に並び、各テープフィーダ421が先端に設けられた部品供給箇所422に部品Eを供給する。また、部品供給部42では、各テープフィーダ421に対応して部品装着部425が設けられており、各部品装着部425には部品供給リール151が装着される。この部品供給リール151には、部品供給テープ152が巻き付けられており、部品供給テープ152には、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品Eが所定間隔で収納されている。この部品供給テープ152は部品供給リール151から引き出されてテープフィーダ421に装填され、テープフィーダ421は、部品供給リール151から引き出した部品供給テープ152を部品供給箇所422に向けて間欠的に送ることで、部品供給テープ152内の部品Eを部品供給箇所422に供給する。部品装着部425に装着された部品供給リール151に保持される部品供給テープ152の部品Eが使い切られた場合には、部品保管庫15に保管される部品供給リール151を部品保管庫15から取り出して、部品供給部42の部品装着部425に装着する部品段取り作業が実行される。
【0043】
なお、部品実装機4で使用される部品Eは、部品供給リール151に巻き付けられた部品供給テープ152によって供給されるテープ部品に限られず、トレイによって供給されるトレイ部品でも構わない。トレイに収納される部品Eが使い切られた場合には、部品保管庫15に保管されるトレイを部品保管庫15から取り出して、部品実装機4に設けられたトレイ部品用の部品装着部(トレイ装着部)に当該トレイを装着する部品段取り作業が実行される。
【0044】
また、部品実装機4では、Y方向に延びる一対のY軸レール43と、Y方向に延びるY軸ボールネジ44と、Y軸ボールネジ44を回転駆動するY軸モータM44(サーボモータ)とが設けられ、X軸レール45が一対のY軸レール43にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ44のナットに固定されている。X軸レール45には、X方向に延びるX軸ボールネジ46と、X軸ボールネジ46を回転駆動するX軸モータM46(サーボモータ)とが取り付けられており、ヘッドユニット47がX軸レール45にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ46のナットに固定されている。したがって、Y軸モータM44によりY軸ボールネジ44を回転させてヘッドユニット47をY方向に移動させ、あるいはX軸モータM46によりX軸ボールネジ46を回転させてヘッドユニット47をX方向に移動させることができる。
【0045】
ヘッドユニット47は、X方向に直線状に並ぶ複数の実装ヘッド48を有する。実装ヘッド48は、部品供給箇所422に供給された部品Eに向けて下降することで、実装ヘッド48の下端のノズルを部品Eに接触させる。この状態で、実装ヘッド48はノズルに負圧を発生させて、部品Eを吸着する。こうして部品Eを吸着した実装ヘッド48は、基板Bの上方へ移動する。そして、実装ヘッド48は基板Bに向けて下降することで、部品Eを基板Bに接触させる。この状態で、実装ヘッド48はノズルに正圧を発生させて、部品Eを基板Bに実装する。なお、ヘッドユニット47のタイプは、ここの例のインラインタイプに限られず、複数の実装ヘッド48を円周状に配列したロータリータイプでも構わない。
【0046】
図4は
図1の基板生産システムが備える電気的構成を示すブロック図である。
図4では、
図1に示したサーバコンピュータ5の他に集荷用端末61および段取り用端末62が示されている。集荷用端末61は、主として部品保管庫15からの部品Eを集荷する際に作業者に使用され、段取り用端末62は、主として基板生産ライン10の部品実装機4に部品Eを装着する際に作業者に使用される。集荷用端末61および段取り用端末62は、例えばパッド等の可搬型のコンピュータである。ただし、集荷用端末61および段取り用端末62の具体的構成はパッドに限られず、これらは各部品実装機4の本体に取り付けられていてもよい。集荷用端末61は、サーバコンピュータ5と通信を行う通信部611と、作業者からの入力操作を受け付ける情報入力部612と、作業者に情報を表示する表示部613とを備える。通信部611とサーバコンピュータ5との通信は有線通信および無線通信のいずれでも構わない。また、情報入力部612および表示部613は、例えばタッチパネルディスプレイによって一体的に構成することができる。この集荷用端末61と同様に、段取り用端末62も通信部621、情報入力部622および表示部623を有する。
【0047】
サーバコンピュータ5は、通信ユニット51、演算ユニット52および記憶ユニット53を備える。通信ユニット51は、集荷用端末61の通信部611および段取り用端末62の通信部621それぞれと通信を行う。さらに、通信ユニット51は、上述の印刷機2および部品実装機4のそれぞれと通信を行う。演算ユニット52は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶ユニット53は、HDDあるいはSSDといった記憶装置である。
【0048】
このサーバコンピュータ5は、所定の生産計画(例えば、
図5)に従って基板生産ライン10によって部品実装基板を生産するために使用される。
図5は生産計画の一例を模式的に示す図である。生産計画は、複数の基板生産ライン10A、10B、10Cのそれぞれに対応して作成され、
図5では一の基板生産ライン10に対応する生産計画が示されている。この生産計画は、対応する一の基板生産ライン10で生産する部品実装基板の品種、各品種の生産順序および各品種の生産枚数を示す。
図5の例に示す生産計画によれば、3種類の部品実装基板B(1)、B(2)、B(3)がこの順で一の基板生産ライン10において生産され、部品実装基板B(1)、B(2)、B(3)の生産枚数はそれぞれ100枚、200枚および50枚である。
【0049】
また、生産計画は、各部品実装基板B(1)、B(2)、B(3)の生産に使用されるマスクMや生産プログラムPを示す。ここで、生産プログラムPは、生産計画が示す部品実装基板B(1)、B(2)、B(3)を生産するために部品実装機4が実行すべき動作を規定する。つまり、部品実装機4は、実装ヘッド48により部品供給箇所422から部品Eを吸着して基板Bに実装する実装ターンを生産プログラムPに従って実行することで、基板Bの実装箇所に部品Eを実装する。この生産プログラムPは、各部品実装機4に対応してサーバコンピュータ5の演算ユニット52によって作成されて、サーバコンピュータ5から各部品実装機4に送信される。
【0050】
このサーバコンピュータ5は、生産計画の実行に必要となる部品Eを基板生産ライン10の部品実装機4に装着する部品段取り作業を支援する機能を果たす。具体的には、
図4に示すように、段取り支援プログラム63をコンピュータによって読み出し可能に記録する記録媒体64が用意される。そして、サーバコンピュータ5によって記録媒体64から読み出された段取り支援プログラム63が記憶ユニット53に保存される。この記録媒体64は、DVD(Digital Versatile Disc)といった光ディスクや、USB(Universal
