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特許7631467自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するための車両物体検出システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するための車両物体検出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/04 20060101AFI20250210BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20250210BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
B60W40/04
B60W50/14
G08G1/16 C
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175325
(22)【出願日】2023-10-10
(65)【公開番号】P2024060583
(43)【公開日】2024-05-02
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】22202576
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 正一
(72)【発明者】
【氏名】小原 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】野原 孝良
(72)【発明者】
【氏名】高橋 将寛
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-151314(JP,A)
【文献】特開2010-198513(JP,A)
【文献】特開2012-048346(JP,A)
【文献】特開2018-144600(JP,A)
【文献】特開2019-091270(JP,A)
【文献】特開2017-068447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0380101(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するための車両物体検出システム(10)であって、前記車両物体検出システム(10)は、
前記検出エリア(OL)への進入が検出された対象物(60)が警報対象であるかどうかに関する判定を生成し、前記判定を警告手段(30)に出力するように構成された判定手段(20)を備え、前記警告手段(30)は、前記対象物(60)が警報対象であることを示す判定に基づいて、前記自車両(50)の後方の前記検出エリア(OL)に対象物(60)が存在することを前記自車両(50)の運転者に警告するように構成され、
前記判定手段(20)は、前記対象物(60)が前記検出エリア(OL)の側方に位置する隣接エリア(AL)から前記検出エリア(OL)に進入した時点から指定された期間が経過するまで前記判定の生成を遅延させるように構成され、および/または、前記指定された期間中の前記対象物(60)と前記自車両(50)との間の距離変化に基づいて前記判定を生成するように構成される、車両物体検出システム(10)。
【請求項2】
前記判定手段(20)は、前記指定された期間中の前記対象物(60)と前記自車両(50)との間の距離の増大に基づいて、前記対象物が警報対象でないことを示す判定を生成するように構成される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項3】
前記判定手段(20)は、前記指定された期間中の前記対象物(60)と前記自車両(50)との間の距離が一定または前記距離の減少に基づいて、前記対象物(60)が警報対象であることを示す判定を生成するように構成される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項4】
前記判定手段(20)は、前記自車両(50)に対する前記対象物(60)の検出された相対速度に基づいて、前記対象物(60)と前記自車両(50)との間の距離の変化を計算するように構成される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項5】
前記判定手段(20)は、前記指定された期間中の前記検出された相対速度の横方向成分の絶対値を計算するように構成され、前記検出された相対速度の前記横方向成分の絶対値が指定された相対横方向速度以下であり、かつ、前記対象物(60)と前記自車両(50)との間の距離が増大していることに基づいて、前記対象物(60)が警報対象であるかどうかに関する前記判定を生成するように構成される、請求項4に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項6】
前記判定手段(20)は、前記対象物が警報対象でないことを示す前記判定に基づいて、対象物が検出された場合でも警告を抑制することを前記警告手段(30)に示す前記判定を前記警告手段(30)に出力するように構成される、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項7】
