(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】ヒーターアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/16 20060101AFI20250210BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20250210BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
H05B3/16
A24F40/46
H05B3/20 312
H05B3/20 317
(21)【出願番号】P 2022513927
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2020074149
(87)【国際公開番号】W WO2021043691
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-19
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】リーベル,トニー
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ガルシア,エドゥアルド・ホセ
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0097133(US,A1)
【文献】特開2017-127324(JP,A)
【文献】特開昭49-004149(JP,A)
【文献】特開昭60-099634(JP,A)
【文献】特開昭61-144523(JP,A)
【文献】国際公開第88/010058(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/055660(WO,A2)
【文献】特開2010-175494(JP,A)
【文献】特開2016-031820(JP,A)
【文献】特開2004-296358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/16
A24F 40/46
H05B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成装置用のヒーターアセンブリであって、前記ヒーターアセンブリは、
可撓性加熱要素と、
温度センサと、
可撓性誘電体バッキング膜であって、前記可撓性誘電体バッキング膜の表面上に接着剤を有する、可撓性誘電体バッキング膜と、を備え、前記温度センサ及び前記可撓性加熱要素は、前記可撓性誘電体バッキング膜の前記表面上の前記接着剤上で互いに隣接して支持されており、
前記温度センサは、温度センサヘッドと、前記温度センサヘッドからの信号を伝達するように構成された電気接続部とを備え、前記温度センサヘッドは温度依存抵抗を有するビードを備
え、
前記可撓性加熱要素、前記温度センサ、及び前記可撓性誘電体バッキング膜を併せて薄膜ヒーターサブアセンブリと称することができ、前記ヒーターアセンブリは、
加熱チャンバを更に備え、前記薄膜ヒーターサブアセンブリは、管状の前記チャンバの表面の周りに巻き付けられており、前記温度センサは前記加熱チャンバに隣接して保持されている、ヒーターアセンブリ。
【請求項2】
前記可撓性誘電体バッキング膜に対向して前記加熱要素を少なくとも部分的に取り囲む第2の可撓性誘電体膜を更に備え、前記温度センサの少なくとも一部分が前記可撓性誘電体バッキング膜と前記第2の可撓性誘電体膜との間に配置されている、請求項1に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項3】
前記第2の可撓性誘電体膜は、前記可撓性誘電体バッキング膜に対向する熱収縮材料の層を備える、請求項2に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項4】
前記可撓性誘電体バッキング膜はエッジ領域を備え、前記エッジ領域は、前記エッジ領域自身の上に、又は前記第2の可撓性誘電体膜の上に折り重ねられて、折り目内で前記温度センサを少なくとも部分的に取り囲む、請求項2又は3に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項5】
前記温度センサヘッドは、可撓性誘電体バッキング膜と前記第2の可撓性誘電体膜との間に取り囲まれている、請求項2~4のいずれか一項に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項6】
前記可撓性誘電体バッキング膜は、前記可撓性誘電体バッキング膜内に開口部又は貫通穴を備え、前記温度センサは、前記温度センサヘッドが前記開口部又は前記貫通穴上に位置して、前記可撓性誘電体バッキング膜を通し前記可撓性誘電体バッキング膜の前記可撓性加熱要素が配置された側とは反対側に露出されている、請求項2~4のいずれか一項に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項7】
前記加熱要素は平面状の加熱要素であり、前記加熱要素は、加熱の平面内の加熱領域にわたり曲がりくねった経路をたどるヒータートラックと、電源への接続のための2つの接触脚部であって、前記加熱要素の前記平面内の前記ヒータートラックから離れるように延びている、接触脚部と、を備え、
前記加熱要素の少なくとも前記加熱領域は、前記可撓性誘電体バッキング膜と前記第2の可撓性誘電体膜との間に取り囲まれている、請求項2~6のいずれか一項に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項8】
前記ヒータートラックの曲がりくねった経路は、前記可撓性誘電体バッキング膜上に、前記加熱要素によって占められていない空き領域を残すように形作られており、前記温度センサは、前記接着剤により、前記可撓性誘電体バッキング膜の前記空き領域に保持されている、請求項7に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項9】
前記電気接続部は、細長い電気接続部を構成し、前記細長い電気接続部は、前記加熱要素の前記接触脚部と実質的に同じ方向に向けられている、請求項7又は8に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項10】
前記可撓性誘電体バッキング膜は、前記可撓性加熱要素を支持する第1の膜片と、前記温度センサを支持する第2の膜片とを備え、前記第1の膜片は前記第2の膜片に取り付けられている、請求項1に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項11】
前記可撓性誘電体バッキング膜はポリイミドを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項12】
前記可撓性誘電体バッキング膜はPTFEを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項13】
前記加熱チャンバは前記加熱チャンバの外面上に1つ以上の窪みを備え、前記温度センサの少なくとも一部が窪み内に配置されるように、前記薄膜ヒーターサブアセンブリが前記加熱チャンバの周りに巻き付けられている、請求項
1から12のいずれか一項に記載のヒーターアセンブリ。
【請求項14】
エアロゾル生成装置用のヒーターアセンブリであって、前記ヒーターアセンブリは、
可撓性加熱要素と、
温度センサと、
