(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】粒径分布計測装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/0227 20240101AFI20250210BHJP
G01N 15/02 20240101ALI20250210BHJP
【FI】
G01N15/0227 100
G01N15/02 D
(21)【出願番号】P 2021105007
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2024-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】仲沢 武志
(72)【発明者】
【氏名】小島 秋
(72)【発明者】
【氏名】福島 伸二
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝識
(72)【発明者】
【氏名】北島 明
(72)【発明者】
【氏名】新井 智之
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-165845(JP,A)
【文献】特開2021-067468(JP,A)
【文献】特開2016-070714(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0128375(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112557263(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/1492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料が投入される載置面部と、
前記載置面部に振動を加えて前記粒状材を前記載置面部上で分散させる振動部と、
前記載置面部上に分散された前記粒状材を撮像して画像データを生成する撮像部と、
前記画像データに基づいて前記粒状材の粒径を算出する画像処理部と、
前記画像処理部で算出された前記粒状材の粒径に基づいて前記粒状材料における粒状材の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出する粒径分布算出部とを備える粒径分布計測装置であって、
前記載置面部は、水平面に対して傾斜した傾斜載置面で構成され
、
前記傾斜載置面は、前記粒状材に対して摩擦係数の大きい材料で形成されている、
ことを特徴とする粒径分布計測装置。
【請求項2】
前記載置面部はその中心部が最も高位に位置し、
前記傾斜載置面は、前記中心部の周りに配置された水平面に対する傾斜角度が異なる複数の独立傾斜載置面で角錐状に形成され、
前記粒径分布算出部による前記粒径加積曲線の算出は、前記独立傾斜載置面毎に算出された前記粒径加積曲線の平均値を算出することでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の粒径分布計測装置。
【請求項3】
前記傾斜載置面または前記独立傾斜載置面の上端に位置する箇所から下端に位置する箇所まで、水平面に対する傾斜角度が異なる複数の分割傾斜載置面が接続されて構成され、
前記粒径分布算出部による前記粒径加積曲線の算出は、前記分割傾斜載置面毎に算出された前記粒径加積曲線の平均値を算出することでなされる、
ことを特徴とする請求項1または
2記載の粒径分布計測装置。
【請求項4】
前記載置面部はその中心部が最も高位に位置し、
前記傾斜載置面は、前記中心部の周りに配置された水平面に対する傾斜角度が等しく、かつ、前記粒状材に対する摩擦係数が互いに異なる複数の独立傾斜載置面で角錐状に形成され、
前記粒径分布算出部による前記粒径加積曲線の算出は、前記独立傾斜載置面毎に算出された前記粒径加積曲線の平均値を算出することでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の粒径分布計測装置。
【請求項5】
前記載置面部は上方に凸のドーム状を呈し、
前記傾斜載置面は、前記載置面部の上方を向いた曲面傾斜載置面で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の粒径分布計測装置。
【請求項6】
前記載置面部は上方に凸の円錐状を呈し、
前記傾斜載置面は、前記載置面部の外周面をなす円錐面で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の粒径分布計測装置。
【請求項7】
異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料が投入される載置面部に振動を加えて前記粒状材を前記載置面部上で分散させ、
前記載置面部上に分散された前記粒状材を撮像部により撮像して画像データを生成し、
前記画像データに基づいて前記粒状材の粒径を算出し、
算出された前記粒状材の粒径に基づいて前記粒状材料における粒状材の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出する粒径分布計測方法であって、
前記載置面部を水平面に対して傾斜させた状態で、前記載置面部を振動させて前記粒状材を前記載置面部上に分散させたのち、前記載置面部を揺動させ水平面上に位置させた状態で、その光軸を前記載置面部と直交させた前記撮像部により前記粒状材を撮像することで前記画像データを生成する、
ことを特徴とする粒径分布計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径分布計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントと混ぜてコンクリートを構成する砂や砂利などの骨材や、土地を平坦にしたり土地に勾配を付けたりするために土地に盛る盛土材といった粒状材の粒径を測定して粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出する場合、目の大きさが異なる複数のふるいを用いて粒状材をふるい分けし、各ふるいを通過した粒状材の質量が粒状材全体の質量に占める割合を算出する方法が用いられている。
このような方法では、人的作業に多大な労力と時間を要する問題がある。
そこで、特許文献1には、デジタルカメラにより粒状材を撮像して生成された画像データから粒状材の粒径を求める技術が提案されている。
また、特許文献2には、粒状材が投入された容器を加振させて粒状材を振動させることで粒状材を分散させ、分散された粒状材を撮像して画像データを生成し、画像データに基づいて粒状材の粒径を算出し、算出された粒状材の粒径に基づいて粒径加積曲線を算出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-038865号公報
【文献】特許第6319791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、撮像時に、粒状材同士が重なったり、接触した状態となることが懸念され、粒状材の画像データから粒状材の粒径を正確に算出する上で不利がある。
