(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】分光計装置および分光計システム
(51)【国際特許分類】
G01J 3/36 20060101AFI20250210BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20250210BHJP
G02B 5/28 20060101ALN20250210BHJP
【FI】
G01J3/36
G01J3/26
G02B5/28
(21)【出願番号】P 2020532921
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2018084511
(87)【国際公開番号】W WO2019115596
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】グスト,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フォイアーシュタイン,ベルトラム
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブルーダー,イングマル
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-506763(JP,A)
【文献】国際公開第2017/079395(WO,A1)
【文献】特表2017-506738(JP,A)
【文献】特表2016-502076(JP,A)
【文献】特表平11-508033(JP,A)
【文献】国際公開第2012/131812(WO,A1)
【文献】特開2017-032565(JP,A)
【文献】特開2007-171177(JP,A)
【文献】特表2006-523511(JP,A)
【文献】特開2005-091163(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0032584(US,A1)
【文献】特開2003-329940(JP,A)
【文献】特開2002-267998(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0030742(US,A1)
【文献】特開平06-265722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00- G01J 3/51
G01J 1/02- G01J 1/04
G01N 21/00- G01N 21/01
G01N 21/17- G01N 21/74
A61B 5/00- A61B 5/22
F21V 7/00- F21V 7/30
G02B 5/08- G02B 5/10
G02B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光計装置(112)であって:
- 物体(116)から入射光(114)を受け取り、前記入射光(114)を中心波長が可変のバンドパスが連続的に配置された可変長フィルタ(118)に伝達するように設計された光学要素(122)であって、前記光学要素(122)は集光装置(124)を含み、前記集光装置(124)は非円錐形状(128)を含む、光学要素(122);
- 前記入射光(114)を構成波長信号のスペクトルに分離するように割り当てられた前記可変長フィルタ(118);および、
- 複数のピクセル化センサ(144)を含む検出器アレイ(120)であって、前記各ピクセル化センサ(144)は構成波長信号の1つの少なくとも一部を受けるように構成され、前記各構成波長信号は各構成波長の強度に関連する、検出器アレイ(120)、を有し、
前記集光装置(124)は、前記入射光(114)を広げ、同時に光ビーム(180、180’、180’’、180
*)の各拡散を低減するように、集光する方向とは逆方向(126)で作動され、
前記集光装置の前記非円錐形状(128)は、前記可変長フィルタ(118)に関して非対称に配置されている、分光計装置(112)。
【請求項2】
前記集光装置(124)の前記非円錐形状(128)が、放物線形状(168)または楕円形状(172)から選択される形状を含む、請求項1に記載の装置(112)。
【請求項3】
前記集光装置(124)が、複合放物線集光器(166)および複合楕円集光器(170)を含む群から選択される、請求項2に記載の装置(112)。
【請求項4】
前記集光装置(124)は、前記可変長フィルタ(118)の受信面(136)に垂直な平面に対して傾斜している、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(112)。
【請求項5】
前記集光装置(124)が、前記可変長フィルタ(118)に伝達される前記入射光(114)が、前記入射光の波長を受けるように設計された前記可変長フィルタ(118)の空間位置(138)で前記可変長フィルタ(118)の前記受信面(136)に垂直に前記可変長フィルタ(118)に衝突するように、及び/又は、前記入射光(114)の波長を超えるさらなる波長を受けるように設計された前記可変長フィルタ(118)のさらなる空間位置(138')で衝突するように、前記可変長フィルタ(118)の前記受信面(136)に垂直な面に対して傾斜している、請求項4に記載の装置(112)。
【請求項6】
前記集光装置(124)は、前記入射光(114)を反射するように適合された少なくとも2つの個別の側壁(176)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(112)。
【請求項7】
前記集光装置(124)の前記側壁(176)の少なくとも1つは、丸みを帯びた側壁として設計されている、請求項6に記載の装置(112)。
【請求項8】
前記集光装置(124)の前記丸みを帯びた側壁の少なくとも1つは放物線プロファイル(184)または楕円形プロファイル(186)から選択されるプロファイル(182)を含む、請求項7に記載の装置(112)。
【請求項9】
前記検出器アレイ(120)が透明な隙間(146)を介して前記可変長フィルタ(118)から分離されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(112)。
【請求項10】
前記物体(116)を照射するように適合された照射源(154)をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(112)。
【請求項11】
前記照射源(154)が白熱灯(156)を含む、請求項10に記載の装置(112)。
【請求項12】
分光計システム(110)であって、
- 請求項1~11のいずれか一項による分光計装置(112);および、
- 前記分光計装置(112)によって提供される検出器信号(204、204’、204”)を評価することにより、物体(116)のスペクトルに関する情報を決定するように割り当てられた評価ユニット(150)、
を有する、分光計システム(110)。
【請求項13】
前記物体(116)を照射するように適合された照射
源をさらに備える、請求項12に記載のシステム(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光計装置、分光計装置を含む分光計システム、および、分光計装置および分光計システムの様々な使用に関する。そのような装置とシステムは、一般的に、具体的に赤外線(IR)スペクトル領域、特に近赤外線(NIR)と中赤外線(MidIR)スペクトル領域における調査又は監視のために、および、熱、炎、火災、または煙の検出のために採用され得る。しかしながら、さらなる種類の適用も可能である。
【背景技術】
【0002】
赤外線(IR)スペクトル領域、特に近赤外線(NIR)スペクトル領域の調査用のさまざまな分光計装置と分光計システムが知られている。特に、線形可変フィルタ(LVF)と検出器アレイとの組み合わせを有する分光計装置がすでに提案されている。ここで、LVFは、物体から捕捉された光を構成波長信号のスペクトルに分離するために割り当てられ、一方、検出器アレイは複数のピクセルを含み、複数のピクセルのそれぞれは、各構成波長の出力測定値を提供する複数の構成波長信号の少なくとも一部を受け取るように配置されている。通常、入射光がLVFの受信面に垂直な方式でLVFに当たるようにするために、バッフルがこの目的のために使用されるが、しかし一般に、これは光処理量が低く、信号対ノイズ比が低い。
【0003】
US 2014/131578 A1は、サンプルと相互作用する光を第1焦点比で取得するテーパーライトパイプ(TLP)とともに、サンプルに光を向け、第1焦点比よりも低い第2焦点比でその光をLVFに配送する照射源を有する移動式の分光計装置を開示している。好ましくは、TLPは、一端がレンズ付きで、段付き内壁を備えた保護ブーツに埋め込まれている。さらに、TLPとLVFの間の隙間は、解像度と堅牢性をさらに向上させるために、最小化されている。ここに開示されたTLPは、用語「集光装置」とも表すこともでき、集光装置は、捕捉された光を広げること、および、捕捉された光の角拡散を低減することの逆方向に操作され、円錐形状を含んでいることが、ここで強調される。
【0004】
ただし、たとえば、S.MadalaとRF Boehmの、「静止誘電体で満たされた非画像化集光器に対する反射損失の影響」、J.Photonics for Energy 6(4)、047002、2016年、に記載されているように、円錐形状を含む集光装置は集束効率が低いという問題がある。S.Madalaらによってさらに説明されているように、屈折型非画像化ソーラー集光器の性能パラメータに対するフレネル反射および全内部反射(TIR)の損失の影響は、性能パラメータに影響を与え、それによりエネルギー収集に影響する。この目的のために、S.Madalaらは、円錐集光器(Vトラフ集光器)、複合放物線集光器(CPC)、複合楕円集光器(CEC)、および複合双曲線集光器(CHC)を含む、4つの異なるタイプの静止誘電体で満たされた非画像化集光器に対するフレネル反射とTIR損失の影響を説明するために、レイトレーシング分析を実行した。彼らの発見によれば、誘電性充填材料の屈折率(RI)は、固体の非画像化集光器の受容角を決定しる。より大きな屈折率は、より大きな受容角を生じ、従ってより大きなエネルギー収集を生じるが、フレネル反射損失も増加させる。
【0005】
Lun J.とR.Winstonらの、「複合楕円集光器(CEC)の非対称設計とその幾何学的フラックスの影響」、Proc.SPIE、9572、2015年は、さらなる非画像化光学要素として非対称複合楕円集光器(CEC)に関する理論的な論文を提供している。ここで、彼らは、理想的な集光器を理解する従来の方法は、均一な受容角に基づいて集光率を最大化することに基づいていると述べている。このような角度はCECには存在しないが、熱力学的法則は依然として適用され、この一般的な問題を解決するために、ストリング法を使用することにより、集光器はそれによって許容される最大の集光率で考えられてきた。その結果、幾何学的フラックス場またはフローライン法を使用した理想的な集光器のグループが得られた。
【0006】
米国特許第5,615,673 A号は、関心領域から戻るラマン散乱光を光学的に収集するために使用される複合パラボラ集光器(CPC)を開示している。ここで、CPCは、半球全体に放射された光を、光ファイバやレンズなどの従来の光学系で収集できる狭い円錐に変換する通常の構成で使用される非画像化光学要素である。
【0007】
US 2016/151009 A1は、ガスの検出、特にCO2の検出のためのセンサを開示しており、そこでは開口数コンバータ(NAコンバータ)が波長フィルタと放射線源の間の経路に配置されている。ここで、NAコンバータは、複合放物線集光器または複合楕円集光器の形状を有する、反射性または不透明材料の開口部として作成される。代替的に、変換する代わりに高角度光線を吸収することによって光線の角度の広がりを制限することを除いてNAコンバータに対応する、NAフィルタを使用できる。
【0008】
US 2008/156969 A1は、非円錐形状、バンドパスフィルタアレイ、および検出器アレイを有する光偏向要素を開示している。ここでは、光学要素としての光偏向要素は、1つを除く全てのフィルタ群のバンドパスフィルタの有効バンドパス曲線を分光的にシフトし、すべてのバンドパスフィルタの有効バンドパス曲線のスペクトル位置が異ならせている。その結果、いくつかの異なるバンドパスフィルタのみを用いてフィルタチャネルの増倍を実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明によって解決される問題は、特に、赤外線(IR)スペクトル領域、特に近赤外線(NIR)スペクトル領域での調査に適し得、このタイプの既知の装置およびシステムの欠点を少なくとも実質的に回避する、分光計装置および分光計システムを提供することである。
【0010】
特に、物体からの光を捕捉し、捕捉された光を、現在可能なものより高い集光率で線形可変フィルタに伝達するように設計された光学要素を有する、改善された簡単で費用効率が高く、なおかつ信頼性の高い分光計装置をもたらすのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別にまたは組み合わせて実施できる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書および詳細な実施形態に示されている。
