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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】冷却装置、及び、基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250210BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
H01L21/68 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020193382
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082051
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】古谷 優樹
(72)【発明者】
【氏名】北原 義之
(72)【発明者】
【氏名】服部 圭
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】出村 健介
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-330219(JP,A)
【文献】特開2018-160615(JP,A)
【文献】特開2018-164012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/304
H01L21/67 -21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象物の冷却対象領域に向けて下側から上側に冷却ガスを流す第1の流路、及び、
前記第1の流路に連続し、前記第1の流路を中心として円環状に広がり、前記冷却ガスを前記冷却対象領域の前記第1の流路に対して径方向外方に流す環状面を有する第2の流路、
を形成し、前記冷却対象物が上側に配置されるブロック体と、
前記ブロック体の外側を囲むように設けられ、前記第2の流路の外側に連続し、前記冷却対象物の前記冷却対象領域が上側に配置された状態で、前記第2の流路よりも狭く、前記冷却ガスを前記ブロック体の前記環状面の外側に流す第3の流路を形成し、前記冷却対象物を下側から支持する支持部と
を有し、
前記支持部は、前記冷却対象領域の内接円又は内接楕円の外側の領域を支持する、
冷却装置。
【請求項2】
前記ブロック体と前記支持部との間に設けられ、前記冷却ガスを前記環状面の外側に案内し、前記ブロック体の前記第2の流路を前記ブロック体の外側に延ばすガイド部を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第2の流路における前記冷却対象物の前記冷却対象領域と前記ブロック体との間の距離は、前記第3の流路における前記冷却対象物の前記冷却対象領域と前記支持部との間の距離よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記ブロック体の前記第2の流路と前記支持部の前記第3の流路との境界に設けられ、前記第2の流路に対して前記第3の流路を狭くする側面を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記ブロック体は、前記第2の流路に沿って前記第1の流路から遠ざかるにつれて、前記冷却対象物との間の距離を近づける傾斜面を有する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記冷却対象物を前記支持部に対して位置決めするとともに、前記支持部と前記冷却対象物の前記冷却対象領域との間の距離を規定する規制部を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の冷却装置を有する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷却装置、及び、その冷却装置を有する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば矩形状等の円盤状以外の基板の冷却をするにあたって、基板の下面の中心から基板の下面の外周部に向かって円環状に流出させる冷却ガスを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-162847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、冷却対象物の冷却対象領域のうち、冷却ガスの吐出部から近い領域、及び、遠い領域を冷却し易い、冷却装置、及び、その冷却装置を有する基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、冷却装置は、冷却対象物が上側に配置されるブロック体と、冷却対象物を下側から支持する支持部とを有する。ブロック体は、冷却対象物の冷却対象領域に向けて下側から上側に冷却ガスを流す第1の流路、及び、第1の流路に連続し、第1の流路を中心として円環状に広がり、冷却ガスを冷却対象領域の第1の流路に対して径方向外方に流す環状面を有する第2の流路、を形成する。支持部は、ブロック体の外側を囲むように設けられている。支持部は、第2の流路の外側に連続し、冷却対象物の冷却対象領域が上側に配置された状態で、第2の流路よりも狭く、冷却ガスをブロック体の環状面の外側に流す第3の流路を形成する。支持部は、冷却対象領域の内接円又は内接楕円の外側の領域を支持する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る基板処理装置に基板が載置された状態を示す概略的な上面図。
図2図1中のII-II線に沿う断面図。
図3図1中のIII-III線に沿う断面図。
図4図1から図3に示す基板処理装置の冷却装置と基板の下面との間に冷却ガスを流したときの冷却ガスの速度のシミュレーション結果を示す概略図。
図5】第1実施形態の基板処理装置の冷却装置で冷却された1/4カット基板の温度分布を示す概略図。
図6】第1実施形態から第3実施形態、及び比較例の冷却装置を用いて基板を冷却したときの、基板の中心部と角部との間の温度を示すグラフ。
図7】第1実施形態の第1変形例に係る基板処理装置に基板が載置された状態を示す概略的な上面図。
図8】第1実施形態の第2変形例に係る基板処理装置に基板が載置された状態を示す概略的な上面図。
図9】第1実施形態の第3変形例に係る基板処理装置に基板が載置された状態を示す概略的な上面図。
図10】比較例の基板処理装置に基板が載置された状態を示す概略的な上面図。
図11図10中のXI-XI線に沿う断面図。
図12】比較例の冷却装置で冷却された1/4カット基板の温度分布を示す概略図。
図13】第2実施形態に係る基板処理装置に基板が載置された状態を示す概略的な上面図。
図14図13中のXIV-XIV線に沿う断面図。
図15図13及び図14に示す基板処理装置の冷却装置と基板の下面との間に冷却ガスを流したときの冷却ガスの速度のシミュレーション結果を示す概略図。
図16】第2実施形態の基板処理装置の冷却装置で冷却された1/4カット基板の温度分布を示す概略図。
図17】第2実施形態の第1変形例に係る基板処理装置に基板が載置された状態を示す、図13中のXIV-XIV線に沿う断面図。
図18】第2実施形態の第2変形例に係る基板処理装置に基板が載置された状態を示す、図13中のXIV-XIV線に沿う断面図。
図19】第3実施形態に係る基板処理装置に基板が載置された状態を示す概略的な上面図。
図20図19中のXX-XX線に沿う断面図。
図21図19中のXXI-XXI線に沿う断面図。
図22】第3実施形態の基板処理装置の冷却装置で冷却された1/4カット基板の温度分布を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
図1から図6を用いて第1実施形態に係る基板処理装置10について説明する。
【0008】
図1には、基板処理装置10の上面図を示す。図2には、図1中のII-II線に沿う断面図を示す。図3には、図1中のIII-III線に沿う断面図を示す。
【0009】
図1から図3に示すように、基板処理装置10は、基部12と、基部12に設けられた冷却装置14とを有する。本実施形態の冷却対象物(被冷却物)である基板8は、例えば略矩形状であるなど、非円形状の板状である。本実施形態では、説明の簡略化のため、基板8の外形が略正方形状であるものとして説明する。本実施形態では、基板8の下面が冷却対象領域である。基板8の下面は、適宜に設定可能な仮想的な円と、この円の外側の領域とを有する。本実施形態では、仮想的な円は、基板8の下面の内接円と一致する。基板8の仮想的な円の内側の領域を中心部(円の内側領域)8aとし、基板8の仮想的な円の外側の領域を角部(円の外側領域)8bとする。なお、仮想的な円は、基板8の内接円よりも内側の基板8の適宜の位置に設定してもよい。
