(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】不動産物件別按分装置、不動産物件別按分方法、および、不動産物件別按分プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20250210BHJP
G06Q 50/16 20240101ALI20250210BHJP
【FI】
G06Q40/12 410
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2021118639
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 純
(72)【発明者】
【氏名】山田 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-190436(JP,A)
【文献】特開2018-014015(JP,A)
【文献】特開平10-301990(JP,A)
【文献】特開平11-073469(JP,A)
【文献】特開2019-212093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた不動産物件別按分装置であって、
前記記憶部は、
自治体、対象年度の固定資産税
額、前記対象年度の固定資産税課税標準額、前記対象年度の都市計画税額および
前記対象年度の都市計画税
課税標準額を紐付けて設定した納税通知書データ、
前記対象年度の前年度の物件毎の前記自治体、固定資産税額、固定資産税課税標準額、都市計画税額および都市計画税課税標準額を紐付けて設定した前年度物件別納税データ、ならびに、
前記対象年度における前記物件毎の前記自治体、固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額を紐付けて設定した課税明細書データを記憶する税記憶手段、
を備え、
前記制御部は、
前記納税通知書データに基づいて、前記対象年度における同一自治体内の複数の
前記物件を1件のダミー物件とみなし、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得する支払予定取得手段と、
前記前年度物件別納税データに設定された年度を前記対象年度に更新し、当該前年度物件別納税データに設定された前記固定資産税額および前記都市計画税額の値を削除した対象年度物件別テンプレートを作成し、前記納税通知書データおよび前記課税明細書データに基づいて、
前記対象年度物件別テンプレートに設定された前記前年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額および前記都市計画税課税標準額を、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額および前記都市計画税課税標準額に更新し、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額を被除数とし前記対象年度における前記ダミー物件の固定資産税課税標準額を除数とした場合の商と、前記対象年度における前記ダミー物件の前記固定資産税額と、の積を前記対象年度における前記物件毎の固定資産税額として取得し、前記対象年度における前記物件毎の前記都市計画税課税標準額を被除数とし前記対象年度における前記ダミー物件の都市計画税課税標準額を除数とした場合の商と、前記対象年度における前記ダミー物件の前記都市計画税額と、の積を前記対象年度における前記物件毎の都市計画税額として取得し、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税額および前記都市計画税額を前記対象年度物件別テンプレートに設定することで、前記対象年度における前記物件毎の
前記固定資産税額および
前記都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得する物件別納税取得手段と、
を備えたことを特徴とする不動産物件別按分装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記支払固都税額の支払が完了した場合、前記支払予定データに基づいて、支払仕訳データを作成する支払仕訳作成手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項
1に記載の不動産物件別按分装置。
【請求項3】
前記物件別納税取得手段は、
更に、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税額および前記都市計画税額の合計である物件別固都税額を取得し、
前記制御部は、
前記支払予定データおよび前記物件別固都税額に基づいて、固都税按分仕訳データを作成する固都税按分仕訳作成手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項
1に記載の不動産物件別按分装置。
【請求項4】
前記固都税按分仕訳データは、
借方の勘定科目が固都税(各物件)、且つ、貸方の勘定科目が固都税(ダミー物件)であることを特徴とする請求項
3に記載の不動産物件別按分装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記対象物件別納税データに基づいて、前記物件別固都税額を含む物件収支データを表示させる収支表示手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項
3または
4に記載の不動産物件別按分装置。
【請求項6】
記憶部と制御部とを備えた不動産物件別按分装置に実行させるための不動産物件別按分方法であって、
前記記憶部は、
自治体、対象年度の固定資産税
額、前記対象年度の固定資産税課税標準額、前記対象年度の都市計画税額および
前記対象年度の都市計画税
課税標準額を紐付けて設定した納税通知書データ、
前記対象年度の前年度の物件毎の前記自治体、固定資産税額、固定資産税課税標準額、都市計画税額および都市計画税課税標準額を紐付けて設定した前年度物件別納税データ、ならびに、
前記対象年度における前記物件毎の前記自治体、固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額を紐付けて設定した課税明細書データを記憶する税記憶手段、
を備え、
前記制御部で実行させる、
前記納税通知書データに基づいて、前記対象年度における同一自治体内の複数の
