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7631324検出パラメータが改善された裏面照射型光学センサーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】検出パラメータが改善された裏面照射型光学センサーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10F 30/225 20250101AFI20250210BHJP
   H10F 30/20 20250101ALI20250210BHJP
   H10F 39/18 20250101ALI20250210BHJP
【FI】
H01L31/10 B
H01L31/10 G
H01L27/146 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022517453
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2020075657
(87)【国際公開番号】W WO2021052912
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】102019000016523
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516140753
【氏名又は名称】エルファウンドリー エッセ.エッレ.エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・オルガンティーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ・マルグッティ
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0025199(US,A1)
【文献】国際公開第2018/174090(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0276381(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0103504(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0165026(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109103210(CN,A)
【文献】特開2015-084392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/339、27/14-27/148、29/762
H01L 31/00-31/02、31/08-31/10、31/18
H10K 30/60-30/65、39/30-39/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロストークが改善され、光子検出効率(PDE)が向上した裏面照射型(BSI)CMOS光学センサーを製造する方法であって、
互いに対向する、半導体基板(401)、第1表面(401a)および第2表面(401b)を有する半導体ウェーハを提供する操作と、
前記第1および第2表面の間の前記半導体基板(401)に、少なくとも第1検出素子(402a)および第2検出素子(402b)を形成するステップを含む、標準的なCMOSの表側製造プロセスを実行する操作と、
前記半導体基板(401)前記第1表面上に少なくとも1つの絶縁層(406)、ならびに少なくとも第1相互接続層(407)、および少なくとも1つの金属接点(408)を形成する操作であって、前記少なくとも第1相互接続層および前記少なくとも1つの金属接点が、前記少なくとも1つの絶縁層に埋め込まれている操作と、
キャリア半導体基板(409)を提供し、前記キャリア半導体基板(409)を前記少なくとも1つの絶縁層に取り付ける操作と、
前記半導体基板(401)前記第2表面(401b)から材料を除去することによって前記半導体ウェーハを薄くする操作と、
半導体基板(401)内に、前記少なくとも第1および第2検出素子を取り囲む裏側ディープトレンチ分離(DTI)構造(405)を形成する操作であって、前記DTI構造が、薄くされた前記第2表面から延びている操作と、
前記DTI構造を、トレンチの側壁および底部を覆う第1絶縁材料(405a)で満たし、第2導電性材料(405b)で、前記ディープトレンチ分離(DTI)構造の内側を満たす操作と、
前記少なくとも第1および第2検出素子の領域に、前記半導体基板(401)を露出させるために、薄くされた前記第2表面から半導体ウェーハを平坦化する操作と
前記少なくとも第1および第2検出素子において、前記ディープトレンチ分離(DTI)構造および前記半導体基板(401)に接触する、薄くされた前記第2表面から共通電圧印加構造を形成する操作を含む方法。
【請求項2】
