(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】携帯デバイス、包絡線追跡システム、及び携帯デバイスにおける無線周波数信号増幅の方法
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20250210BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20250210BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
H03F1/02 111
H03F3/24
H04B1/04 R
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021087386
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2024-05-10
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】リャリン、 アレクセイ エー.
(72)【発明者】
【氏名】スー、 ヒュイミン
(72)【発明者】
【氏名】ファラバッシュ、 シェイアン
(72)【発明者】
【氏名】パラスカス、 ジョルジオ
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0083578(US,A1)
【文献】特開2018-74560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0076772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
H04B 1/02-1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯デバイスであって、
無線周波数信号を発生させるべく構成される送受信器と、
前記無線周波数信号の包絡線に関連して変化する電力増幅器供給電圧を発生させるべく構成される包絡線追跡器を含む電力管理システムと、
前記無線周波数信号を増幅するとともに前記電力増幅器供給電圧から電力を受けるべく構成される電力増幅器を含むフロントエンドシステムと
を含み、
前記電力増幅器は、
基準電流を受けるべく構成される入力部、及び前記電力増幅器供給電圧に電気的に接続される出力部を含むカレントミラーと、
前記無線周波数信号を増幅するべく構成されるとともに前記カレントミラーの内部電圧に基づいてバイアスがかけられるゲートを有する電界効果トランジスタと
を含
み、
前記カレントミラーの内部電圧は、前記電力増幅器供給電圧の減少に応答して増加し、前記電力増幅器供給電圧の増加に応答して減少するように動作可能である、携帯デバイス。
【請求項2】
前記電界効果トランジスタは短チャネル金属酸化膜半導体トランジスタである、請求項1の携帯デバイス。
【請求項3】
前記電力増幅器はさらに、
前記電力増幅器供給電圧
を与えるノードと前記電界効果トランジスタのドレインとの間に電気的に接続されるチョークインダクタを含む、請求項1の携帯デバイス。
【請求項4】
前記カレントミラーはウィルソン・カレントミラーである、請求項1の携帯デバイス。
【請求項5】
前記電力増幅器はさらに、前記カレントミラーの内部電圧をバッファリングして前記電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させるべく構成されるバッファを含む、請求項1の携帯デバイス。
【請求項6】
前記カレントミラーは、
前記内部電圧を出力するべく構成されるドレインを有する第1ミラートランジスタと、
第2ミラートランジスタと、
第3ミラートランジスタと、
第4ミラートランジスタと
を含み、
前記第3ミラートランジスタ及び前記第1ミラートランジスタは前記カレントミラーの入力部と接地電圧部との間に直列に接続され、
前記第4ミラートランジスタ及び前記第2ミラートランジスタは前記カレントミラーの出力部と前記接地電圧部との間に直列に接続される、請求項1の携帯デバイス。
【請求項7】
前記第1ミラートランジスタのゲートが前記第2ミラートランジスタのゲートに接続され、
前記第3ミラートランジスタのゲートが前記第4ミラートランジスタのゲートに接続される、請求項
6の携帯デバイス。
【請求項8】
前記第2ミラートランジスタのドレインが前記第2ミラートランジスタのゲートに接続され、
前記第3ミラートランジスタのドレインが前記第3ミラートランジスタのゲートに接続される、請求項
7の携帯デバイス。
【請求項9】
前記電力増幅器はさらに、前記基準電流を発生させるべく構成される電流源を含む、請求項1の携帯デバイス。
【請求項10】
携帯デバイスであって、
無線周波数信号を発生させるべく構成される送受信器と、
前記無線周波数信号の包絡線に関連して変化する電力増幅器供給電圧を発生させるべく構成される包絡線追跡器を含む電力管理システムと、
前記無線周波数信号を増幅するとともに前記電力増幅器供給電圧から電力を受けるべく構成される電力増幅器を含むフロントエンドシステムと
を含み、
前記電力増幅器は、
基準電流を受けるべく構成される入力部、及び前記電力増幅器供給電圧に電気的に接続される出力部を含むカレントミラーと、
前記無線周波数信号を増幅するべく構成されるとともに前記カレントミラーの内部電圧に基づいてバイアスがかけられるゲートを有する電界効果トランジスタと、
前記カレントミラーの内部電圧をバッファリングして前記電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させるべく構成されるバッファと
を含む、
前記バッファは、バッファリングにゼロシフトを与えるべく構成される第1ディプリーションモードトランジスタ及び第2ディプリーションモードトランジスタを含む、携帯デバイス。
【請求項11】
包絡線追跡システムであって、
無線周波数信号の包絡線に関連して変化する電力増幅器供給電圧を発生させるべく構成される包絡線追跡器と、
前記無線周波数信号を増幅するとともに前記電力増幅器供給電圧から電力を受けるべく構成される電力増幅器と
を含み、
前記電力増幅器は、
基準電流を受けるべく構成される入力部、及び前記電力増幅器供給電圧に電気的に接続される出力部を含むカレントミラーと、
前記無線周波数信号を増幅するべく構成されるとともに前記カレントミラーの内部電圧に基づいてバイアスがかけられるゲートを有する電界効果トランジスタと
を含
み、
前記カレントミラーは、
前記内部電圧を出力するべく構成されるドレインを有する第1ミラートランジスタと、
第2ミラートランジスタと、
第3ミラートランジスタと、
第4ミラートランジスタと
を含み、
前記第3ミラートランジスタ及び前記第1ミラートランジスタは前記カレントミラーの入力部と接地電圧部との間に直列に接続され、
前記第4ミラートランジスタ及び前記第2ミラートランジスタは前記カレントミラーの出力部と前記接地電圧部との間に直列に接続される、包絡線追跡システム。
【請求項12】
前記カレントミラーの内部電圧は、前記電力増幅器供給電圧の減少に応答して増加し、前記電力増幅器供給電圧の増加に応答して減少する、請求項
11の包絡線追跡システム。
【請求項13】
前記電界効果トランジスタは短チャネル金属酸化膜半導体トランジスタである、請求項
11の包絡線追跡システム。
【請求項14】
前記カレントミラーはウィルソン・カレントミラーである、請求項
11の包絡線追跡システム。
【請求項15】
前記電力増幅器はさらに、前記カレントミラーの内部電圧をバッファリングして前記電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させるべく構成されるバッファを含む、請求項
11の包絡線追跡システム。
【請求項16】
前記第1ミラートランジスタのゲートが前記第2ミラートランジスタのゲートに接続され、
前記第3ミラートランジスタのゲートが前記第4ミラートランジスタのゲートに接続される、請求項11の包絡線追跡システム。
【請求項17】
前記第2ミラートランジスタのドレインが前記第2ミラートランジスタのゲートに接続され、
