(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】フラビウイルス感染を同定する方法、並びに関連するペプチド、キット、及び組成物
(51)【国際特許分類】
G01N 33/569 20060101AFI20250210BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250210BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20250210BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
G01N33/569 L ZNA
A61P37/04
A61K38/10
A61P31/14
(21)【出願番号】P 2021559982
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(86)【国際出願番号】 SG2020050221
(87)【国際公開番号】W WO2020209801
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】10201903321Y
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(72)【発明者】
【氏名】ン、フォン ポー、リサ
(72)【発明者】
【氏名】アムラン、シティ ナキア
(72)【発明者】
【氏名】イー、ウェン シン
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/197408(WO,A1)
【文献】Yiu-Wing Kam,ZIKV-Specific NS1 Epitopes as Serological Markers of Acute Zika Virus Infection,The Journal of Infectious Diseases,2019年03月07日,220,pp.203-212,DOI: 10.1093/infdis/jiz092
【文献】Xiaojun Xu,Identifying Candidate Targets of Immune Responses in Zika Virus Based on Homology to Epitopes in Other Flavivirus Species,PLoS Curr.,2016年11月15日,8,pp.1-26,doi: 10.1371/currents.outbreaks.9aa2e1fb61b0f632f58a098773008c4b:10.1371/currents.outbreaks.9aa2e1fb61b0f632f58a098773008c4b
【文献】E. A. Salvador,Identification of relevant regions on structural and nonstructural proteins of Zika virus for vaccine and diagnostic test development: an in silico approach,New Microbe and New Infect,2019年01月31日,29, 100506,pp.1-9,https://doi.org/10.1016/j.nmni.2019.01.002
【文献】Alexandra J. Lee,Identification of diagnostic peptide regions that distinguish Zika virus from related mosquito-borne Flaviviruses,PLOS ONE,2017年03月31日,pp.1-18,https://doi.org/10.1371/journal.pone.0178199
【文献】Karin Stettler,Specificity, cross-reactivity, and function of antibodies elicited by Zika virus infection,SCIENCE RESEARCH REPORTS,2016年08月19日,353(6301),pp.823-826, (Supplementary pp.1-39),DOI: 10.1126/science.aaf8505
【文献】Soren Hansen,Diagnosing Zika virus infection against a background of other flaviviruses: Studies in high resolution serological analysis,Scientific Reports,2019年03月06日,9:3648,pp.1-10,https://doi.org/10.1038/s41598-019-40224-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/569
A61P 37/04
A61K 38/10
A61P 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体におけるジカウイルス(ZIKV)、デングウイルス(DENV)、及びこれらの組み合わせから選択されるフラビウイルス感染を同定するための方法であって、
前記被験体のサンプルが、相対結合能BC
relative≦0.05又は≧0.1を与えることができるペプチドPと反応するかどうかを判定することを含み、
【数1】
(i)前記ペプチドPが、ZIKV由来ペプチドを含む場合、
【数2】
であるか、又は
(ii)前記ペプチドPが、DENV由来ペプチドを含む場合、
【数3】
である、方法であって、
ここで、ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能が、約-0.50~約0.50であり、
DENV誘導抗原結合タンパク質の結合能が、約-0.60~約0.30であり、及び
0を超える結合能を有するZIKV誘導抗原結合タンパク質又はDENV誘導抗原結合タンパク質は、ZIKV又はDENV誘導抗原結合タンパク質が、DENV/DENV由来ペプチドよりもZIKV/ZIKV由来ペプチドを強く認識すること及び/又はDENV/DENV由来ペプチドよりもZIKV/ZIKV由来ペプチドに対する結合活性が高いことを示
し、
前記ペプチドPは、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT)で示される配列を含む、方法。
【請求項2】
前記サンプルが前
記ペプチドと反応する場合、前記被験体が、フラビウイルス感染治療の適応となる、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
急性期のフラビウイルス感染を同定するための方法であり
、
前記サンプルが前
記ペプチドと反応する場合、前記被験体が、急性期のフラビウイルス感染治療の適応となる、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルが、
配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);
配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);又は
配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);
からなる群から選択される1つ以上のペプチドと反応するかどうかを
さらに判定することを含み、
前記サンプルが前記1つ以上のペプチドと反応する場合、前記被験体が、ZIKV感染治療の適応となる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
急性期のZIKV感染を同定するための方法であり、前記サンプルが、
配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);
と反応するかどうかを
さらに判定
することを含み、
前記サンプルが前記ペプチドと反応する場合、前記被験体が、急性期のZIKV感染治療の適応となる、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルが、
配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);
配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);
配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);及び/又は
配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG);
からなる群から選択される1つ以上のペプチドと反応するかどうかを判定することを含み、
前記サンプルが前記1つ以上のペプチドと反応する場合、前記被験体が、DENV感染治療の適応となる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルが前記ペプチドPと反応するかどうかを判定することが、イムノアッセイを実施して、前記ペプチドに結合することができる抗原結合タンパク質が前記サンプル中に存在するかどうかを評価することを含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記被験体におけるZIKV及び/又はDENVの感染を治療する方法に使用する
ための配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT)で示される配列を含むペプチドPであって、該方法が
(i)請求項1~
7のいずれか一項の方法を使用して、被験者における、ZIKV、DENV及びその組み合わせから選択されるフラビウイルス感染を同定すること、及び
(ii)ZIKV及び/又はDENV感染の適応となる場合、前記被験体に施されるZIKV及び/又はDENV治療レジメンを含む、
ペプチドP。
【請求項9】
被験体におけるジカウイルス、デングウイルス、及びこれらの組み合わせから選択されるフラビウイルス感染を同定するためのキットであって、相対結合能BC
relative≦0.05又は≧0.1を与えることができるペプチドPを含み、
【数4】
前記ペプチドPが、ZIKV由来ペプチドを含む場合、
【数5】
であり
前記ペプチドPが、DENV由来ペプチドを含む場合、
【数6】
であるキットであって、
ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能が、約-0.50~約0.50であり、
DENV誘導抗原結合タンパク質の結合能が、約-0.60~約0.30であり、及び
0を超える結合能を有するZIKV誘導抗原結合タンパク質又はDENV誘導抗原結合タンパク質は、ZIKV又はDENV誘導抗原結合タンパク質が、DENV/DENV由来ペプチドよりもZIKV/ZIKV由来ペプチドを強く認識すること及び/又はDENV/DENV由来ペプチドよりもZIKV/ZIKV由来ペプチドに対する結合活性が高いことを示
し、
前記ペプチドPは、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT)で示される配列を含む、キット。
【請求項10】
抗ZIKV及び/又は抗DENVの捕捉剤でコーティングされたプレート、並びに
捕捉された抗ZIKV及び/又は抗DENVの存在を検出するための検出剤
のうちの1つ以上を更に含み、
前記捕捉剤及び前記検出剤が、ZIKV及び/若しくはDENV抗原並びに/又は抗免疫グロブリンを含む、請求項
9に記載のキット。
【請求項11】
前記被験体が、アジア人被験体を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記被験者がアジア人被験体を含む、請求項
9または10に記載のキット。
【請求項13】
相対結合能BC
relative≦0.05又は≧0.1であり、
【数7】
である単離されたペプチドPであって、
(iii)ペプチドPが、ZIKV由来ペプチドを含む場合、
【数8】
であり、又は
(iv)ペプチドPが、DENV由来ペプチドを含む場合、
【数9】
であり、
ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能が、約-0.50~約0.50であり、
DENV誘導抗原結合タンパク質の結合能が、約-0.60~約0.30であり、及び
前記ペプチド
Pは、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT)
で示される
配列のペプチドである、単離されたペプチドP。
【請求項14】
相対結合能BC
relative≦0.05又は≧0.1であるペプチドPを含む組成物であって、
【数10】
であり、
(v)ペプチドPが、ZIKV由来ペプチドを含む場合、
【数11】
又は
(vi)ペプチドPが、DENV由来ペプチドを含む場合、
【数12】
であり、
ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能が、約-0.50~約0.50であり、
DENV誘導抗原結合タンパク質の結合能が、約-0.60~約0.30であり、及び
前記ペプチド
Pは、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT)
で示される
配列のペプチド
である、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、フラビウイルス感染を同定する方法、並びに関連するペプチド、キット、及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フラビウイルス科(Flaviviridae)は、プラス鎖一本鎖エンベロープRNAウイルスの科である。フラビウイルス属(Flavivirus)は、世界中で広範囲に及ぶ罹患及び死亡を引き起こすことが報告されている。一部のフラビウイルスは蚊を介して感染し、これらは、黄熱ウイルス(YFV)、デングウイルス(DENV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、西ナイルウイルス(WNV)、及びジカウイルス(ZIKV)を含む。
【0003】
DENVによって引き起こされるデング熱は、世界中の熱帯及び亜熱帯の気候でみられる。ここ数十年、デング熱の世界的な発生率は劇的に増加しており、現在では世界の人口の約半数が危険に曝されている。4つのDENV血清型:DENV1、DENV2、DENV3、及びDENV4が存在する。4つの血清型は異なるので、1人のヒトが一生のうち最高4回もDENVに感染する可能性がある。
【0004】
ZIKVは、1947年にウガンダで初めて同定され、感染したサルから単離された。ZIKVは、世界中で何度もジカ熱(ZIKF)の流行を引き起こした重要なフラビウイルスとして再浮上してきている。2013年及び2015年にフランス領ポリネシア及びブラジルでジカウイルス(ZIKV)が大流行した結果、予期せぬ重篤な神経学的及び先天性の合併症が生じた。
【0005】
分子法に強く依存している、DENV及びZIKV等のフラビウイルスの現在の診断には、幾つかの制約があるが、その理由は、患者が示す、ウイルス血症レベルの低いウイルス血症期が短いので、症候性の患者であっても検出を逃れる可能性があるためである。代替診断アプローチとしての血清学的検査は、フラビウイルス間、例えば、高いアミノ酸同一性を共有しており(55%)、構造的にも相同であるDENVとZIKVとの間の抗体の交差反応性が足かせとなっている。更に、両ウイルスは同じ蚊媒介動物によって伝染するので、重複する地理的領域においてみられることが多い。
【0006】
一部の抗原は、恐らく、ZIKV感染とDENV感染、及び他のフラビウイルス感染間を区別することができる。計算機による研究によって複数の差次的エピトープが予測されているが、患者サンプルでの検証が未だ課題である。
【0007】
従って、フラビウイルス感染を同定する代替方法、並びに関連するペプチド、キット、及び組成物を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、被験体におけるジカウイルス(ZIKV)、デングウイルス(DENV)、及びこれらの組み合わせから選択されるフラビウイルス感染を同定する方法であって、
当該被験体のサンプルが、相対結合能BCrelative≦0.05又は≧0.1を与えることができるペプチドPと反応するかどうかを判定することを含み、
【0009】
【0010】
(i)ペプチドPが、ZIKV由来ペプチドを含む場合、
【0011】
【0012】
であるか、又は
(ii)ペプチドPが、DENV由来ペプチドを含む場合、
【0013】
【0014】
である方法が提供される。
【0015】
一実施形態では、ペプチドPは、ZIKV又はDENVのprMタンパク質、E糖タンパク質、又はNS1タンパク質におけるエピトープを含む。
【0016】
一実施形態では、エピトープは、prMタンパク質、E糖タンパク質、又はNS1タンパク質の溶媒露出領域に位置する。
【0017】
一実施形態では、ペプチドPは、5~25アミノ酸長である。
【0018】
ある実施形態では、ペプチドPは、対応するペプチドCと50%以下の配列類似性を共有している。
【0019】
一実施形態では、ペプチドPは、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);
配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);
配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);
配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);
配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);
配列番号49(ECTMPPLSFRAK);
配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);
配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);
配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);
配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR);
配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS);
配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE);
配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG);
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部;
からなる群から選択される1つ以上のZIKV由来ペプチド;及び/あるいは
配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);
配列番号87(QIANELNYILWENNIK);
配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);
配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);
配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);
配列番号100(SCTLPPLRYMGE);
配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL);
配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH);
配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV);
配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);
配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);
配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);
配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG);又は
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部。
