(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】心不整脈治療のための目標駆動ワークフロー
(51)【国際特許分類】
A61B 5/25 20210101AFI20250210BHJP
A61B 5/343 20210101ALI20250210BHJP
A61N 1/365 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
A61B5/25
A61B5/343
A61N1/365
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020070808
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-03-08
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ブライアン・ガーナー
(72)【発明者】
【氏名】インナ・ヤーリン
(72)【発明者】
【氏名】ヤニブ・ベン・ズリハム
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0209696(US,A1)
【文献】特表2013-545554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0076040(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/008404(US,A1)
【文献】米国特許第5991660(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0005563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓ペーシングプロトコルの定義を記憶するように構成されたメモリと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記心臓ペーシングプロトコルの記憶された前記定義を受信し、
患者の心臓内の1つ以上のプローブを自動的に制御し、前記心臓ペーシングプロトコルに従って、心内位置から自動的にペーシングし、それぞれの検知された心電図(ECG)信号を取得し、
前記検知されたECG信号のサイクル長
と前記
心臓ペーシングプロトコルにおけるペーシングサイクル長との差分が事前に設定された基準
範囲内の場合に
、前記検知されたECG信号を自動的に受け入れ、
前記差分が前記基準
範囲外の場合に
、前記検知されたECG信号を無効として分類し、
不整脈の特定のための1つ以上の予め規定された基準に基づいて、不整脈惹起性の病巣又は経路として前記心内位置を特定又は拒絶し、
特定された前記心内位置を電気生理学的(EP)マップ上に重ね合わせ、
その後、新たな心内位置を不整脈惹起性の病巣又は経路として特定し、前記新たな心内位置から再度ペーシングする際に、前記新たな心内位置を前記EPマップ上に重ね合わせるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記定義は、少なくともペーシングシーケンスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、ペーシングされた各心内位置でのペーシングから得られた定性的又は定量的な結果を、前記EPマップ上でユーザに視覚的に示すように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記心臓ペーシングプロトコルは、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置の特定のための前記1つ以上の基準を規定し、当該基準は、
頻脈サイクル長(TCL)と、同じECG信号におけるポストペーシング間隔(PPI)との比較、及び
ペーシング信号と結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差と、1つ以上の後続するペーシング信号とそれぞれの結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差との比較、のうちの1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、PPI-TCL値又は時間差値の差がより小さくなる方向において位置を特定することによって、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置を特定するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、位置追跡システムを使用して前記心内位置を測定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記心臓ペーシングプロトコルの保存、インポート、及びエクスポートのうちの少なくとも1つによって、前記心臓ペーシングプロトコルの前記定義を記憶するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
プロセッサを備えるシステムの作動方法であって、
前記プロセッサが、心臓ペーシングプロトコルの定義を受信することと、
前記プロセッサが、前記心臓ペーシングプロトコルに従った心内位置からのペーシングによって検知されたそれぞれの心電図(ECG)信号を取得することと、
前記プロセッサが
、前記ECG信号のサイクル長
と前記心臓ペーシングプロトコルにおけるペーシングサイクル長との差分が事前に設定された基準
範囲内の場合に
、前記検知されたECG信号を自動的に受け入れ、
前記差分が前記基準
範囲外である場合に
、前記検知されたECG信号を無効として分類することと、
前記プロセッサが、不整脈の特定のための1つ以上の予め規定された基準に基づいて、不整脈惹起性の病巣又は経路として前記心内位置を特定又は拒絶することと、
前記プロセッサが、特定された前記心内の心臓位置を電気生理学的(EP)マップ上に重ね合わせることと、
