(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】創傷治癒システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20250210BHJP
A61M 25/02 20060101ALI20250210BHJP
A61F 13/02 20240101ALI20250210BHJP
【FI】
A61M27/00
A61M25/02 502
A61F13/02 A
(21)【出願番号】P 2022539041
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(86)【国際出願番号】 US2021012098
(87)【国際公開番号】W WO2021138675
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-04
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ター、テレサ
(72)【発明者】
【氏名】オフェク、ギドン
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/187858(WO,A1)
【文献】国際公開第95/017923(WO,A1)
【文献】特表2018-531674(JP,A)
【文献】特表2000-515393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 25/02
A61F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷治癒システムであって、
患者の経皮的挿入部位に関連する創傷の
上および周囲に配置するための電極として構成された創傷ドレッシングと、
カテーテル安定化デバイスと、
前記創傷を治癒または保護するために
前記創傷ドレッシングを介して電気刺激を
前記創傷に印加するための電気刺激手段と
を備え、
前記カテーテル安定化デバイスは、
前記挿入部位の近傍で前記患者の皮膚に接着するように構成されたアンカーパッドと、
前記アンカーパッドに結合されたリテーナであって、カテーテルアセンブリのカテーテルチューブが前記挿入部位に配置されている間に前記カテーテルアセンブリを安定させるように構成されたリテーナと
を含み、
前記電気刺激手段は、
電源と、
前記電気刺激を
前記創傷に印加するために前記カテーテル安定化デバイスと前記創傷ドレッシングとの間に配置された外部回路と
を含む、創傷治癒システム。
【請求項2】
さらなる安定化のために、前記創傷ドレッシングと、前記カテーテル安定化デバイスと、前記カテーテルアセンブリとの組み合わせを前記患者に接着すべく、該組み合わせの上に配置されるように構成された絆創膏をさらに備える請求項1に記載の創傷治癒システム。
【請求項3】
前記創傷ドレッシングは、導電性の本体を含み、該本体は、天然由来のポリマー、合成ポリマー、またはそれらの複合体からなるマトリックスを含み、該マトリックスは、金属、塩、導電性ポリマー、または炭素の導電性同素体を分散させたものである、請求項1または2に記載の創傷治癒システム。
【請求項4】
前記創傷ドレッシングの前記本体は導電性ヒドロゲルを含む、請求項3に記載の創傷治癒システム。
【請求項5】
前記創傷ドレッシングは、導電性の本体を含み、該本体は、天然由来のポリマー、合成ポリマー、またはそれらの複合体からなるマトリックスを含み、該マトリックスは、体液で少なくとも部分的に飽和したときに導電性を有するように構成されている、請求項1または2に記載の創傷治癒システム。
【請求項6】
前記創傷ドレッシングは抗菌剤を含む、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の創傷治癒システム。
【請求項7】
前記外部回路は、前記創傷ドレッシングに接続するための、前記カテーテル安定化デバイスから延びる一対の電気リード線を含み、前記電気リード線は、コーティングされた金属配線、導電性塗料、またはそれらの組み合わせで構成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の創傷治癒システム。
【請求項8】
前記電気刺激手段は、前記カテーテルアセンブリの一部を前記リテーナにロックするための前記リテーナの本体または前記リテーナの翼またはカバーに配置された集積回路を含み、前記集積回路は、電力を前記電源から前記創傷ドレッシングに伝送するように構成された前記外部回路に結合された電源回路と、前記電力が前記創傷ドレッシングにどのように供給されるかを調節するように構成された制御回路とを少なくとも含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の創傷治癒システム。
【請求項9】
前記集積回路は、特定の極性を有する200から1000mAの間の低強度電流が一度に1秒を超えて前記創傷ドレッシングに連続的に供給されるように前記電力を調節するように構成されている、請求項8に記載の創傷治癒システム。
