(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】半導体ウエハの統合された分解と走査のためのシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20250210BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
G01N1/28 X
H01L21/66 N
(21)【出願番号】P 2022562871
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021026839
(87)【国際公開番号】W WO2021211429
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2024-03-15
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516257707
【氏名又は名称】エレメンタル・サイエンティフィック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEMENTAL SCIENTIFIC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】マース,ボー エイ
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-149540(JP,A)
【文献】特開2001-53046(JP,A)
【文献】特開2004-170222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の表面を走査するためのノズルであって、
材料の表面に導入するための流体を受け取り、材料の表面から流体を回収するための1つ以上のノズルポートを規定するノズル本体と、
ノズル本体から延びるノズルフードであって、ノズルフードは、ノズル本体に沿って長手方向に配置された内側チャネルを規定し、ノズルフードは、ノズル本体に沿って長手方向に配置された1つ以上の外側チャネルをさらに規定し、内側チャネルは、ノズルフードによって規定された1つ以上の隙間を介して1つ以上の外側チャネルと流体的に結合されたノズルフードと、を含むノズル。
【請求項2】
1つ以上の外側チャネルは、第1の外側チャネルおよび第2の外側チャネルを含み、ノズル本体に沿って長手方向に配置された第1の外側チャネルの一部は、内側チャネルによってノズル本体に沿って長手方向に配置された第2の外側チャネルの一部から分離されている請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
ノズルフードは、第1フード部分と第2フード部分とを含み、第2フード部分は、第1フード部分によって形成されたノズルフードの内部に配置される請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
内側チャネルは、第2のフード部分によって囲まれた内部領域によって規定される請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
1つ以上のノズルポートは、第2のフード部分によって囲まれた内部領域に配置された第1のノズルポートを含む請求項4に記載のノズル。
【請求項6】
1つ以上のノズルポートは、第1のノズルポートと第2のノズルポートとを含み、第1のノズルポートは、ノズルフードの第1の端部において第2のフード部分によって囲まれた内部領域に配置され、第2のノズルポートは、第1の端部から遠位のノズルフードの第2の端部で、第2のフード部分によって囲まれた内部領域に配置される請求項4に記載のノズル。
【請求項7】
1つ以上のノズルポートは、第1のノズルポートと第2のノズルポートとの間の第2フード部分によって囲まれた内部領域に配置された第3のノズルポートを含む請求項6に記載のノズル。
【請求項8】
少なくとも1つの外側チャネルは、第1のフード部分と第2のフード部分との間に囲まれた領域によって規定される請求項4に記載のノズル。
【請求項9】
1つ以上の隙間は、第1のチャネルを、少なくとも1つの外側チャネルに流体的に結合するために、第2のフード部分の開口部によって規定された隙間を含む請求項3に記載のノズル。
【請求項10】
隙間は、1つ以上のノズルポートのノズルポートに隣接するノズルフードの端部に配置される請求項9に記載のノズル。
【請求項11】
材料の表面は、半導体ウエハの表面を含む請求項1に記載のノズル。
【請求項12】
マルチチャネルノズルを用いて材料の表面を走査する方法であって、
ノズルを介して材料の表面に走査流体を導入することであって、ノズルは、
材料の表面に導入するための流体を受け取り、材料の表面から流体を回収するための1つ以上のノズルポートを規定するノズル本体と、
ノズル本体から伸びるノズルフードであって、ノズルフードは、ノズル本体に沿って長手方向に配置された内側チャネルを規定し、ノズルフードは、ノズル本体に沿って長手方向に配置された1つ以上の外側チャネルをさらに規定し、内側チャネルは、ノズルフードによって規定された1つ以上の隙間を介して1つ以上の外側チャネルと流体的に結合されたノズルフードと、を含むこと;
少なくとも内側チャネル内に保持された走査流体の少なくとも一部を、ノズルを介して、材料の表面に沿って導くこと;および、
1つ以上のノズルポートを通して材料の表面から走査流体を除去すること;を含む方法。
【請求項13】
1つ以上の外側チャネルは、第1の外側チャネルおよび第2の外側チャネルを含み、ノズル本体に沿って長手方向に配置された第1の外側チャネルの一部は、内側チャネルによりノズル本体に沿って長手方向に配置された第2の外側チャネルの一部から分離されている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ノズルフードは、第1のフード部分と第2のフード部分とを含み、第2のフード部分は第1のフード部分により形成されたノズルフードの内部に配置される請求項12に記載の方法。
【請求項15】
内側チャネルは、第2のフード部分により囲まれた内部領域によって規定される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも内側チャネル内に保持された走査流体の少なくとも一部を、ノズルを介して、材料の表面に沿って向けることは、走査流体がノズルフードにより規定された1つ以上の隙間に到達するまで、内側チャネルを介して、走査流体を、材料の表面に沿って向けることを含む請求項12に記載の方法。
【請求項17】
走査流体を、隙間を通して、材料の表面に沿って、1つ以上の外側チャネルに導くことを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
走査流体は、1つ以上の外側チャネルから内側チャネルに流体的に結合されたストリーム構成中に維持される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
走査流体は、ノズルの第1のノズルポートを介して材料の表面に導入され、走査流体は、ノズルの第2のノズルポートを介して材料の表面から除去される請求項16に記載の方法。
【請求項20】
走査流体は、ノズルの第1のノズルポートを介して材料の表面に導入され、走査流体は、ノズルの第1のノズルポートを介して材料の表面から除去される請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2020年4月16日に出願され、「半導体ウエハの統合された分解と走査のためのシステム」と題する米国仮出願第63/011,183号の35USC§119(e)の利益を主張するものである。米国仮出願第63/011,183号は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
誘導結合プラズマ(ICP)分光分析は、液体試料中の微量元素濃度および同位体比の測定に一般的に使用される分析技術である。ICP分光分析では、約7000Kの温度に達する電磁気的に生成された部分電離アルゴンプラズマを使用する。このプラズマに試料を投入すると、高温のため試料原子が電離または発光する。各化学元素は特徴的な質量または発光スペクトルを生成するので、放出された質量または光のスペクトルを測定することで、元の試料の元素組成を決定することができる。
【0003】
液体試料をICP分光分析装置(例えば、誘導結合プラズマ質量分析装置(1CP/ICP-MS)、誘導結合プラズマ原子発光分析装置(ICP-AES)等に導入して分析するために、試料導入システムを採用してもよい。例えば、試料導入システムは、試料のアリコートをネブライザに搬送し、アリコートをICP分光計によるプラズマでのイオン化に適した多分散エアロゾルに変換することができる。ネブライザで生成されたエアロゾルは、スプレーチャンバで選別され、大きなエアロゾル粒子が除去される。スプレーチャンバを出たエアロゾルは、ICP-MSまたはICP-AES装置のプラズマトーチアセンブリによってプラズマに導入され、分析される。
