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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】発光素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/831 20250101AFI20250210BHJP
   H10H 20/857 20250101ALI20250210BHJP
   H10H 20/00 20250101ALI20250210BHJP
   H10H 20/84 20250101ALI20250210BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20250210BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20250210BHJP
   B23K 26/57 20140101ALI20250210BHJP
【FI】
H10H20/831
H10H20/857
H10H20/00 L
H10H20/84
G09F9/33
G09F9/00 338
B23K26/57
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020194462
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022083172
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】磯野 大樹
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-129496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0135996(US,A1)
【文献】特開2018-026396(JP,A)
【文献】特開2002-319705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0161499(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111063779(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10H 20/00-20/858
G09F 9/00
G09F 9/30-9/46
B23K 26/00-26/70
H01L 21/447-21/449
H01L 21/60-21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1接続電極と第2接続電極とが形成された基板に実装される発光素子であって、
光を放出する第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面とを有する発光部と、
前記発光部の前記第2主面側に設けられる第1端子電極と第2端子電極と、
を備え、
前記第1端子電極は、前記第1接続電極と当接させたときに平面視において前記第1接続電極と重畳する位置に第1空洞部を有し、前記発光部側から照射されるレーザ光により前記第1接続電極と共晶合金を形成して前記第1接続電極と接合され、
前記第2端子電極は、前記第2接続電極と当接させたときに平面視において前記第2接続電極と重畳する位置に第2空洞部を有し、前記レーザ光により前記第2接続電極と共晶合金を形成して前記第2接続電極と接合され、
前記第1空洞部には、絶縁性の材料で構成され、前記レーザ光を透過する第1透過部材が配置され、
前記第2空洞部には、絶縁性の材料で構成され、前記レーザ光を透過する第2透過部材が配置される、
発光素子。
【請求項2】
前記第1端子電極の高さは、前記第2端子電極よりも高く、
前記第1空洞部の高さは、前記第2空洞部よりも高い、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記発光素子は、前記発光部の前記第2主面を覆うように設けられる絶縁層をさらに備え、
前記第1端子電極は、前記絶縁層に形成された第1開口部を通って前記発光部に接続され、
前記第2端子電極は、前記絶縁層に形成された第2開口部を通って前記発光部に接続され、
前記第1空洞部は、平面視において前記第1開口部と重畳する位置に設けられ、
前記第2空洞部は、平面視において前記第2開口部と重畳する位置に設けられる、
請求項1または請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1端子電極は、前記第1開口部により露出した前記発光部の第2主面の一部に接続され、
前記第2端子電極は、前記第2開口部により露出した前記発光部の第2主面の一部に接続される、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1空洞部は、前記第1端子電極により囲まれ、
前記第2空洞部は、前記第2端子電極により囲まれる、
請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記発光素子は、前記発光部の前記第2主面を覆うように設けられる絶縁層をさらに備え、
前記第1端子電極は、前記絶縁層に形成された第1開口部を通って前記発光部に接続され、
前記第2端子電極は、前記絶縁層に形成された第2開口部を通って前記発光部に接続され、
前記第1空洞部は、平面視において前記第1開口部と重畳しない位置に設けられ、
前記第2空洞部は、平面視において前記第2開口部と重畳しない位置に設けられる、
請求項1または請求項2に記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1空洞部および前記第2空洞部は、平面視において同じ面積を有する、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記レーザ光は、
前記発光部と前記第1空洞部とを透過し、前記第1端子電極と前記第1接続電極の当接面近辺に照射され、
前記発光部と前記第2空洞部とを透過し、前記第2端子電極と前記第2接続電極の当接面近辺に照射される、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項9】
一対の第1接続電極および第2接続電極が形成された基板と、
前記基板の上に実装され、前記第1接続電極および前記第2接続電極と電気的に接続される発光素子と、
を備え、
前記発光素子は、
光を放出する第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面とを有する発光部と、