前記第3ミラートランジスタのドレインが前記第3ミラートランジスタのゲートに接続される、請求項11の包絡線追跡システム。
【請求項18】
携帯デバイスにおける無線周波数信号増幅の方法であって、
包絡線追跡器を使用して、無線周波数信号の包絡線に関連して変化する電力増幅器供給電圧を発生させることと、
前記電力増幅器供給電圧を使用して電力増幅器に電力を与えることと、
前記電力増幅器の電界効果トランジスタを使用して前記無線周波数信号を増幅することと、
前記電力増幅器のカレントミラーの内部電圧を使用して前記電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させることであって、前記カレントミラーの入力部に基準電流を与えて前記カレントミラーの出力部に前記電力増幅器供給電圧を与えることと
、
前記電力増幅器供給電圧の減少に応答して前記カレントミラーの内部電圧を増加させることと、
前記電力増幅器供給電圧の増加に応答して前記カレントミラーの内部電圧を減少させることと
を含む
、方法。
【請求項19】
前記電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させるべく前記カレントミラーの内部電圧をバッファリングすることをさらに含む、請求項18の方法
。
【請求項20】
前記内部電圧をバッファリングすることは、バッファリングにゼロシフトを与えるべく第1ディプリーションモードトランジスタ及び第2ディプリーションモードトランジスタを使用することを含む、請求項19の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は電子システムに関し、詳しくは無線周波数(RF)電子機器において使用するための電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力増幅器は、無線周波数(RF)通信システムにおいて、アンテナを介した送信のためにRF信号を増幅するべく使用される。電池寿命を延ばし及び/又は適切な送信電力レベルを与えるようにRF信号送信の電力を管理することが重要である。
【0003】
一以上の電力増幅器を有するRF通信システムの例は、携帯電話機、タブレット、基地局、ネットワークアクセスポイント、顧客構内設備(CPE)、ラップトップ及びウェアラブル電子機器を含むがこれらに限られない。例えば、セルラー規格、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)規格、及び/又は任意の他の適切な通信規格を使用して通信する無線デバイスにおいて、電力増幅器は、RF信号増幅のために使用することができる。RF信号は、例えば、周波数レンジ1(FR1)における第5世代(5G)セルラー通信の約410MHz~約7.125GHzの範囲、又は5G通信規格の周波数レンジ2(FR2)の約24.250GHz~約52.600GHzの範囲のような、約30kHz~300GHzの範囲にある周波数を有し得る。
【発明の概要】
【0004】
所定の実施形態において、本開示は、携帯デバイスに関する。携帯デバイスは、無線周波数信号を発生させるべく構成される送受信器と、当該無線周波数信号の包絡線に関連して変化する電力増幅器供給電圧を発生させるべく構成される包絡線追跡器を含む電力管理システムと、当該無線周波数信号を増幅するとともに当該電力増幅器供給電圧から電力を受けるべく構成される電力増幅器を含むフロントエンドシステムとを含む。電力増幅器は、基準電流を受けるべく構成される入力部、及び電力増幅器供給電圧に電気的に接続される出力部を有するカレントミラーと、無線周波数信号を増幅するべく構成される電界効果トランジスタであって、当該カレントミラーの内部電圧に基づいてバイアスがかけられるゲートを有する電界効果トランジスタとを含む。
【0005】
様々な実施形態において、カレントミラーの内部電圧は、電力増幅器供給電圧の減少に応答して増加し、電力増幅器供給電圧の増加に応答して減少する。
【0006】
一定数の実施形態において、電界効果トランジスタは、短チャネル金属酸化膜半導体トランジスタである。
【0007】
いくつかの実施形態において、電力増幅器はさらに、電力増幅器供給電圧部と電界効果トランジスタのドレインとの間に電気的に接続されるチョークインダクタを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、カレントミラーはウィルソン・カレントミラーである。
【0009】
様々な実施形態において、電力増幅器はさらに、電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させるためにカレントミラーの内部電圧をバッファリングするべく構成されるバッファを含む。一定数の実施形態によれば、バッファは、バッファリングにゼロシフトを与えるべく構成される第1ディプリーションモードトランジスタ及び第2ディプリーションモードトランジスタを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、カレントミラーは、内部電圧を出力するべく構成されるドレインを有する第1ミラートランジスタと、第2ミラートランジスタと、第3ミラートランジスタと、第4ミラートランジスタとを含み、第3ミラートランジスタ及び第1ミラートランジスタは当該カレントミラーの入力部と接地電圧部との間に直列に接続され、第4ミラートランジスタ及び第2ミラートランジスタは当該カレントミラーの出力部と接地電圧部との間に直列に接続される。一定数の実施形態によれば、第1ミラートランジスタのゲートが第2ミラートランジスタのゲートに接続され、第3ミラートランジスタのゲートが第4ミラートランジスタのゲートに接続される。様々な実施形態によれば、第2ミラートランジスタのドレインが第2ミラートランジスタのゲートに接続され、第3ミラートランジスタのドレインが第3ミラートランジスタのゲートに接続される。
【0011】
いくつかの実施形態において、電力増幅器はさらに、基準電流を発生させるべく構成される電流源を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、包絡線追跡器は、複数の調整済み電圧を出力するべく構成されるDC/DC変換器と、当該複数の調整済み電圧及び無線周波数信号の包絡線に基づいて出力部において変調器出力電圧を発生させるべく構成される変調器と、変調器の出力部と電力増幅器供給電圧部との間に結合される変調器出力フィルタとを含む。
【0013】
様々な実施形態において、包絡線追跡器は、電力増幅器供給電圧を発生させるべく互いに並列に動作するように構成されるDC/DC変換器及び誤差増幅器を含む。
【0014】
所定の実施形態において、本開示は包絡線追跡システムに関する。包絡線追跡システムは、無線周波数信号の包絡線に関連して変化する電力増幅器供給電圧を発生させるべく構成される包絡線追跡器と、当該無線周波数信号を増幅するとともに当該電力増幅器供給電圧から電力を受けるべく構成される電力増幅器とを含む。電力増幅器は、基準電流を受けるべく構成される入力部、及び電力増幅器供給電圧に電気的に接続される出力部を有するカレントミラーと、無線周波数信号を増幅するべく構成される電界効果トランジスタであって、当該カレントミラーの内部電圧に基づいてバイアスがかけられるゲートを有する電界効果トランジスタとを含む。
【0015】
様々な実施形態において、カレントミラーの内部電圧は、電力増幅器供給電圧の減少に応答して増加し、電力増幅器供給電圧の増加に応答して減少する。
【0016】
いくつかの実施形態において、電界効果トランジスタは短チャネル金属酸化膜半導体トランジスタである。
【0017】
いくつかの実施形態において、電力増幅器はさらに、電力増幅器供給電圧部と電界効果トランジスタのドレインとの間に電気的に接続されるチョークインダクタを含む。
【0018】
様々な実施形態において、カレントミラーはウィルソン・カレントミラーである。
【0019】
