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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】操作装置および作業車両
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/06 20060101AFI20250210BHJP
   B60K 20/00 20060101ALI20250210BHJP
   B60K 20/02 20060101ALI20250210BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20250210BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
G05G1/06
B60K20/00 F
B60K20/02 A
B60K20/02 E
E02F9/20 K
E02F9/16 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023570968
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2022047672
(87)【国際公開番号】W WO2023127735
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2021214492
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】林 昌平
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-029192(JP,A)
【文献】特開2021-077059(JP,A)
【文献】特開2016-016739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/06
B60K 20/00
B60K 20/02
E02F 9/20
E02F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両の運転席部に設けられ、前記作業車両の車体に装着されるフロントローダを操作するための操作装置であって、
前記運転席部の座席の側方位置揺動可能に立設され、揺動操作により前記フロントローダを上下動させるためのるレバーシャフトと、
前記レバーシャフトの先端部に設けられる把持部と、
前記把持部に設けられ、前記作業車両に種々の動作を実行させるための複数の操作スイッチと、を備え、
前記把持部は、当該把持部の上部にて前記座席側に延びる略横長柱状の横延部を有し、
前記操作スイッチは、
前記横延部に設けられ、前記作業車両の前進および後退を切り替えるためのシャトル切替スイッチと、
前記横延部に設けられ、前記シャトル切替スイッチによる切替操作を牽制および牽制解除するためのシャトル牽制スイッチと、を含む、操作装置。
【請求項2】
前記シャトル切替スイッチは、前記把持部を把持した手の親指で操作可能な位置に設けられ、
前記シャトル牽制スイッチは、前記把持部を把持した手の親指以外の他の指で操作可能な位置に設けられる、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記横延部は、表面部から内側に向かって凹没する凹部が設けられ、
前記シャトル切替スイッチは、操作面部が前記横延部の表面外側に突出しないように前記凹部に設けられる、請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記操作スイッチは、前記フロントローダの作業具の操作機能を割り当て可能な作業具操作スイッチを含み、
前記シャトル切替スイッチは、前記作業具操作スイッチに隣接して配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記作業具操作スイッチは、前記フロントローダのバケットに代えて又は加えて装着さ
れる作業具の操作機能を割り当て可能なスイッチである、請求項4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記把持部は、前記レバーシャフトの先端部から上方に延びる略縦長柱状の基端部と、前記横延部と、を有し、
前記横延部は、前記基端部の上端から前記座席側に延設され、
前記シャトル切替スイッチおよび前記シャトル牽制スイッチは、前記横延部の外周面部に設けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記横延部の前記座席側の先端面部は、前記座席側に向くように、前記横延部を把持する手の先側となる前縁側からその反対側の後縁側に向かって傾斜しており、
前記先端面部に、前記シャトル切替スイッチおよび前記シャトル牽制スイッチ以外の前記操作スイッチの少なくとも一つが設けられる、請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記横延部は、前記レバーシャフトの先端側から前記座席側に延びるにつれて上方に向かうように傾斜している、請求項6または7に記載の操作装置。
【請求項9】
前記外周面部における前記横延部の延長方向の中間位置よりも先端寄りの位置に、前記横延部を把持した手の親指を掛合保持可能な隆起部が設けられる、請求項6~8のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項10】
前記操作スイッチは、前記作業車両の変速段を切り替えるための変速スイッチを含み、
前記変速スイッチは、前記横延部の前記座席側の先端面部に設けられる、請求項6~9のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項11】
前記操作スイッチは、前記フロントローダに設けられた照明灯の点灯および消灯を切り替えるためのローダライトスイッチを含み、
前記ローダライトスイッチは、前記横延部の前記座席側の先端面部に設けられる、請求項6~10のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項12】
走行可能な車体と、
運転席部と、
前記車体に装着されたフロントローダと、
前記運転席部に揺動可能に設けられ、前記車体を操作するための操作レバーである第1操作装置と、
前記運転席部に揺動可能に設けられ、且つ前記第1操作装置に隣接して設けられ、前記フロントローダを操作するための操作レバーである第2操作装置と、を備え、
前記第1操作装置および前記第2操作装置はそれぞれ、作業車両に種々の動作を実行させるための複数の操作スイッチを有し、
前記第1操作装置の前記操作スイッチは、作業車両の前進および後退を切り替えるための第1シャトル切替スイッチと、前記第1シャトル切替スイッチによる切替操作を牽制および牽制解除するための第1シャトル牽制スイッチと、を含み、
前記第2操作装置の前記操作スイッチは、作業車両の前進および後退を切り替えるための第2シャトル切替スイッチと、前記第2シャトル切替スイッチによる切替操作を牽制および牽制解除するための第2シャトル牽制スイッチと、を含む、作業車両。
【請求項13】
前記第1操作装置および前記第2操作装置は、前記車体に設けられた座席の一側方側であって且つ前記座席に座った運転者が把持部を前記一側方側の手で把持し操作可能な位置に配置され、
前記第1シャトル切替スイッチおよび前記第2シャトル切替スイッチは、前記把持部を把持した手の親指で操作可能な位置に設けられ、
前記第1シャトル牽制スイッチおよび前記第2シャトル牽制スイッチは、前記把持部を把持した手の親指以外の他の指で操作可能な位置に設けられる、請求項12に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車両に搭載される操作装置、およびそれを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された操作装置が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された作業車両(トラクタ)は、車両の走行速度を増減操作するための第1操作装置(多機能操作具)と、車体の前部に装着されたフロントローダなどのオプション機能を操作するための第2操作装置(多操作用操作具)とを備えている。第1操作装置および第2操作装置は、作業車両(トラクタ)の運転座席横のアームレスト部に設けられている。第1操作装置のグリップには、車両の前進および後退の切替を行うためのシャトル切替スイッチ(前後進ボタン)が設けられている。第2操作装置は、ジョイスティック型の操作装置であって、グリップ(ジョイスティック本体)の頂部には、押しボタン型の操作スイッチ(第1指先操作具)が設けられている。グリップの側部には、ダイヤル型の操作スイッチ(第1指先操作具)が設けられている。これらの操作スイッチは何れもオプションスイッチであり、例えば、フロントローダの前端部に装着されたバケットの昇降位置を記憶させる機能を割り当てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国公開特許公報「特開2016-41565号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の操作装置では、フロントローダを用いて作業する場合に、車両の前進および後進の切替と、フロントローダの操作とをそれぞれ別の操作装置(第1操作装置および第2操作装置)で操作する必要があるため、グリップを握り替える手間がかかった。また、グリップを適切な位置で握り損ない、誤った操作スイッチを操作する虞もあった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、フロントローダを使用して作業している場合であっても、容易且つ適切に作業車両の前進および後退を切替操作可能な操作装置および作業車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0008】
本発明の一態様に係る操作装置は、作業車両の運転席部に設けられ、前記作業車両の車体に装着されるフロントローダを操作するための操作装置であって、前記運転席部の座席の側方位置揺動可能に立設され、揺動操作により前記フロントローダを上下動させるためのレバーシャフトと、前記レバーシャフトの先端部に設けられる把持部と、前記把持部に設けられ、前記作業車両に種々の動作を実行させるための複数の操作スイッチと、を備え、前記把持部は、当該把持部の上部にて前記座席側に延びる略横長柱状の横延部を有し、前記操作スイッチは、前記横延部に設けられ、前記作業車両の前進および後退を切り替えるためのシャトル切替スイッチと、前記横延部に設けられ、前記シャトル切替スイッチによる切替操作を牽制および牽制解除するためのシャトル牽制スイッチと、を含む。
【0009】
前記シャトル切替スイッチは、前記把持部を把持した手の親指で操作可能な位置に設けられ、前記シャトル牽制スイッチは、前記把持部を把持した手の親指以外の他の指で操作可能な位置に設けられてもよい。
【0010】
前記横延部は、表面部から内側に向かって凹没する凹部が設けられ、前記シャトル切替スイッチは、操作面部が前記横延部の表面外側に突出しないように前記凹部に設けられてもよい。
【0011】