【発明の概要】
【0004】
半導体ウエハの統合された分解および走査のためのシステムおよび方法が記載されており、ここでは、単一のチャンバが目的のウエハの分解および走査のために利用される。走査ノズルの実施形態は、これに制限されないが、材料の表面に導入するための流体を受け取り、材料の表面から流体を回収するための1つ以上のノズルポートを規定するノズル本体と、ノズル本体から延びるノズルフードとを含み、ノズルフードは、ノズル本体に沿って長手方向に配置された内側チャネルを規定し、ノズルフードはさらにノズル本体に沿って長手方向に配置された1つ以上の外側チャネルを規定し、内側チャネルはノズルによって規定された1つ以上の隙間を介して1つ以上の外側チャネルに流体的に結合される。
【0005】
方法の実施形態は、これらに限定されないが、ノズルを介して材料の表面に走査流体を導入することを含み、ノズルは、材料の表面に導入するための流体を受け取り、材料の表面から流体を回収するための1つ以上のノズルポートを規定するノズル本体と、ノズル本体から伸びるノズルフードを含み、ノズルフードは、ノズル本体に沿って長手方向に配置された内側チャネルを規定し、ノズルフードは、ノズル本体に沿って長手方向に配置された1つ以上の外側チャネルをさらに規定し、内側チャネルは、ノズルフードによって規定された1つ以上の隙間を介して1つ以上の外側チャネルに流体的に結合される、方法の実施形態は、さらに、少なくとも内側チャネル内に保持された流体の少なくとも一部に、ノズルを介して、材料の表面に沿って走査流体を導くこと、および1つ以上のノズルポートを介して、材料の表面から走査流体を除去すること、を含む。
【0006】
本概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の一部を簡略化した形で紹介するために提供されるものである。本概要は、請求された主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求された主題の範囲を決定する際の補助として使用することも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
詳細な説明は、添付の図を参照しながら説明される。説明および図における異なる実例での同じ参照番号の使用は、類似または同一の箇所を示してもよい。
【0008】
【
図1A】本開示の実施形態にかかる、半導体ウエハの統合された分解および走査のためのシステムの等角図である。
【
図1B】チャンバ内に配置された半導体ウエハを有する
図1Aのシステムの等角図である。
【
図2A】半導体ウエハが走査位置に配置されている、
図1Aのシステムの断面図である。
【
図2B】半導体ウエハが分解位置に配置されている、
図1Aのシステムの断面図である。
【
図2C】半導体ウエハがリンス位置に配置されている、
図1Aのシステムの断面図である。
【
図3】本開示の実施形態にかかる、
図1Aのシステムのチャンバ本体の一部の等角図である。
【
図4】走査位置に配置された半導体ウエハの表面上にノズルを配置する走査アームを有する、
図1Aのシステムの等角図である。
【
図5】走査アームがノズルのためのリンスステーションに配置された、
図1Aのシステムの部分等角図である。
【
図6】本開示の実施形態にかかる、半導体ウエハの走査プロセス中に、半導体ウエハ上の第1の位置およびそれに続く第2の位置に配置された走査アームの上面図である。
【
図7A】本開示の実施形態にかかる、半導体ウエハの分解および走査システムのためのノズルの等角図である。
【
図7D】7D-7Dに沿った、
図7Bのノズルの断面図である。
【
図7E】本開示の実施形態にかかる、ノズルフード内に配置された複数のチャネルを有するノズルの等角図である。
【
図7G】内側チャネルに導入された流体を有する、
図7Eのノズルの部分底面図である。
【
図7H】内側チャネルおよび外側チャネルに導入された流体を有する、
図7Eのノズルの部分底面図である。
【
図7I】内側チャネルおよび外側チャネルから回収された流体を有する、
図7Eのノズルの部分底面図である。
【
図7J】中央ノズルポートから内側チャネルに導入された流体を有する、
図7Eのノズルの部分底面図である。
【
図7K】流体が中央ノズルポートを介して内側チャネルおよび外側チャネルに導入された、
図7Eのノズルの部分底面図である。
【
図7L】内側チャネルおよび外側チャネルから回収された流体を有する、
図7Eのノズルの部分底面図である。
【
図8A】本開示の実施形態にかかる、半導体ウエハの統合された分解および走査のためのシステムのためのノズルマウントアセンブリの部分断面図である。
【
図8B】表面と接触している、
図8Aのノズルマウントアセンブリの部分断面図である。
【
図8C】表面から持ち上げられて水平にされた、
図8Aのノズルマウントアセンブリの部分断面図である。
【
図9A】本開示の実施形態にかかる、半導体ウエハの分解および走査システムのための流体処理システムの概略図である。
【
図9B】本開示の実施形態にかかる、化学ブランクロード構成における
図9Aの流体処理システムの概略図である。
【
図9C】本開示の実施形態にかかる、化学注入構成における
図9Aの流体処理システムの概略図である。
【
図9D】本開示の実施形態にかかる、ノズルループ負荷構成における
図9Aの流体処理システムの概略図である。
【
図9E】本開示の実施形態にかかる、ノズル負荷構成における
図9Aの流体処理システムの概略図である。
【
図9F】本開示の実施形態にかかる、回復構成における
図9Aの流体処理システムの概略図である。
【
図10】本開示の実施形態にかかる、半導体ウエハ分解および走査システムのためのネブライザ流体処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
概要
試料中の微量元素濃度または量の測定は、試料の純度、または試薬、反応成分等として使用するための試料の許容性の指標を提供することができる。例えば、ある種の生産プロセスや製造プロセス(鉱業、冶金、半導体製造、医薬品加工など)では、不純物の許容範囲は非常に厳しく、例えば、10億分の1のオーダーになることがある。半導体ウエハプロセスの場合、キャリア寿命の減少、ウエハ構成要素の絶縁破壊などのために、ウエハの能力を低下させ、またはウエハを動作不能にし得る金属不純物のような不純物について、ウエハがテストされる。
【0010】
気相分解(VPD)とそれに続くウエハの走査は、ウエハの組成を分析して、金属不純物が存在するかどうかを判断する技術である。従来のVPDおよび走査技術は、不純物分析のためにシリコンウエハまたは他の材料表面の処理および走査を容易にするために、スループットが制限されている。例えば、VPD用と走査用で別々のチャンバを使用するシステムが多く見られる。VPDチャンバでは、表面に存在する二酸化ケイ素およびその他の金属不純物を蒸気(例えば、フッ化水素酸(HF)、過酸化水素(H2O2)、これらの組み合わせ)と接触させて、蒸気(例えば、四フッ化ケイ素(SiF4))として表面から除去される。処理されたウエハは、走査用の別のチャンバに運ばれ、そこで液体液滴が処理されたウエハの表面に導入され、ウエハと分解蒸気の反応後の残留物が収集される。走査手順としては、走査ヘッドで液滴をウエハ表面に保持し、ウエハを回転させながら、走査ヘッドを移動させるか、走査ヘッドを静止させて液滴を表面上に移動させることができる。ウエハを複数回回転させた後、液滴はウエハの所望の表面領域と相互作用し、接触した表面から分解後の残留物を引き出す。しかしながら、従来のウエハ処理技術は、処理中にウエハを分解チャンバから走査チャンバ、リンスチャンバに移動させること、走査中にウエハ表面との液滴の相互作用が制限される走査ノズル(すなわち、液滴を表面全体またはその一部と相互作用させるにはウエハを複数回回転させることが必要)を使用するなどして、ウエハを処理するのにかなりの時間および装置を必要とする。さらに、ウエハのそのような取り扱いは、技術者または他の個人を有毒なフッ酸または他の危険な化学物質に潜在的にさらし、または様々なプロセスチャンバ間のウエハの移送中にウエハへの環境汚染のリスクを増大させ、また、装置および装置間の移送機構を容易にするために実質的な物理プロセス床面積を必要とする。
【0011】