前記ディープトレンチ分離(DTI)構造(405)が、前記少なくとも第1および第2検出素子を取り囲むトレンチグリッド構造の形態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薄くされた前記第2表面から共通電圧印加構造を形成するステップが、前記トレンチグリッド構造並びに前記少なくとも第1および第2検出素子における前記半導体基板(401)を接続する、薄くされた前記第2表面上に、低抵抗層(412)を形成するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
薄くされた前記第2表面上に前記低抵抗層(412)を形成するステップが、
アモルファスシリコン層を堆積するプロセスステップと、
注入プロセスによって前記アモルファスシリコン層をドーピングするプロセスステップと、
熱レーザーアニーリング(LTA)、またはマイクロ波アニーリング、または下の層に影響を与えない他の方法論によって前記アモルファスシリコン層をアニーリングするプロセスステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ディープトレンチ分離(DTI)構造(405)が、トレンチの千鳥状の線の形態を有し、トレンチの各線が半導体基板で満たされたギャップによって分離されたトレンチ部分からなり、トレンチの一つの線に属する前記トレンチ部分が、トレンチの平行線に属するトレンチ部分に対して千鳥状になっている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トレンチ部分間の前記ギャップは、薄くされた前記第2表面から前記少なくとも第1および第2検出素子に共通電圧印加構造を提供するように構成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1絶縁材料(405a)が酸化ケイ素である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2導電性材料(405b)が不透明材料である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記不透明材料(405b)が金属でできている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属が、チタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウムからなるセットで選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記標準的なCMOS表側製造プロセスは、前記少なくとも第1および第2検出素子を取り囲む前記半導体基板(401)に第1分離構造を形成するステップをさらに含み、前記第1分離構造が、前記半導体基板(401)の前記第1表面から延びる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも第1および第2検出素子を取り囲む前記半導体基板(401)に形成された前記第1分離構造が、シャロートレンチ分離(STI)構造である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも第1および第2検出素子を取り囲む前記半導体基板(401)に形成された前記第1分離構造が、LOCOS構造である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも第1および第2検出素子を取り囲む前記半導体基板(401)に形成された前記第1分離構造が、埋め込まれた領域である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、裏面照射型(BSI)光学センサーを製造するための方法、より具体的には、クロストークの低減および光子検出効率(PDE)の向上などの改善された検出パラメータを有するBSI光学センサーを製造するための方法に関する。特に、本発明は、共通の電圧バイアスを検出素子に印加する可能性と互換性のある、BSI光学センサーの検出素子を分離するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
光学センサーは、多くの分野で使用されるような小型化と検出精度のレベルに達している。
【0003】
たとえば、光学センサーは現在、ADAS(先進運転支援システム)のような自動運転システムで、距離測定を提供するために使用されている。このタイプの光学センサーの中には、いわゆる飛行時間(TOF)デバイスがある。これは、電磁波(レーザーパルスなど)が対象物から戻るのにかかる時間を測定することにより、対象物の距離を検出するように設計されている。TOFデバイスは、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)であるため、非常に高感度の検出素子を採用している。SPADの主な構成は、絶縁破壊電圧を超えて動作するアバランシェフォトダイオード(ガイガーモード)、クエンチング抵抗、第1電極(カソード)および第2電極(アノード)である。フォトダイオード領域(逆バイアスされたpn接合など)に入射する光子によって生成された電子正孔対は、フォトダイオードの空間電荷領域の衝突電離による増倍プロセスにより、絶縁破壊電圧(増倍領域)を超えてバイアスされ、アバランシェを引き起こす可能性がある。このようにして、入射光子の流れに応答して巨視的な電流が生成される。