前記物件を1件のダミー物件とみなし、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得する支払予定取得ステップと、
前記前年度物件別納税データに設定された年度を前記対象年度に更新し、当該前年度物件別納税データに設定された前記固定資産税額および前記都市計画税額の値を削除した対象年度物件別テンプレートを作成し、前記納税通知書データおよび前記課税明細書データに基づいて、
前記対象年度物件別テンプレートに設定された前記前年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額および前記都市計画税課税標準額を、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額および前記都市計画税課税標準額に更新し、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額を被除数とし前記対象年度における前記ダミー物件の固定資産税課税標準額を除数とした場合の商と、前記対象年度における前記ダミー物件の前記固定資産税額と、の積を前記対象年度における前記物件毎の固定資産税額として取得し、前記対象年度における前記物件毎の前記都市計画税課税標準額を被除数とし前記対象年度における前記ダミー物件の都市計画税課税標準額を除数とした場合の商と、前記対象年度における前記ダミー物件の前記都市計画税額と、の積を前記対象年度における前記物件毎の都市計画税額として取得し、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税額および前記都市計画税額を前記対象年度物件別テンプレートに設定することで、前記対象年度における前記物件毎の
前記固定資産税額および
前記都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得する物件別納税取得ステップと、
を含むことを特徴とする不動産物件別按分方法。
【請求項7】
記憶部と制御部とを備えた不動産物件別按分装置に実行させるための不動産物件別按分プログラムであって、
前記記憶部は、
自治体、対象年度の固定資産税
額、前記対象年度の固定資産税課税標準額、前記対象年度の都市計画税額および
前記対象年度の都市計画税
課税標準額を紐付けて設定した納税通知書データ、
前記対象年度の前年度の物件毎の前記自治体、固定資産税額、固定資産税課税標準額、都市計画税額および都市計画税課税標準額を紐付けて設定した前年度物件別納税データ、ならびに、
前記対象年度における前記物件毎の前記自治体、固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額を紐付けて設定した課税明細書データを記憶する税記憶手段、
を備え、
前記制御部において、
前記納税通知書データに基づいて、前記対象年度における同一自治体内の複数の
前記物件を1件のダミー物件とみなし、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得する支払予定取得ステップと、
前記前年度物件別納税データに設定された年度を前記対象年度に更新し、当該前年度物件別納税データに設定された前記固定資産税額および前記都市計画税額の値を削除した対象年度物件別テンプレートを作成し、前記納税通知書データおよび前記課税明細書データに基づいて、
前記対象年度物件別テンプレートに設定された前記前年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額および前記都市計画税課税標準額を、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額および前記都市計画税課税標準額に更新し、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税課税標準額を被除数とし前記対象年度における前記ダミー物件の固定資産税課税標準額を除数とした場合の商と、前記対象年度における前記ダミー物件の前記固定資産税額と、の積を前記対象年度における前記物件毎の固定資産税額として取得し、前記対象年度における前記物件毎の前記都市計画税課税標準額を被除数とし前記対象年度における前記ダミー物件の都市計画税課税標準額を除数とした場合の商と、前記対象年度における前記ダミー物件の前記都市計画税額と、の積を前記対象年度における前記物件毎の都市計画税額として取得し、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税額および前記都市計画税額を前記対象年度物件別テンプレートに設定することで、前記対象年度における前記物件毎の
前記固定資産税額および
前記都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得する物件別納税取得ステップと、
を実行させるための不動産物件別按分プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産物件別按分装置、不動産物件別按分方法、および、不動産物件別按分プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、項目の支出割合に基づいて、納税額を按分する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、不動産物件毎の課税標準額に基づいて、納税額を按分することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、納税通知書を受領してから支払期日までの期間が短いため、支払処理をダミー物件で行い、後日登録した物件毎の課税標準額をもとに物件毎に納税額を按分することができる不動産物件別按分装置、不動産物件別按分方法、および、不動産物件別按分プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る不動産物件別按分装置は、記憶部と制御部とを備えた不動産物件別按分装置であって、前記記憶部は、対象年度の固定資産税および都市計画税の納税通知書データ、ならびに、当該固定資産税および当該都市計画税の課税明細書データを記憶する税記憶手段、を備え、前記制御部は、前記納税通知書データに基づいて、前記対象年度における同一自治体内の複数の物件を1件のダミー物件とみなし、