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特許7631211ウイルス送達のためのメソポーラスシリカ粒子組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】ウイルス送達のためのメソポーラスシリカ粒子組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/04 20060101AFI20250210BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250210BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20250210BHJP
   A61K 47/52 20170101ALI20250210BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20250210BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20250210BHJP
   A61K 35/763 20150101ALI20250210BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20250210BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
A61K47/04
A61K9/14
A61K48/00
A61K47/69
A61K47/52
A61K35/76 ZNA
A61K35/761
A61K35/763
A61K39/00 G
A61P35/00
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2021549606
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020019461
(87)【国際公開番号】W WO2020176397
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】62/810,260
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】コシー,サンディープ タリアン
(72)【発明者】
【氏名】キャナム,スティーブン エム
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/013797(WO,A1)
【文献】Journal of Controlled Release,2019年01月25日,Vol.297,pp.48-59
【文献】Nano Lett.,2014年,Vol.14,pp.3023-3032
【文献】nature biotechnology,2018年,Vol.36(2),pp.160-169, ONLINE METHODS
【文献】Nat. Mater.,2018年,Vol.17(6),pp.528-534
【文献】Journal of Cellular Immunotherapy ,2016年,Vol.2,pp.59-68
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00
A61K 35/00
A61K 38/00
A61K 48/00
A61K 9/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物であって、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団が表面修飾されており、かつ表面修飾が一級、二級、三級、もしくは四級アミン、またはポリエチレンイミンを含む、組成物
【請求項2】
ウイルスベクターがメソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ウイルスベクターがメソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている、請求項1または2に記載の組成物
【請求項4】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾が、一級、二級、三級または四級アミンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾がポリエチレンイミンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリエチレンイミン、または一級、二級、三級もしくは四級アミンが、リンカーによってシリカ表面から分離される、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
表面修飾の一般的な構造が以下:
【化1】
であり、式中、Lはリンカーであり、およびXは一級、二級、三級もしくは四級アミンまたはポリエチレンイミンである、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾が以下の構造:
【化2】
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾がトリメチルアンモニウムを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾がN,N,N-トリメチルプロパン-1-アンモニウムを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
リンカーがC ~C 20 アルキルもしくは(-O(CH2-CH -) 1~25 リンカーである、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項12】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団が、その表面がトリアルコキシシリル化合物またはトリヒドロキシシリル化合物を用いて共有結合的に修飾される、請求項1~11の何れか1項に記載の組成物。
【請求項13】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
(a)メソポーラスシリカ粒子が直径2~50nmの細孔を含む;
(b)ソポーラスシリカ粒子が、少なくとも約100m/gの表面積を有する;かつ/または
(c)組成物が注射用に適している、
請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
ウイルスベクターが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスまたはレンチウイルスである、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
ウイルスベクターがヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
ヌクレオチド配列が、
(i)キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR、1つ以上のサイトカイン、1つ以上のケモカイン、阻害分子を遮断するためのshRNA、またはタンパク質の発現を誘導するためのmRNA;または
(ii)腫瘍抗原を標的とするポリペプチド、
をコードする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
CARが抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域およびシグナル伝達ドメインを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
(i)抗原結合ドメインが腫瘍抗原に結合する;および/または
(ii)シグナル伝達ドメインがCD3ゼータシグナル伝達ドメインである、
請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
腫瘍抗原が、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、Prostase、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1またはその任意の組み合わせ、から選択される、請求項17~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
(i)T細胞刺激化合物もしくは腫瘍抗原;および/または
(ii)サイトカイン、
をさらに含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
T細胞刺激化合物または腫瘍抗原が、IL-2、IL-15、抗CD2mAb、抗CD3mAb、抗CD28mAb、ネオ抗原ペプチド、TRP2、gp100、腫瘍細胞溶解物、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCRまたはその組み合わせである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
メソポーラスシリカ粒子の第2の集団をさらに含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
T細胞刺激化合物または腫瘍抗原が、
(i)メソポーラスシリカ粒子の第1の集団もしくはメソポーラスシリカ粒子の第2の集団;または
(ii)メソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープ、
にコンジュゲートまたは吸着されている、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
サイトカインが、
(i)メソポーラスシリカ粒子の第1もしくは第2の集団にコンジュゲートもしくは吸着されている;および/または
(ii)IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21もしくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)、またはその組み合わせである、
請求項21~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
ウイルスベクターが負に帯電しており、かつウイルスベクターがメソポーラスシリカの第1の集団に静電的にコンジュゲートされている、請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
Tリンパ球を請求項1~26のいずれか1項に記載の組成物とインビトロで接触させる工程を含む、方法。
【請求項28】
Tリンパ球をT細胞刺激化合物または腫瘍抗原とインビトロで接触させる工程をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
Tリンパ球をT細胞刺激化合物または腫瘍抗原とインビトロで接触させる事によって、Tリンパ球を活性化する工程をさらに含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
(a)Tリンパ球集団を請求項1~26のいずれか1項に記載の組成物と接触させる工程;および
(b)Tリンパ球集団をT細胞刺激組成物または腫瘍抗原と接触させる工程、
を含むT細胞集団をインビトロで増殖させる方法。
【請求項31】
T細胞刺激化合物または腫瘍抗原が、IL-2、IL-15、抗CD2mAb、抗CD3mAb、抗CD28mAb、ネオ抗原ペプチド、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCRまたはその組み合わせである、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
T細胞刺激化合物または腫瘍抗原が、
(i)メソポーラスシリカ粒子の第1の集団もしくはメソポーラスシリカ粒子の第2の集団;および/または
(ii)メソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープ、
にコンジュゲートまたは吸着されている、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
Tリンパ球をサイトカインとインビトロで接触させる工程をさらに含む、請求項27~32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
サイトカインが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21もしくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)、またはその組み合わせである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1~26の何れか1項に記載の組成物および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項36】
患、障害または状態を有する対象を処置する方法における使用のための、請求項1~26の何れか1項に記載の組成物または請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
疾患、障害または状態が、
(i)腫瘍抗原の上昇した発現と関連し、かつ/または
(ii)がんである、
請求項36に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項38】
患、障害または状態を有する対象を処置するための医薬の製造における、請求項1~26の何れか1項に記載の組成物または請求項35に記載の医薬組成物の使用。
【請求項39】
疾患、障害または状態が、
(i)腫瘍抗原の上昇した発現と関連し、かつ/または
(ii)がんである、
請求項38に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2019年2月25日に出願された米国特許出願第62/810,260号明細書に対する優先権を主張する。
【0002】
配列表
本願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年2月20日に作成された前記ASCIIコピーは、N2067-7161WO_SL.txtという名称であり、サイズが232,920バイトである。
【0003】
本発明は、概して、ウイルスベクター又は原薬の送達のためのメソポーラスシリカ組成物の使用に関する。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、疾患、例えば腫瘍抗原の発現に関連する疾患を有する対象を処置するために、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されているヌクレオチド配列を含む。
【背景技術】
【0004】
T細胞養子移入プロトコルは、CAR T細胞療法がB細胞悪性腫瘍の処置のために最近承認された癌などの多くの治療用途における可能性を示している。ウイルスベクター又は原薬を局所的に送達し、効率的な製造プロセスを見出す必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物が本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH2-CH-)1~25リンカーを使用する。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス又はレンチウイルスである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR、1つ以上のサイトカイン、1つ以上のケモカイン、阻害分子を遮断するためのshRNAをコードするか、又はヌクレオチド配列は、タンパク質の発現を誘導するためのmRNAを含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、腫瘍抗原を標的とするように操作されたポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、Prostase、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される腫瘍抗原を標的とする。いくつかの実施形態において、タンパク質は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域及びシグナル伝達ドメインを含むCARである。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態において、組成物は、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原を更に含む。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されており、T細胞刺激化合物は、IL-2、IL-15、抗CD2 mAb、抗CD3 mAb、抗CD28 mAb、ネオ抗原ペプチド、TRP2などの共通抗原からのペプチド、gp100、腫瘍細胞溶解物、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCR又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている。組成物がメソポーラスシリカ粒子の第2の集団を含むいくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、組成物は、サイトカインを更に含む。いくつかの実施形態において、サイトカインは、メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団にコンジュゲート又は吸着されている。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、2~50nmの直径の細孔を含む。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、少なくとも約100m/gの表面積を有する。いくつかの実施形態において、組成物は、注射用に適している。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である。
【0006】
Tリンパ球を、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物と接触させることを含む方法も本明細書で企図され、ここで、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態において、接触させることは、インビトロで生じる。いくつかの実施形態において、Tリンパ球は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団と接触する前又は後に活性化される。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH-CH-)1~25リンカーを使用する。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンで表面修飾されている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルスである。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする。いくつかの実施形態において、CARは、腫瘍抗原を標的とするように操作されている。いくつかの実施形態において、Tリンパ球は、Tリンパ球をT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原と接触させることによって活性化される。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されている。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープに直接コンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、方法は、Tリンパ球をサイトカインと接触させることを更に含む。いくつかの実施形態において、サイトカインは、培地中にあるか、又はメソポーラスシリカ粒子の第1若しくは第2の集団にコンジュゲート若しくは吸着されている。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である。
【0007】
インビボで組換えポリヌクレオチドによってTリンパ球を遺伝的に形質導入する方法であって、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を、1つ以上のTリンパ球を有する対象に投与することを含む方法も本明細書で企図され、ここで、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含み、組成物が1つ以上のTリンパ球と接触すると、Tリンパ球は、組換えポリヌクレオチドによって遺伝的に形質導入される。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH-CH-)1~25リンカーを使用する。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンで表面修飾されている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルスである。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする。いくつかの実施形態において、CARは、腫瘍抗原を標的とするように操作されている。いくつかの実施形態において、組成物は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されたT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原を更に含む。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている。いくつかの実施形態において、組成物は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団を含み、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープに直接コンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団は、メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団にコンジュゲート又は吸着されたサイトカインを更に含む。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、対象のTリンパ球は、インビボで増殖する。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である。
【0008】
インビトロでTリンパ球集団を増殖させる方法であって、(a)Tリンパ球集団を、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団と、形質導入されたTリンパ球集団を提供するためのウイルスベクターとを含む組成物と接触させること;及び(b)形質導入されたTリンパ球集団をT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原及び任意選択によりサイトカインと接触させることを含む方法も本明細書で企図され、ここで、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH-CH-)1~25リンカーを使用する。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンで表面修飾されている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルスである。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする。いくつかの実施形態において、CARは、腫瘍抗原を標的とするように操作されている。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されており、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、IL-2、IL-15、抗CD2 mAb、抗CD3 mAb、抗CD28 mAb、ネオ抗原ペプチド、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCR又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている。メソポーラスシリカ粒子の第2の集団を含むいくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、方法は、(c)Tリンパ球をサイトカインと接触させることを更に含み、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である。
【0009】
腫瘍抗原の上昇した発現と関連する疾患、傷害又は状態を有する対象を処置する方法も本明細書で企図され、方法は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を対象に投与することであって、ウイルスベクターは、腫瘍抗原を標的とするように操作されているキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む、投与することを含み、それにより対象を処置する。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH-CH-)1~25リンカーを使用する。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンで表面修飾されている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルスである。いくつかの実施形態において、組成物は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されたT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原を更に含む。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている。組成物がメソポーラスシリカ粒子の第2の集団を含むいくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープに直接コンジュゲートされており、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、IL-2、IL-15、抗CD2 mAb、抗CD3 mAb、抗CD28 mAb、ネオ抗原ペプチド、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCR又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団は、メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団にコンジュゲート又は吸着されたサイトカインを更に含む。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である。
【0010】
ウイルスベクターを対象における所望の作用部位に送達する方法であって、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を対象に投与することを含む方法も本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、C1~20アルキルアミン、C1~20カルボン酸、C1~20アジド及び置換又は非置換のC1~20アルキルである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス又はレンチウイルスである。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、2~50nmの直径の細孔を含む。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、少なくとも約100m/gの表面積を有する。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である。
【0011】
キメラ抗原受容体(CAR)T(CAR-T)細胞集団を増殖させる方法であって、CAR-T細胞集団を、標的部分にコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子と接触させることを含む方法も本明細書で企図され、ここで、標的部分は、CARに相補的である。いくつかの実施形態において、CARは、腫瘍抗原を標的とするように操作されたタンパク質である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、Prostase、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である。
【0012】
ポリエチレンイミンにコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子を含む組成物も本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である。いくつかの実施形態において、組成物は、活性剤を更に含む。いくつかの実施形態において、活性剤は、メソポーラスシリカ粒子に吸収又は吸着されている。
【0013】
活性剤を対象における所望の作用部位に送達する方法であって、ポリエチレンイミンにコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子を含み、且つ活性剤を更に含む組成物を対象に投与することを含む方法も本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、活性剤は、メソポーラスシリカ粒子に吸収又は吸着されている。いくつかの実施形態において、組成物は、対象への活性剤の持続的送達を提供する。
【0014】
疾患、障害又は状態を有する対象を処置する方法であって、ポリエチレンイミンにコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子を含み、且つ活性剤を更に含む組成物を対象に投与することを含む方法も本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、活性剤は、メソポーラスシリカ粒子に吸収又は吸着されている。いくつかの実施形態において、疾患、障害又は状態は、腫瘍抗原に関連している。
【0015】
疾患、障害又は状態を有する対象を処置する方法における使用のための、ポリエチレンイミンにコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子を含み、且つ活性剤を更に含む組成物も本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、活性剤は、メソポーラスシリカ粒子に吸収又は吸着されている。いくつかの実施形態において、疾患、障害又は状態は、腫瘍抗原に関連している。疾患、障害又は状態を有する対象を処置する方法における使用のための、本明細書に記載されるように製造された細胞を含む組成物も本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、疾患、障害又は状態は、腫瘍抗原に関連している。
【0016】
特許又は出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。カラーの図面を伴う本特許又は特許出願公開の複写は、請求及び必要な料金の支払いに応じて特許庁により提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】メソポーラスシリカ粒子の一連の表面修飾を示す。
図2】VSV-G疑似型レンチウイルスをMSRに吸着させた後の、MSR表面上のウイルスエンベロープタンパク質(VSV-G)の染色からの結果を示す。対照MSRは、上のパネルに表示され、ウイルスでインキュベートされたロッドは、下のパネルに示される。
図3】MSRへのウイルス吸着及びT細胞の形質導入の概略図である。
図4】遊離レンチウイルス又はMSR結合レンチウイルスとインキュベートしたT細胞によるGFP発現の結果を提供する。ウイルスでコーティングされたMSRの40μg/ml開始濃度からの希釈は、示されるとおりである。「1×レンチ」条件は、MSR条件でインキュベートされたウイルスの量に相当する。「2×レンチ」条件は、MSR条件をコーティングするために使用される量の2倍に相当する。
図5】MSR表面でのリガンド提示のための全体的な戦略の概略図を提供する。リポソームをMSRとインキュベートして、支持された脂質二重層を形成する。ストレプトアビジン-ビオチン相互作用を使用して、リガンドをMSR-脂質二重層に結合させることができる。
図6】1モル%のPE-カルボキシフルオレセインを含有するPOPCリポソームでコーティングされたMSRの写真を示す。明視野(左)、蛍光(中央)及びオーバーレイ(右)の画像が示される。
図7】EGFRvIII CAR結合ペプチドのペプチド配列(LEEKKGNYVVTDH(配列番号674))を示す。
図8】MSRへのペプチド固定化によるEGFRvIII CARTのサイトカイン産生を示す。結果は、対照条件と比較して、EGFRvIII-CAR結合ペプチドを提示する脂質コーティングMSR(脂質コーティング中、1%PE-ビオチン)によって刺激されたEGFRvIII CARTのインターフェロンガンマ及びインターロイキン-2産生を提供する。
図9】MSRへのペプチド固定化によるEGFRvIII CARTの増殖を示す。0.01%PE-ビオチンの脂質コーティングMSR組成物がペプチド固定化に使用され、MSR濃度は、ウェル内で30μg/mlであった。細胞数は、示された条件下で培養の7日目に実施された。
図10A-10B】MSRへのペプチド固定化によるEGFRvIII CARTの増殖及び最終的な細胞組成を示す。開始MSR濃度は、50μg/mlであり、この開始濃度からのMSRの希釈は、軸に示されているとおりである。図10A:示された材料による培養期間の終了時のCD4及びCD8T細胞のパーセンテージ。図10B:MSR表面に抗CD28を有する又は有しない様々な量のEGFRvIII CAR結合ペプチドを含むMSRを使用して、3日間の培養期間中にCFSEを希釈するCD8+及びCD4+ CAR T細胞のFACS分析。
図11A-11B】MSRへのBCMAタンパク質固定化によるBCMA CARTの増殖及び最終的な細胞組成を示す。開始MSR濃度は、50μg/mlであり、この開始濃度からのMSRの希釈は、軸に示されているとおりである。図11A:示された材料による培養期間の終了時のCD4及びCD8T細胞のパーセンテージ。図11B:MSR表面に抗CD28を有する又は有しない様々な量のEGFRvIII CAR結合ペプチドを含むMSRを使用して、3日間の培養期間中にCFSEを希釈するCD8+及びCD4+ CAR T細胞のFACS分析。
図12】いくつかの実施形態による、MSRを使用した非刺激ヒトT細胞の同時刺激及び形質導入の概略図を示す。MSRの2つの集団が生成される - 1)T細胞を刺激するアゴニスト性CD3/CD28抗体を提示するMSR、2)T細胞へのウイルス送達を促進するためにレンチウイルスと結合した正に帯電したPEI-MSR。2種類のMSRを異なる比率で混合して、T細胞が曝露される刺激及びウイルスの量を調整することができる。
図13】ウイルスと共にインキュベートされた刺激性(抗CD3/CD28抗体固定化MSR)及びPEI-MSRに曝露されたT細胞の形質導入効率を示す。T細胞を異なる量の刺激ロッド(Stim1.00は、70μg/mlのMSRを表す)と共にインキュベートし、PEI-MSRに結合して又は遊離ウイルスの形態において、異なる感染多重度(MOI)でGFPレンチウイルスに曝露した。ウイルス条件におけるMSRの最高濃度は、22μg/mlであった。
図14】ウイルスと共にインキュベートされた刺激性(抗CD3/CD28抗体固定化)MSR及びPEI-MSRに曝露されたT細胞の形質導入効率を示す。プロットは、ウイルスの様々な総量での刺激性MSRの濃度の関数としての形質導入効率を示す。刺激MSR条件1.0のMSR濃度は、70μg/mlである。PEI MSR条件1のMSRの濃度は、22μg/mlである。形質導入は、培養開始後3日で評価された。
図15】形質導入効率のためのウイルス送達戦略の比較からの結果を提供する。「PEI」及び「遊離」条件では、MSRに結合した「高」レベルのCD3/CD28抗体(MSR濃度70μg/ml)でT細胞を刺激し、所与のウイルスは、それぞれPEI-MSRに結合しているか、培地中に遊離的に送達される(ウイルス濃度1.0は、22μg/mlのMSR、MOI約6.7を含有する)。「PEI+CD3/CD28」では、ウイルス及びCD3/CD28アゴニスト抗体がPEI-MSRに結合していた(濃度1.0は、22μg/ml MSRである)。形質導入は、培養開始後3日で評価された。
図16】PBMC集団における形質導入のための様々な送達戦略の比較からの結果を提供する。図15の条件がPBMCに追加された。各細胞型における形質導入細胞の割合を定量化した。形質導入は、培養開始後3日で評価された。
図17】様々なウイルス送達戦略によるPBMCの異なる形質導入画分を提供する。上のパネルは、図15の条件下でPBMC集団に存在する全細胞組成を提供する。下のパネルは、図15の条件を使用して、ウイルス送達後に存在する形質導入された細胞画分の組成を提供する。形質導入は、培養開始後3日で評価された。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明が関係する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。
【0019】
用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、その冠詞の文法上の指示対象の1つ又は1つより多い(すなわち少なくとも1つ)を指す。例として、「要素」は、1つの要素又は1つより多い要素を意味する。
【0020】
用語「約」は、量、時間的な継続期間などの計測可能な値を参照するとき、指定される値から±20%又はいくつかの例では±10%、又はいくつかの例では±5%、又はいくつかの例では±1%、又はいくつかの例では±0.1%の変動が、かかる変動が本開示の方法の実施に適切であるものとして包含されることを意味する。
【0021】
用語「キメラ抗原受容体」又は代わりに「CAR」は、少なくとも、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、以下に定義するとおりの刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも称される)とを含む組換えポリペプチドコンストラクトを指す。いくつかの実施形態において、CARポリペプチドコンストラクトのドメインは、同じポリペプチド鎖にあり、例えばキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、CARポリペプチドコンストラクトのドメインは、互いに連続しておらず、例えば本明細書に記載されるとおりのRCARに提供されるように、例えば異なるポリペプチド鎖にある。
【0022】
いくつかの態様において、細胞質シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3-ゼータの一次シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、細胞質シグナル伝達ドメインは、以下に定義するとおりの少なくとも1つの共刺激分子に由来する1つ以上の機能性シグナル伝達ドメインを更に含む。いくつかの態様において、共刺激分子は、41BB(すなわちCD137)、CD27、ICOS及び/又はCD28から選択される。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインと、膜貫通ドメインと、刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインと、膜貫通ドメインと、1つ以上の共刺激分子に由来する2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインと、膜貫通ドメインと、1つ以上の共刺激分子に由来する少なくとも2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N-ter)に任意選択のリーダー配列を含む。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインのN末端にリーダー配列を更に含み、リーダー配列は、任意選択により、細胞プロセシング及びCARの細胞膜局在化中に抗原認識ドメイン(例えば、scFv)から切断される。
【0023】
特定の腫瘍マーカーX(ここで、Xは、本明細書に記載されるような腫瘍マーカーであり得る)を標的とする、抗原結合ドメイン(例えば、scFv、単一ドメイン抗体又はTCR(例えば、TCRアルファ結合ドメイン又はTCRベータ結合ドメイン))を含むCARは、XCARとも称される。例えば、BCMAを標的とする抗原結合ドメインを含むCARは、BCMA CARと称される。CARは、任意の細胞、例えば本明細書に記載の免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)で発現させることができる。
【0024】
用語「シグナル伝達ドメイン」は、二次メッセンジャーを生成するか又はかかるメッセンジャーに応答してエフェクターとして機能することにより定義されたシグナル伝達経路を介して細胞活性を調節するように細胞内で情報を伝えることにより機能するタンパク質の機能性の一部分を指す。
【0025】
用語「抗体」は、本明細書で使用されるとき、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子に由来するタンパク質又はポリペプチド配列を指す。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル、多重鎖又は単鎖又はインタクトな免疫グロブリンであり得、且つ天然の供給源又は組換え供給源に由来し得る。抗体は、免疫グロブリン分子の四量体であり得る。
【0026】
「抗体フラグメント」という用語は、抗原のエピトープと特異的に相互作用する(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布による)能力を保持する抗体の少なくとも一部分を指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、scFv抗体フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント、直線状抗体、sdAbなどの単一ドメイン抗体(VL又はVH)、ラクダ類VHHドメイン、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合された2Fabフラグメントを含む二価フラグメントなどの抗体フラグメントから形成された多特異的抗体及び単離CDR又は抗体の他のエピトープ結合フラグメントを含むが、これらに限定されない。抗原結合フラグメントは、シングルドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR及びビス-scFvにも取り込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,Nature Biotechnology 23:1126-1136,2005を参照されたい)。抗原結合フラグメントは、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドをベースとする足場にもグラフトされ得る(フィブロネクチンポリペプチドミニボディについて記載している米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)。
【0027】
抗体又はその抗体フラグメントを含む本発明のCARの一部分は、様々な形態で存在し得、抗原結合ドメインは、例えば、シングルドメイン抗体フラグメント(sdAb)、単鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体又は二特異性抗体を含め、連続したポリペプチド鎖の一部として発現する(Harlow et al.,1999,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlow et al.,1989,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;Bird et al.,1988,Science 242:423-426)。いくつかの態様において、本発明のCAR組成物の抗原結合ドメインは、抗体フラグメントを含む。更なる態様において、CARは、scFvを含む抗体フラグメントを含む。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」付番スキーム)、Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」付番スキーム)又はこれらの組み合わせを含め、幾つもの周知のスキームのいずれかを用いて決定することができる。
【0028】
本明細書で使用されるとき、用語「結合ドメイン」又は「抗体分子」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば免疫グロブリン鎖又はそのフラグメントを指す。用語「結合ドメイン」又は「抗体分子」は、抗体及び抗体フラグメントを包含する。いくつかの実施形態において、抗体分子は、多重特異性抗体分子であり、例えば、これは、複数個の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、ここで、複数個のうちの第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列が第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数個のうちの第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列が第2のエピトープに対する結合特異性を有する。いくつかの実施形態において、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2つ以下の抗原に対して特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列及び第2のエピトープに対して結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列によって特徴付けられる。
【0029】
用語「抗体重鎖」は、その天然に存在するコンホメーションをとる抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖の大きい方を指し、通常、これが抗体の属するクラスを決定する。