【0004】
SPADの利用は自動車市場に限定されるものではなく、医療市場などの他の市場でも広く採用されている。SPADアレイ(シリコン光電子増倍管またはSiPMと呼ばれることが多い)は、陽電子放出断層撮影(PET)技術などの光子計数アプリケーションで、光電子増倍管(PMT)技術に取って代わり、体内の代謝プロセスを観察するために採用された。CMOS技術でのSPAD技術の実装により、SiPM技術の利点がさらに強化され、ピコ秒のタイミングで高ダイナミックレンジの光子カウンティングが提供される。
【0005】
再び自動車市場に言及すると、LIDAR(光検出および測距)技術は、たとえば、放出されたレーザーパルスの飛行時間を測定するために、近赤外線(NIR)光検出を使用する。NIR波長範囲に敏感であるためには、SPADアレイ光学センサーは、電磁スペクトルの850~910nmの範囲で10%を超える光検出効率(PDE)を備えている必要がある。これは、NIR光子の透過距離が深く、生成された電子/正孔対がアバランシェフォトダイオード領域に集められる可能性が低くなるという結果を伴いながら、半導体基板(シリコン基板など)に深く吸収されるため、従来の表側照射型(FSI)CMOS光学センサーでは実現が非常に困難である。逆に、入射光子が衝突する裏側表面の近くに、すべての検出素子を配置するように構成されており、この理由から、生成されたほとんどの電子/正孔対が、アバランシェフォトダイオード領域に集められる可能性が高くなる、裏面照射型(BSI)CMOS光学センサーによってそれを実現できる。
【0006】
SPADアレイで発生する主な欠点は、隣接する検出素子間のクロストークである。クロストークは、別の検出素子のアバランシェによって引き起こされた、ある検出素子の疑似アバランシェが原因で起き、光がない場合にも疑似出力電流パルスを生成するために発生する可能性がある(暗電流)。あるSPADから隣接するSPADに移動する光子の存在を制限し、二次なだれを引き起こす可能性、(クロストーク)および、その結果、ダークカウントレート(DCR)を制限するために、個々の検出素子を互いに分離する必要がある。異なる分離構造を使用することができる。一般に、分離構造は、表側から、検出素子領域に隣接する基板に、エッチングされたトレンチの形で作られ得る。トレンチが形成されると、通常、誘電体で満たされる。例えば、米国特許第9,741,759号によれば、トレンチ分離構造は、半導体基板の裏側から表側に向かって作成されたディープトレンチ分離(DTI)構造の形態を有する。同じ米国特許によれば、トレンチ分離構造は、トレンチ内壁にコンフォーマルに形成された第1分離材料と、トレンチ分離構造の内部を満たすようにコンフォーマルに形成された第2導電性材料で満たされる。さらに、同じ米国特許によれば、トレンチ分離構造は、電圧印加装置をトレンチ分離構造に接続することによって電圧を印加することができる。通常、この種の分離では、トレンチ分離構造が検出素子を互いに分離するために問題が発生するが、すべての検出素子を共通の電圧バイアスに接続することを不可能にする。例えば、SiPMの場合、各検出素子(SPAD)は、接合部を横切って逆バイアスされるために、特定の電位(例えば、接地電位)に接続されたアノード電極を有する。SPADが互いに分離されている場合、SPADアノード電極を共通の電位に接続する方法はない。この問題を克服する唯一の方法は、たとえば、各SPADを同じ電位に接続するために、単一の接点を追加することによって、各SPADに個別にバイアスをかけることであるが、これにより、アレイレイアウトの追加スペースが使用され、検出領域と検出素子の総領域の比率として定義される、フィルファクターが減少し、光子検出効率(PDE)が低下する。
【0007】
したがって、フィルファクターに影響を与えることなく、クロストークの低減や光検出効率(PDE)の向上など、特性パラメータが向上したBSI光学センサーを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一般的な目的は、したがって、光センサーの検出素子を互いに分離し、したがって各検出素子が共通の電圧バイアスに接続されることを禁止する光分離構造を実装することによって、クロストークを低減しようとするときに生じる前述の技術的問題を克服することである。
【0009】
さらに、本発明の特定の目的は、改善された検出パラメータを有する裏面照射型(BSI)CMOS光学センサーを製造するための方法を提供することであり、前記方法は、すべての検出素子が共通の電圧バイアスへの接続を維持する間、隣接する検出素子間に分離構造を作成するステップを含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらおよび他の目的は、添付の特許請求の範囲で定義されるように、光学センサーを製造する方法に関連するという点で、本発明によって達成される。