【0012】
本明細書で使用するとき、「有する」、「備える」および「含む」という表現、ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現ならびに「AはBを含む」または「AはBを備える」という表現はBに加えて、Aが1つ以上のさらなる部品及び/又は構成を含むという事実、ならびにB以外に、Aに他の部品、構成、または要素が存在しない場合の両方とも指し得る。
【0013】
本発明の第1の態様では、分光計装置が開示されている。したがって、分光計装置は、
- 物体からの入射光を受け取り、該入射光を可変長フィルタに伝達するように設計された光学要素であって、該光学要素は集光装置を有し、該集光装置は逆方向に作動し、該集光装置は非円錐形状を含む、光学要素;
- 入射光を構成波長信号のスペクトルに分離するように割り当てられた可変長フィルタ;そして
- 複数のピクセル化センサを有する検出器アレイであって、各ピクセル化センサは構成波長信号の1つの少なくとも一部を受信するように適合され、各構成波長信号は各構成波長の強度に関連する、検出器アレイ、
を有する。
【0014】
「物体」は、一般に、生きている物体および非生命体から選択される任意の物体であり得る。したがって、例として、少なくとも1つの物体は、1つ以上の物品及び/又は物品の1つ以上の部分を含むことができ、少なくとも1つの物品またはその少なくとも一つの部分は、調査に適したスペクトルを提供し得る少なくとも1つの構成を含むことができる。追加的または代替的に、物体は、1つ以上の生物及び/又はその1つ以上の部分、たとえばユーザーなどの人間、及び/又は動物の1つ以上の体の部分であってもよいし、またはそれらを含んでいてもよい。
【0015】
本明細書で使用される「光」という用語は、一般に、通常「光学スペクトル範囲」と呼ばれ、可視スペクトル範囲、紫外線スペクトル範囲、および赤外線スペクトル範囲の一つ以上を含む電磁放射の区分を指す。本明細書では、「紫外線スペクトル範囲」という用語は、一般に、1nm~380nm、好ましくは100nm~380nmの波長を有する電磁放射を指す。さらに、本文書の日付の有効なバージョンの標準ISO-21348に部分的に準拠して、「可視スペクトル範囲」という用語は、通常、380nm~760nmのスペクトル範囲を指す。「赤外線スペクトル範囲」(IR)という用語は、一般に760nm~1000μmの電磁放射を指し、760nm~1.5μmの範囲は通常「近赤外線スペクトル範囲」(NIR)と呼ばれ、1.5μm~15μmは「中赤外線スペクトル範囲」(MidIR)として示され、15μm~1000μmの範囲は「遠赤外線スペクトル範囲」(FIR)として示される。好ましくは、本発明の典型的な目的に使用される光は、赤外線(IR)スペクトル範囲の光、より好ましくは、近赤外線(NIR)および中赤外線スペクトル範囲(MidIR)の光、特に、1μm~5μm、好ましくは1μm~3μmの波長を有する光である。
【0016】
物体から出る光は、物体自体から発してもよいが、代替的に別の発生源を持つこともでき、この発生源から物体に、続いて分光計装置に向かって伝播することができる。後者の場合は、特に、使用されている少なくとも1つの照射源によって影響を受け得る。したがって、物体から分光計装置に伝播する光は、物体及び/又は物体に接続された反射装置によって反射され得る光であり得る。代替的または追加的に、光は少なくとも部分的に物体を透過することができる。
【0017】
照射源は、様々な方法で具体化することができる。したがって、照射源は、例えば、ハウジング内の分光計装置の一部であり得る。しかしながら、代替的または追加的に、少なくとも1つの照射源は、例えば別個の光源として、ハウジングの外側に構成され得る。照射源は、物体とは別に配置され、物体を所定距離から照らすことができる。上述のように、照射源は、代替的または追加的に、例えば物体から出る電磁放射が照射源によって直接生成されるなど、物体に接続されることも、物体の一部であることもできる。例として、少なくとも1つの照射源は物体の上及び/又は物体中に配置され、電磁放射を直接生成することができる。
【0018】
照射源は、好ましくは、赤外線(IR)スペクトル範囲、特に近赤外線(NIR)スペクトル範囲、特に白熱灯において十分な放射を提供することが知られている一種の照射源を含むことができる。代替的または追加的に、照射源は、以下の照射源:炎源;熱源;レーザ、他のタイプのレーザも使用できるが特にレーザダイオード;発光ダイオード;有機光源、特に有機発光ダイオード;ネオンライト;構造化光源、の少なくとも1つから選択されてよい。代替的または追加的に、他の照射源も使用され得る。本明細書では、物体及び/又は照射源によって放出された光が、スペクトル範囲であって、それぞれの照射源によって照射され得る検出器アレイが、特に高い強度の検出器信号を提供することができ、したがって検出器信号を十分な信号対ノイズ比で、同時に高分解能で評価することができるのを確実にする方式で、検出器アレイのスペクトル感度に密接に関連するスペクトル範囲を示し得る場合が特に好ましい。
【0019】
一般的に使用されるように、「スペクトル」という用語は、光学スペクトル範囲、具体的に、赤外線(IR)スペクトル範囲、特に近赤外線(NIR)スペクトル範囲の区分を指す。ここで、スペクトルの各部分は、信号波長および対応する信号強度によって定義される光信号によって構成される。さらに、「分光計装置」という用語は、スペクトルの対応する波長または波長間隔などのスペクトルの区分に関する信号強度を記録することができる装置に関し、そこでは該信号強度は、好ましくは、さらなる評価に使用できる電気信号として提供され得る。本発明による分光計装置では、可変長フィルタが、対応する強度が以下でより詳細に説明されるように検出器アレイを使用して決定される構成波長信号のスペクトルに入射光を分解するために、使用されている。さらに、物体からの入射光を受信して可変長フィルタに伝える光学要素が適用されている。ここでさらに使用されるように、「分光計システム」は、したがって、分光計装置に加えて、ここで開示されるように該分光計装置によって提供される検出器信号を評価することによって物体のスペクトルに関する情報を決定するように割り当てられた評価ユニットを備えている装置を指し得る。
【0020】
このように、本発明によれば、分光計装置は、入射光を構成波長信号のスペクトルに分離するように割り当てられた可変長フィルタを備えている。一般的に使用されるように、「可変長フィルタ」という用語は、複数のフィルタ、好ましくは、特に、フィルタの連続配置で提供され得る複数の干渉フィルタを含む光学フィルタを指す。ここで、各フィルタは、フィルタ上の各空間位置の可変中心波長を有するバンドパスを、好ましくは連続的に単一次元に沿って形成することができ、通常それは可変長フィルタの受信面上で「長さ」という用語で表される。好ましい例では、可変中心波長は、フィルタ上の空間位置の線形関数であり得、その場合、可変長フィルタは通常「線形可変フィルタ」またはその略語「LVF」として参照される。しかしながら、他の種類の関数が、可変中心波長とフィルタ上の空間的位置との間の関係に適用可能であり得る。ここで、フィルタは、特に、赤外線(IR)スペクトル範囲内、特に以下でより詳細に説明されるような近赤外線(NIR)スペクトル範囲内で高度の光学的透明度を示すことができる少なくとも1つの材料を含むことができる透明基板上に配置され得、これにより、フィルタの長さに沿ったフィルタの変化するスペクトル特性、特に連続的に変化するスペクトル特性を達成することができる。特に、可変長フィルタは、透明基板上に少なくとも1つの応答コーティングを担持するように適合され得るウェッジフィルタであり得、応答コーティングは、空間的に変化する特性、特に空間的に変化する厚さを示し得る。しかしながら、他の材料を含み得る、またはさらなる空間的可変特性を示し得る他の種類の可変長フィルタもまた、実行可能であり得る。入射光ビームの垂直入射角で、可変長フィルタに含まれる各フィルタは、特定のフィルタの中心波長の一部、通常は数パーセントに達し得るバンドパス幅を有し得る。例として、1400~1700nmの波長範囲と1%のバンドパス幅を有する可変長フィルタの場合、垂直入射角でのバンドパス幅は、14nm~17nmで変動し得る。しかしながら、他の例も実行可能であり得る。
【0021】
可変長フィルタのこの特定の構成の結果として、バンドパス幅によって示される許容範囲内で、フィルタ上の特定の空間位置に割り当てられている中心波長に等しい波長を持つ入射光のみが、特定の空間位置で可変長フィルタを通過することができる。したがって、バンドパス幅の中心波長±1/2に等しくてもよい「透過波長」は、可変長フィルタ上の各空間位置に対して定義されてよい。換言すれば、送信波長で可変長フィルタを通過することができないすべての光は、可変長フィルタの受信表面によって吸収されるか、またはほとんどが反射され得る。結果として、可変長フィルタは透過率が変化するため、入射光をスペクトルに分離することができる。
【0022】
したがって、可変長フィルタ上の特定の空間位置で可変長フィルタを通過することができる光は、その後、検出器アレイに衝突することができる。言い換えれば、検出器アレイは、好ましくは、光が最初に可変長フィルタに衝突し、可変長フィルタ上の特定の空間位置を通過することができる光の区分だけが、その後、検出器アレイ上の対応する空間位置に衝突できるような方式で配置され得る。結果として、可変長フィルタは、したがって、関連する波長または複数波長によって入射光を少なくとも1つの対応する空間位置に分離するために使用され得、一方、検出器アレイに含まれる特定の光センサは、従って、その特定の波長によって対応する空間位置で可変長フィルタを通過でき、したがって、特定の波長における入射光の強度を決定するために備えられた特定の光センサを衝突する光の強度を測定するように採用され得る。したがって、特に好ましい実施形態では、検出器アレイは、一連の光センサの形で続けて配置された光センサのシーケンスを有してよく、該光センサのシーケンスは、可変長フィルタの長さに沿った干渉フィルタの連続配置に関して平行に配置されてよい。
【0023】
さらに好ましい実施形態では、検出器アレイは、好ましくは、可変長フィルタから透明な隙間を介して分離され得る。ここで、透明な隙間は、例として、対向する2面を有する延長透明体を使用することによって得ることができ、可変長フィルタを構成し得る複数の干渉フィルタを第1の面に配置し、検出器アレイを構成する光センサを、第1の面と反対の第2の面に配置してよい。結果として、透明な隙間のため適切な幅を選択することにより、可変長フィルタに対する検出器アレイのより正確な調整が達成され得る。
【0024】
したがって、検出器アレイは、好ましくは、可変長フィルタの長さに沿って1次元マトリックスとして単一のラインに、または可能な限り入射光の強度の大部分を受け取るために、複数のラインに、特に2本、3本または4本のラインに、2次元マトリックスの形で、配置された一連の光センサを有することができる。したがって、一次元の1×Nマトリックスまたは長方形の二次元のM×Nマトリックスが得られるように、一方向のピクセル数Nは、さらなる方向のピクセル数Mと比較して高くてもよく、ここで、M<10およびN≧10、好ましくはN≧20、より好ましくはN≧50である。さらに、本明細書で使用されるマトリックスは、千鳥配置で配置されてもよい。ここで、使用される各光センサは、特に一連の光センサの製造を容易にするために、同じ、または許容レベル内で類似の、光感度を有することができる。あるいは、一連の光センサで使用される各光センサは、たとえば、一連の光センサに沿って、波長に対する光感度の増加する変化または減少する変化を提供するなどにより、可変長フィルタの透過率特性の変化に応じて変化する光感度を示してもよい。しかしながら、他の種類の構成も可能であるかもしれない。
【0025】
具体的に、分光計装置の高解像度を達成するために、各光センサは、したがって、小さな空間角度でのみ入射光を受け取るように適合され得る。この構成は、特に、フィルタの長さに沿った入射光の衝突の空間位置に応じて所望のスペクトルを生成するように設計された可変長フィルタの構成を反映している。この特定の構成は、本発明によれば、したがって、複数のピクセル化センサを含む検出器アレイによって達成され、そこでは、各ピクセル化センサは、可変長フィルタによって提供される構成波長信号の1つの少なくとも一部を受信するように適合される。上記のように、構成波長信号のそれぞれは、これにより、構成波長のそれぞれの強度に関連する。一般的に使用されるように、「ピクセル化光センサ」または単に「ピクセル化センサ」という用語は、個別のピクセルセンサの配列(アレイ)を含む光センサを指し、個別のピクセルセンサのそれぞれは、入射光の強度に応じて電気信号を生成するように適合された少なくとも1つの感光性領域を有し、該電気信号は、特に、さらなる評価のために外部の評価ユニットに提供されてもよい。ここでは、各個別のピクセルセンサに含まれる感光性領域は、特に、個別のピクセルセンサに衝突する入射光を受け取るように構成された単一の均一な感光性領域とすることができる。しかしながら、ピクセル化されたセンサの他の構成も考えられ得る。
【0026】