前記発光部の前記第2主面側に設けられる第1端子電極と第2端子電極と、
を有し、
前記第1端子電極は、前記第1接続電極と当接させたときに平面視において前記第1接続電極と重畳する位置に第1空洞部を含み、前記発光部側から照射されるレーザ光により前記第1接続電極と共晶合金を形成して前記第1接続電極と接合され、
前記第2端子電極は、前記第2接続電極と当接させたときに平面視において前記第2接続電極と重畳する位置に第2空洞部を含み、前記レーザ光により前記第2接続電極と共晶合金を形成して前記第2接続電極と接合され、
前記第1空洞部には、絶縁性の材料で構成され、前記レーザ光を透過する第1透過部材が配置され、
前記第2空洞部には、絶縁性の材料で構成され、前記レーザ光を透過する第2透過部材が配置される、
電子機器。
【請求項10】
前記発光素子は、前記発光部の前記第2主面を覆うように設けられる絶縁層をさらに有し、
前記第1端子電極は、前記絶縁層に形成された第1開口部を通って前記発光部に接続され、
前記第2端子電極は、前記絶縁層に形成された第2開口部を通って前記発光部に接続され、
前記第1空洞部は、平面視において前記第1開口部と重畳する位置に設けられ、
前記第2空洞部は、平面視において前記第2開口部と重畳する位置に設けられる、
請求項9に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光素子および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
自発光素子である発光ダイオード(LED: Light Emitting Diode)を用いた電子機器(例えば、表示装置やセンサ装置等)が知られている。近年では、性能向上を目的に、マイクロLEDやミニLEDといった微小な発光ダイオード素子(以下、単に発光素子と表記する)を用いた電子機器が開発されている。
【0003】
このような発光素子を用いた電子機器の製造では、発光素子を電子機器のアレイ基板上に実装する方法が採用されている。この方法は、アレイ基板上に形成された接続電極の上に発光素子の端子電極を当接させ、当該当接面近辺に発光素子側からレーザ光を照射し、その熱エネルギーにより発光素子の端子電極をアレイ基板上の接続電極に金属接合する。
【0004】
しかしながら、このような実装方法では、アレイ基板上の接続電極と、発光素子の端子電極との当接面近辺にレーザ光を照射する必要があり、当該当接面近辺にレーザ光を十分に照射できない場合、発光素子の端子電極とアレイ基板上の接続電極との間の金属接合が不十分になる可能性がある。つまり、電子機器のアレイ基板上に発光素子を効率よく実装できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第111063779号明細書
【文献】米国特許出願公開第2020/0161499号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、電子機器のアレイ基板上に効率よく実装可能な発光素子および当該発光素子が実装された電子機器を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る発光素子は、一対の第1接続電極と第2接続電極とが形成された基板に実装される。前記発光素子は、光を放出する第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面とを有する発光部と、前記発光部の前記第2主面側に設けられる第1端子電極と第2端子電極と、を備える。前記第1端子電極は、前記第1接続電極と当接させたときに平面視において前記第1接続電極と重畳する位置に第1空洞部を有し、前記発光部側から照射されるレーザ光により前記第1接続電極と共晶合金を形成して前記第1接続電極と接合される。前記第2端子電極は、前記第2接続電極と当接させたときに平面視において前記第2接続電極と重畳する位置に第2空洞部を有し、前記レーザ光により前記第2接続電極と共晶合金を形成して前記第2接続電極と接合される。前記第1空洞部には、絶縁性の材料で構成され、前記レーザ光を透過する第1透過部材が配置される。前記第2空洞部には、絶縁性の材料で構成され、前記レーザ光を透過する第2透過部材が配置される。
【0008】
一実施形態に係る電子機器は、一対の第1接続電極および第2接続電極が形成された基板と、前記基板の上に実装され、前記第1接続電極および前記第2接続電極と電気的に接続される発光素子と、を備える。前記発光素子は、光を放出する第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面とを有する発光部と、前記発光部の前記第2主面側に設けられる第1端子電極と第2端子電極と、を有する。前記第1端子電極は、前記第1接続電極と当接させたときに平面視において前記第1接続電極と重畳する位置に第1空洞部を含み、前記発光部側から照射されるレーザ光により前記第1接続電極と共晶合金を形成して前記第1接続電極と接合される。前記第2端子電極は、前記第2接続電極と当接させたときに平面視において前記第2接続電極と重畳する位置に第2空洞部を含み、前記レーザ光により前記第2接続電極と共晶合金を形成して前記第2接続電極と接合される。前記第1空洞部には、絶縁性の材料で構成され、前記レーザ光を透過する第1透過部材が配置される。前記第2空洞部には、絶縁性の材料で構成され、前記レーザ光を透過する第2透過部材が配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る発光素子が実装される電子機器の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る発光素子の構成の一例を示す平面図である。
図3図3は、図2に示すA-B線で切断された断面を示す断面図である。
図4図4は、同実施形態に係る発光素子の実装態様の一例を示す断面図である。
図5図5は、同実施形態に係る発光素子の実装態様の別の例を示す断面図である。
図6図6は、同実施形態に係る発光素子の実装態様のさらに別の例を示す断面図である。
図7図7は、比較例に係る発光素子の構成の一例を示す断面図である。
図8図8は、第1変形例に係る発光素子の構成の一例を示す平面図である。
図9図9は、図8に示すC-D線で切断された断面を示す断面図である。
図10図10は、第2変形例に係る発光素子の構成の一例を示す平面図である。
図11図11は、第3変形例に係る発光素子の構成の一例を示す平面図である。
図12図12は、第4変形例に係る発光素子の構成の一例を示す平面図である。
