(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】クリーンルームの空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 3/167 20210101AFI20250210BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20250210BHJP
【FI】
F24F3/167
F24F7/06 C
(21)【出願番号】P 2024007228
(22)【出願日】2024-01-22
【審査請求日】2024-01-22
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】佐古 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】樋口 康博
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 賢知
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-291989(JP,A)
【文献】特開2008-224146(JP,A)
【文献】特開2010-261645(JP,A)
【文献】特開2008-256269(JP,A)
【文献】国際公開第2012/056592(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/167
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間の平面視における一部の領域に
、線状に配列した複数台の送風ユニットを備えると共に、
対象空間内の空気または対象空間から吸い出した空気を冷却
して前記送風ユニットに向かわせる冷却ユニットを備え、
前記送風ユニットは、
該送風ユニットより下側の部分における水平4方向の全面が開放された構成の条件下で、浄化された
冷却の空気を、
吹出口から水平4方向の全面開放の下方空間を介して下方の
床の衝突面
へ送り出すよう配置される
共に、前記送風ユニットから送り出された空気にとって水平4方向のうち1方向には壁が位置し、別の2方向には、隣接する別の送風ユニットから送り出される下向きの空気の流れが存在することにより、前記衝突面に衝突した空気の主流がコアンダ効果によって対象空間の床に沿って流れるよう構成され、
前記送風ユニットの吹出口は、床の衝突面から水平4方向の全面開放の下方空間を介して配置されるように、前記送風ユニットの吹出口の前記衝突面に対する高さ
位置は0.5m以上3.0m以下であり、
前記送風ユニットにおける吹出風速は
0.25m/s以上1.5m/s以下であること
を特徴とするクリーンルームの空調システム。
【請求項2】
前記送風ユニットから送り出される空気の主流のうち少なくとも一部が、対象空間の壁に沿って下方に流れた後、さらに対象空間の壁および床に沿って流れるよう、前記送風ユニットおよび対象空間の壁が配置されていること
を特徴とする請求項1に記載のクリーンルームの空調システム。
【請求項3】
前記送風ユニットの上方に、対象空間内の空気を冷却する冷却ユニットを備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のクリーンルームの空調システム。
【請求項4】
対象空間から吸い出した空気を冷却する冷却ユニットを対象空間の外に備えると共に、
対象空間内の空気を吸い出して前記冷却ユニットに導く吸込口と、
前記冷却ユニットからの空調空気を対象空間に供給する供給口とを備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のクリーンルームの空調システム。
【請求項5】
前記送風ユニットは対象空間の壁に沿って配列されていること
を特徴とする請求項1に記載のクリーンルームの空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームの空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図8はクリーンルームにおける空調システムの一例を示している。対象空間Sはボールルーム方式の工業用クリーンルームとして構成されており、天井1には複数の送風ユニット2が設置されている。送風ユニット2は、天井1の上方の空気をファンにより筐体内に吸い込んでフィルタに吹き付け、該フィルタを通って浄化された空気を下方の対象空間Sへ送り出すようになっている。
【0003】
対象空間Sの床3は、パンチングパネルやグレーチング等を素材とする上げ床として構成されている。送風ユニット2から対象空間Sに送り込まれた空気は、床3の開孔を通って還気として床下の空間に抜け、床下と天井裏を連通するレタンシャフト4を通って天井裏の空間へ送られ、再度送風ユニット2から対象空間Sに供給される。
【0004】
