(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20230101AFI20250210BHJP
【FI】
G06Q40/00
(21)【出願番号】P 2021113454
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2024-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】宇佐神 絵理
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-259751(JP,A)
【文献】特開2002-015137(JP,A)
【文献】特開2020-197768(JP,A)
【文献】特開2002-312332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の業務に関する処理を実行する業務処理部と、
決済機関のシステムと接続され、決済に関する処理を実行する決済接続部と、
変換部と、
を備え、
前記業務処理部は、前記金融機関において定められた複数の管理単位に対応する複数の区分コード値のいずれかが設定された複数のデータの処理を、各データに設定された区分コード値ごとに独立した処理として実行し、
前記決済接続部は、前記金融機関を単位として前記決済に関する処理を実行し、
前記変換部は、前記業務処理部から前記決済接続部へ送信されるデータに設定された区分コード値を、前記金融機関を示す共通の区分コード値に変換する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記変換部は、前記決済接続部から前記業務処理部へ送信されるデータに設定された前記共通の区分コード値を、所定の規則にしたがって、前記複数の区分コード値のいずれかに変換する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記複数の区分コード値は、前記複数の管理単位としての複数種類の勘定に対応するものである、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
コンピュータの第1の処理部が、金融機関の業務に関する処理を実行するステップであって、金融機関において定められた複数の管理単位に対応する複数の区分コード値のいずれかが設定された複数のデータの処理を、各データに設定された区分コード値ごとに独立した処理として実行するステップと、
前記コンピュータの第2の処理部が、前記第1の処理部から出力されたデータに設定された区分コード値を、前記金融機関を示す共通の区分コード値に変換するステップと、
前記コンピュータの第3の処理部が、決済機関のシステムと接続し、前記共通の区分コード値が設定されたデータに基づいて、前記金融機関を単位として決済に関する処理を実行するステップと、
を備える情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ処理技術に関し、特に情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、金融機関のバックオフィス業務を共同利用型のASP(Application Service Provider)サービスとして提供するシステムを提案している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記システムを利用する金融機関の中には、自社が定める複数の管理単位間でバックオフィス業務を明確に分断したいという要望を持つ金融機関がある。一方、このような金融機関であっても、外部の決済機関と連携する決済管理の処理は、単一の金融機関の処理として実行する必要がある。
【0005】
本開示の技術は、上記課題を鑑みてなされたものであり、1つの目的は、金融機関に対する利便性の高いサービスを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の情報処理システムは、金融機関の業務に関する処理を実行する業務処理部と、決済機関のシステムと接続され、決済に関する処理を実行する決済接続部と、変換部と、を備える。業務処理部は、金融機関において定められた複数の管理単位に対応する複数の区分コード値のいずれかが設定された複数のデータの処理を、各データに設定された区分コード値ごとに独立した処理として実行し、決済接続部は、金融機関を単位として決済に関する処理を実行し、変換部は、業務処理部から決済接続部へ送信されるデータに設定された区分コード値を、金融機関を示す共通の区分コード値に変換する。
【0007】
