(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20250210BHJP
B60K 6/485 20071001ALI20250210BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20250210BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20250210BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
B60K6/485 ZHV
B60W10/08 900
B60W20/00 900
(21)【出願番号】P 2021188670
(22)【出願日】2021-11-19
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丹波 大樹
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-148879(JP,A)
【文献】特開2011-068241(JP,A)
【文献】特開2001-011901(JP,A)
【文献】特開2011-005904(JP,A)
【文献】特開2015-206193(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0081563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60K 6/485
B60W 10/08
B60W 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
電力によりモータとして作動する第1動作と前記エンジンの動力によりジェネレータとして作動する第2動作とを行うことが可能なモータ・ジェネレータと、
前記モータ・ジェネレータの前記第2動作によって発電した電力を蓄電可能なバッテリと、
前記バッテリの蓄電残量を検出可能であるとともに、前記バッテリの蓄電残量の増減を検出可能である蓄電測定装置と、
前記モータ・ジェネレータの動作を制御する制御装置であって、前記蓄電残量に基づいて、前記第1動作及び前記第2動作のいずれかで前記モータ・ジェネレータを動作させる制御装置と、
所定作業の開始と終了を指定する算出スイッチと、
前記算出スイッチから前記所定作業の開始と終了とを通知され、当該算出スイッチによって開始と終了が指定された前記所定作業における前記モータ・ジェネレータの総負荷量と前記蓄電測定装置が検出した蓄電残量とに基づいて、前記所定作業を繰り返すことのできる時間を連続動作時間として算出する動作算出装置と、
前記動作算出装置が算出した前記連続動作時間を表示する表示装置と、を備える作業機。
【請求項2】
前記所定作業は、前記モータ・ジェネレータが前記第1動作及び前記第2動作のいずれかで動作する個別の動作をパターン化した一連の作業であり、
前記動作算出装置は、当該パターン化された一連の作業を繰り返すことのできる時間を前記連続動作時間として算出する請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記動作算出装置は、前記算出スイッチが前記所定作業の開始を通知したときから前記所定作業の終了を通知したときまでの前記モータ・ジェネレータの総負荷量を検出する請求項
1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記動作算出装置は、前記算出スイッチが前記所定作業の開始を通知したときから前記所定作業の終了を通知したときまでの作業時間を検出する計時部を有し、前記計時部が検出した前記作業時間が閾値以上であるとき、前記モータ・ジェネレータの総負荷量を検出する請求項
3に記載の作業機。
【請求項5】
前記動作算出装置は、前記作業時間を記憶し、前記計時部が前記閾値以上の作業時間を新たに検出したときに、既に記憶している作業時間を前記新たに検出した作業時間に更新する請求項
4に記載の作業機。
【請求項6】
前記動作算出装置は、前記作業時間に対する前記閾値を記憶する閾値記憶部と、前記閾値記憶部に記憶された前記閾値を変更可能な閾値設定部と、を有する請求項
4又は
5に記載の作業機。
【請求項7】
前記動作算出装置は、前記算出スイッチが前記所定作業の開始を通知したときの前記蓄電残量を第1蓄電残量として取得し、前記算出スイッチが前記所定作業の終了を通知したときの前記蓄電残量を第2蓄電残量として取得し、前記第1蓄電残量と前記第2蓄電残量の差分である差分蓄電残量を算出し、前記差分蓄電残量を前記モータ・ジェネレータの総負荷量として用いる請求項
1又は2に記載の作業機。
【請求項8】
前記動作算出装置は、前記算出スイッチが前記所定作業の開始を通知したときから前記所定作業の終了を通知したときまでの作業時間を検出する計時部を有し、前記計時部が検出した前記作業時間が閾値以上であるとき、前記差分蓄電残量を算出する請求項
7に記載の作業機。
【請求項9】
前記動作算出装置は、前記作業時間を記憶し、前記計時部が前記閾値以上の作業時間を新たに検出したときに、既に記憶している作業時間を前記新たに検出した作業時間に更新する請求項
8に記載の作業機。
【請求項10】
前記動作算出装置は、前記計時部が検出した作業時間が前記閾値未満であるときに、前記作業時間が前記閾値未満であることを示す通知信号を前記表示装置へ出力し、
前記表示装置は、前記通知信号を受信すると音声を発する音声通知部を有する請求項
4~
6、
8、
9のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項11】
前記モータ・ジェネレータの総負荷量は、前記所定作業における、前記モータ・ジェネレータの前記第1動作による消費電力量と前記第2動作による発電量との差である請求項1~
6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項12】
前記算出スイッチは、オルタネイト型スイッチである請求項
1~
11のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コンパクトトラックローダ等の作業機を開示している。
特許文献1に開示されている作業機は、機体と、機体に設けられたエンジンと、エンジンの動力により駆動する油圧ポンプと、機体に設けられ且つ油圧ポンプの作動油によって作動させることができる作業装置とを備えている。また、近年、特許文献2に開示されるように、油圧ポンプを作動させる動力源として、エンジンの他に、電動機(モータ)を備えたハイブリッド式の作業機の開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-59734号公報
【文献】特開2015-206193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイブリッド式の作業機では、少なくとも電動機(モータ)と、電動機の電力を制御するインバータと、電力を蓄電するバッテリが備えられている。作業機は、自動車とは異なり、土木作業や建設作業、又は農作業などを行うことから、電動機、インバータ、及びバッテリ等の制御を自動車と異なる様々な観点から考慮する必要があり、新たな開発が求められている。
【0005】
従来の作業機では、予め設定された一定時間内におけるバッテリ残量の推移又は消費電流の積算値から連続モータアシスト時間を算出して、メータパネルへ表示する。しかし、この従来の技術では、作業機の動作内容によっては、上述の一定時間が短すぎたり、動作の負荷が小さい又は大きい瞬間だけを切り取って負荷量を算出してしまったりすることがある。このため、算出された連続駆動時間の精度が低くなる。作業機が行う作業の内容は多岐にわたるため、上述の一定時間を予め適切に設定することは非常に困難である。
【0006】
また、建設機械は、自動車とは異なり、運搬作業や掘削作業等、同じ作業パターン(負荷パターン)(掘削→走行→排土、積込→走行→掘削→走行→排土、など)を繰り返すことが多く、一定時間内における負荷量を見積もるのではなく、一回の作業パターンにおける負荷量から連続モータアシスト時間を算出した方が高い精度が得られる。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、より精度高く連続モータアシスト時間(連続動作時間)を算出し、当該連続動作時間を表示することができる作業機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の技術的手段を講じた。
本発明の一側面において、作業機は、エンジンと、電力によりモータとして作動する第1動作と前記エンジンの動力によりジェネレータとして作動する第2動作とを行うことが可能なモータ・ジェネレータと、前記モータ・ジェネレータの前記第2動作によって発電した電力を蓄電可能なバッテリと、前記バッテリの蓄電残量を検出可能であるとともに、前記バッテリの蓄電残量の増減を検出可能である蓄電測定装置と、前記モータ・ジェネレータの動作を制御する制御装置であって、前記蓄電残量に基づいて、前記第1動作及び前記第2動作のいずれかで前記モータ・ジェネレータを動作させる制御装置と、所定作業の開始と終了を指定する算出スイッチと、前記算出スイッチから前記所定作業の開始と終了とを通知され、当該算出スイッチによって開始と終了が指定された前記所定作業における前記モータ・ジェネレータの総負荷量と前記蓄電測定装置が検出した蓄電残量とに基づいて、前記所定作業を繰り返すことのできる時間を連続動作時間として算出する動作算出装置と、前記動作算出装置が算出した前記連続動作時間を表示する表示装置と、を備える。
【0008】
前記所定作業は、前記モータ・ジェネレータが前記第1動作及び前記第2動作のいずれかで動作する個別の動作をパターン化した一連の作業であり、前記動作算出装置は、当該パターン化された一連の作業を繰り返すことのできる時間を前記連続動作時間として算出する。
【0009】
前記動作算出装置は、前記算出スイッチが前記所定作業の開始を通知したときから前記所定作業の終了を通知したときまでの前記モータ・ジェネレータの総負荷量を検出する。
動作算出装置は、前記算出スイッチが前記所定作業の開始を通知したときから前記所定作業の終了を通知したときまでの作業時間を検出する計時部を有し、前記計時部が検出した前記作業時間が閾値以上であるとき、前記モータ・ジェネレータの総負荷量を検出する。
【0010】
前記動作算出装置は、前記作業時間を記憶し、前記計時部が前記閾値以上の作業時間を新たに検出したときに、既に記憶している作業時間を前記新たに検出した作業時間に更新する。
前記動作算出装置は、前記閾値を記憶する閾値記憶部と、前記閾値記憶部に記憶された閾値を変更可能な閾値設定部と、を有する。
【0011】
前記動作算出装置は、前記算出スイッチが前記所定作業の開始を通知したときの前記蓄電残量を第1蓄電残量として取得し、前記算出スイッチが前記所定作業の終了を通知したときの前記蓄電残量を第2蓄電残量として取得し、前記第1蓄電残量と前記第2蓄電残量の差分である差分蓄電残量を算出し、前記差分蓄電残量を前記モータ・ジェネレータの総負荷量として用いる。
【0012】
動作算出装置は、前記算出スイッチが前記所定作業の開始を通知したときから前記所定作業の終了を通知したときまでの作業時間を検出する計時部を有し、前記計時部が検出した前記作業時間が閾値以上であるとき、前記差分蓄電残量を算出する。
前記動作算出装置は、前記作業時間を記憶し、前記計時部が前記閾値以上の作業時間を新たに検出したときに、既に記憶している作業時間を前記新たに検出した作業時間に更新する。
【0013】
前記動作算出装置は、前記計時部が検出した作業時間が前記閾値未満であるときに、作業時間が前記閾値未満であることを示す通知信号を前記表示装置へ出力する。前記表示装置は、前記通知信号を受信すると音声を発する音声通知部を有する。
前記モータ・ジェネレータの総負荷量は、前記所定作業における、前記モータ・ジェネレータの前記第1動作による消費電力量と前記第2動作による発電量との差である