可撓性誘電体バッキング膜であって、前記可撓性誘電体バッキング膜の表面上に接着剤を有する、可撓性誘電体バッキング膜と、を備え、前記温度センサ及び前記可撓性加熱要素は、前記可撓性誘電体バッキング膜の前記表面上の前記接着剤上で互いに隣接して支持されており、
前記温度センサは、温度センサヘッドと、前記温度センサヘッドから信号を伝達するように構成された電気接続部とを備え、
前記可撓性誘電体バッキング膜は、前記可撓性誘電体バッキング膜内に開口部又は貫通穴を備え、前記温度センサは、前記温度センサヘッドが前記開口部又は前記貫通穴上に位置して、前記可撓性誘電体バッキング膜を通し前記可撓性誘電体バッキング膜に対して前記可撓性加熱要素が配置された側とは反対側に露出されている、ヒーターアセンブリ。
【請求項15】
エアロゾル生成装置用のヒーターアセンブリであって、前記ヒーターアセンブリは、
可撓性加熱要素と、
温度センサと、
可撓性誘電体バッキング膜であって、前記可撓性誘電体バッキング膜の表面上に接着剤を有する、可撓性誘電体バッキング膜と、を備え、前記温度センサ及び前記可撓性加熱要素は、前記可撓性誘電体バッキング膜の前記表面上の前記接着剤上で互いに隣接して支持されており、
前記可撓性加熱要素、前記温度センサ、及び前記可撓性誘電体バッキング膜を併せて薄膜ヒーターサブアセンブリと称することができ、前記ヒーターアセンブリは、
加熱チャンバを更に備え、前記薄膜ヒーターサブアセンブリは、管状の前記チャンバの表面の周りに巻き付けられており、前記温度センサは前記加熱チャンバに隣接して保持されており、
前記加熱チャンバは前記加熱チャンバの外面上に1つ以上の窪みを備え、前記温度センサの少なくとも一部が窪み内に配置されるように、前記薄膜ヒーターサブアセンブリが前記加熱チャンバの周りに巻き付けられている、ヒーターアセンブリ。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか一項に記載のヒーターアセンブリ、を備えるエアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーターアセンブリに関し、より具体的には、エアロゾル生成装置用の薄膜ヒーターを組み込んだヒーターアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜ヒーターは、一般に、加熱される表面又は物体に適合できる可撓性で薄型のヒーターを必要とする幅広い用途に使用される。そのような用途の1つは、電子タバコ及びタバコ蒸気製品を含む低リスクのニコチン送達製品などのエアロゾル生成装置の分野にある。このような装置は、加熱チャンバ内のエアロゾル生成物質を加熱して蒸気を生成する。消耗品を加熱する手段の1つは、加熱チャンバの表面に適合してチャンバ内のエアロゾル生成物質の効率的な加熱を確実にする薄膜ヒーターを備えるヒーターアセンブリを使用することである。
【0003】
薄膜ヒーターは、一般に、可撓性誘電体薄膜の封止されたエンベロープに取り囲まれ電源に接続するための加熱要素への接触点を有する、抵抗加熱要素を備える。絶縁された薄膜エンベロープ内に封止された平面加熱要素により形成されたこれらの従来の薄膜ヒーターは、次いで、加熱される表面に取り付けられる必要がある。エアロゾル生成装置に関しては、これは、チャンバ内に配置されたエアロゾル生成消耗品に熱を伝達するように、加熱チャンバの外面に薄膜ヒーターを取り付けてヒーターアセンブリを形成することを含む。これは一般に、接着剤又は他の締結手段により薄膜ヒーターを取り付けて、使用中に薄膜ヒーターを加熱チャンバに接触させて保持することにより実現される。他の技術は、追加の薄膜片を使用してヒーターアセンブリの周りに巻き付けて、薄膜ヒーターを加熱チャンバに接触させて保持することである。薄膜ヒーターは、次いで、装置内に組み立てるときに電源に接続する必要がある。
【0004】
多くの場合、このような薄膜ヒーターの温度は、装置において使用される場合、例えば、ヒーターを必要な加熱温度に調整するために制御回路にフィードバックを提供するために、又は加熱温度が選択した最高温度を超えないようにするために、注意深く監視される必要がある。例えば、温度制御式のエアロゾル生成装置の場合、蒸気を効率的に送達するために、温度を注意深く監視及び制御して、消耗品が燃え得る温度を超過させることなく加熱チャンバの温度を所定の動作ウィンドウ内に維持する必要がある。
【0005】
既知の薄膜ヒーター及びヒーターアセンブリに関する問題の1つは、加熱温度を検出する従来の手段が、必要なレベルの精度及び信頼性を欠いていることである。既知の方法は、温度センサを装置内で薄膜ヒーターの封止された誘電体エンベロープに接近させて取り付けること、又は電流、電圧、抵抗などの加熱要素の監視されたパラメータを使用して加熱温度を推測すること、を含む。これらの既知の方法では、加熱チャンバ内の真の温度を測定できる精度及び正確さにおいて制限がある。更には、既知の方法により熱センサを取り付けることにより、組み立て手順は更に複雑になり、温度センサを複数の装置にわたって同じ位置に再現可能に配置することが困難になり、装置の使用中にセンサが緩む又は移動する可能性が生じる。ヒーターの測定された特性を使用して加熱温度を推測することは、ヒーターの形状及び特性に一貫性がないことに起因して精度が不足し、この方法では、ハードウェア及びソフトウェア構成要素の構成をより複雑にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これら問題への対処において進歩をもたらして、エアロゾル生成装置用の改善されたヒーターアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル生成装置用のヒーターアセンブリが提供され、ヒーターアセンブリは、可撓性加熱要素と、温度センサと、可撓性誘電体バッキング膜であって、可撓性誘電体バッキング膜の表面上に接着剤を有する、可撓性誘電体バッキング膜と、を備え、温度センサ及び可撓性加熱要素は、可撓性バッキング膜の表面上の接着剤上で互いに隣接して支持されている。本発明によるヒーターアセンブリでは、温度センサが、薄膜ヒーター内に組み込まれ加熱要素の近くに配置されて、加熱温度のより正確な測定値を提供する。誘電体バッキング膜の接着面を使用して温度センサと加熱要素の両方を固定することにより、組み立てプロセスも簡略化される。
【0008】
バッキング膜を規定するために使用される「誘電体」という用語は、「電気絶縁性」を意味するものとして広く解釈されることを意図している。好ましくは、可撓性誘電体バッキング膜は、80μm未満、好ましくは50μm未満の厚さを有し、好ましくは20μmを超える厚さを有する。可撓性誘電体バッキング膜は、フルオロポリマー(例えば、PTFE)、PEEK、又はポリイミドのうちの1つ以上を含み得る。
【0009】
温度センサは、局所温度を感知するように構成された任意の既知のタイプの温度センサであってもよく、感知された温度は、ヒーターを監視及び/又は制御するためのPCBへの信号として提供され得る。例えば、温度センサは、サーミスタ、熱電対、抵抗温度計、シリコンバンドギャップ温度センサ、集積回路センサのうちの1つ以上を組み込み得る。
【0010】
接着剤は、例えばシリコン接着剤であり得る。接着剤は、加熱要素及び温度センサをバッキング膜に確実に固定する単純明快な手段を提供する。可撓性誘電体バッキング膜は接着剤の層を含んでもよく、例えば、膜は、PTFEなどのフルオロポリマー、PEEK、又はポリイミド膜を、Si接着剤の層と共に含み得る。
【0011】