工業用クリーンルームである対象空間Sでは生産装置等の機器5が稼働しており、室内の空気は、機器5の排熱を受け取り昇温した状態となり、還気として床下へ抜ける。昇温した還気は、床下から天井裏へ戻って再度送風ユニット2から送り出されるまでの間に、機器5の稼働に適した温度まで冷却される必要がある。ここに示した例では、レタンシャフト4の入口付近にドライコイルである冷却ユニット6を備え、対象空間Sの床3を抜けた後の還気を冷却するようになっている。
【0005】
こうして、
図8に示す空調システムでは、対象空間Sにおいては清浄な空気を送風ユニット2から供給しつつ、対象空間Sを含む設備全体で空気を循環させるようになっている。このような空気の循環において、送風ユニット2は対象空間Sに対し空気を概ね下向きに送り出すが、これによって形成される気流は一方向の押し出し流ではなく、室内で生じた塵埃を清浄空気により希釈混合するような非一方向の気流である。
【0006】
尚、ここに示した例は模式化した図であって、実際の工業用クリーンルームには、図示されている以外に、例えば外調機や加湿器といった設備がさらに設けられることが通常であるが、ここでは図示を省略している。
【0007】
この種のクリーンルームの空調システムに関連する先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-128618号公報
【文献】特開2023-146664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述の如き従来のクリーンルームでは、空気の循環やメンテナンス等のため、対象空間Sの周囲に、該対象空間Sから区画された空間がある程度の広さで必要である。多数の送風ユニット2が設置された天井1の上方には、送風ユニット2への空気の流れを確保し、且つ送風ユニット2のメンテナンスを可能とするために天井裏の空間が必要であるし、上げ床として設置された床3の下方にも、空気の流路として、また用力スペースあるいはメンテナンス用のスペースとして、ある程度の高さの床下空間を設ける必要がある。結果として、クリーンルームとして利用し得る領域が制限され、また設備全体の巨大化も招いていた。
【0010】
また、対象空間Sに上述の如き非一方向の気流を広く供給するためには、広い面積の天井1をセル天井として構築し、そこに送風ユニット2を配置する必要がある。尚、クリーンルームの構成によっては、送風ユニットが天井に疎らに配置されるような場合もあるが、そういった場合でも、送風ユニットを一定の間隔で配置するため、送風ユニットとブランクパネルにより、やはり広い面積の天井を構築する必要がある。
【0011】
さらに、天井裏の空間には、送風ユニット2の稼働に伴い陰圧が生じるため、天井裏の空間に外部から塵埃が侵入することを防ぐような仕組みが躯体側に必要となる。また、床下も空気の流路となるので、ここにも空気の清浄度を保つための防塵対策が必要であり、これらが対象空間Sをクリーンルームとして構築するための費用が増大する要因となっていた。
【0012】
本発明は、斯かる実情に鑑み、省スペース且つ安価にて好適にクリーンルームを実現し得るクリーンルームの空調システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、対象空間の平面視における一部の領域に、線状に配列した複数台の送風ユニットを備えると共に、対象空間内の空気または対象空間から吸い出した空気を冷却して前記送風ユニットに向かわせる冷却ユニットを備え、前記送風ユニットは、該送風ユニットより下側の部分における水平4方向の全面が開放された構成の条件下で、浄化された冷却の空気を、吹出口から水平4方向の全面開放の下方空間を介して下方の床の衝突面へ送り出すよう配置される共に、前記送風ユニットから送り出された空気にとって水平4方向のうち1方向には壁が位置し、別の2方向には、隣接する別の送風ユニットから送り出される下向きの空気の流れが存在することにより、前記衝突面に衝突した空気の主流がコアンダ効果によって対象空間の床に沿って流れるよう構成され、前記送風ユニットの吹出口は、床の衝突面から水平4方向の全面開放の下方空間を介して配置されるように、前記送風ユニットの吹出口の前記衝突面に対する高さ位置は0.5m以上3.0m以下であり、前記送風ユニットにおける吹出風速は0.25m/s以上1.5m/s以下であることを特徴とするクリーンルームの空調システムにかかるものである。
本発明のクリーンルームの空調システムにおいては、前記送風ユニットから送り出される空気の主流のうち少なくとも一部が、対象空間の壁に沿って下方に流れた後、さらに対象空間の壁および床に沿って流れるよう、前記送風ユニットおよび対象空間の壁を配置することができる。
【0014】
本発明のクリーンルームの空調システムにおいては、前記送風ユニットの上方に、対象空間内の空気を冷却する冷却ユニットを備えることができる。
【0015】
本発明のクリーンルームの空調システムにおいては、対象空間から吸い出した空気を冷却する冷却ユニットを対象空間の外に備えると共に、対象空間内の空気を吸い出して前記冷却ユニットに導く吸込口と、前記冷却ユニットからの空調空気を対象空間に供給する供給口とを備えることもできる。
