IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナキュイティ ファーマシューティカルズ, インク.の特許一覧

特許7631200放射線皮膚炎の予防及び治療、並びに皮膚ライトニング、皮膚ホワイトニング、並びに皮膚改善のためのN-アセチルシステインアミド(NACA)及び(2R,2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(DINACA)
<>
  • 特許-放射線皮膚炎の予防及び治療、並びに皮膚ライトニング、皮膚ホワイトニング、並びに皮膚改善のためのN-アセチルシステインアミド(NACA)及び(2R,2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(DINACA) 図1
  • 特許-放射線皮膚炎の予防及び治療、並びに皮膚ライトニング、皮膚ホワイトニング、並びに皮膚改善のためのN-アセチルシステインアミド(NACA)及び(2R,2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(DINACA) 図2
  • 特許-放射線皮膚炎の予防及び治療、並びに皮膚ライトニング、皮膚ホワイトニング、並びに皮膚改善のためのN-アセチルシステインアミド(NACA)及び(2R,2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(DINACA) 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】放射線皮膚炎の予防及び治療、並びに皮膚ライトニング、皮膚ホワイトニング、並びに皮膚改善のためのN-アセチルシステインアミド(NACA)及び(2R,2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(DINACA)
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/16 20060101AFI20250210BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 31/685 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 33/04 20060101ALI20250210BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250210BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20250210BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250210BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
A61K31/16
A61K8/44
A61K31/085
A61K31/198
A61K31/216
A61K31/355
A61K31/375
A61K31/685
A61K33/04
A61P17/00
A61P17/16
A61P29/00
A61Q19/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021540019
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 US2020012975
(87)【国際公開番号】W WO2020146666
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】62/791,422
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517159253
【氏名又は名称】ナキュイティ ファーマシューティカルズ, インク.
【氏名又は名称原語表記】NACUITY PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ウォール ジー. マイケル
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-538586(JP,A)
【文献】国際公開第2011/044230(WO,A1)
【文献】特表2013-533234(JP,A)
【文献】特開2005-350405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚ライトニング又は皮膚ホワイトニングを必要とするヒト対象における皮膚ライトニング又は皮膚ホワイトニングための薬剤であって、
治療有効量のN-アセチルシステインアミド(NACA)又は(2R、2R')-3,3'-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(diNACA)を含み、ガラクトマンナンを含まない、前記薬剤。
【請求項2】
NACA、又はdiNACAが、薬学的に許容される担体中において、又は薬学的に許容される担体と共に製剤化された請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
NACA、又はdiNACAが、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、又はリン酸のうちの少なくとも1つから選択される第2の活性薬剤と共に投与される、請求項2に記載の薬剤。
【請求項4】
経口、静脈内、筋肉内、経腸、眼内、網膜下、硝子体内、局所、眼、舌下、皮膚、皮下、又は直腸内に投与されるように製剤化された、請求項1に記載の薬剤。
【請求項5】
約0.5~150mg/Kgの1日用量で製剤化された、請求項1に記載の薬剤。
【請求項6】
1日2回又は3回の投与用に製剤化された、請求項1に記載の薬剤。
【請求項7】
第2の活性薬剤と共に製剤化された、請求項1に記載の薬剤。
【請求項8】
1用量当たり100、150、300、333、400、500、600、700、750、800、900、1,000、2,500、5,000、7,500、又は10,000mgで製剤化された、請求項1に記載の薬剤。
【請求項9】
ミニ錠剤、カプセル、錠剤、発泡剤、デュアル放出、混合放出、サシェ、粉末、又は液剤に製剤化された、請求項1に記載の薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月11日に出願された米国仮出願第62/791422号明細書の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府資金援助の声明
無し。
【0003】
本発明は一般的に、放射線皮膚炎、放射線による皮膚への損傷の予防及び治療、皮膚ライトニング、皮膚ホワイトニングのため、又は皮膚の健康を改善するための、N-アセチルシステインアミド(NACA)又は(2R,2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(diNACA)の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
放射線皮膚炎は、がんの放射線治療において最も一般的な有害事象の1つであり、放射線治療を受けている患者の95%がこの症状を示す。皮膚炎は生活の質を低下させるだけでなく、必要な追加の放射線治療の実施にも支障をきたす。さらに、外用ステロイド及び皮膚軟化クリーム以外に有効な薬物療法はない。放射線は、細胞基質中の水分と反応した後活性酸素種を発生させ、その結果として間接的な炎症を起こさせるといった2つの方法で皮膚に損傷を与えるものと考えられている。上記の事実を考慮すると、Nrf2活性化剤の作用機序は、放射線皮膚炎の進行に対抗するために適していると考えられる(Nakagami et al. Journal of Radiation Research, Vol. 57, No. 5, 2016, pp. 567-571)。
【0005】