いくつかの実施形態において、電力増幅器はさらに、電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させるためにカレントミラーの内部電圧をバッファリングするべく構成されるバッファを含む。一定数の実施形態によれば、バッファは、バッファリングにゼロシフトを与えるべく構成される第1ディプリーションモードトランジスタ及び第2ディプリーションモードトランジスタを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、カレントミラーは、内部電圧を出力するべく構成されるドレインを有する第1ミラートランジスタと、第2ミラートランジスタと、第3ミラートランジスタと、第4ミラートランジスタとを含み、第3ミラートランジスタ及び第1ミラートランジスタは当該カレントミラーの入力部と接地電圧部との間に直列に接続され、第4ミラートランジスタ及び第2ミラートランジスタは当該カレントミラーの出力部と接地電圧部との間に直列に接続される。一定数の実施形態によれば、第1ミラートランジスタのゲートが第2ミラートランジスタのゲートに接続され、第3ミラートランジスタのゲートが第4ミラートランジスタのゲートに接続される。様々な実施形態において、第2ミラートランジスタのドレインが第2ミラートランジスタのゲートに接続され、第3ミラートランジスタのドレインが第3ミラートランジスタのゲートに接続される。
【0021】
いくつかの実施形態において、電力増幅器はさらに、基準電流を発生させるべく構成される電流源を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、包絡線追跡器は、複数の調整済み電圧を出力するべく構成されるDC/DC変換器と、当該複数の調整済み電圧及び無線周波数信号の包絡線に基づいて出力部において変調器出力電圧を発生させるべく構成される変調器と、変調器の出力部と電力増幅器供給電圧部との間に結合される変調器出力フィルタとを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、包絡線追跡器は、電力増幅器供給電圧を発生させるべく互いに並列に動作するように構成されるDC/DC変換器及び誤差増幅器を含む。
【0024】
所定の実施形態において、本開示は、携帯デバイスにおける無線周波数信号増幅の方法に関する。方法は、包絡線追跡器を使用して、無線周波数信号の包絡線に関連して変化する電力増幅器供給電圧を発生させることと、電力増幅器供給電圧を使用して電力増幅器に電力を与えることと、当該電力増幅器の電界効果トランジスタを使用して当該無線周波数信号を増幅することと、当該電力増幅器のカレントミラーの内部電圧を使用して当該電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させることであって、当該カレントミラーの入力部に基準電流を与えて当該カレントミラーの出力部に当該電力増幅器供給電圧を与えることとを含む。
【0025】
様々な実施形態において、方法は、電力増幅器供給電圧の減少に応答してカレントミラーの内部電圧を増加させることと、電力増幅器供給電圧の増加に応答してカレントミラーの内部電圧を減少させることとを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、電界効果トランジスタは短チャネル金属酸化膜半導体トランジスタである。
【0027】
一定数の実施形態において、方法はさらに、チョークインダクタを使用して電力増幅器供給電圧を電界効果トランジスタのドレインに与えることを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、カレントミラーはウィルソン・カレントミラーである。
【0029】
様々な実施形態において、方法はさらに、電界効果トランジスタのゲートバイアス電圧を発生させるべくカレントミラーの内部電圧をバッファリングすることを含む。
【0030】
一定数の実施形態において、方法はさらに、電流源を使用して基準電流を発生させることを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、電力増幅器供給電圧を発生させることは、DC/DC変換器から複数の調整済み電圧を出力することと、変調器を使用して当該複数の調整済み電圧及び無線周波数信号の包絡線に基づいて変調器出力電圧を発生させることと、変調器出力フィルタを使用して、電力増幅器供給電圧を発生させるべく当該変調器出力電圧をフィルタリングすることとを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、電力増幅器供給電圧を発生させることは、並列に動作するDC/DC変換器及び誤差増幅器を使用して包絡線を追跡することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】携帯デバイスの一実施形態の模式的な図である。
【
図2】送信無線周波数(RF)信号を携帯デバイスから送信する送信システムの一実施形態の模式的な図である。
【
図3】一実施形態に係る電力増幅器の模式的な図である。
【
図4A-4D】
図4Aは、適応バイアスがない電力増幅器の電力利得対出力電力の一例のグラフである。
図4Bは、適応バイアスがある電力増幅器の電力利得対出力電力の一例のグラフである。
図4Cは、適応バイアスがない電力増幅器の静止ドレイン電流対供給電圧の一例のグラフである。
図4Dは、適応バイアスがある電力増幅器の静止ドレイン電流対供給電圧の一例のグラフである。
【
図5】他実施形態に係る電力増幅器の模式的な図である。
【
図6A-6D】
図6Aは、適応バイアスはあるがバッファがない電力増幅器の振幅歪み対負荷電力の一例のグラフである。
図6Bは、適応バイアスがありバッファもある電力増幅器の振幅歪み対負荷電力の一例のグラフである。
図6Cは、適応バイアスはあるがバッファがない電力増幅器の位相歪み対負荷電力の一例のグラフである。
図6Dは、適応バイアスがありバッファもある電力増幅器の位相歪み対負荷電力の一例のグラフである。
【
図7A-7B】
図7Aは、短チャネル金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタのドレイン電流対ドレイン電圧の一例のグラフである。
図7Bは、短チャネルMOSトランジスタのドレイン電流対ゲート電圧の一例のグラフである。
【
図8A-8B】
図8Aは、電力増幅器供給電圧対時間の一例のグラフである。
図8Bは、電力増幅器供給電圧対時間の他例のグラフである。
【
図9A】一実施形態に係る包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図9B】他実施形態に係る包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図10】他実施形態に係る包絡線追跡システムの模式的な図である。
【
図11A-11B】
図11Aは、パッケージ状モジュールの一実施形態の模式的な図である。
図11Bは、
図11Aの11B-11B線に沿ったパッケージ状モジュールの断面の模式的な図である。
【
図12】電話基板の一実施形態の模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
所定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な記載を表す。しかしながら、ここに記載のイノベーションは、例えば特許請求の範囲によって画定され及びカバーされる多数の異なる態様で具体化することができる。本記載において、同じ参照番号が同一の又は機能的に類似の要素を示し得る図面が参照される。理解されることだが、図面に示される要素は必ずしも縮尺どおりではない。さらに理解されることだが、所定の実施形態は、図面に示されるよりも多くの要素を含んでよく、及び/又は図面に示される要素の部分集合を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴のいずれかの適切な組み合わせを組み入れてよい。
【0035】
図1は、携帯デバイス100の一例の模式的な図である。携帯デバイス100は、ベース帯域システム1、送受信器2、フロントエンドシステム3、アンテナ4、電力管理システム5、メモリ6、ユーザインタフェイス7及び電池8を含む。
【0036】