【0016】
本発明のクリーンルームの空調システムにおいては、前記送風ユニットを対象空間の壁に沿って配列することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のクリーンルームの空調システムによれば、省スペース且つ安価にて好適にクリーンルームを実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施によるクリーンルームの空調システムの形態の一例(第一実施例)を示す概略立面図である。
【
図3】本発明の実施によるクリーンルームの空調システムの形態の別の一例(第二実施例)を示す概略立面図である。
【
図5】
図1、
図2に示す空調システムにおいて、送風ユニットの床に対する高さおよび吹出風速と、対象空間における換気性能の指標値(SVE-3)との関係について計算した結果を示すグラフである。
【
図6】
図1、
図2に示す空調システムにおいて、送風ユニットの床に対する高さおよび吹出風速と、対象空間における風速との関係について計算した結果を示すグラフであり、送風ユニットの床に対する高さが0.4mの場合の結果を示している。
【
図7】
図1、
図2に示す空調システムにおいて、送風ユニットの床に対する高さおよび吹出風速と、対象空間における風速との関係について計算した結果を示すグラフであり、送風ユニットの床に対する高さが0.6mの場合の結果を示している。
【
図8】従来のクリーンルームの空調システムの一例を示す概略立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1、
図2は本発明の実施によるクリーンルームの空調システムの形態の一例(第一実施例)を示しており、図中、
図8と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0021】
本第一実施例の空調システムでは、フィルタを備えた送風ユニット2と、冷却ユニット6とを備えた装置を床置き型の空調ユニット(クリーン空調ユニット)7として構成し、これをクリーンルームである対象空間Sの両端に、互いに対向する壁8に沿って配置している。つまり、
図8に示した従来例では、平面視において対象空間Sの全域に送風ユニット2を疎らに配置し、そこから空気を下向きに供給していたが、本第一実施例では、対象空間Sのうち平面師における一部の領域(両端の壁際)にのみ送風ユニット2を配置し、そこから対象空間Sの中央に向かって空気を供給するようにしている。
【0022】
クリーン空調ユニット7は、
図1に示す如く、床置き式のフレームを備えて構成され、そこに送風ユニット2と、ドライコイルである冷却ユニット6を、床9に対し適当な高さに支持するようになっている。
【0023】
送風ユニット2は、筐体にファンとHEPAフィルタを備えたファン・フィルタ・ユニット(FFU)等と称される装置であり、ファンの駆動によって上方にある空気を吸い込むと共にフィルタに吹き付け、浄化された空気を下方へ下向きに送り出すようになっている。クリーンユニット空調ユニット7における送風ユニット2の設置高さは、天井の位置よりは相当低く設定されており、床9に対し、例えば1~2m程度の高さである(この送風ユニット2の高さの設定については、後に改めて説明する)。この位置から、送風ユニット2は、下方の床9に対し、空気を下向きに吹き付けるようになっている。
【0024】
クリーン空調ユニット7における冷却ユニット6の位置は、本第一実施例の場合、送風ユニット2の直上であり、送風ユニット2に対し垂直に数十cm~1m前後ほど離れた高さに配置されている。クリーン空調ユニット7の上部は、内部空間を有する箱型の筐体7aとして構成されており、該筐体の上面および下面にそれぞれ吸込口7bおよび吹出口7cが設けられている。吸込口7bおよび吹出口7cには、それぞれ冷却ユニット6と送風ユニット2が配置されている。送風ユニット2のファンが作動すると、吸込口7bから筐体7a内に空気が吸い込まれると共に、筐体7a内の空気が吹出口7cから送り出される。空気は、吸込口7bの通過に伴って冷却ユニット6により冷却され、吹出口7cを通過する際には送風ユニット2のフィルタによって浄化される。
【0025】
クリーン空調ユニット7の下部(送風ユニット2より下側の部分)は、側面のうち少なくとも一部が開放されており、送風ユニット2から吹き出された空気は、床9に衝突した後、該床9に沿って向きを変え、上記開放された部分から横向きに送り出される。
【0026】
床9は、
図8に示した上記従来例における床3とは異なり、パンチングパネルやグレーチングとして構成されていない。本第一実施例における床9は、原則として全面が閉塞された構造であり、床下は空気の流路として想定されず、空気は専ら床9の上方を流通する(尤も、必要に応じてケーブル等の何らかの部材を通すための孔等を、空気の流通に支障を生じない程度に一部に設けることは可能である)。また、床9は必要に応じて上げ床にし、床下を用力スペース等として利用しても良いが、