【0011】
本発明の第1の実施形態によれば、裏面照射型(BSI)CMOS光学センサーを製造する方法は、以下のステップを含む。
ピクセルアレイの各検出素子をトレンチグリッド構造の形で取り囲み、光学センサーの表側表面から作成される第1分離構造(たとえば、シャロートレンチ分離(STI)構造、LOCOS分離構造、または埋め込み領域)と、光学センサーの裏側表面からエッチングされたディープトレンチ分離(DTI)構造から成り、裏側からシリコン基板を薄くした後、表側の第1分離構造の底面に対応して着地する、分離構造を形成するステップ;
クロストークを低減するのに適した、第1絶縁材料および第2不透明材料(例えば、金属)で裏側DTI構造を満たすステップ;
各検出素子に対応してシリコン表面を露出させるように、光学センサーの裏側表面を裏側から平坦化するステップ;
裏側表面に追加の低抵抗層を堆積し、露出したシリコン表面を接続し、ピクセルアレイのすべての検出素子に共通電圧印加構造を提供するステップ。
好ましくは、追加の低抵抗層は、アモルファスシリコン材料から成り、これは、UV光および可視光をフィルタリングして、NIR光のみを検出することを可能にするという利点を有する。
本発明の第2の実施形態によれば、裏面照射型(BSI)CMOS光学センサーを製造する方法は、以下のステップを含む。
ピクセルアレイの各検出素子をトレンチの千鳥状の線の形で取り囲む分離構造を形成するステップであって、トレンチの各線が、ギャップによって分離されたトレンチ部分から成り、シリコン基板で満たされ、トレンチの平行線に属するトレンチ部分に対して千鳥状になっているステップ;
前記分離構造は、光学センサーの表側表面から作成された第1分離構造(例えば、シャロートレンチ分離(STI)構造、またはLOCOS分離構造、または注入領域)および光学センサーの薄くなった裏側表面からエッチングされた第2ディープトレンチ分離構造(DTI)から成り、表側の第1分離構造の底面に対応して着地するステップ;
クロストークを減らすのに適した不透明材料で裏側のDTI構造を満たすステップ;
各検出素子に対応して、およびシリコンギャップに対応してシリコンの裏側表面を露出するように光学センサーの裏側表面を平坦化するステップであって、前記露出したシリコン裏側表面が、ピクセルアレイのすべての検出素子に共通電圧印加構造を与えるステップ。
【0012】
本発明をよりよく理解するために、純粋に例として意図され、限定として解釈されるべきではない、好ましい実施形態を、添付の図面(原寸に比例しない)を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】既知の半導体光学センサーのピクセルアレイの概略図を示しており、検出素子は、共通の電圧バイアスに並列に接続されている。
図2】既知の半導体光学センサーのピクセルアレイの概略図を示しており、検出素子は、分離構造(実線のバー)によって分離されている。
図3】既知の半導体光学センサーのピクセルアレイの概略図を示しており、検出素子は、分離構造(実線のバー)によって分離され、各検出素子に含まれる単一の接点を介して共通の電圧バイアスに接続されている。
図4】第1の実施形態による、特許請求された方法で得られた半導体BSI光学センサーの断面を示す。
図5】第1の実施形態による半導体BSI光学センサーの製造方法を示すフローチャートを示す。
図6】第2の実施形態による、特許請求された方法で得られた半導体BSI光学センサーの上面図および断面を示す。
図7】第2の実施形態による半導体BSI光学センサーの製造方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の議論は、当業者が本発明を作成および使用することを可能にするために提示される。実施形態に対する様々な修正は、特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、本発明は、示され、記載された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示され、添付の特許請求の範囲で定義される原理および特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0015】
以下で詳細に論じられるように、本発明の一態様は、クロストークを低減するために、ピクセルアレイ(例えば、SiPM)のすべての検出素子(例えば、SPADs)を分離構造によって分離させる、BSI光学センサーを製造する方法を提供する。前記単一素子は、フィルファクターに影響を及ぼさない方法で、光学センサーの裏側から提供される共通電圧印加構造に接続されている。
【0016】
図1-3は、周知のレイアウトに従って設計された複数の検出素子から成る、光学センサーの3つの異なるピクセルアレイを概略的に示している。
【0017】