また、特許文献2の技術では、粒状材に振動を与えて分散させているものの、単に振動を与えるだけでは、粒状材同士が重なったり、接触した状態を確実に解消するには不十分であり、粒状材の画像データから粒状材の粒径を正確に算出する上で不利がある。
したがって、上記2つの従来技術では、粒状材の粒径を正確に計測して粒径加積曲線を正確に算出する上で改善の余地がある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたもので、本発明の目的は、粒状材の粒径を正確に計測して粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利な粒径分布計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料が投入される載置面部と、前記載置面部に振動を加えて前記粒状材を前記載置面部上で分散させる振動部と、前記載置面部上に分散された前記粒状材を撮像して画像データを生成する撮像部と、前記画像データに基づいて前記粒状材の粒径を算出する画像処理部と、前記画像処理部で算出された前記粒状材の粒径に基づいて前記粒状材料における粒状材の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出する粒径分布算出部とを備える粒径分布計測装置であって、前記載置面部は、水平面に対して傾斜した傾斜載置面で構成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記傾斜載置面は、前記粒状材に対して摩擦係数の大きい材料で形成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部はその中心部が最も高位に位置し、前記傾斜載置面は、前記中心部の周りに配置された水平面に対する傾斜角度が異なる複数の独立傾斜載置面で角錐状に形成され、前記粒径分布算出部による前記粒径加積曲線の算出は、前記独立傾斜載置面毎に算出された前記粒径加積曲線の平均値を算出することでなされることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記傾斜載置面または前記独立傾斜載置面の上端に位置する箇所から下端に位置する箇所まで、水平面に対する傾斜角度が異なる複数の分割傾斜載置面が接続されて構成され、前記粒径分布算出部による前記粒径加積曲線の算出は、前記分割傾斜載置面毎に算出された前記粒径加積曲線の平均値を算出することでなされることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部はその中心部が最も高位に位置し、前記傾斜載置面は、前記中心部の周りに配置された水平面に対する傾斜角度が等しく、かつ、前記粒状材に対する摩擦係数が互いに異なる複数の独立傾斜載置面で角錐状に形成され、前記粒径分布算出部による前記粒径加積曲線の算出は、前記独立傾斜載置面毎に算出された前記粒径加積曲線の平均値を算出することでなされることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部は上方に凸のドーム状を呈し、前記傾斜載置面は、前記載置面部の上方を向いた曲面傾斜載置面で形成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、前記載置面部は上方に凸の円錐状を呈し、前記傾斜載置面は、前記載置面部の外周面をなす円錐面で形成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態は、異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料が投入される載置面部に振動を加えて前記粒状材を前記載置面部上で分散させ、前記載置面部上に分散された前記粒状材を撮像部により撮像して画像データを生成し、前記画像データに基づいて前記粒状材の粒径を算出し、算出された前記粒状材の粒径に基づいて前記粒状材料における粒状材の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出する粒径分布計測方法であって、前記載置面部を水平面に対して傾斜させた状態で、前記載置面部を振動させて前記粒状材を前記載置面部上に分散させたのち、前記載置面部を揺動させ水平面上に位置させた状態で、その光軸を前記載置面部と直交させた前記撮像部により前記粒状材を撮像することで前記画像データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、載置面部を傾斜載置面で構成し、傾斜載置面の振動により粒状材の一つ一つが傾斜載置面上を傾斜に沿って移動するようにした。
したがって、傾斜載置面上に分散された粒状材を撮像して生成された画像データに基づいて粒状材の粒径を算出すると共に、算出された粒状材の粒径に基づいて粒状材料における粒状材の粒径の分布を示す粒径加積曲線を算出するにあたって、従来のように粒状材同士が重なり合ったり接触することがない。
そのため、一つ一つの粒状材の粒径を正確に計測でき、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、傾斜載置面を、粒状材に対して摩擦係数の大きい材料で形成すると、粒状材が傾斜載置面上で転がりやすくなり、そのため、一つ一つの粒状材が分散し、互いに離間しやすくなるため、粒径を正確に計測し、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、傾斜載置面を互いに傾斜角度が異なる複数の独立傾斜載置面で形成し、あるいは、傾斜載置面を水平面に対する傾斜角度が異なる複数の分割傾斜載置面を接続して構成し、あるいは、傾斜載置面を互いに粒状材に対する摩擦係数が互いに異なる複数の独立傾斜載置面で形成すると、粒状材の物性の如何に拘らず粒状材の分散を促進させる上で有利となり、しかも、複数の独立傾斜載置面または複数の分割傾斜載置面を用いて粒状材を分散させた際の画像データを1回の作業で取得することができるため、作業の効率化を図る上で有利となる。
したがって、一つ一つの粒状材の粒径を正確に計測でき、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、傾斜載置面を曲面載置面で形成し、振動により粒状材の一つ一つが曲面載置面上を傾斜に沿って移動するようにすると、一つ一つの粒状材が曲面載置面に沿って分散しやすくなり、互いに離間しやすくなる。
したがって、一つ一つの粒状材の粒径を正確に計測でき、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、傾斜載置面を円錐面で構成し、円錐面の振動により粒状材の一つ一つが円錐面上を傾斜に沿って移動するようにすると、一つ一つの粒状材が曲面載置面に沿って分散しやすくなり、互いに離間しやすくなる。
したがって、一つ一つの粒状材の粒径を正確に計測でき、粒状材の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、載置面部を水平面に対して傾斜させた状態で、載置面部を振動させて粒状材を載置面部上に分散させたのち、載置面部を揺動させ水平面上に位置させた状態で、その光軸を載置面部と直交させた撮像部により粒状材を撮像することで画像データを生成するようにした。