前記算出スイッチは、オルタネイト型スイッチである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より精度高く連続モータアシスト時間(連続動作時間)を算出し、当該連続動作時間を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】第1実施形態による機器(装置)の配置を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態による機体の内部を右側面から見た図である。
【
図4】第1実施形態による回転電機の内部の断面図である。
【
図5】第1実施形態による回転電機及びインジケータの制御ブロック図である。
【
図6】第1実施形態によるインジケータを示す図である。
【
図7A】第1実施形態によるインジケータの表示変更を説明する第1の図である。
【
図7B】第1実施形態によるインジケータの表示変更を説明する第2の図である。
【
図8】第1実施形態の変形例によるインジケータを示す正面図である。
【
図9】第1実施形態による制御部及びインジケータの動作のフローチャートを示す図である。
【
図10】第1実施形態の変形例による制御部及びインジケータの動作のフローチャートを示す図である。
【
図11】第2実施形態による回転電機の制御ブロック図である。
【
図12】第2実施形態による制御部及び動作算出装置の動作のフローチャートを示す図である。
【
図13】第3実施形態による切替スイッチ、駆動算出装置、上限設定装置、及び回転電機の制御ブロック図である。
【
図14】第3実施形態によるモータ・ジェネレータのモータ出力と電力消費量との関係を表すテーブルを示す図である。
【
図15】第3実施形態の変形例による駆動時間指定スイッチ、駆動算出装置、上限設定装置、及び回転電機の制御ブロック図である。
【
図16】第3実施形態による回転電機の制御フローを示す図である。
【
図17】第3実施形態の変形例による回転電機の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。
図18は、本実施形態に係る作業機1の全体側面を示す図である。
図18では、作業機1の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本実施形態に係る作業機1はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0017】
作業機1は、機体2と、機体2に装着した作業装置3と、機体2を支持する走行装置4とを備えている。尚、本実施形態において、作業機1の運転席13に着座した運転者の前側(
図18の左側)を前方といい、運転者の後側(
図18の右側)を後方という。また、運転者の左側(
図18の手前側)を左方といい、運転者の右側(
図18の奥側)を右方という。なお、機体2の前及び後に直交する方向を機体幅方向(幅方向)という。
【0018】
図18に示すように、機体2の上部であって前部には、キャビン5が搭載されている。キャビン5の後部は、機体2のブラケット11に支持軸12回りに揺動自在に支持されている。キャビン5の前部は、機体2の前部に載置可能となっている。
キャビン5内には運転席13が設けられている。運転席13の一側(例えば、左側)には、走行装置4を操作するための走行用操作装置が配置されている。
走行装置4は、クローラ式走行装置により構成されている。走行装置4は、機体2の左及び機体2の右に設けられている。走行装置4は、油圧駆動で作動する第1走行部21Lと、第2走行部21Rとを有し、第1走行部21L及び第2走行部21Rによって走行可能である。
【0019】
作業装置3は、ブーム22Lと、ブーム22Rと、ブーム22L及びブーム22Rの先端に装着されたバケット23(作業具)とを備える。ブーム22Lは、機体2の左に配置されている。ブーム22Rは、機体2の右に配置されている。ブーム22Lとブーム22Rとは、連結体によって相互に連結されている。ブーム22L及びブーム22Rは、第1リフトリンク24及び第2リフトリンク25に支持されている。ブーム22L及びブーム22Rの基部側と機体2の後下部との間には、複動式の油圧シリンダからなるリフトシリンダ26が設けられている。リフトシリンダ26を同時に伸縮させることによりブーム22L及びブーム22Rが上下に揺動する。ブーム22L及びブーム22Rの先端側には、それぞれ装着ブラケット27が横軸回りに回動自在に枢支され、左及び右に設けられた装着ブラケット27にバケット23の背面側が取り付けられている。
【0020】
また、装着ブラケット27とブーム22L及びブーム22Rの先端側中途部との間には、複動式の油圧シリンダからなるチルトシリンダ28が介装されている。チルトシリンダ28の伸縮によってバケット23が揺動(スクイ・ダンプ動作)する。
バケット23は、装着ブラケット27に対して着脱自在とされている。バケット23を取り外して装着ブラケット27に各種のアタッチメント(後述する油圧アクチュエータを有する油圧駆動式の作業具)を取り付けることで、掘削以外の各種の作業(又は他の掘削作業)を行えるように構成されている。
【0021】
次に、機体2について説明する。
図1に示すように、機体2は、右枠部30と、左枠部31と、前枠部32と、底枠部33と、上枠部34とを有する。
右枠部30は、機体2の右部を構成する。左枠部31は、機体2の左部を構成する。前枠部32は、機体2の前部を構成し、右枠部30と左枠部31の前部同士を連結している。底枠部33は、機体2の底部を構成し、右枠部30と左枠部31の下部同士を連結している。上枠部34は、機体2の後部寄りの上部を構成し、右枠部30と左枠部31の後部寄りの上部同士を連結している。
【0022】
右枠部30及び左枠部31は、それぞれメインフレーム40と、トラックフレーム41と、モータ取付部42と、フレーム43とを有している。トラックフレーム41は、メインフレーム40の外側面の下部に取付部材44を介して取り付けられている。モータ取付部42は、メインフレーム40の外側面の後部寄りの上部に設けられている。フレーム43は、メインフレーム40の後部に取り付けられている。
【0023】
フレーム43は、ブーム22L、22R等を揺動自在に支持する。フレーム43は、内壁43aと、外壁43bと、前壁43cと、後壁43dとを有している。内壁43aと外壁43bは、機体幅方向で間隔をおいて対向して設けられている。外壁43bは、内壁43aの機体外方に位置している。前壁43cは、メインフレーム40の機体幅方向の中途部に設けられることで、メインフレーム40の機体内方だけでなく、機体外方にも突出している。前壁43cの機体外方に突出する部分が、走行装置4の後部を覆うフェンダを構成している。前壁43cは、内壁43aの前部と外壁43bの前部とを連結している。後壁43dは、内壁43aの後部と外壁43bの後部とを連結している。
【0024】
上枠部34は、第1板材34aと、第2板材34bとを有している。第1板材34aは、右側の内壁43aの上部と左側の内壁43aの上部とを連結する。第1板材34aは、開口部35を形成する環状の縁部を有しており、キャビン5の後方に設けられている。開口部35を形成する環状の縁部は、略長方形状である。
第2板材34bは、第1板材34aの左側の後端及び右側の後端から後方に延びる板材である。左側の第2板材34bは、左側の内壁43aに沿って後方に延びていて、機体外方が左側の内壁43aに連結している。右側の第2板材34bは、右側の内壁43aに沿って後方に延びていて、機体外方が右側の内壁43aに連結している。左側の第2板材34b及び右側の第2板材34bは、後方に向かうにつれて下がるように下向きに傾斜している。上枠部34は、第3板材34cを有している。第3板材34cは、第1板材34aの前端から下方に延びる部材である。
【0025】
図2、
図3に示すように、機体2には、ディーゼルエンジン(エンジン)50、粒子除去装置51、冷却ファン52、ラジエータ53、回転電機54、駆動装置55、及びバッテリ56が設けられている。
粒子除去装置51は、エンジン50からの排気(排出ガス)中の有害物質を含む微粒子を捕捉する装置であって、例えば、DPF(Diesel Particulate Filter)である。粒子除去装置51は、エンジン50の前上部に配置されていて、エンジン50のブラケットにより支持されている。粒子除去装置51は微粒子を燃焼して除去可能であって、燃焼時には少なくとも内部の温度は、600℃以上になる。冷却ファン52は、エンジン50の駆動により回転する装置である。冷却ファン52は、回転することによって、当該冷却ファン52の前方から後方に向けて気流を発生させ、エンジン50を空冷することが可能である。第2ラジエータ53は、冷却ファン52の後方に設けられ、エンジン50の冷却水を冷却する。
【0026】
回転電機54は、電動発電機(モータ・ジェネレータ)である。回転電機54は、エンジン50の前方に設けられている。
駆動装置55は、エンジン50及び/又は回転電機54によって駆動する装置で、主に作業のための動力を出力する。具体的には、駆動装置55は、油圧装置である。油圧装置55は、作業機に搭載された油圧機器に作動油を供給するための複数のポンプを含んでいる。油圧装置55は、回転電機54の前方に設けられている。油圧装置55は、例えば、複数の油圧ポンプは、第1ポンプ55aと、第2ポンプ55bと、第3ポンプ55cと、第4ポンプ55dである。
【0027】
第1ポンプ55aは、HST(静油圧無段変速機)の一部を構成する油圧ポンプである。第2~4ポンプ55b,55c,55dは、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2ポンプ55bは、作業装置3に装備された油圧アクチュエータや作業装置3に取り付けられる油圧アタッチメントの油圧アクチュエータを駆動するための油圧ポンプである。第3ポンプ55cは、油圧アクチュエータに供給する作動油を増量するための油圧ポンプである。第4ポンプ55dは、パイロット油を供給するため、及びHSTの油圧回路に作動油を補充するための油圧ポンプである。
【0028】
バッテリ56は、電力の充電又は放電が可能な蓄電機であって、ニッケル水素充電池などである。具体的には、バッテリ56は、回転電機54で発電した電力を充電したり、充電した電力を回転電機54等に供給したりする。バッテリ56は、エンジン50の左側方、右側方、上方、下方、後方等であってエンジン50から発生した熱を受けることができる周囲に設けられる。本実施形態では、バッテリ56は、エンジン50の直上に設けられている。バッテリ56は、リチウムイオン充電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0029】
さて、作業機1は、エンジン50の動力で油圧装置55を駆動したり、エンジン50及び回転電機54の両方で油圧装置55を駆動したり、エンジン50の動力で回転電機54を作動させて発電することが可能である。即ち、作業機の動力の伝達は、パラレルハイブリッド式である。エンジン50及び回転電機54の動力伝達構造について説明する。
図4に示すように、エンジン50の前部には、略円板状のフライホイール50aを収容するフライホイールハウジング50bが設けられている。フライホイールハウジング50bは、フライホイール50aの外周を覆う外周部50b1と、フライホイール50aの後部を覆い且つエンジン50に固定された側壁50b2とを有している。側壁50b2の反対側(前部)には、ハウジング54aが位置し、当該ハウジング54aが外周部50b1に取り付けられている。フライホイール50aの後部には、エンジン50のクランク軸50cが連結されている。
【0030】
回転電機54は、モータ・ジェネレータであって、駆動方式として、永久磁石埋込式の三相交流同期モータが採用されている。
回転電機54は、ハウジング54aと、フライホイール50aに連結する連結部54bと、連結部54bに固定されたロータ54c、ロータ54cに設けられた固定子54dと、固定子54dの外側に設けられたウォータジャケット54eとを有している。
【0031】
連結部54bは、筒状に形成されていて後端がフライホイール50aに取り付けられている。連結部54bの内部には、中間軸63が設けられている。中間軸63の後端には、カップリング64が設けられ、カップリング64の外側は、フライホイール50aに接続されている。また、中間軸63の前端には、油圧装置55の駆動軸55eが接続されている。
【0032】
したがって、エンジン50を駆動した場合、エンジン50のクランク軸50cの回転動力は、フライホイール50aに伝達され、フライホイール50aを回転させる。