Serial Bus)メモリ等である。なお、記録媒体64の具体例は、これらに限られず、外部のコンピュータに設けられたHDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)であってもよい。
【0051】
演算ユニット52が段取り支援プログラム63を実行すると、生産プログラム管理部521、生産計画管理部522、部品集荷条件設定部523および部品割当判定部524が演算ユニット52内に構成される。さらに、記憶ユニット53には、部品情報記憶部531および部品割当記憶部532が構成される。
【0052】
生産プログラム管理部521は、各部品実装機4に対応して作成された生産プログラムPを管理する。例えば、
図5に示される基板B(1)の生産を開始するにあたっては、生産プログラム管理部521が、基板B(1)の生産を担当する基板生産ライン10の各部品実装機4に生産プログラムP(11)、P(12)、P(13)を通信ユニット51によって送信する。これによって、各部品実装機4は、受信した生産プログラムP(11)、P(12)、P(13)に従って実装ターンを実行して、部品実装基板B(1)を生産することができる。なお、生産プログラムPは記憶ユニット53に保存されており、生産プログラム管理部521は、記憶ユニット53から読み出した生産プログラムPを部品実装機4に送信する。
【0053】
生産計画管理部522は、
図5に例示した生産計画の実行を管理する。例えば、生産計画管理部522は、実行中の生産計画の進捗を確認して、当該進捗に応じた動作を生産プログラム管理部521に実行させる。具体的には、基板B(1)、B(2)B(3)の開始前に、対応する生産プログラムP(11)~(13)、P(21)~(23)P(31)~(33)を生産プログラム管理部521から部品実装機4に送信するといった制御を、生産計画管理部522は生産プログラム管理部521に対して実行できる。
【0054】
また、部品情報記憶部531は、基板生産ライン10に設けられた各装着箇所L(すなわち、部品装着部425)に装着された部品Eの種類Kや残数(すなわち、部品供給テープ152内の部品Eの個数)を、各装着箇所Lのそれぞれについて示す使用部品情報Iu(
図6)を記憶する。
【0055】
図6は使用部品情報の一例を示す図である。
図6の例では、装着箇所L(a)、L(b)、L(c)、…に装着された部品Eの部品種K(a)、K(b)、K(c)、…と、当該部品Eの残数と、当該部品Eの使用期限とが対応付けて示される。ここで、装着箇所L(a)、L(b)、L(c)、…は、例えば装着箇所L(a)、L(b)、L(c)、…である部品装着部425に対応するテープフィーダ421のフィーダIDによって識別することができる。
【0056】
この使用部品情報Iuは次のようにして作成される。作業者は、テープフィーダ421に対応する部品装着部425に部品Eを装着(すなわち、部品供給リール151を載置)する際に、テープフィーダ421に付されたフィーダIDと、部品供給リール151に付されたリールIDとを、リーダ(バーコードリーダ)に読み取らせる。ここで、フィーダIDはテープフィーダ421を識別するためのIDであり、リールIDは部品供給リール151を識別するためのIDである。こうして読み取られたフィーダIDおよびリールIDは、リーダからサーバコンピュータ5の通信ユニット51に送信され、部品情報記憶部531は、フィーダIDおよびリールIDを対応付けて保存することで、使用部品情報Iuを作成する。
【0057】
上述の通り、このサーバコンピュータ5は、作業者による部品段取り作業を支援する機能を果たす。特にサーバコンピュータ5は、部品段取り作業において部品装着部425に装着する部品Eを部品保管庫15から出庫するか否かを判定する。部品保管庫15から出庫すると判定された部品Eについては、当該部品E(部品供給リール151)を部品保管庫15から出庫して対象の基板生産ライン10の部品実装機4の部品装着部425に装着する出庫装着作業が実行される。一方、部品保管庫15から出庫しないと判定された部品Eについては、別の基板生産ライン10の部品実装機4の部品装着部425に装着されている当該部品E(部品供給リール151)を取り外して対象の基板生産ライン10の部品実装機4の部品装着部425に装着する流用装着作業が実行される。
【0058】
これに対応して、部品集荷条件設定部523は、部品Eを部品保管庫15から出庫するか否かを判定する際に求められる部品集荷条件の設定を受け付ける。この部品集荷条件は、例えば集荷用端末61の情報入力部612に作業者によって入力されて、サーバコンピュータ5に送信される。そして、サーバコンピュータ5によって受信された部品集荷条件が部品集荷条件設定部523に設定される。部品割当判定部524は、部品集荷条件設定部523に設定された部品集荷条件に基づき部品Eを部品保管庫15から出庫するか否かを判定する。また、部品割当記憶部532は、部品割当判定部524による判定結果を記憶する。
【0059】
続いては、これら部品集荷条件設定部523、部品割当判定部524および部品割当記憶部532により実行される部品段取り支援について説明する。なお、ここでは、
図1に示す複数の基板生産ライン10A~10Cのうち、基板生産ライン10A(作業対象ライン)へ部品Eを段取りする場面を例示して説明を行う。また、複数の基板生産ライン10A~10Cのうち、基板生産ライン10Aと異なる基板生産ライン10B、10Cを別の基板生産ライン10B、10Cと適宜称する。
【0060】
図7は部品段取り支援の第1例を示すフローチャートである。この部品段取り支援のステップS101では、集荷対象部品を示す情報が取得される。具体的には、作業者は、基板生産ライン10A(作業対象ライン)が備える部品実装機4で使用される生産プログラムPを集荷用端末61の情報入力部612に入力する。これによって、当該生産プログラムPが集荷用端末61からサーバコンピュータ5に送信される。生産プログラム管理部521は、受信した生産プログラムPを参照して、生産プログラムPの実行に伴って使用される部品Eの種類Kを特定する。こうして、集荷対象部品(特定された種類Kの部品E)を示す情報が取得される。また、生産プログラムPに従って、複数の種類Kの部品Eが基板Bに実装される場合には、当該複数の種類Kの部品Eを示す情報が集荷対象部品を示す情報として取得される。
【0061】
なお、ステップS101で集荷対象部品を示す情報が取得された段階では、各集荷対象部品に対しては、部品保管庫15から出庫する出庫装着作業がデフォルトで設定されている。その上で、次に説明するように、所定の部品集荷条件に一致する集荷対象部品が、出庫装着作業の対象から除外される。
【0062】
ステップS102では、部品割当判定部524は、基板生産ライン10A、10B、10Cで使用中の部品E(使用部品)を示す情報を取得する。つまり、部品割当判定部524は、部品情報記憶部531に記憶される使用部品情報Iu(
