IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

特許7631601エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法
<>
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図1
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図2
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図3
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図4
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図5
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図6
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図7
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図8
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図9
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図10
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図11
  • 特許-エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/00 20060101AFI20250210BHJP
【FI】
B66B11/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024098334
(22)【出願日】2024-06-18
【審査請求日】2024-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】大森 孝祐
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-026386(JP,A)
【文献】特開2007-055773(JP,A)
【文献】特開2007-238208(JP,A)
【文献】特開2018-184256(JP,A)
【文献】国際公開第2017/037910(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00 - 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのガイドレールに沿って昇降する釣合錘を構成する錘体を押し込んで整列させる釣合錘押込治具であって、
前記ガイドレールに取り外し可能に取り付けられた支持具と、
前記支持具に支持された押込具であって、前記釣合錘の正面で前記錘体に当接して前記錘体を押し込む押込具と、を備え、
前記押込具は、前記支持具に対して前記釣合錘の正面に垂直な方向に移動可能に前記支持具に取り付けられている、
エレベータの釣合錘押込治具。
【請求項2】
前記押込具は、前記支持具に螺合した押込ボルトと、前記押込ボルトの先端部に取り付けられた、前記釣合錘の正面で前記錘体に当接可能な錘当接部と、を含む、
請求項1に記載のエレベータの釣合錘押込治具。
【請求項3】
前記錘当接部は、前記押込ボルトに対して回転自由である、
請求項2に記載のエレベータの釣合錘押込治具。
【請求項4】
前記支持具は、前記ガイドレールに取り付けられた一対の側面梁と、各々の前記側面梁に取り付けられた、前記釣合錘の正面に対向する正面梁と、前記押込具を支持する支持構造体と、を含み、
前記支持構造体は、前記錘体とは反対側で前記正面梁に取り付けられた第1支持板と、前記第1支持板に対して前記錘体の側に位置する、前記第1支持板と前記正面梁を挟持する第2支持板と、前記第1支持板および前記第2支持板を前記正面梁に取り付ける取付ボルトと、前記第2支持板を前記第1支持板に支持する支持ボルトであって、前記第2支持板を前記正面梁には取り付けない支持ボルトと、を含み、
前記第2支持板は、前記支持ボルトが挿入される支持ボルト挿入孔を含み、
前記支持ボルト挿入孔は、鉛直方向に細長状に延びている、
請求項1または2に記載のエレベータの釣合錘押込治具。
【請求項5】
前記支持具は、前記ガイドレールに取り付けられた一対の側面梁と、各々の前記側面梁に取り付けられた、前記釣合錘の正面に対向する第1正面梁と、各々の前記側面梁に取り付けられた、前記釣合錘の正面に対向する第2正面梁であって、前記第1正面梁の上方に位置する第2正面梁と、前記押込具を支持する支持構造体と、を含み、
前記支持構造体の下部は、前記第1正面梁に取り付けられ、前記支持構造体の上部は、前記第2正面梁に取り付けられ、
前記押込具は、前記支持構造体のうち前記第1正面梁と前記第2正面梁との間の部分に取り付けられている、
請求項1または2に記載のエレベータの釣合錘押込治具。
【請求項6】
前記押込具は、横方向において異なる複数の位置で前記支持具に取付可能になっている、
請求項1または2に記載のエレベータの釣合錘押込治具。
【請求項7】