【0030】
用語「抗体軽鎖」は、その天然に存在するコンホメーションをとる抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖の小さい方を指す。カッパ(κ)及びラムダ(λ)軽鎖が2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0031】
用語「組換え抗体」は、例えば、バクテリオファージ又は酵母発現システムによって発現される抗体など、組換えDNA技術を用いて作成される抗体を指す。この用語は、抗体をコードするDNA分子であって、抗体タンパク質を発現するDNA分子又はその抗体を指定するアミノ酸配列の合成によって作成された抗体を意味するとも解釈されるべきであり、DNA又はアミノ酸配列は、当技術分野において利用可能な周知の組換えDNA又はアミノ酸配列技術を用いて得られたものである。
【0032】
用語「抗原」又は「Ag」は、免疫応答を引き起こす分子を指す。この免疫応答には、抗体産生又は特異的免疫適格細胞の活性化のいずれか又は両方が含まれ得る。当業者は、任意の巨大分子が、事実上あらゆるタンパク質又はペプチドを含め、抗原となり得ることを理解するであろう。更に、抗原は、組換えDNA又はゲノムDNAに由来し得る。当業者は、従って、免疫応答を生じさせるタンパク質をコードするヌクレオチド配列又は部分的ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、その用語が本明細書において使用されるとおりの「抗原」をコードすることを理解するであろう。更に、当業者は、抗原がある遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はないことを理解するであろう。本発明には、限定されないが、2つ以上の遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用が含まれること及びそれらのヌクレオチド配列が所望の免疫応答を生じさせるポリペプチドをコードするように様々な組み合わせで配列されることが容易に明らかである。更に、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要は全くないことを理解するであろう。抗原は、合成され得るか、又は生体試料から得られ得るか、又はポリペプチド以外の巨大分子である可能性もあることが容易に明らかである。かかる生体試料には、限定されないが、組織試料、腫瘍試料、細胞又は体液が他の生物学的成分と共に含まれ得る。
【0033】
用語「抗癌効果」は、限定されないが、例えば腫瘍容積の減少、癌細胞数の減少、転移数の減少、平均余命の増加、癌細胞増殖の減少、癌細胞生存の減少又は癌性病態に関連する様々な生理学的症状の改善を含め、様々な手段によって明らかになり得る生物学的効果を指す。「抗癌効果」は、そもそも癌の発生を防ぐことにおけるペプチド、ポリヌクレオチド、細胞及び抗体の能力によっても明らかになり得る。用語「抗腫瘍効果」は、限定されないが、例えば腫瘍容積の減少、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞増殖の減少又は腫瘍細胞生存の減少を含め、様々な手段によって明らかになり得る生物学的効果を指す。
【0034】
用語「自己」は、同じ個体に由来する任意の材料であって、後にその個体に再導入されることになる材料を指す。
【0035】
用語「同種異系」は、材料が導入される個体と同じ種の異なる動物に由来する任意の材料を指す。2つ以上の個体は、1つ以上の遺伝子座の遺伝子が同一でないとき、互いに同種異系であると言われる。いくつかの態様において、同じ種の個体からの同種異系材料は、抗原的に相互作用するのに十分に遺伝的に異なり得る。
【0036】
用語「異種」は、異なる種の動物に由来する移植片を指す。
【0037】
用語「癌」は、異常細胞の無制御の成長によって特徴付けられる疾患を指す。癌細胞は、局所的に又は血流及びリンパ系を通じて体の他の部位に広がり得る。様々な癌の例が本明細書に記載され、限定されないが、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵癌、結腸直腸癌、腎癌、肝癌、脳癌、リンパ腫、白血病、肺癌などが挙げられる。用語「腫瘍」及び「癌」は、本明細書では同義的に使用され、例えば両方の用語とも固形及び液性、例えばびまん性又は循環性腫瘍を包含する。本明細書で使用されるとき、用語「癌」又は「腫瘍」は、前癌性並びに悪性の癌及び腫瘍を含む。
【0038】
「由来する」は、この用語が本明細書で使用されるとき、第1の分子と第2の分子との間の関係を指す。これは、概して、第1の分子と第2の分子との間の構造的類似性に言及するものであり、第2の分子に由来する第1の分子に関する方法又は供給源を限定することを含意又は包含しない。例えば、CD3ゼータ分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインの場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、それが、求められる機能、すなわち適切な条件下でシグナルを生成する能力を有するような十分なCD3ゼータ構造を保持している。これは、細胞内シグナル伝達ドメインの特定の作製方法に限定することを含意又は包含せず、例えば細胞内シグナル伝達ドメインを提供するためにCD3ゼータ配列で開始して不要な配列を欠失させるか、又は突然変異を付与して細胞内シグナル伝達ドメインに至らせなければならないことを意味しない。
【0039】
「本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する疾患」という語句には、限定されないが、例えば癌若しくは悪性腫瘍などの増殖性疾患又は骨髄形成異常、骨髄異形成症候群若しくは前白血病などの前癌病態を含めた、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する疾患又は本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する細胞に関連する病状又は本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する細胞に関連する非癌関連の適応症が含まれる。いくつかの態様において、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現と関連する癌は、血液癌である。いくつかの態様において、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現と関連する癌は、固形癌である。本明細書に記載する腫瘍抗原の発現と関連する更なる疾患は、例えば、本明細書に記載する腫瘍抗原の発現と関連する非定型及び/又は非古典的癌、悪性腫瘍、前癌状態又は増殖性疾患を含むが、これらに限定されない。本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に伴う非癌関連徴候には、限定されないが、例えば自己免疫疾患(例えば、ループス)、炎症性障害(アレルギー及び喘息)及び移植が含まれる。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、腫瘍抗原をコードするmRNAを発現するか、又はいずれかの時点で発現した。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、腫瘍抗原タンパク質(例えば、野生型又は突然変異体)を産生し、腫瘍抗原タンパク質は、正常レベル又は低下したレベルで存在し得る。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、一時的に検出可能なレベルの腫瘍抗原タンパク質を産生したが、続いて検出可能な腫瘍抗原タンパク質を実質的に産生しなくなった。
【0040】
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体又はCAR)とその同族のリガンド(又はCARの場合には腫瘍抗原)との結合によって誘導される一次応答を指し、それにより、限定されないが、TCR/CD3複合体を介したシグナル伝達又は適切なNK受容体若しくはCARのシグナル伝達ドメインを介したシグナル伝達などのシグナル伝達事象を媒介する。刺激は、ある分子の発現変化を媒介することができる。
【0041】
「刺激性分子」という用語は、免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞)によって発現され、免疫細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの態様について、免疫細胞の活性化を刺激的に調節する細胞質シグナル伝達配列を提供する分子を指す。いくつかの態様において、シグナルは、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドが負荷されたMHC分子との結合によって惹起される一次シグナルであり、これは、限定されないが、増殖、活性化、分化などを含めたT細胞応答の媒介につながる。刺激的方法で機能する一次細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも称される)は、免疫受容活性化チロシンモチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。本発明において特に有用であるITAM含有細胞質シグナル伝達配列の例には、CD3ゼータ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR16)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12に由来するものが含まれるが、これらに限定されない。本発明の特定のCARにおいて、本発明の任意の1つ以上のCARにおける細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達配列、例えばCD3ゼータの一次シグナル伝達配列を含む。本発明の特定のCARにおいて、CD3ゼータの一次シグナル伝達配列は、配列番号18として提供される配列又は非ヒト種、例えばマウス、齧歯類、サル、類人猿などからの均等な残基である。本発明の具体的なCARにおいて、CD3-ゼータの一次シグナル伝達配列は、配列番号20に提供されるとおりの配列又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基である。
【0042】
用語「抗原提示細胞」又は「APC」は、その表面上に主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と複合体化した外来抗原を提示するアクセサリー細胞などの免疫系細胞(例えば、B細胞、樹状細胞など)を指す。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を用いてこうした複合体を認識し得る。APCは、抗原をプロセシングしてそれをT細胞に提示する。
【0043】
「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、この用語が本明細書で使用されるとき、分子の細胞内部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞、例えばCART細胞の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを生成する。免疫エフェクター機能(例えば、CART細胞におけるもの)の例には、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性及びヘルパー活性が含まれる。
【0044】
いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。例示的一次細胞内シグナル伝達ドメインには、一次刺激又は抗原依存性刺激に関与する分子に由来するものが含まれる。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内ドメインを含み得る。例示的共刺激細胞内シグナル伝達ドメインには、共刺激シグナル又は抗原非依存性刺激に関与する分子に由来するものが含まれる。例えば、CARTの場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインがT細胞受容体の細胞質配列を含むことができ、及び共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが共受容体又は共刺激分子からの細胞質配列を含むことができる。
【0045】
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容活性化チロシンモチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含むことができる。ITAMを含む一次細胞質シグナル伝達配列の例には、限定されないが、CD3ゼータ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3ベータ、CD3イプシロン、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12に由来するものが含まれる。
【0046】
「ゼータ」又は代替的に「ゼータ鎖」、「CD3ゼータ」若しくは「TCRゼータ」という用語は、CD247を指す。Swiss-Prot受託番号P20963は、例示的なヒトCD3ゼータアミノ酸配列を提供する。「ゼータ刺激ドメイン」又は代替的に「CD3ゼータ刺激ドメイン」若しくは「TCRゼータ刺激ドメイン」は、CD3ゼータの刺激ドメイン又はその変異体(例えば、変異、例えば点変異、フラグメント、挿入又は欠失を有する分子)を指す。いくつかの実施形態において、ゼータの細胞質ドメインは、GenBank受託番号BAG36664.1の残基52~164又はその変異体(例えば、変異、例えば点変異、フラグメント、挿入又は欠失を有する分子)を含む。いくつかの実施形態において、「ゼータ刺激ドメイン」又は「CD3ゼータ刺激ドメイン」は、配列番号9若しくは10として提供される配列又はその変異体(例えば、変異、例えば点変異、フラグメント、挿入又は欠失を有する分子)を指す。代わりに又は更に、「ゼータ」若しくは代替的に「ゼータ鎖」、「CD3-ゼータ」(又は「CD3ゼータ、CD3 ゼータ若しくはCD3z)又は「TCR-ゼータ」という用語は、GenBan受託番号BAG36664.1として提供されるタンパク質又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基として定義され、「ゼータ刺激ドメイン」若しくは代替的に「CD3-ゼータ刺激ドメイン」又は「TCR-ゼータ刺激ドメイン」は、T細胞活性化に必要な初期シグナルを機能的に伝達するのに十分なゼータ鎖の細胞質ドメインからのアミノ酸残基又はその機能的誘導体として定義される。いくつかの態様において、ゼータの細胞質ドメインは、GenBank受託番号BAG36664.1の残基52~164又はその機能性オルソログである非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基を含む。いくつかの態様において、「ゼータ刺激ドメイン」又は「CD3-ゼータ刺激ドメイン」は、配列番号18として提供される配列である。いくつかの態様において、「ゼータ刺激ドメイン」又は「CD3-ゼータ刺激ドメイン」は、配列番号20として提供される配列である。
【0047】
用語「共刺激分子」は、共刺激リガンドに特異的に結合して、それにより、限定されないが増殖など、T細胞による共刺激応答を媒介するT細胞上のコグネイト結合パートナーを指す。共刺激分子は、効率的な免疫応答に寄与する、抗原受容体又はそのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激分子には、MHCクラスI分子、BTLA及びTollリガンド受容体並びにOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)及び4-1BB(CD137)が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような共刺激性分子の更なる例は、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a及びCD83と特異的に結合するリガンドを含む。
【0048】
共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分であり得る。共刺激性分子は、以下のタンパク質ファミリーに代表され得る:TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)及び活性化NK細胞受容体。そのような分子の例には、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、ICAM-1、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CDS、CD7、CD287、LIGHT、NKG2C、NKG2D、SLAMF7、NKp80、NKp30、NKp44、NKp46、CD160、B7-H3及びCD83と特異的に結合するリガンドなどが含まれる。
【0049】
細胞内シグナル伝達ドメインは、その由来である分子の細胞内部分全体、又は天然の細胞内シグナル伝達ドメイン全体、又はその機能性フラグメント若しくは誘導体を含み得る。
【0050】
「免疫エフェクター細胞」は、この用語が本明細書で使用されるとき、免疫応答、例えば免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞を指す。免疫エフェクター細胞の例としては、T細胞、例えばα/β T細胞及びγ/δ T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞及び骨髄由来食細胞が挙げられる。
【0051】
「免疫エフェクター機能又は免疫エフェクター応答」は、この用語が本明細書で使用されるとき、標的細胞の免疫攻撃を亢進させる又は促進する例えば免疫エフェクター細胞の機能又は応答を指す。例えば、免疫エフェクター機能又は応答は、標的細胞の死滅又は成長若しくは増殖阻害を促進するT細胞又はNK細胞の特性を指す。T細胞の場合、一次刺激及び共刺激が免疫エフェクター機能又は応答の例である。
【0052】
用語「コードしている」又は「コードする」は、定義付けられたヌクレオチド配列(例えば、rRNA、tRNA及びmRNA)又は定義付けられたアミノ酸配列のいずれかを有する生物学的過程における他のポリマー及び巨大分子の合成の鋳型としての役割を果たす、遺伝子、cDNA又はmRNAなど、ポリヌクレオチド内の特異的ヌクレオチド配列の固有の特性及びそれによってもたらされる生物学的特性を指す。従って、遺伝子、cDNA又はRNAは、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳によって細胞又は他の生体系のタンパク質が産生される場合にタンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一の且つ通常配列表に提供されるものであるコード鎖及び遺伝子又はcDNAの転写鋳型として使用される非コード鎖の両方は、その遺伝子のcDNAのタンパク質又は他の産物をコードすると称することができる。
【0053】
特記されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の全てを含む。タンパク質又はRNAをコードするヌクレオチド配列という語句には、そのタンパク質をコードするヌクレオチド配列が何らかのバージョンで1つ又は複数のイントロンを含み得る限りにおいて、イントロンも含まれ得る。
【0054】
用語「有効量」又は「治療有効量」は、本明細書では同義的に使用され、本明細書に記載されるとおりの化合物、製剤、材料又は組成物が特定の生物学的結果を達成するのに有効な量を指す。
【0055】
用語「内因性」は、生物、細胞、組織又は系由来の又はその内部で産生される任意の材料を指す。
【0056】
用語「外因性」は、生物、細胞、組織又は系の外側から導入されるか又はその外側で産生される任意の材料を指す。
【0057】
「発現」という用語は、プロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳を指す。
【0058】
用語「トランスファーベクター」は、単離核酸を含む組成物であって、細胞内部への単離核酸の送達に使用し得る組成物を指す。当技術分野では、限定されないが、線状ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド及びウイルスを含め、多くのベクターが公知である。従って、用語「トランスファーベクター」には自己複製プラスミド又はウイルスが含まれる。この用語は、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなど、細胞への核酸のトランスファーを促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物も更に含むものと解釈されなければならない。ウイルストランスファーベクターの例としては、限定されないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられる。
【0059】
用語「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現に十分なシス作用エレメントを含み、他の発現用エレメントは、宿主細胞によって供給されるか、又はインビトロ発現系に供給され得る。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えば、ネイキッド又はリポソームに含まれる)及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス、「ウイルスベクター」)を含め、当技術分野において公知のもの全てが含まれる。
【0060】
用語「レンチウイルス」は、レトロウイルス科(Retroviridae)の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞を感染させることができる点でレトロウイルスの中でユニークであり、レンチウイルスは、宿主細胞のDNAに多量の遺伝情報を送達することができ、そのため、遺伝子デリバリーベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIV及びFIVは、全てレンチウイルスの例である。
【0061】
用語「レンチウイルスベクター」は、特に、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009)に提供されるとおりの自己不活性化レンチウイルスベクターを含め、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部分に由来するベクターを指す。臨床で使用し得るレンチウイルスベクターの他の例としては、限定されないが、例えばOxford BioMedicaからのLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子デリバリー技術、LentigenからのLENTIMAX(商標)ベクターシステムなどが挙げられる。非臨床タイプのレンチウイルスベクターも利用可能であり、当業者に公知であろう。
【0062】
用語「相同」又は「同一性」は、2つのポリマー分子間、例えば2つのDNA分子又は2つのRNA分子など、2つの核酸分子間又は2つのポリペプチド分子間におけるサブユニット配列同一性を指す。2つの分子の両方におけるサブユニット位置が同じ単量体サブユニットによって占有されるとき、例えば2つのDNA分子の各々の位置がアデニンによって占有される場合、それらは、その位置で相同又は同一である。2つの配列間の相同性は、一致する位置又は相同な位置の数の直接の関数である。例えば、2つの配列における位置の半分(例えば、10サブユニット長のポリマーにおける5個の位置)が相同である場合、それらの2つの配列は、50%相同である。位置の90%(例えば、10個中9個)が一致するか又は相同である場合、それらの2つの配列は、90%相同である。
【0063】
「ヒト化」形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は他の抗原結合部分配列など)である。ほとんどの場合、ヒト化抗体及びその抗体フラグメントは、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体又は抗体フラグメント)においてレシピエントの相補決定領域(CDR)からの残基が所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基に置き換えられているものである。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が対応する非ヒト残基に置き換えられる。更に、ヒト化抗体/抗体フラグメントは、レシピエント抗体にも、移入されるCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基を含むことができる。これらの改変は抗体又は抗体フラグメントの性能を更に精緻化及び最適化し得る。一般に、ヒト化抗体又はその抗体フラグメントは、少なくとも1つ及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、且つFR領域の全て又は大部分がヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体又は抗体フラグメントは、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部分も含むことができる。更なる詳細については、Jones et al.,Nature,321:522-525,1986;Reichmann et al.,Nature,332:323-329,1988;Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596,1992を参照されたい。
【0064】
「完全にヒト」は、分子全体がヒト起源であるか、又はヒト形態の抗体又は免疫グロブリンと同一のアミノ酸配列からなる抗体又は抗体フラグメントなどの免疫グロブリンを指す。
【0065】
用語「単離されている」は、自然状態から改変されているか又は取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸又はペプチドは、「単離されている」のではないが、その自然状態の共存する材料から部分的又は完全に分離された同じ核酸又はペプチドは、「単離されている」。単離核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができるか、又は例えば宿主細胞など、非天然環境中に存在することができる。
【0066】
「作動可能に連結された」又は「転写制御」という用語は、調節配列と異種核酸配列との間における後者の発現をもたらす機能的な連結を指す。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的に関係した状態に置かれているとき、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されるDNA配列は、互いに連続し得、例えば2つのタンパク質コード領域をつなぎ合わせる必要がある場合、同じリーディングフレーム内にある。
【0067】
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖又は二本鎖の形態のデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)及びそれらのポリマーを指す。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の方法で代謝される、天然ヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸を包含する。特に明記しない限り、特定の核酸配列は、その保存的に修飾された変異体(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP及び相補的配列並びに明示的に示された配列も暗黙的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(又は全ての)コドンの第3位が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することによって達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985);及びRossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994))。
【0068】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、同義的に使用され、ペプチド結合によって共有結合的に連結したアミノ酸残基で構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質の配列又はペプチドの配列を含むことのできるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、互いにペプチド結合によってつなぎ合わされた2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用されるとき、この用語は、当技術分野では一般に例えばペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖と、当技術分野では概してタンパク質と称される、多数の種類があるより長い鎖との両方を指す。「ポリペプチド」には、例えば、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が特に含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0069】
用語「プロモーター」は、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始させるのに必要である、細胞の合成機構又は導入された合成機構によって認識されるDNA配列を指す。
【0070】
用語「プロモーター/調節配列」は、そのプロモーター/調節配列に作動可能に連結された遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を指す。いくつかの例では、この配列は、コアプロモーター配列であり得、他の例では、この配列は、エンハンサー配列及び遺伝子産物の発現に必要な他の調節エレメントも含み得る。プロモーター/調節配列は、例えば、遺伝子産物を組織特異的に発現するものであり得る。
【0071】
用語「構成的プロモーター」は、遺伝子産物をコードするか又はそれを指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、細胞のほとんど又は全ての生理条件下で細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
【0072】
用語「誘導性プロモーター」は、遺伝子産物をコードするか又はそれを指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、実質的にプロモーターに対応する誘発物質が細胞に存在する場合に限り細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
【0073】
用語「組織特異的プロモーター」は、遺伝子をコードするか又はそれによって指定されるポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、実質的に細胞がプロモーターに対応する組織型の細胞である場合に限り細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
【0074】
用語「癌関連抗原」又は「腫瘍抗原」は、同義的に、癌細胞の表面上に、完全に又は代わりにフラグメント(例えば、MHC/ペプチド)として発現する分子(典型的にはタンパク質、炭水化物又は脂質)であって、癌細胞への薬理学的薬剤の優先的なターゲティングに有用な分子を指す。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、正常細胞及び癌細胞の両方が発現するマーカー、例えば系列マーカー、例えばB細胞上のCD19である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、正常細胞と比較して癌細胞で過剰発現する(例えば、正常細胞と比較して1倍の過剰発現、2倍の過剰発現、3倍の過剰発現又はそれを超える)細胞表面分子である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、癌細胞で不適切に合成される細胞表面分子、例えば正常細胞に発現する分子と比較して欠失、付加又は突然変異を含む分子である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は癌細胞の細胞表面にのみ、完全に又は代わりにフラグメント(例えば、MHC/ペプチド)として発現することになり、正常細胞の表面に合成されないか又は発現しない。いくつかの実施形態において、本発明のCARは、MHC提示ペプチドに結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体フラグメント)を含むCARを含む。通常、内因性タンパク質に由来するペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子のポケットに嵌まり、CD8+ Tリンパ球上のT細胞受容体(TCR)によって認識される。MHCクラスI複合体は、あらゆる有核細胞によって構成的に発現される。癌では、ウイルス特異的及び/又は腫瘍特異的ペプチド/MHC複合体が免疫療法用のユニークなクラスの細胞表面標的となる。ヒト白血球抗原(HLA)-A1又はHLA-A2のコンテクストでウイルス又は腫瘍抗原由来のペプチドを標的とするTCR様抗体が記載されている(例えば、Sastry et al.,J Virol.2011 85(5):1935-1942;Sergeeva et al.,Blood,2011 117(16):4262-4272;Verma et al.,J Immunol 2010 184(4):2156-2165;Willemsen et al.,Gene Ther 2001 8(21):1601-1608;Dao et al.,Sci Transl Med 2013 5(176):176ra33;Tassev et al.,Cancer Gene Ther 2012 19(2):84-100を参照されたい)。例えば、TCR様抗体は、ヒトscFvファージディスプレイライブラリなど、ライブラリのスクリーニングによって同定することができる。
【0075】
「腫瘍支持抗原」又は「癌支持抗原」という用語は、互換的に、それ自体癌性ではないが、例えば増殖又は生存、例えば免疫細胞に対する抵抗性を促進することにより、癌細胞を支持する、細胞の表面に発現される分子(典型的には、タンパク質、炭水化物又は脂質)を指す。この型の例示的な細胞は、間質細胞及び骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を含む。腫瘍支持抗原自体は、抗原が癌細胞を支持する細胞上に存在する限り、腫瘍細胞を支持する役割を果たさなくてもよい。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「インビトロ転写RNA」は、インビトロ合成されたRNA、好ましくはmRNAを指す。概して、インビトロ転写RNAは、インビトロ転写ベクターから作成される。インビトロ転写ベクターは、インビトロ転写RNAの作成に使用される鋳型を含む。
【0077】
本明細書で使用されるとき、「ポリ(A)」は、ポリアデニル化によってmRNAに付加される一連のアデノシンである。一過性発現用のコンストラクトの好ましい実施形態において、ポリAは、50~5000(配列番号34)、好ましくは64より多く、より好ましくは100より多く、最も好ましくは300又は400より多い。ポリ(A)配列は、局在性、安定性又は翻訳効率などのmRNA機能を調整するために化学的又は酵素的に改変することができる。
【0078】
発現、例えばCAR分子の発現に関して本明細書で使用されるとき、「一過性」は、数時間、数日間又は数週間の期間にわたる組み込まれないトランス遺伝子の発現を指し、この発現期間は、宿主細胞においてゲノムに組み込まれた場合又は安定プラスミドレプリコン中に含まれている場合の遺伝子の発現期間よりも短い。
【0079】
本明細書で使用されるとき、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、1つ以上の療法(例えば、本発明のCARなどの1つ以上の療法剤)の投与によってもたらされる増殖性障害の進行、重症度及び/又は持続期間の低減又は改善又は増殖性障害の1つ以上の症状(好ましくは1つ以上の認識し得る症状)の改善を指す。具体的な実施形態において、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、患者には必ずしも認識できない、腫瘍の成長などの増殖性障害の少なくとも1つの計測可能な理学的パラメータの改善を指す。他の実施形態において用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、増殖性障害の進行の物理的な、例えば認識し得る症状の安定化による阻害、生理学的な、例えば理学的パラメータの安定化による阻害のいずれか又は両方を指す。他の実施形態において用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、腫瘍サイズ又は癌性細胞数の低減又は安定化を指す。
【0080】
用語「シグナル伝達経路」は、細胞のある部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達において役割を果たす種々のシグナル伝達分子間の生化学的関係を指す。語句「細胞表面受容体」は、シグナルを受け取り、且つ細胞の膜を越えてシグナルを伝える能力を有する分子及び分子複合体を含む。
【0081】
用語「対象」は、免疫応答を生じさせることのできる生きている生物(例えば、哺乳類、ヒト)を含むことが意図される。
【0082】
用語の「実質的に精製された」細胞は、他の細胞型を本質的に含まない細胞を指す。実質的に精製された細胞とは、その天然に存在する状態でそれが通常結び付いている他の細胞型と分離されている細胞も指す。いくつかの例では、実質的に精製された細胞集団とは、均質な細胞集団を指す。他の例では、この用語は、単に、その自然状態でそれが天然に結び付いている細胞から分離されている細胞を指す。いくつかの態様において、これらの細胞は、インビトロで培養される。他の態様において、これら細胞は、インビトロで培養されない。
【0083】
用語「療法的」とは、本明細書で使用されるとき、治療を意味する。療法的効果は疾患状態の低減、抑制、寛解又は根絶によって達成される。
【0084】
用語「予防」は、本明細書で使用されるとき、疾患又は疾患状態の予防又はそれに対する予防的治療を意味する。
【0085】
用語「トランスフェクトされた」、又は「形質転換された」、又は「形質導入された」は、外因性核酸を宿主細胞に移入させるか又は導入するプロセスを指す。「トランスフェクトされた」、又は「形質転換された」、又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸をトランスフェクト、形質転換又は形質導入されたものである。細胞には初代対象細胞及びその子孫が含まれる。
【0086】
用語「特異的に結合する」は、試料中に存在する結合パートナー(例えば、腫瘍抗原)タンパク質を認識し、結合する抗体又はリガンドであって、しかし、試料中の他の分子は、実質的に認識又は結合しない、抗体又はリガンドを指す。
【0087】
「不応性」は、本明細書で使用されるとき、治療に応答しない疾患、例えば癌を指す。実施形態において、不応性癌は、治療の開始前又は開始時点で治療に抵抗性であり得る。他の実施形態において、不応性癌は、治療中に抵抗性になり得る。不応性癌は、抵抗性癌とも称される。
【0088】
「再発した」は、本明細書で使用されるとき、改善期間後、例えば療法、例えば癌療法の前治療後における疾患(例えば、癌)又は癌などの疾患の徴候及び症状の再来を指す。
【0089】
「系」という用語は、例えば、遺伝子編集と関連して本明細書で使用される場合、一緒になって所望の機能を産生するように作用する分子群、例えば1つ以上の分子を指す。
【0090】
「遺伝子編集系」は、この用語が本明細書で使用される場合、前記系により標的とされる遺伝子DNAの部位又はその近辺の1つ以上の核酸の改変、例えば欠失を導き及び実施する系、例えば1つ以上の分子を指す。遺伝子編集系は、当技術分野において公知であり、以下により十分に記載する。
【0091】
「ドミナントネガティブ」遺伝子産物又はタンパク質は、遺伝子産物又はタンパク質の機能を妨害するものである。影響を受ける遺伝子産物は、ドミナントネガティブタンパク質と同一であるか又は異なり得る。ドミナントネガティブ遺伝子産物は、切断、点変異を有する全長タンパク質若しくはそのフラグメント又は全長野生型若しくは変異体タンパク質若しくはそのフラグメントと他のタンパク質との融合体を含む多様な形態であり得る。観察される阻害レベルは、非常に低い可能性がある。例えば、これは、効果を見るために、機能的タンパク質又は過程に関与するタンパク質と比較して大過剰のドミナントネガティブタンパク質を必要とし得る。通常の生物学的アッセイ条件下での効果の確認は、困難であり得る。
【0092】
「比率」という用語は、集団中の分子の総数に対する特定の分子の割合を指す。例示的な実施形態において、特定の表現型を有するT細胞(例えば、TSCM細胞)の割合は、集団におけるT細胞の総数に対する、その表現型を有するT細胞の数の比率を指す。例示的な実施形態において、特定の表現型を有するT細胞(例えば、CD45RA+CD62L+細胞)の割合は、集団におけるT細胞の総数に対する、その表現型を有するT細胞の数の比率を指す。このような比率は、示されている場合、細胞のあるサブセットに対して測定され得ることが理解されるであろう。例えば、CD4+TSCM細胞の比率は、CD4+T細胞の総数に対して測定され得る。
【0093】
「免疫エフェクター細胞の集団」という用語は、本明細書において使用される場合、少なくとも2つ、例えば2つ以上、例えば1つを超える免疫エフェクター細胞を含む組成物を指し、いかなるレベルの純度も他の細胞型の存在又は非存在を示すものではない。例示的な実施形態において、集団は、他の細胞型を実質的に含まない。別の例示的な実施形態において、集団は、特定の細胞型又は特定の機能若しくは性質を有する少なくとも2つの細胞を含む。
【0094】
「TSCM様細胞」及び「ナイーブT細胞」という用語は、互換的に使用され、CD45RA及びCD62Lの表面発現を特徴とする低分化T細胞状態を指す(例えば、CD45RA陽性及びCD62L陽性(CD45RA+CD62L+と記載する場合がある)である)。一般的に、T細胞分化は、最も「ナイーブ」なものから最も「枯渇した」ものに、TSCM様(例えば、CD45RA+CD62L+細胞)>TCM(例えば、CD45RA-CD62L+細胞)>TEM(例えば、CD45RA-CD62L-細胞)>TEFFと進む。ナイーブT細胞は、より枯渇したT細胞表現型と比較して例えば自己再生、抗腫瘍有効性、増殖及び/又は生存が増加していることにより特徴付けられ得る。例示的な一実施形態において、ナイーブT細胞は、CD45RA+CD62L+T細胞を指す。別の例示的な実施形態において、ナイーブT細胞は、TSCM細胞、例えばCD45RA+CD62L+CCR7+CD27+CD95+T細胞を指す。
【0095】
「TSCM」という用語は、その細胞表面にCD45RA、CD62L、CCR7、CD27及びCD95を発現することを特徴とする、幹細胞記憶表現型を有するT細胞を指す(例えば、CD45RA陽性、CD62L陽性、CCR7陽性、CD27陽性及びCD95陽性(CD45RA+CD62L+CCR7+CD27+CD95+と表記されることもある)である)。TSCM細胞は、ナイーブT細胞の一例である。T細胞は、CD4+及び/又はCD8+T細胞であり得る。
【0096】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、1~20個の炭素原子を含む、完全に飽和した分岐又は非分岐(又は直鎖若しくは線状)炭化水素部分を指す。好ましくは、アルキルは、1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を含む。アルキルの代表的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、vert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチルが含まれる。例えば、「C1~6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を有する炭化水素を指し、「C1~7アルキル」という用語は、1~7個の炭素原子を有する炭化水素を指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、本明細書で定義される1つ以上のハロ基によって置換される、本明細書で定義されるアルキルを指す。好ましくは、ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル又はパーハロアルキルを含むポリハロアルキルであり得る。モノハロアルキルは、アルキル基内に1つのヨード、ブロモ、クロロ又はフルオロを有し得る。ジハロアルキル基及びポリハロアルキル基は、2つ以上の同じハロ原子又はアルキル内の異なるハロ基の組み合わせを有し得る。好ましくは、ポリハロアルキルは、最大12個、又は10個、又は8つ、又は6つ、又は4つ、又は3つ、又は2つのハロ基を含有する。ハロアルキルの代表的な例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルである。パーハロアルキルは、全ての水素原子がハロ原子で置き換えられたアルキルを指す。例えば、「ハロ-C1~6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を有し、1つ以上のハロ基で置換されている炭化水素を指し、「ハロ-C1~7アルキル」という用語は、1~7個の炭素原子を有し、1つ以上のハロ基で置換されている炭化水素を指す。
【0098】
本明細書で使用される場合、「塩」には、無機酸及び有機酸で形成することができる薬学的に許容される酸付加塩、例えば酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロルテオフィロネート、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフト酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル化物塩及びトリフルオロ酢酸塩が含まれる。
【0099】