【0010】
基部12は、例えば筒状に形成され、冷却装置14の外周を保持する。すなわち、冷却装置14は、基部12の内側に設けられている。
【0011】
冷却装置14は、基板8を下側から支持する支持部22と、略円柱状のブロック体24と、複数のガイド部26とを有する。支持部22、ブロック体24及びガイド部26は、基板8を冷却するための冷却ガスの流路40を形成する。本実施形態では、冷却ガスの流路40は、第1の流路42、第2の流路44、第3の流路46及び第4の流路48を含む。
【0012】
支持部22、ブロック体24及びガイド部26は、例えばABS樹脂、PE、PI、PTFE、PVDFなどの樹脂材や銅、ステンレスなどの金属材で形成される。支持部22、ブロック体24、及び、ガイド部26は、一体成型により形成されていることが好適である。この場合、冷却ガスの流路40が一体成型により形成される。また、支持部22、ブロック体24、及び、ガイド部26が一体成型により形成された後、冷却ガスの流路40は、除去加工により形成されることも好適である。また、支持部22、ブロック体24、及び、ガイド部26により形成される冷却ガスの流路40は、樹脂材からなる円柱の板に除去加工を実施することで形成されることも好適である。なお、支持部22、ブロック体24、及び、ガイド部26は、必ずしも一体成型でなくてもよい。例えば、支持部22、ブロック体24は、樹脂材から形成され、ガイド部26は、金属材から形成されるようにしてもよい。
【0013】
例えば冷却装置14のブロック体24の下側には、冷却ガス源28が設けられている。冷却対象によるが、冷却ガスとして、本実施形態では、例えば-120℃程度の低温に調整された窒素(N)ガスを用いる。本実施形態では、冷却ガスは、例えば150L/分の流量で噴射される。
【0014】
支持部22は、略筒状に形成されている。本実施形態では、支持部22の外形は、円筒状であるが、基部12の形状との関係で適宜の形状に形成される。
【0015】
ブロック体24は、筒状の支持部22の内側に形成される。略円柱状のブロック体24は、冷却対象の基板8が支持部22に支持されたときに基板8に対向する上面24aと、外周面24bとを有する。上面24aは、略ドーナツ状の円環状面である。ブロック体24の上面24aの直径は、冷却対象物である基板8の仮想的な円の直径と同じか、それよりも小さい。なお、ブロック体24の上面24aの直径の下限は適宜に設定可能である。基板8の外縁の近くまで冷却ガスを行きわたらせることが好ましいため、ブロック体24の上面24aの直径の下限は、できるだけ大きいことが好ましい。
【0016】
略円柱状のブロック体24は、ブロック体24の中心軸Cに沿って貫通する貫通孔を有する。貫通孔は、冷却ガスの流路40の一部である冷却ガスの第1の流路42として形成されている。第1の流路42は、例えばブロック体24の下側に設けられる冷却ガス源28から基板8を冷却する冷却ガスを、ブロック体24の中心軸Cに沿って下側から上側に向かって流す。このため、第1の流路42は、ブロック体24の上側に配置される基板8の下面(冷却対象領域)の中心部8aに向けて、冷却ガスを下側から上側に流す。
【0017】
冷却ガス源28は、冷却装置14のブロック体24の下側でなく、例えば基板処理装置10の基部12の外側に設けられていてもよい。この場合、冷却ガス源28と基部12とを配管等により接続すればよい。例えば、基部12の下面に孔を設け、支持部22、ブロック体24及びガイド部26と同じ材質から成る配管を介して冷却ガス源28と基部12の下面に設けた孔とを接続するようにすればよい。
【0018】
ブロック体24の上面24aは、冷却ガスの流路40の一部である冷却ガスの第2の流路44の環状面として形成されている。本実施形態では、ブロック体24の上面24aは、第1の流路42の開口縁である終端(冷却ガス吐出口)42aからブロック体24の上面24aと外周面24bとの境界までの平面として形成されている。このため、第2の流路44は、第1の流路42に連続し、第1の流路42の終端42aに対して第1の流路42の径方向外方に円環状に広がるように形成されている。このため、支持部22に基板8が支持された場合、第1の流路42を流れた冷却ガスは、第2の流路44の径方向外方へと流れる。また、第2の流路44の高さは、ブロック体24の上面24aと基板8の下面との間の距離D1と同じである。
【0019】
ブロック体24と支持部22との間には、ブロック体24の上面24aを通した冷却ガスを基板8の角部8bに向けて案内する複数のガイド部26が設けられている。本実施形態の冷却装置14は、例えば正方形状の基板8を冷却対象とする。ガイド部26は、冷却装置14で基板8が冷却される際に、基板8の角部8bの下側に設けられる。このため、ガイド部26は、ブロック体24の外側に、ブロック体24の中心軸Cに対して周方向に約90°ごとに設けられている。本実施形態では、冷却装置14のガイド部26の数は、基板8の角部8bの数と同じ、4つである。
【0020】
そして、ガイド部26は、ブロック体24と間隔を空けて対向し、ブロック体24の外周面24bから、基板8の角部8bの下側まで延びている。本実施形態では、ガイド部26は、ブロック体24の外周面24bから離れるにつれて先細に形成される。
【0021】
ガイド部26は、ブロック体24の上面24aから径方向外方に延びる延出面26aを有する。ブロック体24の上面24a及びガイド部26の延出面26aは、例えば面一に形成されている。
【0022】
なお、ブロック体24の外周面24bとガイド部26との間には、本実施形態では、第4の流路48が形成されているが、第4の流路48は第2の流路44の高さ(距離D1)に対して第4の流路48の径方向の開口幅が狭い。このため、ガイド部26の延出面26aは、ブロック体24の上面24aに連続していると同一視できる。また、ブロック体24の上面24aと外周面24bとの境界と、ガイド部26の延出面26aのうち、ブロック体24に最も近接する位置において、基板8の下面との間の距離が共通する。つまり、ブロック体24の上面24a及びガイド部26の延出面26aと、基板8の下面との間の距離は、距離D1となる。このため、ガイド部26は、ブロック体24の第2の流路44をブロック体24の外側に延ばす。すなわち、ガイド部26の延出面26aは、第1の流路42から径方向に円環状に広がる冷却ガスの第2の流路44の一部として用いることができる。
【0023】
ブロック体24の外周面24bの外側及びガイド部26の外側には、支持部22が形成されている。
【0024】
支持部22は、上面22aを有する。支持部22の上面22aは、ブロック体24の上面24a及びガイド部26の延出面26aに対して上側に位置する。説明の簡略化のため、支持部22の上面22aは、ブロック体24の上面24a及びガイド部26の延出面26aと平行であるとする。
【0025】
支持部22は、支持部22の上面22aとブロック体24の上面24aとの間、及び、支持部22の上面22aとガイド部26の延出面26aとの間に設けられる側面22bを有する。側面22bは、ブロック体24と対向する部分が円弧であり、ガイド部26と接触する部分がガイド部26の外形と同じ形状となるよう、連続する状態に形成されている。支持部22の側面22bは、中心軸Cに平行な面であることが好適である。支持部22の上面22aとガイド部26の延出面26aとの間は、支持部22の側面22bにより、支持部22とガイド部26との段差として形成される。
【0026】
なお、本実施形態では、支持部22の上面22aと側面22bとの境界は、基板8が支持部22に載置された状態で基板処理装置10を上側から見たとき、基板8の外縁よりも内側に配置される。
【0027】