前記支持具は、横方向において異なる複数の位置に形成された複数の取付孔を含み、
前記押込具は、複数の前記取付孔のうちの任意の前記取付孔に取付ボルトを挿入して前記支持具に取付可能である、
請求項6に記載のエレベータの釣合錘押込治具。
【請求項8】
前記支持具に支持された、前記錘体の横方向の端部を支持する縦梁の裏面に当接するストッパを更に備えた、
請求項1または2に記載のエレベータの釣合錘押込治具。
【請求項9】
前記ストッパは、前記支持具に、鉛直方向に延びる2本のストッパボルトを用いて取り付けられており、
一方の前記ストッパボルトを取り外した場合、前記ストッパは、前記縦梁の裏面から離間可能である、
請求項8に記載のエレベータの釣合錘押込治具。
【請求項10】
支持具と押込具とを含む釣合錘押込治具を用いて、エレベータのガイドレールに沿って昇降する釣合錘を構成する錘体を押し込んで整列させる釣合錘押込方法であって、
前記ガイドレールに前記支持具を取り付けるとともに前記支持具に前記押込具を支持させる治具取付工程と、
前記釣合錘の正面で前記押込具を前記錘体に当接して前記錘体を押し込む押込工程と、
前記押込具を前記錘体から離間させる押込具離間工程と、
前記押込具を前記支持具から取り外すとともに前記支持具を前記ガイドレールから取り外す治具取外工程と、
を備え、
前記押込具は、前記支持具に対して前記釣合錘の前記正面に垂直な方向に移動可能に前記支持具に取り付けられている、
エレベータの釣合錘押込方法。
【請求項11】
前記押込具離間工程の後に、前記釣合錘を昇降させて、前記押込具を押込対象の他の前記錘体に対向させる昇降工程を更に備え、
前記昇降工程の後に、押込対象の前記錘体に対して前記押込工程を行う、
請求項10に記載のエレベータの釣合錘押込方法。
【請求項12】
前記押込工程の前に、前記支持具に取り付けられたストッパを、前記錘体の横方向の端部を支持する縦梁の裏面に当接させるストッパ当接工程と、
前記押込具離間工程の後であって前記昇降工程の前に、前記ストッパを前記縦梁の前記裏面から離間させるストッパ離間工程を更に備えた、
請求項11に記載のエレベータの釣合錘押込方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施の形態は、エレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗りかごと釣合錘が主ロープを介して連結されて、主ロープを巻き上げることにより、乗りかごを昇降させるエレベータ装置が知られている。釣合錘は、錘本体枠に複数の錘体を搭載することにより構成されている。錘体は、作業者の人力で、1枚ずつ錘本体枠に積載されているため、積載された錘体同士がずれる場合がある。この場合、釣合錘の正面で錘体の段差が形成されてしまう。この段差を無くすためには、錘本体枠から錘体を降ろし、1枚ずつ積載し直すことが考えられる。このことにより、複数の錘体を整列させることができる。しかしながら、この場合、錘体の整列作業に多くの時間が費やされる。また、錘体を積載し直す作業には、作業者の安全性に懸念点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-241549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施の形態は、錘体の整列作業を容易化させるとともに安全性を向上させることができるエレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態は、エレベータのガイドレールに沿って昇降する釣合錘を構成する錘体を押し込んで整列させる治具である。釣合錘押込治具は、ガイドレールに取り外し可能に取り付けられた支持具と、支持具に支持された押込具であって、釣合錘の正面で錘体に当接して錘体を押し込む押込具と、を備えている。押込具は、支持具に対して釣合錘の正面に垂直な方向に移動可能に前記支持具に取り付けられている。
【0006】
実施の形態は、支持具と押込具とを含む釣合錘押込治具を用いて、エレベータのガイドレールに沿って昇降する釣合錘を構成する錘体を押し込んで整列させる方法である。釣合錘押込方法は、ガイドレールに支持具を取り付けるとともに支持具に押込具を支持させる治具取付工程と、釣合錘の正面で押込具を錘体に当接して錘体を押し込む押込工程と、押込具を錘体から離間させる押込具離間工程と、押込具を支持具から取り外すとともに支持具をガイドレールから取り外す治具取外工程と、を備えている。押込具は、支持具に対して釣合錘の正面に垂直な方向に移動可能に支持具に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施の形態によるエレベータ装置を示す模式断面図である。
図2図2は、本実施の形態によるエレベータの釣合錘押込治具を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す支持構造体を裏側から示す斜視図である。
図4図4(a)は、図3に示す支持構造体の取付状態を示す側面図であり、図4(b)は、図3の支持構造体の第2支持板の退避状態を示す側面図である。
図5図5は、図3に示す押込具の錘当接部を示す断面図である。
図6図6は、図2に示すエレベータの釣合錘押込治具を示す上面図である。
図7図7は、図6に示すエレベータの釣合錘押込治具において、ストッパを錘本体枠から離間させた状態を示す上面図である。