その後、前記プロセッサが、新たな心内位置を不整脈惹起性の病巣又は経路として特定し、前記新たな心内位置から再度ペーシングする際に、前記新たな心内位置を前記EPマップ上に重ね合わせることと、を含む、方法。
【請求項9】
前記定義は、少なくともペーシングシーケンスを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセッサが、ペーシングされた各心内位置でのペーシングから得られた定性的又は定量的な結果を、前記EPマップ上でユーザに視覚的に示すこと、を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記心臓ペーシングプロトコルは、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置の特定のための前記1つ以上の基準を規定し、当該基準は、
頻脈サイクル長(TCL)と、同じECG信号におけるポストペーシング間隔(PPI)との比較、及び
ペーシング信号と結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差と、1つ以上の後続するペーシング信号とそれぞれの結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差との比較、のうちの1つを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
不整脈惹起性の病巣又は経路として位置を特定することは、前記プロセッサが、PPI-TCL値又は時間差値の差がより小さくなる方向において位置を特定すること、を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置を特定することは、前記プロセッサが、PPI-TCL値又は時間差値が最小若しくは最大値になる方向において位置を特定することと、前記位置を次のペーシング位置としてユーザに推奨することと、を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセッサが、位置追跡システムを使用して前記心内位置を測定することを含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電気解剖学的マッピング、特に心臓の電気解剖学的マッピングに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓組織内の不整脈の潜在的な原因を特定するための心臓マッピング手順は、以前に特許文献において提案されていた。例えば、米国特許第7,907,994号は、生存被験者に誘導される心室性頻拍信号を記載している。次いで、ペースマッピングされた信号は、心室内の複数の点から得られ、自動的に誘導信号と数値的に比較される。誘導信号とペースマッピングされたシグナルの1つ以上との間の高度の相互相関の認識は、不整脈惹起性の病巣又は経路を特定し、不整脈惹起性の病巣又は経路を、次いで、不整脈が非誘導性になるように、切除することができる。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2014/0200473号は、病巣活性化の1つ以上の起点を判定することができる方法を記載している。この方法は、時間にわたる電気データに基づいて、幾何学的表面に分散された複数のノードにおける電気信号の位相を計算することを含むことができる。この方法は、複数のノードの所与の候補ノードが病巣点であるか否かを、所与の候補ノードの計算された位相及び大きさの分析に基づいて、判定することができる。グラフィカルマップを生成して、幾何学的表面上で検出された病巣点を可視化することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下に記載される本発明の例示的な実施形態は、1つ以上のカテーテルを使用した心臓ペーシングのための自動ワークフローを提供し、ワークフローは、ペーシング手順の種類及び事前設定に従って意思決定することが可能な目標駆動アルゴリズムと、このようなペーシングに対する心臓の応答とを含み、手順の効率及び成功率を増大させる。
【0005】
本発明の一実施形態は、メモリとプロセッサとを含むシステムを提供する。メモリは、心臓ペーシングプロトコルの定義を記憶するように構成される。プロセッサは、(a)心臓ペーシングプロトコルの記憶された定義を受信し、(b)患者の心臓内の1つ以上のプローブを自動的に制御し、ペーシングプロトコルに従って、心内位置から自動的にペーシングし、それぞれの検知された心電図(ECG)信号を取得し、(c)検知されたECGデータの有効性について予め規定された1つ以上の基準に基づいて、検知されたECG信号を自動的に受け入れ又は拒絶し、(d)不整脈の特定のための1つ以上の予め規定された基準に基づいて、不整脈惹起性の病巣又は経路として心内位置を特定又は拒絶し、(e)特定された心内位置を電気生理学的(EP)マップ上に重ね合わせ、(f)その後、新たな心内位置を不整脈惹起性の病巣又は経路として特定し、新たな心内位置から再度ペーシングする際に、新たな位置をEPマップ上に重ね合わせるように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、定義は、少なくともペーシングシーケンスを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、ペーシングされた各心内位置でのペーシングから得られた定性的又は定量的な結果をEPマップ上でユーザに視覚的に示すように更に構成される。
【0008】
一実施形態では、ペーシングプロトコルは、検知されたECG及び/又は心内信号データの有効性に関する1つ以上の基準を規定し、この基準は、検知された信号における頻脈サイクル長(TCL)に対するペーシングサイクル長(PCL)の比較を含む。
【0009】