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得する支払予定取得手段と、前記課税明細書データに基づいて、前記対象年度における前記物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得する物件別納税取得手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る不動産物件別按分装置において、前記物件別納税取得手段は、前記納税通知書データ、および、前記課税明細書データに基づいて、前記対象年度における前記物件毎の固定資産税課税標準額を被除数とし前記対象年度における前記ダミー物件の固定資産税課税標準額を除数とした場合の商と、前記対象年度における前記ダミー物件の前記固定資産税額と、の積を前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税額として取得し、前記対象年度における前記物件毎の都市計画税課税標準額を被除数とし前記対象年度における前記ダミー物件の都市計画税課税標準額を除数とした場合の商と、前記対象年度における前記ダミー物件の前記都市計画税額と、の積を前記対象年度における前記物件毎の前記都市計画税額として取得し、前記対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した前記対象物件別納税データを取得することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る不動産物件別按分装置において、前記税記憶手段は、更に、前記対象年度の前年度の物件別納税データである前年度物件別納税データを記憶し、前記物件別納税取得手段は、前記前年度物件別納税データに設定された年度を前記対象年度に更新し、当該前年度物件別納税データに設定された固定資産税額および都市計画税額の値を削除した対象年度物件別テンプレートを作成し、前記課税明細書データに基づいて、前記対象年度物件別テンプレートに設定された前記前年度における前記物件毎の固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額を、前記対象年度における前記物件毎の固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額に更新し、前記対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額を前記対象年度物件別テンプレートに設定することで、前記対象物件別納税データを取得することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る不動産物件別按分装置において、前記制御部は、前記支払固都税額の支払が完了した場合、前記支払予定データに基づいて、支払仕訳データを作成する支払仕訳作成手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る不動産物件別按分装置において、前記物件別納税取得手段は、更に、前記対象年度における前記物件毎の前記固定資産税額および前記都市計画税額の合計である物件別固都税額を取得し、前記制御部は、前記支払予定データおよび前記物件別固都税額に基づいて、固都税按分仕訳データを作成する固都税按分仕訳作成手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る不動産物件別按分装置において、前記固都税按分仕訳データは、借方の勘定科目が固都税(各物件)、且つ、貸方の勘定科目が固都税(ダミー物件)であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る不動産物件別按分装置において、前記制御部は、前記対象物件別納税データに基づいて、前記物件別固都税額を含む物件収支データを表示させる収支表示手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る不動産物件別按分方法は、記憶部と制御部とを備えた不動産物件別按分装置に実行させるための不動産物件別按分方法であって、前記記憶部は、対象年度の固定資産税および都市計画税の納税通知書データ、ならびに、当該固定資産税および当該都市計画税の課税明細書データを記憶する税記憶手段、を備え、前記制御部で実行させる、前記納税通知書データに基づいて、前記対象年度における同一自治体内の複数の物件を1件のダミー物件とみなし、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得する支払予定取得ステップと、前記納税通知書データおよび前記課税明細書データに基づいて、前記対象年度における前記物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得する物件別納税取得ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る不動産物件別按分プログラムは、記憶部と制御部とを備えた不動産物件別按分装置に実行させるための不動産物件別按分プログラムであって、前記記憶部は、対象年度の固定資産税および都市計画税の納税通知書データ、ならびに、当該固定資産税および当該都市計画税の課税明細書データを記憶する税記憶手段、を備え、前記制御部において、前記納税通知書データに基づいて、前記対象年度における同一自治体内の複数の物件を1件のダミー物件とみなし、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得する支払予定取得ステップと、前記納税通知書データおよび前記課税明細書データに基づいて、前記対象年度における前記物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得する物件別納税取得ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、支払処理をダミー物件で行うことで、支払期日までの業務に余裕を生むことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、物件毎の課税標準額をもとに物件毎に納税額を按分することで、物件収支の把握を行うことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、税の支払いという期日が短く、必ず守らなければならないというスピード感を守りつつ、物件別収支を正しく捉える必要がある管理会計的な要素を同時に満たすことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、自社所有の不動産業界だけに限らず、自社所有ビルを複数事業所で保有する企業の支払業務および部門別按分に寄与できるという効果を奏する。