図8図8は、図2に示すエレベータの釣合錘押込治具の押込具を錘体に当接させている状態を示す断面図である。
図9図9は、図2に示すエレベータの釣合錘押込治具の押込具を錘体から退避させた状態を示す断面図である。
図10図10は、本実施の形態によるエレベータの釣合錘押込方法を示すフローチャートである。
図11図11は、図10に示す治具取付工程の具体例を示すフローチャートである。
図12図12は、図10に示す治具取外工程の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本実施の形態におけるエレベータの釣合錘押込治具および釣合錘押込方法について説明する。ここではまず、本実施の形態によるエレベータ装置について説明する。
【0009】
図1に示すように、エレベータ装置1は、昇降路2内に配置された乗りかご3および釣合錘4を備えている。乗りかご3と釣合錘4は、主ロープ5を介して連結されている。主ロープ5は、巻上機6に設けられたトラクションシーブ6aおよび反らせシーブ7に巻き掛けられている。巻上機6が主ロープ5を巻き上げることにより、乗りかご3および釣合錘4が昇降する。乗りかご3は、鉛直方向に延びるかごガイドレール8に案内されながら昇降する。釣合錘4は、鉛直方向に延びる錘ガイドレール9に案内されながら昇降する。巻上機6は、昇降路2の上方に設けられた機械室10内に設置されている。機械室10には、制御盤11が設置されている。制御盤11は、巻上機6を含むエレベータ装置1の全体を制御する装置である。例えば、制御盤11は、乗場呼び、およびかご呼びに応じて巻上機6の運転を制御し、乗りかご3を呼び登録された階床の乗場12に着床させる。
【0010】
なお、エレベータ装置1は、図1に示す形態に限られることはない。例えば、いわゆる機械室レスのエレベータ装置であってもよい。すなわち、機械室10を設けることなく、巻上機6や制御盤11を昇降路2の上部等に設けるようにしてもよい。また、主ロープ5に釣合錘4が連結されずに、乗りかご3に連結された主ロープ5を巻上機6が巻き上げるまたは繰り出すようにしてもよい。この場合においても、巻上機6は、主ロープ5を介して乗りかご3を昇降させることができる。すなわち、エレベータ装置1は、釣合錘4を備えていないエレベータ装置であってもよい。
【0011】
図2に示すように、釣合錘4は、錘本体枠13と、複数の錘体14と、を含んでいる。錘本体枠13は、下梁15と、下梁15から上方に延びる一対の縦梁16と、一対の縦梁16の上端部を連結する上梁17と、を含んでいる。下梁15に錘体14が積載されている。縦梁16は、錘体14の横方向における対応する端部14aを支持するように構成され、錘体14は、縦梁16によって移動を規制されている。
【0012】
より具体的には、錘体14の横方向における両側の端部14aは、対応する縦梁16の凹部16aに挿入されている。このことにより、錘体14の水平移動を規制し、錘体14の脱落を防止している。しかしながら、錘体14の横方向の端部14aと、縦梁16の凹部16aの壁面との間には、錘体14の積載作業性を確保するためのギャップが形成されている。このため、錘本体枠13に積載された錘体14同士がずれて、釣合錘4の正面で錘体14の段差が形成される可能性がある。本実施の形態によるエレベータの釣合錘押込治具およびエレベータの釣合錘押込方法は、このような段差を削減して、錘体14を整列させるための治具および方法である。釣合錘4の正面とは、一対の縦梁16が左右に並ぶ状態で見たときに正面に位置する面であって、昇降路2の内側を向く面である。釣合錘4の正面は、乗りかご3を向く面であってもよい。
【0013】
次に、本実施の形態によるエレベータの釣合錘押込治具(以下、単に、釣合錘押込治具20と記す)について説明する。釣合錘押込治具20は、エレベータの錘ガイドレール9に沿って昇降する釣合錘4を構成する錘体14を押し込んで整列させるための治具である。
【0014】
図2に示すように、釣合錘押込治具20は、支持具30と、押込具50と、ストッパ60と、を含んでいる。
【0015】
まず、支持具30について説明する。
【0016】
図2に示すように、支持具30は、錘ガイドレール9に取り外し可能に取り付けられている。支持具30は、押込具50を錘ガイドレール9に支持させるように構成されている。支持具30は、一対の側面梁31と、第1正面梁32と、第2正面梁33と、支持構造体34と、を含んでいてもよい。
【0017】
側面梁31は、対応する錘ガイドレール9に取り外し可能に取り付けられている。より具体的には、正面から見たときに、左側に位置する錘ガイドレール9に、左側に位置する側面梁31が取り付けられ、右側に位置する錘ガイドレール9に、右側に位置する側面梁31が取り付けられている。側面梁31は、錘ガイドレール9および縦梁16に垂直に延びていてもよい。側面梁31は、水平に延びていてもよい。側面梁31は、レールクリップ18(図6参照)およびボルトを用いて錘ガイドレール9に取り付けられている。
【0018】
第1正面梁32は、各々の側面梁31に取り付けられている。第1正面梁32は、釣合錘4の正面に対向している。第1正面梁32は、錘ガイドレール9および縦梁16に垂直に延びていてもよい。第1正面梁32は、水平に延びていてもよい。第1正面梁32は、ボルト35を用いて側面梁31に取り付けられている。
【0019】