塩を誘導することができる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。塩を誘導することができる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などが含まれる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機及び有機塩基で形成することができる。
【0100】
塩を誘導することができる無機塩基には、例えば、アンモニウム塩及び周期表の列IからXIIまでの金属が含まれる。特定の実施形態において、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛及び銅に由来し、特に適切な塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩が含まれる。
【0101】
塩を誘導することができる有機塩基には、例えば、一級、二級及び三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれる。特定の有機アミンには、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン及びトロメタミンが含まれる。
【0102】
範囲:本開示全体を通じて、本発明の様々な態様が範囲の形式で提示され得る。範囲の形式での記載は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する確固たる限定と解釈されてはならないことが理解されるべきである。従って、範囲の記載は、具体的に開示される全ての可能な部分範囲並びにその範囲内にある個々の数値を有すると考えられなければならない。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示される部分範囲並びにその範囲内にある個々の数値、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3及び6を有すると考えられなければならない。別の例として、95~99%の同一性などの範囲は、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するものを含み、且つ96~99%、96~98%、96~97%、97~99%、97~98%及び98~99%の同一性などの部分範囲を含む。これは、範囲の幅に関わらず適用される。
【0103】
見出し、副見出し又は番号若しくは文字が振られた要素、例えば(a)、(b)、(i)等は、単に読み易いように提供される。本明細書で見出し又は番号若しくは文字が振られた要素を使用しても、工程若しくは要素がアルファベット順に実施される必要はなく、又は工程若しくは要素が必ず互いに別個のものである必要はない。
【0104】
本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献の全ては、全体として参照により組み込まれる。
【0105】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0106】
表面修飾メソポーラスシリカ粒子
いくつかの実施形態において、本発明は、メソポーラスシリカ粒子を提供する。メソポーラスシリカ粒子は、例えば、六角形の最密充填された円筒形の均一な細孔を有する多孔質体を含む。メソポーラスシリカ粒子は、界面活性剤のロッド状ミセルをテンプレートとして使用することで合成することができ、これは、アルコキシシラン、ケイ酸ナトリウム溶液、カネマイト、シリカ微粒子などのシリカ源を酸又は塩基性触媒の存在化で水又はアルコールに溶解及び加水分解することにより、水中で形成される。例えば、米国特許出願公開第2015-0072009号明細書及びHoffmann et al.,Angewandte Chemie International Edition,45,3216-3251,2006を参照されたい。カチオン性、アニオン性及び非イオン性界面活性剤など、多くの種類の界面活性剤が界面活性剤として検討されており、一般にカチオン性界面活性剤のアルキルトリメチルアンモニウム塩が最大の比表面積及び細孔容積を有するメソポーラスシリカをもたらすことが知られている。米国特許出願公開第2013/0052117号明細書及びKatiyar et al.(Journal of Chromatography 1122(1-2):13-20)を参照されたい。
【0107】
メソポーラスシリカ粒子は、様々な形態、例えばマイクロスフェア、不規則形状の粒子、角形のロッド、丸いナノロッドで提供され得る。メソポーラスシリカ粒子は、例えば、球状、楕円形、ロッド様形状又は湾曲した円筒形を含む様々な所定の形状を有し得る。特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、メソポーラスシリカロッド(MSR)を使用する。マイクロロッドを生成するためにメソポーラスシリカを組み立てる方法は、当技術分野で公知である。Wang et al ,Journal of Nanoparticle Research,15:1501,2013を参照されたい。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、オルトケイ酸テトラエチルを、ミセルロッドで作製されたテンプレートと反応させることによって合成される。その結果、規則的な細孔配列で満たされたメソポーラスシリカ球又はロッドが得られる。次に、適切なpHに調整された溶媒で洗浄することにより、テンプレートが除去できる。この例では、界面活性剤テンプレートを除去した後、メソポーラスシリカ粒子は、均一で規則正しく連結されたメソポーラス性によって特徴付けられ、例えば600m/g~約1200m/g、特に約800m/g~約1000m/g、特に約850m/g~約950m/gの比表面積で調製される。別の実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、ゾルゲル法又は噴霧乾燥法を使用して合成され得る。オルトケイ酸テトラエチルは、追加のポリマーモノマー(テンプレートとして)と共に使用される。更に別の実施形態において、1つ以上のテトラアルコキシシラン及び1つ以上の(3-シアノプロピル)トリアルコキシシランを共縮合させて、メソポーラスシリケート粒子をロッドとして提供し得る。内容が全体として参照により組み込まれる米国特許出願公開第2013-0145488号明細書、米国特許出願公開第2012-0264599号明細書及び米国特許出願公開第2012-0256336号明細書を参照されたい。
【0108】
メソポーラスシリカ粒子(MSP)(例えば、MSR)は、直径が2~100nm又は直径が2~50nmの、秩序化されているか又はランダムに分布され得る細孔、例えば2~5nm、10~20nm、10~30nm、10~40nm、20~30nm、30~50nm、30~40nm、40~50nmの細孔を含み得る。いくつかの実施形態において、マイクロロッドは、直径がおよそ5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm又はそれを超える細孔を含む。細孔のサイズは、用途の種類によって変更され得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、MSRの長さは、マイクロメートルの範囲であり、約5μm~約500μmの範囲である。一例において、MSRは、5~50μm、例えば10~20μm、10~30μm、10~40μm、20~30μm、30~50μm、30~40μm、40~50μmの長さを含む。いくつかの実施形態において、MSRは、50μm~250μm、例えば約60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、120μm、150μm、180μm、200μm、225μm又はそれを超える長さを含む。いくつかの実施形態において、例えば50μm~200μmの長さ、特に80μm~120μmの長さ、特に約100μm以上の長さを含むロッドを有する、より高いアスペクト比を有するMSRが使用される。
【0110】
更に別の実施形態において、MSP(例えば、MSR)は、標的細胞、例えばT細胞への付着及び/又は結合のための大きい表面積を提供する。高表面積のメソポーラスシリケートを得る方法は、当技術分野で公知である。例えば、全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,883,308号明細書及び米国公開第2011-0253643号明細書を参照されたい。いくつかの実施形態において、高表面積は、ナノ粒子の繊維形態によるものであり、これにより、表面上に高濃度の高度に分散され、容易にアクセス可能な部分を得ることが可能になる。特定の実施形態において、高表面積MSP(例えば、MSR)は、少なくとも約100m/g、少なくとも150m/g又は少なくとも300m/gの表面積を有する。他の実施形態において、高表面積MSP(例えば、MSR)は、約100m/g~約1000m/g(その間の全ての値又は部分範囲を含む)、例えば50m/g、100m/g、200m/g、300m/g、400m/g、600m/g、800m/g、100~500m/g、100~300m/g、500~800m/g又は500~1000m/gの表面積を有する。
【0111】
いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、表面修飾を含み得る。本明細書で使用される場合、「表面修飾」は、MSP(例えば、MSR)の表面に官能基を付着又は付加することを意味する。いくつかの実施形態において、官能基は、細孔及び/又はナノチャネルを覆う表面又はMSP(例えば、MSR)の表面に吸着又は共有結合される。本明細書で使用される場合、「官能基」は、MSRに連結された化学部分を定義する。いくつかの実施形態において、官能基は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩である。いくつかの実施形態において、官能基(すなわち-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩)は、リンカーによってシリカ表面から分離され得る。いくつかの実施形態において、官能基は、C~C20アルキルリンカーを介してMSP又はMSR表面に共有結合している。他の実施形態において、官能基は、ポリエチレングリコールリンカーを介してMSP又はMSRの表面に共有結合している。特定の実施形態において、ポリエチレングリコールリンカーは、式(O(CH-CH-)1~25を有する。特定の実施形態において、表面修飾は、C~C20アルキルパーハロアルキル又はC~C20アルキルパーフルオロアルキルである。
【0112】
表面修飾の一般的な構造は、
【化1】
(式中、Lは、リンカーであり、
Xは、官能基である)
であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、Lは、C~C20のアルキル基又はポリエチレングリコール基であり得、及びXは、-OH(ヒドロキシル)、一級、二級、三級若しくは四級アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン若しくは疎水性部分又はその塩であり得る。
【0114】
本明細書で使用される場合、ホスホネート(ホスホネート修飾ナノ粒子としても知られる)を有する表面修飾は、少なくとも1つのホスホン酸(-P(O)(OH))基又はホスフィン酸(-P(O)(OH)R、ここで、Rは、C~C20のアルキル基である)を有する。ホスホン酸又はホスフィン酸は、pHに応じて帯電又は非帯電となり得る。生理的pHでは、ホスホン酸及びホスフィン酸は、負に帯電しているか、陰イオン性である。ホスホネート修飾は、例えば、シリカ体表面をホスホネート含有トリアルキルシロキサン化合物又はホスホネート含有トリヒドロキシルシリル化合物、例えば(トリヒドロキシルシリル)プロピルメチルホスホネートで処理することによって調製され得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)は、一級、二級、三級又は四級アミンで表面修飾されている。二級、三級及び四級アミンは、C~C20のアルキル基で置換され得、且つ帯電し得る。いくつかの実施形態において、アミン基は、塩形態であり得る。いくつかの実施形態において、一級、二級、三級又は四級アミンは、リンカーによってMSP表面から分離され得る。特定の実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、ポリエチレンイミンで修飾されている。特定の実施形態において、ポリエチレンイミンは、分岐又は非分岐である。代替的な実施形態において、ポリエチレンイミン基は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~100,000ダルトン(Da)の範囲の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、ポリエチレンイミン基は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da、約10,000Da又は約20,000Daの平均分子量を有する。
【0116】
様々な例示的な表面修飾メソポーラスシリカ粒子の構造が図1に示される。
【0117】
本明細書に記載のMSP(例えば、MSR)は、本明細書に記載されるように、当業者に公知の方法によって調製される。一般に、表面修飾を有するMSPは、以下の方法で調製され得る。
【0118】
一般に、MSP(例えば、MSR)のシリルヒドロキシド表面と反応することができる任意の反応を使用して、表面が共有結合的に修飾され得る。例えば、MSP(例えば、MSR)の表面は、トリアルコキシシリル化合物又はトリヒドロキシシリル化合物で処理され得る。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子は、適切な反応溶媒中に懸濁される。いくつかの実施形態において、反応溶媒は、水性溶媒又は0~14のpHの緩衝液であり得る。テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、塩化メチレン又はジクロロメタンを含むが、これらに限定されない1つ以上の有機溶媒との水溶液の更なる混合物が使用され得る。いくつかの実施形態において、懸濁されたメソポーラスシリカ粒子は、本明細書に記載されるような所望の官能基を有するトリアルコキシシリル又はトリヒドロキシシリル試薬と反応される。アミン修飾は、例えば、MSPをアミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル-トリメトキシシラン又は3-トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミンなどのアミン含有トリアルコキシシラン化合物で処理することによって調製され得る。特定の実施形態において、トリアルコキシシリルは、トリメトキシシリル又はトリエトキシシリル基である。代替的な実施形態において、トリアルコキシシリル試薬は、トリアルコキシアルキルアミンである。いくつかの実施形態において、トリアルコキシアルキルアミンは、一級、二級、三級又は四級アミンを含む。
【0119】
特定の実施形態において、トリアルコキシシリル試薬は、ポリエチレンイミン基を含む。特定の実施形態において、ポリエチレンイミンは、分岐又は非分岐である。代替的な実施形態において、ポリエチレンイミン基は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、トリアルコキシシリル試薬は、C1~20アルキルアジド基を含む。特定の実施形態において、トリアルコキシシリル試薬は、C1~20アルキルカルボン酸基を含む。他の実施形態において、トリアルコキシシリル試薬は、C1~20アルキル基を含む。
【0120】
MSP(例えば、MSR)上のスルフヒドリル修飾は、例えば、MSPを3-メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのスルフヒドリル含有トリアルコキシシラン化合物で処理することによって調製され得る。
【0121】
MSP(例えば、MSR)上のジスルフィド修飾は、例えば、ナノ粒子の表面をジスルフィド含有トリアルコキシシラン化合物で処理するか、又はスルフヒドリル修飾表面を2,2’-ジチオジピリジン又は他のジスルフィドで処理することによって調製され得る。
【0122】
カルボン酸基を含むMSP(例えば、MSR)表面修飾は、例えば、カルボン酸含有トリアルコキシシラン化合物で表面を処理するか、又は化学的にカルボン酸に変換され得る官能基を有するトリアルコキシシラン化合物でMSPを処理することによって調製され得る。例えば、MSPは、3-シアノプロピルトリエトキシシランで処理され、その後、硫酸で加水分解され得る。
【0123】
エポキシドを含むMSP(例えば、MSR)表面修飾は、例えば、MSPをグリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシド含有トリアルコキシシラン化合物で処理することによって調製され得る少なくとも1つのエポキシドを有する。
【0124】
疎水性部分を有する表面修飾は、水への溶解度を低下させること又は有機溶媒への溶解度を増加させることを目的とした少なくとも1つの部分を有する。疎水性部分の例には、長鎖アルキル基(例えば、C~C20アルキル基)、脂肪酸エステル(例えば、C~C22アルキル酸エステル)及びC~C10炭素原子を有する芳香環が含まれる。
【0125】
いくつかの実施形態において、MSP(例えば、MSR)とトリアルコキシシリル試薬との反応は、周囲温度又は室温で実施される。他の実施形態において、反応は、高温で実施される。更なる実施形態において、反応の温度は、約40℃~約120℃、約50℃~約100℃、約60℃~約80℃、約70℃~約80℃又は約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃又は約100℃である。
【0126】
ウイルスベクター
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載のメソポーラスシリカ粒子及びウイルスベクターを含み得る。
【0127】
ウイルスベクターは、任意のウイルスベクターであり得る。ウイルスベクターテクノロジーは、当技術分野で周知であり、例えばSambrook et al.,2012,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,volumes 1-4,Cold Spring Harbor Press,NY及び他のウイルス学及び分子生物学マニュアルに記載されている。例として、ウイルスベクターは、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス又はヘルペスウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター又はアデノウイルスベクターである。
【0128】
レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、それらが導入遺伝子の長期の安定した組み込み及び娘細胞への伝播を可能にするため、長期遺伝子導入を達成するのに適するツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞を形質導入できる点でマウス白血病ウイルスなどのオンコ-レトロウイルス由来のベクターを超える更なる利点を有する。それらは、低免疫原性であるという付加的利点も有する。レトロウイルスベクターは、例えば、ガンマレトロウイルスベクターでもあり得る。ガンマレトロウイルスベクターは、例えば、プロモーター、パッケージングシグナル(ψ)、プライマー結合部位(PBS)、1つ以上の(例えば、2つの)末端反復配列(LTR)及び目的の導入遺伝子、例えばCARをコードする遺伝子を含み得る。ガンマレトロウイルスベクターは、gag、pol及びenvなどのウイルス構造的遺伝子を欠き得る。例示的なガンマレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MLV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)及び骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)及びそれら由来のベクターを含む。他のガンマレトロウイルスベクターは、例えば、Tobias Maetzig et al.,“Gammaretroviral Vectors:Biology,Technology and Application”Viruses.2011 Jun;3(6):677-713に記載されている。
【0129】
別の実施形態において、所望の本発明のCARをコードする核酸を含むベクターは、アデノウイルスベクター(A5/35)である。別の実施形態において、CARをコードする核酸の発現は、sleeping beauty、CRISPR、CAS9及び亜鉛フィンガーヌクレアーゼなどのトランスポゾンを使用して達成できる。参照により本明細書に組み込まれるJune et al.2009 Nature Reviews Immunology 9.10:704-716を参照されたい。
【0130】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR、サイトカイン、ケモカイン、阻害分子を遮断するshRNA又はタンパク質の発現を誘導するmRNAを発現する。いくつかの実施形態において、タンパク質は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域及びシグナル伝達ドメインを含むCARである。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインである。
【0131】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクター中のヌクレオチド配列は、腫瘍抗原を標的とするように操作されたペプチドを発現する。いくつかの実施形態において、ペプチドは、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、Prostase、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される腫瘍抗原を標的とする。いくつかの実施形態において、ペプチドは、キメラ抗原受容体(CAR)又は操作されたTCRである。このようなペプチドは、以下の「キメラ抗原受容体技術の一般的説明」という名称のセクションでより詳細に説明される。
【0132】
メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとの組成物
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物も本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、MSP(例えば、MSR)は、細孔及び/又はナノチャネルを覆う表面又は表面に吸着又は共有結合された複数の官能基を更に含む。いくつかの実施形態において、官能基は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩である。いくつかの実施形態において、官能基(すなわち-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩)は、MSPの表面に直接結合され得る。いくつかの実施形態において、官能基は、C~C20アルキルリンカーを介してMSP(例えば、MSR)表面に共有結合している。他の実施形態において、官能基は、ポリエチレングリコールリンカーを介してMSP表面に共有結合している。特定の実施形態において、ポリエチレングリコールリンカーは、式(O(CH-CH-)1~25を有する。特定の実施形態において、表面修飾は、C~C20アルキルパーハロアルキル又はC~C20アルキルパーフルオロアルキルである。
【0133】
いくつかの実施形態において、MSP(例えば、MSR)は、一級、二級、三級又は四級アミンで表面修飾されている。特定の実施形態において、メソポーラスシリカロッドは、ポリエチレンイミンで修飾されている。特定の実施形態において、ポリエチレンイミンは、分岐又は非分岐である。代替的な実施形態において、ポリエチレンイミン基は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000ダルトン(Da)の範囲の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、ポリエチレンイミン基は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有する。
【0134】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子にコンジュゲートされている。本明細書に記載されるように、「~にコンジュゲートされている」とは、本明細書に記載される任意の手段によって結合又は付着されていることを意味する。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、メソポーラスシリカ粒子に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとの間の静電結合は、反対に表面帯電したウイルスベクター及びメソポーラスシリカ粒子によるものである。例えば、理論に拘束されるものではないが、正に帯電したポリエチレンイミン又は一級、二級、三級若しくは四級アンモニウム基によって表面修飾されたメソポーラスシリカ粒子は、負に表面帯電したウイルスベクターにコンジュゲートすることができる。従って、いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、負に帯電しており、メソポーラスシリカ粒子は、正に帯電している。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとの間の共有結合は、リンカーを介して又はリンカーなしで、当業者に公知の方法によって達成される。例えば、限定されないが、リンカーは、ポリエチレングリコール、アルキル基、ポリマー、ポリアミド結合などであり得る。
【0135】
いくつかの態様において、本明細書に提供されるものは、免疫エフェクター細胞、例えばTリンパ球細胞の集団の製造おける使用のために製剤化された、本明細書に記載のメソポーラスシリカ粒子を含む医薬組成物を含む。いくつかの実施形態において、Tリンパ球細胞は、CARで形質導入される。いくつかの実施形態において、MSPは、本明細書に記載されるようにウイルスベクターにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、免疫エフェクター細胞(例えば、Tリンパ球細胞)の集団の製造における使用のためのMSPは、本明細書に記載されるように表面修飾され得る。
【0136】
いくつかの実施形態において、組成物は、メソポーラスシリカ粒子及びウイルスベクターを含む注射用組成物としての使用に適しており、ここで、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、本明細書に記載のメソポーラスシリカ粒子にコンジュゲートされている。
【0137】
本明細書に記載のメソポーラスシリカ粒子の組成物において、MSP(例えば、MSR)は、0.01~1000μg/mlの濃度で存在し得る。代替的な実施形態において、本明細書に記載の組成物中のMSP又はMSRの濃度は、0.1~500μg/ml、0.5~100μg/ml、1~90μg/ml、1~80μg/ml、1~70μg/ml、1~60μg/ml、1~50μg/ml又は1~40μg/mlであり得る。
【0138】
特定の実施形態において、MSP(例えば、MSR)は、約1μg/ml、10μg/ml、20μg/ml、30μg/ml、40μg/ml、50μg/ml、60μg/ml、70μg/ml、80μg/ml、90μg/ml、100μg/ml、110μg/ml、120μg/ml、130μg/ml、140μg/ml又は150μg/mlの濃度で存在し得る。
【0139】
一般に、本明細書に記載の組成物は、当技術分野において公知の通常の及び許容される方式のいずれかにより、単独で又は1つ以上の治療剤と組み合わせて上記の治療有効量で投与される。
【0140】
注射用組成物は、水性等張懸濁液であり得る。組成物は、滅菌され、且つ/又は保存剤、安定化剤、湿潤剤若しくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調整するための塩及び/若しくは緩衝剤などのアジュバントを含み得る。更に、それらは、他の治療上有効な物質も含み得る。
【0141】
本発明の医薬組成物を、処置する(又は予防する)疾患に適する方法で投与し得る。投与の量及び頻度は、患者の状態及び患者の疾患のタイプ及び重症度などの因子により決定されるが、適切な用量は、臨床試験により決定され得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、例えば、エンドトキシン、マイコプラズマ、複製可能レンチウイルス(RCL)、p24、VSV-G核酸、HIV gag、残留抗CD3/抗CD28コーティングビーズ、マウス抗体、貯留ヒト血清、ウシ血清アルブミン、ウシ血清、培養培地成分、ベクターパッケージング細胞又はプラスミド成分、細菌及び真菌からなる群から選択される汚染物が実質的にない、例えば検出可能なレベルで存在しない。いくつかの実施形態において、細菌は、アルガリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、ナイセリア・メニンギティデス(Neisseria meningitides)、シュードモナス・アエルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumonia)及びストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)A群からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0143】
投与のための医薬組成物(又は製剤)は、本明細書に記載の組成物を投与するために使用される方法に応じて様々な方法で包装され得る。一般的に、流通用物品は、適切な形態で医薬製剤を中に入れた容器を含む。適当な容器は、当業者に周知であり、ボトル(プラスチック及びガラス)、小袋、アンプル、ビニール袋、金属シリンダーなどの材料を含む。容器は、包装の内容物への不注意なアクセスを防止するための不正開封防止集合体も含む。更に、容器は、容器の内容物を記載するラベルが貼られている。ラベルは、適切な警告も含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原を更に含む。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている。追加的又は代替的な実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されている。更なる実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、IL-2、IL-15、GM-CSF、抗CD2 mAb、抗CD3 mAb、抗CD28 mAb、ネオ抗原ペプチド、TRP2などの共通抗原からのペプチド、gp100、腫瘍細胞溶解物、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCR又はそれらの組み合わせである。MSP(例えば、MSR)表面への吸着は、表面に付着する分子と同程度に一般的に理解されている。
【0145】
T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原がメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲートされている実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質二重層にコンジュゲートされ得る。メソポーラスシリカ粒子上に脂質二重層を作製する方法が知られている。例えば、国際公開第2018/013797号パンフレットを参照されたい。簡潔には、ビオチンなどの所定の量の標識を含有するリポソームを使用して、MSPをコーティングする。次に、相補的な標識、例えばストレプトアビジンを使用して、T細胞刺激化合物に付着させるために標識が使用され得る。リポソームを作製するために使用される脂質は、当業者に公知であり、限定されないが、2つの炭化水素鎖、典型的にはアシル鎖と極性頭部基とを有する小嚢形成性脂質を含む。このクラスには、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、スフィンゴミエリン(SM)などのリン脂質が含まれ、ここで、2つの炭化水素鎖の長さは、通常、約14~22炭素原子であり、異なる不飽和度を有する。いくつかの実施形態において、脂質は、比較的不飽和のリン脂質である(炭化水素鎖に1つ、2つ又は3つの二重結合を有する)。いくつかの実施形態において、脂質は、ホスファチジルコリンである。ホスファチジルコリンは、コリンを頭部基として組み込み、グリセロリン酸を2つの脂肪酸と組み合わせるリン脂質である。いくつかの実施形態において、ホスファチジルコリンは、パルミトイルホスファチジルコリン、又はオレオイルホスファチジルコリン、又は1-パルミトイル,2-オレオイルホスファチジルコリンである。リポソーム組成物を調製する際、複数のタイプの脂質が使用され得る。脂質及び比率の選択は、所望の程度の流動性又は剛性を達成するために且つ/又は安定性を制御するために変更することができる。リポソーム組成物の調製に複数のタイプの脂質を使用する場合、安定したリポソームを形成するために、適切な量の比較的不飽和の脂質(PCなど)を使用すべきである。いくつかの実施形態において、製剤で使用される脂質の少なくとも45~50モル%は、PCである。リポソームは、ポリエチレングリコール(PEG)などの親水性ポリマーで誘導体化された脂質も含み得る。適切な親水性ポリマーには、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアスパルタミド及び親水性ペプチド配列が含まれる。親水性ポリマーで誘導体化された脂質を調製する方法は、公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,395,619号明細書を参照されたい)。
【0146】
いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又は第2の集団は、サイトカインを更に含む。サイトカインは、限定されないが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態において、サイトカインは、メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団にコンジュゲート又は吸着されている。サイトカインがメソポーラスシリカ粒子の第2の集団に吸着されている実施形態において、MSP(例えば、MSR)の第2の集団は、上記のように脂質二重層によって更にコーティングされ得る。
【0147】
方法
いくつかの実施形態において、本発明は、
Tリンパ球を、メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物と接触させること
を含む方法であって、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、方法に関する。
【0148】
いくつかの実施形態において、接触は、インビトロで生じる。いくつかの実施形態において、Tリンパ球は、メソポーラスシリカ粒子と接触する前又は後に活性化される。
【0149】
いくつかの実施形態において、本発明は、インビボで組換えポリヌクレオチドによってTリンパ球を遺伝的に形質導入する方法であって、
メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を、1つ以上のTリンパ球を有する対象に投与すること
を含み、
ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含み、
組成物が1つ以上のTリンパ球と接触すると、Tリンパ球は、組換えポリヌクレオチドによって遺伝的に形質導入される、方法に関する。
【0150】
いくつかの実施形態において、本発明は、インビトロでTリンパ球集団を増殖させる方法であって、Tリンパ球集団を、
(a)メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)の第1の集団と、形質導入されたTリンパ球集団を提供するためのウイルスベクターとを含む組成物
と接触させること、及び
(b)形質導入されたTリンパ球集団をT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原及び任意選択によりサイトカインと接触させること
を含み、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、方法に関する。
【0151】
現在記載されている方法のいくつかの実施形態において、方法は、集団中のTリンパ球の割合の増加をもたらす。
【0152】
いくつかの実施形態において、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞集団を増殖させる方法であって、CAR-T細胞集団を、標的部分にコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)と接触させることを含む方法に関し、ここで、標的部分は、CARに相補的である。
【0153】
いくつかの実施形態において、本発明は、培養物中のTリンパ球の割合を選択的に増殖させる方法であって、Tリンパ球集団を、
(a)メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)の第1の集団と、形質導入されたTリンパ球集団を提供するためのウイルスベクターとを含む組成物
と接触させること、及び
(b)形質導入されたTリンパ球集団をT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原及び任意選択によりサイトカインと接触させること
を含み、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、方法に関する。
【0154】
いくつかの実施形態において、培養物は、NK細胞、単球、B細胞を含む異なるエフェクター細胞型を含む。特定の実施形態において、Tリンパ球の割合は、MSP組成物と接触する前のTリンパ球の割合と比較して約10%、20%、30%、40%又は50%増強される。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、8日以下の期間にわたって増殖される。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明は、ウイルスベクターを対象における所望の作用部位に送達する方法であって、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を対象に投与することを含む方法である。メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)及びウイルスベクターの組成物は、上記のとおりである。
【0156】
いくつかの態様において、本明細書に列挙される方法において、メソポーラスシリカ粒子は、本明細書に記載されるような細孔及び/又はナノチャネルを覆う表面又はMSP(例えば、MSR)の表面に吸着又は共有結合された複数の官能基で表面修飾され得る。いくつかの実施形態において、官能基は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩である。いくつかの実施形態において、官能基(すなわち-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩)は、リンカーによってシリカ表面から分離され得る。いくつかの実施形態において、官能基は、C~C20アルキルリンカーを介してMSP又はMSR表面に共有結合している。他の実施形態において、官能基は、ポリエチレングリコールリンカーを介してMSP(例えば、MSR)表面に共有結合している。特定の実施形態において、表面修飾は、C~C20アルキルパーハロアルキル又はC~C20アルキルパーフルオロアルキルである。
【0157】
別の態様において、本明細書に記載される方法において、ウイルスベクターは、本明細書に記載されるとおりである。本発明の方法において、ウイルスベクターは、本明細書に記載されるように、メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとの間の静電結合は、反対に帯電したウイルスベクター及びメソポーラスシリカ粒子によるものである。例えば、理論に拘束されるものではないが、正に帯電したポリエチレンイミン又は一級、二級、三級又は四級アンモニウム基によって表面修飾されたメソポーラスシリカ粒子は、負に帯電したウイルスベクターにコンジュゲートすることができる。従って、いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、負に帯電しており、表面修飾されたメソポーラスシリカ粒子は、正に帯電している。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとの間の共有結合は、リンカーを介して又はリンカーなしで、当業者に公知の方法によって達成される。例えば、限定されないが、リンカーは、ポリエチレングリコール、アルキル基、ポリマー、ポリアミド結合などであり得る。
【0158】
本明細書に列挙されるいくつかの方法において、ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR、サイトカイン、ケモカイン、阻害分子を遮断するshRNA又はタンパク質の発現を誘導するmRNAを発現する。特定の実施形態において、発現されるヌクレオチド配列は、CARを発現する。
【0159】
本明細書に記載のいくつかの方法において、Tリンパ球は、Tリンパ球をT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原と接触させることによって活性化され得る。T細胞刺激化合物の例は、本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団若しくはメソポーラスシリカ粒子の第2の集団又はMSP(例えば、MSR)の両方の集団にコンジュゲート又は吸着されている。他の実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている。特定の実施形態において、T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープに直接コンジュゲートされている。MSPの表面での脂質エンベロープの調製は、公知であり、本明細書に記載されている。例えば、国際公開第2018/013797号パンフレットを参照されたい。
【0160】
本明細書に記載の方法は、Tリンパ球をサイトカインと接触させることを更に含み得る。いくつかの実施形態において、サイトカインは、MSP(例えば、MSR)を含む培地中にあるか、或いはメソポーラスシリカ粒子の第1若しくは第2の集団又は両方の集団にコンジュゲート又は吸着されている。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである。
【0161】
いくつかの実施形態において、方法は、形質導入後にT細胞の集団を増殖させることを更に含む。T細胞/Tリンパ球は、本明細書に記載の方法によって増殖させることができる。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、8日以下の期間にわたって増殖される。
【0162】
更に他の実施形態において、細胞の集団は、5日間インビトロで増殖され、得られた細胞は、同じ培養条件下において、9日間の培養により増殖された同じ細胞と比較してより高い炎症誘発性IFN-γ及び/又はGM-CSFレベルを示す。
【0163】
理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載の方法は、CAR-T細胞製造プロセス中にレンチウイルスを保存すると考えられている。材料システムの刺激能力は、CAR T細胞の抗原特異的刺激を可能にすることにより、CAR T細胞製造に現在使用されている試薬からの独自の能力を可能にし、これは、体内に移されたときにCAR T細胞機能を高め得るか、又は培養物中の非CAR T細胞と比較してCAR T細胞を選択的に刺激及び増殖して、CAR T細胞産物の純度を高めるために使用され得る。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明は、活性剤を対象における所望の作用部位に送達する方法であって、ポリエチレンイミンにコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子を含む組成物を対象に投与することを含む方法である。特定の実施形態において、ポリエチレンイミンは、メソポーラスシリカ粒子に共有結合している。いくつかの実施形態において、ポリエチレンイミン基は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有する。
【0165】
いくつかの実施形態において、本発明は、所望の作用部位において対象に持続的な薬物送達を提供する方法を提供し、これは、ポリエチレンイミンにコンジュゲートしたメソポーラスシリカ粒子を含む組成物と、メソポーラスシリカ粒子に吸収又は吸着された活性剤とを対象に投与することを含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、活性剤は、抗癌剤である。
【0167】
キメラ抗原受容体技術の一般的な説明
いくつかの実施形態において、CAR分子、例えば本明細書に記載のものを発現するように操作された免疫エフェクター細胞、例えばT細胞又はNK細胞の集団を製造、例えば活性化及び/又は増殖するためにメソポーラスシリカ粒子を使用するための方法が本明細書に記載され、ここで、細胞は、増強した活性(例えば、増殖、サイトカイン放出及び/又は腫瘍標的有効性)を有する。
【0168】
いくつかの実施形態において、組換えポリペプチド構築物は、腫瘍支持抗原(例えば、本明細書に記載の腫瘍支持抗原)に結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体フラグメント、TCR又はTCRフラグメント)、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載の膜貫通ドメイン)及び細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン)(例えば、共刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載の共刺激ドメイン)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の一次シグナル伝達ドメイン)を含む細胞内シグナル伝達ドメイン)を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする。いくつかの実施形態において、腫瘍支持抗原は、間質細胞又は骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)上に存在する抗原である。他の態様において、本発明は、このような核酸によりコードされるポリペプチド並びにこのような核酸及び/又はポリペプチドを含む宿主細胞を特徴とする。