からなる群から選択される1つ以上のDENV由来ペプチド
を含む。
【0020】
一実施形態では、方法は、サンプルが、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);
配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);
配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);
配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);
配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);
配列番号49(ECTMPPLSFRAK);
配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);
配列番号87(QIANELNYILWENNIK);
配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);
配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);
配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);
配列番号100(SCTLPPLRYMGE);
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部;
からなる群から選択される1つ以上のペプチドと反応するかどうかを判定することを含む;及び/あるいは
当該サンプルが1つ以上のペプチド又はその一部と反応する場合、被験体は、フラビウイルス感染治療の適応となる。
【0021】
一実施形態では、方法は、急性期のフラビウイルス感染を同定する方法であり、サンプルが、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);
配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);
配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);
配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);
配列番号87(QIANELNYILWENNIK);
配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);
からなる群から選択される1つ以上のペプチドと反応するかどうかを判定することを含み、
当該サンプルが1つ以上のペプチド又はその一部と反応する場合、被験体は、急性期のフラビウイルス感染治療の適応となる。
【0022】
一実施形態では、方法は、サンプルが、
配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);
配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);
配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部;
以下からなる群から選択される1つ以上のペプチドと反応するかどうかを判定することを含み、
当該サンプルが1つ以上のペプチド又はその一部と反応する場合、被験体がZIKV感染治療の適応となる。
【0023】
一実施形態では、方法は、急性期のZIKV感染を同定する方法であり、サンプルが、
配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);
それと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
それと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
その一部;
と反応するかどうかを判定することを含み、
当該サンプルが当該ペプチド又はその一部と反応する場合、被験体は、急性期のZIKV感染治療の適応となる。
【0024】
一実施形態では、方法は、サンプルが、
配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);
配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);
配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);
配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG);及び/又は
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部;
からなる群から選択される1つ以上のペプチドと反応するかどうかを判定することを含み、
当該サンプルが1つ以上のペプチド又はその一部と反応する場合、被験体がDENV感染治療の適応となる。
【0025】
一実施形態では、サンプルがペプチドPと反応するかどうかを判定することは、イムノアッセイを実施して、ペプチドに結合することができる抗原結合タンパク質がサンプル中に存在するかどうかを評価することを含む。
【0026】
一実施形態では、方法は、被験体がZIKV及び/又はDENV感染治療の適応となる場合、被験体にZIKV及び/又はDENV治療レジメンを施すことを更に含む。
【0027】
一態様では、被験体におけるジカウイルス、デングウイルス、及びこれらの組み合わせから選択されるフラビウイルス感染を同定するためのキットであって、相対結合能BCrelative≦0.05又は≧0.1を与えることができるペプチドPを含み、
【0028】
【0029】
ペプチドPが、ZIKV由来ペプチドを含む場合、
【0030】
【0031】
であり、
ペプチドPが、DENV由来ペプチドを含む場合、
【0032】
【0033】
であるキットが提供される。
【0034】
キットの一実施形態では、ペプチドPは、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);
配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);
配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);
配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);
配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);
配列番号49(ECTMPPLSFRAK);
配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);
配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);
配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);
配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR);
配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS);
配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE);
配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG);
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部;
からなる群から選択される1つ以上のZIKV由来ペプチド;及び/あるいは
配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);
配列番号87(QIANELNYILWENNIK);
配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);
配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);
配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);
配列番号100(SCTLPPLRYMGE);
配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL);
配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH);
配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV);
配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);
配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);
配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);
配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG);又は
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部
からなる群から選択される1つ以上のDENV由来ペプチド
を含む。
【0035】
一実施形態では、キットは、
抗ZIKV及び/又は抗DENVの捕捉剤でコーティングされたプレート、並びに
捕捉された抗ZIKV及び/又は抗DENVの存在を検出するための検出剤、
のうちの1つ以上を更に含み、
当該捕捉剤及び当該検出剤は、ZIKV及び/若しくはDENV抗原並びに/又は抗免疫グロブリンを含む。
【0036】
一実施形態では、被験体は、アジア人被験体を含む。
【0037】
一態様では、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);
配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);
配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);
配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);
配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);
配列番号49(ECTMPPLSFRAK);
配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);
配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);
配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);
配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR);
配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS);
配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE);
配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG);
配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);
配列番号87(QIANELNYILWENNIK);
配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);
配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);
配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);
配列番号100(SCTLPPLRYMGE);
配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL);
配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH);
配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV);
配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);
配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);
配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);
配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG);又は
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部
からなる群から選択される単離ペプチドが提供される。
【0038】
一態様では、
配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);
配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);
配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);
配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);
配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);
配列番号49(ECTMPPLSFRAK);
配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);
配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);
配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);
配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR);
配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS);
配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE);
配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG);
配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);
配列番号87(QIANELNYILWENNIK);
配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);
配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);
配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);
配列番号100(SCTLPPLRYMGE);
配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL);
配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH);
配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV);
配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);
配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);
配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);
配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG);若しくは
これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又は
これらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又は
これらの一部
からなる群から選択されるペプチドを含む免疫系刺激組成物が提供される。
【0039】
一態様では、被験体におけるZIKV感染をDENV感染と区別する方法であって、
被験体のサンプルが、配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT)のペプチド、それと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はそれと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はその一部と反応するかどうかを判定することであって、当該サンプルが当該ペプチド又はその一部と反応する場合、当該被験体がZIKV感染治療の適応となる;及び/又は
被験体のサンプルが、配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR)のペプチド;それと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はそれと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はその一部と反応するかどうかを判定することであって、当該サンプルが当該ペプチド又はその一部と反応する場合、当該被験体がDENV感染治療の適応となる方法が提供される。
【0040】
定義
用語「同定する」とは、本明細書で感染に関連して使用するとき、感染の存在、非存在、量、又は疾患負荷のレベルを決定することを包含すると広義に解釈されるべきである。感染は、急性期、早期回復期(convalescent phase)、後期回復期、早期快復期(recovery phase)、後期快復期、又は完全快復期の感染であり得る。
【0041】
用語「ペプチド」とは、本明細書で使用するとき、ペプチド結合を介して接続されたアミノ酸残基の任意の鎖を広義に意味する。ペプチドは、天然に存在するものであってもよく、合成であってもよい(例えば、化学合成又は組み換えDNA技術によって生成)。用語「ペプチド」は、特定のサイズを意味するものではない。幾つかの例では、ペプチドは、ウイルス全体又は完全長の抗原を含まない場合もある。
【0042】
用語「由来」とは、ペプチドに関連して本明細書で使用するとき、ペプチドのアミノ酸配列が指定のソースを起源とするが、必ずしも指定のソースから直接得られたものではないことを示すことを意図する。例えば、「DENV由来ペプチド」とは、アミノ酸配列が、天然に存在するDENVの一部若しくは断片と類似若しくは同一であるか、又は複数の天然に存在するDENV株のコンセンサス配列の一部若しくは断片と類似若しくは同一であるペプチドを指す。「DENV由来ペプチド」は、例えばDENVを酵素で切断すること等によって天然に存在するDENVから直接単離してもよく、又はより典型的には、天然に存在するDENVのアミノ酸配列若しくは複数の天然に存在するDENV株のコンセンサス配列をプロトタイプ/参照として合成してもよい。合成は、組換え生成技術、遺伝子操作技術、又は化学合成等の当技術分野における標準的な手順に従って実施してよい。「DENV由来ペプチド」は、人工的なアミノ酸及び非天然のアミノ酸(例えば、D-アミノ酸、アミノ酸アナログ等)を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、「DENV由来ペプチド」は、天然に存在するDENV株(複数可)を起源とするアミノ酸配列に対する1つ以上の保存的置換を更に含んでいてもよい。用語「ZIKV由来ペプチド」は、それに応じて解釈されるべきである。
【0043】
用語「単離」とは、ペプチドに関連して本明細書で使用するとき、その天然環境(例えば、細胞、組織、培養培地、体液等)から取り出されたペプチド、又はその他の方法で任意の程度まで純度を高めたペプチド(例えば、合成培地からの単離)を指す。従って、「単離」ペプチドは、天然に生成されてもよく、合成であってもよい。ペプチドは、自然界で会合する物質又は合成的生成の結果として会合する物質の一部又は全部から分離することによって「単離」され得る。従って、「単離」ペプチドは、典型的には、少なくとも部分的に精製されている。