支持部22は、支持部22に対して基板8が支持部22から上方に離れる方向に移動することを規制する規制部32を有する。規制部32は、支持部22の4箇所に形成されている。規制部32は、上端がそれぞれテーパ状に形成され、基板8の移動を規制する規制ピン32a,32bを有する。規制ピン32a,32bは、支持部22の上面22aに対して突出するように設けられている。基板8の下面の角部8bは、それぞれ対として形成された4箇所の規制部32により、支持部22から離れる上方への移動、及び、中心軸Cの軸周りの方向への移動が規制される。規制ピン32a,32bは、基板8の下面の角部8bを支持したときに、支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間に隙間を形成する。このため、規制部32は、基板8を支持部22、ブロック体24及びガイド部26に対して位置決めするとともに、支持部22と基板8の下面の角部8bとの間の距離を規定する。支持部22の上面22aと基板8の下面との間の隙間を冷却ガスの流路40の一部である第3の流路46とする。第3の流路46の高さは、支持部22の上面22aと基板8の下面との間の距離D0と同じである。規制ピン32a,32b間は離間する。規制ピン32a,32b間の隙間は第3の流路46の一部として用いられる。
【0028】
なお、支持部22の側面22bは、第2の流路44と第3の流路46との境界に設けられ、第2の流路44に対して第3の流路46を狭くする。
【0029】
本実施形態では、ブロック体24の外周面24bに冷却ガスを通す、例えば冷却ガスの流路40の一部である環状の第4の流路48が設けられている。第4の流路48は、ブロック体24の外周面24bとガイド部26との間、及び、ブロック体24の外周面24bと支持部22の側面22bとの間に設けられている。第4の流路48は、第2の流路44に対して狭く形成されている。第4の流路48は、第2の流路44に連通する。
【0030】
基板処理装置10の冷却装置14の動作について説明する。
【0031】
冷却対象物である基板8の各角部8bが各規制部32の規制ピン32a,32bにより支持される。基板8が規制部32に支持されたとき、支持部22の上面22aと基板8の下面との間の距離D0が規定される。規制部32に基板8が支持されたとき、ブロック体24の上面24a及びガイド部26の延出面26aと、基板8の下面との間の距離D1が規定される。このため、第1の流路42、第2の流路44、第3の流路46、及び、第4の流路48を含む冷却ガスの流路40は、基板8が規制部32に支持された状態で、基板8の下側に形成される。
【0032】
基板処理装置10の冷却装置14は、冷却ガス源28から例えば-120℃近辺の所定範囲内の温度に調整された冷却ガスを、例えば150L/分の所定の流量で第1の流路42に噴射する。第1の流路42は、ブロック体24の上側に配置される基板8の下面の中心部8aに向かって冷却ガスを導く。すなわち、冷却ガスは、第1の流路42に沿って下側から上側に向かって流され、ブロック体24の上面24aの開口縁である第1の流路42の終端42aを通して、基板8の下面の中心部8aに接触する。
【0033】
基板8の下面の中心部8aに接触した冷却ガスは、ブロック体24の上面24aと基板8の下面との間の第2の流路44に沿って、中心部8aから第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。このとき、第2の流路44の距離D1は、第3の流路46の距離D0よりも大きいため、冷却ガスが第2の流路44に沿って流れる際に圧力損失が生じることを防止し、冷却ガスが第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。このため、基板8の下面のうち、ブロック体24の上面24aに対向する領域は、第2の流路44に沿って冷却ガスが流されると冷却される。すなわち、冷却ガスが基板8の下面の中心部8aから基板8の下面に沿って第2の流路44の径方向外方に円環状に広がるとき、基板8の下面は、冷却ガスにより冷却される。
【0034】
支持部22の側面22bに向かって流れた冷却ガスがブロック体24の上面24aを通して支持部22の側面22bに当たる。このとき、支持部22の側面22bに向かって流れた冷却ガスには、基板8の下面の縁部に向かう流れが生じる。
【0035】
ブロック体24の上面24aを通して支持部22の側面22bに当たり、基板8の下面の縁部に向かって流れた冷却ガスは、基板8の下面の縁部に衝突する衝突流となり、支持部22の上面22aと基板8の下面の縁部との間を抜ける。すなわち、支持部22の上面22aと基板8の下面の縁部との間を抜けた冷却ガスは、基板8の外側に排出される。このとき、基板8の外縁近傍に冷却ガスが接触するため、基板8の外縁近傍が冷却される。
【0036】
このとき、支持部22の側面22bに向かって流れた冷却ガスは、全て基板8の外側に排出される訳ではない。支持部22の側面22bに衝突した冷却ガスの一部は、支持部22の側面22bに沿って流れ、ガイド部26の延出面26aに向かう。また、冷却ガスは、基板8の下面の中心部8aに当てられた後、ブロック体24の上面24aと基板8の下面との間を通して、ガイド部26の延出面26aと基板8の下面との間に向かう流れも存在する。このため、適宜の量の冷却ガスが、ガイド部26の延出面26aと基板8の下面の角部8bとの間に流れる。
【0037】
なお、ガイド部26の延出面26aは、ブロック体24の上面24aに連続していると同一視できるため、冷却ガスがブロック体24の上面24aからガイド部26の延出面26aに流れる際の流路抵抗の発生は抑制される。このため、適宜の量の冷却ガスが、ブロック体24の上面24aからガイド部26の延出面26aに沿って流れる。
【0038】
ガイド部26の延出面26aは、ブロック体24の上面24aから遠ざかるにつれて先細となる。このため、第2の流路44は、ブロック体24から遠ざかるにつれて狭くなる。したがって、冷却ガスは、ガイド部26の延出面26aのうち、ブロック体24の上面24aから遠ざかる領域に向かって案内されるとともに、流速が速くなる。
【0039】
規制ピン32a,32bにより、支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間に第3の流路46が形成されている。図4に示すように、冷却ガスが第2の流路44におけるガイド部26の延出面26aと基板8の下面の中心部8aとの間を通して、支持部22の側面22bに当てられると、支持部22の側面22bと上面22aとの境界付近から、基板8の下面の角部8bに向かう冷却ガスの流れが生じる。ガイド部26の延出面26aを通して支持部22の側面22bに当たり、基板8の下面の角部8bに向かって流れた冷却ガスは、基板8の下面の角部8bに衝突する衝突流となり、支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間を抜ける。
【0040】
第3の流路46における支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間の距離D0は、第2の流路44におけるガイド部26の延出面26aと基板8の下面の角部8bと間の距離D1よりも狭い。このため、支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間を通る冷却ガスの流速は、ガイド部26の延出面26aと基板8の下面の角部8bとの間を通る冷却ガスの流速よりも速くなる。規制ピン32a,32b間の第3の流路46を冷却ガスが通り、基板8の下面の角部8bが冷却ガスにより冷却される。支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間を抜けた冷却ガスは、基板8の外側に排出される。基板8の角部8bの外縁近傍に中心部8aから角部8bに向かって流れてきた冷却ガスが接触するため、基板8の角部8bが冷却される。
【0041】
本実施形態に係る冷却装置14によれば、このようにして、冷却ガスの吐出部である第1の流路42から近い基板8の中心部8a、及び、第1の流路42からから遠い角部8bまで、冷却ガスにより冷却される。
【0042】
冷却ガスがブロック体24の上面24aを通して支持部22の側面22bに当たると、第4の流路48に向かう流れも生じる。このため、冷却ガスの一部は、第2の流路44において、ブロック体24の上面24aから支持部22の上面22a又はガイド部26の延出面26aへと流れるのではなく、第4の流路48に流れる。第4の流路48は冷却ガスの一部をブロック体24の外周面24bに沿って流す。このため、第4の流路48に冷却ガスが流され、ブロック体24が冷却される。
【0043】
本実施形態では、ブロック体24の上面24a及びガイド部26の延出面26aは、基板8の下面との間に適宜の距離D1(>D0)を取る第2の流路44を形成する。このため、冷却装置14は、冷却ガスの流れの阻害を抑制しながら、基板8の下側の角部8bとガイド部26の延出面26aとの間に向けて、適宜の量の冷却ガスを流す。
【0044】