図4の矢印P1に示すように、フライホイール50aの回転動力は、カップリング64から中間軸63に伝達された後、中間軸63から油圧装置55の駆動軸55eに伝達して、油圧装置55を駆動することができる。
【0033】
また、
図4の矢印P2に示すように、フライホイール50aの回転動力は、連結部54bを介してロータ54cに伝達される。したがって、エンジン50の回転動力をロータ54c(連結部54b)に伝達することによって、回転電機54を発電機(ジェネレータ)として作動させることができる。一方、バッテリ56に蓄電した電力を、固定子54dに供給することによって、ロータ54cを回転させることができる。
図4の矢印P3に示すように、ロータ54cの回転動力は、連結部54bを介してフライホイール50aに伝達することができる。したがって、回転電機54を電動機(モータ)として作動させ、エンジン50の補助をすることができる。
【0034】
次に、
図5を参照して、回転電機(モータ・ジェネレータ)54の制御について説明する。
図5は、本実施形態による回転電機54、及びインジケータ100の制御ブロック図である。
図5に示すように、回転電機54は、電力制御装置(単に、制御装置ともいう)57に接続されている。電力制御装置57は、電気・電子回路、CPU等から構成されている。電力制御装置57は、回転電機54の作動を制御する装置である。例えば、電力制御装置57は、上述したように回転電機54をモータとして作動させたり、回転電機54をジェネレータとして作動させたりする。以降、説明の便宜上、回転電機54がモータとして作動する動作を「第1動作」、回転電機54がジェネレータとして作動する動作を「第2動作」という。本実施形態では、電力制御装置57は、バッテリ56の蓄電残量に基づいて、第1動作又は第2動作の設定を行う。
【0035】
以下、電力制御装置(制御装置)57の構成及び制御について詳しく説明する。
制御装置57は、インバータ59と、制御部60とを有している。制御装置57には、バッテリ56の蓄電残量、即ち、バッテリ56に蓄電した残容量を検出可能な蓄電測定装置201が接続されている。蓄電測定装置201は、バッテリ56に設けられている。インバータ59は、例えば、複数のスイッチング素子を有し、スイッチング素子の切換等によって、直流を交流に変換する。インバータ59は、回転電機54及びバッテリ56に接続されている。
【0036】
制御部60は、電気電子部品及びCPU等から構成されている。制御部60は、インバータ59を制御することで、第1動作及び第2動作の設定を行う。具体的には、制御部60(制御装置57)は、蓄電測定装置201で検出された蓄電残量が予め定められた蓄電閾値以上である場合は、第1動作の設定を行う。ここで、蓄電閾値は、バッテリ56の劣化を抑制することを考慮して、高充電域で設定されており、例えば、バッテリ56の最大の蓄電容量(最大容量という)に対して90%を蓄電閾値に設定されている。なお、充電閾値は、制御部60に記憶されている。
【0037】
例えば、制御装置57(制御部60)は、バッテリ56の蓄電残量が予め定められた蓄電閾値以上である場合に、第1動作の設定を行いエンジン50の補助(アシスト)を行い、閾値未満である場合に、第2動作である充電を行うように設定を行うことができる。
なお、制御装置57(制御部60)は、蓄電閾値に基づいて、第1動作及び第2動作を行うように設定を行うことができればよく、その制御は上記制御に限定されない。
また、上述した実施形態では、蓄電閾値は、予め定められているものとして説明したが、蓄電閾値は変更できるようにしてもよい。制御部60には、蓄電閾値を設定する蓄電設定スイッチ202が設定されている。蓄電設定スイッチ202は、運転席13の近傍に設けられており、運転席13に着座した作業者が操作可能である。
【0038】
したがって、蓄電設定スイッチ202によって蓄電閾値を変更することにより、回転電機54によるアシストと、回転電機54による発電(充電)との領域を変更することができる。例えば、蓄電残量が低い場合には、バッテリ56への充電を積極的に行ったり、蓄電残量が高い場合には、回転電機54によるアシストを積極的に行ったりすることができる。また、作業機1の作業に応じて作業者が蓄電設定スイッチ202の設定を行うことで、作業機1の作業に応じて回転電機54によるアシストのタイミング等を任意に設定することができ、作業機1の作業性を向上させることができる。
【0039】
以下、
図5~
図10を参照し、電力制御装置(制御装置)57の制御部60についてさらに説明する。
図5に示すように、制御部60は、インジケータ100と接続している。インジケータ100は、作業機1に関する情報を表示する表示装置であり、特に制御部60の制御によって、バッテリ56の蓄電残量を表示するように構成されている。なお、インジケータ100は、一般的に作業機1に設けられている表示装置である。例えば、インジケータ100は、エンジン50のバッテリ56の蓄電残量又は燃料の残量を表示する表示装置であって、蓄電残量と燃料の残量との表示を切り替えるようなものであってもよい。
【0040】
インジケータ100は、例えばキャビン5内に設けられており、運転席13の周囲など、運転席13に着座したオペレータが容易に視認できる位置に配置されている。
図6に示すように、インジケータ100は、バッテリ56の蓄電容量に対して段階的に定義された値または範囲が割り当てられた複数の表示領域を有している。以下、
図6を参照し、インジケータ100の構成について説明する。インジケータ100は、バッテリ56の蓄電残量について、0%(E)から100%(F)の範囲で現在の蓄電残量を表示する。例えば、
図6に示すインジケータ100は、蓄電残量の割合を示す0%(E:Empty)から100%(F:Full)の範囲を6つの表示領域で構成している。6つの表示領域は、蓄電残量の割合に応じて、6段階に定義されたレベル1~レベル6に対応している。具体的には、インジケータ100は、レベル1に対応する第1表示領域100aと、レベル2に対応する第2表示領域100bと、レベル3に対応する第3表示領域100cと、レベル4に対応する第4表示領域100dと、レベル5に対応する第5表示領域100eと、レベル6に対応する第6表示領域100fと、を含んでいる。
【0041】
例えば、レベル1は蓄電残量の割合が20%未満であることに対応し、レベル2は蓄電残量が20%以上40%未満であることに対応し、レベル3は蓄電残量が40%以上60%未満であることに対応する。さらに、レベル4は蓄電残量が60%以上80%未満であることに対応し、レベル5は蓄電残量が80%以上90%未満であることに対応し、レベル6は蓄電残量が90%以上であることに対応する。
各表示領域(第1表示領域100a~第6表示領域100f)は、LED(Light Emitting Diode)、液晶パネル、又は有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro Luminescence)などの独立した発光素子で構成されている。各表示領域は、点灯時に明るさや色を変更できる発光素子で構成されることが望ましい。
【0042】
例えば、インジケータ100は、蓄電残量がレベル1である場合、第1表示領域100aを点灯することで、蓄電残量の割合が20%未満であることを表示する。インジケータ100は、蓄電残量がレベル2である場合、第1表示領域100aに加え、第2表示領域100bを点灯することで、蓄電残量の割合が20%以上40%未満であることを表示する。インジケータ100は、蓄電残量がレベル3である場合、第1表示領域100a及び第2表示領域100bに加え、第3表示領域100cを点灯することで、蓄電残量の割合が40%以上60%未満であることを表示する。インジケータ100は、蓄電残量がレベル4である場合、第1表示領域100a~第3表示領域100cに加え、第4表示領域100dを点灯することで、蓄電残量の割合が60%以上80%未満であることを表示する。インジケータ100は、蓄電残量がレベル5である場合、第1表示領域100a~第4表示領域100dに加え、第5表示領域100eを点灯することで、蓄電残量の割合が80%以上90%未満であることを表示する。そして、インジケータ100は、蓄電残量がレベル6である場合、第1表示領域100a~第5表示領域100eに加え、第6表示領域100fを点灯することで、蓄電残量の割合が90%以上であることを表示する。
【0043】
なお、上述した実施形態において、インジケータ100は、蓄電残量の割合を示す0%(E:Empty)から100%(F:Full)の範囲を6つの表示領域で構成している。しかし、表示領域の数は6つに限定されず、例えば4つでもよいし10個でもよく、その構成は上記構成に限定されない。
インジケータ100は、制御部60によって制御される。制御部60は、蓄電測定装置201からバッテリ56の蓄電残量を取得する。制御部60は、当該取得した蓄電残量に対応する段階(レベル)に応じて、表示領域の表示変更を指示する信号をインジケータ100に出力する。インジケータ100は、制御部60から当該信号を入力されると、蓄電残量に対応する段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を変更する。
【0044】
以下、制御部60が蓄電測定装置201から取得した蓄電残量が70%であって、蓄電残量がレベル4に対応する場合を例に、制御部60によるインジケータ100の表示変更について説明する。制御部60は、蓄電測定装置201から取得した蓄電残量が70%である場合、即ち蓄電残量がレベル4に対応する場合、インジケータ100に対して、第1表示領域100a~第4表示領域100dの表示変更を指示する信号を出力する。インジケータ100は、制御部60から当該信号を入力されると、
図6に示すように、第1表示領域100a~第4表示領域100dの表示を変更する。具体的には、制御部60がインジケータ100を制御し、インジケータ100は、第1表示領域100a~第4表示領域100dを、ほぼ同じ明るさと色で点灯する。なお、上述したように、インジケータ100は、段階(レベル)を指し示す表示領域をほぼ同じ明るさと色で点灯する表示形態を第1表示形態ということがある。
【0045】
ここで、蓄電測定装置201は、バッテリ56が充電中であることを検出すると、制御部60に、バッテリ56が充電中であることを示す信号を出力する。以下、バッテリ56が充電中である場合に、蓄電測定装置201が制御部60に出力する信号を充電中信号という。充電中信号は、制御部60がインバータ59を制御することによって(第2動作)、バッテリ56が充電されているという応答を示す信号である。制御部60は、蓄電測定装置201から充電中信号を入力されると、インジケータ100を制御して、当該インジケータ100の表示を変更する。
【0046】
具体的には、制御部60は、蓄電測定装置201から充電中信号を入力されると、インジケータ100を制御して、現在の蓄電残量である段階(レベル)に対応する表示領域を点滅させる。つまり、
図7Aに示す例においては、制御部60は、インジケータ100を制御して、現在の蓄電残量であるレベル4に対応する第4表示領域100dを点滅させる。これによって、インジケータ100は、現在の蓄電残量がレベル4であり、現在バッテリ56が充電中であることを表示する。なお、制御部60は、蓄電測定装置201から充電中信号を入力された場合に、インジケータ100が現在の蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域を点滅する表示形態を第2表示形態ということがある。
【0047】
また、蓄電測定装置201は、バッテリ56が放電中であることを検出すると、制御部60に、バッテリ56が放電中であることを示す信号を出力する。以下、バッテリ56が放電中である場合に、蓄電測定装置201が制御部60に出力する信号を放電中信号という。制御部60は、蓄電測定装置201から放電中信号を入力されると、インジケータ100を制御して、当該インジケータ100の表示を変更する。放電中信号は、制御部60がインバータ59を制御することによって(第1動作)、バッテリ56が放電されているという応答を示す信号である。
【0048】
具体的には、制御部60は、蓄電測定装置201から放電中信号を入力されると、インジケータ100を制御して、最も低い蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域を点滅させる。つまり、