ピクセル化センサは、個別のピクセル化センサに衝突する入射光の強度に関連する信号、好ましくは電子信号を生成するように設計されている。信号は、アナログ信号及び/又はデジタル信号であり得る。したがって、隣接するピクセル化センサの電子信号は、同時に、または一時的に連続した方式で生成され得る。例として、行走査または線走査中に、一列に配置された一連の個別のピクセルセンサに対応する連続した電子信号を生成することが可能である。さらに、個別のピクセルセンサは、好ましくは、外部の評価ユニットに提供する前に電子信号を増幅するように適合された能動型ピクセルセンサであり得る。この目的のために、ピクセル化センサは、電子信号を処理及び/又は前処理のための1つ以上のフィルタ及び/又はアナログ-デジタル-変換器などの、1つ以上の信号処理装置を含み得る。
【0027】
ピクセル化センサは、任意の既知のピクセルセンサから、特に、ピクセル化有機カメラ要素、好ましくは、ピクセル化有機カメラチップから、または、ピクセル化無機カメラ要素、好ましくは、ピクセル化無機カメラチップから、より好ましくは、現在さまざまなカメラで一般的に使用されているCCDチップまたはCMOSチップから選択され得る。代替として、ピクセル化センサは、光伝導体、特に無機光伝導体、特にPbS、PbSe、Ge、InGaAs、ext.InGaAs、InSb、またはHgCdTeであり得るか、またはそれを含み得る。さらなる代替として、それは、焦電、ボロメータまたはサーモパイル検出器要素を含み得る。したがって、1×NピクセルまたはM×Nピクセルのマトリックスを有するカメラチップが使用され得、ここでM<10およびN≧10、好ましくはN≧20、より好ましくはN≧50である。さらに、モノクロカメラ要素、好ましくはモノクロカメラチップが使用され得、そこではモノクロカメラ要素は、特に、一連の光センサに沿う変化する波長に従って、各ピクセルセンサごとに異なって選択されてよい。
【0028】
さらなる代替として、ピクセル化センサは、さらなる文書の中で、WO 2012/110924 A1、WO 2014/097181 A1、またはWO 2016/120392 A1に開示されているFiPセンサに基づくことができる。本明細書では、「FiPセンサ」という用語は、照射の総出力が同じであるとして、センサ信号が、いわゆる「FiP効果」に従って、感光性領域の照射の幾何的形状、特に、「スポットサイズ」とも呼ばれる、感光性領域上の照射のビーム断面に依存する、センサを指す。結果として、感光性領域の電気的特性が入射光による感光性領域の照射の範囲に依存するという観察可能な特性は、特に、同じ総出力を有するが、感光性領域上に異なるスポットサイズを生成する2つの入射光線が、感光性領域の電気的特性に異なる値を提供し、したがって相互に区別できるということを、成し遂げる。好ましくは、各FiPセンサの感光性領域は、特にPbS、PbSe、またはHgCdTe、または固体色素増感太陽電池(sDSC)から選択される光伝導性材料を含み得る。さらに、WO 2014/198625 A1は、FiPセンサのM×Nマトリックスを使用する検出器アレイの特定の実施形態を開示している。あるいは、さらなる種類のピクセル化センサも実現可能であり得る。
【0029】
したがって、検出器アレイは、検出器アレイに含まれるピクセル化センサの感光性領域によって生成され得る複数の電気信号を、提供するように適合され得る。分光計装置の検出器アレイによって提供される電気信号は、外部の評価ユニット、特に、以下でより詳細に説明される対応の分光計システムに含まれ得る評価ユニットに伝達されてよい。本明細書では、「評価ユニット」という用語は、特に、本明細書に記載された分光計装置を使用することによって、スペクトルが記録される物体のスペクトルに関する情報を決定するように割り当てられた装置を指し、そこでは、情報が、分光計装置の検出器アレイによって提供される検出器信号が評価されることにより、取得される。情報は、例えば、電子的、視覚的、音響的に、またはそれらの任意の組み合わせで提供されてよい。さらに、情報は、分光計装置、好ましくは分光計システム、または別個の記憶装置のデータ記憶装置に記憶され得、及び/又は無線インターフェース及び/又は有線インターフェースなどの少なくとも1つのインターフェースを介して提供され得る。
【0030】
本発明によれば、分光計装置はさらに、物体からの入射光を受け取り、同時に入射光を可変長フィルタに伝達するように割り当てられた光学要素をさらに含む。この目的のために、光学要素は、逆方向に作動する集光装置を含む。一般に使用されているように、「集光器」という用語は、「入射瞳」または「入射開口」とも呼ばれる入力と、入力とは反対側に配置された用語「射出瞳」または「射出開口」によって表される出力と、入力と出力の間に配置された光ガイド構造とを有する非画像化光学要素を指し、集光器は、通常の作動方向では、入口で大きな角拡散で光を捕捉し、捕捉した光を光ガイド構造内で集束させ、集束した光を出力で放出する。例として、集光器は、したがって、可能な大きな入射角の下で高い太陽光集中を可能にするために、集光型太陽光発電で使用され得る。
【0031】
これとは対照的に、本発明による集光装置は逆方向で使用され、そこでは、前述した集光器の出力は、今は入射光を受け取るための入力として機能し、逆方向における光ガイド構造は、好ましくは、入射光を広げるように機能し、一方、前述の入力は、今は拡散光を放出するための出力として機能する。本発明の好ましい実施形態では、作動する集光装置の入射瞳は、好ましくは、90°未満、より好ましくは70°未満、特に50°未満の入力角度を含む。さらに、この好ましい実施形態では、円錐形の逆作動の集光装置の射出瞳は、好ましくは、30°以下、より好ましくは15°以下、特に10°以下の出力角度を含む。これにより、出力における放出される光ビームの角拡散は、同時に、入射光に比して減少することができる。その結果、逆方向に集光装置を適用するということは、物体によって放出または反射される、または物体を通過する入射光を、逆作動する集光装置の出力で放出される光が減少した角拡散を示すように、捕捉することを可能にし、ここで、減少した角拡散は、好ましくは、最大で±20°、好ましくは最大で±10°、最も好ましくは最大で±5°の角度範囲に制限され得る。
【0032】
したがって、逆方向に作動する集光装置は、したがって、放出された光ビームが制限された角度範囲内で可変長フィルタに衝突し、したがって主に可変長フィルタの受信面に垂直な方向で衝突し、すなわち、可変長フィルタの受信面に対して垂直の方式で衝突することができるように、選択または構成され得る。すでに上記で示したように、可変長フィルタに含まれる各干渉フィルタは、そのような入射光の垂直な角度で、特定の干渉フィルタの中心波長の一部にしか及ばないバンドパス幅を有し得る。その結果、入射光はかなり高い集光効率で可変長フィルタに入ることができる。
【0033】
上述のように、通常の方向に作動する様々な形状の集光装置が以前から提示されてきた。集光効率が低いことが知られている円錐形状を有する光集光装置は別として、さらなる可能な光集装置が、一方でさらなる形状、特に「複合双曲線集光器」または「CHC」は本発明の目的にはあまり適していない場合があるが、「複合放物線集光器」または「CPC」または「複合楕円集光器」または「CEC」と呼ばれるような形で形状を呈することができる。ここで、一般的に使用されるように、複合放物線集光器は、それぞれが放物線ミラーセグメントの1つにある2つの異なる焦点を備え得る2つの放物線ミラーセグメントによって定義され得る。これにより、2つの放物線ミラーセグメントの表面は、複合放物線集光器の軸を通る反射に関して対称的に配置され得る。同様に、複合楕円集光器は、したがって、2つの楕円ミラーセグメントによって規定され得、2つの楕円鏡セグメントの表面は、複合楕円集光器の軸を通る反射に関して対称的に配置され得る。
【0034】
一般に使用されるように、「対称」または「対称的」という用語は、特に、反射、回転、並進、及び/又はそれらの組み合わせが含まれ得る、通常「幾何学的変換」と呼ばれる少なくとも1つの操作の適用に対して不変であり得る、形状またはその少なくとも1つの要素を有する物体の幾何学的特性を指す。この場合、しかしながら、好ましい幾何学的変換は、反射および回転であり得る。特に、物体またはその要素は、もしも軸及び/又は鏡面が、それぞれ、物体またはその要素の形状を、互いに鏡像をなす2つの区分にすることができれば、軸及び/又は鏡面に関して反射対称性を有すると見なすことができる。例として、物体は、それらが互いの鏡像と見なすことができる反射軸に関して配置された2つの放物面ミラーセグメントを含む場合、対称であると見なすことができる。同様に、物体は、少なくとも1つの固定点または、及び/又は軸、及び/又は物体またはその要素の回転軸を含む鏡面に関して、もしもそれが物体またはその要素の形状が変わらない方式で該固定点または鏡面のそれぞれに関して回転できるならば、回転対称性を持っていると見なすことができる。これとは対照的に、「非対称性」という用語は、考慮中の物体の幾何学的特性の少なくとも1つが、この物体に適用され得る幾何学的変換の少なくとも1つに対して不変ではない場合があることを示す。
【0035】
より具体的には、以下の対称群の1つが光学要素に適用可能であり得、特に、逆方向に作動する集光装置に適用可能であり得る。一般に使用されるように、「対称群」という用語は、どの種類の幾何学的変換が物体またはその要素に適用できるかを示すことによって、物体またはその要素の特定の対称性を表す。この考慮のために、特定の対称群は、特に、いわゆる「シェーンフリエ記法」を使用して表されることができる。ここで、以下のように定義される以下の用語は、好ましくは、その要素の本体の形状に適用できる。
【0036】
- C∞は、円錐台の対称性を指し、円錐台の形状は、円錐台の回転軸を含む鏡面に対して任意の角度を中心とした回転の下に保存される;
- C4vは正方形ピラミッドトランクを指し、正方形ピラミッドトランクの形状は、正方形ピラミッドトランクの回転軸を含む鏡面に対して360°/4=90°の角度の回転の下でのみ保存される;
- C2vは、正方形ピラミッドトランクとは別の長方形ピラミッドトランクを指し、長方形ピラミッドトランクの形状は、長方形ピラミッドトランクの回転軸を含む鏡面に対して360°/2=180°の角度の回転の下でのみ保存される;
- Csは反射対称のみを指し、そこでは物体またはその要素の形状は、鏡面での反射によってのみ保存される;
- C2は、2重対称のみを指し、そこでは物体またはその要素の形状は、物体またはその要素の特定の回転軸に対して360°/2=180°の角度の回転の下でのみ保存される;または、
- C1は、対称要素がないことを示す。
【0037】
シェーンフリエ記法の詳細については、たとえば、モートンハマーメッシュによる、「群理論とその物理的問題への応用」、Dover Publications、Mineola、N.Y. 1989年、32~67ページを参照されたい。
【0038】
本発明に関して特に、光学要素、特に、逆方向に作動する集光装置は、このように、シェーンフリエス記法による対称群C2vで説明されているような、対称性の低い要素の形状、特に、対称群Cs、C2、C1のうちの少なくとも1つを有する場合に、非対称な形状を有するものとして表すことができる。しかしながら、この点に関して、光学要素の対称性を考慮するためには、入射光のビーム経路、特に光学要素の入力と出力との間に位置する光学的ガイド構造に影響を及ぼし得る光学要素の区分のみが関連し得ることは強調され得る。特に、外部形状などの光学要素の他の形状は、考慮から除外されてもよい。さらに、光学要素の対称性を決定するために、製造公差が考慮される。
【0039】
本発明によれば、光学要素、特に、逆方向に作動する集光装置、より具体的には、光学要素の入力と出力との間に位置する光学的ガイド構造は、非円錐形状を含む。その結果、光ビームは、逆作動の集光装置の出力における効率が増加するように集光器を通って案内され得る。この効果は、特に逆作動の集光装置の非円錐形状に基づいており、該非円錐形状は、特に円錐形状の逆作動の集光装置とは対照的に、逆作動の集光装置の側壁によって吸収される光をより少なくする方式で、入射光を光ビームの形で、非円錐形状の逆動作の集光装置を通して案内することを可能にする。その結果、より多くの光ビームが、光ビームに含まれる特定の波長を有する光ビームを受け取るように構成された可変長フィルタ上の空間位置で、可変長フィルタに到達することができる。さらに、非円錐形状の伝達関数は、逆作動の集光装置への入射角に対して、光透過のより急な開始を示し、それにより、複合放物線集光器の光透過がない状態から完全な光透過の状態への完全なバイナリ遷移の理論的な最大値を示す。伝達関数のそのような種類の急勾配は、したがって、所与の光スループットに対する分光サンプリングの領域を最小化するのに有利であり、それにより、サンプリングスポットの明確な定義を提供し、サンプリングスポットからの応答の均質化をサポートすることができる。
【0040】
より具体的には、現在技術による光学要素に関する用語「円錐」は、シェーンフリエス記法に従って、C2v、C4v、またはC∞などのC2v以上の対称群によって記述できる光学要素の形状、特に円錐台またはピラミッドトランクを指し、そこでは、上記のように、製造公差が考慮される。これとは対照的に、本発明による光学要素に関する用語「非円錐」は、シェーンフリエス記法に従って、上記のようにCs、C2、またはC1などのC2v未満の対称群によって記述できる光学要素の形状を指し、ここでも、製造公差が考慮される。言い換えれば、本発明による光学要素の入力と出力との間に位置する光ガイド構造は、好ましくは、光学要素の入力と出力の間の半分の距離で、光学要素の入力の第1直径と光学要素の出力の第2直径の算術平均から少なくとも10%、好ましくは少なくとも5%、最も好ましくは少なくとも2%、特に少なくとも1%逸脱する直径を示し得る形状を含み得る。