従って、本開示は、少なくとも部分的に、半導体ウエハの分解および走査のためのシステムおよび方法に関し、チャンバは、単一のチャンバフットプリントで半導体ウエハの分解および走査を促進し、ウエハ表面に沿って流れを向けるために細長いチャネルを規定するノズルフードによって案内される、ノズルの第1のポートと第2のポートの間で、ノズルは半導体ウエハの表面に沿って流体の流れを方向付ける。チャンバは、ウエハサポートと関連するモータシステムの作動により、半導体ウエハが通過できる少なくとも2つの開口部を規定し、排水やクロスコンタミネーションの防止など、チャンバ内の流体移動を制御しながら、分解とリンス用のゾーンを提供するレッジを備える。モータシステムは、チャンバ本体に対するウエハサポートの垂直位置を制御して、チャンバ本体内で半導体を移動させ、ウエハのロードおよびアンロード、ノズルへのアクセスなどを行うために、モータシステムによってチャンバ本体の上方への位置決めがサポートされている。チャンバは、さらに、ウエハサポートが半導体ウエハをチャンバの内部領域内に位置決めしている間に、ネブライザによってエアロゾル化された分解液を半導体ウエハの表面に直接導くためのネブライザを組み込むことができる。チャンバは、分解プロセスの間などに、チャンバの内部領域をチャンバの外部の領域から隔離するために、チャンバに対して開閉することができる蓋を組み込むことができる。ノズルは、回転可能な走査アームによってチャンバに対して位置決めすることができ、ノズルは、蓋の閉鎖を容易にするために(例えば、分解手順の間に)、またはリンスステーションでのノズルのリンスを容易にするために、チャンバから離れた位置に配置することができる。さらに、回転走査アームは、走査手順の間、半導体ウエハの上にノズルを位置付けることができる。システムは、ノズルへの流体の導入、ウエハの表面からの流体の導入、ブランクの準備、システム構成要素の洗浄などを制御するために、切り替え可能な選択バルブとポンプを含む流体処理システムを利用することができる。走査手順の後または間に、走査流体は、走査流体の組成の分析的決定のために収集され、分析装置(例えば、ICPMS装置)に送られ得る。
【0012】
実施例
図1A~
図10は、本開示の様々な実施形態にかかる、半導体ウエハの統合された分解および走査のためのシステム(「システム100」)の態様を示す。システム100は、全体として、チャンバ102、走査アームアセンブリ104、および流体処理システム106(例えば、
図9A~
図10に少なくとも一部を示す)を含み、ウエハへの分解流体の導入およびウエハ108の表面への走査流体の導入および除去を通して半導体ウエハ108(ここでは「ウエハ」と呼ぶこともある)の分解および走査の手順を少なくとも促進させる。本開示は、半導体ウエハの分解および走査に関して例示的な実施を提供するが、本開示は、半導体ウエハを含むプロセスに限定されず、他の材料表面の処理を促進できる。チャンバ102は、単一のチャンバフットプリントでウエハ分解およびウエハ走査の各々のための環境を提供し、ウエハ108を保持するためのウエハ支持体110と、分解および走査手順のためにまたはシステム100の他の手順の間にウエハ108を位置付けるためにチャンバ102に対するウエハ支持体110の垂直位置(例えば、チャンバ102内、チャンバ102上、等)を制御するモータシステム112を含む。モータシステム112は、さらに、システム100の様々な手順の間にウエハ108を回転させるためにウエハ支持体110の回転制御を提供し、走査アームアセンブリ104のノズルを、走査手順の間、ウエハ108上の位置、およびノズル洗浄のためのリンスステーション114の位置に移動させるために、走査アームアセンブリ104の回転および垂直制御を提供する。実施態様では、ウエハ支持体110は、ウエハ支持体110の移動の間など、ウエハ108をウエハ支持体110に対して固定的に保持するための真空テーブルを含む。
【0013】
チャンバ102は、処理のためにウエハ108を受け入れるための内部領域118を規定するチャンバ本体116を含む。レッジ120は、チャンバ本体116の頂部122とチャンバ本体116の底部124との間で内部領域118に突出している。実施態様では、チャンバ本体116は、ウエハ108を内部領域118に受け入れることができる第1の開口部126を頂部122に規定している。実施態様では、レッジ120は、頂部122と底部124との間の内部領域118の中間部分(例えば、第1の開口部126と底部124との間)に第2の開口部128を規定する。
図1Aに示す例示的な動作の間、システム100は、フロントエンドユニファイドポッド(FOUP)または他の場所からウエハ108を選択し、選択されたウエハ108をウエハ支持体110上に導入する自動アーム50の動作を通して(例えば、ウエハ支持体110の中央に)半導体ウエハ108をウエハ支持体110上で受け取ることができる。モータシステム112は、ウエハ108をウエハ支持体110上にセットするために自動化アーム50によるウエハ支持体110へのアクセスを可能にするために、チャンバ本体116の頂部122に、その上に、または隣接して、ウエハ支持体110を配置することが可能である。例えば、ウエハ支持体110は、ウエハ108のローディング中に第1の開口部126に隣接する第1の位置(例えば、
図2Aに示す)に位置付けしても良い。実施態様では、ウエハ支持体110の第1の位置は、ウエハ108を受け取るために内部領域118の外側に位置付けられる(例えば、第1の開口部126を通って延ばされる)。
【0014】
システム100は、内部領域118を外部領域132から隔離して、外部領域132への分解液の露出を制限しつつウエハの分解を促進するための蓋130を含むことができる。例えば、蓋130は、第1の開口部126の上に位置決めされたときに第1の開口部126を覆うサイズおよび形状を有することができる。蓋130は、開位置(例えば、
図1Aに示される)と閉位置(例えば、
図IBに示される)との間で位置決め可能である。開位置は、自動化アームへのアクセスを提供するためにウエハローディング中、走査手順中、ウエハンローディング手順中、等に利用できる。実施態様において、蓋130は、ウエハ支持体110が第1の開口部126に隣接する第1の位置にあるとき、開位置にあり、走査アームアセンブリ104のノズルによるウエハ108へのアクセスを提供する。閉位置は、分解液が第1の開口部126を通してチャンバ102から出るのを防ぐために、ウエハ分解手順の間に利用できる。実施態様では、蓋130の少なくとも一部は、内部領域118を外部領域132から隔離するために、チャンバ本体116に接触する。ウエハ108は、モータシステム112によるウエハ支持体110の垂直位置の制御を通じて、内部領域118内で第2の位置まで移動される。例えば、モータシステム112は、蓋130の開位置から閉位置への移動の前または移動中に、ウエハ支持体110を内部領域118内の第2の位置へ移動させる。実施態様では、蓋130は、チャンバ本体116に隣接して配置され、蓋アーム136を介してマウント134に回転可能に結合され、蓋130を開位置と閉位置との間で移行させる。
【0015】
ウエハ108のウエハ支持体110への導入に続いて、システム100は、ウエハ108の1つ以上の表面またはエッジの分解を促進するために、分解構成に移行することができる。例えば、モータシステム112は、ウエハ支持体110を第1の位置から第2の位置に移動させて、(例えば、
図IBおよび
図2Bに示すように)レッジ120の第2の開口部128にウエハ108を隣接させて配置する。実施態様では、チャンバ102は、ウエハ支持体110がモータシステム112によって第2の位置に位置決めされたときにウエハ108の表面に分解流体を噴霧するために第1の開口部126と第2の開口部128の間に配置されたネブライザ138を含む。そのため、分解液は、ネブライザ138によってチャンバ102内に直接噴霧される。分解流体は、流体処理システム106から1つ以上の流体ラインを介して、例えば導管140を介して、ネブライザ138の少なくとも一部を収容する前室142に供給することができる。実施態様では、ネブライザ138の少なくとも一部は、チャンバ102の壁内に少なくとも部分的に配置される。例えば、チャンバ本体116は、内部領域118と前室142との間に開口部144を規定することができ、ここでネブライザ138の出口は、ウエハ108の少なくとも表面146を覆って分解するために、第1の開口部126と第2の開口部128との間の内部領域内にエアゾール化分解流体を吐出できる。
【0016】
実施態様では、チャンバ102は、分解中にウエハ108の下に圧力を誘導して、ウエハ108の端部とレッジ120との間を分解液が通過するのを防止する。例えば、チャンバ102は、ネブライザ138から内部領域118への分解流体の導入中に内部領域118にガスまたは他の流体を導入するために、第2の開口部128とチャンバ本体116の底部124との間に位置する内部領域118内にガス出口ポート148を含むことができる。ガス出口ポート148からのガスは、ネブライザ138から供給されるエアロゾル化分解流体の圧力よりも大きい圧力で導入され、第2の開口部128(例えば、ウエハ108の縁とレッジ120の間)を通るガスの上昇流を提供して、ウエハ108の下の分解流体の通過を防止できる。実施態様では、システム100は、ウエハ支持体110が第2の位置に配置されたときに、ネブライザ138によってウエハ108の表面146に分解流体を導入する間にガス源からガス出口ポート148にガスを導入するためにガス源に結合された制御装置を含む。例えば、ガスは、導管140および前室142を通る流体ラインを経由してガス出口ポート148に供給することができる。実施態様では、モータシステム112は、エアロゾル化分解流体が内部領域118に存在するときにウエハ108を回転させるために、分解手順の間、ウエハ支持体110の回転を誘導する。
【0017】
チャンバ102は、1つまたは複数のドレインと流体連通している、チャンバ本体116内の1つまたは複数のチャネルを介して内部領域118からの流体の除去を容易にすることができ、このような流体は、例えば、過剰な分解液、四フッ化シリコン(SiF
4)、ガス出口ポート148によって供給されるガス、水、水蒸気、リンス液、または他の流体を含むことができる。例えば、チャンバ本体116は、互いに(例えば、インターロック溝を介して)積み重ねられたベース部分200、中間部分202、および頂部204(例えば、
図2Bに示される)を含むことができる。ベース部分200は、チャンバ102の内部領域118からドレイン導管を介して1つまたは複数のドレイン受容器(図示せず)への出口を提供する1つまたは複数のドレイン206(例えば、ドレイン206Aおよび206B)を規定することができる。実施態様では、ドレイン206Aは、第1の開口部126と第2の開口部128との間に位置する流体のドレイン206Aへのアクセスを提供するために、チャンバ本体116内のチャネルと流体的に結合される。例えば、中間部分202は、その少なくとも一部が中間部分を通って延び、ベース部分200によって形成された1つまたは複数のチャネル210の少なくとも一部と垂直に整列する1つまたは複数のチャネル208を規定することができる。チャネル208は、チャンバ本体116の内面212(例えば、頂部204、中間部分202、またはそれらの組み合わせの)とレッジ120との間に配置されて、蓋130と第2の開口部128またはウエハ108の表面146との間の内部領域118に保持された流体がチャネル208に流れ、チャネル210に流れ、ドレイン206Aから出ることを可能にすることができる。実施態様では、ドレイン206Bは、(
図2Cに関連してここで記載された)リンス手順中に、リンス液または他の流体が内部領域118から出ることを可能にする。
【0018】
ウエハ108の分解に続いて、システム100は、ウエハ108を別の走査システムに移さずに、走査アームアセンブリ104によるウエハ108の表面146へのアクセスを可能にする走査構成に移行することができる。走査構成に移行するために、モータシステム112は、ウエハ支持体110を第2の開口部128に隣接する第2の位置から、第1の開口部126に隣接する第1の位置へ、またはそうでなければチャンバ本体116の頂部122に近づけて、走査アームアセンブリ104によるウエハ108の表面146へのアクセスを許可するように位置付けることができる。走査アームアセンブリ104は、一般に、ウエハ108の表面146に走査流体を導入し、ウエハ108の表面146から走査流体を回収するように構成されたノズル304を支持するノズルハウジング302に結合された回転可能なアーム支持体300を含む。モータシステム112は、回転可能なアーム支持体300の回転、回転可能なアーム支持体300の垂直位置決め、またはそれらの組み合わせを制御して、ノズルハウジング302およびノズル304をリンスステーション114(例えば、
図2Aに示す)における1つ以上の位置からウエハ108(例えば、
図4に示す)に隣接または上方の1つ以上の位置に位置決めすることができる。ノズル304の例示的な実施態様は、
図7A~
図7Lを参照して本明細書でさらに説明される。実施態様では、回転可能なアーム支持体300は、ウエハ支持体110がモータシステム112によって第1の位置に配置された場合にノズル304をウエハ108に隣接して配置し、ウエハ支持体110がモータシステム112によって第2の位置に配置された場合に蓋130の開位置から閉位置への経路の外にノズル304を配置するためにノズル304を回転またはその他の方法で移動させる。
【0019】
ノズル304がウエハ108に隣接してまたはその上方に位置する状態で(例えば、
図4に示す)、流体処理システム106は、ノズル304へのおよびノズル304からの走査流体の導入を制御して、ウエハ108の表面146の走査手順を容易にすることができる。
図7A~
図7Dを参照すると、ノズル304の例示的な実施形態が示されている。ノズル304は、ウエハ108の表面146を横切って流体の流れを送達するように構成され、これは、スポットサイズの液滴をウエハ108上に動かすよりも短時間でウエハ108のより大きな表面積をカバーすることが可能である。流体の流れは、ノズル304によってウエハ108の表面146上に導かれ、ウエハ108の所望の表面領域を制御可能に走査する。実施態様では、ノズル304は、ウエハ108の一回転で実質的に表面146の全体にわたって流体の流れを案内する。実施態様において、表面146のウエッジ(例えば、ウエハ108のセクタまたはその一部)は、ウエハ108の一回転の一部で走査され得る。ノズル304は、入口ポート502、出口ポート504、第1のノズルポート506、第2のノズルポート508、およびノズルフード510を規定するノズル本体500を含む。ノズル304は、ノズル304をノズルハウジング302内に取り付けるための1つ以上の取り付け開口部も含むことができる。入口ポート502および出口ポート504は、システム100の動作中にノズル304への流体の流れおよびノズル304からの流体の流れを方向付けるための流体ラインを受ける。例えば、ノズル304は、保持ラインまたはループ(例えば、試料保持ループ)からノズル304に流体を押し込む第1のポンプ(例えば、シリンジポンプ)の作用によって流体を受け取り、そこで、流体は、入口ポート502に導かれ、入口ポート502と第1のノズルポート506とを流体的に接続するノズル本体500のチャネル503を通過する。次に、流体は、第1のノズルポート506を通してウエハ108の表面146上に堆積される。流体は、ノズルフード510とノズル本体500との間に規定されたチャネル512を介して連続的な流体ストリームとしてウエハ108の表面146に沿って導かれ、その後、流体はウエハ108の表面146から除去される。例えば、流体は、ノズル本体500を介した出口ポート504と第2のノズルポート508との間の流体連通を通して第1のノズルポート506から遠位のチャネル512の端部にある第2のノズルポート508を通して流体を引っ張る第2ポンプ(例えば、注射器ポンプ)の作用を介して表面146から除去することが可能である。このように、流体は、第1のノズルポート506から第2のノズルポート508への移動中にウエハ108に接触することが許容される。チャネル512は、ノズルフード510によって補助されながら、流体の体積がウエハ上を移動することを可能にする。実施態様では、チャネル512は、約300μLの体積を有する。しかしながら、チャネル512の体積は300μLに限定されず、300μL未満の体積および300μLを超える体積を含むことができる。例えば、チャネル512の体積は、システム100によって処理されるウエハ108のサイズに依存して、所望の量の流体(例えば、走査流体)を表面146に供給することができる。チャネル512の長さは、システム100によって処理されるウエハ108のサイズに基づいて選択することができ、実施形態では、チャネル512は、ウエハ108のほぼ半径の長さを有する。実施態様において、チャネル512の長さは、約20mm~約500mmとすることができる。例えば、チャネル512の長さは、約150mm(例えば、直径300mmのウエハを収容するため)、約100mm(例えば、直径200mmのウエハを収容するため)、約225mm(例えば、直径450mmのウエハを収容するため)であることが可能である。
【0020】
ノズルフード510は、第1のノズルポート506および第2のノズルポート508の各々に隣接してノズル本体500から延び、第1のノズルポート506と第2のノズルポート508との間でノズルフード510とノズル本体500との間にチャネル512を規定している。ノズルフード510は、ノズルフード510がノズルフード510内に第1のノズルポート506および第2のノズルポート508を囲むように(例えば、
図7Cに示すように)、チャネル512内に第1のノズルポート506および第2のノズルポート508のそれぞれを含むようにさらに延びることが可能である。実施態様では、ノズル本体500は、ノズル304を縦断する実質的に対向する側壁514を含む。対向する側壁514はそれぞれ、対向部分518を提供するために結合されるか、または他の方法で延びるテーパー壁部分516を含む。実施態様では、対向部分518は、ノズルフード510の少なくとも一部を形成するために実質的に垂直である。ノズル304は、単一の一体型ピースから形成することができ、またはノズル304の部分は、別々に形成され、融合または他の方法で一緒に結合されることができる。実施態様では、ノズル304は、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの組合せから形成される。