図8の従来例のように空気が流通するほどの高さは必要ない。床9の上面には、生産装置等の機器5が配置され、稼働する。機器5は、例えば半導体集積回路を形成する母材のウエハや、フラットパネルディスプレイの基板、あるいはそれらの物品を収納する容器等の物体を加工する生産装置である。クリーンユニット空調ユニット7から横向きに送り出される空気は、機器5の配置された対象空間Sの中央の領域に向かって流れる。
【0027】
尚、本明細書では空気の流れ等に関し、「下向き」や「横向き」といった表現を用いるが、これらは鉛直方向や水平方向と正確に一致する向きのみを指すのではなく、通常の感覚において、あるいは本発明のような空調システムにおいて、一般的に「下向き」「横向き」と考えて差し支えない範囲の向きを指す。また、「床に沿って」といった表現も、その向きが床のなす面と正確に一致することのみを指すのではなく、床のなす面に概ね沿っている、程度の意味である。「直交する」という表現も同様で、ある向きと別の向きが正確に直角をなすことのみを意味せず、実用上、「直交」と表して差し支えない程度の角度をなしていることを指す。
【0028】
クリーン空調ユニット7の配置について説明する。本第一実施例において、クリーン空調ユニット7は
図2に示す如く、平面視で全体として略方形をなす部屋の両端にあたる壁8に沿うように2列が配列されている。クリーン空調ユニット7に設けられた各送風ユニット2から見ると、平面視において複数の送風ユニット2が配列する向きと直交する向きに関し、一側には壁8が位置し、他側には対象空間Sの中央部、およびそこに配置された機器5が位置している。
【0029】
図1に示す如く、送風ユニット2からは清浄な空気が床9に向かって下向きに送り出される。下向きの空気は、衝突面としての床9に衝突し、該床9の表面に沿って流れの向きを変えるが、本第一実施例の場合、送風ユニット2から送り出された空気にとって水平4方向のうち1方向には壁8が位置し、別の2方向には、隣接する別の送風ユニット2から送り出される下向きの空気の流れが存在する。送風ユニット2から下向きに送り出され、床9に沿って向きを変えられる空気の大部分は、3方向をそれらに遮られ、目的の向きである残りの1方向へ誘導されることになる(尚、複数台が線状に配列した送風ユニット2のうち、両端に位置する送風ユニット2から送り出される室内空気A1に関しては、2方向に壁8が位置し、1方向に隣接する送風ユニット2から送り出される室内空気A1の流れが存在するので、結果、同様に残りの1方向へ流れることになる)。ここで、「目的の向き」とは、送風ユニット2から見て空気を供給したい領域のある方向であり、本第一実施例の如きクリーンルームの場合、機器5の配置されている領域のある方向である。図面に即して述べれば、図中左列に配置されているクリーン空調ユニット7の送風ユニット2にとっては右、右列に配置されているクリーン空調ユニット7の送風ユニット2にとっては左である。
【0030】
こうして向きを変えた空気は、機器5の配置された対象空間Sの中央部に向かって進む。このとき、空気の主流はコアンダ効果によって床9の上面を這うように進みつつ、機器5からの排熱を受け取る。これによって温度が上昇した一部の空気は、温度差によって生じる密度差により上方へ移動し、床9の上には高い位置ほど温度が高く、低い位置ほど温度が低い温度成層が形成される。
【0031】
本第一実施例では、平面視における部屋の両側の壁8に沿って送風ユニット2を設けたクリーン空調ユニット7が配置されており、これら両側の送風ユニット2の各々について、上述の如き空気の動きが生じる。床9に沿った空気の流れは、対象空間Sの両側の壁8に沿った位置から、送風ユニット2から見て壁8と反対側に流れるので、床9から見れば、対象空間Sの両端から中央に向かう空気の流れが形成されることになる。
【0032】
対象空間Sの両端から床9に沿って流れる空気の主流は、中央部において互いに衝突し、ここで上昇に転じる。空気が上昇に転じる位置は、清浄な空調空気を送り出す送風ユニット2から見て目的の方向である。
【0033】
床9より上方の高さには、クリーン空調ユニット7の上部に設けられた吸込口7bが位置している。クリーン空調ユニット7の筐体7a内では、送風ユニット2の作動によって陰圧が生じているので、床9より上に上昇した空気は、吸込口7bから筐体7a内の空間に吸い込まれ、その際、冷却ユニット6により適当な温度に冷却される。冷却されつつ筐体7a内に吸い込まれた空気は、送風ユニット2により再び下方へ吹き出され、対象空間Sに供給される。
【0034】
