(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】視野角制御フィルムを有するディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20250210BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G02F1/1335
(21)【出願番号】P 2021209155
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2021-12-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0185604
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨンテ
(72)【発明者】
【氏名】オ, スンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ウンジン
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】波多江 進
【審判官】後藤 孝平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0209702(US,A1)
【文献】特開2006-313360(JP,A)
【文献】特開2008-026861(JP,A)
【文献】特開2007-256330(JP,A)
【文献】特開2009-25472(JP,A)
【文献】特開2008-107404(JP,A)
【文献】特開2008-185964(JP,A)
【文献】特開2015-114582(JP,A)
【文献】特開2005-112291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00 - 37/06
B60R 9/00 - 11/06
G02F 1/1335
G02F 1/13363
G02F 1/15 - 1/19
G09F 9/00 - 9/46
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/00 - 33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネル、および
前記ディスプレイパネル上に配置された視野角制御フィルムを含み、
前記視野角制御フィルムが、
視野角制御モードにおいて、前記ディスプレイパネルの正面方向を除く側面方向に進行する光を遮断する複数の遮光パターンを含み、
前記複数の遮光パターンそれぞれは、互いに平行であって、且つ水平方向に、
前記ディスプレイパネルのピクセルの水平方向の幅の8~25%の範囲の厚さと、
前記ピクセルの水平方向の幅の33~39%の範囲の間隔
を有しており、且つ、
前記複数の遮光パターンそれぞれは、水平方向に対して95~105度又は75~85度の範囲の傾斜角度を有する方向に延伸
しており、
前記視野角制御フィルムが、
第1透明電極が配置された第1基板、
第2透明電極が配置された第2基板、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置され、前記複数の遮光パターンが配置される溝部を備えた透明絶縁層を含み、
前記第1透明電極及び前記第2透明電極に印加される駆動電圧によって、前記複数の遮光パターンそれぞれの遮光高さが、前記視野角制御モードと視野角非制御モードに変化し、
前記視野角制御モードにおいて、前記視野角制御フィルムは前記ディスプレイパネルから放出される光を正面方向に透過させ、かつ左右の側面方向に進行する光は前記遮光パターンによって遮断され、
前記視野角非制御モードにおいて、前記視野角制御フィルムは前記ディスプレイパネルから放出される光を正面方向および左右の側面方向に透過させ、
前記視野角制御モードが適用される視聴者の位置を考慮して、前記ディスプレイパネル上での位置によって、前記複数の遮光パターンの厚さ、間隔、高さのうち少なくとも一つが水平方向にみると左右で異なるように設定される、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記視野角制御フィルムにおいて、
前記視聴者との距離が近い第1位置に位置する第1遮光パターンの第1間隔よりも、前記視聴者との距離が前記第1位置よりも遠い第2位置に位置する第2遮光パターンの第2間隔が広く設定され、
前記第1遮光パターンと前記第2遮光パターンの厚さが同一であり、
前記第1遮光パターンと前記第2遮光パターンの高さが同じである、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記視野角制御フィルムにおいて、
前記視聴者との距離が近い第1位置に位置する第1遮光パターンの第1厚さよりも、前記視聴者との距離が前記第1位置よりも遠い第2位置に位置する第2遮光パターンの第2厚さが薄く設定され、
第1遮光パターン間の第1間隔よりも、前記第2遮光パターン間の第2間隔が広く設定され、
前記第1遮光パターンと前記第2遮光パターンの高さが同じである、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記視野角制御フィルムにおいて、
前記視聴者との距離が近い第1位置に位置する第1遮光パターンの第1高さよりも、前記視聴者との距離が前記第1位置よりも遠い第2位置に位置する第2遮光パターンの第2高さが低く設定され、
前記第1遮光パターンと前記第2遮光パターンの厚さが同一であり、
前記第1遮光パターン間の間隔と前記第2遮光パターン間の間隔が同じである、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記視野角制御フィルムにおいて、
前記視聴者との距離が近い第1位置に位置する第1遮光パターンの第1厚さよりも、前記視聴者との距離が前記第1位置よりも遠い第2位置に位置する第2遮光パターンの第2厚さが薄く設定され、
第1遮光パターン間の第1間隔よりも、前記第2遮光パターン間の第2間隔が広く設定され、
前記第1遮光パターンの第1高さよりも、前記第2遮光パターンの第2高さが低く設定される、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1遮光パターン間の第1間隔が、前記視聴者と前記ディスプレイパネルとの垂直距離と、前記視聴者と前記ディスプレイパネルの前記第1位置との第1水平距離と、前記第1遮光パターンの高さとを適用して設定され、
前記第2遮光パターン間の第2間隔は、前記視聴者と前記ディスプレイパネルとの垂直距離と、前記視聴者と前記ディスプレイパネルの前記第2位置との第2水平距離と、前記第2遮光パターンの高さとを適用して設定される、請求項
2、
3および
5のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第1遮光パターンの第1厚さが、前記第1遮光パターン間の第1間隔に従って設定され、
前記第2遮光パターンの第2厚さが、前記第2遮光パターン間の第2間隔に従って設定される、請求項
3または5に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第1遮光パターンの第1高さが、前記視聴者と前記ディスプレイパネルとの垂直距離と、前記視聴者と前記ディスプレイパネルの前記第1位置との第1水平距離と、前記第1遮光パターン間の間隔とを適用して設定され、
前記第2遮光パターンの第2高さは、前記視聴者と前記ディスプレイパネルとの垂直距離と、前記視聴者と前記ディスプレイパネルの前記第2位置との第2水平距離と、前記第2遮光パターン間の間隔とを適用して設定される、請求項
4または5に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記視野角制御フィルムにおいて、前記視聴者と前記遮光パターンの距離が遠くなるほど、前記遮光パターン間の間隔が漸進的に増加する、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記視野角制御フィルムにおいて、前記視聴者と前記遮光パターンの距離が遠くなるほど、前記遮光パターン間の間隔が漸進的に増加し、前記遮光パターンの厚さが漸進的に減少する、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記視野角制御フィルムにおいて、前記視聴者と前記遮光パターンの距離が遠くなるほど、前記遮光パターンの高さが漸進的に減少する、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記視野角制御フィルムにおいて、前記視聴者と前記遮光パターンの距離が遠くなるほど、前記遮光パターン間の間隔が漸進的に増加し、前記遮光パターンの厚さが漸進的に減少し、前記遮光パターンの高さが漸進的に減少する、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記視聴者と前記遮光パターンの距離によって増加する前記遮光パターン間の間隔が、前記ピクセルの水平方向の幅の33~39%の範囲の間隔に制限するしきい値以内に設定される、請求項
9、
10および
12のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記ディスプレイパネルの位置によって異なる前記複数の遮光パターン間の間隔による前記視野角制御フィルムの透過率偏差が、前記ディスプレイパネルの輝度調節を介して補償される、請求項
1に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、パネルと視野角制御フィルムの干渉現象を低減し、不要な視野角の光を効果的に遮断することができる視野角制御フィルムを有するディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に装着されているディスプレイデバイスの中で助手席の前に配置されるディスプレイ装置は、助手席の使用者には必要な映像を提供するが、自動車の運行時に運転者に邪魔にならないように運転者側に放出される光を遮断する視野角制御フィルムを備える。
【0003】
ディスプレイパネル上に配置される視野角制御フィルムは、視野角制御のための遮光パターンを備えることにより、ディスプレイパネルのピクセル構造と視野角制御フィルムの遮光パターン間の干渉現象であるモアレアーチファクト(Moire Artifact)が発生して、ディスプレイの性能が低下するため、モアレアーチファクトを低減することができる方案が求められる。
【0004】
さらに、視野角制御フィルムは、運転者側に向かう不要な視野角の光を効果的に遮断できる方案が求められる。
【0005】
上述した背景技術の内容は、本明細書の発明者が本明細書の例を導出するために保有していたか、本明細書の例を導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本明細書の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとすることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書は、パネルと視野角制御フィルムの干渉現象を低減し、不要な視野角を効果的に遮断することができる視野角制御フィルムを有するディスプレイ装置を提供する。
【0007】
本明細書の例による解決しようとする課題は、上で言及した課題に限定されず、言及していないまた他の課題は、下記の記載内容から、本明細書の技術思想が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一例によるディスプレイ装置は、ディスプレイパネル、およびディスプレイパネル上に配置された視野角制御フィルムを含み、視野角制御フィルムは、視野角制御モードでディスプレイパネルの正面方向を除く側面方向に進行する光を遮断する複数の遮光パターンを含み、複数の遮光パターンのそれぞれは、ディスプレイパネルのピクセルサイズの8~25%の範囲の厚さと、ピクセルサイズの33~39%の範囲の間隔を有し、遮光パターンの傾斜角度は、90度を基準に±5度~15度の範囲の角度を有することができる。
【0009】
視野角制御フィルムは、第1透明電極が配置された第1基板、第2透明電極が配置された第2基板、第1基板および第2基板の間に配置され、複数の遮光パターンが配置される溝部を備える透明絶縁層を含み、第1透明電極および第2透明電極に印加される駆動電圧によって、複数の遮光パターンそれぞれの遮光高さが視野角制御モードと、視野角非制御モードに変化することができる。
【0010】
視野角制御フィルムは、ディスプレイパネルの側面方向に位置し、視野角制御モードが適用される視聴者の位置を考慮して、ディスプレイパネル上での位置によって、複数の遮光パターンの厚さ、間隔、高さのうちの少なくとも一つが異なるように設定することができる。
【0011】
視野角制御フィルムにおいて、視聴者との距離が近い第1位置に位置する第1遮光パターンの第1間隔よりも、視聴者との距離が第1位置よりも遠い第2位置に位置する第2遮光パターンの第2間隔が広く設定され、第1遮光パターンと第2遮光パターンの厚さが同一であり、第1遮光パターンと第2遮光パターンの高さが同じであり得る。
【0012】
視野角制御フィルムにおいて、視聴者との距離が近い第1位置に位置する第1遮光パターンの第1厚さよりも、視聴者との距離が第1位置よりも遠い第2位置に位置する第2遮光パターンの第2厚さが薄く設定され、第1遮光パターン間の第1間隔よりも、第2遮光パターン間の第2間隔が広く設定され、第1遮光パターンと第2遮光パターンの高さが同じであり得る。
【0013】
視野角制御フィルムにおいて、視聴者との距離が近い第1位置に位置する第1遮光パターンの第1高さよりも、視聴者との距離が前記第1位置よりも遠い第2位置に位置する第2遮光パターンの第2高さが低く設定され、第1遮光パターンと第2遮光パターンの厚さが同一であり、第1遮光パターン間の間隔と第2遮光パターン間の間隔が同じであり得る。
【0014】
視野角制御フィルムにおいて、視聴者との距離が近い第1位置に位置する第1遮光パターンの第1厚さよりも、視聴者との距離が前記第1位置よりも遠い第2位置に位置する第2遮光パターンの第2厚さが薄く設定され、第1遮光パターンとの第1間隔よりも、第2遮光パターン間の第2間隔が広く設定され、第1遮光パターンの第1高さよりも、第2遮光パターンの第2高さを低く設定することができる。
【0015】
視野角制御フィルムにおいて、視聴者と前記遮光パターンとの距離が遠くなるほど遮光パターン間の間隔が漸進的に増加することができる。
【0016】
視野角制御フィルムにおいて、視聴者と前記遮光パターンとの距離が遠くなるほど遮光パターン間の間隔が漸進的に増加し、遮光パターンの厚さが、漸進的に減少することができる。
【0017】
視野角制御フィルムにおいて、視聴者と前記遮光パターンとの距離が遠くなるほど遮光パターンの高さが漸進的に減少することができる。
【0018】
視野角制御フィルムにおいて、視聴者と遮光パターンとの距離が遠くなるほど遮光パターン間の間隔が漸進的に増加し、遮光パターンの厚さが漸進的に減少し、遮光パターンの高さが漸進的に減少することができる。
【0019】
視聴者と遮光パターンとの距離によって増加する遮光パターン間の間隔は、ピクセルサイズの33~39%の範囲の間隔に制限するしきい値以内に設定することができる。
【0020】
視野角制御フィルムにおいて、ディスプレイパネルの位置によって異なる複数の遮光パターン間の間隔による視野角制御フィルムの透過率偏差は、ディスプレイパネルの輝度調節を介して補償することができる。
【0021】
上で言及した課題の解決手段以外の本明細書の様々な形態に係る具体的な事項は、以下の記載内容及び図に含まれている。
【発明の効果】
【0022】
本明細書の一例によるディスプレイ装置は、視野角制御フィルムが、モアレアーチファクトを最小限に抑えるために導出された遮光パターンの厚さの範囲、角度の範囲、間隔の範囲を有することで、ディスプレイパネルのピクセルの形状および大きさの影響を受けず、モアレアーチファクトを最小限に抑え、ディスプレイの性能を向上させることができる。
【0023】
本明細書の一例によるディスプレイ装置は、視野角制御フィルムが、運転者との距離が異なるディスプレイパネル上の位置によって、遮光パターンの間隔、厚さ、高さのうちの少なくとも一つに差異を適用することにより、運転者に向かう視野角の不要な光を効果的に遮断しながらも、助手席の視聴者に提供する映像の輝度を向上させたり、視野角制御フィルムの製造コストを削減することができる。
【0024】
本明細書の一例によるディスプレイ装置は、視野角制御フィルムにおいて遮光パターンの間隔、厚さのうちの少なくとも一つに対する差異の適用による位置別の輝度偏差をディスプレイパネルの輝度調節を介して補償することにより、均一な輝度を提供して、ディスプレイの性能を向上させることができ、輝度を向上させたり、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施例に係る視野角制御フィルムを有するディスプレイ装置の構成を概略的に示した図である。
【
図2】一実施例に係る視野角制御フィルムの構成を示した立体図である。
【
図3】一実施例に係る視野角制御フィルムの上面図である。
【
図4A】一実施例に係る視野角制御フィルムの視野角制御モードと視野角非制御モードの動作状態の図である。
【
図4B】一実施例に係る視野角制御フィルムの視野角制御モードと視野角非制御モードの動作状態の図である。
【
図5A】一実施例に係る視野角制御フィルムの視野角制御モードと視野角非制御モードの動作状態の図である。
【
図5B】一実施例に係る視野角制御フィルムの視野角制御モードと視野角非制御モードの動作状態の図である。
【
図6】関連技術によるディスプレイ装置のモアレアーチファクト現象を示した図である。
【
図7】一実施例に係る視野角制御フィルムの設計範囲の導出方法を示したフローチャートである。
【
図8A】一実施例に係る視野角制御フィルムで遮光パターンの設計変数を示す図である。
【
図8B】一実施例に係る視野角制御フィルムで遮光パターンの設計変数を示す図である。
【
図9A】一実施例に係る視野角制御フィルムのターゲット設計範囲を示した図である。
【
図9B】一実施例に係る視野角制御フィルムのターゲット設計範囲を示した図である。
【
図9C】一実施例に係る視野角制御フィルムのターゲット設計範囲を示した図である。
【
図10】一実施例に係る視野角制御フィルムを有するディスプレイ装置のピクセルサイズと形状変化によるモアレレベルを示した図である。
【
図11】一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターンの間隔の差異適用を示した図である。
【
図12】一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターンの厚さの差異適用を示した図である。
【
図13A】一実施例に係る視野角制御フィルムで遮光パターンの間隔の調整範囲を示した図である。
【
図13B】一実施例に係る視野角制御フィルムで遮光パターンの間隔の調整範囲を示した図である。
【
図14】一実施例による視野角制御フィルムの遮光パターンの高さの差異適用を示した図である。
【
図15】一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターンの間隔、厚さ、および高さの差異適用を示した図である。
【
図16】一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターン間隔の差異適用による輝度偏差を補償する方法を示した図である。
【
図17】一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターン間隔の差異適用による輝度偏差を補償する方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書の利点と特徴、そしてそれらを達成する方法は添付の図と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本明細書は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、異なる多様な形態で実現されるものであり、単に本実施例は、本明細書の開示を完全にし、本明細書が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本明細書は、請求項の範疇によってのみ定義される。
【0027】
本明細書の実施例を説明するため、図に示した形状、大きさ、比率、角度、個数などは、例示的なものであって、本明細書が図に示した事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって同一参照符号は同一の構成要素を指す。また、本明細書を説明するにおいて、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすると判断された場合、その詳細な説明は省略する。本明細書で言及した「含む」、「有する」、「からなる」などが使用されている場合、「~だけ」が使用されていない限り、他の部分を追加することができる。構成要素を単数で表現した場合に特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0028】
構成要素を解釈するに当たり、別途の明示的な記載がなくても誤差の範囲を含むものと解釈する。
【0029】
位置関係についての説明である場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」などで2つの部分の位置関係が説明されている場合、「すぐに」または「直接」が使用されていない限り、二つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することもできる
【0030】
時間の関係についての説明である場合、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などで時間的前後関係が説明されている場合、「すぐに」または「直接」が使用されていない以上、連続的でない場合も含むことができる。
【0031】
第1、第2などが多様な構成要素を記述するために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されない。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であることもあり得る。
【0032】
本明細書の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、a、bなどの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのもので、その用語によって、その構成要素の本質、順序、順番または個数などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」「結合」または「接続」と記載されている場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接に連結するか、または接続することができるが、特に明示的な記載事項がない間接的に連結、または接続することができる各構成要素間に他の構成要素が「介在」することもできると理解されなければならない。
【0033】
「少なくとも1つ」の用語は、1つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されなければならない。例えば、「第1、第2、および第3構成要素の少なくとも1つ」の意味は、第1、第2、または第3構成要素だけではなく、第1、第2、および第3構成要素の中から二つ以上のすべての構成要素の組み合わせを含むとすることができる。
【0034】
本明細書のいくつかの実施例のそれぞれの特徴が部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能で、技術的に多様な連動および駆動が可能であり、各実施例を互いに対して独立的に実施することもでき、関連の関係で一緒に実施することもできる。
【0035】
以下、添付した図及び実施例を介して本明細書の実施例を詳しく見ると、次の通りである。図に示した構成要素のスケールは、説明の便宜上、実際と異なるスケールを有するので、図に示したスケールに限定されない。
【0036】
図1は、一実施例に係る視野角制御フィルムを有するディスプレイ装置の構成を概略的に示した図であり、
図2および
図3は、一実施例に係る視野角制御フィルムを示した立体図および上面図であり、
図4A,4B,5A,5Bは、一実施の他視野角制御フィルムの視野角制御モードおよび視野角非制御モードの動作状態を示した図である。
【0037】
図1を参照すると、一実施例に係るディスプレイ装置は、ディスプレイパネル100上に配置された視野角制御フィルム200およびカバー基板300を含むことができる。
【0038】
ディスプレイパネル100は、複数のピクセルが配置されたピクセルアレイを含むディスプレイ部110、ディスプレイ部110上に配置された偏光板120、偏光板120上に配置されたタッチセンサー130を含むことができる。ディスプレイパネル100においてタッチセンサー130は、省略可能である。
【0039】
ディスプレイパネル100は、液晶ディスプレイパネル、電界発光ディスプレイパネル(Electroluminescent Display Panel)、マイクロ(Micro)LED(Light Emitting Diode)ディスプレイパネルなどを含む様々なディスプレイパネルのいずれか一つであり得る。電界発光ディスプレイパネルは、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode;OLED)ディスプレイパネル、量子ドット発光ダイオード(Quantum-dot Light Emitting Diode)ディスプレイパネル、または無機発光ダイオード(Inorganic Light Emitting Diode)ディスプレイパネルであり得る。
【0040】
図2及び
図3を参照すると、視野角制御フィルム200は、第1透明電極が配置された第1基板210と、第2透明電極が配置された第2基板220と、第1及び第2基板210、220の間に配置された透明絶縁層230と、透明絶縁層230に形成された複数の溝部に配置された遮光パターン250を含むことができる。
【0041】
第1基板210に配置される第1透明電極と、第2基板220に配置される第2透明電極は、FPC(260)を介して駆動回路から印加される駆動電圧の供給を受けることができる。
【0042】
遮光パターン250は、光を吸収する遮光物質で形成することができ、第1および第2透明電極に印加される電圧によって流動する光遮断粒子を含む電子インクで形成することができる。
【0043】
遮光パターン250は、ディスプレイパネル100で映像を表示する画素アレイが位置する表示領域240とオーバーラップするように配置される。表示領域240は、ベゼル領域242によって囲まれた構造を有する。遮光パターン250は、表示領域240に対角線方向の斜線形態で配置することができるが、これに限定されない様々な形態で配置することができる。
【0044】
遮光パターン250は、第1及び第2基板210、220の第1および第2透明電極に印加される駆動電圧によって駆動し、視野角制御モードと視野角非制御モードによって、遮光高さを調節することができる。
【0045】
図4A及び
図5Aを参照すると、視野角制御モードで、第1及び第2基板210、220の第1および第2透明電極に印加される第1駆動電圧によって駆動し、遮光パターン250が透明絶縁層230の溝部全体に拡散して、遮光パターン250の遮光高さは、溝部の高さと同じように増加することができる。視野角制御フィルム200は、視野角制御モードでディスプレイパネル100から放出される光を正面方向に透過させることができるが、運転者が位置する左右の側面方向に進行する光は、遮光パターン250によって遮断することができる。
【0046】
図4B及び
図5Bを参照すると、視野角非制御モードで、第1及び第2基板210、220の第1および第2透明電極に印加される第2駆動電圧によって駆動し、遮光パターン250がディスプレイパネル100と隣接した透明絶縁層230の底部のみに位置するように遮光パターン250の遮光高さを減少させることができる。視野角制御フィルム200は、視野角非制御モードで、ディスプレイパネル100から放出される光を正面方向および側面方向の両方に透過させることができる。これにより、自動車非運転時のように、運転者がディスプレイパネル100に表示された映像を視聴しようとする場合、視野角制御フィルム200は、視野角非制御モードで駆動して、ディスプレイパネル100に表示される映像を運転者および助手席の視聴者の両方に提供することができる。
【0047】
図6は、関連技術によるディスプレイ装置のモアレアーチファクト現象を示した図である。
【0048】
図6を参照すると、自動車の助手席に対向して配置されたディスプレイ装置500において、視野角制御フィルムが視野角制御モードで駆動する場合、運転者の方に向かう光が遮断されて、運転者はブラック画面500Aを見ることができるが、助手席の視聴者は、視野角制御フィルムによってモアレアーチファクトが発生した映像500Bを視聴することができる。
【0049】
このようなモアレアーチファクトを低減するために、一実施例に係る視野角制御フィルムの設計範囲は、次のように導出することができる。
【0050】
図7は、一実施例に係る視野角制御フィルムの設計範囲の導出方法を示したフローチャートである。
【0051】
図7を参照すると、一実施例に係る視野角制御フィルムの設計範囲導出方法は、ディスプレイパネルのスペック(ピクセルサイズ)を適用して(S702)、視野角制御フィルムの任意のスペック(遮光パターンの厚さ、間隔、傾斜角度)を適用して(S704)、モアレアーチファクトをシミュレートして(S706)、モアレのレベルを評価することができる(S708)。モアレパターンの評価点数がしきい値(th)よりも大きい場合(S710)、視野角制御フィルムの該当スペック(遮光パターンの厚さ、間隔、傾斜角度)を視野角制御フィルムに適合した設計範囲で決定することができる(S712)。一方、モアレパターンの評価点数がしきい値(th)以下の場合(S710)、視野角制御フィルムの該当スペック(遮光パターンの厚さ、間隔、傾斜角度)を設計範囲から排除することができる(S714)。このような視野角制御フィルムの設計範囲導出方法を繰り返すことで、モアレアーチファクトを低減するための視野角の設計視野角制御フィルムの設計範囲として決定することができる(S712)。
【0052】
一実施例に係る視野角制御フィルムの設計範囲導出方法は、
図7の過程を繰り返して、モアレアーチファクトを低減することができる視野角制御フィルムの3つの設計要素である遮光パターンの厚さ、間隔、角度のターゲット範囲を算出することができる。
【0053】
図8A,8Bは、一実施例に係る視野角制御フィルムで設計変数を示す図である。
図9A-9Cは、一実施例に係る視野角制御フィルムのターゲット設計範囲を示した図である。
【0054】
図8A,8Bを参照すると、一実施例に係る視野角制御フィルム200は、モアレアーチファクトを低減するために、遮光パターン250間の間隔(W)、遮光パターン250の厚さ(d)、遮光パターン250の傾斜角度(θ)が最適の設計範囲を有することができる。
【0055】
例えば、モアレアーチファクトを低減するために、一実施例に係る視野角制御フィルムで視野角制御モードでの遮光パターン250の厚さ(d)は、ピクセルサイズの8~25%の範囲を有し、遮光パターン250間の間隔(W)は、ピクセルサイズの33~39%の範囲を有し、遮光パターン250の傾斜角度(θ)は、90度を基準に±5度~15度の範囲、すなわち95後~105度、75度~85度の範囲を有するように設計することが好ましい。なお、ピクセルサイズは、ピクセルのピッチ又はピクセルの幅を意味する。
【0056】
図9A-9Cを参照すると、遮光パターン(Resin)の厚さがピクセルサイズの8%、16%、25%である条件では、遮光パターン(Resin)の間隔がピクセルサイズの33~39%の範囲であり、遮光パターンの傾斜角度が90度を基準として±5度~15度の設計範囲であり、モアレパターンの評価点数がターゲット範囲(例えば、4点以上)以上を有することで、モアレアーチファクトを視聴者が受容するレベルに低減し得ることを知ることができる。
【0057】
図10は、一実施例に係る視野角制御フィルムを有するディスプレイ装置のピクセルサイズと形状変化によるモアレレベルを示した図である。
【0058】
図10を参照すると、一実施例に係る視野角制御フィルムが、ターゲット範囲の遮光パターンのスペックA(厚さ、厚さ、傾斜角度)を有する場合、モアレレベルを評価した結果、ピクセル形状の変更や大きさの変化によるモアレレベルの差が微々であることを知ることができる。これにより、一実施例で導出された視野角制御フィルムの設計範囲は、様々なピクセルの形状および大きさを有するディスプレイパネルのすべてに適用することができる。
【0059】
一方、
図10で視野角制御フィルムが、ターゲット範囲を外れるスペックB、C(厚さ、厚さ、傾斜角度)を有する場合、モアレレベルが認知されるが、ピクセル形状の変更や大きさの変化によって認知されるモアレレベルの差が微々であることを知ることができる。
【0060】
一実施例に係る表示装置で視野角制御フィルム200は、ディスプレイパネル100上での位置によって遮光パターン250の間隔(W)、厚さ(d)、高さ(H)などを差異で調節することができる。これにより、視野角制御モードで駆動する視野角制御フィルム200を介して、助手席(第1視聴位置)にいる第1視聴者に提供するディスプレイパネル100の輝度(透過率)を向上させることができ、運転席(第2視聴位置)の運転(第2視聴者)に向かう光を効果的に遮断することができる。
【0061】
図11は、一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターン間隔の差異適用を示す図であり、
図12は、一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターンの厚さの差異適用を示す図であり、
図13A,13Bは、一実施例に係る視野角制御フィルムで遮光パターンの間隔調整範囲を示す図であり、
図14は、一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターンの高さの差異適用を示す図であり、
図15は、一実施例による視野角制御フィルムの遮光パターンの間隔、厚さ、高さの差異適用を示す図であり、
図16及び
図17は、一実施例に係る視野角制御フィルムの遮光パターン間隔の差異適用による輝度偏差を補償する方法を示した図ある。
【0062】
図11を参照すると、一実施例に係る視野角制御フィルム200は、運転者の位置を考慮したディスプレイパネル100上の位置ごとに遮光パターン250間の間隔(W
S、W
E)が異なるように設定することができ、それぞれの遮光パターン250の厚さ(d
S)および高さ(H)は、同じように設定することができる。ディスプレイパネル100上で、運転者と近い位置ほど遮光パターン250間の第1間隔(W
S)は、相対的に小さく設定され、運転手と遠い位置ほど遮光パターン250間の第2間隔(W
E)は、第1間隔(W
S)より大きく設定することができる。
【0063】
ディスプレイパネル100上での位置による遮光パターン250間の間隔(W
S、W
E)は、
図11および下記の数式1のように決定することができる。
【0064】
【0065】
図11及び前記数式1でW
Sは、ディスプレイパネル100上で、運転者と相対的に近い第1位置、すなわち、運転者と第1水平距離(S)を有するディスプレイパネル100上の第1位置での遮光パターン250間の第1間隔(W
S)を意味することができる。W
Eは、ディスプレイパネル100上で、運転者と遠い第2位置、すなわち、運転者と第1水平距離(S)よりも大きい第2水平距離(E)を有するディスプレイパネル100上の第2位置での遮光パターン250間の第2間隔(W
E)を意味することができる。Hは、遮光パターン250の高さを意味することができる。θ
Sは、運転者と相対的に近いディスプレイパネル100の第1位置から運転者に放出される光の角度を意味し、運転者とディスプレイパネル100の間の垂直距離(D)および第1水平距離(S)のアークタンジェント関数によって決定することができる。θ
Eは、運転者と相対的に遠いディスプレイパネル100の第2位置から運転者に放出される光の角度を意味し、運転者とディスプレイパネル100の間の垂直距離(D)および第2水平距離(E)のアークタンジェント関数によって決定することができる。
【0066】
図11及び前記数式1を参照すると、運転手と相対的に近いディスプレイパネル100の第1位置での遮光パターン250間の第1間隔(W
S)は、ディスプレイパネル100の光放出角度(θ
S)のタンジェント関数に対する遮光パターン250の高さ(H)の比率によって決定することができる。運転手と相対的に遠いディスプレイパネル100の第2位置での遮光パターン250間の第2間隔(W
E)は、ディスプレイパネル100の光放出角度(θ
E)のタンジェント関数に対する遮光パターン250の高さ(H)の比率によって決定することができる。
【0067】
図12を参照すると、一実施例に係る視野角制御フィルム200Aは、運転者の位置を考慮したディスプレイパネル100上の位置ごとに遮光パターン250A、250Bの厚さ(d
S、d
E)と遮光パターン250A、250B間の間隔(W
S、W
E)が異なるように設定することができ、各遮光パターン250の高さ(H)は、同じに設定することができる。ディスプレイパネル100上で、運転者と近い第1位置に配置される第1遮光パターン250Aの第1厚さ(d
S)は、相対的に厚く設定され、その第1遮光パターン250A間の第1間隔(W
S)は、相対的に狭く設定することができ、運転者と遠い第2位置に配置される第2遮光パターン250Bの第2厚さ(d
E)は、第1厚さ(d
S)より薄く設定され、その第2遮光パターン250B間の第2間隔(W
E)は、第1間隔(W
S)より厚く設定することができる。
【0068】
ディスプレイパネル100上での位置による第1遮光パターン250A間の第1間隔(W
S)と、第2遮光パターン250B間の第2間隔(W
E)は、前記数式1によって決定することができる。第1間隔(W
S)を有する第1遮光パターン250Aの第1厚さ(d
S)と、第2間隔(W
E)を有する第2遮光パターン250Bの第2厚さ(d
E)は、
図12および下記の数式2のように決定することができる。
【0069】
【0070】
図12及び前記数式2で、Wは遮光パターン250A、250B間の一定の間隔(W)を意味することができる。
【0071】
図12及び前記数式2を参照すると、運転者に近い第1位置で第1間隔(W
S)を有する第1遮光パターン250Aの第1厚さ(d
S)は、一定間隔(W)と第1間隔(W
S)の差で決定することができ、運転者と遠い第2位置で第2間隔(W
E)を有する第2遮光パターン250Bの第2厚さ(d
E)は、一定間隔(W)と第2間隔(W
E)の差で決定することができる。
【0072】
図13Aを参照すると、遮光パターン250間の間隔(W
S、W
E)は、運転者との水平距離(S、E)が増加するほど増加するように設定することができるが、モアレ防止のためのピクセルサイズの33~39%の範囲に制限するために、
図13Bに示すように、遮光パターン250間の間隔(W
S、W
E)の可変範囲は、しきい値(Th)を超える場合はしきい値(Th)に設定することができる。
【0073】
図14を参照すると、一実施例に係る視野角制御フィルム200Cは、運転者の位置を考慮したディスプレイパネル100上の位置ごとに遮光パターン250C、250Dの高さ(H
S、H
E)が異なるように設定することができ、遮光パターン250C、250D間の間隔(W)を同じに設定することができ、遮光パターン250C、250Dの厚さは、同じに設定することができる。ディスプレイパネル100上で、運転者と近い位置であるほど、第1遮光パターン250Cの第1高さ(H
S)は、相対的に高く設定することができ、運転者と遠い位置ほど第2遮光パターン250Dの第2高さ(H
E)は、第1高さ(H
S)より低く設定することができる。
【0074】
ディスプレイパネル100上での位置による遮光パターン250C、250Dの高さ(H
S、H
E)は、
図14および下記の数式3のように決定することができる。
【0075】
【0076】
図14及び前記数式3でH
Sは、ディスプレイパネル100上で運転者と相対的に近い第1位置、すなわち、運転者と第1水平距離(S)を有するディスプレイパネル100上の第1位置での第1遮光パターン250Cの第1高さ(H
S)を意味することができる。H
Eは、ディスプレイパネル100上で、運転者と遠い第2位置、すなわち、運転者と第1水平距離(S)よりも大きい第2水平距離(E)を有するディスプレイパネル100上の第2位置での第2遮光パターン250Dの第2高さ(H
E)を意味することができる。θ
Sは、運転者と相対的に近いディスプレイパネル100の第1位置で運転者に放出される光の角度を意味し、運転者とディスプレイパネル100の間の垂直距離(D)および第1水平距離(S)のアークタンジェント関数によって決定することができる。θ
Eは、運転者と相対的に遠いディスプレイパネル100の第2位置で運転者に放出される光の角度を意味し、運転者とディスプレイパネル100の間の垂直距離(D)および第2水平距離(E)のアークタンジェント関数によって決定することができる。
【0077】
図14及び前記の数式3を参照すると、運転手と相対的に近いディスプレイパネル100の第1位置で第1遮光パターン250Cの第1高さ(H
S)は、ディスプレイパネル100の光放出角度(θ
S)のタンジェント関数と第1遮光パターン250C間の間隔(W)の乗算結果によって決定することができる。運転手と相対的に遠いディスプレイパネル100の第2位置で第2遮光パターン250D間の第2高さ(H
E)は、ディスプレイパネル100の光放出角度(θ
E)のタンジェント関数と第2遮光パターン250D間の間隔(W)の乗算結果によって決定することができる。
【0078】
図15を参照すると、一実施例に係る視野角制御フィルム200Eは、運転者の位置を考慮したディスプレイパネル100上の位置ごとに遮光パターン250E、250Fの厚さ(d
S、d
E)、遮光パターン250E、250F間の間隔(W
S、W
E)、遮光パターン250E、250Fの高さ(H
S、H
E)が複合的に異なるように設定することができる。
【0079】
図15で運転者の位置を考慮したディスプレイパネル100上の位置ごとに遮光パターン250E、250Fの厚さ(d
S、d
E)、遮光パターン250E、250F間の間隔(W
S、W
E)、遮光パターン250E、250Fの高さ(H
S、H
E)は、先に説明した数式1~3によって決定することができる。
【0080】
図15で、ディスプレイパネル100上で、運転者と近い第1位置に配置される第1遮光パターン250Eの第1厚さ(d
S)と第1高さ(H
S)は、相対的に高く設定される一方、その第1遮光パターン250E間の第1間隔(W
S)は、相対的に狭く設定することができ、運転者と遠い第2位置に配置される第2遮光パターン250Fの第2厚さ(d
E)および第2高さ(H
E)のそれぞれは、第1厚さ(d
S)と高さ(H
S)より小さく設定することができ、その第2遮光パターン250F間の第2間隔(W
E)は、第1間隔(W
S)より広く設定することができる。
【0081】
このように、一実施例に係る視野角制御フィルムおよびそれを有するディスプレイ装置は、運転者の位置を考慮したディスプレイパネル上の位置によって、視野角制御フィルムの遮光パターンの厚さ、間隔に対して差異を適用することにより、視野角制御フィルムを通じた透過率を向上させることができるので、ディスプレイ装置の輝度を向上させることができる。
【0082】
一実施例に係る視野角制御フィルムおよびそれを有するディスプレイ装置は、運転者の位置を考慮したディスプレイパネル上の位置によって、視野角制御フィルムの遮光パターンの高さに対して差異を適用することにより、視野角制御フィルムの製造コストを削減することができる。
【0083】
図16及び
図17を参照すると、一実施例に係る視野角制御フィルムで遮光パターン250間の間隔(W
S、W
E)を位置によって差異を適用する場合、運転者との水平距離(S、E)が増加するほど遮光パターン250間の間隔(W
S、W
E)が増加することにより、正面に進行する光の透過率、すなわち輝度(F1)がL
SからL
Eに増加して、ディスプレイパネルの位置によって透過率の偏差である輝度偏差を有することができる。
【0084】
図16を参照すると、視野角制御フィルムで遮光パターン250間の差異間隔(W
S、W
E)の適用による位置別の輝度(F1)は、ディスプレイパネルの低い輝度(L
S)を、高い輝度(L
E)と等しくなるように輝度(F2)まで増加させることで、輝度偏差を均一に補償して画質を向上させることができ、ディスプレイ装置の全体輝度を向上させることができる。
【0085】
図17を参照すると、視野角制御フィルムで遮光パターン250間の差異間隔(W
S、W
E)の適用による位置別の輝度(F1)は、ディスプレイパネルの高い輝度(L
E)を、低い輝度(L
S)と同じになるように輝度(F3)まで減少させることで、輝度偏差を均一に補償して画質を向上させることができ、ディスプレイ装置の消費電力を低減させることができる。
【0086】
上述した本明細書の様々な例で説明した特徴、構造、効果などは、本明細書の少なくとも一つの例に含まれており、必ずしも一つの例のみに限定されるものではない。さらに、本明細書の少なくとも一つの例で例示された特徴、構造、効果などは、本明細書の技術思想が属する分野の通常の知識を有する者によって、異なる例にも組み合わせ、または変形して実施可能である。したがって、これらの組み合わせと変形に係る内容は、本明細書の技術範囲または権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【0087】
以上で説明した本明細書では、前述した実施例及び添付した図に限定されるものではなく、本明細書の技術的思想を逸脱しない範囲内で、複数の置換、変形及び変更が可能であることが本明細書が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明らかであろう。したがって、本明細書の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、請求の範囲の意味及び範囲そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が、本明細書の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0088】
100:パネル
200:視野角制御フィルム
300:カバー基板
110:ディスプレイ部
120:偏光板
130:タッチセンサー
210:第1基板
220:第2基板
230:透明絶縁層
250:遮光パターン
260:FPC
240:表示領域
242:ベゼル領域