したがって、粒状材が撮像された画像データの歪みを抑制でき、画像データ上における粒状材の輪郭の形状や大きさの精度を確保する上で有利となるため、一つ一つの粒状材の粒径をより正確に計測でき、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上でより有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上でより有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置の構成を示す説明図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器を示す斜視図である。
【
図4】(A)は容器の平面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置の動作フローチャートである。
【
図6】載置面部上に分散された粒状材の画像データの一例を示す説明図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る粒径分布計測装置によって算出された粒径加積曲線の一例を示す線図である。
【
図8】第2の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器および載置面部の平面図である。
【
図9】
図8のX-X線矢視図であり、載置面部の水平位置P1を示す。
【
図10】
図8のX-X線矢視図であり、載置面部の傾斜位置P2を示す。
【
図11】ガイド部材の上部に設けられた上部固定部の部分拡大図である。
【
図12】(A)は第3の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器の平面図、(B)は(A)のB-B線拡大断面図、(C)は(A)のC-C線拡大断面図である。
【
図13】(A)は第4の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器の平面図、(B)は(A)のB-B線拡大断面図、(C)は(A)のC-C線拡大断面図である。
【
図14】(A)は第5の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器の平面図、(B)は(A)のB-B線拡大断面図、(C)は(A)のC-C線拡大断面図である。
【
図15】第5の実施の形態に係る粒径分布計測装置の動作フローチャートである。
【
図16】(A)は第6の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器の平面図、(B)は(A)のB-B線拡大断面図、(C)は第1の変形例における(A)のB-B線拡大断面図、(D)は第2の変形例における(A)のB-B線拡大断面図である。
【
図17】第6の実施の形態に係る粒径分布計測装置の動作フローチャートである。
【
図18】(A)は第7の実施の形態に係る粒径分布計測装置の容器の平面図、(B)は(A)のB-B線拡大断面図、(C)は(A)のC-C線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本明細書で用いる用語について説明する。
粒状材とは、例えば、土木工事や建築工事などで使用する材料であり、具体的には、セメントと混ぜてコンクリートを構成する砂や砂利などの骨材や、土地を平坦にしたり土地に勾配を付けたりするために土地に盛る盛土材などを含んでいる。
骨材や盛土材は、異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料で構成されている。
粒状材の粒径とは、粒状材を平面に投影した際の輪郭で規定される面積、言い換えると、撮像装置で撮像した画像データ上で特定される粒状材の輪郭で規定される面積を円の面積とした場合における、この円の直径として算出される面積等価径である。
粒状材の粒径として面積等価径を算出する理由は、粒状材が円形ではなく様々な形状の不定形であるためである。
骨材や盛土材を構成する粒状材は、粒径Dの範囲によって以下のように区分されている(JISA0207:2018(地盤工学用語))。
粘土分: 粒径D<0.005mm
シルト分: 0.005mm≦粒径D<0.075mm
砂分: 0.075mm≦粒径D<2mm
れき(礫)分: 2mm≦粒径D<75mm
石分: 75mm≦粒径D
【0009】
粒径加積曲線とは、粒状材料を構成する粒状材の粒径の分布を示すものである。
図7に示すように、粒径加積曲線C1、C2は、各粒状材の粒径Dを横軸(対数スケール)とし、通過質量百分率P(加積通過率ともいう)を縦軸(線形スケール)とした片対数グラフによって表される。
通過質量百分率Pとは、各粒径D以下の粒状材の全体に対する質量百分率、すなわち、その粒径D以下の粒状材の総質量の粒状材全体の総質量に占める割合をパーセンテージで示した値である。
【0010】
次に、本実施の形態に係る粒径分布計測装置10の構成について説明する。
図1、
図2に示すように、粒径分布計測装置10は、容器12Aと、振動部14と、撮像部16と、コンピュータ18とを含んで構成されている。
図3に示すように、容器12Aは、異なる粒径の粒状材が混合された粒状材料が投入されるものであり、載置面部20と、載置面部20の周囲から起立された側壁22とを備え上方に開放状に形成されている。
本実施の形態では、載置面部20は長辺と短辺を有する矩形板状を呈しているが、載置面部20の形状は円形や多角形状などであってもよく限定されない。
載置面部20は、上記の粒状材料が投入される箇所である。
図4(A)は載置面部20を模試的に示す平面図であり、(B)は(A)のB-B線断面図である。
載置面部20は、水平面に対して傾斜した傾斜載置面38で構成されている。
本実施の形態では、傾斜載置面38は、水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜した平面で構成され、傾斜載置面38は、長手方向の一端の高さが最も高く長手方向の他端の高さが最も低くなっており、長手方向の一端から他端に向かうにつれて高さが低くなっている。
【0011】
載置面部20が傾斜載置面38で構成されることにより、載置面部20に粒状材料が投入された状態で、振動部14により傾斜載置面38が振動されると、粒状材料を構成する粒状材2の一つ一つが傾斜載置面38上を傾斜に沿って上方から下方に移動しながら傾斜載置面38に沿って分散される。
【0012】
また、載置面部20を含む容器12Aは、例えば、金属や合成樹脂など従来公知の材料で構成することができるが、傾斜載置面38を、粒状材2に対して摩擦係数の大きい材料で形成すると、傾斜載置面38の振動により、粒状材2が転がりやすくなる。
そのため、互いに重なり合ったり接触している粒状材2の一つ一つが分離しやすくなる。
なお、粒状材に対して摩擦係数の大きい材料として、例えばゴムなどの従来公知の様々な材料が使用可能である。
【0013】