皮膚の老化は、臨床的及び生物学的に明確に区別できる2つの独立した過程、すなわち、「内因性老化」及び「外因性老化」などの複雑な生物学的現象である。外因性老化(「光老化」を含む)は、屋外要素、主に紫外線(UV)照射に曝された結果である。光老化した皮膚とは、深いしわ、黄ばんだ変色、及び不規則な色素沈着などの年齢に伴う様々な臨床的変化を示す。近年、UV曝露によって引き起こされる皮膚老化の過程には、細胞内に過剰に産生された活性酸素種(ROS)が関与していることが明らかになってきた。ROSはメラニン細胞に対して逆説的作用を示し、皮膚において色素脱失を促進させるだけでなく、色素沈着を増加させる。角化細胞におけるUVB誘発Hは、白斑患者の皮膚においてメラニン細胞の変性を引き起こす。対照的に、NO・は、チロシナーゼ及びチロシナーゼ関連タンパク質の量を増加させることによってメラニン形成を誘発する。ROSに関連したメラニン形成は抗酸化剤治療によって抑制される。NO合成酵素の安定化によるNO・産生は、アスコルビン酸によるメラニン形成の抑制に一部寄与している。N-アセチルシステイン(グルタチオンの前駆体)はUVB照射によるアルファ-メラニン細胞刺激ホルモンの誘発を阻害する(Watanabe F; Hashizume E; Chan GP; Kamimura A. Skin-whitening and skin-condition-improving effects of topical oxidized glutathione: a double-blind and placebo-controlled clinical trial. Clin Cosmetic Inv Dermatol. 2014;7:267-274)。
【0006】
システイン、グリシン、及びグルタミン酸のトリペプチドであるグルタチオンは、体内の主要な抗酸化剤であり、細胞内のチオール状態の維持及び解毒において重要な役割を果たしている。グルタチオンは、還元状態(GSH)及び酸化状態(GSSG)の両方で存在しているが、体内でのグルタチオンプールの大部分は還元型である。GSHは、過酸化水素及び過酸化脂質の還元解毒中にフリーラジカルの捕捉剤として作用することによって、抗酸化剤活性を発揮する。哺乳類細胞では、GSHは電子ドナーとしての役割を果たしている。電子供与中、グルタチオンペルオキシダーゼによってGSSGに変換されるが、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の存在下でグルタチオンリダクターゼによってGSHに還元される。GSHは多種多様な生理学的効果を有する。重要なことに、GSHはチロシナーゼの活性を抑制することによってメラニン形成を阻害し、ヒトにおいてGSHの経口投与によって皮膚におけるメラニン産生が低減される。水溶液中のGSHは非常に不安定で、容易に分解される。このため、経口製剤とは異なり、外用製剤におけるGSHの皮膚ホワイトニング効果についての調査は報告されたことがない。対照的に、GSSGは水溶液中で分解されにくく、液体形態での使用に適切であるが、外用GSSGの皮膚ホワイトニング効果は不明である。30歳から50歳の健康な成人女性30名の研究において、Watanabe et al.(2014)は、外用GSSGが安全で効果的に皮膚を白くし、皮膚の状態を改善することを示した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Nakagami et al. Journal of Radiation Research, Vol. 57, No. 5, 2016, pp. 567-571
【文献】Watanabe F; Hashizume E; Chan GP; Kamimura A. Skin-whitening and skin-condition-improving effects of topical oxidized glutathione: a double-blind and placebo-controlled clinical trial. Clin Cosmetic Inv Dermatol. 2014;7:267-274
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、本発明は、動物又はヒトに治療有効量のN-アセチルシステイン(NAC)、N-アセチルシステインアミド(NACA)、又は(2R,2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(diNACA)を投与するステップを含む、動物又はヒトにおける放射線皮膚炎、放射線による皮膚への損傷の少なくとも1つの予防及び/又は治療、皮膚ライトニング、ホワイトニングのため、又は皮膚の健康を改善するための、N-アセチルシステインアミドNAC、NACA、又はdiNACAの使用のための方法を提供する。一態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、薬学的に許容される担体中において、又は薬学的に許容される担体と共に提供される。別の態様では、NACAは、眼内、網膜下、硝子体内、経口、静脈内、筋肉内、局所、舌下、皮膚への注射によって、又は直腸内に投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは1日用量約0.5~150mg/Kgで投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは1日2回又は3回投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、又はリン酸のうちの少なくとも1つから選択される第2の活性薬剤と共に投与される。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり100、150、150、300、333、400、500、600、700、750、800、900、1,000、2,500、5,000、7,500、又は10,000mgである。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり0.1~0.25、0.1~0.4、0.35~0.5、0.5~1、1~2、1~3、1~4、1~5、1~2.5、2.5~3.5、4~6、5~8、6~9、7~10グラムである。別の態様では、NACAは、ミニ錠剤、カプセル、錠剤、発泡剤、デュアル放出、混合放出、サシェ、粉末、又は液剤によって経口的に送達される。別の態様では、NACAは、放射線皮膚炎を予防及び/又は治療するため、皮膚ライトニング、ホワイトニングのため、又は皮膚の健康を改善するために予防的に投与される。別の態様では、動物はヒトである。一態様では、この方法は、日光曝露からの放射線による皮膚への損傷を防ぐために、NACA又はdiNACAを製剤に添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、生物兵器への曝露、化学熱傷、熱傷、摩擦によって引き起こされる接触損傷を防ぐために、NACA又はdiNACAを製剤に添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、色素性乾皮症を治療するために、製剤にNACA又はdiNACAを添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、酸化的ストレスによって引き起こされるその他の皮膚障害を治療するために、製剤にNACA又はdiNACAを添加するステップをさらに含む。
【0009】
別の実施形態によれば、本発明は、放射線皮膚炎の予防及び/又は治療、皮膚ライトニング、ホワイトニングのため、又は皮膚の健康を改善するための方法であって、放射線皮膚炎の予防及び/又は治療、皮膚ライトニング、ホワイトニング、又は皮膚の健康を改善することを必要とするヒトを特定するステップ、並びに放射線皮膚炎の予防及び/又は治療、皮膚ライトニング、ホワイトニング、又は皮膚の健康を改善するために十分な治療有効量のNAC、NACA、又はdiNACAをヒトに投与するステップを含む方法を含む。一態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、薬学的に許容される担体中において、又は薬学的に許容される担体と共に提供される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、眼内、網膜下、硝子体内、経口、静脈内、筋肉内、局所、舌下、皮膚、皮下、皮膚への注射によって、又は直腸内に投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは1日用量約0.5~150mg/Kgで投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは1日2回又は3回投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、又はリン酸のうちの少なくとも1つから選択される第2の活性薬剤と共に投与される。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり100、150、150、300、333、400、500、600、700、750、800、900、1,000、2,500、5,000、7,500、又は10,000mgである。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり0.1~0.25、0.1~0.4、0.35~0.5、0.5~1、1~2、1~3、1~4、1~5、1~2.5、2.5~3.5、4~6、5~8、6~9、7~10グラムである。