(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】表示システムおよび表示制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 31/00 20060101AFI20250210BHJP
【FI】
B66B31/00 A
B66B31/00 C
(21)【出願番号】P 2024026599
(22)【出願日】2024-02-26
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】藤村 祐希
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-091586(JP,A)
【文献】特開2022-028444(JP,A)
【文献】特開2021-020782(JP,A)
【文献】特開2000-255964(JP,A)
【文献】国際公開第2020/089957(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベア内で利用者を積載するステップ部が移動するエリアである移動エリアに隣接して設置されたデッキボード上に、前記ステップ部の進行方向に並べて設置された複数の表示装置と、
前記複数の表示装置ごとに、所定の表示情報を表示させる表示制御部を有する表示制御装置と、
前記移動エリア内を歩行する利用者を検知する第1の利用者検知部と、
前記第1の利用者検知部が検知した利用者の位置情報を取得する第1の位置情報取得部と、を備え、
前記表示制御部は、前記複数の表示装置のうち、前記第1の位置情報取得部が取得した位置情報に対応する表示装置を特定し、特定した表示装置に、前記検知した利用者に対する注意喚起情報を表示させ、
前記第1の位置情報取得部が取得した位置情報に基づいて、前記移動エリア内の前記ステップ部の進行方向に向かって右半分のエリアおよび左半分のエリアごとに、歩行する利用者がいる部分エリアの割合を示す歩行利用者割合を算出し、
前記歩行利用者割合が所定値以上の状態が所定時間以上継続したエリアを検知すると、前記複数の表示装置の少なくともいずれかにおいて、前記注意喚起情報を含む表示情報の表示形態を変更する、を表示システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記歩行利用者割合が所定値以上の状態が所定時間以上継続したエリアを検知すると、前記複数の表示装置の少なくともいずれかにおいて、前記注意喚起情報と前記注意喚起情報以外の情報とを交互に表示させるように切り替える、請求項
1に記載の表示システム。
【請求項3】
表示情報の種別ごとに、前記複数の表示装置のいずれかに表示させた時間を記憶する表示時間記憶部をさらに有する、請求項
2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記第1の利用者検知部は、予め設定された携行品を携行して前記乗客コンベアに乗り込もうとする利用者、または前記移動エリア内で迷惑行為を行う利用者をさらに検知する、請求項
1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記第1の利用者検知部は、前記移動エリア内の利用者の属性情報を取得し、
前記表示制御部は、前記注意喚起情報を表示していない表示装置で、前記属性情報に関連する情報を表示させる、請求項
1に記載の表示システム。
【請求項6】
乗客コンベア内で利用者を積載するステップ部が移動するエリアである移動エリアに隣接して設置されたデッキボード上に、前記ステップ部の進行方向に並べて設置された複数の表示装置と、
前記複数の表示装置ごとに、所定の表示情報を表示させる表示制御部を有する表示制御装置と、
前記乗客コンベアに乗り込もうとしている利用者および前記移動エリア内の利用者を検知する第2の利用者検知部と、
前記第2の利用者検知部が検知した前記移動エリア内の利用者の位置情報を取得する第2の位置情報取得部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記乗客コンベアに乗り込もうとしている利用者が検知されると、前記第2の位置情報取得部が取得した位置情報に基づいて、前記移動エリア内の前記ステップ部の進行方向に向かって右半分のエリアおよび左半分のエリアのうち、混雑度が低い方のエリアを特定し、
特定したエリア内であり且つ前記乗客コンベアの乗り口から所定距離内の位置に既に乗り込んだ利用者がいなければ、特定したエリアに対応する表示装置に、前記乗客コンベアへの乗り込み位置情報を含む乗り込み誘導情報を表示させる
、表示システム。
【請求項7】
乗客コンベア内で利用者を積載するステップ部が移動するエリアである移動エリアに隣接して設置されたデッキボード上に、前記ステップ部の進行方向に並べて設置された複数の表示装置に通信可能に接続された
表示制御装置が、
前記移動エリア内を歩行する利用者を検知すると、検知した利用者の位置情報を取得し、
前記複数の表示装置のうち、取得した位置情報に対応する表示装置を特定し、特定した表示装置に、前記検知した利用者に対する注意喚起情報を表示させ
、
取得した位置情報に基づいて、前記移動エリア内の前記ステップ部の進行方向に向かって右半分のエリアおよび左半分のエリアごとに、歩行する利用者がいる部分エリアの割合を示す歩行利用者割合を算出し、
前記歩行利用者割合が所定値以上の状態が所定時間以上継続したエリアを検知すると、前記複数の表示装置の少なくともいずれかにおいて、前記注意喚起情報を含む表示情報の表示形態を変更する、表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示システムおよび表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの1つであるエスカレータが設置されている多くの建物では、エスカレータの利用に関し、管理者から「エスカレータでは立ち止まろう」との注意喚起のアナウンスが出力されているが、守られていないことが多々ある。これは、利用者側に早く移動したいという心理的な欲求があること以外に、注意喚起のアナウンスがBGM化してしまい、自身が注意を受けていると感じないことに要因があると考えられる。