図6)を取得して、当該使用部品情報Iuに基づき基板生産ライン10A、10B、10Cにおける使用部品(の種類K)を確認する。ステップS103では、部品割当判定部524は、集荷対象部品と使用部品とを照合する(部品照合)。具体的には、部品割当判定部524は、使用部品情報Iuのうち別の基板生産ライン10B、10Cの装着箇所Lに装着された部品Eの種類K(使用部品種Ku)のうちに、集荷対象部品として取得された部品Eの種類K(集荷対象部品種Kp)が存在するかを確認する。換言すれば、使用部品種Kuであるとともに集荷対象部品種Kpである重複部品種Koの存在が確認される。そして、重複部品種Koが存在しない場合(ステップS104で「NO」の場合)には、
図7の部品段取り支援が終了する。
【0063】
一方、使用部品種Kuのうちに集荷対象部品種Kpが存在し、すなわち重複部品種Koが存在する場合(ステップS104で「YES」の場合)には、段取り作業中の基板生産ライン10Aにおいて部品実装基板Bの生産を開始する予定の時刻である生産開始予定時刻Tsが部品割当判定部524によって算出される(ステップS105)。また、重複部品種Koを識別するためのカウント値Nがゼロにリセットされて(ステップS106)、当該カウント値Nがインクリメントされる(ステップS107)。
【0064】
ステップS108では、重複部品種Ko(N)の部品Eの使用終了予定時刻Teが取得される。具体的には、当該重複部品種Ko(N)の部品Eを使用する部品実装基板Bの生産が、当該生産を実行する別の基板生産ライン10Bあるいは10Cで終了する時刻が使用終了予定時刻Teとして算出される。
【0065】
ステップS109では、部品割当判定部524は、使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早いかを判定する。ステップS109のこの判定基準が、上述の部品集荷条件に相当する。つまり、使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早いという部品集荷条件(判定基準)が部品集荷条件設定部523に予め設定されており、部品割当判定部524は、この部品集荷条件に基づき判定を行う。
【0066】
使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早い場合(ステップS109で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eを出庫装着作業の対象部品(すなわち、部品保管庫15から出庫する部品)から除外する(ステップS110)。これによって、重複部品種Ko(N)の部品Eに対しては、使用部品情報Iu(
図6)が示す別の基板生産ライン10Bあるいは10Cの装着箇所Lから取り外して基板生産ライン10Aに装着する流用装着作業を実行すると判定される。この判定結果は部品割当記憶部532に記憶される。
【0067】
一方、使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早くない場合(ステップS109で「NO」の場合)には、部品割当判定部524は、ステップS110を実行しない。これによって、重複部品種Ko(N)の部品Eに対しては、出庫装着作業を実行すると判定され、この判定結果は部品割当記憶部532に記憶される。
【0068】
ステップS109、S110に続くステップS111では、部品割当判定部524は、カウント値Nが値Nmaxに到達したかを確認する。値Nmaxは、重複部品種Koの数である。カウント値Nが値Nmax未満であれば(ステップS111で「NO」)、ステップS107~S110が繰り返される一方、カウント値Nが値Nmaxであれば(ステップS111で「YES」)、
図7の部品段取り支援が終了する。
【0069】
この部品段取り支援によって、ステップS101で取得された集荷対象部品のうち、ステップS110で除外された種類Kの部品Eに対しては流用装着作業を実行し、それ以外の種類Kの部品Eに対しては出庫装着作業を実行することを示す判定結果が、対象の基板生産ライン10Aについて作成される。かかる判定結果は、サーバコンピュータ5から集荷用端末61に送信されて、表示部613に表示される。したがって、部品保管庫15から集荷を行う際には、作業者は、集荷用端末61の表示部613の表示内容に基づき、出庫装着作業の対象となる種類Kの部品Eを部品保管庫15から出庫して、基板生産ライン10Aの部品実装機4に装着できる(出庫装着作業)。
【0070】
また、基板生産ライン10Aの部品実装機4に部品Eの装着を行う際には、作業者は、当該部品実装機4で使用される生産プログラムPを段取り用端末62の情報入力部622に入力する。これによって、当該生産プログラムPが段取り用端末62からサーバコンピュータ5の生産プログラム管理部521に送信される。生産プログラム管理部521は、受信した生産プログラムPを参照して、生産プログラムPの実行に伴って使用される部品Eの種類Kを特定する。こうして、集荷対象部品(特定された種類Kの部品E)が取得される。さらに、部品割当判定部524は、集荷対象部品のうち、判定結果において流用装着作業の対象となる種類Kの部品Eと当該部品Eの装着箇所Lを示す流用部品情報を、部品割当記憶部532から読み出して、段取り用端末62に送信する。こうして段取り用端末62に受信された流用部品情報は表示部623に表示され、作業者は、表示部623に表示された流用部品情報に従って流用装着作業を実行することができる。
【0071】
以上に説明する第1例では、基板生産ライン10A(作業対象ライン)で部品実装基板Bの生産を開始するために基板生産ライン10Aの部品実装機4に部品E(部品供給リール151)を装着するにあたって、使用部品情報Iu(装着部品種情報)が参照される。この使用部品情報Iuは、別の基板生産ライン10B、10Cの部品実装機4に装着されている部品Eの種類K、すなわち使用部品種Ku(装着部品種)を示す。具体的には、ステップS103において、基板生産ライン10Aの部品実装機4に対して装着すべき部品Eの種類K、すなわち集荷対象部品種Kp(対象部品種)が使用部品種Kuに存在するかが確認される(部品照合)。そして、ステップS103の部品照合の結果に基づき(ステップS104)、ステップS108~S110では、出庫装着作業および流用装着作業のいずれによって基板生産ライン10Aに部品Eを装着するかが判定される(装着作業決定)。したがって、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおける集荷対象部品種Kpの部品Eの装着状況に応じて、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cから基板生産ライン10Aに集荷対象部品種Kpの部品Eを移設して、当該基板生産ライン10Aにおける部品実装基板Bの生産に使用することができる。これによって、部品実装基板Bの生産に部品Eを使用する生産現場において、部品Eが残存する量を抑制することが可能となる。
【0072】
