(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】膨張弁
(51)【国際特許分類】
F25B 41/345 20210101AFI20250210BHJP
【FI】
F25B41/345
(21)【出願番号】P 2022541464
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2021027772
(87)【国際公開番号】W WO2022030315
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020132545
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】福留 康平
(72)【発明者】
【氏名】神崎 敏智
(72)【発明者】
【氏名】白藤 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】漆山 恵一
(72)【発明者】
【氏名】江島 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】古川 健士郎
(72)【発明者】
【氏名】橋口 明広
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大千
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-153498(JP,A)
【文献】米国特許第04632358(US,A)
【文献】特開平10-220926(JP,A)
【文献】特開2001-153495(JP,A)
【文献】特開2008-190574(JP,A)
【文献】特開2013-100915(JP,A)
【文献】特開2004-101163(JP,A)
【文献】国際公開第2022/030314(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/31 - 41/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮器からの冷媒が通過する入口ポートおよび蒸発器への冷媒が通過する出口ポートが形成されたバルブハウジングと、
ソレノイドにより駆動される弁体と、
前記弁体が着座する弁座と、
前記弁体を閉弁方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記出口ポートは前記弁座よりも前記閉弁方向側に設けられており、
前記弁体の開弁方向側には
前記入口ポートと区画された空間が形成されており、
前記空間と前記出口ポートとを連通する連通路が形成されている膨張弁。
【請求項2】
前記空間に前記付勢手段が配置されている請求項1に記載の膨張弁。
【請求項3】
前記連通路が前記弁体に形成されている請求項1または2に記載の膨張弁。
【請求項4】
前記空間と前記入口ポートとはベローズにより区画されている請求項1ないし3のいずれかに記載の膨張弁。
【請求項5】
前記弁体の有効受圧面積と、前記ベローズの有効受圧面積とが等しい請求項4に記載の膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに用いられる膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
空調システムは、冷媒を圧縮して高温高圧の過熱蒸気とする圧縮機、圧縮機から送り込まれた冷媒を冷却して高温高圧の過冷却液とする凝縮器、凝縮器から送り込まれた冷媒を膨張させて低温低圧の湿り蒸気とする膨張弁、膨張弁から送り込まれた冷媒を加熱して飽和蒸気とする蒸発器から主に構成され、冷媒がこれら圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に循環する冷凍サイクルを備えている。
【0003】
例えば、特許文献1の膨張弁は電子式の膨張弁であって、付勢手段の付勢力に抗してソレノイドの電磁力により弁体を開弁方向に駆動させ、バルブハウジングに形成された弁座との間の弁開度を調整可能となっている。また、凝縮器を通過した後の冷媒の温度や圧力に基づいて、ソレノイドに印加させる電流値が設定され、弁開度の調整がなされることによって、凝縮器の過冷却度が一定に維持されている。
【0004】
また、蒸発器を通過する前または通過した後の冷媒の温度や圧力に基づいて、膨張弁の弁開度の調整がなされることによって、蒸発器を通過後、すべての冷媒が飽和蒸気となるように、湿り蒸気の乾き度を調整するものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-153498号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような膨張弁においては、弁体と弁座により弁口部を閉塞するポペット弁構造であるため、弁口部を確実に閉塞可能である。しかしながら、弁口部には凝縮器から高圧の1次圧の冷媒が供給されていることから、弁体には開弁方向にソレノイドの駆動力に加えて冷媒の圧力による力も加わり、ソレノイドに印加する電流値に対する弁開度が冷媒の圧力によって僅かに異なる虞があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、弁開度調整の精度が高い膨張弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の膨張弁は、