別の実施形態では、ペーシングプロトコルは、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置の特定のための1つ以上の基準を規定し、この基準は、頻脈サイクル長(TCL)と、同じECG又は心内信号におけるポストペーシング間隔(PPI)との比較、及びペーシング信号と結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差と、1つ以上の後続するペーシング信号とそれぞれの結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差との比較、のうちの1つを含む。
【0010】
一実施形態では、プロセッサは、PPI-TCL値又は時間差値の差がより小さくなる方向において位置を特定することによって、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置を特定するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、ペーシングプロトコルは、検知されたECGデータの有効性に関する1つ以上の基準を規定し、この基準は、時間差値の比較を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ペーシングプロトコルは、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置の特定のための1つ以上の基準を規定し、この基準は、検知されたECG信号において、不顕性融合、及び/又は顕性融合(concealed and/or manifested fusion)を特定することを含む。
【0013】
一実施形態では、プロセッサは、位置追跡システムを使用して心内ペーシング位置を測定するように構成される。
【0014】
別の実施形態では、プロセッサは、ペーシングプロトコルの保存、インポート、及びエクスポートのうちの少なくとも1つによって、心臓ペーシングプロトコルの定義を記憶するように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、プロセッサにおいて、心臓ペーシングプロトコルの定義を受信することを含む、コンピュータ実装方法が提供される。プロセッサを使用して、患者の心臓内の1つ以上のプローブが、自動的に制御され、ペーシングプロトコルに従って、心内位置から自動的にペーシングし、それぞれの検知されたECG信号を取得する。検知されたECGデータの有効性について1つ以上の予め規定された基準に基づいて、検知されたECG信号は、自動的に受け入れ又は拒絶される。不整脈の特定のための1つ以上の予め規定された基準に基づいて、心内位置は、不整脈惹起性の病巣又は経路として特定されるか、又はそのような病巣でないものとして拒絶される。特定された心内の心臓位置は、電気生理学的(EP)マップ上に重ね合わされ、その後、新たな心内位置が不整脈惹起性の病巣又は経路として特定され、新たな位置は、新たな心内位置から再びペーシングする際にEPマップ上に重ね合わされる。
【0016】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による、高周波(RF)切除サブシステムを備える心臓3Dナビゲーション電気生理学的(EP)診断システムの概略絵画図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、カテーテルを使用する心不整脈治療のための目標駆動ワークフローを概略的に示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態による、
図2に記載される自動ワークフローを使用するプロセッサによって自動的に生成される、左心房の不整脈位置ガイドマップの概略絵画的なボリュームレンダリングである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概要
正常な心臓の洞調律からの変動として定義される心不整脈は、いくつかのカテゴリーに属し得る。1つのカテゴリーは、心臓組織内の1つ以上の病巣位置から発生する急速及び/又は不規則な電気生理学的(EP)パルスによって特徴付けられる。別のカテゴリーは、心臓組織の1つ以上の部分を通じた電気的活動の繰り返しループによって特徴付けられる。第1のカテゴリーの例は病巣不整脈であり、第2のカテゴリーの例はリエントラント不整脈である。
【0019】
病巣不整脈が発生しているか、又はリエントラント不整脈が伝播する位置を見つけるための1つの可能な方法は、双極又は単極電気信号で患者の心臓組織の選択された位置を刺激することである。カテーテル上の電極を使用して行うことができるこのような刺激は、不整脈惹起性の病巣又は経路として刺激された位置を特定するための1つ以上の基準を満たす、あるいは逆に、そのような部位を不整脈を発生又は関与しているものとして除外する心電図(ECG)信号パターンを誘発し得る。
【0020】
その根底にある仮定は、そのような不整脈惹起性位置(すなわち、不整脈惹起性の病巣又は経路である位置)を、例えばその位置を切除することによって治療することが、問題となっている不整脈を減少又は排除する可能性が高いということである。上記の侵襲性診断手順は、「ペーシング操作」と呼ばれる。ペーシング操作は、適切に標的化された切除を可能とするのに十分な診断情報を得るために、しばしば心臓内の多数の位置にわたって手動で繰り返さなければならないので、通常、長いプロセスである。
【0021】
以下に記載される本発明の実施形態は、1つ以上のカテーテルを使用して心臓ペーシング操作のための自動ワークフローを提供する。開示される技術は、普通であれば医師からの面倒な手動関与を必要とする別個のペーシング機能を統合する意思決定目標駆動アルゴリズムを含む。更に、開示される技術は、典型的なペーシング操作セットの間に、普通であれば必要とされる繰り返しの意思決定の精神的疲労から医師を救う。このような手間のかかる手動の意思決定は、ペーシング手順の不確定又は不正確な結果をもたらし、医師が治療を必要とする標的位置を正確に特定できない可能性がある。
【0022】
いくつかの実施形態では、開示される自動心臓ペーシング手順の開始時に、医師は、問題の不整脈の種類に従ってペーシングプロトコルを選択する。プロトコルは、パラメータとして、(i)ペーシングための心内位置及び結果として得られるECG信号を検知するための心内位置と、(ii)刺激シーケンス及び波形と、(iii)監視パラメータと、(iv)データ有効性の受容基準と、(v)開示される自動ワークフローの診断目標が達成されたことを検証するための基準と、を含む。