第2正面梁33は、各々の側面梁31に取り付けられている。第2正面梁33は、釣合錘4の正面に対向している。第2正面梁33は、第1正面梁32の上方に位置している。第2正面梁33は、錘ガイドレール9および縦梁16に垂直に延びていてもよい。第2正面梁33は、水平に延びていてもよい。第2正面梁33は、ボルト36(図6参照)を用いて側面梁31に取り付けられている。
【0020】
支持構造体34は、押込具50を支持するように構成されている。支持構造体34の下部は、第1正面梁32に取り付けられ、支持構造体34の上部は、第2正面梁33に取り付けられている。支持構造体34は、第1支持板37と、第2支持板38A、38B(図3参照)と、取付ボルト39と、支持ボルト40(図3参照)と、を含んでいてもよい。
【0021】
図2図4に示すように、第1支持板37は、錘体14とは反対側で支持具30の第1正面梁32および第2正面梁33に取り付けられている。第1支持板37は、第1正面梁32の正面および第2正面梁33の正面に当接している。第1正面梁32の正面は、錘体14とは反対側の面であり、第2正面梁33の正面は、錘体14とは反対側の面である。第1支持板37は、第1正面梁32よりも下方に延び出ている、第2正面梁33よりも上方に延び出ている。図3に示すように、第1支持板37の中央部には、重ね板41が重ねられている。重ね板41は、第1支持板37の錘体14の側に位置し、第1支持板37に接合されていてもよい。鉛直方向において、2つの第2支持板38A、38Bの間に位置している。後述する押込具50の押込ボルト51は、第1支持板37および重ね板41を貫通し、重ね板41に接合されたナットN1に螺合している。
【0022】
第2支持板38A、38Bは、第1支持板37に対して錘体14の側に位置している。図4に示すように、第2支持板38A、38Bは、第1支持板37と支持具30の第1正面梁32または第2正面梁33を挟持している。本実施の形態においては、支持構造体34は2つの第2支持板38A、38Bを含んでいる。一方の第2支持板38Aは、下方に位置しており、第1正面梁32に対向している。下方に位置する第2支持板38Aは、第1支持板37と第1正面梁32を挟持している。他方の第2支持板38Bは、上方に位置しており、第2正面梁33に対向している。上方に位置する第2支持板38Bは、第1支持板37と第2正面梁33を挟持している。
【0023】
図3および図4(a)に示すように、取付ボルト39は、第1支持板37および第2支持板38A、38Bを支持具30の第1正面梁32または第2正面梁33に取り付けるためのボルトである。より具体的には、2つの取付ボルト39を用いて、第1支持板37、第2支持板38Aおよび第1正面梁32が固定されている。これらの取付ボルト39は、図4に示すように、第1支持板37に形成されたボルト孔37aと、第2支持板38Aに形成された取付ボルト挿入孔38Aaと、第1正面梁32に形成された第1取付孔32aに挿入され、ナットN2で締結されている。他の2つの取付ボルト39を用いて、第1支持板37、第2支持板38Bおよび第2正面梁33が固定されている。これらの取付ボルト39は、第1支持板37に形成されたボルト孔37aと、第2支持板38Bに形成された取付ボルト挿入孔38Baと、第2正面梁33に形成された第2取付孔33aに挿入され、ナットN2で締結されている。
【0024】
図3および図4(a)に示すように、支持ボルト40は、第2支持板38A、38Bを第1支持板37に支持するためのボルトである。支持ボルト40は、第2支持板38A、38Bを支持具30の第1正面梁32および第2正面梁33には取り付けない。より具体的には、2つの支持ボルト40を用いて、第1支持板37および第2支持板38Aが互いに取り付けられている。第2支持板38Aは、第1正面梁32には取り付けられていない。これらの支持ボルト40は、第1支持板37に形成されたボルト孔37bと、第2支持板38Aに形成された支持ボルト挿入孔38Abと、下方に位置するアダプタ42に形成されたアダプタ孔42aに挿入されて締結されている。下方に位置するアダプタ42は、第1支持板37と第2支持板38Aとの間に介在されている。他の2つの支持ボルト40を用いて、第1支持板37および第2支持板38Bが互いに取り付けられている。第2支持板38Bは、第2正面梁33には取り付けられていない。これらの支持ボルト40は、第1支持板37に形成されたボルト孔37bと、第2支持板38Bに形成された支持ボルト挿入孔38Bbと、上方に位置するアダプタ42に形成されたアダプタ孔42aに挿入されて締結されている。上方に位置するアダプタ42は、第1支持板37および第2支持板38Bとの間に介在されている。
【0025】
図3および図4に示すように、支持ボルト挿入孔38Ab、38Bbは、鉛直方向に細長状に延びている。各々の支持ボルト挿入孔38Ab、38Bbは、長孔として形成されている。第2支持板38Aにおいては、取付ボルト挿入孔38Aaは、第2支持板38Aの上部に位置しており、支持ボルト挿入孔38Abは、第2支持板38Aの上部から下部に延びている。第2支持板38Aにおいては、取付ボルト挿入孔38Aaは、第2支持板38Aの下部に位置しており、支持ボルト挿入孔38Bbは、第2支持板38Aの下部から上部に延びている。
【0026】
図4(b)に示すように、上述した取付ボルト39で第1支持板37および第2支持板38A、38Bが第1正面梁32または第2正面梁33に取り付けられていない場合、第2支持板38A、38Bを上方および下方に移動させることができる。この場合においても、第2支持板38A、38Bを、支持ボルト40によって第1支持板37に支持させることができる。
【0027】
図2に示すように、支持構造体34は、横方向において異なる複数の位置で、第1正面梁32および第2正面梁33に取付可能になっている。より具体的には、第1正面梁32は、横方向において異なる複数の位置に形成された上述の複数の第1取付孔32aを含んでいる。第1取付孔32aは、第1正面梁32の横方向において異なる位置に形成されている。第2正面梁33は、横方向において異なる位置に形成された複数の第2取付孔33aを含んでいる。第2取付孔33aは、横方向において異なる位置に形成されている。支持構造体34の第1支持板37および第2支持板38A、38Bは、複数の第1取付孔32aおよび複数の第2取付孔33aのうちの任意の組み合わせの第1取付孔32aおよび第2取付孔33aに、取付ボルト39を挿入して第1正面梁32および第2正面梁33に取付可能になっている。
【0028】
次に、押込具50について説明する。
【0029】
図2および図3に示すように、押込具50は、上述した支持具30の支持構造体34に支持されている。押込具50は、支持構造体34のうち第1正面梁32と第2正面梁33との間の部分に取り付けられている。押込具50は、釣合錘4の正面に当接して、錘体14を押し込むように構成されている(図7参照)。押込具50は、支持具30の第1正面梁32および第2正面梁33に対して釣合錘4の正面に垂直な方向に移動可能に支持具30に取り付けられている。釣合錘4の正面は、錘本体枠13に積載された錘体14の側面のうち、正面側に位置する側面に相当する。押込具50は、押込ボルト51と、錘当接部52と、カラー53と、を含んでいてもよい。
【0030】
押込ボルト51は、支持具30の支持構造体34に螺合している。より具体的には、図3に示すように、押込ボルト51は、上述した重ね板41に接合されたナットN1に螺合している。押込ボルト51のボルト頭51a(図6参照)は、支持構造体34の第1支持板37に対して錘体14とは反対側に位置している。ボルト頭51aは、第1支持板37から離間している。押込ボルト51のネジ部51bは、右ネジで形成されていてもよい。ボルト頭51aを工具(図示せず)で把持して、錘体14に向かって見たときに、押込ボルト51を時計回りに回転させることにより、押込ボルト51を錘体14に対して前進させて、錘当接部52を錘体14に当接させることができる(図8参照)。一方、押込ボルト51を反時計回りに回転させることにより、押込ボルト51を錘体14から後退させて、錘当接部52を錘体14から離間させることができる(図9参照)。ネジ部51bは、右ネジで形成されることに限られることはなく、左ネジで形成されていてもよい。
【0031】
図3および図5に示すように、錘当接部52は、押込ボルト51の先端部に取り付けられている。錘当接部52は、釣合錘4の正面で錘体14に当接可能になっている。錘当接部52は、押込ボルト51に対して回転自由になっている。
【0032】
より具体的には、錘当接部52は、円筒状に形成された筒体54と、筒体54の一端部に接続されたフランジ55と、を含んでいる。筒体54は、錘体14に当接可能な当接面54aを含んでいる。筒体54の直径は、錘体14の厚さよりも大きくてもよい。この場合、筒体54は、複数の錘体14に当接可能になっている。後述する図7に示す例では、筒体54は、4つの錘体14に当接可能になっている。
【0033】
筒体54の内側に、押込ボルト51のネジ部51b、ナットN3、ワッシャ56が挿入されている。フランジ55は、後述するカラー53が挿入されるフランジ孔55aを含んでいる。フランジ孔55aとカラー53との間に隙間が形成されていてもよい。また、カラー53の厚さは、フランジ55の厚さよりも厚くてもよい。このようにして、錘当接部52は、押込ボルト51に対して回転自由になっている。
【0034】
カラー53は、押込ボルト51のネジ部51bが挿入されるカラー挿入孔53aを含んでいる。カラー挿入孔53aに、ネジ部51bが挿入されている。カラー挿入孔53aには、ネジ部は形成されていなくてもよい。
【0035】
カラー53の両側では、ナットN3、N4が、押込ボルト51のネジ部51bに螺合している。ナットN3、N4とカラー53との間に、押込ボルト51のネジ部51bが挿入されたワッシャ56が介在されている。2つのナットN3、N4は互いに締め付けられており、対応するワッシャ56を介してカラー53の端面に当接している。ワッシャ56は、押込ボルト51の中心軸線に沿う方向で見たときに、カラー53よりも大きな平面形状を有している。ワッシャ56は、錘当接部52のフランジ55に当接可能になっている。このことにより、錘当接部52のフランジ55を、2つのワッシャ56の間の領域に保持することができる。2つのワッシャ56の間の領域で、錘当接部52は、押込ボルト51の中心軸線に沿う方向に移動可能になっているとともに、押込ボルト51に対して回転自由になっている。
【0036】
このように構成された押込具50は、図2に示すように、横方向において異なる位置で支持具30に取付可能になっている。上述したように、押込具50は、支持構造体34に支持されている。支持構造体34は、横方向において異なる複数の位置で第1正面梁32および第2正面梁33に取付可能になっている。支持構造体34は、第1正面梁32および第2正面梁33に形成された複数の第1取付孔32aおよび複数の第2取付孔33aのうちの任意の組み合わせの第1取付孔32aおよび第2取付孔33aに取付ボルト39を挿入して第1正面梁32および第2正面梁33に取付可能になっている。このため、押込具50も、第1正面梁32および第2正面梁33に形成された複数の第1取付孔32aおよび複数の第2取付孔33aのうちの任意の第1取付孔32aおよび第2取付孔33aに取付ボルト39を挿入して第1正面梁32および第2正面梁33に取付可能になっている。