本開示の別の態様は、情報処理方法である。この方法は、コンピュータの第1の処理部が、金融機関の業務に関する処理を実行するステップであって、金融機関において定められた複数の管理単位に対応する複数の区分コード値のいずれかが設定された複数のデータの処理を、各データに設定された区分コード値ごとに独立した処理として実行するステップと、コンピュータの第2の処理部が、第1の処理部から出力されたデータに設定された区分コード値を、金融機関を示す共通の区分コード値に変換するステップと、コンピュータの第3の処理部が、決済機関のシステムと接続し、共通の区分コード値が設定されたデータに基づいて、金融機関を単位として決済に関する処理を実行するステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、金融機関に対する利便性の高いサービスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例のバックオフィスシステムに関するネットワーク構成を示す図である。
【
図2】実施例のバックオフィスシステムの機能ブロックを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがコンピュータプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、コンピュータプログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC、LSI等)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的な記録媒体に記録される。コンピュータプログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0012】
まず、実施例の概要を説明する。実施例のバックオフィスシステム(後述のバックオフィスシステム10)は、複数の金融機関(証券会社や銀行等)に対して、バックオフィス業務のASPサービスを提供する情報処理システムである。バックオフィス業務は、顧客との直接のやりとりが発生しない事務作業であり、例えば、約定管理、残高管理、帳票作成を含む。
【0013】
バックオフィスシステムを利用する金融機関の中には、自社において予め定められた複数の管理単位でバックオフィス業務を明確に分断したいという要望を持つ金融機関(以下「特定金融機関」とも呼ぶ。)がある。そのため、実施例のバックオフィスシステムは、通常1社に1区画(処理を分離する単位)を割り当てるところ、特定金融機関には複数の管理単位に対応する複数の区画を割り当て、特定金融機関に関するバックオフィス業務の処理を区画ごとに分離する。
【0014】
一方で、外部の決済機関と連携する決済管理処理は、特定金融機関についても1区画に集約する必要がある。そのため、実施例のバックオフィスシステムは、複数の区画に亘る特定金融機関のデータを1区画に集約した上で決済管理処理を実行する。これにより、金融機関の業務上の制約と決済管理上の制約とを両立させ、金融機関に対する利便性の高いサービスを実現することができる。
【0015】
図1は、実施例のバックオフィスシステム10に関するネットワーク構成を示す図である。バックオフィスシステム10は、LAN・WAN・インターネット等を含み得る通信網18を介して、複数の金融機関のシステム(金融機関システム11a、金融機関システム11b、金融機関システム11c)と接続される。複数の金融機関のシステムは、証券会社Aの金融機関システム11a、都市銀行Bの金融機関システム11b、信託銀行Cの金融機関システム11cを含む。金融機関システム11a~11cのそれぞれは、各金融機関のフロントオフィス業務またはミドルオフィス業務に関する処理を実行する。
【0016】
バックオフィスシステム10では、金融機関ごとに処理を区分けするための区画が割り当てられる。具体的には、区画を実現するための区分コード(実施例では会社コード)が各金融機関のデータに設定される。例えば、バックオフィスシステム10では、証券会社Aと都市銀行Bのそれぞれに互いに異なる1つの会社コードを付与し、すなわち、証券会社Aのデータには証券会社Aを示す会社コード値が設定され、都市銀行Bのデータには都市銀行Bを示す会社コード値が設定される。
【0017】
一方、実施例の信託銀行Cは上記の特定金融機関である。信託銀行Cは、複数の管理単位としての複数種類の勘定ごと(言い換えれば各勘定を担当する部門ごと)にバックオフィス業務を明確に分断したいという要望を持つ。そのため、バックオフィスシステム10では、信託銀行Cに、複数種類の勘定に対応する複数の区画を実現するための複数の会社コードを信託銀行Cに割り当てる。言い換えれば、バックオフィスシステム10では、信託銀行Cがバックオフィス業務での管理対象として定める複数種類の勘定に対応する複数の会社コードの値が信託銀行Cに割り当てられる。
【0018】
実施例では、信託銀行Cにおける第1の勘定である投資勘定に対して会社コード「320」を割り当てる。投資勘定は、自社の資産運用に関する勘定であり、自己勘定とも言える。また、信託銀行Cにおける第2の勘定である商品勘定に対して会社コード「321」を割り当てる。商品勘定は、顧客からの預かり資産管理または顧客の取引に関する勘定である。信託銀行Cでは、投資勘定と商品勘定の間で各種システム処理およびアウトプット帳票を分けて管理する必要があるため、会社コード「320」と会社コード「321」の2区画で管理する。
【0019】
さらに、信託銀行Cにおける第3の勘定である受託担保に対して会社コード「322」を割り当てる。受託担保は、顧客の資産運用に関する勘定である。受託担保の取引については、投資勘定や商品勘定を管理する部門が参照してはいけないというアクセス制約があるため、別区画(会社コード「322」)で管理する。
【0020】
バックオフィスシステム10は、外部の決済機関のシステム(決済機関システム12)と接続される。決済機関システム12は、複数の決済機関のシステムとして、保振システム13、日銀システム14、SWIFTシステム15を含む。バックオフィスシステム10は、通信網18を介して、保振システム13、日銀システム14、SWIFTシステム15と通信する。保振システム13は、証券保管振替機構のシステムである。日銀システム14は、日本銀行のシステムであり、日銀ネットとも呼ばれる。SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)システム15は、参加銀行間の国際金融取引に関するメッセージをコンピュータと通信回線を利用して伝送するネットワークシステムであり、例えば、海外送金に関する処理を行う。
【0021】
図2は、実施例のバックオフィスシステム10の機能ブロックを示すブロック図である。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
バックオフィスシステム10は、管理部20、決済接続部22、データ連携部24を備える。バックオフィスシステム10が備える複数の機能ブロックの機能は、コンピュータプログラムに実装されてもよい。例えば、管理部20、決済接続部22、データ連携部24は、互いに独立したアプリケーションソフトウェアとして実装されてもよい。このコンピュータプログラムは、記録媒体またはネットワークを介して、バックオフィスシステム10を構成するコンピュータのストレージにインストールされてもよい。コンピュータのCPUは、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。また、バックオフィスシステム10は、1台のコンピュータにより実現されてもよく、複数台のコンピュータが連携することにより実現されてもよい。
【0023】
決済接続部22は、決済機関システム12と接続され、決済に関する処理(以下「決済管理処理」とも呼ぶ)を実行する。決済接続部22は、保振接続部30、日銀接続部32、SWIFT接続部34を含む。保振接続部30は、保振システム13と接続され、保振機構の決済振替業務に関するオンライン処理を実行する。日銀接続部32は、日銀システム14と接続され、日本銀行とその取引先金融機関との間の資金や国債の決済に関するオンライン処理を実行する。SWIFT接続部34は、SWIFTシステム15と接続され、海外送金に関するオンライン処理を実行する。なお、保振接続部30、日銀接続部32、SWIFT接続部34のそれぞれは、決済機関システム12への送信対象のデータに、データ毎に一意となるリファレンス番号を設定する。
【0024】
決済接続部22は、各金融機関を単位として決済管理処理を実行する。例えば、保振接続部30、日銀接続部32、SWIFT接続部34のそれぞれは、証券会社A、都市銀行B、信託銀行Cのそれぞれを単位として決済管理処理を実行する。後述するように管理部20は、信託銀行Cに関する処理を複数の区画に分離して実行するが、決済接続部22は、信託銀行Cに関する処理を1つの区画に集約して実行する。
【0025】
決済管理処理は、決済機関システム12とのリコンサイル(例えば取引明細や残高等の照合)処理を含む。決済接続部22が処理するデータには、1つの金融機関あたり1つの会社コードが設定される。第1の理由は、リコンサイル処理等は、金融機関単位でまとめる必要があるためである。第2の理由は、決済機関システム12への送信データにはユニークなリファレンス番号を設定する必要があるが、1つの金融機関で複数の会社コードを使用する場合、リファレンス番号の重複が生じる可能性があり、また、その重複を防止する処理が煩雑だからである。
【0026】
管理部20は、金融機関のバックオフィス業務に関する処理を実行する。管理部20は、記憶部40、業務処理部42、GW(GateWay)部44を含む。記憶部40は、バックオフィスシステム10を利用する複数の金融機関(例えば証券会社A、都市銀行B、信託銀行C)に関するデータを記憶する。記憶部40に記憶されるデータは、現物取引や、為替取引、デリバティブ取引等の約定データを含む。
【0027】
記憶部40に記憶されるデータには、通常、そのデータの生成元である金融機関(例えば証券会社Aや都市銀行B)に対して割り当てられた1つの会社コードが設定される。ただし、特定金融機関(実施例では信託銀行C)のデータには、特定金融機関において定められた複数の管理単位に対応する複数の会社コード値のいずれかが設定される。すなわち、記憶部40は、特定金融機関のデータとして、特定金融機関における複数の管理単位に対応する複数の会社コード値のいずれかが設定された複数のデータを記憶する。
【0028】
業務処理部42は、記憶部40に記憶された複数のデータを読み出す。業務処理部42は、読み出した複数のデータのそれぞれに設定された会社コード値に応じて、各金融機関のバックオフィス業務の処理を実行する。例えば、業務処理部42は、同じ会社コードが設定されたデータの組ごとに、約定管理、残高管理、帳票作成等の処理を実行する。業務処理部42の処理内容は、金融機関ごと、すなわち会社コードごとに異なり得る。
【0029】
業務処理部42は、特定金融機関において定められた複数の管理単位に対応する複数の会社コード値のいずれかが設定された複数のデータの処理を、各データに設定された会社コード値ごとに独立した処理として実行する。すなわち、業務処理部42は、金融機関ごとに独立した(言い換えれば分断された)業務処理を実行し、特定金融機関については、特定金融機関における管理単位ごとに独立した業務処理を実行する。
【0030】
GW部44は、管理部20から外部へのデータ出力、または、外部から管理部20へのデータ入力に対するゲートウェイ機能を提供する。GW部44は、変換部として、所定の変換規則にしたがって、管理部20から決済接続部22へ送信(出力)される特定金融機関のデータに設定された会社コード値(すなわち特定金融機関に割り当てられた複数の会社コード値のいずれか)を、特定金融機関を示す共通の会社コード値に変換する。また、GW部44は、所定の変換規則にしたがって、決済接続部22から管理部20へ送信(入力)されるデータに設定された特定金融機関を示す共通の会社コード値を、特定金融機関に割り当てられた複数の会社コード値のいずれかに変換する。
【0031】
データ連携部24は、バックオフィスシステム10内の複数の機能ブロック間で送受信されるデータを中継する。例えば、データ連携部24は、管理部20から決済接続部22へ送信されるデータ、および、決済接続部22から管理部20へ送信されるデータを中継する。
【0032】
以上の構成によるバックオフィスシステム10の動作を説明する。ここでは、
図2を参照しつつ、特定金融機関(信託銀行C)のデータの処理に関する動作を説明する。既述したように、信託銀行Cには、複数種類の勘定に対応する複数の会社コード値(320、321、322)が割り当てられる。
【0033】
信託銀行Cのシステム(金融機関システム11c)は、通信網18を介して、複数の約定データをバックオフィスシステム10へ送信して登録する。金融機関システム11cから登録された信託銀行Cの複数の約定データはバックオフィスシステム10の記憶部40に記憶される。記憶部40に記憶される信託銀行Cの複数の約定データには、約定データが属する勘定に対応する会社コード値(320、321、322のいずれか)が設定される。業務処理部42は、記憶部40に記憶された信託銀行Cの複数の約定データのそれぞれに基づく業務処理を、各約定データに設定された会社コードに応じた態様で実行する。
【0034】
例えば、業務処理部42は、信託銀行Cの複数の約定データを会社コードで区分けし、会社コードごとに約定管理処理や帳票作成処理を実行する。また、業務処理部42は、信託銀行Cの複数の約定データに対するアクセス制御を会社コードを用いて行う。例えば、業務処理部42は、信託銀行Cの特定の部門の端末から約定データの参照要求を受け付けた場合、その部門に予め対応付けられた会社コードが設定された約定データの参照を許可する一方、他の会社コードが設定された約定データの参照を禁止する。これにより、
図2に示すように、信託銀行Cの処理における互いに独立した論理区画として、区画320(会社コード320)、区画321(会社コード321)、区画322(会社コード322)が構築される。
【0035】