図13図13は、第5変形例に係る発光素子の構成の一例を示す平面図である。
図14図14は、第6変形例に係る発光素子の構成の一例を示す平面図である。
図15図15は、第6変形例に係る発光素子の構成の別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0011】
本明細書では、主に、発光素子LEDについて説明する。また、本明細書では、発光素子LEDが実装された電子機器の一例として表示装置1を例示するが、これに限定されず、発光素子LEDは表示装置1とは異なる電子機器に実装されてもよい。
【0012】
図1は、本実施形態に係る発光素子LEDが実装される表示装置1の構成を概略的に示す斜視図である。図1は、第1方向Xと、第1方向Xに垂直な第2方向Yと、第1方向Xおよび第2方向Yに垂直な第3方向Zとによって規定される三次元空間を示している。なお、第1方向Xおよび第2方向Yは互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。本明細書においては、表示装置1を第3方向Zと平行な方向から観察することを平面視と呼ぶ。
【0013】
図1に示すように、表示装置1は、表示パネル2と、第1回路基板3と、第2回路基板4と、等を備える。
【0014】
表示パネル2は、一例では矩形状である。図示した例では、表示パネル2の短辺EXは第1方向Xと平行であり、表示パネル2の長辺EYは第2方向Yと平行である。第3方向Zは、表示パネル2の厚さ方向に相当する。表示パネル2の主面は、第1方向Xと第2方向Yとにより規定されるX-Y平面に平行である。表示パネル2は、表示領域DAと、当該表示領域DAの外側の周辺領域SAとを有している。周辺領域SAは、端子領域MTを有している。図示した例では、周辺領域SAは表示領域DAを囲んでいる。
【0015】
表示領域DAは、画像を表示する領域であり、例えばマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。画素PXは、発光素子LEDと、当該発光素子LEDを駆動するためのスイッチング素子(駆動トランジスタ)と、等を含む。駆動トランジスタは、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)で形成されている。
【0016】
端子領域MTは、表示パネル2の短辺EXに沿って設けられ、表示パネル2を外部装置等と電気的に接続するための端子を含んでいる。
【0017】
第1回路基板3は、端子領域MTの上に実装され、表示パネル2と電気的に接続されている。第1回路基板3は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。第1回路基板3は、表示パネル2を駆動するICチップ5等を備える。なお、図示した例では、ICチップ5は、第1回路基板3の上に配置されているが、第1回路基板3の下に配置されてもよい。あるいは、ICチップ5は、第1回路基板3以外に実装されてもよい。この場合、ICチップ5は、表示パネル2の周辺領域SAに実装されてもよいし、第2回路基板4に実装されてもよい。第2回路基板4は、例えばリジットプリント回路基板である。第2回路基板4は、例えば第1回路基板3の下方において当該第1回路基板3と接続されている。
【0018】
ICチップ5は、例えば第2回路基板4を介して図示しない制御基板と接続されている。ICチップ5は、例えば制御基板から出力される映像信号に基づいて複数の画素PXを駆動することによって表示パネル2に画像を表示する制御を実行する。
【0019】
なお、表示パネル2は、斜線を付して示す折り曲げ領域BAを有していてもよい。折り曲げ領域BAは、表示装置1が電子機器等の筐体に収容される際に折り曲げられる領域である。折り曲げ領域BAは、周辺領域SAのうちの端子領域MT側に位置している。折り曲げ領域BAは折り曲げられた状態において、第1回路基板3および第2回路基板4は、表示パネル2と対向するように配置される。
【0020】
以下では、上記した表示装置1(表示パネル2)に実装される発光素子LEDについて詳しく説明する。
図2は、本実施形態に係る発光素子LEDの構成の一例を示す平面図である。
図2に示すように、発光素子LEDは、表示装置1(表示パネル2)のアレイ基板SUBの上に実装される。より詳しくは、発光素子LEDは、表示装置1(表示パネル2)のアレイ基板SUBを構成する絶縁基板11の上に形成された第1接続電極12および第2接続電極13と電気的に接続するように、当該絶縁基板11の上に実装される。第1接続電極12および第2接続電極13は、バンプ電極または単にバンプと称されてもよい。
【0021】
発光素子LEDは、発光部21と、第1端子電極22と、第2端子電極23とを備える。詳細については後述するが、発光素子LEDは絶縁層31と平面視において重畳する。第1端子電極22は、絶縁層31に形成された第1開口部CH1を通って発光部21に接続される。第2端子電極23は、絶縁層31に形成された第2開口部CH2を通って発光部21に接続される。第1端子電極22は、発光素子LEDのアノード電極またはカソード電極として機能する電極である。第2端子電極23は、発光素子LEDのカソード電極またはアノード電極として機能する電極である。
【0022】
なお、図2に示す第1空洞部41と第2空洞部42とについては後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0023】
図3は、図2に示すA-B線で切断された断面を示す断面図である。
図3に示すように、発光素子LEDは、アレイ基板SUBの上に実装される。基板SUBは、上記したように、絶縁基板11と、第1接続電極12と、第2接続電極13とを備える。
【0024】
図3では図示を省略しているが、絶縁基板11には、発光素子LEDを駆動するための駆動トランジスタ(TFT)や各種配線パターンが形成される。絶縁基板11は、TFTを製造する際の処理温度に耐える材質であれば特に限定されないが、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板、またはポリイミド等の樹脂基板を使用できる。絶縁基板11が可撓性を有する樹脂基板である場合、表示装置1をシートディスプレイとして構成することができる。なお、絶縁基板11にポリイミド等の樹脂基板を使用する場合、絶縁基板11を有機絶縁層または樹脂層と称した方が適当な場合があり得る。
【0025】
絶縁基板11の上には、一対の第1接続電極12と第2接続電極13とが形成される。詳細については後述するが、接合用レーザ光LZの照射により、第1接続電極12は、発光素子LEDを構成する第1端子電極22と共晶結合し、当該第1端子電極22と電気的に接続される。同様に、第2接続電極13は、接合用レーザ光LZの照射により、発光素子LEDを構成する第2端子電極23と共晶結合し、当該第2端子電極23と電気的に接続される。