【0037】
次に、ストッパ60について説明する。
【0038】
図6に示すように、ストッパ60は、錘本体枠13の縦梁16の裏面に当接するように構成されている。各々の縦梁16に、ストッパ60が当接する。ストッパ60は、支持具30の対応する側面梁31に支持されている。ストッパ60は、側面梁31に2本のストッパボルト61を用いて、側面梁31に取り付けられている。図7に示すように、一方のストッパボルト61を取り外した場合、ストッパ60は、縦梁16の裏面から離間可能になっている。この場合、ストッパ60は、取り付いた状態のボルトを支点にて回動することにより、縦梁16の裏面から離間することができる。
【0039】
次に、このような構成からなる本実施の形態による釣合錘押込治具20を用いた釣合錘押込方法について図10図12を用いて説明する。釣合錘押込方法は、支持具30と押込具50とを含む釣合錘押込治具20を用いて錘体14を押し込んで整列させる方法である。
【0040】
まず、図10に示すように、ステップS1として、錘ガイドレール9に支持具30を取り付けるとともに、支持具30に押込具50を支持させる(治具取付工程)。
【0041】
治具取付工程においては、図11に示すように、まず、各々の側面梁31に、ストッパ60を取り付ける(ステップS11)。続いて、各々の錘ガイドレール9に、側面梁31を取り付ける(ステップS12)。続いて、各々の側面梁31に、第1正面梁32および第2正面梁33を取り付ける(ステップS13)。続いて、第1正面梁32および第2正面梁33に、支持構造体34を取り付ける(ステップS14)。続いて、支持構造体34に、押込具50を取り付ける(ステップS15)。ステップS15においては、押込具50の錘当接部52は、錘体14に当接しないように、錘体14から後退させておく(図9参照)。
【0042】
ステップS14についてより具体的に説明する。まず、支持構造体34の第1支持板37に、支持ボルト40を用いて、第2支持板38Aおよび第2支持板38Bが取り付けられる。続いて、図4(b)に示すように、第1支持板37を、第1正面梁32および第2正面梁33に当接させる。この際、第2支持板38Aを下方に移動させておくとともに第2支持板38Bを上方に移動させておく。
【0043】
より具体的には、第2支持板38Aの支持ボルト挿入孔38Abが、鉛直方向に延びる長孔として形成されていることから、第2支持板38Aが支持ボルト挿入孔38Abの上部に位置するように、第2支持板38Aを下方に移動させておく。このことにより、第2支持板38Aが、第1正面梁32に干渉することを回避できる。同様に、第2支持板38Bの支持ボルト挿入孔38Bbが、鉛直方向に延びる長孔として形成されていることから、第2支持板38Bが支持ボルト挿入孔38Bbの下部に位置するように、第2支持板38Bを上方に移動させておく。このことにより、第2支持板38Bが、第2正面梁33に干渉することを回避できる。また、第1支持板37を第1正面梁32および第2正面梁33に当接した際に、第2支持板38A、38Bが第1支持板37から落下することを防止できる。
【0044】
その後、図4(a)に示すように、第2支持板38Aを上方に移動させて、取付ボルト39で、第1支持板37および第2支持板38Aを、第1正面梁32に取り付ける。同様に、第2支持板38Bを下方に移動させて、取付ボルト39で、第1支持板37および第2支持板38Bを、第2正面梁33に取り付ける。このようにして、第1正面梁32および第2正面梁33に、支持構造体34を取り付けることができる。
【0045】
ステップS1に続くステップS2として、図10に示すように、釣合錘4を昇降させて、押込具50を押込対象の錘体14に対向させる(昇降工程)。より具体的には、押込対象となる錘体14が、錘当接部52に対向するように釣合錘4の高さを調整する。この場合、上述した巻上機6を駆動して、釣合錘4を昇降させる。
【0046】
ステップS2に続くステップS3として、側面梁31に取り付けられたストッパ60を、錘本体枠13の縦梁16の裏面に当接させる(ストッパ当接工程)。この場合、2つのストッパボルト61のうちの一方を取り外す(図7参照)。このことにより、ストッパ60を回動させて、縦梁16の裏面に当接させることができる。その後、2つのストッパボルト61で、ストッパ60を固定する(図6参照)。
【0047】
ステップS3に続くステップS4として、釣合錘4の正面で、押込具50を釣合錘4の錘体14に当接させ、錘体14を押し込む(押込工程)。この場合、押込ボルト51のボルト頭51aを、図示しない工具で把持して押込ボルト51を回転させる。このことにより、押込ボルト51と、押込ボルト51の先端部に取り付けられた錘当接部52が錘体14に向かって前進する(図8参照)。やがて、錘当接部52が複数の錘体14に当接し、更に押込ボルト51を回転し続けると、錘当接部52が複数の錘体14を押し込むことができる。各々の錘体14は、釣合錘4の裏側に向かって移動し、縦梁16の凹部16aの壁面に当接する。このとき、各々の錘体14は、これ以上移動しなくなり、押込工程を終了する。このようにして、1回の押込具50により押込で、複数の錘体14を釣合錘4の裏側に押し込むことができる。