また、本発明によれば、固都税情報を管理し、支払業務から物件別按分を自動化して仕訳作成し、物件収支に反映させることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、固都税の納税額管理、固都税の支払業務、および、物件別按分の負荷軽減をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、自治体毎の固定資産税および都市計画税の受け付け支払処理を行い、各税の支払処理と並列して所在する自治体毎に物件を特定し、規定の割合にて按分して物件の原価へと振替えることで、振替結果を含めた物件収支の把握をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態における不動産物件別按分装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における不動産物件別按分装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態における不動産物件別按分処理の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における不動産物件別按分処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における不動産物件別按分処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における不動産物件別按分処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における物件収支出力の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
まず、本発明の概要を説明する。
【0019】
同一自治体に複数の物件を所有している場合、納税通知書の税額欄には合計額が印字されて通知され、納税通知書を受領してから支払期日までの期間が短いため、従来、支払処理迄に物件毎に支払金額を按分することは、非常に負荷が高かった。また、按分処理は、物件収支を把握する上で必要な処理であるが、従来、所有物件数が多い場合、手作業での按分作業は非常に高負荷であった。
【0020】
そこで、本実施形態においては、前年度の納税通知書データ、および、物件別の課税標準額を含む前年度の納税データを一括複写し、今年度データを作成し、前年度の納税通知書データに変更があった内容を修正し、新規分について新規登録し、納税通知書データからダミー物件の支払データを作成する仕組みを提供している。これにより、本実施形態においては、詳細な物件毎の納税額の入力が省略されることで、支払処理を早急に行うことができる。更に、本実施形態においては、前年度の物件別の納税データに変更があった内容を修正し、新規分について新規登録し、固都税の支払処理後、物件毎の課税標準額を登録し、登録した固都税の納税データ、および、登録した物件毎の課税標準額を利用して物件毎の納税額を按分する仕組みを提供している。
【0021】
[2.構成]
本実施形態に係る不動産物件別按分装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態における不動産物件別按分装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、不動産物件別按分装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、不動産物件別按分装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
不動産物件別按分装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。不動産物件別按分装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、不動産物件別按分装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、不動産物件別按分装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、税データベース106aを備えている。
【0027】
税データベース106aは、税データを記憶する。ここで、税データベース106aは、対象年度の固定資産税および都市計画税の納税通知書データ、ならびに、当該固定資産税および当該都市計画税の課税明細書データを記憶していてもよい。また、税データベース106aは、対象年度の前年度の物件別納税データである前年度物件別納税データを記憶していてもよい。また、税データベース106aは、対象年度における同一自治体内の複数の物件を1件の物件とみなしたダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データ、物件別納税データ、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データ、仕訳データ、物件別固都税額を含む物件収支データ、対象年度の前年度以前の納税通知書データ、および/または、対象年度の前年度以前の課税明細書データ等を記憶していてもよい。ここで、納税通知書データは、固定資産税および/もしくは都市計画税の、課税標準額、税額、合計税額(支払固都税額)、ならびに/または、税率等が設定され、摘要、納税通知書番号および納付番号等が設定されていてもよい。また、課税明細書データは、物件毎(土地毎および/もしくは家屋毎)の固定資産税および/もしくは都市計画税の、課税標準額、前年度課税標準額、税額、ならびに/または、減免税額等が設定され、摘要、物件番号および納税通知書番号等が設定されていてもよい。
【0028】
制御部102は、不動産物件別按分装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、支払予定取得部102aと物件別納税取得部102bと仕訳作成部102cと収支表示部102dとを備えている。
【0029】