【0003】
これに鑑み、エスカレータの踏段に情報を投影するプロジェクタを設置し、エスカレータ内を利用者が歩行している場合に、このプロジェクタにより踏段に注意喚起の情報を投影させるシステムがある(例えば、特許文献1)。このシステムの技術を用いることで、エスカレータで歩行している利用者の注意をひくように、注意喚起の情報を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した技術により踏段に注意喚起の情報を投影させても、踏段の表面には多数の溝が形成されており、細かい情報が鮮明に表示されない場合があった。また、エスカレータに乗り込んでいる利用者が多い場合には利用者に遮られて情報が適正に踏段に投影されず、利用者が情報の内容を認識することができないという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乗客コンベアの利用者の注意を引きやすく、且つ利用者が視認しやすい状態で情報を表示させることが可能な、表示システムおよび表示制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によれば表示システムは、表示装置と表示制御装置とを備える。表示装置は、乗客コンベア内で利用者を積載するステップ部が移動するエリアである移動エリア外側に設置されたデッキボード上に、前記ステップ部の進行方向に並べて設置される。表示制御装置は、複数の表示装置ごとに、所定の表示情報を表示させる表示制御部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1~第3実施形態による表示システムの構成を示す全体図である。
【
図2】第1~第3実施形態による表示システムのカメラ装置および表示制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3A】第1実施形態による表示システムが実行する第1表示処理を示すフローチャートである。
【
図3B】第1実施形態による表示システムが実行する第1表示処理を示すフローチャートである。
【
図3C】第1実施形態による表示システムが実行する第1表示処理を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態による表示システムが実行する第1表示処理の表示処理例(1)に関する説明図である。
【
図5】第1実施形態による表示システムが実行する第1表示処理の表示処理例(2)に関する説明図である。
【
図6】第1実施形態による表示システムが実行する第1表示処理の表示処理例(3)に関する説明図である。
【
図7】第2実施形態による表示システムが実行する第2表示処理を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態による表示システムが実行する第2表示処理の表示処理例に関する説明図である。
【
図9】第3実施形態による表示システムが実行する第3表示処理の表示処理例に関する説明図である。
【
図10】第3実施形態による表示システムが実行する第3表示処理の他の表示処理例に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態として、乗客コンベアの一例であるエスカレータの利用者に対する情報を表示する表示システム、これに用いる表示制御装置、および表示制御方法について説明する。
【0010】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による表示システムの構成〉
図1は、第1実施形態による表示システム1Aの構成を示す全体図である。表示システム1Aは、エスカレータES内のモニタを用いて利用者に対する情報を表示するシステムである。エスカレータESは、利用者を積載して移動するステップ部である踏段2と、踏段2の移動方向に沿って踏段2の両側に設置された手摺3a、3bと、踏段2と手摺3a、3bとの間に設置されたデッキボード4a、4bとを備える。
【0011】
エスカレータES内で踏段2が移動する移動エリアを踏段移動エリア5とし、踏段移動エリア5内の踏段2の進行方向に向かって右半分を6個に分割したエリアをそれぞれ、部分エリア52a、52b、52c、52d、52e、および52fとし、左半分を6個に分割したエリアをそれぞれ、部分エリア52a、52b、52c、52d、52e、および52fとする。踏段移動エリア5内の右半分および左半分それぞれにおける部分エリアへの分割数は6個には限定されず、2個以上であれば何個でもよい。また、部分エリアは、踏段移動エリア5内で左右に分けず、進行方向に複数個に分割するのみでもよい。
【0012】
部分エリア51fおよび52fがエスカレータESの下階側にあり、部分エリア51aおよび52aがエスカレータESの上階側にあり、踏段2は、踏段移動エリア5内を
図1内の矢印d1方向、つまり下階から上階に向かって移動する。下階フロアの部分エリア51fおよび52fに隣接する位置に乗り口6があり、上階フロアの部分エリア51aおよび52aに隣接する位置に降り口7がある。
【0013】
表示システム1Aは、エスカレータES内のデッキボード4a上に設置された表示装置であるモニタ11a、11b、11c、11d、11e、および11fと、デッキボード4b上に設置されたモニタ12a、12b、12c、12d、12e、および12fと、降り口7付近の天井に設置されたカメラ装置20Aと、各モニタおよびカメラ装置20Aに通信可能に接続された表示制御装置30Aとを備える。
【0014】
モニタ11a、11b、11c、11d、11e、および11fはそれぞれ、部分エリア51a、51b、51c、51d、51e、および51fに対応して並べて設置される。また、モニタ12a、12b、12c、12d、12e、および12fはそれぞれ、部分エリア52a、52b、52c、52d、52e、および52fに対応して並べて設置される。
【0015】