【0021】
ノズル304のチャネル512は、丸みを帯びた端部513A、513Bを有する細長い形状を有する。ノズル304を通る流体の、より一貫した送達および取り込みを提供することなどにより、丸みを帯びた端部は、角度のある端部と比較して優れた流体処理特性を促進することができる。実施形態では、第1のノズルポート506(流体がノズル304からウエハ108に分注される場所)は、チャネル512の丸みを帯びた端部513Aの縁に接するように位置決めされる。このような位置決めは、ウエハ108の表面上での流体の分節化を回避しつつ、全ての流体がウエハ108に導入されると、第1のノズルポート506からの流体の流れのきれいな切断を支援し得る。実施態様では、回転可能なアーム支持体300は、ノズルハウジング302を回転させて、ノズル304の丸みを帯びた端部513Aをウエハ108の端部上に延ばし(例えば、走査手順に従い)、流体処理システム106の動作を介して第2のノズルポート508を通る流体の流れの取り込みを促進させる。例えば、
図6に示すように、ノズルは、第1の時間(t1)において第1の位置(例えば、走査位置)に配置され、それによって、チャネル512は、表面146の上に位置決めされる。次いで、回転可能なアーム支持体300は、第2の時間(t2)でノズルハウジング302を回転させ、丸みを帯びた端部513Aが第1の位置から約7度回転した第2の位置でウエハ108の縁を越えて(例えば、縁からはみ出すように)延在する。実施形態では、第2のノズルポート508は、第1のノズルポート506から遠位の丸みを帯びた端部513Bのほぼ中央に位置決めされる。丸みを帯びた端部513Bの縁に接するのとは対照的に、丸みを帯びた端部513Bの中心に第2のノズルポート508を位置付けることは、ウエハ108の表面146上の流体の動きを正確に制御するために流体流を区分けせずに表面146上に維持しながら流体の取り込みを容易にすることができる。
【0022】
実施態様において、ノズルフード510は、ウエハ108の表面146を横切る流体の流れを導くために複数のチャネルを規定する。例えば、
図7E~
図7Lを参照すると、ノズル304は、ノズルフード510が、ノズル本体500に沿って長手方向に配置された内側チャネル700および1つ以上の外側チャネル(チャネル702、704が示されている)を規定している状態で示されている。ノズルフード510は、第1のフード部分706と、第1のフード部分706によって形成されたノズルフード510の内部に配置された第2のフード部分708とを有するように示されている。内側チャネル700は、第2のフード部分708によって囲まれた内部領域によって規定され、外側チャネル702は、第1のフード部分706と第2のフード部分708との間に囲まれた領域によって規定される。第1のノズルポート506および第2のノズルポート508は、それぞれ、ノズルフード510の第1端部710およびノズルフード510の第2端部712で第2のフード部分708によって囲まれた内部領域内に配置される。
【0023】
ノズル304は、ノズル304からの流体のウエハ108への導入中に内側チャネル700から外側チャネル702、704に流体を導き、ウエハ108からの流体のノズル304への取り込み中に外側チャネル702、704から内側チャネル700に流体を導くことができる。例えば、ノズルフード510は、内側チャネル700と、外側チャネル702、704とを流体接続するために、第2端部712に隙間714を含む。実施形態では、隙間714は、ノズルフード510の第2端部712における第2のノズルポート508の位置と第1のフード部分706との間の、第2のフード部分708の開口部によって規定されて、ノズルフード510内のウエハ108の表面146上の流体構成に流体を維持し含有しながら、第1の内側チャネル700と外側チャネル702、704の間の流体の通過を可能にする。例えば、第2端部712は、典型的には、ウエハ108の中心またはそれに隣接して配置され、これは、流体に加えられる接線力を制限し、これは、流体の流れを壊してノズルフード510の外のウエハ108上に制御されない液体を有することに反対してノズル304内の連続した流体の流れを維持することを支援する。加えてまたは代替的に、ノズル304は、隙間714または第2のフード部分708の異なる位置における追加の隙間を含むことができる。
【0024】
例示的な流路を
図7G~
図7Iを参照して示すと、流体は、第1のノズルポート506を介して内側チャネル700に導入される。流体は、隙間714に達するまで、内側チャネル700内のウエハ108の表面146に沿って流れる。次に、流体は、隙間714を通って表面146に沿って、外側チャネル702、704の各々へ流れることができる。第1のフード部分706および第2のフード部分708は、外側チャネル702、704内の流体をノズルフード510の第1端部710の方に戻すように導く。第1のノズルポート506に導入される流体の量と、ウエハ108の表面146の上の第1のノズルポート506の高さは、外側チャネル702、704に通過するのに十分な流体が存在するか、流体が内側チャネル700内に完全に維持されるか、または十分な流体が存在する場合、流体が外側チャネル702、704に沿ってどのくらい通過するか、決定することになる。実施態様において、外側チャネル702、704は、ノズル304に対するウエハ108の回転中に、ウエハ108の上のノズル304の高さ、またはウエハ108の上のノズル304の高さの変動に関する動作バッファを提供する。例示的な実施形態では、ノズル304は、約0.2mmから約0.8mmまでのノズル304と表面146との間の高さ差に対して(例えば、約250μLから約550μLまでの試料体積に対して)変動することができる。外側チャネル702、704は、流体の流れを緊張状態に保ち、ノズル304全体にわたって連続的な液体の流れを維持しながら、内側チャネル700と表面146との間に保持される流体の体積を変動させる(例えば、外側チャネル702、704が必要に応じて液体を吸収または放出することによって)ことが可能である。流体の回収は、
図7Iの例示的な実施態様で示されている。外側チャネル702、704内に保持された流体は、内側チャネル700内に保持された流体の流れとともに回収される。例えば、流体は、内側チャネル700と外側チャネル702、704との間で連続的な液体流れとして維持されるので、流体は、単一のポート(
図7Iでは第2のノズルポート508として示されているが、代替的に第1のノズルポート506または中央ノズルポートなどの別のノズルポートであり得る)により回収されることが可能である。
【0025】
実施態様において、ノズル304は、表面146に流体を導入し、または表面146から流体を除去するための1つ以上の追加または代替の流体ポートを含むことができる。例えば、ノズル304は、ノズルフード510の第1端部710と第2端部712との間の内側チャネル700内に配置された第3のノズルポート716を含むことができる。第3のノズルポート716は、例えばノズル本体500を通る1つまたは複数のチャネルを介して、ノズル本体500によって規定された1つまたは複数の入口または出口ポートと流体的に接続することができる。実施態様では、第3のノズルポート716は、ノズル304の充填動作の間、内側チャネル700内の第1端部710および第2端部712に向かって同時に流体が移動するように、内側チャネル700の長手方向に沿ったほぼ中心位置に配置される(例えば、
図7Jに示される)。流体が第3のノズルポート716を通して供給された流体から内側チャネル700を満たすと、流体は、隙間714を通過して外側チャネル702、704の少なくとも一部を満たすことができる(例えば、
図7Kに示されている)。流体の回収は、その後、本明細書に記載されるように、回収ポート(例えば、第1のノズルポート506、第2のノズルポート714-
図7Lに示される、第3のノズルポート716、別のポートなど)を通して流体を引き抜くことによって起こり得る。
【0026】
ウエハ108の表面416の上のノズル304の位置は、走査手順の間にチャネル512内に支持される流体の量に影響を及ぼし得る。システム100は、ウエハ108の表面146に沿ってノズルフード510により案内される流体の所望の量を容易にするために、ノズルへの走査流体の導入前に、表面416の上の所望の高さが達成されることを確実にするためのゼロ調整手順を含むことができる。例示的なゼロ化手順が
図8A~