【0026】
第1接続電極12と第2接続電極13とは、例えば、導電性を有する金属材料で構成される。本実施形態では、金属材料として、例えば錫(Sn)を用いる。但し、この例に限らず、第1接続電極12と第2接続電極13とは、発光素子LEDを構成する第1端子電極22と第2端子電極23と共晶結合し得る金属材料であれば、任意の金属材料が用いられてよい。
【0027】
図3に示すように、発光素子LEDは、発光部21と、第1端子電極22と、第2端子電極23とを備える。
発光部21は、第1主面21Aと、第1主面21Aとは反対側の第2主面21Bとを有する。発光部21の第1主面21Aからは、例えばR、G、Bの光が放出される。なお、光は、第1主面21Aに限らず、発光部21の側面および第2主面21B等からも放出されるものであってもよい。
【0028】
発光部21は、第1端子電極22が設けられる領域R1と、第2端子電極23が設けられる領域R2とで異なる厚み(第3方向Zに沿った長さ(高さ))を有している。このため、発光部21の第2主面21Bは、図3に示すように、領域R1と領域R2との境界において、所定の高さを有した段差を有している。
【0029】
発光部21の第2主面21Bは、絶縁層31により覆われている。発光部21は、絶縁層31に形成された第1開口部CH1を介して第1端子電極22に接続される。また、発光部21は、絶縁層31に形成された第2開口部CH2を介して第2端子電極23に接続される。第1端子電極22の第3方向Zに沿った長さと、第2端子電極23の第3方向Zに沿った長さとは、上記した第2主面21Bの段差の存在により異なっている。これによれば、第1端子電極22と第2端子電極23とのうち、どちらがアノード電極として機能する電極であり、どちらがカソード電極として機能する電極であるかを判別することが可能となる。
【0030】
絶縁層31は、例えば接合用レーザ光LZを透過する絶縁材料で構成され、シリコン酸化物(SiO2)等が用いられる。なお、詳細については後述するが、第1空洞部41および第2空洞部42が、第1開口部CH1および第2開口部CH2と平面視において重畳する位置にそれぞれ設けられる場合、接合用レーザ光LZは第1空洞部41および第2空洞部42を透過できるため、絶縁層31は接合用レーザ光LZを透過する絶縁材料で構成されていなくても構わない。
【0031】
第1端子電極22と第2端子電極23とは、例えば、導電性を有する金属材料で構成される。本実施形態では、金属材料として、金(Au)を用いる。但し、この例に限らず、第1端子電極22と第2端子電極23とは、第1接続電極12と第2接続電極13と共晶結合し得る金属材料であれば、任意の金属材料が用いられてよい。
【0032】
図3に示すように、第1端子電極22は、絶縁層31に形成された第1開口部CH1により露出した発光部21の第2主面21Bの一部と接続するように形成される。これによれば、第1端子電極22を第1接続電極12に当接させたときに平面視において第1接続電極12と重畳する位置に第1空洞部41を設けることができる。別の表現によれば、第3方向Zにおいて、発光部21の第2主面21Bと、第1接続電極12との間に、第1端子電極22により囲まれた第1空洞部41を設けることができる。図3に示すように、第1空洞部41の径r1は、第1開口部CH1の径r2よりも小さく、例えば2μm~3μm以下程度のサイズであると好ましい。但し、第1空洞部41の径r1は上記した値に限定されず、第1開口部CH1の径r2や、第1端子電極22および第1接続電極12のサイズに応じて決定される。
【0033】
同様に、第2端子電極23は、絶縁層31に形成された第2開口部CH2により露出した発光部21の第2主面21Bの一部と接続するように形成される。これによれば、第2端子電極23を第2接続電極13に当接させたときに平面視において第2接続電極13と重畳する位置に第2空洞部42を設けることができる。別の表現によれば、第3方向Zにおいて、発光部21の第2主面21Bと、第2接続電極13との間に、第2端子電極23により囲まれた第2空洞部42を設けることができる。図3に示すように、第2空洞部42の径r3は、第2開口部CH2の径r4よりも小さく、例えば2μm~3μm以下程度のサイズであると好ましい。但し、第2空洞部42の径r3は上記した値に限定されず、第2開口部CH2の径r4や、第2端子電極23および第2接続電極13のサイズに応じて決定される。
【0034】
なお、図3に示すように、第1空洞部41の第3方向Zに沿った長さ(高さ)は、発光部21の第2主面21Bの段差の存在により、第2空洞部42の第3方向Zに沿った長さ(高さ)よりも大きい。
【0035】
ここで、図3に示すように、第1接続電極12と第1端子電極22とを当接させ、かつ、第2接続電極13と第2端子電極23とを当接させるように位置調整がなされた上で、発光部21側より接合用レーザ光LZが照射される。
【0036】
発光部21側より照射された接合用レーザ光LZは、発光部21および第1空洞部41を透過し、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺に照射される。なお、図3に示す破線で囲んだ領域が、接合用レーザ光LZが照射される領域に相当する。これによれば、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺に接合用レーザ光LZを照射することができ、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面に対して、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを効率よく与えることができる。このため、第1接続電極12と第1端子電極22との間には、図4に示すように、共晶合金で構成される第1合金層51が形成され、第1接続電極12と第1端子電極22とは当該第1合金層51により金属接合される。
【0037】
同様に、発光部21側より照射された接合用レーザ光LZは、発光部21および第2空洞部42を透過し、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺に照射される。これによれば、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺に接合用レーザ光LZを照射することができ、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面に対して、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを効率よく与えることができる。このため、第2接続電極13と第2端子電極23との間には、図4に示すように、共晶合金で構成される第2合金層52が形成され、第2接続電極13と第2端子電極23とは当該第2合金層52により金属接合される。