【0023】
刺激シーケンス及び波形パラメータの例としては、刺激の持続時間、信号周波数、デューティサイクル、及び振幅が挙げられる。
【0024】
以下に列挙される実施例は、開示されるアルゴリズムが実行できる特定の可能な手順のためのものである。一般に、複数の手順が、受容基準などのパラメータに必要な変更を加えて、開示されるアルゴリズムを使用することができる。
【0025】
例として、問題のリエントラント型の不整脈の場合、検知されたECGデータのセットが有効であるか否かを決定するためのアルゴリズムで使用するための受容基準は、ペーシングサイクル長(PCL)を含み得る。一実施形態では、アルゴリズムは、ペーシング中に検知されたECG又は心内信号の周期性が、開示されるアルゴリズムがペーシングを停止し、応答信号の検知を開始するために用いる瞬間であるPCLに達したかどうかをチェックする。全ての標的電極又は検知された信号においてPCLに達していない場合、アルゴリズムは、予め計画されたシーケンスで次の刺激に戻るか、又はペーシングカテーテルを次の予め定義されたペーシング位置に移動させるように指示する。しかしながら、問題の他の種類の不整脈では、他の受容基準が使用されもよい。
【0026】
別の実施形態では、アルゴリズムは、ペーシング中に検知されたECG又は心内信号が全ての関連するチャネルでPCLに達したことをプロセッサが判定した後(本明細書では「活動化捕捉(activation capture)」とも呼ばれる)、ペーシングを停止する。有効な捕捉(validated capture)とは、ペーシングが成功裏に達成されたものとして有効であることを意味する。ペーシング後の検知されたECG信号における捕捉を検証するために必要とされる後続の分析は、以下に記載される。代替的に、アルゴリズムは、特定の期間(すなわち、刺激の持続時間又は送達されたペーシング刺激の数)が経過した後にペーシングを停止する。
【0027】
一実施形態では、医師は、任意の事前設定されたパラメータを変更し、新たに得られるプロトコルをメモリに保存することができる。したがって、医師は、新たな自動ペーシングプロトコルをエクスポート及びインポートし、同僚間又は別のシステム上でそれらを共有する。
【0028】
別の実施形態では、開示される自動ワークフローは、カテーテルの1つ以上の案内された配置を利用するように構成される。例えば、ワークフローは、カテーテルの磁気及び/又は電気位置追跡を適用してカテーテルの配置を案内する。更に、プロセッサは、アルゴリズムを使用してもよく、このアルゴリズムは、ワークフローが自動的に呼び出し、追跡された位置を心臓の少なくとも一部の解剖学的マップに登録することができる。
【0029】
一実施形態では、開示されるワークフローは、例えばプロセッサ制御ロボットカテーテルサブシステム又は磁気カテーテル操作システムを利用して、完全に自動的に実行されるカテーテル位置決め及び再位置決めを利用するように構成される。
【0030】
一実施形態では、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置を特定することは、PPI-TCL値の最小若しくは最大値に向かって、又は時間差値の最小若しくは最大差に向かって導く方向の位置を特定することを含み、差は、ペーシング信号と結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差と1つ以上の後続するペーシング信号とそれぞれの結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差によって定義される。
【0031】
いくつかの実施形態では、自動ワークフローは、ペーシング及びアブレーションカテーテルの一対の電極からペーシング信号を適用する。この電極は、2つの最も遠位の電極からなり、以下では更に説明するように「M1-M2」と呼ばれる。あるいは、自動ワークフローは、最も遠位の電極(M1)から患者の身体内の又は身体に取り付けられた異なる電極への単極ペーシングを適用する。そのような場合、(選択された電極への)最初の刺激ルーティングを除いて、更なる刺激ルーティングは必要とされない。
【0032】
別の実施形態では、開示される自動ペーシングワークフローは、異なる電極対間を切り替える自動刺激ルーティング機能を使用して、複数の電極対から刺激を実行するように指示することができる。代替的に、このようなペーシングは、一度に単一の電極から患者の身体内の、又は患者の身体に取り付けられた無関係な電極への、単極方式であってもよい。自動刺激ルーティングから利益を得ることができる手順の一例は、肺静脈隔離検証(Pulmonary Vein Isolation Validation)である。
【0033】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、検知されたECG信号を更に使用して、信号処理を使用して、病巣又はリエントラント不整脈惹起性組織部位の位置、又は、分析が試みられた各場所におけるそのような試験の結果をリアルタイムで特定してもよい。位置及び監視されたEPパラメータを、(プロセッサが、開示されるワークフローを使用して生成することができる)解剖学的マップ上で、列挙されたタグ及び/又は色などの視覚的指標を使用してユーザに示しかつ、表示してもよい。別の実施形態では、プロセッサは、ペーシングされた各心内位置でのペーシングから得られた定性的又は定量的な結果をEPマップ上のユーザに視覚的に示すように更に構成される。
【0034】
通常、プロセッサは、プロセッサが、上で概略を述べたプロセッサ関連工程及び機能の各々を実行することを可能にする、特定のアルゴリズムを含むソフトウェアにプログラム化されている。
【0035】
開示される自動ペーシング技術は、不整脈の発生源を特定することに成功する心臓ペーシング手順の確率を増加させることができ、同時に、手順を行う医師が経験する仕事量を減少させることができる。