前記操作スイッチは、前記フロントローダの作業具の操作機能を割り当て可能な作業具操作スイッチを含み、前記シャトル切替スイッチは、前記作業具操作スイッチに隣接して配置されてもよい。
【0012】
前記作業具操作スイッチは、前記フロントローダのバケットに代えて又は加えて装着される作業具の操作機能を割り当て可能であってもよい。
【0013】
前記把持部は、前記レバーシャフトの先端部から上方に延びる略縦長柱状の基端部と、前記横延部と、を有し、前記横延部は、前記基端部の上端から前記座席側に延設され、前記シャトル切替スイッチおよび前記シャトル牽制スイッチは、前記横延部の外周面部に設けられてもよい。
【0014】
前記横延部の前記座席側の先端面部は、前記座席側に向くように、前記横延部を把持する手の先側となる前縁側からその反対側の後縁側に向かって傾斜しており、前記先端面部に、前記シャトル切替スイッチおよび前記シャトル牽制スイッチ以外の前記操作スイッチの少なくとも一つが設けられてもよい。
【0015】
前記横延部は、前記レバーシャフトの先端側から前記座席側に延びるにつれて上方に向かうように傾斜していてもよい。
【0016】
前記外周面部における前記横延部の延長方向の中間位置よりも先端寄りの位置に、前記横延部を把持した手の親指を掛合保持可能な隆起部が設けられてもよい。
【0017】
前記操作スイッチは、前記作業車両の変速段を切り替えるための変速スイッチを含み、前記変速スイッチは、前記横延部の前記座席側の先端面部に設けられてもよい。
【0018】
前記操作スイッチは、前記フロントローダに設けられた照明灯の点灯および消灯を切り替えるためのローダライトスイッチを含み、前記ローダライトスイッチは、前記横延部の前記座席側の先端面部に設けられてもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る作業車両は、走行可能な車体と、運転席部と、前記車体に装着されたフロントローダと、前記運転席部に揺動可能に設けられ、前記車体を操作するための操作レバーである第1操作装置と、前記運転席部に揺動可能に設けられ、且つ前記第1操作装置に隣接して設けられ、前記フロントローダを操作するための操作レバーである第2操作装置と、を備え、前記第1操作装置および前記第2操作装置はそれぞれ、作業車両に種々の動作を実行させるための複数の操作スイッチを有し、前記第1操作装置の前記操作スイッチは、作業車両の前進および後退を切り替えるための第1シャトル切替スイッチと
、前記第1シャトル切替スイッチによる切替操作を牽制および牽制解除するための第1シャトル牽制スイッチと、を含み、前記第2操作装置の前記操作スイッチは、作業車両の前進および後退を切り替えるための第2シャトル切替スイッチと、前記第2シャトル切替スイッチによる切替操作を牽制および牽制解除するための第2シャトル牽制スイッチと、を含む。
【0020】
前記第1操作装置および前記第2操作装置は、前記車体に設けられた座席の一側方側であって且つ前記座席に座った運転者が把持部を前記一側方側の手で把持し操作可能な位置に配置され、前記第1シャトル切替スイッチおよび前記第2シャトル切替スイッチは、前記把持部を把持した手の親指で操作可能な位置に設けられ、前記第1シャトル牽制スイッチおよび前記第2シャトル牽制スイッチは、前記把持部を把持した手の親指以外の他の指で操作可能な位置に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記操作装置および作業車両によれば、フロントローダを操作しながら作業車両の前進および後退の切替を行うことができるから、フロントローダ使用時の作業車両の操作性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】フロントローダを下げた状態の作業車両の側面図である。
図2】フロントローダを上げた状態の作業車両の側面図である。
図3】キャビンの上部周辺の前方斜視図である。
図4】キャビン内部の上方視図である。
図5】フロントローダ周辺の前方斜視図である。
図6】ブームの中間部周辺の側方斜視図である。
図7】第2照明灯周辺の側方斜視図である。
図8】第2照明灯の一部分解斜視図である。
図9】ローダ操作レバー周辺の後方斜視図である。
図10】ローダ操作レバー周辺の側面図である。
図11】ローダ操作レバー周辺の正面図である。
図12A】ローダ操作レバーの第1の操作スイッチ周辺の概略縦断面図である。
図12B】ローダ操作レバーの第2の操作スイッチ周辺の概略縦断面図である。
図13A】ローダ操作レバーの第3の操作スイッチ周辺の概略縦断面図である。
図13B】ローダ操作レバーの第4の操作スイッチ周辺の概略縦断面図である。
図14】制御装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
<作業車両>
図1および図2は、本発明の実施形態に係る作業車両1の側面図である。本実施形態の作業車両1は、トラクタである。尚、作業車両1は、トラクタに限定されず、他の種類の作業車両であってもよい。
【0025】
以下、作業車両1が前進後退する方向(図1および図2の左右方向)を前後方向、作業車両1が前進後退する方向と水平に直交する方向(図1および図2の手前側奥側方向)を左右方向、作業車両1が前進後退する方向と垂直に直交する方向(図1および図2の上下方向)を上下方向として説明する。また、作業車両1の左右方向を車体2の幅方向、車体2の幅方向であって当該幅方向の中心から離れる方向を車体2の外側方、車体2の幅方向であって当該幅方向の中心に近づく方向を車体2の内側方として説明する。
【0026】
作業車両1は、車体2と、走行装置3とを備えている。車体2の前部には、フロントローダ4が装着されている。車体2は、走行可能に構成されている。詳しくは、車体2の前部には、ボンネット5が設けられている。ボンネット5の内部にはエンジン等が収容されている。車体2の後部には、クラッチハウジング、ミッションケース、昇降装置等が設けられている。走行装置3は、車体2の前部に設けられた前輪3Fと、車体2の後部に設けられた後輪3Rとを有している。尚、後輪3Rは、後輪差動装置の出力軸に支持されている。後輪3Rは、タイヤであってもよいし、クローラであってもよい。
【0027】
ボンネット5の前部には、前照灯6が設けられている。車体2の上部には、運転者が搭乗するキャビン7が設けられている。即ち、車体2には、キャビン7が搭載されている。また、車体2には、走行系や作業系の制御を行う制御装置2Cが搭載されている。制御装置2Cは、演算部(CPU等)や記憶部(メモリ)等を備えており、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて作業車両1の種々の制御を実行する。より具体的には、制御装置2Cは、キャビン7内に設置された種々の操作装置(操作レバー、スイッチ、ダイヤル等)を操作したときの操作信号や、車体2の各所に設けられたセンサの検出信号等に基づいて作業車両1の走行系や作業系の制御を行う。例えば、制御装置2Cは、アクセルペダルセンサからの検出信号に基づくエンジンの回転数の制御や、操作装置からの操作信号に基づく変速装置の変速切替に関する制御、フロントローダ4の動作に関する制御等を実行する。
【0028】
図1図3に示すように、キャビン7の上部には、ワークライト21が設けられている。ワークライト21は、車体2に設けられ、車体2の前方を照明する照明灯(第1照明灯)である。ワークライト21は、キャビン7のルーフ7Tの左前部および右前部にそれぞれ設けられている。詳しくは、ワークライト21は、座席14を上方から覆うルーフ7Tの前部における左右位置にそれぞれ設けられており、点灯させることで、車体2前方の作業場をキャビン7に搭乗した運転者の視点よりも上方位置から照明する。図4に示すように、キャビン7の内部(運転席部)7Sには、座席14と、アームレスト15と、ステアリングホイール16と、多機能操作レバー17と、ローダ操作レバー18とが設けられている。
【0029】
座席14は、キャビン7内における左右間の略中央部に設けられており、運転者は、座席14に前向きの姿勢で着座する。アームレスト15は、座席14の一側方側に隣接して設けられている。本実施形態の場合、アームレスト15は、座席14の右側に設けられている。アームレスト15は、座席14の前後方向に延設されている。
【0030】
<フロントローダ>
図1図2、および図5に示すように、フロントローダ4は、取付フレーム8と、ブーム9と、バケット10と、ブームシリンダ11と、バケットシリンダ12とを備えている。また、フロントローダ4には、ローダライト(第2照明灯)22が設けられている。本実施形態の場合、ローダライト22は、ブーム9の下縁部9Uに設けられている。但し、ローダライト22は、ブーム9の下縁部9U以外の位置(例えば、ブーム9の側面部)に設けてもよい。尚、フロントローダ4は、ブーム9および作業具(バケット10)を有するものであれば、本実施形態に限定されない。また、作業具は、バケット10に限定されず、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノーブロア等、他の種類の作業具であってもよい。
【0031】
図5に示すように、取付フレーム8は、左フレーム8Lと、右フレーム8Rとを有している。左フレーム8Lおよび右フレーム8Rはそれぞれ、車体2の左側および右側に着脱可能に取り付けられる。フロントローダ4は、取付フレーム8を介して車体2に装着される。
【0032】
ブーム9は、車体2に上下揺動可能に設けられる。ブーム9は、車体2の左側に配置される左ブーム9Lと、車体2の右側に配置される右ブーム9Rとを有している。本実施形態の場合、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rは、長尺の略四角筒体であり、前後方向の略中央部が鈍角に折曲する側方視略V字状に形成されている。尚、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rは、略四角筒体には限定されず、他の形状であってもよい。左ブーム9Lの後端部は、左フレーム8Lに設けられた枢軸23回りに揺動可能に連結支持されている。右ブーム9Rの後端部は、右フレーム8Rに設けられた枢軸23回りに揺動可能に連結支持されている。左ブーム9Lおよび右ブーム9R相互は、前後方向の中央よりも前端寄りの位置で連結フレーム9Jにより連結されている。これにより、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rは、枢軸23を支点として一体的に揺動する。本実施形態の場合、ブーム9(左ブーム9L、右ブーム9R)は、バケット10を車体2の前下方に配した下位置から、バケット10を車体2より上方に配した上位置までの略90度の範囲内で上下に揺動可能に構成されている。
【0033】
バケット(作業具)10は、ブーム9の前部に装着される。バケット10は、主として車体2前方の作業場の土砂等を掬ったり、前方へ押したりするのに用いられるものであって、バケット10の後部に設けられた連結ブラケット13にて、ブーム9の前端部に設けられた枢軸24回りに揺動可能に連結支持されている。
【0034】