図7Bに示す例においては、制御部60は、インジケータ100を制御して、最も低い蓄電残量の段階(レベル)であるレベル1に対応する第1表示領域100aを点滅させる。これによって、インジケータ100は、現在の蓄電残量と、現在バッテリ56が放電中であることと、の両方を表示することができる。なお、制御部60は、蓄電測定装置201から放電中信号を入力された場合に、インジケータ100が最も低い蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域を点滅する表示形態を第3表示形態ということがある。
【0049】
つまり、制御部60がインジケータ100を制御して、当該インジケータ100が第2表示形態及び第3表示形態に切り換わらない場合、即ち第1表示形態である場合、インジケータ100は、バッテリ56が充電中及び放電中のどちらでもない(充放電量バランスという)ことを表示する。従って、第1表示形態である場合、インジケータ100は、現在の蓄電残量に対応する表示領域と、現在の蓄電残量より下のレベルの表示領域を点灯だけで、いずれの表示領域の表示形態も変更しない。
【0050】
なお、上述の説明では、蓄電測定装置201が充電中信号及び放電中信号を制御部60へ出力する構成について説明した。しかし、蓄電測定装置201が充電中信号及び放電中信号を制御部60へ出力せず、制御部60が当該充電中信号及び放電中信号によらず、バッテリ56が充電中であるか放電中であるかについて判断することができてもよく、その判断方法は上述した方法に限定されない。
【0051】
具体的には、例えば、制御部60は、一定の時間間隔で定期的に、蓄電測定装置201からバッテリ56の蓄電残量を取得する。制御部60は、当該取得した蓄電残量(n=a)を、前回取得した蓄電残量(n=a-1)と比較して、その増減を検出する。蓄電残量が増加していれば、制御部60は、バッテリ56が充電中であると判断し、インジケータ100の表示を第2表示形態に変更する。反対に、制御部60は、蓄電残量が減少していれば、バッテリ56が放電中であると判断し、インジケータ100の表示を第3表示形態に変更する。
【0052】
また、制御部60は、時間順に連続した複数の蓄電残量(n=1,2,3・・・a)を参照することでバッテリ56の増減を検出し、バッテリ56が充電中であるか又は放電中であるかを判断しても良い。斯かる場合、制御部60は、例えば複数の蓄電残量の移動平均を比較することでバッテリ56の増減を検出する。
以下、
図9を参照し、上述の第1表示形態~第3表示形態による表示を行う場合における制御部60及びインジケータ100の動作についてさらに説明する。
まず、制御部60は、バッテリ56が充電中であるか否かを判断する(ステップS10)。具体的には、制御部60は、蓄電測定装置201から充電中信号が入力されているか、及び/又はバッテリ56の蓄電残量が増加しているかに基づいて、バッテリ56が充電中であるか否かを判断する。
【0053】
ステップS10において、制御部60は、バッテリ56が充電中であると判断すると(ステップS10、Yes)、表示領域の表示変更を指示する信号をインジケータ100に出力し、インジケータ100は、第2表示形態に変更する(ステップS20)。具体的には、インジケータ100は、制御部60から入力された信号に基づいて、現在の蓄電残量(蓄電レベル)である段階(レベル)に対応する表示領域を点滅する。インジケータ100が第2表示形態で表示すると(ステップS20)、制御部60は、エンジン50が停止しているか否かを判断する(ステップS30)。
【0054】
制御部60は、エンジン50が停止していないと判断すると(ステップS30,No)、処理をステップS10に戻す。一方、制御部60は、エンジン50が停止していると判断すると(ステップS30,Yes)、処理を終了する。
また、ステップS10において、制御部60は、バッテリ56が充電中ではないと判断すると(ステップS10,No)、バッテリ56が放電中であるか否かを判断する(ステップS40)。具体的には、制御部60は、蓄電測定装置201から放電中信号が入力されているか、及び/又はバッテリ56の蓄電残量が減少しているかに基づいて、バッテリ56が放電中であるか否かを判断する。
【0055】
ステップS40において、制御部60は、バッテリ56が放電中であると判断すると(ステップS40,Yes)、表示領域の表示変更を指示する信号をインジケータ100に出力し、インジケータ100は、第3表示形態に変更する(ステップS50)。具体的には、制御部60は、インジケータ100に信号を出力し、最も低い蓄電残量(蓄電レベル)に対応する表示領域を点滅させる。
インジケータ100が第3表示形態で表示すると(ステップS50)、制御部60は、エンジン50が停止しているか否かを判断する(ステップS30)。
【0056】
制御部60は、エンジン50が停止していないと判断すると(ステップS30,No)、処理をステップS10に戻す。一方、制御部60は、エンジン50が停止していると判断すると(ステップS10,Yes)、処理を終了する。
また、ステップS40において、制御部60は、バッテリ56が放電中ではないと判断すると(ステップS40,No)、バッテリ56が充電中及び放電中のどちらでもない(充放電バランス)と判断し、表示領域の表示変更を指示する信号をインジケータ100に出力し、インジケータ100は、第1表示形態に変更する(ステップS60)。
インジケータ100が第1表示形態で表示すると(ステップS60)、制御部60は、エンジン50が停止しているか否かを判断する(ステップS30)。
【0057】
制御部60は、エンジン50が停止していないと判断すると(ステップS30,No)、処理をステップS10に戻す。一方、制御部60は、エンジン50が停止していると判断すると(ステップS30,Yes)、処理を終了する。
なお、インジケータ100は、第2表示形態及び第3表示形態のように表示領域を点滅させる表示の変更に加えて、当該表示領域の色を変更したり、当該表示領域の明るさを変更したりといった表示形態の変更を行ってもよい。
【0058】
以下、
図8を参照して、インジケータ100の動作の変形例について説明する。
図8では、
図7A及び
図7Bと同様に、制御部60が蓄電測定装置201から取得した蓄電残量が70%であって、蓄電残量がレベル4に対応する場合を示している。
図8では、上段に、インジケータ100が2色表示を行う構成を示し、下段に、インジケータ100が3色表示を行う構成を示している。
【0059】
まず、インジケータ100が2色表示を行う構成を有する場合について説明する。インジケータ100は、
図6と同様に、インジケータ100は、制御部60から信号を入力されると、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を変更する。つまり、
図8上段に示す例においても、インジケータ100は、現在の蓄電残量のレベル4に応じて、第1表示領域100a~第4表示領域100dの表示を変更する。このとき、インジケータ100は、レベル1からレベル4の各表示領域を、ほぼ同じ明るさと色で表示する。
【0060】
バッテリ56が充放電量バランスの状態であり、蓄電測定装置201が制御部60に充電中信号及び放電中信号を出力しない場合や、制御部60がバッテリ56の蓄電残量の増減を検出していない場合、インジケータ100は、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域を、充放電停止を示す色(第1色)で点灯して表示する(第1表示形態)。つまり、インジケータ100は、当該
図8上段の右図に示す充放電停止(充放電量バランス)を示す色(第1色)で点灯する。第1色は例えば青色である。
【0061】
また、バッテリ56が充電中であり、蓄電測定装置201が制御部60に充電中信号を出力する場合や、制御部60がバッテリ56の蓄電残量の増加を検出した場合、インジケータ100は、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域を、充電中を示す色(第1色)で表示する(第2表示形態)。詳しくは、当該第2表示形態においては、
図7Aで説明した場合と同様に、インジケータ100は、現在の蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域を点滅させ、当該段階未満の段階に対応する表示領域を点灯する。つまり、
図8の上段の左図に示す例においては、インジケータ100は、現在の蓄電残量であるレベル4に対応する第4表示領域100dを点滅する。
【0062】
そして、バッテリ56が放電中であり、蓄電測定装置201が制御部60に放電中信号を出力する場合や、制御部60がバッテリ56の蓄電残量の減少を検出した場合、インジケータ100は、蓄電残量に対応する段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域を、放電中を示す色(第2色)で点灯して表示する(第3表示形態)。第2色は、第1色と異なる色であり、例えば橙色である。また、当該第3表示形態においては、蓄電残量が所定値以下である場合、
図7Bで説明した場合と同様に、インジケータ100は、最も低い蓄電残量であるレベル1に対応する第1表示領域100aを点滅させてもよい。つまり、
図8上段の中図に示す例においては、インジケータ100は、最も低い蓄電残量であるレベル1に対応する第1表示領域100aを点滅する。
【0063】
このように、インジケータ100が2色表示を行う構成を有する場合、バッテリ56が放電中であるときの表示領域を、放電中でないときの点灯色とは異なる色で点灯させることができる。これによって、インジケータ100は、バッテリ56が放電中であることを、オペレータに対して効果的に表示することができる。
次に、インジケータ100が3色表示を行う構成を有する場合について説明する。
図6と同様に、インジケータ100は、制御部60から信号を入力されると、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を変更する。つまり、
図8下段に示す例においても、インジケータ100は、現在の蓄電残量のレベル4に応じて、第1表示領域100a~第4表示領域100dの表示を変更する。このとき、インジケータ100は、レベル1からレベル4の各表示領域を、ほぼ同じ明るさと色で表示する。
【0064】
バッテリ56が充放電量バランスの状態であり、蓄電測定装置201が制御部60に充電中信号及び放電中信号を出力しない場合や、制御部60がバッテリ56の蓄電残量の増減を検出していない場合、インジケータ100は、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域を、充放電停止を示す色(第1色)で点灯して表示する(第1表示形態)。つまり、インジケータ100は、当該
図8下段の右図に示す充放電停止(充放電量バランス)を示す色(第1色)で点灯する。第1色は例えば白色である。
【0065】
また、バッテリ56が充電中であり、蓄電測定装置201が制御部60に充電中信号を出力する場合や、制御部60がバッテリ56の蓄電残量の増加を検出した場合、インジケータ100は、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域を、充電中を示す色(第2色)で表示する(第2表示形態)。第2色は第1色と異なる色であり、例えば青色で表示される。詳しくは、当該第2表示形態においては、
図7Aで説明した場合と同様に、インジケータ100は、現在の蓄電残量である段階(レベル)に対応する表示領域を点滅させ、当該段階未満の段階に対応する表示領域を点灯する。つまり、
図8の下段の左図に示す例においては、インジケータ100は、現在の蓄電残量であるレベル4に対応する第4表示領域100dを点滅する。
【0066】
そして、バッテリ56が放電中であり、蓄電測定装置201が制御部60に放電中信号を出力する場合や、制御部60がバッテリ56の蓄電残量の減少を検出した場合、インジケータ100は、蓄電残量に対応する段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域を、放電中を示す色(第3色)で点灯して表示する(第3表示形態)。第3色は第1色及び第2色と異なる色であり、例えば橙色で表示される。また、当該第3表示形態においては、蓄電残量が所定値以下である場合、