【0036】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、無線周波数(RF)切除サブシステムを備える心臓3Dナビゲーション電気生理学的(EP)診断システム20の概略絵画図である。システム20は、実質的に任意のEPパラメータ又はそのようなパラメータの組み合わせを解析するように構成され得る。本明細書において、例として、解析される信号は、心内及び/又は心外(体表面)ECGの電位-時間関係であると想定される。かかる関係を完全に特性化するために、様々な位置において、時間内に相互に信号を参照する(例えば、局所活性化時間(LAT)マップを生成する間に行われるなどの)必要がある。時間参照は、基準時間(例えば、インスタンス)、例えば、ECG基準信号の各QRS群の最初など(すなわち、心拍毎の最初)と比較して測定することによって実現される。LATマップを生成するための方法は、前述の米国特許第9,050,011号に記載されている。
【0037】
以下の説明では、システム20は、ペーシング及びアブレーションプローブ24を使用して心臓34を刺激する(すなわち、ペーシングする)。システム20は、プローブ24自及び/又は追加のプローブ14を使用して、心臓34の得られた電気的活動を測定する。プローブ24の遠位端32は、電極22を有すると想定される。測定した信号は、他の用途間で共有して患者26の心臓34の壁組織の少なくとも一部のLATマップを作成するために使用される。
【0038】
典型的には、プローブ24は、システム20を使用する医師28によって実施されるマッピング手順の間に患者26の身体内に挿入されるマッピングカテーテルを備える。インセット25で見られるように、
図1に具体化された手順は、ペーシングのために(すなわち、EP刺激のために)プローブ24のM1-M2双極電極対構成を使用する。EP信号の刺激及び検知に加えて、電極M1は、RF電源33を使用して、(病巣又はリエントラント)不整脈惹起性として判明される組織部位をRF切除するように構成される。
【0039】
手順中、患者26は、接地電極23に取り付けられると想定される。加えて、電極29が、心臓34の領域にて患者26の皮膚に取り付けられると想定される。
【0040】
システム20は、システムプロセッサ40によって制御されてもよく、システムプロセッサ40は、メモリ44と通信する処理ユニット42を含む。いくつかの実施形態では、システムプロセッサ40に含まれているメモリ44が、患者26の心臓34の壁組織の少なくとも一部のEPマップ62を記憶する。追加的又は代替的に、メモリ44は、他の患者のマップを記憶し得る。更に、メモリを備える任意の他のプロセッサ(すなわち、必ずしもシステム20の一部ではない)は、1つ以上のマップを記憶し得る。プロセッサ40は、典型的にはコンソール46内に載置されており、コンソール46は、(a)全てのカテーテルが接続する患者インタフェースユニット43と、(b)医師28がプロセッサと相互作用するために使用する、典型的にはマウス又はトラックボールなどのポインティングデバイス39を含む操作制御部38を有するワークステーションとを備える。
【0041】
プロセッサ40(具体的には処理ユニット42)は、プローブ追跡モジュール30と、不整脈分析モジュールを含むECGモジュール36と、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)35とを備えるソフトウェアを実行する。システム20を操作し、及び/又は(メモリ44に記憶されているEPマップ62を使用して)結果をグラフ分析及び提示するために、例えば、不整脈の供給源を特定するために、
図2に記載された開示される自動心臓ペーシングワークフローからの結果をグラフ分析及び提示する。
【0042】
一実施形態では、ECGモジュール36は、電極22及び電極29からの電気信号を受信するよう連結されている。モジュールは、電気信号を分析するように構成され、ディスプレイ48上に、標準的なECG形式で、典型的には、時間と共に変動するグラフ式表現で、分析の結果を提示することができる。
【0043】
プローブ追跡モジュール30は、通常、患者26の心臓内で、プローブ24の遠位端32の位置を追跡する。追跡モジュールは、当該技術分野において既知であるいかなるプローブ位置追跡方法を使用してもよい。例えば、モジュール30は、磁場に基づく位置追跡サブシステムを操作し得る。(簡潔性のために、このようなサブシステムの構成要素は
図1には示していない)。
【0044】
代替的に又は追加的に、追跡モジュール30は、電極23と電極22との間のインピーダンス、並びに、プローブ上に位置し得る他の電極に対するインピーダンスを測定することによって、プローブ24を追跡してもよい。(この場合には、電極22は、ECG信号及び位置追跡信号の両方を提供してもよい。)Biosense Webster(カリフォルニア州アーバイン)社により製造されるCarto3(登録商標)システムは、磁場位置追跡と位置追跡に関するインピーダンス測定の両方を位置追跡に使用する。
【0045】
追跡モジュール30を使用してプロセッサ40は、遠位端32の位置を測定することができる。加えて、追跡モジュール30及びECGモジュール36の両方を使用することによって、プロセッサは、遠位端の位置だけでなく、これらの特定の位置において検出される電気信号のLATも測定することができる。
【0046】
プロセッサ40によって実行される操作の結果は、ディスプレイ48上で医師28に提示され、このディスプレイ48は、典型的には、医師に対するグラフィックユーザインタフェース、電極22によって検知されるECG信号の視覚的表現、及び/又は調査されている間の心臓34の画像若しくはマップを提示する。一実施形態では、GUI35は、特定された不整脈が発生したか、又は伝播したマップ上の1つ以上の位置で更新されたEPマップを、本発明の方法によって試験された各位置からの情報と共に、医師に提示する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子形態でプロセッサ40にダウンロードされてもよく、又はこれに代えて若しくはこれに加えて、磁気メモリ、光メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供され、及び/又は記憶されてもよい。