ブームシリンダ11は、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rの下面側にそれぞれ設けられ、取付フレーム8とブーム9とを連結している。ブームシリンダ11の一端部は、取付フレーム8に回動可能に枢支されている。ブームシリンダ11の他端部は、ブーム9の前後方向の中間部に回動可能に枢支されている。ブームシリンダ11は、油圧シリンダにより構成されており、伸長することによってブーム9を枢軸23回りに上方へ揺動させ、短縮することによってブーム9を枢軸23回りに下方へ揺動させる。本実施形態の場合、ブームシリンダ11に接続される油圧ホース25は、ブーム9の下縁部(ブーム下縁部)9Uに沿って配される。
【0035】
バケットシリンダ12は、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rの上面側にそれぞれ設けられ、バケット10とブーム9とを連結している。バケットシリンダ12の一端部は、バケット10後部の連結ブラケット13に回動可能に枢支されている。バケットシリンダ12の他端部は、ブーム9の前後方向の中間部に回動可能に枢支されている。バケットシリンダ12は、油圧シリンダにより構成されており、伸長することによってバケット10を枢軸24回りに下方へ揺動(ダンプ動作)させ、短縮することによってバケット10を枢軸24回りに上方へ揺動(スクイ動作)させる。
【0036】
<第2照明灯>
ローダライト22は、ブーム9に設けられ、バケット10の周囲を照明する照明灯(第2照明灯)である。図5図7に示すように、ローダライト22は、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rに夫々設けられている。詳しくは、ローダライト22は、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rの前後方向の略中央下縁部(ブーム下縁部9U)にそれぞれ設けられており、点灯させることで、バケット10の周囲をブーム9の下方位置から照明する。
【0037】
図7および図8に示すように、ローダライト22は、ライト本体30と、ライトブラケット(ブラケット)31と、スペーサ32と、ブラケット固定ボルト33およびブラケット固定ナット34と、ライト固定ボルト35およびライト固定ナット36とを備えている。
【0038】
ライト本体30は、発光部30Aと、コード接続端子30Bと、ブラケット連結部30Cとを有する。ブラケット連結部30Cには、左右間に亘って軸受孔30Dが貫設されている。ライト本体30は、前方視略矩形状に形成されている。発光部30Aは、ライト本体30の前面部に設けられている。コード接続端子30Bは、ライト本体30の後面部に設けられている。ブラケット連結部30Cは、ライト本体30の上部に設けられている。コード接続端子30Bには、ライト本体30に電気を供給する電源ケーブル26が接続されている。本実施形態の場合、電源ケーブル26は、コード接続端子30Bからブーム下縁部9Uに沿って配され、車体2に搭載された電源装置に繋がっている。
【0039】
ライトブラケット31は、ブーム9に連結され、ローダライト22を支持する。ライトブラケット31は、ブーム9との対向面部の外縁部に、ケーブル類がローダライト22に接触するのを阻止するためのフランジ31F,31Bが設けられる。フランジ31F,31Bは、上記外縁部の外側に向かって、後述する間隙S2を拡幅させる方向に傾斜して延在する。
【0040】
詳述すると、図8に示すように、ライトブラケット31は、上板31Tと、左側板31Lと、右側板31Rと、前板31Fと、後板31Bとを有している。上板31Tは、前後に長い略長方形板状に形成されており、ブーム下縁部9Uの下方対向位置に配設されている。左側板31Lは、後縁部が前縁部より短い側方視略台形板状に形成されており、上板31Tの左側縁部から略垂直下向きに延設されている。右側板31Rは、後縁部が前縁部より短い側方視略台形板状に形成されており、上板31Tの右側縁部から略垂直下向きに延設されている。このように、左側板31Lおよび右側板31Rは、上板31Tの左右の外縁部に沿って所定幅の間隙S1を存して略平行に延設されている。
【0041】
前板31Fは、略矩形板状に形成されており、上板31T(ブーム9との対向面部)の前縁部(外縁部)から前方斜め下向きに延設されている。後板31Bは、略矩形板状に形成されており、上板31T(ブーム9との対向面部)の後縁部(外縁部)から後方斜め下向きに延設されている。このように、前板31Fおよび後板31Bは、上板31Tの前後の外縁部にそれぞれ、ブーム下縁部9Uから徐々に離れるように、ブーム9の延長方向へ斜め下向きに延設されている。
【0042】
上板31Tには、略円形状の軸挿通孔37Aが設けられている。軸挿通孔37Aは、上板31Tにおける前後方向の中央よりも後寄りの位置に設けられている。ブラケット固定ボルト33は、当該軸挿通孔37Aにライトブラケット31の上方から挿通される。
【0043】
左側板31Lおよび右側板31Rには、略円形状の軸挿通孔37Bが設けられている。軸挿通孔37Bは、左側板31Lおよび右側板31Rにおける前後方向の中央よりも前寄りの位置にそれぞれ対向して設けられている。ライト固定ボルト35は、当該軸挿通孔37Bそれぞれにライトブラケット31の外側方から挿通される。
【0044】
左側板31Lには、略円形状のハーネス固定孔37Cが設けられている。ハーネス固定孔37Cは、左側板31Lにおける前後方向の中央よりも後寄りの位置に設けられている。本実施形態の場合、ハーネス固定孔37Cには、ケーブル固定用のハーネス(図示せず)が取り付けられ、電源ケーブル26は、当該ハーネスによってライトブラケット31に連結保持されている。尚、電源ケーブル26は、ハーネス固定孔37Cに挿通されることで、ライトブラケット31に保持されてもよい。
【0045】
左側板31Lおよび右側板31Rの前後方向の略中央部にはそれぞれ、後縁部が前縁部より短い側方視略台形板状の抜き孔37Dが設けられている。本実施形態の場合、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rの前後方向の略中央の側面部にもそれぞれ、後縁部が前縁部より短い側方視略台形板状の凹部38が設けられており(図6参照)、これら凹部38、抜き孔37D、左側板31Lおよび右側板31Rそれぞれを略相似形状とすることよって、ブーム9の中間部付近におけるデザイン上の統一化が図られている。また、ブラケット31を取り付ける際に、凹部38の形状と抜き孔37Dの形状、或いは、凹部38の形状と左側板31Lおよび右側板31Rの形状とを見て比較しながら取り付けることによって、ブラケット31の前後の向きを間違えずに正確に取り付けることもできる。
【0046】
左右の側板31L,31R相互の間隙S1の左右幅寸法(内寸)は、ライト本体30のブラケット連結部30Cの左右幅寸法と略同一に設定されている。ブラケット連結部30Cは、当該間隙S1に挿通され、側板31L,31Rによって左右から挟持される。
【0047】
スペーサ32は、上下に長い円筒体であり、ブラケット固定ボルト33のボルト軸33Sに環装されている。スペーサ32は、ブーム下縁部9Uとライトブラケット31の上板31Tとの間において、スペーサ32の中空部32Dの中心を通る軸線が上板31Tの軸挿通孔37Aと同軸線上となる位置に配置されている。
【0048】
ブラケット固定ボルト33は、略円形のボルトヘッド33Hと、ボルトヘッド33Hより小径のボルト軸33Sとを有している。ボルトヘッド33Hの下面部には、下方視略正方形状の係合突部33Pが設けられている。ボルト軸33Sは、外周に環装されるスペーサ32の上下の長さよりも長く形成されており、スペーサ32の下端よりも下方に突出している。係合突部33Pは、ボルト軸33Sの直径と略同幅に形成されている。ブラケット固定ボルト33は、ブーム下縁部9Uに設けられたボルト取付孔39に連結保持されている。詳述すると、ボルト取付孔39は、ボルトヘッド33Hよりも大径の円孔39Aと、円孔39Aの周縁部から前方に延長する長孔39Bとを有している。長孔39Bは、係合突部33Pと略同幅に形成されている。ブラケット固定ボルト33をボルト取付孔39に取り付けるときには、ボルトヘッド33Hを円孔39Aに下方から挿通させた後、長孔39Bに沿って前方へスライドさせる。これにより、ボルトヘッド33Hが長孔39Bの側縁部に上方から掛合されると共に、係合突部33Pが長孔39Bに嵌挿される。その結果、ブラケット固定ボルト33は、ブーム下縁部9Uに対して回り止め状態で連結保持される。
【0049】
スペーサ32は、上記のようにブーム下縁部9Uに連結されたブラケット固定ボルト33のボルト軸33Sに下方から環装される。ライトブラケット31は、スペーサ32の中空部32Dから下方に突出するボルト軸33Sに下方から螺合接続される。ブラケット固定ナット34は、ライトブラケット31の軸挿通孔37Aから下方に突出するボルト軸33Sに下方から螺合接続される。これにより、図7に示すように、ブーム9とライトブラケット31との対向面相互間に、ブーム9に沿って配されるケーブル類を挿通可能な間隙S2が画成される。詳しくは、ライトブラケット31は、上板31Tとブーム下縁部9Uとの対向面相互間に所定の間隙S2を存した状態で、ブーム下縁部9Uに固定され、ブーム下縁部9Uに沿って配される油圧ホース25や電源ケーブル26等のケーブル類は、当該間隙S2を通って車体2側に延長される。このように、スペーサ32によってライトブラケット31とブーム9の下縁部9Uとの間に一定の間隙S2を形成し、この間隙S2に油圧ホース25を通すことによって、油圧ホース25がライトブラケット31とブーム9の下縁部9Uとの間で圧迫されて作動油の流通が阻害されることを防止できる。
【0050】
ライト固定ボルト35は、ボルトヘッド35Hと、ボルト軸35Sとを有している。ボルト軸35Sは、ライトブラケット31の側板31L,31Rに設けられた軸挿通孔37Bに外側方から貫挿される。ライト本体30のブラケット連結部30Cは、ライトブラケット31の下方から側板31L,31R相互の間隙S2に、軸受孔30Dが側板31L,31Rの軸挿通孔37Bと同軸線上となる位置に挿入される。従って、ボルト軸35Sは、軸挿通孔37Bを通してブラケット連結部30Cの軸受孔30Dに挿通される。ライト固定ナット36は、一方の軸挿通孔37Bから外側方に突出するボルト軸35Sに側方から螺合接続される。これにより、ライト本体30は、ライトブラケット31に対してボルト軸35S回りに前後揺動可能に支持される。また、ブラケット固定ボルト33に対するライト固定ナット36の締付力を大きくすれば、ブラケット連結部30Cが左右の側板31L,31Rによって左右方向から強く挟持される。その結果、ライト本体30は、ライトブラケット31に対して所定の角度で固定される。このように、ライト本体30の角度を任意に変更することで、ローダライト22の照明方向をバケット10の前後方向に調整することができる。即ち、ローダライト22は、照明方向をバケット(作業具)10の前後に調整可能に設けられている。
【0051】
<操作装置>
ステアリングホイール16は、運転席部7Sに設けられ、作業車両1の走行方向を操作するための操舵装置である。図4に示すように、ステアリングホイール16は、座席14の前方に設けられたステアリングポスト19に回動可能に連設支持されており、ステアリングホイール16を左右に回動操作することで、前輪3Fの切れ角が調整される。
【0052】
多機能操作レバー17およびローダ操作レバー18は、作業車両1の車体2に設けられた座席14の一側方側(右側)であって、且つ座席14に座った運転者がグリップ41,43を一側方側(右側)の手で把持し操作可能な位置に配置されている。詳しくは、多機能操作レバー17は、アームレスト15の前端上部に設けられた台座27に前後揺動可能に連設されている。ローダ操作レバー18は、アームレスト15の前端右側に設けられた台座28に前後揺動可能に連設されている。これにより、運転者は、右腕をアームレスト15に乗せた姿勢で、多機能操作レバー17およびローダ操作レバー18を操作することができる。その結果、運転時の運転者の疲労度が軽減される。尚、本実施形態の場合、ステアリングポスト19、アームレスト15、多機能操作レバー17、或いはローダ操作レバー18の少なくとも何れか1箇所又は複数箇所に、ワークライト21の点灯および消灯を手動操作するためのワークライトスイッチ(図示せず)が設けられている。
【0053】
多機能操作レバー17は、作業車両1の運転席部7Sに設けられ、車体2を操作するための操作装置(第1操作装置)である。多機能操作レバー17は、運転者の把持部となるグリップ41と、グリップ41を支持するレバーシャフト(図示せず)と、複数の操作スイッチ42とを備えている。多機能操作レバー17のレバーシャフトは、台座27の内部に延設される。多機能操作レバー17のレバーシャフトは、台座27の内部で前後揺動可能に立設されている。車体2に搭載された変速装置は、当該レバーシャフトが前後に揺動操作されたときの操作信号に基づいて変速段の切替を行うように構成されている。
【0054】
多機能操作レバー17のグリップ41は、図示しないレバーシャフトの上延部に設けられる。図9図11に示すように、グリップ41は、左右の幅寸法が前後の幅寸法より大きい異形のブロック状に形成されており、図示しないレバーシャフトの先端部に設けられている。グリップ41の表面部(グリップ表面部)41Aは、座席14に着座した運転者側に向くように、右前部から左後部に向かって下方傾斜している。グリップ表面部41Aには、握り部41Rと、操作パネル部41Lとが設けられている。操作パネル部41Lは、略平面状に形成されており、グリップ表面部41Aにおける左右間の略中央を挟んで左側(座席14側)に設けられている。握り部41Rは、略円弧凸曲面状に隆起形成されており、グリップ表面部41Aにおける左右間の略中央を挟んで右側(座席14側と反対側)に設けられている。握り部41Rの前部から右側部に至る縁部(握り部前縁部)41Bは、上方視略円弧状に形成されている。握り部41Rにおける操作パネル部41L側の側面部(握り部側面部)41Cは、操作パネル部41Lの右側辺に沿って起立形成されている。本実施の形態の場合、掌を握り部41Rに置き、親指を握り部側面部41Cに沿わせ、親指以外の四指を握り部前縁部41Bに引掛けるようにしてグリップ41を右前方から斜め横に握った状態が、多機能操作レバー17を操作するときの基本の握り方となる。
【0055】
操作スイッチ42は、グリップ41に設けられ、車体2に種々の動作を実行させるための操作スイッチである。グリップ41の操作パネル部41Lには、複数の操作スイッチ42が設けられている。グリップ41の握り部側面部41Cおよびグリップ41の裏面部(グリップ裏面部)41Dにもそれぞれ操作スイッチ42が設けられている。
【0056】
操作パネル部41Lに設けられた操作スイッチ42は、作業車両1の前進および後進の切替を手動操作するためのシャトル切替スイッチ(第1シャトル切替スイッチ)42aと、車体2後部の昇降装置(図示せず)に装着された作業具の昇降を手動操作するためのポンパスイッチ42bと、自動変速のオート変速モードおよびマニュアル変速モードの切替を手動操作するための自動変速切替スイッチ42cとを含む。なお、オート変速モードでは、運転者が予め設定した車速段の範囲内で電子制御により最適な車速段が自動で選択される。マニュアル変速モードでは、運転者が手動で車速段を切り換えることができる。
【0057】
握り部側面部41Cに設けられた操作スイッチ42は、変速装置の変速ユニットの切替を手動操作するための変速補助スイッチ42dである。本実施形態の場合、変速装置は、油圧の適正制御によって変速段切替時の衝撃を抑制する主変速ユニットと、通常のシンクロメッシュタイプの副変速ユニットとを有しており、変速補助スイッチ42dを押しながら、多機能操作レバー17を前後に揺動操作させることで、副変速ユニットの切替を伴う変速操作を行うことができる。一方、変速補助スイッチ42dを押さずに多機能操作レバー17を前後に揺動操作させれば、副変速ユニットの切替を伴わない主変速ユニットのみの変速操作を行うことができる。
【0058】
グリップ裏面部41Dに設けられた操作スイッチ42は、シャトル切替スイッチ42aによる切替操作の牽制および牽制解除を手動操作するためのシャトル牽制スイッチ(第1シャトル牽制スイッチ)42eである。本実施形態の場合、シャトル牽制スイッチ42eを押しながら、シャトル切替スイッチ42aを押すことで、作業車両1の前後進の切替が行われる。従って、シャトル牽制スイッチ42eを押さずにシャトル切替スイッチ42aを押しても、作業車両1の前後進の切替は行われない。
【0059】
シャトル切替スイッチ42a、ポンパスイッチ42b、自動変速切替スイッチ42c、および変速補助スイッチ42dは、グリップ41の表面部(グリップ表面部)41Aに設けられている。シャトル牽制スイッチ42eは、グリップ41の裏面部(グリップ裏面部)41Dに設けられている。
【0060】
シャトル切替スイッチ42aは、シーソースイッチであり、操作パネル部41Lの上半面における左右間の中央より右側(握り部41R側)位置に、前後に揺動操作可能に設けられている。ポンパスイッチ42bは、シーソースイッチであり、操作パネル部41Lの上半面における左右間の略中央部に、前後に揺動操作可能に設けられている。自動変速切替スイッチ42cは、プッシュスイッチであり、操作パネル部41Lの上半面における左右間の中央より左側(握り部41Rと反対側)位置に設けられている。操作パネル部41Lの上半面は、基本の握り方でグリップ41を握ったときに、親指の指先が十分に届く位置にある。即ち、シャトル切替スイッチ42a、ポンパスイッチ42b、および自動変速切替スイッチ42cは、グリップ41(握り部41R)を把持した手の親指で操作可能な位置に設けられている。従って、シャトル切替スイッチ42a、ポンパスイッチ42b、および自動変速切替スイッチ42cは何れも、グリップ41を握ったまま親指で適切に操作することができる。
【0061】
変速補助スイッチ42dは、プッシュスイッチであり、握り部側面部41Cにおける前後間の略中央部に設けられている。本実施形態の場合、握り部側面部41Cの前後間の中央部は、基本の握り方でグリップ41を握ったときに、親指の指先で最も触れやすい部分である。即ち、変速補助スイッチ42dは、グリップ41(握り部41R)を把持した手の親指で操作可能な位置に設けられている。従って、変速補助スイッチ42dは、グリップ41を握ったまま親指で適切に操作することができる。
【0062】
シャトル牽制スイッチ42eは、プッシュスイッチであり、グリップ裏面部41Dにおける握り部前縁部41Bの前端寄りの位置に設けられている。即ち、シャトル牽制スイッチ42eは、グリップ41(握り部41R)を把持した手の親指以外の他の指(人差し指又は中指)の指先で操作可能な位置に設けられている。従って、シャトル牽制スイッチ42eは、グリップ41を握ったまま人差し指又は中指で適切に操作することができる。
【0063】
ローダ操作レバー18は、作業車両1の運転席部7Sに設けられ、作業車両1の車体2に装着されるフロントローダ4を操作するための操作装置(第2操作装置)である。即ち、ローダ操作レバー18は、ブーム9を手動操作するためのブーム操作部である。ローダ操作レバー18は、運転者の把持部となるグリップ43と、グリップ43を支持するレバーシャフト44と、複数の操作スイッチ45とを備えている。ローダ操作レバー18のレバーシャフト44は、運転席部7Sに延設される。レバーシャフト44は、台座28の内部にて前後揺動可能に支持されている。本実施形態の場合、レバーシャフト44は、台座28の内部から上方に延長し、途中で座席14側へ略水平に延長し、さらに上方に延長形成される略S字状の筒体である。レバーシャフト44の上延部(先端部)44Aは、ローダ操作レバー18のグリップ43に貫挿固定されている。レバーシャフト44の下延部44Bは、台座28内部のリンク機構部に連結支持されている。フロントローダ4のブーム9は、レバーシャフト44が前後に揺動操作されたときの操作信号に基づいて上下動するように構成されている。
【0064】
図10および図11に示すように、ローダ操作レバー18のグリップ43は、多機能操作レバー17のグリップ41よりも上方位置に設けられている。また、図4に示すように、ローダ操作レバー18のグリップ43は、多機能操作レバー17のグリップ41よりも後方位置に設けられている。即ち、ローダ操作レバー18のグリップ43および多機能操作レバー17のグリップ41は、前後方向に並んで配置されている。
【0065】
ローダ操作レバー18のグリップ43は、レバーシャフト44の上延部44Aに設けられる。図9図11に示すように、グリップ43は、運転席部7Sの左上方に延びる略逆L字状に形成されている。詳しくは、グリップ43は、レバーシャフト44の上延部44Aから上方に延びる略縦長柱状の基端部(グリップ基端部)43Vと、グリップ基端部43Vの上端から運転席部7Sの座席14側に延びる略横長柱状の横延部(グリップ横延部)43Wとを有している。本実施の形態の場合、掌でグリップ横延部43Wの外周面部(グリップ外周面)43Aの上側略半面を覆い、親指およびその他の四指をグリップ外周面43Aの下側略半面に沿わせるようにしてグリップ横延部43Wを上方から横に握った状態が、ローダ操作レバー18を操作するときの基本の握り方となる。図11に示すように、グリップ横延部43Wは、レバーシャフト44の上延部44Aの中心を通る軸線CLに対して所定の角度左側(座席14側)へ水平方向よりも上向きとなる角度に傾倒している。即ち、ローダ操作レバー18のグリップ横延部43Wは、レバーシャフト44の上延部(先端部)44Aの上方位置(グリップ基端部43Vの上端)から運転席部7Sの座席14側へ延びるにつれて上方に向かうように傾斜している。これにより、運転者は、手首を横向きやや外側(右側)へ捻った自然な姿勢でグリップ43を握ることができる。
【0066】
図9および図11に示すように、グリップ外周面43Aは、その上側略半面(グリップ上面)43Sの右端部が中心側へ縮まるように略円弧凹曲面状に形成され、且つ中央部が外周側へ膨らむように略円弧凸曲面状に形成されている。即ち、グリップ外周面43Aは、掌の載置面となるグリップ上面43Sが、右端部から左方に向かうにつれて緩やかに凹没し、中央部で緩やかな隆起面に転じて膨出し、さらに左方に向かうにつれて再び緩やかに凹没し、左端部に至る流線形状に形成されている。これにより、グリップ43を握ったとき、手の小指球付近がグリップ上面43Sの右側の凹曲面部に沿って当接し、且つグリップ上面43Sの右端部に左方から掛合されると共に、人差し指の基底部付近がグリップ上面43Sの左側の凹曲面部に沿って当接し、且つグリップ上面43Sの左端部に右方から掛合される。その結果、手が左右(グリップ横延部43Wの延在方向)に滑りにくく、ローダ操作レバー18の確実な操作が可能となる。また、操作時にグリップ43を強く握る必要がないため、手の疲れも軽減される。
【0067】
グリップ外周面43Aには、滑り止め部43Dが設けられている。本実施形態の場合、滑り止め部43Dは、グリップ43を握ったときに、掌が接触するグリップ外周面43Aの上側略半面(グリップ上面)43Sの略全面に亘って設けられており、指先が接触するグリップ外周面43Aの下側略半面には設けられていない。滑り止め部43Dは、ゴム等の滑り止め機能を有する素材により形成されており、グリップ横延部43Wを握った掌との間で、滑り止め部43Dが設けられていないグリップ外周面43Aの下側略半面よりも大きな摩擦力を発生させる。これにより、グリップ43を握った手がその延在方向や周方向に滑りにくく、ローダ操作レバー18のより確実な操作が可能となる。また、グリップ43に設けられた操作スイッチ45を操作する際に、指の動きが滑り止め部43Dによって阻害されることもない。
【0068】
滑り止め部43Dの表面には、複数の凹凸が形成されている。本実施形態の場合、上記凹凸は、周方向斜めに所定の間隔を存して複数延設される交差溝状に形成されている。これにより、グリップ43を握った手がその延在方向や周方向に滑るのを一層抑制できる。滑り止め部43Dは、滑り止め機能を有する素材によって形成された部材を、グリップ外周面43Aに貼り付けたり埋め込んだりすることによって構成される。尚、グリップ43を握った手の滑りを十分に抑制できれば、滑り止め部43Dは、グリップ外周面43Aと同一の素材により形成されたものであってもよいし、表面に凹凸が設けられていないものであってもよい。また、グリップ外周面43Aと別体ではなく、グリップ外周面43Aに一体形成されたものであってもよい。また、上記凹凸は、交差溝状に限らず、波形状、平行な複数のリブ状、ディンプル群、小突起群、不規則な起伏、それらの組み合わせなど、他の形状であってもよい。
【0069】
図9図11に示すように、グリップ外周面43Aには、隆起部43Eが設けられている。詳しくは、グリップ横延部43Wの外周面部(グリップ外周面)43Aにおけるグリップ横延部43Wの延長方向の中間位置よりも先端(グリップ先端面)43T寄りの位置に、グリップ43を把持した手の親指を掛合保持可能な隆起部43Eが設けられている。隆起部43Eは、縦断面山形状に形成され、グリップ外周面43Aに沿って周方向に延設されている。隆起部43Eは、グリップ先端面43Tの外周縁部(グリップ先端縁部)43Cの右側に隣接して設けられている。本実施形態の場合、隆起部43Eは、グリップ外周面43Aの略全周に亘って延設されている。従って、グリップ横延部43Wを握ったとき、その手の親指や人差し指が隆起部43Eに接触しやすい。これにより、運転者は、グリップ43を目視しなくても、親指や人差し指の触覚のみでグリップ外周面43Aに設けられた操作スイッチ45の位置を容易に把握することができる。また、グリップ43を握っている間、親指の付け根付近(母指球)から指先に亘る範囲を隆起部43Eの上部に引掛けておくことができる。その結果、手の疲れがより軽減される。
【0070】
グリップ外周面43Aの左下部における隆起部43Eとグリップ先端縁部43Cとの間の面(指載せ面)43Fは、略円弧凹曲面状に形成されている。従って、隆起部43Eに引掛けた親指の指先は、指載せ面43Fにて支持される。これにより、運転者は、隆起部43Eに親指を長時間引掛けていても、手が疲れにくい。
【0071】
グリップ横延部43Wの先端面部(グリップ先端面)43Tは、グリップ横延部43Wを把持する手の先側となる前縁側からその反対側の後縁側に向かって傾斜している。詳しくは、グリップ先端面43Tは、座席14に着座した運転者側に向くように、左前方から右後方に向かって傾斜している。これにより、運転者は、グリップ先端面43Tに設けられた操作スイッチ45を親指の指先で容易に操作することができる。
【0072】
操作スイッチ45は、グリップ43に設けられ、作業車両1(車体2およびフロントローダ4)に種々の動作を実行させるための操作スイッチである。グリップ先端面43T、グリップ外周面43A、およびグリップ基端部43Vにはそれぞれ、複数の操作スイッチ45が設けられている。
【0073】
グリップ先端面43Tに設けられた操作スイッチ45は、フロントローダ4の作業具(バケット10等)の操作機能を割り当て可能な作業具操作スイッチとしての第3ファンクションスイッチ45bと、変速装置の変速段の切替を手動操作するための変速スイッチ45dと、ローダライト(第2照明灯)22の点灯および消灯を手動操作するためのローダライトスイッチ(第2照明スイッチ)45fとを含む。第3ファンクションスイッチ45bは、フロントローダ4のバケット10に代えて又は加えて装着される作業具の操作機能を割り当て可能なスイッチである。
【0074】
グリップ外周面43Aに設けられた操作スイッチ45は、作業車両1の前進および後進の切替を手動操作するためのシャトル切替スイッチ(第2シャトル切替スイッチ)45aと、フロントローダ4の作業具(バケット10等)の操作機能を割り当て可能な作業具操作スイッチとしての第4ファンクションスイッチ45cと、シャトル切替スイッチ45aによる切替操作の牽制および牽制解除を手動操作するためのシャトル牽制スイッチ(第2シャトル牽制スイッチ)45eとを含む。第4ファンクションスイッチ45cは、フロントローダ4のバケット10に代えて又は加えて装着される作業具の操作機能を割り当て可能なスイッチである。
【0075】
グリップ基端部43Vに設けられた操作スイッチ45は、フロントローダ4の所定の機能を割り当て可能な第1オプションスイッチ45gおよび第2オプションスイッチ45hを含む。
【0076】
操作スイッチ45のうち、第3ファンクションスイッチ45b、変速スイッチ45d、およびローダライトスイッチ45fは、グリップ43の先端面部(グリップ先端面)43Tに設けられている。尚、ローダライトスイッチ45fは、グリップ基端部43Vに設けてもよい。また、ローダライト(第2照明灯)22の点灯および消灯を手動操作するための操作機能は、ローダライトスイッチ45fではなく、第1オプションスイッチ45g又は第2オプションスイッチ45hに割り当ててもよい。
【0077】
第3ファンクションスイッチ45bは、プッシュスイッチであり、グリップ先端面43Tの左前寄りの位置に、上下に一対並んで設けられている。変速スイッチ45dは、プッシュスイッチであり、グリップ先端面43Tの左右間の略中央位置に、上下に一対並んで設けられている。ローダライトスイッチ45fは、プッシュスイッチであり、グリップ先端面43Tの右後寄りの位置に設けられている。
【0078】
本実施形態の場合、グリップ先端面43Tは、基本の握り方でグリップ横延部43Wを握ったときに、親指の指先が十分に届く位置にある。即ち、第3ファンクションスイッチ45b、変速スイッチ45d、およびローダライトスイッチ45fは、グリップ横延部43Wを握った手の親指で操作可能な位置に設けられている。従って、第3ファンクションスイッチ45b、変速スイッチ45d、およびローダライトスイッチ45fは何れも、グリップ43を握ったまま親指で適切に操作することができる。尚、グリップ先端面43Tに配置された第3ファンクションスイッチ45bは、フロントローダ4を用いて作業するときに、他の操作スイッチ45に比べて使用頻度が高いスイッチである。
【0079】
操作スイッチ45のうち、シャトル切替スイッチ45a、第4ファンクションスイッチ45c、およびシャトル牽制スイッチ45eは、グリップ43の外周面部(グリップ外周面)43Aに設けられている。
【0080】
シャトル切替スイッチ45aは、プッシュスイッチであり、グリップ外周面43Aの下部左端(先端)寄りの位置に設けられている。本実施形態の場合、シャトル切替スイッチ45aは、グリップ外周面43Aの指載せ面43Fに設けられている。また、シャトル切替スイッチ45aは、第3ファンクションスイッチ(作業具操作スイッチ)45bの下方に隣接して配置されている。第4ファンクションスイッチ45cおよびシャトル牽制スイッチ45eは何れも、プッシュスイッチであり、グリップ外周面43Aの前部左端(先端)寄りの位置に、左右横並びで配置されている。シャトル牽制スイッチ45eは、第4ファンクションスイッチ45cの左側(先端側)に設けられている。尚、本実施形態の場合、指載せ面43Fには、シャトル切替スイッチ45aのみ設けられているが、必要に応じて上記何れかの操作スイッチ45、或いは他の機能を有する操作スイッチ45を設けてもよい。
【0081】
本実施形態の場合、グリップ外周面43Aの左下部(指載せ面43F)は、基本の握り方でグリップ横延部43Wを握ったときに、親指の指先で最も触れやすい部分である。即ち、シャトル切替スイッチ45aは、グリップ横延部43Wを握った手の親指で操作可能な位置に設けられている。従って、シャトル切替スイッチ45aは、グリップ43を握ったまま親指で速やか且つ適切に操作することができる。また、グリップ外周面43Aの左前部(滑り止め部43Dの前縁部の左前方位置)は、基本の握り方でグリップ横延部43Wを握ったときに、人差し指や中指の指先で最も触れやすい部分である。即ち、第4ファンクションスイッチ45c、およびシャトル牽制スイッチ45eは、グリップ横延部43Wを握った手の親指以外の他の指(人差し指又は中指)の指先で操作可能な位置に設けられている。従って、第4ファンクションスイッチ45c、およびシャトル牽制スイッチ45eは、グリップ43を握ったまま人差し指又は中指で速やか且つ適切に操作することができる。また、シャトル牽制スイッチ45eの操作面部48の中央部には、略半球状の突起が形成されている。これにより、運転者は、グリップ43を目視しなくても、人差し指や中指の触覚のみでシャトル牽制スイッチ45eの位置を容易に把握することができる。尚、グリップ外周面43Aに配置されたシャトル切替スイッチ45aおよび第4ファンクションスイッチ45cは、フロントローダ4を用いて作業するときに、他の操作スイッチ45に比べて使用頻度が高いスイッチである。
【0082】
操作スイッチ45のうち、第1オプションスイッチ45g、および第2オプションスイッチ45hは、グリップ基端部43Vに設けられている。
【0083】
第1オプションスイッチ45gおよび第2オプションスイッチ45hは何れも、プッシュスイッチであり、グリップ基端部43Vの後面に、上下縦並びで配置されている。本実施形態の場合、グリップ基端部43Vの後面は、基本の握り方でグリップ横延部43Wを握った状態から親指を下げることで、親指の指先が十分に届く位置にある。即ち、第1オプションスイッチ45g、および第2オプションスイッチ45hは、グリップ横延部43Wに載せた手の親指で操作可能な位置に設けられている。従って、第1オプションスイッチ45g、および第2オプションスイッチ45hは何れも、グリップ43を握ったまま親指で適切に操作することができる。
【0084】
ローダ操作レバー18のシャトル切替スイッチ45aは、多機能操作レバー17に設けられたシャトル切替スイッチ42aと共通の機能を有し、ローダ操作レバー18のシャトル牽制スイッチ45eは、多機能操作レバー17に設けられたシャトル牽制スイッチ42eと共通の機能を有している。従って、ローダ操作レバー18を握った状態で、シャトル牽制スイッチ45eを人差し指で押しながら、シャトル切替スイッチ45aを親指で押すことで、作業車両1の前後進の切替を行うことができる。
【0085】
図12A図13Bに示すように、ローダ操作レバー18のグリップ43は、表面部から内側に向かって凹没する凹部47が設けられている。詳しくは、グリップ先端面43T、グリップ外周面43A、およびグリップ基端部43Vにおける各操作スイッチ45の取付部には、凹部47が設けられている。図12Aおよび図12Bに示すように、操作スイッチ45のうち、第3ファンクションスイッチ45b、第1オプションスイッチ45g、および第2オプションスイッチ45hの各取付部に設けられた凹部47aは、断面略E字状に形成されている。第3ファンクションスイッチ45bは、操作面部48がグリップ先端面43Tより外側に突出した状態で凹部47aに設けられている。また、第1オプションスイッチ45g、および第2オプションスイッチ45hは、操作面部48がグリップ基端部43Vの表面外側に突出した状態で凹部47aに設けられている。
【0086】
一方、図13Aおよび図13Bに示すように、操作スイッチ45のうち、変速スイッチ45d、シャトル切替スイッチ45a、第4ファンクションスイッチ45c、シャトル牽制スイッチ45e、およびローダライトスイッチ45fの各取付部に設けられた凹部47bは、略擂鉢状に形成されている。変速スイッチ45dは、操作面部48がグリップ先端面43Tの外側に突出しないように凹部47bに設けられている。また、シャトル切替スイッチ45a、第4ファンクションスイッチ45c、シャトル牽制スイッチ45e、ローダライトスイッチ45fも同様に、操作面部48がグリップ43の表面外側に突出しないように凹部47bに設けられている。従って、グリップ43を握ったときに、指が当該操作スイッチ45に不用意に接触しない。これにより、車体2やフロントローダ4の誤操作を防止できる。また、ローダ操作レバー18を操作する際の操作感が操作スイッチ45によって損なわれるのも防止できる。
【0087】
<制御装置>
図14に示すように、制御装置2Cには、作業車両1の各所に設けられ、種々の状態を検出する複数の検出装置50や、操作装置のスイッチ類が接続されている。検出装置50は、例えば、エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサ50a、作業車両1の走行速度を検出する車速センサ50b、アクセルの操作量を検出するアクセルペダルセンサ50c、ステアリングホイール16の操舵角を検出する操舵角センサ50d、ブームシリンダ11の伸長量を検出するブーム位置センサ50e等である。ブーム位置センサ50eは、ブーム9の位置を検出するブーム位置検出部として機能する。操作装置のスイッチ類は、例えば、多機能操作レバー17の操作スイッチ42、ローダ操作レバー18の操作スイッチ45等である。但し、上記検出装置50および操作スイッチ42,45は一例であり、上述したセンサやスイッチに限定されない。
【0088】
また、制御装置2Cは、上記検出装置50や操作スイッチ42,45からの信号に基づいて作業車両1やフロントローダ4の動作を制御する動作制御部51と、作業車両1やフロントローダ4の動作に関する種々のプログラムやデータテーブルを記憶する記憶部52とを備えている。本実施形態の場合、動作制御部51は、ワークライト(第1照明灯)21およびローダライト(第2照明灯)22の照明動作を制御する照明制御部51aを含む。
【0089】
照明制御部51aは、ローダライト(第2照明灯)22が点灯状態のときに、ワークライト(第1照明灯)21を自動で消灯又は減灯させる点灯制限を実行可能とする。照明制御部51aは、ワークライト21の点灯状態を示す信号、ローダライト22の点灯状態を示す信号、ブーム位置センサ50eから出力される位置検出信号、ローダライトスイッチ45fの操作に応じて出力される操作信号等に基づいて、ワークライト21およびローダライト22を点灯させたり消灯させたりする制御を行う。即ち、照明制御部51aは、ローダライトスイッチ45fの操作やブームシリンダ11の伸長量(ブーム9の高さ位置)に基づいて、ワークライト21およびローダライト22の点灯状態を制御する。
【0090】
本実施形態では、照明制御部51aは、ブーム位置センサ(ブーム位置検出部)50eによる位置検出情報に応じて、上記点灯制限の実行と解除を切り替える。詳述すると、照明制御部51aは、ブーム位置センサ50eから出力される位置検出信号と記憶部52に記憶されたデータテーブルとに基づいて、ブームシリンダ11の実伸長量を算出し、当該実伸長量に基づいてブーム9の高さ位置を判定する。また、照明制御部51aは、ワークライトスイッチ(図示せず)のオン操作が検出されると、ワークライト21を点灯させ、ローダライトスイッチ45fのオン操作が検出されると、ローダライト22を点灯させる。
【0091】
さらに、照明制御部51aは、ブーム9が所定位置以上に上げられている場合に、上記点灯制限を実行する。詳しくは、照明制御部51aは、ワークライトスイッチ(図示せず)のオン操作が検出されたとき、或いはワークライト21が点灯された後、ブーム9が所定位置以上に上げられており、上記実伸長量が所定の閾値以上である場合は、ワークライト21を消灯状態で維持する(点灯している場合は、消灯させる)点灯制限を実行する。
【0092】
一方、照明制御部51aは、ブーム9が所定位置より下げられている場合に、上記点灯制限を解除する。詳しくは、照明制御部51aは、ブーム9が所定位置よりも下げられており、上記実伸長量が所定の閾値未満である場合は、ワークライト21を点灯させる(点灯している場合は、点灯状態で維持する)。即ち、上記点灯制限を解除する。
【0093】
上記所定位置は、ブーム9の少なくとも一部の高さがローダライト(第1照明灯)21の高さと同じとなる位置に設定することができる。本実施形態の場合、上記点灯制限および制限解除の切替が行われるときの基準となるブーム9の位置は、ブーム9の前後方向の略中央上部(折曲部上縁)9Tに設定され、上記切替が行われる高さ位置(閾値)は、上記折曲部上縁9Tがワークライト21と同じ高さ(ワークライト21の水平前方)となる位置に設定されている。
【0094】
従って、図2に示すように、ブーム9の折曲部上縁9Tがワークライト21の高さ位置以上に上がっている場合は、ワークライト21の点灯制限が実行され、ローダライト22のみが点灯状態となる。これにより、ブーム9の前方、即ち、バケット10の周囲がローダライト22によって照明される。一方、図1に示すように、ブーム9の折曲部上縁9Tがワークライト21の高さ位置よりも下がっている場合は、ワークライト21の点灯制限が解除され、ワークライト21およびローダライト22が共に点灯状態となる。これにより、車体2前方の作業場やバケット10の周囲がワークライト21およびローダライト22によって照明される。
【0095】
<他の実施形態>
上記実施形態では、ローダライト22が点灯している状態のときに、ブーム9が所定位置以上に上げられていれば、ワークライト21を消灯させるように構成されているが、ワークライト21を完全に消灯させるのではなく、ブーム9や連結フレーム9Jに反射した光でバケット10周囲の視認性が損なわれない程度にワークライト21の照度を下げる(減灯させる)ようにしてもよい。つまり、本発明においては、照明制御部51aは、ローダライト22が点灯状態のときに、ワークライト21を自動で減灯させる点灯制限を実行可能としている。
【0096】
また、上記実施形態では、ブーム9の折曲部上縁9Tがワークライト21の高さ以上に上がっているか否かによって、ワークライト21の点灯制限および制限解除の切替を行うように構成されているが、上記切替の基準となるブーム9の位置は、折曲部上縁9Tに限定されず、例えば、ブーム9の前縁部に設定されてもよいし、ブーム下縁部9Uにおけるローダライト22の取付位置に設定されてもよい。また、上記切替が行われる高さ位置は、ワークライト21の高さに限定されず、ワークライト21の高さより下方位置(例えば、ボンネット5の上面高さ位置)に設定されてもよいし、ワークライト21の高さより上方位置(例えば、ブーム9の可動域の最上位)に設定されてもよい。或いはステアリングポスト19、アームレスト15、多機能操作レバー17、ローダ操作レバー18等に、操作スイッチや操作ダイヤル等からなる設定操作部が設けられ、当該設定操作部を操作することで、上記切替が行われる高さ位置(閾値)を手動で任意に設定変更できるように構成されたものとしてもよい。このような構成とすることで、ワークライト21の点灯制限および制限解除の切替が実行されるタイミングをワークライト21の照明方向や配置、フロントローダ4の形状等に合わせて運転者が任意に調整することが可能となる。
【0097】
また、上記実施形態では、ブーム9の高さ位置に応じてワークライト21の点灯制限および制限解除が実行されるように構成されているが、照明制御部51aは、ローダライト(第2照明灯)22の点灯操作に応じて、ワークライト(第1照明灯)21を自動で消灯又は減灯させる点灯制限を実行可能とするものとしてもよい。具体的には、照明制御部51aは、ローダライトスイッチ45fのオン操作(ローダライト22の点灯操作)に応じてワークライト21の点灯制限が実行され、ローダライトスイッチ45fのオフ操作(ローダライト22の消灯操作)に応じて上記点灯制限が解除されるように構成されたものとしてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、ブーム9が所定位置より下げられている場合に、ワークライト21の点灯制限を解除して、ワークライト21およびローダライト22が共に点灯状態となるように構成されているが、ブーム9が所定位置より下げられている場合に、ワークライト21の点灯制限を解除するとともに、ローダライト22の点灯制限を実行させるようにしてもよい。具体的には、照明制御部51aは、ローダライト22が点灯状態のときに、ブーム9が所定位置より下げられている場合は、ワークライト21の点灯制限を解除する(点灯又は増灯させる)とともに、ローダライト22の点灯制限を実行する(消灯又は減灯させる)。即ち、ローダライト22の点灯を制限し、ワークライト21によってバケット10の周囲を照明する。一方、ブーム9が所定位置以上に上げられている場合は、ワークライト21の点灯制限を実行する(消灯又は減灯させる)とともに、ローダライト22の点灯制限を解除する(点灯又は増灯させる)。即ち、ワークライト21の点灯を制限し、ローダライト22によってバケット10の周囲を照明する。
【0099】
また、上記実施形態では、ブーム位置センサ50eから出力される位置検出信号に基づいてブームシリンダ11の実伸長量を算出し、当該実伸長量からブーム9の高さ位置をリニアに判定するように構成されているが、作業車両1は、ブーム9の位置を検出するブーム位置検出部を備え、照明制御部51aは、上記ブーム位置検出部による位置検出情報に応じて、上記点灯制限の実行および解除を切り替えるように構成されたものとしてもよい。具体的には、枢軸23等に、ブーム9の位置を検出するブーム位置検出部として回転角度センサが設けられ、上記回転角度センサから出力される角度検出信号に基づいてブーム9の実角度を算出し、当該実角度からブーム9の高さ位置をリニアに判定するように構成されたものとしてもよい。或いは、車体2やフロントローダ4に、ブーム9の位置を検出するブーム位置検出部として赤外線検知センサ、マグネットスイッチ、シーソースイッチ等の検知センサが設けられ、上記検知センサによってブーム9の実際の位置を定点で検出するように構成されたものとしてもよい。或いは、キャビン7内やルーフ7T等に、ブーム9の位置を検出するブーム位置検出部として撮像装置が設けられ、上記撮像装置の撮影画像に基づいてブーム9の位置を解析し、判定するように構成されたものとしてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、ローダライト22は、左右のブーム9(左ブーム9Lおよび右ブーム9R)の下縁部9Uに夫々設けられているが、バケット10の周囲を適切に照明可能であれば、ローダライト22は、左右のブーム9R(左ブーム9L又は右ブーム9R)のいずれか一方にのみ設けられてもよいし、ブーム9の下縁部9Uではなく、ブーム9の左右一方又は両方の側面部に設けられてもよい。或いは、ブーム9の上部(例えば、折曲部上縁9T)に設けられてもよいし、それら複数箇所に設けられてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、ワークライトスイッチ(図示せず)によってワークライト21の点灯および消灯を運転者が手動で切替操作するように構成されているが、作業車両1は、車体2外部の照度を検出する照度センサと、照度センサの検出に基づいてワークライト21を自動で点灯および消灯させる自動運転制御部とを備え、当該自動運転制御部は、車体2外部の照度が基準値以下に低下すれば、ワークライト21を自動で点灯させ、車体2外部の照度が基準値を上回った場合は、ワークライト21を自動で消灯させるように構成されたものとしてもよい。
【0102】
<効果>
このように、上記実施形態の作業車両1は、走行可能な車体2と、車体2に上下揺動可能に設けられるブーム9と、ブーム9の前部に装着されるバケット(作業具)10と、車体2に設けられ、車体2の前方を照明するワークライト(第1照明灯)21と、ブーム9に設けられ、バケット10の周囲を照明するローダライト(第2照明灯)22と、ワークライト21およびローダライト22の照明動作を制御する照明制御部51aとを備え、照明制御部51aは、ローダライト22が点灯状態のときに、ワークライト21を自動で消灯又は減灯させる点灯制限を実行可能としている。
【0103】
この構成によれば、ローダライト22を使用する場合に、ワークライト21を自動で消灯又は減灯させることができるから、ワークライト21の光がブーム9や連結フレーム9Jに反射して視界の妨げとなるのを抑止できる。これにより、車体2にブーム9を有するフロントローダ4等を装着して作業する場合であっても、車体2前方の作業場やバケット10周囲の状態を適切に視認することが可能となる。
【0104】
また、照明制御部51aは、ブーム9が所定位置以上に上げられている場合に、上記点灯制限を実行させる。
【0105】
この構成によれば、ローダライト22を点灯させた状態のときに、ブーム9が所定位置以上に上がっていれば、ワークライト21を自動で消灯又は減灯させるから、ワークライト21の光がブーム9や連結フレーム9Jに反射するのを適切なタイミングで抑止できる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の視認性が一層向上する。
【0106】
また、照明制御部51aは、ブーム9が所定位置より下げられている場合に、上記点灯制限を解除させる。
【0107】
この構成によれば、ローダライト22を点灯させた状態のときに、ブーム9が所定位置よりも下がっていれば、ワークライト21の点灯制限を解除させるから、ローダライト22およびワークライト21によって車体2の前方(バケット10周囲)を照明することが可能となる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の視認性が一層向上する。
【0108】
また、上記所定位置は、ブーム9の少なくとも一部の高さがワークライト21の高さと同じとなる位置に設定される。
【0109】
この構成によれば、ローダライト22を点灯させた状態のときに、ブーム9の少なくとも一部がワークライト21の高さまで上がっていれば、ワークライト21を自動で消灯又は減灯させるから、ワークライト21の光がブーム9や連結フレーム9Jに反射するのを適切なタイミングで抑止できる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の視認性が一層向上する。
【0110】
また、ローダライト22の点灯および消灯を手動操作するためのローダライトスイッチ(第2照明スイッチ)45fを備え、照明制御部51aは、ローダライトスイッチ45fの点灯操作に応じて、上記点灯制限を実行するように構成されたものとすることもできる。
【0111】
この構成によれば、ローダライトスイッチ45fによるローダライト22の点灯操作に応じてワークライト21が自動で消灯又は減灯されるから、ワークライト21の光がブーム9や連結フレーム9Jに反射するのをより確実に抑止できる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の状態を適切に視認することが可能となる。
【0112】
また、ブーム9の位置を検出するブーム位置センサ(ブーム位置検出部)50eを備え、照明制御部51aは、ブーム位置センサ50eによる位置検出情報に応じて、上記点灯制限の実行および解除を切り替える。
【0113】
この構成によれば、ブーム9の位置検出情報に応じてワークライト21の点灯制限および制限解除の切替が行われるから、ワークライト21の光がブーム9や連結フレーム9Jに反射するのを適切なタイミングで抑止できる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の視認性が一層向上する。
【0114】
また、ブーム9を手動操作するためのローダ操作レバー(第2操作装置)18を備え、ローダライトスイッチ45fは、ローダ操作レバー18に設けられる。
【0115】
この構成によれば、ローダ操作レバー18を握ったままローダライト22の点灯および消灯を手動操作することができるから、状況に応じて迅速にローダライト22を点灯させたり消灯させたりすることが可能である。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の状態をより適切に視認することが可能となる。また、使い勝手も格段に向上する。
【0116】
また、ローダライト22は、ブーム9の下縁部9Uに設けられる。
【0117】
この構成によれば、作業場やバケット10周囲をブーム9の下方から照明することができるから、ブーム9の他の箇所にローダライト22が設けられたものに比べて、作業場やバケット10周囲をより適切に照明できる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の視認性が一層向上する。
【0118】
また、ローダライト22は、照明方向をバケット10の前後に調整可能に設けられる。
【0119】
この構成によれば、ローダライト22の照明方向を、バケット10に対するローダライト22の配置やフロントローダ4の形状等に合わせて運転者が任意に調整することができるから、照明使用時の作業場やバケット10周囲の状態をより適切に視認することが可能となる。
【0120】
また、ブーム9に連結され、ローダライト22を支持するブラケット31を備え、ブーム9とブラケット31との対向面相互間に、ブーム9に沿って配されるケーブル類を挿通可能な間隙S2が画成される。
【0121】
この構成によれば、ブーム9とブラケット31との間に画成された間隙S2に沿って油圧ホース25や電源ケーブル26等のケーブル類を配設することができるから、ブーム9を作動させたときに、当該ケーブル類がローダライト22に擦れたり引掛かったりして、ローダライト22の取付向き(照明方向)がずれるのを防止できる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の状態を適切に視認することが可能となる。また、上記擦れや引掛りに起因するケーブル類の不具合も防止できる。
【0122】
また、ブラケット31は、ブーム9と対向する上板(対向面部)31Tの前縁部および後縁部(外縁部)に、ケーブル類がローダライト22に接触するのを阻止するための前板31Fおよび後板31B(フランジ)が設けられる。
【0123】
この構成によれば、ブーム9を作動させたときに、上記間隙S2に沿って配設されたケーブル類が動いたり撓んだりしても、ブラケット31の上板31Tの前後の外縁部に設けられた前板31Fおよび後板31Bによって、ローダライト22への接触が阻止されるから、ローダライト22の取付向きのずれをより確実に防止できる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の状態をより適切に視認することが可能となる。また、ローダライト22への接触に起因するケーブル類の不具合もより確実に防止できる。また、前板31Fおよび後板31Bは、上記間隙S2にて湾曲する油圧ホース25を下方から支持するガイド(ホースガイド)としての機能も奏する。
【0124】
また、前板31Fおよび後板31Bは、上板31Tの前縁部および後縁部(外縁部)の外側に向かって、上記間隙S2を拡幅させる方向に傾斜して延在する。
【0125】
この構成によれば、上記間隙S2に沿って配設されたケーブル類が上板31Tの前縁部および後縁部の外側で大きく動いたり撓んだりしても、ブラケット31の前板31Fおよび後板31Bの延在方向の端面に接触しにくい。これにより、上記前板31Fおよび後板31Bへの接触に起因するケーブル類の不具合をより確実に防止できる。
【0126】
また、車体2に搭載されたキャビン7を備え、ブーム9は、車体2の左側に配置される左ブーム9Lと、車体2の右側に配置される右ブーム9Rとを含み、ワークライト21は、キャビン7のルーフ7Tの左前部および右前部に夫々設けられ、ローダライト22は、左ブーム9Lおよび右ブーム9Rに夫々設けられる。
【0127】
この構成によれば、作業場やバケット10周囲をルーフ7Tの左右両側、およびブーム9の左右両側から照明することができるから、ルーフ7Tの所定の一箇所にワークライト21が設けられたものやブーム9の所定の一箇所にローダライト22が設けられたものに比べて、作業場やバケット10周囲をより適切に照明できる。これにより、照明使用時の作業場やバケット10周囲の視認性が一層向上する。
【0128】
また、上記実施形態のローダ操作レバー(第2操作装置)18は、作業車両1の運転席部7Sに設けられ、作業車両1の車体2に装着されるフロントローダ4を操作するための操作装置であって、運転席部7Sに延設されるレバーシャフト44と、レバーシャフト44の上延部(先端部)44Aに設けられるグリップ(把持部)43と、グリップ43に設けられ、作業車両1に種々の動作を実行させるための複数の操作スイッチ45と、を備え、操作スイッチ45は、作業車両1の前進および後退を切り替えるためのシャトル切替スイッチ45aと、シャトル切替スイッチ45aによる切替操作を牽制および牽制解除するためのシャトル牽制スイッチ45eと、を含む。
【0129】
この構成によれば、フロントローダ4を使用して作業している場合であっても、ローダ操作レバー18のグリップ43を握ったままシャトル切替スイッチ45aおよびシャトル牽制スイッチ45eを操作することができる。即ち、ローダ操作レバー18によってフロントローダ4を操作しながら、容易且つ適切に作業車両1の前進および後退の切替を行うことができる。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が格段に向上する。
【0130】
また、シャトル切替スイッチ45aは、グリップ43を把持した手の親指で操作可能な位置に設けられ、シャトル牽制スイッチ45eは、グリップ43を把持した手の親指以外の他の指で操作可能な位置に設けられる。
【0131】
この構成によれば、シャトル牽制スイッチ45eを親指以外の指(例えば、中指)で押しながら、シャトル切替スイッチ45aを親指で押すことによって、作業車両1の前進および後進を切り替えることができるから、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0132】
また、ローダ操作レバー18のグリップ43は、表面部(グリップ外周面43A)から内側に向かって凹没する凹部47が設けられ、シャトル切替スイッチ45aは、操作面部48がグリップ43の表面外側に突出しないように凹部47に設けられる。
【0133】
この構成によれば、グリップ43を握った手の指や掌がシャトル切替スイッチ45aに不用意に接触しにくいから、シャトル切替スイッチ45aが意図せず押されて、作業車両1の前進および後進が切り替わるのを防止できる。また、ローダ操作レバー18を操作する際の操作感がシャトル切替スイッチ45aによって損なわれるのも防止できる。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0134】
また、操作スイッチ45は、フロントローダ4のバケット(作業具)10の操作機能を割り当て可能な第3ファンクションスイッチ(作業具操作スイッチ)45bを含み、シャトル切替スイッチ45aは、第3ファンクションスイッチ45bに隣接して配置される。
【0135】
この構成によれば、シャトル切替スイッチ45aと第3ファンクションスイッチ45bとが互いに隣接して配置されているから、バケット10を操作しながら作業車両1の前進および後進の切替を円滑に行うことができる。よって、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。しかも、これらシャトル切替スイッチ45aおよび第3ファンクションスイッチ45bは、他の操作スイッチ45に比べて使用頻度が高いスイッチであるため、使い勝手も格段に向上する。
【0136】
また、第3ファンクションスイッチ45bは、フロントローダ4のバケット10に代えて又は加えて装着される作業具の操作機能を割り当て可能なスイッチである。
【0137】
この構成によれば、第3ファンクションスイッチ45bに他の作業具の操作機能を割り当てることで、ローダ操作レバー18によって様々な種類のフロントローダ4を操作することが可能となるから、汎用性が向上する。
【0138】
また、グリップ43は、レバーシャフト44の上延部(先端部)44Aから上方に延びる略縦長柱状のグリップ基端部(基端部)43Vと、グリップ基端部43Vの上端から運転席部7Sの座席14側に延びる略横長柱状のグリップ横延部(横延部)43Wと、を有し、シャトル切替スイッチ45aおよびシャトル牽制スイッチ45eは、グリップ外周面(グリップ横延部43Wの外周面部)43Aに設けられる。
【0139】
この構成によれば、掌でグリップ外周面43Aを覆うようにしてグリップ横延部43Wを横に握ることで、その手の親指の指先が自然とグリップ外周面43Aに設けられたシャトル切替スイッチ45aの近傍に配され、親指以外の指(例えば、中指)が自然とグリップ外周面43Aに設けられたシャトル牽制スイッチ45eの近傍に配される。その結果、作業車両1の前進および後進の切替を一層容易に行うことが可能となる。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0140】
また、グリップ先端面(グリップ横延部43Wの座席14側の先端面部)43Tは、座席14側に向くように、グリップ横延部43Wを把持する手の先側となる前縁側からその反対側の後縁側に向かって下方傾斜しており、グリップ先端面43Tに、シャトル切替スイッチ45aおよびシャトル牽制スイッチ45e以外の操作スイッチ45の少なくとも一つが設けられる。
【0141】
この構成によれば、掌でグリップ外周面43Aを覆うようにしてグリップ横延部43Wを横に握ることで、その手の親指の指先でグリップ先端面43Tに設けられた操作スイッチ45をより自然且つ容易に操作することができる。また、グリップ先端面43Tに設けられた操作スイッチ45を運転者が容易に視認することもできる。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0142】
また、グリップ横延部43Wは、レバーシャフト44の上延部(先端部)44A側から運転席部7Sの座席14側に延びるにつれて上方に向かうように傾斜している。
【0143】
この構成によれば、掌でグリップ外周面43Aを覆うようにしてグリップ横延部43Wを横に握ったときに、手首が横向きやや外側(座席14と反対側)へ捻られた自然な姿勢でグリップ43を握ることができるから、ローダ操作レバー18を操作する際の疲れが軽減される。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0144】
また、グリップ外周面(外周面部)43Aにおけるグリップ横延部43Wの延長方向の中間位置よりもグリップ先端面(先端)43T寄りの位置に、グリップ横延部43Wを把持した手の親指を掛合保持可能な隆起部43Eが設けられる。
【0145】
この構成によれば、掌でグリップ外周面43Aを覆うようにしてグリップ横延部43Wを横に握ったときに、その手の親指を隆起部43Eに掛合保持させておくことができるから、ローダ操作レバー18を操作する際の疲れが一層軽減される。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0146】
また、操作スイッチ45は、作業車両1の変速段を切り替えるための変速スイッチ45dを含み、変速スイッチ45dは、グリップ先端面(グリップ横延部43Wの座席14側の先端面部)43Tに設けられる。
【0147】
この構成によれば、ローダ操作レバー18のグリップ43を握ったまま変速スイッチ45dを操作することができる。即ち、ローダ操作レバー18によってフロントローダ4を操作しながら作業車両1の変速段の切替を行うことができる。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0148】
また、操作スイッチ45は、フロントローダ4に設けられたローダライト(照明灯)22の点灯および消灯を切り替えるためのローダライトスイッチ45fを含み、ローダライトスイッチ45fは、グリップ先端面(グリップ横延部43Wの座席14側の先端面部)43Tに設けられる。
【0149】
この構成によれば、ローダ操作レバー18のグリップ43を握ったままローダライトスイッチ45fを操作することができる。即ち、ローダ操作レバー18によってフロントローダ4を操作しながらローダライト22の点灯および消灯の切替を行うことができる。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0150】
また、上記実施形態の作業車両1は、走行可能な車体2と、車体2に装着されたフロントローダ4と、車体2を操作するための操作スイッチ42を有する多機能操作レバー(第1操作装置)17と、フロントローダ4を操作するための操作スイッチ45を有するローダ操作レバー(第2操作装置)18と、を備え、多機能操作レバー17の操作スイッチ42は、作業車両1の前進および後退を切り替えるためのシャトル切替スイッチ(第1シャトル切替スイッチ)42aと、シャトル切替スイッチ42aによる切替操作を牽制および牽制解除するためのシャトル牽制スイッチ(第1シャトル牽制スイッチ)42eと、を含み、ローダ操作レバーの操作スイッチ45は、作業車両1の前進および後退を切り替えるためのシャトル切替スイッチ(第2シャトル切替スイッチ)45aと、シャトル切替スイッチ45aによる切替操作を牽制および牽制解除するためのシャトル牽制スイッチ(第2シャトル牽制スイッチ)45eと、を含む。
【0151】
この構成によれば、多機能操作レバー17によって作業車両1の前進および後退を切替操作することができるとともに、ローダ操作レバー18によっても作業車両1の前進および後退を切替操作することができる。即ち、多機能操作レバー17またはローダ操作レバー18の何れかで作業車両1の前進および後退の切替を行うことができる。しかも、ローダ操作レバー18を使用する場合は、フロントローダ4を操作しながら作業車両1の前進および後退の切替を行うことができる。これにより、フロントローダ4を用いて作業するときの作業車両1の操作性が格段に向上する。
【0152】
また、上記作業車両1において、多機能操作レバー17およびローダ操作レバー18は、車体2に設けられた座席14の一側方側であって且つ座席14に座った運転者がグリップ41,43を一側方側の手で把持し操作可能な位置に配置され、シャトル切替スイッチ(第1シャトル切替スイッチおよび第2シャトル切替スイッチ)42a,45aは、グリップ41,43を把持した手の親指で操作可能な位置に設けられ、シャトル牽制スイッチ(第1シャトル牽制スイッチおよび第2シャトル牽制スイッチ)42e,45eは、グリップ41,43を把持した手の親指以外の他の指で操作可能な位置に設けられる。
【0153】
この構成によれば、多機能操作レバー17を使用する場合は、グリップ41を握った手の親指以外の指(例えば、人差し指)でシャトル牽制スイッチ42eを押しながら、親指でシャトル切替スイッチ42aを押すことによって、作業車両1の前進および後進を切り替えることができる。一方、ローダ操作レバー18を使用する場合は、グリップ43を握った手の親指以外の指(例えば、人差し指)でシャトル牽制スイッチ45eを押しながら、親指でシャトル切替スイッチ45aを押すことによって、作業車両1の前進および後進を切り替えることができる。即ち、多機能操作レバー17を使用する場合も、ローダ操作レバー18を使用する場合も、同一の指操作で作業車両1の前進および後進の切替を行うことができる。これにより、フロントローダ4使用時の作業車両1の操作性が一層向上する。
【0154】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0155】
1 作業車両
2 車体
4 フロントローダ
7S 運転席部
10 バケット(作業具)
14 座席
17 多機能操作レバー(第1操作装置)
18 ローダ操作レバー(操作装置、第2操作装置)
22 ローダライト(照明灯)
41 グリップ(把持部)
42 操作スイッチ
42a シャトル切替スイッチ(第1シャトル切替スイッチ)
42e シャトル牽制スイッチ(第1シャトル牽制スイッチ)
43 グリップ(把持部)
43A グリップ外周面(外周面部)
43E 隆起部
43T グリップ先端面(先端面部)
43V グリップ基端部(基端部)
43W グリップ横延部(横延部)
44 レバーシャフト
44A 上延部(先端部)
45 操作スイッチ
45a シャトル切替スイッチ(第2シャトル切替スイッチ)
45b 第3ファンクションスイッチ(作業具操作スイッチ)
45c 第4ファンクションスイッチ(作業具操作スイッチ)
45d 変速スイッチ
45e シャトル牽制スイッチ(第2シャトル牽制スイッチ)
45f ローダライトスイッチ
47 凹部
48 操作面部
図1
図2
図3
図4
図5
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図12A
図12B
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図13B
図14