組み立てられた誘電体バッキング膜、加熱要素、及び温度センサを、薄膜ヒーターアセンブリ又はサブアセンブリと称することができる。薄膜ヒーターサブアセンブリが加熱チャンバに取り付けられている場合、このサブアセンブリは加熱チャンバサブアセンブリと称される。ヒーターアセンブリという用語は、これらサブアセンブリの両方に適用される。
【0012】
好ましくは、ヒーターアセンブリは、可撓性誘電体バッキング膜に対向して加熱要素を少なくとも部分的に取り囲む第2の可撓性誘電体膜を更に備え、温度センサの少なくとも一部分が可撓性誘電体バッキング膜と第2の可撓性膜との間に配置されている。このように、温度センサは、誘電体エンベロープ内で加熱要素の隣に保持されて、改善された温度読取り値を提供する。これにより、薄膜ヒーターと温度センサとを個別に設置するのではなく、加熱要素と温度センサの相対位置が固定された完全に一体化されたサブアセンブリとして(可撓性加熱要素、温度センサ、可撓性誘電体バッキング膜、及び第2の可撓性誘電体膜を含む)薄膜ヒーターサブアセンブリを取り扱うことができるので、製造プロセスが簡略化される。
【0013】
好ましくは、第2の可撓性膜は、可撓性バッキング膜に対向する熱収縮材料の層を備える。このように、熱収縮膜の層が、加熱要素及び温度センサを可撓性バッキング膜で封止する機能と、更に加熱要素を加熱チャンバに取り付ける手段との両方を提供するので、薄膜ヒーター層の数は低減される。したがって、ヒーターアセンブリの熱質量が減少し、熱伝達の効率が向上する。更には、加熱要素の封止と取り付けを同時に行うことができる簡略化された方法で、確実な取り付けが熱収縮膜により提供される。熱収縮により、薄膜ヒーターと加熱チャンバとが確実に密に接触して、効果的な熱伝達が保証される。本方法は更に、ヒーターを加熱チャンバの所望の位置に正確に配置した後に加熱して膜を収縮させ、その位置にヒーターを取り付けることを可能にする。
【0014】
好ましくは、熱収縮膜の層は、加熱要素に対して直接取り付けられる。このように、加熱要素は、可撓性誘電体バッキング膜と熱収縮層との間に直接封止され、追加の封止層は必要ない。換言すれば、熱収縮部は、封止層と取り付け手段の両方を提供する。好ましくは、取り付けられた熱収縮膜の層は、延長する接触脚部の方向とは反対方向に所定距離だけ加熱要素を超えて延びる位置合わせ領域を含む。位置合わせ領域を使用して、位置合わせ領域の上部の周縁エッジを加熱チャンバの端部に位置合わせし、熱収縮膜を使用して薄膜ヒーターをチャンバに取り付けることにより、ヒーターの加熱領域を必要な位置に配置することができる。このように、加熱領域及び温度センサは、加熱チャンバの長さに沿った、加熱チャンバの端部から既知の場所に配置される。
【0015】
好ましくは、取り付けられた熱収縮膜の層は、延長する接触脚部の方向にほぼ垂直な方向に可撓性バッキング膜を超えて延びる取り付け領域を備える。熱収縮部の取り付け部分は、好ましくは、加熱要素を加熱チャンバに固定するために取り付けたときに、加熱チャンバの周りに延びるように配置されている。好ましくは、熱収縮部の取り付け領域は、それが加熱チャンバの外面の周りに円周方向に巻き付くことができるように十分に延びていてもよい。取り付け領域は、加熱チャンバの周りでスリーブ状になっている熱収縮部の管状部分の形態であり得る。例えば、加熱要素及び支持バッキング膜は巻き付けられて管になり、熱収縮部内でスリーブ状になり得る。次いで、管状熱収縮部と、その内部の管状薄膜ヒーターとが加熱チャンバ内でスリーブ状になり得る。
【0016】
熱収縮膜は、ポリイミド、PTFEなどのフルオロポリマー、及びPEEKのうちの1つ以上を含み得る。熱収縮膜は、好ましくは、一方向に選択的に収縮するように配置された選択的熱収縮膜である。例えば、熱収縮膜は、Dunstoneにより製造されたポリイミド208xテープであり得る。熱収縮膜は、初期的には平面の層の形態、すなわち加熱チャンバの周りに巻き付けられるように構成された熱テープ片であってもよく、又は加熱チャンバの周りに渡して(すなわち、スリーブ状になり)、加熱して加熱チャンバの表面に収縮させるように構成された管の形態であってもよい。
【0017】
好ましくは、可撓性バッキング膜はエッジ領域を備え、エッジ領域は、エッジ領域自身の上に、又は第2の可撓性膜の上に折り重ねられて、折り目内で温度センサを少なくとも部分的に取り囲む。このように、温度センサは、折り目内で加熱要素の隣の所定位置に固定される。最初に第2の可撓性誘電体膜を取り付け、続いてエッジ領域を折り重ねて、誘電体バッキング膜及び第2の誘電体膜の外周エッジを封止し、及び/又は第2の誘電体膜を可撓性バッキング膜に取り付けてもよい。第2の誘電体膜層が存在しない状態でエッジ領域を折り畳んで、温度センサに直接接触させて、温度センサを折り目内に固定してもよい。バッキング膜のエッジ領域は、温度センサ上に折り重ねられたときに温度センサの一部を露出するように構成された穴を備え得る。
【0018】
好ましくは、温度センサは、温度センサヘッドと、センサヘッドから信号を伝達するように構成された電気接続部とを備える。好ましくは、温度センサヘッドは、可撓性バッキング膜と第2の可撓性膜との間に取り囲まれている。このように、センサヘッドが加熱要素に対して望ましい固定位置に固定される一方で、温度センサの接続部はPCBへの接続のために自由なままである。
【0019】
いくつかの例では、温度センサは、温度センサヘッドと、センサヘッドからの信号を伝達するように構成された電気接続部とを備え、可撓性バッキング膜は、可撓性バッキング膜内に開口部又は貫通穴を備え、温度センサは、温度センサヘッドが開口部又は貫通穴の上に位置して可撓性誘電体バッキング膜を通して露出されるように配置されている。このように、薄膜ヒーターアセンブリが加熱チャンバの周りに巻き付けられた場合、温度センサヘッドは、穴を通して加熱チャンバの表面に直接接触することができ、それにより、介在する絶縁層なしに、加熱チャンバを直接測定することができる。
【0020】
好ましくは、加熱要素は平面状の加熱要素であり、加熱要素は、加熱要素の平面内の加熱領域にわたり曲がりくねった経路をたどるヒータートラックと、電源への接続のための2つの接触脚部であって、加熱要素の平面内のヒータートラックから離れるように延びている、接触脚部と、を備え、加熱要素の少なくとも加熱領域は、可撓性誘電体バッキング膜と第2の可撓性薄膜との間に取り囲まれている。好ましくは、ヒータートラックは、加熱領域にわたって実質的に均一な加熱を提供するように構成されている。ヒータートラック経路は、加熱領域上の曲がりくねった経路又は蛇行した経路であってもよく、ヒータートラックは、実質的に均一な幅及び厚さを有し得る。好ましくは、第2の対向する誘電体膜、例えば熱収縮膜の層が、バッキング膜と、対向する膜層との間にヒータートラックを取り囲み、接触脚部を露出したままにする。このように、ヒータートラックは誘電体バッキング膜と熱収縮膜との間で電気的に絶縁されている一方で、接触脚部は露出されているので、接触脚部は電源に接続できる。
【0021】
薄膜ヒーターが装置にて用いられる場合、接触脚部は、電源に直接接続することが可能なように十分に長くてもよい。例えば、接触脚部の長さは、加熱領域を規定する寸法の一方又は両方と実質的に等しいか、又はそれより長くてもよい。
【0022】
好ましくは、ヒータートラックの曲がりくねった経路は、可撓性誘電体バッキング膜上に、加熱要素によって占められていない空き領域を残すように形作られており、温度センサは、接着剤により、可撓性バッキング膜の空き領域に保持されている。これにより、加熱温度のより正確な測定値が提供されるように、温度センサを加熱領域内で加熱要素に極めて接近させて固定することが可能になる。
【0023】
好ましくは、温度センサは、温度センサヘッドと細長い電気接続部とを備え、細長い電気接続部は、加熱要素の接触脚部と実質的に同じ方向に向けられている。これにより、ヒーター脚部及びセンサ接続部をPCBに接続するプロセスが簡略化される。具体的には、温度センサは、装置内に組み立てられたときに、接続ワイヤがヒーター要素の延長接触脚部に隣接して位置して、相互に支持すること及び/又はPCBへの接続の容易さを可能にするように構成され得る。
【0024】
更なる例では、可撓性誘電体バッキング膜は、可撓性加熱要素を支持する第1の膜片と、温度センサを支持する第2の膜片とを備え、第1の膜片は第2の膜片に取り付けられている。具体的には、第1の誘電体膜片及び第2の誘電体膜片を一緒に可撓性誘電体バッキング膜と見なすことができる。第1の可撓性誘電体バッキング膜片が、対向する第2の誘電体膜と共に、封止された誘電体エンベロープを形成し、これらは一緒に加熱要素を封止する。第2の誘電体膜片は、例えば接着面により接続され、温度センサを支持し得る。この例では、加熱要素は絶縁薄膜のエンベロープ内に封止されている一方で、温度センサは露出されたままであり、その結果、装置内に組み立てられたときに加熱チャンバと直接接触することが可能である。第2の可撓性誘電体膜片は、加熱要素を取り囲む封止された誘電体エンベロープの外周エッジに取り付けられた接着テープ片により提供され得る。
【0025】
好ましくは、可撓性誘電体バッキング膜は、ポリイミド、PTFEなどのフルオロポリマー、及びPEEKのうちの1つ以上を含む。バッキング膜は、Si接着剤の層を有するポリイミド膜を備え得る。バッキング膜がフルオロポリマーを含む場合、バッキング膜は、例えばプラズマ及び/又は化学エッチングなどの表面処理によって形成された、少なくとも部分的に脱フッ素化された表面層を備え得る。そうしない場合には、フルオロポリマーによって提供される超低摩擦の表面を想定すると接着しないであろうが、そうすることにより、処理された表面に接着剤を塗布することが可能になる。
【0026】
可撓性加熱要素、温度センサ、及び可撓性誘電体バッキング膜を一緒に薄膜ヒーターサブアセンブリと称することができ、ヒーターアセンブリは、加熱チャンバを更に備え、薄膜ヒーターサブアセンブリは、管状のチャンバの表面の周りに巻き付けられており、温度センサは加熱チャンバに隣接して保持されている。好ましくは、薄膜ヒーターサブアセンブリは加熱チャンバの周りに巻き付けられ、バッキング膜はヘートチャンバの外面に面している。
【0027】
加熱チャンバは、好ましくは、消耗品を受け入れるために一端又は両端が開いている管状の加熱チャンバである。加熱チャンバの円周は、好ましくは、加熱要素がチャンバの周りに1つの完全な円周ループをなすように、加熱要素の幅(接触脚部に垂直な方向の長さ)に厳密に一致する。加熱チャンバは、好ましくは、加熱チャンバの外面上に1つ以上の窪みを備え、窪みは、好ましくは、加熱チャンバの長さの一部分に沿って走り、円周の周りに周期的に構成された複数の細長い窪みである。したがって、窪みは、加熱チャンバの内面の長さの一部分に沿って走る長手方向の隆起部を提供して、消耗品がチャンバ内に挿入されたときに消耗品に係合して、消耗品への熱伝達を増加させるように構成されていてもよい。
【0028】
好ましくは、温度センサの少なくとも一部が窪み内に配置されるように、薄膜ヒーターが加熱チャンバの周りに巻き付けられる。このように、加熱チャンバ内の温度のより正確な読取り値を得ることができる。
【0029】
本発明の更なる態様では、特許請求の範囲に記載されているような、ヒーターアセンブリを備えるエアロゾル生成装置が提供される。好ましくは、エアロゾル生成装置は、温度センサから温度測定値を受信し加熱要素に供給される電力を制御するように構成された制御回路を備える。
【0030】
ここで、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して、あくまで一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】本発明で使用されるサーミスタを概略的に示す。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、本発明による薄膜ヒーターを加熱チャンバに取り付けて、本発明によるエアロゾル生成装置用のヒーターアセンブリを提供する手段を概略的に示す。
【
図6A】本発明による薄膜ヒーターを加熱チャンバに取り付けて、本発明によるヒーターアセンブリを提供する代替方法を概略的に示す。
【
図6B】本発明による薄膜ヒーターを加熱チャンバに取り付けて、本発明によるヒーターアセンブリを提供する代替方法を概略的に示す。
【
図6C】本発明による薄膜ヒーターを加熱チャンバに取り付けて、本発明によるヒーターアセンブリを提供する代替方法を概略的に示す。
【
図6D】本発明による薄膜ヒーターを加熱チャンバに取り付けて、本発明によるヒーターアセンブリを提供する代替方法を概略的に示す。
【
図7A】本発明による薄膜ヒーターを組み立てる方法を概略的に示す。
【
図7B】本発明による薄膜ヒーターを組み立てる方法を概略的に示す。
【
図7C】本発明による薄膜ヒーターを組み立てる方法を概略的に示す。
【
図7D】本発明による薄膜ヒーターを組み立てる方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明による、エアロゾル生成装置用のヒーターアセンブリ10を概略的に示す。ヒーターアセンブリ10は、可撓性加熱要素20、温度センサ70、及び可撓性誘電体バッキング膜30を含む。可撓性誘電体バッキング膜30は、可撓性誘電体バッキング膜30の表面31上に設けられた接着剤を含み、温度センサ70及び加熱要素20は、可撓性バッキング膜30の表面上に設けられた接着剤により互いに隣り合わせに支持されている。これらの組み立てられた構成要素は集合的に薄膜ヒーターアセンブリ又は薄膜ヒーターサブアセンブリ10と称される。
【0033】
薄膜ヒーターサブアセンブリ10は、可撓性誘電体バッキング膜と同じ表面上に、可撓性加熱要素20に直接隣接して配置された温度センサ70を含むので、薄膜ヒーターサブアセンブリがエアロゾル生成装置又は他の加熱装置で使用される場合、温度センサ70は、加熱要素20によりもたらされる加熱温度の高精度の読取り値をもたらし、したがって、正確な温度制御を可能にすることができる。これは、温度センサが一般に、ヒーターアセンブリ10に直接組み込まれておらず、むしろ加熱要素から分離されている既知の装置に対する改善をもたらす。
【0034】
加熱要素は、加熱要素20の平面内の加熱領域22にわたり曲がりくねった経路をたどるヒータートラック21を含む平面加熱要素20である。加熱要素は、電源への接続を可能にする2つの接触脚部23を有し、接触脚部23は、加熱要素20の平面内でヒータートラック21から離れるように延びている。ヒータートラックは好ましくは、加熱領域22にわたって実質的に均一な加熱をもたらすように形作られている。特に、ヒータートラックは、鋭い角を含まず且つ均一な厚さ及び幅を有するように形作られ、ヒータートラック22の隣接する部分間の間隙は、加熱領域22内の特定の点における加熱の増加を最小限に抑えるために実質的に一定である。
図1の例におけるヒータートラック21は、ヒーター領域22にわたり曲がりくねった経路をたどり、2つの平行なトラック経路21a及び21bに分割され、それぞれが両方の接触脚部23に接続されている。ヒーター層23は、各接触脚部23の接続点24においてはんだ付けされて、ヒーターをPCB及び電源に接続することを可能にしてもよい。
【0035】
加熱要素20は、約50μmの薄い金属シート、例えば18SR又はSUS304などのステンレス鋼のシートからエッチングされ得るが、用途に応じて、他の材料及びヒーターの厚さが選択され得る。具体的な金属及び金属シートの厚さは、加熱される表面の形状に適合するように、結果として得られる加熱要素20が、支持する可撓性薄膜30と共に変形できるように可撓性を有するように選択される。金属シートは、最初に可撓性誘電体バッキング膜30の表面上に堆積され、その後、膜上に支持されている間にエッチングされて、ヒータートラック21パターンが形成され得る。代わりに、加熱要素20は、可撓性誘電体バッキング膜30とは独立して、金属シートからエッチングされ得る。例えば、1つ以上の接続された加熱要素20を提供するために、自立する金属箔が両側から化学エッチングされてもよく、続いて金属箔が取り外され、誘電体バッキング膜30の表面上に配置される。
【0036】
ヒータートラック22は、好ましくは、
図1に最も明確に示すように、加熱領域22内に空き領域22vを残すように形作られる。センサヘッド71は、ヒータートラック21に極めて接近するように、バッキング膜30と熱収縮部50との間のこの空き領域22vに配置される。センサヘッド71を、加熱要素20に極めて接近させて熱収縮部50とバッキング膜30との間に配置することにより、温度センサ70は、加熱要素20に極めて接近して封止され、加熱領域22の正確な温度読取り値を提供する。
【0037】
可撓性誘電体バッキング膜30は、加熱要素20を支持し電気的に絶縁するための可撓性基板を提供するための好適な特性を有する必要がある。適切な材料は、ポリイミド、PEEK、及びPTFEなどのフルオロポリマーを含む。この例では、加熱要素はヒータートラックパターン21を含み、ヒータートラックパターンは、37μmのシリコン接着層を有する25μmのポリイミド膜を含む片面ポリイミド/Si接着膜上で支持された50μmのステンレス鋼18SRの層からエッチングされる。加熱要素をバッキング膜30に取り付けることが可能なように、加熱要素20は接着剤上で支持されている。
図1のヒーターアセンブリ10は、事前に準備した剥離層を伴って保管されてもよく、剥離層は、接着層が使用える状態になるまで、加熱要素20を支持する接着面に付着されて接着層を保存する。剥離層は、例えば、ポリエステル又は同様の材料により提供され得る。次の組み立て工程に進むために、次いで剥離層を剥がして、加熱要素20を支持する粘着性の接着層をむき出しにすることができる。
【0038】
図1及び
図2の例では温度センサ70はサーミスタであり、
図2により明確に示されている。サーミスタ70は、温度依存抵抗を有する材料のビードを備えてこの抵抗の読取り値を介して温度を正確に測定することが可能な温度感知ヘッド71を含む。サーミスタ70は、センサヘッド71に接続された、ワイヤの形態のサーミスタ接続部72を更に含み、ワイヤ72は十分な長さであり、それにより、ヒーターアセンブリ10が装置内で使用されるときに、サーミスタ接続部72をPCBの関連する接続部に接続することにより、ワイヤ72を接続できる。サーミスタ接続部72は、例えばPTFE又はポリイミドチューブにより提供される電気絶縁性の外層又はシースを更に備えて、接続部をスリーブ状にして、接続部が装置内の他の導電性構成要素に接触することにより短絡することを防止する。PTFE又はポリイミドチューブは、温度感知ヘッド71まで延び、抵抗器の接続脚部72の長さに沿って延び、その端部の一部分がPCBへの接続のために露出されている。
図1の例では、サーミスタ70は、蛇行するヒータートラック21の湾曲部により形成される加熱領域22の空き領域22vにセンサヘッド71が位置するように、可撓性誘電体バッキング膜30の表面に構成され、それにより、バッキング膜30を支持する接着剤の一部分が空いて、サーミスタ70を加熱トラック21に極めて接近させて配置して、加熱温度の正確な読取り値を提供することが可能になる。
【0039】
次いで、
図1に示す薄膜ヒーターサブアセンブリ10を、例えば、加熱チャンバの表面を加熱するために管状の加熱チャンバ60の周りに薄膜ヒーターサブアセンブリ10を巻き付けることにより、加熱チャンバ60に取り付けて、加熱チャンバアセンブリ100を形成することができる。そのとき、加熱要素20に近接していると想定すれば、加熱温度を温度センサ70で高精度に測定することができる。
【0040】
薄膜ヒーターサブアセンブリ10は、温度センサ70の位置決め及びヒーターサブアセンブリ10の加熱チャンバ60への取り付けが、本発明の範囲内にある複数の異なる方法で実現されることを伴って、複数の異なる形態をとることができる。
【0041】
図3は、第2の可撓性誘電体膜31を追加で含む本発明による薄膜ヒーターサブアセンブリ10を示し、第2の可撓性誘電体膜31は、可撓性誘電体バッキング膜30に対向して、可撓性誘電体バッキング膜30と第2の可撓性膜31との間に加熱要素20と温度センサ70の一部とを取り囲んでいる。重なり合った誘電体膜層30、31は一緒に、層30、31の間に、加熱要素20と温度センサ70の温度センサヘッド71とを取り囲む封止されたエンベロープを形成する。
図3に示す薄膜ヒーターサブアセンブリ10は、最初に加熱要素20を可撓性誘電体バッキング膜30の接着面上に配置することにより形成される。次いで、温度センサ70は、加熱要素20に隣接してバッキング膜30の接着面上に配置され、センサヘッド71は、加熱要素20の加熱領域22内の空き領域22vに配置される。次いで、接着面を有する対向する可撓性誘電体層31が、加熱要素がバッキング膜30の接着面と第2の誘電体膜31との間に配置されるように、加熱要素20上に配置される。
【0042】
従来の薄膜ヒーターと同様に、誘電体層は熱封止されて、加熱要素20を取り囲む封止された絶縁エンベロープが形成され得る。この場合における違いは、センサヘッド71と温度センサ接続部72の一部分とが、加熱要素20と一緒に誘電体エンベロープ内に封止されていることである。封止された誘電体エンベロープを切断して、誘電体膜が加熱要素20のパラメータにより近くなるように調整して、
図3に示すような薄膜ヒーター10を提供することができる。従来の薄膜ヒーターと同様に、延長する接触脚部23の一部分が、例えばダイカットにより露出されてもよく、はんだ点24においてはんだ付けされて、電源及びPCBに接続され得る領域を提供してもよい。したがって、
図3に示す薄膜ヒーター10は、誘電体エンベロープ内に加熱要素20と共に温度センサ70を組み込んでおり、したがって、温度センサ(この場合、サーミスタ)は、温度センサが複数の誘電体層により分離された個々の要素として組み込まれている既知の配置と比較して、より高い精度で加熱温度を測定することができる。
【0043】
図4は、本発明による代替の薄膜ヒーターサブアセンブリ10を示す。この場合、可撓性誘電体バッキング膜30は2つの構成要素を含む。第1の誘電体薄膜部分30が加熱要素20を支持するが、この場合は、接続された第2の誘電体薄膜部分30’が温度センサ70を支持している。具体的には、加熱要素20は、可撓性誘電体バッキング膜30上に配置され、第2の可撓性誘電体膜31が、バッキング膜に対向して、温度センサ70を含まない封止された誘電体エンベロープ内に加熱要素20を取り囲んでいる。代わりに、第2の接着性誘電体バッキング膜部分30’が第1のバッキング膜部分30に隣接して接続され、温度センサヘッド71は、第2の可撓性バッキング膜部分30の接着面上に取り付けられる。
【0044】
可撓性誘電体バッキング膜30’の第2の部分は、第1のバッキング膜部分30を、ヒータートラック21の湾曲した経路によって提供される空き領域22v内に延ばすように、エッジ部分に取り付けられ得る。したがって、センサヘッド71は加熱要素20に極めて接近して配置されて、加熱温度はより高い精度で読み取られる。その上、薄膜ヒーター10が加熱チャンバ60の外面に取り付けられているとき、温度センサ70は誘電体エンベロープ30、31内に封止されておらず、誘電体バッキング膜30’の表面に露出しているので、温度センサヘッド71は、ヒーターチャンバ60の表面と直接接触した状態が保持されて、ヒーターチャンバ温度をより正確に読み取ることができる。
【0045】
図3及び
図4に示す薄膜ヒーター10は、複数の方法で加熱チャンバ60の外面に接続することができる。多くの場合、エアロゾル生成装置の加熱チャンバ60は管状加熱チャンバであり、本発明の薄膜ヒーターサブアセンブリ10を加熱チャンバ60の外面の周りに取り付けることができ、それにより、加熱要素20が加熱チャンバ60の表面に極めて接近して、加熱チャンバ60に効率的な熱伝導がもたらされる。薄膜ヒーター10は、例えば、薄膜ヒーターの一面に設けられた接着剤を用いて、又は追加の接着テープ片を用いて取り付けられ得る。
図3及び
図4の薄膜ヒーターを取り付ける特に有利な手段は、熱収縮膜50を利用することであり、これを使用して、薄膜ヒーターサブアセンブリ10及び加熱チャンバ60の外面の周りに巻き付け、加熱して収縮させて、薄膜ヒーター10を加熱チャンバに堅く取り付けることができる。
【0046】
図5A及び5Bは、熱収縮材料50を使用して、薄膜ヒーターサブアセンブリ10(
図1、
図3及び
図4に示されるものなど)をヒーターチャンバ60の外面に取り付ける方法を示す。具体的には、
図5Aに示すように、熱収縮材料50のストリップが、例えば一片の接着テープ35を使用して、薄膜ヒーター10のエッジに取り付けられる。サーミスタ70が配置されている薄膜ヒーター10の側は、最初に、ここでも例えば一片の接着テープ35を使用して、加熱チャンバ60の外面に取り付けられる。このように、サーミスタ70を正確に配置することができるように、サーミスタヘッド71を保持する薄膜ヒーター10の側が最初に加熱チャンバ60に取り付けられる。温度センサが誘電体エンベロープ30内に封止される
図3による薄膜ヒーターの場合、バッキング膜30は加熱チャンバに対して位置付けられ、封止された温度センサヘッド71は誘電体バッキング膜30の1つの層により加熱チャンバ60の表面から分離されている。温度センサ70が露出して、温度センサヘッド71が可撓性誘電体バッキング膜30’の第2の部分の接着面上に設けられている
図4による薄膜ヒーターサブアセンブリ10の場合、温度センサヘッド71は加熱チャンバ60の表面に直接取り付けられる。センサ接続部72は、好ましくは、加熱要素20の接触脚部23と同じ方向に延び、これが、ヒーター脚部23及びセンサ接続部72のPCBへの接続を手助けする。
【0047】
加熱チャンバ60は、使用者によって吸入される蒸気を生成するために加熱される消耗品を収容するように構成された管状の加熱チャンバである。加熱チャンバ60は、好ましくは、チャンバ60内に収容された消耗品への位置決め及び熱伝達を手助けする内部突起を提供する1つ以上の窪み61を外面上に有する。加熱チャンバ60の円周は、好ましくは、加熱要素がチャンバ60の周りに1つの完全な円周ループをなすように、加熱要素20の幅(接触脚部の伸長方向に垂直な方向の長さ)に厳密に一致する。他の例では、加熱チャンバの円周の周りに加熱温度のいかなる変化も生じないように、ヒーター要素は、加熱チャンバの円周の周りに2回以上巻き付くように寸法決めされてもよい。すなわち、加熱要素は、加熱チャンバの周りに整数回の円周ループをなすように寸法決めされてもよい。薄膜ヒーターアセンブリ100は、温度センサヘッド71が加熱チャンバ60の外面にある窪み61内に位置して加熱チャンバ60の内部温度のより正確な読取り値をもたらすように、配置及び取り付けられる。
【0048】
薄膜ヒーターサブアセンブリ10の第1のエッジを加熱チャンバの表面に取り付けた後、薄膜ヒーターが加熱チャンバ60の外面の周りに巻き付けられ、熱収縮膜50の延長片が、加熱チャンバの周りに、そして可撓性誘電体バッキング膜30及び加熱要素20を覆って巻き付けられ、その後、接着テープ35により加熱チャンバ60の外面に固定される。このように、加熱チャンバサブアセンブリ100が
図5Bに示すように提供され、図では、薄膜ヒーターサブアセンブリ10が加熱チャンバ60の外面に周りに巻き付けられており、可撓性誘電体バッキング膜30はチャンバの表面に接触し、温度センサは加熱要素20と加熱チャンバ60の両方に極めて接近している。加熱チャンバサブアセンブリ100を加熱することにより、熱収縮膜は収縮して、加熱要素20を加熱チャンバの外面に対して堅く封止する。したがって、本方法は、加熱チャンバアセンブリ100を組み立てて温度センサ70を加熱チャンバ60に極めて接近させる効率的且つ信頼性の高い手段を提供する。更には、
図5Bから分かるように、温度センサ接続部72は、接触脚部23の延長部とほぼ同じ方向に延びているので、ヒーターアセンブリが組み立てられたときに、温度センサ接続部72とヒーター接触脚部23とは互いに位置合わせされている。これにより、ヒーター接触脚部及びセンサ接続部72がPCBに接続され得ることが更に容易になる。
【0049】
上述したように、熱収縮テープ50のストリップを使用することにより、薄膜ヒーター10を加熱チャンバ60に堅く締結する効率的な手段が提供される。
図6は、ヒータートラック21及び温度センサ70をバッキング膜30に対して封止すること、更に薄膜ヒーターアセンブリ10を加熱チャンバ60に取り付ける手段を提供することの両方のために、熱収縮材料50の層を使用する更に最適化された方法を示す。したがって、以下の方法は、加熱要素及び温度センサを取り付けて封止する、より効率的な手段を提供し、この手段では、部品数が低減され、それに応じて、薄膜ヒーターアセンブリ10の熱質量が減少することを想定すると、加熱チャンバ60への熱伝達が強化される。
【0050】
図6Aでは、前と同様に、加熱要素20及び温度センサ70(この場合も、サーミスタ)は、可撓性電気絶縁性バッキング膜30の接着面上で互いに隣接して支持されている。センサヘッド71は、バッキング膜上の加熱領域22の空いているコーナー領域22vに配置され、バッキング膜30と熱収縮部50との間で加熱要素20の隣に接着剤により保持される。この例は、加熱要素20と温度センサヘッド71とが熱収縮膜50とバッキング膜30との間に少なくとも部分的に取り囲まれるように、熱収縮膜50の層が、加熱要素20と誘電体バッキング膜30との表面に直接適用されるという点で、
図3及び
図4の薄膜ヒーター10とは異なる。熱収縮膜50は、バッキング膜30と熱収縮部50との間の加熱領域20を囲むように、接着剤でヒーター要素20の表面に直接取り付けることができる。具体的には、ヒータートラック21は、可撓性バッキング膜30及び熱収縮部50により形成される封止されたエンベロープ内で絶縁されている一方で、接触脚部23は露出されたままであって、電源への接続が可能である。サーミスタ接続部72は、接触脚部23と同様の方向にバッキング膜30から離れるように下向きに延び、装置内で組み立てられたときに、PCBとの接続を手助けする。
【0051】
熱収縮部50は、バッキング膜30及び加熱要素20よりも大きく、その結果、熱収縮部は、2つの直交する方向51、52に、加熱要素20を超えて所定距離だけ延びている。熱収縮部50が加熱要素20に対して位置合わせされているので、その後に、加熱領域20を加熱チャンバ60に対して位置合わせすることが可能になる。したがって、この段階において熱収縮部51、52のこれら延長部分のサイズを注意深く制御することにより、ヒーターアセンブリ100を加熱チャンバ60に単純明快な形で取り付けて正確な位置合わせを実現することが可能になる。熱収縮部50は、接触脚部23とは反対方向に加熱領域20を超えて延びて、熱収縮部50の位置合わせ領域52を提供する。この位置合わせ領域52を、加熱チャンバ60の上部エッジと位置合わせすることができ、その結果、ヒータートラック21の上部エッジからの位置合わせ領域の所定長さ52に対応する、加熱チャンバの長さに沿った位置に、加熱領域20が位置する。このように、ヒーター要素20を加熱チャンバ60に沿った正しい位置に設けることができる。
【0052】
熱収縮部50はまた、取り付け領域51を有し、これは、接触脚部23の延長方向に垂直な方向にヒータートラック21及びバッキング膜30を越えて延びて、取り付け領域51を提供する。取り付け領域51の延長方向は、「巻き付け方向」と称される場合がある。なぜなら、熱収縮部50のこの部分により、熱収縮部を管状加熱チャンバ60の周りに巻き付けて、引き続き熱収縮させて、必要な堅い接続をもたらすことが可能になるからである。同様に、ヒーター脚部23とは反対の方向で、位置合わせ領域52が加熱要素20から延びている方向は、上向き方向又は位置合わせ方向と称される場合があり、これは、上部の開放端部に向いた、加熱チャンバ60の細長い軸に対応する。これらの延長距離51、52は、誘電体バッキング膜30の表面に取り付ける前又は後に、熱収縮部50を正しい寸法に切断することにより構成できる。
【0053】
図6Aに示すように、熱収縮部50は、好ましくは、バッキング膜30の自由エッジ領域32が露出されたままになるように配置される。
図6Bに示すように、この自由エッジ領域32は熱収縮膜50上に折り重ねられて、バッキング膜30及び熱収縮部50のエッジを封止する。具体的には、自由エッジ領域32は表面上に接着剤を含むので、これを使用して熱収縮部50上に折り重ねてこのエッジ領域を封止できる。これを使用して、
図1に示すのと同様の方法で、温度センサヘッド71上に折り重ねて、温度センサヘッドを折り重ね部分内に固定することもできるが、この場合、自由エッジ領域が熱収縮部60上に折り重ねられてセンサ71を覆う前に、熱収縮部60が温度センサを直接覆う。
【0054】
図6の方法では、次の工程は、アセンブリを加熱して熱収縮部を収縮させる前に、2片の接着テープ35a、35bを取り付けて、薄膜ヒーターアセンブリ10を正しい位置で加熱チャンバ60に取り付けることである。粘着テープ35a、35bは、ポリイミド接着テープ、例えば12.7マイクロメートルのポリイミドと12.7マイクロメートルのシリコン接着剤とを含む0.5インチのポリイミドテープ、のテープ片により提供され得る。接着剤付着テープ35a、35bは、巻き付け方向の先端部において、熱収縮部の各エッジに沿って配置されている。
図6Cに示すように、薄膜ヒーター10は次いで、熱収縮部50の上部エッジ53を加熱チャンバ60の上部エッジ62に位置合わせすることにより、加熱チャンバ60に取り付けることができる。位置合わせ領域の距離52が注意深く選択されていれば、この位置合わせ工程により、加熱領域22を加熱チャンバ60に沿った正しい位置に配置することが可能になる。ある種の消耗品は、消耗品の長さに沿った特定の位置にエアロゾル生成物質のチャージを含むことになるので、消耗品から蒸気を効率的に放出させるためにヒーターチャンバの正しい部分を加熱することが重要である。
【0055】
薄膜ヒーターアセンブリ10は、最初に、接着テープ35aを使用してサーミスタ70に隣接して加熱チャンバに取り付けられる。加熱チャンバ60は上述したように、チャンバ60内に収容された消耗品への位置決め及び熱伝達を手助けする内部突起を提供する1つ以上の窪み61を外面上に有する。薄膜ヒーターアセンブリ10は、温度センサヘッド71が加熱チャンバ60の外面にある窪み61内に位置するように、配置及び取り付けられる。このように、温度センサ70は、加熱チャンバ60の内部温度のより正確な読取り値を提供する。
【0056】
第1の接着テープ部分35aで取り付けられると、薄膜ヒーターアセンブリ100は次いで、熱収縮部50の延長取り付け部分51をチャンバ60の周りを円周方向に巻き付けて加熱要素20を再び覆うように、加熱チャンバ60の周りに巻かれ、その後、第2の取り付けテープ片35bにより取り付けられて、
図6Dに示すヒーターチャンバサブアセンブリ100が提供される。取り付け領域51の長さは、加熱領域22の長さ(及び加熱チャンバ60の円周)とほぼ同じなので、取り付け部分51は加熱領域22を一度覆うように巻き付けられ、それにより、ヒーター要素は、
図6Dの取り付けられたヒーターチャンバアセンブリ100内において、熱収縮膜の2つの外層により絶縁されている。取り付け領域は、加熱要素20の2つ以上の追加の被覆を提供するように寸法決めされ得る。例えば、取り付け領域51は、加熱チャンバ60の外周の整数倍に対応する距離だけ加熱要素を越えて延びていてもよい。
【0057】
図6Dで分かるように、温度センサ接続部72及びヒーター脚部23は、PCBへの接続を容易にし相互支持を提供するように、この工程に続いて位置合わせされるように配置される。次いで、取り付けられたヒーターアセンブリ100を加熱して、熱収縮部50を加熱チャンバ60に対して堅く収縮させる。例えば、アセンブリ100をオーブン内で約210℃にて10分間加熱して膜50を収縮させることができるが、時間及び温度は、他の種類の熱収縮部に適合させることができる。このプロセスにより、多数のユニットを小型オーブンで同時に熱処理することが可能になる。これは、薄膜ヒーターを、加熱チャンバに封止することと、バッキング膜を熱収縮部に接合することの両方を同時にできる唯一の加熱工程である。
【0058】
最後に、しかし必須ではないが、誘電体膜36の最終層を加熱要素の外側の周りに追加して、ヒーターチャンバサブアセンブリを完成させてもよい。この最終の誘電体層は、例えば、25マイクロメートルのポリイミド及び37マイクロメートルのシリコン接着剤を有する1インチのポリイミドテープなどの接着性ポリイミドの更なる層であり得る。誘電体膜36のこの外層は、更なる断熱層を提供し、薄膜ヒーター10の加熱チャンバ60への取り付けを更に確実にする。バッキング膜30、熱収縮部50、及び最終絶縁層36の厚さ及び/又は材料は、例えば、低熱伝導率層を加熱要素の外側に設け(すなわち、この例では、熱収縮部50及び絶縁層36用に)、高熱伝導率層をバッキング膜30として設けて、加熱チャンバへの熱伝達を高めるように選択され得る。この例のサーミスタ70は、高い熱伝導率を有する薄いバッキング膜によってのみ加熱チャンバ60から分離されており、チャンバの温度を正確に読み取ることが可能である。
【0059】
上で論じたように、誘電体層間に封止されていない露出された温度センサ(例えば、
図4)を使用することの利点の1つは、温度センサヘッドが加熱チャンバ60に直接接触することができ、非常に正確な温度読取り値を取得することが可能になることである。これらの利点は、上述した方法に、ある種の追加を行うことにより、
図6の熱収縮方法により提供される組み立て時間と精度に関する上述した利点により実現できる。
【0060】
図7Aでは、以前と同様に、加熱要素20が可撓性誘電体バッキング膜30の接着面上に設けられている。しかしながら、可撓性誘電体バッキング膜30が貫通穴37aを備え、サーミスタ70の温度感知ヘッド71がバッキング膜30を通して露出されるようにサーミスタセンサヘッド71が配置されているという点で、この薄膜ヒーター10は異なる。