また、ステップS103の部品照合によって使用部品情報Iu(装着部品種情報)における集荷対象部品種Kpの存在が確認されると(ステップS104で「YES」)、基板生産ライン10B、10Cにおいて生産計画に基づく部品実装基板Bの生産への集荷対象部品種Kpの部品Eの使用が終了する予定である使用終了予定時刻Teと、基板生産ライン10Aにおいて生産計画に基づく部品実装基板Bの生産が開始する予定である生産開始予定時刻Tsとが算出される(ステップS105、S108)。そして、使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早いという条件(流用条件)を満たす場合(ステップS109で「YES」の場合)には、流用装着作業を実行すると判定される。一方、当該条件を満たさない場合(ステップS109で「NO」の場合)には、出庫装着作業を実行すると判定される。かかる構成では、基板生産ライン10B、10Cにおける集荷対象部品種Kpの部品Eの使用状況に応じて、基板生産ライン10B、10Cから基板生産ライン10Aに集荷対象部品種Kpの部品Eを移設して、当該基板生産ライン10Aにおける部品実装基板Bの生産に使用することができる。これによって、部品実装基板Bの生産に部品Eを使用する生産現場において、部品Eが残存する量を抑制することが可能となる。
【0073】
特に、使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより前であるという条件が求められる(ステップS109)。この場合、基板生産ライン10B、10Cで使用が終了した集荷対象部品種Kpの部品Eを基板生産ライン10Aで使用することができ、部品実装基板Bの生産に部品Eを使用する生産現場において、部品Eが残存する量を抑制することが可能となる。
【0074】
また、部品割当判定部524(作業決定部)によって流用装着作業によって基板生産ライン10Aの部品実装機4に装着すると決定された集荷対象部品種Kp(重複部品種Ko)の部品Eの別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおける所在を報知する段取り用端末62(所在報知部)が具備されている。かかる構成では、流用装着作業の実行主体である作業者は、集荷対象部品種Kpの部品Eの所在を確認しつつ当該作業を的確に実行することができる。
【0075】
ところで、上記の部品段取り支援では、使用終了予定時刻Teが算出される(ステップS108)。続いては、
図8を用いて使用終了予定時刻Teの算出方法の一例について説明する。ここで、
図8は使用終了予定時刻の算出方法の一例を模式的に示す図である。
図8の例では、100枚の部品実装基板B(1)、200枚の部品実装基板B(2)および50枚の部品実装基板B(3)をこの順で生産する生産計画が示されている。また、部品実装基板B(1)の生産には、種類K(a)、K(b)、K(d)の部品Eが使用され、部品実装基板B(2)の生産には、種類K(b)の部品Eが使用され、部品実装基板B(3)の生産には、種類K(a)、K(c)の部品Eが使用される。
【0076】
このような生産計画を基板生産ライン10で実行した場合、種類K(a)の部品Eの使用終了予定時刻Teは、種類K(a)の部品Eを使用する部品実装基板B(1)、B(3)の全生産が終了する時刻Te(3)となる。種類K(b)の部品Eの使用終了予定時刻Teは、種類K(b)の部品Eを使用する部品実装基板B(1)、B(2)の全生産が終了する時刻Te(2)となる。種類K(c)の部品Eの使用終了予定時刻Teは、種類K(c)の部品Eを使用する部品実装基板B(3)の全生産が終了する時刻Te(3)となる。種類K(d)の部品Eの使用終了予定時刻Teは、種類K(d)の部品Eを使用する部品実装基板B(1)の全生産が終了する時刻Te(1)となる。なお、部品実装基板Bの生産が終了する時刻としては、例えば最後の基板Bが基板生産ライン10から搬出される時刻を求めることができる。
【0077】
つまり、
図8に示す例によれば、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cで、複数の種類の部品実装基板B(1)~B(3)を生産する生産計画に従って部品実装基板B(1)~B(3)が生産される。これに対して、部品段取り支援のステップS108では、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおける複数の種類の部品実装基板B(1)~B(3)の生産において重複部品種Ko(N)の部品Eの使用が終了する時刻が使用終了予定時刻Teとして算出される。かかる構成では、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおける複数の種類の部品実装基板B(1)~B(3)の生産に対する影響を防止しつつ、集荷対象部品種Kpの部品Eを別の基板生産ライン10Bあるいは10Cから基板生産ライン10Aに移設して、当該基板生産ライン10Aで使用することができる。
【0078】
図9は部品段取り支援の第2例を示すフローチャートであり、
図10は
図9の部品段取り支援の第2例で使用される優先作業情報を模式的に示す図である。
図9の第2例が
図7の第1例と異なるのは、ステップS107とステップS108との間に、ステップS112、S113が追加されている点である。したがって、ここでは、第1例との差異を中心に説明を行うこととし、第1例と共通する部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
【0079】
部品段取り支援の第2例では、
図10に示すように、出庫装着作業を優先する出庫優先および流用装着作業を優先する流用優先のいずれかを、部品Eの各種類K(a)、K(b)、K(c)、…に対して設定する優先設定を部品集荷条件設定部523に対して実行でき、部品集荷条件設定部523は優先設定の結果を優先作業情報Ipとして記憶ユニット53に保存する。例えばサーバコンピュータ5が備えるUI(User Interface)あるいは集荷用端末61の情報入力部612に対する作業者の入力操作によって優先設定を実行するように構成することができる。なお、以下の説明で、作業者が部品集荷条件設定部523に設定操作を行う場合も同様に構成できる。
【0080】
かかる第2例のステップS112では、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eに出庫優先が設定されているか否かを優先作業情報Ipに基づき判定する。重複部品種Ko(N)に出庫優先が設定されている場合(ステップS112で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eに対してステップS108~S110を実行しない。すなわち、重複部品種Ko(N)の部品Eに対しては出庫装着作業を実行すると判定される。
【0081】
重複部品種Ko(N)に出庫優先が設定されていない場合(ステップS112で「NO」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eに流用優先が設定されているか否かを優先作業情報Ipに基づき判定する(ステップS113)。重複部品種Ko(N)に流用優先が設定されている場合(ステップS113で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eに対してステップS108~S109を実行せずに、重複部品種Ko(N)の部品Eに対しては流用装着作業を実行すると判定する(ステップS110)。
【0082】