前記自車両(50)の前記検出エリア(OL)は、前記自車両(50)の自車線および後方の領域に対応し、および/または、前記検出エリア(OL)の側方に位置する前記隣接エリア(AL)は、前記自車両(50)の自車線に隣接する隣接車線に対応する、請求項1に記載の車両物体検出システム(10)。
【請求項8】
自車両(50)のための運転者支援システム(1)であって、
前記自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するように構成された検出手段(40)と、
請求項1~7のいずれか1項に記載の車両物体検出システム(10)と、
前記対象物(60)が警報対象であることを示す、前記車両物体検出システム(10)の前記判定手段(20)の前記判定に基づいてのみ、前記検出エリア(OL)に対象物(60)が存在することを前記自車両(50)の運転者に警告するように構成された警告手段(30)と
を備える、運転者支援システム(1)。
【請求項9】
前記検出手段(40)は、前記検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するように構成された、個別にまたは組み合わせて使用されるレーダセンサおよび/またはカメラセンサを備える、請求項8に記載の運転者支援システム(1)。
【請求項10】
前記警告手段(30)は、前記対象物(60)が警報対象であることを示す判定に基づいて、前記検出エリア(OL)に対象物(60)が存在する旨の警告を前記自車両(50)の運転者に出力し、前記対象物(60)が警報対象でないことを示す前記判定に基づいて、前記検出手段(40)により前記検出エリア(OL)において対象物(60)が検出された場合であっても、警告の出力を抑制するように構成される、請求項8に記載の運転者支援システム(1)。
【請求項11】
請求項8に記載の運転者支援システム(1)を備える車両。
【請求項12】
求項1~7のいずれか1項に記載の車両物体検出システム(10)を制御するために、自車両(50)の後方に位置する検出エリア(OL)において対象物(60)を検出するためのコンピュータ実装方法であって、
前記検出エリア(OL)への進入が検出された対象物(60)が警報対象であるかどうかに関する判定を生成するステップと、
前記判定を警告手段(30)に出力するステップとを含み、前記警告手段(30)は、前記対象物(60)が警報対象であることを示す前記判定に基づいて、前記自車両(50)の後方の前記検出エリア(OL)に対象物(60)が存在することを前記自車両(50)の運転者に警告し、
前記判定を生成する前記ステップにおいて、前記対象物(60)が前記検出エリア(OL)の側方に位置する隣接エリア(AL)から前記検出エリア(OL)に進入した時点から指定された期間が経過するまで前記判定の生成を遅延させ、および/または、前記指定された期間中の前記対象物(60)と前記自車両(50)との間の距離変化に基づいて前記判定が生成される、コンピュータ実装方法。
【請求項13】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、前記命令は、請求項12に記載のコンピュータ実装方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記憶している非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて車両のような対象物(以下、「対象車両」ともいう)を検出するための車両物体検出システムに関する。さらに、本発明は、特に車両物体検出システムを制御するための、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するためのコンピュータ実装方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、そのような車両物体検出システムを備える車両用運転者支援システムと、上記方法を実行するための対応するコンピュータプログラムと、それぞれの非一時的コンピュータ可読媒体とに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
車両用の従来の運転者支援システムまたは先進運転者支援システム(ADAS)は、例えば、従来の車両および自動運転車両に関連して広く使用されており、そのような車両物体検出システムを備え得る。
【0004】
多くの車両事故は、ヒューマンエラーによって引き起こされ、それらはそのような先進運転者支援システム(ADAS)によって回避されたかもしれない。一般的に知られているセーフティクリティカルADASの用途は、例えば、歩行者検出/回避、車線逸脱警告/修正、交通標識認識、自動緊急ブレーキおよび死角検出を含む。長距離レーダは、通常、緊急ブレーキ支援およびアダプティブクルーズコントロールのような用途に用いられるが、短距離レーダは、例えば、死角検出(BSD)、後方交差交通警報、車線変更支援および後方プリクラッシュシステムのような用途に関連して用いられることが多い。
【0005】
例えば、そのような後方プリクラッシュシステムは、自車両の後方から、例えば自車両の車線に隣接する隣接車線から接近する車両を追跡し、差し迫った衝突の場合、インジケータ(光学または音響インジケータ)、エアバッグ、シートベルトなどの安全装置を事前に作動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