図1に示すように、振動部14は、載置面部20に振動を加えて粒状材を傾斜載置面38上で分散させるものである。
この場合、振動の方向は、水平面に沿った方向、および、鉛直方向の一方または双方の方向である。
本実施の形態では、振動部14として、試験管や三角フラスコなどの容器12Aを振とうして(振って)中の試料を混ぜたり分離する振とう器14Aを用いている。
振とう器14Aは、例えば、基台26の上に載置される本体部1402と、本体部1402の上部に揺動可能に支持された振動テーブル1404とを備えている。
振動テーブル1404は、本体部1402に組み込まれた不図示のアクチュエータによって水平方向および鉛直方向の少なくとも一方に振動される。
本実施の形態では、容器12Aは振動テーブル1404上に載置された状態で不図示の取付具によって振動テーブル1404に取り付けられ、これにより容器12Aは振動テーブル1404と一体に振動される。
振とう器14Aは、本体部1402に設けられている操作部1406を手動操作することにより、振動テーブル1404の振動方向、振動の振幅、振動の周波数、加振時間などのパラメータを変更して設定できるように構成されている。
なお、振動部14の構成は任意であり、振動可能に支持された容器12Aに、従来公知のバイブレータ装置から振動を加えることで、傾斜載置面38に振動を与えるようにするなど任意である。
【0014】
撮像部16は、デジタルカメラなどの撮像装置16Aで構成され、傾斜載置面38上に分散された粒状材を撮像して画像データ(静止画)を生成するものである。
撮像部16は、基台26上に配置されたスタンド28を介して傾斜載置面38の上方に離間した箇所に支持され、上方から傾斜載置面38の全域を撮像できるように構成されている。
なお、
図1では、容器12Aが振とう器14Aに載置された状態で撮像装置16Aにより傾斜載置面38を撮像する場合について示したが、容器12Aが振とう器14Aから取り外され、容器12Aが基台26上に載置された状態で撮像装置16Aにより傾斜載置面38を撮像するようにしてもよいことは無論である。
【0015】
コンピュータ18は、何れも不図示のCPU、ROM、RAM、ハードディスク装置、入出力インターフェースに加えて、入力装置30、出力装置32、外部記憶装置34を含んで構成されている。
ROMは所定の制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置は、後述する入力部18A、画像処理部18Bと、粒径分布算出部18Cと、出力部18Dと、通信部18Eを実現するための制御プログラムを格納している。
入出力インターフェースは、以下の入力装置30、出力装置32、ネットワーク36とのインターフェースを取るものである。
入力装置30は、操作者による操作入力を受け付けるものであり、キーボード3002、マウス3004を備えている。
出力装置32は、情報を出力するものであり、ディスプレイ3202、プリンタ3204を備えている。
外部記憶装置34は、情報を記憶するものであり、外付けのハードディス装置や外付けのSSD(ソリッドステートドライブ装置)、あるいは、メモリカードやUSBメモリなどの半導体記録媒体、あるいは、DVDなどの光ディスク記録媒体などを含む。
【0016】
CPUがハードディスク装置の制御プログラムを実行することにより、入力部18A、画像処理部18Bと、粒径分布算出部18Cと、出力部18Dと、通信部18Eが実現される。
入力部18Aは、撮像装置16Aで撮像された画像データを受け付けるものである。
画像処理部18Bは、画像データに基づいて粒状材の粒径Dを算出するものであり、画像データから画像認識により粒状材の面積を算出し、算出された面積から粒径D(面積等価径)を算出する。
【0017】
粒径分布算出部18Cは、画像処理部18Bで算出された粒状材の粒径Dに基づいて粒状材料における粒状材の粒径Dの分布を示す
図7の粒径加積曲線C1、C2を算出するものである。
出力部18Dは、粒径分布算出部18Cで算出された粒径加積曲線のデータを、出力装置32、あるいは、外部記憶装置34に供給するものである。
通信部18Eはインターネットや専用回線などを含むネットワーク36を介して不図示の端末(コンピュータ)と通信を行なうものであり、本実施の形態では、粒径分布算出部18Cで算出された粒径加積曲線のデータを不図示の端末に送信する。
【0018】
次に、本実施の形態に係る粒径分布計測装置10の動作について
図5のフローチャートを参照して説明する。
まず初めに粒径分布を計測する対象となる粒状材料、例えば、骨材や盛土材の採取を行なう(ステップS10)。
次いで、採取した粒状材料を容器12Aの載置面部20(傾斜載置面38)上に投入する(ステップS12)。
なお、予め、容器12Aは振とう器14Aの振動テーブル1404に取り付けられているものとする。
そして、振とう器14Aの振動の方向、振幅、周波数、加振時間などのパラメータを適宜設定して振とう器14Aにより傾斜載置面38の振動を開始させる(ステップS14)。
傾斜載置面38の振動により、傾斜載置面38上に投入された粒状材料は傾斜載置面38上で分散され、傾斜載置面38の傾斜に沿って移動することで粒状材料を構成する一つ一つの粒状材はそれぞれ分離され、分散された状態となる。
すなわち、粒状材の一つ一つは重なり合うことなく、また、接触することなく互いに距離をおいた状態で傾斜載置面38上に保持される。
【0019】
所定の加振時間が経過し振とう器14Aによる振動が停止したならば、撮像装置16Aにより載置面部20(傾斜載置面38)の全域を撮像して画像データを取得する(ステップS16)。
図6は、画像データの一例を示しており、粒状材2の一つ一つを輪郭線で描いている。
図6に示すように、粒状材2の一つ一つは重なり合うことなく、また、接触することなく互いに距離をおいた状態となっている。
【0020】
次に、画像処理部18Bは、撮像された画像データから画像処理により各粒状材2の輪郭をそれぞれ特定して面積を算出し、次いで、各粒状材2の面積等価径を粒径Dとして算出する(ステップS18)。
そして、粒径分布算出部18Cは、粒径Dの大きさ毎に粒状材2の数を積算し(ステップS20)、撮像された画像データに含まれる粒状材2の全数について積算が終了したか否かを判定し(ステップS22)、その判定結果が否定ならばステップS20に戻り積算を行ない、判定結果が肯定ならば、ステップS24に進む。
粒径分布算出部18Cは、粒径Dの大きさ毎の粒状材2の数の積算結果に基づいて
図7に示す粒径加積曲線を算出する(ステップS24)。
出力部18Dは、算出された粒径加積曲線を、ディスプレイ3202に出力することで画面表示させ、あるいは、プリンタ3204から印刷出力させる。あるいは、算出された粒径加積曲線を、外部記憶装置34に供給する(ステップS26)。
また、出力部18Dは、算出された粒径加積曲線を、通信部18Eからネットワーク36を介して他の端末に送信する(ステップS28)。
以上で一連の動作を終了する。
【0021】
算出された粒径加積曲線は、粒状材料の粒度を評価するために用いられる。
図7には、傾斜度合いが緩やかな粒径加積曲線C1と、傾斜度合いが急な粒径加積曲線C2とが例示されている。