モニタ11aと11bとの間、モニタ11bと11cとの間、モニタ11cと11dとの間、モニタ11dと11eとの間、およびモニタ11eと11fとの間は、それぞれ通信線13a、13b、13c、13d、および13eで接続されている。また、モニタ12aと12bとの間、モニタ12bと12cとの間、モニタ12cと12dとの間、モニタ12dと12eとの間、およびモニタ12eと12fとの間は、それぞれ通信線14a、14b、14c、14d、および14eで接続されている。
【0016】
図2は、カメラ装置20Aおよび表示制御装置30Aの詳細な構成を示すブロック図である。カメラ装置20Aは、撮像部21と、第1CPU22Aと、第1通信部23とを有する。撮像部21は、エスカレータES内を撮影して撮像情報を生成する。
【0017】
第1CPU22Aは、撮像情報取得部221と、第1の利用者検知部としての利用者検知部222Aと、第1の位置情報取得部としての位置情報取得部223Aとを有する。撮像情報取得部221は、撮像部21が生成した撮像情報を取得する。利用者検知部222Aは、撮像情報取得部221が取得した撮像情報を解析して、踏段移動エリア5内を歩行する利用者を検知する。位置情報取得部223Aは、利用者検知部222Aが検知した利用者の位置情報を取得する。第1通信部23は、位置情報取得部223Aが取得した利用者の位置情報を表示制御装置30Aに送信する。
【0018】
表示制御装置30Aは、記憶部31と、第2CPU33Aとを有する。記憶部31は、モニタ情報記憶部311と、表示情報記憶部312と、表示時間記憶部313とを有する。モニタ情報記憶部311は、モニタ11a、11b、11c、11d、11e、11f、12a、12b、12c、12d、12e、および12fそれぞれの識別情報および設置位置情報を記憶する。この各モニタの設置位置情報は、それぞれ対応する部分エリアの識別情報を含む。
【0019】
表示情報記憶部312は、エスカレータES内のモニタに表示させる表示情報として、広告情報、利用者への注意喚起を行うための注意喚起情報を記憶する。表示時間記憶部313は、後述するように表示制御部331Aが各モニタに表示させた広告情報の表示時間および注意喚起情報の表示時間を記憶する。第2通信部32は、カメラ装置20Aと、モニタ11aおよび12aとの通信を行う。
【0020】
第2CPU33Aは、表示制御部331Aを有する。表示制御部331Aは、カメラ装置20Aから取得した情報に基づいて各モニタに表示させる表示内容を決定し、決定した内容に対応する表示情報を表示情報記憶部312から取得して、それぞれ表示対象のモニタに、通信線13a、13b、13c、13d、13e、14a、14b、14c、14d、14eによる通信を利用して送信する。
【0021】
撮像情報取得部221、利用者検知部222A、および位置情報取得部223Aは、表示制御装置30A内に搭載してもよい。
【0022】
〈第1実施形態による表示システムの動作〉
図3A、
図3B、および
図3Cは、表示システム1Aが実行する第1表示処理を示すフローチャートである。表示システム1Aは、踏段移動エリア5内の踏段2の進行方向に向かって右半分のエリアおよび左半分のエリアそれぞれについて、
図3A、
図3B、および
図3Cの第1表示処理を実行する。表示システム1Aが稼動すると、カメラ装置20Aの撮像部21がエスカレータES内の撮影を開始する。撮像部21が撮影した撮像情報は撮像情報取得部221が取得し、利用者検知部222Aに送出する。
【0023】
利用者検知部222Aは、撮像情報取得部221が取得した撮像情報を解析して、踏段移動エリア5内の処理対象エリア(踏段移動エリア5の右半分エリアまたは左半分エリア)に利用者がいるか否かを監視する。利用者検知部222Aが処理対象エリア内に利用者を検知していないときには(S1の「NO」)、カメラ装置20Aから表示制御装置30Aへ利用者の検知に関する情報が送信されない。この場合、表示制御装置30Aの表示制御部331Aは、表示情報記憶部312から広告情報を取得し、処理対象エリアに対応する全モニタに送信して表示させる(S2)。
【0024】
利用者検知部222Aは、処理対象エリア内に利用者を検知すると(S1の「YES」)、さらに撮像情報を解析して、検知した利用者が処理対象エリア内を歩行しているか否かを監視する(S3)。
【0025】
利用者検知部222Aが、検知した利用者が処理対象エリア内を歩行していると判定したとき、つまり処理対象エリア内を歩行している利用者(以下、「歩行者」と記載する)を検知したとき(S3の「YES」)には、位置情報取得部223Aが、この歩行者の位置情報として歩行者がいる部分エリアの識別情報を取得する(S4)。位置情報取得部223Aは、取得した部分エリアの識別情報を、第1通信部23を介して表示制御装置30Aに送信する。
【0026】
表示制御装置30Aでは、カメラ装置20Aから送信された、歩行者がいる部分エリアの識別情報を、第2通信部32を介して表示制御部331Aが取得する。表示制御部331Aは、モニタ情報記憶部311に記憶されている情報に基づいて、取得した部分エリアの識別情報に対応するモニタを特定する。また表示制御部331Aは、注意喚起情報を表示情報記憶部312から取得する。ここで表示制御部331Aが取得する注意喚起情報は、利用者に歩行をやめることを促すためのテキスト情報「歩かないでください」である。
【0027】
表示制御部331Aは、取得した注意喚起情報を、特定したモニタに表示させる。つまり表示制御部331Aは、歩行者がいる部分エリアに対応するモニタのみで、注意喚起情報を表示させ、他のモニタでは広告情報を表示させる(S5)。
【0028】
ステップS5の表示を行った後、所定時間(例えば、3秒)が経過すると(S6の「YES」)、表示制御部331Aはカメラ装置20Aから送信される情報に基づいて、検知した利用者による歩行が継続しているか否かを判定する(S7)。ここで表示制御部331Aは、カメラ装置20Aから歩行者がいる部分エリアの識別情報を取得しない場合、この利用者が歩行をやめて立ち止まったと認識し、処理対象エリアに対応する全モニタに広告情報を送信して表示させるように切り替えてステップS1に戻る(S8→S1)。