衝突の可能性または潜在的な危険状況の場合には、後方交通接近通知もまた、そのようなインジケータによって自車両の運転者に出力され得る。しかしながら、対象車両が自車両の(自/自己)車線に進入したとしても、自車両の運転者の注意のために、自車両の後方から車両が接近していることを警告するアラームを出力または作動させる必要は必ずしもない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明による車両物体検出システムは、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて他の車両のような対象物を検出するためのものであって、車両物体検出システムは、検出エリアへの進入が検出された対象物が警報対象であるかどうかに関する判定を生成し、判定を警告手段に出力するように構成された判定手段を備え、警告手段は、対象物が警報対象であることを示す判定に基づいて、自車両の後方の検出エリアに対象物が存在する旨を自車両の運転者に警告するように構成され、判定手段は、対象物が検出エリアの側方に位置する隣接エリアから検出エリアに進入した時点から指定された期間が経過するまで判定の生成を遅延させるように構成され、および/または、上記指定された期間中および/または後の対象物と自車両との間の距離変化に基づいて判定を生成するように構成される。
【0008】
好ましくは、上記距離は、車両の長手方向(従来の車両座標系のx方向)または自車両の(自)車線である検出エリアの長手方向における距離を意味する。結果として、検出エリアの側方の隣接エリアは、自車線の長手方向に垂直な方向または車両の横方向(従来の車両座標系のy方向)に位置する。
【0009】
したがって、本発明は、対象物が自車両から遠ざかっている間に、他の車両のような対象物が隣接車線である隣接エリアから自車両の後方の検出エリア(自車線)に進入するとき、すなわち、対象物と自車両との間の距離が前記指定された期間中および/または後に増大するとき、指定された時間が経過するまでアラームまたは警告を抑制し得ることを達成する。
【0010】
例えば、対象物(対象車両)が自車両から遠ざかるとの決定は、対象物の長手方向の相対速度と、この相対速度が0km/h以下であるかどうかとに基づいて行うことができる。
【0011】
また、この決定は、横方向における対象物(対象車両)の相対的な横方向速度の絶対値だけでなく、横方向における相対的な横方向速度の絶対値が指定された横方向速度以下であるかどうかに基づいてもよい。なお、横方向は、自車両の横方向に対応する。
【0012】
しかしながら、上記の条件(距離の増大および速度の考慮)が充足される上記の状況でアラームまたは警告を抑制することができたとしても、指定された時間が経過するまで、異なる状況でアラームまたは警告が出力される可能性がある。
【0013】
好ましくは、簡潔には、以下の条件のいずれかが満たされる場合、判定手段は、対象物が警報対象でないことを示す判定を生成して、警告手段がアラームを提供しないようにする:対象物が隣接車線から車両の後方のエリアに進入するときに指定された時間が経過するまで、および上記の指定された時間の経過中および/または経過した後に、対象車両が自車両から遠ざかる間、車両の長手方向における(すなわち、走行方向における)相対車両速度が0km/h以下であり、選択的に、(車両または車線の)横方向における相対横方向速度の絶対値が指定された横方向速度以下である場合、対象物が遠ざかっていると決定される。
【0014】
したがって、本発明によって達成される有利な効果の1つは、不必要なアラームの警告/起動を回避することである。
【0015】
車両物体検出システムは、判定手段が、前記指定された期間中および/または後の対象物と自車両との間の距離の増大に基づいて、対象物が警報対象でないことを示す判定を生成するように構成されるように、さらに構成することができる。上述したように、対象車両が前記指定された期間中またはそれ以降に遠ざかる場合、それは警報対象でないとみなされ得る。
【0016】
さらに、本発明による車両物体検出システムは、判定手段が、前記指定された期間中の対象物と自車両との間の距離が一定または距離の減少に基づいて、対象物が警報対象であることを示す判定を生成するように構成されるように、さらに変更することができる。したがって、他方の場合、安全上の理由から、対象車両は警報対象であるとみなされる。
【0017】
さらに、本発明による車両物体検出システムは、判定手段が、自車両に対する対象物の検出された相対速度に基づいて、対象物と自車両との間の距離の変化を計算するように構成されるように、さらに構成することができる。例えば、検出された相対速度の自車両の長手方向の成分が0以下であれば、対象物と自車両との距離が増大していると判定される。
【0018】
さらに、本発明による車両物体検出システムは、判定手段が、指定された期間中および/または後の検出された相対速度の横方向成分の絶対値を計算するように構成され、検出された相対速度の横方向成分の絶対値が指定された相対横方向速度以下であり、かつ、対象物と自車両との間の距離が増大していることに基づいて、対象物が警報対象であることを示す判定を生成するように構成されるように、さらに実現することができる。
【0019】