携帯デバイス100は、2G、3G、4G(LTE、LTEアドバンスト及びLTEアドバンストプロを含む)、5G、WLAN(例えばWi-Fi)、WPAN(例えばブルートゥース(登録商標)及びZigBee(登録商標))、WMAN(例えばWiMax)、及び/又はGPS技術を含むがこれらに限られない多種多様な通信技術を使用して通信するべく使用することができる。
【0037】
送受信器2は、送信のためのRF信号を発生させ、アンテナ4から受信した入来RF信号を処理する。理解されることだが、RF信号の送信及び受信に関連付けられた様々な機能は、送受信器2として
図1にまとめて表される一以上のコンポーネントによって達成することができる。一例において、所定タイプのRF信号を扱うべく別個のコンポーネント(例えば別個の回路又はダイ)を設けることができる。
【0038】
フロントエンドシステム3は、アンテナ4に送信され及び/又はアンテナ4から受信される信号のコンディショニングを支援する。図示の実施形態において、フロントエンドシステム3は、電力増幅器(PA)11、低雑音増幅器(LNA)12、フィルタ13、スイッチ14及びデュプレクサ15を含む。しかしながら、他の実装例も可能である。
【0039】
例えば、フロントエンドシステム3は、送信のための信号増幅、受信信号の増幅、信号のフィルタリング、異なる帯域間のスイッチング、異なる電力モード間のスイッチング、送信モード及び受信モード間のスイッチング、信号のデュプレクシング、信号のマルチプレクシング(例えばダイプレクシング又はトライプレクシング)、又はこれらの何らかの組み合わせを含むがこれらに限られない一定数の機能を与えることができる。
【0040】
所定の実装例において、携帯デバイス100はキャリアアグリゲーションをサポートするので、ピークデータレートを増加させる柔軟性が得られる。キャリアアグリゲーションは、周波数分割デュプレクシング(FDD)及び時分割デュプレクシング(TDD)の双方に使用することができ、複数のキャリア又はチャネルを集約するべく使用され得る。キャリアアグリゲーションは、同じ動作周波数帯域内の隣接キャリアが集約される隣接集約を含む。キャリアアグリゲーションはまた、不連続であってもよく、共通の帯域内の及び/又は異なる帯域における周波数が分離されたキャリアを含んでよい。
【0041】
アンテナ4は、多種多様なタイプの通信のために使用されるアンテナを含み得る。例えば、アンテナ4は、多種多様な周波数及び通信規格に関連付けられた信号を送信及び/又は受信することに関連するアンテナを含み得る。
【0042】
所定の実装例において、アンテナ4は、MIMO通信及び/又はスイッチトダイバーシティ通信をサポートする。例えば、MIMO通信は、単数の無線周波数チャネルを経由して多数のデータストリームを通信するべく多数のアンテナを使用する。MIMO通信は、高い信号対雑音比、符号化の改善、及び/又は無線環境の空間的なマルチプレクシング差異に起因する信号干渉の低減により利益を受ける。スイッチトダイバーシティとは、特定のアンテナが特定の時刻に動作するべく選択される通信を称する。例えば、観測されたビットエラーレート及び/又は信号強度インジケータのような様々な因子に基づいて一群のアンテナから特定のアンテナを選択するべく、スイッチを使用することができる。
【0043】
携帯デバイス100は、所定の実装例において、ビームフォーミングとともに動作し得る。例えば、フロントエンドシステム3は、送受信器2により可変位相が制御される位相シフタを含み得る。付加的に、位相シフタは、アンテナ4を使用した信号の送信及び/又は受信のためのビームフォーメーション及び指向性を与えるべく制御される。例えば、信号送信の文脈において、アンテナ4に与えられる送信信号の位相は、アンテナ4から放射された信号が、建設的及び破壊的干渉を使用して組み合わされ、所与の方向に伝播する信号強度のビーム状の品質を示す集約送信信号を発生させるように制御される。信号受信の文脈において、位相は、信号が特定の方向からアンテナ4に到着しているときに多くの信号エネルギーが受信されるように制御される。所定の実装例において、アンテナ4は、ビームフォーミングを向上させるべく複数のアンテナ素子の一以上のアレイを含む。
【0044】
ベース帯域システム1は、音声及びデータのような様々なユーザ入力及び出力(I/O)の処理を容易にするべくユーザインタフェイス7に結合される。ベース帯域システム1は、送受信器2が送信のためのRF信号を発生させるべく処理する送信信号のデジタル表現を送受信器2に与える。ベース帯域システム1はまた、送受信器2により与えられる受信信号のデジタル表現を処理する。
図1に示されるように、ベース帯域システム1は、携帯デバイス100の動作を容易にするべくメモリ6に結合される。
【0045】
メモリ6は、携帯デバイス100の動作を容易にするべく、及び/又はユーザ情報の格納を与えるべく、データ及び/又は命令を格納することのような、多種多様な目的のために使用することができる。
【0046】
電力管理システム5は、携帯デバイス100の一定数の電力管理機能を与える。
図1の電力管理システム5は包絡線追跡器60を含む。
図1に示されるように、電力管理システム5は、電池8から電池電圧を受ける。電池8は、携帯デバイス100において使用される任意の適切な電池であってよく、例えばリチウムイオン電池を含む。
【0047】
図1の携帯デバイス100は、本開示の一以上の特徴に従って実装される電力増幅器を含み得るRF通信システムの一例を示す。しかしながら、ここでの教示は、多種多様な態様で実装されるRF通信システムに適用可能である。
【0048】
図2は、携帯デバイスからRF信号を送信するための送信システム130の一実施形態の模式的な図である。送信システム130は、電池101、包絡線追跡器102、電力増幅器103、方向性結合器104、ダイプレクシング・スイッチング回路105、アンテナ106、ベース帯域プロセッサ107、信号遅延回路108、デジタルプリディストーション(DPD)回路109、I/Q変調器110、観測受信器111、相互変調検出回路112、包絡線遅延回路121、座標回転デジタル計算(CORDIC)回路122、整形回路123、デジタル/アナログ変換器124及び再構成フィルタ125を含む。
【0049】
図2の送信システム130は、本開示の一以上の特徴に従って実装される電力増幅器を含み得るRF通信システムの一例を示す。しかしながら、ここでの教示は、多種多様な態様で実装されるRF通信システムに適用可能である。
【0050】
ベース帯域プロセッサ107は、所望の振幅、周波数及び位相の正弦曲線波又は信号の信号成分に対応するI信号及びQ信号を発生させるべく動作する。例えば、I信号は、正弦波の同相成分を表すべく使用され、Q信号は、正弦波の直交位相成分を表すべく使用される。これらは、正弦波の等価表現とすることができる。所定の実装例において、I信号及びQ信号は、デジタルフォーマットでI/Q変調器110に与えられる。ベース帯域プロセッサ107は、ベース帯域信号を処理するべく構成された任意の適切なプロセッサとしてよい。例えば、ベース帯域プロセッサ107は、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラム可能コア、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
【0051】
信号遅延回路108は、包絡線信号とRF信号RFINとの相対的なアラインメントを制御する支援を目的としてI信号及びQ信号に調整可能な遅延を与える。信号遅延回路108が与える遅延量は、相互変調検出回路112が検出する相互変調量に基づいて制御される。
【0052】
DPD回路109は、信号遅延回路108からの遅延済みI信号及びQ信号にデジタル整形を与えてデジタルプリディストーション済みI信号及びQ信号を発生させるべく動作する。図示の実施形態において、DPD回路109が与えるDPDは、相互変調検出回路112が検出する相互変調量に基づいて制御される。DPD回路109は、電力増幅器103の歪みを低減し及び/又は電力増幅器103の効率を増加させる役割を果たす。
【0053】