【0038】
上記したように、本実施形態において、第1接続電極12と第2接続電極13とは、錫(Sn)で構成される。一方で、第1端子電極22と第2端子電極23とは、金(Au)で構成される。つまり、本実施形態においては、第1合金層51および第2合金層52として、Sn-Au共晶合金で構成された層が形成される。なお、既に説明した通り、第1接続電極12および第1端子電極22と、第2接続電極13および第2端子電極23とは、互いに共晶合金を形成し得る材料であれば他の金属材料を用いてもよく、例えば、第1接続電極12、第1端子電極22、第2接続電極13、第2端子電極23は、いずれも錫(Sn)で構成されていてもよい。
【0039】
なお、図4では、発光素子LEDの実装態様の一例として、第1空洞部41と第2空洞部42とが、それぞれ、共晶合金で構成される第1合金層51と第2合金層52とで埋め尽くされている構成を例示した。
【0040】
より詳しくは、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺に照射された接合用レーザ光LZの熱エネルギーにより、第1接続電極12と第1端子電極22とが溶融し、溶融した金属がいわゆる毛細管現象により第1空洞部41内を上昇し、当該第1空洞部41を埋め尽くすように第1合金層51が形成される場合の構成、別の表現によれば、第1空洞部41内部において、第1接続電極12および発光部21の第2主面21Bに接するように第1合金層51が形成(充填)される場合の構成を例示した。
【0041】
第2合金層52についても同様に、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺に照射された接合用レーザ光LZの熱エネルギーにより、第2接続電極13と第2端子電極23とが溶融し、溶融した金属が毛細管現象により第2空洞部42内を上昇し、当該第2空洞部42を埋め尽くすように第2合金層52が形成される場合の構成、別の表現によれば、第2空洞部42内部において、第2接続電極13および発光部21の第2主面21Bに接するように第2合金層52が形成(充填)される場合の構成を例示した。
【0042】
しかしながら、発光素子LEDの実装態様はこれに限定されず、例えば図5に示すように、第1合金層51と第2合金層52とが、第1空洞部41と第2空洞部42との一部を埋めるように形成される実装態様であってもよい。別の表現によれば、第1空洞部41内部において、第1接続電極12には接し、発光部21の第2主面21Bには接しないように第1合金層51が形成され、かつ、第2空洞部42内部において、第2接続電極13には接し、発光部21の第2主面21Bには接しないように第2合金層52が形成される実装態様であってもよい。この場合であっても、第1接続電極12と第1端子電極22とが第1合金層51により金属接合され、第2接続電極13と第2端子電極23とが第2合金層52により金属接合される点に変わりはない。
【0043】
あるいは、発光素子LEDは、図6に示すように、接合用レーザ光LZを透過する材料で構成された第1透過部材61を第1空洞部41に配置し、かつ、接合用レーザ光LZを透過する材料で構成された第2透過部材62を第2空洞部42に配置した上で、発光部21側から接合用レーザ光LZを照射して、実装されてもよい。第1透過部材61および第2透過部材62は、接合用レーザ光LZを透過する材料で構成され、例えば、シリコン酸化物(SiO2)や酸化アルミニウム(Al2O3)等が用いられる。この場合であっても、第1接続電極12と第1端子電極22とが第1合金層51により金属接合され、第2接続電極13と第2端子電極23とが第2合金層52により金属接合される点に変わりはない。
【0044】
なお、図4図6に示したように、第1空洞部41および第2空洞部42の全てが、第1合金層51や第2合金層52、第1透過部材61、第2透過部材62、等で埋め尽くされる構成によれば、そうでない構成に比べて、強度の向上を期待することができる。
【0045】
また、第1空洞部41および第2空洞部42の内部にそれぞれ形成される第1合金層51および第2合金層52は単に導電性の接続部材と呼ぶこともできる。図4および図5に示したように第1空洞部41および第2空洞部42の内部に形成される導電性の接続部材は全て第1合金層51および第2合金層52であっても良い。但し、少なくとも第1空洞部41の側壁を形成する第1端子電極22と導電性の接続部材の接触面と、第2空洞部42の側壁を形成する第2端子電極23と導電性の接続部材の接触面とが第1合金層51および第2合金層52であればよい。第1端子電極22および第2端子電極23の接触面に第1合金層51および第2合金層52がそれぞれ形成される場合、第1合金層51および第2合金層52の内側の第1空洞部41および第2空洞部42には、例えば第1接続電極12と第2接続電極13を形成する導電性の材料、例えば錫(Sn)が充填されるように形成されてもよい。
【0046】
ここで、比較例を用いて、本実施形態に係る発光素子LEDの効果について説明する。なお、比較例は、本実施形態に係る発光素子LEDが奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、比較例と本実施形態とで共通する効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0047】
比較例に係る発光素子LED´は、図7に示すように、接合用レーザ光LZを透過させるための第1空洞部41および第2空洞部42が設けられていない点で、本実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。
【0048】
比較例に係る発光素子LED´においては、発光部21側から接合用レーザ光LZが照射された場合、当該接合用レーザ光LZは図7の破線で囲んだ領域に照射される。つまり、接合用レーザ光LZの多くが、例えば第1端子電極22や第2端子電極23の上面等、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面とから離れた位置に照射されてしまうことになる。
【0049】