【0044】
用語「抗原結合タンパク質」とは、本明細書で使用するとき、標的、例えば、ジカウイルス(ZIKV)又はデングウイルス(DENV)等のフラビウイルス等のウイルスを認識し、結合する任意のペプチドベースの分子を広義に意味する。抗原結合タンパク質の例としては、免疫グロブリンの5つの主要なクラスのいずれか:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、又はこれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、及びこれらの抗原結合断片の抗体を含む抗体が挙げられる。幾つかの例では、抗原結合タンパク質は、抗ZIKV IgGを含む。幾つかの例では、抗原結合タンパク質は、抗DENV IgGを含む。
【0045】
用語「と反応する」とは、本明細書で使用するとき、抗原結合タンパク質(抗体又はその断片等)と抗原/エピトープとが、非特異的な抗原結合タンパク質(例えば、健常サンプル、及び/又は非フラビウイルス感染サンプル、及び/又は非ZIKV感染サンプル、及び/又は非DENV感染サンプル等からの非特異的な抗体又はその断片等)と上記と同じ抗原/エピトープとの結合よりも高いレベルで結合することを広義に意味する。例えば、対照サンプル(例えば、非フラビウイルス感染対照サンプル)からの任意の抗原結合タンパク質と比較して、ペプチドに対してより高い結合活性を示す抗原結合タンパク質を含む場合、サンプルはペプチド「と反応する」。用語「反応」は、それに応じて解釈されるべきである。
【0046】
用語「応答」とは、本明細書で使用するとき、抗原結合タンパク質とペプチドとの間の結合活性の尺度であると理解してよい。抗原結合タンパク質とペプチドとの間の結合活性は、イムノアッセイによって測定することができる。
【0047】
用語「より強く認識する」とは、異なるフラビウイルスに由来する2つ以上のペプチド(例えば、ZIKV由来ペプチド及びDENV由来ペプチド)についての抗原結合タンパク質の応答を比較するために本明細書で使用するとき、抗原結合タンパク質とあるペプチド(例えば、ZIKV由来ペプチド)との間の結合活性が、抗原結合タンパク質と別のペプチド(例えば、DENV由来ペプチド)との間の結合活性(もし存在する場合)よりも高いという意味を包含する。幾つかの例では、抗原結合タンパク質は、イムノアッセイによって測定したときに、抗原結合タンパク質とZIKV由来ペプチドとの間の結合活性が抗原結合タンパク質とDENV由来ペプチドとの間の結合活性よりも高い場合、DENV由来ペプチドよりもZIKV由来ペプチドをより強く認識する。
【0048】
用語「免疫応答」とは、本明細書で使用するとき、細胞性及び体液性の免疫応答を両方包含する。幾つかの実施形態では、免疫応答は、ZIKV又はDENV等のフラビウイルスに対する免疫保護を提供するのに十分である。
【0049】
用語「刺激する」とは、免疫応答に関連して本明細書で使用するとき、免疫応答の増加、増幅、又はブーストを広義に意味する。用語「刺激する」は、新規の免疫応答の最初の刺激又は既存の免疫応答の増強を包含する。
【0050】
用語「治療」、「治療する」、及び「療法」、並びにこれらの同義語は、本明細書で使用するとき、治療的な処置及び予防的(prophylactic)又は防止的(preventative)な措置の両方を指し、その目的は、疾患(フラビウイルス感染症等)、症状、及び障害を含むがこれらに限定されない医学的状態を予防する又は減速させる(減弱する)ことである。また、医学的状態は、疾患又は障害、例えば炎症に対する身体の応答も含む。このような治療を必要としているものは、既に医学的状態を有しているものに加えて、医学的状態になりやすいもの、又は医学的状態を予防したいものを含む。
【0051】
用語「被験体」は、本明細書で使用するとき、患者及び非患者を含む。用語「患者」とは、フラビウイルス感染等の医学的状態に罹患しているか又は罹患する可能性の高い個体を指し、一方、「非患者」とは、医学的状態に罹患しておらず、そして、罹患しない可能性の高い個体を指す。「非患者」は、健常個体、非疾患個体、及び/又は医学的状態を有していない個体を含む。用語「被験体」は、ヒト及び動物を含む。動物は、マウス等を含む。「ネズミ」とは、マウス、ラット等のネズミ科の任意の哺乳類を指す。
【0052】
用語「マイクロ」は、本明細書で使用するとき、約1マイクロメートル~約1000マイクロメートルの寸法を含むように広義に解釈されるべきである。
【0053】
用語「ナノ」とは、本明細書で使用するとき、約1000nm未満の寸法を含むように広義に解釈されるべきである。
【0054】
用語「粒子」とは、本明細書で使用するとき、分離した実体又は分離した本体を広義に意味する。本明細書に記載の粒子は、有機粒子、無機粒子、又は生物学的粒子を含み得る。また、本明細書に記載の使用される粒子は、複数のサブ粒子又は小さな物体の断片の集合体によって形成されたマクロ粒子であってもよい。本開示の粒子は、球形、実質的に球形、又は不規則な形状の粒子若しくは楕円状の粒子等の非球形であってよい。用語「サイズ」とは、粒子に言及するために使用するとき、粒子の最大寸法を広義に意味する。例えば、粒子が実質的に球形である場合、用語「サイズ」は、粒子の直径を指してよく、又は粒子が実質的に非球形である場合、用語は「サイズ」粒子の最大の長さを指してよい。
【0055】
用語「連結」又は「接続」とは、本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、直接接続されているもの、又は1つ以上の中間手段を介して接続されているものの両方を網羅することを意図する。
【0056】
2つの要素に言及するときに本明細書で使用される用語「関連する」は、2つの要素間の広範な関係を指す。関係は、物理的、化学的、又は生物学的な関係を含むが、これらに限定されない。例えば、要素Aが要素Bと関連している場合、要素A及びBが直接又は間接的に互いに結合していてもよく、要素Aが要素Bを含有していてもよく、その逆であってもよい。
【0057】
2つの要素に言及するときに本明細書で使用される用語「隣接」とは、ある要素が別の要素に近接近していることを指し、互いに接触している要素であってもよいが、これには限定されず、又はこれらの間に配置された1つ以上の更なる要素によって分離されている要素を更に含んでいてもよい。
【0058】
用語「及び/又は」、例えば「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解され、両方の意味又はいずれかの意味についての明示的な裏付けを提供するとみなされるべきである。
【0059】
更に、本明細書における記載では、「実質的に」という語は、使用される場合は常に、「全体に」又は「完全に」等を含むがこれらに限定されないと理解される。更に、「含む(comprising、comprise)」等の用語は、使用される場合は常に、明示的には列挙されていない他の構成要素に加えて、このような用語の後に列挙されている要素/構成要素を広く含むという点で、制限のない説明的言語であることが意図される。例えば、「含む」が使用される場合、「ある」特徴への言及は、「少なくとも1つ」のその特徴への言及でもあることが意図される。「からなる(consisting、consist)等の用語は、適切な文脈では、「含む」等の用語の部分集合であると考えられ得る。従って、「含む」等の用語を用いて本明細書に開示されている実施形態では、これら実施形態が「からなる」等の用語を用いた対応する実施形態についての教示を提供することが理解されるであろう。更に、「約」、「およそ」等の用語は、使用される場合は常に、典型的には、合理的なばらつき、例えば、開示されている値の±5%のばらつき、又は開示されている値の4%のばらつき、又は開示されている値の3%のばらつき、開示されている値の2%のばらつき、又は開示されている値の1%のばらつきを意味する。
【0060】
更に、本明細書における記載では、特定の値を範囲で開示している場合がある。範囲の端点を示す値は、好ましい範囲を示すことを意図する。範囲が記載されている場合は常に、その範囲が、その範囲内の個々の数値に加えて全ての可能な部分範囲を網羅し、教示することが意図される。すなわち、範囲の端点を不変の限度であると解釈すべきではない。例えば、1%~5%の範囲の記載は、個々に1%、2%、3%、4%、及び5%等のその範囲内の値に加えて、1%~2%、1%~3%、1%~4%、2%~3%等の部分範囲も具体的に開示されることを意図する。上記の具体的な開示の意図は、任意の深さ/幅の範囲に適用可能である。
【0061】
更に、幾つかの実施形態について説明するとき、本開示は、特定の一連の工程として方法及び/又はプロセスを開示している場合がある。しかし、特に必要とされない限り、方法又はプロセスは、開示された特定の一連の工程に限定されるべきではないことが理解されるであろう。他の一連の工程も可能であり得る。本明細書で開示されている工程の特定の順序は、過度の制限として解釈されるべきではない。特に必要とされない限り、本明細書で開示される方法及び/又はプロセスは、記載されている順序で実行される工程に限定されるべきではない。一連の工程は変更してもよいが、依然として本開示の範囲内である。
【0062】
更に、本開示は、本明細書で論じた特徴/特性の1つ以上を有する実施形態を提供するが、これら特徴/特性の1つ以上は、他の代替実施形態では否定される場合もあり、本開示は、そのような否定及びこれら関連する代替実施形態についての裏付けを提供することが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1-1】2016年のシンガポールコホートの健常対照及びZIKV患者の抗体プロファイル。精製したZIKV、DENV、又はCHIKVのビリオン及び1:2000の血漿希釈を用いてビリオンベースのELISAによって45名の健常ドナーの全(a)IgM及び(b)IgG抗体価を求めた。データは平均値で提示し、点線はそれぞれの平均値+SD値を示す。IgM及びIgGの両方で、また3つのウイルス全てにわたってOD値が平均+SDよりも小さいサンプルを黒でハイライトし(n=22)、まとめて組み合わせて、その後の実験のためにプール健常対照を形成した。OD値がカットオフよりも大きいサンプルは、白抜きの記号で示す(n=23)。
【
図1-2】2016年のシンガポールコホートの健常対照及びZIKV患者の抗体プロファイル。(c)急性期(n=58)、早期回復期(n=43)、後期回復期(n=45)、早期快復期(n=41)、後期快復期(n=38)、及び完全快復期(n=32)の時点で、精製されたZIKVビリオンを用いたビリオンベースのELISAにおいて、1:200、1:1000、1:2000、1:4000、及び1:8000の血漿希釈で、ZIKV患者の全抗ZIKV IgM及びIgGを求めた。陰性対照として、健常ドナーのプール血漿を用いた。データは、平均±SEMとして提示する。
【
図1-3】2016年のシンガポールコホートの健常対照及びZIKV患者の抗体プロファイル。(d~e)最初の回収時点におけるZIKV患者の血漿サンプル中の全抗DENV(d)IgM及び(e)IgG抗体価を、(c)と同様の方法で精製DENVビリオンを用いてビリオンベースのELISAによって求めた。データは、平均±SEMとして提示する。全てのELISA読み取りをデュープリケートで行った。(f)最初の血漿検体回収時に抗DENV IgM及びIgGについて陽性又は陰性であった患者の数及び割合(それぞれ1:200及び1:2000希釈)。
【
図2-1】2016年のシンガポールコホートのZIKV患者の抗体プロファイルの経時変化。(a~c)精製ZIKVビリオンを用いたビリオンベースのELISA法によって、それぞれ1:200及び1:2000希釈で、患者の血漿サンプル中の全抗ZIKVの(a)IgM及び(b)IgGの抗体価を求めた。陰性対照として、健常ドナーのプール血漿を用いた。データは平均±SEMで提示し、点線はプール健常対照の平均を示す。(c)それぞれの時点における抗ZIKVのIgM及びIgGについて陽性又は陰性である患者の数及び割合。
【
図2-2】2016年のシンガポールコホートのZIKV患者の抗体プロファイルの経時変化。(a~c)精製ZIKVビリオンを用いたビリオンベースのELISA法によって、それぞれ1:200及び1:2000希釈で、患者の血漿サンプル中の全抗ZIKVの(a)IgM及び(b)IgGの抗体価を求めた。陰性対照として、健常ドナーのプール血漿を用いた。データは平均±SEMで提示し、点線はプール健常対照の平均を示す。(c)それぞれの時点における抗ZIKVのIgM及びIgGについて陽性又は陰性である患者の数及び割合。(d)ZIKVビリオンベースのELISAにおいて1:200希釈で患者の血漿サンプル中のIgGアイソタイプ力価を求めた。データは平均±SEMで提示し、点線はプール健常対照の平均を示す。全てのELISA読み取りをデュープリケート又はトリプリケートで行った。[急性期(n=58)、早期回復期(n=43)、後期回復期(n=45)、早期快復期(n=41)、後期快復期(n=38)、完全快復期(n=32)]。(e~f)フローサイトメトリーを介して1:1000血漿希釈でプールZIKV患者及びプール健常対照のインビトロ中和能を試験した。(e)急性期[低(n=37)、高(n=21)]、早期回復期[低(n=29)、高(n=14)]、及び後期回復期[低(n=28)、高(n=17)]の時点ごとに、抗ZIKVのIgG抗体価のレベルに応じて血漿サンプルをプールした[(b)に示す通り、低力価患者の群を四角の記号で示し、一方、高力価群は三角の記号で示す]。(f)快復期に回収した血漿サンプルを、それぞれの時点でまとめてプールした[早期快復期(n=41)、後期快復期(n=38)、完全快復期(n=32)]。結果は、対照感染の百分率として表す。データは平均±SDとして提示し、2回の独立した実験の代表例である。ウイルスのみとプール健常又は患者サンプルとの間の統計解析は、多重検定についてはボンフェローニ補正を伴う両側マンホイットニーU検定を用いて行った(*P<0.05)。
【
図3】ZIKV及びDENVに対するZIKV患者の抗体の中和能。フローサイトメトリーを介して1:500、1:1000、及び1:2000の血漿希釈で、(a)ZIKV及び(b)DENVに対するプールZIKV患者のインビトロ中和能を試験した。急性期[低(n=37)、高(n=21)]、早期回復期[低(n=29)、高(n=14)]、及び後期回復期[低(n=28)、高(n=17)]の時点ごとに、抗ZIKV IgG抗体価のレベルに応じて血漿サンプルをプールした(
図2に示す)。快復期に回収した血漿サンプルを、それぞれの時点でまとめてプールした[早期快復期(n=41)、後期快復期(n=38)、完全快復期(n=32)]。陰性対照として、プール健常血漿を用いた。結果は、対照感染の百分率として表す。データは平均±SDとして提示し、2回の独立した実験の代表例である。
【
図4】ZIKV及びDENVの患者サンプルを用いたZIKV及びDENVのプロテオーム内の共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的な線状B細胞プールエピトープの予備マッピング。(a)ZIKV H/PF/2013のポリプロテイン(UniProtKBアクセッション:A0A024B7W1)は、プールペプチドベースのELISA実験の結果と一致した。デュープリケートで1:2000希釈したZIKV患者の血漿サンプル(n=30)及びDENV患者の血清サンプル(n=20)を、ZIKV及びDENVのプロテオームの膜の前駆体(prM;プール1~4)、エンベロープ(E;プール5~17)、及び非構造1(NS1;プール18~25)タンパク質を網羅するプールペプチドを用いたペプチドベースのELISAに供した。各プールは、18merの長さの5つのペプチドからなり、10アミノ酸の重複配列を含む。患者のIgG応答を、プール健常対照の平均に対して正規化した。ZIKV及びDENVのプールペプチド対に対する患者の応答を比較し、平均結合能をヒートマップで提示する。スケールにおける0の値は、ZIKV及びDENVのプールペプチド対に対して患者が同等の結合応答を示すことを意味し、一方、0よりも大きい値は、患者がZIKVプールペプチドに優先的に結合することを示す。0よりも小さい値は、患者がDENVプールペプチドに優先的に結合することを示す。(b)ペプチドプールに対するZIKV及びDENV患者の認識率を算出した。(c)上記のヒートマップ解析に基づいて、prM、E、及びNS1にわたって潜在的な共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的なプールを示す模式図。
【
図5】ZIKV及びDENVの患者サンプルを用いた共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的な線状B細胞エピトープのマッピング。(a)ZIKV H/PF/2013のポリプロテイン(UniProtKBアクセッション:A0A024B7W1)。ZIKV及びDENVのプロテオームの膜の前駆体(prM;プール1~10)、エンベロープ(E;プール11~32)、及び非構造1(NS1;プール33~51)タンパク質を網羅するプールペプチドを用いて、デュープリケートでペプチドベースのELISAにおいて1:2000希釈で、後期回復期のZIKV患者の血漿サンプル(n=30~44)及びDENV患者の血清サンプル(n=20)を試験した。患者のIgG応答を、プール健常対照の平均に対して正規化した。ZIKV及びDENVのペプチド対に対する患者の応答を比較し、平均結合能をヒートマップで提示する。スケールにおける0の値は、ZIKV及びDENVのペプチド対に対して患者が同等の結合応答を示すことを意味し、一方、0よりも大きい値は、患者がZIKVペプチドに優先的に結合することを示す。0よりも小さい値は、患者がDENVペプチドに優先的に結合することを示す。(b)上記のヒートマップ解析に基づいて、prM、E、及びNS1にわたって共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的なペプチドを示す模式図。(c~e)ZIKV prM、E、及びNS1のゲノム構成。(c)prM、(d)E、及び(e)NS1における、同定された線状B細胞エピトープに対応するアミノ酸の領域を示す。枠内の数字は、ペプチドの数及びそれぞれのプロテオームにおけるアミノ酸の位置を示す。
【
図6-1】潜在的な共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的な線状B細胞エピトープに対するZIKV及びDENV患者のペプチド結合能。後期回復期におけるZIKV患者の血漿サンプル(n=30~44)及びDENV患者の血清サンプル(n=20)を、ペプチドベースのELISAにおいてデュープリケートで1:2000希釈にて試験し、健常ドナーのプール血漿を陰性対照として用いた。それぞれのZIKV及びDENVのペプチド対について陽性である患者のIgG結合能を、[(ZIKVペプチド応答-DENVペプチド応答)/DENVペプチド応答]として算出し、潜在的な共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的な線状B細胞エピトープについての平均±SEM値を(a)に提示する。共通フラビウイルスペプチドについては(b)、ZIKV特異的ペプチドについては(c)、そして、DENV特異的ペプチドについては(d)において、個々のZIKV及びDENV患者の結合能の分布を示す。データは平均±SEMとして提示する。統計解析は、多重検定についてはボンフェローニ補正を伴う両側マンホイットニーU検定を用いて行った(**P<0.01)。
【
図6-2】潜在的な共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的な線状B細胞エピトープに対するZIKV及びDENV患者のペプチド結合能。後期回復期におけるZIKV患者の血漿サンプル(n=30~44)及びDENV患者の血清サンプル(n=20)を、ペプチドベースのELISAにおいてデュープリケートで1:2000希釈にて試験し、健常ドナーのプール血漿を陰性対照として用いた。それぞれのZIKV及びDENVのペプチド対について陽性である患者のIgG結合能を、[(ZIKVペプチド応答-DENVペプチド応答)/DENVペプチド応答]として算出し、潜在的な共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的な線状B細胞エピトープについての平均±SEM値を(a)に提示する。共通フラビウイルスペプチドについては(b)、ZIKV特異的ペプチドについては(c)、そして、DENV特異的ペプチドについては(d)において、個々のZIKV及びDENV患者の結合能の分布を示す。データは平均±SEMとして提示する。統計解析は、多重検定についてはボンフェローニ補正を伴う両側マンホイットニーU検定を用いて行った(**P<0.01)。