I/Q変調器110は、デジタルプリディストーション済みI信号及びQ信号を受信し、これらの信号は、RF信号RFINを発生させるべく処理される。例えば、I/Q変調器110は、I信号及びQ信号をアナログフォーマットに変換するべく構成されるDACと、I信号及びQ信号を無線周波数にアップコンバートする混合器と、アップコンバート済みのI信号及びQ信号を結合して電力増幅器103による増幅にとって適切なRF信号にする信号結合器とを含んでよい。所定の実装例において、I/Q変調器110は、処理される信号の周波数内容をフィルタリングするべく構成された一以上のフィルタを含み得る。
【0054】
包絡線遅延回路121は、ベース帯域プロセッサ107からのI信号及びQ信号を遅延させる。付加的に、CORDIC回路122は、遅延済みI信号及びQ信号を処理し、RF信号RF
INの包絡線を表すデジタル包絡線信号を発生させる。
図2が、CORDIC回路122を使用する実装例を示すにもかかわらず、包絡線信号は他の態様で得ることもできる。
【0055】
整形回路123は、デジタル包絡線信号を整形して送信システム130の性能を高めるように動作する。所定の実装例において、整形回路123は、デジタル包絡線信号の各レベルを、対応する整形済み包絡線信号レベルにマッピングする整形テーブルを含む。包絡線の整形により、電力増幅器103の線形性、歪み及び/又は効率の制御を支援することができる。
【0056】
図示の実施形態において、整形済み包絡線信号は、DAC124によりアナログ包絡線信号に変換されるデジタル信号である。付加的に、アナログ包絡線信号は、包絡線追跡器102が使用するのに適切な包絡線信号を発生させるべく再構成フィルタ125によってフィルタリングされる。所定の実装例において、再構成フィルタ125は低域通過フィルタを含む。
【0057】
引き続き
図2を参照すると、包絡線追跡器102は、再構成フィルタ125から包絡線信号を受信するとともに電池101から電池電圧V
BATTを受信し、その包絡線信号を使用して、RF信号RF
INの包絡線に関連して変化する電力増幅器103のための電力増幅器供給電圧V
PAを発生させる。電力増幅器103は、I/Q変調器110からRF信号RF
INを受信し、この例においてはディプレクシング・スイッチング回路105を介してアンテナ106に、増幅済みRF信号RF
OUTを与える。
【0058】
方向性結合器104は、電力増幅器103の出力部とデュプレクシング・スイッチング回路105の入力部との間に配置される。これにより、デュプレクシング・スイッチング回路105の挿入損失を含まない電力増幅器103の出力電力を測定することが許容される。方向性結合器104からの検知された出力信号が観測受信器111に与えられる。観測受信器111は、当該検知された出力信号のI信号成分及びQ信号成分をダウンコンバートする混合器と、ダウンコンバート済み信号からI観測信号及びQ観測信号を発生させるDACとを含む。
【0059】
相互変調検出回路112は、I観測信号及びQ観測信号とベース帯域プロセッサ107からのI信号及びQ信号との相互変調積を決定する。付加的に、相互変調検出回路112は、DPD回路109が与えるDPDを、及び/又は信号遅延回路108の遅延を制御することによって、包絡線信号とRF信号RFINとの相対的なアラインメントを制御する。
【0060】
電力増幅器103の出力部及びベース帯域からのフィードバック経路を含むことにより、I信号及びQ信号を動的に調整して送信システム130の動作を最適化することができる。例えば、送信システム130をこの態様で構成することにより、電力制御を与えること、送信器の障害を補償すること、及び/又はDPDを行うことが支援され得る。
【0061】
電力増幅器103は、単数段として示されるにもかかわらず、一以上の段を含んでよい。さらに、携帯デバイスのようなRF通信システムは、多数の電力増幅器を含み得る。かかる実装例において、異なる電力増幅器に別個の包絡線追跡器を与えることができ、及び/又は一以上の共有包絡線追跡器を使用することができる。
【0062】
包絡線追跡とともに動作する電力増幅器のための適応バイアス
【0063】
包絡線追跡は、電力増幅器により増幅されたRF信号の包絡線との関係で電力増幅器供給電圧の電圧レベルを効率的に制御することにより、電力増幅器の電力付加効率(PAE)を増大させるべく使用することができる技法である。すなわち、RF信号の包絡線が上昇すると、電力増幅器に供給される電圧も上昇し得る。同様に、RF信号の包絡線が下降すると、電力増幅器に供給される電圧も下降して電力消費が減少する。
【0064】
一例において、包絡線追跡器は、包絡線信号に基づいて電力増幅器供給電圧を発生させるべく誤差増幅器との組み合わせで動作するDC/DC変換器を含む。例えば、DC/DC変換器と誤差増幅器とは、互いに並列となるように電気的に接続することができ、DC/DC変換器が包絡線信号の低周波数成分を追跡することができる一方、誤差増幅器が包絡線信号の高周波数成分を追跡することができる。例えば、DC/DC変換器のスイッチング周波数を、包絡線信号の最大周波数成分よりも低くなるように低減することができ、誤差増幅器は、電力増幅器供給電圧を発生させるべく当該変換器の出力におけるギャップを平滑化するように動作することができる。所定の実装例において、DC/DC変換器と誤差増幅器とは結合器を介して結合することができる。
【0065】
他例において、包絡線追跡器は、異なる電圧レベルの調整済み電圧を発生させる多出力ブースト切替器と、包絡線信号に基づいて経時的に適切な調整済み電圧の選択を制御する複数スイッチのバンクと、電力増幅器供給電圧を発生させるべく当該スイッチバンクの出力をフィルタリングするフィルタとを含む。
【0066】
包絡線追跡アプリケーションのための適応バイアスを有する電力増幅器がここに与えられる。所定の実施形態において、包絡線追跡システムは、RF信号を増幅する電力増幅器であって、電力増幅器供給電圧部から電力を受ける電力増幅器と、RF信号の包絡線に基づいて電力増幅器供給電圧を発生させる包絡線追跡器とを含む。電力増幅器は、RF信号を増幅する電界効果トランジスタ(FET)と、基準電流を受ける入力部、及び電力増幅器供給電圧に接続される出力部を含むカレントミラーとを含む。カレントミラーの内部電圧が、FETのゲートにバイアスをかけるべく使用されることにより、当該FETは、包絡線追跡から生じる電力増幅器供給電圧の変化が補償される。
【0067】
電力増幅器に適応バイアスを実装することにより、電力増幅器のFETの非理想性が補償される。例えば、かかる適応バイアスにより、チャネル長さ変調及び/又はドレイン誘起障壁低下を補償することが支援される。そうでなければ、RF利得対電力増幅器供給電圧に高いばらつきがもたらされる。
【0068】
所定の実装例において、FETは、短チャネル金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタとして実装される。短チャネルMOSトランジスタが、一定数のトランジスタ非理想性を被るにもかかわらず、適応バイアスにより、電力増幅器において短チャネルMOSトランジスタを、当該電力増幅器の性能を有意に劣化させることなく使用することができる補償が得られる。短チャネルMOSトランジスタは、低コストであり及び/又は高集積度を可能にするプロセスにおいて作製することができるので、一定数のアプリケーションにおいて短チャネルMOSトランジスタを使用して電力増幅器を実装することが望ましい。
【0069】
所定の実装例において、さらに、FETのゲートバイアス電圧を発生させるべくカレントミラーの内部電圧をバッファリングするバッファが含まれる。バッファを含むことにより、帯域幅を向上させて電力増幅器のバイアスの過渡応答を高速化することができるので、振幅歪み及び位相歪みが改善される。
【0070】
カレントミラーは、多種多様な態様で実装することができる。所定の実装例において、カレントミラーはウィルソン・カレントミラーとして実装される。例えば、カレントミラーは、4つのトランジスタ・ウィルソン・カレントミラーとして配列されるn型電界効果トランジスタ(NFET)を使用して実装することができる。例えば、4つのトランジスタ・ウィルソンミラーの第1NFETのドレインソース間電圧は、出力の電圧が減少すると増加するので、電力増幅器供給電圧が減少するにつれて電力増幅器の利得を増加させるのによく適している。