【0041】
特に好ましい実施形態では、逆方向に作動する集光装置の非円錐形状は、したがって、放物線形状または楕円形状から選択されるのが好ましい。その結果、集光装置は、特に、複合放物線集光器および複合楕円集光器を含む群から選択され得る。しかしながら、非円錐形状を有する他の種類の集光装置も実現可能であり得る。
【0042】
特に、光学要素の放物線形状、特に光学要素の入力と出力の間に位置する光ガイド構造の放物線形状は、製造公差を除いて、次のように式(1)によって記述される:
【数1】
【0043】
ここで、xという用語は、光学要素の、特に、逆作動の集光装置の特に光ガイド構造の光軸に沿った値を指し、一方、yという用語は、光軸に垂直な値を指し、y0とaは、光学要素に関して放物線形状を調整する機会を提供する。一般的に使用されるように、「光軸」という用語は、光学要素、および、好ましくは分光計装置の他の要素が、分光計システムに含まれる対称性光学要素の回転に関して不変であり得る対称の仮想線を指す。
【0044】
同様に、光学要素の楕円形状、特に光学要素の入力と出力の間に位置する光ガイド構造の楕円形状は、製造公差を除いて、次の式(2)によって記述される。
【0045】
【0046】
ここで、xという用語は、光学要素の、特に、逆作動の集光装置の特に光ガイド構造の光軸に沿った値を指し、一方、yという用語は、光軸に垂直な値を指し、楕円形状の軸を指すaとbは、ここでも光学要素に関して放物線形状を調整する機会を提供する。
【0047】
そのような形状を有する集光装置の使用は、すでに上記で示したように、より多くの光ビームが可変長フィルタ上の所望の空間位置で可変長フィルタに到達でき、それにより本明細書に記載されている分光計装置の効率を、特に、向上させることができる、という有利な効果をもたらし得る。
【0048】
非円錐形状を有する逆作動の集光装置は、完全にまたは部分的に光学的に透明な材料の中実体であり得るかまたはそれを含み得、または代替例として、気体及び/又は流体及び/又は固体の光学的に透明な材料で、好ましくは完全に及び/又は均一に満たされ、所望の非円錐形状をとることができる少なくとも2つの個別の側壁を含む、中空体であり得るかまたはそれを含み得る。ここで、赤外線(IR)スペクトル範囲内、特に近赤外線(NIR)および中赤外線(MidIR)スペクトル範囲内で高度の光学的透明性を示す可能性があり、集光装置の中実体に選択され得る少なくとも1つの材料は、好ましくは、フッ化カルシウム(CaF2)、溶融シリカ、ゲルマニウム、フッ化マグネシウム(MgF)、臭化カリウム(KBr)、サファイア、シリコン、ナトリウム塩化物(NaCl)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、ホウケイ酸-クラウンガラス、透明導電性酸化物(TCO)、および透明有機ポリマー、からなる群から選択でき、そこでは、高反射率のシリコンとゲルマニウムが、中実体の側壁で発生し得る全反射をサポートすることができるため、特に好ましい。代替として、所望の非円錐形状を示少なくとも2つの側壁を有する中空体を充填するために選択され得るガス状の光学的に透明な材料は、周囲空気、窒素ガス、または二酸化炭素から選択され得、一方、この目的のための光学的に透明な流体は、液浸油またはカナダのバルサム、すなわちバルサムのモミの木の樹脂、特にアビスバルサメアから作られたテレビン油から選択され得る。さらなる代替として、真空が中空体に存在してもよい。
【0049】
さらなる好ましい実施形態では、入射光を反射するように適合された少なくとも2つの個別の側壁を備え、集光装置の側壁が集光装置の縦方向軸に対して対向する横方向位置に配置される非円錐形状の逆作動の集光装置を適用することによって、分光計装置の効率は、さらに向上することができる。2つの対向する個別の側壁に加えて、集光装置は、ベースプレートとカバープレートをさらに備えることができ、それにより、準二次元的外観を呈し得る集光装置に閉じた形状を提供し得る。その結果、集光装置の形状は、集光装置の側壁のいずれか一方とベースプレートまたはカバープレートのいずれか一方との間の交差線における少なくとも1つのコーナーラインを含むことができる。しかしながら、更なるコーナーラインが考えられるかもしれない。この実施形態は、光ビームによって含まれる特定の波長を有する光ビームを受け取るように構成されていないかもしれない可変長フィルタ上の空間位置で、光ビームが可変長フィルタに到達する可能性があることを、あらゆる可能な状況下で回避するために、非反射性の吸収性表面を使用する既知の非円錐形状の逆作動の集光装置と特に対照的である。これとは対照的に、このさらに好ましい実施形態の結果として、非円錐形状の逆作動の集光装置は、いくつかの光ビームが反射され、それでも可変長フィルタに導かれることを可能にし、そこでは、非円錐形状の逆作動の集光装置の特定の形状は、それらの光ビームのみが、空間位置が指定された特定の波長を有する光ビームを受け取るように構成された空間位置で、可変長フィルタに到達することができることを確実にすることができる。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、丸みを帯びた側壁として設計された少なくとも2つの個別の側壁を含む非円錐形状の逆作動の集光装置を適用することにより、分光計装置の効率はさらに向上することができ、丸みを帯びた側壁の少なくとも1つは、有利には、放物線プロファイルまたは楕円形プロファイルから選択され得るプロファイルを含み得る。本明細書において、プロファイルとは、集光装置の横方向位置における側壁の断面の形状を指し、特に、それぞれ放物線形状または楕円形状であってもよく、またはそれらを含んでもよい。上述したように、非円錐形状を呈する逆作動の集光装置は、非円錐形の形状を有する中実体であってもよく、またはそれを含んでもよい。この場合、側壁のうちの少なくとも1つは、好ましくは、集光装置の表面から膨出するように構成され得るプロファイルを有することができる。上記でさらに示した代替例では、非円錐形状を呈する逆作動の集光装置は、非円錐形状を呈する少なくとも2つの側壁を有する中空体であってもよく、またはそれを含んでもよく、この代替例では、側壁の少なくとも1つは、好ましくは、中空体の表面に没入するように構成され得るプロファイルを呈してもよい。このさらなる好ましい実施形態の結果として、非円錐形状を呈する逆作動の集光装置の側壁の特定の形状は、さらに、より多くの光ビームが、可変長フィルタ上の所望の空間位置で可変長フィルタに到達することができるように導かれることを確実にし、それによって、本明細書に記載されるような分光計装置の効率をさらに向上させることができる。
【0051】
たとえば、US 2014/131578 A1に開示されているように、光学要素、特に、逆作動の集光装置は、好ましくは、可変長フィルタ、検出器アレイ、および任意選択で、分光計装置のさらなる光学要素とともに、分光計装置の共通の光軸に関して対称的に配置され得る。上記で既に定義したように、「光軸」という用語は、分光計装置、特に、逆作動の集光装置、可変長フィルタ、および検出器アレイの構成が、分光計システムに含まれる対称的な光学要素の回転に関して不変であり得る仮想線を指す。したがって、この特定の実施形態において、逆作動の集光装置、可変長フィルタ、検出器アレイ、および分光計装置の任意選択の少なくとも1つのさらなる光学要素のそれぞれは、上でさらに定義された対称形状を示すことができ、さらに、互いに対称的に配置することができる。逆作動の集光装置の対称的な配置と、他の場所でより詳細に説明されている可変長フィルタの構成の結果として、分光計装置の対称的な応答が、検出器アレイの片側で検出される可能性のある小さい波長と、検出器アレイの反対側で検出される可能性のある長い波長に対して期待され得る。
【0052】
これとは対照的に、本発明による分光計装置は、さらに好ましい実施形態では、非対称設計を有する逆作動の集光装置を含むことができる。以下の図でより詳細に示すように、この種の逆作動の集光装置は、特に入射光を反射するように適合された側壁を含む場合、
追加の光ビームがなおも可変長フィルタに導かれることを可能にすることによって、分光計装置の効率を高めるように設計され得、そこでは、非円錐形状の逆作動の集光装置の非対称設計は、それらの光ビームのみが、空間位置が指定された特定の波長を有する光ビームを受け取るように構成された空間位置で、可変長フィルタに到達することができることを確実にすることができる。
【0053】
同様の効果が、代替的または追加的に、光学要素、特に、非円錐形状の逆作動の集光装置を、それが対称設計を有するか、または非対称設計を有するかにかかわらず、分光計装置の光軸に関して非対称的に配置することによって、得ることができる。結果として、光学要素、可変長フィルタ、検出器アレイ、および任意選択的に分光計装置のさらなる光学要素の組み合わせは、したがって、特に対応するシェーンフリエ記法を使用することによって上記と同様の方法で表すことができる対称性の打破を示し得る。この目的のために、シェーンフリエ記法は、特に、対称群C4vを提供し、該対称群C4vは、回転軸を含む鏡面に対して360°/4=90°の角度の回転が保存される配置を指す。従って、この種の対称性の打破は、本発明による好ましい構成をもたらし得る。しかしながら、光学要素、可変長フィルタ、検出器アレイ、および任意選択的に分光計装置のさらなる光学要素のそれぞれの配置のさらなる対称性の打破の結果としての他の種類の非対称配置もまた、実現可能であり得る。
【0054】
非円錐形状の逆作動の集光装置が非対称設計を有し得るか、または非円錐形状の逆作動の集光装置が分光計装置の光軸に関して非対称に配置され得るかにかかわらず、分光計装置の応答は、もはや、検出器アレイの一方の側で検出可能な短い波長および検出器アレイの反対側で検出可能な長い波長に対して等しくなることは、もはや期待できない。しかしながら、この観察は、特に、白熱灯が照射源として使用され得る場合、分光計装置に特定の利点を示し得る。一般的に使用されるように、「白熱灯」という用語は、それが光、特に赤外光を発することができる温度に加熱することができる、加熱されるワイヤフィラメントなどの加熱可能要素を有する電灯を指す。白熱灯がしたがって赤外線スペクトル範囲内の熱エミッタと見なすことができるため、白熱灯の放射出力は、波長の増加に伴って減少する。さらに、典型的に、赤外スペクトル範囲内での吸収に使用できる既知の材料は、一般に、波長の増加に伴って吸収が増加する傾向を示す。さらに、すでに上で示したように、可変長フィルタ、特に線形可変フィルタのバンドパス幅は、通常、可変長フィルタのスペクトル範囲にわたって、1%などの一定値をとることができるため、バンドパス幅に反比例する可変長フィルタの分解能も、波長の増加とともに減少する。さらに、可変長フィルタの分解能は、一般に、可変長フィルタの中心波長に依存する。言及したすべての効果を組み合わせると、対称分光計装置では、分光計装置の応答は波長の増加に伴って減少する。
【0055】
しかし、本発明のさらに好ましい実施形態によれば、非対称設計を有する非円錐形状の逆作動の集光装置の使用、または、代替的または追加的に、分光計装置の光軸に関して非対称的に配置された非円錐形状の逆作動の集光装置の使用は、光ビームが逆作動の集光装置の入口から逆作動の集光装置を通って逆作動の集光装置の出口まで進行し得る経路の長さの調整を可能にし得る。その結果、構成または配置のいずれかで、非円錐形状の逆作動の集光装置の非対称性は、より短い波長を有する光ビームと比較して、より長い波長を有する光ビームに対してより短い経路を提供することを可能にし得、および、追加的にまたは代替として、光ビームは、可変長フィルタに垂直入射に近いように衝突し、それにより、効率がさらに向上し得る。結果として、さらに好ましい実施形態は、特に、より長い波長でより高い効率を可能にするように適合され得る分光計装置を提供することを容易にし得る。さらに、したがって、特により長い波長を有する光ビームと比較してより短い波長を有する光ビームのより長い経路のために、より短い波長における効率が低下するように見え得るが、この効果は、この種の配置では、一般に、上に示した白熱灯のより高い放射出力と、より短い波長でのより低いバンドパス幅により、勝られる。したがって、この種の配置は、特に赤外線スペクトル範囲において、既知の分光計装置と比較して、本発明による分光計装置の波長範囲にわたってより均等に分配され得る効率を分光計装置に与えるために使用され得る。
【0056】
したがって、本発明による非対称配置のこのさらに好ましい実施形態では、光学要素、特に非円錐形状の逆作動の集光装置は、上記の可変長フィルタの受信面に垂直な平面に対して傾斜させることができる。一般に使用されるように、「傾斜」という用語は、可変長フィルタの受信面に垂直な平面に対して集光装置の対称軸の傾斜を指す。光学要素の傾斜配置の結果として、非円錐形状の逆作動の集光装置の入射軸と射出瞳軸は、互いにシフトして平行であるか、シフトされているが平行ではないか、またはシフトされておらず、互いに対して平行ではないか、のいずれかであり得る。より好ましくは、集光装置は、光ビームが可変長フィルタの受信面に垂直に、入射光の特定の波長を受信するように割り当てられている可変長フィルタ上の空間位置で、可変長フィルタに衝突するような方式で、可変長フィルタの受信面に垂直なこの平面に対して傾斜され得る。代替として、集光装置は、さらなる光ビームがさらなる特定の波長を受信するために割り当てられた可変長フィルタ上のさらなる空間位置に衝突するように、さらなる方式でこの平面に対して傾けられてもよく、そこでは、さらなる特定の波長は入射光ビームの波長を超え、すなわち、さらなる特定の波長は可変長フィルタの表面に衝突するように向けられ得る入射光よりも長い波長を示す。