【請求項10】
前記集積回路は、交互の極性または特定の極性を有する50から150Vの間の高電圧電流が1msパルスで前記創傷ドレッシングに供給されるように前記電力を調節するように構成されている、請求項8に記載の創傷治癒システム。
【請求項11】
前記集積回路は、前記患者の前記皮膚または前記創傷ドレッシングを介したインピーダンスの変化を検出するとともに、前記電力が前記創傷ドレッシングにどのように供給されるかを調節するように構成されたバイオフィードバックロジックを含む、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の創傷治癒システム。
【請求項12】
前記電源が電池であり、該電池が充電可能または交換可能である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の創傷治癒システム。
【請求項13】
前記電池が充電可能であり、前記リテーナが充電式の前記電池を充電するためのポートを含む、請求項12に記載の創傷治癒システム。
【請求項14】
前記リテーナは、前記電気刺激手段がアクティブであるときを示すように構成された1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の創傷治癒システム。
【請求項15】
前記創傷治癒システムは、前記カテーテル安定化デバイスに通信可能に接続するように構成されたコントローラをさらに含み、該コントローラは、ユーザが電力を前記創傷ドレッシングにどのように供給するかを調節することを可能にするように構成されている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の創傷治癒システム。
【請求項16】
創傷治癒システムであって、
患者の経皮的挿入部位に関連する創傷の
上および周囲に配置するための電極として構成された創傷ドレッシングと、
カテーテル安定化デバイスと、
前記創傷を治癒または保護するために
前記創傷ドレッシングを介して電気刺激を
前記創傷に印加するための電気刺激手段と、
絆創膏と
を備え、
前記カテーテル安定化デバイスは、
前記挿入部位の近傍で前記患者の皮膚に接着するように構成されたアンカーパッドと、
前記アンカーパッドに結合されたリテーナであって、カテーテルアセンブリのカテーテルチューブが前記挿入部位に配置されている間に前記カテーテルアセンブリを安定させるように構成されたリテーナと
を含み、
前記電気刺激手段は、
電源と、
前記電気刺激を
前記創傷に印加するために前記カテーテル安定化デバイスと前記創傷ドレッシングとの間に配置された外部回路であって、前記外部回路は、前記創傷ドレッシングに接続するための、前記カテーテル安定化デバイスから延びる一対の電気リード線を含む、外部回路と、
前記カテーテルアセンブリの一部を前記リテーナにロックするための前記リテーナの本体または前記リテーナの翼またはカバーに配置された集積回路と
を含み、
前記集積回路は、
電力を前記電源から前記創傷ドレッシングに伝送するように構成された前記外部回路に結合された電源回路と、
前記電力が前記創傷ドレッシングにどのように供給されるかを調節するように構成された制御回路と
を少なくとも含み、
前記絆創膏は、さらなる安定化のために、前記創傷ドレッシングと、前記カテーテル安定化デバイスと、前記カテーテルアセンブリとの組み合わせを前記患者に接着すべく、該組み合わせの上に配置されるように構成されている、創傷治癒システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
経皮的挿入部位に配置されたカテーテルチューブから細菌などの感染性微生物が体内に侵入し、感染症(深部組織感染症、敗血症など)を引き起こすことがある。このような微生物は、カテーテルチューブの内腔から患者の体内に侵入することもあるが、挿入部付近の患者の皮膚に定着した微生物が患者の体内に侵入する可能性が高い。したがって、臨床医は、カテーテル挿入の前に、アルコールベースのクロルヘキシジンまたはヨードポビドン溶液などの消毒剤を塗布することによって、挿入部位の周りの微生物を日常的に抑制する。しかしながら、カテーテル挿入部では微生物が急速に増殖するため、消毒剤を再び塗布して感染リスクを軽減するために、頻繁にドレッシングを交換する必要がある。そのため、ドレッシング交換を意図せず忘れたり、ドレッシング交換時に消毒剤を塗り忘れたり、消毒剤を不適切に塗ったりするなど、臨床医のミスが発生する可能性が十分にある。
【0002】
少なくとも上記に対処する創傷治癒システムおよびその方法が本明細書に開示されている。
【発明の概要】
【0003】