【0071】
図3は、一実施形態に係る電力増幅器250の模式的な図である。電力増幅器250は、NFET231、ウィルソン・カレントミラー232、入力DCブロックキャパシタ233、出力DCブロックキャパシタ234、チョークインダクタ235及び基準電流源236を含む。
【0072】
図3が適応バイアスを有する電力増幅器の一実施形態を描くにもかかわらず、ここでの教示は、多種多様な態様で実装される電力増幅器にも適用可能である。
【0073】
電力増幅器250は、RF入力端子においてRF入力信号RFINを受信し、増幅済みRF出力信号RFOUTをRF出力端子に与える。図示の実施形態において、入力DCブロックキャパシタ233は、RF入力端子のDC電圧とは別個にNFET231のゲート電圧のバイアスを許容するべく、RF入力端子とNFET231のゲートとの間に接続される。付加的に、出力DCブロックキャパシタ234は、NFET231のドレイン電圧をRF出力端子のDC電圧からデカップリングするべく、NFET231のドレインとRF出力端子との間に接続される。
【0074】
図3に示されるように、チョークインダクタ235は、NFET231のドレインに電力増幅器供給電圧V
PAを与える。電力増幅器供給電圧V
PAは、ここに開示される包絡線追跡器のいずれかを含むがこれらに限られない包絡線追跡器によって発生させることができる。
【0075】
NFET231は、RF入力信号RFINを増幅してRF出力信号RFOUTを発生させる。付加的に、NFET231のゲートは、ウィルソン・カレントミラー232の内部電圧によるバイアスを受ける。さらに、NFET231のソースが接地電圧(グランド)を受ける一方、NFET231のドレインは、チョークインダクタ235から電力増幅器供給電圧VPAを受ける。所定の実装例において、NFET231は、n型金属酸化膜半導体(NMOS)トランジスタとして実装される。例えば、NFET231は短チャネルNMOSトランジスタとしてよい。
【0076】
ウィルソン・カレントミラー232は、基準電流源236から基準電流IREFを受信する入力部と、電力増幅器供給電圧VPAに接続される出力部とを有する。ウィルソン・カレントミラー232は、第1カレントミラーNFET241、第2カレントミラーNFET242、第3カレントミラーNFET243及び第4カレントミラーNFET244を含む。
【0077】
図3に示されるように、第1カレントミラーNFET241及び第2カレントミラー242はそれぞれが、グランドに接続されるソースを含む。付加的に、第1カレントミラーNFET241のゲートが、第2カレントミラーNFET242のゲート及びドレインに接続されるとともに、第4カレントミラーNFET244のソースに接続される。付加的に、ウィルソン・カレントミラー232の出力部が第4カレントミラーNFET244のドレインに接続される一方、ウィルソン・カレントミラー232の入力部が、第4カレントミラーNFET244のゲートに、並びに第3カレントミラーNFET243のゲート及びドレインに接続される。さらに、第1カレントミラーNFET241のドレインと第3カレントミラーNFET243のドレインとが互いに接続される。
【0078】
図示の実施形態において、ウィルソン・カレントミラー232の内部電圧が、適応バイアスを与えるべくNFET231のゲートに与えられる。内部電圧は、この実施形態において、第1カレントミラーNFET241のドレイン電圧に対応する。
【0079】
ウィルソン・カレントミラー232は、入力部において受けた基準電流IREFをミラーリングして出力部において出力電流を発生させるべく動作する。包絡線追跡に起因して電力増幅器供給電圧VPAが変化するにつれて、第1カレントミラーNFET241のドレイン電圧もまた、出力電流が入力電流を追跡するように変化する。ウィルソン・カレントミラー232の調整の結果、電力増幅器供給電圧VPAが減少するにつれて第1電流源NFET241ドレインソース間電圧が増加する。
【0080】
第1カレントミラーNFET241のドレイン電圧は、電力増幅器供給電圧VPAが減少するにつれて電力増幅器の利得を増加させるのによく適しており、電力増幅器供給電圧VPAが増加するにつれて電力増幅器の利得を減少させるのによく適している。すなわち、ウィルソン・カレントミラー232は、電力供給のばらつきから生じる利得のばらつきを補償するべくNFET231に適応バイアスを与える。かかる適応バイアスは、NFET231が短チャネルNMOSトランジスタとして実装されるときの短チャネル効果(例えばチャネル長さ変調及び/又はドレイン誘起障壁低下)を補償するのによく適している。
【0081】
図4Aは、適応バイアスがない電力増幅器の電力利得対出力電力の一例のグラフである。
【0082】
図4Bは、適応バイアスがある電力増幅器の電力利得対出力電力の一例のグラフである。
【0083】
図4Aと
図4Bとの比較により示されるように、適応バイアスにより、利得のばらつきが低減される(例えば、この例では約15dBから約3dBまで低減される)。
【0084】
図4Cは、適応バイアスがない電力増幅器の静止ドレイン電流対供給電圧の一例のグラフである。
【0085】
図4Dは、適応バイアスがある電力増幅器の静止ドレイン電流対供給電圧の一例のグラフである。
【0086】
図4Cと
図4Dとの比較により示されるように、適応バイアスにより、静止ドレイン電流のばらつきが低減される(例えば、この例では約12×から約1.25×まで低減される)。
【0087】
図5は、他実施形態に係る電力増幅器280の模式的な図である。電力増幅器280は、NFET231、ウィルソン・カレントミラー232、入力DCブロックキャパシタ233、出力DCブロックキャパシタ234、チョークインダクタ235、基準電流源270及びバッファ270を含む。
【0088】
図5の電力増幅器280は
図3の電力増幅器250と同様であるが、電力増幅器280は、NFET231のゲートバイアス電圧を発生させるべく第1カレントミラーNFET241のドレイン電圧をバッファリングするバッファ270をさらに含む点が異なる。
【0089】
図示の実施形態において、バッファ270はゼロシフトバッファとして実装される。このゼロシフトバッファは、第1ディプリーションモード(dモード)FET271及び第2dモードFET272を含む。これらは、例えば、接合型電界効果トランジスタ(JFET)又はショットキーゲートFETとしてよい。第1dモードFET271のドレインが電池電圧VBATTを受ける一方、第1dモードFET271のゲートは、ウィルソン・カレントミラー232の内部電圧を受ける。付加的に、第2dモードFET272のゲート及びソースがグランドに接続される一方、第2dモードFET272のドレインは、電力増幅器のNFET231にバイアスをかけるべくゲートバイアス電圧を出力するノードにおいて、第1dモードFET271のソースに接続される。
【0090】
バッファ270を含めることにより、電力増幅器のバイアス回路の、向上した帯域幅及び改善された過渡応答が達成される。
【0091】
図6Aは、適応バイアスはあるがバッファがない電力増幅器の振幅歪み対負荷電力(load power)の一例のグラフである。
【0092】
図6Bは、適応バイアスがありバッファもある電力増幅器の振幅歪み対負荷電力(load power)の一例のグラフである。
【0093】
図6Aと
図6Bとの比較により示されるように、バッファを適応バイアスと組み合わせて使用することにより、振幅歪みが低減される(AM/AM)。
【0094】
図6Cは、適応バイアスはあるがバッファがない電力増幅器の位相歪み対負荷電力の一例のグラフである。
【0095】
図6Dは、適応バイアスがありバッファもある電力増幅器の位相歪み対負荷電力の一例のグラフである。
【0096】
図6Cと
図6Dとの比較により示されるように、バッファを適応バイアスと組み合わせることにより、位相歪みが低減される(AM/PM)。
【0097】