【0169】
いくつかの実施形態において、ベクター中のヌクレオチド配列は、腫瘍抗原を標的とするように操作されたタンパク質を発現する。
【0170】
いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、CD19;CD123;CD22;CD30;CD171;CS-1(CD2サブセット1、CRACC、SLAMF7、CD319及び19A24とも称される);C型レクチン様分子-1(CLL-1又はCLECL1);CD33;上皮成長因子受容体変異体III(EGFRvIII);ガングリオシドG2(GD2);ガングリオシドGD3(aNeu5Ac(2-8)aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA);Tn抗原((TnAg)又は(GalNAcα-Ser/Thr));前立腺特異的膜抗原(PSMA);受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1);Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3);腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72);CD38;CD44v6;癌胎児性抗原(CEA);上皮細胞接着分子(EPCAM);B7H3(CD276);KIT(CD117);インターロイキン-13受容体サブユニットα-2(IL-13Ra2又はCD213A2);メソテリン;インターロイキン11受容体α(IL-11Ra);前立腺幹細胞抗原(PSCA);プロテアーゼセリン21(テスチシン又はPRSS21);血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2);ルイス(Y)抗原;CD24;血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β);ステージ特異的胎児抗原-4(SSEA-4);CD20;葉酸受容体α;受容体チロシン-プロテインキナーゼERBB2(Her2/neu);ムチン1、細胞表面関連(MUC1);上皮成長因子受容体(EGFR);神経細胞接着分子(NCAM);プロスターゼ;前立腺酸性ホスファターゼ(PAP);伸長因子2突然変異型(ELF2M);エフリンB2;線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP);インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX);プロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット、ベータ型、9(LMP2);糖タンパク質100(gp100);切断点クラスター領域(BCR)及びエーベルソンマウス白血病ウイルス性癌遺伝子ホモログ1(Abl)からなる癌遺伝子融合タンパク質(bcr-abl);チロシナーゼ;エフリンA型受容体2(EphA2);フコシルGM1;シアリルルイス接着分子(sLe);ガングリオシドGM3(aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);トランスグルタミナーゼ5(TGS5);高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA);o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2);葉酸受容体β;腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248);腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R);クローディン6(CLDN6);甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRC5D);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXORF61);CD97;CD179a;未分化リンパ腫キナーゼ(ALK);ポリシアル酸;胎盤特異的1(PLAC1);グロボHグリコセラミドの六糖部分(GloboH);乳腺分化抗原(NY-BR-1);ウロプラキン2(UPK2);A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1);アドレノセプターβ3(ADRB3);パネキシン3(PANX3);Gタンパク質共役受容体20(GPR20);リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K);嗅覚受容体51E2(OR51E2);TCRγ代替リーディングフレームタンパク質(TARP);ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1);癌/精巣抗原1(NY-ESO-1);癌/精巣抗原2(LAGE-1a);黒色腫関連抗原1(MAGE-A1);ETS転座変異体遺伝子6、染色体12pに位置する(ETV6-AML);精子タンパク質17(SPA17);X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1);アンギオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie 2);黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1);黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2);Fos関連抗原1;腫瘍タンパク質p53(p53);p53突然変異体;プロステイン;サバイビン;テロメラーゼ;前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1又はガレクチン8)、T細胞によって認識される黒色腫抗原1(メランA又はMART1);ラット肉腫(Ras)突然変異体;ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);サルコーマ転座切断点;黒色腫アポトーシス阻害因子(ML-IAP);ERG(膜貫通型プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子);N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(NA17);ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3);アンドロゲン受容体;サイクリンB1;v-mycトリ骨髄球腫症ウイルス性癌遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN);RasホモログファミリーメンバーC(RhoC);チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2);シトクロムP450 1B1(CYP1B1);CCCTC結合因子(亜鉛フィンガータンパク質)様(BORIS又は刷り込み部位の調節因子のブラザー)、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原3(SART3);ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5);プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1);リンパ球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK);Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4);滑膜肉腫、X切断点2(SSX2);後期糖化最終産物受容体(RAGE-1);腎臓遍在性1(RU1);腎臓遍在性2(RU2);レグマイン;ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6);ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7);腸カルボキシルエステラーゼ;熱ショックタンパク質70-2突然変異型(mut hsp70-2);CD79a;CD79b;CD72;白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1);IgA受容体のFcフラグメント(FCAR又はCD89);白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2);CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF);C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A);骨髄間質細胞抗原2(BST2);EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2);リンパ球抗原75(LY75);グリピカン-3(GPC3);Fc受容体様5(FCRL5);又は免疫グロブリンλ様ポリペプチド1(IGLL1)の1つ以上から選択される。
【0171】
本明細書に記載のCARは、腫瘍支持抗原(例えば、本明細書に記載の腫瘍支持抗原)に結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体フラグメント、TCR又はTCRフラグメント)を含み得る。いくつかの実施形態において、腫瘍支持抗原は、間質細胞又は骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)上に存在する抗原である。間質細胞は、微小環境における細胞分裂を促進するために成長因子を分泌し得る。MDSC細胞は、T細胞の増殖及び活性化を阻害することができる。理論に拘束されることを望まないが、いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は、腫瘍支持細胞を破壊し、それにより腫瘍増殖又は生存を間接的に阻害する。
【0172】
一実施形態において、間質細胞抗原は、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)及びテネイシンの1つ以上から選択される。いくつかの実施形態において、FAP特異的抗体は、シブロツズマブとの結合について競合するか又はそれと同じCDRを有する。実施形態において、MDSC抗原は、CD33、CD11b、C14、CD15及びCD66bの1つ以上から選択される。従って、いくつかの実施形態において、腫瘍支持抗原は、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)又はテネイシン、CD33、CD11b、C14、CD15及びCD66bの1つ以上から選択される。
【0173】
いくつかの実施形態において、コードされたCAR分子の抗原結合ドメインは、抗体、抗体フラグメント、scFv、Fv、Fab、(Fab’)2、単一ドメイン抗体(SDAB)、VH又はVLドメイン、ラクダ科動物のVHHドメイン又は二機能性(例えば二特異性)ハイブリッド抗体(例えば、Lanzavecchia et al.,Eur.J.Immunol.17,105(1987))を含む。
【0174】
ある例において、scFvは、当技術分野で知られる方法により製造できる(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい)。ScFv分子は、可動性ポリペプチドリンカーを使用して、VH領域とVL領域とを一緒に連結することにより産生できる。scFv分子は、最適長及び/又はアミノ酸組成を有するリンカー(例えば、Ser-Glyリンカー)を含む。リンカー長は、scFvの可変領域がどのように折りたたまれ、相互作用するかに大きく影響し得る。実際に、短ポリペプチドリンカーを用いる場合、(例えば、5~10アミノ酸)、鎖内折りたたみは、阻止される。鎖内折りたたみは、2つの可変領域が一体となって機能的エピトープ結合部位を形成させるためにも必要である。リンカー方向及びサイズの例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるHollinger et al.1993 Proc Natl Acad.Sci.U.S.A.90:6444-6448、米国特許出願公開第2005/0100543号明細書、米国特許出願公開第2005/0175606号明細書、米国特許出願公開第2007/0014794号明細書並びに国際公開第2006/020258号パンフレット及び国際公開第2007/024715号パンフレットを参照されたい。
【0175】
scFvは、そのVL領域とVH領域との間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50又はそれを超えるアミノ酸残基のリンカーを含み得る。リンカー配列は、あらゆる天然に存在するアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態において、リンカー配列は、アミノ酸グリシン及びセリンを含む。別の実施形態において、リンカー配列は、(GlySer)n(ここで、nは、1つ以上の正の整数である)などの一連のグリシン及びセリン反復を含む(配列番号22)。いくつかの実施形態において、リンカーは、(GlySer)(配列番号29)又は(GlySer)(配列番号30)であり得る。リンカー長の変動は、活性を維持又は増強し、活性試験において優れた有効性を生じ得る。
【0176】
別の態様において、抗原結合ドメインは、T細胞受容体(「TCR」)又はそのフラグメント、例えば単鎖TCR(scTCR)である。そのようなTCRを作製する方法は、当技術分野において公知である。例えば、Willemsen RA et al,Gene Therapy 7:1369-1377(2000);Zhang T et al,Cancer Gene Ther 11:487-496(2004);Aggen et al,Gene Ther.19(4):365-74(2012)(参考文献は、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。例えば、リンカー(例えば、柔軟なペプチド)によって連結されたT細胞クローン由来のVα及びVβ遺伝子を含むscTCRを操作することができる。このアプローチは、それ自体が細胞内にある癌関連標的にとって非常に有用であるが、そのような抗原(ペプチド)のフラグメントは、MHCによって癌細胞の表面に提示される。
【0177】
特定の実施形態において、コードされた抗原結合ドメインは、10-4M~10-8Mの結合親和性KDを有する。
【0178】
いくつかの実施形態において、コードされたCAR分子は、標的抗原について、10-4M~10-8M、例えば10-5M~10-7M、例えば10-6M又は10-7Mの結合親和性Kを有する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、参照抗体、例えば本明細書に記載の抗体より少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍又は1,000倍小さい結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、コードされた抗原結合ドメインは、参照抗体(例えば、抗原結合ドメインが由来する抗体)より少なくとも5倍小さい結合親和性を有する。いくつかの態様において、このような抗体フラグメントは、当業者に理解されるように、免疫応答活性化、その標的抗原からのシグナル伝達開始阻害を含むが、これらに限定されない生物学的応答を提供する点で機能的である。
【0179】
いくつかの態様において、CARの抗原結合ドメインは、それが由来するscFvのマウス配列と比較してヒト化されたscFv抗体フラグメントである。
【0180】
いくつかの態様において、本発明のCARの抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、その配列が哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、本発明のCAR構築物全体は、その配列全体が哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。コドン最適化とは、コードDNAにおける同義コドン(すなわち同じアミノ酸をコードするコドン)の出現頻度が異なる種で偏っているという発見を指す。そのようなコドン縮重は、同一のポリペプチドが様々なヌクレオチド配列によってコードされることを可能にする。様々なコドン最適化方法が当技術分野で知られており、例えば少なくとも米国特許第5,786,464号明細書及び米国特許第6,114,148号明細書に開示される方法が含まれる。
【0181】
CAR分子、例えば本明細書に記載のものを発現するように操作された免疫エフェクター細胞が関与する実施形態において、処置方法は、キメラ抗原受容体に関する節において以下に記載する工程、態様又は特徴のいずれも更に含み得ることが理解される。
【0182】
細胞は、好ましくは、免疫エフェクター細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、NK細胞である。実施形態において、本発明は、本発明の細胞の集団、例えば本発明の免疫エフェクター細胞の集団に関する。一実施形態において、本発明の細胞の集団は、示される型の細胞を含み、他の型を含み得る(例えば、CAR分子、例えば本明細書に記載のものを発現するように操作された免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の集団は、CAR分子を発現するように操作されたT細胞及びCAR分子を発現するように操作されていないT細胞(又は他の細胞型)を含み得る)。実施形態において、本発明の方法において使用される細胞の集団は、示された型の細胞から本質的になる。一実施形態において、本発明の細胞の集団は、他の細胞型を実質的に含まない。実施形態において、本発明の細胞の集団は、示された細胞型からなる。
【0183】
前述の態様及び実施形態のいずれかにおいて、細胞及び/又は細胞の集団は、免疫エフェクター細胞であるか又はそれを含み、例えば、免疫エフェクター細胞の集団は、T細胞又はNK細胞を含む、例えばそれからなる。実施形態において、細胞は、T細胞、例えばCD8+T細胞、CD4+T細胞又はこれらの組み合わせである。ある実施形態において、細胞は、NK細胞である。
【0184】
一実施形態において、細胞は、ヒト細胞である。実施形態において、細胞は、例えば、細胞を投与する対象に対して自己由来である。実施形態において、細胞は、例えば、細胞を投与する対象に対して同種異系である。
【0185】
一般に、本明細書に記載の方法において、本明細書に記載の組成物は、当技術分野において公知の通常の及び許容される方式のいずれかにより、単独で又は1つ以上の治療剤と組み合わせて上記の治療有効量で投与される。特定の実施形態において、組成物は、注射によって投与される。更に特定の実施形態において、インビボ投与のために、組成物は、それを必要とする対象に皮下投与される。他の実施形態において、組成物は、所望の作用部位にインプラントの形態で投与され得る。作用部位は、対象の必要性に従って当業者によって決定され得る。
【0186】
CAR標的
免疫エフェクター細胞を、望ましくない細胞(例えば、癌細胞)に指向させる、1つ以上のCARを含有するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を形質導入するウイルスベクターが本明細書に記載される。これは、癌関連抗原に対して特異的であるCAR上の抗原結合ドメインを通して達成される。本発明のCARにより標的化され得る2つのクラスの癌関連抗原(腫瘍抗原)が存在する:(1)癌細胞の表面に発現される癌関連抗原;及び(2)それ自体細胞内であるが、そのような抗原(ペプチド)のフラグメントがMHC(主要組織適合複合体)により癌細胞の表面に提示される癌関連抗原。
【0187】
いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、CD19;CD123;CD22;CD30;CD171;CS-1(CD2サブセット1、CRACC、SLAMF7、CD319及び19A24とも称される);C型レクチン様分子-1(CLL-1又はCLECL1);CD33;上皮成長因子受容体変異体III(EGFRvIII);ガングリオシドG2(GD2);ガングリオシドGD3(aNeu5Ac(2-8)aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA);Tn抗原((TnAg)又は(GalNAcα-Ser/Thr));前立腺特異的膜抗原(PSMA);受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1);Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3);腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72);CD38;CD44v6;癌胎児性抗原(CEA);上皮細胞接着分子(EPCAM);B7H3(CD276);KIT(CD117);インターロイキン-13受容体サブユニットα-2(IL-13Ra2又はCD213A2);メソテリン;インターロイキン11受容体α(IL-11Ra);前立腺幹細胞抗原(PSCA);プロテアーゼセリン21(テスチシン又はPRSS21);血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2);ルイス(Y)抗原;CD24;血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β);ステージ特異的胎児抗原-4(SSEA-4);CD20;葉酸受容体α;受容体チロシン-プロテインキナーゼERBB2(Her2/neu);ムチン1、細胞表面関連(MUC1);上皮成長因子受容体(EGFR);神経細胞接着分子(NCAM);プロスターゼ;前立腺酸性ホスファターゼ(PAP);伸長因子2突然変異型(ELF2M);エフリンB2;線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP);インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX);プロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット、ベータ型、9(LMP2);糖タンパク質100(gp100);切断点クラスター領域(BCR)及びエーベルソンマウス白血病ウイルス性癌遺伝子ホモログ1(Abl)からなる癌遺伝子融合タンパク質(bcr-abl);チロシナーゼ;エフリンA型受容体2(EphA2);フコシルGM1;シアリルルイス接着分子(sLe);ガングリオシドGM3(aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);トランスグルタミナーゼ5(TGS5);高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA);o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2);葉酸受容体β;腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248);腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R);クローディン6(CLDN6);甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRC5D);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXORF61);CD97;CD179a;未分化リンパ腫キナーゼ(ALK);ポリシアル酸;胎盤特異的1(PLAC1);グロボHグリコセラミドの六糖部分(GloboH);乳腺分化抗原(NY-BR-1);ウロプラキン2(UPK2);A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1);アドレノセプターβ3(ADRB3);パネキシン3(PANX3);Gタンパク質共役受容体20(GPR20);リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K);嗅覚受容体51E2(OR51E2);TCRγ代替リーディングフレームタンパク質(TARP);ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1);癌/精巣抗原1(NY-ESO-1);癌/精巣抗原2(LAGE-1a);黒色腫関連抗原1(MAGE-A1);ETS転座変異体遺伝子6、染色体12pに位置する(ETV6-AML);精子タンパク質17(SPA17);X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1);アンギオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie 2);黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1);黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2);Fos関連抗原1;腫瘍タンパク質p53(p53);p53突然変異体;プロステイン;サバイビン;テロメラーゼ;前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1又はガレクチン8)、T細胞によって認識される黒色腫抗原1(メランA又はMART1);ラット肉腫(Ras)突然変異体;ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);サルコーマ転座切断点;黒色腫アポトーシス阻害因子(ML-IAP);ERG(膜貫通型プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子);N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(NA17);ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3);アンドロゲン受容体;サイクリンB1;v-mycトリ骨髄球腫症ウイルス性癌遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN);RasホモログファミリーメンバーC(RhoC);チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2);シトクロムP450 1B1(CYP1B1);CCCTC結合因子(亜鉛フィンガータンパク質)様(BORIS又は刷り込み部位の調節因子のブラザー)、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原3(SART3);ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5);プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1);リンパ球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK);Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4);滑膜肉腫、X切断点2(SSX2);後期糖化最終産物受容体(RAGE-1);腎臓遍在性1(RU1);腎臓遍在性2(RU2);レグマイン;ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6);ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7);腸カルボキシルエステラーゼ;熱ショックタンパク質70-2突然変異型(mut hsp70-2);CD79a;CD79b;CD72;白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1);IgA受容体のFcフラグメント(FCAR又はCD89);白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2);CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF);C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A);骨髄間質細胞抗原2(BST2);EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2);リンパ球抗原75(LY75);グリピカン-3(GPC3);Fc受容体様5(FCRL5);又は免疫グロブリンλ様ポリペプチド1(IGLL1)の1つ以上から選択される。
【0188】
CD19
非限定的な例示的な腫瘍抗原は、CD19である。CD19に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2012/079000号パンフレット及び国際公開第2014/153270号パンフレットに開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のCD19 CAR、例えば任意の公知のCD19 CARのCD19抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例えば、LG-740;米国特許第8,399,645号明細書に記載のCD19 CAR;米国特許第7,446,190号明細書;Xu et al.,Leuk Lymphoma.2013 54(2):255-260(2012);Cruz et al.,Blood 122(17):2965-2973(2013);Brentjens et al.,Blood,118(18):4817-4828(2011);Kochenderfer et al.,Blood 116(20):4099-102(2010);Kochenderfer et al.,Blood 122(25):4129-39(2013);及び16th Annu Meet Am Soc Gen Cell Ther(ASGCT)(May 15-18,Salt Lake City)2013,Abst 10。
【0189】
非限定的な例示的なCD19 CARは、例えば、本明細書に記載されるCD19 CAR又はXu et al.Blood 123.24(2014):3750-9;Kochenderfer et al.Blood 122.25(2013):4129-39,Cruz et al.Blood 122.17(2013):2965-73、NCT00586391、NCT01087294、NCT02456350、NCT00840853、NCT02659943、NCT02650999、NCT02640209、NCT01747486、NCT02546739、NCT02656147、NCT02772198、NCT00709033、NCT02081937、NCT00924326、NCT02735083、NCT02794246、NCT02746952、NCT01593696、NCT02134262、NCT01853631、NCT02443831、NCT02277522、NCT02348216、NCT02614066、NCT02030834、NCT02624258、NCT02625480、NCT02030847、NCT02644655、NCT02349698、NCT02813837、NCT02050347、NCT01683279、NCT02529813、NCT02537977、NCT02799550、NCT02672501、NCT02819583、NCT02028455、NCT01840566、NCT01318317、NCT01864889、NCT02706405、NCT01475058、NCT01430390、NCT02146924、NCT02051257、NCT02431988、NCT01815749、NCT02153580、NCT01865617、NCT02208362、NCT02685670、NCT02535364、NCT02631044、NCT02728882、NCT02735291、NCT01860937、NCT02822326、NCT02737085、NCT02465983、NCT02132624、NCT02782351、NCT01493453、NCT02652910、NCT02247609、NCT01029366、NCT01626495、NCT02721407、NCT01044069、NCT00422383、NCT01680991、NCT02794961又はNCT02456207に記載される抗CD19 CARを含み、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0190】
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、国際公開第2012/079000号パンフレットにおいて配列番号12として提供される融合ポリペプチド配列を含み、これは、ヒトCD19に特異的に結合するマウス起源のscFvフラグメントを提供する。
【0191】
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、国際公開第2012/079000号パンフレットで配列番号12として提供されるアミノ酸配列を含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、
【化2】
のアミノ酸配列又はそれと実質的に相同な配列を含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、
【化3】
のアミノ酸配列を含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、アミノ酸配列:
【化4】
を含むヒト化CD19 CARである。
【0195】
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、配列、例えば以下の表1に開示されるCDR、VH、VL、scFv若しくは全長CAR配列又はそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。
【0196】
【表1】
【0197】
【表2】
【0198】
【表3】
【0199】
【表4】
【0200】
BCMA
非限定的な例示的な腫瘍抗原は、BCMAである。BCMAに結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2016/014565号パンフレット又は国際公開第2019/241426号パンフレットに開示されるものである。当技術分野において、任意の公知のBCMA CAR、例えば任意の公知のBCMA CARのBCMA抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例えば、国際公開第2016/014565号パンフレットに開示されるBCMA-1、BCMA-2、BCMA-3、BCMA-4、BCMA-5、BCMA-6、BCMA-7、BCMA-8、BCMA-9、BCMA-10、BCMA-11、BCMA-12、BCMA-13、BCMA-14、BCMA-15、149362、149363、149364、149365、149366、149367、149368、149369、BCMA_EBB-C1978-A4、BCMA_EBB-C1978-G1、BCMA_EBB-C1979-C1、BCMA_EBB-C1978-C7、BCMA_EBB-C1978-D10、BCMA_EBB-C1979-C12、BCMA_EBB-C1980-G4、BCMA_EBB-C1980-D2、BCMA_EBB-C1978-A10、BCMA_EBB-C1978-D4、BCMA_EBB-C1980-A2、BCMA_EBB-C1981-C3、BCMA_EBB-C1978-G4、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2又はC13F12.1である。
【0201】
いくつかの実施形態において、BCMA CARは、国際公開第2016/014565号パンフレットに開示されるBCMA-1、BCMA-2、BCMA-3、BCMA-4、BCMA-5、BCMA-6、BCMA-7、BCMA-8、BCMA-9、BCMA-10、BCMA-11、BCMA-12、BCMA-13、BCMA-14、BCMA-15、149362、149363、149364、149365、149366、149367、149368、149369、BCMA_EBB-C1978-A4、BCMA_EBB-C1978-G1、BCMA_EBB-C1979-C1、BCMA_EBB-C1978-C7、BCMA_EBB-C1978-D10、BCMA_EBB-C1979-C12、BCMA_EBB-C1980-G4、BCMA_EBB-C1980-D2、BCMA_EBB-C1978-A10、BCMA_EBB-C1978-D4、BCMA_EBB-C1980-A2、BCMA_EBB-C1981-C3、BCMA_EBB-C1978-G4、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2又はC13F12.1の、1つ以上のCDR、VH、VL、scFV若しくは全長配列又はそれと実質的に(例えば、95~99%)同一の配列を含む。
【0202】
いくつかの実施形態において、BCMA CARは、配列、例えば表2~14に開示されるCDR、VH、VL、scFv若しくは全長CAR配列又はそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。
【0203】
【表5】
【0204】
【表6】
【0205】
【表7】
【0206】
【表8】
【0207】
【表9】
【0208】
【表10】
【0209】
【表11】
【0210】
【表12】
【0211】
【表13】
【0212】
【表14】
【0213】
【表15】
【0214】
【表16】
【0215】
【表17】
【0216】
【表18】
【0217】
【表19】
【0218】
【表20】
【0219】
【表21】
【0220】
【表22】
【0221】
【表23】
【0222】
【表24】
【0223】
【表25】
【0224】
【表26】
【0225】
【表27】
【0226】
【表28】
【0227】
【表29】
【0228】
【表30】
【0229】
【表31】
【0230】
【表32】
【0231】
【表33】
【0232】
【表34】
【0233】
【表35】
【0234】
【表36】
【0235】
【表37】
【0236】
【表38】
【0237】
【表39】
【0238】
【表40】
【0239】
【表41】
【0240】
【表42】
【0241】
【表43】
【0242】
【表44】
【0243】
【表45】
【0244】
【表46】
【0245】
【表47】
【0246】
【表48】
【0247】
【表49】
【0248】
いくつかの実施形態において、BCMA CARは、国際公開第2012/0163805号パンフレットからのVH及びVL配列を使用して生成され得る(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、BCMA CARは、国際公開第2019/241426号パンフレットからのCDR、VH、VL、scFv又は全長CAR配列を使用して生成され得る(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0249】
他の例示的な標的
更なる非限定的な例示的な腫瘍抗原には、CD20、CD22、EGFR、CD123及びCLL-1が含まれる。
【0250】
CD20に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/067992号パンフレット又は国際公開第2016/164731号パンフレットに開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のCD20 CAR、例えば任意の公知のCD20 CARのCD20抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例示的なCD20結合配列又はCD20 CAR配列は、例えば、参照により組み込まれる国際公開第2018/067992号パンフレットの表1~5に開示されている。いくつかの実施形態において、CD20 CARは、国際公開第2018/067992号パンフレット又は国際公開第2016/164731号パンフレット(いずれも参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているCD20 CARのCDR、可変領域、scFv又は全長配列を含む。
【0251】
CD22に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2018/067992号パンフレット又は国際公開第2016/164731号パンフレットに開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のCD22 CAR、例えば任意の公知のCD22 CARのCD22抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。
【0252】
例示的なCD22結合配列又はCD22 CAR配列は、例えば、国際公開第2016164731号パンフレットの表6A、6B、7A、7B、7C、8A、8B、9A、9B、10A及び10B並びに国際公開第2018067992号パンフレットの表6~10に開示されている。いくつかの実施形態において、CD22 CAR配列は、国際公開第2018067992号パンフレット又は国際公開第2016164731号パンフレットに開示されているCD22 CARのCDR、可変領域、scFv又は全長配列を含む。
【0253】
実施形態において、CARは、CD22に結合する抗原結合ドメイン(CD22 CAR)を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、ヒトCD22を標的とする。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、本明細書に記載されるような単鎖Fv配列を含む。
【0254】
ヒトCD22 CARの配列を以下に提供する。いくつかの実施形態において、ヒトCD22 CARは、CAR22-65である。
ヒトCD22 CAR scFv配列
【化5】
ヒトCD22 CAR重鎖可変領域
【化6】
ヒトCD22 CAR軽鎖可変領域
【化7】
【0255】
【表50】
【0256】
【表51】
【0257】
EGFRに結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/130657号パンフレットに開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のEGFR CAR、例えば任意の公知のEGFR CARのEGFR抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例示的なEGFRvIII CARは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/130657号パンフレット、例えば国際公開第2014/130657号パンフレットの表2に開示される、CDR、可変領域、scFv又は全長CAR配列を含み得る。
【0258】
CD123に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2014/130635号パンフレット又は国際公開第2016/028896号パンフレットに開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のCD123 CAR、例えば任意の公知のCD123 CARのCD123抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例えば、国際公開第2014/130635号パンフレットに開示されているCAR1~CAR8;又は国際公開第2016/028896号パンフレットに開示されているCAR123-1~CAR123-4及びhzCAR123-1~hzCAR123-32である。CD123 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVH CDR及び1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2014/130635号パンフレット及び国際公開第2016/028896号パンフレットに指定される。
【0259】
CLL-1に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書に開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のCLL-1 CAR、例えば任意の公知のCLL-1 CARのCLL-1抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。
【0260】
いくつかの実施形態において、CARは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/014535号パンフレットの表2によるCLL-1 CAR又は抗原結合ドメインを含む。CLL-1 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVH CDR及び1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/014535号パンフレットに指定される。
【0261】
CD33に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書及び国際公開第2016/014576号パンフレットに開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のCD33 CAR、例えば任意の公知のCD33 CARのCD33抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例えば、国際公開2016/014576号パンフレットに開示されているCAR33-1~CAR33-9である。
【0262】
いくつかの実施形態において、CARは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/014576号パンフレットの表2又は9によるCD33 CAR又は抗原結合ドメインを含む。CD33 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVH CDR及び1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/014576号パンフレットに指定される。
【0263】