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、ミニ錠剤、カプセル、錠剤、発泡剤、デュアル放出、混合放出、サシェ、粉末、又は液剤によって経口的に送達される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、放射線皮膚炎を予防及び/又は治療するため、皮膚ライトニング、ホワイトニングのため、又は皮膚の健康を改善するために予防的に投与される。一態様では、この方法は、日光曝露からの放射線による皮膚への損傷を防ぐため、NACA又はdiNACAを製剤に添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、生物兵器への曝露、化学熱傷、熱傷、摩擦による接触損傷を防ぐために、NACA又はdiNACAを製剤に添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、色素性乾皮症を治療するために、製剤にNACA又はdiNACAを添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、酸化的ストレスによって引き起こされるその他の皮膚障害を治療するために、製剤にNACA又はdiNACAを添加するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の特色及び利点をより完全に理解するために、添付した図面に沿って本発明の詳細な説明をここに参照する。
図1】GSSG、NPI-001(NACA)、及びNPI2(diNACA)治療によって、RHE色素沈着が減少したことを示した図である。
図2】GSSG、NPI-001(NACA)、及びNPI2(diNACA)治療によって、メラニン抽出が減少したことを示した図である。
図3】NPI-001(NACA)及び(diNACA)がUVA誘発酸化的皮膚損傷に曝露したヒト皮膚におけるGSSGの産生レベルを増加させたことを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用を以下に詳細に論じるが、本発明は、多種多様な具体的状況において実施することができる多くの応用可能な本発明の概念を提供することを理解されたい。本明細書で論じた具体的な実施形態は、本発明を実現し、使用するための具体的な方法を例示するのみであり、本発明の範囲を限定しない。
【0012】
2-アセトアミド-3-スルファニルプロピオン酸又はNACとしても知られているN-アセチルシステインは、構造:
【0013】
【化1】
【0014】
を有する。
【0015】
(R)-2-(アセチルアミノ)-3-メルカプト-プロパンアミド、N-アセチル-L-システインアミド、又はアセチルシステインアミドとしても知られている、N-アセチル-L-システイン(NAC)のアミド型であるN-アセチル-L-システインアミド(NACA)は、NACの担体として作用し、構造:
【0016】
【化2】
【0017】
を有する。
【0018】
(2R、2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(diNACA)は、N-アセチル-L-システインアミドの二量体型であり、NAC又はシステインの担体として作用し、構造:
【0019】
【化3】
【0020】
を有する。
【0021】
グルタチオン(GSH)は、全哺乳類組織に見いだされるトリペプチド、c-L-グルタミル-L-システニル-グリシンである。これは求電子剤の解毒、ROSの除去、タンパク質のチオール状態の維持、並びにビタミンC及びビタミンEの還元型の再生などのいくつかの重要な機能を有する。GSHは、哺乳類細胞の主要な非タンパク質チオールなので、細胞内の酸化還元バランス及びタンパク質の必須チオール状態の維持に不可欠である。また、グルタチオンペルオキシダーゼなどのいくつかの抗酸化酵素の機能にも必要である。
【0022】
細胞内GSHレベルは、産生と損失との間のバランスによって決定される。産生は、デノボ合成及びGSSGレダクターゼによるGSSGからのGSHの再生によって生じる。一般的に、GSSGレダクターゼ系には還元状態の細胞内GSH全てを維持するために十分な能力があるので、この経路を強化してもほとんど上昇させることはできない。細胞内GSHの損失の主な原因は細胞外への輸送である。細胞内GSHレベルが1~8mMの範囲である一方、細胞外レベルはほんの数μΜであり、この大きな濃度勾配が基本的にGSHの細胞内への輸送を妨げ、一旦細胞外に輸送されるとγ-グルタミルトランスペプチダーゼによって迅速に分解される。GSH輸送体の阻害は、理論的には細胞内GSHレベルを増加させることができるが、この輸送体はGSH特異的ではなく、それらを抑制するとその他のアミノ酸及びペプチドの不平衡が生じ得るので問題となるおそれがある。したがって、細胞内GSHレベルは合成の変化によって主に調整される。
【0023】
GSHは、ほとんど全ての細胞の細胞基質中において、ATPを必要とする2つの酵素ステップ:L-グルタミン酸+L-システイン+ATP[→]γ-グルタミル-L-システイン+ADP+Pi及びγ-グルタミル-L-システイン+L-グリシン+ATP[→]GSH+ADP+Piによって合成される。第1の反応が律速で、グルタミン酸システインリガーゼ(GCL、EC6.3.2.2)によって触媒される。GCLは、異なる遺伝子によってコードされる73Kdの重い触媒サブユニット(GCLC)及び30Kdの修飾因子サブユニット(GCLM)から構成される。GCCLは、GSHの非アロステリック競合阻害(Ki=2.3mM)及びL-システインの利用性によって調節される。グルタミン酸に対するGLCの見かけ上のKmは1.8mMで、細胞内グルタミン酸濃度はおよそ10倍高く、したがってグルタミン酸に制限はないが、システインに対するKmは0.1~0.3mMで、細胞内濃度に近い。第2の反応は、2つの同じサブユニットから構成される118KdのGSH合成酵素(GS、EC6.3.2.3)によって触媒される。GSは、通常の条件下でGSH合成の調節に重要であるとは思われないが、外科手術による外傷に応答してGSHレベル及びGS活性は低下した一方、GCL活性は変化しなかったので、ストレス条件下では役割を担う可能性がある。さらに、GCLCのみの発現増加と比較して、GCLC及びGS両方の発現増加は、GSHレベルの上昇を引き起こした。合成酵素増加の効果を最大限にするために、システインレベルの増加を実現することが必要である。培養したニューロンでは、システイン摂取の90%がナトリウム依存性興奮性アミノ酸輸送体(EAAT)系によって生じる。5つのEAATがあり、ニューロンによるシステイン摂取は、より一般的には興奮性アミノ酸担体-1(EAAC1)として知られているEAAT3によって主に生じる。通常の環境下では、ほとんどのEAAC1はER中にあり、活性化されたときにのみ細胞膜に移動する。この移動は、グルタミン酸輸送体関連タンパク質3-18(GTRAP3-18)によって負に調節されており、GTRAP3-18の抑制はニューロン中のGSHレベルを増加させた。したがって、システインの内部移行は、GSH合成にとって障害となるが、幸運なことに活性化したEAAC1の非存在下でも容易に細胞に入るN-アセチルシステイン(NAC)によって迂回させることができる。全身投与されたNACはCNSに入り、GSHレベルを増加させ、酸化的ストレスが病理の重要な部分である神経変性障害において利益をもたらす。
【0024】
細胞質、ミトコンドリア、及び核を含む全細胞内小器官は酸化的損傷から保護されていなければならない。本発明者らは以前に、活性酸素種を解毒する酵素の遺伝子移入を実施したが、このアプローチは、細胞質中における2つの酵素及びミトコンドリア中における2つの酵素の発現を必要とする。対照的に、本発明では、GSHが細胞全体にわたってどこにでも拡散することができるので、細胞基質中におけるたった2つの酵素の発現によって全細胞内小器官の保護をもたらす。
【0025】