一般的に、粒径加積曲線の傾斜度合いが緩やかなほど広範囲の粒径Dの粒状材2が含まれていることから粒状材2同士の隙間が小となり、安定した状態となることから粒状材料の粒度の評価は高くなる。
これとは逆に、粒径加積曲線の傾斜度合いが急になるほど粒径Dがそろった粒状材2が含まれていることから粒状材2同士の隙間が大となり、不安定な状態となることから粒状材料の粒度の評価は低くなる。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態によれば、異なる粒径Dの粒状材2が混合された粒状材料が投入される載置面部20を傾斜載置面38で構成し、振動部14による傾斜載置面38の振動により粒状材2の一つ一つが傾斜載置面38上を傾斜に沿って移動するようにした。
したがって、載置面部20が水平面に沿って延在する場合に比較して、重なり合ったり接触している粒状材2同士が振動によって傾斜載置面38に沿って移動しやすく、したがって、一つ一つの粒状材2が傾斜載置面38に沿って分散しやすくなり、互いに離間しやすくなる。
したがって、傾斜載置面38上に分散された粒状材2を撮像して生成された画像データに基づいて粒状材2の粒径Dを算出すると共に、算出された粒状材2の粒径Dに基づいて粒状材料における粒状材2の粒径Dの分布を示す粒径加積曲線を算出するにあたって、従来のように粒状材2同士が重なり合ったり接触することがない。
そのため、一つ一つの粒状材2の粒径Dを正確に計測でき、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0023】
また、傾斜載置面38を、粒状材2に対して摩擦係数の大きい材料で形成すると、傾斜載置面38の振動により、粒状材2が傾斜載置面38上で転がりやすくなり、そのため、互いに重なり合ったり接触している粒状材2の一つ一つが分離しやすくなり、一つ一つの粒状材2が分散し、互いに離間しやすくなる。。
したがって、一つ一つの粒状材2を互いに離間させる上で有利となり、粒径Dを正確に計測し、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる
【0024】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について、
図8から
図11を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第1の実施の形態では、
図1に示すように、撮像装置16Aの光軸Laが水平面と直交しており、したがって、光軸Laは傾斜載置面38に対して傾斜した状態となっている。
そのため、傾斜載置面38のうち高さが高い箇所と、高さが低い箇所とで撮像装置16Aまでの距離の差が大きくなることから、撮像装置16Aの光軸Laが傾斜載置面38に対して直交している場合に比較して粒状材2が撮像された画像データに若干の歪みが生じ、画像データ上における粒状材2の輪郭の形状や大きさの精度が低下することが懸念される。
そこで、第2の実施の形態では、
図9に示すように、撮像装置16Aの光軸Laが傾斜載置面38と直交した状態で撮像装置16Aによる撮像ができるようにしたものである。
【0025】
図8、
図9、
図10に示すように、第2の実施の形態では、容器12Bと、載置面部20とが独立して構成されている。
容器12Bは、長辺と短辺を有する矩形状の底壁21と、底壁21の周囲から起立する側壁22とを備えている。
容器12Bは、第1の実施の形態と同様に、振とう器14Aの振動テーブル1404上に取り付けられる(
図1参照)。
底壁21は均一厚さで構成され、容器12Bが振とう器14Aの振動テーブル1404上に取り付けられた状態で底壁21は水平面上を延在している。
【0026】
底壁21上に載置板40が支持されている。
載置板40は、容器12Bの輪郭よりも小さい輪郭の矩形板状を呈しており、載置板40の表面により載置面部20が構成され、載置面部20は平面で構成されている。
載置板40は、一対の長辺の一方の短辺寄りの箇所からそれぞれ外側に向けて支軸4002が突設されている。
それら支軸4002は軸受4004を介して底壁21に支持されており、載置板40は、それら支軸4002周りに揺動可能に支持されている。
載置板40の一対の長辺の他方の短辺寄りの箇所からそれぞれ外側に向けてガイド軸4006が突設されている。
それらガイド軸4006は、底壁21から立設された一対のガイド部材4008に設けられた円弧状のガイド溝4010に摺動可能に案内されている。
図9に示すように、支軸4002がガイド溝4010の下端に当接した状態で載置面部20は水平面上を延在する水平位置P1に位置する。
そして、
図10に示すように、載置面部20を支軸4002周りに揺動させ、支軸4002がガイド軸4006の上端に当接した状態で載置面部20は水平面に対して傾斜した傾斜位置P2に位置する。
したがって、傾斜位置P2に位置した載置面部20によって傾斜載置面38が形成される。
【0027】
図11に示すように、ガイド部材4008の上部には、傾斜位置P2において載置面部20の上下方向の位置を固定する上部固定部42が設けられている。
上部固定部42は、ガイド部材4008に形成されガイド溝4010に開口する雌ねじ部4202と、雌ねじ部4202に螺合する押さえねじ4204とを含んで構成されている。
そして、傾斜位置P2に位置したガイド軸4006の周面を雌ねじ部4202に螺合した押さえねじ4204の先端で押さえつけることによりガイド軸4006が上下方向に移動不能に固定され、載置面部20が傾斜位置P2に固定される。
また、
図9に示すように、ガイド部材4008の下部には、水平位置P1において載置面部20の上下方向の位置を固定する下部固定部44が設けられている。
下部固定部44は、ガイド部材4008に形成されガイド溝4010に開口する雌ねじ部4402と、雌ねじ部4402に螺合する押さえねじ4404とを含んで構成されている。
しして、水平位置P1に位置したガイド軸4006の周面を雌ねじ部4402に螺合した押さえねじ4404の先端で押さえつけることによりガイド軸4006が上下方向に移動不能に固定され、載置面部20が水平位置P1に固定される。
なお、
図9には上部固定部42の押さえねじ4204が省略され、
図10には下部固定部40の押さえねじ4004が省略されている。
【0028】
次に作用効果について説明する。
第2の実施の形態では、
図10に示すように、載置面部20を傾斜位置P2に固定させ、すなわち、載置面部20を水平面に対して傾斜させて傾斜載置面38を形成した状態で、振とう器14Aにより、傾斜載置面38を振動させて粒状材2を傾斜載置面38上に分散させる。
その後、
図9に示すように、載置面部20を揺動させて載置面部20を水平位置P1に固定させた状態で、その光軸Laが載置面部20と直交した状態で撮像装置16Aにより粒状材2を撮像することで画像データを生成する。
そして、第1の実施の形態と同様に、粒径分布算出部18Cにより画像データから粒径加積曲線を算出し、粒径加積曲線を出力する。
【0029】
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、撮像装置16Aの光軸Laが傾斜載置面38に対して直交した状態で画像データを取得できるので、粒状材2が撮像された画像データの歪みを抑制でき、画像データ上における粒状材2の輪郭の形状や大きさの精度を確保する上で有利となる。
そのため、一つ一つの粒状材2の粒径Dをより正確に計測でき、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上でより有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上でより有利となる。
【0030】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について、
図12を参照して説明する。
第3の実施の形態は、容器12Cの載置面部20が上方に凸のドーム状を呈している点が第1、第2の実施の形態と異なっている。
図12(A)に示すように、載置面部20は平面視矩形状を呈し、
図12(B)、(C)に示すように、傾斜載置面38は、載置面部20の上方を向いた曲面載置面46で形成され、本実施の形態では、曲面載置面46はその中央部が最も高位に位置し、中央部から離れるにつれて高さが低下している。
曲面載置面46は、一定の曲率半径で形成された球面であってもよく、曲率半径が連続的に変化する曲面であってもよい。
また、曲面載置面46は、球面と曲面が組み合わされて構成されていてもよい。
【0031】
第3の実施の形態によれば、異なる粒径Dの粒状材2が混合された粒状材料が投入される傾斜載置面38を曲面載置面46で形成し、振動部14による曲面載置面46の振動により粒状材2の一つ一つが曲面載置面46上を傾斜に沿って移動するようにした。
したがって、載置面部20が水平面に沿って延在する場合に比較して、重なり合ったり接触している粒状材2同士が振動によって曲面載置面46に沿って移動しやすく、したがって、一つ一つの粒状材2が曲面載置面46に沿って分散しやすくなり、互いに離間しやすくなる。
したがって、曲面載置面46上に分散された粒状材2を撮像して生成された画像データに基づいて粒状材2の粒径Dを算出すると共に、算出された粒状材2の粒径Dに基づいて粒状材料における粒状材2の粒径Dの分布を示す粒径加積曲線を算出するにあたって、従来のように粒状材2同士が重なり合ったり接触することがない。
そのため、一つ一つの粒状材2の粒径Dを正確に計測でき、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0032】
また、曲面載置面46を、粒状材2に対して摩擦係数の大きい材料で形成すると、曲面載置面46の振動により、粒状材2が曲面載置面46上で転がりやすくなり、そのため、互いに重なり合ったり接触している粒状材2の一つ一つが分離しやすくなり、一つ一つの粒状材2が分散し、互いに離間しやすくなる。
したがって、一つ一つの粒状材2を互いに離間させる上で有利となり、粒径Dを正確に計測し、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0033】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について、
図13を参照して説明する。
第4の実施の形態は、容器12Dの載置面部20が上方に凸の円錐状を呈している点が第1~第3の実施の形態と異なっている。
図13(A)に示すように、載置面部20は平面視円形を呈し、
図13(B)に示すように、傾斜載置面38は、載置面部20の外周面をなす円錐面48で形成されている。
【0034】
第4の実施の形態によれば、異なる粒径Dの粒状材2が混合された粒状材料が投入される傾斜載置面38を円錐面48で構成し、振動部14による円錐面48の振動により粒状材2の一つ一つが円錐面48上を傾斜に沿って移動するようにした。
したがって、載置面部20が水平面に沿って延在する場合に比較して、重なり合ったり接触している粒状材2同士が振動によって円錐面48に沿って移動しやすく、したがって、一つ一つの粒状材2が円錐面48に沿って分散しやすくなり、互いに離間しやすくなる。
したがって、円錐面48上に分散された粒状材2を撮像して生成された画像データに基づいて粒状材2の粒径Dを算出すると共に、算出された粒状材2の粒径Dに基づいて粒状材料における粒状材2の粒径Dの分布を示す粒径加積曲線を算出するにあたって、従来のように粒状材2同士が重なり合ったり接触することがない。
そのため、一つ一つの粒状材2の粒径Dを正確に計測でき、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0035】
また、円錐面48を、粒状材2に対して摩擦係数の大きい材料で形成することで、一つ一つの粒状材2を互いに離間させる上で有利となり、粒径Dを正確に計測し、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる点は第3の実施の形態と同様である。
【0036】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について、
図14を参照して説明する。
第5の実施の形態は、容器12Eの載置面部20が複数の独立傾斜載置面50で構成されている点が第1~第4の実施の形態と異なっている。
図14(A)、(B)、(C)に示すように、載置面部20は平面視矩形状を呈し、その中心部が最も高位に位置している。
傾斜載置面38は、中心部の周りに配置された水平面に対する傾斜角度φが異なる複数の独立傾斜載置面50で角錐状に形成されている。
本実施の形態では、傾斜載置面38は、第1、第2、第3、第4独立傾斜載置面50A、50B、50C、50Dの4つの独立傾斜載置面50で四角錐状に形成されている。
また、平面視したときに4つの第1、第2、第3、第4独立傾斜載置面50A、50B、50C、50Dがそれらの順に時計回りに配置され、また、それらの順で水平面に対する傾斜角度φが増加するように構成されている。
また、第1独立傾斜載置面50Aを除く残りの3つの独立傾斜載置面50B、50C、50Dの下端と側壁22の下端とは水平に延在する平面52で接続されている。
なお、第1、第2、第3、第4独立傾斜載置面50A、50B、50C、50Dと、それら独立傾斜載置面50の傾斜角度φとの組み合わせは上記に限定されるものではない。
【0037】
次に、第5の実施の形態に係る粒径分布計測装置10の動作について
図15のフローチャートを参照して説明する。
まず初めに粒径分布を計測する対象となる粒状材料、例えば、骨材や盛土材の採取を行なう(ステップS100)。
次いで、採取した粒状材料を容器12Eの載置面部20上に投入する(ステップS102)。
本実施の形態では、粒状材料を傾斜載置面38の中心部とその周辺に投入する。
そして、振とう器14Aの振動の方向、振幅、周波数、加振時間などのパラメータを適宜設定して振とう器14Aにより傾斜載置面38の振動を開始させる(ステップS104)。
傾斜載置面38の振動により、傾斜載置面38上に投入された粒状材料は、4つの独立傾斜載置面50上のそれぞれで分散され、4つの独立傾斜載置面50の傾斜に沿ってそれぞれ移動することで粒状材料を構成する一つ一つの粒状材2はそれぞれ分離され、分散された状態となる。
すなわち、粒状材2の一つ一つは重なり合うことなく、また、接触することなく互いに距離をおいた状態で4つの独立傾斜載置面50上に保持される。