これによれば、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面とに対して、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを十分に与えることができないため、第1接続電極12と第1端子電極22との間の金属接合、および、第2接続電極13と第2端子電極23との間の金属接合が不十分になる可能性がある。あるいは、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面とに対して、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを十分に与えることができないため、第1接続電極12と第1端子電極22との間の第1合金層51、および、第2接続電極13と第2端子電極23との間の第2合金層52が形成されるまでに時間を要してしまう可能性がある。
【0050】
これに対し、本実施形態に係る発光素子LEDには、第1空洞部41および第2空洞部42が設けられているため、図3に示したように、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺とに接合用レーザ光LZを照射することができ、比較例に係る発光素子LED´に比べて、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを各当接面に対して効率よく与えることが可能である。
【0051】
なお、本実施形態においては、発光素子LEDが、第1端子電極22と第2端子電極23とが隣接して並ぶ、いわゆるフリップチップ型の発光素子である場合を例示したが、発光素子LEDは、発光部21の第1主面21Aと第2主面21Bのそれぞれに端子電極を備える、いわゆる上下電極型であってもよい。発光部21の第1主面21A側に設けられる上側端子電極は、発光部21からの光を放出するために、ITO等の透明電極で形成される。
【0052】
この場合であっても、発光部21の第2主面21B側に設けられる下側端子電極が、接合用レーザ光LZを透過するための空洞部を有していれば、発光部21側から照射される接合用レーザ光LZを、下側端子電極と当該下側端子電極に当接される接続電極との当接面近辺に照射することができるため、接続用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを当該当接面に対して効率よく与えることが可能である。
【0053】
また、本実施形態においては、第1端子電極22および第2端子電極23と、第1接続電極12および第2接続電極13とが共晶結合により接合される場合を例示したが、第1端子電極22と第1接続電極12との間、および、第2端子電極23と第2接続電極13との間に、半田等の接続導電部材がそれぞれ設けられ、接合用レーザ光LZにより各接続導電部材を溶融させることで、第1端子電極22および第2端子電極23と、第1接続電極12および第2接続電極13とは接合されてもよい。この場合であっても、第1空洞部41および第2空洞部42が設けられていることにより、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを各接続導電部材に対して効率よく与えることが可能である。
【0054】
以下では、本実施形態の各種変形例について説明する。
(第1変形例)
まず、第1変形例について説明する。図8は、第1変形例に係る発光素子LED1の構成の一例を示す平面図である。
【0055】
第1変形例に係る発光素子LED1は、図8に示すように、第1端子電極22と発光部21とを接続するための第1開口部CH1と、第1端子電極22により囲まれた第1空洞部41とが、平面視において重畳しないように配置されている点で、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。換言すると、第1空洞部41が第1開口部CH1の外側に配置されている点で、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。
【0056】
また、第1変形例に係る発光素子LED1は、図8に示すように、第2端子電極23と発光部21とを接続するための第2開口部CH2と、第2端子電極23により囲まれた第2空洞部42とが、平面視において重畳しないように配置されている点でも、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。換言すると、第2空洞部42が第2開口部CH2の外側に配置されている点で、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。
【0057】
図9は、図8に示すC-D線で切断された断面を示す断面図である。
図9に示すように、第1端子電極22は、絶縁層31に形成された第1開口部CH1により露出した発光部21の第2主面21Bの全面と接続するように形成される。また、図9に示すように、第1空洞部41は、絶縁層31に形成された第1開口部CH1と平面視において重畳しない位置に設けられている。この構成においても、第1空洞部41の径r1は、第1開口部CH1の径r2よりも小さい方が好ましく、例えば2μm~3μm以下程度のサイズであると好ましい。なお、図9では、第1空洞部41が図中左側に設けられ、第1開口部CH1が図中右側に形成された構成を例示したが、第1空洞部41と第1開口部CH1との位置は入れ替えられてもよい。つまり、第1空洞部41が図中右側に設けられ、第1開口部CH1が図中左側に形成されてもよい。
【0058】
同様に、第2端子電極23は、絶縁層31に形成された第2開口部CH2により露出した発光部21の第2主面21Bの全面と接続するように形成される。また、図9に示すように、第2空洞部42は、絶縁層31に形成された第2開口部CH2と平面視において重畳しない位置に設けられている。この構成においても、第2空洞部42の径r3は、第2開口部CH2の径r4よりも小さい方が好ましく、例えば2μm~3μm以下程度のサイズであると好ましい。なお、図9では、第2空洞部42が図中右側に設けられ、第2開口部CH2が図中左側に形成された構成を例示したが、第2空洞部42と第2開口部CH2との位置は入れ替えられてもよい。つまり、第2空洞部42が図中左側に設けられ、第2開口部CH2が図中右側に形成されてもよい。
【0059】
以上説明した第1変形例に係る発光素子LED1をアレイ基板SUBに実装するために、発光部21側より接合用レーザ光LZが照射された場合、当該接合用レーザ光LZは図9に示す破線で囲んだ領域に照射される。つまり、第1変形例に係る構成であっても、図7に示した比較例に係る構成に比べて、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺とに接合用レーザ光LZを照射することができ、比較例に係る構成に比べて、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを各当接面に対して効率よく与えることが可能である。
