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特許7631250蓄電池車両用充電装置及び蓄電池車両用充電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】蓄電池車両用充電装置及び蓄電池車両用充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250210BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20250210BHJP
   B60L 53/50 20190101ALI20250210BHJP
   B61C 3/00 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
B60L53/30
B60L53/50
H02J7/00 P
B61C3/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022037929
(22)【出願日】2022-03-11
(65)【公開番号】P2023132548
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】503132257
【氏名又は名称】新潟トランシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉内 俊輝
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-179754(JP,A)
【文献】特開2009-292327(JP,A)
【文献】特開2021-118594(JP,A)
【文献】特開平05-095607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0037122(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
B61C 1/00-17/12
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路の終端部分または途中に設けられた蓄電池車両用充電装置であって、
前記線路の上を走行する鉄道車両である蓄電池車両が連結される連結器と、
前記連結器に蓄電池車両が連結されると同時に、前記蓄電池車両充電可能に連結される充電電気連結器と、
前記充電電気連結器と接続され、前記充電電気連結器に直流電力を供給する直流電源と、
を備えることを特徴とする蓄電池車両用充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電池車両用充電装置において、
前記蓄電池車両は、前記充電電気連結器を介して前記直流電源の正極側と接続され、前記線路を介して前記直流電源の負極側と接続されることを特徴とする蓄電池車両用充電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の蓄電池車両用充電装置において
記連結器が設けられる一端側とは反対の他端側に設けられ、前記蓄電池車両との連結時の衝撃を吸収する衝撃吸収器と
記蓄電池車両との連結時に前記蓄電池車両用充電装置を移動可能にするように設けられた複数の車輪と、
を備えることを特徴とする蓄電池車両用充電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の蓄電池車両用充電装置において、
前記蓄電池車両との連結を検知し、かつ、前記蓄電池車両の主回路が停止された後に、前記蓄電池車両への充電を開始する充電制御回路をさらに備える
ことを特徴とする蓄電池車両用充電装置。
【請求項5】
請求項1に記載の蓄電池車両用充電装置において、
前記蓄電池車両への充電完了を検知した後に、前記蓄電池車両との解結を開始させる充電制御回路をさらに備える
ことを特徴とする蓄電池車両用充電装置。
【請求項6】
線路の終端部分または途中に設けられた蓄電池車両用充電装置と、
線路の上を走行する鉄道車両であって前記蓄電池車両用充電装置によって充電される蓄電池を有する蓄電池車両と、を備える蓄電池車両用充電システムであって、
前記蓄電池車両用充電装置は、
前記蓄電池車両が連結される連結器と、
前記連結器に蓄電池車両が連結されると同時に、前記蓄電池車両に充電可能に連結される充電電気連結器と、を備え、
前記蓄電池車両は、
前記蓄電池車両用充電装置の前記連結器と連結される車両側連結器と、
前記蓄電池車両用充電装置の前記充電電気連結器と連結される車両側充電電気連結器とを備えることを特徴とする蓄電池車両用充電システム。
【請求項7】
車止めと、
前記車止めに設けられ、蓄電池車両が連結される連結器と、
前記連結器に隣接して前記車止めに設けられ、前記蓄電池車両が充電可能に連結される充電電気連結器と、
前記充電電気連結器と接続され、前記充電電気連結器に直流電力を供給する直流電源と、
前記車止めの前記連結器が設けられる一端側とは反対の他端側に設けられ、前記蓄電池車両との連結時の衝撃を吸収する衝撃吸収器と、
前記車止めの下部において、前記蓄電池車両との連結時に前記車止めが移動可能に設けられた複数の車輪と、
を備えることを特徴とする蓄電池車両用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池車両用充電装置及び蓄電池車両用充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界規模の環境問題の最優先課題として、CO2(二酸化炭素)削減が世界中で取り組まれている。こうした中、全世界において、2030~2050年を目標として、化石燃料使用車両をゼロにする活動が活発化してきている。このような、いわゆる脱炭素社会を実現するにあたって、ディーゼルエンジンが用いられている鉄道車両が少なくなってきており、電気エネルギーが用いられる鉄道車両に置き換わってきている。
【0003】
電気エネルギーが用いられる鉄道車両に電力を給電する手段としては、例えば、パンタグラフを介して架線から給電する給電システムや、地下鉄などの場合、レール脇に設置された第三軌条等から給電する給電システムなどが用いられている。
【0004】
しかし、このような給電システムによって電力が供給される鉄道車両は、架線や第三軌条等の無い場所では給電することができないため、このような場所では、電気エネルギーが用いられる鉄道車両として、二次電池等を備える蓄電池車両が用いられている。
【0005】
そして、このような架線や第三軌条等が敷設されていない線路において、蓄電池車両等の鉄道車両にエネルギーを供給する技術として、例えば、駅等にエネルギーステーションを備える鉄道エネルギー補給システムが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-238652号公報