支払予定取得部102aは、対象年度における固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得する。ここで、支払予定取得部102aは、納税通知書データに基づいて、対象年度における同一自治体内の複数の物件を1件のダミー物件とみなし、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得してもよい。また、支払予定取得部102aは、支払予定データを税データベース106aに登録してもよい。また、支払予定取得部102aは、対象年度の前年度の納税通知書データに設定された、年度を対象年度に更新した対象年度納税通知書テンプレートを作成し、対象年度納税通知書テンプレートに設定された、前年度における固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額を対象年度における固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額に更新し、且つ、前年度における固定資産税額および都市計画税額を対象年度における固定資産税額および都市計画税額に更新することで、対象年度の納税通知書データを取得してもよい。
【0030】
物件別納税取得部102bは、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得する。ここで、物件別納税取得部102bは、課税明細書データに基づいて、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得してもよい。また、物件別納税取得部102bは、納税通知書データ、および、課税明細書データに基づいて、対象年度における物件毎の固定資産税課税標準額を被除数とし対象年度におけるダミー物件の固定資産税課税標準額を除数とした場合の商と、対象年度におけるダミー物件の固定資産税額と、の積を対象年度における物件毎の固定資産税額として取得し、対象年度における物件毎の都市計画税課税標準額を被除数とし対象年度におけるダミー物件の都市計画税課税標準額を除数とした場合の商と、対象年度におけるダミー物件の都市計画税額と、の積を対象年度における物件毎の都市計画税額として取得し、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した対象物件別納税データを取得してもよい。また、物件別納税取得部102bは、前年度物件別納税データに設定された年度を対象年度に更新し、当該前年度物件別納税データに設定された固定資産税額および都市計画税額の値を削除した対象年度物件別テンプレートを作成し、課税明細書データに基づいて、対象年度物件別テンプレートに設定された前年度における物件毎の固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額を、対象年度における物件毎の固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額に更新し、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額を対象年度物件別テンプレートに設定することで、対象物件別納税データを取得してもよい。また、物件別納税取得部102bは、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額の合計である物件別固都税額を取得してもよい。また、物件別納税取得部102bは、物件別納税データを税データベース106aに登録してもよい。
【0031】
仕訳作成部102cは、仕訳データを作成する。ここで、仕訳作成部102cは、支払固都税額の支払が完了した場合、支払予定データに基づいて、支払仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102cは、支払予定データおよび物件別固都税額に基づいて、固都税按分仕訳データを作成してもよい。ここで、固都税按分仕訳データは、借方の勘定科目が固都税(各物件)、且つ、貸方の勘定科目が固都税(ダミー物件)であってもよい。
【0032】
収支表示部102dは、物件別固都税額を含む物件収支データを表示させる。ここで、収支表示部102dは、対象物件別納税データに基づいて、物件別固都税額を含む物件収支データを表示させてもよい。
【0033】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図2から
図7を参照して説明する。
【0034】
[不動産物件別按分処理]
ここで、
図2を参照して、本実施形態における不動産物件別按分処理の一例について説明する。
図2は、本実施形態における不動産物件別按分装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図2に示すように、支払予定取得部102aは、税データベース106aに記憶された納税通知書データに基づいて、対象年度(例えば、今年度等)における同一自治体内の複数の物件を1件のダミー物件とみなし、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データを取得する(ステップSA-1)。
【0036】
そして、仕訳作成部102cは、支払固都税額の支払が完了した場合、支払予定データに基づいて、借方の勘定科目が固都税(ダミー物件)である支払仕訳データを作成する(ステップSA-2)。
【0037】
そして、物件別納税取得部102bは、税データベース106aに記憶された課税明細書データに基づいて、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額の合計である物件別固都税額を取得し、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額を設定した物件別納税データである対象物件別納税データを取得する(ステップSA-3)。
【0038】
そして、仕訳作成部102cは、支払予定データおよび物件別固都税額に基づいて、借方の勘定科目が固都税(各物件)、且つ、貸方の勘定科目が固都税(ダミー物件)である固都税按分仕訳データを作成する(ステップSA-4)。
【0039】
そして、収支表示部102dは、対象物件別納税データに基づいて、物件別固都税額を含む物件収支データを出力装置114に表示させ(ステップSA-5)、処理を終了する。
【0040】
ここで、
図3から