凝縮器からの冷媒が通過する入口ポートおよび蒸発器への冷媒が通過する出口ポートが形成されたバルブハウジングと、
ソレノイドにより駆動される弁体と、
前記弁体が着座する弁座と、
前記弁体を閉弁方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記弁体の開弁方向側には空間が形成されており、該空間には前記弁体よりも前記閉弁方向側の冷媒が流入している。
これによれば、弁体の開弁方向側の空間には、弁座よりも閉弁方向側の冷媒が流入しているため、空調システムの運転時における膨張弁に送り込まれる高圧の1次圧と蒸発器側の低圧の2次圧との差圧による弁体の動作への影響が小さい。また、弁体が電流値に対して精度よくストロークするので、弁体による開度調整の精度が高い。
【0009】
前記空間に前記付勢手段が配置されていてもよい。
これによれば、冷媒が流入する空間を利用して付勢手段を配置できるので膨張弁をコンパクトに構成することができる。
【0010】
前記出口ポートは前記弁座よりも前記閉弁方向側に設けられており、前記空間と前記出口ポートとを連通する連通路が形成されていてもよい。
これによれば、バルブハウジングに形成された出口ポートから連通路を通じて空間に蒸発器側の2次圧の冷媒を流入させることができる。
【0011】
前記連通路が前記弁体に形成されていてもよい。
これによれば、弁体に連通路が形成されているので、バルブハウジングに連通路を形成することに比べて加工が簡便である。
【0012】
前記空間と前記入口ポートとはベローズにより区画されていてもよい。
これによれば、簡便な構成により空間と入口ポートとを区画できる。
【0013】
前記弁体の有効受圧面積と、前記ベローズの有効受圧面積とが等しくてもよい。
これによれば、弁体にソレノイドの駆動方向両側から作用する冷媒の圧力がキャンセルされるため、ソレノイドの動作が冷媒の圧力の影響を受けない。そのため、ソレノイドの電磁力と付勢手段の付勢力とのバランスにより調整される弁開度により蒸発器に送り込む冷媒の流量を細かく変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施例1の膨張弁が適用された冷凍サイクルを示す模式図である。
【
図2】本発明に係る実施例1の膨張弁の構造を示す断面図である。
【
図3】実施例1の膨張弁において閉弁された様子を示す断面図である。
【
図4】実施例1の膨張弁において開弁された様子を示す断面図である。
【
図5】本発明に係る実施例2の膨張弁の構造を示す断面図である。
【
図6】実施例2の膨張弁において閉弁された様子を示す断面図である。
【
図7】実施例2の膨張弁において開弁された様子を示す断面図である。
【
図8】本発明に係る実施例3の膨張弁の構造を示す断面図である。
【
図9】本発明に係る実施例4の膨張弁の構造を示す断面図である。
【
図10】本発明に係る実施例5の膨張弁の構造を示す断面図である。
【
図11】本発明に係る実施例6の膨張弁の構造を示す断面図である。
【
図12】本発明に係る実施例7の膨張弁の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る膨張弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1に係る膨張弁につき、
図1から
図4を参照して説明する。以下、
図2の正面側から見て左右側を膨張弁の左右側として説明する。詳しくは、
図2のバルブハウジング10が配置される紙面左側を膨張弁の左側、ソレノイド80が配置される紙面右側を膨張弁の右側として説明する。
【0017】
図1に示されるように、本発明の膨張弁V1は、圧縮機C、室内側の熱交換器H1、室外側の熱交換器H2等とともに自動車等の空調システムに使用される冷凍サイクルRを構成している。
【0018】
先ず、冷凍サイクルRについて説明する。冷凍サイクルRは、暖房時において冷媒を、圧縮機C、熱交換器H1、膨張弁V1、熱交換器H2の順に循環させるようになっている。冷媒は、圧縮機Cによって高温高圧の過熱蒸気となり、熱交換器H1によって室内の空気と熱交換されて高温高圧の過冷却液となり、膨張弁V1により高圧の1次圧から低圧の2次圧に減圧されて低温低圧の湿り蒸気となり、熱交換器H2によって室外の空気と熱交換されて飽和蒸気となる。これにより、熱交換器H1との熱交換により室内の空気が加温される。すなわち、暖房時には、熱交換器H1が凝縮器となり、熱交換器H2が蒸発器となる。