図1に示すように、ガイド部26の延出面26aがブロック体24の上面24aから遠ざかるにつれて先細で、第2の流路44は、ブロック体24から遠ざかるにつれて狭くなる。したがって、ガイド部26の延出面26aのうち、ブロック体24の上面24aから遠ざかる領域に向かって案内されるにつれて、冷却ガスの流速が速められる。そして、基板8の下面の角部8bと支持部22の上面22aとの間の距離D0は、基板8の下面の角部8bとガイド部26の延出面26aとの間の距離D1よりも小さい。このため、図3に示す断面において、ガイド部26の延出面26aと基板8の下面との間の第2の流路44に比べて、支持部22の上面22aと基板8の下面との間の第3の流路46は、狭くなる。したがって、第2の流路44と第3の流路46との境界付近において、第2の流路44の体積に比べて、第3の流路46の体積が小さくなる。そして、第2の流路44と第3の流路46とを通る流体の流量は同じであるため、第2の流路44よりも、第3の流路46での冷却ガスの圧力が高まる。したがって、第2の流路44と第3の流路46との境界において、第2の流路44よりも第3の流路46側で冷却ガスの流速が速められる。したがって、第2の流路44と第3の流路46との境界において、基板8の下面の角部8bに向けた冷却ガスの流れを作りだす。このように、第2の流路44と第3の流路46との境界において、基板8の角部8bに向けた冷却ガスの流れを作りだすことができるので、基板8の下面を通す冷却ガスの通過により、基板8の角部8bが冷却される。
【0045】
図5には、第1実施形態に係る冷却装置14を用いて冷却した基板8の、基板8の中心部8a及び角部8bを含む基板8の1/4カットの温度分布を示す。基板8の一辺は例えば略0.15mである。このため、仮想的な円の半径は、略0.075mであり、基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角までの距離は、略0.11mである。
【0046】
基板8の温度は、例えば0℃よりも高温であり、冷却ガスは、基板8の中心部8aから第2の流路44の径方向外方に流れるにつれて冷却性能が低下する。図5の例は、冷却ガスによる基板8の冷却開始から所定時間経過した時点での温度分布を示す。図6に示すように、基板8の中心軸Cから角部8bに向かって離れるにつれて、基板8の温度が上昇する。図6に示す例では、基板8の中心部8a(中心軸Cから略0.075mまでの領域)は、-110℃から-70℃の間の温度であり、中心部8aから外れた角部8bは、-70℃から-45℃の間の温度である。
【0047】
基板8の外形が正方形でなく、正五角形や正六角形など、正多角形である場合、基板8の仮想的な円(内接円)の外側の角部8bの位置に応じて、ブロック体24の外側にガイド部26を形成すればよい。
【0048】
基板8が例えば長方形状である場合、仮想的な円として内接楕円の内側の短軸と長軸との交点を含む領域を中心部8aとし、基板8の仮想的な円である内接楕円の外側の領域を角部8bとする。上述したブロック体24が略円柱状である場合と同様に、略楕円柱状のブロック体24の楕円状の上面24aの外側にガイド部26の延出面26aが形成されていればよい。
【0049】
図3に示す支持部22の側面22bは、中心軸Cに平行な面である。側面22bは、中心軸Cに平行な面でなくてもよい。支持部22の側面22bは、ガイド部26の延出面26aから、基板8の角部8bに向かうにつれて、次第に基板8の下面との距離を距離D0になるまで小さくする、傾斜面として形成されることも好適である。この場合も、第1の流路42、及び、第2の流路44を通した冷却ガスを、第3の流路46に案内し、基板8の角部8bを冷却することができる。
【0050】
図3に示すガイド部26の延出面26aは、ブロック体24の上面24aに面一であるが、ガイド部26の延出面26aは、ブロック体24の上面24aに面一でなくてもよい。ガイド部26の延出面26aは、ブロック体24の上面24aと外周面24bとの境界から、支持部22の上面22aと側面22bとの境界に向かうにつれて、次第に基板8の下面との距離が距離D0になるまで小さくなる、傾斜面として形成されることも好適である。この場合も、第1の流路42、及び、第2の流路44を通した冷却ガスを、第3の流路46に案内し、基板8の角部8bを冷却することができる。
【0051】
ガイド部26のうち、ブロック体24に対する遠位部は、図1中では鋭角に形成されている。ガイド部26のうち、ブロック体24に対する遠位部は、直角又は鈍角に形成されていてもよい。
【0052】
なお、図7に示すように、第4の流路48は、設けられていなくてもよい。ガイド部26のうち、ブロック体24に対する遠位部は、例えば曲面として形成されていることも好適である。
【0053】
本実施形態では、図1及び図3に示すように、ガイド部26がブロック体24の外側に複数に分かれて存在する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、図8又は図9に示すように、ガイド部26がブロック体24の外側で複数に分かれて存在せず、1つのガイド部26がブロック体24を囲む構造としてもよい。この場合、図8に示す例では、第2の流路44の環状面は、ブロック体24の上面24aおよびガイド部26の延出面26aで形成される。図9に示す例では、ブロック体24の上面24aの径方向幅がガイド部26の延出面26aの径方向幅に比べて例えば1/10以下など小さい場合、第2の流路44の環状面は、ガイド部26の延出面26aのみで形成されることと同視できる。
【0054】
本実施形態の冷却装置14では、冷却対象物として、基板8を冷却する場合を例にした。本実施形態の冷却装置14による冷却対象物は、基板8に限らず、種々の物体を冷却することができる。また、冷却対象物の冷却対象領域は、平面に限らず、凹凸を有する面、曲面を有する面など、種々の形状の面を冷却することができる。
【0055】
冷却ガスが単位時間あたり適宜の流量で冷却対象物に接触したときに、冷却対象物が動かないのであれば、冷却装置14の規制部32は、不要となる。この場合、支持部22の上面22aに、支持部22の上面22aと冷却対象物との間に冷却ガスを通す第3の流路46を形成するためのスペーサが設けられていてもよい。
【0056】
したがって、第1実施形態によれば、冷却対象物の冷却対象領域(基板8の下面)のうち、冷却ガスの吐出部(第1の流路42)から近い領域(基板8の下面の中心部8a)、及び、遠い領域(基板8の下面の角部8b)を冷却し易い、冷却装置14、及び、冷却装置14を有する基板処理装置10を提供することができる。
【0057】
(比較例)
ここで、図10から図12を用いて比較例の基板処理装置110の冷却装置114について説明する。比較例の冷却装置114のうち、第1実施形態の冷却装置14と同じ構成は同じ符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図10及び図11に示すように、比較例の冷却装置114は、支持部22と、ブロック体24とを有する。冷却装置114は、第1実施形態の冷却装置14のガイド部26を有していない。
【0059】
また、比較例の冷却装置114では、支持部22の上面22aとブロック体24の上面24aとが面一である。比較例の冷却装置114のブロック体24の上面24aと基板8の下面との間の距離D2は、第1実施形態の冷却装置14の支持部22の上面22aと基板8の下面との間の距離D0と同程度の長さとなるように形成されている。したがって、比較例の冷却装置114の支持部22の上面22a及びブロック体24の上面24aと基板8の下面との間の距離D2は、第1実施形態の冷却装置14のブロック体24の上面24a及びガイド部26の延出面26aと基板8の下面との間の距離D1よりも小さい。このため、比較例の第2の流路144は、第1実施形態の第2の流路44に比べて狭い。
【0060】
(第1実施形態の冷却装置14と、比較例の冷却装置114との比較)
第1実施形態の冷却装置14と、比較例の冷却装置114とを比較する。第1実施形態の冷却装置14及び比較例の冷却装置114のブロック体24の大きさ、基板8の大きさが同一であると仮定する。
【0061】
比較例の冷却装置114では、第1の流路42を流れ、基板8の下面の中心部8aに当たった冷却ガスが、第2の流路144の径方向外方に円環状に広がる。このとき、第2の流路144に沿って、基板8の下面の中心部8aを冷却する。
【0062】
冷却ガスは、一部を除き、基板8の中心部8aから近い基板8の外縁(基板8の4辺)と支持部22の上面22aとの間を通って排出される。また、一部の冷却ガスは、基板8の下面の角部8bと支持部22の上面22aとの間を通って排出される。基板8の外縁と支持部22の上面22aとの間の方が、基板8の下面の角部8bと支持部22の上面22aとの間よりも中心部8aの中心軸Cからの距離が近く、流路抵抗が小さくなるため、冷却ガスが流れやすい。このため、基板8の角部8bは、基板8の中心部8aから近い外縁近傍に比べて、冷却し難い。