【0038】
所定の加振時間が経過し振とう器14Aによる振動が停止したならば、撮像装置16A16Aにより載置面部20の全域を撮像して画像データを取得する(ステップS106)。
すなわち、4つの独立傾斜載置面50の全域を撮像した画像データが取得される。
【0039】
次に、画像処理部18Bは、撮像された画像データから画像処理により各粒状材2の輪郭をそれぞれ特定して面積を算出し、次いで、各粒状材2の面積等価径を粒径Dとして算出する(ステップS108)。
次いで、粒径分布算出部18Cは、4つの独立傾斜載置面50から第1独立傾斜載置面50Aを選択し(ステップS110)、第1独立傾斜載置面50Aに対応して、粒径Dの大きさ毎に粒状材2の数を積算し(ステップS112)、撮像された画像データに含まれる粒状材2の全数について積算が終了したか否かを判定し(ステップS114)、その判定結果が否定ならばステップS112に戻り積算を行ない、判定結果が肯定ならば、ステップS116に進む。
粒径分布算出部18Cは、粒径Dの大きさ毎の粒状材2の数の積算結果に基づいて
図7に示す粒径加積曲線を算出する(ステップS116)。
【0040】
粒径分布算出部18Cは、全ての独立傾斜載置面50について粒径加積曲線を算出したか否かを判定し(ステップS118)、この判定結果が否定ならば、次の独立傾斜載置面50を選択し(ステップS122)、ステップS112に戻り同様の処理を行なう。
ステップS118の判定結果が肯定であれば、全ての独立傾斜載置面50に対応する粒径加積曲線の平均値を算出する(ステップS120)。
そして、出力部18Dは、算出された粒径加積曲線を、ディスプレイ3202に出力することで画面表示させ、あるいは、プリンタ3204から印刷出力させる。あるいは、算出された粒径加積曲線を、外部記憶装置34に供給する(ステップS124)。
また、出力部18Dは、算出された粒径加積曲線を、通信部18Eからネットワーク36を介して他の端末に送信する(ステップS126)。
以上で一連の動作を終了する。
【0041】
ここで、粒状材料は、粒径、形状、比重などの物性が異なる粒状材2が混合されて構成されている。
したがって、各粒状材2の物性の相違によって傾斜載置面38上を移動する際の粒状材2の分散のしやすさは影響を受けるものと考えられる。
また、各粒状材2の物性と傾斜載置面38の傾斜角度φとの組み合わせによっても、傾斜載置面38上を移動する際の粒状材2の分散のしやすさは影響を受けるものと考えられる。
第5の実施の形態によれば、粒状材2が投入される傾斜載置面38が、互いに傾斜角度φが異なる複数の独立傾斜載置面50で形成されている。
この際、各独立傾斜載置面50の傾斜角度φが異なることにより、独立傾斜載置面50毎に粒状材2が転がって移動する際の条件が異なることになる。
そのため、異なる傾斜角度φの独立傾斜載置面50を用いて粒状材2を分散させることができるため、粒状材2の物性の如何に拘らず粒状材2の分散を促進させる上で有利となり、しかも、複数の独立傾斜載置面50を用いて粒状材2を分散させた際の画像データを1回の作業で取得することができるため、作業の効率化を図る上で有利となる。
したがって、一つ一つの粒状材2の粒径Dを正確に計測でき、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【0042】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について、
図16を参照して説明する。
第6の実施の形態は、容器12Fの載置面部20が複数の分割傾斜載置面54で構成されている点が第1~第5の実施の形態と異なっている。
図15(A)、(B)に示すように、載置面部20は平面視矩形状を呈している。
傾斜載置面38の上端に位置する箇所から下端に位置する箇所まで、水平面に対する傾斜角度φが異なる複数の分割傾斜載置面54が接続されて構成されている。
本実施の形態では、水平面に対する傾斜角度φが異なる第1、第2、第3分割傾斜載置面54が接続されて構成され、傾斜載置面38の上端から下端に向かって第1、第2、第3分割傾斜載置面54A、54B、54Cの順番で配置されている。
なお、第1、第2、第3分割傾斜載置面54A、54B、54Cの傾斜角度φを第1傾斜角度φ1、第2傾斜角度φ2、第3傾斜角度φ3としたとき、
図15(B)に示す例では、φ1<φ2<φ3となっている。
図15(C)に示す例では、φ3<φ2<φ1となっている。
図15(D)に示す例では、φ1=φ3、φ1<φ2、φ3<φ2となっている。
なお、第1、第2、第3分割傾斜載置面54A、54B、54Cと第1傾斜角度φ1、第2傾斜角度φ2、第3傾斜角度φ3との組み合わせは上記に限定されるものではない。
【0043】
次に、第6の実施の形態に係る粒径分布計測装置10の動作について
図17のフローチャートを参照して説明する。
まず初めに粒径分布を計測する対象となる粒状材料を採取し、採取した粒状材料を容器12の載置面部20上に投入する(ステップS200,S202)。
本実施の形態では、粒状材料を最も高位に位置する第1分割傾斜載置面54Aに投入する。
そして、振とう器14Aの振動の方向、振幅、周波数、加振時間などのパラメータを適宜設定して振とう器14Aにより傾斜載置面38の振動を開始させる(ステップS204)。
傾斜載置面38の振動により、傾斜載置面38上に投入された粒状材料は、第1、第2、第3分割傾斜載置面54A、54B、54Cの傾斜に沿ってそれらの順番で移動することで粒状材料を構成する一つ一つの粒状材2は第1、第2、第3分割傾斜載置面54A、54B、54C上においてそれぞれ分離され、分散された状態となる。
すなわち、粒状材2の一つ一つは重なり合うことなく、また、接触することなく互いに距離をおいた状態で3つの分割傾斜載置面54上に保持される。
【0044】
所定の加振時間が経過し振とう器14Aによる振動が停止したならば、撮像装置16A16Aにより載置面部20の全域を撮像して画像データを取得する(ステップS206)。
すなわち、3つの分割傾斜載置面54の全域を撮像した画像データが取得される。
【0045】
次に、画像処理部18Bは、撮像された画像データから画像処理により各粒状材2の輪郭をそれぞれ特定して面積を算出し、次いで、各粒状材2の面積等価径を粒径Dとして算出する(ステップS208)。
次いで、粒径分布算出部18Cは、3つの分割傾斜載置面54から第1分割傾斜載置面54Aを選択し(ステップS210)、第1分割傾斜載置面54に対応して、粒径Dの大きさ毎に粒状材2の数を積算し(ステップS212)、撮像された画像データに含まれる粒状材2の全数について積算が終了したか否かを判定し(ステップS214)、その判定結果が否定ならば次の分割傾斜載置面54を選択して(ステップS222)、ステップS212に戻り次の分割傾斜載置面54を選択して積算を行ない、ステップS214の判定結果が肯定ならば、ステップS216に進む。
粒径分布算出部18Cは、粒径Dの大きさ毎の粒状材2の数の積算結果に基づいて
図7に示す粒径加積曲線を算出する(ステップS216)。
【0046】