図7を参照して、本実施形態における不動産物件別按分処理の一例について説明する。
図3から
図6は、本実施形態における不動産物件別按分処理の一例を示す図である。
図7は、本実施形態における物件収支出力の一例を示す図である。
【0041】
図3に示すように、本実施形態においては、納税通知書一括複写処理として、対象年度の前年度の納税通知書データに設定された年度を対象年度に更新した対象年度納税通知書テンプレートが作成され、前年度物件別納税データに設定された年度を対象年度に更新し、当該前年度物件別納税データに設定された固定資産税額および都市計画税額の値を削除した対象年度物件別テンプレートが作成される。このように、本実施形態においては、納税通知書の情報が登録される。
【0042】
そして、
図4に示すように、本実施形態においては、納税通知書登録処理として、対象年度納税通知書テンプレートに設定された、前年度における固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額が対象年度における固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額で更新され、且つ、前年度における固定資産税額および都市計画税額が対象年度における固定資産税額および都市計画税額で更新されることで、対象年度の納税通知書データが取得される。そして、
図4に示すように、本実施形態においては、納税通知書データ、および、システム全般の制御を設定したコントロールマスタに基づいて、対象年度における同一自治体内の複数の物件が1件のダミー物件とみなされ、当該ダミー物件に対する固定資産税額および都市計画税額の合計である支払固都税額を設定した支払予定データが取得され、借方の勘定科目が固都税(ダミー物件)、且つ、貸方の勘定科目が現金である支払仕訳データが作成される。このように、本実施形態においては、納税通知書の情報が修正・登録され、納税通知書データおよび支払予定データが作成される。
【0043】
そして、
図5に示すように、本実施形態においては、対象年度の課税明細書データに基づいて、対象年度物件別テンプレートに設定された前年度における物件毎の固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額が、対象年度における物件毎の固定資産税課税標準額および都市計画税課税標準額で更新される。このように、本実施形態においては、物件毎の課税標準額が修正・登録される。また、本実施形態においては、Excel(登録商標)ファイルのデータ(例えば、課税明細書データ等)が取り込まれてもよい。
【0044】
そして、
図6に示すように、本実施形態においては、固都税按分データ作成処理として、物件毎の課税標準額をもとに納税額が物件毎に按分され、対象年度における物件毎の固定資産税額および都市計画税額が対象年度物件別テンプレートに設定されることで、対象物件別納税データが取得され、借方の勘定科目が固都税(各物件)、且つ、貸方の勘定科目が固都税(ダミー物件)である固都税按分仕訳データが作成される。ここで、本実施形態においては、「物件別の固定資産税額=固都税No単位の固定資産税×(物件毎の固定資産税課税標準額/固都税No単位の固定資産税課税標準額)」、および、「物件別の都市計画税額=固都税No単位の都市計画税×(物件毎の都市計画税課税標準額/固都税No単位の都市計画税課税標準額)」の計算式により算出されてもよい。例えば、
図6に示すよう、本実施形態における物件A01の固定資産税額は、「98,000,000×(1,000,000,000/7,000,000,000)」の計算式により「14,000,000」と算出される。
【0045】
そして、
図7に示すように、本実施形態においては、物件別固都税額を含む物件収支データ(実績データ)が表示されることで、ユーザが物件別の納税額を把握できるようになり、物件収支の把握が可能となる。
【0046】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0049】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0050】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0051】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0052】
また、不動産物件別按分装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0053】
例えば、不動産物件別按分装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて不動産物件別按分装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0054】
また、このコンピュータプログラムは、不動産物件別按分装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0055】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0056】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0057】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0058】
また、不動産物件別按分装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、不動産物件別按分装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0059】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、自社所有物件の多い業界、または、不動産業界等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0061】
100 不動産物件別按分装置
102 制御部
102a 支払予定取得部
102b 物件別納税取得部
102c 仕訳作成部
102d 収支表示部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 税データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク