(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ステータ、モータ、及び、ステータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/28 20060101AFI20250212BHJP
H02K 15/095 20060101ALI20250212BHJP
H02K 3/52 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H02K3/28 J
H02K15/095
H02K3/52 E
(21)【出願番号】P 2021013720
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】398061810
【氏名又は名称】ニデックテクノモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】川島 丈典
(72)【発明者】
【氏名】鶴 壮馬
(72)【発明者】
【氏名】石川 将之
(72)【発明者】
【氏名】東谷 翔太
(72)【発明者】
【氏名】松本 周也
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-166727(JP,A)
【文献】特開2006-020490(JP,A)
【文献】特開2014-087087(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220635(WO,A1)
【文献】特開2013-102596(JP,A)
【文献】特開2020-167847(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181571(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/28
H02K 15/095
H02K 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸を中心に配置されるステータコアと、
前記ステータコアの少なくとも一部を覆うインシュレータと、
前記インシュレータを介して前記ステータコアに第1導線が巻き付けられた複数の巻線によって構成される第1相巻線群と、
前記インシュレータを介して前記ステータコアに第2導線が巻き付けられた複数の巻線によって構成される第2相巻線群と、
前記インシュレータを介して前記ステータコアに第3導線が巻き付けられた複数の巻線によって構成される第3相巻線群と
を有し、
前記ステータコアは、
中心軸を中心に環状に配置されるコアバックと、
前記コアバックから径方向に延びる第1ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第2ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第3ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第4ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第5ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第6ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第7ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第8ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第9ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第10ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第11ティースと、
前記コアバックから径方向に延びる第12ティースと、
を有し、
前記第1ティース、前記第2ティース、前記第3ティース、前記第4ティース、前記第5ティース、前記第6ティース、前記第7ティース、前記第8ティース、前記第9ティース、前記第10ティース、前記第11ティース、及び、前記第12ティースは、この順番で周方向に配置され、
前記コアバックのうち、前記第1ティースが延びる前記コアバックの周方向一方端と、前記第12ティースが延びる前記コアバックの周方向他方端とが結合され、
前記第1相巻線群は、前記第1ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第1巻線と、前記第2ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向と逆の第2方向に巻き付けられた第2巻線と、前記第7ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第7巻線と、前記第8ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第8巻線とを有し、
前記第2相巻線群は、前記第3ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第3巻線と、前記第4ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第4巻線と、前記第9ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第9巻線と、前記第10ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第10巻線とを有し、
前記第3相巻線群は、前記第5ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第5巻線と、前記第6ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第6巻線と、前記第11ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第11巻線と、前記第12ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第12巻線とを有し、
前記第1相巻線群では、前記第1巻線と前記第8巻線とが接続され、前記第8巻線と前記第7巻線とが接続され、前記第7巻線と前記第2巻線とが接続され、
前記第2相巻線群では、前記第3巻線と前記第10巻線とが接続され、前記第10巻線と前記第9巻線とが接続され、前記第9巻線と前記第4巻線とが接続され、
前記第3相巻線群では、前記第5巻線と前記第12巻線とが接続され、前記第12巻線と前記第11巻線とが接続され、前記第11巻線と前記第6巻線とが接続され、
前記第1相巻線群の一方端末線は前記第1ティースに位置し、前記第2相巻線群の一方端末線は前記第3ティースに位置し、前記第3相巻線群の一方端末線は前記第5ティースに位置し、
前記第1相巻線群の他方端末線は前記第2ティースに位置し、前記第2相巻線群の他方端末線は前記第4ティースに位置し、前記第3相巻線群の他方端末線は前記第6ティースに位置し、
前記第1相巻線群の一方端末線は前記第1ティースに位置し、前記第2相巻線群の一方端末線は前記第3ティースに位置し、前記第3相巻線群の一方端末線は前記第5ティースに位置し、
前記第1相巻線群の他方端末線は前記第2ティースに位置し、前記第2相巻線群の他方端末線は前記第4ティースに位置し、前記第3相巻線群の他方端末線は前記第6ティースに位置する、ステータ。
【請求項2】
前記第1相巻線群から前記第3相巻線群のうちのいずれか1つの巻線群と、前記巻線群に通電する通電線とを電気的に接続する電源接続端子をさらに有し、
前記電源接続端子は、
前記通電線と接続する通電接続部と、
前記巻線群の一方端末線及び他方端末線のうちどちらか一方の端末線である通電端末線と直接的又は間接的に接続する巻線接続部と、
前記通電接続部と前記巻線接続部とを繋ぐ配線部と
を有し、
前記配線部は、前記第1ティースから前記第12ティースに対して離隔しつつ、前記第1ティースから前記第12ティースのうちの連続する2以上のティースに渡って配置される、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記通電接続部と前記配線部と前記巻線接続部とは、単一の部材として構成される、請
求項2に記載のステータ。
【請求項4】
前記第1相巻線群の前記一方端末線及び前記他方端末線のうちどちらか一方の端末線である中性点端末線と、前記第2相巻線群の前記一方端末線及び前記他方端末線のうちどちらか一方の端末線である中性点端末線と、前記第3相巻線群の前記一方端末線及び前記他方端末線とのうちどちらか一方の端末線である中性点端末線とを電気的に接続する中性点端子をさらに有し、
前記中性点端子は、前記第1ティースから前記第12ティースに対して離隔しつつ、前記第1ティースから前記第12ティースのうちの連続する2以上のティースに渡って配置される、請求項1に記載のステータ。
【請求項5】
前記中性点端子は、
前記第1相巻線群の前記中性点端末線に接続する第1中性点接続部と、
前記第2相巻線群の前記中性点端末線に接続する第2中性点接続部と、
前記第3相巻線群の前記中性点端末線に接続する第3中性点接続部と、
前記第1中性点接続部と前記第2中性点接続部と前記第3中性点接続部とを繋ぐ中性点配線部と
を有し、
前記第1中性点接続部と前記第2中性点接続部と前記第3中性点接続部と前記中性点配線部とは、単一の部材として構成される、請求項4に記載のステータ。
【請求項6】
前記第1相巻線群の前記一方端末線及び前記他方端末線のうちどちらか一方の端末線である中性点端末線と、前記第2相巻線群の前記一方端末線及び前記他方端末線のうちどちらか一方の端末線である中性点端末線と、前記第3相巻線群の前記一方端末線及び前記他方端末線とのうちどちらか一方の端末線である中性点端末線とを電気的に接続する中性点端子と、
前記第1相巻線群から前記第3相巻線群のうちのいずれか1つの巻線群と、前記巻線群に通電する通電線とを電気的に接続する電源接続端子と
をさらに有し、
前記電源接続端子は、
前記通電線と接続する通電接続部と、
前記巻線群の一方端末線及び他方端末線のうちどちらか一方の端末線である通電端末線と直接的又は間接的に接続する巻線接続部と、
前記通電接続部と前記巻線接続部とを繋ぐ配線部と
を有し、
前記中性点端子は、
前記第1相巻線群の前記中性点端末線に接続する第1中性点接続部と、
前記第2相巻線群の前記中性点端末線に接続する第2中性点接続部と、
前記第3相巻線群の前記中性点端末線に接続する第3中性点接続部と、
前記第1中性点接続部と前記第2中性点接続部と前記第3中性点接続部とを繋ぐ中性点配線部と
を有する、請求項1に記載のステータ。
【請求項7】
端子台と、
前記端子台から軸方向に延び、前記第1相巻線群から前記第3相巻線群のうちのいずれか1つの巻線群に接続する巻線接続端子と
をさらに有し、
前記巻線接続部と前記第1中性点接続部と前記第2中性点接続部と前記第3中性点接続部とのうちの少なくとも1つは、軸方向に対して交差する方向に拡がる平坦部を有し、