【0029】
ステップS7において、表示制御部331Aが、検知した利用者による歩行が継続していると判定すると(S7の「YES」)、カメラ装置20Aから取得した情報に基づいて、歩行者がいる部分エリア数を計数する(S9)。
【0030】
表示制御部331Aは、踏段移動エリア5の右半分または左半分の全部分エリア数である6個に対する、歩行者がいる部分エリアの数の割合である歩行利用者割合が所定の閾値、例えば50%以上であるか否かを判定する(S10)。この閾値は50%には限定されず、適宜変更可能である。ここで、歩行利用者割合が所定値未満である場合(S10の「NO」)は、歩行者がいる部分エリアと注意喚起情報を表示しているモニタとが対応した位置にあるか否かを判定する(S11)。
【0031】
歩行者がいる部分エリアと注意喚起情報を表示しているモニタとが対応した位置にある場合は(S11の「YES」)、各モニタにおいて、ステップS5で表示させた表示内容を継続させる(S12)。歩行者がいる部分エリアと注意喚起情報を表示しているモニタとが対応した位置にない場合は(S11の「NO」)、対応するように、注意喚起情報を表示するモニタを変更する。具体的には、ステップS5で注意喚起情報を表示したモニタは広告情報を表示するように切り替え、新たに歩行者がいる部分エリアに対応すると判定されたモニタで、注意喚起情報を表示させるように切り替える(S13)。その後、ステップS6に移行する。
【0032】
また、ステップS10において算出した歩行利用者割合が所定値以上である場合(S10の「YES」)は、この状態が所定時間(例えば、1分)以上継続しているかを判定する(S14)。ここで、歩行利用者割合が所定値以上の状態が所定時間以上継続していない場合には(S14の「NO」)、ステップS11に移行する。
【0033】
ステップS14において、歩行利用者割合が所定値以上の状態が所定時間以上継続している場合には(S14の「YES」)、表示制御部331Aは、処理対象エリアに対応する全モニタで、注意喚起情報を含む表示情報の表示形態を変更する。具体的には、広告情報と注意喚起情報とを一定時間間隔で切り替えて表示させる(S15)。
【0034】
ステップS15の表示を行った後、所定時間(例えば、3秒)が経過すると(S16の「YES」)、表示制御部331Aはカメラ装置20Aから送信される情報に基づいて、検知した利用者による歩行が継続しているか否かを判定する(S17)。ここで表示制御部331Aは、カメラ装置20Aから歩行者がいる部分エリアの識別情報を取得しない場合、この利用者が歩行をやめて立ち止まったと認識し、処理対象エリアに対応する全モニタに広告情報を送信して表示させるように切り替えてステップS1に戻る(S18→S1)。
【0035】
ステップS17において、表示制御部331Aが、検知した利用者による歩行が継続していると判定すると(S17の「YES」)、カメラ装置20Aから取得した情報に基づいて、歩行者がいる部分エリア数を計数する(S19)。
【0036】
表示制御部331Aは、処理対象エリア内の全部分エリア数である6個に対する、歩行者がいる部分エリアの数で示される歩行利用者割合が所定の閾値、例えば50%以上であるか否かを判定する(S20)。ここで、算出した歩行利用者割合が所定値未満である場合(S20の「NO」)は、表示制御部331Aは、歩行者がいる部分エリアに対応するモニタのみで、注意喚起情報を表示させ、他のモニタでは広告情報を表示させるように切り替える(S21)。その後、ステップS6に移行する。
【0037】
また、ステップS20において歩行利用者割合が所定値以上である場合(S20の「YES」)は、この状態が所定時間(例えば、1分)以上継続しているかを判定する(S22)。ここで、歩行利用者割合が所定値以上である状態が所定時間以上継続していない場合には(S22の「NO」)、ステップS21に移行する。
【0038】
ステップS22において、歩行利用者割合が所定値以上である状態が所定時間以上継続している場合には(S22の「YES」)、表示制御部331Aは、エスカレータES内の全モニタで、広告情報と注意喚起情報とを一定時間間隔で切り替えて表示させる(S23)。その後、ステップS16に移行する。
【0039】
上述した表示処理を実行している間、表示制御部331Aは、各モニタに表示させた広告情報の表示時間および注意喚起情報の表示時間を、表示時間記憶部313に記憶させる。このとき、表示させたモニタ数も併せて記憶させてもよい。
【0040】
表示システム1Aの管理者は、表示時間記憶部313に記憶された広告情報の表示時間に応じて、広告主に請求する広告費を決定する。
【0041】
上述したフローチャートを用いて、表示システム1Aが実行する表示処理例(1)~(3)について、説明する。
【0042】
[表示処理例(1)]
表示処理例(1)として、
図4に示すように、踏段移動エリア5の進行方向に向かって右半分のエリアに属する部分エリア51e内に、上方向に踏段2上を歩いている利用者である歩行者U1がいる際に、この右半分のエリアに関する表示処理を行う場合について説明する。
【0043】
この場合、カメラ装置20Aの利用者検知部222Aが踏段移動エリア5の右半分エリア内に歩行者U1を検知し(S1の「YES」)、さらに検知した歩行者U1が歩行していると判定する(S3の「YES」)。
【0044】
位置情報取得部223Aは、この歩行者U1の位置情報として歩行者U1がいる部分エリア51eの識別情報を取得し、表示制御装置30Aに送信する(S4)。
【0045】
表示制御装置30Aの表示制御部331Aは、取得した識別情報に基づいて、部分エリア51eに対応するモニタであるモニタ11eを特定する。また表示制御部331Aは、利用者に歩行をやめることを促すための注意喚起情報を取得して特定したモニタ11eに表示させ、他のモニタでは広告情報を表示させる(S5)。
【0046】
ステップS5の表示を行ってから所定時間経過後(S6の「YES」)、歩行者U1が歩行をやめた場合には(S7の「NO」)、注意喚起情報の表示を終了し、処理対象としている踏段移動エリア5内の右半分のエリアに対応する全モニタに広告情報を表示するように切り替える(S8)。