メソテリンに結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、ヒトメソテリンに結合する、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015090230号パンフレット及び国際公開第2017112741号パンフレット、例えば国際公開第2017112741号パンフレットの表2、3、4及び5に開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のメソテリンCAR、例えば任意の公知のメソテリンCARのメソテリン抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。
【0264】
GFR ALPHA-4に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2016/025880号パンフレットに開示されているものである。当技術分野において、任意の公知のGFR ALPHA-4 CAR、例えば任意の公知のGFR ALPHA-4 CARのGFR ALPHA-4抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。GFR ALPHA-4 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVH CDR及び1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/025880号パンフレットに指定される。
【0265】
抗原結合ドメイン構造
いくつかの実施形態において、コードされたCAR分子の抗原結合ドメインは、抗体、抗体フラグメント、scFv、Fv、Fab、(Fab’)2、単一ドメイン抗体(SDAB)、VH又はVLドメイン、ラクダ科動物のVHHドメイン又は二機能性(例えば二特異性)ハイブリッド抗体(例えば、Lanzavecchia et al.,Eur.J.Immunol.17,105(1987))を含む。
【0266】
ある例において、scFvは、当技術分野で知られる方法により製造できる(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい)。ScFv分子は、可動性ポリペプチドリンカーを使用して、VH領域とVL領域とを一緒に連結することにより産生できる。scFv分子は、最適長及び/又はアミノ酸組成を有するリンカー(例えば、Ser-Glyリンカー)を含む。リンカー長は、scFvの可変領域がどのように折りたたまれ、相互作用するかに大きく影響し得る。実際に、短ポリペプチドリンカーを用いる場合、(例えば、5~10アミノ酸)、鎖内折りたたみは、阻止される。鎖内折りたたみは、2つの可変領域が一体となって機能的エピトープ結合部位を形成させるためにも必要である。リンカー方向及びサイズの例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるHollinger et al.1993 Proc Natl Acad.Sci.U.S.A.90:6444-6448、米国特許出願公開第2005/0100543号明細書、米国特許出願公開第2005/0175606号明細書、米国特許出願公開第2007/0014794号明細書並びに国際公開第2006/020258号パンフレット及び国際公開第2007/024715号パンフレットを参照されたい。
【0267】
scFvは、そのVL領域とVH領域との間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50又はそれを超えるアミノ酸残基のリンカーを含み得る。リンカー配列は、あらゆる天然に存在するアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態において、リンカー配列は、アミノ酸グリシン及びセリンを含む。別の実施形態において、リンカー配列は、(Gly4Ser)n(ここで、nは、1つ以上の正の整数である)などの一連のグリシン及びセリン反復を含む(配列番号22)。いくつかの実施形態において、リンカーは、(Gly4Ser)4(配列番号29)又は(Gly4Ser)3(配列番号30)であり得る。リンカー長の変動は、活性を維持又は増強し、活性試験において優れた有効性を生じ得る。
【0268】
別の態様において、抗原結合ドメインは、T細胞受容体(「TCR」)又はそのフラグメント、例えば単鎖TCR(scTCR)である。そのようなTCRを作製する方法は、当技術分野において公知である。例えば、Willemsen RA et al,Gene Therapy 7:1369-1377(2000);Zhang T et al,Cancer Gene Ther 11:487-496(2004);Aggen et al,Gene Ther.19(4):365-74(2012)(参考文献は、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。例えば、リンカー(例えば、柔軟なペプチド)によって連結されたT細胞クローン由来のVα及びVβ遺伝子を含むscTCRを操作することができる。このアプローチは、それ自体が細胞内にある癌関連標的にとって非常に有用であるが、そのような抗原(ペプチド)のフラグメントは、MHCによって癌細胞の表面に提示される。
【0269】
特定の実施形態において、コードされた抗原結合ドメインは、10-4M~10-8Mの結合親和性KDを有する。
【0270】
いくつかの実施形態において、コードされたCAR分子は、標的抗原について、10-4M~10-8M、例えば10-5M~10-7M、例えば10-6M又は10-7Mの結合親和性Kを有する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、参照抗体、例えば本明細書に記載の抗体より少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍又は1000倍小さい結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、コードされた抗原結合ドメインは、参照抗体(例えば、抗原結合ドメインが由来する抗体)より少なくとも5倍小さい結合親和性を有する。いくつかの態様において、このような抗体フラグメントは、当業者に理解されるように、免疫応答活性化、その標的抗原からのシグナル伝達開始阻害を含むが、これらに限定されない生物学的応答を提供する点で機能的である。
【0271】
いくつかの態様において、CARの抗原結合ドメインは、それが由来するscFvのマウス配列と比較してヒト化されたscFv抗体フラグメントである。
【0272】
いくつかの態様において、本明細書に記載のCARの抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、その配列が哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、本発明のCAR構築物全体は、その配列全体が哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。コドン最適化とは、コードDNAにおける同義コドン(すなわち同じアミノ酸をコードするコドン)の出現頻度が異なる種で偏っているという発見を指す。そのようなコドン縮重は、同一のポリペプチドが様々なヌクレオチド配列によってコードされることを可能にする。様々なコドン最適化方法が当技術分野で知られており、例えば少なくとも米国特許第5,786,464号明細書及び第6,114,148号明細書に開示される方法が含まれる。
【0273】
特定の抗原抗体対は、当技術分野で公知である。抗原抗体対及びその成分の非限定的な例示的な実施形態は、本明細書の上記の「標的」という名称のセクション及び以下に提供される。
【0274】
CD19
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、CD19に結合し、Nicholson et al.Mol.Immun.34(16-17):1157-1165(1997)に記載のFMC63 scFvフラグメントと同一又は類似の結合特異性を有する。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、CD19に結合し、Nicholson et al.Mol.Immun.34(16-17):1157-1165(1997)に記載のscFvフラグメントを含む。
【0275】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメイン(例えば、ヒト化抗原結合ドメイン)は、CD19に結合し、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/153270号パンフレットの表3からの配列を含む。国際公開第2014/153270号パンフレットは、様々なCAR構築物の結合及び有効性をアッセイする方法も記載している。
【0276】
マウスCD19抗体のヒト化は、CART19処置、すなわちCAR19構築物が形質導入されたT細胞での処置を受けている患者において、マウス特異的な残基がヒト抗マウス抗原(HAMA)応答を誘導することが可能な臨床条件にとって望ましい。ヒト化CD19 CAR配列の産生、特徴付け及び効能は、実施例1~5(115~159頁)を含め、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/153270号パンフレットにおいて説明されている。
【0277】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、国際公開第2012/079000号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に提供されるCAR19構築物の親ネズミscFv配列を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、CD19に結合し、国際公開第2012/079000号パンフレットに記載されているscFvを含む。
【0278】
BCMA
BCMAに結合する例示的な抗原結合ドメインは、国際公開第2012/0163805号パンフレット、国際公開第2017/021450号パンフレット、国際公開第2017/011804号パンフレット、国際公開第2017/025038号パンフレット、国際公開第2016/090327号パンフレット、国際公開第2016/130598号パンフレット、国際公開第2016/210293号パンフレット、国際公開第2016/090320号パンフレット、国際公開第2016/014789号パンフレット、国際公開第2016/094304号パンフレット、国際公開第2016/154055号パンフレット、国際公開第2015/166073号パンフレット、国際公開第2015/188119号パンフレット、国際公開第2015/158671号パンフレット、米国特許第9,243,058号明細書、米国特許第8,920,776号明細書、米国特許第9,273,141号明細書、米国特許第7,083,785号明細書、米国特許第9,034,324号明細書、米国特許出願公開第2007/0049735号明細書、米国特許出願公開第2015/0284467号明細書、米国特許出願公開第2015/0051266号明細書、米国特許出願公開第2015/0344844号明細書、米国特許出願公開第2016/0131655号明細書、米国特許出願公開第2016/0297884号明細書、米国特許出願公開第2016/0297885号明細書、米国特許出願公開第2017/0051308号明細書、米国特許出願公開第2017/0051252号明細書、米国特許出願公開第2017/0051252号明細書、国際公開第2016/020332号パンフレット、国際公開第2016/087531号パンフレット、国際公開第2016/079177号パンフレット、国際公開第2015/172800号パンフレット、国際公開第2017/008169号パンフレット、米国特許第9,340,621号明細書、米国特許出願公開第2013/0273055号明細書、米国特許出願公開第2016/0176973号明細書、米国特許出願公開第2015/0368351号明細書、米国特許出願公開第2017/0051068号明細書、米国特許出願公開第2016/0368988号明細書及び米国特許出願公開第2015/0232557号明細書に開示され、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、そこに開示される1つ以上のBCMA抗原結合ドメインの抗原結合ドメインである。
【0279】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、BCMAに結合するヒト抗体又はヒト抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、本明細書(例えば、表2~14)に記載のヒト抗BCMA結合ドメインのLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3の1つ以上(例えば、3つ全て)及び/又は本明細書(例えば、表2~14)に記載のヒト抗BCMA結合ドメインのHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3の1つ以上(例えば、3つ全て)を含む。いくつかの実施形態において、ヒト抗BCMA結合ドメインは、本明細書(例えば、表2、6及び10)に記載のヒトVL及び/又は本明細書(例えば、表2、6及び10)に記載のヒトVHを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、表2、6及び10のアミノ酸配列のVL及びVHを含むscFvである。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、表2、6及び10に提供するアミノ酸配列に少なくとも1、2若しくは3つの修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)を有するが、修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)が30、20若しくは10を超えないアミノ酸配列又は表2、6及び10のアミノ酸配列と95~99%の同一性を有する配列を含むVL;及び/又は表2、6及び10に提供するアミノ酸配列に少なくとも1、2若しくは3つの修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)を有するが、修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)が30、20若しくは10を超えないアミノ酸配列又は表2、6及び10のアミノ酸配列と95~99%の同一性を有する配列を含むVHを含む。
【0280】
特定の実施形態において、本明細書に記載の抗原結合ドメインは、
(1)以下から選択される1つ、2つ又は3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号54のLC CDR1、配列番号55のLC CDR2及び配列番号56のLC CDR3;及び/又は
(2)以下の1つからの1つ、2つ又は3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号84のHC CDR3;
(ii)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号46のHC CDR3;
(iii)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号68のHC CDR3;又は
(iv)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号76のHC CDR3
を含む。
【0281】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗原結合ドメインは、
(1)以下の1つからの1つ、2つ又は3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号95のLC CDR1、配列番号131のLC CDR2及び配列番号132のLC CDR3;
(ii)配列番号95のLC CDR1、配列番号96のLC CDR2及び配列番号97のLC CDR3;
(iii)配列番号95のLC CDR1、配列番号114のLC CDR2及び配列番号115のLC CDR3;又は
(iv)配列番号95のLC CDR1、配列番号114のLC CDR2及び配列番号97のLC CDR3;及び/又は
(2)以下の1つからの1つ、2つ又は3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号86のHC CDR1、配列番号130のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3;
(ii)配列番号86のHC CDR1、配列番号87のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3;又は
(iii)配列番号86のHC CDR1、配列番号109のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3
を含む。
【0282】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗原結合ドメインは、
(1)以下の1つからの1つ、2つ又は3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号147のLC CDR1、配列番号182のLC CDR2及び配列番号183のLC CDR3;
(ii)配列番号147のLC CDR1、配列番号148のLC CDR2及び配列番号149のLC CDR3;又は
(iii)配列番号147のLC CDR1、配列番号170のLC CDR2及び配列番号171のLC CDR3;及び/又は
(2)以下の1つからの1つ、2つ又は3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号179のHC CDR1、配列番号180のHC CDR2及び配列番号181のHC CDR3;
(ii)配列番号137のHC CDR1、配列番号138のHC CDR2及び配列番号139のHC CDR3;又は
(iii)配列番号160のHC CDR1、配列番号161のHC CDR2及び配列番号162のHC CDR3
を含む。
【0283】
いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号44、45、84、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号44、45、46、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号44、45、68、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号44、45、76、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。
【0284】
いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号47、48、84、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号47、48、46、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号47、48、68、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号47、48、76、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。
【0285】
いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号49、50、85、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号49、50、51、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号49、50、69、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号49、50、77、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。
【0286】
他の例示的な標的
CD20に結合する例示的な抗原結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/164731号パンフレット及び国際公開第2018/067992号パンフレットに記載されている。いくつかの実施形態では、そこに開示される1つ以上のCD20抗原結合ドメインの抗原結合ドメインである。
【0287】
CD22に結合する例示的な抗原結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/164731号パンフレット及び国際公開第2018/067992号パンフレットに記載されている。
【0288】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、表15に列挙する重鎖結合ドメインアミノ酸配列のいずれかのHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3を含む。実施形態において、抗原結合ドメインは、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を更に含む。実施形態において、抗原結合ドメインは、表16に列挙されるLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3アミノ酸配列を含む。
【0289】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、表16に記載する軽鎖結合ドメインアミノ酸配列のいずれかのLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3の1、2つ又は全て及び表15に記載する重鎖結合ドメインアミノ酸配列のいずれかのHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3の1、2つ又は全てを含む。
【0290】
EGFRvIIIに結合する例示的な抗原結合ドメインは、国際公開第2014/130657号パンフレットに記載されている。
【0291】
CD123に結合する例示的な抗原結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/130635号パンフレット及び国際公開第2016/028896号パンフレットに記載されている。
【0292】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/130635号パンフレットの表1~2からの配列を含む。
【0293】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/028896号パンフレットの表2、6及び9からの配列を含む。
【0294】
CLL-1に結合する例示的な抗原結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/014535号パンフレットに開示されている。
【0295】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、本明細書に記載される抗体(例えば、国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、米国特許出願公開第2016-0046724-A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322212A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0068601A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322275A1号明細書又は国際公開第2015/090230号パンフレット(参照により本明細書に援用される)に記載される抗体)からの1つ、2つ、3つの(例えば、3つ全ての)重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3及び/又は本明細書に記載される抗体(例えば、国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、米国特許出願公開第2016-0046724-A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322212A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0068601A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322275A1号明細書又は国際公開第2015/090230号パンフレット(参照により本明細書に援用される)に記載される抗体)からの1つ、2つ、3つの(例えば、3つ全ての)軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙した抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含む。
【0296】
実施形態において、抗原結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、2016-0046724-A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322212A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0068601A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322275A1号明細書又は国際公開第2015/090230号パンフレットに記載の抗原結合ドメインである。
【0297】
CAR発現細胞を使用して標的とすることができる例示的な標的抗原には、例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2014/153270号パンフレット、国際公開第2014/130635号パンフレット、国際公開第2016/028896号パンフレット、国際公開第2014/130657号パンフレット、国際公開第2016/014576号パンフレット、国際公開第2015/090230号パンフレット、国際公開第2016/014565号パンフレット、国際公開第2016/014535号パンフレット及び国際公開第2016/025880号パンフレットに記載されるように、とりわけCD19、CD123、EGFRvIII、CD33、メソテリン、BCMA及びGFR ALPHA-4が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0298】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCARのいずれか(例えば、CD19、CD123、EGFRvIII、CD33、メソテリン、BCMA及びGFR ALPHA-4のいずれか)の抗原結合ドメインは、上記に挙げた抗体からの1つ、2つ、3つの(例えば、3つ全ての)重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3及び/又は上記に挙げた抗原結合ドメインからの1つ、2つ、3つの(例えば、3つ全ての)軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙又は記載した抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含む。
【0299】
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙した抗体からの1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3並びに/又は上に列挙した抗体からの1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙又は記載した抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含む。
【0300】
二特異性CAR
特定の実施形態において、抗原結合ドメインは、二又は多特異的分子(例えば、多特異的抗体分子)である。いくつかの実施形態において、多特異性抗体分子は、二特異性抗体分子である。二特異性抗体は、2つ以下の抗原に特異性を有する。二特異性抗体分子は、第1エピトープに対する結合特異性を有する第1免疫グロブリン可変ドメイン配列及び第2エピトープに対する結合特異性を有する第2免疫グロブリン可変ドメイン配列により特徴付けられる。いくつかの実施形態において、第1及び第2エピトープは、同じ抗原、例えば同じタンパク質(又は多量体タンパク質のサブユニット)である。いくつかの実施形態において、第1及び第2エピトープは、オーバーラップする。いくつかの実施形態において、第1及び第2エピトープは、オーバーラップしない。いくつかの実施形態において、第1及び第2エピトープは、異なる抗原、例えば異なるタンパク質(又は多量体タンパク質の異なるサブユニット)にある。いくつかの実施形態において、二特異性抗体分子は、第1エピトープに結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列並びに第2エピトープに結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、二特異性抗体分子は、第1エピトープに結合特異性を有する半抗体及び第2エピトープに結合特異性を有する半抗体を含む。いくつかの実施形態において、二特異性抗体分子は、第1エピトープに結合特異性を有する半抗体又はそのフラグメント及び第2エピトープに結合特異性を有する半抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態において、二特異性抗体分子は、第1エピトープに結合特異性を有するscFv又はそのフラグメント及び第2エピトープに結合特異性を有するscFv又はそのフラグメントを含む。
【0301】
いくつかの実施形態において、抗体分子は、多特異性(例えば、二特異性又は三特異性)抗体分子である。このような分子は、例えば、二特異性融合タンパク質、例えば2つのscFvとその間の親水性へリックスペプチドリンカー及び完全定常領域とを含む発現構築物、例えば米国特許第5637481号明細書に記載のもの;二量体化して二特異性/多価分子を形成することができる、抗体ヒンジ領域及びCH3領域にペプチドスペーサーで更に結合した、連結したVL及びVH鎖を有するミニボディ構築物、例えば米国特許第5837821号明細書に記載のもの;ペプチド結合により架橋性基とC末端で結合し、更にVLドメインと会合して一連のFV(又はscFv)を形成するVHドメイン(又はファミリーメンバーのVLドメイン)のストリング、例えば米国特許第5864019号明細書に記載のもの;及び両方のscFV又は二特異性抗体型フォーマットを使用して、例えばホモ二価、ヘテロ二価、三価及び四価構造を形成する、非共有結合又は化学架橋により多価構造に組み合わされたペプチドリンカーにより連結したVH及びVLドメインの両方を有する単鎖結合ポリペプチド、例えば米国特許第5869620号明細書に記載のものを含む。上に参照した出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0302】
二特異性抗体分子の各抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)内において、VHは、VLの上流又は下流であり得る。いくつかの実施形態において、上流抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVL(VL1)の上流のそのVH(VH1)と共に配置され、下流抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVL(VL2)の上流のそのVH(VH2)と共に配置され、その結果、全体的二特異性抗体分子は、配置VH1-VL1-VL2-VH2を有する。他の実施形態において、上流抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVH(VH1)の上流のそのVL(VL1)と共に配置され、下流抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVH(VH2)の上流のそのVL(VL2)と共に配置され、その結果、全体的二特異性抗体分子は、配置VL1-VH1-VH2-VL2を有する。任意選択により、リンカーは、2つの抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)間、例えば構築物がVH1-VL1-VL2-VH2として配列される場合にVL1とVL2との間又は構築物がVL1-VH1-VH2-VL2として配置される場合にVH1とVH2との間に配置される。リンカーは、本明細書に記載のリンカー、例えば(Gly-Ser)nリンカー(ここで、nは、1、2、3、4、5又は6、好ましくは4である)であり得る(配列番号691)。一般に、2つのscFv間のリンカーは、2つのscFvのドメイン間の誤対合を避けるのに十分長くなければならない。任意選択により、リンカーは、第1のscFvのVLとVHとの間に配置される。任意選択により、リンカーは、第2のscFvのVLとVHとの間に配置される。複数リンカーを有する構築物において、リンカーの任意の2つ以上は、同一であるか又は異なり得る。従って、いくつかの実施形態において、二特異性CARは、本明細書に記載のような配置でVL、VH及び任意選択により1つ以上のリンカーを含む。
【0303】
1.膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、種々の実施形態において、本明細書に記載のキメラ分子(例えば、CAR)は、キメラ分子の細胞外ドメインに結合する膜貫通ドメインを含むように設計できる。膜貫通ドメインは、膜貫通領域に隣接した1つ以上の更なるアミノ酸、例えば膜貫通が由来するタンパク質の細胞外領域と関連する1つ以上のアミノ酸(例えば、細胞外領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10から最大15アミノ酸)及び/又は膜貫通タンパク質が由来するタンパク質の細胞内領域と関連する1つ以上の更なるアミノ酸(例えば、細胞内領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10から最大15アミノ酸)を含み得る。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、キメラタンパク質(例えば、CAR)の他のドメインの1つと関連するものであり、例えばいくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、シグナル伝達ドメイン、共刺激ドメイン又はヒンジドメインが由来するのと同じタンパク質由来であり得る。別の態様において、膜貫通ドメインは、キメラタンパク質(例えば、CAR)の任意の別のドメインが由来するものと同じタンパク質に由来しない。いくつかの例において、膜貫通ドメインは、このようなドメインが、同一又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインと結合するのを避けるように、例えば受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するように選択又はアミノ酸置換による修飾ができる。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CAR発現細胞の細胞表面上の別のCARとホモ二量体化できる。異なる態様において、膜貫通ドメインのアミノ酸配列は、同じCAR発現細胞に存在する天然結合パートナーの結合ドメインとの相互作用を最小化するように修飾又は置換され得る。
【0304】
膜貫通ドメインは、天然由来又は組み換え源由来であり得る。源が天然であるとき、ドメインは、あらゆる膜結合又は膜貫通タンパク質由来であり得る。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CARが標的に結合したときには常に細胞内ドメインにシグナル伝達できる。本発明において特に有用な膜貫通ドメインは、例えば、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖又はゼータ鎖、CD28、CD27、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の少なくとも膜貫通領域を含み得る。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、例えば、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D又はNKG2Cの少なくとも膜貫通領域を含み得る。
【0305】
いくつかの例において、膜貫通ドメインは、ヒンジ、例えばヒトタンパク質からのヒンジを介してCARの細胞外領域、例えばCARの抗原結合ドメインに結合できる。例えば、いくつかの実施形態において、ヒンジは、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジ(例えば、IgG4ヒンジ又はIgDヒンジ)、GSリンカー(例えば、本明細書に記載のGSリンカー)、KIR2DS2ヒンジ又はCD8aヒンジであり得る。いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、配列番号4のアミノ酸配列を含む(例えば、これからなる)。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、配列番号12の膜貫通ドメインを含む(例えば、これからなる)。
【0306】
いくつかの実施形態において、コードされた膜貫通ドメインは、配列番号12のアミノ酸配列に少なくとも1、2又は3つの修飾を有するが、修飾が20、10又は5を超えないCD8膜貫通ドメインのアミノ酸配列又は配列番号12のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、コードされた膜貫通ドメインは、配列番号12の配列を含む。
【0307】
他の実施形態において、CAR分子をコードする核酸は、例えば、配列番号13の配列又はそれと95~99%の同一性を有する配列を含むCD8膜貫通ドメインのヌクレオチド配列を含む。
【0308】
いくつかの実施形態において、コードされた抗原結合ドメインは、膜貫通ドメインにヒンジ領域によって結合されている。いくつかの実施形態において、コードされたヒンジ領域は、CD8ヒンジのアミノ酸配列、例えば配列番号4;又はIgG4ヒンジのアミノ酸配列、例えば配列番号6又は配列番号4又は6と95~99%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態において、ヒンジ領域をコードする核酸配列は、それぞれCD8ヒンジ又はIgG4ヒンジに対応する、配列番号5又は配列番号7の配列又は配列番号5又は7と95~99%の同一性を有する配列を含む。
【0309】
いくつかの態様において、ヒンジ又はスペーサーは、IgG4ヒンジを含む。例えば、いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、アミノ酸配列
【化8】
のヒンジを含む。いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、
【化9】
のヌクレオチド配列によりコードされたヒンジを含む。
【0310】
いくつかの態様において、ヒンジ又はスペーサーは、IgDヒンジを含む。例えば、いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、アミノ酸配列
【化10】
のヒンジを含む。いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、
【化11】
のヌクレオチド配列によりコードされたヒンジを含む。
【0311】
いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、組み換えであり得、その場合、ロイシン及びバリンなどの疎水性残基を優勢に含む。いくつかの態様において、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンのトリプレットを組み換え膜貫通ドメインの各末端に見ることができる。
【0312】
任意選択により、2~10アミノ酸長の短オリゴ又はポリペプチドリンカーがCARの膜貫通ドメインと細胞質領域との間に結合を形成し得る。グリシン-セリンダブレットは、特に適当なリンカーを提供する。例えば、いくつかの態様において、リンカーは、GGGGSGGGGS(配列番号10)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、GGTGGCGGAGGTTCTGGAGGTGGAGGTTCC(配列番号11)のヌクレオチド配列によりコードされる。
【0313】
いくつかの態様において、ヒンジ又はスペーサーは、KIR2DS2ヒンジを含む。
【0314】
2.シグナル伝達ドメイン
細胞内シグナル伝達ドメインを有する本発明の実施形態において、このようなドメインは、例えば、一次シグナル伝達ドメイン及び/又は共刺激シグナル伝達ドメインの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメインをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
【0315】
本発明のCARの細胞質部分内の細胞内シグナル伝達配列は、互いに無作為に又は特定の順序で連結し得る。任意選択により、例えば2~10アミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10アミノ酸)長の短オリゴ又はポリペプチドリンカーは、細胞内シグナル伝達配列間に結合を形成し得る。いくつかの実施形態において、グリシン-セリンダブレットを適当なリンカーとして使用できる。いくつかの実施形態において、単一アミノ酸、例えばアラニン、グリシンを適当なリンカーとして使用できる。
【0316】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つ以上、例えば2、3、4、5つ又はそれを超える共刺激性シグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの実施形態において、2つ以上、例えば2、3、4、5つ又はそれを超える共刺激性シグナル伝達ドメインは、リンカー分子、例えば本明細書に記載のリンカー分子により分けられる。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの共刺激性シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、リンカー分子は、グリシン残基である。いくつかの実施形態において、リンカーは、アラニン残基である。
【0317】
一次シグナル伝達ドメイン
一次シグナル伝達ドメインは、TCR複合体の一次活性化を刺激性方向又は阻害性方向のいずれかで制御する。刺激性方向で作用する初代細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。CARにおいて、このようなドメインは同じ目的で使用される。
【0318】
本発明において特に有用であるITAM含有初代細胞内シグナル伝達ドメインの例は、CD3ゼータ、共通FcRγ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12のものを含む。いくつかの実施形態において、本発明のCARは、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ゼータの一次シグナル伝達ドメインを含む。
【0319】
いくつかの実施形態において、コードされた一次シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインを含む。コードされたCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメインは、配列番号18若しくは配列番号20に少なくとも1、2若しくは3つの修飾を有するが、修飾が20、10又は5を超えないアミノ酸配列又は配列番号18若しくは配列番号20と95~99%同一性を有する配列を含み得る。いくつかの実施形態において、コードされた一次シグナル伝達ドメインは、配列番号18又は配列番号20の配列を含む。他の実施形態において、一次シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号19若しくは配列番号21の配列又はそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
【0320】
共刺激シグナル伝達ドメイン
いくつかの実施形態において、コードされた細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。いくつかの実施形態において、コードされた共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46及びNKG2Dの1つ以上から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインを含む。
【0321】
いくつかの実施形態において、コードされた共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号14若しくは配列番号16に少なくとも1、2若しくは3つの修飾を有するが、修飾が20、10又は5を超えないアミノ酸配列又は配列番号14若しくは配列番号16と95~99%同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、コードされた共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号14又は配列番号16の配列を含む。他の実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号15若しくは配列番号17の配列又はそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
【0322】
他の実施形態において、コードされる細胞内ドメインは、配列番号14又は配列番号16の配列及び配列番号18又は配列番号20の配列を含み、ここで、これら細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は、同じフレームに且つ単一ポリペプチド鎖として発現される。
【0323】
いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号15若しくは配列番号17の配列又はそれと95~99%同一性を有する配列及び配列番号19若しくは配列番号21の配列又はそれと95~99%の同一性を有する配列を含む。