【
図6-3】潜在的な共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的な線状B細胞エピトープに対するZIKV及びDENV患者のペプチド結合能。後期回復期におけるZIKV患者の血漿サンプル(n=30~44)及びDENV患者の血清サンプル(n=20)を、ペプチドベースのELISAにおいてデュープリケートで1:2000希釈にて試験し、健常ドナーのプール血漿を陰性対照として用いた。それぞれのZIKV及びDENVのペプチド対について陽性である患者のIgG結合能を、[(ZIKVペプチド応答-DENVペプチド応答)/DENVペプチド応答]として算出し、潜在的な共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的な線状B細胞エピトープについての平均±SEM値を(a)に提示する。共通フラビウイルスペプチドについては(b)、ZIKV特異的ペプチドについては(c)、そして、DENV特異的ペプチドについては(d)において、個々のZIKV及びDENV患者の結合能の分布を示す。データは平均±SEMとして提示する。統計解析は、多重検定についてはボンフェローニ補正を伴う両側マンホイットニーU検定を用いて行った(**P<0.01)。
【
図7】共通フラビウイルス及びZIKV特異的な線状B細胞エピトープに対するZIKV患者の抗体プロファイル動態の特性評価、並びにZIKV及びDENVのプロテオーム内の潜在的なエピトープの局在。(a~b)ペプチドベースのELISAにおいてZIKV及びDENVのペプチドを用いて、デュープリケートで1:2000希釈にて、急性期、後期回復期、及び完全快復期のZIKV患者の血漿サンプル(n=27)をIgGについて試験した。健常ドナーのプール血漿を陰性対照として使用し、患者のデータをプール健常対照の平均に対して正規化した。(a)ZIKV及びDENVのペプチドに対して陽性に結合するZIKV患者の割合並びに(b)ペプチドに対して陽性に結合するZIKV患者の結合能を算出し、ヒートマップで提示した。(c~e)(c)ZIKV及びDENVのprMタンパク質(PDB:3C6E)、(d)ZIKV(PDB:5JHM)及びDENV(PDB:1UZG)のE糖タンパク質、(e)ZIKV(PDB:5IZ7)及びDENV(PDB:3J2P)のE糖タンパク質のステム膜貫通(TM)ドメイン、並びに(f)ZIKV(PDB:5K6K)及びDENV(PDB:4O6B)のNS1タンパク質における共通フラビウイルス、ZIKV特異的、及びDENV特異的なエピトープの局在を示す模式図。
【
図8-1】患者コホートを用いた、同定された線状B細胞エピトープの予備診断による検証。シンガポールのZIKV患者の回復期血漿サンプル(n=10)及びDENV患者の血清サンプル(n=10)、並びにタイのDENV患者(n=5)、細菌患者(n=5)、及び不明患者(n=8)を、デュープリケートで1:2000希釈にてペプチドベースのELISAにおいて試験した。陰性対照としてプール健常血漿を用いた。(a)個々のペプチドについて、感度及び特異度を求めた。
【
図8-2】患者コホートを用いた、同定された線状B細胞エピトープの予備診断による検証。シンガポールのZIKV患者の回復期血漿サンプル(n=10)及びDENV患者の血清サンプル(n=10)、並びにタイのDENV患者(n=5)、細菌患者(n=5)、及び不明患者(n=8)を、デュープリケートで1:2000希釈にてペプチドベースのELISAにおいて試験した。陰性対照としてプール健常血漿を用いた。(b)選択したエピトープのペプチドミックスの感度及び特異度を求めた。(c)プールした健常及び患者の抗IgGペプチドの応答(OD値)の主成分分析(PCA)をグラフにプロットし、分散の割合を示した。(d~e)ペプチドに陽性に結合する患者のペプチド結合能を算出し、クラスカル・ワリス検定を用いることによって統計的に解析し、多重検定についてはボンフェローニ補正を行った。ダンの多重比較検定を用いて事後検定を行って、(d)識別力のあるペプチド及び(e)患者のペプチド結合能分布を求めた。データは、平均±SDとして提示する。(*P<0.05、**P<0.01)。
【
図8-3】患者コホートを用いた、同定された線状B細胞エピトープの予備診断による検証。シンガポールのZIKV患者の回復期血漿サンプル(n=10)及びDENV患者の血清サンプル(n=10)、並びにタイのDENV患者(n=5)、細菌患者(n=5)、及び不明患者(n=8)を、デュープリケートで1:2000希釈にてペプチドベースのELISAにおいて試験した。陰性対照としてプール健常血漿を用いた。(d~e)ペプチドに陽性に結合する患者のペプチド結合能を算出し、クラスカル・ワリス検定を用いることによって統計的に解析し、多重検定についてはボンフェローニ補正を行った。ダンの多重比較検定を用いて事後検定を行って、(d)識別力のあるペプチド及び(e)患者のペプチド結合能分布を求めた。データは、平均±SDとして提示する。(*P<0.05、**P<0.01)。
【
図9-1】抗体及びペプチド応答の相関解析。(a)抗ZIKV IgG抗体価のレベルに応じてZIKV患者の血漿サンプル(n=65)をプールした(
図2bに示す)。プールZIKV患者の平均中和能(
図2e~fに示す)及びZIKV患者の平均抗ZIKV IgGレベルを全ての時点(急性期から完全快復期まで)について算出し、相関解析を行った。(b~d)ビリオンベースのELISAにおいて精製ZIKV又はDENVビリオンを用いて、後期回復期時点におけるZIKV患者の血漿サンプル(n=30~44)及びDENV患者の血清サンプル(n=20)を、1:2000希釈でそれぞれ抗ZIKV又は抗DENVのIgGについて試験した。更に、ペプチドベースのELISAにおいてZIKV及びDENVのペプチドを用いて、ペプチド特異的IgGについてデュープリケートで1:2000希釈にて血漿/血清サンプルを試験した。ZIKV及びDENVのペプチド対に対する患者の応答を比較し、ペプチド結合能を算出した。
【
図9-2】抗体及びペプチド応答の相関解析。(b)共通フラビウイルスペプチドに対するZIKV及びDENVの両患者の抗体応答。相関解析は、スピアマンの順位相関を用いて行った。スピアマンのロー(ρ)及びP値(P)を提示する。
【
図9-3】抗体及びペプチド応答の相関解析。(c)ZIKV特異的ペプチドに対するZIKV患者の抗体応答、及び(d)DENV特異的ペプチドに対するDENV患者の抗体応答の相関。相関解析は、スピアマンの順位相関を用いて行った。スピアマンのロー(ρ)及びP値(P)を提示する。
【発明を実施するための形態】
【0064】
フラビウイルス感染を同定する方法の例示的で非限定的な実施形態を以下に開示する。
【0065】
様々な実施形態では、フラビウイルス感染を同定する方法であって、被験体のサンプルがペプチドと反応するかどうかを判定することを含む方法が提供される。
【0066】
様々な実施形態では、ペプチドは、約0.10以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下、約0.01以下、約0.10未満又は約0.10、約0.09未満若しくは約0.09、約0.08未満若しくは約0.08、約0.07未満若しくは約0.07、約0.06未満若しくは約0.06、約0.05未満若しくは約0.05、約0.04未満若しくは約0.04、約0.03未満若しくは約0.03、約0.02未満若しくは約0.02、又は約0.01未満若しくは約0.01の相対結合能に関連するあるいはこれら相対結合能を与えることができる。
【0067】
様々な実施形態では、ペプチドは、約0.50以上、約0.45以上、約0.40以上、約0.35以上、約0.30以上、約0.25以上、約0.20以上、約0.15以上、約0.10以上、約0.05以下、約0.50超若しくは約0.50、約0.45超若しくは約0.45、約0.40超若しくは約0.40、約0.35超若しくは約0.35、約0.30超若しくは約0.30、約0.25超若しくは約0.25、約0.20超若しくは約0.20、約0.15超若しくは約0.15、約0.10超若しくは約0.10、又は約0.05若しくは約0.05の相対結合能に関連するあるいはこれら相対結合能を与えることができる。
【0068】
様々な実施形態では、相対結合能は、以下のうちの1つ以上の関数である:ジカウイルス(ZIKV)誘導抗原結合タンパク質の結合能、デングウイルス(DENV)誘導抗原結合タンパク質の結合能、ペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質の応答、対応するペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質の応答、ペプチドに対するDENV誘導抗原結合タンパク質の応答、及び対応するペプチドに対するDENV誘導抗原結合タンパク質の応答。様々な実施形態では、相対結合能は、ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能とDENV誘導抗原結合タンパク質の結合能との差である。様々な実施形態では、相対結合能は、ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能からDENV誘導抗原結合タンパク質の結合能を減じることによって算出することができる。様々な実施形態では、DENV誘導抗原結合タンパク質の結合能は、DENVと比べたZIKVについてのDENV誘導抗原結合タンパク質の結合能である。幾つかの実施形態では、DENV誘導抗原結合タンパク質の結合能は、[(対応するペプチドに対するDENV誘導抗原結合タンパク質の応答-ペプチドに対するDENV誘導抗原結合タンパク質の応答)/ペプチドに対するDENV誘導抗原結合タンパク質の応答]により算出される。幾つかの実施形態では、DENV誘導抗原結合タンパク質の結合能は、[(ペプチドに対するDENV誘導抗原結合タンパク質の応答-対応するペプチドに対するDENV誘導抗原結合タンパク質の応答)/対応するペプチドに対するDENV誘導抗原結合タンパク質の応答]により算出される。様々な実施形態では、ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能は、DENVと比べたZIKVについてのZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能である。幾つかの実施形態では、ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能は、[(対応するペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質の応答-ペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質の応答)/ペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質の応答]により算出される。幾つかの実施形態では、ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能は、[(ペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質の応答-対応するペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質の応答)/対応するペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質の応答]により算出される。
【0069】
様々な実施形態では、ペプチドは、ZIKV由来ペプチド又はDENV由来ペプチドを含む。様々な実施形態では、ペプチドがZIKV由来ペプチドを含む場合、対応するペプチドは、当該ペプチド/ZIKV由来ペプチドに相同な配列を有するDENV由来ペプチドを含む。様々な実施形態では、ペプチドがDENV由来ペプチドを含む場合、対応するペプチドは、当該ペプチド/DENV由来ペプチドに相同な配列を有するZIKV由来ペプチドを含む。
【0070】
幾つかの例では、ペプチドがZIKV由来ペプチドを含む場合、当該ペプチド/ZIKV由来と相同な配列を有するDENV由来ペプチドを含む対応するペプチドは、ZIKV配列及びDENV配列をアラインメントすることによって同定することができる。幾つかの例では、ZIKV及びDENVの相同領域は、ほぼ同じアミノ酸位置にある。従って、幾つかの例では、ペプチド/ZIKV由来と相同な配列を有するDENV由来ペプチドを含む対応するペプチドは、ZIKV配列及びDENV配列をアラインメントし、ZIKV由来ペプチドがマッピングされるZIKV上の領域を決定し、DENVの同じ領域又は同じアミノ酸位置にある対応するアミノ酸残基を同定することによって同定することができる。例えば、ペプチド/ZIKV由来ペプチドが、ZIKVのprMタンパク質の56~72位のアミノ酸に対応する配列を有する場合(prMタンパク質の1番目のアミノ酸を1とする)、対応するペプチドは、DENVのprMタンパク質のほぼ同じ位置、すなわち、DENVのprMタンパク質の56~72位のアミノ酸に対応する配列を有し得る。DENV由来ペプチドと相同な配列を有するZIKV由来ペプチドを含む対応するペプチドも、同様の方法で同定することができる。ZIKV及びDENVの相同配列は、高い配列類似性又は共通の進化的起源を共有してもよく、共有していなくてもよい。様々な実施形態では、複数の株を有するフラビウイルス、例えばDENVの場合、フラビウイルス、例えばDENVのコンセンサス配列からアミノ酸配列を得てもよい。理解される通り、コンセンサス配列とは、各位置が、複数の配列(例えば、フラビウイルスの異なる株の配列)を比較/アラインメントしたときに最も高頻度でみられるアミノ酸を表す「平均的な」配列を表す。
【0071】
様々な実施形態では、フラビウイルス感染は、ジカウイルス(ZIKV)及び/又はデングウイルス(DENV)を含む。
【0072】
様々な実施形態では、被験体におけるジカウイルス(ZIKV)、デングウイルス(DENV)、及びこれらの組み合わせから選択されるフラビウイルス感染を同定する方法であって、当該被験体のサンプルが、相対結合能BCrelative≦0.05又は≧0.1を与えることができるペプチド、例えばペプチドPと反応するかどうかを判定することを含み、
【0073】
【0074】
ペプチドPが、ZIKV由来ペプチドを含む場合、
【0075】
【0076】
であり、
ペプチドPが、DENV由来ペプチドを含む場合、
【0077】
【0078】
である方法が提供される。
【0079】
理論に束縛されるものではないが、ZIKV及び/又はDENVの抗原結合タンパク質は、ZIKV及び/又はDENVの感染に応答して被験体の体内で生成されるので、様々な期の病状を有する被験体由来のサンプル中に存在すると考えられる。幾つかの実施形態では、ZIKV及び/又はDENV誘導抗原結合タンパク質は、ZIKV及び/又はDENVの感染に応答して被験体内で生成される抗体、任意で血清抗体を含む。ZIKV誘導抗原結合タンパク質の例としては、抗ZIKV IgM(例えば、ヒト抗ZIKV IgM)、抗ZIKV IgG(例えば、ヒト抗ZIKV IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)、並びに抗ZIKV IgA(例えば、ヒト抗ZIKV IgA)が挙げられる。DENV誘導抗原結合タンパク質の例としては、抗DENV IgM(例えば、ヒト抗DENV IgM)、抗DENV IgG(例えば、ヒト抗DENV IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)、並びに抗DENV IgA(例えば、ヒト抗DENV IgA)が挙げられる。
【0080】
ZIKV及び/又はDENV誘導抗原結合タンパク質は、急性期、早期回復期、後期回復期、早期快復期、後期快復期、完全快復期を含むZIKV及び/又はDENV感染の様々な期で被験体の体内に存在し得るか又は検出可能であり得るが、ZIKV及び/又はDENV誘導抗原結合タンパク質のレベルは、異なる期で変化する場合がある。例えば、抗ZIKV IgMは、ZIKV感染の急性期の間に検出可能になり、早期回復期にピークに達し、快復期の間に減少し得る。例えば、抗ZIKV IgGは、早期回復期にピークに達し、後期快復期の間も高レベルで維持され、感染の1年後も検出可能なままであり得る。また、IgGアイソタイプ内でもばらつきが生じ得る。例えば、抗ZIKV IgG1は、早期回復期にピークに達し得るが、抗ZIKV IgG3は、後期回復期にピークに達し得る。従って、例えば、本明細書に開示されているペプチドを使用することによって、ZIKV及び/又はDENV誘導抗原結合タンパク質を検出すると、被験体におけるZIKV及びDENVの感染を同定することができ、更に、感染の期又は以前の感染も同定することができる。
【0081】
様々な実施形態では、ZIKV及び/又はDENV誘導抗原結合タンパク質は、ZIKV及び/又はDENVに対して保護的である。幾つかの例では、ZIKV誘導抗原結合タンパク質は、中和アッセイにおいてZIKVを実質的に中和することができる。
【0082】
様々な実施形態では、ZIKV誘導抗原結合タンパク質の結合能は、約-0.50~約0.50、約-0.40~約0.40、約-0.30~約0.40、約-0.25~約0.35、約-0.21~約0.34、約-0.20~約-0.01、約-0.10~約-0.01、約0.01~約0.35、約0.01~約0.30、約0.01~約0.20、又は約0.01~約0.10である。
【0083】
様々な実施形態では、DENV誘導抗原結合タンパク質の結合能は、約-0.60~約0.30、約-0.50~約0.20、約-0.455~約0.173、約-0.50~約-0.01、約-0.40~約-0.01、約-0.30~約-0.01、約-0.20~約-0.01、約-0.10~約-0.01、約0.01~約0.30、約0.01~約0.20、又は約0.01~約0.10である。
【0084】
様々な実施形態では、0を超える結合能を有するZIKV誘導抗原結合タンパク質又はDENV由来抗原結合タンパク質は、ZIKV又はDENV誘導抗原結合タンパク質が、DENV/DENV由来ペプチドよりもZIKV/ZIKV由来ペプチドを強く認識すること及び/又はDENV/DENV由来ペプチドよりもZIKV/ZIKV由来ペプチドに対する結合活性が高いことを示す。例えば、ZIKV又はDENV誘導抗原結合タンパク質は、ペプチド(複数可)に対する結合活性を測定するイムノアッセイにおいて、DENV/DENV由来ペプチドと比較してZIKV/ZIKV由来ペプチドでより強い強度/大きさのシグナル/リードアウト、例えば、より強い強度の化学発光のシグナル/リードアウトを与えることができる。
【0085】
様々な実施形態では、0未満の結合能を有するZIKV誘導抗原結合タンパク質又はDENV由来抗原結合タンパク質は、ZIKV又はDENV誘導抗原結合タンパク質が、ZIKV/ZIKV由来ペプチドよりもDENV/DENV由来ペプチドを強く認識すること及び/又はZIKV/ZIKV由来ペプチドよりもDENV/DENV由来ペプチドに対する結合活性が高いことを示す。例えば、ZIKV又はDENV誘導抗原結合タンパク質は、ペプチド(複数可)に対する結合活性を測定するイムノアッセイにおいて、ZIKV/ZIKV由来ペプチドと比較してDENV/DENV由来ペプチドでより強い強度/大きさのシグナル/リードアウト、例えば、より強い強度の化学発光のシグナル/リードアウトを与えることができる。
【0086】
様々な実施形態では、ペプチドは、感染の様々な期において、任意で、様々な期において同様の強度/強さで、(例えば、被験体のサンプル中の)ZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質と反応することができる又はZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質によって認識され得る。幾つかの実施形態では、ペプチドは、(任意で、同様の強度/強さで)感染の特定の期(複数可)のみにおいて、ZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質と反応することができる又はZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質によって認識され得るが、他の期(複数可)では反応もせず、認識もされない。幾つかの実施形態では、ペプチドは、感染の急性期において、ZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質と反応することができる又はZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質によって認識され得る。幾つかの実施形態では、ペプチドは、(任意で、同様の強度/強さで)感染の後期回復期以降において、ZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質と反応することができる又はZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質によって認識され得る。幾つかの実施形態では、ペプチドは、(任意で、同様の強度/強さで)感染の急性期及び後期回復期及びそれ以降において、ZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質と反応することができる又はZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質によって認識され得る。幾つかの実施形態では、ペプチドは、(任意で、同様の強度/強さで)感染の急性期から完全快復期又は感染の全ての期において、ZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質と反応することができる又はZIKV及び/若しくはDENV誘導抗原結合タンパク質によって認識され得る。