尚、上ではクリーン空調ユニット7の下部(送風ユニット2より下側の部分)において、水平4方向の全面が開放された構成を前提に説明したが、この部分に関しては、少なくとも平面視において送風ユニット2から見て目的の方向(下向きに送り出された空気が床9に衝突した後、流れを横向きに変えて導かれる向き;本第一実施例においては壁8の反対側である対象空間Sの中央の領域に向かう方向)が開放されていれば、上記と同様の空気の流れを実現することができる。例えば、クリーン空調ユニット7の下部を上部(送風ユニット2から上側の部分)と同様の筐体として構成し、該筐体の4側面のうち、目的の方向における床付近の高さに空気の流通する開口を設けるといった形でもよい。その場合、送風ユニット2から下向きに流れて床9に衝突した後の空気の流れは、水平3方向を筐体の側壁に阻まれることによって、残りの1方向(開口を設けた方向)へ導かれることになる。
【0035】
また、上ではクリーン空調ユニット7の底面(床9に接する部分)を開放面とし、送風ユニット2から見て直下に床9が露出した構成を説明したが、これに限らず、例えばクリーン空調ユニット7側に床9の面に沿った底面部を設けてこれを空気の衝突面とし、送風ユニット2から吹き出された下向きの空気の流れが前記衝突面に衝突して横向きに流れを変えるようにしてもよい。
【0036】
こうして、本第一実施例の空調システムでは、
図1に示す如く、対象空間Sの端の壁8に沿って配列された送風ユニット2から下方へ送り出された空気が床9の上面に沿って流れ、中央部に到達すると互いに衝突して上昇した後、吸込口7bから筐体7a内へ吸い込まれ、再び送風ユニット2から下方へ送り出される、という形の空気の循環が形成される。尚、このような空気の循環において、床9の上面に沿って流れる空気の一部は、中央部に行き着く前に途中の機器5の排熱を受け取って昇温し、密度が小さくなって上昇し、中央部で衝突して上昇する気流と床9の上方で合流する。床面に沿った気流はコアンダ効果により動圧を保って流れるところ、これが排熱によって上昇した空気に吸い寄せられ、熱駆動が発生する。本システムでは、この現象をも利用することで、清浄な空気の到達距離を長くしている。具体的には、想定する清浄度等の条件にもよるが、送風ユニット2から対象空間Sの中央部までの距離が10m以上40m以下程度であれば、平均風速を大きくしすぎることなく清浄空気を対象空間S内に好適に供給することができ、前記距離が20m以上25m以下程度であればより好適である。
【0037】
尚、ここに示した例は模式化した図であって、実際の工業用クリーンルームには、図示されている以外に、例えば外調機や加湿器、さらに生産物を搬送するためのレールや搬送車といった各種の設備が必要に応じて設けられることが通常であるが、そういった本発明の要旨と直接関係しない構成については、ここでは図示を適宜省略している。
【0038】
図1、
図2に示した上記第一実施例の如き空調システムは、まず空間の利用効率の点で
図8に示したような従来例と比較して有利である。
図8の従来例の場合、対象空間Sに広くダウンフローを供給するため、広い面積の天井1をセル天井として構築し、そこに送風ユニット2を配置していた。
図1、
図2に示す本第一実施例では、一部の領域に床置き式のクリーン空調ユニット7を設置すればよく、平面視における全域をセル天井とするような構成は不要である。床置き式のクリーン空調ユニット7の代わりに、例えば送風ユニット2と冷却ユニット6を天井から適当な高さに吊り下げるといった構成も考えられるが、その場合でも、その部分にのみ吊下げのための機構を設置すれば済み、やはり対象空間Sの全域にセル天井を設ける必要はない。そして、クリーン空調ユニット7を設けない領域は、天井スラブまでの高さを利用できるので、
図8の例と比較して、例えば高さのある装置や設備なども配置しやすい。
【0039】
また、
図8の従来例では、床下を空気の流路として利用するためにある程度の高さが必要であったが、本第一実施例では床9の上に空気を流すので、空気の流通という観点からは床9を上げ床とする必要はなく、上げ床とする場合もさほどの高さは必要ない。床に関しても、本第一実施例では空間の高さ方向を有効に活用し、クリーンルームとして利用し得る空間を大きく確保することができる。また、床下には空気を流通させないので、ここには空気の清浄度を高く保つような対策は必要ない。
【0040】
また本第一実施例は、温度成層を利用し、特に空調の必要な対象空間Sの床9に近い高さを効率的に冷却するので、空調の効率という観点においても有利である。
図8に示した従来例では、対象空間Sの全領域に対しダウンフローで空気を供給するため、送風ユニット2の設置された天井1から下の全体を適当な温度に調整する必要があったが、本第一実施例の場合、機器5の配置された床9より上方の天井付近に形成される熱溜まりから還気A2を回収し、これを冷却すればよい。温度の高い空気を冷却対象とするので、冷却ユニット6における熱交換の効率が高い。
【0041】
さらに、室内の空気は温度成層を形成し、温度調整の必要な昇温した空気は密度差によって吸込口7bのある高さまで自動的に上昇するが、この動きが上述した空気の循環の一部を駆動するので、空気の搬送に係るエネルギーも節減できる。
【0042】