図2の網掛けのオブジェクトのうち、左から右へ流れるオブジェクトは決済データを示し、右から左へ流れるオブジェクトは決済結果データを示している。
業務処理部42は、決済管理処理を行うべき信託銀行Cのデータ(「決済データ」と呼ぶ。)を管理部20のGW部44に渡す。GW部44は、予め記憶された、会社コードの変換規則を定める変換規則テーブルを参照して、業務処理部42から入力された決済データの会社コード値を、信託銀行Cを示す共通の会社コード値に変換する。信託銀行Cを示す共通の会社コード値は、実施例では、投資勘定用の「320」である。変形例として、信託銀行Cを示す共通の会社コード値は、複数種類の勘定に割り当てられた複数の会社コード値(320、321、322)とは異なる値であってもよい。
【0036】
図3は、変換規則テーブルの例を示す。送受信方向は、データの流れる向きを示す。送受信方向「送信」は、バックオフィスシステム10から決済機関へ送信されるデータを示し、すなわち、業務処理部42からGW部44へ入力されたデータを示す。送受信方向「受信」は、決済機関からバックオフィスシステム10へ送信されるデータを示し、すなわち、データ連携部24(決済接続部22)からGW部44へ入力されたデータを示す。
【0037】
オリジナル会社コードは、GW部44に入力されたデータに設定された会社コードの値である。トランザクションコードは、GW部44に入力されたデータに設定されたトランザクションコードの値を示す。振分項目は、会社コードの振分に用いられる項目であり、実施例では部店コードまたはリファレンス番号である。条件コードは、振分項目の値を示す。振分先会社コードは、変換先となる会社コードの値であり、言い換えれば、GW部44から出力されるデータに設定すべき会社コードである。
【0038】
変換規則におけるトランザクションコード、部店コード、リファレンス番号の組み合わせは、会社コードの変換条件を定めるものである。オリジナル会社コードが320で振分先会社コードが321のレコードの変換条件には、勘定種類「商品勘定」のデータであることを特定する条件が設定される。また、オリジナル会社コードが320で振分先会社コードが322のレコードの変換条件には、勘定種類「受託担保」のデータであることを特定する条件が設定される。
図3に示すように、変換規則テーブルには、オリジナル会社コードの値と振分先会社コードの値の組み合わせが同じであるが、変換条件が異なる複数のレコード(例えば第1行のレコードと第3行のレコード)が設定され得る。
【0039】
GW部44は、業務処理部42から決済データが入力された場合、変換規則テーブルにおける送受信方向「送信」のレコード(例えば
図3の下位2レコード)を参照する。GW部44は、決済データのオリジナル会社コード値が321もしくは322で、かつ、トランザクションコード値がS0001の場合、決済データに設定された会社コード値を320に変更する。GW部44は、会社コード値を320に変更した決済データを、データ連携部24を介して決済接続部22へ送信する。
【0040】
決済データのオリジナル会社コード値が321もしくは322でなく、または、トランザクションコード値がS0001でない場合、例えば、決済データのオリジナル会社コードが320の場合、GW部44は、入力された決済データを、その会社コードを変更することなくそのまま、データ連携部24を介して決済接続部22へ送信する。このようにGW部44は、決済接続部22へ送信する決済データの会社コードを320に集約する。
【0041】
データ連携部24は、管理部20のGW部44から出力された決済データを受け付け、決済データが示す送信先が保振システム13の場合、その決済データを保振接続部30へ転送する。また、データ連携部24は、GW部44から出力された決済データが示す送信先が日銀システム14の場合、その決済データを日銀接続部32へ転送する。また、データ連携部24は、GW部44から出力された決済データが示す送信先がSWIFTシステム15の場合、その決済データをSWIFT接続部34へ転送する。
【0042】
保振接続部30は、データ連携部24から受け付けた決済データ(会社コードは320)に基づいて、保振システム13との連携を含む、信託銀行Cを単位とする決済管理処理を実行する。保振接続部30は、保振システム13での決済結果を示す決済結果データ(会社コードは320)を、データ連携部24を介して管理部20へ送信する。
【0043】
日銀接続部32は、データ連携部24から受け付けた決済データ(会社コードは320)に基づいて、日銀システム14との連携を含む、信託銀行Cを単位とする決済管理処理を実行する。日銀接続部32は、日銀システム14での決済結果を示す決済結果データ(会社コードは320)を、データ連携部24を介して管理部20へ送信する。
【0044】