図7Bで説明した場合と同様に、インジケータ100は、最も低い蓄電残量であるレベル1に対応する第1表示領域100aを点滅させてもよい。つまり、
図8下段の中図に示す例においては、インジケータ100は、最も低い蓄電残量のレベル1に対応する第1表示領域100aを点滅する。
【0067】
このように、インジケータ100が3色表示を行う構成を有する場合、バッテリ56が充電中であるときの表示領域と、放電中であるときの表示領域と、充放電量バランスであるときの表示領域とを、それぞれ異なる色で点灯させることができる。これによって、インジケータ100は、バッテリ56の3つの状態(つまり、充電中、放電中及び充放電量バランス)をオペレータに対して効果的に表示することができる。
【0068】
以下、
図10を参照し、上述の2色表示又は3色表示を行う場合における制御部60及びインジケータ100の動作について説明する。
まず、制御部60は、バッテリ56が充電中であるか否かを判断する(ステップS110)。具体的には、制御部60は、蓄電測定装置201から充電中信号が入力されているか、及び/又はバッテリ56の蓄電残量が増加しているかに基づいて、バッテリ56が充電中であるか否かを判断する。
【0069】
ステップS110において、制御部60が、バッテリ56が充電中であると判断すると(ステップS110,Yes)、制御部60は、表示領域の表示変更を指示する信号をインジケータ100に出力し、インジケータ100は、第2表示形態に変更する。具体的には、インジケータ100は、制御部60から入力された信号に基づいて、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を充電中に対応する色で表示する(ステップS120)。つまり、上述したインジケータ100が2色表示の場合、インジケータ100は、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を第1色で表示する。一方、インジケータ100が3色表示の場合、インジケータ100は、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を第2色で表示する。
【0070】
さらに、インジケータ100が蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を充電中に対応する色で表示すると(ステップS120)、当該インジケータ100は、現在の蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域を点滅する(ステップS130)。
インジケータ100が第2表示形態に変更し、現在の蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域を点滅すると(ステップS120,S130)、制御部60は、エンジン50が停止しているか否かを判断する(ステップS140)。
【0071】
制御部60は、エンジン50が停止していないと判断すると(ステップS140,No)、処理をステップS110に戻す。一方、制御部60は、エンジン50が停止していると判断すると(ステップS140,Yes)、処理を終了する。
また、ステップS110において、制御部60が、バッテリ56が充電中ではないと判断すると(ステップS110,No)、制御部60は、バッテリ56が放電中であるか否かを判断する(ステップS150)。具体的には、制御部60は、蓄電測定装置201から放電中信号が入力されているか、及び/又はバッテリ56の蓄電残量が減少しているかに基づいて、バッテリ56が放電中であるか否かを判断する。
【0072】
ステップS150において、制御部60が、バッテリ56が放電中であると判断すると(ステップS150,Yes)、制御部60は、表示領域の表示変更を指示する信号をインジケータ100に出力し、インジケータ100は、第3表示形態に変更する。具体的には、インジケータ100は、制御部60から入力された信号に基づいて、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を放電中に対応する色で表示する(ステップS160)。つまり、上述したインジケータ100が2色表示の場合、インジケータ100は、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を第2色で表示する。一方、インジケータ100が3色表示の場合、インジケータ100は、蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を第3色で表示する。
【0073】
さらに、インジケータ100が蓄電残量の段階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域の表示を放電中に対応する色で表示すると(ステップS160)、制御部60は、蓄電測定装置201から取得したバッテリ56の蓄電残量が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS170)。
制御部60が、バッテリ56の蓄電残量が所定値以下であると判断すると(ステップS170,Yes)、制御部60は、インジケータ100に信号を出力し、最も低い蓄電残量に対応する表示領域を点滅させる(ステップS180)。
【0074】
制御部60が、バッテリ56の蓄電残量が所定値未満であると判断する(ステップS170,No)、又はインジケータ100が第3表示形態に変更し、最も低い蓄電残量に対応する表示領域を点滅させると(ステップS180)、制御部60は、エンジン50が停止しているか否かを判断する(ステップS140)。
制御部60は、エンジン50が停止していないと判断すると(ステップS140,No)、処理をステップS110に戻す。一方、制御部60は、エンジン50が停止していると判断すると(ステップS140,Yes)、処理を終了する。
【0075】
また、ステップS150において、制御部60は、バッテリ56が放電中ではないと判断すると(ステップS150,No)、バッテリ56が充電中及び放電中のどちらでもない(充放電バランス)と判断し、表示領域の表示変更を指示する信号をインジケータ100に出力し、インジケータ100は、第1表示形態に変更する(ステップS190)。具体的には、インジケータ100は、制御部60から入力された信号に基づいて、蓄電残量の階(レベル)に対応する表示領域及び、当該段階未満の段階に対応する表示領域を、充放電停止を示す色(第1色)で点灯して表示する。
【0076】
インジケータ100が第1表示形態に変更すると(ステップS190)、制御部60は、エンジン50が停止しているか否かを判断する(ステップS140)。
制御部60は、エンジン50が停止していないと判断すると(ステップS140,No)、処理をステップS110に戻す。一方、制御部60は、エンジン50が停止していると判断すると(ステップS140,Yes)、処理を終了する。
【0077】
上述した作業機1は、エンジン50と、電力によりモータとして作動する第1動作とエンジン50の動力によりジェネレータとして作動する第2動作とを行うことが可能なモータ・ジェネレータ54と、モータ・ジェネレータ54の第2動作によって発電した電力を蓄電可能なバッテリ56と、バッテリ56の蓄電量である蓄電残量を検出可能であるとともに、バッテリ56への電力の充電及び前記電力の放電とを検出可能である蓄電測定装置201と、モータ・ジェネレータ54の動作を制御する制御装置57であって、蓄電残量に基づいて、第1動作及び第2動作のいずれかでモータ・ジェネレータ54を動作させる制御装置57と、バッテリ56の蓄電残量を表示可能で、且つ、バッテリ56への充電とバッテリ56からの放電とを蓄電残量とは異なる表示をするインジケータ100と、を備える。
【0078】
この構成によれば、バッテリ56の蓄電残量を表示する表示装置とは別に新たな表示装置を備えなくとも、インジケータ100によって、バッテリ56の充電状態と放電状態を表示することができる。
インジケータ100は、バッテリ56の蓄電残量に対して段階的に定義された値または範囲が割り当てられた複数の表示領域を有していてもよい。
この構成によれば、バッテリ56の充電状態と放電状態を、段階的な量や値をもって示すことができる。
複数の表示領域のうち、少なくとも1の表示領域は、蓄電残量、充電及び放電のいずれかの状態を、点灯、点滅及び消灯で示してもよい。
【0079】
この構成によれば、複数の表示領域すべてを使わなくとも蓄電残量、充電及び放電のいずれか1つの状態を示すことができ、少なくとも残りの表示領域で、蓄電残量、充電及び放電の少なくとも残りの1つの状態を示すことができる。
複数の表示領域のうち、現在の所定蓄電残量に対応して点灯する表示領域は、充電及び放電のいずれかの状態のときに、点滅してもよい。
この構成によれば、複数の表示領域うち少なくとも1つを用いることで、充電及び放電のいずれかの状態の表示に重ねて、現在の蓄電残量を表示することができる。
【0080】
複数の表示領域のうち、最も低い所定蓄電残量に対応して点灯する表示領域は、充電及び放電のいずれかの状態のときに、点滅してもよい。
この構成によれば、蓄電残量の表示に重ねて、現在の充電中の状態にあるか、あるいは放電中の状態にあるかについて表示することができる。
インジケータ100は、バッテリ56の蓄電残量に対して段階的に定義された値または範囲が割り当てられた複数の表示領域を有し、複数の表示領域のうち、少なくとも1つの表示領域は、充電及び放電のいずれかの状態を、蓄電残量を示す色とは異なる色で示してもよい。
【0081】
この構成によれば、蓄電残量の表示に重ねて、現在の充電中の状態にあるか、あるいは放電中の状態にあるかについて表示することができる。
少なくとも1つの表示領域は、蓄電測定装置201がバッテリ56の蓄電残量の増減を検出しないときに、異なる色に変更されてもよい。
この構成によれば、蓄電残量の表示に重ねて、現在の充電中の状態にあるか、あるいは放電中の状態にあるかだけでなく、充電中でも放電中でもない状態について、充電中及び放電中とは異なる形態で表示することができる。
【0082】
蓄電測定装置201は、バッテリ56の蓄電残量の増減を、所定時間内において蓄電残量の増加を検出した時間の割合が過半である場合に充電していることを検出し、所定時間内において蓄電残量の減少を検出した時間の割合が過半である場合に放電していることを検出してもよい。
この構成によれば、充電中であるか放電中であるかについての判断を、瞬間的な蓄電残量の変動によらず、ある程度の時間における蓄電残量の変動として検出することができるので、充電中の状態にあるか、あるいは放電中の状態にあるかについて、瞬間的な変動を排除して、より正しく表示することができる。
【0083】
蓄電測定装置201は、所定時間内における蓄電残量の増加量と減少量の差分を求め、増加量が減少量よりも大きい場合に充電していることを検出し、増加量が減少量よりも小さい場合に放電していることを検出してもよい。
この構成によれば、充電中であるか放電中であるかについての判断を、瞬間的な蓄電残量の変動によらず、ある程度の時間における蓄電残量の変動の傾向として検出することができるので、充電中の状態にあるか、あるいは放電中の状態にあるかについて、瞬間的な変動を排除した充電傾向あるいは放電傾向として、表示することができる。
【0084】
(第2実施形態)
図11、
図12を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態で説明した構成要素と同様の構成要素については、第1実施形態で用いた参照符号を付してその説明を省略する。
図11は、本実施形態による回転電機54の制御ブロック図である。本実施形態による制御部60は、動作算出装置610aを備えている。動作算出装置610aは、制御部60(制御装置57)に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。
【0085】