重複部品種Ko(N)に流用優先が設定されていない場合(ステップS113で「NO」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eに対して第1例と同様に、ステップS108~S110を実行する。つまり、使用終了予定時刻Teと生産開始予定時刻Tsとの関係に応じて、重複部品種Ko(N)の部品Eに対して出庫装着作業あるいは流用装着作業を実行すると判定される。
【0083】
かかる第2例では、記憶ユニット53は、出庫装着作業および流用装着作業のいずれを優先するかを部品Eの種類Kに対応付けて示す優先作業情報Ipを記憶する。そして、ステップS103、S104において使用部品種Kuにおける存在が確認された集荷対象部品種Kpに対して優先作業情報Ipが流用装着作業の優先を示す場合(ステップS113で「YES」の場合)には、部品割当判定部524(作業決定部)は、ステップS108~S109を実行せずに、出庫装着作業の対象から除外して流用装着作業を実行すると判定する(ステップS110)。また、ステップS103、S104において使用部品種Kuにおける存在が確認された集荷対象部品種Kpに対して優先作業情報Ipが出庫装着作業の優先を示す場合(ステップS112で「YES」)には、部品割当判定部524は、ステップS108~S110を実行せずに、出庫装着作業を実行すると判定する。かかる構成では、集荷対象部品種Kpの部品Eの特性に応じた作業によって、当該部品Eを基板生産ライン10Aに装着することができる。
【0084】
図11は部品段取り支援の第3例を示すフローチャートである。
図11の第3例が
図7の第1例と異なるのは、ステップS105とステップS106との間に、ステップS114、S115が追加されるとともに、ステップS109の代わりにステップS116が実行される点である。したがって、ここでは、第1例との差異を中心に説明を行うこととし、第1例と共通する部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
【0085】
第3例では、ステップS114において、部品割当判定部524は猶予期間ΔTを部品集荷条件設定部523から取得する。この猶予期間ΔTは、作業者によって予め部品集荷条件設定部523に設定されている。また、ステップS115では、部品割当判定部524は、生産開始予定時刻Tsに猶予期間ΔTを加算した猶予時刻Tgを算出する。そして、ステップS116では、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eについて、使用終了予定時刻Teが猶予時刻Tgより早いか否かを判定する。使用終了予定時刻Teが猶予時刻Tgより早い場合(ステップS116で「YES」の場合)には、重複部品種Ko(N)の部品Eに対しては流用装着作業を実行すると判定される(ステップS110)。一方、使用終了予定時刻Teが猶予時刻Tgより早くない場合(ステップS116で「NO」の場合)には、重複部品種Ko(N)の部品Eに対しては出庫装着作業を実行すると判定される。
【0086】
このように第3例では、また、生産開始予定時刻Tsから猶予期間ΔTが経過した猶予時刻Tgが算出され(ステップS114、S115)、ステップS116では、使用終了予定時刻Teが猶予時刻Tgより前であるが判定される(装着作業決定)。この場合、集荷対象部品種Kpの部品Eの別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおける使用が終了するのを待って、当該部品Eを基板生産ライン10Aで使用することができ、部品実装基板Bの生産に部品Eを使用する生産現場において、部品Eが残存する量を抑制することが可能となる。
【0087】
図12は部品段取り支援の第4例を示すフローチャートである。
図12の第4例が
図7の第1例と異なるのは、ステップS109とステップS110との間に、ステップS117が追加されている点である。したがって、ここでは、第1例との差異を中心に説明を行うこととし、第1例と共通する部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
【0088】
第4例では、ステップS109で使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早い場合(ステップS109で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eの残数および使用数をそれぞれ算出して、残数が使用数以上であるかを判定する(ステップS117)。ここで、重複部品種Ko(N)の部品Eの使用数は、基板生産ライン10Aにおいて、生産計画に基づき部品実装基板Bを生産するために使用される重複部品種Ko(N)の部品Eの個数である。一方、重複部品種Ko(N)の部品Eの残数は、当該部品Eが装着されている基板生産ライン10Bあるいは10Cから基板生産ライン10Aに移設できる部品Eの個数であり、換言すれば、基板生産ライン10Bあるいは10Cで当該部品Eを使用した部品実装基板Bの生産が終了した時点で、当該部品Eを収納する部品供給テープ152内の部品Eの個数である。
【0089】
図8の例を用いて具体的に説明すると、部品種K(a)の部品Eを対象とすると、種類K(a)の部品Eを使用する部品実装基板B(1)、B(3)の全生産が終了する時刻Te(3)における当該部品Eを収納する部品供給テープ152内の部品Eの個数が、部品種K(a)の部品Eの残数として算出される。また、部品種K(b)の部品Eを対象とすると、種類K(b)の部品Eを使用する部品実装基板B(1)、B(2)の全生産が終了する時刻Te(2)における当該部品Eを収納する部品供給テープ152内の部品Eの個数が、部品種K(b)の部品Eの残数として算出される。他の部品種K(c)、K(d)についても同様である。
【0090】
そして、部品残数が使用数以上である場合(ステップS117で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eに対して流用装着作業を実行すると判定する(ステップS110)。一方、部品残数が使用数未満である場合(ステップS117で「NO」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eに対して出庫装着作業を実行すると判定する。
【0091】
かかる第4例では、ステップS103の部品照合によって使用部品情報Iuにおける集荷対象部品種Kpの存在が確認されると(ステップS104で「YES」)、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおいて集荷対象部品種Kpの部品Eの使用が終了した時点において、流用装着作業によって別の基板生産ライン10Bあるいは10Cから基板生産ライン10Aに移設可能な集荷対象部品種Kpの部品の個数である部品残数が算出され、当該部品残数に基づき出庫装着作業と流用装着作業とのいずれを実行するかが判定される(ステップS117、装着作業決定)。かかる構成では、適切な残数の集荷対象部品種Kpの部品Eを、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cから基板生産ライン10Aに移設することができる。
【0092】
また、部品割当判定部524は、基板生産ライン10Aにおいて生産計画に従って基板Bに実装予定の集荷対象部品種Kpの部品Eの個数である使用数(使用予定個数)を算出し、部品残数が使用数以上である場合には、流用装着作業を実行すると決定する(ステップS117、S110、装着作業決定)。かかる構成では、基板生産ライン10Aでの部品実装基板Bの生産に必要な個数の集荷対象部品種Kpの部品Eを、別の基板生産ライン10Bあるいいは10Cから基板生産ライン10Aに移設することができる。
【0093】
また、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおいて、複数の種類の部品実装基板B(1)~B(3)を生産する生産計画に従って部品実装基板Bが生産される場合には、部品割当判定部524は、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおける複数の種類の部品実装基板B(1)~B(3)の生産において集荷対象部品種Kpの部品Eの使用が終了した時点における部品残数を算出する(装着作業決定)。かかる構成では、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおける複数の種類の部品実装基板B(1)~B(3)の生産に対する影響を防止しつつ、集荷対象部品種Kpの部品Eを別の基板生産ライン10Bあるいは10Cから基板生産ライン10Aに移設して、当該基板生産ライン10Aで使用することができる。
【0094】
図13は部品段取り支援の第5例を示すフローチャートである。
図13の第5例が
図7の第1例と異なるのは、ステップS105とステップS106との間に、ステップS118、S119が追加されている点である。したがって、ここでは、第1例との差異を中心に説明を行うこととし、第1例と共通する部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
【0095】
第5例では、ステップS118において、部品割当判定部524は、同一の重複部品種Koの部品Eが装着された複数の部品装着部425(装着箇所L)が使用部品情報Iuに存在するか否かを判定する。そして、使用部品情報Iuにおいて同一の重複部品種Koに対して複数の部品装着部425が存在しない場合(ステップS118で「NO」の場合)には、ステップS119を実行せずに、ステップS106に進んで、実施例1と同様にステップS106~S111が実行される。
【0096】
一方、使用部品情報Iuにおいて同一の重複部品種Koに対して複数の部品装着部425が存在する場合(ステップS118で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、部品装着部425に装着された当該重複部品種Ko(N)の部品Eの使用終了予定時刻Teを複数の部品装着部425のそれぞれについて算出することで、複数の部品装着部425に対応する複数の使用終了予定時刻Teを求める。そして、部品割当判定部524は、複数の部品装着部425のうち、対応する使用終了予定時刻Teが最先の一の部品装着部425を選択する(ステップS119)。そして、当該最先の一の部品装着部425に装着される当該重複部品種Ko(N)の部品Eについて、ステップS106~S111が実行される。
【0097】
なお、ステップS104において、複数の重複部品種Ko(N)の存在が確認された場合には、ステップS118、S119は各重複部品種Koについて実行される。これによって、複数の重複部品種Ko(N)のそれぞれに対して一の部品装着部425が対応付けられ、ステップS108における重複部品種Ko(N)の部品Eの使用終了予定時刻Teの算出は、当該重複部品種Ko(N)に対応する一の部品装着部425に装着された部品Eについて実行される。
【0098】
かかる第5例では、基板生産ライン10A以外に設けられた複数の部品装着部425(装着箇所L)において同一の集荷対象部品種Kpの部品Eが装着されて、各部品装着部425から供給された部品Eが部品実装基板の生産に使用されている場合(ステップS118で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、ステップS106~S111の実行対象として、複数の部品装着部425に装着された同一の重複部品種Ko(N)の部品Eのうちから一の部品装着部425に装着された当該重複部品種Ko(N)の部品Eを選択する(ステップS118、S119)。具体的には、部品割当判定部524は、これら複数の部品装着部425のそれぞれについて、当該部品装着部425が属する別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおいて当該部品装着部425から供給された部品Eの使用が終了する予定である使用終了予定時刻Teを算出する。そして、複数の部品装着部425のうち使用終了予定時刻Teが最も早い部品装着部425について算出された使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsよりも早いという条件を満たすかが判定される(ステップS109、装着作業決定)。かかる構成では、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおいて比較的早期に使用が終了する集荷対象部品種Kpの部品Eを別の基板生産ライン10Bあるいは10Cから基板生産ライン10Aに移設して、当該基板生産ライン10Aで使用することができる。これによって、部品実装基板Bの生産に部品Eを使用する生産現場において、部品Eが残存する量を抑制することが可能となる。また、比較的早期に使用が終了する集荷対象部品種Kpの部品Eを移設できることから、時間的な余裕をもって部品Eの移設作業を行うことができるとともに、移設先となる基板生産ライン10Aにおける部品切れを回避できる。
【0099】
図14は部品段取り支援の第6例を示すフローチャートである。
図14の第6例が
図7の第1例と異なるのは、ステップS107~ステップS111の間のフローである。したがって、ここでは、第1例との差異を中心に説明を行うこととし、第1例と共通する部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
【0100】
第6例では、ステップS107に続くステップS120で、別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおいて同一の重複部品種Ko(N)の部品Eが装着された複数の部品装着部425が、当該部品装着部425に装着された部品Eの使用期限の早い順にソートされる。そして、ソートの上位の部品装着部425から順に、対象部品装着部425に設定される(ステップS121)。つまり、I回目(Iは1以上の整数)にステップS121が実行される際には、ソート順においてI番目の部品装着部425が対象部品装着部425に設定される。
【0101】
ステップS108では、対象部品装着部425に装着された重複部品種Ko(N)の部品Eの使用終了予定時刻Teが取得される。具体的には、当該対象部品装着部425に装着された重複部品種Ko(N)の部品Eを使用する部品実装基板Bの生産が、当該生産を実行する別の基板生産ライン10Bあるいは10Cで終了する時刻が使用終了予定時刻Teとして算出される。