【文献】特開2012-019687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、蓄電池車両が走行する架線や第三軌条等が敷設されていない路線は、短い区間で単線かつ1~2両編成であることも多く、多くの収益が見込めない場合も多いことから、多くのコストをかけることが出来ない場合も多い。
【0008】
しかしながら、上記の鉄道エネルギー補給システムを用いた場合、例えば、駅等に新たに大規模なエネルギーステーション等の充電設備を設置又は建設する必要があり、当該駅等には、架線設備等も設置又は建設する必要があった。また、蓄電池車両にも、このようなエネルギーステーションの架線等から給電を受けるため、パンタグラフ等の受電装置を新たに設ける必要があった。このため、上記の鉄道エネルギー補給システムを用いた場合、蓄電池車両が走行する路線におけるコストが増大する恐れがあった。
【0009】
そこで、本件開示は、既存の設備や機器を利用した簡易な構成を用いることで、コストを増大させずに蓄電池車両に充電可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様に係る蓄電池車両用充電装置は、線路の終端部分または途中に設けられた蓄電池車両用充電装置であって、線路の上を走行する鉄道車両である蓄電池車両が連結される連結器と、連結器に蓄電池車両が連結されると同時に、蓄電池車両充電可能に連結される充電電気連結器と、充電電気連結器と接続され、充電電気連結器に直流電力を供給する直流電源と、を備える。
【0011】
一態様に係る蓄電池車両用充電装置において、蓄電池車両は、充電電気連結器を介して直流電源の正極側と接続され、線路を介して直流電源の負極側と接続されてもよい。
【0012】
一態様に係る蓄電池車両用充電装置において、連結器が設けられる一端側とは反対の他端側に設けられ、蓄電池車両との連結時の衝撃を吸収する衝撃吸収器と、蓄電池車両との連結時に蓄電池車両用充電装置を移動可能にするように設けられた複数の車輪と、を備えてよい。
【0013】
一態様に係る蓄電池車両用充電装置において、蓄電池車両との連結を検知し、かつ、蓄電池車両の主回路が停止された後に、蓄電池車両への充電を開始する充電制御回路をさらに備えてもよい。
【0014】
一態様に係る蓄電池車両用充電装置において、蓄電池車両への充電完了を検知した後に、蓄電池車両との解結を開始させる充電制御回路をさらに備えてもよい。
【0015】
一態様に係る蓄電池車両用充電システムは、線路の終端部分または途中に設けられた蓄電池車両用充電装置と、線路の上を走行する鉄道車両であって蓄電池車両用充電装置によって充電される蓄電池を有する蓄電池車両と、を備える蓄電池車両用充電システムであって、蓄電池車両用充電装置は、蓄電池車両が連結される連結器と、連結器に蓄電池車両が連結されると同時に、蓄電池車両に充電可能に連結される充電電気連結器と、を備え、蓄電池車両は、蓄電池車両用充電装置の連結器と連結される車両側連結器と、蓄電池車両用充電装置の充電電気連結器と連結される車両側充電電気連結器と、を備える。
【0016】
一態様に係る蓄電池車両用充電装置は、車止めと、車止めに設けられ、蓄電池車両が連結される連結器と、連結器に隣接して車止めに設けられ、蓄電池車両が充電可能に連結される充電電気連結器と、充電電気連結器と接続され、充電電気連結器に直流電力を供給する直流電源と、車止めの連結器が設けられる一端側とは反対の他端側に設けられ、蓄電池車両との連結時の衝撃を吸収する衝撃吸収器と、車止めの下部において、蓄電池車両との連結時に車止めが移動可能に設けられた複数の車輪と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本件開示によれば、既存の設備や機器を利用した簡易な構成を用いることで、コストを増大させずに蓄電池車両に充電可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】蓄電池車両用充電装置及び蓄電池車両用充電システムの一実施形態を示す図である。
図2図1に示す連結器ユニットの構成例を示す図である。
図3図1に示す充電制御回路及び制御回路の構成例を示す図である。
図4図1から図3に示す蓄電池車両用充電装置及び蓄電池車両用充電システムにおける連結時の構成及び動作の一例を示す図である。
図5図4に示す充電制御回路及び制御回路における連結時の構成及び動作の一例を示す図である。
図6図4及び図5に示す蓄電池車両用充電システムの各部における連結時の動作の一例を示すフローチャートである。
図7図1から図6に示す蓄電池車両用充電装置及び蓄電池車両用充電システムにおける充電開始時の構成及び動作の一例を示す図である。
図8図7に示す充電制御回路及び制御回路における充電開始時の構成及び動作の一例を示す図である。
図9図7及び図8に示す蓄電池車両用充電システムの各部における充電開始時の動作の一例を示すフローチャートである。
図10図1から図9に示す蓄電池車両用充電装置及び蓄電池車両用充電システムにおける充電完了時の構成及び動作の一例を示す図である。
図11図10に示す充電制御回路及び制御回路における充電完了時の構成及び動作の一例を示す図である。
図12図10及び図11に示す蓄電池車両用充電システムの各部における充電完了時の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本件開示の蓄電池車両用充電装置及び蓄電池車両用充電システムの一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
<一実施形態の構成例>
図1は、蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1の一実施形態を示す図である。
【0021】
図1に示すとおり、蓄電池車両用充電システム1は、蓄電池車両用充電装置10と、蓄電池車両20とを有する。蓄電池車両用充電システム1において、蓄電池車両用充電装置10と、蓄電池車両20とが連結されると、蓄電池車両用充電装置10は、蓄電池車両20が有する後述の蓄電池21を充電する。
【0022】
蓄電池車両用充電装置10は、車止め11と、連結器ユニット12と、衝撃吸収器13と、壁14と、車輪15と、線路16と、直流電源17と、充電制御回路18とを有する。
【0023】
蓄電池車両用充電装置10は、例えば、終着駅2等に設置され、蓄電池車両20と連結可能な連結器ユニット12を有する。蓄電池車両用充電装置10は、連結器ユニット12を介して、蓄電池車両20が有する後述の連結器ユニット22と連結されると、直流電源17から供給される直流電力を蓄電池車両20が有する蓄電池21に充電する。なお、以下、本実施形態において、蓄電池車両用充電装置10は、単に「充電装置10」とも称される。
【0024】