【0087】
様々な実施形態では、ペプチドは、ZIKV及び/又はDENVのエピトープを含む。様々な実施形態では、ペプチドは、ZIKV及び/又はDENVの免疫優性エピトープを含む。
【0088】
様々な実施形態では、ペプチドは、ZIKV又はDENVのprMタンパク質、E糖タンパク質、又はNS1タンパク質における抗原/エピトープを含む。幾つかの実施形態では、ペプチドは、prMタンパク質及びE糖タンパク質から選択されるZIKV構造タンパク質のエピトープを含む。幾つかの実施形態では、ペプチドは、NS1タンパク質から選択されるZIKV非構造タンパク質のエピトープを含む。幾つかの実施形態では、ペプチドは、ZIKV又はDENVのprMタンパク質、E糖タンパク質、又はNS1タンパク質における線状抗原/エピトープを含む。
【0089】
幾つかの実施形態では、抗原/エピトープは、prMタンパク質、E糖タンパク質、又はNS1タンパク質上の露出残基を含む。幾つかの実施形態では、抗原/エピトープは、prMタンパク質、E糖タンパク質、又はNS1タンパク質の溶媒露出領域に位置する。従って、抗原/エピトープは高い溶媒接触性(solvent accessibility)を有し得る。抗原/エピトープは、ZIKV又はDENVの接触性/露出領域に位置し得る。
【0090】
幾つかの実施形態では、抗原/エピトープは、prMタンパク質、E糖タンパク質、又はNS1タンパク質上の非露出残基、又は埋没残基、又は半埋没残基を含む。幾つかの実施形態では、抗原/エピトープは、prMタンパク質、E糖タンパク質、又はNS1タンパク質の溶媒非接触領域に位置する。従って、幾つかの実施形態では、抗原/エピトープは、低い溶媒接触性を有し得る。抗原/エピトープは、ZIKV又はDENVの非接触/埋没領域に位置し得る。一例では、抗原/エピトープは、E糖タンパク質の比較的非接触性のステム領域に存在する。一例では、E糖タンパク質の非接触性のステム領域における抗原/エピトープは、配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT)又は配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV)、あるいは配列番号32若しくは83と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、若しくは少なくとも約99%の配列同一性を共有しているペプチド、又はその一部、あるいは配列番号32若しくは83と約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、若しくはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチド、又はその一部、あるいは配列番号32又は83の一部を含む。
【0091】
タンパク質上のエピトープ又は配列の接触性を評価するために、様々な構造データ及びソフトウェアプログラムが利用可能である。例えば、E糖タンパク質又はNS1タンパク質上のエピトープの接触性は、Protein Data Bankで入手可能な構造データに基づいて評価することができる。例えば、prMタンパク質上のエピトープの接触性は、UCSF Chimeraソフトウェアを使用する可視化と合わせてT-TASSERクエリを使用して予測することができる。本明細書で使用するとき、語句「溶媒露出領域」とは、溶媒接触性を指し、これは、三次元タンパク質構造におけるアミノ酸残基の埋没又は露出の程度として定義される。幾つかの例では、PyMOL(Schroendinger)等であるがこれに限定されない当技術分野において公知のソフトウェアを使用して、溶媒露出領域を可視化することができる。
【0092】
様々な実施形態では、ペプチドの長さ/サイズは、約30以下、約29以下、約28以下、約27以下、約26以下、約25以下、約24以下、約23以下、約22以下、約21以下、約20以下、約19以下、約18以下、約17以下、約16以下、約15以下、約14以下、約13以下、約12以下、約11以下、約10以下、約9以下、約8以下、約7以下、約6以下、又は約5以下のアミノ酸長である。様々な実施形態では、ペプチドの長さ/サイズは、約5~約30、約10~約25、又は約15~約20のアミノ酸長である。一実施形態では、ペプチドは、約5~約25アミノ酸長である。幾つかの実施形態では、ペプチドの長さ/サイズは、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、又は約21のアミノ酸長である。様々な実施態様では、ペプチドは、オリゴペプチドを含む。様々な実施形態では、ペプチドは、短いオリゴペプチドを含む。様々な実施形態では、ペプチドは、線状ペプチドを含む。
【0093】
幾つかの実施形態では、ペプチドと対応するペプチドとの間の配列類似性/同一性は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%である。
【0094】
幾つかの実施形態では、ペプチドは、対応するペプチドと高い配列類似性/同一性を共有している。様々な実施形態では、ペプチドと対応するペプチドとの間の配列類似性/同一性は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約100%である。様々な実施形態では、ペプチドと対応するペプチドフラビウイルスとの間の配列類似性/同一性は、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、又は約90%~約100%である。幾つかの実施形態では、ペプチドと対応するペプチドとの間の高い配列類似性/同一性は、ZIKV誘導抗原結合タンパク質及びDENV誘導抗原結合タンパク質の両方によって認識及び/又は結合されるそれぞれの能力に寄与し得る又は関連し得る。幾つかの実施形態では、ZIKV誘導抗原結合タンパク質及びDENV誘導抗原結合タンパク質は、実質的に等しい強度/強さでペプチド及び/又は対応するペプチドを認識及び/又は結合することができる。
【0095】
幾つかの実施形態では、ペプチド及び/又は対応するペプチドは、ZIKV誘導抗原結合タンパク質及びDENV誘導抗原結合タンパク質の両方によって認識及び/又は結合され得る。幾つかの実施形態では、ペプチド及び/又は対応するペプチドは、ZIKV誘導抗原結合タンパク質及びDENV誘導抗原結合タンパク質の両方と反応し得る。幾つかの実施形態では、ZIKV誘導抗原結合タンパク質及びDENV誘導抗原結合タンパク質は、実質的に等しい強度/強さでペプチド及び/又は対応するペプチドを認識する及び/又は当該ペプチドに結合する及び/又は当該ペプチドと反応することができる。
【0096】
従って、有利なことに、ペプチドの実施形態は、フラビウイルス感染を他の感染と識別するため、又はZIKV若しくはDENV感染のいずれかを識別するため、又はZIKV若しくはDENV感染を他のフラビウイルス感染(例えば、黄熱ウイルス(YFV)、日本脳炎ウイルス、ウエストナイル脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、及びアルクルマ出血熱ウイルス等)と区別するためのマーカー、例えば血清学的マーカーとして機能し得る。
【0097】
幾つかの実施形態では、ペプチドは、対応するペプチドと低い配列類似性/同一性を共有している。様々な実施形態では、ペプチドと対応するペプチドとの間の配列類似性/同一性は、約5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約35%以下、約40%以下、約45%以下、約50%以下、約55%以下、約60%以下、約65%以下、約70%以下、又は約75%以下である。様々な実施形態では、ペプチドと対応するペプチドとの間の配列類似性/同一性は、約5%~約75%、約5%~約50%、約15%~約75%、又は約15%~約50%である。幾つかの実施形態では、ペプチドと対応するペプチドとの間の低い配列類似性/同一性は、ZIKV誘導抗原結合タンパク質及びDENV誘導抗原結合タンパク質に異なって認識及び/又は結合されるそれぞれの能力に寄与し得る又は関連し得る。従って、同じペプチド又は対応するペプチドに対するZIKV誘導抗原結合タンパク質とDENV誘導抗原結合タンパク質との間の交差反応性が低くなる可能性があり、それに応じて、フラビウイルス、例えばZIKVとDENVとの間の検出における鑑別性能が向上する。
【0098】
幾つかの実施形態では、ペプチドは、対応するペプチドと約50%以下の配列類似性しか共有していない。
【0099】
幾つかの実施形態では、ペプチド及び/又は対応するペプチドは、ZIKV誘導抗原結合タンパク質によって特異的に認識及び/又は特異的に結合され得るが、DENV誘導抗原結合タンパク質によっては特異的に認識及び/又は特異的に結合されない。幾つかの実施形態では、ペプチド及び/又は対応するペプチドは、ZIKV誘導抗原結合タンパク質とは反応し得るが、DENV誘導抗原結合タンパク質とは反応しない。従って、有利には、ペプチドの実施形態は、ZIKV感染を識別するための及び/又はZIKV感染をDENV感染若しくは他のフラビウイルス感染と区別するためのマーカー、例えば血清学的マーカーとして機能することができる。
【0100】
幾つかの実施形態では、ペプチド及び/又は対応するペプチドは、DENV誘導抗原結合タンパク質によって特異的に認識及び/又は特異的に結合され得るが、ZIKV誘導抗原結合タンパク質によっては特異的に認識及び/又は特異的に結合されない。幾つかの実施形態では、ペプチド及び/又は対応するペプチドは、DENV誘導抗原結合タンパク質とは反応し得るが、ZIKV誘導抗原結合タンパク質とは反応しない。従って、有利には、ペプチドの実施形態は、DENV感染を識別するための及び/又はDENV感染をZIKV感染若しくは他のフラビウイルス感染と区別するためのマーカー、例えば血清学的マーカーとして機能することができる。
【0101】
様々な実施形態では、ペプチドは、表8のペプチド、当該ペプチドと少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、若しくは少なくとも約99%の配列同一性を共有しているペプチド若しくはその一部、当該ペプチドと約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、若しくはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチド若しくはその一部、又は当該ペプチドの一部から選択される。
【0102】
様々な実施形態では、ペプチドは、ZIKV及び/又はDENVのprMタンパク質における以下の位置のアミノ酸配列に対応する配列を含む(prMタンパク質の1番目のアミノ酸を1とする):約3~約26、約6~約23、約12~約35、約15~約32、約21~約44、約24~約41、約30~約53、約33~約50、約39~約62、約42~約59、約48~約71、約51~約68、約53~約75、約56~約72、約66~約89、約69~約86、約75~約95、約78~約92、約97~約121、又は約100~約118。様々な実施形態では、ペプチドは、当該アミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、若しくは少なくとも約99%の配列同一性を共有しているペプチド若しくはその一部、又は当該アミノ酸配列と約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個若しくはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチド若しくはその一部、又は当該アミノ酸配列の一部を含む。
【0103】
様々な実施態様では、ペプチドは、以下からなる群から選択される:配列番号1(RGSAYYMYLDRNDAGEAI)、配列番号52(RDGEPRMIVGKNERGKSL)、配列番号2(DRNDAGEAISFPTTLGMN)、配列番号53(GKNERGKSLLFKTASGIN)、配列番号3 SFPTTLGMNKCYIQIMDL)、配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL)、配列番号4(KCYIQIMDLGHMCDATMS)、配列番号55(MCTLIAMDLGEMCDDTVT)、配列番号5(GHMCDATMSYECPMLDEG)、配列番号56(GEMCDDTVTYKCPHITE)、配列番号6(YECPMLDEGVEPDDVDCW)、配列番号57(YKCPHITEVEPEDIDCW)、配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT)、配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT)、配列番号8(CNTTSTWVVYGTCHHKKG)、配列番号59(CNLTSTWVTYGTCNQAG)、配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR)、配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG)、配列番号10(HSTRKLQTRSQTWLESREY)、配列番号61(VGMGLDTRTQTWMSAEGAW)、上記配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、若しくは少なくとも約99%の配列同一性を共有しているペプチド若しくはその一部、上記配列と約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、若しくはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチド若しくはその一部、又は上記配列の一部。
【0104】
様々な実施形態では、ペプチドは、ZIKV及び/又はDENVのE糖タンパク質における以下の位置のアミノ酸配列に対応する配列を含む(E糖タンパク質の1番目のアミノ酸を1とする):約34~約57、約37~約54、約58~約75、約61~約72、約70~約93、約73~約90、約88~約111、約91~約108、約110~約133、約113~約130、約120~約143、約123~約140、約128~約152、約131~約149、約146~約169、約149~約166、約154~約177、約157~約174、約163~約186、約166~約183、約188~約206、約191~約203、約196~約219、約199~約216、約214~約237、約217~約234、約232~約248、約235~約245、約241~約264、約244~約261、約268~約291、約271~約288、約303~約322、約306~約319、約322~約345、約325~約342、約340~約358、約343~約355、約358~約381、約361~約378、約399~約422、約402~約419、約450~約473、又は約453~約470。様々な実施形態では、ペプチドは、当該アミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、若しくは少なくとも約99%の配列同一性を共有しているペプチド若しくはその一部、又は当該アミノ酸配列と約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、若しくはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチド若しくはその一部、又は当該アミノ酸配列の一部を含む。
【0105】
様々な実施態様では、ペプチドは、以下からなる群から選択される:配列番号11(DKPTVDIELVTTTVSNMA)、配列番号62(NKPTLDIELQKTEATQLA)、配列番号12(YEASISDMASDS)、配列番号63(IEGKITNITTDS)、配列番号13(RCPTQGEAYLDKQSDTQY)、配列番号64(RCPTQGEAVLPEEQDQNY)、配列番号14(VCKRTLVDRGWGNGCGLF)、配列番号65(VCKHTYVDRGWGNGCGLF)、配列番号15(LVTCAKFACSKKMTGKSI)、配列番号66(LVTCAKFQCLEPIEGKVV)、配列番号16(KKMTGKSIQPENLEYRIM)、配列番号67(EPIEGKVVQYENLKYTVI)、配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS)、配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH)、配列番号18(SGMIVNDTGHETDENRAK)、配列番号69(GDQHQVGNETQGVTAEIT)、配列番号19(GHETDENRAKVEITPNSP)、配列番号70(GNETQGVTAEITPQASTT)、配列番号20(KVEITPNSPRAEATLGGF)、配列番号71(TAEITPQASTTEAILPEY)、配列番号21(EPRTGLDFSDLYY)、配列番号72(SPRTGLDFNEMIL)、配列番号22(SDLYYLTMNNKHWLVHKE)、配列番号73(NEMILLTMKNKAWMVHRQ)、配列番号23(WFHDIPLPWHAGADTGTP)、配列番号74(WFFDLPLPWTSGATTETP)、配列番号24(HWNNKEALVEF)、配列番号75(TWNRKELLVTF)、配列番号25(EFKDAHAKRQTVVVLGSQ)、配列番号76(TFKNAHAKKQEVVVLGSQ)、配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH)、配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH)、配列番号27(SLCTAAFTFTKIPA)、配列番号78(AMCTNTFVLKKEVS)、配列番号28(TVTVEVQYAGTDGPCKVP)、配列番号79(TILIKVEYKGEDAPCKIP)、配列番号29(AQMAVDMQTLTPV)、配列番号80(FSTEDGQGKAHN)、配列番号30(ANPVITESTENSKMMLEL)、配列番号81(ANPVVTKKEEPVNIEA)、配列番号31(RSGSTIGKAFEATVRGAK)、配列番号82(KKGSSIGKMFEATARGAR)、配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT)、配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV)、上記配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有しているペプチド若しくはその一部、上記配列と約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、若しくはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチド若しくはその一部、又は上記配列の一部。
【0106】