NACはアセトアミノフェン過剰投与の治療のために使用され、初回量(loading dose)は140mg/kgで、初回量の4時間後から4時間毎に70mg/kgを17回投与する。臨床研究では、NACは毎日1回400~1000mg及び1日3回200~600mgで経口投与された。しかし、ヒトに600mgを1回経口投与した後、NACは迅速に吸収され、その後迅速に除去される。NACの血漿半減期は、2.5時間と報告されており、投与後10~12時間でNACを検出することはできなくなる。吸収の間、NACはグルタチオンの直接の前駆体であるシステインに迅速に代謝される。一実施形態によれば、本発明は、対象の組織で発現したグルタチオンの量を増加させるために、治療有効量のNACAを投与することを含む、対象における酸化的ストレスに関連した疾患又は状態の予防、回復、又は治療のための方法を提供する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「活性酸素種(active oxygen species)」又は「反応性酸素種(reactive oxygen species)」は、1つ又は2つの電子の移動がスーパーオキシド、O”の形態のアニオン、又は式O2-”を有するペルオキシドアニオン、又はO-O一重結合を含有する化合物、例えば、過酸化水素及び過酸化脂質を産生することと理解される。このようなスーパーオキシド及びペルオキシドは反応性が高く、タンパク質、核酸、及び脂質を含む細胞成分への損傷を引き起こし得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は、治療上活性のある化合物又は治療活性の可能性がある化合物、例えば、抗酸化剤を意味する。薬剤は以前に知られている又は知られていない化合物であってもよい。本明細書で使用される場合、薬剤は通常、細胞をベースにしたものではない化合物であるが、薬剤は生物学的治療薬、例えば、ペプチド又は核酸治療薬、例えば、siRNA、shRNA、サイトカイン、抗体などを含むことができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「回復」又は「治療」という用語は、特定の疾患又は状態の少なくとも1つの徴候、症状、指標、又は影響を軽減又は減少させることを意味するものと理解される。例えば、放射線皮膚炎の予防、回復、若しくは治療、皮膚ライトニング、ホワイトニング、又は皮膚の健康を改善することは、放射線皮膚炎の1又は2以上の徴候若しくは症状を軽減、遅延、若しくは排除すること、皮膚ライトニング、ホワイトニング、又は皮膚の健康を改善することであり、改善された皮膚の健康、放射線誘発性皮膚炎の軽減、皮膚ライトニング、及び/又はホワイトニング、又は疾患状態若しくは進行の臨床的に許容されるその他の指標を含むが、これらには限定されない。回復及び治療には、単独又はその他の治療薬及び治療的介入と組み合わせた1薬剤の2回以上の投与を必要としていてもよい。回復又は治療は疾患又は状態を治癒させる必要はない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「抗酸化剤」という用語は、その他の分子の酸化を減速又は妨害する分子を意味する。酸化は、電子を物質から酸化剤に移す化学反応である。このような反応は、スーパーオキシドアニオン又はペルオキシドの生成によって促進され得る。酸化反応はフリーラジカルを生成することができ、フリーラジカルは、細胞を損傷させる連鎖反応を開始する。抗酸化剤は、フリーラジカル中間体を除去することによってこれらの連鎖反応を終結させ、それら自身を酸化することによってその他の酸化反応を阻害する。結果として、抗酸化剤はチオール、アスコルビン酸又はポリフェノールなどの還元剤であることが多い。抗酸化剤には、限定はしないが、α-トコフェロール、アスコルビン酸、Mn(III)テトラキス(4-安息香酸)ポルフィリン、α-リポ酸及びn-アセチルシステインが含まれる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「有効量」又は「有効用量」という用語は、意図した薬理学的、治療的、又は予防的結果を生じる薬剤の量を意味する。薬理学的有効量は、疾患若しくは状態又は疾患若しくは状態の進行の1又は2以上の徴候又は症状の回復を生じ、疾患若しくは状態の退行を引き起こす。例えば、治療有効量は、好ましくは、視力の欠損、全体的な視力の欠損、視野の欠損を、未治療の対照対象と比較して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又はそれ以上、規定された期間、例えば、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、1年、2年、5年又はそれ以上減少させる治療薬の量を意味する。有効用量を提供するために2回以上の投与を必要としてもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「有効な」及び「有効性」という用語には、薬理学的有効性及び生理学的安全性の両方が含まれる。薬理学的有効性とは、患者において所望する生物学的効果を生じる治療の能力を意味する。生理学的安全性とは、治療の投与によって生じる細胞、器官(organ)及び/又は生物(organism)レベルでの毒性又はその他の有害な生理学的効果(しばしば副作用と呼ばれる)のレベルを意味する。他方では、用語「無効な」は、少なくとも層化されていない母集団(unstratified population)において、有害作用が非存在であっても、治療が治療上有用であるために十分な薬理学的効果を提供しないことを示す。(そのような治療は発現プロファイル(複数可)によって同定することができる亜集団において無効であってもよい)。「有効性が低い」とは、治療が治療上有意に低レベルの薬理学的有効性及び/又は治療上高レベルの有害な生理学的効果、例えば、高い肝毒性を生じることを意味する。
【0032】
したがって、薬物の投与に関連して、疾患又は状態「に対して有効な」薬物とは、臨床上適切な形の投与が患者の少なくとも統計学的に有意な割合に対して、症状の改善、治癒、疾患徴候若しくは症状の軽減、寿命の延長、生活の質の向上又は疾患若しくは状態の特定の種類の治療に精通した医師によって好ましいと一般的に認識されるその他の効果などの有益な効果を生じることを示す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ペルオキシダーゼ」又は「ペルオキシド代謝酵素」という用語は、典型的に以下の形態の反応を触媒する酵素の大きなファミリーを意味する。
【0034】
ROOR+電子ドナー(2e-)+2H+→ROH+ROH
これらの酵素の多くでは、最適な基質は各RがHである過酸化水素であるが、その他は脂質ペルオキシドなどの有機ヒドロペルオキシドでより活性がある。ペルオキシダーゼは、活性部位におけるヘム補因子又は酸化還元活性システイン又はセレノシステイン残基を含有することができる。
【0035】
本明細書で使用される場合、語句「薬学的に許容される担体」は、当技術分野で認識されており、ほ乳類に本発明の化合物を投与するために適した薬学的に許容される物質、組成物又は媒体を含む。担体には、対象薬剤を1器官、又は体の一部から別の器官又は体の一部に運搬又は輸送することに関連する液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入物質が含まれる。各担体は、製剤のその他の成分に適合し、患者に対して有害ではないという意味で「許容」されていなければならない。例えば、細胞の投与のための薬学的に許容される担体は通常、注射によって送達するために許容される担体であり、界面活性剤又は送達する細胞に損傷を与え得るその他の化合物などの薬剤を含まない。薬学的に許容される担体として役立ち得る物質のいくつかの例には、乳糖、グルコース及びスクロースなどの糖類、コーンスターチ及び馬鈴薯デンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース並びにその誘導体、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオ脂及び座剤用ワックスなどの賦形剤、ピーナツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、発熱物質除去水、等張生理食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール、リン酸緩衝溶液並びに医薬製剤で使用されるその他の非毒性適合物質、特に眼内送達に好ましいリン酸緩衝生理食塩水溶液が含まれる。
【0036】
ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤及び滑沢剤並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯臭剤及び香料、保存剤及び抗酸化剤も組成物に存在することができる。
【0037】
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA、butylated hydroxyanisole)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、butylated hydroxytoluene)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤及びクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、ethylenediamine tetraacetic acid)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が含まれる。