SWIFT接続部34は、データ連携部24から受け付けた決済データ(会社コードは320)に基づいて、SWIFTシステム15との連携を含む、信託銀行Cを単位とする決済管理処理を実行する。SWIFT接続部34は、SWIFTシステム15での決済結果を示す決済結果データ(会社コードは320)を、データ連携部24を介して管理部20へ送信する。
【0045】
データ連携部24は、保振接続部30、日銀接続部32、SWIFT接続部34から出力された決済結果データを受け付け、決済結果データを管理部20(GW部44)へ転送する。決済接続部22とデータ連携部24が処理するデータに設定された会社コードは320であり、決済接続部22とデータ連携部24では、区画320が構築される。
【0046】
GW部44は、
図3に示した変換規則テーブルを参照して、データ連携部24から入力された決済結果データの会社コードを変換する。具体的には、GW部44は、データ連携部24から決済結果データが入力された場合、変換規則テーブルにおける送受信方向「受信」のレコード(例えば
図3の上位4レコード)を参照する。
【0047】
GW部44は、決済結果データのオリジナル会社コード値が320、かつ、トランザクションコード値がR0001、かつ、部店コードが20の場合、決済結果データに設定された会社コード値を320から321に変更する。また、GW部44は、決済結果データのオリジナル会社コード値が320、かつ、トランザクションコード値がR0003、かつ、リファレンス番号がBの場合も、決済結果データに設定された会社コード値を320から321に変更する。GW部44は、会社コード値を321に変更した決済結果データを業務処理部42に渡す。業務処理部42は、その決済結果データを記憶部40に格納し、区画321(商品勘定)のバックオフィス処理を続行する。
【0048】
GW部44は、決済結果データのオリジナル会社コード値が320、かつ、トランザクションコード値がR0001、かつ、部店コードが30の場合、決済結果データに設定された会社コード値を320から322に変更する。また、GW部44は、決済結果データのオリジナル会社コード値が320、かつ、トランザクションコード値がR0003、かつ、リファレンス番号がCの場合も、決済結果データに設定された会社コード値を320から322に変更する。GW部44は、会社コード値を322に変更した決済結果データを業務処理部42に渡す。業務処理部42は、その決済結果データを記憶部40に格納し、区画322(受託担保)のバックオフィス処理を続行する。
【0049】
GW部44は、決済結果データのトランザクションコード、部店コード、リファレンス番号の値が変換規則テーブルの条件に不一致の場合、入力された決済結果データを、その会社コードを変更することなくそのまま、業務処理部42に渡す。業務処理部42は、その決済結果データを記憶部40に格納し、区画320(投資勘定)のバックオフィス処理を続行する。
【0050】
実施例のバックオフィスシステム10によると、利用者の金融機関が定める複数の管理対象(例えば複数種類の勘定)ごとに異なる区画でのバックオフィス業務を実行しつつ、複数の区画に亘る単一の金融機関のデータを1区画に集約した上で決済管理処理を実行する。これにより、金融機関の業務上の制約と決済管理上の制約とを両立させ、金融機関に対する利便性の高いサービスを実現することができる。
【0051】
また、実施例のバックオフィスシステム10によると、バックオフィスシステム10を利用する金融機関における管理単位の個数が増加した場合、言い換えれば、当該金融機関に割り当てた会社コードの個数(すなわち区画数)が増加する場合にも、GW部44に記憶される変換規則テーブルを編集することで容易に対応可能になる。
【0052】
例えば、新たな種類の勘定に対応する新たな会社コード「323」が追加される場合を考える。この場合、変換規則テーブルには、決済機関への送信データ変換用のレコードであり、送受信方向「送信」、オリジナル会社コード「323」、振分先会社コード「320」のレコードが少なくとも1つ追加される。また、変換規則テーブルには、決済機関からの受信データ変換用のレコードであり、送受信方向「受信」、オリジナル会社コード「320」、振分先会社コード「323」のレコードが少なくとも1つ追加される。
【0053】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。実施例に記載の内容は例示であり、構成要素や処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0055】
10 バックオフィスシステム、 12 決済機関システム、 20 管理部、 22 決済接続部、 24 データ連携部、 40 記憶部、 42 業務処理部、 44 GW部。