創傷治癒システムが本明細書に開示されており、いくつかの実施形態では、創傷治癒システムは、創傷ドレッシングと、カテーテル安定化デバイスと、少なくとも患者の経皮的挿入部位に関連する創傷を治癒または保護するために電気刺激を印加するための電気刺激手段とを含む。前記創傷ドレッシングは、創傷の周りに配置するための電極として構成されている。前記カテーテル安定化デバイスは、アンカーパッドおよび該アンカーパッドに結合されたリテーナを含む。前記アンカーパッドは、前記挿入部位の近傍で前記患者の皮膚に接着するように構成されている。前記リテーナは、前記カテーテルアセンブリの前記カテーテルチューブが前記挿入部位に配置されている間、前記カテーテルアセンブリを安定させるように構成されている。前記電気刺激手段は、電源と、電気刺激を印加するための前記カテーテル安定化デバイスと前記創傷ドレッシングとの間の外部回路とを含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、前記創傷治癒システムは、前記創傷ドレッシングと、前記カテーテル安定化デバイスと、前記カテーテルアセンブリとの組み合わせの上に配置するための絆創膏をさらに含む。前記絆創膏は、安定化のために、前記創傷ドレッシングと、前記カテーテル安定化デバイスと、カテーテルアセンブリとの組み合わせを前記患者に接着するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記創傷ドレッシング材は導電性の本体を含む。前記創傷ドレッシングの前記本体は、天然由来のポリマー、合成ポリマー、またはそれらの複合体からなるマトリックスを含み、該マトリックスは、金属、塩、導電性ポリマー、または炭素の導電性同素体を分散させたものである。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記創傷ドレッシングの前記本体は導電性ヒドロゲルを含む。
いくつかの実施形態では、前記創傷ドレッシングは本体を含む。前記創傷ドレッシングの前記本体は、天然由来のポリマー、合成ポリマー、またはそれらの複合体からなるマトリックスを含み、該マトリックスは、体液で少なくとも部分的に飽和したときに導電性を有するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記創傷ドレッシングは抗菌剤を含む。
いくつかの実施形態では、前記外部回路は、前記創傷ドレッシングに接続するための、前記カテーテル安定化デバイスから延びる一対の電気リード線を含む。前記電気リード線は、コーティングされた金属配線、導電性塗料、またはそれらの組み合わせで構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記電気刺激手段は、前記カテーテルアセンブリの一部を前記リテーナにロックするための前記リテーナの本体または前記リテーナの翼またはカバーに配置された集積回路を含む。前記集積回路は、電力を電源から創傷ドレッシングに伝送するように構成された前記外部回路に結合された電源回路と、前記電力が創傷ドレッシングにどのように供給されるかを調節するように構成された制御回路とを少なくとも含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記集積回路は、約200から1000mAの間の低強度電流が一度に1秒を超えて前記創傷ドレッシングに連続的に供給されるように電力を調節するように構成されている。前記電流は特定の極性を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記集積回路は、約50から150Vの間の高電圧電流が1msパルスで前記創傷ドレッシングに供給されるように電力を調節するように構成されている。前記電流は、交流極性または特定の極性を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記集積回路は、前記患者の前記皮膚または前記創傷ドレッシングを介したインピーダンスの変化を検出するように構成されたバイオフィードバックロジックを含む。また、前記バイオフィードバックロジックは、インピーダンスの変化に応じて、前記電力が前記創傷ドレッシングにどのように供給されるかを調整するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記電源は、バッテリーである。前記バッテリーは充電可能であるか、または交換可能である。
いくつかの実施形態において、前記バッテリーは充電可能である。前記リテーナは、前記充電式バッテリーを充電するためのポートを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記リテーナは、前記電気刺激手段がアクティブであるときを示すように構成された1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含む。
いくつかの実施形態では、前記創傷治癒システムは、前記カテーテル安定化デバイスに通信可能に接続するように構成されたコントローラをさらに含み、該コントローラは、ユーザが電力を前記創傷ドレッシングにどのように供給するかを調節することを可能にするように構成されている。
【0014】
また、創傷治癒システムが本明細書に開示されており、いくつかの実施形態では、創傷治癒システムは、創傷ドレッシングと、カテーテル安定化デバイスと、少なくとも患者の経皮的挿入部位に関連する創傷を治癒または保護すべく電気刺激を印加するための電気刺激手段と、絆創膏とを含む。前記創傷ドレッシングは、創傷の周りに配置するための電極として構成されている。前記カテーテル安定化デバイスは、アンカーパッドおよび該アンカーパッドに結合されたリテーナを含む。前記アンカーパッドは、前記挿入部位の近傍で前記患者の皮膚に接着するように構成されている。前記リテーナは、前記カテーテルアセンブリの前記カテーテルチューブが前記挿入部位に配置されている間、前記カテーテルアセンブリを安定させるように構成されている。前記電気刺激手段は、電源と、前記カテーテル安定化デバイスと前記創傷ドレッシングとの間の外部回路と、前記カテーテルアセンブリの一部を前記リテーナにロックするための前記リテーナの本体または前記リテーナの翼またはカバーに配置された集積回路とを含む。前記外部回路は、前記創傷ドレッシングに接続するとともに前記電気刺激を印加するための、前記カテーテル安定化デバイスから延びる一対の電気リード線を含む。前記集積回路は、少なくとも電源回路および制御回路を含む。前記電源回路は、前記外部回路に結合され、前記電源から前記創傷ドレッシングに電力を伝送するように構成されている。前記制御回路は、前記電力が前記創傷ドレッシングにどのように供給されるかを調整するように構成されている。前記絆創膏は、さらなる安定のために、前記創傷ドレッシングと、前記カテーテル安定化デバイスと、カテーテルアセンブリとの組み合わせを前記患者に接着すべく、前記組み合わせの上に配置されるように構成されている。
【0015】
創傷治癒システムの方法も本明細書に開示されており、いくつかの実施形態では、該方法は、患者の経皮的挿入部位に関連する創傷の周りに創傷ドレッシングを適用する創傷ドレッシング適用ステップを含む。前記創傷ドレッシングは、電極として構成されている。また、前記方法は、挿入部位の近傍で前記患者の皮膚にカテーテル安定化デバイスのアンカーパッドを接着する接着ステップを含む。また、前記方法は、前記カテーテル安定化デバイスのリテーナ内のカテーテルアセンブリを安定化させる安定化ステップを含む。前記リテーナは前記アンカーパッドに結合されている。また、前記方法は、前記創傷を治癒または保護するための電気刺激手段を用いて電気刺激を印加する電気刺激印加ステップを含む。前記電気刺激手段は、電源と、電気刺激を印加するための前記カテーテル安定化デバイスと前記創傷ドレッシングとの間の外部回路とを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法は、前記カテーテル安定化デバイスのリテーナに前記カテーテルアセンブリを安定化させる前に、前記カテーテルアセンブリのカテーテルチューブを挿入部位に挿入する挿入ステップをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記方法は、さらなる安定化のために、前記創傷ドレッシングと、前記カテーテル安定化デバイスと、前記カテーテルアセンブリとの組み合わせを前記患者に接着すべく、前記組み合わせの上に絆創膏を配置する配置ステップをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記電気刺激を印加するための外部回路を形成すべく、一対の電気リード線を前記カテーテル安定化デバイスから前記創傷ドレッシングに接続する電気リード線接続ステップをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記電気リード線接続ステップは、前記カテーテルアセンブリ上の前記電気リード線を導電性塗料で塗装することを含む。
いくつかの実施形態では、前記方法は、充電ケーブルを前記リテーナのポートに接続する充電ケーブル接続ステップをさらに含む。前記充電ケーブル接続ステップは、充電式バッテリーを充電することを含み、前記充電式バッテリーが電源である。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記方法は、アクティブな電気刺激を示す前記リテーナの1つまたは複数のLEDを観察することによって、前記電気刺激手段がアクティブであることを判断する判断ステップをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記カテーテル安定化デバイスに通信可能に接続されたコントローラを制御することによって、前記電力が前記創傷ドレッシングにどのように供給されるかを調節する調節ステップをさらに含む。
【0022】
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】いくつかの実施形態による創傷治癒システムを示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、患者に使用された状態の第1のカテーテル安定化デバイスを備える創傷治癒システムを示す。