【0057】
したがって、入射光ビームは、固有の波長と比較して長い波長で可変長フィルタを通過する可能性があるが、この文書の他の場所でより詳細に説明されているような隙間によって分離された可変長フィルタと検出器アレイの間の相対配置に起因して、入射光ビームは、依然として、入射光ビームの特定の波長での入射光の強度を決定するために提供された特定の光センサに衝突し得る。結果として、この目的のために指定された可変長フィルタの空間位置で可変長フィルタの受信面に対して垂直に可変長フィルタに衝突する光ビームだけでなく、入射光ビームの波長よりも長い波長を受信するように割り当てられたさらなる空間位置で可変長フィルタに衝突し、しかしなおも入射光ビームの特定の波長を受信するように設計された特定の光センサに衝突する光ビームも、特定の個別のピクセルセンサの感光性領域によって生成される電気信号に寄与し得る。したがって、分光計装置の効率はこのようにしてさらに増加することができる。
【0058】
加えて、本発明による分光計装置は、さらに、逆作動の集光装置と可変長フィルタの間に特に配置することができる少なくとも1つの伝達装置を備えることができる。したがって、最も好ましくは、物体から出る光ビームは、最初に逆作動の集光装置を通過し、その後、可変長フィルタを通過し、最後に検出器アレイに衝突まで、伝達装置でまたは伝達装置を通過して、進行する。本明細書で使用する場合、「伝達装置」という用語は、したがって、逆に作動する集光装置から出てくる光ビームを検出器アレイに伝達するように構成され得る光学要素を指し得る。特定の実施形態では、伝達装置は、したがって、光ビームが可変長フィルタに案内される前に光ビームを成形するように設計され得る。
【0059】
特に、伝達装置は、光学レンズ、曲面ミラー、格子、および回折光学要素からなる群から選択されてもよい。より具体的には、光学レンズは、特に、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、非球面レンズ、円柱レンズおよびメニスカスレンズからなる群から選択されてもよい。これにより、伝達装置は、好ましくは上記のような可変長フィルタの波長範囲全体にわたって、少なくとも部分的に透明であり得る材料を含み得る。この目的のために、この点で述べたのと同じまたは類似の光学的に透明な材料を使用することもできる。しかしながら、さらなる光学要素も実現可能であり得る。
【0060】
本発明のさらなる態様では、分光計システムが開示されている。したがって、分光計システムは、
- 上記及び/又は以下でより詳細に説明される分光計装置;そして
- 分光計装置によって提供される検出器信号を評価することにより、物体のスペクトルに関連する情報を決定するように割り当てられた評価ユニット、
を含む。
【0061】
ここでは、上記列挙した分光計システムの構成要素は、個別の構成要素であり得る。あるいは、分光計システムの2つ以上の構成要素を単一の一体型構成要素に統合することができる。さらに、評価ユニットは、分光計装置から独立した個別の評価ユニットとして形成されてもよいが、好ましくは、特に分光計装置によって生成された検出器信号を受信するために、検出器アレイに接続されてもよい。あるいは、少なくとも1つの評価ユニットは、少なくとも1つの分光計装置に完全にまたは部分的に統合されてもよい。
【0062】
本発明によれば、分光計システムは、分光計装置および評価ユニットを備える。分光計装置に関しては、この文書の他の場所の説明を参照することができる。本明細書でさらに使用されるように、「評価ユニット」という用語は、一般に、所望の情報項目、すなわち、物体のスペクトルに関連する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価ユニットは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の集積回路、及び/又は1つ以上のコンピュータ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータなどの1つ以上のデータ処理装置、及び/又はマイクロコントローラ、であり得るか、またはそれらを含み得る。1つ以上の処理装置、及び/又は1つ以上のAD変換器などの検出器信号を受信及び/又は前処理するデータ取得装置、及び/又は1つ以上のフィルタなどの追加の構成要素が含まれ得る。本明細書で使用される場合、検出器信号は、分光計装置によって、特に、分光計装置の検出器アレイによって提供される。さらに、評価ユニットは、1つ以上のデータ記憶装置を含み得る。さらに、評価ユニットは、1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースなどの1つ以上のインターフェースを備えることができる。
【0063】
少なくとも1つの評価ユニットは、情報の項目を生成するステップを実行またはサポートする少なくとも1つのコンピュータプログラムなどの、少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するように適合され得る。一例として、センサ信号を入力変数として使用することによって、物体の位置への所定の変換を実行することができる1つ以上のアルゴリズムを実装することができる。この目的のために、評価ユニットは、特に、少なくとも1つのデータ処理装置、特に、検出器信号を評価することによって情報項目を生成するように設計された電子データ処理装置を備えることができる。したがって、評価ユニットは、検出器信号を入力変数として使用し、これらの入力変数を処理することによって物体のスペクトルに関する情報項目を生成するように設計される。処理は、並行に、逐次的に、または組み合わせでさえ行うことができる。評価ユニットは、計算によって、及び/又は少なくとも1つの保存された及び/又は既知の関係を使用することなどによって、これらの情報項目を生成する、任意のプロセスを使用することができる。検出器信号に加えて、1つ以上のさらなるパラメータ及び/又は情報項目、たとえば、分光計装置に含まれる光学要素、可変長フィルタ、および検出器アレイの相対配置に関する少なくとも1つの情報項目が、上記の関係に影響を与え得る。該関係は、経験的に、分析的に、または半経験的に決定されまたは決定され得る。特に好ましくは、該関係は、少なくとも1つの較正曲線、少なくとも1組の較正曲線、少なくとも1つの関数、または言及された可能性の組み合わせを含む。1つ以上の較正曲線は、例えば、値のセットおよびその関連する関数値の形で、例えば、データ記憶装置及び/又は表に記憶することができる。しかしながら、代替的または追加的に、少なくとも1つの較正曲線はまた、例えば、パラメータ化された形式で、及び/又は関数方程式として格納され得る。検出器信号を情報項目に処理するための別個の関係を使用することができる。あるいは、検出器信号を処理するための少なくとも1つの組み合わされた関係が実現可能である。さまざまな可能性が考えられ、組み合わせることもできる。
【0064】
例として、評価ユニットは、情報の項目を決定する目的でプログラミングに関して設計され得る。評価ユニットは、特に、少なくとも1つのコンピュータ、例えば少なくとも1つのマイクロコンピュータを含むことができる。さらに、評価ユニットは、1つ以上の揮発性または不揮発性データメモリを備えることができる。データ処理装置、特に少なくとも1つのコンピュータの代替として、またはそれに加えて、評価ユニットは、情報項目を決定するために設計された1つ以上のさらなる電子構成要素、例えば電子テーブル、特に少なくとも1つのルックアップテーブル及び/又は少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。
【0065】
さらに、評価ユニットは、例えば、少なくとも1つの照射源を制御するように、及び/又は分光計装置分光計の光学要素を制御するように、及び/又は検出器の少なくとも1つの変調装置を制御するように設計された評価ユニットにより、完全または部分的に分光計装置またはその一部を制御または駆動するように設計され得る。評価ユニットは、具体的に、複数の検出器信号、特に、検出器アレイの長さに沿って連続的に配置された個別のピクセル化センサの検出器信号、及び/又は照射の異なる変調周波数の検出器信号が収集される少なくとも1つの測定サイクルを実行するように設計され得る。ここでは、検出器信号の取得は、特に、行走査及び/又は線走査を使用することによって、順次実行され得る。しかしながら、他の実施形態、例えば、特に選択された個別のピクセルセンサが同時に記録される実施形態も可能である。
【0066】
特定の実施形態では、検出器は、したがって、照射を変調するための、好ましくは周期的変調のための少なくとも1つの変調装置、特に周期的ビーム遮断装置を有することができる。一般的に使用されるように、照射の変調は、照射の総出力が、好ましくは周期的に、特に1つ以上の変調周波数で変化する処理を含む。特に、照射の総出力の最大値と最小値の間で周期的な変調を行うことができる。最小値は0とすることもできるが、例として完全な変調を行う必要がないなど、0より大きくすることもできる。変調は、例えば、物体と検出器アレイとの間のビーム経路において、例えば前記ビーム経路に配置された変調装置によって行うことができる。しかしながら、代替的または追加的に、変調は、物体を照射するための任意の照射源と物体との間のビーム経路において、例えば、前記ビーム経路に配置された変調装置によって行うこともできる。これらの可能性の組み合わせも考えられる。例として、変調装置は、ビームチョッパーまたは他のタイプの周期的ビーム遮断装置、例えば、好ましくは一定速度で回転し、したがって照射を周期的に遮断できる少なくとも1つの遮断ブレードまたは遮断ホイールを含むことができる。しかしながら、代替的または追加的に、1つ以上の異なるタイプの変調装置、例えば電気光学効果及び/又は音響光学効果に基づく変調装置を使用することもできる。また代替的または追加的に、任意の照射源自体も、例えば、変調強度及び/又は変調総出力、例えば周期的に変調された総出力を有する照射源自体によって、及び/又はパルス照射源、例えばパルスレーザーとして具体化される照射源自体によって、変調照射を生成するように設計され得る。したがって、例として、変調装置は、全体的または部分的に照射源に統合することもできる。さまざまな可能性が考えられる。したがって、検出器アレイは、異なる変調周波数を有する異なる変調の場合に、少なくとも2つの検出器信号を検出するように設計され得る。評価装置は、2つ以上の検出器信号からのスペクトルに関連する情報を生成するように設計され得る。例として、検出器は、0.05Hz~1MHz、例えば0.1Hz~10kHzなどの周波数で物体の照射の変調をもたらすように設計され得る。
【0067】
本発明のさらなる態様では、本発明による分光計装置および分光計システムの使用が開示されている。そこでは、物体のスペクトルに関する情報を決定する目的の分光計装置および分光計システムの使用が提案されている。ここで、分光計装置および分光計システムは、好ましくは、以下の:赤外線検出用途;熱検出用途;温度計用途;熱探索用途;火炎検出用途;火災検知用途;煙検知用途;温度感知用途;及び、分光用途からなる群から選択される使用目的のために使用され得る。さらに、本発明による分光計装置および分光計システムは、好ましくは、排気ガスの監視、燃焼プロセスの監視、汚染の監視、工業プロセスの監視、化学プロセスの監視、食品処理プロセスの監視、水質の評価、及び/又は大気質の評価、に使用することができる。さらに、本発明による分光計装置および分光計システムは、品質管理、温度制御、運動制御、排気制御、ガス感知、ガス分析、運動感知、及び/又は化学感知に使用することができる。さらなる適用が可能である。
【0068】
上述の分光計装置、分光計システムおよび提案された使用は、従来技術に対して相当の利点を有する。したがって、一般に、物体のスペクトルに関連する情報を正確に決定するための、単純で、なおかつ効率的な分光計装置および分光計システムが提供され得る。そこでは、一例として、赤外線スペクトル範囲の一つの区分をカバーする物体の赤外線スペクトルを、高速かつ効率的な方法で取得することができる。当技術分野で知られている装置と比較して、ここで提案される分光計装置および分光計システムは、特に分光計装置の光学構造に関して、高度の単純さを提供する。ここで、分光計装置に含まれる、特定の光学要素、可変長フィルタ、および検出器アレイの組み合わせは、非円錐形状を有し、逆方向に作動する集光装置を含む特定の光学要素が、特に、現在利用可能なものより高い集光効率で物体からの入射光を捕捉し、可変長フィルタに入射光を伝達するように適合されているため、有利であり得る。この高度なシンプルさは、高解像度測定の可能性と組み合わせて、赤外線(IR)スペクトル領域、特に近赤外線(NIR)および中赤外線(MidIR)のスペクトル範囲での感知、検出、及び/又は監視用途、特に、熱、炎、火災、または煙の感知または検出、ならびに排気ガス、燃焼プロセス、汚染、工業プロセス、化学プロセス、食品加工プロセス、水質、または大気質の監視、に特に適している。さらなる適用が可能である。
【0069】
要約すると、本発明の文脈において、以下の実施形態は特に好ましいと見なされる。
【0070】
実施形態1:分光計装置であって、以下の:
- 物体からの入射光を受け取り、該入射光を可変長フィルタに伝達するように設計された光学要素であって、該光学要素は集光装置を含み、該集光装置は逆方向に作動し、該集光装置は非円錐形状を含む、光学要素;
- 入射光を構成波長信号のスペクトルに分離するために割り当てられた可変長フィルタ;そして、
- 複数のピクセル化センサを含む検出器アレイであって、各ピクセル化センサが構成波長信号の1つの少なくとも一部を受信するように適合され、構成波長信号のそれぞれは各構成波長の強度に関連する、検出器アレイ、
を含む、分光計装置。
【0071】
実施形態2:集光装置が、入射光を広げ、同時に光ビームの角拡散を低減するように逆方向に作動する、先行する実施形態による分光計装置。
【0072】
実施形態3:集光装置の非円錐形状が、放物線形状または楕円形状から選択される形状を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0073】
実施形態4:集光装置が、複合放物線集光器および複合楕円集光器を含む群から選択される、先行する実施形態による分光計装置。
【0074】
実施形態5:集光装置は、分光計装置の光軸に対して非対称の設計を有している、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0075】
実施形態6:逆方向に作動する集光装置が、入射瞳および射出瞳を含み、入射瞳によって定義される入射面と射出瞳によって定義される射出面は平行でない、先行する実施形態による分光計装置。
【0076】
実施形態7:集光装置が反転対称性および2回回転軸のみを含む、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0077】
実施形態8:集光装置が、回転対称性を示さない、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0078】
実施形態9:集光装置は、単一の鏡面のみを含むか、鏡面を含まない、先行するの4つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0079】
実施形態10:集光装置が、分光計装置の光軸に対して非対称に配置されている、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0080】
実施形態11:集光装置の非円錐形状は、可変長フィルタに対して非対称に配置されている、先行する実施形態による分光計装置。
【0081】
実施形態12:逆方向に作動する集光装置と可変長フィルタのそれぞれの配置は、単一の鏡面のみを含むか、鏡面を含まない、先行する実施形態による分光計装置。
【0082】
実施形態13:逆方向に作動する集光装置と可変長フィルタのそれぞれの配置は、回転対称性を示さない、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0083】
実施形態14:集光装置は、可変長フィルタの受信面に垂直な平面に対して傾斜している、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0084】
実施形態15:集光装置は、可変長フィルタに伝達される入射光が、入射光の波長を受けるように設計された可変長フィルタの空間位置で可変長フィルタの受信面に垂直に可変長フィルタに衝突するように、及び/又は、入射光の波長を超えるさらなる波長を受けるように設計された可変長フィルタのさらなる空間位置に衝突するように、可変長フィルタの受信面に垂直な面に対して傾斜されている、先行する実施形態による分光計装置。
【0085】
実施形態16:集光装置は、光学的に透明な材料の中実体であり得るか、またはそれを含む、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0086】
実施形態17:光学的に透明な材料が、フッ化カルシウム(CaF2)、溶融シリカ、ゲルマニウム、フッ化マグネシウム(MgF)、臭化カリウム(KBr)、サファイア、シリコン、塩化ナトリウム(NaCl)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、ホウケイ酸クラウンガラス、透明導電性酸化物(TCO)、及び、透明有機ポリマー、からなる群から選択される、先行する実施形態による分光計装置。
【0087】
実施形態18:集光装置が中空体であるか、または中空体を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0088】
実施形態19:中空体に真空が存在する、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0089】
実施形態20:中空体が、気体及び/又は流体の光学的に透明な材料で満たされている、先行する実施形態による分光計装置。
【0090】
実施形態21:中空の本体が、ガス及び/又は流体の光学的に透明な材料で完全に及び/又は均一に満たされている、先行する実施形態による分光計装置。
【0091】
実施形態22:ガス状の光学的に透明な材料が、周囲空気、窒素ガスまたは二酸化炭素から選択される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0092】
実施形態23:流体の光学的に透明な材料が、液浸油またはカナダバルサムから選択される、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0093】
実施形態24:集光装置が、少なくとも2つの個別の側壁を有する、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0094】
実施形態25:側壁は、入射光を反射するように適合されている、先行する実施形態による分光計装置。
【0095】
実施形態26:集光装置は、集光装置に閉じた形状を提供するように適合されているベースプレートとカバープレートとをさらに備える、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0096】
実施形態27:閉じた形状は、集光装置の側壁のいずれか一方とベースプレートまたはカバープレートのいずれか一方との間の交差線における少なくとも4つのコーナーラインを含む、先行する実施形態による分光計装置。
【0097】
実施形態28:集光装置の側壁の少なくとも1つは、丸みを帯びた側壁として設計される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0098】
実施形態29:集光装置の丸みを帯びた側壁の少なくとも1つは放物線プロファイルまたは楕円形プロファイルから選択されるプロファイルを含む、先行する実施形態よる分光計装置。
【0099】
実施形態30:側壁の少なくとも1つは、光学的に透明な材料の完全な本体であるかまたはそれを含む集光装置の表面から突出するプロファイルを仮定し、又は、側壁の少なくとも1つは、集光装置の中空体の表面に侵入するプロファイルを仮定する、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0100】
実施形態31:検出器アレイが透明な隙間を介して可変長フィルタから分離されている、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0101】
実施形態32:透明な隙間が、2つの対向する側を有する拡張透明体によって得られ、可変長フィルタを構成する複数の干渉フィルタが第1の側に配置され、検出器アレイを構成するピクセル化センサが第1の側と反対の第2の側に配置されている、先行する実施形態よる分光計装置。
【0102】
実施形態33:ピクセル化センサが、ピクセル化された有機カメラ要素、好ましくはピクセル化された有機カメラチップ;光伝導体アレイ、特に無機光伝導体アレイ、特にPbS、PbSe、Ge、InGaAs、ext.InGaAs、InSb、またはHgCdTe光伝導体アレイ;焦電、ボロメータ、またはサーモパイルアレイ;ピクセル化無機カメラ要素、好ましくはピクセル化無機カメラチップ、より好ましくはCCDチップまたはCMOSチップ;モノクロカメラ要素、好ましくはモノクロカメラチップ;FiPセンサ、のうちの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0103】
実施形態34:入射光が760nm~1000μm(赤外線スペクトル範囲)の電磁放射を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0104】
実施形態35:入射光が1μm~5μmの電磁放射を含む、先行する実施形態よる分光計装置。
【0105】
実施形態36:入射光が1μm~3μmの電磁放射を含む、先行する実施形態よる分光計装置。
【0106】
実施形態37:物体を照射するように適合された照射源をさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0107】
実施形態38:照射源は、分光計装置に統合または取り付けられる、先行する実施形態よる分光計装置。
【0108】
実施形態39:照射源が、少なくとも部分的に物体に接続され、及び/又は、少なくとも部分的に物体と同一である照射源;一次放射によって物体を少なくとも部分的に照射するように設計された照射源、から選択される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0109】
実施形態40:光ビームは、物体上の一次放射の反射によって生成され、及び/又は、一次放射によって刺激された物体自体による発光によって生成される、先行する実施形態よる分光計装置。
【0110】
実施形態41:検出器アレイのスペクトル感度は、照射源のスペクトル範囲によってカバーされている、先行する実施形態よる分光計装置。
【0111】
実施形態42:照射源が、白熱灯;炎源;熱源;レーザ、特にレーザダイオード;発光ダイオード;有機光源、特に有機発光ダイオード;ネオンライト;構造化された光源、の少なくとも1つから選択される、先行する4つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0112】
実施形態43:伝達装置をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0113】
実施形態44:伝達装置が収束光学要素を構成しまたは有し、収束要素は、入射光の波長範囲の少なくとも1つの区分に関して少なくとも部分的に光学的に透明である、先行する実施形態よる分光計装置。
【0114】
実施形態45:収束光学要素が、収束光学レンズ、収束回折光学要素および収束曲面鏡、からなる群から選択される、先行する実施形態よる分光計装置。
【0115】
実施形態46:伝達装置が集光装置と可変長フィルタとの間に配置される、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる分光計装置。
【0116】
実施形態47:分光計システムであって、
- 先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置;および、
- 分光計装置によって提供される検出器信号を評価することにより、物体のスペクトルに関する情報を決定するように割り当てられた評価ユニット、
を有する、分光計システム。
【0117】
実施形態48:評価装置が、検出器アレイ内のピクセル化センサの位置と、入射光の波長と、ピクセル化センサの信号の間の少なくとも1つの所定の関係から物体のスペクトルに関する情報を生成するように設計されている、先行する実施形態による分光計システム。
【0118】
実施形態49:検出器信号が、少なくとも1つの電流電圧測定及び/又は少なくとも1つの電圧電流測定を実行することによって生成される、先行する実施形態による分光計システム。
【0119】
実施形態50:物体を照射するように適合された照射源をさらに備える、分光計システムに関する先行する実施形態のいずれか1つによる分光計システム。
【0120】
実施形態51:照射源が、炎源;熱源;レーザ、特にレーザダイオード;発光ダイオード;有機光源、特に有機発光ダイオード;ネオンライト;構造化された光源、の少なくとも1つから選択される、先行する実施形態による分光計システム。
【0121】
実施形態52:赤外線検出用途;熱検出用途;温度計用途;熱探索用途;火炎検出用途;火災検出用途;煙検出用途;温度感知用途;分光用途;排気ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業プロセス監視用途;化学プロセス監視用途;食品加工プロセス監視用途;水質監視用途;大気質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;運動制御用途;排気制御用途;ガス感知用途;ガス分析用途;運動感知用途;化学感知用途、における先行する実施形態のいずれか1つによる分光計装置または分光計システムの使用。
【図面の簡単な説明】
【0122】
本発明のさらなる任意の詳細および特徴は、従属請求項に関連して、後続の好ましい例示的な実施形態の説明により明らかである。この文脈において、特定の機能は、単独で、または機能を組み合わせて実現されてよい。本発明の範囲は、例示的な実施形態に制限されない。例示的な実施形態は、図に概略的に示されている。個々の図中の同一の参照番号は、同一の要素またはそれらの機能に関して互いに対応する要素を指す。
【0123】