図8Cに示されており、そこでは、本開示の様々な実施形態に従って走査アームアセンブリ104の側面が示されている。第1のノズルポート506および第2のノズルポート508が、流体が塗布および除去されるウエハ108の表面146に対して水平であるように、走査アームアセンブリ104がウエハ108に対するノズル304の位置合わせを促進する。システム100は、システム100によって処理される各ウエハ108について(例えば、チャンバ102から除去される第1のウエハの走査とチャンバ102に導入される第2のウエハの走査との間で)、または次の走査手順の前など、チャンバ102によって保持されるウエハ108に対してノズル304が水平であることを確実にするために、必要に応じてアライメントまたはレベル調整手順を受けることが可能である。一般に、ノズル304は、ノズルハウジング302によって支持されている間にノズル304がノズルハウジング302に対して可動範囲を有することを可能にするために、ノズルハウジング302と可動に結合される。ノズルハウジング302は、伸長位置(例えば、
図8Aに示される)と後退位置(例えば、
図8B、8Cに示される)との間を移行するときにノズル304の少なくとも一部が通過し得る開口部520を規定している。例えば、ノズル304の頂部は、ノズルハウジング302内に配置され得、ここで、ノズル304の追加の部分は、ノズル304が伸張位置から後退位置へ移行するとき、開口部520を介してノズルハウジング302の内部へ導入され得る。例えば、ノズル304がゼロ化表面522に接触するように配置されるとき、ノズルフード128は、表面522に接触してノズル304を表面522に対して水平位置に押し込むことができる。次いで、ノズルハウジング302は、ノズル304が表面522から持ち上げられたとき(例えば、走査位置まで)、ノズル304を表面522に対して水平に保つために、ノズル304の位置を所定の位置にロックするように作動することができる。ノズルハウジング302は、ノズル304をノズルハウジング302に対して解放可能に固定するための機械的、電気的、または電気機械的なロック装置を含むことができる。実施態様において、表面522は、ウエハ108の表面146、ウエハ支持体110の表面(例えば、ウエハ支持体110にウエハ108をロードする前)、リンスステーション114の表面、または半導体ウエハのレベル特性と一致する構造を有する別の表面を含み、ノズル304が表面522に接触すると、ノズルフード128、第1のノズルポート506、第2のノズルポート508などがウエハ108に対して適切に配置される。
【0027】
実施態様では、ノズルマウントアセンブリ500は、ノズル304を回転可能なアーム支持体300に結合するためのノズルハウジング302を含む。ノズル304は、ノズルハウジング302の突起528と相互作用するための開口部526を規定するカプラ524を介して、ノズルハウジング302に結合され得る。突起528は、走査アームアセンブリ104が第1の状態(例えば、レベリング状態)にあるときに、開口部526の頂部が突起528上に載り、カプラ524を介してノズルハウジング302に対するノズル304の低い位置または伸張位置を与える(例えば、
図8Aに示すように)ように、開口部526の幅または直径より小さい幅または直径を有する締結具、ピン、または他の構造体を含むことができる。システム100は、回転可能なアーム支持体300にノズルハウジング302を下げてノズル304を表面522に接触させることにより、位置合わせまたは水平化手順を実施することができる(例えば、
図8Bに示されるように)。例えば、ノズル304が表面522に接触すると、カプラ524は突起528に対して上方に押されて、突起528が開口部526の頂部との接触を介してカプラ524を支持しないようにする。ノズル304の表面522との接触に続いて、ノズル304は後退位置にあり、システム100は、ロック構造530(例えば、ノズルハウジング302内に統合されている)を作動させて、ノズルハウジング302に対するノズル304の位置を固定することが可能である。例えば、カプラ524は、ロック構造530に組み込まれた電磁石によって生成される磁場によって固定されるように鉄材を含むことができる。例示的な実施形態では、電磁石がロック構造530の一部として示されているが、空気圧ソレノイドアクチュエータ、機械ロック、電気機械ロックなどを含む、これらに限定されない他のロック構造を利用することもできる。
【0028】
ノズルハウジング302は、ノズル304が伸長状態にあるか、収縮状態にあるか、または異なる位置にあるかを決定するように、ノズルハウジング302に対するノズル304の位置を監視するためのセンサを含んでも良い。例えば、実施形態では、ノズルハウジング302は、カプラ524の存在または不在を検出し、システム100のコントローラによって受信される信号を生成または生成停止するためのセンサ532を含む。センサ532は、カプラ524の第1の側に光源を備え、カプラ524の第2の対向する側に検出器を備えた光スイッチを含むことができる。カプラ524は、その一部がセンサ532の光源と検出器との間を通過するインデックスカットアウトを含むことができる。ノズル304が伸長位置にある(例えば、ロック構造530が係合していない)とき、光源からの光は、カプラ524のインデックスカットアウトを通過し、カプラ524の他方の側の検出器によって検出される。そして、センサ532は、光の検出を示す信号を出力するか、または信号の出力を停止し、これにより、ノズル304が伸長位置にあることをシステム100に示す。ノズル304が、表面522上で水平にされた後などの後退位置にあるとき、カプラ524の本体は、センサ532の光源と検出器の間に配置され、光が検出器に到達するのを遮断している。センサ532は、光源を検出しないことを示す信号を出力するか、または信号の出力を停止することになる。このような信号またはその欠如は、ノズル304が後退位置にある(例えば、ロック構造530によってノズルハウジング302に支持されている)ことをシステム100に示す。センサ532の動作は、ノズル304が、動作の期間の後、依然として格納され水平にされた位置にあることを確認するためのシステムチェックを提供することができる。センサ532からの出力の変化は、再水平化手順が適切であるかもしれないこと、ロック構造530が評価されるべきこと、などを示し得る。あるいは、ノズル304が後退位置にあるとき、検出器がインデックスカットアウトと整列し、ノズル304が伸長位置にあるとき、カプラ524の本体が光を遮断するように、インデックスカットアウトが再配置され得る。
【0029】
ノズル304が表面522に対して水平にされ、ロック構造530を介して所定の位置にロックされると、回転可能なアーム支持体300は、ノズル304を水平にされた位置に維持しながら、(例えば、
図8Cに示すように)表面522からノズル304を持ち上げ得る。次いで、回転可能なアーム支持体300は、ノズル304を走査位置に配置するか、さもなければ、(例えば、ノズル304を水平にするために使用される表面522がウエハ支持体110であれば、ウエハ108をウエハ支持体110上に配置することを可能にするために)ノズル304を動かすことができる。
【0030】
ノズルハウジング302は、ノズル304への流体の導入およびノズル304からの流体の除去を容易にするために、1つまたは複数のセンサを含むことができる。例えば、実施態様では、ノズルハウジング302は、ノズル304に入る流体およびノズル304から出る流体の流れを制御するために流体処理システム106の動作を制御するために、ノズル304の入口ポート502および出口ポート504のいずれかまたは複数に隣接する1つ以上のセンサ(センサ534A、534Bが示される)を含む。センサ534A、534Bは、システム100の流体ライン内の液体の流れまたはその不在を感知するために、光学センサ、静電容量センサ、超音波センサ、または他のセンサ、またはそれらの組合せを含むことができる。例えば、システム100は、流体ラインカプラー536A、536Bに結合された流体処理システムからの流体ラインを含み、それを通って、センサ534A、534Bはそれぞれ、その中の流体の存在または不在を検出することができる。出力信号、またはその欠如は、ノズル304に流体を導入しまたはノズル304から流体を除去するために利用されるポンプを含むがこれに限定されない、流体処理システム106の1つ以上の構成要素の動作を制御し得る。
【0031】
システム100は、走査手順に続くような、ウエハ108のための、およびノズル304のためのリンス手順を容易にする。
図2Cを参照すると、チャンバ102は、ウエハ108のリンスを促進するためにリンス構成で示されている。リンス構成に移行するために、モータシステム112は、ウエハ支持体110を、第1の開口部126に隣接する第1の位置(例えば、走査位置)または他の位置から、チャンバ本体116のレッジ120と底部124との間のリンス位置まで位置決めすることが可能である。リンス流体は、ノズルハウジング302上のリンスポートを介するなどで、システム100に設けられたウエハ108に導入され、それによって、モータシステム112は、リンス流体の除去を誘発するためにウエハ108を回転させることができる。その後、リンス流体は、チャンバ本体116の内部にぶつかり、ドレイン206Bに流れて、チャンバ102の内部領域118を離れることができる。ノズル304を洗浄するために、回転可能なアーム支持体300は、リンスステーション114の1つ以上のトラフに対してノズル304を位置決めすることができる。例えば、リンスステーション114は、ノズルフード510、チャネル512、またはノズル304の他の部分と相互作用するためにリンス流体がリンス流体源から導入される細長いチャネルを有する第1トラフ115A(例えば、
図5に示す)を含むことができる。ノズル304は、
図1A、1Bにおいて第1トラフ115A内に位置決めされて示されている。リンスステーション114は、ノズル304に対して衝突するように、細長いチャネルに乾燥ガスを導入するために乾燥ガス源(例えば、窒素または他の不活性ガス)と結合された細長いチャネルを有する第2のトラフ115Bを含むこともできる。
図5において、ノズル304は、第2のトラフ115B内に位置決めされて示されている。
【0032】
ここで
図9A~
図10を参照すると、システム100の例示的な流体処理システム106が、本開示の様々な実施形態に従って説明されている。例えば、流体処理システム106は、分析システムによる分析のためにシステム100によって利用される化学物質のブランクの調製を容易にすることができ、チャンバ102における使用のためにオンデマンドかつ所望の比率に従って分解流体の調製を容易にすることができ、チャンバ102における使用のためにオンデマンドかつ所望の比率に従って走査流体の調製を容易にし、およびそれらの組合せを可能にすることができる。示されるように、流体処理システム106は、ポンプ600、602、604、606、608、610、および612を含むポンプシステムを含み、かつシステム100の他の構成要素(例えば、ノズル304)、分析システム等と相互作用するために流体処理システムを通して、流体を引き込み、押し出す。ポンプシステムは、シリンジポンプを組み込んで示されているが、システム100は、異なるポンプタイプまたはシステム、ポンプタイプまたはシステムの組み合わせ等を利用することができる。流体処理システム106の構成例が
図10に示されており、ウエハ108の分解手順中にチャンバ102のネブライザ138に分解流体を導入する。ポンプ612は、分解流体源613からフッ酸(HF)または他の分解流体を、第1の構成のバルブ616および第1の構成のバルブ618を有する保持ライン(例えば、分解流体保持ループ614)へ引き込むことができる。バルブ616の第2の構成では、ガス源619からのガスを、分解流体を保持する流体ラインに導入して、分解流体をネブライザ138に押し出すために使用される作動流体の間の障壁を提供することが可能である。バルブ618の第2の構成において、ポンプ612は、作動液(例えば、脱イオン水または他の流体)を引き出すことができ、それによって、バルブ618は、第1の位置に切り替えられ、バルブ616は、ポンプ612とネブライザ138との間の流体連通を提供するために第3の構成に切り替えられ、それによって、ポンプ612は、分解流体バルブ保持ループ614に保持された分解液に対して作動液を(例えば、任意の中間の隙間を介して)押し、分解液をネブライザ138へ導入する。ウエハ108の分解に続いて、システム100は、不純物の決定のためにウエハ108を走査することができる。
【0033】
図9Aを参照すると、流体処理システム106は、例示的な化学物質負荷構成で示されている。ポンプ604、606、および608は、第1のバルブ構成においてバルブ626を介して、化学物質源620、622、および624からそれぞれ化学物質を吸引する。化学物質は、例えば、フッ化水素酸(HF)、過酸化水素(H
2O
2)、脱イオン水(DIW)、または他の流体を含み得る。バルブ626の第2のバルブ構成(
図9Aに示す)において、ポンプ604、606、および608の各々は、流体ラインコネクタ(例えば、マニホールド628または他のコネクタ)と流体的に結合され、それによって各ポンプによって引き出された化学物質は結合されて混合することが許可されている。組み合わされた流体は、バルブ630に導かれ、このバルブ630は、第1のバルブ構成において、組み合わされた流体を保持ライン(例えば、保持ループ632)へ導く。実施態様において、システムコントローラは、ポンプ604、606、および608の各々の動作を独立して制御して、それぞれのポンプによって扱われる各流体の流量を制御し、それによって、混合後に保持ループ632に向けられた混合流体の制御された組成を提供する。実施態様において、第1の流体混合物は、第1の走査手順の間にウエハ108と相互作用するために使用され得、第2の流体混合物は、第2の走査手順の間にウエハ108と相互作用するために第2の流体混合物を導入するためにポンプシステム604、606、および608の異なる動作制御でオンデマンドに準備され得る。追加の流体混合物をオンデマンドで調製し、所望に応じてウエハ108に導入することができる。実施態様では、保持ループ632は、補充する必要なしに複数のウエハの走査手順をサポートする容積を有する。例えば、走査溶液を準備することができ、ここで、走査溶液の一部(例えば、「ブランク1」試料)を分析システムに送って、溶液がウエハ上で使用するための動作制約内にあることを検証することができる。保持ループ632内の走査溶液の残りは、その後、走査溶液が使用に適していると予め検証された状態で、複数の走査手順で使用することができる。分析のための化学ブランクの装填例を、
図9Bを参照して示す。
【0034】
図9Bを参照すると、流体処理システム106は、ブランクをノズル304に通すことなく、分析のために化学ブランクを送るための例示的なノズルバイパス構成を示す。ノズルバイパス構成では、ポンプ610は、保持ループ632と流体連通しており(例えば、第2のバルブ構成のバルブ630と)、保持ループ632に保持されている流体を、第1のバルブ構成のバルブ636および第1のバルブ構成のバルブ638を介して試料保持ライン(例えば、試料保持ループ634)に押し出す。流体が試料保持ループ634内で隔離されると、流体処理システム106は、試料を分析するために分析システムに移送するために、試料注入構成に構成を切り替えることができる。分析システムは、微量元素組成決定のための誘導結合プラズマ分光分析機器を含むことができるが、これらに限定されない。
【0035】
図9Cを参照すると、流体処理システム106は、例示的な化学物質注入構成で示されており、それによって、保持ループ632は、1つ以上の移送機構と流体連通している。例えば、実施態様において、バルブ638は、保持ループ632をガス移送源(例えば、窒素圧力源640)に流体連通して、保持ループ632に保持された試料を、第1のバルブ構成のバルブ644および第1のバルブ構成のバルブ646を介して試料分析システムへの移送ライン642へ押し出すための第2の構成(
図9Cに破線で示す)となっている。実施態様において、バルブ638は、保持ループ632を、第1のバルブ構成におけるバルブ644および第1のバルブ構成におけるバルブ646を介して試料分析システムへの移送ライン642に保持ループ632に保持された試料を押す、第1のバルブ構成(
図9C実線に示す)において、バルブ648を介してポンプ602と流動的に結合する第3のバルブ構成(
図9Dに示す)となっている。ポンプ602は、作動溶液(例えば、DIWからの脱イオン水源650)を用いて、移送リネイ642に試料を押し付ける。実施態様では、流体処理システム106は、作動溶液の押し付けの前に、保持ループ632に気泡(例えば、窒素圧力源640から)を導入することなどにより、作動溶液と試料との間に流体隙間を導入する。実施態様では、流体処理システム106は、移送ライン642内の流体の存在または不在を検出するために、移送ライン642に隣接するセンサ652を含む。例えば、センサ652は、保持ループ632から押し出された試料の後端を検出することができ(例えば、ライン内の気泡を検出することによって)、ここで、センサ信号またはその欠如は、流体ライン654を介してポンプ602を移送ライン642と流体的に接続するためにバルブ646、648の構成を第2のバルブ構成(
図9Cに破線で示す)に切り換えるように流体処理システム106のコントローラに通知することができる。このような構成では、流体処理システム106の他の部分は、試料分析器への試料の移送から隔離されて、試料移送中にそれらの他の部分のリンス処理を可能にする。
【0036】
図9Dを参照すると、流体処理システム106は、例示的なノズルループ装填構成で示されており、それによって、保持ループ632は、ノズル304に流体を導入する準備をするためにノズル保持線(例えば、ノズル保持ループ656)と流体連通している。ノズルループ負荷構成において、ポンプ610は、保持ループ632と流体連通し(例えば、第2のバルブ構成におけるバルブ630と)、保持ループ632に保持された流体を第2のバルブ構成におけるバルブ636および第1のバルブ構成におけるバルブ658を介して、ノズル保持ループ632に押し出す。実施態様において、ノズル保持ループ632は、約500μLの容積を有し、一方、保持ループ632は、ポンプ604、606、608の動作を通じて走査溶液の各調製のためのノズル保持ループ632の充填を可能にするために約5~20mLの容積を有している。流体がノズル保持ループ656内で隔離されると、流体処理システム106は、ウエハ108の走査手順のために流体をノズル304に移送するため、またはノズルブランク試料を取るために(例えば、リンスステーション114の表面などの不活性表面に流体を導入し、分析のために不活性表面から試料を除去)ノズルロード構成に構成を切り換えることが可能である。