【0047】
歩行者U1が歩行を続けた場合(S7の「YES」)、ここでは歩行者がいる部分エリアは1個のみであり、表示制御部331Aは、踏段移動エリア5の右半分の全部分エリア数である6個に対する、歩行者がいる部分エリアの数である1個の割合で示される歩行利用者割合が17%であり、閾値50%未満であると判定する(S9→S10の「NO」)。そして表示制御部331Aは、歩行者がいる部分エリアと注意喚起情報を表示しているモニタとが対応した位置にあるか否かを判定する(S11)。
【0048】
そして、歩行者U1がいる部分エリアと、注意喚起情報を表示しているモニタとが対応した位置にあればそのままの表示内容を継続させ(S12)、対応した位置になければ(S11の「NO」)、対応させるために、注意喚起情報を表示させるモニタを切り替える。
【0049】
例えば、歩行者U1が部分エリア51dに進んでいた場合、歩行者U1がいる部分エリア51dと注意喚起情報を表示しているモニタ11eとが対応した位置にないため(S11の「NO」)、対応させるために、注意喚起情報を表示させるモニタをモニタ11eからモニタ11dに切り替える(S13)。
【0050】
このように適宜切り替えながら歩行者U1に近い位置のモニタに注意喚起情報を表示させることで、歩行者U1がこの情報に気づきやすくなる。
【0051】
[表示処理例(2)]
表示処理例(2)として、
図5に示すように、踏段移動エリア5内で上方向に踏段2上を歩いている歩行者が、部分エリア51b内に1人(歩行者U2)、部分エリア51e内に2人(歩行者U3およびU4)おり、立ち止まって乗車している利用者が、部分エリア52b内に1人(利用者U11)、部分エリア52c内に1人(利用者U12)、部分エリア52e内に1人(利用者U13)がいる場合について説明する。
【0052】
まず、踏段移動エリア5の進行方向に向かって右半分のエリアに関する表示処理を行う場合について説明する。この場合、カメラ装置20Aの利用者検知部222Aが処理対象エリア内に歩行者U2、U3、U4を検知し(S1の「YES」)、さらに検知した歩行者U2、U3、U4が歩行していると判定する(S3の「YES」)。
【0053】
位置情報取得部223Aは、この歩行者U2、U3、U4の位置情報として、歩行者U2がいる部分エリア51bの識別情報および、歩行者U3、U4がいる部分エリア51eの識別情報を取得し、表示制御装置30Aに送信する(S4)。
【0054】
表示制御装置30Aの表示制御部331Aは、取得した識別情報に基づいて、部分エリア51bに対応するモニタ11bおよび部分エリア51eに対応するモニタ11eを特定する。また表示制御部331Aは、利用者に歩行をやめることを促すための注意喚起情報を取得して特定したモニタ11bおよび11eに表示させ、他のモニタでは広告情報を表示させる(S5)。
【0055】
ステップS5の表示を行ってから所定時間経過後(S6の「YES」)、歩行者U2、U3、U4が歩行をやめた場合には(S7の「NO」)、注意喚起情報の表示を終了し、処理対象エリアに対応する右半分のエリア内の全モニタに広告情報を表示するように切り替える(S8)。
【0056】
歩行者U2、U3、U4が歩行を続けた場合(S7の「YES」)、ここでは歩行者がいる部分エリアは2個であり、表示制御部331Aは、処理対象エリアの全部分エリア数である6個に対する、歩行者がいる部分エリアの数である2個の割合で示される歩行利用者割合が33%であり、閾値50%未満であると判定する(S9→S10の「NO」)。
【0057】
表示制御部331Aは、歩行者がいる部分エリアと注意喚起情報を表示しているモニタとが対応した位置にあるか否かを判定する(S11)。そして、歩行者U2、U3、U4がいる部分エリアと、注意喚起情報を表示しているモニタとが対応した位置にあればそのままの表示内容を継続させ(S12)、対応した位置になければ(S11の「NO」)、対応させるために、注意喚起情報を表示させるモニタを切り替える。
【0058】
また、踏段移動エリア5の進行方向に向かって左半分のエリアに関する表示処理を行う場合について説明する。この場合、カメラ装置20Aの利用者検知部222Aが処理対象エリア内に利用者U11、U12、U13を検知するが(S1の「YES」)、検知した利用者は歩行していないと判定する(S3の「NO」)。
【0059】
このとき表示制御部331Aは、表示情報記憶部312から広告情報を取得し、処理対象エリアに対応する全モニタに送信して表示させる(S2)。
【0060】
このように適宜切り替えながら歩行者U2、U3、U4に近い位置のモニタに注意喚起情報を表示させ、歩行していない利用者に近い位置のモニタには広告情報を表示させることで、表示システム1Aは、歩行者U2、U3、U4に注意喚起しつつ、歩行していない利用者への広告効果を向上させることができる。
【0061】
[表示処理例(3)]
表示処理例(3)として、
図6に示すように、踏段移動エリア5内で上方向に踏段2上を歩いている歩行者が、部分エリア51b内に1人(歩行者U5)、部分エリア51d内に1人(歩行者U6)、部分エリア51e内に1人(歩行者U7)おり、立ち止まって乗車している利用者が、部分エリア52b内に1人(利用者U14)、部分エリア52c内に1人(利用者U15)、部分エリア52e内に1人(利用者U16)いる場合について説明する。
【0062】
まず、踏段移動エリア5の進行方向に向かって右半分のエリアに関する表示処理を行う場合について説明する。この場合、カメラ装置20Aの利用者検知部222Aが処理対象エリア内に歩行者U5、U6、U7を検知し(S1の「YES」)、さらに検知した歩行者U5、U6、U7が歩行していると判定する(S3の「YES」)。
【0063】
位置情報取得部223Aは、この歩行者U5、U6、U7の位置情報として、歩行者U5がいる部分エリア51bの識別情報、歩行者U6がいる部分エリア51dの識別情報、およびU7がいる部分エリア51eの識別情報を取得し、表示制御装置30Aに送信する(S4)。
【0064】