【0047】
心不整脈治療のための目標駆動ワークフロー
図2は、本発明の一実施形態による、カテーテルを使用する心不整脈治療のための目標駆動ワークフローを概略的に示すフローチャートである。
図2に示す例は、問題のリエントラント型の不整脈に対して有効であるが、開示されるワークフローは、他の種類の不整脈を診断するための他のパラメータを使用してもよい。提示された実施形態によるアルゴリズムは、アップロード工程70において、医師28が心臓ペーシング手順の事前設定(例えば、自動プロトコル)をアップロードし始めるプロセスを実行する。リエントラント心房粗動との使用のための例としてもたらされたこのようなプロトコルの概略概要を表Iに示し、以下で更に説明する。
【0048】
【0049】
PCL、PPI、及びTCLは、以下のように定義される。
【0050】
【0051】
医師は、アップロードされたプロトコル内のパラメータ値を変更し、変更された事前設定を新たなプロトコルとして保存することができる。上述したように、変更され得るパラメータとしては、カテーテル位置、波形を含む刺激のペーシングシーケンス、及び自動ECGデータ検証のための受容基準を含み、そうでなければ、医師がケース上で決定しなければならない。次いで、医師28は、プローブ(例えば、カテーテル)位置決め工程72において、刺激及び検知プローブ24並びに追加の(検知)プローブ14を心臓34内に位置決めする。
【0052】
次に、医師38は、自動ペーシング工程74において、自動心臓ペーシングプロトコルを実行し、プローブ24が心臓位置を刺激し、プローブ24及び/又はプローブ14が得られるECG信号を検知する。ペーシング中、開示される自動ワークフローを実行するプロセッサ40は、ペーシング分析工程76においてペーシングが成功裏に達成されたかどうかを自動的に判定するためのアルゴリズムを適用する。
【0053】
一実施形態では、プロセッサ40は、検知されたECG信号を解釈し、解釈された信号を、例えば、プローブ24及び/又はプローブ14の全ての関連電極から検知されたこのようなECG信号が、典型的には、PCLの数ミリ秒以内であるサイクル長を示さなければならないという基準を使用して、分析する。このような基準は、ペーシング操作が有効になるための必要条件として、ペーシングがペーシング位置で心臓34の自然発生的な電気活動を実際に「引き継いだ」ことを確実にする。
【0054】
分析されたECG信号のサイクル長(CL)が大きすぎる場合、すなわち、表Iから、CL>PCL+5mSecの場合、プロセッサ40は、データ検証チェック工程78において、検知されたECGデータセットを無効として自動的に分類する。開示される自動ワークフローなしでは、医師は、検知された各ECGデータセットを有効に手動で承認する必要があることに留意すべきである。ECGデータが無効であると判明された場合、例えば、キャプチャがない場合、アルゴリズムは、マーキング決定工程79において解剖学的マップ上の無効データ位置をマーキングすることができる。いずれの場合も、
図2のアルゴリズムはまた、工程78から直接工程86に進む。
【0055】
工程78でデータが有効であると判明された場合、プロセッサ40は、結果分析提示工程80において、例えば、マップ上に一時的検証タグを位置決めすることによって、心臓の解剖学的マップ上に、ペーシングされた位置及び計算されたPPI-TCL値の表示などの自動ペーシングの結果を生成し、提示する。一実施形態では、アルゴリズムは、そのような推奨が必要である場合には、より低い(すなわち、ゼロに近い)PPI-TCL値に向かって導く方向を特定し、この方向の位置を次のペーシング位置として推奨し、解剖学的マップ上に推奨される方向を重ね合わせることによって推奨する。
【0056】
[0、30]msecの範囲内にある所与のペーシング位置における算出された刺激によるPPI-TCL値は、異常な組織部位の位置であることを強く示す。例えば、LAT値は、マッピング電極からリエントラント回路の位置までの距離に正比例する。分析工程76では、プロセッサ40はまた、PPI及びTCLを計算する。ECGデータが有効であると判明されたと仮定すると、PPIとTCLとの間のそれぞれの差は、したがって、プローブ24の異常な組織部位への物理的近接性の指標として使用される。上記のLAT基準を使用して、プロセッサ40は、診断目標チェック工程82において、不整脈惹起性としての位置を診断することができる。位置が不整脈惹起性であると判明された場合、プロセッサ40は、工程78の一部として、例えば、切除のための候補位置としてマップ上の場所を自動的に視覚的に表示(例えば、標識化、着色)することによって解剖学的マップを更新する。次いで、医師は、アブレーションカテーテル位置決め工程84において、アブレーションカテーテルを切除実施予定位置に配置する。
【0057】
リエントラント不整脈の供給源として心部位を判定する追加の方法は、診断目標チェック工程82においても適用される、その部位からのECG信号における不顕性融合の自動検出である。不顕性融合は、例えば、G.D.Veenhuyzen et al.「Diagnostic Utility for Supraventricular Tachycardia」、Indian Pacing Electrophysiology Journal,8(1):pages 51-65,(2008)によって定義される。
【0058】
次いで、開示されるプロセスは、切除手順工程85で電極M1を使用して、視覚的に示された場所でRF切除の実行を指示するように移動する。
【0059】
上述したように、検知されたECGデータが工程78において無効であると判明された場合、プロセスはチェック工程86に進み、プロセッサ40は、自動ペーシングプロトコルがその全体で実行されたかどうかをチェックする。答えが否定的である場合、プロセスは、ペーシングを継続するために工程74に戻る。答えが肯定的である場合、アルゴリズムは、所与の部位をペーシングし尽くしたと結論付け、再位置決め刺激カテーテル工程88において、ペーシング(すなわち、刺激)プローブ24を別の組織位置に移動させることを指示する。