【0037】
図9Eを参照すると、流体処理システム106は、例示的なノズルロード構成で示されており、これによって、ポンプ600は、ノズル保持ループ656と流体連通され、バルブ658を介してノズル304は、ノズル保持ループ656からノズル304に流体を押し出す第2のバルブ構成となる。実施態様において、走査手順の間、ノズル304がポンプ600によってロードされる間、ウエハ108は静止状態に保持される。実施形態では、システム100は、ノズル304を流体で充填する前に、ノズル304のゼロ化操作(例えば、
図8A~
図8Cを参照して説明した)を実行する。次いで、ノズルは、ウエハ108上の走査位置に置かれ、ポンプ600は、流体をノズル保持ループ656からノズル304の入口ポート506に、ノズル本体500を通って第1のノズルポート506に、およびウエハ108の表面146に(またはノズルブランク分析のための不活性表面に)押し出すように動作することができる。実施態様において、流体処理システム106のコントローラは、充填されたノズル304を示すノズル304に導入される流体またはノズル304から出る流体の存在または欠如を検出するセンサ534Aおよび534Bからの感知信号またはその欠如に基づいて、ポンプ600の動作を制御する。実施形態において、センサ534Aによる流体の前端の検出は、ポンプ600に、ノズル304に導入される流体の流量を減少させる(例えば、約50μL/分の流量から10~20μL/分の流量に)。実施形態では、ポンプ600は、流体の後端がセンサ534Bによって登録されるまで、ノズル304を充填するように動作する。次いで、ポンプ600は、流体の後端をノズル304に押し込むために一定時間動作し、その後、動作を停止し、それによって、ノズル保持ループ656によって以前に保持された全ての流体が、ウエハ108の表面146(またはノズルブランクが実行されている場合は不活性表面)に配置され得る。次いで、流体は、ノズル304によって表面146上に支持される。実施態様において、流体の一部は、ノズルフード510から突出することができるが、付着力などにより、チャネル512内の流体の残部と接触して維持されることができる。次いで、システム100は、ウエハ108の表面146上にノズル304を走査することに移行する。走査手順の間、モータシステム112は、ウエハ108を回転させ(例えば、約2rpmで)、それによって、ノズル304によって支持される流体は、ウエハ108の表面146上に移送される。実施態様では、流体は、ウエハ108の1回の回転でウエハ108の実質的に全表面146と相互作用するが、しかし、追加の回転が実行され得る。例えば、走査手順は、流体がウエハ108の全表面に2回接触することを可能にするために、モータシステム112によるウエハ108の2回転を含むことができる。走査に続いて、ノズルは、表面から第2のノズルポート508を介してノズル304への流体の取り込みを支援するように、ノズルの端部がウエハの端部を越えて延びるように(例えば、
図6を参照して説明したように)回転させることができる。
【0038】
図9Fを参照すると、流体処理システム106は、例示的な回復構成で示されており、それによって、ポンプ602は、第1の構成ではバルブ648、第3の構成ではバルブ638、および第2の構成ではバルブ644を介してノズル304と流体連通している。回復構成では、ポンプ602は、流体をウエハ108の表面146から第2のノズルポート508を通り、出口ポート504を介してノズル304から引き出すように動作し、そこで流体は試料保持ループ634に引き込まれる。センサ(例えば、センサ660)は、センサ534A/534Bの出力によるポンプ600の制御と同様に、ポンプ602の動作を制御するために利用され得る。例えば、センサ660は、試料保持ループ634に流入する流体の後端を検出することができ、これは、(例えば、流体処理システム106のコントローラを介して)ポンプ602に動作を停止するように信号を送ることができる。流体が試料保持ループ634に保持されると、流体処理システム106は、
図9Cを参照して説明した化学物質注入構成に移行して、移送ライン642を介して試料アナライザに流体を導入することができる。実施態様では、試料保持ループ634は、走査に続く流体の全回収を可能にするために、ノズル304に供給される流体の体積(例えば、500μL)よりも大きな体積(例えば、1.5mL)を有している。
【0039】
電気機械デバイス(例えば、電気モータ、サーボ、アクチュエータなど)は、システム100内に組み込まれたまたは外部からシステム100を駆動する制御ロジックを介して自動運転を容易にするために、システム100の構成要素と結合されるかまたはその中に埋め込まれてもよい。電気機械デバイスは、本明細書に記載される手順などの様々な手順に従ってデバイスおよび流体の移動を引き起こすように構成され得る。システム100は、固定の担体媒体(例えば、フラッシュドライブ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、SDカード、光ディスクなどの記憶媒体)からのコンピュータ可読プログラム命令(すなわち、制御ロジック)を実行するように構成されたプロセッサまたは他のコントローラを有するコンピューティングシステムを含むか、またはそれによって制御することができる。コンピューティングシステムは、直接接続によって、または1つ以上のネットワーク接続(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線エリアネットワーク(WANまたはWLAN)、1つ以上のハブ接続(例えば、USBハブ)等)を介して、システム100の様々なコンポーネントに接続することが可能である。例えば、コンピューティングシステムは、チャンバ102、モータシステム112、本明細書に記載のバルブ、本明細書に記載のポンプ、本明細書に記載の他のコンポーネント、それらの制御を指示するコンポーネント、またはそれらの組み合わせに通信可能に結合することができる。プログラム命令は、プロセッサまたは他のコントローラによって実行されると、コンピューティングシステムに、本明細書に記載される1つ以上の動作モードに従って、システム100(例えば、制御ポンプ、選択バルブ、アクチュエータ、スプレーノズル、位置決めデバイスなど)を制御させることができる。
【0040】
本開示を通じて説明される様々な機能、制御動作、処理ブロック、またはステップは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアの任意の組み合わせによって実施され得ることを認識されたい。いくつかの実施形態では、様々なステップまたは機能は、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、コントローラ/マイクロコントローラ、またはコンピューティングシステムのうちの1つ以上によって実行される。コンピューティングシステムは、パーソナルコンピューティングシステム、モバイルコンピューティングデバイス、メインフレームコンピューティングシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、パラレルプロセッサ、または当技術分野で知られている他の任意のデバイスを含むことができるが、これらに限定されるわけではない。一般に、「コンピューティングシステム」という用語は、キャリア媒体から命令を実行する、1つまたはそれ以上のプロセッサまたは他のコントローラを有する任意の装置を包含するように広範に規定される。
【0041】
本明細書に記載された実施形態によって明示されるような機能、制御動作、処理ブロック、またはステップを実施するプログラム命令は、キャリア媒体を介して送信されるか、またはキャリア媒体に格納されてもよい。搬送媒体は、ワイヤ、ケーブル、または無線伝送リンクなどの伝送媒体であってもよいが、これらに限定されるものではない。搬送媒体はまた、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、または光ディスク、固体またはフラッシュメモリ装置、または磁気テープなどの固定信号ベアリング媒体または記憶媒体を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0042】
さらに、本発明は添付の特許請求の範囲によって規定されることが理解されよう。本発明の実施形態が例示されているが、当業者であれば、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることは明らかである。