【0038】
本発明の製剤には、経口、鼻腔、局所、経皮、頬側、舌下、筋肉内、腹腔内、眼内、硝子体内、網膜下及び/又はその他の非経口投与経路に適したものが含まれる。投与の特定の経路は特に、標的とする特定の細胞に依存する。製剤は、単位投与形態で便利に提示することができ、製薬業界では周知のいかなる方法によっても調製することができる。単回投与形態を生成するために担体物質と一緒にすることができる活性成分の量は一般的に、治療効果を生じる化合物の量である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「複数」は、2つ以上を意味するものと理解される。例えば、複数とは、少なくとも2、3、4、5、又はそれ以上を意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」又は「ペプチド」という用語は、共有結合(例えば、ペプチド結合)によって結合した、2又は3以上の独立して選択される天然又は非天然アミノ酸と理解される。ペプチドは、ペプチド結合によって結合した2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、又はそれ以上の天然又は非天然アミノ酸を含むことができる。本明細書で記載したポリペプチドには、完全長タンパク質(例えば、完全にプロセシングされたタンパク質)並びに短いアミノ酸配列(例えば、天然に生じるタンパク質の断片又は合成ポリペプチド断片)が含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「低分子」という用語は、約1500Da、1000Da、750Da、又は500Da以下の分子量を有する化合物、通常は有機化合物を意味する。一実施形態では、低分子には、天然のアミノ酸及び/又はヌクレオチドのみを含むポリペプチド又は核酸は含まれない。
【0042】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、生物、特にヒトを意味する。ある特定の実施形態では、生きた生物は動物で、ある特定の好ましい実施形態では、対象はほ乳類で、ある特定の実施形態では、対象は家畜化されたほ乳類又は非ヒト霊長類を含む霊長類である。対象の例には、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヤギ、及びヒツジが含まれる。ヒト対象はまた、対象又は患者と呼ばれることもある。
【0043】
本明細書で使用される場合、「スーパーオキシドジスムターゼ」は、スーパーオキシドを酸素及び過酸化水素に不均化する酵素と理解される。例には、限定はしないが、SOD1、SOD2及びSOD3が含まれる。Sod1及びSOD3は、ほ乳類に存在するCu-Zn含有スーパーオキシドジスムターゼ酵素の2つのアイソフォームである。Cu-Zn-SOD又はSOD1は、細胞内の空間に見いだされ、細胞外SOD(ECSOD又はSOD3)は主にほとんどの組織の細胞外マトリックスに見いだされる。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」とは、細胞又は対象に単回又は複数回投与することにより、このような障害を有する患者の生存を延長すること、障害の1又は2以上の徴候又は症状を軽減すること、そのような治療の非存在で予測されるものを上回る予防又は遅延などを行うことに有効な薬剤の量を意味する。
【0045】
薬剤又はその他の治療的介入は、単独で、或いは1又は2以上の追加的治療薬又は治療的介入と組み合わせて、従来の賦形剤、例えば、薬学的に許容される担体と混合した医薬組成物又は治療的処置として対象に投与することができる。
【0046】
医薬品は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co., Easton, PA, 1985)に記載されたように、単位投与形態で適宜投与することができ、製薬業界で周知の方法のいずれかによって調製することができる。非経口投与用の製剤は、滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物由来の油、水素化ナフタレンなどのような一般的な賦形剤を含有することができる。特に、生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー又はポリエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーは、特定の薬剤の放出を制御するために有用な賦形剤であり得る。
【0047】
本発明は、皮膚の健康を改善するため、及び/又は放射線誘発性皮膚炎を予防、低減、又は治療するため、皮膚ライトニング、及び/又はホワイトニングのためのNACAの使用に関する。一実施形態では、本発明は、ヒトに治療有効量のNACAを投与するステップを含む、ヒトにおける放射線皮膚炎の予防及び治療のための、N-アセチルシステインアミド(NACA)又は(2R、2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(diNACA)の使用のための方法を含む。一部の実施形態では、NACAを、薬学的に許容される担体中において、又は薬学的に許容される担体と共に提供する。その他の実施形態では、NACAは眼内、網膜下、硝子体内、経口、静脈内、筋肉内、局所、舌下又は直腸内に投与する。
【0048】
所与の療法で使用される活性化合物の実際に好ましい量は、例えば、利用する特定の化合物、製剤した特定の組成物、投与様式及び対象の特徴、例えば、対象の種、性別、体重、全身の健康状態及び年齢によって変化することは理解されたい。投与の所与の方法に最適な投与速度は、前記の指針に関して実施した従来の投薬量決定試験を使用して当業者によって容易に確認することができる。
【0049】
本明細書で規定した範囲は、範囲内の値全てを簡略に示したものと理解される。
【0050】
本明細書で使用される場合、本発明の実施形態は、それらの薬学的に許容される誘導体を含むものと定義される。「薬学的に許容される誘導体」とは、レシピエントへの投与時に、本発明の化合物を(直接的又は間接的に)提供することができる本発明の化合物のいかなる薬学的な塩、エステル、エステルの塩、又はその他の誘導体も意味する。特に好ましい誘導体は、このような化合物を哺乳類に投与したとき、(例えば、経口投与化合物を血液中により容易に吸収させるか、化合物の血清安定性を増大させるか、又は化合物のクリアランス速度を減少させることによって)本発明の化合物の生物学的利用率を増加させる誘導体か、或いは親種と比べて生物学的区画(例えば、脳又はリンパ系)への親化合物の送達を増強する誘導体である。誘導体には、水性溶解性又は腸管膜を通る能動輸送を増強する基が本明細書で記載した式の構造に付加されている誘導体が含まれる。
【0051】
本発明の実施形態は、選択的生物学的特性を増強するために適切な機能性を付加することによって変更してもよい。このような変更は当技術分野では公知で、所与の生物学的区画(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加させるもの、経口利用性を増加させるもの、注射による投与を可能にするために溶解性を増加させるもの、代謝を変化させるもの、及び排泄速度を変化させるものが含まれる。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、薬学的に許容される無機及び有機酸及び塩基に由来するものが含まれる。適切な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(palmoate)、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、及びウンデカン酸塩が含まれる。適切な塩基に由来する塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム、及びN-(アルキル)4塩が含まれる。本発明はまた、本明細書で開示した化合物のいかなる塩基性窒素含有基の四級化も想定している。水溶性又は油溶性又は分散性の生成物は、このような四級化によって得ることができる。
【0052】
本発明の実施形態は、例えば、注射によって、眼内、硝子体内、網膜下、静脈内、動脈内、真皮下、筋肉内、若しくは皮下に;又は経口、頬側、経鼻、経粘膜、カテーテルによって直接疾患器官に、局所的に、又は眼科用調製物で、体重1kg当たり約0.001~約100mgの範囲の投薬量で、又は特定の薬物の必要条件に従って、より好ましくは体重1kg当たり0.5~10mgで投与することができる。化合物を直接目に送達するとき、体重などの考慮はあまり用量と関係がないと理解される。