また、本第一実施例では、コアンダ効果を有効に利用することで、送風ユニット2から供給される空気を遠くまで到達させるようにもなっている。送風ユニット2から対象空間Sに供給される空気は、まず下方に送り出されて床9に衝突する。衝突した空気は、床9の上面に沿って向きを変更されるので、以後はコアンダ効果によってクリーン空調ユニット7から離れた位置まで長く到達し、クリーン空調ユニット7から離れた機器5にも清浄な空気を効率よく届けることができる。これにより、例えばクラス6前後の清浄度であれば十分に実現し得る。
【0043】
ここで、コアンダ効果を利用して類似の空気の流れによる空調を行うシステムとしては、例えば本願と同じ出願人による関連発明である上記特許文献2に係るクリーンルームの空調システムがある。
【0044】
本第一実施例のシステムは、上記特許文献2に係るシステムと比較して、次の点で有利である。まず、送風ユニット2を床9に対し低い位置に設置するので、例えば同じ風速・風量で送風ユニット2から空気を吹き出した場合でも、気流がより強く床9に吹き付けられ、その分、強いコアンダ効果を得ることができる。コアンダ効果は、流体の流れが近傍の床や壁等の構造物との接触を保つように振る舞う現象であり、床9に対する気流のコアンダ効果が強ければ、その分、気流が床9から剥離せず流れる距離が長くなり、平面視における送風ユニット2からの気流の到達距離を長くすることができる。送風ユニット2を壁際に配置した場合でも、壁8から離れた位置にある機器5に対しても浄化された空気を効率よく供給することができるのである。
【0045】
具体的には、吹出口の衝突面(床9、あるいは床9に沿って設けられた衝突面)に対する高さ、および送風ユニット2における吹出風速は、上記したコアンダ効果やその他の条件を考慮し、例えば次のように設定する。
・吹出口の高さ(送風ユニット2の下端の床9に対する高さ):床面から0.5m以上、3.0m以下(より好ましくは0.5m以上、2.0m以下)
・吹出風速:0.15m/s以上、1.5m/s以下(より好ましくは0.25m/s以上、1.5m/s以下)
【0046】
図5は、
図1、
図2に示す如きクリーンルームにおいて、吹出口の高さおよび吹出風速を様々に変更しつつ空調システムを稼働させた場合のSVE-3値の計算結果を示している。SVE-3とは換気性能を評価するための指標として使われる値の一種で、空気齢を名目換気時間で除した値である。SVE-3の値が小さいほど、その領域における換気性能は高いと言える。
図5では、最遠エリア(送風ユニット2から平面視で20m~25mの距離にある部屋の中央の領域)の送風ユニット2と同じ高さにおけるSVE-3値を示している。横軸は送風ユニット2の床9に対する高さ(送風ユニット2の下端と床面との距離)である。
【0047】
このグラフによれば、衝突面(床)9に対する吹出口(送風ユニット2の下端)の高さが0.4~2.0mの範囲であれば、送風ユニット2における吹出風速が0.25m/s、0.5m/s、1.0m/s、1.5m/sのいずれであっても、最遠エリアの送風ユニット2と同じ高さにおけるSVE-3値は0.9未満である。これはクリーンルームにおける換気性能の目標値であるSVE-3=1.0を十分に下回っており、これらの条件では実際に良好な換気性能が得られることが実証された。
【0048】
尚、吹出風速が1.5m/sを超える場合、送風ユニット2において生じる騒音や、必要な動力が許容値を超える懸念が生じるほか、室内における平均風速が高くなりすぎてしまう場合があるため、吹出風速は1.5m/s以下とすることが好ましい。また、吹出し風速が0.25m/sを下回るような条件では、上記したコアンダ効果が十分に得られず、最遠エリアにおいて十分な清浄度が達成できない可能性が考えられる。以上より、
図1、
図2に示す如きクリーンルームでは、送風ユニット2における吹出風速は0.15m/s以上、1.5m/s以下程度、より好ましくは0.25m/s以上、1.5m以下程度の範囲とすることが適切であると考えられる。
【0049】
図6、
図7は、それぞれ吹出口の高さを0.4m、0.6mに設定した場合における室内の各エリアの平均風速を示している。室内のエリアは、送風ユニット2からの平面視における距離によって区分し、0~5m、5~10m、10~15m、15~20m、20~25mのそれぞれのエリアについて平均風速を算出し、これを横軸とした。送風ユニット2における吹出風速は、0.25m/s、0.5m/s、1.0m/s、1.5m/sの4通りを設定した。
【0050】
図6のグラフによれば、吹出口の高さを0.4mにした場合、吹出風速の設定によっては、平均風速が1.0m/sを超えるエリアが生じる。クリーンルームの場合、目安として平均風速が1.0m/sを超えないことが望ましいが、送風ユニット2の高さが低すぎれば、床9に衝突して水平方向に向きを変えられた気流が平均1.0m/sを超えて速く流れすぎてしまうのである。
【0051】
一方、吹出口の高さを0.6mにした場合の結果を示す