動作算出装置610aは、バッテリ56の蓄電残量に基づいて、回転電機54をモータあるいはジェネレータとして作動させて、第1動作によるアシストが継続すること、つまり作業機1の所定作業を継続することが可能な連続動作時間を算出する装置である。つまり、所定作業は、回転電機(モータ・ジェネレータ)54が第1動作(回転電機54がモータとして作動する動作)及び第2動作(回転電機54がジェネレータとして作動する動作)のいずれかで動作する個別の動作をパターン化した一連の作業である。言い換えれば、動作算出装置610aは、当該パターン化された一連の作業を繰り返すことのできる時間を連続動作時間として算出する。このため、動作算出装置610aは、回転電機54がエンジン50の補助(アシスト)を行う動作を含む一連の作業を連続的に繰り返すことのできる時間である連続動作時間を、バッテリ56の蓄電残量に基づいて算出する装置である。
【0086】
この一連の作業において、回転電機54は、モータとして作動してエンジン50をアシストする(第1動作)だけでなく、エンジン50をアシストする必要のないときは、エンジン50の余力でジェネレータとして作動して発電し、バッテリを充電する(第2動作)。通常、作業機1が行う所定作業(一連の作業)は、回転電機54がモータとして作動する作業とジェネレータとして作動する作業の組み合わせである。従って、本実施形態における連続動作時間には、回転電機54がモータとして作動する時間とジェネレータとして作動する時間が含まれている。ただし、動作算出装置610aは、回転電機54をジェネレータとして作動させてバッテリを充電することを考慮せずに、単純に回転電機54をモータとして作動できる時間だけを算出するようにしてもよい。
【0087】
以下、動作算出装置610aの構成についてさらに説明する。本実施形態でいう連続動作時間とは、回転電機54をモータ、あるいはジェネレータとして作動させながら繰り返し行うパターン化された一連の作業を、連続的に繰り返し可能な時間のことである。なお、当該一連の作業によっては回転電機54をジェネレータとして作動させることができない場合もありうる。動作算出装置610aは、このパターン化された一連の作業に要する作業時間を検出する計時部610a1を有し、この一連の作業で消費された消費電力量の積算値を取得する。
【0088】
動作算出装置610aは、取得した消費電力量の積算値を、バッテリ56の蓄電測定装置201から取得したバッテリ56の蓄電残量と比較することで、当該一連の作業を繰り返すことのできる繰返し回数を算出する。具体的には、バッテリ56の蓄電残量を消費電力量の積算値で除算すればよい。例えば、コンパクトトラックローダで土砂を搬送する作業の場合、土砂を持ち上げる作業では、制御部60がインバータ59を制御して、回転電機54をモータとして作動させてアシストを行う(第1動作)。一方、走行装置4が駆動して走行作業を行う場合、制御部60がインバータ59を制御して、回転電機54をジェネレータとして作動させて充電を行う(第2動作)。斯かる場合において、動作算出装置610aは、当該充電を考慮せずにバッテリ56の蓄電残量を消費電力量の積算値(消費電力量)で除算して一連の作業を繰り返せる繰返し回数を算出してもよい。また、動作算出装置610aは、充電も考慮して、当該蓄電残量を消費電力量と充電量の差で除算して一連の作業を繰り返せる繰返し回数を算出してもよい。
【0089】
その後、動作算出装置610aは、計時部610a1で検出した当該一連の作業に要する作業時間に、算出した繰返し回数を乗算して、当該一連の作業を連続的に繰り返すことのできる時間を算出する。動作算出装置610aは、この算出した時間を、連続動作時間として表示装置120へ出力する。
制御部60は、表示装置120と接続されている。表示装置120は、動作算出装置610aが算出した連続動作時間を、制御部60から取得して表示する装置である。表示装置120は、例えばキャビン5内に設けられており、運転席13の周囲など、作業機1のオペレータが容易に視認できる位置に配置されている。
【0090】
表示装置120は、動作算出装置610aが出力した連続動作時間を取得して表示する。作業機1のオペレータは、現在の一連の作業を継続できる時間を、表示装置120に表示された連続動作時間によって知ることができる。
上述の説明において、動作算出装置610aは、回転電機54をモータとして作動させたときの消費電力量と回転電機をジェネレータとして作動させたときの発電量(バッテリへの充電量)との差に基づいて、一連の作業で消費された消費電力量の積算値(モータ・ジェネレータの総負荷量)を取得した。しかし、動作算出装置610aは、当該一連の作業の開始時の蓄電残量(第1蓄電残量)と終了時の蓄電残量(第2蓄電残量)を比較することで両者の差分である差分蓄電残量を算出し、算出した差分蓄電残量を消費電力量の積算値(モータ・ジェネレータの総負荷量)として取得してもよい。
する。
【0091】
図11に示すように、動作算出装置610aは、一連の作業の開始と終了を指定する算出スイッチ160が接続されている。算出スイッチ160は、例えば、オルタネイト型スイッチで構成されている。このオルタネイト型スイッチである算出スイッチ160が押し下げ(ON)られたことを検出すると、制御部60は、計時部610a1による作業時間の計測を開始し、動作算出装置610aは、一連の作業が開始されたと判断して、充電量を差し引いた消費電力量の積算値(モータ・ジェネレータの総負荷量)の計測を開始する。
【0092】
オルタネイト型スイッチである算出スイッチ160の押し下げが解消(OFF)されると、制御部60は、計時部610a1による作業時間の計測を終了し、動作算出装置610aは、一連の作業が終了したと判断して、充電量を差し引いた消費電力量の積算値(モータ・ジェネレータの総負荷量)の計測を終了する。
制御部60及び動作算出装置610aは、このような計時部610a1による計測及び算出スイッチ160の操作を通して、一連の作業の作業時間と消費電力量の積算値(モータ・ジェネレータの総負荷量)とを得ることができる。ただし、一連の作業の作業時間と消費電力量の積算値を得るための算出スイッチ160はオルタネイト型スイッチに限らず、一連の作業の開始と終了を指定することができる構成を有していればよい。さらには、オルタネイト型スイッチのような物理スイッチに限らず、コンピュータソフトウェアで構成されたソフトスイッチであってもよい。ソフトスイッチは表示装置120に表示すればよい。
【0093】
このような算出スイッチ160の操作によって設定された作業時間が所定の時間(閾値)未満であって短い場合、一連の作業ごとに総負荷量にばらつきが生じる可能性がある。総負荷量にばらつきがあると、一連の作業ごとに、充電量、消費電力量、及び充電量を加味した消費電力量の積算値などにもばらつきが生じる。従って、算出した連続動作時間の精度を確保することができなくなる。
【0094】
そこで、動作算出装置610aは、算出スイッチ160の操作によって設定された作業時間が所定の時間(閾値)未満であったときは連続動作時間を算出せず、連続動作時間を算出できないことを、電力制御装置57又は表示装置120などに設けられたブザーなどの音声通知部170を鳴らすことでオペレータに通知する。このとき、動作算出装置610aは、前回算出された連続動作時間を更新せずに保持する。
【0095】
なお、所定の時間である閾値は、閾値記憶部610a2が記憶している。閾値記憶部610a2は、不揮発性のメモリ等であり、例えば制御装置57が有する記憶領域の一部である。また、閾値記憶部610a2が記憶している当該閾値は、閾値設定部610a3によって変更可能であってもよい。閾値設定部610a3は、制御部60(制御装置57)に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。閾値設定部610a3は、例えば表示装置120に閾値の設定を変更する設定変更画面を表示させ、当該設定変更画面に入力された情報に基づいて閾値の設定変更を行う。具体的には、閾値設定部610a3は、閾値記憶部610a2に記憶された閾値を、変更後の閾値で上書きして記憶させて、閾値の設定変更を行う。
【0096】
以下、
図12を参照し、連続動作時間の算出動作についてさらに説明する、
図12は、制御部60、動作算出装置610a、及び計時部610a1の動作のフローチャートを示す図である。
制御部60又は動作算出装置610aは、算出スイッチ(SW)160がONであるか否かを判断する(ステップS200)。
【0097】
算出スイッチ(SW)160がOFFである場合(ステップS200、No)、制御部60又は動作算出装置610aは、処理を後述するステップS220へ進める。
算出スイッチ(SW)160がONである場合(ステップS200、Yes)、計時部610a1は、作業時間の計測を開始し、動作算出装置610aは、上述の消費電力量の積算値の計測を開始する(ステップS210)。
【0098】
ステップS210の後、制御部60又は動作算出装置610aは、算出スイッチ(SW)160がONからOFFへ切り換えられたか否かを判断する(ステップS220)。
算出スイッチ(SW)160がOFFに切り換えられていない場合(ステップS220、No)、制御部60又は動作算出装置610aは、処理を最初(START)へ戻し、計時部610a1による作業時間の計測と、動作算出装置610aによる上述の消費電力量の積算値の計測を継続する。
【0099】
算出スイッチ(SW)160がONからOFFへ切り換えられた場合(ステップS220、Yes)、動作算出装置610aは、算出スイッチ(SW)がON状態であった時間(つまり、作業時間)及び消費電力量の積算値を取得し、取得した作業時間が所定時間(閾値)以上であるか否かを判断する(ステップS230)。
作業時間が所定時間(閾値)以上である場合(ステップS230、Yes)、動作算出装置610aは、取得した作業時間及び消費電力量の積算値とバッテリ56の蓄電残量とに基づいて連続動作時間を算出(決定)して、算出(決定)した連続動作時間を表示装置120へ出力する(ステップS240)。
【0100】
表示装置120は、動作算出装置610aが出力した連続動作時間を取得し、表示する(ステップS250)。ステップS250の後、制御部60、動作算出装置610a、及び計時部610a1の動作処理は終了する。
ステップS230において、作業時間が所定時間(閾値)未満であった場合(ステップS230、No)、動作算出装置610aは、新たな連続動作時間を算出(決定)せず、前回算出(決定)された連続動作時間(前回値)を更新しない(ステップS260)。
【0101】
ステップS260の後、動作算出装置610aは、制御装置57や表示装置120などに設けられたブザー(音声通知部170)などを鳴らして、新たな連続動作時間が算出(決定)されなかったことを報知(通知)する(ステップS270)。
ステップS270の後、動作算出装置610aは、新たな連続動作時間が算出(決定)されなかったことを表示する指示を表示装置120へ出力し、表示装置120は、新たな連続動作時間が算出(決定)されなかったことを表示する(ステップS250)。ステップS250の後、処理は終了する。
【0102】
以上に述べた本実施形態において、エンジン50のアイドリングが一定時間以上経過した場合(例えば、2分以上など)、制御部60又は動作算出装置610aは、作業を中断したと判断し、連続動作時間を無限大としてもよい。
また、アイドリング状態では、制御部60又は動作算出装置610aは、連続動作時間を、数字ではなく別の表記や記号に変えて表示してもよい。例えば、記号「--」や満充電までの時間等を表示してもよい。
【0103】
満充電までの時間を表示する場合は、連続動作時間との区別ができるように表示を工夫すべきである。例えば、満充電までの時間が10分間である場合は、記号と数字の組み合わせで「C10」などと表示し、連続動作時間は10分間である場合は、数字「10」などと表示すればよい。
表示装置120の表示を、連続動作時間を表示するモードからバッテリ56の充電状態を示す充電モードへ変更する条件は、例えば、アイドリングが一定時間以上続いたこととしてもよい。反対に、操作装置の操作を検知したことを、バッテリ56の充電状態を示す充電モードから連続動作時間を表示するモードへ変更する条件としてもよい。
【0104】
一旦連続動作時間を算出した後、作業内容が変更されたり、作業が進んでバッテリ56の残量が低下したりした場合、表示装置120に表示している連続動作時間が実態と乖離してしまう。これを防ぐため、動作算出装置610aは、オペレータが設定した作業時間ごとに作業の総負荷量を算出し、例えば、算出値の5回分の平均値と現在の蓄電残量から、連続動作時間を更新してもよい。この時の算出値の平均は、5回分の平均値に限らず、十分に大きい回数分の平均値を用いてもよい。