【0048】
ステップS5に続くステップS5として、押込具50を錘体14から離間させる(押込具離間工程)。この場合、押込ボルト51を押込工程とは反対方向に回転させる。このことにより、錘当接部52が錘体14から離間して後退する(図9参照)。
【0049】
ステップS5に続くステップS6として、押込対象となる他の錘体14が有るか否かを確認する。
【0050】
押込対象となる他の錘体14が無い場合、ステップS7として、支持具30から押込具50を取り外すとともに、錘ガイドレール9から支持具30を取り外す(支持具取外工程)。上述したステップS1における治具取付工程と逆の手順で押込具50および支持具30を取り外すことができる。
【0051】
より具体的には、治具取外工程においては、図12に示すように、支持構造体34から押込具50を取り外す(ステップS21)。続いて、第1正面梁32および第2正面梁33から支持構造体34を取り外す(ステップS22)。続いて、各々の側面梁31から、第1正面梁32および第2正面梁33を取り外す(ステップS23)。続いて、各々の錘ガイドレール9から、側面梁31を取り外す(ステップS24)。続いて、各々の側面梁31から、ストッパ60を取り外す(ステップS25)。
【0052】
押込対象となる他の錘体14が有る場合、図10に示すように、ステップS8として、ストッパ60を縦梁16の裏面から離間させる(ストッパ離間工程)。この場合、2つのストッパボルト61のうちの一方を取り外す(図7参照)。このことにより、ストッパ60を回動させて、縦梁16の裏面から離間させることができる。
【0053】
ステップS8の後、上述したステップS2に戻り、釣合錘4を昇降させて、押込具50を押込対象の他の錘体14に対向させる(昇降工程)。より具体的には、押込対象となる他の錘体14が、錘当接部52に対向するように釣合錘4の高さを調整する。
【0054】
その後、上述したステップS3によるストッパ当接工程およびステップS4による押込工程が行われ、押込対象となる錘体14を押し込む。このことにより、今回のステップS4で押し込まれた錘体14と、前回のステップS4で押し込まれた錘体14が、釣合錘4の正面で整列されて、段差が削減される。
【0055】
その後、押込対象となる錘体14が他に存在しない場合には、ステップS6に進む。押込対象となる錘体14が他にも存在する場合には、ステップS8に進み、押込対象となる錘体14が存在するまで、錘体14を押し込むステップが繰り返される。
【0056】
このようにして、複数の錘体14が、釣合錘4の正面で整列される。錘体14を整列させることにより、錘体14の段差を無くすことができる。展望用エレベータでは、美観対策として効果的である。なお、複数の錘体14のうち、上部に位置する錘体14は、釣合錘押込治具20を用いることなく、手作業で押し込んでもよい。
【0057】
このように本実施の形態によれば、錘ガイドレール9に取り付けられた支持具30に押込具50が支持され、押込具50が、支持具30に対して釣合錘4の正面に垂直な方向に移動可能に支持具30に取り付けられている。このことにより、押込具50は、釣合錘4の正面で錘体14に当接して錘体14を押し込むことができ、釣合錘4の正面で、錘体14を整列させることができる。このため、錘体14の整列作業を容易化させることができるとともに、錘体14の整列作業の安全性を向上させることができる。また、整列作業に要する時間を低減することもできる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、押込具50は、支持具30に螺合した押込ボルト51と、押込ボルト51の先端部に取り付けられた錘当接部52と、を含んでいる。錘当接部52は、釣合錘4の正面で錘体14に当接可能になっている。このことにより、錘当接部52を、支持具30に対して釣合錘4の正面に垂直な方向に移動させることができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、錘当接部52は、押込ボルト51に対して回転自由になっている。このことにより、錘当接部52が錘体14に当接しながら、押込ボルト51を回転させた場合であっても、錘当接部52に押込ボルト51の回転力が伝わることを防止できる。このため、錘当接部52に押込ボルト51の回転力が負荷されることを防止できる。また、錘当接部52と錘体14との間の摩擦力によって、押込ボルト51を回転するために必要な力が増大することを回避でき、押込ボルト51の操作力を軽減できる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、支持構造体34の第2支持板38A、38Bが、第2支持板38A、38Bを第1支持板37に支持させるための支持ボルト40が挿入される支持ボルト挿入孔38Ab、38Bbを含んでいる。支持ボルト挿入孔38Ab、38Bbは、鉛直方向に細長状に延びている。このことにより、第2支持板38A、38Bを、第1支持板37に支持させながら、第1支持板37に対して鉛直方向に移動させることができる。このため、第1支持板37を第1正面梁32および第2正面梁33に当接させた際に、第2支持板38A、38Bが第1正面梁32および第2正面梁33に干渉することを回避できる。