【0063】
図12には、比較例の冷却装置114を用いて基板8を冷却したときの、基板8の中心部8a及び角部8bを含む1/4カットの温度分布を示す。図12の例は、冷却ガスによる基板8の冷却開始から所定時間経過した時点での温度分布を示す。図6に示すように、基板8の中心部8aは、-110℃から-60℃の間の温度であり、角部8bは、-60℃から-30℃の間の温度である。
【0064】
なお、第1の流路42を通る冷却ガスは第1実施形態及び比較例において、略同一の温度で略同一の流量である。冷却ガスにより冷却される直前、基板8の温度も略同一である。このため、基板8の中心部8aの中心軸C、及び、中心軸Cから最も離間した角部8bの角の温度を比較したとき、中心部8aの中心軸C及び角部8bの角の温度分布のバラツキが少ない方が、冷却性能が高いと言える。すなわち、中心部8aの中心軸Cと、中心軸Cから最も離間した角部8bの角との間の温度差が少ない方が、冷却性能が高いと言える。
【0065】
第1実施形態の基板8の中心部8aの温度は、-110℃から-70℃の温度であり、比較例の基板8の中心部8aの温度は、-110℃から-60℃の温度である。このため、基板8の中心部8aの温度は、第1実施形態及び比較例を比較しても殆ど変わらない。しかしながら、比較例の基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角の温度(-30℃)は、第1実施形態の基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角の温度(-45℃)よりも高い。すなわち、角部8bの冷却性能は、比較例の冷却装置114よりも、第1実施形態の冷却装置14の方が良好である。
【0066】
第1実施形態の冷却装置14では、ガイド部26の延出面26aは、ブロック体24の上面24aと面一で、基板8の下面の角部8bに対向する。このため、基板8の下面の角部8bへの冷却ガスの量を増大させる。このため、基板8の角部8bの下側の第3の流路46に冷却ガスを流しやすい。したがって、第1実施形態の冷却装置14は、基板8の角部8bであっても、ガイド部26の存在により、効率的に冷却が行われる。
【0067】
上述したように、基板8の中心部8aの中心軸Cと、中心軸Cから最も離間した角部8bの角との温度を比較したとき、温度差が少ない方が、冷却性能が高いと言える。比較例の冷却装置114に対する第1実施形態の冷却装置14の冷却性能の改善率を以下の
改善率(%)=100-(TF1-TC1)/(TF0-TC0)×100
を用いて算出した。ここで、TF1は、第1実施形態の冷却装置14により冷却した基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角の温度であり、TC1は、第1実施形態の冷却装置14により冷却した基板8の中心軸C上の温度である。TF0は、比較例の冷却装置114により冷却した基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角の温度であり、TC0は、比較例の冷却装置114により冷却した基板8の中心軸C上の温度である。
図6に示すように、TF1=-45℃、TC1=-110℃、TF0=-30℃、TC0=-110℃とすると、比較例の冷却装置114に対する第1実施形態の冷却装置14の冷却性能の改善率は、18.8%となった。
【0068】
したがって、第1実施形態によれば、冷却対象物の冷却対象領域(基板8の下面)のうち、冷却ガスの吐出部(第1の流路42)から近い領域(基板8の下面の中心部8a)、及び、遠い領域(基板8の下面の角部8b)を冷却し易い、冷却装置14、及び、冷却装置14を有する基板処理装置10を提供することができる。このため、冷却装置14、及び、その冷却装置14を有する基板処理装置10を用いることで、例えば矩形状の基板など、非円形状の冷却対象物の中心部付近、及び、外縁近傍を冷却することができる。
【0069】
(第2実施形態)
第2実施形態の基板処理装置10について、図13から図16を用いて説明する。第2実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0070】
冷却装置14は、基板8を支持する支持部22と、ブロック体64とを有する。例えばブロック体64の下側には、冷却ガス源28(図2参照)が設けられている。支持部22及びブロック体64は、基板8とともに冷却ガスの流路40を形成する。
【0071】
なお、第1実施形態の支持部22及びブロック体24との関係と同様に、支持部22及びブロック体64は、一体成型されていることが好適である。また、支持部22及びブロック体64が一体成型により形成された後、冷却ガスの流路40が除去加工により形成されることも好適である。また、支持部22、ブロック体64、及び、冷却ガスの流路40は、樹脂材からなる円柱の板に除去加工を実施することで形成されることも好適である。
【0072】
ブロック体64は、略円柱状の部材である。ブロック体64は、冷却対象の基板8が支持部22に支持されたときに基板8に対向する円環状の外縁64aと、外周面64bと、外縁64aの内側に形成された凹部64cとを有する。外縁64aは、ブロック体64の一端の外縁である。ブロック体64の一端は、基板8が支持部22に支持されたときに基板8に対向する。ブロック体64の他端は、冷却ガス源28あるいは、基部12の下面の内壁と対向する。中心軸Cは、ブロック体64の一端の中心と他端の中心とを通る。ブロック体64の中心軸Cと外縁64aとの距離、つまり、ブロック体64の半径r1は、冷却対象物である基板8の仮想的な円の半径よりも小さい。しかし、半径r1は、ブロック体64の外縁64aと基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角とを結ぶ最短距離D3の長さよりも長い。外周面64bは、ブロック体64の一端と他端を接続する側面である。
【0073】
ブロック体64は、中心軸Cに沿って貫通する貫通孔を有する。貫通孔は冷却ガスの第1の流路42として形成されている。第1の流路42は、例えばブロック体64の下側に設けられる冷却ガス源28から冷却ガスを、ブロック体64の中心軸Cに沿って下側から上側に向かって導く。このため、第1の流路42は、基板8を冷却する冷却ガスを、ブロック体64の上側に固定される基板8の中心部8aに向かって導く。
【0074】
冷却装置14のブロック体64の一端に凹部64cが設けられる。凹部64cは、円環状面として形成されている。第2の流路44は、第1の流路42に連続し、第1の流路42に対して径方向外方に円環状に形成されている。凹部64cは、基板8の下面との間に適宜の距離Dを取る。凹部64cは、基板8の下面又は支持部22の上面22aを基準としたときに、中心軸Cに近いほど、中心軸Cに沿う方向の距離Dが大きくなり、中心軸Cから離れるほど、中心軸Cに沿う方向の距離Dが小さくなる曲面である。すなわち、凹部64cは、第2の流路44に沿って第1の流路42から遠ざかるにつれて、基板8の下面との間の距離を近づける傾斜面として形成されている。本実施形態では、ブロック体64の凹部64cは、第1の流路42の開口縁である終端42aからブロック体64の外縁64aと外周面64bとの境界まで連続する曲面として形成されている。つまり、凹部64cのうち、基板8と対向する開口端の半径は、ブロック体64の半径r1と同じ長さとなる。したがって、凹部64cのうち、基板8と対向する開口端の半径は、基板8の仮想的な円の半径よりも小さいが、ブロック体64の外縁64aと基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角とを結ぶ最短距離D3の長さよりは長い。凹部64cの面は、例えば金管楽器のベル状に形成されている。凹部64cは、外縁64aに連続する。凹部64cは、第1の流路42と連通する第2の流路44として形成されている。
【0075】
第1の流路42の終端42aは、第1実施形態の第1の流路42の終端42aよりも、基板8の下面から離れている。このため、冷却ガスが凹部64cの第2の流路44を通るとき、第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。
【0076】
基板処理装置10の冷却装置14の動作について説明する。第1実施形態で説明した内容については、適宜に説明を省略する。
【0077】