連続動作時間を更新するにあたっては、一次遅れ処理を実施するなどして、過渡的に負荷量が小さい又は大きいことによる算出時間の大きな変化を抑制するとよい。
本実施形態による動作算出装置610a、制御部60、及び表示装置120などを備える作業機1の構成を、以下のように記載することができる。
【0105】
作業機1は、エンジン50と、電力によりモータとして作動する第1動作とエンジンの動力によりジェネレータとして作動する第2動作とを行うことが可能なモータ・ジェネレータ54と、モータ・ジェネレータ54の第2動作によって発電した電力を蓄電可能なバッテリ56と、バッテリ56の蓄電残量を検出可能であるとともに、バッテリ56の蓄電残量の増減を検出可能である蓄電測定装置201と、モータ・ジェネレータ54の動作を制御する制御装置57であって、蓄電残量に基づいて、第1動作及び第2動作のいずれかでモータ・ジェネレータ54を動作させる制御装置57と、所定作業におけるモータ・ジェネレータ54の総負荷量と蓄電測定装置201が検出した蓄電残量とに基づいて、所定作業を繰り返すことのできる時間を連続動作時間として算出する動作算出装置610aと、動作算出装置610aが算出した連続動作時間を表示する表示装置120と、を備える。このとき、表示装置120に、モータ・ジェネレータ54を第2動作にて作動させてジェネレータとして用いて充電し、その充電も考慮して第1動作にて作動させることが可能な時間であるアシスト可能時間を算出して表示させてもよい。
【0106】
この構成によれば、モータ・ジェネレータ54がモータとして駆動可能な時間だけを表示するといって従来の技術とは異なる。従って、作業機1のオペレータは、モータ・ジェネレータ54のモータとしての駆動可能時間にとらわれず、モータ・ジェネレータ54のジェネレータとしての駆動も考慮に入れた所定作業の繰り返しをどのくらいの時間継続することができるのかについて容易に把握することができる。
【0107】
所定作業は、モータ・ジェネレータ54が第1動作及び第2動作のいずれかで動作する個別の動作をパターン化した一連の作業であり、動作算出装置610aは、当該パターン化された一連の作業を繰り返すことのできる時間を連続動作時間として算出する。
この構成によれば、動作算出装置610aは、比較的時間が短い個々の作業に応じて連続動作時間せず、比較的長時間である一連の作業に基づいて連続動作時間を算出するため、当該連続動作時間を精度よく算出することができる。
作業機1は、所定作業の開始と終了とを動作算出装置610aに通知する算出スイッチ160を有してもよい。
【0108】
この構成によれば、所定作業の開始と終了を、オペレータの任意の操作によって決定することができる。つまり、オペレータは、任意に所定作業を決定することができる。
動作算出装置610aは、算出スイッチ160が所定作業の開始を通知したときから所定作業の終了を通知したときまでのモータ・ジェネレータ54の総負荷量を検出してもよい。
この構成によれば、オペレータが任意に決定した所定作業におけるモータ・ジェネレータの総負荷量を検出することができる。
【0109】
動作算出装置610aは、算出スイッチ160が所定作業の開始を通知したときから所定作業の終了を通知したときまでの作業時間を検出する計時部610a1を有し、計時部610a1が検出した作業時間が閾値以上であるとき、モータ・ジェネレータ54の総負荷量を検出してもよい。
この構成によれば、所定作業に要する時間である作業時間を正確に検出することができる。これに加えて、作業時間が閾値以上であることを条件としてモータ・ジェネレータ54の総負荷量を検出するので、当該総負荷量が一定となりにくい、作業時間が閾値未満(短時間)の所定作業についての連続動作時間の算出を回避することができる。これによって、オペレータに誤った情報を表示することを避けることができる。
【0110】
動作算出装置610aは、作業時間を記憶し、計時部610a1が閾値以上の作業時間を新たに検出したときに、既に記憶している作業時間を新たに検出した作業時間に更新してもよい。
この構成によれば、作業時間が閾値以上であることを条件として、既に記憶している作業時間を新たな作業時間に更新するので、作業時間が閾値未満(短時間)の所定作業についての連続動作時間の算出を回避することができる。これによって、オペレータに誤った情報を表示することを避けることができる。
【0111】
動作算出装置610aは、計時部610a1が検出した作業時間に対する閾値を記憶する閾値記憶部610a2と、閾値記憶部610a2に記憶された閾値を変更可能な閾値設定部610a3と、を有していてもよい。
この構成によれば、オペレータは、閾値を任意に変更することができ、連続動作時間の算出制度をより向上させることができる。
【0112】
動作算出装置610aは、算出スイッチ160が所定作業の開始を通知したときの蓄電残量を第1蓄電残量として取得し、算出スイッチ160が所定作業の終了を通知したときの蓄電残量を第2蓄電残量として取得し、第1蓄電残量と第2蓄電残量の差分である差分蓄電残量を算出し、差分蓄電残量をモータ・ジェネレータ54の総負荷量として用いてもよい。
【0113】
この構成によれば、所定作業開始時の第1蓄電残量と所定作業終了時の第2蓄電残量に基づいてモータ・ジェネレータ54の総負荷量を算出するので、所定作業における、モータ・ジェネレータ54の消費電力量と発電量を合算した結果として差分蓄電残量を算出し、この差分蓄電残量をモータ・ジェネレータ54の総負荷量として用いることができる。
動作算出装置610aは、算出スイッチ160が所定作業の開始を通知したときから所定作業の終了を通知したときまでの作業時間を検出する計時部610a1を有し、計時部610a1が検出した作業時間が閾値以上であるとき、差分蓄電残量を算出してもよい。
【0114】
この構成によれば、所定作業に要する時間である作業時間を正確に検出することができる。これに加えて、作業時間が閾値以上であることを条件として差分蓄電残量を算出するので、モータ・ジェネレータ54の総負荷量が一定となりにくい、作業時間が閾値未満(短時間)の所定作業についての差分蓄電残量の算出を回避することができる。これによって、オペレータに誤った情報を表示することを避けることができる。
動作算出装置610aは、作業時間を記憶し、計時部610a1が閾値以上の作業時間を新たに検出したときに、既に記憶している作業時間を新たに検出した作業時間に更新してもよい。
【0115】
この構成によれば、作業時間が閾値以上であることを条件として、既に記憶している作業時間を新たな作業時間に更新するので、作業時間が閾値未満(短時間)の所定作業についての差分蓄電残量の算出を回避することができる。これによって、オペレータに誤った情報を表示することを避けることができる。
動作算出装置610aは、計時部610a1が検出した作業時間が閾値未満であるときに、作業時間が閾値未満であることを示す通知信号を表示装置120へ出力し、制御装置57又は表示装置120は、通知信号を受信すると音声を発する音声通知部170を有していてもよい。
【0116】
この構成によれば、所定作業の作業時間が閾値未満であることをオペレータへ通知することができる。この通知によって、オペレータは、検出しようとした所定作業における総負荷量の検出ができなかったことを知ることができる。
モータ・ジェネレータ54の総負荷量は、所定作業における、モータ・ジェネレータ54の第1動作による消費電力量と第2動作による発電量との差であってもよい。
【0117】
この構成によれば、モータ・ジェネレータ54の第1動作による消費電力量と第2動作による発電量との差をモータ・ジェネレータ54の総負荷量に採用することで、モータ・ジェネレータ54の総負荷量を正確に取得することができる。モータ・ジェネレータ54の総負荷量が正確であれば、正確な連続動作時間を算出することができる。
算出スイッチ160は、オルタネイト型スイッチであってもよい。
この構成によれば、算出スイッチ160を非常に容易に構成することができるとともに、算出スイッチ160の操作も容易となる。
【0118】
(第3実施形態)
図13~
図17を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成要素と同様の構成要素については、第1実施形態及び第2実施形態で用いた参照符号を付してその説明を省略する。
本実施形態による電力制御装置(制御装置)57は、制御部60からの指示によって、モータ・ジェネレータ54を、モータとして作動させる第1動作と、エンジン50の動力によりジェネレータとして作動させる第2動作とを実行可能な装置である。さらに、電力制御装置57は、制御部60からの指示によって、モータ・ジェネレータ54の出力に対して設定される出力上限値を変更することができる。電力制御装置57は、制御部60からの指示によって、モータ・ジェネレータ54の出力が出力上限値を超えないようにインバータ59を制御する。
【0119】
図13を参照して、モータ・ジェネレータ54の出力上限値を変更する構成について説明する。
図13は、本実施形態による切替スイッチ130、駆動算出装置110b、及び上限設定装置150を有する回転電機の制御ブロック図である。
本実施形態による制御部60は、駆動算出装置110b及び上限設定装置150を備える。切替スイッチ130は、制御部60に接続されている。
【0120】
図14を参照しながら、上限設定装置150の構成について説明する。
図14は、モータ・ジェネレータ54のモータ出力と電力消費量との関係を表すテーブルを示す図である。以下の説明において、
図14に示すテーブルを駆動時間テーブルということがある。
図14に示すテーブルにおいて、最も左側の欄にはモータ出力の区分が示されている。表示「<0kW」は、モータ・ジェネレータ54がジェネレータとして第2動作を行うことを表している。表示「0~8kW」は、モータ・ジェネレータ54がモータとして、0~8kWの出力で第1動作を行うことを表している。その後、
図14は、1kW刻みで、表示「8~9kW」、「9~10kW」~「15~16kW」まで、モータ出力の段階を示している。
【0121】
モータ出力の欄の右隣の欄には、モータ・ジェネレータ54の「1分間(min)当たりの消費[A・h]」として、各モータ出力の段階に対応する電力消費量が示されている。例えば、モータ出力の段階が「0~8kW」のときは、「1分間(min)当たりの消費[A・h]」が0.081[A・h]であり、モータ出力の段階が「11~12kW」のときは、「1分間(min)当たりの消費[A・h]」が0.029[A・h]である。
【0122】
「1分間(min)当たりの消費[A・h]」欄の右隣の欄には、「13kW上限とした場合」として、モータ・ジェネレータ54の出力上限値を13kWに設定したときの、モータ・ジェネレータ54の電力消費量が示されている。
ここで、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、回転電機(モータ・ジェネレータ)54をモータとして作動させながら繰り返し行う、パターン化された一連の作業で消費される消費電力量の積算値に基づいて、モータ・ジェネレータ54の連続駆動時間(モータ連続アシスト時間)を求める。
【0123】
図14に示すように、「13kW上限とした場合」の欄において、表示「<0kW」~「11~12kW」までは「1分間(min)当たりの消費[A・h]」欄の数値と同じである。しかし、出力上限値に相当する表示「12~13kW」では、「1分間(min)当たりの消費[A・h]」欄の数値「0.035」とは異なる数値である「0.469」が示されている。
【0124】
図14において、出力上限値に相当する表示に対応して示される数値は、パターン化された一連の作業で消費される消費電力量の積算値である。「12kW上限とした場合」では、出力上限値に相当する表示「11~12kW」で数値「0.462」が示され、「11kW上限とした場合」では、出力上限値に相当する表示「11~12kW」で数値「0.462」が示されている。
【0125】
さらに、
図14では、最下欄にモータ・ジェネレータ54の連続駆動時間として「モータ連続アシスト時間[min]」が示されている。この「モータ連続アシスト時間[min]」は、上述した各出力上限値に示された一連の作業で消費される消費電力量の積算値と、バッテリ56の蓄電測定装置201から取得したバッテリ56の蓄電残量とに基づいて求められた値である。この連続駆動時間の算出は、第2実施形態で説明した駆動算出装置110aと同様の方法で、駆動算出装置110bが行ってもよい。