図7Aは、短チャネルMOSトランジスタのドレイン電流対ドレイン電圧の一例のグラフである。短チャネルMOSトランジスタの異なるゲートソース間電圧におけるドレイン電流対ドレイン電圧の様々なプロットが描かれる。チャネル長さ変調を考慮しない場合(破線プロット)とチャネル長さ変調を考慮する場合(実線プロット)との双方のプロットが含まれる。
【0098】
図7Bは、短チャネルMOSトランジスタのドレイン電流対ゲート電圧の一例のグラフである。グラフには、ドレイン誘起障壁低下から生じるトランジスタしきい電圧のシフトの一例が描かれる。
【0099】
図8A及び
図8Bは、電力増幅器供給電圧対時間の2つの例を示す。
【0100】
図8Aにおいて、グラフ447は、RF信号441の電圧と電力増幅器供給電圧443対時間との一例を示す。RF信号441は包絡線442を有する。
【0101】
重要となり得ることだが、電力増幅器の電力増幅器供給電圧443は、RF信号441の電圧よりも大きな電圧を有する。例えば、RF信号の振幅よりも小さな振幅を有する電力増幅器供給電圧を使用して電力増幅器に電力を与えることは、RF信号をクリップし、ひいては信号歪み及び/又は他の問題をもたらし得る。すなわち、電力増幅器供給電圧443を、包絡線442よりも大きくしておくことが重要となり得る。しかしながら、電力増幅器供給電圧443とRF信号441の包絡線442との電圧差は、低減することが望ましい。電力増幅器供給電圧443と包絡線442との間のエリアが、電池寿命を低減させるとともに無線デバイスに生じる熱を増加させ得る喪失エネルギーを表し得るからである。
【0102】
図8Bにおいて、グラフ448は、RF信号441の電圧と電力増幅器供給電圧444対時間との一例を示す。
図8Aの電力増幅器供給電圧443とは対照的に、
図8Bの電力増幅器供給電圧444は、RF信号441の包絡線442との関係で変化する。
図8Bにおける電力増幅器供給電圧444と包絡線442との間のエリアは、
図8Aにおける電力増幅供給電圧443と包絡線442との間のエリアよりも小さいので、
図8Bのグラフ448は、エネルギー効率が大きな電力増幅器に関連付けることができる。
【0103】
図9Aは、一実施形態に係る包絡線追跡システム500の模式的な図である。包絡線追跡システム500は、電力増幅器501及び包絡線追跡器502を含む。電力増幅器501は、無線周波数信号503を増幅する。
【0104】
包絡線追跡器502は、無線周波数信号503の包絡線に対応する包絡線信号504を受信する。付加的に、包絡線追跡器502は、電力増幅器501に電力を供給する電力増幅器供給電圧VPAを発生させる。
【0105】
図示の包絡線追跡器502は、DC/DC変換器511及び誤差増幅器512を含み、これらは互いに組み合わせられ、包絡線信号504に基づいて電力増幅器供給電圧VPAを発生させるように動作する。図示の実施形態において、DC/DC変換器511の出力と誤差増幅器512の出力とは、結合器515を使用して結合される。
【0106】
図9Aの包絡線追跡器502は、スイッチングレギュレータが互いに並列に動作してRF信号の包絡線を追跡するアナログ包絡線追跡の一例を示す。
【0107】
図9Bは、他実施形態に係る包絡線追跡システム540の模式的な図である。包絡線追跡システム540は、電力増幅器501及び包絡線追跡器532を含む。電力増幅器501は、無線周波数信号503を増幅する。
【0108】
包絡線追跡器532は、無線周波数信号503の包絡線に対応する包絡線信号504を受信する。付加的に、包絡線追跡器532は、電力増幅器501に電力を供給する電力増幅器供給電圧VPAを発生させる。
【0109】
図示される包絡線追跡器532は、多レベルスイッチング回路535を含む。所定の実装例において、多レベルスイッチング回路は、異なる電圧レベルの調整済み電圧を発生させる多出力DC/DC変換器と、包絡線信号に基づいて経時的に適切な調整済み電圧の選択を制御する複数のスイッチと、電力増幅器供給電圧を発生させるべく当該スイッチの出力をフィルタリングするフィルタとを含む。
【0110】
図9Bの包絡線追跡器532はMLS包絡線追跡の一例を示す。
【0111】
図10は、他実施形態に係る包絡線追跡システムの模式的な図である。包絡線追跡システム600は、電力増幅器501及び包絡線追跡器602を含む。電力増幅器501は、無線周波数信号503を増幅する。
【0112】
包絡線追跡器602は、無線周波数信号503の包絡線に対応する包絡線信号を受信する。この例において、包絡線信号は差動である。付加的に、包絡線追跡器602は、電力増幅器501に電力を供給する電力増幅器供給電圧VPAを発生させる。
【0113】
図示される包絡線追跡器602は、包絡線増幅器611、第1比較器621、第2比較器622、第3比較器623、コーディング・ディザリング回路624、多出力ブースト切替器625、フィルタ626、スイッチバンク627及びキャパシタバンク630を含む。キャパシタバンク630は、第1キャパシタ631、第2キャパシタ632及び第3キャパシタ633を含む。付加的に、スイッチバンク627は、第1スイッチ641、第2スイッチ642及び第3スイッチ643を含む。
【0114】
包絡線増幅器611は包絡線信号を増幅し、増幅済み包絡線信号を第1比較器621~第3比較器623に与える。第1比較器621~第3比較器623は、増幅包絡線信号を第1しきい値T1、第2しきい値T2及び第3しきい値T3それぞれと比較する。比較の結果がコーディング・ディザリング回路624に与えられる。コーディング・ディザリング回路624は、当該結果を処理してスイッチバンク627のスイッチの選択を制御する。コーディング・ディザリング回路624は、スイッチをアクティブにする一方でコーディング及び/又はディザリングを使用し、当該スイッチの開閉から生じるアーチファクトを低減することができる。
【0115】
3つの比較器を有する一例が示されるにもかかわらず、これよりも多い又は少ない比較器を使用してよい。さらに、コーディング・ディザリング回路624を省略し、他の態様でスイッチバンクを制御することを選択してもよい。第1例において、コーディングが使用されるがディザリングは使用されない。第2例において、ディザリングが使用されるがコーディングは使用されない。第3例において、コーディングもディザリングも使用されない。
【0116】
多出力ブーストスイッチ625は、電池電圧VBATTのDC/DC変換を与えることに基づいて第1調整済み電圧VMLS1、第2調整済み電圧VMLS2及び第3調整済み電圧VMLS3を発生させる。3つの調整済み電圧を有する一例が示されるにもかかわらず、多出力ブースト切替器625は、これよりも多い又は少ない調整済み電圧を発生させることができる。所定の実装例において、これらの調整済み電圧の少なくとも一部分が、電池電圧VBATTに対してブーストされる。いくつかの構成において、これらの調整済み電圧の一以上は、電池電圧VBATTよりも低い電圧を有するバック(buck)電圧である。
【0117】
キャパシタバンク630は、多出力ブーストスイッチ625が発生させる調整済み電圧を安定化させる支援をする。例えば、キャパシタ631~633はデカップリングキャパシタとして動作する。
【0118】
フィルタ626は、スイッチバンク627の出力を処理して電力増幅器供給電圧VPAを発生させる。包絡線信号に基づいて経時的にスイッチ641~643の選択を制御することにより、包絡線信号を追跡する電力増幅器供給電圧VPAが発生する。
【0119】
図11Aは、パッケージ状モジュール800の一実施形態の模式的な図である。
図11Bは、
図11Aの11B-11B線に沿ったパッケージ状モジュール800の断面の模式的な図である。
【0120】
パッケージ状モジュール800は、IC又はダイ801、表面実装コンポーネント803、ワイヤボンド808、パッケージ基板820及び封入構造物840を含む。パッケージ基板820は、そこに配置された導体から形成されるパッド806を含む。付加的に、ダイ801はパッド804を含み、ワイヤボンド808は、ダイ801のパッド804をパッケージ基板820のパッド806に電気的に接続するべく使用されている。
【0121】
ダイ801は、ここでの実施形態のいずれかに従って実装することができる電力増幅器846を含む。
【0122】