第1実施形態で説明したように、基板8を規制ピン32a,32bに支持させる。規制部32に基板8が支持されたとき、支持部22の上面22aと基板8との間の距離D0が規定される。規制部32に基板8が支持されたとき、ブロック体64の凹部64cと、基板8の下面との間に距離Dが規定される。このため、第1の流路42、第2の流路44、第3の流路46、及び、第4の流路48を含む冷却ガスの流路40は、基板8が規制部32に支持された状態で、基板8の下側に形成される。
【0078】
基板処理装置10の冷却装置14は、冷却ガス源28から冷却ガスを第1の流路42に導く。冷却ガスは、第1の流路42に沿って下側から上側に向かって流され、ブロック体64の凹部64cの終端42aを通して、凹部64cの表面に沿って第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。冷却ガスの一部は、基板8の下面の中心部8aに接触し、基板8の下面に沿って第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。このため、冷却ガスは、ブロック体64の凹部64cと基板8の下面との間の第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。このとき、第2の流路44の基板8の下面の中心部8aの近傍と、中心軸Cに沿って下側の凹部64cの表面との間の距離Dは、第3の流路46の距離D0よりも大きいため、冷却ガスが第2の流路44の径方向外方に円環状に流れる。このため、基板8の下面のうち、ブロック体64の凹部64cの上方の領域は、第2の流路44に沿って冷却ガスが流されると冷却される。すなわち、冷却ガスが基板8の中心部8aから基板8の下面の中心部8aから基板8の下面に沿って第2の流路44の径方向外方に円環状に流れるとき、基板8の下面は、冷却ガスにより冷却される。
【0079】
第2の流路44は、ブロック体64の凹部64cからブロック体64の外縁64aに近づくにつれて基板8の下面との距離が距離D0に近づき、狭くなる。このため、冷却ガスは、ブロック体64の外縁64aと基板8の下面との間の領域に向かって案内されるとともに、流速が速くなる。
【0080】
ブロック体64の凹部64cを通してブロック体64の外縁64aに到達した冷却ガスは、基板8の下面の縁部に向かって流れる。この冷却ガスは、支持部22の上面22aと基板8の下面の縁部との間を抜ける。すなわち、支持部22の上面22aと基板8の下面の縁部との間を抜けた冷却ガスは、基板8の外側に排出される。
【0081】
規制ピン32a,32bにより、支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間に第3の流路46が形成されている。ブロック体64の凹部64cを通してブロック体64の外縁64aに到達した冷却ガスは、適宜の流速を維持し、かつ、流速が速くなる。このため、図15に示すように、支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間に向かう冷却ガスの流れが生じる。このため、規制ピン32a,32b間の第3の流路46を冷却ガスが通り、冷却ガスの第3の流路46となっている基板8の角部8bが冷却ガスにより冷却される。支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間を抜けた冷却ガスは、基板8の外側に排出される。
【0082】
本実施形態に係る冷却装置14によれば、このようにして、冷却ガスの吐出部である第1の流路42から近い基板8の中心部8a、及び、第1の流路42からから遠い角部8bまで、冷却ガスにより冷却される。
【0083】
基板8の下面と支持部22の上面22aとの間の距離D0は、基板8の下面とブロック体64の凹部64cとの間の距離Dよりも小さい。しかしながら、ブロック体64の中心軸Cから、ブロック体64の外縁64aまで、冷却ガスが適宜の流速を維持しながら進む。このため、第2の流路44よりも狭い第3の流路46であっても、冷却ガスの流速が速められ、冷却ガスは、基板8の角部8bの角まで流れようとする。このように、本実施形態の冷却装置14は、第3の流路46において、基板8の角部8bの角に向けた冷却ガスの流れを作りだすことができるので、基板8の角部8bの下面を通す冷却ガスの通過により、基板8の角部8bが冷却される。
【0084】
また、第2実施形態では、ブロック体64に凹部64cが形成されている。凹部64cが形成されることで、基板8の第1の流路42に近い位置は、第1実施形態と比べて冷却ガスの接触が少なくなる。そのため、基板8の第1の流路42に近い位置が過剰に冷却されることを抑制することができる。また、凹部64cが形成されることで、凹部64cの表面に沿って第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる冷却ガスの流れが形成される。この流れは、基板8の下面の中心部8aに接触し、基板8の下面に沿って第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる冷却ガスの流れと比べると、基板8の中心部8aの外周に到達するまでの距離が短い。また、基板8との接触も少ない。このため、冷却ガスは、基板8の中心部8aの外周に低い温度を保ったまま到達することができる。このため、冷却ガスは、基板8の中心部8aの外周をより冷却することができる。したがって、ブロック体64に凹部64cが形成されていることで、基板8の第1の流路42に近い位置が過剰に冷却されることを抑制でき、基板8の中心部8aの外周をより冷却することができる。つまり、基板8の中心部8a内の温度分布のバラツキをより小さくすることができる。
【0085】
基板8の中心部8a内の温度分布のバラツキを小さくするため、ブロック体64の半径r1は、仮想的な円の半径に近い値とすることが好ましく、半径r1は、ブロック体64の外縁64aと基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角とを結ぶ最短距離D3の長さよりも長いことが好ましい。
【0086】
図16には、第2実施形態に係る冷却装置14を用いて冷却した基板8の、基板8の中心部8a及び角部8bを含む基板8の1/4カットの温度分布を示す。図16の例は、冷却ガスによる基板8の冷却開始から所定時間経過した時点での温度分布を示す。図6に示すように、基板8の中心部8aは、-90℃から-80℃の間の温度であり、角部8bは、-80℃から-45℃の間の温度である。
【0087】
上述したように、中心部8aの中心軸Cと、中心軸Cから最も離間した角部8bの角との間の温度差が少ない方が、冷却性能が高いと言える。第2実施形態の冷却装置14により冷却した基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角の温度をTF2とし、第2実施形態の冷却装置14により冷却した基板8の中心軸C上の温度をTC2とする。図6に示すように、TF2=-45℃、TC2=-90℃である。このため、温度TF2と温度とTC2との温度差は、45℃であり、比較例の温度TF0と温度とTC02との温度差である80℃よりも差が小さい。TF2=-45℃、TC2=-90℃とすると、比較例の冷却装置114に対する第2実施形態の冷却装置14の冷却性能の改善率は、43.8%となった。すなわち、角部8bの冷却性能は、比較例の冷却装置114よりも、第2実施形態の冷却装置14の方が良好である。したがって、第2実施形態の冷却装置14は、基板8の角部8bであっても、効率的に冷却が行われる。
【0088】
第2実施形態による冷却装置14は、基板(冷却対象物)8が上側に配置されるブロック体64と、基板8を下側から支持する支持部22とを有する。ブロック体64は、基板(冷却対象物)8の下面(冷却対象領域)に向けて下側から上側に冷却ガスを流す第1の流路42、及び、第1の流路42に連続し、第1の流路42を中心として円環状に広がり、冷却ガスを基板8の下面の第1の流路42に対して径方向に流す凹部(環状面)64cを有する第2の流路44を形成する。支持部22は、ブロック体64の外側を囲むように設けられ、第2の流路44の外側に連続し、基板8の下面が上側に配置された状態で、第2の流路44よりも狭く、冷却ガスをブロック体64の凹部64cの外側に流す第3の流路46を形成する。
したがって、第2実施形態によれば、冷却対象物の冷却対象領域(基板8の下面)のうち、冷却ガスの吐出部(第1の流路42)から近い領域(基板8の下面の中心部8a)、及び、遠い領域(基板8の下面の角部8b)を冷却し易い、冷却装置14、及び、冷却装置14を有する基板処理装置10を提供することができる。このため、冷却装置14、及び、その冷却装置14を有する基板処理装置10を用いることで、例えば矩形状の基板など、非円形状の冷却対象物の中心部付近、及び、外縁近傍を冷却することができる。