例えば、図1に示される概略図は、複数の検出素子110(例えば、SPAD)を含み、二次元マトリックスに配置され、第1電極(110a)が電位V1に接続され、第2電極(110b)が共通の電位ノードV2(115)に接続されている、CMOS技術で実現された光学センサーのピクセルアレイ100を示している。特に、各検知素子は、フォトダイオードのアクティブ領域(110c)を含むように構成される。これは、最も単純な形式では、pn(またはnp)逆バイアス接合で実現されるため、n(またはp)領域のキャリア電荷(電子/正孔対など)が減少する。したがって、入射光子は、フォトダイオードの空乏領域によって収集された電子/正孔対を生成する。pn接合は、絶縁破壊電圧より高く逆バイアスされるため、電子(および正孔)は、収集される前に、他の対を作成してアバランシェプロセスを開始するのに十分なエネルギーを取得し、入射する単一光子によって生成される信号を増幅する。アバランシェプロセスを停止するために、クエンチング抵抗120が使用される。このようにして、各入射光子が検出され得、数ナノ秒の持続時間の強い電流パルスという結果をもたらす。標準的なアプローチでは、電位V1が各第1電極に連続して印加され、一方で電位V2(たとえば接地電位)がすべての第2電極に同時に印加される。したがって、ピクセルアレイのすべての検出素子は、共通の電圧バイアスV1-V2に並列に接続される。
【0018】
クロストークを低減する目的でSPADsを互いに分離するために、標準的な方法は、導電性材料(金属など)または他の不透明な材料で満たされたトレンチ分離構造(図2の実線バー230)を用いる。図2に示すように、トレンチ分離構造の形成は、光学的分離構造を提供するが、同時に、検出素子を互いに電気的に分離し、すべての検出素子を共通の電位V2に接続することを不可能にする。
【0019】
図3に、この問題を克服するために使用される標準的な方法を示す。この方法により、電位V2(例えば、接地電位)を各検出素子の各第2電極に連続的に印加するように、追加の接点310が各検出素子に追加される。各検出素子への接点310の追加は、ピクセルアレイレイアウトのより多くのシリコン空間の使用を必要とし、したがって、フィルファクター、したがってPDEを減少させる。
【0020】
前述の問題を克服するために、提案された解決策は、第1および第2の実施形態によるBSI光学センサーの製造方法を提供する。
【0021】
本発明をよりよく理解するために、図4は、提案された方法の第1の好ましい実施形態に従って得られた光学センサーの例を示している。特に、図4は、以下を含む製造プロセスの特定のステップにおける、BSI光学センサー400の断面図である。
表側(FS)表面410および裏側(BS)表面411;
第1表面401aおよび第2表面401bが互いに向き合っている半導体基板(例えば、シリコン基板)401;
前記半導体基板401内に形成され、前側分離構造(例えば、シャロートレンチ分離(STI)構造)403によって分離されている少なくとも第1検出素子402aおよび第2検出素子402b;
前記半導体基板のFS表面401aから前記少なくとも第1または第2検出素子に電気的に接続された前面電圧印加デバイス404;
多層として形成され、少なくとも第1相互接続層407および金属接点408を含む絶縁層406;
前記光学センサーの表側表面510に取り付けられたキャリア半導体基板409;
少なくとも1つおよび第2検出素子を取り囲み、前記BS表面401bからエッチングされ、FS分離構造403の下側に着地する裏側ディープトレンチ分離(DTI)構造405であって、前記BSDTI構造が、トレンチの側壁および底部を覆う第1絶縁体材料405a(例えば、酸化ケイ素)および前記BSDTI構造の内側を満たす第2導電性材料405b(例えば、タングステン)で満たされる、裏側ディープトレンチ分離(DTI)構造405;
BS表面401b上に堆積され、半導体第2表面から少なくとも第1および第2検出素子402aおよび402bを接続する追加の低抵抗層412(例えば、アモルファスシリコン層)。
【0022】
本発明の第1の好ましい実施形態によれば、BSI光学センサー400は、図5のフローチャートAに示される製造プロセスステップに従って製造される。
この好ましい実施形態によれば、製造プロセスは、以下の製造ステップを含む:
501)FS分離構造(例えば、シャロートレンチ分離構造(STI))と、複数の相互接続層と、多層分離構造に配置された複数の接点/ビア構造を製造するステップを含む、標準的なCMOS表側製造プロセスを実行する。
502)前記多層分離構造の表側表面にキャリアウェーハを取り付ける。
503)裏側表面から半導体基板を部分的に薄くする。
504)各検出素子領域を囲むグリッドの形をしたFS分離構造の下側に着地するフォト/エッチングプロセスステップによって、裏側からBSIディープトレンチ分離(DTI)構造を形成する。
505)DTI構造のトレンチ側壁と底壁を覆う第1分離層と、BSIDTI構造の内部を満たす、W、Ti/W、アルミニウムなどの第2導電性材料を堆積する。