【0053】
投与の頻度は、投与した薬剤、対象における疾患又は状態の進行及び当業者に公知のその他の考慮に左右される。例えば、目に送達する組成物は、眼内の区画に送達する組成物であっても、薬物動態及び薬力学的考慮は異なっており、例えば、網膜下空間でのクリアランスは非常に低い。したがって、投与は、月1回、3カ月に1回、6カ月に1回、1年に1回、5年に1回又はそれより少ない頻度であってもよい。抗酸化剤の全身投与を、網膜下空間への発現構築物の投与と併用して実施するならば、抗酸化剤の投与頻度は、発現構築物よりも多く、例えば、1日1又は2回以上、週に1又は2回以上であることが予測される。
【0054】
図1。GSSG、NPI-001、及びdiNACA治療によって、RHE色素沈着が減少した。
【0055】
図2。GSSG、NPI-001及びdiNACA治療によって、メラニン抽出が減少した。メラニン(mg/ml)は、治療して0日、7日、及び14日後にRHEから抽出した。エラーバーは標準偏差を表す。N-4は治療当たりの試料数である。統計解析は、採取日に未治療の対照と比較してダネット多重比較での一元配置ANOVAによって実施した。(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。
【0056】
図3。NPI-001及びdiNACAによって、UVA誘発酸化的皮膚損傷に曝露されたヒト皮膚におけるチオールの産生レベルが増加した。
【0057】
NPI-001及びNPI2の皮膚における色素沈着を減少させる能力を評価するための再構築されたヒト上皮(RHE)モデル:
【0058】
アフリカ系アメリカ人由来のメラニン細胞を含む再構築されたヒト上皮(RHE)は、MatTek社から入手した(MelanoDerm(商標)カタログ番号MEL-300B)。RHEは、1日おきに培地を再適用し、基底処理を施して14日間培養した。0日目、7日目、14日目のRHEを写真撮影し、メラニン抽出のために凍結した。
【0059】
14日目にRHEを採取した後、培養物を1%炭酸水素ナトリウムに30分間浸し、Solvable(商標)試薬500μlを含むエッペンドルフ管に移し、60℃で一晩インキュベーションした。合成メラニン標準曲線をSolvable(商標)試薬によって0.5~0.0039mg/mlの2倍希釈で作成した。抽出したメラニン200μlを96ウェルプレートに移し、490nmで読み取って定量した。要約すると:
【0060】
目視によるスコアリング及びメラニン抽出の両方によって、NPI-001(NACA10mM)は、2%GSSG及びdiNACA10mMの治療の療法よりも格段に14日間にわたるMelanoDerm(商標)RHE培養物の色素沈着を阻害することに成功した。
【0061】
GSSG、NPI-001(NACA10mM)、及びdiNACA(10mM)の治療は、相対する日の未治療対照試料と比較して、色素沈着を有意に阻害した。
【0062】
NPI-001(NACA10mM)及びdiNACA(10mM)の放射線(UVA)曝露時のヒト皮膚移植物(human skin explants)への影響。
【0063】
10%DMSO/水に溶解又は懸濁した最終濃度100mMのNPI-001及びdiNACA(NPI-001 16.2mg/ml;diNACA32.2mg/ml)を、UVA曝露(24J/cm2曝露)の30分前に約18μl/cm2(約6μl/0.33cm2)で局所的に塗布した場合及び塗布しなかった場合で、トランスウェルに入れたメラニン色素の薄いヒト皮膚移植物(シングルドナー、n=6)をUVA放射(24J/cm2)に曝露した。UVA曝露の24時間後に組織を採取し、半分に切断し、表皮層及び真皮層に熱分離して、重量を測定し、真皮層及び表皮層を直ちに誘導体化溶液に浸して、LCMSによって分析した。UVAの30分前のNPI-001及びdiNACA治療によっていずれも、真皮GSSGの統計的有意な増加が引き起こされた。
【0064】
投与量は、放射線皮膚炎、放射線による皮膚への損傷、皮膚ライトニング、ホワイトニング、又は皮膚の健康の改善と関連して決定することができる。単回投与形態を生成するために担体物質と一緒にすることができる活性成分の量は、治療する宿主及び特定の投与様式に応じて変化するだろう。典型的な調製物は、約1%~約95%の活性化合物(w/w)を含有する。或いは、このような調製物は、約20%~約80%の活性化合物を含有する。上に列挙したものよりも低い又は高い用量を必要とすることもある。いかなる特定の患者についても特定の投薬及び治療計画は、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、全身的な健康状態、性別、食事内容、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、疾患、状態又は症状の重症度及び経過、疾患、状態又は症状に対する患者の素質及び担当医師の判断を含む様々な要素に左右される。
【0065】
別の態様では、NACA又はdiNACAは、外用製品、例えば日焼け止め製品において有用な薬剤であり、それによって皮膚細胞を放射線による損傷から保護するように作用することができる。NACA又はdiNACAは、単独で、又は日焼け止め製品において互いに、若しくは他の薬剤と組み合わせて使用することができよう。
【0066】
別の態様では、NACA又はdiNACAは、色素性乾皮症を治療するか、又は色素性乾皮症の患者を日光若しくはその他の放射線への曝露によって引き起こされる皮膚の損傷から保護するための有用な薬剤となり得る。
【0067】
別の態様では、NACA又はdiNACAは、皮膚における酸化的ストレスに起因する皮膚の損傷を引き起こす薬剤の皮膚における影響の予防又は治療に有用であり得る。これには、生物兵器、化学熱傷、熱傷、摩擦によって引き起こされる接触性損傷、接触性皮膚炎、過敏症反応、及び皮膚のしわ、及び脱水が含まれるが、これらには限定されない。
【0068】
医薬組成物は、滅菌した注射可能な調製物の形態、例えば、滅菌した注射可能な水性又は油性懸濁液であってよい。この懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤(例えば、TWEEN(登録商標)80など)及び懸濁剤を使用して当技術分野で公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌した注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌した注射可能な溶液又は懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオールの溶液としてであってもよい。許容される媒体及び溶媒の中でも使用できるのは、マンニトール、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌した不揮発性油は溶媒又は懸濁媒として以前から使用されている。このために、合成モノ若しくはジグリセリドを含むいかなる無刺激性の不揮発性油も使用することができる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸、特にそれらのポリオキシエチレン化種は、オリーブ油又はヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油であるので、注射可能な調製物において有用である。これらの油溶液又は懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤又はカルボキシメチルセルロース又はエマルジョン及び/若しくは懸濁液などの薬学的に許容される投与形態の製剤において通常使用される類似の分散剤を含有していてもよい。TWEEN(登録商標)若しくはSPAN(登録商標)などのその他の一般的に使用される界面活性剤及び/又は薬学的に許容される固形物、液体若しくはその他の投与形態の製造において一般的に使用されるその他の類似の乳化剤又は生物学的利用率増強剤も製剤のために使用することができる。
【0069】
1又は2以上の実施形態では、NAC、NACA、又はdiNACAは約0.5~150mg/Kgの1日用量で投与される。その他の実施形態では、NACAは1日2又は3回投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤;から選択される第2の活性薬剤と共に投与される。
【0070】
一部の実施形態では、投与のためのNAC、NACA、又はdiNACAの用量は、1回当たり100、150、150、300、333、400、500、600、700、750、800、900、1,000、2,500、5,000、7,500、又は10,000mgである。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり0.1~0.25、0.1~0.4、0.35~0.5、0.5~1、102、1~3、1~4、1~5、1~2.5、2.5~3.5、4~6、5~8、6~9、7~10グラムである。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、ミニ錠剤、カプセル、錠剤、発泡剤、デュアル放出、混合放出、サシェ、粉末、又は液剤によって経口的に送達される。別の態様では、NACAは皮膚の健康を改善するため、及び/又は放射線誘発性皮膚炎の予防、低減、若しくは治療のため、皮膚ライトニング、及び/又はホワイトニングのために予防的に投与される。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、放射線誘発性皮膚炎の治療、皮膚ライトニング及び/又はホワイトニングのため、及び皮膚の健康を改善するための方法であって、加齢黄斑変性の治療を必要とするヒトを特定するステップ、並びに皮膚の健康の改善、及び/又は放射線誘発性皮膚炎の予防、低減、若しくは治療、皮膚ライトニング、及び/又はホワイトニングのために十分な治療有効量のNAC、NACA、又はdiNACAをヒトに投与するステップを含む方法を含む。前記で定義したその他の実施形態と同様に、NAC、NACA、又はdiNACAは約0.5~150mg/Kgの1日用量で投与されることは理解されるだろう。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは1日2回又は3回投与される。別の態様では、NACAを上記で開示したような第2の活性薬剤と共に投与される。
【0072】
別の態様では、投与のためのNAC、NACA、又はdiNACAの用量は、1回当たり100、150、150、300、333、400、500、600、700、750、800、900、1,000、2,500、5,000、7,500、又は10,000mgである。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり0.1~0.25、0.1~0.4、0.35~0.5、0.5~1、102、1~3、1~4、1~5、1~2.5、2.5~3.5、4~6、5~8、6~9、7~10グラムである。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、ミニ錠剤、カプセル、錠剤、発泡剤、デュアル放出、混合放出、サシェ、粉末、又は液剤によって経口的に送達される。別の態様では、NACAは皮膚の健康を改善するため、及び/又は放射線誘発性皮膚炎の予防、低減、若しくは治療のため、皮膚ライトニング、及び/又はホワイトニングのために予防的に投与される。
【0073】
本明細書で使用される場合、特定の疾患又は状態などに「感受性のある」(susceptible to)又は「傾向がある」(prone to)又は「罹りやすい」(predisposed to)とは、遺伝、環境、健康状態及び/又はその他の危険因子に基づいて、一般集団よりも疾患又は状態を発症しやすい個体を意味する。疾患を発症する可能性の増加は、約10%、20%、50%、100%、150%、200%又はそれ以上の増加であってもよい。
【0074】
一実施形態によれば、本発明は、動物又はヒトに、治療有効量のN-アセチルシステインアミドNAC、NACA、又はdiNACAを投与するステップを含む、本質的にこのステップからなる、又はこのステップからなる、動物又はヒトにおける放射線皮膚炎、放射線による皮膚への損傷のうちの少なくとも1つの予防及び/又は治療、皮膚ライトニング、ホワイトニング、又は皮膚の健康の改善ための、N-アセチルシステイン(NAC)、N-アセチルシステインアミド(NACA)、又は(2R、2R’)-3,3’-ジスルファンジイルビス(2-アセトアミドプロパンアミド)(diNACA)の使用のための方法を提供する。一態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、薬学的に許容される担体中において、又は薬学的に許容される担体と共に提供される。別の態様では、NACAは、眼内、網膜下、硝子体内、経口、静脈内、筋肉内、局所、舌下、皮膚への注射によって、又は直腸内に投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは1日用量約0.5~150mg/Kgで投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは1日2回又は3回投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、又はリン酸のうちの少なくとも1つから選択される第2の活性薬剤と共に投与される。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり100、150、150、300、333、400、500、600、700、750、800、900、1,000、2,500、5,000、7,500、又は10,000mgである。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり0.1~0.25、0.1~0.4、0.35~0.5、0.5~1、1~2、1~3、1~4、1~5、1~2.5、2.5~3.5、4~6、5~8、6~9、7~10グラムである。別の態様では、NACAは、ミニ錠剤、カプセル、錠剤、発泡剤、デュアル放出、混合放出、サシェ、粉末、又は液剤によって経口的に送達される。別の態様では、NACAは、放射線皮膚炎を予防及び/又は治療するため、皮膚ライトニング、ホワイトニングのために、又は皮膚の健康を改善するために予防的に投与される。別の態様では、動物はヒトである。一態様では、この方法は、放射線による損傷から皮膚細胞を保護するために外用剤を添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、色素性乾皮症の治療のための活性薬剤、又は色素性乾皮症の患者の皮膚を日光若しくはその他の放射線への曝露によって引き起こされる皮膚の損傷から保護する保護のための活性薬剤を添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、生物兵器、化学熱傷、熱傷、摩擦によって引き起こされる接触性損傷、接触性皮膚炎、過敏症反応、及び皮膚のしわ、及び脱水の治療のための活性薬剤を添加するステップをさらに含む。
【0075】
別の実施形態によれば、本発明は、放射線皮膚炎の予防及び/又は治療、皮膚ライトニング、ホワイトニングのため、又は皮膚の健康を改善するための方法であって、放射線皮膚炎の予防及び/又は治療、皮膚ライトニング、ホワイトニング、又は皮膚の健康を改善することを必要とするヒトを特定するステップ、並びに放射線皮膚炎の予防及び/又は治療、皮膚ライトニング、ホワイトニング、又は皮膚の健康を改善するために十分な治療有効量のNAC、NACA、又はdiNACAをヒトに投与するステップを含む、これらのステップから本質的になる、又はこれらのステップからなる方法を含む。一態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、薬学的に許容される担体中において、又は薬学的に許容される担体と共に提供される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、眼内、網膜下、硝子体内、経口、静脈内、筋肉内、局所、舌下、皮膚、皮下、皮膚への注射によって、又は直腸内に投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは約0.5~150mg/Kgの1日用量で投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは1日2回又は3回投与される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、又はリン酸のうちの少なくとも1つから選択される第2の活性薬剤と共に投与される。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり100、150、150、300、333、400、500、600、700、750、800、900、1,000、2,500、5,000、7,500、又は10,000mgである。別の態様では、投与のための用量は、1回当たり0.1~0.25、0.1~0.4、0.35~0.5、0.5~1、1~2、1~3、1~4、1~5、1~2.5、2.5~3.5、4~6、5~8、6~9、7~10グラムである。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、ミニ錠剤、カプセル、錠剤、発泡剤、デュアル放出、混合放出、サシェ、粉末、又は液剤によって経口的に送達される。別の態様では、NAC、NACA、又はdiNACAは、放射線皮膚炎を予防及び/又は治療するため、皮膚ライトニング、ホワイトニングのため、又は皮膚の健康を改善するために予防的に投与される。一態様では、この方法は、放射線による損傷から皮膚細胞を保護するための外用剤を添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、色素性乾皮症の治療のための活性薬剤、又は色素性乾皮症の患者の皮膚を日光又はその他の放射線への曝露によって引き起こされる皮膚の損傷から保護する保護のための活性薬剤を添加するステップをさらに含む。一態様では、この方法は、生物兵器、化学熱傷、熱傷、摩擦によって引き起こされる接触性損傷、接触性皮膚炎、過敏症反応、及び皮膚のしわ、及び脱水の治療のための活性薬剤を添加するステップをさらに含む。