【0019】
また、冷凍サイクルRは、冷房時において冷媒を、圧縮機C、熱交換器H2、膨張弁V1、熱交換器H1の順に循環させるようになっている。冷媒は、圧縮機Cによって高温高圧の過熱蒸気となり、熱交換器H2によって室外の空気と熱交換されて高温高圧の過冷却液となり、膨張弁V1により高圧の1次圧から低圧の2次圧に減圧されて低温低圧の湿り蒸気となり、熱交換器H1によって室内の空気と熱交換されて飽和蒸気となる。これにより、熱交換器H1との熱交換により室内の空気が冷却される。すなわち、冷房時には、熱交換器H1が蒸発器となり、熱交換器H2が凝縮器となる。
【0020】
尚、以降の説明においては、特に断らない限り冷凍サイクルRは暖房に使用されているものとする。同様に、暖房時を基準に、熱交換器H1を凝縮器H1、熱交換器H2を蒸発器H2と記載する。
【0021】
図1,
図2に示されるように、膨張弁V1は、凝縮器H1と蒸発器H2との間に配置されている。蒸発器H2の入口側と出口側における冷媒の温度差に基づいてソレノイド80を構成するコイル86に通電する電流が設定される。この電流に応じて膨張弁V1の開弁度が調整されることにより、弁50を通過した冷媒の圧力は高圧の1次圧P1から相対的に低圧な2次圧P2に調整されるとともに、冷媒は温度も高温から低温に調整される。これにより、凝縮器H1から送り込まれた過冷却液であるすべての冷媒は、蒸発器H2を通過後、飽和蒸気へと遷移可能な湿り蒸気の乾き度に調整される。
【0022】
本実施例において、弁50は、弁体51とバルブハウジング10の内周面に形成された弁座10aとにより構成されており、弁体51の軸方向右端部に形成されたテーパ面部51aが弁座10aに接離することで、弁50が開閉するようになっている。
【0023】
次いで、膨張弁V1の構造について説明する。
図2に示されるように、膨張弁V1は、金属材料または樹脂材料により形成されたバルブハウジング10と、バルブハウジング10内に配置される弁体51と、バルブハウジング10に接続され弁体51に駆動力を及ぼすソレノイド80と、から主に構成されている。
【0024】
図2~
図4に示されるように、弁体51は、その中央部に軸方向右方に開口する凹部51bを有し、凹部51bには、ソレノイド80のコイル86に対して貫通配置されるロッド52の軸方向左端部が圧入固定されている。また、弁体51には、凹部51bよりも径方向にずれた位置に軸方向に貫通する連通路51cが形成されている。連通路51cは、断面一定に形成されている。尚、連通路51cは複数設けてられていてもよく、この場合冷媒を出入させやすくなるから好ましい。
【0025】
図2~
図4に示されるように、バルブハウジング10には、蒸発器H2と連通する出口ポート11と、凝縮器H1と連通する入口ポート12が形成されている。出口ポート11は、弁座10aよりも軸方向右側、すなわち後述する閉弁方向に形成されている。また、入口ポート12は、弁座10aよりも軸方向左側、すなわち後述する開弁方向に形成されている。
【0026】
バルブハウジング10の内部には1次圧室14と、2次圧室13と、弁口部15と、凹部10dと、が設けられている。1次圧室14には、入口ポート12から凝縮器H1を通過した冷媒が供給される。2次圧室13には、1次圧室14から弁50を通過した冷媒が供給され、出口ポート11から出力される。また、2次圧室13には出口ポート11が連通している。弁口部15は2次圧室13と1次圧室14との間に配設されており、軸方向左側の縁部に弁座10aが形成されている。凹部10dは弁座10aよりも軸方向左方に配設されており、1次圧室14を構成する。
【0027】
凹部10dは、軸方向左方の開口部が蓋部材16により閉塞されている。また、1次圧室14には、弁体51を軸方向右方、すなわち、閉弁方向に付勢する付勢手段としてのベローズ18が配設されている。ベローズ18は、その軸方向左端が蓋部材16に密封状に固定されており、軸方向右端が弁体51の軸方向左端面に密封状に固定されている。すなわち、バルブハウジング10の内部には、ベローズ18と蓋部材16と弁体51により区画されて空間S1が形成されている。
【0028】
また、空間S1は、連通路51cを介して2次圧室13と連通しており、2次圧室13内の冷媒が空間S1内に流入している。すなわち、ベローズ18は、弁50の閉塞状態において空間S1と1次圧室14とを略密封状に区画している。
【0029】
また、バルブハウジング10の軸方向右端に形成された軸方向左方に凹む凹部10cに、センタポスト82のフランジ部82dが軸方向右方から挿嵌されて、バルブハウジング10にセンタポスト82は一体に略密封状態で接続固定されている。尚、バルブハウジング10の凹部10cの底には貫通孔が形成されており、凹部10cは環状段部と呼べる。
【0030】
図2に示されるように、ソレノイド80は、軸方向左方に開放する開口部81aを有するケーシング81と、ケーシング81の開口部81aに対して軸方向左方から挿入されケーシング81の内径側に固定される略円筒形状のセンタポスト82と、センタポスト82に挿通され軸方向に往復動自在に配置されるロッド52と、ロッド52の軸方向左端部に圧入固定される弁体51と、ロッド52の軸方向右端部が挿嵌・固定される可動鉄心84と、センタポスト82の外側にボビンを介して巻き付けられた励磁用のコイル86と、から主に構成されている。
【0031】
ケーシング81の軸方向左端に形成された軸方向右方に凹む凹部81bに対してバルブハウジング10の軸方向右端部が略密封状に挿嵌・固定されている。
【0032】
センタポスト82は、鉄やケイ素鋼等の磁性材料である剛体から形成され、軸方向に延びロッド52が挿通される挿通孔82cが形成された円筒部82bと、円筒部82bの軸方向左端部の外周面から外径方向に延びる環状のフランジ部82dとを備えている。
【0033】
また、センタポスト82のフランジ部82dの軸方向右端面をケーシング81の凹部81bの底面に軸方向左方から当接させた状態で、バルブハウジング10はケーシング81の凹部81bに対して略密封状に挿嵌・固定されている。すなわち、センタポスト82は、フランジ部82dをケーシング81の凹部81bの底面とバルブハウジング10の凹部10cの底面との間に軸方向両側から挟持されることにより固定されている。
【0034】
次いで、膨張弁V1の開閉動作について説明する。
【0035】
先ず、膨張弁V1の非通電状態について説明する。
図2および
図3に示されるように、膨張弁V1において、非通電状態において、弁体51がベローズ18の付勢力により軸方向右方、すなわち閉弁方向へと押圧されることで、弁体51のテーパ面部51aが弁座10aに着座し、弁50が閉塞されている。詳しくは、軸方向左側に向けて拡開するようにテーパ状に形成される弁座10aに対して弁体51のテーパ面部51aが接触して着座するようになっている。
【0036】
このとき、ベローズ18の有効受圧面積A、弁体51の有効受圧面積B、軸方向右向きを正として、弁体51には、ベローズ18の付勢力(Fbel)と、冷媒の1次圧P1による力(FP1)=(P1×(A-B))と、冷媒の2次圧P2による力(FP2)=-(P2×(A-B))が作用している。すなわち、右向きを正として、弁体51には、力Frod=Fbel+FP1-FP2が作用している。
【0037】
詳しくは、弁体51の軸方向左端面には空間S1内の冷媒が作用し、弁体51の軸方向右端面には2次圧室13内の冷媒が作用している。2次圧室13と空間S1とは、弁体51に形成された連通路51cにより連通しているので、空間S1には、弁体51よりも閉弁方向側の2次圧室13内の冷媒、すなわち出口ポート11から蒸発器H2に供給される2次圧P2の冷媒が流入している。
【0038】
また、弁体51の軸方向左端面は、軸方向右端面よりも僅かに大きく形成されている。これによれば、空間S1内の圧力と2次圧室13内の圧力とに瞬間的に僅かに圧力差が生じても弁50の閉塞状態を維持しやすい。
【0039】
さらに、連通路51cは絞られた貫通孔、言い換えると流路断面積の狭い貫通孔であるため、空間S1内の圧力と2次圧室13内の圧力とに瞬間的に僅かに圧力差が生じた際に、空間S1内の冷媒が2次圧室13に向けて瞬間的に移動しにくく、空間S1内に保持され、弁50の閉塞状態を維持しやすい。
【0040】
このように、空間S1と2次圧室13とに流入する冷媒は、出口ポート11から蒸発器H2に供給される同一の2次圧P2の冷媒である。また、ベローズ18の有効受圧面積Aと弁体51の有効受圧面積Bとは等しい(A=B)ため、冷媒の圧力P1,P2により弁体51に作用する力(FP1),(FP2)はいずれもほぼゼロとなる。すなわち、右向きを正として、弁体51には、実質的に力Frod=Fbelが作用している。
【0041】
次に、膨張弁V1の通電状態について説明する。
図2および
図4に示されるように、膨張弁V1の通電状態、すなわち通常制御時、いわゆるデューティ制御時において、ソレノイド80に電流が印加されることにより発生する電磁力(F
sol)が力F
rodを上回る(F
sol>F
rod)と、可動鉄心84がセンタポスト82側、すなわち軸方向左側に引き寄せられ、可動鉄心84に固定されたロッド52および弁体51が軸方向左方、すなわち開弁方向へ共に移動し、弁体51のテーパ面部51aがバルブハウジング10の弁座10aから離間する。このようにして、弁50が開放される。また、ソレノイド80の駆動時には、可動鉄心84がセンタポスト82の軸方向右方に接触することで、弁体51がさらに弁座10aから離間することが規制される。
【0042】
このとき、弁体51には、軸方向左方に電磁力(Fsol)、軸方向右方に力Frodが作用している。すなわち、右向きを正として、弁体51には、力Frod-Fsolが作用している。
【0043】
このように、膨張弁V1の弁開度は、ソレノイド80の電磁力とベローズ18の付勢力とのバランスにより調整される。これにより、入口ポート12から供給される凝縮器H1を通過した冷媒は、高圧の1次圧P1から低圧の2次圧P2に減圧されて出口ポート11を介して蒸発器H2に供給される。
【0044】
以上説明したように、弁体51よりもソレノイド80の駆動方向側、すなわち、弁体51の開弁方向側には空間S1が形成されており、この空間S1には1次圧室14の冷媒よりも圧力が低い2次圧室13の冷媒が流入しているので、弁50を閉塞状態から開放状態とするときの弁体51の移動方向両側に作用する差圧の影響を小さくすることができる。この結果、ソレノイド80に印加される電流値に対して弁体51が精度よくストロークするので、弁体51による弁開度の調整を高い精度で行うことができる。特に、膨張弁V1は、弁体51がベローズ18により弁50の閉弁方向に付勢されるノーマルクローズタイプとして構成されるため、弁体51を即座に動作させて弁50を開放することが可能であり、高圧の1次圧P1から低圧の2次圧P2に迅速に低下させることができる。
【0045】
また、空間S1にベローズ18が配置されているので、ソレノイド80側に付勢手段を配置するためのスペースを確保する必要がなく、膨張弁V1をコンパクトに構成することができる。また、ベローズ18が弁体51におけるソレノイド80と反対側に配設されているので、弁体51の動作を安定させることができる。
【0046】
また、弁体51には、空間S1と出口ポート11とを連通する連通路51cが形成されており、2次圧P2の冷媒はバルブハウジング10に形成された出口ポート11から連通路51cを通じて空間S1に流入する。これにより、例えば、バルブハウジング10や蓋部材16に出口ポート11とは別個のポートを形成する必要がなく、膨張弁V1の構造を簡素にすることができる。
【0047】
また、連通路51cは、弁体51を軸方向に貫通するように形成されているので、空間S1と出口ポート11とを連通する連通路をバルブハウジング10に形成することに比べて加工が簡便である。
【0048】
また、空間S1と入口ポート12とはベローズ18により略密封状に区画されているので、弁50の閉塞状態において空間S1内に1次圧P1の冷媒が流入することが防止される。言い換えれば、弁50の閉塞状態において空間S1内に2次圧P2を維持できるので、弁50を閉塞状態から開放状態とする際に弁体51の移動方向両側に作用する差圧の影響を確実に小さくできる。また、空間S1と入口ポート12とを区画するベローズ18は、付勢手段としての機能を兼ねているので、膨張弁V1を簡便な構成とすることができる。
【0049】
尚、本実施例1では、ベローズ18の有効受圧面積Aと弁体51の有効受圧面積Bとが同一の形態(A=B)を例示したが、有効受圧面積Aを有効受圧面積Bよりも若干大きく(A>B)し、弁50の閉塞状態を確実に維持できるようにしてもよいし、有効受圧面積Bを有効受圧面積Aよりも若干大きく(A<B)し、弁50を開放しやすくしてもよい。すなわち、弁体51の移動方向両側に作用する冷媒の圧力による影響力が小さくなっていればよい。
【0050】
また、本実施例1では、ベローズ18が空間S1と1次圧室14とを区画する機能と、付勢手段としての機能とを兼ねている形態を例示したが、弁体51を閉弁方向に付勢する付勢手段を別個に有していれば、ベローズ18が付勢力を有していなくてもよい。
【実施例2】
【0051】
実施例2に係る膨張弁につき、
図5~
図7を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0052】
図5および
図6に示されるように、本実施例2の膨張弁V2において、弁150の弁体151は、その中央部に貫通する貫通孔151bが形成された筒状体であり、弁座10aに対して軸方向右端151aのエッジ部分が着座するようになっている。貫通孔151bには、ロッド52の軸方向左端部が貫通した状態で圧入固定されている。
【0053】
この弁体151の軸方向左端面と軸方向右端面は同径に形成されている。言い換えれば、後述する空間S2の冷媒が作用する弁体151の有効受圧面積A’と、2次圧室13内の冷媒が作用する弁体151の有効受圧面積B’とは同一である(A’=B’)。
【0054】
バルブハウジング10の内部には、凹部10dと蓋部材161と弁体151とにより区画された空間S2が形成されている。また、バルブハウジング10には、凹部10dと入口ポート12との間に内径側に延びる環状部が形成されている。環状部の内周面は弁体151の外周面が略密封状態で摺動可能なガイド面10bとして機能する。
【0055】
ガイド面10bと弁体151の外周面との間は、径方向に僅かに離間することにより微小な隙間が形成されており、弁体151は、バルブハウジング10に対して軸方向に円滑に相対移動可能となっているとともに、前記隙間が空間S2と1次圧室14とを略密封状に区画するクリアランスシールとして機能している。
【0056】
2次圧室13と空間S2とは、弁体151に形成された連通路151cにより連通している。すなわち、2次圧室13内の冷媒は連通路151cを通じて空間S2内に流入するようになっている。また、この空間S2には、弁体151を軸方向右方に付勢する付勢手段としてのスプリング17が配設されている。
【0057】
次いで、膨張弁V2の開閉動作について説明する。
【0058】
先ず、膨張弁V2の非通電状態について説明する。
図5および
図6に示されるように、膨張弁V2は、非通電状態において、弁体151がスプリング17の付勢力により軸方向右方へと押圧されることで、弁体151の軸方向右端151aが弁座10aに着座し、弁150が閉塞されている。
【0059】
このとき、弁体151には、軸方向右方に向けてスプリング17の付勢力(Fsp)と、弁体151の軸方向左端面に対する冷媒の圧力(FP1)が作用し、軸方向左方に向けて弁体151の軸方向右側面に対する冷媒の圧力(FP2)が作用している。すなわち、右向きを正として、弁体151には、力Frod=Fsp+FP1-FP2が作用している。
【0060】
詳しくは、弁体151の有効受圧面積A’,B’が等しい(A’=B’)ことから、冷媒の圧力P1,P2により弁体151に作用する力(FP1),(FP2)はいずれもほぼゼロとなる。すなわち、右向きを正として、弁体51には、実質的に力Frod=Fspが作用している。
【0061】
次に、膨張弁V2の通電状態について説明する。
図5および
図7に示されるように、膨張弁V2の通電状態、すなわち通常制御時、いわゆるデューティ制御時において、ソレノイド80に電流が印加されることにより発生する電磁力(F
sol)が力F
rodを上回る(F
sol>F
rod)と、可動鉄心84がセンタポスト82側、すなわち軸方向左側に引き寄せられ、可動鉄心84に固定されたロッド52および弁体151が軸方向左方へ共に移動し、弁体151の軸方向右端151aがバルブハウジング10の弁座10aから離間する。このようにして弁150が開放される。また、ソレノイド80の駆動時には、可動鉄心84がセンタポスト82の軸方向右方に接触することで、弁体151がさらに弁座10aから離間することが規制される。尚、ロッド52の軸方向左端が蓋部材16から右方に突出する軸部に接触することで弁体151の移動を規制するようにしてもよい。
【0062】
このように、弁体151の開弁方向側に形成された空間S2に弁体151よりも閉弁方向側の2次圧室13の冷媒が流入しているので、弁体151の移動方向両側の差圧を小さく、弁体151による弁開度の調整を高い精度で行うことができる。
【0063】
また、バルブハウジング10には、弁体151の移動を案内するガイド面10bが形成されており、空間S2と入口ポート12とはガイド面10bと弁体151の外周面との間に形成されるクリアランスシールにより略密封状に区画されているので、弁150を閉塞状態において空間S2内に1次圧P1の冷媒が流入することを抑制できる。言い換えれば、空間S2内に2次圧P2の冷媒を保持しやすいので、弁150を閉塞状態から開放状態とする際に弁体151に作用する差圧を確実に小さくできる。
【0064】
また、ガイド面10bと弁体151の外周面との間に形成されるクリアランスシールにより略密封状に空間S2と入口ポート12とが区画されているため、空間S2と入口ポート12とを区画するための部材を別個に用意しなくて済み、部品点数を減らして、膨張弁V2の構造を簡素化することができる。
【0065】
また、バルブハウジング10には、弁体151が挿通されるガイド面10bが形成されているため、ガイド面10bに弁体151が案内される。これにより、弁体151の動作の精度を高めることができる。さらに、バルブハウジング10には、弁座10aとガイド面10bとが一体形成されているため、部品点数が少なく小型化された膨張弁V2を提供できる。
【0066】
また、弁体151の有効受圧面積A’,B’が同一であることから、冷媒の圧力(FP1)と冷媒の圧力(FP2)とがキャンセルされる。すなわち、弁体151にソレノイド80の駆動方向両側から作用する2次圧P2がキャンセルされるため、ソレノイド80の動作が2次圧P2の影響を受けない。弁開度はソレノイド80の電磁力(Fsol)とスプリング17の付勢力(Fsp)とのバランスにより調整される。そのため、蒸発器H2に送り込む冷媒の流量を細かく変化させることができる。
【実施例3】
【0067】
実施例3に係る膨張弁につき、
図8を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0068】
図8に示されるように、実施例3のバルブハウジング100には、弁座10aよりも軸方向左側に出口ポート111が形成されており、弁座10aよりも軸方向右側に入口ポート121が形成されている。
【0069】
膨張弁V3の非通電状態、すなわち閉弁状態にあっては、入口ポート121に連通する1次圧室141に凝縮器H1を通過した1次圧P1の冷媒が流入しており、空間S3には、連通路51cを通じて1次圧室141の冷媒が流入している。
【0070】
このように、弁体51の開弁方向側に形成された空間S3に弁体151よりも閉弁方向側の1次圧室141の冷媒が流入しているので、弁体51の移動方向両側の差圧を小さくして、弁体51による弁開度の調整を高い精度で行うことができる。
【実施例4】
【0071】
実施例4に係る膨張弁につき、
図9を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0072】
図9に示されるように、実施例4の弁体251は、その中央部に軸方向右方に開口する凹部251bを有し、凹部251bには、ソレノイド80のコイル86に対して貫通配置されるロッド252を軸方向右方に付勢するスプリング19が配設されている。スプリング19は、その軸方向左端が凹部251bの底面に当接しており、軸方向右端がロッド252の軸方向左端部の外周面から外径方向に延びるフランジ部252aの軸方向左側の側面に当接している。
【0073】
膨張弁V4の非通電状態、すなわち閉弁状態にあっては、スプリング19により凹部251bの底面とロッド252の軸方向左端は軸方向に離間した状態で支持されている。
【0074】
また、膨張弁V4においては、通電状態において、ソレノイド80に電流が印加されることにより発生する電磁力(Fsol)がスプリング19の付勢力(Fsp2)を上回る(Fsol>Fsp2)と、可動鉄心84がセンタポスト82側、すなわち軸方向左側に引き寄せられ、可動鉄心84に固定されたロッド252が軸方向左方へ移動し、ロッド252の軸方向左端が凹部251bの底面に当接する。電磁力(Fsol)がスプリング19の付勢力(Fsp2)およびベローズ18の付勢力(Fbel)を上回る(Fsol>Fsp2+Fbel)と、可動鉄心84がセンタポスト82側にさらに引き寄せられ、可動鉄心84に固定されたロッド252およびロッド252と当接した弁体251が軸方向左方、すなわち開弁方向へ共に移動し、弁体251のテーパ面部51aがバルブハウジング10の弁座10aから離間する。このようにして、弁50が開放される。
【0075】
このように、弁体251とロッド252を締結せず、軸方向に離間させた状態でスプリング19により支持させているので、弁体251とロッド252の耐振動性を高めることができる。詳しくは、外乱等によりソレノイド80を構成するロッド252に振動が発生しても、当該振動がスプリング19により吸収され、弁体251への伝達が抑制されるため、膨張弁V4の閉弁状態が安定し、シール性が高まり弁漏れを減少させることができる。
【実施例5】
【0076】
実施例5に係る膨張弁につき、
図10を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0077】
図10に示されるように、実施例5の弁体51は、その中央部に軸方向右方に開口する凹部51bを有し、凹部51bには、ソレノイド80のコイル86に対して貫通配置されるロッド352の軸方向左端部が挿入されている。ロッド352の軸方向左端部は、略半球面に形成されており、凹部51bの底面に点接触している。
【0078】
このように、弁体51とロッド352を締結せず、略半球面に形成されたロッド352の軸方向左端部を凹部51bの底面に点接触させることにより、ロッド352や弁体51に傾きが発生しても面接触させた場合に見られる駆動時の傾きの矯正が発生しないため、可動鉄心84やロッド352が傾いてこれらとソレノイド80の構成部材との間の摺動抵抗の増加が抑制され、膨張弁V5の作動性への影響を小さくすることができる。
【実施例6】
【0079】
実施例6に係る膨張弁につき、
図11を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0080】
図11に示されるように、実施例6の弁体451は、軸方向右端面が略半球面に形成されており、その中央部にソレノイド80のコイル86に対して貫通配置されるロッド52の軸方向左端が点接触している。
【0081】
このように、弁体451とロッド52を締結せず、略半球面に形成された弁体451の軸方向左端面の中央部にロッド52の軸方向左端を点接触させることにより、ロッド52や弁体451に傾きが発生しても面接触させた場合に見られる駆動時の傾きの矯正が発生しないため、可動鉄心84やロッド52が傾いてこれらとソレノイド80の構成部材との間の摺動抵抗の増加が抑制され、膨張弁V6の作動性への影響を小さくすることができる。
【0082】
また、膨張弁V6の非通電状態、すなわち弁50の閉弁状態にあっては、弁体451がベローズ18の付勢力により軸方向右方、すなわち閉弁方向へと押圧されることで、弁体451の略半球面に形成される軸方向右端面の外径部451aが弁座10aに着座している。これによれば、弁体451に傾きが発生しても外径部451aが弁座10aに確実に着座するため、シール性が高まり弁漏れを減少させることができる。
【0083】
尚、弁体451の軸方向右端面は、ロッド52の軸方向左端が接触する中央部近傍が球面の一部として形成されていれば、弁体451の弁座10aに着座する部分は、例えば前記実施例1と同様にテーパ面部51aにより構成されていてもよい。
【実施例7】
【0084】
実施例7に係る膨張弁につき、
図12を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0085】
図12に示されるように、実施例7の弁体551は、ベローズ18の軸方向右端が密封状に固定されるアダプタ552の軸方向右方に開口する凹部552bにカシメ固定または圧入固定される鋼球により構成されており、2次圧室13内に配置される弁体551の球面にソレノイド80のコイル86に対して貫通配置されるロッド52の軸方向左端が点接触している。
【0086】
また、ベローズ18の軸方向左端に密封状に固定される蓋部材516には、軸方向に貫通する連通路516aが形成されている。連通路516aは、膨張弁V7の外部に設けられる図示しないオリフィスを介して蒸発器H2と連通している。すなわち、ベローズ18の内部に形成される空間S1には、出口ポート11から蒸発器H2に供給される2次圧P2の冷媒が流入している。
【0087】
このように、膨張弁V7は、弁体551よりもソレノイド80の駆動方向側、すなわち、弁体551の開弁方向側には空間S1が形成されている。この空間S1には膨張弁V7の外部に形成される図示しないオリフィスおよび蓋部材516に形成される連通路516aを介して1次圧室14の冷媒よりも圧力が低い2次圧室13の冷媒が流入している。これによれば、弁50を閉塞状態から開放状態とするときに、弁体551の移動方向両側に作用する差圧の影響が小さく、ソレノイド80に印加される電流値に対して弁体551が精度よくストロークする。このように、弁体551による弁開度の調整を高い精度で行うことができる。
【0088】
また、弁体551とロッド52を締結せず、2次圧室13内に配置される弁体551の球面にロッド52の軸方向左端を点接触させることにより、ロッド52や弁体551に傾きが発生しても面接触させた場合に見られる駆動時の傾きの矯正が発生しないため、可動鉄心84やロッド52が傾いてこれらとソレノイド80の構成部材との間の摺動抵抗の増加が抑制され、膨張弁V7の作動性への影響を小さくすることができる。
【0089】
また、膨張弁V7の非通電状態、すなわち弁50の閉弁状態にあっては、弁体551がベローズ18の付勢力により軸方向右方、すなわち閉弁方向へと押圧されることで、弁体551の球面部551aが弁座10aに着座している。これによれば、弁体551に傾きが発生しても球面部551aが弁座10aに確実に着座するため、シール性が高まり弁漏れを減少させることができる。
【0090】
また、弁体551として鋼球を用いることにより、機械的摩耗に強い構成とすることができる。
【0091】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0092】
例えば、前記実施例1~3では、弁体はソレノイドのコイルに貫通配置されるロッドと別部材から構成される形態を例示したが、これに限らず、弁体とロッドとが一体に構成されていてもよい。
【0093】
また、実施例1~7では、弁座がバルブハウジングと一体に形成される形態を例示したが、弁座がバルブハウジングと別体であってもよい。
【0094】
また、前記実施例2では、バルブハウジングの内周面に弁座とガイド面とが一体に形成されるものとして説明したが、これに限らず、弁座を有するバルブハウジングとガイド面を有するバルブハウジングとが別体に設けられていてもよい。
【0095】
また、ガイド面は、バルブハウジングに形成されるものに限らず、例えばセンタポストの挿通孔の一部に形成されていてもよい。
【0096】
また、前記実施例1~7では付勢手段が弁体の開弁方向側の空間内に配設される形態を例示したが、ソレノイド側など弁体の開弁方向側の空間以外の場所に配設されていてもよい。
【0097】
また、前記実施例1,2,4~6では、弁体に形成された連通路を通じて空間と出口ポートが連通する形態を例示したが、これに限られず、バルブハウジングに連通路を形成してもよい。また、連通路の構成を省略して、空間を構成するバルブハウジングや前記実施例7のように蓋部材に対して蒸発器と連通する別のポートを形成してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 バルブハウジング
10a 弁座
10b ガイド面
11 出口ポート
12 入口ポート
13 2次圧室
14 1次圧室
17 スプリング(付勢手段)
18 ベローズ(付勢手段)
50 弁
51 弁体
51c 連通路
80 ソレノイド
100 バルブハウジング
150 弁
151 弁体
151c 連通路
251 弁体
252 ロッド
252a フランジ部
352 ロッド
451 弁体
516 蓋部材
516a 連通路
551 弁体
552 アダプタ
A,B 有効受圧面積
A’,B’ 有効受圧面積
C 圧縮機
H1 熱交換器(凝縮器)
H2 熱交換器(蒸発器)
R 冷凍サイクル
S1~S3 空間
V1~V7 膨張弁