506)裏側表面の過剰なすべての導電性材料を除去するために、裏側表面を平坦化し(例えば、化学機械研磨、CMPよって)、アモルファスシリコン層を堆積することによって低抵抗率層を形成し、アモルファスシリコン層を低抵抗率層に変換するために、前記アモルファスシリコン層をドープし(例えば、注入)、およびそれをアニーリングする(例えば、熱レーザーアニーリング、LTA、またはマイクロ波アニーリング、または下の層に影響を与えない他の方法)。
最終的には、適切なARC層を低抵抗層の上に適用して、近赤外線(NIR)放射の透過率を向上させることができる。
【0023】
本発明の利点は、前述のことから明らかである。特に、前述の方法では、光学センサーピクセルアレイ(例えば、SPADアレイ)の少なくとも第1および第2検出素子のすべてが、光学センサーの前面に1つまたはごくわずかな接点しか配置されていない低抵抗層(図4には示されていない)に接触することによって、同じ裏側電位(例えば、接地電位)に接続されるという事実を強調することが重要である。近赤外(NIR)光検出の場合にUV/可視光線をフィルタリングするのに役立つため、アモルファスシリコン層を追加の低抵抗材料として使用することも有利である。
【0024】
本発明の第2の実施形態によれば、BSIディープトレンチ分離(DTI)構造は、前記検出素子の間の電気的連続性を維持しながら、ピクセルアレイの隣接する検出素子間の光学的分離を確実にするように、トレンチの千鳥状の線の形で製造される。理解を深めるために、図6は、提案された方法の第2の実施形態に従って得られたBSI光学センサーの例を示している。特に、図6の上部は、BSI光学センサー600の上面図を表し、下部は、図6の上部に表示された、BB’方向に沿って切断されたBSI光学センサー600の断面図を表す。
この第2の実施形態に従って得られる光学センサーは、以下を含む。
表側FS表面610および裏側BS表面611;
第1表面601aおよび第2表面601bが互いに向き合っている半導体基板601;
前記半導体基板内に形成され、FS分離構造(例えば、シャロートレンチ分離(STI)構造)603によって分離された、少なくとも第1検出素子602aおよび第2検出素子602b;
前記半導体基板のFS表面601aから前記少なくとも第1または第2検出素子に電気的に接続された表側電圧印加デバイス604;
多層として形成され、少なくとも第1相互接続層607および金属接点608を含む絶縁層606;
前記光学センサーの表側表面610に取り付けられたキャリア半導体基板609;
少なくとも1つおよび第2検出素子を取り囲み、トレンチ605の千鳥状の線の形で作成され、前記裏側表面601bからエッチングされ、FS分離構造603の下側に着地する裏側BSディープトレンチ分離(DTI)構造であって、前記BSDTI構造が、トレンチの側壁および底部を覆う第1絶縁材料605a(例えば酸化ケイ素)および前記BSDTI構造の内部を満たす第2導電性材料605b(例えば、W、Ti/Wまたはアルミニウム)で満たされている。
【0025】
本発明の第2の実施形態によれば、BSI光学センサー600は、図7のフローチャートBによって示される製造プロセスステップに従って製造される。
この方法によれば、製造プロセスは、以下の製造ステップを含む:
701)FS分離構造(例えば、シャロートレンチ分離構造(STI))と、多層分離構造に配置された複数の接点/ビア構造および複数の相互接続層を形成するステップを含む、標準的な表側製造プロセスを実行するステップ;
702)前記多層分離構造の表側表面にキャリアウェーハを取り付けるステップ;
703)裏側シリコン表面からシリコン基板を部分的に除去するステップ;
704)FS分離構造の底面に着地するフォト/エッチングプロセスステップによって裏側から、トレンチの千鳥状の線の形を有し、ギャップによって分離され、各検出素子領域を囲む、BSIディープトレンチ分離(DTI)構造を形成するステップ;
705)DTI構造のトレンチの側壁と底壁を覆う第1分離層と、BSIDTI構造の内部を満たすTi/Wやアルミニウムなどの第2導電性材料を堆積するステップ;
706)裏側表面を平坦化し(例えば、化学機械研磨CMPにより)、裏側表面の過剰な導電層をすべて除去するステップ。
【0026】
本発明の利点は、前述のことから明らかである。特に、提案された解決策は、互いに平行に走り、隣接する検出素子を取り囲む、トレンチの千鳥状の線の形で、裏側ディープトレンチ分離構造を構成することにあることを強調することが重要である。前記トレンチの千鳥状の線は、シリコンギャップを介してピクセルアレイ(例えば、SPADアレイ)の検出素子間の電気的連続性を保証し、同時にクロストークに対する光学的障壁を作成するために、シリコン基板で満たされたギャップによって分離されたトレンチ部分からなる。前述の方法によれば、フォトダイオード領域の露出したシリコン基板は、検出素子の第2電極として機能し、各第2電極に共通の電位を印加することができる(図7)。
【0027】
最後に、添付の特許請求の範囲で定義されるように、すべてが本発明の範囲内にある、本発明に対して多数の修正および変形を行うことができることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7