具体的には、図では:
【
図1】本発明による分光計装置を含む分光計システムの例示的な実施形態を示す。
【
図2】集光装置の好ましい非円錐形状の2つの例示的な実施形態の上面図を示す。
【
図3】集光装置の側壁の好ましいプロファイルの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図4】非対称配置で集光装置を使用する分光計装置のさらなる例示的な実施形態の上面図を示す;および
【
図5】集光装置のそれぞれ対称配置(
図5A)および非対称配置(
図5B)における光透過率の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0124】
図1は、本発明による分光計装置112を備える分光計システム110の例示的な実施形態を非常に概略的な方法で示している。一般的に使用されるように、分光計装置112は、スペクトルまたはその区分として表される波長範囲にわたって、入射光114の対応する波長または波長間隔に関して、入射光114の信号強度を記録することができる装置である。本発明によれば、分光計装置112は、特に、赤外線(IR)スペクトル領域、好ましくは近赤外線(NIR)および中赤外線(MidIR)スペクトル範囲のスペクトルを記録するように適合されることができ、特に、入射光の波長が1μm~5μm、好ましくは1μm~3μmであり、したがって、熱、炎、火災、または煙の検出に適用されることができ、さらなる用途も実現可能である。ここで、入射光114は、生き物または一つ以上の物品及び/又は一つ以上の物品の部分を含む非生物であり得る物体116によって生成され得、該一つ以上の物品及び/又は該一つ以上の物品の部分は、IR、特にNIRスペクトル領域での調査に適切であり得るスペクトルを提供することができる。
【0125】
図1に概略的に示される例示的な分光計装置112は、可変長フィルタの好ましい例として線形可変フィルタ118を含む。ここで、線形可変フィルタ118は入射光114を構成波長信号のスペクトルに分離するように割り当てられ、検出器アレイ120は受信波長信号のそれぞれの強度を決定するように設計され、および光学要素122は、物体116からの入射光114を受け、線形可変フィルタ118に伝達するように割り当てられている。
【0126】
本発明によれば、光学要素122は、集光装置124を含み、該集光装置は、逆方向126に作動し、逆作動の集光装置124は、非円錐形状128を含む。ここで、逆作動の集光装置124は、入力130、光ガイド構造132、および出力134を備える。その結果、物体116によって放射または反射されるか、または物体116を通過し得る入射光114は、入射光114を受信するように設計された入力130で逆作動の集光装置124に入る。その後、入力130によって捕捉された入射光114は、好ましくは、入射光114を広げるように設計された光ガイド構造132を通過する。最後に、このようにして広げられた入射光114は、この目的のために割り当てられた出力134によって放出される。したがって、出力134で放出される光ビームの角拡散は、同時に、入射光114の角拡散と比較して低減することができる。結果として、逆作動の集光装置124は、逆作動の集光装置124の出力134で放射される光が減少された角拡散を示すように、物体116によって提供された入射光114を修正することを可能にする。
【0127】
その結果、逆作動の集光装置124の出力134によって提供される光ビームの主な割合は、平行に線形可変フィルタ118に衝突し、特に、線形可変フィルタ118の受信面136に垂直に衝突する。この例示的な実施形態で使用されるように、線形可変フィルタ118は、好ましくは干渉フィルタの連続配置で提供される複数の干渉フィルタを有する光学フィルタであるか、またはそれを含む。ここで、干渉フィルタのそれぞれは、可変中心波長が空間位置138の線形関数であり得る方式で、線形可変フィルタ118の受信面136上の各空間位置138で、可変中心波長を有するバンドパスを形成し得る。
図1に例示的に示すように、線形可変フィルタ118は、したがって、一次元に沿って、通常は線形可変フィルタ118の「長さ」に沿って、好ましくは連続的に、配置され得る。例として、線形可変フィルタ118は、透明基板142上に少なくとも1つの応答コーティング140を担持するウェッジフィルタとすることができ、該応答コーティング140は、空間可変特性、特に空間可変厚さ(ここでは図示せず)を示すことができる。ここで、透明基板142は、IRスペクトル範囲で高度の光学的透明性を示すことができる少なくとも1つの材料を含むことができ、該材料は、好ましくはフッ化カルシウム(CaF
2)、溶融シリカ、ゲルマニウム、フッ化マグネシウム(MgF)、臭化カリウム(KBr)、サファイア、シリコン、塩化ナトリウム(NaCl)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、ホウケイ酸-クラウンガラス、透明導電性酸化物(TCO)、および透明有機ポリマーからなる群から選択することができ、ここで、CaF
2、溶融シリカ、MgF、KBr、サファイア、NaCl、ZnSe、ZnS、ホウケイ酸塩-クラウンガラス、透明導電性酸化物、および選択された透明有機ポリマーは、特に、NIRスペクトル範囲に適用することができる。しかしながら、線形可変フィルタ118の他の実施形態も実現可能であり得る。しかしながら、他の種類の可変長フィルタもまた、本発明の目的のために実現可能であり得る。
【0128】
線形可変フィルタ118は、入射光114を構成波長信号のスペクトルに分離するように割り当てられている。この目的のために、入射光114は、好ましくは、入射光114の波長に関連する特定の空間位置138で線形可変フィルタ118を通過することができる。入射光114は、入射光114の波長に関連する特定の空間位置138で線形可変フィルタ118を通過した後、続いて、検出器アレイ120、具体的には検出器アレイ120に含まれるに複数のピクセル化センサ144のうちの1つに衝突する。したがって、ピクセル化センサ144のそれぞれは、上述のように線形可変フィルタ118を通過した後に、入射光114によって提供される構成波長信号の1つの少なくとも一部を受け取る。さらに、各ピクセル化センサ144は、各構成波長の強度に関連する検出器信号を提供するように適合されている。言い換えると、分光計装置112は、したがって、構成波長信号に基づいて複数の検出器信号を生成するように割り当てられ、各検出器信号は、スペクトルの各構成波長の強度に関連している。
【0129】
図1にさらに示されるように、検出器アレイ120は、好ましくは、透明な隙間146によって線形可変フィルタ118から分離されることができ、透明な隙間146は、例として、透明基板142を使用することによって得られる。その結果、透明な隙間146に適切な幅を選択することにより、線形可変フィルタ118に関する検出器アレイ120のより正確な調整が、実現され得る。以下により詳細に示されるように、透明な隙間146を調整することは、分光計装置112の効率をさらに増加させることを可能にし得る。
【0130】
複数の検出器信号は、
図1に概略的に示されるように、信号リード線148を介して、分光計装置112に加えて分光計システム110に含まれ得る評価ユニット150に、送信され得る。ここで、評価ユニット150は、一般に、分光計装置112の検出器アレイ120によって提供される複数の検出器信号を評価することによって、物体116のスペクトルに関する情報を決定するように割り当てられる。この目的のために、評価ユニット150は、信号評価ユニット152によって象徴的に示されている、1つ以上の電子装置及び/又は1つ以上のソフトウェアコンポーネントを、複数の検出器信号を評価するために含み得る。ここで、評価ユニット150は、2つ以上の検出器信号を比較することにより、物体116のスペクトルに関する少なくとも1つの情報項目を決定するように適合され得る。
【0131】
分光計装置112の光学要素122によって受け取られる入射光114は、発光する物体116によって生成され得る。代替的または追加的に、入射光114は、周囲光源及び/又は人工光源、特に白熱灯156を含み得る別個の照射源154によって生成されることができ、該光源は、入射光114が光学要素122によって受けられるように構成されるように、照射源154によって生成された光の少なくとも一部が物体116を通過する方式で(ここでは図示せず)、及び/又は、物体116が照射源154によって生成された光の少なくとも一部を反射し得る方式で、物体116を照射するように割り当てられ得る。ここで、照明源154は、連続的に発光する光源及び/又は変調された光源であるか、またはそれらを含み得る。
図1にさらに示されるように、照射源154は、必要に応じて変調された光を提供するように適合され得る、少なくとも1つの照射制御ユニット158によって制御され得る。ここで、照射制御ユニット158は、さらに、信号評価ユニット152に照射に関する情報を提供することができ、及び/又は、信号評価ユニット152によって制御されることができ、これは、
図1の照射制御ユニット158と信号評価ユニット152との間の接続によって象徴的に示される。代替的または追加的に、物体116の照射の制御は、照射源154と物体116との間、及び/又は物体116と光学要素122との間のビーム経路で行われてもよい。さらなる可能性が考えられる。
【0132】
一般に、評価ユニット150は、データ処理装置160の一部であってもよく、及び/又は1つ以上のデータ処理装置160を備えていてもよい。評価ユニット150は、少なくとも分光計装置112を有するハウジング162に完全にまたは部分的に統合されてもよく、及び/又は、無線または有線で分光計装置112に電気的に接続され得る別個の装置として完全または部分的に具体化されてもよい。評価ユニット150は、1つ以上の測定ユニット及び/又は1つ以上の評価ユニット及び/又は1つ以上の制御ユニット(ここでは図示せず)などの、1つ以上の電子ハードウェアコンポーネント及び/又は1つ以上のソフトウェアコンポーネントなどの1つ以上の追加コンポーネントをさらに含むことができる。
【0133】
図1の例示的な実施形態にさらに示されるように、分光計装置112は、光学要素122、線形可変フィルタ118、および検出器アレイ120を含み、これらは、この特定の実施形態では、分光計装置112の光軸164に沿って配置されている。具体的には、光軸164は、光学要素122、線形可変フィルタ118、および検出器アレイ120のうちの少なくとも1つの構成の対称軸及び/又は回転軸であってよい。特に、光軸164は、したがって、線形可変フィルタ118の受信面136に垂直な平面に平行であってよい。さらに、光学要素122、線形可変フィルタ118、および検出器アレイ120は、好ましくは、少なくとも分光計装置112を有するハウジング162内に配置され得る。
【0134】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの伝達装置(ここでは図示せず)、特に屈折レンズが、さらに、光学要素122と線形可変フィルタ118との間に配置されてもよい。しかしながら、
図1の特定の実施形態において、光学要素122は円錐形状128を備える逆作動の集光装置124の形で実装されるため、光学要素122のこの実装が、特に線形可変フィルタ118の受信面136に垂直な線形可変フィルタ118に垂直に衝突し得る平行な光ビームの主な割合を提供することに関して、伝達装置特に屈折レンズの機能を同時に引き継ぐことができることにより、伝達装置特に屈折レンズの使用は、伝達装置特に屈折レンズの使用は不要と思われる。
【0135】
図2Aおよび2Bは、逆作動の集光装置124の好ましい非円錐形状128の2つの例示的な実施形態の上面図を示す。
図2Aは、集光装置124の非円錐形状128が放物線形状168を含む複合放物線集光器166を概略的に示し、
図2Bは、集光装置124の非円錐形状128が楕円形状172を含む複合楕円集光器170を概略的に示す。しかし、逆作動の集光装置124は、非円錐であるさらなる形状を呈し得る。
【0136】
ここで、逆作動の集光装置124は、集光装置124の反射率を高めるために、IRスペクトル範囲で高い光透過率を有する透明な光学材料の中実体(ここでは図示せず)の形態で提供され得る。特に、逆作動の集光装置124は、好ましくは、IRスペクトル範囲において高度の光学的透明度を有する少なくとも部分的に光学的に透明な材料の中実体で提供されることができ、該材料は、フッ化カルシウム(CaF2)、溶融シリカ、ゲルマニウム、フッ化マグネシウム(MgF)、臭化カリウム(KBr)、サファイア、シリコン、塩化ナトリウム(NaCl)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、ホウケイ酸塩クラウンガラス、透明導電性酸化物(TCO)、および透明有機ポリマーからなる群から選択することができ、そこでは、CaF2、溶融シリカ、MgF、KBr、サファイア、NaCl、ZnSe、ZnS、ホウケイ酸-クラウンガラス、透明導電性酸化物、および選択した透明有機ポリマーが、特に、NIRスペクトル範囲に適用可能であり、高屈折率を有するシリコンおよびゲルマニウムは、中実体の側壁で発生し得る全反射をサポートすることができるため、特に好ましい。
【0137】
しかしながら、
図2Aおよび2Bにさらに示されるように、逆作動の集光装置124は、代替として、所望の非円錐形状、特に、
図2Aの放物線形状168または