さらに、本発明による車両物体検出システムは、判定手段が、対象物が警報対象でないこと、すなわち警報対象がないことを示す判定に基づいて、対象物が検出された場合でも警告を抑制することを警告手段に示す判定を警告手段に出力するように構成されるように、さらに実装することができる。したがって、対象車両が検出された場合であっても、対象車両が警報対象でないとみなされる場合、アラームの警告/起動は抑制される。
【0020】
また、本発明による車両物体検出システムは、自車両の検出エリアが自車両の自車線および後方の領域に対応し、および/または、検出エリアの側方に位置する隣接エリアが、自車両の自車線に隣接する隣接車線に対応するようにさらに変更することができる。
【0021】
本発明による運転者支援システムは、自車両のためのものであり、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するように構成された検出手段と、上記のような本発明による車両物体検出システムと、対象物が警報対象であることを示す、車両物体検出システムの判定手段の判定に基づいてのみ、対象物が検出エリアに存在することを自車両の運転者に警告するように構成された警告手段とを備える。
【0022】
さらに、本発明による運転者支援システムは、検出手段が、検出エリアにおいて対象物を検出するように構成された、個別にまたは組み合わせて使用されるレーダセンサおよび/またはカメラセンサを備えるように、さらに構成することができる。
【0023】
また、本発明による運転者支援システムは、警告手段が、対象物が警報対象であることを示す判定に基づいて、検出エリアに対象物が存在する旨の警告を自車両の運転者に出力し、対象物が警報対象でないことを示す判定に基づいて、検出手段により検出エリアにおいて対象物が検出された場合であっても、警告の出力を抑制するように構成されるように、さらに変更することができる。
【0024】
本発明による車両、好ましくは自動運転車両は、上述のような本発明による運転者支援システムを備える。
【0025】
本発明によるコンピュータ実装方法は、特に上記のような本発明による車両物体検出システムを制御するために、自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するためのものであって、以下のステップ、すなわち、
検出エリアに進入することが検出された対象物が警報対象であるかどうかに関する判定を生成するステップと、
対象物が警報対象であることを示す判定に基づいて、自車両の後方の検出エリアに対象物が存在する旨を自車両の運転者に警告する警告手段に判定を出力するステップと、
を含み、
判定を生成するステップにおいて、対象物が検出エリアの側方に位置する隣接エリアから検出エリアに進入した時点から指定された期間が経過するまで判定の生成を遅延させ、および/または、前記指定された期間中および/または後の対象物と自車両との間の距離変化に基づいて判定が生成される。
【0026】
したがって、本発明による車両物体検出システムに関連して説明された特性および利点は、本発明による自車両の後方に位置する検出エリアにおいて対象物を検出するための方法に関して同じまたは同様の方法で生じるが、これは、繰り返しを避けるために、本発明による車両物体検出システムに関するそれぞれの説明を参照する理由である。
【0027】
本発明によるコンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されると、本発明によるコンピュータ実装方法をコンピュータに実行させる命令を含む。
【0028】
本発明による非一時的コンピュータ可読媒体は、本発明によるコンピュータプログラムを記憶している。
【0029】
図面の簡単な説明
本発明の好ましい実施形態および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読めば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による運転者支援システムを備える本発明による車両の一実施形態を示す。
図2図1の本発明による運転者支援システムによって実行される判定プロセスのフローチャートである。
図3図1の本発明による運転者支援システムの概略構成をより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
これに関連して、本明細書で説明される車両物体検出システムは、例えば車両物体検出システムで実行される処理で使用されるメモリを含み得る。実施形態で使用されるメモリは、揮発性メモリ、例えばDRAM(動的ランダムアクセスメモリ)または不揮発性メモリ、例えばPROM(プログラム可能読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、EEPROM(電気的消去可能PROM)、またはフラッシュメモリ、例えばフローティングゲートメモリ、電荷トラップメモリ、MRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリ)またはPCRAM(相変化ランダムアクセスメモリ)であってもよい。
【0032】