【0089】
(第1変形例)
第2実施形態の冷却装置14の第1変形例について説明する。
【0090】
第2実施形態の冷却装置14のブロック体64の凹部64cの断面は、図14に示すように、略扇形である。図15には、第2実施形態の冷却装置14を用いて基板8を冷却する際の冷却ガスの流れのシミュレーション結果を示す。第2実施形態の冷却装置14のブロック体64の凹部64cの表面のうち、第1の流路42に近い位置、及び、ブロック体64の外縁64aに近い位置は、冷却ガスの流量が多い。しかしながら、第2実施形態の冷却装置14のブロック体64の凹部64cの表面のうち、第1の流路42に近い位置、及び、ブロック体64の外縁64aに近い位置の間の領域は、冷却ガスの接触が少ない。
【0091】
図17に示すように、第2実施形態の冷却装置14のブロック体64の凹部64cの表面(傾斜面)は、冷却ガスのシミュレーション結果に沿う面として形成してもよい。凹部64cの表面の曲率半径は、適宜に設定可能である。すなわち、図17に示す凹部64cは、例えば複数の曲率半径の面が連続して形成されている。凹部64cのうち、第1の流路42の終端42aに近い位置は、凹部64cのうち、外縁64aに近い位置に比べて、中心軸Cの軸周りの直径の拡大率が小さい。
【0092】
(第2変形例)
第2実施形態の冷却装置14の第2変形例について説明する。
【0093】
上述したように、図15に示すように、第2実施形態の冷却装置14のブロック体64の凹部64cの表面のうち、第1の流路42に近い位置、及び、ブロック体64の外縁64aに近い位置は、冷却ガスの流量が多い。しかしながら、第2実施形態の冷却装置14のブロック体64の凹部64cの表面のうち、第1の流路42に近い位置、及び、ブロック体64の外縁64aに近い位置の間の領域は、冷却ガスの接触が少ない。
【0094】
図18に示すように、凹部64cの傾斜面は、第1の流路42から第3の流路46に向かって広がるテーパ状に形成されている。凹部64cの傾斜面が例えば複数段のテーパ状であっても、凹部64cのうち、第1の流路42の終端42aに近い位置は、凹部64cのうち、外縁64aに近い位置に比べて、中心軸Cの軸周りの直径の拡大率が小さい。冷却ガスの拡散を阻害しない形状であれば、第2の流路44は、このように形成されていてもよい。
【0095】
(第3実施形態)
第3実施形態について、図19から図22を用いて説明する。本実施形態は第1実施形態及び第2実施形態の変形例であって、第1実施形態及び第2実施形態で説明した部材と同一の構造を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0096】
図19から図21に示すように、冷却装置14は、基板8を支持する支持部22と、ブロック体64と、複数のガイド部26とを有する。すなわち、本実施形態の冷却装置14は、第1実施形態で説明した略円柱状のブロック体24を、第2実施形態で説明したブロック体64に変更する。
【0097】
また、本実施形態の冷却装置14は、第1実施形態及び第2実施形態で説明した第4の流路48は、備えていない。
【0098】
基板処理装置10の冷却装置14の動作について説明する。第1実施形態で説明した内容については、適宜に説明を省略する。
【0099】
第1実施形態で説明したように、基板8を規制ピン32a,32bに支持させる。
【0100】
規制部32に基板8が支持されたとき、支持部22の上面22aと基板8との間に距離D0が規定される。規制部32に基板8が吸着されたとき、ブロック体64の外縁64a及びガイド部26の延出面26aと、基板8の下面との間に距離D1が規定される。規制部32に基板8が支持されたとき、ブロック体64の凹部64cと、基板8の下面との間に距離Dが規定される。
【0101】
このため、第1の流路42、第2の流路44、及び、第3の流路46を含む冷却ガスの流路40は、基板8が規制部32に支持された状態で、基板8の下側に形成される。
【0102】
基板処理装置10の冷却装置14は、冷却ガス源28から冷却ガスを第1の流路42に導く。冷却ガスは、第1の流路42に沿って下側から上側に向かって流され、ブロック体64の凹部64cの終端42aを通して、凹部64cの表面に沿って第2の流路44の径方向に広がる。冷却ガスの一部は、基板8の下面の中心部8aに接触し、基板8の下面に沿って第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。このため、冷却ガスは、ブロック体64の凹部64cと基板8の下面との間の第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。すなわち、基板8の下面の中心部8aの近傍と、中心軸Cに沿って下側の凹部64cの表面との間の距離D(>D1)は、適宜の大きさがあるため、冷却ガスが第2の流路44の径方向外方に円環状に広がる。このため、基板8の下面のうち、ブロック体64の凹部64cの上方の領域は、第2の流路44に沿って冷却ガスが流されると冷却される。すなわち、冷却ガスが基板8の中心部8aから基板8の下面に沿って第2の流路44の径方向外方に広がるとき、基板8の下面は、冷却ガスにより冷却される。
【0103】
ブロック体64の凹部64cは、ブロック体64の外縁64aに近づき、基板8の角部8bに近づくにつれて基板8の下面との距離が距離D1に近づき、狭くなる。このため、冷却ガスは、ブロック体64の外縁64aと基板8の下面との間の領域に向かって案内されるとともに、流速が速くなる。
【0104】
支持部22の側面22bに向かって流れた冷却ガスがブロック体64の外縁64aを通して支持部22の側面22bに当たる。このとき、支持部22の側面22bに向かって流れた冷却ガスには、基板8の下面の縁部に向かう流れが生じる。
【0105】
ブロック体64の外縁64aを通して支持部22の側面22bに当たり、基板8の下面の縁部に向かって流れた冷却ガスは、基板8の下面の縁部に衝突する衝突流となり、支持部22の上面22aと基板8の下面の縁部との間を抜ける。すなわち、支持部22の上面22aと基板8の下面の縁部との間を抜けた冷却ガスは、基板8の外側に排出される。このとき、基板8の外縁近傍に冷却ガスが接触するため、基板8の外縁近傍が冷却される。
【0106】
このとき、支持部22の側面22bに向かって流れた冷却ガスは、全て基板8の外側に排出される訳ではない。支持部22の側面22bに衝突した冷却ガスの一部は、支持部22の側面22bに沿って流れ、ガイド部26の延出面26aに向かう。また、冷却ガスは、基板8の下面の中心部8aに当てられた後、ブロック体64の凹部64cと基板8の下面との間を通して、ガイド部26の延出面26aと基板8の下面との間に向かう流れも存在する。このため、適宜の量の冷却ガスが、ガイド部26の延出面26aと基板8の下面との間に流れる。
【0107】
なお、ブロック体64の外縁64aとガイド部26の延出面26aとは、面一であるから、冷却ガスがブロック体64の外縁64aからガイド部26の延出面26aに流れる際の流路抵抗の発生は抑制される。このため、適宜の量の冷却ガスが、ガイド部26の延出面26aに沿って流れる。
【0108】
ガイド部26の延出面26aは、ブロック体64の外縁64aから遠ざかるにつれて先細となる。このため、第2の流路44は、ブロック体64から遠ざかるにつれて狭くなる。したがって、冷却ガスは、ガイド部26の延出面26aのうち、ブロック体64の外縁64aから遠ざかる領域に向かって案内されるとともに、流速が速くなる。
【0109】
規制ピン32a,32bにより、支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間に第3の流路46が形成されている。第1実施形態で説明したように、規制ピン32a,32b間の第3の流路46を冷却ガスが通り、冷却ガスの第3の流路46となっている基板8の角部8bが冷却ガスにより冷却される。支持部22の上面22aと基板8の下面の角部8bとの間を抜けた冷却ガスは、基板8の外側に排出される。基板8の角部8bの外縁近傍に中心部8aから角部8bに沿って流れてきた冷却ガスが接触するため、基板8の角部8bが冷却される。
【0110】
本実施形態に係る冷却装置14によれば、このようにして、基板8の中心部8aから角部8bまで、冷却ガスにより冷却される。
【0111】