様々な実施形態では、ペプチドは、ZIKV及び/又はDENVのNS1タンパク質における以下の位置のアミノ酸配列に対応する配列を含む(NS1タンパク質の1番目のアミノ酸を1とする):約1~約21、約1~約18、約16~約39、約19~約36、約52~約75、約55~約72、約67~約88、約70~約85、約88~約115、約91~約112、約116~約139、約119~約136、約134~約157、約137~約154、約152~約179、約155~約176、約236~約259、約239~約256、約245~約268、約248~約265、約254~約277、約257~約274、約267~約284、約270~約281、約272~約295、約275~約292、約281~約304、約284~約301、約290~約313、約293~約310、約299~約322、約302~約319、約312~約329、約315~約326、約317~約340、約320~約337、約335~約356、又は約338~約353。様々な実施形態では、ペプチドは、当該アミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、若しくは少なくとも約99%の配列同一性を共有しているペプチド若しくはその一部、又は当該アミノ酸配列と約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、若しくはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチド若しくはその一部、又は当該アミノ酸配列の一部を含む。
【0107】
様々な実施態様では、ペプチドは、以下からなる群から選択される:配列番号33(DVGCSVDFSKKETRCGTG)、配列番号84(DMGCVINWKGKELKCGSG)、配列番号34(VFVYNDVEAWRDRYKYHP)、配列番号85(IFVTNEVHTWTEQYKFQA)、配列番号35(CGISSVSRMENIMWRSVE)、配列番号86(CGIRSTTRMENLLWKQIA)、配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ)、配列番号87(QIANELNYILWENNIK)、配列番号37(GSVKNPMWRGPQRLPVPVNELP)、配列番号88(GDIIGVLEQGKRTLTPQPMELK)、配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD)、配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID)、配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL)、配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE)、配列番号40(VEDHGFGVFHTSVWLKVREDYS)、配列番号91(VEDYGFGVFTTNIWLKLREVYT)、配列番号41(SDLIIPKSLAGPLSHHNT)、配列番号92(SDMIIPKSLAGPISQHNH)、配列番号42(AGPLSHHNTREGYRTQMK)、配列番号93(AGPISQHNHRPGYHTQTA)、配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE)、配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE)、配列番号44(SEELEIRFEECP)、配列番号95(LGKLELDFNYCE)、配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG)、配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG)、配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST)、配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT)、配列番号47(TRGPSLRSTTASGRVIEE)、配列番号98(TRGPSLRTTTVSGKLIHE)、配列番号48(TASGRVIEEWCCRECTMP)、配列番号99(TVSGKLIHEWCCRSCTLP)、配列番号49(ECTMPPLSFRAK)、配列番号100(SCTLPPLRYMGE)、配列番号50(PLSFRAKDGCWYGMEIRP)、配列番号101(PLRYMGEDGCWYGMEIRP)、配列番号51(RKEPESNLVRSMVTAG)、配列番号102(ISEKEENMVKSLVSAG)、上記配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の配列同一性を共有しているペプチド若しくはその一部、上記配列と約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、若しくはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチド若しくはその一部、又は上記配列の一部。
【0108】
様々な実施形態では、ペプチドは、以下からなる群から選択される1つ以上のZIKV由来ペプチド:配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);配列番号49(ECTMPPLSFRAK);配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR);配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS);配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE);配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG);これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部;及び/あるいは以下からなる群から選択される1つ以上のDENV由来ペプチド:配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);配列番号87(QIANELNYILWENNIK);配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);配列番号100(SCTLPPLRYMGE);配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL);配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH);配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV);配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG);又はこれらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部を含む。
【0109】
方法の実施形態は、フラビウイルス感染、ZIKV感染及びDENV感染の一方又は両方、ZIVK感染又はDENV感染を同定することができる。
【0110】
様々な実施形態では、方法は、サンプルが、配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);配列番号49(ECTMPPLSFRAK);配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);配列番号87(QIANELNYILWENNIK);配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);配列番号100(SCTLPPLRYMGE);これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部からなる群から選択される1つ以上のペプチド(例えば、共通フラビウイルスペプチド)と反応するかどうかを判定することを含み;及び/あるいはサンプルが上記1つ以上のペプチド又はその一部と反応する場合、被験体はフラビウイルス感染治療の適応となるか、又はZIKV及びDENV感染治療の一方若しくは両方の適応となる。
【0111】
様々な実施形態では、方法は、急性期のフラビウイルス感染を同定する方法であり、方法は、サンプルが、配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);配列番号87(QIANELNYILWENNIK);配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID)からなる群から選択される1つ以上のペプチドと反応するかどうかを判定することを含み、サンプルが上記1つ以上のペプチド又はその一部と反応する場合、被験体は急性期のフラビウイルス感染治療の適応となるか、又はZIKV及びDENV感染治療の一方若しくは両方の適応となる。
【0112】
様々な実施形態では、方法は、サンプルが、配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT)からなる群から選択される1つ以上のペプチド(例えば、ZIKV特異的ペプチド);これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部と反応するかどうかを判定することを含み、サンプルが上記1つ以上のペプチド又はその一部と反応する場合、被験体はZIKV感染治療の適応となる。
【0113】
様々な実施形態では、方法は、急性期のZIKV感染を同定する方法であり、方法は、サンプルが、配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);それと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はそれと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はその一部と反応するかどうかを判定することを含み、サンプルが上記ペプチド又はその一部と反応する場合、被験体は急性期のZIKV感染治療の適応となる。
【0114】
様々な実施形態では、方法は、サンプルが、配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG)からなる群から選択される1つ以上のペプチド(例えば、DENV特異的ペプチド);及び/又はこれらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部と反応するかどうかを判定することを含み、サンプルが上記1つ以上のペプチド又はその一部と反応する場合、被験体はDENV感染治療の適応となる。
【0115】
方法の実施形態は、本明細書に記載されている多数又は複数のペプチドの使用を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、サンプル中のZIKV及び/又はDENV誘導抗原結合タンパク質を検出するために、少なくとも約2つ、少なくとも約3つ、少なくとも約4つ、又は少なくとも約5つの異なるペプチドを使用してよい。幾つかの実施形態では、複数のペプチドは、以下の群:共通フラビウイルスペプチド、ZIKV特異的ペプチド、及びDENV特異的ペプチドのうちの1つ以上からの少なくとも1つのペプチドを含む。
【0116】
様々な実施形態では、被験体のサンプルがペプチドと反応するかどうかを判定することは、当該ペプチドを認識又は結合することができる抗原結合タンパク質(例えば、抗体)が当該サンプル中に存在するかどうかを評価するために、イムノアッセイを行うことを含む。イムノアッセイの例としては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光及び蛍光イムノアッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素結合免疫吸着スポット(ELISPOT)、Luminexベースのビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、イムノクロマトグラフィー(ICG)ベースのアッセイ、並びにイムノクロマトグラフィーストリップ検査等の迅速検査フォーマットが挙げられる。アッセイは、競合的及び非競合的なサンドイッチアッセイであってよい。
【0117】
幾つかの実施形態では、イムノアッセイは、例えば、直接ELISA、間接ELISA、競合ELISA、サンドイッチELISA等であるがこれらに限定されないELISAを含む。幾つかの実施形態では、イムノアッセイは、サンドイッチELISAを含む。使用する具体的なELISAの適合性は、当業者の技能の範囲内であろう。しかし、本発明の例示として、幾つかの実施形態では、アッセイは、検出及び/又は定量されるZIKV及び/若しくはDENV抗体又はこれらの断片が、ZIKV及び/若しくはDENV抗体又はこれらの断片の抗体並びに/あるいはZIKV及び/若しくはDENV抗原に結合する、非競合サンドイッチアッセイの形態である。幾つかの例では、ZIKV及び/又はDENV抗原は、例えばビオチンで標識されていてもよく、そして、任意のZIKV及び/若しくはDENV抗体又はこれらの断片を捕捉するために、例えばビーズ、ウェル若しくは他の封入体の表面、チップ、又はストリップ等の固相に結合していてもよく、任意の捕捉されたZIKV及び/若しくはDENV抗体を検出するために、ZIKV及び/又はDENV抗体の抗体が使用される。検出抗体は、例えば、色素、放射性同位体、又は反応性若しくは触媒活性のある部分で標識されていてもよい。一例では、検出抗体は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識されており、可視化のためにテトラメチルベンジジン(TMB)基質を添加してもよい。また、他の好適な標識及び基質を使用してもよいことが理解される。幾つかの例では、ストレプトアビジンでコーティングされたプレート(例えば、マイクロプレート、マイクロタイタープレート等)が、ビオチン標識されたZIKV及び/又はDENV抗原を捕捉するために使用され、これは、次に、任意のZIKV及び/若しくはDENV抗体又はこれらの断片を捕捉するために使用され、そして、標識された抗免疫グロブリンが検出のために使用される。抗免疫グロブリンは、抗IgG、抗IgM、又は抗IgAであってよい。幾つかの例では、抗免疫グロブリンは、抗ヒトIgM、抗ヒトIgG、抗ヒトIgG1、抗ヒトIgG2、抗ヒトIgG3、及び/又は抗ヒトIgG4を含む。
【0118】
様々な実施態様では、サンプルは、生物学的サンプルを含む。様々な実施形態では、生物学的サンプルは、流体生物学的サンプル又は液体生物学的サンプルを含む。流体生物学的サンプル又は液体生物学的サンプルは、血液、血清、血漿、痰、洗浄液、脳脊髄液、尿、精液、汗、涙、唾液等であってよい。幾つかの実施形態では、流体生物学的サンプル又は液体生物学的サンプルは、全血、血清、血漿、又はこれらの加工された画分を含む。幾つかの実施形態では、流体生物学的サンプルは、血清又は血漿を含む。幾つかの実施形態では、流体生物学的サンプルは、抗体等の抗原結合タンパク質を含む。
【0119】
様々な実施形態では、サンプルは、急性期(病気発症後(pio)約2日~約7日)、早期回復期(pio約10日~約14日)、後期回復期(pio約1ヶ月)、早期快復期(pio約3ヶ月)、後期快復期(pio約5ヶ月~約6ヶ月)、又は完全快復期(pio約1年)中に被験体から回収されたサンプルを含む。幾つかの実施形態では、被験体が、発熱、関節炎/関節痛、皮疹、結膜炎、関節痛、頭痛、ギラン・バレー症候群(GBS)、及び先天性中枢神経系(CNS)異常等、ZIKV感染に関連する症状を示したときに、被験体からサンプルを回収する。幾つかの実施形態では、被験体がZIKV感染について無症候性であるか又は無症候性になっているときに、被験体からサンプルを回収する。幾つかの実施形態では、被験体が、発熱(典型的には、高熱)、頭痛、筋肉、骨、及び関節の疼痛、吐き気、嘔吐、目の奥の痛み、腺の腫れ、発疹、激しい腹痛、持続的な嘔吐、歯茎又は鼻からの出血、尿、便、又は嘔吐物中の血液、皮下出血、呼吸困難又は呼吸促迫、寒冷皮膚(ショック)、疲労感、並びに易刺激性又は不穏状態等、DENV感染に関連する症状を示したときに、被験体からサンプルを回収する。幾つかの実施形態では、被験体がDENV感染について無症候性であるか又は無症候性になっているときに、被験体からサンプルを回収する。
【0120】
様々な実施形態では、方法は、診断法又は予後判定法を含む。例えば、被験体のサンプルとペプチドとの反応は、被験体におけるZIKV及び/又はDENV感染の指標となり得る。例えば、被験体のサンプルの反応レベルがそれ以前のサンプル(例えば、同じ被験体からより早い時点で回収されたサンプル)に比べて低下していることは、被験体におけるZIKV及び/又はDENV感染の予後の指標となり得る。
【0121】
様々な実施形態では、方法は、高い感度及び/又は特異度を有する。様々な実施形態では、方法は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約100%の感度を有する。
【0122】
様々な実施形態では、方法は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約100%の特異度を有する。
【0123】
様々な実施形態では、方法は、インビトロ又はエクスビボの方法を含む。
【0124】
幾つかの実施形態では、方法は、フラビウイルス感染を他の感染、例えば、細菌感染、他のウイルス感染、又は他の非フラビウイルス感染と識別/区別することができる。幾つかの実施形態では、方法は、フラビウイルス感染を、フラビウイルス感染と類似の症状(複数可)を共有する他の感染と識別/区別することができる。例えば、方法は、フラビウイルス感染をインフルエンザ、チクングニア感染、マラリア、腸チフス等と識別/区別することができる。幾つかの実施形態では、方法は、ZIKV感染及び/又はDENV感染を他のフラビウイルス感染と区別することができる。幾つかの実施形態では、方法は、ZIKV感染をDENV感染と、及び/又はDENV感染をZIKV感染と区別することができる。
【0125】
幾つかの実施形態では、被験体におけるフラビウイルス感染を他の感染と区別する方法であって、当該被験体のサンプルが、相対結合能BCrelative≦0.05を与えることができるペプチドと反応するかどうかを判定することを含む方法が提供される。幾つかの実施形態では、被験体におけるZIKV及び/又はDENV感染を他のフラビウイルス感染と区別する方法であって、当該被験体のサンプルが、相対結合能BCrelative≦0.05を与えることができるペプチドと反応するかどうかを判定することを含む方法が提供される。幾つかの実施形態では、被験体におけるZIKV感染をDENV感染と、及び/又はDENV感染をZIKV感染と区別する方法であって、当該被験体のサンプルが、相対結合能BCrelative≧0.1を与えることができるペプチドと反応するかどうかを判定することを含む方法が提供される。
【0126】
幾つかの実施形態では、被験体におけるZIKV感染をDENV感染と区別する方法であって、当該被験体のサンプルが、配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT)のペプチド;これと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部と反応するかどうかを判定することを含み、当該サンプルが当該ペプチド又はその一部と反応する場合、当該被験体はZIKV感染治療の適応となる;及び/あるいは当該被験体のサンプルが、配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR)のペプチド;これと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部と反応するかどうかを判定することを含み、当該サンプルが当該ペプチド又はその一部と反応する場合、当該被験体はDENV感染治療の適応となる方法が提供される。
【0127】
幾つかの実施形態では、方法は、被験体がフラビウイルス感染、ZIKV感染、及び/又はDENV感染治療の適応となる場合、被験体にZIKV及び/又はDENV治療レジメンを施すことを更に含む。
【0128】
幾つかの実施形態では、方法は、被験体がZIKV感染及び/又はDENV感染治療の適応となる場合、被験体にZIKV及び/又はDENV治療レジメンを施すことを更に含む。従って、幾つかの実施形態では、フラビウイルス感染、ZIKV感染、及び/又はDENV感染を治療する方法であって、被験体のサンプルがペプチドと反応するかどうかを判定することを含み、当該サンプルがペプチドと反応する場合、被験体にZIKV及び/又はDENVの治療レジメンを施す方法が提供される。
【0129】
幾つかの実施形態では、共通フラビウイルス抗原/エピトープ、ZIKV特異的抗原/エピトープ、及び/又はDENV特異的抗原/エピトープを同定する方法であって、試験ペプチド及びその対応するペプチドを、結合に好適な条件下でZIKV誘導抗原結合タンパク質及びDENV誘導抗原結合タンパク質と接触させることと、相対結合能を求めることと、を含み、相対結合能が≦0.05である場合、試験ペプチドは共通フラビウイルス抗原/エピトープであると同定され、相対的結合能が≧0.1である場合、試験ペプチドはZIKV特異的抗原/エピトープ又はDENV特異的抗原/エピトープであると同定される方法が提供される。