表示制御装置30Aの表示制御部331Aは、取得した識別情報に基づいて、部分エリア51bに対応するモニタ11b、部分エリア51dに対応するモニタ11d、および部分エリア51eに対応するモニタ11eを特定する。また表示制御部331Aは、利用者に歩行をやめることを促すための注意喚起情報を取得して特定したモニタ11b、11d、および11eに表示させ、他のモニタでは広告情報を表示させる(S5)。
【0065】
ステップS5の表示を行ってから所定時間経過後(S6の「YES」)、歩行者U5、U6、U7が歩行をやめた場合には(S7の「NO」)、注意喚起情報の表示を終了し、処理対象エリアに対応する全モニタに広告情報を表示するように切り替える(S8)。
【0066】
歩行者U5、U6、U7が歩行を続けた場合(S7の「YES」)、ここでは歩行者がいる部分エリアが3個であり、表示制御部331Aは、踏段移動エリア5の右半分の全部分エリア数である6個に対する、歩行者がいる部分エリアの数である3個の割合で示される歩行利用者割合が50%であり、閾値50%以上であると判定する(S9→S10の「YES」)。
【0067】
表示制御部331Aは、算出した歩行利用者割合が50%以上の状態が所定時間以上継続していると判定したときには(S14の「YES」)、処理対象エリアに対応する全モニタで、広告情報と注意喚起情報とを一定時間間隔で切り替えて表示させる(S15)。
【0068】
ステップS5の表示を行ってから所定時間経過後(S6の「YES」)、歩行者U5、U6、U7が歩行をやめた場合には(S17の「NO」)、注意喚起情報の表示を終了し、処理対象エリアに対応する全モニタに広告情報を表示するように切り替える(S18)。
【0069】
歩行者U5、U6、U7が歩行を続けた場合(S7の「YES」)、表示制御部331Aは、踏段移動エリア5の右半分の全部分エリア数である6個に対する、歩行者がいる部分エリアの数である3個の割合で示される歩行利用者割合が50%であり、閾値50%以上であると判定する(S19→S20の「YES」)。
【0070】
表示制御部331Aは、算出した歩行利用者割合が50%以上である状態が所定時間以上継続していると判定したときには(S22の「YES」)、エスカレータES内の全モニタで、広告情報と注意喚起情報とを一定時間間隔で切り替えて交互に表示させる(S23)。その後、ステップS16に移行する。
【0071】
以上の第1実施形態によれば表示システムは、エスカレータ内で利用者を積載する踏段が移動するエリアである踏段移動エリアに隣接して設置されたデッキボード上に、踏段の進行方向に並べて設置された複数のモニタと、複数のモニタごとに、所定の表示情報を表示させる表示制御部を有する表示制御装置と、を備える。これにより、エスカレータ利用者の注意をひきやすく、且つ他の利用者に遮られることがなく視認し易い状態で、情報を表示させることができる。
【0072】
また表示システムは、踏段移動エリア内を歩行する利用者を検知する利用者検知部と、利用者検知部が検知した利用者の位置情報を取得する位置情報取得部と、をさらに備え、表示制御部は、複数のモニタのうち、位置情報取得部が取得した位置情報に対応するモニタを特定し、特定したモニタに検知した利用者に対する注意喚起情報を表示させる。これにより、歩行者が注意をひきやすい状態で、注意喚起情報を表示させることができる。
【0073】
また、表示制御部は、位置情報取得部が取得した位置情報に基づいて、踏段移動エリア内の踏段の進行方向に向かって右半分のエリアおよび左半分のエリアごとに、歩行する利用者がいる部分エリアの割合を示す歩行利用者割合を算出し、歩行利用者割合が所定値以上の状態が所定時間以上継続したエリアを検知すると、検知したエリアに対応するモニタまたはエスカレータ内のモニタすべてにおいて、注意喚起情報を含む表示情報の表示形態を変更する。
【0074】
これにより、歩行者に注意喚起をしても歩行者が歩行を止めない場合に、歩行者がいる側の全モニタの表示形態を変更することで、歩行者が注意喚起情報をさらに気づきやすくなる。
【0075】
また、表示制御部は、歩行利用者割合が所定値以上の状態が所定時間以上継続したエリアを検知すると、エスカレータ内の表示装置の少なくともいずれかにおいて、注意喚起情報と注意喚起情報以外の情報である広告情報とを交互に表示させるように切り替える。
【0076】
これにより、通勤時間帯など数珠繋ぎでエスカレータ上に歩行者がいる場合であっても、注意喚起情報のみではなく広告情報も交互に表示され、広告情報が表示されない時間をなるべく短くすることができ、広告宣伝効果の低下を抑制することができる。また、注意喚起情報と広告情報との交互表示に切り替えるトリガを、「歩行利用者割合が所定値以上の状態が所定時間以上継続した」ときとすることで、モニタ表示が頻繁に切り替わることを抑制して、利用者がモニタに表示された情報を認識し易くすることができる。
【0077】
また、表示システムは、表示情報の種別ごと、つまり注意喚起情報および広告情報それぞれについて、複数のモニタのいずれかに表示させた時間を記憶する表示時間記憶部をさらに有する。これにより、表示システムは、表示時間に応じた広告費を広告主に請求することができる。
【0078】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による表示システムの構成〉
第2実施形態による表示システム1Bの構成は、第1実施形態で説明した表示システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0079】
本実施形態においてカメラ装置20Bの第2の利用者検知部としての利用者検知部222Bは、エスカレータESに乗り込もうとしている利用者および踏段移動エリア5内のすべての利用者を検知する。また第2の位置情報取得部としての位置情報取得部223Bは、利用者検知部222Bが検知した踏段移動エリア5内の利用者の位置情報を取得し、表示制御装置30Bに送信する。
【0080】
表示制御装置30Bの表示制御部331Bは、エスカレータESに乗り込もうとしている利用者が検知されると、カメラ装置20Bから取得した位置情報に基づいて、踏段移動エリア5内の踏段2の進行方向に向かって右半分のエリアおよび左半分のエリアのうち、混雑度が低い方のエリアを特定し、特定したエリア内であり且つ乗り口6から所定距離内の位置に既に乗り込んだ利用者がいなければ、特定したエリアに対応するモニタに、エスカレータESへの乗り込み位置情報を含む乗り込み誘導情報を表示させる。