図7のグラフでは、いずれの吹出風速、いずれのエリアでも平均風速は1.0m/sを下回っており、クリーンルームにおける適切な風速の範囲に収まっている。このことから、送風ユニット2の高さは下限を0.5m程度とすることが好ましい。一方、送風ユニット2を床面に対しあまり高く設置しようとすれば、クリーン空調ユニット7の全高が大幅に高くなってしまったり、あるいは送風ユニット2を天井から吊るす構造が必要になるといった問題が生じる。このため、送風ユニット2の高さの上限としては床9から3.0m程度、より好ましくは2.0m程度とすることが好ましい。
【0052】
上記のように送風ユニット2の高さを設定した場合、吹出口7cにおいて空気齢の高い空気を誘引しにくいという利点も得ることができる。特にクリーンルームを対象とした空調システムの場合、清浄度を保つために、空気齢の高い空気が空気齢の低い空気となるべく混合しないようにすることが重要である。
図1に示すような空気の循環においては、空気齢の低い(送風ユニット2から供給されてからの時間が短い)空気を対象空間Sの下方に供給し、空気齢の上がった空気を対象空間Sの上方に集めて吸込口7bから吸い込むことを意図している。すなわち、対象空間Sの上方には空気齢が高い空気が集まっているため、この空気を、吹出口7cの送風ユニット2から吹き出される空気の流れが極力誘引しないことが望ましい。ここで、本第一実施例では送風ユニット2を備えた吹出口7cの高さを床9から例えば1.5~2m程度の高さに設定している。これは例えば天井の高さに吹出口を設ける場合と比べて相当に低く、天井付近にある空気齢の高い空気を誘引してしまう虞が少ない。上記特許文献2に記載のシステムでは、誘引を抑えるために吹出口の近傍に必要に応じて垂れ壁を備えるようにしているが、本第一実施例のように送風ユニット2の設置高さを設定すれば、垂れ壁のような構造を不要としつつ、吹出口7cにおける周囲の空気の誘引を抑えることができる。
【0053】
さらに、このように送風ユニット2を低い位置に設ければ、その上の空間に冷却ユニット6を設けることができる。クリーンルームにおいて、対象空間内に冷却ユニットを設置する場合、該冷却ユニットは表面に結露が生じることがないようドライコイルとして構成されるが、万一、正常な稼働状態を逸脱して結露が生じたり、あるいは破損等によって水漏れが生じてしまう可能性を考え、高価な半導体生産装置等である機器の上方への設置は忌避されることもある。本第一実施例においては、床置き式のクリーン空調ユニット7の上下方向に関して中間部に送風ユニット2を備え、その上に冷却ユニット6を備えているので、冷却ユニット6の下に機器5が配置されることがなく、万一、結露や水漏れが生じても、水滴が機器5に影響してしまう虞がない。高い位置に送風ユニットを備える場合、建物の天井の高さ等の条件によっては平面視における冷却ユニットの設置位置を送風ユニットからずらす必要がある結果、機器の上にあたる位置に冷却ユニットを配置せざるを得ないこともあるが、本第一実施例のように送風ユニット2の位置を低く設定すれば、その上の空間を利用して冷却ユニット6の設置スペースを確保することができ、機器5の上方を避けることができるのである。
【0054】
また、本第一実施例のように送風ユニット2を低い位置に設置する場合には、該送風ユニット2を天井から吊り下げるような必要がなく、床置き式のユニット(クリーン空調ユニット7)の一部として送風ユニット2を設置することができるので、送風ユニット2の設置のための手間や費用を節減することもできる。
【0055】
図3、
図4は、本発明の実施による空調システムの機器配置の別の一例(第二実施例)を示している。上記第一実施例(
図1、
図2参照)では、冷却ユニット6を備えた空調ユニットを、FFUである送風ユニット2をも含むクリーン空調ユニット7として構成していたが、本第二実施例の場合、冷却ユニット6を備えた空調ユニット10を対象空間Sの外に設置している(作図の都合上、
図4では空調ユニット10の図示は省略している)。空調ユニット10は、冷却ユニット6のほか、ファンやフィルタ等を備えた一般的な空調装置である。
【0056】
これに伴い、本第二実施例では、対象空間Sの天井の高さに、対象空間S内の空気を還気として吸い込むための吸込口10aと、空調ユニット10からの空調空気を供給する供給口10bを設けている。平面視における吸込口10aおよび供給口10bの位置は、それぞれ対象空間Sの中央部(両端に位置する送風ユニット2の間の位置)および送風ユニット2の上方である。
【0057】
送風ユニット2に関しては、上記第一実施例と同様の位置に、床置き式のフレームを介して配置している。
【0058】
本第二実施例においても、上記第一実施例と同様、送風ユニット2から清浄な空気が下向きに供給され、床9に衝突して横向きに向きを変え、機器5の配置された対象空間Sの中央部に向かってコアンダ効果を伴いつつ進み、床9の上に温度成層を形成する。
【0059】
床9より上方に向かった空気に関しては、上記第一実施例の場合は対象空間S内に設置されたクリーン空調ユニット7の吸込口7bから送風ユニット2のファンの作動によって吸い込まれるようにしていたが、本第二実施例の場合は、天井の高さに設けられた吸込口10aから空調ユニット10のファンの作動によって室外に吸い出される。還気として吸い出された空気は、空調ユニット10の冷却ユニット6によって冷却された上で、供給口10bから空調空気として対象空間S内に供給される。空調空気は、供給口10bの下方に設置された送風ユニット2のファンによって該送風ユニット2に吸い寄せられ、フィルタによって浄化された上で送風ユニット2から下方へ吹き出される。