これに関連して、本明細書で説明する車両物体検出システムは、プロセッサまたは「回路」を含み得る。「回路」は、専用回路またはメモリに記憶されたソフトウェアを実行するプロセッサ、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せであり得る、任意の種類の論理実装エンティティとして理解され得る。したがって、一実施形態では、「回路」は、ハードワイヤード論理回路、またはプログラマブルプロセッサ、例えばマイクロプロセッサ(例えば、複合命令セットコンピュータ(CISC)プロセッサまたは縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ)などのプログラマブル論理回路であってもよい。「回路」はまた、ソフトウェア、例えば、任意の種類のコンピュータプログラム、例えば、Javaなどの仮想マシンコードを使用するコンピュータプログラムを実行するプロセッサであってもよい。以下でより詳細に説明されるそれぞれの機能の任意の他の種類の実装もまた、代替の実施形態による「回路」として理解され得る。
【0033】
図面を参照して、本発明の1つの好ましい実施形態を、ここで例示目的のために具体的に説明する。この実施形態における構成要素または要素は、例としてのみ示され説明されるが、本発明をそれらに限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0034】
図1a)および図1b)は、本発明による運転者支援システム1を備える本発明による車両50(以下「自車両」と呼ぶ)の一実施形態を示し、これは、図3に関連してより具体的に説明される。
【0035】
図3は、図1の本発明による運転者支援システム1の概略構成をより詳細に示す。
図3から分かるように、自車両50に設けられた運転者支援システム1は、本発明による車両物体検出システム10と、検出手段40と、警告手段30とを備える。
【0036】
検出手段40は、自車両50の後方に位置する検出エリアOLにおいて、他の車両(「対象車両」ともいう)のような対象物60を検出するように構成され、以下で説明する。
【0037】
この実施形態では、検出手段40は、検出エリアOLにおいて対象物を検出するように構成された、別個にまたは組み合わせて使用されるレーダセンサおよびカメラセンサを備える。これらのセンサは、例えば、従来の(後方)交差交通警報システムの一部であってもよく、図1に示すように、x方向およびy方向においてそれぞれ少なくとも自車両50に対する対象物60の相対位置、自車両に対する対象物60の相対速度を検出することができる。この場合、図1に示すx方向は、車両の長手方向に対応し、図1に示すy方向は、車両の横方向に対応する。
【0038】
警告手段30は、検出エリアOLに対象物60が存在することを自車両50の運転者に警告するように構成される。例えば、警告手段は、対象物60が検出エリアOLに存在することを自車両50の運転者に通知することができる従来の視覚的または音響的インジケータ(ディスプレイまたはスピーカ)であってもよい。
【0039】
本発明による車両物体検出システム10は、コンピュータまたはプロセッサによって形成することができ、特に、自車両50の後方に位置する検出エリアOLにおいて他の車両のような対象物60を検出するためのものであり、図1からより詳細に分かるように、自車両50の検出エリアOLは、自車両50の後方の自車線の領域に対応し、検出エリアOLの側方に/隣接して位置する隣接エリアALは、自車両50の自車線に隣接する隣接車線に対応する。
【0040】
車両物体検出システム10は、検出エリアOLに進入することが検出された対象物60が警報対象であるか、それとも警報対象でないか、すなわち警報対象がないかに関して判定し、または判定を生成し、警告手段30に判定を出力するように構成される判定手段20を備える。例えば、判定手段20は、この場合、判定プロセッサであるプロセッサによって形成されてもよい。
【0041】
満たされるべき特定の条件があり、それらは、判定手段20が、検出エリアOL内に存在する対象物60が警報対象でない、すなわち警報対象がないことを示す判定を生成することを必要とする。
【0042】
特に、まず、判定手段20は、対象物60が隣接エリアALから検出エリアOLに進入した時点から指定された期間が経過するまで(第1の条件)、対象物60が警報対象であるかどうかに関する判定の生成を遅延させるように構成される。
【0043】
さらに、判定手段20は、好ましくは前記指定された期間の後に対象物60と自車両50との間の距離が増大した場合(第2の条件)にのみ、隣接エリアALから検出エリアOLに入った対象物60が警報対象でないことを示す判定を生成するように構成され、図1に示すようなこの実施形態では、対象物60と自車両50との間の距離は、X方向、すなわち自車両50の長手方向に測定される。しかしながら、判定手段20が、前記指定された期間中および/または後に判定を生成することも可能である。
【0044】
より具体的には、判定手段20は、検出手段40によって検出された自車両50に対する対象物60の自車両の長手方向の検出された相対速度の成分に基づいて、対象物60と自車両50との間の距離の変化、すなわち距離の増大または減少を計算するように構成され、相対速度が0以下である場合に対象物60と自車両50との間の距離が増大したと判定するようにさらに構成され、0よりも小さい相対速度は、対象物60の絶対速度が自車両50の長手方向における自車両50の絶対速度よりも低い場合に対応する。