【0102】
ステップS109では、部品割当判定部524は、使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早いかを判定する。使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早い場合(ステップS109で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eを出庫装着作業の対象部品(すなわち、部品保管庫15から出庫する部品)から除外する(ステップS110)。これによって、重複部品種Ko(N)の部品Eに対しては、使用部品情報Iu(
図6)が示す別の基板生産ライン10Bあるいは10Cの装着箇所Lから取り外して基板生産ライン10Aに装着する流用装着作業を実行すると判定される。この判定結果は部品割当記憶部532に記憶される。そして、ステップS111に進む。
【0103】
一方、使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早くない場合(ステップS109で「NO」の場合)には、部品割当判定部524は、ステップS120でのソート順において対象部品装着部425が最後であるか否かを判定する(ステップS122)。対象部品装着部425が最後でない場合(ステップS122で「NO」の場合)には、ステップS121戻って、ソート順において次の部品装着部425が対象部品装着部425に設定される。一方、対象部品装着部425が最後である場合(ステップS122で「YES」の場合)には、ステップS111に進む。
【0104】
かかる第6例では、基板生産ライン10A以外に設けられた複数の部品装着部425において同一の重複部品種Ko(N)の部品Eが装着され、各部品装着部425から供給された同一の重複部品種Ko(N)の部品Eが部品実装基板Bの生産に使用される場面が想定されている。そのため、当該部品装着部425が属する別の基板生産ライン10Bあるいは10Cにおいて当該部品装着部425から供給された部品Eの使用が終了する予定である使用終了予定時刻Teが生産開始予定時刻Tsより早いという条件を満たす複数の候補が、これら複数の部品装着部425のうちに存在する場合がある。これに対して、ステップS120、S121、S108、S109、S110、S122のフローによれば、複数の候補が存在する場合には、これらの候補のうち、当該候補に装着される部品Eの使用期限が最も早い部品Eについて流用装着作業を実行すると判定されることとなる(装着作業決定)。かかる構成では、使用期限が比較的早い集荷対象部品種Kpの部品Eを別の基板生産ライン10Bあるいは10Cから基板生産ライン10Aに移設して、当該基板生産ライン10Aで使用することができる。これによって、使用期限の経過によって未使用の部品Eが無駄になるのを抑制することができる。
【0105】
このように上記の実施形態では、基板生産ライン10A、10B、10Cのそれぞれが本発明の「生産ライン」の一例に相当し、基板生産ライン10Aが本発明の「作業対象ライン」の一例に相当し、基板生産ライン10Bあるいは10Cが本発明の「別の生産ライン」の一例に相当し、部品保管庫15が本発明の「部品保管庫」の一例に相当し、部品実装機4が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、部品装着部425が本発明の「装着箇所」の一例に相当し、サーバコンピュータ5が本発明の「部品段取り支援装置」の一例に相当し、サーバコンピュータ5が本発明の「コンピュータ」の一例に相当し、生産計画管理部522が本発明の「生産計画取得部」の一例に相当し、部品割当判定部524が本発明の「部品照合部」の一例に相当し、部品割当判定部524が本発明の「作業決定部」の一例に相当し、記憶ユニット53が本発明の「記憶部」の一例に相当し、段取り支援プログラム63が本発明の「部品段取り支援プログラム」の一例に相当し、記録媒体64が本発明の「記録媒体」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、優先作業情報Ipが本発明の「優先作業情報」の一例に相当し、使用部品情報Iuが本発明の「装着部品種情報」の一例に相当し、使用終了予定時刻Teが本発明の「使用終了予定時刻」の一例に相当し、生産開始予定時刻Tsが本発明の「生産開始予定時刻」の一例に相当し、ステップS109、S116における判定条件が本発明の「流用条件」の一例に相当する。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、出庫装着作業や流用装着作業の実行主体は、作業者に限られずロボットでもよい。
【0107】
また、ステップS109、S116の各流用条件を適宜変更してもよく、例えばステップS109に代えてステップS116を実行してもよい。
【0108】
また、部品Eの移設の実行対象は、異なる基板生産ライン10に属する2台の部品実装機4に限られない。つまり、次に説明するように、同一の基板生産ライン10に属する2台の部品実装機4の間で部品Eの移設を実行してもよい。
【0109】
図16は部品段取り支援の第7例を示すフローチャートであり、
図17は
図16の部品段取り支援の第7例に従って実行される動作の一例を模式的に示す図である。
図17に示す3台の部品実装機4a、4b、4cは、同一の基板生産ライン10に属しており、直列に配列されている。基板Bは部品実装機4a、4b、4cの順番に搬送され、部品実装機4aで部品Eが実装された基板Bが部品実装機4aから部品実装機4bに搬送され、部品実装機4bで部品Eが実装された基板Bが部品実装機4bから部品実装機4cに搬送される。
【0110】
これら部品実装機4a、4b、4cが属する基板生産ライン10は、部品実装基板B(1)、B(2)を順番に生産する。この際、部品実装基板B(1)を生産するために、種類K(a)の部品Eの実装は部品実装機4aが担当し、種類K(b)の部品Eの実装は部品実装機4aが担当し、種類K(c)の部品Eの実装は部品実装機4bが担当し、種類K(d)の部品Eの実装は部品実装機4cが担当する。また、部品実装基板B(2)を生産するために、種類K(a)の部品Eの実装は部品実装機4cが担当し、種類K(b)の部品Eの実装は部品実装機4aが担当し、種類K(c)の部品Eの実装は部品実装機4bが担当し、種類K(d)の部品Eの実装は部品実装機4cが担当する。つまり、部品実装基板B(1)の生産から部品実装基板B(2)の生産への切り換えに伴って、種類K(a)の部品Eの実装の担当が部品実装機4aから部品実装機4cに変更される。
【0111】
そこで、部品実装基板B(1)の生産から部品実装基板B(2)の生産への切り換えに伴う部品段取りを支援するために
図16のフローチャートが実行される。ステップS101では、集荷対象部品を示す情報が取得される。
図17の例では、部品実装基板B(1)の生産時には、部品実装機4cに種類K(a)の部品Eが装着されていないので、部品実装基板B(2)を生産するためには、部品実装機4c(一の部品実装機)に種類K(a)の部品Eを装着する必要がある。したがって、部品実装基板B(2)を生産するために、当該種類K(a)の部品Eが集荷対象部品として取得される。