【0076】
本明細書で論じたいかなる実施形態も本発明のいかなる方法、キット、試薬又は組成物に関して実施することができ、逆の場合も同じであると考えられる。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を実現するために使用することができる。
【0077】
本明細書で記載した特定の実施形態は例示のために示されており、本発明を限定するものではないことを理解されたい。本発明の主要な特色は、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な実施形態で使用することができる。当業者であれば、日常操作的な実験のみを使用して、本明細書で記載した特定の手順には数多くの同等物があることを認識するか、又は確認することができるであろう。このような同等物は、本発明の範囲内であると考えられ、特許請求の範囲の対象となる。
【0078】
本明細書で言及した刊行物及び特許出願は全て、本発明が関係する当業者の技術レベルの指標となる。刊行物及び特許出願は全て、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されるのと同程度に、本明細書に参照により組み込まれる。
【0079】
特許請求の範囲及び/又は明細書において「含む(comprising)」という用語と併用して使用するとき、「a」又は「an」という語の使用は、「1つ(one)」を意味していてもよいが、「1又は2以上(one or more)」、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1又は1より多い(one or more than one)」の意味とも合致する。特許請求の範囲における「又は(or)」という用語の使用は、開示が選択肢のみ及び「及び/又は」を意味する定義を支持していても、選択肢のみを意味しているか、又は選択肢が互いに排他的であることが明示的に示されていなければ、「及び/又は」を意味するために使用される。本明細書全体にわたって、「約」という用語は、値の決定に使用されているデバイス、方法に本来備わっている誤差の変動、又は研究対象間に存在する変動が値に含まれることを示すために使用される。
【0080】
本明細書及び特許請求の範囲で使用したように、「含む(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの含む(comprising)のいかなる形態)、「有する(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」などの有する(having)のいかなる形態)、「含む(including)」(及び「含む(includes)」及び「含む(include)」などの含む(including)のいかなる形態)又は「含有する(containing)」(及び「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」などの含有する(containing)のいかなる形態)の用語は包括的又はオープンエンドであり、列挙されていない付加的な要素又は方法ステップを排除しない。本明細書で規定した組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「含む(comprising)」は、「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」と置換することができる。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、特定の整数又はステップ並びに特許請求された発明の特質又は機能に実質的に影響を及ぼさないものを必要とする。本明細書で使用される場合、用語「からなる」は、引用した整数(例えば、特色、要素、特徴、特性、方法/方法ステップ又は制限)又は整数の群(例えば、特色、要素、特徴、特性、方法/方法ステップ又は制限)のみの存在を示すために用いられる。
【0081】
本明細書で使用される場合「又はそれらの組合せ(or combinations thereof)」という用語は、用語の前に挙げた事項の配列及び組合せ全てを意味する。例えば、「A、B、C又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCのうちの少なくとも1つを含むことを意図しており、特定の文脈において順番が重要ならば、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABも含むことを意図する。この例に続いて、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1又は2以上の事項又は用語の反復を含有する組合せも明らかに含まれる。当業者であれば、文脈から明らかでない限り、通常、いかなる組合せにおいても事項又は用語の数には制限がないことが理解されよう。
【0082】
本明細書で使用される場合、限定はしないが、「約(about)」、「実質的(substantial)」又は「実質的に(substantially)」などの近似を示す語は、そのように修飾されたとき絶対的又は完全である必要はないと思われるが、提示したような条件を指定することが正当であると当業者にとってほぼ考えられる条件を意味する。記載の変動可能な範囲は、変化がどのような大きさで起こり得るかに左右され、変更された特徴が変更していない特徴の必要な特徴及び能力をまだ備えていることをまだ当業者が認識できる範囲である。一般的に、しかし前述の考察次第で、「約(about)」などの近似の語によって修飾された本明細書の数値は、提示された値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12又は15%変化していてもよい。
【0083】
さらに、本明細書の項目の見出しは、米国特許法施行規則第1.77条の提案との整合性を保つために提供されるか、又はその他の組織的な手がかりを提供する。これらの見出しは、本開示から生じ得るいかなる請求項においても記載される本発明を限定又は特徴付けるものではない。特に例としては、見出しが「技術分野」を意味していても、このような特許請求の範囲は、この見出しの下におけるいわゆる技術分野を説明するための言葉によって限定されるべきではない。さらに、「背景技術」の項目における技術の記載は、技術が本開示のいかなる発明に対しても先行技術であることを承認すると解釈されるものではない。「概要」も、提示された特許請求の範囲に記載した本発明を特徴付けるものと見なされるものではない。さらに、本開示において単数形の「発明」のいかなる参照も、本開示における新規な点が1つのみであることを主張するために使用するべきではない。本開示による複数の請求項の制限に従って複数の発明を記載することができ、したがってこのような請求項はそれによって保護される本発明及びその同等物を規定する。いかなる場合においても、このような請求項の範囲は、本開示を考慮してそれらの長所に関して検討されるが、本明細書で記載した見出しによって制約されるべきではない。
【0084】
本明細書で開示し、請求した組成物及び/又は方法は全て、本開示に関して不必要な実験を行うことなく作製し、実行することができる。本発明の組成物及び方法は好ましい実施形態を用いて記載したが、当業者であれば、本発明の概念、精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書で記載した組成物及び/又は方法及びステップ又は方法のステップの順番に変更を加えることができることを理解するだろう。添付の特許請求の範囲によって定義したように、当業者に明らかなこのような類似の置換及び改変は全て、本発明の精神、範囲及び概念内にあると見なされる。
図1
図2
図3