【0045】
さらに、判定手段20はまた、自車両50の横方向における対象物60の検出された相対速度の横方向成分を計算し、検出された相対速度の横方向成分の絶対値が指定された相対横方向速度以下である(第3の条件)かどうかを判定するように構成される。より詳細には、判定手段20は、検出手段40によって検出された、指定された期間後の対象物の、自車両(50)に対する相対的な横方向運動に基づいて、相対速度の横方向成分の絶対値を計算し、計算された相対横方向速度の絶対値を指定された相対横方向速度と比較するように構成される。計算された絶対値が指定された相対横方向速度よりも小さい場合、第3の条件が満足される。
【0046】
判定手段20は、これらの条件(第1~第3の条件)のすべてが満足される場合、検出エリアOL内に存在する対象物60が警報対象でないことを示す判定を生成する。一方、これらの条件のいずれかが満足されない場合、対象物60は警報対象であると判定され、すなわち、対象物60が警報対象であることを示す判定が生成される。
【0047】
したがって、本質的に、判定手段20は、相対速度の横方向成分の絶対値が指定された相対横方向速度以下であり、指定された期間の後に対象物60と自車両50との間の距離が増大した場合、対象物60が警報対象でないことを示す判定を生成するように構成される。他の場合、すなわち、これらの条件のうちの1つが満たされない場合、判定手段20は、対象物60が警報対象であることを示す判定を生成する。
【0048】
例えば、判定手段20は、対象物60が隣接エリアALから検出エリアOLに進入し、対象物60と自車両50との間の距離が前記指定された期間の後に一定のままであるかまたは減少する場合、対象物60が警報対象であることを示す判定を生成する。
【0049】
したがって、警告手段30は、判定手段が対象物60が警報対象であることを示す判定を生成した場合にのみ、検出エリアOLに対象物60が存在することを自車両50の運転者に警告する。他の場合、警告は出力されない。すなわち、警告手段30は、判定手段20が、対象物60が警報対象であることを示す判定を生成した場合、対象物60が検出エリアOLに存在するという警告を自車両50の運転者に出力し、前記指定された期間の後に、判定手段20が、対象物60が警報対象でないことを示す判定を生成した場合、検出手段40によって検出エリアOLに対象物60が検出されても警告の出力を抑制するように構成される。
【0050】
図2は、図1の本発明による運転者支援システム1によって実行される判定プロセスのフローチャートを示す。より詳細には、図2に示すような判定プロセスは、判定手段20によって実行される。
【0051】
図2に見られるように、ステップ10で、フラグ「flagA」の形態のデータ構造(警告手段30のアラーム/または警告プロセスをトリガするためのアラームフラグ)は、判定手段20の判定に応じて「真」または「偽」のいずれかに設定される。より詳細には、「flagA」は、上記の所定の条件がすべて満たされる場合にTRUEに設定される。上記の条件のうちの1つが満たされない場合、「flagA」はFALSEに設定される。次に、手順はステップS20に進み、「flagA」がTRUEに設定されているかどうかをチェックする。それがTRUEに設定されている場合、手順はステップS30に進み、そうでない場合、ステップS30はスキップされ、手順は終了する。
【0052】
ステップS30で、警告/アラームを抑制する要求が警告手段30に送られ、それによって、対象物60が警報対象でないことが示され、それによって、警告/アラームが警告手段30によって出力されない。換言すれば、判定手段20が前記指定された期間の後に対象物が警報対象でないことを示す判定を生成した場合、判定手段20は、対象物が検出されても警告を抑制することを警告手段30に示す判定を警告手段30に出力する。
【0053】
次に、図1に基づいて、車両物体検出システム10を備えた運転者支援システム1の動作の一例について説明する。
【0054】
図1a)に見られるように、自車両50は前進しており、対象物60、すなわち他の車両が検出エリアOLに進入する。
【0055】
これにより、検出手段40は、指定された期間中、検出エリアOLに対象物が進入した時点と、対象物60の相対速度の横方向成分と、自車両50と対象物60との距離とを検出する。
【0056】
そして、判定手段20は、対象物60が隣接エリアALから検出エリアOLに進入した時点から指定された期間が経過するまで、対象物60が警報対象であるかどうかに関する判定を生成することを遅延させ、そして、この場合、前記指定された期間後に、対象物の相対速度の横方向成分が指定された横方向速度を下回っていた間、対象物60と自車両50との間の距離が図1a)から図1b)に増大するにつれて、対象物60が警報対象でないことを示す判定を生成する。
【0057】
したがって、次のステップで、対象物60が自車両50の後方の検出エリアOLに存在する場合であっても、警告手段30が自車両50の運転者に警告を出力しないように、対象物が警報対象でないことを示す判定が警告手段30に出力される。
【0058】
前述の説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別におよび任意の組合せで本発明を実現するために不可欠であり得る。
図1
図2
図3