【
図3】いくつかの実施形態による、患者に使用された状態の第2のカテーテル安定化デバイスを備える創傷治癒システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0025】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、および他の同様の用語などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0026】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0027】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0028】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
また、経皮的挿入部位に配置されたカテーテルチューブから細菌などの感染性微生物が体内に侵入し、感染症(深部組織感染症、敗血症など)を引き起こすことがある。このような微生物は、カテーテルチューブの内腔から患者の体内に侵入することもあるが、挿入部付近の患者の皮膚に定着した微生物が患者の体内に侵入する可能性が高い。したがって、臨床医は、カテーテル挿入の前に、アルコールベースのクロルヘキシジンまたはヨードポビドン溶液などの消毒剤を塗布することによって、挿入部位の周りの微生物を日常的に抑制する。しかしながら、カテーテル挿入部では微生物が急速に増殖するため、消毒剤を再び塗布して感染リスクを軽減するために、頻繁にドレッシングを交換する必要がある。そのため、ドレッシング交換を意図せず忘れたり、ドレッシング交換時に消毒剤を塗り忘れたり、消毒剤を不適切に塗ったりするなど、臨床医のミスが発生する可能性が十分にある。
【0029】
少なくとも上記に対処する創傷治癒システムおよびその方法が本明細書に開示されている。
例えば、創傷治癒システムは、いくつかの実施形態では、創傷ドレッシングと、カテーテル安定化デバイスと、少なくとも患者の経皮的挿入部位に関連する創傷を治癒または保護すべく電気刺激を印加するための電気刺激手段とを含む。電気刺激は、細菌などの微生物の増殖を抑制するように構成されている。メカニズム的には、電気刺激によって細菌膜の完全性を破壊する方法で、少なくとも細菌の増殖が抑制されると考えられている。上述した微生物の増殖抑制は創傷治癒に寄与しながら、電気刺激により創傷部の創傷治癒細胞が活性化され、そこへの創傷治癒細胞の移動も促進されると考えられる。このような創傷治癒システムを考慮すると、細菌などの微生物による感染のリスクは、創傷治癒を強化するためのドレッシングの変更を少なくすることで減少する。
【0030】
創傷治癒システム
図1は、いくつかの実施形態による創傷治癒システム100を示す。
図2および
図3は、いくつかの実施形態による、患者に使用された状態にある第1のカテーテル安定化デバイス110および第2のカテーテル安定化デバイス310をそれぞれ有する創傷治癒システム100を示す。カテーテルアセンブリ140が
図1から
図3の各図に示され、絆創膏160が
図1に示され、コントローラ150が
図1に示されているが、カテーテルアセンブリ140、絆創膏160、およびコントローラ150の創傷治癒システムの各構成要素は、前述の各構成要素が創傷治癒システム100での使用のために別々に提供され得るという意味で創傷治癒システム100のオプション構成要素である。つまり、カテーテルアセンブリ140、絆創膏160、およびコントローラ150のうちの任意の1つまたは複数の構成要素は、以下に規定する創傷治癒システム100の主要構成要素と共に(例えば、キットで)提供され得る。
【0031】
創傷治癒システム100の主要構成要素は、創傷ドレッシング130と、カテーテル安定化デバイス110または310と、
図2および
図3の挿入部位ISのような患者の経皮的挿入部位に関連する少なくとも創傷を治癒または保護すべく電気刺激を印加するための電気刺激手段とを含むが、これらに限定されるわけではない。創傷治癒システム100の前述の主要構成要素の各構成要素を、以下に順に説明する。しかしながら、電気刺激手段に関して、電気刺激手段は、創傷ドレッシング130およびカテーテル安定化デバイス110または310の電気刺激に関連する特徴を含む。創傷ドレッシング130およびカテーテル安定化デバイス110または310の電気刺激に関連する特徴のいくつかは、電気刺激手段の一部として以下に明示されるが、創傷治癒システム100の電気刺激を提供することを支援する創傷ドレッシング130またはカテーテル安定化デバイス110または310の任意の特徴を電気刺激手段の一部として含んでもよいことを理解されたい。
【0032】
創傷ドレッシング130は、患者の挿入部位ISに関連する創傷の上および周囲に配置するための電極として構成されている。創傷ドレッシング130は、カテーテルチューブ142が患者の挿入部位ISに配置され、創傷ドレッシング130が関連する創傷の上および周囲に位置した状態で、カテーテルアセンブリ140のカテーテルチューブ142を収容するように構成されたスロット134を有する本体232を含む。
【0033】
創傷ドレッシング130の本体232は、導電性であるか、または特定の条件下で導電性になるように構成されている。創傷被覆材130の本体232は、天然由来のポリマー(例えば、綿[すなわち、セルロース])、合成ポリマー(例えば、ヒドロゲル、ポリウレタンなど)、またはそれらの複合体からなるマトリックスを含む。
【0034】
創傷被覆材130の本体232が導電性である場合、そのマトリックスは、金属(例えば、銅、銀など)、塩、導電性ポリマー、または、その中に分散された炭素の導電性同素体を含む。例えば、創傷ドレッシング130の本体232は導電性ヒドロゲルであってもよい。
【0035】
創傷ドレッシング130の本体232が導電性になるように構成されている場合、本体232は、汗、滲出液、血液等の体液で少なくとも一部が飽和すると導電性になり、体液は、例えば、導電性のためのイオンを含む。創傷ドレッシング130の本体232がすでに導電性である場合でさえ、前述の体液は、導電性を高めることができる。
【0036】
創傷ドレッシング130の本体232は、その中に分散された抗菌剤を含むことができ、抗菌剤は、電気刺激と相乗的に作用して細菌の増殖を阻害するように構成される。抗菌剤は、クロルヘキシジン、銀、または銅を含み得るが、これらに限定されない。代替的または追加的に、創傷被覆材130の本体232は、創傷の電気刺激中に創傷ドレッシング130の本体232内で一酸化窒素に還元される硝酸を含んでもよい。その後、一酸化窒素は、抗菌剤として創傷被覆材130の本体232から放出される。
【0037】
カテーテル安定化デバイス110または310は、アンカーパッド212および該アンカーパッド212に結合されたリテーナ214または314を含む。
アンカーパッド212は、
図2および
図3に示すように、挿入部位ISの近傍で患者の皮膚に接着するように構成されている。アンカーパッド212は、アンカーパッド212の患者に面する側に低アレルギー性接着剤を有する通気性のある非吸収性のトリコットポリエステルまたは独立気泡フォームで形成され得る。リテーナ214または314は、アンカーパッド212の患者に面する側の反対側のアンカーパッド212の側に接着されている。
【0038】
リテーナ214または314は、
図2及び
図3に示すように、カテーテルアセンブリ140のカテーテルチューブ142が挿入部位ISに配置されている間、カテーテルアセンブリ140(例えば、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC))を安定させるように構成されている。リテーナ214または314は、カテーテルアセンブリ140の縫合翼246をその中に受け入れるように構成されたリテーナ214または314の本体内に縫合翼コンパートメントを含むことができる。縫合翼コンパートメントは、縫合翼コンパートメントの底部から延びる支柱(例えば、支柱216)を含んでもよく、支柱は、カテーテルアセンブリ140の縫合翼246の縫合穴(例えば、縫合穴244)に挿入するために構成されている。リテーナ214または314は、ポリウレタンで形成されてもよく、あるいはポリウレタンから成形されてもよい。
【0039】
リテーナ214は、該リテーナ214の本体に結合されたヒンジ付き翼218を含むという点で、リテーナ314とは異なる。ヒンジ付き翼218は、カテーテルアセンブリ140の縫合翼246をリテーナ214の縫合翼コンパートメントに挿入するために外向きに開くように構成されている。また、ヒンジ付き翼218は、カテーテルアセンブリ140の縫合翼246をリテーナ214の縫合翼コンパートメント内にロックするために、リテーナ214の本体と一緒に内側に閉じてスナップ結合するように構成されている。ヒンジ付き翼218はタブを含み、リテーナ214の本体は、ヒンジ付き翼218がリテーナ214の本体と一緒にスナップ結合することを可能にする凹部を含む。
【0040】
リテーナ314は、該リテーナ314がリテーナ314の本体に取り外し可能に結合または固定的に結合されたカバー318を含む点でリテーナ214と異なる。取り外し可能に結合される場合、カバー318は、縫合翼246をその中に挿入した後、カテーテルアセンブリ140の縫合翼246をリテーナ314の縫合翼コンパートメント内にロックするためにリテーナ314の本体とスナップ結合するように構成されている。リテーナ214及びそのヒンジ付き翼218と同様に、カバー318はタブを含み、リテーナ314の本体は、カバー318がリテーナ314の本体と一緒にスナップ結合することを可能にする凹部を含む。固定的に結合される場合、カバー318は、ヒンジ式小端部分を含み、カテーテルアセンブリ140の縫合翼246をリテーナ314の縫合翼コンパートメントに挿入するために、ヒンジ式小端部分をリテーナ314の本体から離して持ち上げることができるようにする。カバー318のヒンジの無い小端部分はタブを含み、リテーナ314の本体の対応する部分は、縫合翼246をその中に挿入した後、カテーテルアセンブリ140の縫合翼246をリテーナ314の縫合翼コンパートメント内にロックするためにカバー318がリテーナ314の本体と一緒にスナップ結合することを可能にする凹部を含む。
【0041】
電気刺激手段は、電源と、電気刺激を印加するためのカテーテル安定化デバイス110または310と創傷ドレッシング130との間(
図2および
図3に示す)の外部回路とを含む。
【0042】
図示されていないが、電源は電池(例えば、マイクロバッテリ)であり、これは、交換可能電池または充電可能な電池のいずれかであり得る。電池は、カテーテル安定化デバイス110又は310のリテーナ214又は314の本体、リテーナ214のヒンジ付き翼218、又はリテーナ314のカバー318の電池コンパートメント内に配置され得る。電池コンパートメントは、交換可能な電池を交換するために必要に応じてバッ電池コンパートメントにアクセスするために、電池コンパートメントのスライドロックカバーと噛合するように構成され得る。あるいは、電池コンパートメントは、カテーテル安定化デバイス110または310の手間のかからない動作状態を確保するために、充電式電池をその中に入れたままアクセス不能に密閉されてもよい。リテーナ214または314は、必要に応じて充電式電池を充電するために、充電式電池に電気的に結合された充電ポート222を含むことができる。
【0043】
外部回路は、創傷ドレッシング130と接続するための、カテーテル安定化デバイス110または310から延びる一対の電気リード線120、または電源に電気的に結合された電気接点(例えば、支柱の電気接点)を含む。電気リード線120は、コーティングされた金属配線から構成されているように示されているが、電気リード線120は、代替的に、導電性塗料から構成されるか、任意選択でコーティングされた金属配線と組み合わせて導電性塗料から構成されてもよい。導電性塗料は、該導電性塗料が創傷ドレッシング130と接触するように、電源、またはカテーテル安定化デバイス110もしくは310に電気的に結合したカテーテル安定化デバイス110もしくは310の電気接点からカテーテルチューブ142に沿って、カテーテルチューブ142の基端から約3cm以下まで塗布され得る。
【0044】
また、電気刺激手段は、カテーテル安定化デバイス110又は310のリテーナ214又は314の本体内、リテーナ214のヒンジ付き翼218内、又はリテーナ314のカバー318内に配置された集積回路を含んでもよい。前記集積回路は、少なくとも電源回路および制御回路を含む。創傷治癒システム100が使用されている間、電源回路は外部回路に結合されている。電源回路は、電源から外部回路を介して創傷ドレッシング130に電力を伝送するように構成される。制御回路は、電源回路および外部回路を介して創傷ドレッシング130に電力がどのように供給されるかを調節するように構成される。
【0045】
集積回路は、いくつかの異なる方法で電力を調節するように構成され得る。例えば、集積回路は、約200から1000mAの間の低強度電流が一度に1秒を超えて創傷ドレッシング130に連続的に供給されるように電力を調節するように構成され得る。このような電流は特定の極性を有し得る。そのような低強度の電流の印加は、創傷での創傷治癒細胞を活性化するだけでなく、創傷治癒細胞の移動を促進すると考えられる。また、集積回路は、約50から150Vの間の高電圧電流が1msパルスまたは1ms未満のパルスで創傷ドレッシング130に供給されるように電力を調節するように構成され得る。このような電流は、交流極性または特定の極性を有し得る。そのような高電圧電流の印加は、電気刺激によって細菌膜の完全性を破壊することにより細菌の増殖を阻害すると考えられている。
【0046】
集積回路は、患者の皮膚または創傷ドレッシング130を介したインピーダンスの変化を検出するように構成されたバイオフィードバックロジックを含み得る。また、バイオフィードバックロジックは、インピーダンスの変化に応じて、電力が創傷ドレッシング130にどのように供給されるかを調整するように構成され得る。電力が創傷ドレッシング130にどのように供給されるかを調節することに加えて、バイオフィードバックロジックは、インピーダンスの変化を通じて過剰な出血を検出するように構成され得る。
【0047】
電気刺激手段の一部である必要はないが、カテーテル安定化デバイス110または310のリテーナ214または314の本体、リテーナ214のヒンジ付き翼218、またはリテーナ314のカバー318は、電気刺激手段がいつ活動しているか、電気刺激手段がどのモードを使用されているか、いつ電池を充電または交換する必要か等を示すように構成された1つまたは複数のLED224を含み得る。
【0048】
創傷治癒システム100は、カテーテル安定化デバイス110又は310のリテーナ214又は314内の通信モジュールとWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等を介して通信するように構成された通信モジュールを有するベッド横のコントローラ、携帯型コントローラ、又はスマートフォンに代表されるコントローラ150をさらに含み得る。コントローラ150は、該コントローラ150のユーザが、電力を創傷ドレッシング130にどのように供給するかを調節できるように構成される。例えば、コントローラ150は、ユーザが創傷ドレッシング130に供給される電力の周波数、持続時間、電圧、または極性を自由に調整できるように構成されてもよく、これは、細菌の増殖を抑制すること、または創傷治癒の1つまたは複数の段階を最適化することに有用である。代替的または追加的に、コントローラ150は、創傷ドレッシング130に供給される電力の周波数、持続時間、電圧、または極性を自動的に調整するための1つまたは複数のプログラム、設定、またはモードで構成されてもよい。
【0049】
創傷治癒システム100は、創傷ドレッシング130と、カテーテル安定化デバイス110または310と、カテーテルアセンブリ140との組み合わせの上に配置するための絆創膏160をさらに含み得る。絆創膏160は、創傷被覆材130、カテーテル安定化装置110または310、およびカテーテルアセンブリ140の組み合わせをさらに安定化するために患者に接着するように構成された低アレルギー性接着剤を有する患者に面する面を含む。絆創膏160は、創傷ドレッシング130と、カテーテル安定化デバイス110又は310と、カテーテルアセンブリ140との組み合わせが創傷治癒システム100を監視するために透明窓を通して視認することができるように、非吸収性トリコットポリエステルからなる強化された縁を有する透明窓を含むことができる。注目すべきは、電気刺激手段の外部回路の電気リード線120が導電性塗料から構成されている場合、絆創膏160は、電気リード線120の露出を制限することにより、電気リード線120を摩耗から保護できることである。
【0050】
方法
創傷治癒システム100の方法は、少なくとも創傷治癒システム100を使用する方法を含む。カテーテル組立体140が創傷治癒システム100に備えられている場合、創傷治癒システム100を使用することは、
図2及び
図3に示す挿入部位ISのような経皮的挿入部位にカテーテルアセンブリ140のカテーテルチューブ142を挿入する挿入ステップを含み得る。また、この方法は、カテーテルアセンブリ140のカテーテルチューブ142が挿入部位ISに配置されている間に、カテーテル安定化デバイス110又は310のリテーナ214又は314にカテーテルアセンブリ140を安定させる安定化ステップを含み得る。
【0051】
創傷治癒システム100の使用方法は、一般に、挿入部位ISに関連する創傷の周囲に創傷ドレッシング130を適用する創傷ドレッシング適用ステップを含む。また、方法は、挿入部位ISの近傍で患者の皮膚にカテーテル安定化デバイス110又は310のアンカーパッド212を接着する接着ステップを含む。また、方法は、電気刺激を印加するための外部回路を形成すべく、一対の電気リード線120をカテーテル安定化デバイス110または310から創傷ドレッシング130に接続する電気リード線接続ステップをさらに含む。電気リード線接続ステップは、カテーテルアセンブリ140上の電気リード線120を導電性塗料で塗装することを含む。また、方法は、創傷を治癒するための電気刺激手段を用いて電気刺激を印加する電気刺激印加ステップを含む。
【0052】
方法は、アクティブな電気刺激を示すリテーナ214または314の1つまたは複数のLED224を観察することによって、電気刺激手段がアクティブであるか否かを判断する判断ステップをさらに含み得る。
【0053】
方法は、カテーテル安定化デバイス110または310に通信可能に接続されたコントローラ150を制御することによって、電力が創傷ドレッシング130にどのように供給されるかを調節する調節ステップをさらに含む。
【0054】
方法は、充電式電池を充電する必要があるか否かを判断する別の判断ステップをさらに含み得る。そうである場合、方法は、充電ケーブルをカテーテル安定化デバイス110又は310のリテーナ214又は314の充電ポート222に接続する充電ケーブル接続ステップをさらに含み得る。充電ケーブル接続ステップは、充電式バッテリーヲ充電することを含んでもよい。
【0055】
方法は、さらなる安定化のために、創傷ドレッシング130と、カテーテル安定化デバイス110または310と、カテーテルアセンブリ140との組み合わせを患者に接着すべく、上記の組み合わせの上に絆創膏160を配置する配置ステップをさらに含み得る。
【0056】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。当業者は、より広い態様において、付加的な適応をおこなったり、および/または改変を行ったりすることを理解することができ、これらの適応および/または改変も包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から外れて実施されてもよい。