【0060】
なお、第1変形例に係る構成において、第1空洞部41と第2空洞部42とは、図4に示した構成と同様に、第1合金層51と第2合金層52とで埋め尽くされてもよいし、図5に示した構成と同様に、その一部が第1合金層51と第2合金層52とで埋められるとしてもよい。あるいは、第1空洞部41と第2空洞部42とには、図6に示した構成と同様に、第1透過部材61と第2透過部材62とが配置されてもよい。
【0061】
(第2変形例)
次に、第2変形例について説明する。図10は、第2変形例に係る発光素子LED2の構成の一例を示す平面図である。
【0062】
第2変形例に係る発光素子LED2は、図10に示すように、第2端子電極23が平面視においてコの字型(U字型)の形状を有し、かつ、第1端子電極22が平面視において当該第2端子電極23を左右反転させた形状(以下、反転コの字型の形状と表記する)を有している点で、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。
【0063】
なお、反転コの字型の第1端子電極22とコの字型の第2端子電極23とは共に、絶縁層31に形成される図示しない開口部を通って発光部21に接続される。反転コの字型の第1端子電極22と発光部21とを接続するために形成される開口部は、平面視において当該第1端子電極22と重畳する位置であれば任意の位置に形成されて構わないし、その形状や個数も任意であって構わない。同様に、コの字型の第2端子電極23と発光部21とを接続するために形成される開口部もまた、平面視において当該第2端子電極23と重畳する位置であれば任意の位置に形成されて構わないし、その形状や個数も任意であって構わない。
【0064】
第2変形例に係る発光素子LED2においては、反転コの字型の第1端子電極22の開口部(凹部)が第1空洞部41に相当し、コの字型の第2端子電極23の開口部(凹部)が第2空洞部42に相当する。
【0065】
以上説明した第2変形例に係る発光素子LED2をアレイ基板SUBに実装するために、発光部21側より接合用レーザ光LZが照射された場合、当該接合用レーザ光LZは発光部21、第1空洞部41および第2空洞部42を透過し、その多くが、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺とに照射される。つまり、第2変形例に係る構成であっても、図7に示した比較例に係る構成に比べて、第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺とに接合用レーザ光LZを照射することができ、比較例に係る構成に比べて、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーを各当接面に対して効率よく与えることが可能である。
【0066】
なお、第2変形例に係る発光素子LED2においては、第1端子電極22の一部であり第2方向Yに沿って延びる辺と、第2端子電極23の一部であり第2方向Yに沿って延びる辺とのそれぞれを、接合用レーザ光LZの熱エネルギーにより溶融した金属が互いに他方の電極側に流入してしまうことを抑制するための壁として機能させることが可能である。これによれば、第1端子電極22と第2端子電極23とが接続され、ショートしてしまうことを抑制することが可能である。
【0067】
(第3変形例)
さらに、第3変形例について説明する。図11は、第3変形例に係る発光素子LED3の構成の一例を示す平面図である。
【0068】
第3変形例に係る発光素子LED3は、図11に示すように、第1端子電極22および第2端子電極23が共に、平面視においてH字型の形状を有している点で、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。
【0069】
なお、H字型の第1端子電極22と第2端子電極23とは共に、絶縁層31に形成される図示しない開口部を通って発光部21に接続される。なお、開口部が形成される位置や形状、個数については、上記した第2変形例の場合と同様に任意で構わないため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0070】
第3変形例に係る発光素子LED3においては、H字型の第1端子電極22の2つの開口部(凹部)が共に第1空洞部41に相当し、H字型の第2端子電極23の2つの開口部(凹部)が共に第2空洞部42に相当する。
【0071】
以上説明した第3変形例に係る発光素子LED3をアレイ基板SUBに実装するために、発光部21側より接合用レーザ光LZを照射した場合においても、上記した第2変形例の場合と同様に、その多くを第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺とに照射することができる。つまり、第3変形例に係る構成においても、既に説明した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0072】
なお、第3変形例に係る発光素子LED3においては、上記した第2変形例の場合と同様に、第1端子電極22の一部であり第2方向Yに沿って延びる辺と、第2端子電極23の一部であり第2方向Yに沿って延びる辺とのそれぞれを、接合用レーザ光LZの熱エネルギーにより溶融した金属が互いに他方の電極側に流入してしまうことを抑制するための壁として機能させることが可能である。これによれば、第1端子電極22と第2端子電極23とが接続され、ショートしてしまうことを抑制することが可能である。
【0073】
(第4変形例)
次に、第4変形例について説明する。図12は、第4変形例に係る発光素子LED4の構成の一例を示す平面図である。
【0074】
第4変形例に係る発光素子LED4は、図12に示すように、第1端子電極22および第2端子電極23が共に、平面視において十字型の形状を有している点で、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。
【0075】
なお、十字型の第1端子電極22と第2端子電極23とは共に、絶縁層31に形成された図示しない開口部を通って発光部21に接続される。なお、開口部が形成される位置や形状、個数については、上記した第2変形例や第3変形例の場合と同様に任意で構わないため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0076】