車止め11は、例えば、鉄道の終着駅2における線路16の終端部分等に設置される。車止め11は、例えば、行き止まりを表す標識や障害物等である。車止め11が設置されるのは、鉄道の終着駅2における線路16の終端部分には限られず、車庫や、途中駅や、駅以外の線路16の終端部分であっても、線路16の途中等であってもよい。線路16の途中等に設置される場合においては、車止め11(充電装置10)は、反対方向に向きを変更可能なものであってもよく、反対側に連結器ユニット12を増設可能なものであってもよい。なお、図1においては、図1中、右側は、終着駅2の線路16の終端部分であり、左側は、蓄電池車両20が終着駅2に入出構するための線路16が延伸している。
【0025】
車止め11は、充電装置10の本体を構成し、図1中、左側に連結器ユニット12を有し、右側に衝撃吸収器13を有する。車止め11は、下端に、線路16を移動(走行)可能な車輪15を有する。なお、本実施形態において、図1中、連結器ユニット12を有する左側を充電装置10(車止め11)の前方とし、衝撃吸収器13を有する右側を充電装置10(車止め11)の後方とする。
【0026】
連結器ユニット12は、例えば、車止め11において、線路16の長手方向における衝撃吸収器13側(後方側)とは反対側である蓄電池車両20側(前方側)に設けられ、蓄電池車両20が有する後述の連結器ユニット22と連結する。連結器ユニット12は、充電装置10と、蓄電池車両20とが連結されると、充電装置10から蓄電池車両20に直流電力を供給し、蓄電池車両20が有する蓄電池21を充電する。なお、連結器ユニット12の構成は、後述するが(図2参照)、図1では、便宜的に後述の連結器31と電気連結器(電連)36とが記載されている。
【0027】
衝撃吸収器13は、例えば、バンパーや弾性体等の公知の緩衝材であり、車止め11の後方と壁14との間に設けられ、蓄電池車両20が充電装置10と連結されるときの衝撃を吸収する。
【0028】
壁14は、例えば、終着駅2の線路16の終端部分に設けられた壁や障害物や駅舎等であり、衝撃吸収器13と接続される。
【0029】
なお、衝撃吸収器13と壁14とは、必須の構成ではなく、例えば、終着駅2ではない途中駅や駅以外の線路16等に充電装置10が設置された場合、これらのいずれか一方又は両方が無くてもよい。この場合、充電装置10は、車止め11の前方部分と後方部分との両方に蓄電池車両20が連結される連結器ユニット12を有しており、直流電源17は、両方の連結器ユニット12と接続されていてもよい。
【0030】
車輪15は、車止め11の下端において、充電装置10が、線路16の上を移動可能(走行可能)に設けられる。車輪15は、例えば、蓄電池車両20と充電装置10とが連結するときに、充電装置10を線路16の上を移動させて衝撃を吸収する。なお、車輪15は、充電装置10を線路16の上を移動させるときに用いられてもよい。また、車輪15は、必須の構成ではなく、車止め11に設けられなくてもよい。
【0031】
線路16は、例えば、蓄電池車両20等の鉄道が走行するためのレールである。なお、本実施形態において、線路16は、「レール16」とも称される。線路16は、直流電源17の負極側と接続され、充電装置10が蓄電池車両20の蓄電池21を充電しているときに、マイナスの電流が流れる。
【0032】
直流電源17は、直流電力を出力する電源であり、例えば、太陽電池や充電池等から出力される電源や、交流電源から供給された交流電力が直流電力に変換されて出力される電源等である。なお、本実施形態において、直流電源17は、「DC(Direct Current)出力17」とも称される。DC出力17は、正極側(+側)が連結器ユニット12と接続され、負極側(-側)がレール16と接続されている。DC出力17は、充電装置10と蓄電池車両20とが連結されたときに蓄電池車両20に直流電力を供給し、蓄電池車両20の蓄電池21を充電する。
【0033】
充電制御回路18は、蓄電池車両20に直流電力を供給する回路である。また、充電制御回路18は、充電装置10の充電動作を統括的に制御する。なお、本実施形態において、充電制御回路18は、「充電装置側充電制御回路18」とも称される。充電制御回路18の構成及び動作は後述する(図3等参照)。
【0034】
蓄電池車両20は、蓄電池21と、連結器ユニット22と、制御回路23とを有する。
【0035】
蓄電池車両20は、例えば、架線の張られていない短い区間かつ単線のローカル路線で運転される、1~2両編成のパンタグラフを有さない鉄道車両である。但し、これには限られず、蓄電池車両20は、架線の張られている路線で運転されるパンタグラフを有する鉄道車両であってもよく、走行区間や編成車両数等も問われない。また、蓄電池車両20は、工事用車両や点検用車両などの旅客用ではない車両や、鉱山等で用いられる特殊車両等であってもよい。なお、本実施形態において、蓄電池車両20は、「鉄道車両20」又は単に「車両20」とも称される。
【0036】
蓄電池21は、例えば、充電が行われることにより繰り返し使用することが可能な二次電池(化学電池)であり、例えば、リチウムイオン電池等である。但し、蓄電池21は、これには限られず、その他の一次電池、二次電池、全個体電池等であってもよい。また、蓄電池21は、電気二重層キャパシタ等の蓄電手段であってもよく、充電が行われることにより繰り返し使用することが可能な蓄電手段であればどのようなものであっても良い。
【0037】
蓄電池21は、充電装置10によって充電され、車両20が走行するときに放電され、後述の主回路60の各構成等(図3等参照)に電力を供給する。蓄電池21は、車両20に複数備えられていてもよく、また、例えば、回生エネルギーや架線等、充電装置10以外からも充電可能なものであってもよい。なお、本実施形態において、蓄電池21は、「主回路蓄電池21」とも称される。
【0038】
連結器ユニット22は、例えば、車両20の長手方向の一端側と他端側とにそれぞれ設けられ、別の車両20の連結器ユニット22と連結される。また、連結器ユニット22は、充電装置10の連結器ユニット12と連結され、連結時に充電装置10から直流電力が供給される。なお、連結器ユニット22は、車両20の一端側又は他端側の片側にのみ設けられていてもよい。連結器ユニット22の構成は、充電装置10が有する連結器ユニット12と同様であり、詳細な構成は、充電装置10が有する連結器ユニット12の構成の説明として後述する(図2参照)。
【0039】
制御回路23は、例えば、蓄電池21が含まれる後述の主回路60及び充電制御回路70を有し(図3等参照)、車両20の動作や、蓄電池21の充電及び放電動作を統括的に制御する。なお、制御回路23の構成及び動作は後述する(図3以降参照)。
【0040】
図2は、図1に示す連結器ユニット12の構成例を示す図である。図2では、連結器ユニット12の連結面を前方側から見た様子が示されている。
【0041】
なお、上述のとおり、車両20が有する連結器ユニット22も、充電装置10が有する連結器ユニット12と同様の構成を有する。このため、ここでは、充電装置10が有する連結器ユニット12について説明する。充電装置10側の連結器ユニット12と、車両20側の連結器ユニット22とにおいて、同一又は同様の構成については同一の符号を付し、重複説明は割愛する。
【0042】
連結器ユニット12は、連結器31と、制御電気連結器32aと、制御電気連結器32bと、ブレーキ管33と、元空気管34と、充電電気連結器35aと、充電電気連結器35bを有する。
【0043】
なお、本実施形態において、制御電気連結器32aと、制御電気連結器32bとは、これらをまとめて、「制御電気連結器(制御電連)32」とも称される。また、本実施形態において、充電電気連結器35aと、充電電気連結器35bとは、これらをまとめて「充電電気連結器(充電電連)35」とも称される。また、本実施形態において、制御電気連結器(制御電連)32と、充電電気連結器(充電電連)35とは、これらをまとめて「電気連結器(電連)36」とも称される。
【0044】
連結器31は、一般に、鉄道車両同士を結合し、牽引時の引張力・推進時の圧縮力を伝達する装置である。連結器31は、例えば、正面視において、箱形の突起31aと正方形の穴31bとを有する形状の密着連結器等である。本実施形態においては、充電装置10が有する連結器31と、車両20が有する連結器31とは、互いに連結可能な形状を有し、充電装置10と車両20とを機械的に連結させる。
【0045】
制御電気連結器32は、一般に、鉄道車両の電気的結合を目的として、車両間の各種機器(例えば、力行、ブレーキ、車内放送、空調、モニタ装置等)の制御信号を伝達するための接続器(コネクタ)である。制御電気連結器32は、例えば、連結器31の直下に設けられ、連結されていない状態では電極保護のためカバーが掛かっており、連結時にはお互いのカバーを開く棒が押し込まれて自動的にカバーが開かれて電極が接触する。本実施形態においては、充電装置10が有する制御電気連結器32と、車両20が有する制御電気連結器32とも、互いに連結可能な形状を有し、充電装置10と車両20とを電気的に連結させる。なお、本実施形態において、制御電気連結器32は、「制御電連32」とも称される。
【0046】
充電装置10における連結器ユニット12は、図2においては、制御電連32aと、制御電連32bとの上下2段の制御電連32を有しているが、これには限られず、1段の制御電連32(32a)のみ有していてもよい。また、車両20における連結器ユニット22は、車両20の型式等によって、制御電連32の数が相違するため、充電装置10における連結器ユニット12は、連結される車両20の型式によって、制御電連32の数を相違させてもよい。また、充電装置10における連結器ユニット12は、いずれの型式の車両20でも連結可能な形状であってもよく、いずれの型式の車両20でも連結可能に変形可能なものでも、各構成が着脱可能なものであってもよい。
【0047】
ブレーキ管33は、一般に、自動空気ブレーキ用の圧縮空気を供給するために、車両に通されたブレーキ制御用空気配管である。なお、本実施形態において、ブレーキ管33は、「BP(Brake Pipe)33」とも称される。本実施形態において、充電装置10が有するBP33と、車両20が有するBP33とは、互いに接続可能な形状を有する。
【0048】
元空気管34は、元空気溜管とも称されるものであり、一般に、空気圧供給専用の配管を編成全体に引き通すことで、車両の空気源を繋ぎ、頻繁なブレーキ操作に伴うブレーキ力の低下を阻止する。なお、本実施形態において、元空気管34は、「MR(Main Reservoir Pipe)34」とも称される。本実施形態において、充電装置10が有するMR34と、車両20が有するMR34とは、互いに接続可能な形状を有する。
【0049】
充電電気連結器35は、充電装置10から車両20へ、又は車両20間で電力を供給するための接続器(コネクタ)である。すなわち、本実施形態において、充電装置10が有する充電電気連結器35と、車両20が有する充電電気連結器35とは、互いに接続可能な形状を有する。なお、本実施形態において、充電電気連結器35は、「充電電連35」とも称される。
【0050】
充電電連35は、車両20には車両限界があり、制御電連32の下部のスペースが限られていることから、例えば、車両20の長手方向に直交する方向において、連結器31の横(水平)方向に連結器31に隣接して設けられる。また、充電中、充電電連35には、例えば、大電流が流れることがあるため、充電電連35が1つの場合、過電圧・過電流等により、接点が焼けてしまう可能性がある。このため、充電電連35は、複数設けられてもよい。
【0051】
図2に示す例では、充電電連35は、充電電連35aと充電電連35bとの2つ設けられている。なお、図2に示すとおり、複数の充電電連35aと充電電連35bとは、絶縁距離を稼ぐために、例えば、横(水平)方向に、連結器31を挟んで設けられてもよい。充電電連35aと充電電連35bとは、同一の構成や規格のものであっても良く、異なる構成や規格のものであっても良く、着脱可能なものであっても良い。
【0052】
なお、複数の充電電連35aと充電電連35bとの一方にプラスの電流を流し、他方にマイナスの電流を流す場合、両者にプラスの電流を流す場合よりも絶縁距離を稼ぐ必要がある。このため、本実施形態では、充電電連35は、すなわち複数の充電電連35aと充電電連35bとはいずれも、DC出力17の正極側(+側)と接続される。これにより、充電装置10が車両20の蓄電池21を充電しているときは、充電電連35には、プラスの電流が流れる。一方、充電中、マイナスの電流は、後述の歯車接地装置(GB)63を介して、レール16を流れる(図1参照)。これにより、例えば、500V~700Vなどの高電圧がかかっても、絶縁距離を稼ぐことが出来、また、感電を抑制することも出来る。
【0053】
なお、上述のとおり、本実施形態において、制御電連32と、充電電連35とは、これらをまとめて「電気連結器(電連)36」とも称される。
【0054】
車両20における連結器ユニット22は、通常は、上記の全ての構成を備えているが、充電装置10における連結器ユニット12は、少なくとも、連結器31と、電連36(制御電連32及び充電電連35)とを備えていれば、上記の全ての構成を備えなくてもよい。例えば、充電装置10における連結器ユニット12は、BP33や、MR34を備えていなくてもよい。なお、車両20における連結器ユニット22も、BP33や、MR34を備えていなくてもよい。
【0055】
なお、図2に示す充電装置10における連結器ユニット12の各構成要素の配置や数は一例であり、各構成要素の配置や数は、これには限られない。車両20における連結器ユニット22も同様である。
【0056】
本実施形態の蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1は、車両20には必ず連結器31(連結器ユニット22)が存在するため、車止め11にも連結器31(連結器ユニット12)を設けてこれを充電装置10として利用することとした。本実施形態によれば、既存の設備や機器として存在する車止め11や連結器31を利用した簡易な構成を用いることで、コストを増大させずに車両20に充電可能な技術を提供することができる。
【0057】
図3は、図1に示す充電制御回路18及び制御回路23の構成例を示す図である。図3において、中央の縦線の右側は、充電装置10の充電制御回路18の構成例を示し、中央の縦線の左側は、車両20の制御回路23の構成例を示す。なお、図3では、車両20が終着駅2に入構してきた後であって、充電装置10と車両20とが接続される前の状態(図1に示す状態)が示されている。
【0058】
図3に示すとおり、充電装置10の充電制御回路18は、DC出力17と、電連36と、電線41と、CHK・PSK投入指令線42と、CHK・PSK釈放指令線43と、連結検知信号線44と、連結検知信号線45とを有する。
【0059】
DC出力17及び電連36は、図1及び図2で説明したため、詳細な説明を省略する。なお、図3では、模式的に電連36の外部に描かれているが、実際は、電線41は、電連36中の充電電連35と接続されている。また、CHK・PSK投入指令線42と、CHK・PSK釈放指令線43と、連結検知信号線44と、連結検知信号線45とは、実際は、電連36中の制御電連32と接続されている。
【0060】
電線41は、充電接触器(PSK)52を介して、DC出力17と、電連36とを接続する。電線41は、充電装置10のDC出力17の正極側(+側)と接続され、DC出力17から電連36を介して車両20に直流電力を供給する。
【0061】
CHK・PSK投入指令線42は、充電接触器(CHK・PSK)の投入指令信号を充電装置10と車両20との間で伝送する信号線である。
【0062】
CHK・PSK釈放指令線43は、充電接触器(CHK・PSK)の釈放指令信号を充電装置10と車両20との間で伝送する信号線である。
【0063】
連結検知信号線44,45は、充電装置10と車両20との連結検知信号を充電装置10と車両20との間で伝送する信号線である。
【0064】
また、図3に示すとおり、充電装置10の充電制御回路18は、充電装置電源サーキットブレーカー(CB)51と、充電接触器(PSK)52と、連結検知継電器(CUDR)53とを有する。また、充電制御回路18は、接触器投入指令スイッチ(K投入SW)54と、接触器釈放指令スイッチ(K釈放SW)55と、充電接触器投入補助継電器(PSKAR)56と、充電接触器釈放補助継電器(PSKCR)57とを有する。
【0065】
充電装置電源サーキットブレーカー(CB)51は、充電制御電源を供給するためのサーキットブレーカー(CB:Circuit Breaker)である。なお、サーキットブレーカーとは、電気回路を開閉し、電流を遮断する遮断器である。充電装置電源サーキットブレーカー51が投入(接続)された状態で、充電装置10の連結器ユニット12と、車両20の連結器ユニット22との(電連36同士の)連結が検知されると、充電制御回路18及び制御回路23に電源が供給される。以下、本実施形態において、充電装置電源サーキットブレーカー51は、「充電装置電源CB51」とも称される。
【0066】
充電接触器(PSK)52は、充電装置10と車両20とが連結した際に投入可能となる接触器である。なお、接触器とは、電動機などの電力機器の起動・停止のために、電力回路を開閉する電力機器である。以下、本実施形態において、充電接触器52は、「PSK52」とも称される。
【0067】
連結検知継電器(CUDR)53は、充電装置10と車両20とが連結した際にオンされる継電器である。なお、継電器とは、リレー(Relay)のことであり、動作スイッチ・物理量・電力機器等の状態に応じ、制御または電源用の電力の出力をする電力機器である。連結検知継電器53は、充電装置10と車両20とが連結されると、コイルが励磁され、a接点(コイルに電流を流すと閉じる接点)がクローズされる。以下、本実施形態において、連結検知継電器53は、「CUDR53」とも称される。
【0068】
接触器投入指令スイッチ(K投入SW)54は、充電接触器(PSK)52を投入させる物理スイッチ(Switch)である。なお、スイッチとは、開閉器のことであり、電力回路・電力機器の正常動作時の電路を開閉(オン/オフ)する電力機器である。接触器投入指令スイッチ54は、例えば、オペレータ等によって押下可能な押ボタン等である。以下、本実施形態において、接触器投入指令スイッチ54は、「K投入SW54」とも称される。
【0069】
接触器釈放指令スイッチ(K釈放SW)55は、充電接触器(PSK)52を釈放させる物理スイッチである。接触器釈放指令スイッチ55は、例えば、オペレータ等によって押下可能な押ボタン等である。以下、本実施形態において、接触器釈放指令スイッチ55は、「K釈放SW55」とも称される。
【0070】
充電接触器投入補助継電器(PSKAR)56は、充電接触器(PSK)52を投入するための補助継電器である。充電接触器投入補助継電器56は、CHK・PSK投入指令線42が加圧されると、コイルが励磁され、a接点がクローズされ、自己保持される。以下、本実施形態において、充電接触器投入補助継電器56は、「PSKAR56」とも称される。
【0071】
充電接触器釈放補助継電器(PSKCR)57は、充電接触器(PSK)52を釈放するための補助継電器である。充電接触器釈放補助継電器57は、CHK・PSK釈放指令線43が加圧されると、コイルが励磁され、b接点(コイルに電流を流すと開く接点)がオープンされ、自己保持が解除される。以下、本実施形態において、充電接触器釈放補助継電器57は、「PSKCR57」とも称される。
【0072】
また、図3の左側に示すとおり、車両20の制御回路23は、図3の左上に示す主回路60と、図3の左下に示す充電制御回路70とを有する。なお、本実施形態において、充電制御回路70は、「車両側充電制御回路70」とも称される。
【0073】
車両20の制御回路23における主回路60は、主回路蓄電池(蓄電池)21と、可変電圧可変周波数制御(VVVF)インバータ装置61と、三相誘導電動機(IM)62と、歯車接地装置(GB)63と、静止形インバータ装置(SIV)64とを有する。また、主回路60は、分岐電線65と、正極側電線66と、負極側電線67とを有する。
【0074】
主回路蓄電池(蓄電池)21は、図1及び図2で説明したため、詳細な説明を省略する。なお、蓄電池21は、正極側(+側)が、分岐電線65及び充電接触器(CHK)76を介して電線41と接続されている。また、蓄電池21は、負極側(-側)が、歯車接地装置(GB)63を介してレール16に接地され、レール16を介してDC出力17と接続されている。
【0075】
可変電圧可変周波数制御(VVVF)インバータ装置61は、車両20の駆動用モータの回転を可変電圧可変周波数制御(VVVF:Variable Voltage Variable Frequency control)で制御するインバータ装置である。なお、インバータ装置とは、半導体素子を用いて直流電力を交流電力に変換する装置である。以下、本実施形態において、可変電圧可変周波数制御インバータ装置61は、「VVVF61」とも称される。
【0076】
三相誘導電動機(IM)62は、車両20の駆動用モータとして使用される三相誘導電動機(IM:Induction Motor)である。以下、本実施形態において、三相誘導電動機62は、「IM62」とも称される。
【0077】
歯車接地装置(GB)63は、IM62が配置されている歯車装置よりレール16に接地するための接地装置である。以下、本実施形態において、歯車接地装置63は、「GB(Gear Box)63」とも称される。
【0078】
静止形インバータ装置(SIV)64は、高電圧の直流及び交流を直流・交流に変換する、半導体素子を用いた車両20の補助電源装置である。本実施形態では、静止形インバータ装置64は、蓄電池21から取得した直流電力を、AC440V、AC100V、DC24V、DC100Vに変換し、例えば、制御、クーラー、圧縮空気、ワイパー、乗客用電源等に供給する。以下、本実施形態において、静止形インバータ装置64は、「SIV(Static Inverter)64」とも称される。
【0079】
分岐電線65は、充電接触器(CHK)72を介して、正極側電線66と、電線41とを接続する。
【0080】
正極側電線66は、直流接触器(LB)71を介して、蓄電池21と、VVVF61及びSIV64とを接続する。また、正極側電線66は、分岐電線65及び充電接触器(CHK)76を介して、蓄電池21と、電線41とを接続する。
【0081】
負極側電線67は、蓄電池21と、VVVF61及びSIV64とを接続する。また、負極側電線67は、GB63及びレール16を介して、蓄電池21と、DC出力17とを接続する。
【0082】
また、図3に示すとおり、車両20の制御回路23における充電制御回路70は、電連36と、電線41と、CHK・PSK投入指令線42と、CHK・PSK釈放指令線43と、連結検知信号線44と、連結検知信号線45とを有する。なお、充電制御回路70が有するこれらの構成は、いずれも、充電装置10の充電制御回路18が有する同一符号の構成と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0083】
また、図3に示すとおり、車両20の制御回路23における充電制御回路70は直流接触器(LB)71と、充電接触器(CHK)72と、連結検知継電器(CUDR)73と、接触器投入指令スイッチ(K投入SW)74とを有する。また、充電制御回路70は、接触器釈放指令スイッチ(K釈放SW)75と、充電接触器投入補助継電器(CHKAR)76と、充電接触器釈放補助継電器(CHKCR)77と、直流接触器補助接点(LB補助接点)78とを有する。
【0084】
直流接触器(LB)71は、可変電圧可変周波数制御(VVVF)インバータ装置61の駆動時にクローズされる接触器である。以下、本実施形態において、直流接触器71は、「LB71」とも称される。
【0085】
充電接触器(CHK)72は、充電装置10と車両20とが連結した際に投入可能になる接触器である。以下、本実施形態において、充電接触器72は、「CHK72」とも称される。
【0086】
連結検知継電器(CUDR)73は、充電装置10と車両20とが連結された際にオンされる継電器である。連結検知継電器73は、充電装置10と車両20とが連結されると、コイルが励磁され、a接点がクローズされる。以下、本実施形態において、連結検知継電器73は、「CUDR73」とも称される。
【0087】
接触器投入指令スイッチ(K投入SW)74は、充電接触器(CHK)72を投入させる物理スイッチ(Switch)である。接触器投入指令スイッチ74は、例えば、オペレータ等によって押下可能な押ボタン等である。以下、本実施形態において、接触器投入指令スイッチ74は、「K投入SW74」とも称される。
【0088】
接触器釈放指令スイッチ(K釈放SW)75は、充電接触器(CHK)72を釈放させる物理スイッチである。接触器釈放指令スイッチ75は、例えば、オペレータ等によって押下可能な押ボタン等である。以下、本実施形態において、接触器釈放指令スイッチ75は、「K釈放SW75」とも称される。
【0089】
充電接触器投入補助継電器(CHKAR)76は、充電接触器(CHK)72を投入するための補助継電器である。充電接触器投入補助継電器76は、CHK・PSK投入指令線42が加圧されると、コイルが励磁され、a接点がクローズされ、自己保持される。以下、本実施形態において、充電接触器投入補助継電器76は、「CHKAR76」とも称される。
【0090】
充電接触器釈放補助継電器(CHKCR)77は、充電接触器(CHK)72を釈放するための補助継電器である。充電接触器釈放補助継電器77は、CHK・PSK釈放指令線43が加圧されると、コイルが励磁され、b接点がオープンされ、自己保持が解除される。以下、本実施形態において、充電接触器釈放補助継電器77は、「CHKCR77」とも称される。
【0091】
直流接触器補助接点(LB補助接点)78は、直流接触器(LB)71がオープンのときにクローズとなる補助接点である。以下、本実施形態において、直流接触器補助接点78は、「LB補助接点78」とも称される。
【0092】
以上、図3を用いて、図1に示す充電制御回路18及び制御回路23の構成例について説明したが、図3に示した回路は、本実施形態の一例であり、図3に示した回路と同様の機能を有するものであれば、別の回路であってもよい。
【0093】
また、図3に示した回路と同様の機能を有するものであれば、回路によって実現されるものには限られず、別の形態で実現されるものであっても良い。例えば、図3に示した回路と同様の機能は、不図示の記憶部に記憶された所定のプログラムが実行されることにより実現されるものであってもよい。そして、当該機能は、不図示の制御装置等が有する演算処理装置が実行するプログラムにより実現されてもよく、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0094】
<一実施形態における連結時の動作例>
次に、本実施形態の蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1における連結時の動作例について説明する。
【0095】