【0130】
幾つかの実施形態では、方法は、試験ペプチド及び/又は対応するペプチドとして使用するために、フラビウイルス、例えばZIKV及び/又はDENVから短い線状ペプチド、任意で短い重複する線状ペプチドのライブラリを作製することを更に含む。幾つかの実施形態では、方法は、ELISA法を含む。
【0131】
様々な実施形態では、被験体におけるジカウイルス、デングウイルス、及びこれらの組み合わせから選択されるフラビウイルス感染を同定するためのキットであって、本明細書に開示されている1つ以上のペプチドを含むキットが提供される。幾つかの実施形態では、被験体におけるジカウイルス、デングウイルス、及びこれらの組み合わせから選択されるフラビウイルス感染を同定するためのキットであって、相対結合能BCrelative≦0.05又は≧0.1を与えることができるペプチドを含み、
【0132】
【0133】
ペプチドPが、ZIKV由来ペプチドを含む場合、
【0134】
【0135】
であり、
ペプチドPが、DENV由来ペプチドを含む場合、
【0136】
【0137】
であるキットが提供される。
【0138】
キットの様々な実施形態では、ペプチドは、:配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);配列番号49(ECTMPPLSFRAK);配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR);配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS);配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE);配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG)からなる群から選択される1つ以上のZIKV由来ペプチド;これらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部;及び/あるいは配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);配列番号87(QIANELNYILWENNIK);配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);配列番号100(SCTLPPLRYMGE);配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL);配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH);配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV);配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG)からなる群から選択される1つ以上のDENV由来ペプチド;又はこれらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部を含む。
【0139】
また、キットは、抗ZIKV及び/又は抗DENVの捕捉剤でコーティングされたプレート並びに捕捉された抗ZIKV及び/又は抗DENVの存在を検出するための検出剤とのうちの1つ以上を更に含んでいてもよい。捕捉及び検出剤は、独立して、精製されたZIKV及び/若しくはDENV、ZIKV及び/若しくはDENV抗原、抗ZIKV及び/若しくは抗DENVの抗体、又は抗免疫グロブリンから選択してよい。抗免疫グロブリンは、抗IgA、抗IgM、抗IgG、抗IgG1、抗IgG2、抗IgG3、及び抗IgG4、抗ヒトIgA、抗ヒトIgM、抗ヒトIgG、抗ヒトIgG1、抗ヒトIgG2、抗ヒトIgG3、及び抗ヒトIgG4のうちの1つ以上であってよい。幾つかの実施形態では、捕捉剤は、ZIKV及び/又はDENV抗原を含み、検出剤は、標識された抗免疫グロブリンを含む。幾つかの実施形態では、捕捉剤は、抗免疫グロブリンを含み、検出剤は、標識されたZIKV及び/又はDENV抗原を含む。幾つかの実施形態では、捕捉剤及び検出剤は、ZIKV及び/又はDENV抗原及び/又は抗免疫グロブリンを含む。幾つかの実施形態では、捕捉剤及び検出剤は、(i)ZIKV及び/又はDENV抗原と、標識された抗免疫グロブリンのうちの1つ以上、並びに(ii)抗免疫グロブリンと、標識されたZIKV及び/又はDENV抗原からなる群から選択される。
【0140】
幾つかの実施形態では、キットは、抗ZIKV及び/又は抗DENVの捕捉剤でコーティングされたプレート、並びに捕捉された抗ZIKV及び/又は抗DENVの存在を検出するための検出剤のうちの1つ以上を更に含み、当該捕捉剤及び当該検出剤は、ZIKV及び/若しくはDENV抗原及び/又は抗免疫グロブリンを含む。
【0141】
キットは、診断用キットであっても、予後判定用キットであってもよい。
【0142】
様々な実施態様では、被験体は、哺乳類を含む。様々な実施形態では、被験体は、ヒト被験体を含む。様々な実施形態では、被験体は、アジア人被験体を含む。幾つかの実施形態では、被験体は、東南アジア人被験体を含む。様々な実施形態では、被験体(東南アジア人被験体であろうとなかろうと)は、アジアで、又は任意で東南アジアでフラビウイルスに感染している。東南アジア諸国は、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、東ティモール、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー(ビルマ)、タイ、及びベトナムを含む。
【0143】
ZIKVは、アフリカ若しくはアジアの株であってよい、アフリカ若しくはアジアの遺伝子型を有している、又はアフリカ若しくはアジアの系統であってよい。幾つかの実施形態では、ZIKVは、アジア株、任意で東南アジア株を含む。幾つかの実施形態では、ZIKVは、アジア遺伝子型、任意で東南アジア遺伝子型を含む。幾つかの実施形態では、ZIKVは、アジア系統、任意で東南アジア系統のZIKVを含む。アジアZIKV株/アジア遺伝子型を有するZIKV/アジア系統のZIKVの非限定的な例としては、H/PF/2013(KJ776791)、SPH2015、PRVABC59、R103451、P6-740、及びFSS13025が挙げられる。アフリカZIKV株/アフリカ遺伝子型のZIKV/アフリカ系統のZIKVの非限定的な例としては、MR-766及びDakAr41524が挙げられる。
【0144】
DENVは、血清型1(DENV-1)、2(DENV-2)、3(DENV-3)、若しくは4(DENV-4)、又は1つ以上の血清型のコンセンサス配列であってよい。DENV-1は、遺伝子型I、II、III(sylvatic)、IV、V、及びVIであってよい。DENV-2は、Asian-I、Asian-II、Asian/American、American、Cosmopolitan、sylvaticのいずれであってもよい。DENV-3は、遺伝子型I、II、III、IV、及びVであってよい。DENV-4は、遺伝子型I、IIA、IIB、III、及びsylvaticであってよい。幾つかの実施形態では、DENVは、アジアの国、任意で東南アジアの国で発見された、及び/又は当該国を起源とする、及び/又は当該国で優勢な株/遺伝子型/系統のDENVを含む。このようなDENVの非限定的な例としては、KR296743株、KF973487株、EU081181株、KF041254株、JF808120株、JF808121株、KJ189293株、KC762692株、KC425219株、KJ830751株、KF973479株、及びAY099336株が挙げられる。
【0145】
様々な実施形態では、本明細書に開示されているペプチドを含むペプチド、任意で単離ペプチドが提供される。様々な実施形態では、配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);配列番号49(ECTMPPLSFRAK);配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR);配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS);配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE);配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG);配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);配列番号87(QIANELNYILWENNIK);配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);配列番号100(SCTLPPLRYMGE);配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL);配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH);配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV);配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG)からなる群から選択されるペプチド、任意で単離ペプチド;又はこれらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部が提供される。
【0146】
様々な実施形態では、本明細書に開示されているペプチドを含む組成物、任意で免疫系調節組成物、更に任意で免疫系刺激/活性化組成物、更に任意でワクチン組成物が提供される。組成物は、被験体に投与された場合、被験体におけるフラビウイルス及び/又はZIKV及び/又はDENV感染に対する免疫応答を刺激する、例えば、増加させる、増幅させる、又はブーストすることができる。様々な実施形態では、組成物は、被験体への投与後に当該被験体におけるフラビウイルス及び/又はZIKV及び/又はDENV感染に対する免疫応答を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍増加させることができる。幾つかの例では、被験体の免疫応答は、被験体からのサンプル中のZIKV及び/又はDENV抗原結合タンパク質の量を測定することによって判定することができる。組成物は、アジュバントを更に含んでいてもよい。好適なアジュバントの例としては、水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウムが挙げられ、これらは、投与されたときに身体の免疫応答を高めることができる。
【0147】
幾つかの実施形態では、配列番号7(LDEGVEPDDVDCWCNTT);配列番号36(SVEGELNAILEENGVQ);配列番号38(GKSYFVRAAKTNNSFVVD);配列番号39(GDTLKECPLKHRAWNSFL);配列番号46(KVHVEETCGTRGPSLRST);配列番号49(ECTMPPLSFRAK);配列番号3(SFPTTLGMNKCYIQIMDL);配列番号26(GALEAEMDGAKGRLSSGH);配列番号32(FKSLFGGMSWFSQILIGT);配列番号9(YGTCHHKKGEARRSR);配列番号17(PENLEYRIMLSVHGSQHS);配列番号43(REGYRTQMKGPWHSEELE);配列番号45(IRFEECPGTKVHVEETCG);配列番号58(HITEVEPEDIDCWCNLT);配列番号87(QIANELNYILWENNIK);配列番号89(GKAKIVTAETQNSSFIID);配列番号90(GPNTPECPSASRAWNVWE);配列番号97(TVVITENCGTRGPSLRTT);配列番号100(SCTLPPLRYMGE);配列番号54(LFKTASGINMCTLIAMDL);配列番号77(GATEIQNSGGTSIFAGH);配列番号83(YTALFSGVSWVMKIGIGV);配列番号60(TSTWVTYGTCNQAG);配列番号68(YENLKYTVIITVHTGDQH);配列番号94(RPGYHTQTAGPWHLGKLE);配列番号96(LDFNYCEGTTVVITENCG)からなる群から選択されるペプチド;又はこれらと少なくとも75%の配列同一性を共有しているペプチド;又はこれらと1個、2個、3個、若しくは4個のアミノ酸が異なるペプチド;又はこれらの一部を含む組成物、任意で免疫調節組成物、更に任意で免疫系刺激/活性化組成物、更に任意でワクチン組成物が提供される。
【0148】
様々な実施形態では、被験体において免疫応答を誘導する方法であって、組成物、任意で免疫調節組成物、更に任意で免疫系刺激/活性化組成物、更に任意でワクチン組成物を被験体に投与することを含む方法が提供される。
【0149】
様々な実施形態では、本明細書に記載の方法、キット、ペプチド、又は組成物が提供される。
【実施例】
【0150】
本開示の例示的な実施形態は、以下の議論から、また適用可能な場合には図面と併せて、当業者により深く理解され、容易に明らかになるであろう。本発明の範囲を逸脱することなく、構造的、電気的、及び光学的な変更に関連する他の改変を行うことができることを理解すべきである。例示的な実施形態は、一部は1つ以上の実施形態と組み合わせて新規の例示的な実施形態を形成することができるので、必ずしも相互に排他的ではない。
【0151】
ZIKV患者はロバストかつ保護的な体液性応答を生じさせる
まず、ビリオンベースのELISAを用いて、シンガポール及びアジアの幾つかの地域で同時に流行している3つの主なアルボウイルスであるZIKV、DENV、及びチクングンヤウイルス(CHIKV)に対するIgM及びIgGの存在について、45人の健常ドナーをスクリーニングした。3つのウイルス全てにおいて、割り当てられたカットオフ(平均+SD)よりも低い抗体レベルを有していた22人のドナー(
図1a~b)を健常対照プールとして使用し、ベースライン基準として設定した。
【0152】
2016年のシンガポールにおける大流行からのZIKV患者の抗ZIKV IgM及びIgGレベルを、ビリオンベースのELISAを用いて長期的に評価した。患者の大多数が、ロバストなZIKV特異的体液性応答を示した
図2a~c、
図1c)。抗ZIKV IgMは、急性期(病気発症後(pio)2~7日)に早くも検出され、早期回復期(pio10~14日)にピークに達した後、快復期(pio3ヶ月~1年)中に減少した(
図2a及びc、
図1c)。ZIKV特異的IgG抗体価は、早期回復期にピークに達し、後期快復期の間も高レベルで維持され、感染の1年後も検出可能なままであった(
図2b~c、
図1c)。これら患者をDENV特異的抗体の存在についてもスクリーニングしたところ、患者の80%が、急性期に採取したサンプルにおいて抗DENV IgM陰性であった(
図1d及び1f)。しかし、患者の75%が抗DENV IgGを有することが判明し(
図1e~f)、これは、IgMではなく、ZIKVのIgGがDENVと交差反応することを示唆している。
【0153】
次いで、ZIKV患者によって産生されるIgGアイソタイプを調べたところ、抗ZIKV IgG1及びIgG3サブタイプの最も高い力価は、IgG3については早期回復期に、そして、IgG1については後期回復期に生じた(
図2d)。これら患者で産生された抗体がZIKVに対して保護的であるかどうかを調べるために、フローサイトメトリーを介した中和アッセイを実施した(
図2e~f、
図3a)。早期及び後期の回復期には効率的な中和(71%~93%)が観察された(
図2e)が、後期快復期及び完全快復期では弱い中和(37%~47%)しかみられなかった(
図2f)。ZIKV患者の中和能は、抗ZIKV IgGのレベルと相関していた(
図1c及び
図9a)。これら患者由来の血漿は、DENVを最小限しか中和しなかった(
図3b)、ZIKV特異性を示す。
【0154】
ZIKV及びDENV患者由来の抗体によって認識される特異的B細胞線状エピトープの同定
まず、プールされた線状ZIKVペプチド及びコンセンサスDENVペプチドを用いて、最も抗原性の高いフラビウイルス抗原であるprM、E、NS1に対するペプチドベースのELISAにおいて、特異的なZIKV及びDENVのエピトープの予備マッピングを実施した。後期回復期に採取したZIKV及びDENV患者の血漿/血清サンプルを使用したが、それは、この時点でIgGレベルが最も高かったためである(
図1c)。結果は、具体的には、ZIKV及びDENVのプロテオーム内で、2つの共通フラビウイルスプール(プール1及び21)、6つの潜在的なZIKV特異的プール(プール6、10、11、16、17、及び24)、及び1つの潜在的なDENV特異的プール(プール19)が同定されたことを示した(表1、
図4)。
【0155】
【0156】
【0157】
その後、露出残基及び計算機による予測に基づいて選択的に設計された新規のペプチドを、その後の実験のために再度合成した(表2)。
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
興味深いことに、結果は、プールペプチドと個々のペプチドとの間で差を示した(表3、
図5)。
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
これら差は、プールペプチドの干渉に起因している可能性があるが、単一のペプチドは、特異的結合をより強化することができた。それにもかかわらず、ZIKV患者とDENV患者との間の結合能の相対差が0.05未満であった6つの潜在的な共通フラビウイルスペプチドが同定された(ペプチド7、36、38、39、46、49)(表3、
図5、
図6)。また、これらペプチドは、ZIKVペプチド配列とDENVペプチド配列との間の近い類似性に基づいて選択された(表2)。更に、結合能の差が0.1よりも大きい3つの潜在的なZIKV特異的ペプチド(ペプチド3、26、及び32)及び4つの潜在的なDENV特異的ペプチド(ペプチド9、17、43、及び45)が同定された(表3、
図5、
図6)。
【0166】
ZIKV患者によるエピトープ認識の経時変化
ZIKV患者によるエピトープ認識の経時的変化を特性評価するために、急性期、後期回復期、及び完全快復期のZIKV患者の血漿を用いて、共通フラビウイルスペプチド及びZIKV特異的ペプチドをスクリーニングした。共通フラビウイルスのヒットについては、ZIKV患者の60%超が、後期回復期以降に6つのペプチド対を認識することができた(
図7a)。しかし、急性期には、ペプチド7、36、及び38のみがZIKV患者によって認識された(
図7a)。結合能の点では、ペプチド7、36、38、及び49において、経時的にZIKV及びDENVペプチド対の間で同等の結合が存在していた(
図7b)。
【0167】
ZIKV特異的エピトープについては、ZIKV患者サンプルの60%超がペプチド3及び26を認識することができ(
図7a)、後期回復期には正のペプチド結合能を有していた(
図7b)。一方、ペプチド32は、患者のサンプルによる強い認識を示した(
図7a)ことに加えて、急性期から完全快復期までの様々な時点で高い結合能(
図7b)を示した。ウイルスタンパク質内の全ての潜在的なエピトープの局在を
図7c~fに示す。
【0168】
患者コホートを用いたエピトープの評価
同定されたエピトープの診断性能を評価するために、DENV、細菌、又は不明の感染を有していたタイコホートからの患者血清サンプルを用いて13個のペプチドをスクリーニングした。また、シンガポールのZIKV及びDENV患者の無作為化選択の結果も並行して分析した(表4)。
【0169】
【0170】
【0171】
興味深いことに、結果は、各ペプチドごとに広範囲に及ぶ特異度及び感度を示した(表5、
図8a)。
【0172】
【0173】
【0174】
Eタンパク質のドメインI/II(EDI/II)におけるZIKV特異的ペプチド26(アミノ酸残基271~288)が、最も優れた感度及び特異度のプロファイルを有していた(それぞれ80%及び85.7%)(表5、
図8a)。とはいえ、8つのペプチド(共通フラビウイルスペプチド36、38、46、49;ZIKV特異的ペプチド3、26、32;及びDENV特異的ペプチド9)は、50%を超える感度及び特異度を示した(表5、
図8a)ので、更なる評価のために選択した。これらペプチドを用いて患者を「診断」し(表6)、エピトープのグループ分けに基づくペプチドの組み合わせの性能をまとめて判定した(表5、
図8b)。
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