【0324】
いくつかの実施形態において、核酸分子は、リーダー配列を更にコードする。いくつかの実施形態において、リーダー配列は、配列番号2の配列を含む。
【0325】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメイン及びCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメイン及び4-1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの態様において、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号14のシグナル伝達ドメインである。いくつかの態様において、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインは、配列番号18のシグナル伝達ドメインである。
【0326】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメイン及びCD27のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの態様において、CD27のシグナル伝達ドメインは、QRRKYRSNKGESPVEPAEPCRYSCPREEEGSTIPIQEDYRKPEPACSP(配列番号16)のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD27のシグナル伝達ドメインは、
【化12】
の核酸配列によりコードされる。
【0327】
阻害性ドメイン
いくつかの実施形態において、ベクターは、CAR、例えば本明細書に記載のCARをコードする核酸配列及びinhKIR細胞質ドメイン;膜貫通ドメイン、例えばKIR膜貫通ドメイン;及び阻害剤細胞質ドメイン、例えばITIMドメイン、例えばinhKIR ITIMドメインを含む阻害分子をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、阻害分子は、天然に存在するinhKIRであるか、又は天然に存在するinhKIRと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%又は99%の相同性を共有するか、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20残基を超えて異ならない配列である。
【0328】
いくつかの実施形態において、阻害分子をコードする核酸配列は、SLAMファミリー細胞質ドメイン;膜貫通ドメイン、例えばSLAMファミリー膜貫通ドメイン;及び阻害剤細胞質ドメイン、例えばSLAMファミリードメイン、例えばSLAMファミリーITIMドメインを含む。いくつかの実施形態において、阻害分子は、天然に存在するSLAMファミリーメンバーであるか、又は天然に存在するSLAMファミリーメンバーと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%又は99%の相同性を共有するか、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20残基を超えて異ならない配列である。
【0329】
いくつかの実施形態において、ベクターは、インビトロ転写ベクター、例えば本明細書に記載の核酸分子のRNAを転写するベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターの核酸配列は、ポリ(A)テール、例えばポリAテールを更に含む。いくつかの実施形態において、ベクターの核酸配列は、3’UTR、例えば本明細書に記載される、例えばヒトβ-グロブリンに由来する3’UTRの少なくとも1つのリピートを含む3’UTRを更に含む。いくつかの実施形態において、ベクターの核酸配列は、プロモーター、例えばT2Aプロモーターを更に含む。
【0330】
プロモーター
いくつかの実施形態において、ベクターは、プロモーターを更に含む。いくつかの実施形態において、プロモーターは、EF-1プロモーター、CMV IE遺伝子プロモーター、EF-1αプロモーター、ユビキチンCプロモーター又はホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターから選択される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、EF-1プロモーターである。いくつかの実施形態において、EF-1プロモーターは、配列番号1の配列を含む。
【0331】
本発明のいくつかの態様において、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞を、Ficoll(商標)分離など、当業者に知られるあらゆる技術を使用して、対象から採取した血液の単位から得ることができる。いくつかの態様において、個体の循環血液からの細胞をアフェレーシスにより得る。アフェレーシス産物は、典型的にはT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球及び血小板を含む。いくつかの態様において、アフェレーシスにより採取した細胞は、血漿画分を除去するために洗浄し、任意選択により細胞を続くプロセシング過程のために緩衝液又は媒体に懸濁させることができる。いくつかの実施形態において、細胞をリン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄する。代替的な実施形態において、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、マグネシウムを欠き得るか、又は全てではないにしても多くの二価カチオンを欠き得る。
【0332】
【表52】
【0333】
【表53】
【0334】
【表54】
【0335】
【表55】
【0336】
【表56】
【0337】
インビトロCAR-T製造
本明細書で企図される方法は、細胞のインビボ形質導入に関連する一方、インビトロ製造の課題も認められる。
【0338】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるようにウイルスベクターを形質導入された細胞は、例えば、本明細書に記載される方法によって増殖される。いくつかの実施形態において、細胞を数時間(例えば、約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、18時間、21時間)~約14日(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日又は14日)の期間の培養により増殖する。いくつかの実施形態において、細胞は、4~9日の期間増殖される。いくつかの実施形態において、細胞は、8日以下、例えば7日、6日又は5日の期間増殖される。いくつかの実施形態において、細胞は、培養物中で5日間増殖させ、得られた細胞は、同じ培養条件下で9日間培養して増殖させた同じ細胞より強力である。効力は、例えば、多様なT細胞機能、例えば増殖、標的細胞死滅、サイトカイン産生、活性化、遊走又はそれらの組み合わせにより規定され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、5日間増殖させ、同じ培養条件下において培養物中で9日間増殖させた同じ細胞と比較して、抗原刺激による細胞倍加の少なくとも1倍、2倍、3倍又は4倍増加を示す。いくつかの実施形態において、細胞は、培養物中で5日間増殖させ、得られた細胞は、同じ培養条件下において培養物中で9日間増殖させた同じ細胞と比較して、高い炎症誘発性サイトカイン産生、例えばIFN-γ及び/又はGM-CSFレベルを示す。いくつかの実施形態において、5日間増殖させた細胞は、同じ培養条件下において培養物中で9日間増殖させた同じ細胞と比較して、炎症誘発性サイトカイン産生、例えばIFN-γ及び/又はGM-CSFレベルのpg/mlでの少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又はそれを超える増加を示す。
【0339】
カルシウム非存在下の初期活性化過程は、活性化の増強に至り得る。当業者に容易に認識されるように、洗浄工程は、製造業者の指示に従う半自動化「フロースルー」遠心分離(例えば、Cobe 2991 cell processor、Baxter CytoMate又はHaemonetics Cell Saver 5)により達成され得る。洗浄後、細胞を、例えば無Ca、無MgPBS、PlasmaLyte A又は他の緩衝剤を含む又は含まない食塩水溶液など、多様な生体適合性緩衝液に再懸濁し得る。代わりに、アフェレーシス試料の望ましくない要素を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁し得る。
【0340】
本願のインビトロ方法は、5%以下、例えば2%の、ヒトAB血清を含む培養培地条件を利用でき、既知培養培地条件及び組成物、例えばSmith et al.,“Ex vivo expansion of human T cells for adoptive immunotherapy using the novel Xeno-free CTS Immune Cell Serum Replacement”Clinical&Translational Immunology(2015)4,e31;doi:10.1038/cti.2014.31に記載のものを用い得ることが認識される。
【0341】
いくつかの態様において、T細胞は、赤血球を溶解し、例えばPERCOLL(商標)勾配による遠心分離又は向流遠心溶出法により単球を枯渇させることにより、末梢血リンパ球から単離する。単離されたT細胞は、本明細書に記載の方法で更に使用され得る。
【0342】
本明細書に記載の方法は、例えば、本明細書に記載の例えば陰性選択技術を使用する、例えばT制御性細胞枯渇集団、CD25+枯渇細胞である、免疫エフェクター細胞の特異的亜集団、例えばT細胞の選択を含み得る。好ましくは、T制御性枯渇細胞集団は、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満のCD25+細胞を含む。
【0343】
いくつかの実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞を、抗CD25抗体又はそのフラグメント又はCD25結合リガンド、IL-2を使用して集団から除去する。いくつかの実施形態において、抗CD25抗体又はそのフラグメント又はCD25結合リガンドを基質、例えばビーズにコンジュゲートするか又は他に基質、例えばビーズ上に被覆させる。いくつかの実施形態において、抗CD25抗体又はそのフラグメントを本明細書に記載の基質にコンジュゲートさせる。
【0344】
いくつかの実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞を、Miltenyi(商標)からのCD25枯渇剤を使用して集団から除去する。いくつかの実施形態において、細胞対CD25枯渇剤の比は、1×10細胞対20μL、又は1×10細胞対15μL、又は1×10細胞対10μL、又は1×10細胞対5μL、又は1×10細胞対2.5μL、又は1×10細胞対1.25μLである。いくつかの実施形態において、例えばT制御性細胞、例えばCD25+枯渇のために5億細胞/mlを使用する。更なる態様において、6億、7億、8億又は9億細胞/mlの細胞濃度を使用する。
【0345】
いくつかの実施形態において、枯渇すべき免疫エフェクター細胞集団は、約6×10CD25+T細胞を含む。他の態様において、枯渇すべき免疫エフェクター細胞集団は、約1×10~1×1010(及びその間の任意の整数値)CD25+T細胞を含む。いくつかの実施形態において、得られたT制御性枯渇細胞集団は、2×10T制御性細胞、例えばCD25+細胞又はそれ未満(例えば、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10又はそれ未満のCD25+細胞)を含む。
【0346】
いくつかの実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞を、例えばチュービング162-01など、枯渇チュービングセットと共にCliniMAC系を使用して集団から除去する。いくつかの実施形態において、CliniMAC系を例えばDEPLETION2.1などの枯渇設定において動かす。
【0347】
特定の理論に拘束されることを望まないが、アフェレーシス前又はCAR発現細胞産物の製造中の対象における免疫細胞の負のレギュレーターのレベルの減少(例えば、望まない免疫細胞、例えばTREG細胞の数の減少)は、対象の再発リスクを減らし得る。例えば、TREG細胞を枯渇する方法は、当技術分野で知られている。例えば、TREG細胞を減少させる方法は、シクロホスファミド、抗GITR抗体(抗GITR本明細書に記載の抗体)、CD25枯渇及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0348】
いくつかの実施形態において、製造法は、CAR発現細胞製造前のTREG細胞の数の減少(例えば、枯渇)を含む。例えば、製造法は、例えば、試料、例えばアフェレーシス試料を抗GITR抗体及び/又は抗CD25抗体(又はそのフラグメント又はCD25結合リガンド)と接触させ、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物の製造前にTREG細胞を枯渇させることを含む。
【0349】
いくつかの実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞採取前にTREG細胞を減らす1つ以上の治療で前処置されており、それにより対象がCAR発現細胞処置を再び必要とするリスクを軽減する。いくつかの実施形態において、TREG細胞を低減する方法は、対象へのシクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はこれらの組み合わせの1つ以上の投与を含むが、これらに限定されない。シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はこれらの組み合わせの1つ以上の投与は、CAR発現細胞産物注入前、注入中又は注入後に行われ得る。
【0350】
いくつかの実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞の採取前にシクロホスファミドで前処置され、それにより対象がCAR発現細胞処置を再発するリスクを軽減する。いくつかの実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞の採取前に抗GITR抗体で前処置され、それにより対象がCAR発現細胞処置を再発するリスクを軽減する。
【0351】
いくつかの実施形態において、除去すべき細胞集団は、制御性T細胞又は腫瘍細胞ではなく、CART細胞の増殖及び/又は機能に他に負に影響する細胞、例えばCD14、CD11b、CD33、CD15又は潜在的免疫抑制性細胞により発現される他のマーカーを発現する細胞である。いくつかの実施形態において、このような細胞は、制御性T細胞及び/又は腫瘍細胞と同時に、又は前記枯渇後に、又は別の順番で除去することが意図される。
【0352】
本明細書に記載の方法は、2つ以上の選択工程、例えば2つ以上の枯渇工程を含み得る。陰性選択によるT細胞集団の富化は、例えば、陰性に選択される細胞に独特な表面マーカーを指向する抗体の組み合わせにより達成できる。1つの方法は、陰性に選択される細胞に存在する細胞表面マーカーを指向するモノクローナル抗体のカクテルを使用する陰性磁気免疫粘着又はフローサイトメトリーによる細胞選別及び/又は選択である。例えば、陰性選択によりCD4+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR及びCD8に対する抗体を含み得る。
【0353】
本明細書に記載の方法は、腫瘍抗原、例えばCD25を含まない腫瘍抗原、例えばCD19、CD30、CD38、CD123、CD20、CD14又はCD11bを発現する細胞集団からの除去を更に含み、それによりCAR、例えば本明細書に記載のCARの発現に適するT制御性枯渇、例えばCD25+枯渇及び腫瘍抗原枯渇細胞集団を提供する。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、T制御性、例えばCD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗腫瘍抗原抗体又はそのフラグメントを同じ基質、例えばビーズに結合でき、これを細胞の除去に使用できるか、又は抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗腫瘍抗原抗体又はそのフラグメントを別のビーズに結合でき、その混合物を細胞の除去に使用できる。他の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞の除去及び腫瘍抗原発現細胞の除去は、逐次的であり、例えばいずれの順番でも生じ得る。
【0354】
チェックポイント阻害剤、例えば本明細書に記載のチェックポイント阻害剤を発現する細胞、例えばPD1+細胞、LAG3+細胞及びTIM3+細胞の1つ以上の集団からの除去を含み、それによりT制御性枯渇、例えばCD25+枯渇細胞及びチェックポイント阻害剤枯渇細胞、例えばPD1+、LAG3+及び/又はTIM3+枯渇細胞集団を提供する方法も提供される。例示的なチェックポイント阻害剤は、B7-H1、B7-1、CD160、P1H、2B4、PD1、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、TIGIT、CTLA-4、BTLA及びLAIR1を含む。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤発現細胞は、T制御性、例えばCD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗チェックポイント阻害剤抗体又はそのフラグメントを同じビーズに結合でき、それを細胞の除去に使用できるか、又は抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗チェックポイント阻害剤抗体又はそのフラグメントを別のビーズに結合でき、その混合物を細胞の除去に使用できる。他の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞の除去及びチェックポイント阻害剤発現細胞の除去は、逐次的であり、例えばいずれ順序でも生じ得る。
【0355】
本明細書に記載の方法は、陽性選択工程を含み得る。例えば、T細胞を所望のT細胞の陽性選択に十分な時間にわたり、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(例えば、3×28)コンジュゲートビーズとインキュベーションすることにより単離することができる。いくつかの実施形態において、時間は、約30分である。更なる実施形態において、時間は、30分~36時間又はそれより長い範囲及びその間の任意の整数値である。更なる実施形態において、時間は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間又は6時間である。更に別の実施形態において、時間は、10~24時間、例えば24時間である。腫瘍組織又は免疫不全状態個体から腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)を単離するような、他の細胞型と比較してT細胞が少ないあらゆる状況において、T細胞を単離するために長いインキュベーション時間が使用され得る。更に、長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕獲効率を高め得る。従って、単にT細胞をCD3/CD28ビーズと結合させる時間を短くする又は長くし、且つ/又はビーズ対T細胞比を増加又は減少させる(更に本明細書に記載のとおり)ことにより、T細胞の亜集団が培養開始時又は工程中の他の時点で優先的に選択される。更に、ビーズ又は他の表面上の抗CD3及び/又は抗CD28抗体比を増加又は減少させることにより、T細胞の亜集団が培養開始時又は工程中の他の所望の時点で優先的に選択される。いくつかの実施形態において、IFN-γ、TNFα、IL-17A、IL-2、IL-3、IL-4、GM-CSF、IL-10、IL-13、グランザイムB及びパーフォリン又は他の適切な分子、例えば他のサイトカインの1つ以上を発現するT細胞集団を選択できる。細胞発現についてスクリーニングする方法は、例えば、国際公開第2013/126712号パンフレットに記載する方法により決定できる。
【0356】
陽性又は陰性選択により所望の細胞集団を単離するために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度は、変わり得る。いくつかの態様において、細胞とビーズとの最大接触を確実にするために、ビーズと細胞とを一緒に混合する体積を有意に低下させる(例えば、細胞濃度を増加させる)ことが望まれ得る。例えば、いくつかの態様において、100億細胞/ml、90億細胞/ml、80億細胞/ml、70億細胞/ml、60億細胞/ml又は50億細胞/mlの濃度を使用する。いくつかの態様において、10億細胞/mlの濃度を使用する。更なるいくつかの態様において、細胞の7500万、8000万、8500万、9000万、9500万又は1億細胞/mlの濃度を使用する。更なる態様において、1億2500万又は1億5000万細胞/mlの濃度を使用できる。
【0357】
高濃度を使用して細胞収率、細胞活性化及び細胞増殖を増加できる。更に、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞の又は多くの腫瘍細胞が存在する試料(例えば、白血病性血液、腫瘍組織など)からのより効率的な捕獲を可能にする。このような細胞集団は、治療的価値を有し得、取得することが望ましい。例えば、高濃度細胞の使用は、通常CD28発現が弱いCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
【0358】
いくつかの態様において、低濃度の細胞を使用することが望ましいことがある。T細胞と表面(例えば、ビーズなどの粒子)との混合物を有意に希釈することにより、粒子と細胞との相互作用が最小化される。これは、粒子に結合する所望の抗原を高量で発現する細胞で選択する。例えば、CD4+T細胞は、高レベルのCD28を発現し、希釈濃度でCD8+T細胞より効率的に捕獲される。いくつかの態様において、使用する細胞の濃度は5×10/mlである。他の態様において、使用する濃度は約1×10/ml~1×10/ml及びその間の任意の整数値であり得る。
【0359】
他の態様において、細胞を、種々の長さの時間、種々の速度で2~10℃又は室温においてローテータでインキュベートし得る。
【0360】
刺激のためのT細胞は、洗浄工程後にも凍結され得る。理論に拘束されることを望まないが、凍結と続く解凍工程は、細胞集団から顆粒球及びある程度単球を除去することにより、より均一な産物を提供する。血漿及び血小板を除去する洗浄工程後、細胞を凍結溶液に懸濁し得る。多くの凍結溶液及びパラメータが当技術分野で知られ、これに関連して有用であるが、ある方法は、20%DMSO及び8%ヒト血清アルブミンを含むPBS又は10%Dextran 40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSO又は31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%Dextran 40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSOを含む培養培地又は例えばHespan及びPlasmaLyte Aを含む他の適当な細胞凍結媒体を使用し、次いで細胞を1°/分の速度で-80℃に凍結し、気相の液体窒素貯蔵タンクに保存する。制御凍結の他の方法並びに直接-20℃又は液体窒素の非制御凍結も使用できる。
【0361】
いくつかの態様において、凍結保存細胞を本明細書に記載のように解凍し、洗浄し、本発明の方法を使用する活性化前に室温で1時間休息させる。
【0362】
本発明に関連して、本明細書に記載の増殖細胞が必要となり得る時点の前の期間における対象からの血液試料又はアフェレーシス産物の収集も企図されている。従って、増殖する細胞の供給源を必要な任意の時点で採取でき、T細胞などの所望の細胞を、本明細書に記載のものなどの免疫エフェクター細胞療法からの利益があるであろう任意の数の疾患及び状態について、免疫エフェクター細胞療法におけるその後の使用のために単離及び凍結できる。いくつかの態様において、血液試料又はアフェレーシスを一般に健常対象から採取する。いくつかの態様において、血液試料又はアフェレーシスを、一般に、疾患を発症するリスクにあるが、依然として疾患を発症していない健常対象から採取し、目的の細胞をその後の使用のために単離及び凍結する。いくつかの態様において、T細胞をその後の時点で増殖、凍結及び使用し得る。いくつかの態様において、試料を、本明細書に記載の特定の疾患の診断の直後に、しかし、何らかの処置前に患者から採取する。更なる態様において、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法剤、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレート及びFK506などの免疫抑制剤、CAMPATH、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228及び照射などの抗体又は他の免疫除去剤による処置を含むが、これらに限定されない、任意の数の関連する処置モダリティ前に対象からの血液試料又はアフェレーシスから細胞を単離する。
【0363】
本発明の更なる態様において、T細胞を、対象に機能的T細胞を残す処置後、患者から直接得る。ある癌処置、特に免疫系を損傷させる薬物での処置後、処置の直後、患者が、通常、その処置から回復するまでの間、得られるT細胞の品質がエクスビボで増殖する能力について最適であり得るか又は改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載の方法を使用するエクスビボ操作後、これらの細胞は、生着及びインビボ増殖増強について好ましい状態であり得る。そのため、本発明に関連して、T細胞、樹状細胞又は造血細胞系統の他の細胞を含む血液細胞をこの回復期に採取することが企図される。更に、いくつかの態様において、可動化(例えば、GM-CSFでの可動化)及びコンディショニングレジメンを使用して、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生及び/又は増殖に好都合である条件を、特に治療後の定められた時間枠中に対象に形成できる。細胞型の例は、T細胞、B細胞、樹状細胞及び免疫系の他の細胞を含む。
【0364】
いくつかの実施形態において、T細胞集団は、ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)欠損である。DGK欠損細胞は、DGK RNA又はタンパク質を発現しないか、又はDGK活性が低下した又は阻害された細胞である。DGK欠損細胞は、DGK発現を低減又は阻止するための遺伝的方法、例えばRNA干渉剤、例えばsiRNA、shRNA、miRNAの投与により産生できる。代わりに、DGK欠損細胞は、本明細書に記載のDGK阻害剤での処理により産生できる。
【0365】
いくつかの実施形態において、T細胞集団は、イカロス欠損である。イカロス欠損細胞は、イカロスRNA又はタンパク質を発現しないか、又はイカロス活性が低下した又は阻害された細胞を含み、イカロス欠損細胞は、イカロス発現を低減又は阻止するための遺伝的方法、例えばRNA干渉剤、例えばsiRNA、shRNA、miRNAの投与により産生できる。代わりに、イカロス欠損細胞は、イカロス阻害剤、例えばレナリドマイドでの処理により産生できる。
【0366】
実施形態において、T細胞集団は、DGK欠損及びイカロス欠損であり、例えばDGK及びイカロスを発現しないか、又はDGK及びイカロス活性が低下又は阻害されている。このようなDGK及びイカロス欠損細胞は、本明細書に記載の方法のいずれかにより産生できる。
【0367】
いくつかの実施形態において、NK細胞を対象から得る。別の実施形態において、NK細胞は、NK細胞株、例えばNK-92細胞株(Conkwest)である。
【0368】
特定の例示的態様において、対象を白血球除去に付し、ここで、白血球を採取し、エクスビボで富化又は枯渇して、目的の細胞、例えばT細胞を選択及び/又は単離する。これらのT細胞単離物は、本明細書に記載の方法によって増殖され得る。処置を必要とする対象を、その後、高用量の化学療法剤と続く末梢血幹細胞移植の標準的処置に付し得る。いくつかの態様において、移植後又は同時に、対象は、本発明の方法により調整された、増殖させたCAR T細胞の注入を受ける。更なる態様において、増殖細胞を手術前又は後に投与する。
【0369】
更に発現される薬剤
本明細書で企図される実施形態において、追加の薬剤は、上記で本明細書に記載されたベクター中にコードされ得ることが理解される。従って、これらの薬剤は、CAR発現細胞に関連して以下に記載される。
【0370】
別の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現免疫エフェクター細胞は、別の薬剤、例えばCAR発現細胞の活性を増強する薬剤を更に発現できる。例えば、いくつかの実施形態において、薬剤は、阻害分子を阻害する薬剤であり得る。阻害分子の例は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4並びにTGFRベータ、例えば本明細書に記載のものを含む。いくつかの実施形態において、阻害分子を阻害する薬剤は、細胞に正のシグナルを提供する第2のポリペプチド、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインに結合した第1のポリペプチド、例えば阻害分子を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、例えば、PD-1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4若しくはTGFRベータ又はこれらのいずれかのフラグメントなどの阻害分子の第1のポリペプチド及び本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインである第2のポリペプチド(例えば、共刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載の例えば41BB、CD27又はCD28)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む)である第2のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、PD-1又はそのフラグメントの第1のポリペプチド並びに本明細書に記載する細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載するCD28、CD27、OX40又は4-IBBシグナル伝達ドメイン及び/又は本明細書に記載するCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)の第2のポリペプチドを含む。
【0371】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCAR発現免疫エフェクター細胞は、第2のCAR、例えば同じ標的(例えば、上記した標的)又は異なる標的に対する例えば第2のCARの異なる抗原結合ドメインを更に含み得る。いくつかの実施形態において、第2のCARは、第1のCARの標的と同じ癌細胞型で発現される標的に対する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、CAR発現免疫エフェクター細胞は、第1の抗原を標的とし、共刺激シグナル伝達ドメインを有するが、一次シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第2の異なる抗原を標的とし、一次シグナル伝達ドメインを有するが、共刺激シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。理論に拘束されることを望まないが、第1のCARへの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば4-1BB、CD28、CD27又はOX-40及び一次シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ゼータの第2のCARへの配置は、両方の標的が発現される細胞に対してCAR活性を制限する。いくつかの実施形態において、CAR発現免疫エフェクター細胞は、例えば、上記の標的を標的とする抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激ドメインを含む第1のCAR及び第1のCARが標的とする抗原以外の抗原(例えば、第1の標的と同一の癌細胞型に発現される抗原)を標的とし、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。別の実施形態において、CAR発現免疫エフェクター細胞は、例えば、上記の標的を標的とする抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第1のCARが標的とする抗原以外の抗原(例えば、第1の標的と同一の癌細胞型に発現される抗原)を標的とし、抗原に対する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。
【0372】
いくつかの実施形態において、CAR発現免疫エフェクター細胞は、本明細書に記載のCAR、例えば上記の標的に対するCAR及び阻害性CARを含む。いくつかの実施形態において、阻害性CARは、正常細胞、例えばまた標的を発現する正常細胞で見られるが、癌細胞で見られない抗原と結合する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、阻害性CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び阻害分子の細胞内ドメインを含む。例えば、阻害性CARの細胞内ドメインは、PD1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4又はTGFRベータの細胞内ドメインであり得る。
【0373】
いくつかの実施形態において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、本明細書に記載の腫瘍抗原に結合する抗原結合ドメインを含む第1のCAR及びPD1細胞外ドメイン又はそのフラグメントを含む第2のCARを含む。
【0374】
いくつかの実施形態において、細胞は、上記の阻害分子を更に含む。
【0375】
いくつかの実施形態において、細胞内の第2のCARは、阻害性CARであり、阻害性CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び阻害分子の細胞内ドメインを含む。阻害分子は、PD1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFRベータ、CEACAM-1、CEACAM-3及びCEACAM-5の1つ以上から選択され得る。いくつかの実施形態において、第2のCAR分子は、PD1の細胞外ドメイン又はそのフラグメントを含む。
【0376】
一実施形態において、細胞内の第2のCAR分子は、一次シグナル伝達ドメイン及び/又は細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを更に含む。
【0377】
他の実施形態において、細胞における細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの機能的ドメインを含む一次シグナル伝達ドメイン及び4-1BBの機能的ドメインを含む共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
【0378】
いくつかの実施形態において、第1のCAR分子の抗原結合ドメインは、scFvを含み、第2のCAR分子の抗原結合ドメインは、scFvを含まない。例えば、第1のCAR分子の抗原結合ドメインは、scFvを含み、第2のCAR分子の抗原結合ドメインは、ラクダ科動物のVHHドメインを含む。
【0379】
CARの立体構造
本明細書で企図される実施形態において、1つ以上のCARの立体構造は、本明細書で上記に記載されたベクターによって調節され得ることが理解される。従って、これらの立体構造は、CAR発現細胞に関連して以下に記載されている。
【0380】
スプリットCAR
いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は、スプリットCARを使用する。スプリットCARアプローチは、国際公開第2014/055442号パンフレット及び国際公開第2014/055657号パンフレットにより詳細に記載されている。簡潔には、スプリットCAR系は、第1の抗原結合ドメイン及び共刺激ドメイン(例えば、41BB)を有する第1のCARを発現する細胞を含み、細胞は、第2の抗原結合ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータ)を有する第2のCARも発現する。細胞が第1の抗原に遭遇したとき、共刺激ドメインが活性化され、細胞が増殖する。細胞が第2の抗原に遭遇したとき、細胞内シグナル伝達ドメインが活性化され、細胞死滅活性が開始される。従って、CAR発現細胞は、両方の抗原存在下でのみ完全活性化される。
【0381】
複数のCAR
いくつかの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、第2のCAR、例えば同じ標的又は異なる標的(例えば、本明細書に記載の癌関連抗原以外の標的又は本明細書に記載の異なる癌関連抗原)に対する、例えば第2のCARの異なる抗原結合ドメインを更に含み得る。いくつかの実施形態において、第2のCARは、癌関連抗原と同じ癌細胞型を発現する標的に対する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は、第1の抗原を標的とし、共刺激性シグナル伝達ドメインを有するが、一次シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第2の異なる抗原を標的とし、一次シグナル伝達ドメインを有するが、共刺激性シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。理論に拘束されることを望まないが、第1のCARへの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば4-1BB、CD28、CD27又はOX-40及び一次シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ゼータの第2のCARへの配置は、両方の標的が発現される細胞に対してCAR活性を制限する。いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は、本明細書に記載の標的抗原に結合する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激ドメインを含む第1の癌関連抗原CAR及び異なる標的抗原(例えば、第1の標的抗原と同一の癌細胞型に発現される抗原)を標的とし、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。別の実施形態において、CAR発現細胞は、本明細書に記載の標的抗原に結合する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第1の標的抗原以外の抗原(例えば、第1の標的抗原と同一の癌細胞型に発現される抗原)を標的とし、抗原に対する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。
【0382】
いくつかの実施形態において、本発明は、第1及び第2CARを含み、ここで、前記第1CAR及び前記第2CARの一方の抗原結合ドメインは、可変軽鎖ドメイン及び可変重鎖ドメインを含まない。いくつかの実施形態において、前記第1CAR及び前記第2CARの一方の抗原結合ドメインは、scFvであり、他方は、scFvではない。いくつかの実施形態において、前記第1CAR及び前記第2CARの一方の抗原結合ドメインは、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギ単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。いくつかの実施形態において、前記第1CAR及び前記第2CARの一方の抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。いくつかの実施形態において、前記第1CAR及び前記第2CARの一方の抗原結合ドメインは、ラクダ科VHHドメインを含む。
【0383】
本明細書に記載の方法が実施されると、例えば適切なインビトロ及び動物モデルにおける抗原刺激後にT細胞を増殖させる能力、再刺激の非存在下でのT細胞増殖の持続及び抗癌活性についての活性を評価するために様々なアッセイが使用され得る。本発明のCARの効果を評価するためのアッセイは、当業者に知られており、以下に一般的に記載される。
【0384】
初代T細胞におけるCAR発現のウェスタンブロット分析を、単量体及び二量体の存在を検出するために使用できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。極めて簡潔には、CARを発現するT細胞(CD4及びCD8T細胞の1:1混合物)をインビトロで10日超増殖させ、続いて溶解及び還元条件下のSDS-PAGEを行う。全長TCR-ゼータ細胞質ドメイン及び内因性TCR-ゼータ鎖を含むCARを、TCR-ゼータ鎖に対する抗体を使用するウェスタンブロッティングにより検出する。同じT細胞サブセットを、共有結合性二量体形成の評価を可能とするために非還元条件下のSDS-PAGE分析に使用する。
【0385】
抗原刺激後のCART細胞のインビトロ増殖をフローサイトメトリーにより測定できる。
【0386】
再刺激非存在下の持続するCART細胞増殖も測定できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。簡潔には、平均T細胞体積(fl)を、0日目のαCD3/αCD28被覆磁気ビーズでの刺激及び1日目の記載するCARの形質導入後、培養8日目にCoulter Multisizer III粒子カウンター、Nexcelom Cellometer Vision又はMillipore Scepterを使用して測定する。
【0387】
動物モデルも、CART活性の測定に使用できる。例えば、免疫不全マウスにおける初代ヒトプレB ALLを処置するための、本明細書に記載のヒト癌関連抗原に特異的なCART細胞を使用する異種移植モデルを使用できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。
【0388】
用量依存的CAR処置応答を評価できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。例えば、21日目にCAR T細胞、等しい数の偽形質導入T細胞で処置した又はT細胞処置なしのマウスにおいて白血病が確立した後、35~70日後に末梢血を得る。各群からのマウスを本明細書に記載の末梢血癌関連抗原ALL芽細胞数の決定のために無作為に採血し、35日目及び49日目に屠殺する。残りの動物を57日目及び70日目に評価する。
【0389】
細胞増殖及びサイトカイン産生の評価は、例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)に以前に記載されている。
【0390】
細胞毒性は、標準的51Cr放出アッセイにより評価できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。
【0391】
造影技術を使用して、腫瘍担持動物モデルにおけるCARの特異的輸送及び増殖を評価できる。このようなアッセイは、例えば、Barrett et al.,Human Gene Therapy 22:1575-1586(2011)に記載されている。
【0392】
本明細書の実施例の項に記載のもの並びに当技術分野で公知のものを含む他のアッセイも本発明に記載のCARの評価に使用できる。
【0393】
処置方法
いくつかの実施形態において、本発明は、腫瘍抗原の上昇した発現と関連する疾患、傷害又は状態を有する対象を処置する方法であり、方法は、
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を対象に投与すること
を含み、ウイルスベクターは、腫瘍抗原を標的とするように操作されたキメラ抗原受容体(CAR)を発現するヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。
【0394】
更に別の態様において、本発明は、腫瘍抗原(例えば、本明細書に記載の抗原)の発現と関連する疾患を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載のメソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む方法を特徴とし、ここで、ウイルスベクターは、腫瘍抗原を標的とするように操作されたキメラ抗原受容体(CAR)を発現するヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。
【0395】
いくつかの実施形態において、MSPは、ロッド状(MSR)である。いくつかの実施形態において、MSP(例えば、MSR)は、細孔及び/又はナノチャネルを覆う表面又はMSP若しくはMSRの表面に吸着又は共有結合された複数の官能基を更に含む。本明細書で使用される場合、「官能基」は、直接又はリンカーを介してMSR(例えば、MSP)の表面に連結された化学部分を定義する。いくつかの実施形態において、官能基は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩である。いくつかの実施形態において、官能基(すなわち-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩)は、リンカーによってシリカ表面から分離され得る。いくつかの実施形態において、官能基は、C~C20アルキルリンカーを介してMSP表面に共有結合している。他の実施形態において、官能基は、ポリエチレングリコールリンカーを介してMSP表面に共有結合している。特定の実施形態において、ポリエチレングリコールリンカーは、式(O(CH-CH-)1~25を有する。特定の実施形態において、表面修飾は、C~C20アルキルパーハロアルキル又はC~C20アルキルパーフルオロアルキルである。
【0396】