第4変形例に係る発光素子LED4においては、十字型の第1端子電極22の4つの開口部(凹部)のいずれもが第1空洞部41に相当し、十字型の第2端子電極23の4つの開口部(凹部)のいずれもが第2空洞部42に相当する。
【0077】
以上説明した第4変形例に係る発光素子LED4をアレイ基板SUBに実装するために、発光部21側より接合用レーザ光LZを照射した場合においても、上記した第2変形例や第3変形例の場合と同様に、その多くを第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺とに照射することができる。つまり、第4変形例に係る構成においても、既に説明した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0078】
(第5変形例)
さらに、第5変形例について説明する。図13は、第5変形例に係る発光素子LED5の構成の一例を示す平面図である。
【0079】
第5変形例に係る発光素子LED5は、図13に示すように、第1端子電極22および第2端子電極23が共に、平面視において複数の電極がマトリクス状に配置された形状を有している点で、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。
【0080】
なお、マトリクス状に配置された複数の電極により構成される第1端子電極22と第2端子電極23とは共に、絶縁層31に形成された図示しない開口部を通って発光部21に接続される。第1端子電極22と発光部21とを接続するために形成される開口部は、例えば、当該第1端子電極22を構成する複数の電極毎に形成される。また、第2端子電極23と発光部21とを接続するために形成される開口部は、例えば、当該第2端子電極23を構成する複数の電極毎に形成される。
【0081】
第5変形例に係る発光素子LED5においては、第1端子電極22を構成する複数の電極に関し、隣接する電極間に存在する多数の隙間の集合が第1空洞部41に相当し、第2端子電極23を構成する複数の電極に関し、隣接する電極間に存在する多数の隙間の集合が第2空洞部42に相当する。
【0082】
以上説明した第5変形例に係る発光素子LED5をアレイ基板SUBに実装するために、発光部21側より接合用レーザ光LZを照射した場合においても、上記した第2変形例~第4変形例の場合と同様に、その多くを第1接続電極12と第1端子電極22の当接面近辺と、第2接続電極13と第2端子電極23の当接面近辺とに照射することができる。つまり、第5変形例に係る構成においても、既に説明した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0083】
(第6変形例)
続いて、第6変形例について説明する。図14は、第6変形例に係る発光素子LED6Aの構成の一例を示す平面図であり、図15は、第6変形例に係る発光素子LED6Bの構成の一例を示す平面図である。
【0084】
第6変形例に係る発光素子LED6Aおよび発光素子LED6Bは、図14および図15に示すように、平面視において第1空洞部41と第2空洞部42とが異なる面積を有している点で、上記した実施形態に係る発光素子LEDの構成と相違している。
【0085】
既に説明したように、第1端子電極22の第3方向Zに沿った長さと、第2端子電極23の第3方向Zに沿った長さとは、発光部21の第2主面21Bの段差の存在により異なっている。これによれば、第1端子電極22と第2端子電極23とに対して同じ出力の接合用レーザ光LZが照射された場合、当該第1端子電極22と当該第2端子電極23とで、接合用レーザ光LZに起因した熱エネルギーの加わり方に違いが生じる可能性がある。より詳しくは、第3方向Zに沿った長さがより長い第1端子電極22側の方が、熱エネルギーが行き渡るまでに時間を要し、第3方向Zに沿った長さがより短い第2端子電極23側の方が、熱エネルギーが行き渡るまでに時間を要さないといった違いが生じる可能性がある。
【0086】
しかしながら、図14に示す発光素子LED6Aにおいては、第3方向Zに沿った長さがより長い第1端子電極22に設けられる第1空洞部41の面積(大きさ)が、第3方向Zに沿った長さがより短い第2端子電極23に設けられる第2空洞部42の面積(大きさ)に比べて大きくなっている。
【0087】
これによれば、発光部21側から接合用レーザ光LZが照射された際に、第1端子電極22の方が第2端子電極23に比べてより多くの接合用レーザ光LZを透過させることが可能である。このため、第1端子電極22側に熱エネルギーが行き渡るまでに要する時間を短縮することが可能であり、その結果、第1端子電極22と第2端子電極23とに対して熱エネルギーが行き渡るまでに要する時間を同程度にすることが可能である。
【0088】
同様に、図15に示す発光素子LED6Bにおいては、第1端子電極22を構成する複数の電極の1個あたりの面積を第2端子電極23を構成する複数の電極の1個あたりの面積に比べて小さくする、あるいは、第1端子電極22を構成する複数の電極の個数を第2端子電極23を構成する複数の電極に比べて少なくすることで、第3方向Zに沿った長さがより長い第1端子電極23に設けられる第1空洞部41の面積(大きさ)が、第3方向Zに沿った長さがより短い第2端子電極23に設けられる第2空洞部42の面積(大きさ)に比べて大きくなっている。
【0089】
これによれば、発光部21側から接合用レーザ光LZが照射された際に、第1端子電極22の方が第2端子電極23に比べてより多くの接合用レーザ光LZを透過させることが可能である。このため、第1端子電極22側に熱エネルギーが行き渡るまでに要する時間を短縮することが可能であり、その結果、第1端子電極22と第2端子電極23とに対して熱エネルギーが行き渡るまでに要する時間を同程度にすることが可能である。
【0090】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、電子機器(表示装置1)のアレイ基板SUB上に効率よく実装可能な発光素子LEDおよび当該発光素子LEDが実装された電子機器(表示装置1)を提供することが可能である。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
11…絶縁基板、12…第1接続電極、13…第2接続電極、21…発光部、22…第1端子電極、23…第2端子電極、31…絶縁層、41…第1空洞部、42…第2空洞部、51…第1合金層、52…第2合金層、61…第1透過部材、62…第2透過部材、SUB…アレイ基板、LED…発光素子、CH1…第1開口部、CH2…第2開口部。
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