また、第2支持板38A、38Bが、第1支持板37から落下することを防止できる。この結果、支持構造体34の取付作業を容易化させることができ、作業性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、支持構造体34の下部は、第1正面梁32に取り付けられ、支持構造体34の上部は、第2正面梁33に取り付けられている。押込具50は、支持構造体34のうち第1正面梁32と第2正面梁33との間の部分に取り付けられている。このことにより、押込具50により錘体14を押し込む際に、支持構造体34がねじれることを防止できる。このため、錘体14の押込の作業性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、押込具50は、横方向において異なる複数の位置で支持具30に取付可能になっている。このことにより、釣合錘4の正面に対して錘体14が傾斜している場合には、錘体14の突出している位置に応じて押込具50の取付位置を変更することができる。このため、錘体14を全体的に押し込むことができ、錘体14の整列作業を容易化させることができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、支持具30は、横方向において異なる複数の位置に形成された複数の第1取付孔32aおよび複数の第2取付孔33aを含んでいる。押込具50は、複数の第1取付孔32aおよび複数の第2取付孔33aのうちの任意の第1取付孔32aおよび第2取付孔33aに取付ボルト39を挿入して支持具30に取付可能になっている。このことにより、押込具50を、横方向において異なる複数の位置で支持具30に取り付けることができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、支持具30に支持されたストッパ60が、錘体14の横方向の端部を支持する縦梁16の裏面に当接する。このことにより、押込具50で錘体14を押し込む際に、図示しないガイドシューまたはガイドレールで構成される釣合錘4のガイド部材に力が掛かることを防止することができる。また、押込具50で錘体14を押し込む際に、釣合錘押込治具20は、釣合錘4を保持することができる。このため、押込具50は、錘体14を効果的に押し込むことができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、ストッパ60は、支持具30に、鉛直方向に延びる2本のストッパボルト61を用いて取り付けられている。一方のストッパボルト61を取り外した場合、ストッパ60は、縦梁16の裏面から離間可能になっている。このことにより、ストッパ60を縦梁16の裏面から離間させることにより、釣合錘4を、支持具30が錘ガイドレール9に取り付けられた状態で昇降させることができる。このため、押込対象の錘体14に押込具50を容易に対向させることができ、錘体14の整列の作業性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、押込具離間工程の後、釣合錘4を昇降させて、押込具50を押込対象の錘体14に対向させる昇降工程が行われる。昇降工程の後、押込対象の錘体14に対して押込工程を行う。このことにより、押込具50を押込対象の錘体14に容易に対向させることができる。このため、錘体14の整列の作業性を向上させることができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、押込工程の前に、支持具30に取り付けられたストッパ60を、錘体14の横方向の端部14aを支持する縦梁16の裏面に当接させるストッパ当接工程が行われる。押込具離間工程の後であって昇降工程の前に、ストッパ60を縦梁16の裏面から離間させるストッパ離間工程が行われる。このことにより、釣合錘4を、支持具30が錘ガイドレール9に取り付けられた状態で昇降させることができる。このため、押込対象の錘体14に押込具50を容易に対向させることができ、錘体14の整列の作業性を向上させることができる。
【0068】
以上述べた実施の形態によれば、錘体14の整列作業を容易化させるとともに安全性を向上させることができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1:エレベータ装置、4:釣合錘、9:錘ガイドレール、14:錘体、14a:端部、16:縦梁、20:釣合錘押込治具、30:支持具、31:側面梁、32:第1正面梁、32a:第1取付孔、33:第2正面梁、33a:第2取付孔、34:支持構造体、37:第1支持板、38A:第2支持板、38Ab:支持ボルト挿入孔、38B:第2支持板、38Bb:支持ボルト挿入孔、39:取付ボルト、40:支持ボルト、50:押込具、51:押込ボルト、52:錘当接部、60:ストッパ、61:ストッパボルト
【要約】
【課題】錘体の整列作業を容易化させるとともに安全性を向上させることができるエレベータの釣合錘押込治具を提供する。
【解決手段】実施の形態による釣合錘押込治具は、ガイドレールに取り外し可能に取り付けられた支持具と、支持具に支持された押込具であって、釣合錘の正面で錘体に当接して錘体を押し込む押込具と、を含んでいる。押込具は、支持具に対して釣合錘の正面に垂直な方向に移動可能に支持具に取り付けられている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12