記載された方法のいくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとの間の静電結合は、反対に帯電したウイルスベクター及びメソポーラスシリカ粒子によるものである。例えば、理論に拘束されるものではないが、正に帯電したポリエチレンイミン又は一級、二級、三級又は四級アンモニウム基によって表面修飾されたメソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)は、負に帯電したウイルスベクターにコンジュゲート又は結合することができる。従って、いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、負に帯電しており、メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)は、正に帯電している。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)とウイルスベクターとの間の共有結合は、リンカーを介して又はリンカーなしで、当業者に公知の方法によって達成される。例えば、限定されないが、リンカーは、ポリエチレングリコール、アルキル基、ポリマー、ポリアミド結合などであり得る。
【0397】
方法のいくつかの実施形態において、組成物は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団若しくはメソポーラスシリカ粒子の第2の集団又はMSP(例えば、MSR)の両方の集団にコンジュゲート又は吸着されたT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原を更に含む。代わりに、この方法は、例えば、MSP(例えば、MSR)の第1の集団の投与と組み合わせて、同時に又はその直後にメソポーラスシリカ粒子の第2の集団を投与することを含む。代わりに、MSPの第2の集団(例えば、MSR)は、MSPの第1の集団の投与から長期間後に投与され得る。
【0398】
いくつかの実施形態において、方法は、サイトカインを投与することを含み、ここで、サイトカインは、メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団にコンジュゲート又は吸着されている。
【0399】
いくつかの実施形態において、MSP(例えば、MSR)の第2の集団は、MSPの第1の集団の投与と同時(例えば、同日に投与される)又は投与の直後(例えば、投与の1日、2日、3日、4日、5日、6日又は7日後)に対象に投与される。他の実施形態において、サイトカインは、MSPの第1集団の投与の長期間(例えば、少なくとも2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間又はそれを超える)後又は細胞に対する対象の応答の評価後、対象に投与される。
【0400】
いくつかの態様において、本明細書に列挙される方法において、メソポーラスシリカ粒子は、本明細書に記載されるように表面修飾され得る。いくつかの実施形態において、MSP(例えば、MSR)は、細孔及び/又はナノチャネルを覆う表面又はMSP若しくはMSRの表面に吸着又は共有結合された複数の官能基を更に含む。本明細書で使用される場合、「官能基」は、直接又はリンカーを介してMSR又はMSPの表面に連結された化学部分を定義する。いくつかの実施形態において、官能基は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩である。いくつかの実施形態において、官能基(すなわち-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ジスルフィド、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩)は、リンカーによってシリカ表面から分離され得る。いくつかの実施形態において、官能基は、C~C20アルキルリンカーを介してMSP(例えば、MSR)表面に共有結合している。他の実施形態において、官能基は、ポリエチレングリコールリンカーを介してMSP(例えば、MSR)表面に共有結合している。特定の実施形態において、ポリエチレングリコールリンカーは、式(O(CH-CH-)1~25を有する。特定の実施形態において、表面修飾は、C~C20アルキルパーハロアルキル又はC~C20アルキルパーフルオロアルキルである。
【0401】
別の態様において、本明細書に記載の方法において、ウイルスベクターは、本明細書に記載されるように、メソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)にコンジュゲートすることができる。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとの間の静電結合は、反対に帯電したウイルスベクター及びメソポーラスシリカ粒子によるものである。例えば、理論に拘束されるものではないが、正に帯電したポリエチレンイミン又は一級、二級、三級又は四級アンモニウム基によって表面修飾されたメソポーラスシリカ粒子(例えば、MSR)は、負に帯電したウイルスベクターにコンジュゲート又は結合することができる。従って、いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、負に帯電しており、メソポーラスシリカ粒子は、正に帯電している。いくつかの実施形態において、メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとの間の共有結合は、リンカーを介して又はリンカーなしで、当業者に公知の方法によって達成される。例えば、限定されないが、リンカーは、ポリエチレングリコール、アルキル基、ポリマー、ポリアミド結合などであり得る。
【0402】
特定の実施形態において、ウイルスベクターは、腫瘍抗原を標的とするように操作されたキメラ抗原受容体(CAR)を発現するヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。例示的なCARSが本明細書に記載されている。
【0403】
前記方法又は使用のいずれかのいくつかの実施形態において、腫瘍抗原、例えば本明細書に記載の腫瘍抗原と関連する疾患は、癌、若しくは悪性腫瘍、若しくは骨髄異形成、骨髄異形成症候群、若しくは前白血病などの前癌状態などの増殖性疾患から選択されるか、又は本明細書に記載の腫瘍抗原の発現と関連する非癌関連の適応症である。いくつかの実施形態において、疾患は、本明細書に記載の癌、例えば本明細書に記載の標的と関連すると本明細書に記載の癌である。いくつかの実施形態において、疾患は、血液癌である。いくつかの実施形態において、血液癌は、白血病である。いくつかの実施形態において、癌は、これらに限定されないが、B細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、T細胞急性リンパ性白血病(「TALL」)、急性リンパ性白血病(ALL)を含む1つ以上の急性白血病;これらに限定されないが、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)を含む1つ以上の慢性白血病;これらに限定されないが、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞の新生物、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ヘアリーセル白血病、小細胞型又は大細胞型濾胞性リンパ腫、悪性のリンパ増殖性状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、形質細胞様樹状細胞の新生物、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症及び骨髄の血液細胞の無効な産生(又は異形成)を併せもつ血液学的な状態の多様な集合体である「前白血病状態」を含む追加の血液癌又は血液学的状態からなる群から選択され、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する疾患としては、これらに限定されないが、本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する非定型的及び/又は非典型的な癌、悪性腫瘍、前癌状態又は増殖性疾患並びにそれらのあらゆる組み合わせが挙げられる。別の実施形態において、本明細書に記載の腫瘍抗原と関連する疾患は、固形腫瘍である。
【0404】
実施形態において、癌は、結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸癌、食道癌、黒色腫、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣の癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児固形腫瘍、膀胱癌、腎臓癌又は尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、環境的に誘発された癌、前記癌の組み合わせ及び前記癌の転移性病変からなる群から選択される。
【0405】
いくつかの実施形態において、本発明のCAR発現細胞で処置され得る癌は、多発性骨髄腫である。一般的に、骨髄腫細胞は、フローサイトメトリーにより、本明細書に記載の癌関連抗原の発現について陰性であると考えられる。従って、いくつかの実施形態において、例えば本明細書に記載のCD19 CARを、骨髄腫細胞を標的とするために使用し得る。いくつかの実施形態において、本発明のCAR治療を1つ以上の更なる治療、例えばレナリドマイド処置と組み合わせて使用することができる。
【0406】
様々な態様において、本明細書に記載の方法によって生成され、患者に投与された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)又はその子孫は、患者にT細胞又はNK細胞投与後、患者で少なくとも4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、2年、3年、4年又は5年存続する。
【0407】
本発明は、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)が、例えば、インビトロ又はインビボ転写RNAにより、キメラ抗原受容体(CAR)を一過性に発現するように修飾される細胞性治療のタイプも含む。得られた細胞は、対象又は患者の腫瘍細胞を死滅させることができる。従って、様々な態様において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、本明細書に記載の組成物の投与後、1ヶ月未満、例えば3週間、2週間、1週間未満存在する。
【0408】
何らかの特定の理論に拘束されないが、CAR修飾免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)により惹起される抗腫瘍免疫応答は、能動的又は受動的免疫応答であり得るか又は代わりに直接的対間接的免疫応答によるものであり得る。いくつかの態様において、CAR形質導入免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現するヒト癌細胞に応答して特定の炎症誘発性サイトカイン分泌及び強力な細胞溶解性活性を示し、本明細書に記載の可溶性癌関連抗原の阻害に抵抗し、バイスタンダー細胞死に介在し、確立されたヒト腫瘍の退縮に介在する。例えば、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する腫瘍の不均一な場における抗原低腫瘍細胞は、近辺の抗原陽性癌細胞に対して先に反応している、本明細書に記載の癌関連抗原に再指向された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)による間接的破壊を受け得る。
【0409】
いくつかの態様において、本発明の完全ヒトCAR修飾免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)は、哺乳動物におけるエクスビボ免疫化及び/又はインビボ治療のための1種のワクチンである。いくつかの態様において、哺乳動物は、ヒトである。
【0410】
いくつかの態様において、本発明のCAR発現細胞を癌又は悪性腫瘍などの増殖性疾患又は脊髄形成異常症、骨髄異形成症候群又は前白血病状態などの前癌状態の処置に使用し得る。更に、本明細書に記載の癌関連抗原に関連する疾患としては、これらに限定されないが、例えば本明細書に記載の癌関連抗原を発現する非定型的及び/又は非典型的な癌、悪性腫瘍、前癌状態又は増殖性疾患が挙げられる。本明細書に記載の癌関連抗原の発現に関連する非癌関連の適応症には、限定されないが、例えば自己免疫疾患(例えば、狼瘡)、炎症性障害(アレルギー及び喘息)及び移植が含まれる。
【0411】
本発明のCAR修飾免疫エフェクター細胞、(例えば、T細胞、NK細胞)を、単独で或いは希釈剤及び/若しくはIL-2又は他のサイトカイン若しくは細胞集団などの他の成分と組み合わせて医薬組成物として投与し得る。
【0412】
血液癌
血液癌状態は、白血病、リンパ腫並びに血液、骨髄及びリンパ系に影響する悪性リンパ増殖状態などの癌の型である。
【0413】
白血病は、急性白血病及び慢性白血病に分類できる。急性白血病は、急性骨髄性白血病(AML)及び急性リンパ性白血病(ALL)として更に分類され得る。慢性白血病は、慢性骨髄性白血病(CML)及び慢性リンパ系白血病(CLL)を含む。他の関連する状態は、骨髄球性血液細胞の産生不良(又は異形成)によりまとめられる血液学的状態の多様なコレクションであり、AMLに癌化するリスクがある、骨髄異形成症候群(MDS、以前は「前白血病状態」として知られる)である。
【0414】
リンパ腫は、リンパ球から生じる血液細胞腫瘍の群である。代表的リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫及びホジキンリンパ腫を含む。
【0415】
本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原の増殖を阻害又は低減するための方法も提供し、方法は、本明細書に記載の癌関連抗原を含む細胞の集団を、メソポーラスシリカ粒子とウイルスベクターとを含む組成物と接触させることを含む。特定の態様において、MSPは、本明細書に記載されるように表面修飾されている。他の実施形態において、ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。例示的なヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR、サイトカイン、ケモカイン、阻害分子を遮断するshRNA又はタンパク質の発現を誘導するmRNAを発現する。いくつかの態様において、本発明のCAR発現T細胞又はNK細胞は、細胞及び/又は癌細胞の含量、数、量又はパーセンテージを、陰性対照と比較して、骨髄性白血病又は本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と関連する別の癌を有する対象又は動物モデルで少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%又は少なくとも99%減少させる。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。
【0416】
組み合わせ治療
本明細書で使用する「組み合わせて」投与するは2つ(以上)の異なる処置を、対象が障害に罹患している過程中に対象に送達することを意味し、例えば2つ以上の処置を、対象が障害と診断された後且つ障害が治癒又は撲滅される前又は処置が他の理由で中止される前に送達される。いくつかの実施形態において、投与期間の重複があるように、一方の処置の送達は、第2の処置の送達開始時にまだ行われている。これは、本明細書では「同時(simultaneous)」又は「同時(concurrent)送達」という場合がある。他の実施形態において、他の実施形態において、一方の処置の送達は、他の処置の送達が始まる前に終わる。いずれかの場合のいくつかの実施形態において、処置は、組み合わせ投与のためにより有効である。例えば、第2の処置剤は、より有効である、例えば等しい効果が少ない第2の処置剤で見られるか、又は第2の処置剤が、第2の処置剤を第1の処置剤非存在下で投与したときに見られるよりも大きい程度で症状を軽減する又は第1の処置剤で同様な状況が見られる。いくつかの実施形態において、送達、障害と関係する症状又は他のパラメータの減少は、他方の処置剤の非存在下で一方の処置剤の送達で観察されるより大きい。2つの処置の効果は、部分的に相加的、完全に相加的又は相加的より大きいものであり得る。送達は、送達した第1の処置の効果が第2の処置の送達時になお検出可能であるようなものであり得る。
【0417】
いくつかの実施形態において、方法又は使用は、免疫エフェクター細胞の有効性を高める薬剤、例えば本明細書に記載の薬剤と組み合わせて実施される。
【0418】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、メソポーラスシリカロッド組成物は、免疫エフェクター細胞の有効性を高める薬剤、例えばタンパク質ホスファターゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、サイトカイン、免疫阻害分子の阻害剤の1つ以上;又はTREG細胞のレベル又は活性を減少させる薬剤と組み合わせて投与される。
【0419】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、タンパク質ホスファターゼ阻害剤は、SHP-1阻害剤及び/又はSHP-2阻害剤である。
【0420】
本明細書に記載の方法又は使用の他の実施形態において、キナーゼ阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK4/6阻害剤(例えば、パルボシクリブ)、BTK阻害剤(例えば、イブルチニブ又はRN-486)、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン又はエベロリムス(RAD001))、MNK阻害剤又はデュアルP13K/mTOR阻害剤の1つ以上から選択される。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、インターロイキン-2-誘導性キナーゼ(ITK)のキナーゼ活性を低減又は阻害しない。
【0421】
本明細書に記載の方法又は使用の他の実施形態において、免疫阻害分子を阻害する薬剤は、阻害分子の発現を阻害する抗体又は抗体フラグメント、阻害性核酸、クラスター化等間隔短回文反復配列(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又は亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を含む。
【0422】
本明細書に記載の方法又は使用の別の実施形態において、TREG細胞のレベル又は活性を低下させる薬剤は、シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はこれらの組み合わせから選択される。
【0423】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、免疫阻害分子は、PD1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFRベータ、CEACAM-1、CEACAM-3及びCEACAM-5からなる群から選択される。
【0424】
他の実施形態において、阻害分子を阻害する薬剤は、阻害分子又はそのフラグメントを含む第1のポリペプチド及び細胞に正のシグナルを提供する第2のポリペプチドを含み、ここで、第1及び第2のポリペプチドは、CAR含有免疫細胞上に発現され、ここで、(i)第1のポリペプチドは、PD1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFRベータ、CEACAM-1、CEACAM-3及びCEACAM-5又はそのフラグメントを含み;及び/又は(ii)第2のポリペプチドは、一次シグナル伝達ドメイン及び/又は共刺激シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、一次シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの機能的ドメインを含み;及び/又は共刺激シグナル伝達ドメインは、41BB、CD27及びCD28から選択されるタンパク質の機能的ドメインを含む。
【0425】
他の実施形態において、サイトカインは、IL-7、IL-15又はIL-21又はこれらの組み合わせから選択される。
【0426】
別の実施形態において、CAR分子を含む免疫エフェクター細胞及び第2の、例えば本明細書に開示される組み合わせ治療のいずれか(例えば、免疫エフェクター細胞の有効性を高める薬剤)は、実質的に同時に又は逐次的に投与される。
【0427】
他の実施形態において、CAR分子を含む免疫細胞は、GITRを標的とし、且つ/又はGITR機能を調節する分子と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、GITRを標的とし、且つ/又はGITR機能を調節する分子は、CAR発現細胞若しくは細胞の集団の前又はアフェレーシスの前に投与される。
【0428】
いくつかの実施形態において、リンパ球注入、例えば同種異系リンパ球注入が癌の処置に使用され、ここで、リンパ球注入は、少なくとも1つの本発明のCAR発現細胞を含む。いくつかの実施形態において、自己リンパ球注入が癌の処置に使用され、ここで、自己リンパ球注入は、少なくとも1つの本明細書に記載のCAR発現細胞を含む。
【0429】
いくつかの実施形態において、細胞は、T細胞であり、このT細胞は、ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)欠損である。いくつかの実施形態において、細胞は、T細胞であり、このT細胞は、イカロス欠損である。いくつかの実施形態において、細胞は、T細胞であり、このT細胞は、DGK及びイカロスの両方が欠損している。
【0430】
上記の方法又は使用のいずれかの実施形態において、腫瘍抗原の発現と関連する疾患を処置する薬剤、例えば本明細書に開示される第二又は第三選択治療のいずれかの更なる投与があり得る。更なる例示的な組み合わせは、以下の1つ以上を含む。
【0431】
別の実施形態において、別の薬剤、例えば本明細書に記載のキナーゼ阻害剤及び/又はチェックポイント阻害剤の更なる投与があり得る。例えば、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤の更なる投与があり得る。
【0432】
例えば、いくつかの実施形態において、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤は、阻害分子を阻害する薬剤(例えば、免疫阻害剤分子)であり得る。阻害分子の例は、PD1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFRベータを含む。
【0433】
いくつかの実施形態において、阻害分子を阻害する薬剤は、阻害性核酸であり、dsRNA、siRNA又はshRNAである。実施形態において、阻害性核酸は、CAR分子の成分をコードする核酸に連結されている。例えば、阻害分子は、CAR発現細胞上に発現され得る。
【0434】
別の実施形態において、阻害分子を阻害する薬剤は、例えば、本明細書に記載の分子、例えば細胞に正のシグナルを提供する第2のポリペプチド、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインに結合した第1のポリペプチド、例えば阻害分子を含む薬剤である。いくつかの実施形態において、薬剤は、例えば、PD-1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4又はTGFRベータ又はこれらのいずれかのフラグメント(例えば、これらのいずれかの細胞外ドメインの少なくとも一部)などの阻害分子の第1のポリペプチド及び本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインである第2のポリペプチド(例えば、共刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載の例えば41BB、CD27又はCD28)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む)である第2のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、PD1又はそのフラグメント(例えば、PD1の少なくとも細胞外ドメインの部分)の第1ポリペプチド及び本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインの第2ポリペプチド(例えば、本明細書に記載のCD28シグナル伝達ドメイン及び/又は本明細書に記載のCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)を含む。
【0435】
いくつかの実施形態において、本発明のCAR発現免疫エフェクター細胞、例えばT細胞又はNK細胞は、先の幹細胞移植、例えば自己幹細胞移植を受けた対象に投与される。
【0436】
いくつかの実施形態において、本発明のCAR発現免疫エフェクター細胞、例えばT細胞又はNK細胞は、先にメルファランの投与を受けた対象に投与される。
【0437】
いくつかの実施形態において、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞を、CAR分子を発現する細胞の有効性を高める薬剤、例えば本明細書に記載の薬剤と組み合わせて投与する。
【0438】
いくつかの実施形態において、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞を、CAR分子を発現する細胞の投与と関連する1つ以上の副作用を軽減する薬剤、例えば本明細書に記載の薬剤と組み合わせて投与する。
【0439】
いくつかの実施形態において、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞を、本明細書に記載の癌関連抗原と関連する疾患を処置する薬剤、例えば本明細書に記載の薬剤と組み合わせて投与する。
【0440】
いくつかの実施形態において、例えば、本明細書に記載の2つ以上のCAR分子を発現する細胞は、癌を処置するために、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞を含む細胞の集団は、癌を処置するために、それを必要とする対象に投与される。
【0441】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、CAR分子は、別の薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、薬剤は、キナーゼ阻害剤、例えばCDK4/6阻害剤、BTK阻害剤、mTOR阻害剤、MNK阻害剤又はデュアルPI3K/mTOR阻害剤及びこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、CD4阻害剤、例えば本明細書に記載のCDK4阻害剤、例えば6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン、ヒドロクロライド(パルボシクリブ又はPD0332991とも呼ばれる)など、例えばCDK4/6阻害剤である。いくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、BTK阻害剤、例えばイブルチニブなど、例えば本明細書に記載のBTK阻害剤である。いくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、ラパマイシン類似体、OSI-027など、例えば本明細書に記載のmTOR阻害剤である。mTOR阻害剤は、例えば、mTORC1阻害剤及び/又はmTORC2阻害剤、例えば本明細書に記載のmTORC1阻害剤及び/又はmTORC2阻害剤であり得る。いくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、MNK阻害剤、例えば4-アミノ-5-(4-フルオロアニリノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンなど、例えば本明細書に記載のMNK阻害剤である。MNK阻害剤は、例えば、MNK1a、MNK1b、MNK2a及び/又はMNK2b阻害剤であり得る。デュアルPI3K/mTOR阻害剤は、例えば、PF-04695102であり得る。
【0442】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、アロイシンA;フラボピリドール又はHMR-1275、2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(3S,4R)-3-ヒドロキシ-1-メチル-4-ピペリジニル]-4-クロメノン;クリゾチニブ(PF-02341066;2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(2R,3S)-2-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-3-ピロリジニル]-4H-1-ベンゾピラン-4-オン、ヒドロクロライド(P276-00);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ベンズイミダゾール-2-アミン(RAF265);インジスラム(E7070);ロスコビチン(CYC202);パルボシクリブ(PD0332991);ジナシクリブ(SCH727965);N-[5-[[(5-tert-ブチルオキサゾール-2-イル)メチル]チオ]チアゾール-2-イル]ピペリジン-4-カルボキサミド(BMS 387032);4-[[9-クロロ-7-(2,6-ジフルオロフェニル)-5H-ピリミド[5,4-d][2]ベンズアゼピン-2-イル]アミノ]-安息香酸(MLN8054);5-[3-(4,6-ジフルオロ-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-5-イル]-N-エチル-4-メチル-3-ピリジンメタンアミン(AG-024322);4-(2,6-ジクロロベンゾイルアミノ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸N-(ピペリジン-4-イル)アミド(AT7519);4-[2-メチル-1-(1-メチルエチル)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-ピリミジンアミン(AZD5438);及びXL281(BMS908662)から選択されるCDK4阻害剤である。
【0443】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、CDK4阻害剤、例えばパルボシクリブ(PD0332991)であり、パルボシクリブを一定期間にわたり1日約50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg(例えば、75mg、100mg又は125mg)の用量で例えば28日サイクルの14~21日間連日又は21日サイクルの7~12日間連日投与する。いくつかの実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル又はそれを超えるパルボシクリブを投与する。
【0444】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、イブルチニブ(PCI-32765);GDC-0834;RN-486;CGI-560;CGI-1764;HM-71224;CC-292;ONO-4059;CNX-774;及びLFM-A13から選択されるBTK阻害剤である。いくつかの実施形態において、BTK阻害剤は、インターロイキン-2-誘導性キナーゼ(ITK)のキナーゼ活性を低減又は阻害せず、GDC-0834;RN-486;CGI-560;CGI-1764;HM-71224;CC-292;ONO-4059;CNX-774;及びLFM-A13から選択される。
【0445】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、BTK阻害剤、例えばイブルチニブ(PCI-32765)であり、イブルチニブを一定期間にわたり1日約250mg、300mg、350mg、400mg、420mg、440mg、460mg、480mg、500mg、520mg、540mg、560mg、580mg、600mg(例えば、250mg、420mg又は560mg)の用量で例えば21日サイクルの連日又は28日サイクルの連日投与する。いくつかの実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル又はそれを超えるイブルチニブを投与する。
【0446】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、ITKのキナーゼ活性を阻害しないBTK阻害剤、例えばRN-486であり、RN-486を一定期間にわたり1日約100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg(例えば、150mg、200mg又は250mg)の用量で、例えば28日サイクルの連日投与する。いくつかの実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル又はそれを超えるサイクルのRN-486が投与される。
【0447】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、テムシロリムス;リダフォロリムス(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2-[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R、23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23、29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573及びMK8669としても知られる;エベロリムス(RAD001);ラパマイシン(AY22989);セマピモド;(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[トランス-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502);及びN-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパルチルL-セリン-(配列番号692)、分子内塩(SF1126);及びXL765から選択されるmTOR阻害剤である。
【0448】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、mTOR阻害剤、例えばラパマイシンであり、ラパマイシンを約3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg(例えば、6mg)の用量で連日、一定期間、例えば21日サイクルで連日又は28日サイクルで連日投与する。いくつかの実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル又はそれを超えるラパマイシンを投与する。いくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、mTOR阻害剤、例えばエベロリムスであり、エベロリムスを一定期間にわたり1日約2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg(例えば、10mg)の用量において例えば28日サイクルで連日投与する。いくつかの実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル又はそれを超えるエベロリムスを投与する。
【0449】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、CGP052088;4-アミノ-3-(p-フルオロフェニルアミノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(CGP57380);セルコスポラミド;ETC-1780445~2;及び4-アミノ-5-(4-フルオロアニリノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンから選択されるMNK阻害剤である。
【0450】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、キナーゼ阻害剤は、2-アミノ-8-[trans-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF-04691502);N-[4-[[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]カルボニル]フェニル]-N’-[4-(4,6-ジ-4-モルホリニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]尿素(PF-05212384、PKI-587);2-メチル-2-{4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル}プロパンニトリル(BEZ-235);アピトリシブ(GDC-0980、RG7422);2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(GSK2126458);8-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(4-(ピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2(3H)-オンマレイン酸(NVP-BGT226);3-[4-(4-モルホリニルピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノール(PI-103);5-(9-イソプロピル-8-メチル-2-モルホリノ-9H-プリン-6-イル)ピリミジン-2-アミン(VS-5584、SB2343);及びN-[2-[(3,5-ジメトキシフェニル)アミノ]キノキサリン-3-イル]-4-[(4-メチル-3-メトキシフェニル)カルボニル]アミノフェニルスルホンアミド(XL765)から選択されるデュアルホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)及びmTOR阻害剤である。
【0451】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、例えば本明細書に記載のタンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤の更なる投与があり得る。いくつかの実施形態において、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤は、SHP-1阻害剤、例えばスチボグルコン酸ナトリウムなど、例えば本明細書に記載のSHP-1阻害剤である。いくつかの実施形態において、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤は、SHP-2阻害剤である。
【0452】
本明細書に記載の方法又は使用のいくつかの実施形態において、別の薬剤の更なる投与があり得、薬剤は、サイトカインである。サイトカインは、例えば、IL-7、IL-15、IL-21又はこれらの組み合わせであり得る。別の実施形態において、CAR分子をチェックポイント阻害剤、例えば本明細書に記載のチェックポイント阻害剤と組み合わせて投与する。例えば、いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFRベータから選択される阻害分子を阻害する。
【0453】
本明細書に記載の方法又は使用の他の実施形態において、CAR分子を発現する細胞に関連する1つ以上の副作用を改善する薬剤の更なる投与があり得る。CAR発現細胞と関連する副作用は、サイトカイン放出症候群(CRS)又は血球貪食性リンパ組織球症(HLH)から選択され得る。
【0454】
本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞(例えば、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する血液癌又は非定型癌)と関連する疾患を予防、処置及び/又は管理する方法も提供し、方法は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を対象に投与することを含み、ここで、ウイルスベクターは、腫瘍抗原を標的とするように操作されたキメラ抗原受容体(CAR)を発現するヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と関係する障害の非限定的な例は、自己免疫性障害(狼瘡など)、炎症性障害(アレルギー及び喘息など)及び癌(本明細書に記載の癌関連抗原を発現する血液癌又は非定型癌など)を含む。
【0455】
本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と関連する疾患を予防、処置及び/又は管理する方法も提供し、方法は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を対象に投与することを含み、ここで、ウイルスベクターは、腫瘍抗原を標的とするように操作されたキメラ抗原受容体(CAR)を発現するヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。
【0456】
本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と関連する癌の再発を予防する方法を提供し、方法は、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を対象に投与することを含み、ここで、ウイルスベクターは、腫瘍抗原を標的とするように操作されたキメラ抗原受容体(CAR)を発現するヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。
【0457】
「免疫学的に有効量」、「抗腫瘍有効量」、「腫瘍阻害有効量」又は「治療量」が示されるとき、本発明の組成物の投与すべき正確な量は、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染の程度又は転移及び患者(対象)の状態の個体差を考慮して医師が決定できる。
【0458】
いくつかの態様において、活性化免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を対象に投与し、次いで血液を採り(又はアフェレーシスを実施し)、本発明に従って免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を活性化し、これらの活性化及び増殖し、且つ増殖させた免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を患者に再注入することが望ましい場合がある。この過程を数週間毎に複数回実施できる。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、10cc~400ccの採血した血液から活性化できる。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc又は100ccの採血した血液から活性化する。
【0459】
対象組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸注、留置又は移植を含む任意の簡便な方法により実施し得る。本明細書に記載の組成物を患者に経動脈的に、皮下に、皮内に、腫瘍内に、節内に、髄内に、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射により又は腹腔内に投与し得る。いくつかの態様において、本発明のMSP(例えば、MSR)組成物を皮内又は皮下注射により患者に投与する。いくつかの態様において、本発明のT細胞組成物を非経口投与する。T細胞組成物の「非経口」投与という用語は、例えば、髄腔内、硬膜外、頭蓋内、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)又は胸骨内注射、腫瘍内又は輸注技法を含む。特定の実施形態において、T細胞組成物は、静脈内投与される。いくつかの実施形態において、MSP(例えば、MSR)及びウイルスベクターの組成物は、腫瘍、リンパ節又は感染部位に直接注射され得る。
本開示は、例えば下記の実施態様を提供する。
[1]
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物。
[2]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている、前記1に記載の組成物。
[3]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている、前記2に記載の組成物。
[4]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている、前記2に記載の組成物。
[5]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH2-CH-)1~25リンカーを使用する、前記4に記載の組成物。
[6]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである、前記5に記載の組成物。
[7]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンである、前記5に記載の組成物。
[8]
前記ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス又はレンチウイルスである、前記1~7のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
前記ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、前記1~8のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
前記ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR、1つ以上のサイトカイン、1つ以上のケモカイン、阻害分子を遮断するためのshRNAをコードするか、又は前記ヌクレオチド配列は、タンパク質の発現を誘導するためのmRNAを含む、前記9に記載の組成物。
[11]
前記ヌクレオチド配列は、腫瘍抗原を標的とするように操作されたポリペプチドをコードする、前記10に記載の組成物。
[12]
前記ポリペプチドは、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、Prostase、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される腫瘍抗原を標的とする、前記11に記載の組成物。