図2Bの楕円形状172を構成するように、集光装置124の縦方向軸に対して横方向に配置され得る、2つの対向する個別の側壁176を有する中空体174の形態で、提供されてもよい。横方向位置に配置される2つの対向する個別の側壁176に加えて、集光装置124は、集光装置124に閉じた形状を提供するために、ベースプレートおよびカバープレート(両方ともここでは図示せず)をさらに含んでもよい。その結果、集光装置124の形状は、側壁176のいずれか1つと集光装置124のベースプレートまたはカバープレートのいずれか1つとの間の交差線における少なくとも4つのコーナーラインを含む。この場合も、逆作動の集光装置124は、異なる形状を、この異なる形状が非円錐形状である限り、呈することができる。この目的のために、ベースプレート、カバープレート及び所望の非円錐形状128を示す2つの個別の側壁176を有する中空体174は、逆方向126で作動する集光装置124として適用できるようにするために、真空を含むか、または、気体及び/又は流体の光学的に透明な材料によって、特に周囲空気、窒素ガス、二酸化炭素、浸油、またはカナダバルサムから選択される気体及び/又は流体の光学的に透明な材料によって、好ましくは完全に及び/又は均一に充填されていてもよい。
【0138】
様々な実施形態では、逆作動の集光装置124を構成する中空体174の側壁176の少なくとも1つは、主に平行に線形可変フィルタ118に最終的に衝突するように入射光を導くことができる経路から高度に逸脱する可能性がある入射光114のそのような波長を吸収するように適合された側壁(ここでは図示せず)として設計され得る。しかし、中空体174のこのような種類の側壁は、入射光114の吸収シェアが線形可変フィルタ118を通過して最終的には検出器アレイ120に到達することを妨げられ、したがって、検出器信号に寄与しなくなり得るため、分光計装置112の効率を低下させる可能性がある。
【0139】
したがって、
図2Aおよび2Bに示されるような特に好ましい実施形態では、逆作動の集光装置124を構成する中空本体165の側壁176の少なくとも1つは、入射光114を反射するように適合された反射性側壁178として割り当てられ得る。結果として、反射性側壁178は、したがって、追加の光ビーム180が反射性側壁178での反射によって線形可変フィルタ118に案内され、続いて、そこでそれらが検出器信号にさらに寄与し得る検出器アレイ120に案内されることを可能にすることにより、分光計装置112の効率を増加させることができる。その結果、逆作動の集光装置124を実装する中空体174を画定することができる反射性側壁178を設けることにより、したがって、特に信号対雑音比を低減することによって、分光計装置112の効率をさらに高めることができる。
【0140】
さらに、
図3Aから
図3Dは、本発明による逆作動の集光装置124の縦方向軸に対して横方向位置に配置された個別の側壁176の好ましいプロファイル182の例示的な実施形態の側面図を示す。ここに示されるように、個別の側壁176、特に反射性の側壁176は、分光計装置112の効率をさらに向上させるために、丸みを帯びた側壁である。これにより、個別の側壁166の各々のプロファイル183は、好ましくは、
図3A及び3Cに示されるような放物線プロファイル184から、又は
図3B及び3Dに示されるような楕円形のプロファイルから選択されることができる。ここで、丸みを帯びた側壁は、
図3A及び3Bに示されるように、逆作動の集光装置124を構成し得る中空体174の表面に没入し得る没入プロファイル188を呈することができる。
図3Cおよび3Dに概略的に示される代替としては、丸みを帯びた側壁は、集光装置124が、より詳細に他の箇所で説明されるように、光学的に透明な材料の中実体192であるか、またはそれを含み得るときに、集光装置124の表面から膨出し得る膨出プロファイル190を呈してもよい。しかしながら、
図3Aから
図3Dに示されるような更なる代替も、本発明による逆作動の集光装置124の側壁176に適用可能である。ここで、集光装置124の側壁176は、均一な形状であってもよく、または異なる位置で異なるタイプの形状を含んでもよい。具体的に、集光装置124の対向する側壁は、同じ方式で、または代替として、異なる方式で実装されてもよい。例として、集光装置124の側壁176の1つが、第1の種類のプロファイルを含むことができ、一方、集光装置124の対向する側壁176は、第1の種類のプロファイルとは異なる第2の種類のプロファイルを含むことができる。
【0141】
さらに、
図4Aは、本発明による分光計装置112のさらなる例示的な実施形態の上面図を概略的に示す。分光計装置112の光軸164に沿って光学要素122、線形可変フィルタ118、および検出器アレイ120の対称配置を想定する
図1の分光計装置112の例示的実施形態とは対照的に、
図4Aに示される分光計装置112の光学要素122は非対称配置200を呈する。
【0142】
さらに、特に光学レンズ、曲面ミラー、格子、または回折光学要素であり得る伝達装置(ここでは図示せず)は、逆作動の集光装置124と長さ線形可変フィルタ118の間に配置され得る。好ましくは、光学レンズは、特に、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、非球面レンズ、円柱レンズおよびメニスカスレンズからなる群から選択され得る。しかしながら、他の種類の伝達装置も実現可能であり得る。
【0143】
したがって、本発明に従って、逆方向126に配置され、非円錐形状128を有する集光装置124の形態で提供される光学要素122の対称軸202は、上記のように、線形可変フィルタ118の受信面136に垂直な平面に平行な分光計装置112の光軸164に対して角度αだけ傾斜している。ここで、角度αは、線形可変フィルタ118の受信面136に対して垂直に、入射光114の波長を受けるように設計された線形可変フィルタ118の空間位置138で線形可変フィルタ118に衝突する、線形可変フィルタ118に伝達される入射光114だけではなく、さらに、入射光114の波長を超えるさらなる波長を受けるように設計された線形可変フィルタ118のさらなる空間位置138’で線形可変フィルタ118に衝突する、線形可変フィルタ118に伝達される入射光114をも考慮して選択される。
【0144】
したがって、光ビーム180は、固有の波長と比較してより長い波長で線形可変フィルタ118を通過し得るが、線形可変フィルタ118と検出器アレイ120との間の相対配置、それはこの文書の他のところでより詳細に説明されているように透明な隙間146によって分離されている相対配置のため、光ビーム180は、依然として、入射光ビーム114の特定の波長での入射光の強度を決定するために提供される特定のピクセル化センサ144に衝突することができる。その結果、この目的のために割り当てられた線形可変フィルタ118上の空間位置138で線形可変フィルタ118の受信面136に垂直に線形可変フィルタ118に衝突する光ビーム180だけでなく、入射光114の波長と比較してより長い波長を受け取るように割り当てられたさらなる空間位置138’で線形可変フィルタ118に衝突する光ビーム180’が、依然としてなお、入射光114の特定の波長を受け取るように設計された同じ特定のピクセル化センサ144に衝突する。その結果、光ビーム180’も、したがって、特定の個別のピクセル化センサ144によって生成される電気信号に寄与することができ、それによって分光計装置112の効率をさらに高めることができる。
【0145】
図4Bの上面図に概略的に示されるように、
図4Aに示されるような分光計装置112内の光学要素122の非対称配置200は、さらなる利点を提供し得る。ここに示されるように、3つの異なる波長を有する3つの異なる光ビーム180、180’、180”のそれぞれは、検出器アレイ120の対応するピクセル化センサ144において、定義された許容レベル内で波長に関係なく同じ強度を有する検出器信号204、204’、204”を生成し得る。この利点は、白熱灯156を、IRスペクトル範囲内の熱エミッタと見なすことができ、したがって、波長の増加とともに減少する放射出力を示す照射源158として使用するときにさえ達成することができる。しかしながら、この効果は、光学要素122の非対称配置200に勝られ得、該非対称配置では、より長い波長を有する光ビーム180”と比較して、より短い波長を有する光ビーム180のためのより長い経路が提供され得る。
【0146】
さらに、ピクセル化センサ144における光ビーム180、180’、180”の強度に影響を及ぼし得るさらなる効果は、このように勝られる可能性がある。特に、既知のIR吸収材料は、波長の増加と共に吸収が増加する傾向を示す。さらに、線形可変フィルタ118のバンドパス幅は、通常、線形可変フィルタ118のスペクトル範囲にわたって1%などの一定値をとるため、バンドパス幅に反比例する線形可変フィルタ118の分解能は、波長の増加に伴い減少する。さらに、線形可変フィルタ118の分解能は、一般に、線形可変フィルタの中心波長に依存する。しかしながら、白熱灯156のより高い放射出力およびより短い波長でのより低いバンドパス幅が、波長範囲にわたってより均等に分散される分光計装置112の効率をもたらし得る一方で、光学要素122の非対称配置200は分光計装置112がより長い波長に対してより受容的であるのを助長する。
【0147】
分光計装置112の効率は、逆作動の集光装置の側壁176の少なくとも1つが反射性側壁178である場合に、さらに増加され得る。
図4Bに概略的に示されるように、反射性側壁178は、追加の光ビーム180
*を、反射性側壁178での反射により、線形可変フィルタ118へ、続いてさらにそれらが検出器信号に寄与し得る検出器アレイ120へ導くことを可能にし得る。しかしながら、
図4Aおよび4Bに示される分光計装置112の例示的な実施形態は、吸収性側壁(ここでは図示せず)を用いてでも実装され得る。
【0148】
図5Aおよび5Bはそれぞれ、透過率の変動を概略的に示し、透過率は、分光計装置112の線形可変フィルタ118を通る入射光114の透過後の対応する透過ピーク206の波長λ[nm]の関数として、それぞれのシミュレーションによって、透過ピーク206の相対強度I/I
0によって定義され得る。ここで、例えば
図1、2Aおよび2Bに示されるような分光計装置112の光軸164に関する集光装置124の対称配置208が、
図5Aの透過ピーク206を決定するために選択され、一方、
図4Aおよび4Bに示されるような集光装置124の非対称配置200が、
図5Bに示される透過ピーク206を得るために使用された。
【0149】
集光装置124の非対称配置200の結果として、透過ピーク206の相対強度I/I
0の最大値、およびそれらの角度αの焦点の、より長い波長へのシフトが観察され得る。さらに、透過ピーク206は、
図5Aの対称配置208における半値のピーク幅210'と比較して、
図5Bの非対称配置200においては、より小さいピーク幅210、特に、半値のピーク幅210を有するように見え、その結果、非対称配置200におけるバンドパス幅の減少をもたらす。例として、半値でのピーク幅210、したがって、バンドパス幅は、最も長い波長を有する透過ピーク212について約5%減少することができる。さらに、それぞれの分光計装置112で完全に取得することができるスペクトルは、したがって、
図5Aで使用されるような対称配置208における1270nm~2340nmの第1のスペクトル範囲214から、
図5Bで使用されるような非対称配置200における1230nm~2390nmの第2のスペクトル範囲216まで、わずかに増加すると推定することができる。
【0150】
要約すると、透過率は、集光装置124の対称配置208と比較して、非対称配置200では、より長い波長に向かってより強く増加し、また、より小さい波長に向かってより強く減少し、したがって、分光計装置112は、より長い波長のためのより高い受信を示すことを容易にする。しかしながら、上記のように、この効果は、より高い放射出力を有する白熱灯156を使用することによって容易に勝られることができ、それにより、結局、その波長範囲にわたってより均等に分配され得る効率を有する分光計装置112がこのように提供され得る。
【符号の説明】
【0151】
110 分光計システム
112 分光計装置
114 入射光
116 物体
118 可変長フィルタの好ましい例としての線形可変フィルタ
120 検出器アレイ
122 光学要素
124 逆作動の集光装置
126 逆方向
128 非円錐形状
130 入力
132 ガイド構造
134 出力
136 受信面
138,138’ 空間位置
140 応答コーティング
142 透明基板
144 ピクセル化センサ
146 透明な隙間
148 信号リード線
150 評価ユニット
152 信号評価ユニット
154 照射源
156 白熱灯
158 照射制御ユニット
160 データ取得装置
162 ハウジング
164 光軸
166 複合パラボラ集光器
168 放物線形状
170 複合楕円集光器
172 楕円形状
174 中空体
176 個別の側壁
178 反射性側壁
180,180’,180’’,180* 光ビーム
182 プロファイル
184 放物線プロファイル
186 楕円形プロファイル
188 侵入プロファイル
190 突出プロファイル
192 中実体
200 非対称配置
202 対称軸
204 検出器信号
206 透過ピーク
208 対称配置
210,210’ ピーク幅(半値)
212 最も長い波長を有する透過ピーク
214 第1のスペクトル範囲
216 第2のスペクトル範囲