【0060】
工程82において、診断目標がまだ達成されていない(例えば、位置が正常であると判明された)場合、プロセッサ40は、上記のようにチェック工程86を適用し、必要に応じて再位置決め工程88に指示する。
【0061】
図2に示される例としてのフローチャートは、概念を明確に示すことを純粋な目的として選択されたものである。典型的には、医師28が最初に(例えば、高速解剖学的マッピング(FAM)手順を使用して)心臓34の関連部分を解剖学的にマッピングし、解剖学的マップを取得するなど追加の工程を実行することができる。基準は、ペーシング手順及びそれぞれの臨床目標の種類によって異なり得る。いくつかの実施形態では、開示される自動ワークフローは、温度及び接触力の読み取りなどの追加の入力を受け付けるように構成される。
【0062】
別の実施形態では、リエントラント回路の存在は、例えば、CARTO(登録商標)システム(Biosent-Webster社製)を使用して、明確で安定した融合信号が達成されて自動的に特定されるまで、標的チャンバ内の様々な電極からオーバードライブ刺激(頻拍速度よりも高い速度で心臓をペーシング)することによって自動的に特定される。検知されたECG信号は、CARTO(登録商標)システムにおける現在存在するアルゴリズムを使用して、リアルタイムでアノテーション及び分析される。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態による、
図2に記載される自動ワークフローを使用するプロセッサ40によって自動的に生成される、左心房の不整脈位置ガイドマップ100の概略絵画的なボリュームレンダリングである。
図2は、患者の左心房の解剖学的マップ105上に重ね合わされた分析ECG信号110、111及び112を示す。信号110は、プロセッサ40によって有効と判明され(
図2の工程78で)、信号111は、プロセッサ40によって無効と判明された(ただし、プロセッサ40が適用する意思決定プロセスを説明するために
図3に示されている)。図から分かるように、
図2の分析工程76に記載されているLAT基準を使用して、プロセッサ40は、プロセッサ40がECG信号112を分析してからその後検証するリエントラント回路150の潜在的位置に向かって医師を案内する経路120を構築する。
【0064】
初期ペーシング位置は、以前に取得されたEPマップ又は患者の不整脈の種類とその予想される位置を示唆する以前の患者データに基づいて、医師が選択できる。そこから、医師は、不整脈ガイドマップ100上のPPI-TCL値の受信された指標に従って、特定の位置でカテーテルを移動させることができる。一実施形態では、医師は、アルゴリズムに対してゼロに向かう値の傾向を見出すために、いくつかの方向にカテーテルをわずかに移動させる。アルゴリズムによっていくつかのこのような点が収集されると、アルゴリズムは、より低い(すなわち、ゼロに近い)PPI-TCL値に向かって導くことができる方向の位置を特定し、次のペーシング位置としてこの位置を推奨することができる。
【0065】
プロセッサ40が生成する不整脈位置ガイドマップ100は、ペーシング手順の客観的な結果を医師に提供し、経路120を手動で作成して追跡する試みが失敗し、その結果、ペーシング手順が診断的に失敗した場合に、医師が経験するであろう無駄な努力を省くことができる。
【0066】
本明細書に記載される実施形態は主に、心臓用途のための自動診断ワークフローに対処するが、本明細書に記載される方法及びシステムはまた、脳手術などの他の医療用途に使用することができ、脳内の特定の領域に損傷が生じないことをペーシングによって検証し、脳活動の指標である取得されたEEG信号を分析することができる。開示される技術を利用し得る他の医療用途は、手術中に患者に神経損傷が生じないことを確実にするために、又は手術の開始前に神経マッピングを作成するために、脊椎手術などの整形外科手術である。
【0067】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上文に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献においていずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 心臓ペーシングプロトコルの定義を記憶するように構成されたメモリと、
プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
前記心臓ペーシングプロトコルの記憶された前記定義を受信し、
患者の心臓内の1つ以上のプローブを自動的に制御し、前記ペーシングプロトコルに従って、心内位置から自動的にペーシングし、それぞれの検知された心電図(ECG)信号を取得し、
前記検知されたECGデータの有効性について予め規定された1つ以上の基準に基づいて、前記検知されたECG信号を自動的に受け入れ又は拒絶し、
不整脈の特定のための1つ以上の予め規定された基準に基づいて、不整脈惹起性の病巣又は経路として前記心内位置を特定又は拒絶し、
特定された前記心内位置を電気生理学的(EP)マップ上に重ね合わせ、
その後、新たな心内位置を不整脈惹起性の病巣又は経路として特定し、前記新たな心内位置から再度ペーシングする際に、前記新たな心内位置を前記EPマップ上に重ね合わせるように構成されている、システム。
(2) 前記定義は、少なくともペーシングシーケンスを含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサは、ペーシングされた各心内位置でのペーシングから得られた定性的又は定量的な結果を、前記EPマップ上でユーザに視覚的に示すように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記ペーシングプロトコルは、前記検知されたECGデータの有効性に関する前記1つ以上の基準を規定し、前記基準は、ペーシングサイクル長(PCL)と前記検知されたECG信号における頻脈サイクル長(TCL)との比較を含む、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記ペーシングプロトコルは、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置の特定のための前記1つ以上の基準を規定し、前記基準は、