図7Bに示すように、サーミスタセンサヘッド71は、バッキング膜30の空き領域22vにあるサーミスタ穴37aに配置され、それにより、センサヘッドはバッキング膜30を通して薄膜ヒーターの反対側に露出されている。薄膜ヒーターは、バッキング膜が直接接触した状態で加熱チャンバ60に取り付けられているので、サーミスタ穴37aにより、サーミスタセンサヘッド71が加熱チャンバ60と直接接触することが可能になる。
【0061】
図6の薄膜ヒーターサブアセンブリ10と同様に、熱収縮部50は次いで、
図7C及び
図7Dに示すように、ヒータートラック21により形成される加熱領域22を温度センサヘッド71及び接続部72の一部分と一緒に取り囲むように、加熱要素20の表面及びバッキング膜30の支持接着面に直接取り付けられる。
図7Dの薄膜ヒーターアセンブリ10は次いで、
図6Cに示すように、加熱チャンバ60に直接取り付けられ得る。したがって、サーミスタ穴を設けることにより、熱収縮方法を、ヒーター要素20及びサーミスタ71を封止するために使用すること、及びチャンバに薄膜ヒーターを取り付ける手段として使用することの両方が可能になるだけでなく、サーミスタセンサヘッド71をサーミスタ穴37aを通して加熱チャンバ60に直接接触させることも可能になる。
【0062】
図7A及び
図7Bから明らかなように、この例では、可撓性誘電体バッキング膜30は加えて、バッキング膜における2つの切断部により形成された、タブ38の形態の折り畳み可能部分38を含み、タブ38はそれ自身の上に折り重ねられて空き領域22vになり、そこにサーミスタ70が配置される。この例では、タブ38は自由エッジ領域32に沿った中間位置にあるが、配置されたときにサーミスタ20上に折り重ねることができる自由エッジ領域の底部を提供するように、タブ38を1つの切断部により同様に形成することができる。この例では、タブ38はサーミスタ穴37aに位置合わせされたサーミスタ穴37bを含み、サーミスタ穴37aは、加熱トラック21の形状によって形成される、可撓性誘電体バッキング膜30の空き領域22vに設けられている。サーミスタ穴37bは必須ではなく、タブ38は、穴を含まない途切れのない表面部分であってもよく、それによりタブはサーミスタの上に折り重なり、サーミスタはサーミスタ穴37aを通してのみ見えるようになる。以下で更に説明するように、いくつかの例では、位置合わせのためにサーミスタ穴37bを使用することもできる。次いで、サーミスタ穴37bがサーミスタ穴37aに位置合わせされるように、バッキング膜タブ38がサーミスタ70上に折り重ねられ、バッキング膜30の取り付け表面上に設けられたシリコン接着剤により取り付けられる。このように、センサヘッド71がバッキング膜30と所定位置に接着されたバッキング膜の折り重ねられたタブ38との間に取り付けられた状態で、サーミスタがバッキング膜に取り付けられ、サーミスタ接続部72は、ヒーター接触脚部23の方向にほぼ対応する方向に延びている。このプロセスは、熱収縮部50が薄膜ヒーター10に位置合わせされて取り付けられる前に、最初にサーミスタ70を所定位置に取り付ける役割を担う。
【0063】
図7の薄膜ヒーターサブアセンブリ10はまた、加熱要素20及びサーミスタ70を加熱チャンバ60に対して正確且つ再現可能に位置合わせするためのいくつかの追加の特徴を有する。具体的には、バッキング膜30と熱収縮部50の両方に一連の位置合わせ穴34、54が設けられ、これを、バッキング膜30と熱収縮部50との相対的な位置合わせに使用できる。バッキング膜30は、加熱要素20の周りに設けられるようにバッキング膜に配置されたいくつかの位置合わせ穴34a、34b、34c、34d、37bを備える。具体的には、2つの位置合わせ穴34a、34bが、バッキング膜30の上部エッジに沿って設けられて、加熱要素がバッキング膜30に取り付けられたときに、位置合わせ穴が加熱要素20の上方に配置されるようになっている。更に位置合わせするために、加熱要素20の加熱領域22の下方に穴34c、34dが設けられる。サーミスタ穴37bは、いくつかの例では位置合わせ穴としても機能し得る。熱収縮膜50は複数の位置合わせ穴54を有し、これらの穴は、バッキング膜30のそれら位置合わせ穴34に相対位置が対応する。バッキング膜30の穴が熱収縮部50の位置合わせ穴54に位置合わせされたときに、熱収縮部50が薄膜ヒーター10に対して正確に正しい位置に配置されて、熱収縮部50が正しい長さ51、52だけ加熱領域22を超えて延びて、取り付けられたときに加熱チャンバ60に対する加熱要素20の正確な位置合わせを可能にするように、位置合わせ穴34、54が構成されている。
【0064】
次いで、熱収縮部50は、
図7Cに示すような位置決め固定具を使用して、薄膜ヒーター10に対して位置合わせされ得る。位置決め固定具は、バッキング膜30及び熱収縮部50上の位置合わせ穴34、54の位置に相対位置が対応する突出位置合わせピン81を有する支持面82を備え得る。位置合わせ固定具80の表面上に、最初に(バッキング膜30に取り付けられた加熱要素20を備える)薄膜ヒーターを、次に熱収縮膜50を配置して、位置合わせピン81がバッキング膜位置合わせ穴34を通って延びるようにすることにより、熱収縮部50は加熱要素20及びバッキング膜30に対して正確に位置合わせされる。具体的には、バッキング膜33における位置合わせ穴34と熱収縮部における位置合わせ穴54とが位置合わせされると、熱収縮部50は、接触脚部とは反対方向に加熱要素20を超えて延びて、位置合わせ部分52の特定の所定長さと、巻き付け部分51の延長部の特定の所定長さとがもたらされる。
【0065】
熱収縮部50が正しく配置されると、熱収縮部50の配置により自由になった、バッキング膜30の残りの周辺エッジ領域32が、
図7Dに示すように熱収縮部の上に折り重ねられて、上述したように、バッキング膜30及び熱収縮部50層のこのエッジを封止する。
図7Dに示す組み立てられた薄膜ヒーターサブアセンブリ100は、次いで、
図6C及び
図6Dを参照して上述したように、加熱チャンバ60に取り付けられ得る。チャンバ60への薄膜ヒーターサブアセンブリ100の巻き付けは、
図2Eに示すように手動で実施することができ、又は同様に、この巻き付けは、薄膜ヒーターに対して加熱チャンバ60を回転させて薄膜ヒーターを所定位置に固定する装置により自動化されたプロセスで行うことができる。上述したように、加熱により熱収縮部50を収縮させてヒーターを加熱チャンバ60の外面に対して堅く固定することにより、薄膜ヒーターアセンブリ10は加熱チャンバ60に封止される。
【0066】
いったん薄膜ヒーターサブアセンブリ10が加熱チャンバ60に取り付けられると、結果として得られたヒーターチャンバサブアセンブリ100は、サーミスタ接続部72及び加熱された接触脚部23をPCB及び電源に接続することにより、エアロゾル生成装置などの加熱装置内で用いることができる。本発明の薄膜ヒーター10及びヒーターアセンブリ100を組み込んだエアロゾル生成装置は、既知の装置と比較して、性能において極めて大きな利点を有する。具体的には、温度センサ70は加熱要素20及び加熱チャンバ60に極めて接近して配置されているので、加熱温度をより正確に測定することができる。その結果、装置の加熱温度をより正確に制御することが可能になり、このことは、エアロゾル生成物質が燃焼されることなく、又は装置構成要素の動作温度範囲が超えることなく、効率的なエアロゾル生成を実現するために、特定の加熱温度を維持する必要がある温度制御式のエアロゾル生成装置に関しては、特に有益である。本発明によるヒーターアセンブリはまた、組み立てがより簡単であり、必要な部品が少なく、そして、温度センサが薄膜ヒーター内に組み込まれているので、装置の寿命全体にわたって温度センサは確実に正しい位置に維持される。