【0126】
消費電力量の積算値と蓄電残量に基づく連続駆動時間である「モータ連続アシスト時間[min]」の求め方は、第2実施形態で述べた連続駆動時間を求める方法と同じである。本実施形態による上限設定装置150は、パターン化された一連の作業で消費される消費電力量の積算値を各出力上限値ごとに予め記憶しておく。その上で、オペレータからの指示などがあれば、蓄電測定装置201からバッテリ56の蓄電残量を取得して、各出力上限値ごとの連続駆動時間である「モータ連続アシスト時間[min]」を求める。
【0127】
この結果、上限設定装置150は、
図14に示す連続駆動時間を表すテーブルを保持する。
図14において、出力上限値が13kWである場合、連続駆動時間は66分間であり、出力上限値が12kWである場合、連続駆動時間は74分間であり、出力上限値が11kWである場合、連続駆動時間は85分間である。出力上限値を低下させると、一連の作業で消費される消費電力量の積算値が低下し、結果、連続駆動時間は長くなる。
【0128】
このような出力上限値の設定は、1kW刻みでなくてもよい。0.5kW刻みであっても、0.25kW刻みであってもよい。
図14に示すテーブルにおいて、出力上限値の設定を0.5kW刻みにすれば、最も左側の欄のモータ出力の区分も0.5kW刻みで表示してテーブルを作成すればよい。同じく、出力上限値の設定を0.25kW刻みにすれば、最も左側の欄のモータ出力の区分も0.25kW刻みで表示してテーブルを作成すればよい。出力上限値の設定を、さらに小さな単位で設定すれば、限りなく無段階で連続駆動時間を得ることができる。反対に、出力上限値の設定を、1kWよりも大きな単位で設定すれば、2段階や3段階といった簡素な構成で連続駆動時間を得ることができる。
【0129】
そこで、
図13を参照して、出力上限値の設定について説明する。ここでは、駆動算出装置110bが、例えば
図14に示すような、出力上限値ごとの連続駆動時間を示すテーブルを有していることを前提とする。
切替スイッチ130は、出力上限値を指定して、指定した出力上限値を制御装置57(つまり、制御部60)へ出力するものである。切替スイッチ130は、例えば、複数の接点を持つ有段の切替スイッチや、有段階又は無段階の可変抵抗器で構成されている。しかし、切替スイッチ130は、コンピュータプログラムなどのソフトウェアで構成されていてもよい。
【0130】
切替スイッチ130が有段階のスイッチである場合も、無段階のスイッチである場合も、制御部60は、切替スイッチ130が出力する電流値又は電圧値を、出力上限値を指定する出力上限指定信号として受信する。制御部60は、受信した出力上限指定信号に従って、出力上限値を超えないようにインバータ59を制御する。
さらに、制御部60は、受信した出力上限指定信号が示す出力上限値を、上限設定装置150に通知する。出力上限値を受け取った上限設定装置150は、
図14に示すテーブルを参照して、受け取った出力上限値に対応するモータ連続アシスト時間(つまり、連続駆動時間)を取得する。上限設定装置150は、取得した連続駆動時間を、例えば、作業機1の表示装置120等に表示して、連続駆動時間をオペレータに通知する。
【0131】
図16を参照して、第3実施形態における回転電機54等の制御フローを説明する。
まず、オペレータが切替スイッチ(SW)130を操作すると(ステップS300)、当該切替スイッチ(SW)130が、オペレータによって指定された出力上限値を制御装置57に出力する(ステップS310)。切替スイッチ(SW)130が出力上限値を出力すると(ステップS310)、上限設定装置150は、ステップS310で切替スイッチ(SW)130から入力された出力上限値を受け付ける(ステップS320)。
【0132】
上限設定装置150は、出力上限値の入力を受け付けると(ステップS320)、当該出力上限値と
図14のテーブルに示す連続駆動時間との関係を参照する(ステップS330)。上限設定装置150は、
図14のテーブルを参照すると(ステップS330)、当該テーブルからステップS320で受け付けた出力上限値に対応する連続駆動時間を抽出する(ステップS340)。
【0133】
上限設定装置150が、連続駆動時間を抽出すると(ステップS340)、制御部60は、当該連続駆動時間を表示装置120等に表示させる(ステップS350)。また、制御部60は、モータ・ジェネレータ54の出力が、出力上限値を超えないようにインバータ59を制御する(ステップS360)。
なお、本実施形態において、オペレータが操作装置の操作レバーなどを意図的に緩やかに操作するなどして出力上限を抑制した場合、制御装置57(つまり、制御部60)は、操作レバーを緩やかに操作したときの出力を出力上限値として決定し採用してもよい。制御装置57(つまり、制御部60)が出力上限値を決定した後は、上述の構成で連続駆動時間をオペレータに通知することができる。
【0134】
(変形例)
以下に、
図14,
図15,及び
図17を参照して、第3実施形態の変形例について説明する。第3実施形態では、
図14に示す出力上限値と連続駆動時間の関係を用いて、出力上限値を指定する構成について説明した。しかし、
図14に示す関係を用いれば、連続駆動時間を指定することで、出力上限値を決定することができる。オペレータにとっては、連続駆動時間を指定する方が出力上限値を指定するよりも利便性が高い場合がある。
【0135】
図15を用いて、第3実施形態の変形例(連続駆動時間を指定することで出力上限値を指定する構成)について説明する。
図15は、本変形例による駆動時間指定スイッチ140、駆動算出装置110b、及び上限設定装置150を有する回転電機の制御ブロック図である。
駆動時間指定スイッチ140は、オペレータが所望する連続駆動時間を指定して、当該指定した連続駆動時間を上限設定装置150へ出力するものである。駆動時間指定スイッチ140は、第3実施形態による切替スイッチ130と同様の構成であってもよく、コンピュータプログラムなどのソフトウェアで構成されていてもよい。
【0136】
図17を参照して、第3実施形態の本変形例による回転電機54等の制御フローを説明する。
まず、オペレータが駆動時間指定スイッチ(SW)140を操作すると(ステップS400)、当該駆動時間指定スイッチ(SW)140が、オペレータによって指定された連続駆動時間を出力する(ステップS410)。駆動時間指定スイッチ(SW)140が連続駆動時間を出力すると(ステップS410)、上限設定装置150は、ステップS410で駆動時間指定スイッチ(SW)140から入力された連続駆動時間を受け付ける(ステップS420)。
【0137】
上限設定装置150は、連続駆動時間の入力を受け付けると(ステップS420)、当該連続駆動時間と
図14のテーブルに示す出力上限値との関係を参照する(ステップS430)。上限設定装置150は、
図14のテーブルを参照すると(ステップS430)、当該テーブルからステップS420で受け付けた連続駆動時間に対応する出力上限値を抽出する(ステップS440)。
【0138】
上限設定装置150が出力上限値を抽出すると(ステップS440)、制御部60は、抽出された出力上限値を参照し、モータ・ジェネレータ54の出力が当該出力上限値を超えないように、インバータ59を制御する(ステップS450)。これによって、オペレータは、所望する連続駆動時間を設定するだけで、モータ・ジェネレータの出力上限値を設定することができる。
第3実施形態及び変形例による駆動算出装置110b、制御部60、表示装置120、切替スイッチ130、駆動時間指定スイッチ140、及び上限設定装置150の構成を、以下のように記載することができる。
【0139】
作業機1は、エンジン50と、電力によりモータとして作動する第1動作とエンジン50の動力によりジェネレータとして作動する第2動作とを行うことが可能なモータ・ジェネレータ54と、モータ・ジェネレータ54の第2動作によって発電した電力を蓄電可能なバッテリ56と、バッテリ56の蓄電残量を検出可能であるとともに、バッテリ56の蓄電残量の増減を検出可能である蓄電測定装置201と、モータ・ジェネレータ54の回転速度を制御するインバータと、第1動作及び前記第2動作のいずれかでモータ・ジェネレータ54を動作させる制御装置57であって、モータ・ジェネレータ54の出力に対して設定される出力上限値を変更可能であり、出力上限値を超えないようにインバータ59を制御する制御装置57と、を備える。
【0140】
この構成によれば、モータ・ジェネレータ54の出力に出力上限値を設けるとともに、当該出力上限値を変更することで、モータ・ジェネレータ54をモータとして動作させることができる時間を変更することができる。
作業機1は、出力上限値を定めるとともに、出力上限値を制御装置57へ出力する切替スイッチ130を備えてもよい。制御装置57は、切替スイッチ130から出力された出力上限値を取得してもよい。
【0141】
この構成によれば、切替スイッチ130によって、非常に簡便にモータ・ジェネレータ54の出力上限値を指定することができる。
切替スイッチ130は、可変抵抗器で構成されていてもよい。
この構成によれば、電気的な方法で直接的にモータ・ジェネレータ54の出力上限値を指定することができる。
【0142】
作業機1は、所定作業におけるモータ・ジェネレータ54の総負荷量と蓄電測定装置201が検出した蓄電残量とに基づいて、モータ・ジェネレータ54を第1動作にて作動させることが可能な時間であるアシスト可能時間を算出する駆動算出装置110bを備えてもよい。
この構成によれば、モータ・ジェネレータ54の総負荷量に基づいてアシスト可能時間を算出するので、非常に正確にアシスト可能時間を求めることができる。
【0143】
作業機1は、切替スイッチ130が定めた出力上限値を表示する表示装置を備えてもよい。
この構成によれば、オペレータは、自らが切替スイッチ130を用いて定めた出力上限値を表示装置によって確認することができる。
作業機1は、所定作業におけるモータ・ジェネレータ54の総負荷量と蓄電測定装置201が検出した蓄電残量とに基づいて、モータ・ジェネレータ54を第1動作にて作動させることが可能な時間であるアシスト可能時間を算出する駆動算出装置110bと、予め定められた所定作業時間とアシスト可能時間とに基づいて出力上限値を定めるとともに、出力上限値を制御装置57へ出力する上限設定装置150と、を備える。
【0144】
この構成によれば、モータ・ジェネレータ54の出力上限値を、オペレータが所望する所定作業時間とアシスト可能時間に基づいて定めることができる。この出力上限値の設定によって、オペレータが所望する所定作業時間にわたって、モータ・ジェネレータ54によるアシストを継続することができる。
上限設定装置150は、連続駆動時間であるアシスト可能時間と、モータ・ジェネレータ54の出力値と、モータ・ジェネレータ54の出力上限値との間の関係を表す駆動時間テーブルを有し、駆動時間テーブルから、所定作業時間を超えてかつ最も近いアシスト可能時間に対応する出力上限値を抽出し、抽出した出力上限値を制御装置57へ出力してもよい。制御装置57は、上限設定装置150から出力された出力上限値を取得してもよい。
【0145】
この構成によれば、駆動時間テーブルに基づいて、簡便かつ適切にモータ・ジェネレータ54の出力上限値を定めることができる。この出力上限値の設定によって、オペレータが所望する所定作業時間にわたって、モータ・ジェネレータ54によるアシストを継続することができる。
作業機1は、駆動算出装置110bが算出したアシスト可能時間を表示する表示装置を備えてもよい。
【0146】
この構成によれば、オペレータは、駆動算出装置110bが算出したアシスト可能時間を表示装置によって直接的に確認することができる。
作業機1は、上限設定装置150が出力した出力上限値を表示する表示装置を備えてもよい。
この構成によれば、オペレータは、上限設定装置150が出力した出力上限値を表示装置によって直接的に確認することができる。
【0147】
以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0148】
1 作業機
50 エンジン
54 モータ・ジェネレータ
56 バッテリ
57 電力制御装置(制御装置)
120 表示装置
160 算出スイッチ
170 音声通知部
201 蓄電測定装置
610a 動作算出装置
610a1 計時部
610a2 閾値記憶部
610a3 閾値設定部