頻脈サイクル長(TCL)と、同じECG信号におけるポストペーシング間隔(PPI)との比較、及び
ペーシング信号と結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差と、1つ以上の後続するペーシング信号とそれぞれの結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差との比較、のうちの1つを含む、実施態様1に記載のシステム。
【0069】
(6) 前記プロセッサは、PPI-TCL値又は時間差値の差がより小さくなる方向において位置を特定することによって、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置を特定するように構成されている、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記ペーシングプロトコルは、前記検知されたECGデータの有効性に関する前記1つ以上の基準を規定し、前記基準は、時間差値の比較を含む、実施態様5に記載のシステム。
(8) 前記ペーシングプロトコルは、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置の特定のための前記1つ以上の基準を規定し、前記基準は、検知されたECG信号において、(i)不顕性融合(concealed fusion)、及び(ii)顕性融合(manifested fusion)のうちの1つ以上を特定することを含む、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記プロセッサは、位置追跡システムを使用して前記心内ペーシング位置を測定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記プロセッサは、前記ペーシングプロトコルの保存、インポート、及びエクスポートのうちの少なくとも1つによって、前記心臓ペーシングプロトコルの前記定義を記憶するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0070】
(11) コンピュータ実装方法であって、
プロセッサにおいて、心臓ペーシングプロトコルの定義を受信することと、
前記プロセッサを使用して、患者の心臓内の1つ以上のプローブを自動的に制御し、前記ペーシングプロトコルに従って、心内位置から自動的にペーシングし、それぞれの検知された心電図(ECG)信号を取得することと、
前記検知されたECGデータの有効性について予め規定された1つ以上の基準に基づいて、前記検知されたECG信号を自動的に受け入れ又は拒絶することと、
不整脈の特定のための1つ以上の予め規定された基準に基づいて、不整脈惹起性の病巣又は経路として前記心内位置を特定又は拒絶することと、
特定された前記心内の心臓位置を電気生理学的(EP)マップ上に重ね合わせることと、
その後、新たな心内位置を不整脈惹起性の病巣又は経路として特定し、前記新たな心内位置から再度ペーシングする際に、前記新たな心内位置を前記EPマップ上に重ね合わせることと、を含む、方法。
(12) 前記定義は、少なくともペーシングシーケンスを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) ペーシングされた各心内位置でのペーシングから得られた定性的又は定量的な結果を、前記EPマップ上でユーザに視覚的に示すこと、を含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記ペーシングプロトコルは、前記検知されたECGデータの有効性に関する前記1つ以上の基準を規定し、前記基準は、ペーシングサイクル長(PCL)と前記検知されたECG信号における頻脈サイクル長(TCL)との比較を含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記ペーシングプロトコルは、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置の特定のための前記1つ以上の基準を規定し、前記基準は、
頻脈サイクル長(TCL)と、同じECG信号におけるポストペーシング間隔(PPI)との比較、及び
ペーシング信号と結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差と、1つ以上の後続するペーシング信号とそれぞれの結果として得られる体表面又は心内ECG信号との間の時間差との比較、のうちの1つを含む、実施態様11に記載の方法。
【0071】
(16) 不整脈惹起性の病巣又は経路として位置を特定することは、PPI-TCL値又は時間差値の差がより小さくなる方向において位置を特定すること、を含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置を特定することは、PPI-TCL値又は時間差値が最小若しくは最大値になる方向において位置を特定することと、前記位置を次のペーシング位置としてユーザに推奨することと、を含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記ペーシングプロトコルは、前記検知されたECGデータの有効性に関する前記1つ以上の基準を規定し、前記基準は、時間差値の比較を含む、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記ペーシングプロトコルは、不整脈惹起性の病巣又は経路としての位置の特定のための前記1つ以上の基準を規定し、前記基準は、検知されたECG信号において、(i)不顕性融合、及び(ii)顕性融合のうちの1つ以上を特定することを含む、実施態様11に記載の方法。
(20) 位置追跡システムを使用して前記心内位置を測定することを含む、実施態様11に記載の方法。