図19に示すように、ガイド部26の延出面26aがブロック体64の凹部64cから遠ざかるにつれて先細で、第2の流路44は、ブロック体64から遠ざかるにつれて狭くなる。したがって、ガイド部26の延出面26aのうち、ブロック体64の凹部64cから遠ざかる領域に向かって案内されるにつれて、冷却ガスの流速が速められる。そして、基板8の下面の角部8bと支持部22の上面22aとの間の距離D0は、基板8の下面の角部8bとガイド部26の延出面26aとの間の距離D1よりも小さい。また、基板8の下面の角部8bとガイド部26の延出面26aとの間の距離D1は、基板8の下面の中心部8aとブロック体64の凹部64cとの間の距離Dよりも小さい。このため、第2の流路44において、基板8の下面の中心部8aとブロック体64の凹部64cの間よりも、基板8の下面の角部8bとガイド部26の延出面26aとの間の方が、冷却ガスの流速が速められる。また、基板8の下面の角部8bとガイド部26の延出面26aとの間よりも、基板8の下面の角部8bと支持部22の上面22aとの間の方が、冷却ガスの流速が速められる。このため、第2の流路44と第3の流路46との境界において、基板8の下面の角部8bに向けた冷却ガスの流れを作りだす。このように、第2の流路44と第3の流路46との境界において、基板8の角部8bに向けた冷却ガスの流れを作りだすことができるので、基板8の下面を通す冷却ガスの通過により、基板8の角部8bが冷却される。
【0112】
図22には、第3実施形態に係る冷却装置14を用いて冷却した基板8の、基板8の中心部8a及び角部8bを含む基板8の1/4カットの温度分布を示す。図22の例は、冷却ガスによる基板8の冷却開始から所定時間経過した時点での温度分布を示す。図6に示すように、基板8の中心部8aは、-85℃から-80℃の間の温度であり、角部8bは、-80℃から-55℃の間の温度である。
【0113】
上述したように、中心部8aの中心軸Cと、中心軸Cから最も離間した角部8bの角との間の温度差が少ない方が、冷却性能が高いと言える。第3実施形態の冷却装置14により冷却した基板8の中心軸Cから最も離間した角部8bの角の温度をTF3とし、第3実施形態の冷却装置14により冷却した基板8の中心軸C上の温度をTC3とする。図6に示すように、TF3=-55℃、TC3=-85℃である。このため、温度TF3と温度とTC3との温度差は、30℃であり、比較例の温度TF0と温度とTC0との温度差である80℃よりも差が小さい。TF3=-55℃、TC3=-85℃とすると、比較例の冷却装置114に対する第3実施形態の冷却装置14の冷却性能の改善率は、62.5%となった。すなわち、角部8bの冷却性能は、比較例の冷却装置114よりも、第3実施形態の冷却装置14の方が良好である。したがって、第3実施形態の冷却装置14は、基板8の角部8bであっても、効率的に冷却が行われる。
【0114】
したがって、第3実施形態によれば、冷却対象物の冷却対象領域(基板8の下面)のうち、冷却ガスの吐出部(第1の流路42)から近い領域(基板8の下面の中心部8a)、及び、遠い領域(基板8の下面の角部8b)を冷却し易い、冷却装置14、及び、冷却装置14を有する基板処理装置10を提供することができる。このため、冷却装置14、及び、その冷却装置14を有する基板処理装置10を用いることで、例えば矩形状の基板など、非円形状の冷却対象物の中心部付近、及び、外縁近傍を冷却することができる。
【0115】
なお、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態の冷却装置14の性能を比較する。上述したように、比較例の冷却装置114に対する冷却装置14の冷却性能の改善率は、第1実施形態が18.8%、第2実施形態が43.8%、第3実施形態が62.5%となった。このため、第3実施形態の冷却装置14は、第1実施形態の冷却装置14、第2実施形態の冷却装置14に比べて、冷却性能が向上した。すなわち、基板8の中心部8aと角部8bとの間の温度分布は、第1実施形態の冷却装置14を用いるよりも第2実施形態の冷却装置14を用いる方が改善し、第2実施形態の冷却装置14を用いるよりも第3実施形態の冷却装置14を用いる方が改善した。
【0116】
第1実施形態から第3実施形態の基板処理装置10の冷却装置14は、正方形状の基板8など、非円形の冷却対象物を冷却する例について説明した。冷却対象物が正方形状の基板8である場合を例にすると、仮想的な円は、基板8の内接円と一致しなくても、基板8の内接円よりも内側の基板8の適宜の位置に設定してもよい。このとき、基板8が円盤状であると、基板8の仮想的な円は、外縁よりも内側に仮想的な円が形成され、その仮想的な円の外側と円の外縁との間の領域が、支持部22で支持される円の外側の領域となる。このため、冷却装置14で冷却可能な冷却対象物は、冷却対象領域が非円形状の物体に限らず、円形の物体であってもよい。このため、第1実施形態から第3実施形態の基板処理装置10の冷却装置14を用いると、円盤状の基板など、冷却対象領域が円形の冷却対象物であっても、その冷却対象物の冷却対象領域を冷却することができる。
【0117】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、冷却対象物の冷却対象領域のうち、冷却ガスの吐出部から近い領域、及び、遠い領域を冷却し易い、冷却装置14、及び、冷却装置14を有する基板処理装置10を提供することができる。
【0118】
例えば、基板処理装置10は、基部12および冷却装置14が回転可能なように、回転駆動部が基部12に設けられていてもよい。なお、冷却ガス源28が基部12の外側に設けられていた場合、冷却ガス源28と基部12の下面とを接続する配管を配管の中心軸と基部12の回転軸とが一致するようにベアリング等を介して基部12と接続すればよい。また、基板8の上面に純水または水溶液を供給するようにしてもよい。基板8上に供給した純水または水溶液が凍結するようにしてもよく、凍結後に解凍するようにしてもよい。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、この出願の出願時の特許請求の範囲を付記する。
[付記1]
冷却対象物の冷却対象領域に向けて下側から上側に冷却ガスを流す第1の流路、及び、
前記第1の流路に連続し、前記第1の流路を中心として円環状に広がり、前記冷却ガスを前記冷却対象領域の前記第1の流路に対して径方向外方に流す環状面を有する第2の流路、
を形成し、前記冷却対象物が上側に配置されるブロック体と、
前記ブロック体の外側を囲むように設けられ、前記第2の流路の外側に連続し、前記冷却対象物の前記冷却対象領域が上側に配置された状態で、前記第2の流路よりも狭く、前記冷却ガスを前記ブロック体の前記環状面の外側に流す第3の流路を形成し、前記冷却対象物を下側から支持する支持部と
を有する冷却装置。
[付記2]
前記ブロック体と前記支持部との間に設けられ、前記冷却ガスを前記環状面の外側に案内し、前記ブロック体の前記第2の流路を前記ブロック体の外側に延ばすガイド部を有する、付記1に記載の冷却装置。
[付記3]
前記第2の流路における前記冷却対象物の前記冷却対象領域と前記ブロック体との間の距離は、前記第3の流路における前記冷却対象物の前記冷却対象領域と前記支持部との間の距離よりも大きい、付記1又は付記2に記載の冷却装置。
[付記4]
前記支持部は、前記ブロック体の前記第2の流路と前記支持部の前記第3の流路との境界に設けられ、前記第2の流路に対して前記第3の流路を狭くする側面を有する、付記1乃至付記3のいずれか1に記載の冷却装置。
[付記5]
前記ブロック体は、前記第2の流路に沿って前記第1の流路から遠ざかるにつれて、前記冷却対象物との間の距離を近づける傾斜面を有する、付記1乃至付記4のいずれか1に記載の冷却装置。
[付記6]
前記支持部は、前記冷却対象物を前記支持部に対して位置決めするとともに、前記支持部と前記冷却対象物の前記冷却対象領域との間の距離を規定する規制部を有する、付記1乃至付記5のいずれか1に記載の冷却装置。
[付記7]
前記支持部は、前記冷却対象領域の内接円の前記外側の領域を支持する、付記1乃至付記6のいずれか1に記載の冷却装置。
[付記8]
付記1乃至付記7のいずれか1に記載の冷却装置を有する、基板処理装置。
【符号の説明】
【0120】
8…基板、8a…中心部、8b…角部、10…基板処理装置、12…基部、14…冷却装置、22…支持部、22a…上面、22b…側面、24…ブロック体、24a…上面、24b…外周面、26…ガイド部、26a…延出面、28…冷却ガス源、32…規制部、32a,32b…規制ピン、40…流路、42…第1の流路、44…第2の流路、46…第3の流路、48…第4の流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22