[13]
前記タンパク質は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域及びシグナル伝達ドメインを含むCARである、前記10~12のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
前記シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインである、前記13に記載の組成物。
[15]
T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原を更に含む、前記1~14のいずれか一項に記載の組成物。
[16]
前記T細胞刺激化合物又は前記腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されており、前記T細胞刺激化合物は、IL-2、IL-15、抗CD2 mAb、抗CD3 mAb、抗CD28 mAb、ネオ抗原ペプチド、TRP2などの共通抗原からのペプチド、gp100、腫瘍細胞溶解物、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCR又はそれらの組み合わせである、前記15に記載の組成物。
[17]
前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている、前記16に記載の組成物。
[18]
前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団を含み、前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又は前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープにコンジュゲートされている、前記16に記載の組成物。
[19]
サイトカインを更に含む、前記15~18のいずれか一項に記載の組成物。
[20]
前記サイトカインは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団にコンジュゲート又は吸着されている、前記19に記載の組成物。
[21]
前記サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである、前記19又は20に記載の組成物。
[22]
前記メソポーラスシリカ粒子は、2~50nmの直径の細孔を含む、前記1~21のいずれか一項に記載の組成物。
[23]
前記メソポーラスシリカ粒子は、少なくとも約100m/gの表面積を有する、前記1~22のいずれか一項に記載の組成物。
[24]
注射用に適している、前記1~23のいずれか一項に記載の組成物。
[25]
Tリンパ球を、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物と接触させること
を含む方法であって、前記ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、方法。
[26]
前記接触させることは、インビトロで生じる、前記25に記載の方法。
[27]
前記Tリンパ球は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団と接触する前又は後に活性化される、前記25に記載の方法。
[28]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている、前記25~27のいずれか一項に記載の方法。
[29]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている、前記28に記載の方法。
[30]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている、前記25~29のいずれか一項に記載の方法。
[31]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH-CH-)1~25リンカーを使用する、前記30に記載の方法。
[32]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである、前記31に記載の方法。
[33]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンで表面修飾されている、前記31に記載の方法。
[34]
前記ウイルスベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルスである、前記25~33のいずれか一項に記載の方法。
[35]
前記ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする、前記25~34のいずれか一項に記載の方法。
[36]
前記CARは、腫瘍抗原を標的とするように操作されている、前記35に記載の方法。
[37]
前記Tリンパ球は、前記Tリンパ球をT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原と接触させることによって活性化される、前記25~36のいずれか一項に記載の方法。
[38]
前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されている、前記37に記載の方法。
[39]
前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている、前記38に記載の方法。
[40]
前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又は前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープに直接コンジュゲートされている、前記39に記載の方法。
[41]
前記Tリンパ球をサイトカインと接触させることを更に含む、前記25~40のいずれか一項に記載の方法。
[42]
前記サイトカインは、培地中にあるか、又は前記メソポーラスシリカ粒子の第1若しくは第2の集団にコンジュゲート若しくは吸着されている、前記41に記載の方法。
[43]
前記サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである、前記40~42のいずれか一項に記載の方法。
[44]
インビボで組換えポリヌクレオチドによってTリンパ球を遺伝的に形質導入する方法であって、
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を、1つ以上のTリンパ球を有する対象に投与すること
を含み、
前記ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含み、
前記組成物が1つ以上のTリンパ球と接触すると、前記Tリンパ球は、前記組換えポリヌクレオチドによって遺伝的に形質導入される、方法。
[45]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている、前記44に記載の方法。
[46]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている、前記45に記載の方法。
[47]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている、前記44~46のいずれか一項に記載の方法。
[48]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH-CH-)1~25リンカーを使用する、前記47に記載の方法。
[49]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである、前記48に記載の方法。
[50]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンで表面修飾されている、前記44~48のいずれか一項に記載の方法。
[51]
前記ウイルスベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルスである、前記44~50のいずれか一項に記載の方法。
[52]
前記ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする、前記44~51のいずれか一項に記載の方法。
[53]
前記CARは、腫瘍抗原を標的とするように操作されている、前記51に記載の方法。
[54]
前記組成物は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されたT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原を更に含む、前記44~53のいずれか一項に記載の方法。
[55]
前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている、前記54に記載の方法。
[56]
前記組成物は、前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団を含み、前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又は前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープに直接コンジュゲートされている、前記54に記載の方法。
[57]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団にコンジュゲート又は吸着されたサイトカインを更に含む、前記44~56のいずれか一項に記載の方法。
[58]
前記サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである、前記57に記載の方法。
[59]
前記対象のTリンパ球は、インビボで増殖する、前記44~58のいずれか一項に記載の方法。
[60]
インビトロでTリンパ球集団を増殖させる方法であって、
(a)前記Tリンパ球集団を、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団と、形質導入されたTリンパ球集団を提供するためのウイルスベクターとを含む組成物と接触させること;及び
(b)前記形質導入されたTリンパ球集団をT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原及び任意選択によりサイトカインと接触させること
を含み、前記ウイルスベクターは、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、方法。
[61]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている、前記60に記載の方法。
[62]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている、前記61に記載の方法。
[63]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている、前記60~62のいずれか一項に記載の方法。
[64]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH-CH-)1~25リンカーを使用する、前記63に記載の方法。
[65]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである、前記64に記載の方法。
[66]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンで表面修飾されている、前記60~65のいずれか一項に記載の方法。
[67]
前記ウイルスベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルスである、前記60~66のいずれか一項に記載の方法。
[68]
前記ヌクレオチド配列は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする、前記60~67のいずれか一項に記載の方法。
[69]
前記CARは、腫瘍抗原を標的とするように操作されている、前記68に記載の方法。
[70]
前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されており、前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、IL-2、IL-15、抗CD2 mAb、抗CD3 mAb、抗CD28 mAb、ネオ抗原ペプチド、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCR又はそれらの組み合わせである、前記60~69のいずれか一項に記載の方法。
[71]
前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている、前記70に記載の方法。
[72]
前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団を含み、前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又は前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープにコンジュゲートされている、前記70に記載の方法。
[73]
(c)前記Tリンパ球をサイトカインと接触させること
を更に含み、前記サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである、前記60~72のいずれか一項に記載の方法。
[74]
腫瘍抗原の上昇した発現と関連する疾患、傷害又は状態を有する対象を処置する方法であって、
メソポーラスシリカ粒子の第1の集団とウイルスベクターとを含む組成物を前記対象に投与することであって、前記ウイルスベクターは、前記腫瘍抗原を標的とするように操作されているキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含む、投与すること
を含み、それにより前記対象を処置する、方法。
[75]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている、前記74に記載の方法。
[76]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている、前記75に記載の方法。
[77]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている、前記74~76のいずれか一項に記載の方法。
[78]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、-OH(ヒドロキシル)、アミン、カルボン酸、ホスホネート、ハライド、アジド、アルキン、エポキシド、スルフヒドリル、ポリエチレンイミン、疎水性部分又はその塩であり、任意選択によりC~C20アルキル又は(-O(CH-CH-)1~25リンカーを使用する、前記77に記載の方法。
[79]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである、前記78に記載の方法。
[80]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されて約1000~20,000Da、約1,200~15,000Da、約1,500~12,000Da、約2,000Da、約3,000Da、約4,000Da、約5,000Da、約6,000Da、約7,000Da、約8,000Da、約9,000Da又は約10,000Daの平均分子量を有するポリエチレンイミンで表面修飾されている、前記74~78のいずれか一項に記載の方法。
[81]
前記ウイルスベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルスである、前記74~80のいずれか一項に記載の方法。
[82]
前記組成物は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団又はメソポーラスシリカ粒子の第2の集団にコンジュゲート又は吸着されたT細胞刺激化合物又は腫瘍抗原を更に含む、前記74~81のいずれか一項に記載の方法。
[83]
前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲート又は吸着されている、前記82に記載の方法。
[84]
前記組成物は、前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団を含み、前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団又は前記メソポーラスシリカ粒子の第2の集団の表面の脂質エンベロープに直接コンジュゲートされており、前記T細胞刺激化合物又は腫瘍抗原は、IL-2、IL-15、抗CD2 mAb、抗CD3 mAb、抗CD28 mAb、ネオ抗原ペプチド、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1 TCR、MAGE A3 TCR又はそれらの組み合わせである、前記83に記載の方法。
[85]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団は、前記メソポーラスシリカ粒子の第1又は第2の集団にコンジュゲート又は吸着されたサイトカインを更に含む、前記74~84のいずれか一項に記載の方法。
[86]
前記サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21若しくは形質転換成長因子ベータ(TGF-β)又はそのアゴニスト、その模倣物、その変異体、その機能的フラグメント若しくはそれらの組み合わせである、前記85に記載の方法。
[87]
ウイルスベクターを対象における所望の作用部位に送達する方法であって、メソポーラスシリカ粒子の第1の集団と前記ウイルスベクターとを含む組成物を前記対象に投与することを含む方法。
[88]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団にコンジュゲートされている、前記87に記載の方法。
[89]
前記ウイルスベクターは、前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団に静電的又は共有結合的にコンジュゲートされている、前記88に記載の方法。
[90]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、表面修飾されている、前記87~89のいずれか一項に記載の方法。
[91]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、C1~20アルキルアミン、C1~20カルボン酸、C1~20アジド及び置換又は非置換のC1~20アルキルである、前記90に記載の方法。
[92]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団の前記表面修飾は、一級、二級、三級又は四級アミンである、前記91に記載の方法。
[93]
前記ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス又はレンチウイルスである、前記87~92のいずれか一項に記載の方法。
[94]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、2~50nmの直径の細孔を含む、前記87~93のいずれか一項に記載の方法。
[95]
前記メソポーラスシリカ粒子の第1の集団は、少なくとも約100m/gの表面積を有する、前記87~94のいずれか一項に記載の方法。
[96]
キメラ抗原受容体(CAR)T(CAR-T)細胞集団を増殖させる方法であって、前記CAR-T細胞集団を、標的部分にコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子と接触させることを含み、前記標的部分は、前記CARに相補的である、方法。
[97]
前記CARは、腫瘍抗原を標的とするように操作されたタンパク質である、前記96に記載の方法。
[98]
前記腫瘍抗原は、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、Prostase、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、前記96又は97に記載の方法。
[99]
前記メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である、前記1~24のいずれか一項に記載の組成物又は前記25~98のいずれか一項に記載の方法。
[100]
ポリエチレンイミンにコンジュゲートされたメソポーラスシリカ粒子を含む組成物。
[101]
前記メソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカロッドの形態である、前記100に記載の組成物。
[102]
活性剤を更に含む、前記100又は101に記載の組成物。
[103]
前記活性剤は、前記メソポーラスシリカ粒子にコンジュゲート又は吸着されている、前記102に記載の組成物。
[104]
活性剤を対象における所望の作用部位に送達する方法であって、前記102又は103に記載の組成物を前記対象に投与することを含む方法。
[105]
前記組成物は、前記対象への前記活性剤の持続的送達を提供する、前記104に記載の方法。
[106]
疾患、傷害又は状態を有する対象を処置する方法であって、前記102又は103に記載の組成物を前記対象に投与することを含む方法。
[107]
前記疾患、障害又は状態は、腫瘍抗原に関連している、前記106に記載の方法。
【実施例
【0460】
実施例A.メソポーラスシリカ粒子の合成及び後官能化
特に記載がない限り、全ての試薬は、市販の供給源から入手し、そのまま使用した。
【0461】
1.メソポーラスシリカ粒子の例示的な合成
ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)平均Mn~5,800(Pluronic P-123、80.0g、487mmol;Sigma)界面活性剤を3Lの1.6MHClに室温で溶解し、温度、5Lジャケット付きフラスコ内で摂氏40℃に加熱し、0~600rpm(ただし、最も一般的には300rpm)の速度でオーバーヘッドスターラーを介して機械的に撹拌した。オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、184mL、826mmol;Sigma)を5分未満で一度に加え、少なくとも2時間、ただし、最も一般的には20時間撹拌を続けながら、摂氏40℃で加熱した。得られたスラリーを、摂氏80~130℃(最も一般的には摂氏100℃)に6~72時間(ただし、最も一般的には24時間)室温に冷却する前に、水熱処理のために加熱した。スラリーをブフナー漏斗でろ過し、脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、室温で風乾した。得られたシリカ材料を、室温から550℃までのゆっくりとした傾斜温度で8時間かけて炉内で焼成し、次に550℃で更に8時間維持した後、室温に冷却して、47gのメソポーラスシリカ粒子を得た。
【0462】
撹拌速度の変化により、微粒子のアスペクト比を変化させ得る。メソポーラス材料の細孔径制御には、熱水温度及び持続時間の条件を変化させることが一般的である。詳細については、J.Chem.Educ.2017,94,91-94及びその中の文献を参照されたい。
【0463】
最終的なメソポーラス材料は、光学顕微鏡、Malvern Morphologi G3、走査型電子顕微鏡(SEM)、熱重量分析(TGA)によって特徴付けられた。
【0464】
2.シリカ微粒子の後修飾
実施例2(a):エチルホスホン酸ジエチル官能化微粒子
エチルホスホン酸ジエチル官能化シリカ微粒子は、部分的に変更を加えて、New J.Chem.,2014,38,3853に報告されている修飾方法によって調製された。ジエチルホスファトエチルトリエトキシシラン(4.15mL、13.03mmol)を、300mLのトルエンに懸濁した2.0gのメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加した。スラリーを撹拌し、摂氏110℃で14時間還流した後、室温まで冷却し、ろ過した。粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させて、エチルホスホン酸ジエチル官能化粒子を得た。
【0465】
実施例2(b):エチルホスホン酸官能化微粒子
エチルホスホン酸官能化微粒子は、New J.Chem.,2014,38,3853に報告されている手順に変更された方法によって調製された。トリメチルシリルクロロシラン(1.388mL、10.86mmol)を、150mLのトルエンに懸濁した2.0gのエチルホスホン酸ジエチル官能化微粒子のスラリーに加え、110℃で24時間加熱した。スラリーを室温に冷却し、ろ過し、脱イオン水及びエタノールで洗浄した後、摂氏100℃のオーブンで24時間乾燥させた。次に、メソポーラスシリカ粒子を100mLの12MHClに懸濁し、摂氏100℃で18時間加熱した。スラリーを室温まで冷却し、ろ過し、脱イオン水及びエタノールで洗浄した後、100℃のオーブンで24時間乾燥させ、エチルホスホン酸官能化微粒子を得た。
【0466】
実施例2(c):プロピルアミン官能化微粒子
プロピルアミン官能化微粒子は、Langmuir 2015,31,6457-6462に報告されている手順に変更された方法によって調製された。(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(3.05ml、19.54 mmol;APTMS、Sigma)を150mLの試薬グレードエタノール中の3.0グラムのメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加した。スラリーを摂氏75℃で7時間還流した。室温に冷却し、スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで24時間乾燥させた。
【0467】
実施例2(d):ビオチン官能化微粒子
(+)-ビオチンN-スクシンイミジルエステル(246 mg、0.720mmol)を10.0mLのpH7.4調整PBSバッファー中の1.0gのプロピルアミン官能化微粒子のスラリーに添加し、室温で18時間撹拌した。スラリーをろ過し、脱イオン水及びエタノールで洗浄した後、100℃のオーブンで24時間乾燥させ、ビオチン酸官能化微粒子を得た。
【0468】
実施例2(e):ビオチン-PEG4官能化微粒子
PEG4-ビオチンN-ヒドロキシスクシンイミド(106mg、0.180mmo;ThermoFischer EZ-Link NHS-PEG4-ビオチン)を2.5mLのpH7.4調整PBSバッファー中の0.25gのプロピルアミン官能化微粒子のスラリーに添加し、室温で18時間撹拌した。スラリーをろ過し、脱イオン水及びエタノールで洗浄した後、100℃のオーブンで24時間乾燥させ、ビオチン-PEG4官能化微粒子を得た。
【0469】
実施例2(f):3(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート官能化微粒子
サクシニミジル6-(3(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート(112mg、0.360mmo;LC-SPDP ThermoFischer)を2.5mLのpH7.4調整PBSバッファー中の0.50gのプロピルアミン官能化微粒子のスラリーに添加し、室温で18時間撹拌した。スラリーをろ過し、脱イオン水及びエタノールで洗浄した後、摂氏100℃のオーブンで24時間乾燥させて、3(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート官能化微粒子を得た。
【0470】
実施例2(g):4-オキソ-4-(プロピルアミノ)ブタン酸官能化微粒子
無水コハク酸(4g、40.0mmol)を無水コハク酸中の1.0gのプロピルアミン官能化微粒子のスラリーに添加し、室温で24時間撹拌した。スラリーをろ過し、脱イオン水及びエタノールで洗浄した後、100℃のオーブンで24時間乾燥させ、4-オキソ-4-(プロピルアミノ)ブタン酸官能化微粒子を得た。
【0471】
実施例2(h):プロピルジエチレントリアミン官能化微粒子
トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン(1.678mL、6.51mmol)を1.0 gのメソポーラスシリカ微粒子に添加し、150mLの試薬グレードエタノールに懸濁した。スラリーを摂氏75℃で7時間還流した。室温に冷却し、スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させ、プロピルジエチレントリアミン官能化微粒子を得た。
【0472】
実施例2(i):3-プロピルジヒドロフラン-2,5-ジオン官能化微粒子(無水コハク酸)
3-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジヒドロフラン-2,5-ジオン(4.94mL、17.37mmol)を300mLのトルエン中の3.0gのメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加した。スラリーを摂氏110℃に20時間加熱し、次に室温に冷却し、ろ過し、脱イオン水及びエタノールで洗浄した。官能化微粒子を摂氏100度のオーブンで24時間乾燥した。
【0473】
実施例2(j):分岐したポリエチレンイミン官能化微粒子
ポリエチレンイミン(25.1 g、47.0mmol;分岐、平均Mw~25,000、Sigma)を600mLの無水DMFに溶解し、6.0 gの3-プロピルジヒドロフラン-2,5-ジオン官能化微粒子を添加し、室温で20時間撹拌した。スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させ、分岐したポリエチレンイミン官能化微粒子を得た。
【0474】
実施例2(k):N、N、N-トリメチロールプロパン-1-アンモニウム官能化微粒子
トリメトキシシリルプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(3.61mL、6.51mmol;メタノール中の50%溶液)を150mL試薬エタノール中の1.0gメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加し、75℃に7時間加熱した。室温に冷却し、スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させ、N,N,N-トリメチルプロパン-1-アンモニウム官能化微粒子を得た。
【0475】
上記の手順を、シリカ微粒子に対するトリメトキシシリルプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの比率を変化させて(微粒子1グラムあたり0.25mmolのトリメトキシシリルトリメチルアンモニウムクロリド)繰り返し、機能密度の比率の変に影響を与えた。
【0476】
実施例2(l):オクチル官能化微粒子
トリエチルオキシ(オクチル)シラン(2.05mL、6.51mmol)を150mL試薬エタノール中の1.0gメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加し、75℃に7時間加熱した。室温に冷却し、スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させ、オクチル官能化微粒子を得た。
【0477】
実施例2(m):ヘキサデシル官能化微粒子
ヘキサデシルトリメトキシシラン(2.54mL、6.51mmol)を150mL試薬エタノール中の1.0gメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加し、75℃に7時間加熱した。室温に冷却し、スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させ、ヘキサデシル官能化微粒子を得た。
【0478】
実施例2(n):11-アジドウンデシル官能化微粒子
(11-アジドウンデシル)トリメトキシシラン(1.0g、3.15mmol)を150mL試薬エタノール中の1.0gメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加し、75℃に7時間加熱した。室温に冷却し、スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させ、11-アジドウンデシル官能化微粒子を得た。
【0479】
実施例2(o):3-アジドプロピル官能化微粒子
(3-アジドプロピル)トリメトキシシラン(1.0g、4.87mmol)を150mL試薬エタノール中の1.0gメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加し、75℃に7時間加熱した。室温に冷却し、スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させ、3-アジドプロピル官能化微粒子を得た。
【0480】
実施例2(p):3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル官能化微粒子
トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)シラン(2.499mL、6.51mmol)を150mL試薬エタノール中の1.0gメソポーラスシリカ微粒子のスラリーに添加し、75℃に7時間加熱した。室温に冷却し、スラリーをろ過し、粒子を脱イオン水、続いてエタノールで洗浄し、次に摂氏100℃のオーブンで20時間乾燥させ、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル官能化微粒子を得た。
【0481】
実施例B.ウイルス結合に関するMSR表面修飾の検証
レンチウイルスのMSPへの結合を検証するために、表面の化学的性質の変化を用いて様々なMSPを調製した(図1)。乾燥したMSRバッチを10mg/mlの氷冷したTris-NaCl-EDTAバッファーpH 7.5(NTEバッファー)に再懸濁した。レンチウイルス(FCT067、Kerafast)を発現する緑色蛍光タンパク質(GFP)のストック溶液を、氷冷したNTEバッファーで3×10/mlの力価に希釈した。MSR懸濁液及び希釈ウイルスを1:1vol/volの比率で混合し、氷上で30分間インキュベートした。対照粒子を、ウイルスを含まないNTEバッファーで1:1vol/volでインキュベートした。インキュベーション後、サンプルを4℃のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の1%ウシ血清アルブミン(BSA)で1回洗浄し、次に4℃のPBSで洗浄した。次に、サンプルをPBS中の4.2%パラホルムアルデヒドで固定した。サンプルをウイルスエンベロープに対する抗体(Kerafast社製の抗VSV-G、8G5F11;1:50希釈)で染色した後、Dylight-488(Invitrogen)で標識した抗マウスIgGで染色した。サンプルをPBSで2回洗浄し、GFP LEDライトキューブを備えたEvos蛍光顕微鏡を使用して画像化した(図2)。画像では、ウイルスを含まないMSRへの染色試薬の検出可能な結合は、示されなかった。ウイルスがコンジュゲートしたロッドは、様々なレベルの定量的結合を示し、トリメチルアンモニウム及びアミン官能基は最大の結合を示す。
【0482】
実施例C.MSRを使用したGFPレンチウイルスによるT細胞形質導入についてのインビトロアッセイ
T細胞のウイルス形質導入についてMSRの使用の概略図を図3に示す。ナイーブヒトT細胞をダイナびーズT細胞活性化ビーズでビーズ:細胞比3:1で2日間刺激した。磁石を使用してビーズを除去し、細胞を新鮮な培地に移した。ウイルスがコンジュゲートしたMSRは、上記のように調製し、細胞培養液に80μg/mlで再懸濁した。これの段階希釈は、図3に示されるように行われた。この懸濁液をT細胞5×10/mlと1:1で混合し、4日間インキュベートした。GFP発現は、形質導入効率を評価するために、培養中の生きた一重項細胞で評価された。結果(図4)は、MSRがコンジュゲートされたウイルスの形質導入が、培養培地のみで与えられたウイルスよりも高いレベルで起こったことを示す。トリメチルアンモニウム官能化MSRは、最高レベルの形質導入を提供した。
【0483】
実施例D.CD3/CD28アゴニスト抗体、EGFRvIIIペプチド又はBCMAタンパク質を提示するMSRとT細胞の相互作用
表面固定化リガンドを有するMSRは、Cheung,A.S.,et al.に記載されているように調製され、抗原提示細胞を模倣する足場が初代T細胞のエクスビボ増殖を可能にした。Nature Biotechnology,36(2),160-169.このプロセスの概略図を図5に示す。
【0484】
簡単に説明すると、1mol%のPE-ビオチンを有するPOPCで主に構成されるリポソームを、薄膜再水和法及び100nmのポリカーボネート膜を通した押し出しを使用して形成した。ヒドロキシル官能化MSRをリポソームと共にインキュベートして、MSR表面上に支持された脂質二重層の形成を可能にした(図6)。CD3及びCD28アゴニスト抗体を有するMSRを官能化するために、MSRをPBSで数回洗浄し、ストレプトアビジンとインキュベートした後、ビオチン化CD3及びCD28抗体と結合した。EGFRvIII CAR結合ペプチドのMSR固定化のために、ビオチン化EGFRvIII CAR結合ペプチドが使用された(図7)。BCMA CART刺激では、組換えBCMAFcタンパク質をビオチン-NHSを使用してビオチン化し、同様にMSR表面に結合させた。
【0485】
所望のリガンドとのインキュベーション後、MSRをPBSで数回洗浄し、様々な濃度で培地に再懸濁し、T細胞とインキュベートした。T細胞のCFSE標識を使用し、フローサイトメトリーによって色素希釈を評価することにより、T細胞の増殖を読み取った。サイトカイン産生は、多重サイトカイン分析法(Mesoscale Delivery V-Plex)を使用して評価された。
【0486】
EGFRvIII CARTは、MSRの表面に結合したEGFRvIII CAR結合ペプチドに応答してインターフェロンガンマ及びIL-2を産生した一方、溶液中の遊離EGFRvIII CAR結合ペプチド、MSR上に提示される非刺激ペプチド(OVA)又は非修飾MSRは、CARTから応答しなかった(図8)。別の実験では、EGFRvIII CARTの増殖を、細胞計数を使用して、様々な刺激に応答してモニターした(図9)。
【0487】
異なるT細胞サブセットの表現型の増殖を更に分析するために、フローサイトメトリーを使用してEGFRvIIICARTの増殖を評価した。CARTをCFSEで染色し、フローサイトメトリーによる増殖を示すために色素希釈についてモニターした(図10)。同様の実験を、MSR表面に存在するBCMAFcタンパク質抗原を有する官能化MSRを使用して実施した(図11)。
【0488】
2つのタイプのMSR(刺激的手がかりを有するMSR及びレンチウイルスと混合したMSR)を使用して、ウイルスによるT細胞の同時刺激及び形質導入を試験するために、図12に示される実験計画が使用された。MSRの1つの集団を脂質二重層でコーティングし、上記のように抗CD3/CD28抗体とグラフト化した。第二のMSRの集団をレンチウイルスとインキュベートした。図13に示された結果は、T細胞を抗CD3/CD28アゴニスト抗体で刺激し、溶液中の遊離ウイルスと比較してPEI-MSRでインキュベートしたウイルスに曝露した場合、優れた形質導入レベルを示した。
【0489】
同一のMSR集団における手がかり両方によるT細胞の同時刺激及び形質導入を検証するために、T細胞を(1)抗CD3/CD28アゴニスト抗体担持脂質コーティング刺激MSR及びウイルスを含む培地、(2)抗CD3/CD28アゴニスト抗体担持脂質コーティング刺激MSR及びウイルスとプレインキュベートしたPEI-MSR、(3)PEI MSRSに抗CD3/CD28アゴニスト抗体を吸着させた後、ウイルスとインキュベートしたもののいずれかに曝露した。3日間培養後、T細胞の形質導入効率を評価した。図14は、様々な量のウイルスにおける上記の条件(1)及び条件(2)のMSRに対する刺激性MSR濃度の効果を示す。図14に示されるように、全体的な形質導入は、PEI-MSRがウイルスと共にインキュベートされる条件(2)下で増強される。
【0490】
図15は、条件(1)及び(2)が刺激性MSRの最高濃度にある3つの条件全てを比較する。図15に示されるように、刺激的手がかりがPEI-MSRに結合される条件(3)は、最も高い相対的形質導入効率をもたらす。同じ製剤を使用して、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)に対するMSRを介した形質導入を研究した。図16に示されるように、ウイルス濃度の関数としての様々な細胞集団における形質導入は、条件(1)及び(2)に対する最高レベルの刺激で示される。図17は、総GFP+形質導入細胞画分並びに条件(1)及び(2)に対して最高レベルの刺激で収集された総細胞集団に存在する各細胞集団の割合を示す。
【0491】
実施例E.MSR誘導T細胞形質導入のインビボ研究。
ウイルスベクターにコンジュゲートしたメソポーラスシリカ粒子の組成物をマウスの皮下に注射する。約5~7日後、抗マウスCD19CARをコードするウイルスに吸着されたMSRがこの部位に注射される。マウスの血液中のCD19+B細胞の枯渇は、抗CD19CARTが生成されたことを示すものとしてモニターされるであろう。これらのCARTの存在は、血液及び骨髄で確認されている。CAR導入遺伝子について、インサイチュ‐ハイブリダイゼーションを使用した注射部位及びリンパ節、脾臓及び肝臓の排出の詳細な組織学的評価を実施して、所望でない部位へのウイルスの漏出を評価する。
【0492】
実施例F.メソポーラスシリカ微粒子への薬物負荷
様々な薬剤がメソポーラスシリカ微粒子に担持され得る。
【化13】
【0493】
1.実施例1:メソポーラスシリカ微粒子へのTLR7アゴニストの担持
クロロホルム中のイミキモドの溶液を2.0mLのクロロホルム中の100mgのシリカ微粒子のスラリー(メソポーラスシリカ粒子10mgあたり100-500μgのイミキモドの濃度)に加え、500rpm、摂氏40℃で72時間振とうする。MSPは、3分間1000rpmで遠心分離し、残りのおう液を除去する。MSPを2.0mLのクロロホルムで洗浄した後、遠心分離して上清を除去する。洗浄ステップをエタノールで繰り返して、過剰で未吸収のイミキモドを除去する。最終的な微粒子は、水中でスラリー化され、凍結乾燥される。
【0494】
2.実施例2:メソポーラスシリカ粒子からのインビトロ薬物放出。
10.0mg(又は300μgの薬物負荷物質に相当)の薬物負荷MSPを1.0mLのpH7.4(0.0067M)リン酸バッファーに懸濁し、摂氏37度で放置する。サンプルを1時間、3時間、6時間、24時間、2日及び5日目に収集し、これらのサンプルの分析は、UPLCによって実行され、標準分析曲線にプロットされる。上清を除去し、各時点で新しいバッファーと交換する。
【0495】
前述の本明細書の記載は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。本発明は、提供された構築物の範囲に限定されるものではない。これは、本発明の提供された実施形態が本発明のある態様のみを説明することを意図しており、機能的に均等な全ての構築物が本発明の範囲内にあるからである。本明細書における材料の寄託は、本明細書に含有される記載が、その最良の態様を含む、本発明の任意の態様の実施を可能とするのに不十分であるという承認を構成するものではなく、特許請求の範囲の限定するものとして解釈されるべきでもない。実際に、本明細書に示し、記載したものに加えて、本発明の様々な修正形態が前述の記載から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る。
【0496】
特定の課題又は状況に対する本発明の教示の適用は、本明細書に含まれる教示に鑑みて当業者の能力の範囲内であろうことが理解される。
【0497】
本明細書中のそれぞれの及び全ての引用文献の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0498】
実施例G.MSR誘導CAR-T生成のインビボ研究。
ヒトT細胞及びB細胞を移植したマウス(ヒトCD34+幹細胞ヒト化マウス又はヒト末梢血単核細胞注射マウス)は、既知の方法を使用して実証される。CAR19レンチウイルスにコンジュゲートしたメソポーラスシリカ粒子の組成物を、T細胞を形質導入するためにマウスの皮下に注射する。MSR-CAR19レンチウイルスコンジュゲートで処置したマウスの血液中のCAR19発現T細胞の存在(抗CAR19イディオタイプ抗体染色を使用)及びCD19+B細胞の枯渇を、連続採血サンプル(0日目注射前及びMSR-ウイルス投与後の1日目から21日目までの週2回)についてフローサイトメトリーを用いてモニターし、MSR-GFPレンチウイルスを注射した対照マウスと比較し、抗CD19 CARTが生成され、標的を死滅させる機能を有することを示す。ヒトインターフェロンガンマ及び腫瘍壊死因子アルファの濃度は、CD19 CART細胞の生成及び活性化について、2番目のバイオマーカーとして同じ血液サンプルから決定される。CAR導入遺伝子について、インサイチュ‐ハイブリダイゼーションを使用した注射部位及びリンパ節、骨髄、脾臓及び肝臓の詳細な組織学的評価を実施して、所望でない部位へのウイルスの漏出を評価し、生成されたCAR19T細胞のこれらの部位への輸送を研究する。
【0499】
別の実験では、ヒトT細胞及びB細胞を含むマウスに、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するCD19を発現するNalm6白血病腫瘍を静脈内注射する。マウスのコホートに、CAR19又はGFPレンチウイルスにコンジュゲートしたメソポーラスシリカ粒子の組成物を腫瘍注射の7日前から7日後まで単回皮下注射して、T細胞を形質導入する。Nalm6腫瘍組織量は、IVISイメージングのルシフェラーゼシグナルによりモニターされ、生成された抗CD19CARTの抗腫瘍効果を研究する。MSR-CAR19レンチウイルスコンジュゲートで処置したマウスの血液中のCAR19発現T細胞の存在及びCD19+B細胞の枯渇を、連続採血サンプル(0日目注射前及びMSR-ウイルス投与後の1日目から21日目までの週2回)についてモニターし、MSR-GFPレンチウイルスを注射した対照マウスと比較する。ヒトインターフェロンガンマ及び腫瘍壊死因子アルファの濃度は、CD19 CART細胞の生成及び活性化について、2番目のバイオマーカーとして同じ血液サンプルから決定される。
【0500】
これらの研究は、BCMA、CD20、CD22、CD123、EGFRvIII、CLL-1及びそれらの組み合わせ(相互及び/又はCD19)を含むが、これらに限定されない、他の癌/腫瘍標的に対するMSRレンチウイルスコンジュゲートを用いて繰り返される。
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【配列表】
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