【0112】
ステップS102では、部品割当判定部524は、同一の基板生産ライン10に属する部品実装機4a、4b、4cで使用中の部品E(使用部品)を示す情報を取得する。つまり、部品割当判定部524は、部品情報記憶部531に記憶される使用部品情報Iu(
図6)を取得して、当該使用部品情報Iuに基づき部品実装機4a、4b、4cにおける使用部品(の種類K)を確認する。ステップS103では、部品割当判定部524は、集荷対象部品と使用部品とを照合する(部品照合)。具体的には、部品割当判定部524は、使用部品情報Iuのうち別の部品実装機4a、4bの装着箇所Lに装着された部品Eの種類K(使用部品種Ku)のうちに、集荷対象部品として取得された部品Eの種類K(a)(集荷対象部品種Kp)が存在するかを確認する。換言すれば、使用部品種Kuであるとともに集荷対象部品種Kpである重複部品種Koの存在が確認される。そして、重複部品種Koが存在しない場合(ステップS104で「NO」の場合)には、
図16の部品段取り支援が終了する。
【0113】
一方、使用部品種Kuのうちに集荷対象部品種Kpが存在し、すなわち重複部品種Koが存在する場合(ステップS104で「YES」の場合)には、部品割当判定部524は、重複部品種Ko(N)の部品Eを出庫装着作業の対象部品(すなわち、部品保管庫15から出庫する部品)から除外する(ステップS110)。
図17の例では、種類K(a)の部品Eが出庫装着作業の対象部品から除外される。これによって、重複部品種Ko(N)である種類K(a)の部品Eに対しては、使用部品情報Iu(
図6)が示す別の部品実装機4aの装着箇所Lから取り外して部品実装機4cに装着する流用装着作業を実行すると判定される。この判定結果は部品割当記憶部532に記憶される。なお、流用装着作業は、基板B(1)の生産が終了した後あるいは基板B(1)の生産中であって部品実装機4aにおける種類K(a)の部品Eの使用が終了した後のタイミングに実行することができる。
【0114】
この部品段取り支援の第7例では、部品実装機4c(一の部品実装機)で基板Bへの部品Eの実装を開始するために部品実装機4cに部品Eを装着するにあたって、使用部品情報Iu(装着部品種情報)が参照される。この使用部品情報Iuは、別の部品実装機4a、4bに装着されている部品Eの種類K、すなわち使用部品種Ku(装着部品種)を示す。具体的には、ステップS103において、部品実装機4cに対して装着すべき部品Eの種類K(a)、すなわち集荷対象部品種Kp(対象部品種)が使用部品種Kuに存在するかが確認される(部品照合)。そして、ステップS103の部品照合の結果に基づき(ステップS104)、出庫装着作業および流用装着作業のいずれによって部品実装機4cに部品Eを装着するかが判定される(装着作業決定)。したがって、別の部品実装機4a、4bにおける集荷対象部品種Kpの部品Eの装着状況に応じて、別の部品実装機4aあるいは4bから部品実装機4cに集荷対象部品種Kpの部品Eを移設して、部品実装機4cにおける基板Bへの部品Eの実装に使用することができる。これによって、部品Eを使用する生産現場において、部品Eが残存する量を抑制することが可能となる。
【0115】
また、サーバコンピュータ5は、部品実装機4に対する部品段取り作業に対する支援と同様の支援を印刷機2に対する半田段取り作業に実行することができる(
図15)。
図15は半田段取り支援の一例を示すフローチャートである。この半田段取り支援は、段取り支援プログラム63に含まれる半田段取り支援プログラムに基づき演算ユニット52によって実行される。
【0116】
ステップS201では、集荷対象部半田が取得される。具体的には、
図5に例示した生産計画では、部品実装基板B(1)、B(2)、B(3)を生産するために使用される半田Sの種類が示されている。一方、作業者は、実行予定の生産計画を集荷用端末61の情報入力部612に入力する。これによって、当該生産計画が集荷用端末61からサーバコンピュータ5に送信される。生産プログラム管理部521は、受信した生産計画を参照して、生産計画の実行に伴って使用される半田Sの種類を特定する。こうして、集荷対象半田(特定された種類の半田S)が取得される。
【0117】
ステップS202では、演算ユニット52は、半田保管庫13に保管されている半田Sのうち、集荷対象半田に該当する各半田Sの使用期限を取得し、使用期限が最先の半田Sを特定する(ステップS203)。さらに、演算ユニット52は、ステップS203で特定した半田Sが複数存在する、すなわち同一の使用期限(最先の使用期限)を有する複数の半田Sが存在するかを判定する(ステップS204)。
【0118】
同一の使用期限の複数の半田Sが存在する場合(ステップS304で「YES」の場合)には、演算ユニット52は、半田Sを収納する半田収納容器131の開封日時を、当該複数の半田Sについて取得して、これら半田Sのうち最先の開封日時を有する半田Sを半田保管庫13から取り出して印刷機2の半田装着部231に装着すると決定する(ステップS205)。一方、同一の使用期限の複数の半田Sが存在しない場合(ステップS304で「NO」の場合)には、演算ユニット52は、ステップS203において、使用期限が最先であると特定された半田Sを、半田保管庫13から取り出して印刷機2の半田装着部231に装着すると決定する。
【0119】
かかる半田段取り支援では、印刷機2(半田印刷機)で基板Bへの半田印刷を開始するために印刷機2に半田Sを装着するにあたって、演算ユニット52(作業対象決定部)は、半田Sの使用期限を参照する(ステップS202)。そして、演算ユニット52は、印刷機2へ装着可能な複数の半田S(装着対象半田)のうち使用期限が最も短い半田Sを、部品保管庫15から取り出して印刷機2に装着すると決定する(ステップS203、S205、S206)。したがって、使用期限の短い半田Sから優先的に使い切ることができる。その結果、半田Sを使用する生産現場において、半田Sが残存する量を抑制することが可能となる。
【0120】
また、半田Sは、半田収納容器131に密閉された状態で提供され、半田段取り作業では、半田Sは当該半田Sの半田収納容器131が開封されてから印刷機2に装着される。これに対して、演算ユニット52は、ステップS203で2以上の半田Sが特定された場合には、当該特定された半田Sそれぞれのうち、半田収納容器131が開封された時期が最も早い半田Sを印刷機2に装着すると決定する。かかる構成では、開封の時期が早い半田Sから優先的に使い切ることができる。
【符号の説明】
【0121】
10A、10B、10C…基板生産ライン
13…半田保管庫
15…部品保管庫
2…印刷機(半田印刷機)
4…部品実装機
425…部品装着部(装着箇所)
5…サーバコンピュータ(部品段取り支援装置、コンピュータ)
522…生産計画管理部(生産計画取得部)
524…部品割当判定部(部品照合部、作業決定部)
53…記憶ユニット(記憶部)
63…段取り支援プログラム(部品段取り支援プログラム、半田段取り支援プログラム)
64…記録媒体
B…基板
E…部品
Ip…優先作業情報
Iu…使用部品情報(装着部品種情報)
Te…使用終了予定時刻
Ts…生産開始予定時刻