図4は、図1から図3に示す蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1における連結時の構成及び動作の一例を示す図である。図5は、図4に示す充電制御回路18及び制御回路23における連結時の構成及び動作の一例を示す図である。図6は、図4及び図5に示す蓄電池車両用充電システム1の各部における連結時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0096】
以下、図6のフローチャートについて、図4及び図5を参照しながら説明する。図6のフローチャートは、図4に示すように、車両20が終着駅2に到着し、充電装置10の連結器ユニット12と、車両20の連結器ユニット22とが(電連36同士が)連結されたときに開始される。
【0097】
ステップS1において、充電装置電源サーキットブレーカー(CB)51が投入(接続)された状態で、充電装置10の連結器ユニット12と車両20の連結器ユニット22との(電連36同士の)連結が検知されると、太線に電源が供給される。
【0098】
ステップS2において、連結検知信号線44,45が加圧され、車両20側の連結検知継電器(CUDR)73のコイルと、充電装置10側の連結検知継電器(CUDR)53のコイルとが励磁される。
【0099】
ステップS3において、車両20側の連結検知継電器(CUDR)73のa接点と、充電装置10側の連結検知継電器(CUDR)53のa接点とがクローズされる。
【0100】
<一実施形態における充電開始時の動作例>
次に、本実施形態の蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1における充電開始時の動作例について説明する。
【0101】
図7は、図1から図6に示す蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1における充電開始時の構成及び動作の一例を示す図である。図8は、図7に示す充電制御回路18及び制御回路23における充電開始時の構成及び動作の一例を示す図である。図9は、図7及び図8に示す蓄電池車両用充電システム1の各部における充電開始時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0102】
以下、図9のフローチャートについて、図7及び図8を参照しながら説明する。図9のフローチャートは、図6に示すフローチャートの処理が完了した後に開始される。
【0103】
ステップS11において、可変電圧可変周波数制御インバータ装置(VVVF)61が停止されると、直流接触器(LB)71がオープンとなり、直流接触器補助接点(LB補助接点)78がクローズとなる。
【0104】
ステップS12において、例えば、不図示のオペレータ等により、車両20側の接触器投入指令スイッチ(K投入SW)74、又は充電装置10側の接触器投入指令スイッチ(K投入SW)54が押下される。
【0105】
ステップS13において、CHK・PSK投入指令線42が加圧され、充電接触器投入補助継電器(CHKAR)76のコイルと、充電接触器投入補助継電器(PSKAR)56のコイルとが励磁される。そして、充電接触器投入補助継電器(CHKAR)76のa接点と、充電接触器投入補助継電器(PSKAR)56のa接点とがクローズされ、自己保持される。
【0106】
ステップS14において、充電接触器(CHK)72のコイルと、充電接触器(PSK)52のコイルとが励磁され、充電接触器(CHK)72と、充電接触器(PSK)52とがクローズされる。
【0107】
ステップS15において、例えば、不図示の制御プログラムや不図示のオペレータ等により、直流電源(DC出力)17がオンされると、主回路蓄電池(蓄電池)21への充電が開始される。
【0108】
ステップS16において、主回路蓄電池(蓄電池)21のマイナス側の電流は、歯車接地装置(GB)63を介して、線路(レール)16より、直流電源(DC出力)17に戻される。
【0109】
以上、ステップS1~ステップS16に示したとおり、充電装置10と車両20とが連結され、連結検知が行われ、VVVF61等の主回路60が停止されない限り、充電は行われない。これにより、感電を防止することが出来る。
【0110】
<一実施形態における充電完了時の動作例>
次に、本実施形態の蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1における充電完了時の動作例について説明する。
【0111】
図10は、図1から図9に示す蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1における充電完了時の構成及び動作の一例を示す図である。図11は、図10に示す充電制御回路18及び制御回路23における充電完了時の構成及び動作の一例を示す図である。図12は、図10及び図11に示す蓄電池車両用充電システム1の各部における充電完了時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0112】
以下、図12のフローチャートについて、図10及び図11を参照しながら説明する。図12のフローチャートは、図9に示すフローチャートの処理が完了した後に開始される。
【0113】
ステップS21において、充電装置10から車両20への充電が完了すると、直流電源(DC出力)17の出力が停止される。なお、直流電源(DC出力)17の出力は、自動で停止されても、手動で停止されてもよい。
【0114】
ステップS22において、例えば、不図示のオペレータ等により、車両20側の接触器釈放指令スイッチ(K釈放SW)75、又は充電装置10側の接触器釈放指令スイッチ(K釈放SW)55が押下される。
【0115】
ステップS23において、CHK・PSK釈放指令線43が加圧され、充電接触器釈放補助継電器(CHKCR)77のコイルと、充電接触器釈放補助継電器(PSKCR)57のコイルとが励磁される。そして、充電接触器釈放補助継電器(CHKCR)77のb接点と、充電接触器釈放補助継電器(PSKCR)のb接点とがオープンされ、自己保持が解除される。
【0116】
ステップS24において、充電接触器(CHK)72のコイルと、充電接触器(PSK)52のコイルとが消磁となり、充電接触器(CHK)72と、充電接触器(PSK)52とがオープンされる。
【0117】
ステップS25において、充電装置10の連結器ユニット12と、車両20の連結器ユニット22との(電連36同士の)連結が解除(解結)される。そして、直流接触器(LB)71がクローズとなり、直流接触器補助接点(LB補助接点)78がオープンとなり、可変電圧可変周波数制御インバータ装置(VVVF)61が駆動して、車両20が発車される。
【0118】
ステップS21~ステップS25に示したとおり、充電が完了し、充電完了の検知が行われない限り、充電装置10と車両20とは連結が解除(解結)されない。これにより、感電を防止することが出来る。
【0119】