【0060】
本第二実施例においても、床9に対する送風ユニット2の高さや送風ユニット2における吹出風速を上記第一実施例と同様に設定することで、同様の作用効果を得ることができる。さらに本第二実施例の場合、送風ユニット2から見て空気を送る目的の向きの先に吸込口吸込口10aが設けられているため、ここからの吸い込みによっても空気の流れを駆動することで、上記第一実施例と比べてもさらに送風ユニット2からの清浄空気の到達距離を伸ばすことができる。
【0061】
上記第一実施例との比較における本第二実施例の利点としては、冷却ユニット6を室外に設置するため、結露や漏水への対策をより万全にすることができることと、空調ユニット10の設置の容易さが挙げられる。上記第一実施例のように冷却ユニット6を室内に設置する場合、外部の熱源機から室内の冷却ユニット6に冷媒を引き込むことになるため空調設備の設計が複雑になるが、本第二実施例のように対象空間Sの外に空気を送り出して冷却する場合、空調ユニット10としてパッケージエアコンを利用することもでき、そのようにした場合は、空調設備の設置に係るコストが少なく済む。空調ユニットの配置に関し、いずれの方式を採用するかについては、対象空間Sの規模や面積、天井の高さその他の条件に応じて適宜決定すればよい。
【0062】
尚、送風ユニット2の配置に関し、上記第一、第二実施例では対象空間Sの両端に壁8に沿って2列を配置し、そこから対象空間Sの中央に向かって空気を供給する構成を例示したが、これに限定されず、例えば対象空間の一端の壁際に送風ユニットを設け、そこから反対側の壁に向かって空気を供給するような構成(いわば、
図1、
図2および
図3に示した配置をちょうど半分にしたような構成)としてもよい。またあるいは、送風ユニットを例えば部屋の両端(壁際)および中央の領域に計3列(もしくはそれ以上の列数)で配置するような構成としてもよい。その他、送風ユニットの配置は、クリーンルームとする対象空間の面積や形状等の条件に応じて適宜設計するとよい。
【0063】
以上のように、上記各実施例のクリーンルームの空調システムは、対象空間Sの平面視における一部の領域に送風ユニット2を備え、送風ユニット2は浄化された空気を下方の衝突面(床)9に向かって送り出すよう配置されると共に、送風ユニット2の吹出口の前記衝突面(床)9からの高さは0.5m以上3.0m以下であり、且つ、送風ユニット2における吹出風速は0.15m/s以上1.5m/s以下としている。このようにすれば、送風ユニット2を床9に対し低い位置に設置することにより、強いコアンダ効果を利用して送風ユニット2からの気流の到達距離を長くすることができる。また、対象空間Sの上方に位置する空気齢の高い空気の誘引を抑えることもできる。
【0064】
一部実施例のクリーンルームの空調システムは、送風ユニット2の上方に、対象空間S内の空気を冷却する冷却ユニット6を備えている。このようにすれば、送風ユニット2の上方の空間を利用し、機器5の上方を避けて冷却ユニット6を配置することができる。
【0065】
一部実施例のクリーンルームの空調システムは、対象空間Sから吸い出した空気を冷却する冷却ユニット6を対象空間Sの外に備えると共に、対象空間S内の空気を吸い出して冷却ユニット6に導く吸込口10aと、冷却ユニット6からの空調空気を対象空間Sに供給する供給口10bとを備えている。このようにすれば、冷却ユニット6において生じ得る結露や漏水による影響をいっそう効果的に抑えることができると共に、冷却ユニット6を備えた空調ユニット10を容易に設置することができる。
【0066】
各実施例のクリーンルームの空調システムにおいては、送風ユニット2を対象空間Sの壁8に沿って配列している。このようにすれば、壁際の送風ユニット2から対象空間Sに配置された機器5へ空気を効率よく供給することができる。
【0067】
したがって、上記各実施例によれば、省スペース且つ安価にて好適にクリーンルームを実現し得る。
【0068】
尚、本発明のクリーンルームの空調システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
2 送風ユニット
6 冷却ユニット
8 壁
9 床
10a 吸込口
10b 供給口
S 対象空間
【要約】 (修正有)
【課題】省スペース且つ安価にて好適にクリーンルームを実現し得るクリーンルームの空調システムを提供する。
【解決手段】対象空間の平面視における一部の領域に送風ユニットを備え、送風ユニットは浄化された空気を下方の衝突面に向かって送り出すよう配置されると共に、送風ユニットの吹出口の衝突面からの高さは0.5m以上3.0m以下であり、且つ、送風ユニットにおける吹出風速は0.15m/s以上1.5m/s以下である。
【選択図】
図1