【0081】
〈第2実施形態による表示システムの動作〉
本実施形態において表示システム1Bは、エスカレータESに乗り込もうとしている利用者に対する第2表示処理を実行する。
【0082】
図7は、表示システム1Bが実行する第2表示処理を示す。利用者検知部222Bは、撮像情報取得部221が取得した撮像情報を解析して、乗り口6付近にエスカレータESに乗り込もうとしている利用者がいるか否かを監視する。利用者検知部222Bが、エスカレータESに乗り込もうとしている利用者を検知すると(S21の「YES」)、さらに撮像情報を解析して、踏段移動エリア5内にいるすべての利用者を検知する(S22の「YES」)。
【0083】
位置情報取得部223Bは、検知した利用者がいる部分エリアの識別情報を取得する(S23)。位置情報取得部223Bは、取得した部分エリアの識別情報を、第1通信部23を介して表示制御装置30Bに送信する。
【0084】
表示制御装置30Bでは、カメラ装置20Bから送信された、利用者がいる部分エリアの識別情報を、第2通信部32を介して表示制御部331Bが取得する。表示制御部331Bは、取得した部分エリアの識別情報に基づいて、踏段移動エリア5の右半分および左半分それぞれの利用者数を計数する。表示制御部331Bは、踏段移動エリア5の右半分の計数値と左半分の計数値とに差がある否かを判定する(S24)。
【0085】
表示制御部331Bは、踏段移動エリア5の右半分の計数値と左半分の計数値とに差があると判定したときには(S24の「YES」)、直近で計数値が少ない側に乗り込んだ利用者がいるか否かを判定する(S25)。具体的には表示制御部331Bは、踏段移動エリア5の利用者の計数値が少ない側のエリア内で、乗り口6から所定距離内の位置に既に乗り込んだ利用者がいるか否かを判定する。
【0086】
直近で計数値が少ない側に乗り込んだ利用者がいない場合には(S26の「NO」)、表示制御部331Bは、乗り込み誘導情報を表示情報記憶部312から取得し、計数値が少ない側の乗り口6に最も近いモニタに表示させる(S26)。ここで表示させる乗り込み誘導情報は、利用者に乗り込む側を指定して乗り込みを誘導するためのテキスト情報「こちら側の手すりにつかまりお乗りください」である。
【0087】
ステップS21において、エスカレータESに乗り込もうとしている利用者を検知していないとき(S21の「NO」)、ステップS22において、踏段移動エリア5内に利用者を検知していないとき(S22の「NO」)、ステップS24において、踏段移動エリア5の右半分の計数値と左半分の計数値とに差がないと判定したとき(S24の「NO」)、および、ステップS25において、直近で計数値が少ない側に乗り込んだ利用者がいると判定したとき(S25の「YES」)には、表示制御部331Bは乗り込み誘導情報は表示させず、全モニタに広告情報を送信して表示させる(S27)。
【0088】
例えば、
図8に示すように、エスカレータESに乗り込もうとしている利用者U31が乗り口6におり、踏段移動エリア5の進行方向に向かって右半分のエリアに属する部分エリア51d内に1人(利用者U17)、左半分のエリアに属する部分エリア52b内に1人(利用者U18)、部分エリア52c内に1人(利用者U19)、部分エリア52e内に1人(利用者U20)いる場合について説明する。
【0089】
カメラ装置20Bの利用者検知部222Bが、エスカレータESに乗り込もうとしている利用者U31を検知すると(S21の「YES」)、さらに撮像情報を解析して、踏段移動エリア5内にいるすべての利用者U17、U18、U19、およびU20を検知する(S22の「YES」)。位置情報取得部223Bは、検知した利用者がいる部分エリアの識別情報として、部分エリア51d、52b、52c、52eの識別情報を取得し、表示制御装置30Bに送信する(S23)。
【0090】
表示制御装置30Bの表示制御部331Bは、取得した識別情報に基づいて、踏段移動エリア5の右半分の利用者数「1人」と、左半分の利用者数「3人」とに差があると判定する(S24の「YES」)。さらに表示制御部331Bは、直近で計数値が少ない側に乗り込んだ利用者、つまり計数値が少ない側である右半分のエリア内で乗り口6に最も近いエリアである部分エリア51fに既に乗り込んだ利用者がいないと判定する(S25の「NO」)。
【0091】
これにより表示制御部331Bは、計数値が少ない右側の乗り口6に最も近いモニタ11fに、乗り込み誘導情報を表示させる。利用者U31は、表示された乗り込み誘導情報を視認し、右側の踏段2に乗り込む。
【0092】
以上の第2実施形態によれば表示システムは、エスカレータに乗り込もうとしている利用者および踏段移動エリア内の利用者を検知する第2の利用者検知部と、第2の利用者検知部が検知した踏段移動エリア内の利用者の位置情報を取得する第2の位置情報取得部と、をさらに備え、表示制御部は、エスカレータに乗り込もうとしている利用者が検知されると、第2位置情報取得部が取得した位置情報に基づいて、踏段移動エリア内の踏段の進行方向に向かって右半分のエリアおよび左半分のエリアのうち、混雑度が低い方のエリアを特定し、特定したエリア内であり且つエスカレータの乗り口から所定距離内の位置に既に乗り込んだ利用者がいなければ、特定したエリアに対応する表示装置に、エスカレータへの乗り込み位置情報を含む乗り込み誘導情報を表示させる。
【0093】
このように乗り込み誘導情報を表示させて利用者を乗り込ませることで、エスカレータES内でなるべく利用者の位置が左右均等になり、空いた側を歩行する利用者を減少させることができるとともに、輸送効率の向上も図ることができる。
【0094】
《第3実施形態》
〈第3実施形態による表示システムの構成〉
第3実施形態による表示システム1Cの構成は、第1実施形態で説明した表示システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0095】