共通フラビウイルス群及びDENV特異的群は中程度の測定値を示したが、ZIKV特異的ペプチドミックスは96.4%というロバストな特異度を示した(表5、
図8b)。更に、患者の抗ペプチドIgG応答を主成分分析(PCA)でプロットしたところ、診断及びコホートの異なる患者が別々のクラスターを形成しており、ZIKV患者は健常対照と比べて際立っていることが観察された(
図8c)。識別力を有するペプチドを同定するために、陽性ペプチドの結合能を算出した。ウイルス特異的なZIKV及びDENVのエピトープは有意に異なっていた(
図8d)。ペプチド32(Eタンパク質上のアミノ酸残基453~470)が最も性能の優れたZIKV特異的エピトープであり、シンガポールのZIKV患者をタイの細菌及び不明の感染と区別することができた(
図8d~e)。DENV特異的ペプチド9(prMのアミノ酸残基78~92)を用いて、シンガポールのDENV患者をタイの細菌感染患者と区別することができた(
図8e)。全体として、DENV患者とZIKV患者とを鑑別するための最適な差次的エピトープを同定することができた。
【0179】
結論
ZIKV患者は、高レベルのZIKV特異的IgG抗体を産生することが示された。具体的には、IgG1及びIgG3は、ZIKV感染後に誘導されるサブクラスであり、DENV感染患者と非常に類似していた。このコホートの患者は、フラビウイルス間の交差反応性が高レベルであることから検出可能なDENV IgGレベルを有していたが、DENVの中和はZIKVに比べて著しく効率が低く、これは、抗体がZIKV特異的であることを示す(
図2e~f、
図3)。この観察結果は、ニカラグア、スリランカ、及びタイの患者のZIKV中和抗体のプロファイルが過去のDENV感染の影響を受けなかったという別の研究でも裏付けられている。それにもかかわらず、ウイルス感染強化の関与の可能性を考慮することは避けられない。更に、本発明者らの研究では、抗体依存性増強(ADE)の発生を示唆するような重篤な症状を示したZIKV患者はおらず、同様の観察結果がブラジルからも報告されている。
【0180】
B細胞エピトープマッピングから同定されたペプチドは、患者及び動物モデルの抗体からフラビウイルスE、prM NS1、及びNS3抗原において報告されている。抗原性エピトープの同定及び交差反応性エピトープの特性評価は、ワクチン及び免疫診断の開発において極めて重要である。ZIKVとDENVとを鑑別するためのNS1抗原の特異性については様々な報告で示されているが、本開示で同定された共通フラビウイルスペプチドの大部分はNS1タンパク質におけるものであり、これは恐らくフラビウイルス間でNS1の領域が保存されているためである。例えば、南米の他の患者コホートでは、共通フラビウイルスペプチド36(アミノ酸残基70~85)、38(アミノ酸残基119~136)、及び49(アミノ酸残基315~326)がZIKV特異的であると同定されている。しかし、これらペプチドが、黄熱ウイルス(YFV)及び日本脳炎ウイルス(JEV)等の全てのフラビウイルスを検出するために使用できるかどうかは、未だ不明である。
【0181】
同定された差次的なZIKV及びDENVエピトープは、prM、E、及びNS1にくわたって位置していた。注目すべきは、DENV特異的ペプチド17(アミノ酸残基131~149)及びZIKV特異的ペプチド26は、E糖タンパク質のEDI及びEDIIにみられ、これらはZIKVとDENVとの間でそれぞれ35%及び51%のアミノ酸の同一性を共有しているが、ZIKV特異的ペプチド32は、アンカー領域の膜貫通ドメインにみられる(
図7e)。興味深いことに、ペプチド32(アミノ酸残基453~470)は、DENV-2感染患者の免疫血清について記載されたDENV-2エピトープ(アミノ酸残基451~468)と重複する領域にマッピングされる。ZIKV特異的ペプチド32及びDENV-2等価エピトープの計算機による解析は、これらがウイルス粒子に対して中程度の接触性を維持していることを示した。これらは共有している配列の同一性が低い(43.75%)ため、このエピトープは構造的に異なり、従って、ZIKV及びDENV特異的抗体によって異なって認識される可能性がある。また、同定されたペプチド、特にペプチド26及び32のZIKVワクチンの標的としての使用を評価することも有用である。興味深いことに、これらZIKV及びDENVペプチド対の配列が類似しているにもかかわらず(表2)、ZIKV患者とDENV患者とを区別することができた。更に、異なる病期のZIKV患者は異なるペプチド認識を有するため、今回の設定では、患者のZIKV特異的抗体のレベルとは無関係に、任意の時点でZIKV感染を同定することができた(
図9b~C)。しかし、同定されたエピトープは、成人患者のサンプルを用いてスクリーニングされ、検証されたものであることに鑑みて、これらエピトーププロファイルが他の患者コホート、特にブラジルのZIKV感染妊婦でどのように機能するかを評価することが重要である。
【0182】
同定された推定エピトープは、38の患者サンプルで予備診断的に評価された。興味深いことに、シンガポールのDENV患者及びタイのDENV患者は、PCAにおいて一緒にクラスターを形成していなかった(
図8c)。検証のために選択されたシンガポールのDENV患者の大部分が、DENV感染の重篤な徴候の臨床的特徴である中等度から重度の血漿漏出を有していたが、タイのDENV患者は軽度の症状を示した(未発表のデータ)。従って、本発明者らのアッセイにおいて後者が「陰性」だったのは、異なるDENVの病状におけるエピトープ認識の違い、並びにシンガポール及びタイで流行しているウイルスの株統の違いに起因している可能性がある。それにもかかわらず、血清型特異的DENVエピトープを同定するには、更なる改良が必要である。
【0183】
更に、これら結果と計算機で予測された診断ペプチド領域とを比較すると、違いが明らかになった。まず、計算機で予測されたペプチド領域の大部分はZIKV特異的ではなかった。例えば、NS1ペプチド36は差次的であると予測されたが、実際には共通フラビウイルスであった。更に、ZIKV及びDENVの両方を認識すると予測されたE糖タンパク質のペプチド26は、本開示においてZIKV特異的であることが示された。様々なアプローチにおける違いにもかかわらず、計算機による予測は有用なツールであり続けている。
【0184】
全体的に、本開示は、ZIKVに対するヒトの抗体応答についての重要な価値のある情報及びエピトープの交差反応性に関する洞察を提供する。注目すべきは、有望な診断有効性を有する幾つかの新規の差次的なZIKV及びDENVエピトープが、prM及びEタンパク質において同定されたことである。これら結果は、診断薬又はワクチンの開発に有用な洞察を与える。
【0185】
方法
倫理宣言
ヘルシンキ宣言の趣旨に則り、参加者から書面によるインフォームド・コンセントを得た。シンガポールのZIKV(2016年~2018年)及びDENV(2010年~2012年)患者コホートの研究プロトコルは、それぞれSingHealth Centralised Institutional Review Board(CIRB Ref2016/2219)及びNational Healthcare Group(NHG)Domain Specific Review Board(DSRB-E-2009/432)によって承認された。シンガポールの健常ドナー(2010年~2015年)及びタイの患者(2011年~2013年)の検体は、それぞれ承認番号NUS-IRB 09-256及びNUS-IRB 10-445;MUTM 2011-008-01、OXTREC 42-10、及びTCAB-01-11の研究ガイドラインに従って収集した。
【0186】
研究対象及びサンプル回収
シンガポールのZIKV患者
2016年のZIKV大流行中の被験体からの検体回収については、既述の通りであった30。簡潔に述べると、全血又は尿においてZIKVについてのRT-PCRが陽性であり、かつDENVのRT-PCRが陰性であった65名の患者を登録した。全血検体は、末梢静脈穿刺後にEDTAでコーティングされたバキュテイナチューブ(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ,USA)に回収し、12000rpmで10分間遠心分離した。血漿を回収し、56℃で30分間熱不活化した後、-80℃で保存した。以下の6つの時点にわたって検体を得た:(1)急性期[病気発症後(pio)2~7日]、(2)早期回復期(pio10~14日)、(3)後期回復期(pio1ヶ月)、(4)早期快復期(pio3ヶ月)、(5)後期快復期(pio5~6ヶ月)、(6)完全快復期(pio1年)。
【0187】
シンガポールのDENV患者
本研究では、ZIKVの大流行前に回収された20名のDENV患者の血清サンプル(2010年~2012年)を使用した。患者は、入院時にDENV PCR及び/又はNS1について陽性であり、かつ血清型不明患者1名、DENV-1患者6名、DENV-2患者7名、DENV-3患者3名、及びDENV-4患者3名の組み合わせであった。使用した血清サンプルは、後期回復期(pio21~37日)に入手した。
【0188】
タイの患者
Shoklo Malaria Research Unit(SMRU)で行われた未分化型熱研究からアーカイブされた血清サンプルを使用した。5名のDENV患者は、ゴールドスタンダードのペア血清検査によって確認され、1名を除いて全員がDENV PCR陽性であった。5名の細菌感染患者は、レプトスピラ症、ツツガムシ病、ネズミチフス、又は肺炎連鎖球菌感染症、又は上記の組み合わせと診断され、全員がDENV PCR並びにDENV NS1、IgM、及びIgG RDT陰性であった。診断名が不明の8名の患者は、血清学的検査、血液培養、及びPCRにより上記の病原体について陰性であった。使用した回復期の血清サンプルは、pio14~20日に回収した。
【0189】
ウイルス
ZIKVポリネシア分離株(H/PF/2013)は、European Virus Archive(EVA,Marseille,France)から入手した。東南アジアで蔓延しているのでDENV-3を基準血清型として使用し、これはNational Public Health Laboratory(NPHL),Singaporeから供与された。CHIKV SGP011は、シンガポールの患者から単離された。ウイルスは、VeroE6細胞(ATCC,Manassas,VA,USA)で増殖させ、超遠心分離を介して精製した後、VeroE6細胞で標準的なプラークアッセイによって力価を測定した。
【0190】
ビリオンベースのELISA
既述の通り18、24~27、ビリオンベースのELISAによって抗体価を求めた。簡潔に述べると、精製したウイルスを96ウェルmaxisorpマイクロタイタープレートに一晩固定化した(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)。37℃で1.5時間、5%スキムミルク(ナカライテスク、京都、日本)を含有する0.05%PBST[PBS中0.05%Tween-20(Sigma-Aldrich,Saint Louis,MO,USA)]でウェルをブロッキングした。2.5%ミルクを含むPBST中で調製した1:200~1:8000希釈の熱不活化された患者及びプール健常対照血漿サンプルを37℃で1時間インキュベートした。検出には、HRPコンジュゲートヤギ抗ヒトIgM又はIgG(H+L)(Thermo Fisher Scientific)又はマウス抗ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4(Thermo Fischer Scientific)抗体を用いた。TMB(3,3,5,5-テトラメチルベンジジン)基質(Sigma-Aldrich)を用いて反応物を呈色し、停止試薬(Sigma-Aldrich)で反応を終了させ、マイクロプレートオートリーダー(Tecan,Mannedorf,Zurich,Switzerland)18、24~27で450nmにおける吸光度を測定した。ELISAの読み取りは、トリプリケート又はデュープリケートで行った。
【0191】
血清中和
ZIKV患者由来の抗体の中和能を、フローサイトメトリーを介して求めた。簡潔に述べると、1:500、1:1000、及び1:2000希釈したプール患者及び健常血漿サンプルを、MOI 10のZIKV又はDENV-3と共に37℃で2時間、穏やかに撹拌しながら(350rpm)インキュベートした。次いで、ウイルス-抗体懸濁液を37℃でHEK 293T細胞(ATCC)にデュープリケートで添加した。2時間後、培地を除去し、10%ウシ胎児血清(FBS;GE Healthcare Life Sciences,Pittsburgh,PA,USA)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;GE Healthcare Life Sciences)を添加した。48時間後、細胞を収集し、ZIKV NS3タンパク質特異的ウサギポリクローナル抗体又はDENVヒトモノクローナル抗体1B25を用いて既述の通り54染色し、それぞれフルオロフォアタグ付きヤギ抗ウサギ又は抗ヒトIgG(H+L)(Thermo Fisher Scientific)で対比染色した。細胞は、MacsQuant Analyser 10(Miltenyi-Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)を用いて取得した。アッセイは、2回の独立した実験においてデュープリケートで行った。フローサイトメトリーの結果を、FlowJo(バージョン10.4.1、Tree Star Inc,Ashland,OR,USA)を用いて分析した。患者及びプール健常の中和アッセイのデータを、それぞれの未治療感染を用いて正規化し、ウイルスのみの対照感染の割合として算出した。
【0192】
エピトープの決定
線状ペプチドライブラリー
prM、E、及びNS1タンパク質のビオチン化された線状ペプチドの設計に用いた配列は、ZIKVポリネシア分離株(KJ776791)及びDENV-3株のコンセンサス配列(KR296743、KF973487、EU081181、KF041254、JF808120、JF808121、KJ189293、KC762692、KC425219、KJ830751、KF973479、及びAY099336)に由来していた。ペプチドは、対応する配列のZIKV及びDENVペプチド対として生成した。予備的なエピトープのスクリーニングには、18merの重複配列からなるペプチドのライブラリ(Mimotopes,Mulgrave,Victoria,Australia)を用いた。5つのペプチドを組み合わせて、1つのプールされたペプチドセットを形成した。患者のスクリーニング及び検証は、11~22merの長さを有する、より高純度のペプチド((≧90%、EMC microcollections GmbH,Tuebingen,Germany)を用いて行った(表2)。ペプチドをDMSO(Sigma-Aldrich)に溶解させて、原液濃度を3.75μg/μLとした。
【0193】
ペプチドベースのELISA
既述の通り24、25、27ペプチドベースのELISAを介してエピトープの決定を行った。簡潔に述べると、ストレプトアビジンでコーティングされたプレート(Thermo Fisher Scientific)を、1%カゼイン酸ナトリウム(Sigma-Aldrich)及び1%ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma-Aldrich)を含有する0.1%PBST(PBS中0.1%Tween-20)を用いて4℃で一晩ブロッキングした後、ビオチン化ペプチド(0.1%PBSTで1:1000希釈)を添加し、続いて、熱不活性化されたプール健常対照及び患者の血漿/血清サンプル(0.1%PBSTで1:2000希釈)を添加した。ペプチドに結合している抗体の検出には、0.1%ブロッキングバッファーで調製したHRPコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(Thermo Fisher Scientific)を用いた。TMB基質及び停止試薬(Sigma-Aldrich)を使用して呈色した後、450nmにおける吸光度を測定した(Tecan)。全てのインキュベーション工程は、回転シェーカーを用いて室温で1時間行い、ELISAの読み取りは、デュープリケートで行った。
【0194】
データ解析
ZIKV及びDENVのペプチドベースのELISA実験で得られたOD値を、まずプール健常ドナーの平均OD値に対して正規化した。正規化された応答が1.01超である場合、患者サンプルを陽性であるとみなした。その後、[(ZIKVペプチド応答-DENVペプチド応答)/DENVペプチド応答]として、正規化した値を用いてペプチド結合能を算出した。正の値を有する結合能は、ZIKVペプチドに対してサンプルが優先的に結合することを意味し、一方、負の値は、対応するDENVペプチドに対して優先的に結合することを意味する。ZIKV患者及びDENV患者のペプチド対(すなわち、相補的な配列を有するZIKV及びDENVのペプチド)の平均ペプチド結合能の差を算出した。相対差が0.1以上であるペプチドは、対象となる差次的なZIKV及びDENVエピトープであると考えられるが、一方、差が0.05以下でありかつペプチド対の間にアミノ酸類似性を共有しているペプチド(表2)は、共通フラビウイルスエピトープであると考えられる。
【0195】
データの可視化及び統計解析
Multi Experiment Viewer(バージョン4.8、Microarray Software Suite TM4,Boston,MA,USA)を用いてヒートマップを作成した。構造の局在化のために、Phyre(バージョン2、Structural Bioinformatics Group,London,UK)55を用いてZIKV prMのシミュレーションを行った。DENV-3 prM、ZIKV E糖タンパク質、DENV-3 E糖タンパク質、ZIKV E糖タンパク質のステム膜貫通ドメイン、DENV-3 E糖タンパク質のステム膜貫通ドメイン、ZIKV NS1、及びDENV-3 NS1の構造を、それぞれ、PDB 3C6E、5JHM、1UZG、5IZ7、3J2P、5K6K、及び4O6Bに基づいてモデル化した。PyMol(Schroedinger,Cambridge,MA,USA)を用いて全ての構造を可視化した。R(バージョン3.3.1;R Foundation for Statistical Computing,Vienna,Austria)のprcomp関数を用いて、患者ごとの抗ペプチドIgG応答のOD値を用いて主成分分析(PCA)を行った。
【0196】
GraphPad Prism(バージョン7.03、San Diego,CA,USA)を用いて統計解析を行った。多重検定についてはボンフェローニ補正を伴う両側マンホイットニーU検定又は多重検定についてはボンフェローニ補正を伴うクラスカル・ワリス検定、及びダンの多重比較検定を用いた事後検定を使用して、任意の統計的有意性を導出した。相関解析は、スピアマンの順位相関を用いて行った。P値が0.05未満の場合を有意であるとみなす。
【0197】
当業者であれば、広く記載されている本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されている実施形態に他の変形及び/又は変更を加えることができることを理解するであろう。例えば、本明細書の記載では、異なる例示的な実施形態の特徴を、異なる例示的な実施形態間で混合、結合、交換、組み込み、採用、改変、包含等してもよい。従って、本実施形態は、全ての観点で例示的なものであり、限定するものではないと考えられる。
【0198】
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【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
用途
本開示では、シンガポールのZIKV患者による抗体及び中和応答を長期的に特性評価した。次いで、シンガポールのZIKV及びDENV患者の抗体によって認識される共通の及び差次的な線状B細胞エピトープを同定した。重要なことに、タイで既にDENV、細菌と診断されていた患者(及び不明の感染者を含む)からの血清を用いて、診断の状況におけるこれら同定されたエピトープの潜在的価値を更に評価した。
【0205】
この本開示は、血清学的検査に基づくフラビウイルス、特にZIKVとDENVとの間の鑑別診断の開発を促進し、患者管理を改善する正確な診断を可能にする。また、この用途は、血清有病率及びワクチン戦略の研究にも更に拡大することができる。
【0206】
方法の実施形態は、有利なことに、ZIKV及び/若しくはDENV等のフラビウイルス感染を正確に識別することができる、又は2つのフラビウイルス感染、例えば、ZIKVとDENVとの間を鑑別することができる適切な血清診断ツールを提供する。
【配列表】