粒径分布算出部18Cは、全ての分割傾斜載置面54について粒径加積曲線を算出したか否かを判定し(ステップS218)、この判定結果が否定ならば、次の分割傾斜載置面54を選択し(ステップS222)、ステップS212に戻り同様の処理を行なう。
ステップS218の判定結果が肯定であれば、全ての分割傾斜載置面54に対応する粒径加積曲線の平均値を算出する(ステップS220)。
そして、出力部18Dは、算出された粒径加積曲線を出力し、算出された粒径加積曲線を、通信部18Eからネットワーク36を介して他の端末に送信する(ステップS224、S226)。
以上で一連の動作を終了する。
【0047】
以上説明したように、第6の実施の形態によれば、粒状材2が投入される傾斜載置面38が、水平面に対する傾斜角度φが異なる複数の分割傾斜載置面54が接続されて構成されている。
この際、各分割傾斜載置面54の傾斜角度φが異なることにより、分割傾斜載置面54毎に粒状材2が転がって移動する際の条件が異なることになる。
そのため、異なる傾斜角度φの分割傾斜載置面54を用いて粒状材2を分散させることができるため、粒状材2の物性の如何に拘らず粒状材2の分散を促進させる上で有利となり、しかも、複数の分割傾斜載置面54を用いて粒状材2を分散させた際の画像データを1回の作業で取得することができるため、作業の効率化を図る上で有利となる。
したがって、一つ一つの粒状材2の粒径Dを正確に計測でき、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
なお、第6の実施の形態を第5の実施の形態に適用することも可能である。
その場合、独立傾斜載置面50の上端に位置する箇所から下端に位置する箇所まで、水平面に対する傾斜角度φが異なる複数の分割傾斜載置面54が接続されて構成されることになり、第5の実施の形態の効果がさらに高められる。
【0048】
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態について、
図18を参照して説明する。
第7の実施の形態は、容器12Gの載置面部20が複数の独立傾斜載置面56で構成され、かつ、複数の独立傾斜載置面56は粒状材2に対する摩擦係数が互いに異なる点が第1~第6の実施の形態と異なっている。
図18(A)、(B)、(C)に示すように、載置面部20は平面視矩形状を呈している。
載置面部20はその中心部が最も高位に位置している。
傾斜載置面38は、中心部の周りに配置された水平面に対する傾斜角度φが等しく、かつ、粒状材2に対する摩擦係数が互いに異なる複数の独立傾斜載置面56で角錐状に形成されている。
本実施の形態では、傾斜載置面38は、粒状材2に対する摩擦係数が互いに異なる第1、第2、第3、第4独立傾斜載置面56A、56B、56C、56Dの4つで四角錐状に形成されている。
また、平面視したときに4つの第1、第2、第3、第4独立傾斜載置面56A、56B、56C、56Dがそれらの順に時計回りに配置されている。
第1、第2、第3、第4独立傾斜載置面56A、56B、56C、56Dの摩擦係数μの値は互いに異なっていればよく、第1、第2、第3、第4独立傾斜載置面56A、56B、56C、56Dと摩擦係数μとの組み合わせは限定されない。
【0049】
第7の実施の形態に係る粒径分布計測装置10の動作については、
図15のフローチャートを流用して簡単に説明する。
まず初めに粒径分布を計測する対象となる粒状材料の採取を行ない、採取した粒状材料を容器12Gの載置面部20上に投入する(ステップS100、S102)。
本実施の形態では、粒状材料を傾斜載置面38の中心部とその周辺に投入する。
そして、振とう器14Aにより傾斜載置面38の振動を開始させる(ステップS104)。
傾斜載置面38の振動により、傾斜載置面38上に投入された粒状材料は、4つの独立傾斜載置面56上のそれぞれで分散され、4つの独立傾斜載置面56の傾斜に沿ってそれぞれ移動することで粒状材料を構成する一つ一つの粒状材2はそれぞれ分離され、分散された状態となる。
すなわち、粒状材2の一つ一つは重なり合うことなく、また、接触することなく互いに距離をおいた状態で4つの独立傾斜載置面56上に保持される。
【0050】
所定の加振時間が経過し振とう器14Aによる振動が停止したならば、撮像装置16A16Aにより載置面部20の全域を撮像して画像データを取得する(ステップS106)。
すなわち、4つの独立傾斜載置面56の全域を撮像した画像データが取得される。
【0051】
その後、画像処理部18Bにより、各粒状材2の面積等価径を粒径Dとして算出し、粒径分布算出部18Cにより、4つの独立傾斜載置面56のそれぞれに対応して粒径加積曲線を算出し、全ての独立傾斜載置面56に対応する粒径加積曲線の平均値を算出する(ステップS108~S122)。
そして、出力部18Dから算出された粒径加積曲線を出力し、通信部18Eから算出された粒径加積曲線をネットワーク36を介して他の端末に送信する(ステップS124、S126)。
以上で一連の動作を終了する。
【0052】
前述したように、粒状材料は物性が異なる粒状材2が混合されて構成され、各粒状材2の物性の相違によって傾斜載置面38上を移動する際の粒状材2の分散のしやすさは影響を受けるものと考えられる。
また、各粒状材2の物性と傾斜載置面38の摩擦係数との組み合わせによっても、傾斜載置面38上を移動する際の粒状材2の分散のしやすさは影響を受けるものと考えられる。
第7の実施の形態によれば、粒状材2が投入される傾斜載置面38が、互いに粒状材2に対する摩擦係数が互いに異なる複数の独立傾斜載置面56で形成されている。
この際、各独立傾斜載置面56の摩擦係数μが異なることにより、独立傾斜載置面56毎に粒状材2が転がって移動する際の条件が異なることになる。
そのため、異なる摩擦係数の独立傾斜載置面56を用いて粒状材2を分散させることができるため、粒状材2の物性の如何に拘らず粒状材2の分散を促進させる上で有利となり、しかも、複数の独立傾斜載置面56を用いて粒状材2を分散させた際の画像データを1回の作業で取得することができるため、作業の効率化を図る上で有利となる。
したがって、一つ一つの粒状材2の粒径Dを正確に計測でき、粒状材2の粒径加積曲線を正確に算出する上で有利となり、粒状材料の評価を効率よく正確に行なう上で有利となる。
【符号の説明】
【0053】
2 粒状材
10 粒径分布計測装置
12A-12G 容器
14 振動部
14A 振とう器
1402 本体部
1404 振動テーブル
1406 操作部
16 撮像部
16A 撮像装置
18 コンピュータ
18A 入力部
18B 画像処理部
18C 粒径分布算出部
18D 出力部
18E 通信部
20 載置面部
21 底壁
22 側壁
26 基台
28 スタンド
30 入力装置
3002 キーボード
3004 マウス
32 出力装置
3202 ディスプレイ
3204 プリンタ
34 外部記憶装置
36 ネットワーク
38 傾斜載置面
40 載置板
4002 支軸
4004 軸受
4006 ガイド軸
4008 ガイド部材
4010 ガイド溝
42 上部固定部
4202 雌ねじ部
4204 押さえねじ
44 下部固定部
4402 雌ねじ部
4404 押さえねじ
46 曲面載置面
48 円錐面
50 独立傾斜載置面
52 平面
54 分割傾斜載置面
56 独立傾斜載置面
C1、C2 粒径加積曲線