パッケージ基板820は、ダイ801、並びに、例えば表面実装キャパシタ及び/又はインダクタを含み得る表面実装コンポーネント803のような複数のコンポーネントを受容するべく構成され得る。
【0123】
図11Bに示されるように、パッケージ状モジュール800は、パッケージ状モジュール800の、ダイ801を取り付けるべく使用される側の反対側に配置された複数のコンタクトパッド832を含むように示される。パッケージ状モジュール800をこの態様で構成することにより、パッケージ状モジュール800を、無線デバイスの電話機基板のような回路基板に接続することが補助される。コンタクトパッド832の例は、RF信号、バイアス信号、電力低電圧及び/又は電力高電圧をダイ801及び/又は表面実装コンポーネント803に与えるべく構成され得る。
図11Bに示されるように、コンタクトパッド832とダイ801との電気的接続は、パッケージ基板820を通る接続833によって容易にされ得る。接続部833は、多層積層材パッケージ基板のビア及び導体に関連付けられる接続のような、パッケージ基板820を通るように形成された電気経路を表し得る。
【0124】
いくつかの実施形態において、パッケージ状モジュール800はまた、例えば、パッケージ状モジュール800の保護を与え及び/又は扱いを容易にする一以上のパッケージ構造を含み得る。かかるパッケージ構造は、パッケージ基板820並びにその上に配置されたコンポーネント及びダイを覆うように形成されたオーバーモールド又は封入構造物840を含み得る。
【0125】
理解されることだが、パッケージ状モジュール800が、ワイヤボンドに基づく電気接続の文脈で記載されるにもかかわらず、本開示の一以上の特徴はまた、例えばフリップチップ構成を含む他のパッケージ構成に実装することもできる。
【0126】
図12は、電話基板の一実施形態の模式的な図である。電話基板900は、添付の
図11A及び
図11Bに示されるモジュール800を含む。明確性を目的として
図12に示されないにもかかわらず、電話基板900は、付加的なコンポーネント及び構造物を含んでよい。
【0127】
アプリケーション
【0128】
上述された実施形態のいくつかは、無線デバイス又は携帯電話機に関連する例を与えてきた。しかしながら、それらの実施形態の原理及び利点は、電力増幅器を必要とする任意の他のシステム又は装置に使用することができる。
【0129】
かかる包絡線追跡器は、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの例は、消費者用電子製品、当該消費者用電子製品の部品、電子試験機器等を含み得るが、これらに限られない。電子デバイスの例はまた、メモリチップ、メモリモジュール、光ネットワーク又は他の通信ネットワークの回路、及びディスクドライバ回路も含み得るが、これらに限られない。消費者用電子製品は、携帯電話機、電話機、テレビジョン、コンピュータモニタ、コンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、自動車、ステレオシステム、カセットレコーダ又はプレーヤ、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、VCR、MP3プレーヤ、ラジオ、ビデオカメラ、カメラ、デジタルカメラ、携帯型メモリチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯/乾燥機、複写機、ファクシミリ機、スキャナ、多機能周辺デバイス、腕時計、置き時計等を含み得るが、これらに限られない。さらに、電子デバイスは未完成の製品も含んでよい。
【0130】
まとめ
【0131】
本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、文脈上そうでないことが明らかでない限り、「含む」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「~を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される単語「結合」は、直接接続されるか又は一以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2以上の要素を言及する。同様に、ここで一般に使用される単語「接続」は、直接接続されるか又は一以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2以上の要素を言及する。加えて、単語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の単語は、本願において使用される場合、本願全体を言及し、本願の任意の固有部分を言及するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する上述の詳細な説明における用語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。2以上の項目のリストを参照する単語「又は」及び「若しくは」は、当該単語の以下の解釈のすべてをカバーする。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストのすべての項目、及び当該リストの項目の任意の組み合わせである。
【0132】
さらに、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば」、「のような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないことが述べられ、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態が所定の特徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを伝えるように意図される。すなわち、かかる条件的言語は、特徴、要素及び/若しくは状態が一以上の実施形態にとって必要な任意の態様にあること、又は一以上の実施形態が必ず、筆者のインプット若しくは促しありで若しくはなしで、これらの特徴、要素及び/若しくは状態が任意の固有実施形態に含まれ若しくは当該実施形態で行われるか否かを決定するロジックを含むこと、を示唆することを一般には意図しない。
【0133】
本発明の実施形態の上記詳細な説明は、排他的であることすなわち本発明を上記開示の正確な形態に制限することを意図しない。本発明の及びその例の特定の実施形態が例示を目的として上述されたが、当業者が認識するように、本発明の範囲において様々な均等の修正も可能である。例えば、プロセス又はブロックが所与の順序で提示されるが、代替実施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを行うこと又はブロックを有するシステムを用いることができ、いくつかのプロセス又はブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらのプロセス又はブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。また、プロセス又はブロックが直列的に行われるように示されることがあるが、これらのプロセス又はブロックは、その代わりに、並列して行い又は異なる時に行うこともできる。
【0134】
ここに与えられた本発明の教示は、必ずしも上述のシステムに限られることがなく、他のシステムにも適用することができる。上述した様々な実施形態要素及び行為は、さらなる実施形態を与えるべく組み合わせることができる。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態が記載されたが、これらの実施形態は、例のみとして提示されており、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載される新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここに記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。