以上、図4から図12を用いて、蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1の構成及び動作の一例について説明した。しかし、これらの構成及び動作は、本実施形態の一例であり、図4から図12に示したものと同様の機能を有するものであれば、別の構成が用いられ、又は別の動作が行われてもよい。
【0120】
<一実施形態の作用効果>
以上、図1から図12に示す実施形態によれば、充電装置10は、車止め11と、車両20が連結される連結器31と、車両20が充電可能に連結される充電電連35と、充電電連35に直流電力を供給するDC出力17とを備える。すなわち、図1から図12に示す実施形態は、車両20には必ず連結器31(連結器ユニット22)が存在するため、車止め11にも連結器31(連結器ユニット12)を設けてこれを充電装置10として利用することとした。これにより、既存の設備や機器として存在する車止め11や連結器31を利用した簡易な構成を用いることで、コストを増大させずに車両20に充電可能な技術を提供することができる。
【0121】
また、図1から図12に示す実施形態によれば、充電装置10は、連結器31が設けられる一端側とは反対の他端側に、衝撃吸収器13が設けられ、下部には、複数の車輪15が設けられている。これにより、充電装置10と車両20との連結時の衝撃を吸収することが出来る。また、車輪15が設けられたことにより、充電装置10を別の駅や、線路16の別の場所に移動することもできる。
【0122】
また、図1から図12に示す実施形態によれば、充電装置10は、充電電連35は、連結器を挟んだ横(水平)方向に2個所設けられる。これにより、制御電連32の設けられる縦方向のスペースを確保することが出来るとともに、充電電連35に大電流が流れても接点が焼けることを抑制することができ、かつ絶縁距離を稼ぐことが出来る。
【0123】
また、図1から図12に示す実施形態によれば、充電装置10は、車両20との連結を検知し、車両20のVVVF61等の主回路60が停止された後に、車両20への充電を開始する。これにより、感電を防止することが出来る。
【0124】
また、図1から図12に示す実施形態によれば、充電装置10は、車両20への充電完了を検知した後に、車両20との解結を開始する。これにより、感電を防止することが出来る。
【0125】
また、図1から図12に示す実施形態によれば、蓄電池車両用充電システム1は、上記の何れかの充電装置10と、車両20とを備え、車両20は、充電装置10が連結される連結器31及び充電電連35と、充電電連35によって充電される蓄電池21とを備える。これにより、既存の設備や機器である車止め11や連結器31を利用した簡易な構成を用いることで、コストを増大させずに車両20に充電することができる。
【0126】
また、図1から図12に示す実施形態によれば、車両20は、線路16の上を走行する鉄道車両20であり、鉄道車両20は、充電電連35を介してDC出力17の正極側と接続され、線路16を介してDC出力17の負極側と接続される。これにより、例えば、大電流が流れ、又は高電圧がかかっても、絶縁距離を稼ぐことが出来、また、感電を抑制することが出来る。
【0127】
<実施形態の補足事項>
以上、図1から図12に示す実施形態によれば、図4から図12で説明した構成及び動作により、充電装置10は、車両20との連結を検知し、車両20の主回路60が停止された後に、車両20への充電を開始する。また、充電装置10は、車両20への充電完了を検知した後に車両20との解結を開始する。しかし、これには限られず、感電を防止することが出来れば、例えば、充電制御回路18や制御回路23等で、別の構成が用いられ、又は動作が行われてもよい。
【0128】
また、図1から図12に示す実施形態によれば、本件開示の一態様として、蓄電池車両用充電装置10及び蓄電池車両用充電システム1を例に説明したが、蓄電池車両用充電方法としても、実現可能である。
【0129】
また、本件開示は、蓄電池車両用充電方法における処理ステップをコンピュータに実行させる蓄電池車両用充電プログラムとしても実現可能である。
【0130】
また、本件開示は、上記の蓄電池車両用充電プログラムが記憶された記憶媒体(非一時的なコンピュータ可読媒体)としても実現可能である。蓄電池車両用充電プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)あるいはDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のリムーバブルディスク等に記憶して頒布することができる。なお、蓄電池車両用充電プログラムは、充電制御回路18又は制御回路23等が有する不図示のネットワークインタフェース等を介してネットワーク上にアップロードされてもよく、ネットワークからダウンロードされ、メモリ等に格納されてもよい。
【0131】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0132】
1…蓄電池車両用充電システム;2…終着駅;10…蓄電池車両用充電装置(充電装置);11…車止め;12…連結器ユニット;13…衝撃吸収器;14…壁;15…車輪;16…線路(レール);17…直流電源(DC出力);18…充電制御回路(充電装置側充電制御回路);20…蓄電池車両(車両、鉄道車両);21…蓄電池(主回路蓄電池);22…連結器ユニット;23…制御回路;31…連結器;31a…突起;31b…穴;32,32a,32b…制御電気連結器(制御電連);33…ブレーキ管(BP);34…元空気管(元空気溜管、MR);35,35a,35b…充電電気連結器(充電電連);36…電気連結器(電連);41…電線;42…CHK・PSK投入指令線;43…CHK・PSK釈放指令線;44…連結検知信号線;45…連結検知信号線;51…充電装置電源サーキットブレーカー(充電装置電源CB);52…充電接触器(PSK);53…連結検知継電器(CUDR);54…接触器投入指令スイッチ(K投入SW);55…接触器釈放指令スイッチ(K釈放SW);56…充電接触器投入補助継電器(PSKAR);57…充電接触器釈放補助継電器(PSKCR);60…主回路;61…可変電圧可変周波数制御インバータ装置(VVVF)62…三相誘導電動機(IM);63…歯車接地装置(GB);64…静止形インバータ装置(SIV);65…分岐電線;66…正極側電線;67…負極側電線;70…充電制御回路;71…直流接触器(LB);72…充電接触器(CHK);73…連結検知継電器(CUDR);74…接触器投入指令スイッチ(K投入SW);75…接触器釈放指令スイッチ(K釈放SW);76…充電接触器投入補助継電器(CHKAR);77…充電接触器釈放補助継電器(CHKCR);78…直流接触器補助接点(LB補助接点)
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