本実施形態においてカメラ装置20Cの利用者検知部222Cは、予め設定された携行品を携行してエスカレータESに乗り込もうとする利用者、または踏段移動エリア5内で迷惑行為を行う利用者をさらに検知する。位置情報取得部223Cは、利用者検知部222Cが検知した歩行者の位置情報を取得し、表示制御装置30Cに送信する。
【0096】
表示制御部331Cは、エスカレータES内のモニタのうち、カメラ装置20Cから取得した位置情報に対応するモニタを特定し、特定したモニタに、検知した利用者に対する注意喚起情報を表示させる。
【0097】
〈第3実施形態による表示システムの動作〉
本実施形態において表示システム1Cは、第1実施形態で説明した第1表示処理を実行するとともに、乗り口6に、エスカレータESに乗り込む際に携行することが適していない物品を携行して乗り込もうとしている利用者がいることを検知したときに、検知した利用者に対する注意喚起情報を表示する第3表示処理を実行する。
【0098】
例えば、
図9に示すように、エスカレータESに乗り込む際に携行することが適していない物品であるベビーカー、ショッピングカート、または大型のスーツケース等の大型物品Lを携行して、エスカレータESに乗り込もうとしている利用者U32が乗り口6にいる場合、表示制御部331Cは、カメラ装置20Cから送信される情報に基づいてこの利用者U32を認識する。
【0099】
この場合、表示制御部331Cは、乗り口6に最も近い左右それぞれのモニタ11fおよび12fに、注意喚起情報を表示させる。ここで表示させる注意喚起情報は、利用者U32に乗り込まないように注意するためのテキスト情報「エスカレータに乗り込まないでください」である。このように注意喚起情報を表示することにより、エスカレータの安全利用を推進させることができる。
【0100】
表示システム1Aはさらに、
図10に示すように、踏段移動エリア5内で迷惑行為を行う利用者として、部分エリア52cにいる利用者U21を盗撮している不審者U22がいることをカメラ装置20Cが検知した場合、カメラ装置20Cはこの不審者U22がいる部分エリア52dの識別情報を表示制御装置30Cに送信する。
【0101】
表示制御部331Cは、カメラ装置20Cから送信された情報に基づいて、この不審者U22がいる部分エリア52dに対応する位置およびこの位置よりも進行方向の前方の左右すべてのモニタ11a、11b、11c、11d、12a、12b、12c、および12dに、注意喚起情報を表示させる。ここで表示させる注意喚起情報は、不審者U22に迷惑行為をやめるように注意するためのテキスト情報「迷惑行為をやめてください」である。このように不審者U22の目線の先に注意喚起情報を表示させることで、注意喚起情報を認識させやすくなる。
【0102】
上述した第1~第3実施形態において、利用者検知部222A、222B、222Cが撮像情報を解析することで、踏段移動エリア5内の利用者の属性情報をさらに取得し、表示制御部331A、331B、331Cが、注意喚起情報等以外の情報として、取得した属性情報に関連する情報を表示させてもよい。
【0103】
例えば利用者検知部222A、222B、222Cは、エスカレータESに乗りこもうとしている利用者の性別、年齢等の属性情報をカメラ装置20A、20B、20Cの撮像情報からAI等を用いて分析し、表示制御部331A、331B、331Cが、この利用者の位置に対応するモニタにこの利用者に合った広告情報を表示してもよい。
【0104】
また、利用者検知部222A、222B、222Cは、エスカレータESに乗りこもうとしている利用者の識別情報を取得し、表示制御部331A、331B、331Cが予めこの利用者に関して登録された情報に基づいて、利用者が向かうべき階床の情報等を表示させたりしてもよい。
【0105】
また、上述した第1~第3実施形態では、踏段移動エリア5および乗り口6付近にいる利用者をカメラ装置が撮影した撮像情報を解析することで検知する場合について説明したが、これには限定されず、踏段2付近に設置されたセンサによるセンシング情報を用いて検知してもよい。
【0106】
また、上述した第1~第3実施形態では、下階から上階に向かって上り方向に移動するエスカレータESに表示システムを搭載する場合について説明したが、同様の構成の表示システムを下り方向に移動するエスカレータに搭載して動作させても、同様の効果を得ることができる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1A,1B,1C…表示システム、2…踏段、3a,3b…手摺、4a,4b…デッキボード、5…踏段移動エリア、6…乗り口、7…降り口、11a,11b,11c,11d,11e,11f,12a,12b,12c,12d,12e,12f…モニタ、13a,13b,13c,13d,13e,14a,14b,14c,14d,14e…通信線、20A,20B,20C…カメラ装置、21…撮像部、22A…第1CPU、23…第1通信部、30A,30B,30C…表示制御装置、31…記憶部、32…第2通信部、33A,33B,33C…第2CPU、51a,51b,51c,51d,51e,51f,52a,52b,52c,52d,52e,52f…部分エリア、221…撮像情報取得部、222A,222B,222C…利用者検知部、223A,223B,223C…位置情報取得部、311…モニタ情報記憶部、312…表示情報記憶部、313…表示時間記憶部、331A,331B,331C…表示制御部
【要約】
【課題】 乗客コンベアの利用者の注意を引きやすく、且つ利用者が視認しやすい状態で情報を表示させることが可能な表示システムを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば表示システムは、表示装置と表示制御装置とを備える。表示装置は、乗客コンベア内で利用者を積載するステップ部が移動するエリアである移動エリア外側に設置されたデッキボード上に、前記ステップ部の進行方向に並べて設置される。表示制御装置は、複数の表示装置ごとに、所定の表示情報を表示させる表示制御部を有する。
【選択図】
図1