前記平坦部は、軸方向に貫通する貫通孔、又は、軸方向に対して交差する方向に切り欠かれた切欠を有し、
前記巻線接続端子は、前記貫通孔、又は、前記切欠の内側を、軸方向に通り、
前記平坦部の軸方向の両面のうち、前記端子台側の面の反対の面と、前記巻線接続端子とは、半田を介して電気的に接続される、請求項6に記載のステータ。
【請求項8】
前記巻線接続端子は、軸方向に延びるピンであり、
前記通電端末線又は前記中性点端末線は、前記巻線接続端子に巻き付けられた状態で、半田を介して前記巻線接続端子と電気的に接続される、請求項7に記載のステータ。
【請求項9】
前記貫通孔の内径は、前記通電端末線又は前記中性点端末線が前記巻線接続端子に巻き付けられた状態の径よりも大きい、請求項8に記載のステータ。
【請求項10】
電気絶縁体によって構成され、前記電源接続端子及び前記中性点端子のうちの少なくとも1つの端子を保持する端子ホルダをさらに有し、
前記端子ホルダは、前記インシュレータに固定される、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項11】
前記端子ホルダは、前記端子を覆い、
前記通電接続部、前記巻線接続部、前記第1中性点接続部、前記第2中性点接続部、及び、前記第3中性点接続部のうち少なくとも1つは、前記端子ホルダから端子の一部が露出する、請求項10に記載のステータ。
【請求項12】
前記中性点端子の前記中性点配線部は、板形状であり、前記中性点配線部の長手方向において周方向に沿って延び、前記中性点配線部の短手方向において軸方向に向いて配置される、請求項10又は請求項11に記載のステータ。
【請求項13】
前記中性点端子の前記中性点配線部は、前記巻線に対して、径方向の位置がずれた位置に離隔して配置される、請求項12に記載のステータ。
【請求項14】
前記電源接続端子の前記配線部は、前記巻線に対して軸方向に沿って離隔して配置される、請求項13に記載のステータ。
【請求項15】
前記第1相巻線群、前記第2相巻線群、及び、前記第3相巻線群の各々は、前記巻線同士を接続する渡り線を有し、
前記インシュレータは、前記巻線の渡り線が配置される渡り線配置部を有し、
前記渡り線は、前記第1ティースから前記第12ティースのうちの2以上のティースに渡って配線され、
前記渡り線配置部は、前記電源接続端子及び前記中性点端子に対して前記ステータコアを挟んで軸方向反対側に位置する、請求項14に記載のステータ。
【請求項16】
請求項10から請求項15のいずれか1項に記載のステータと、
前記ステータの径方向内方に配置されるロータと、
少なくとも、前記ステータコアの径方向の外面及び前記端子ホルダを樹脂で覆うモールド樹脂部と
を有し、
前記モールド樹脂部は、前記巻線接続部、前記第1中性点接続部、前記第2中性点接続部、及び、前記第3中性点接続部を覆い、
前記電源接続端子の前記通電接続部は、前記モールド樹脂部から露出する、モータ。
【請求項17】
前記端子ホルダは、基板を固定する基板固定部を有し、
前記基板固定部は、軸方向に延び、前記モールド樹脂部から突出する、請求項16に記載のモータ。
【請求項18】
前記端子ホルダは、軸方向に貫通するホルダ貫通孔を有する、請求項16又は請求項17記載のモータ。
【請求項19】
前記端子ホルダは、前記モールド樹脂部から軸方向に向かって露出する露出部を有する、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項20】
ステータの製造方法であって、
前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアの少なくとも一部を覆うインシュレータを有し、
前記ステータコアは、第1ティース、第2ティース、第3ティース、第4ティース、第5ティース、第6ティース、第7ティース、第8ティース、第9ティース、第10ティース、第11ティース、及び、第12ティースと、を有し、
前記第1ティース、前記第2ティース、前記第3ティース、前記第4ティース、前記第5ティース、前記第6ティース、前記第7ティース、前記第8ティース、前記第9ティース、前記第10ティース、前記第11ティース、及び、前記第12ティースの順番で直線状に配置された前記ステータコアを用意する第1工程と、
前記第1ティースへの前記インシュレータを介した第1導線の巻き付けと、前記第3ティースへの前記インシュレータを介した第2導線の巻き付けと、前記第5ティースへの前記インシュレータを介した第3導線の巻き付けとを実行する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記第8ティースへの前記インシュレータを介した前記第1導線の巻き付けと、前記第10ティースへの前記インシュレータを介した前記第2導線の巻き付けと、前記第12ティースへの前記インシュレータを介した前記第3導線の巻き付けとを実行する第3工程と、
前記第3工程の後に、前記第7ティースへの前記インシュレータを介した前記第1導線の巻き付けと、前記第9ティースへの前記インシュレータを介した前記第2導線の巻き付けと、前記第11ティースへの前記インシュレータを介した前記第3導線の巻き付けとを実行する第4工程と、
前記第4工程の後に、前記第2ティースへの前記インシュレータを介した前記第1導線の巻き付けと、前記第4ティースへの前記インシュレータを介した前記第2導線の巻き付けと、前記第6ティースへの前記インシュレータを介した前記第3導線の巻き付けとを実行する第5工程と、
前記第5工程の後に、直線状に配置された前記ステータコアを曲げ
、前記第1ティースが延びるコアバックの周方向一方端と、前記第12ティースが延びるコアバックの周方向他方端とが結合され、前記ステータコアを環状に形成する第6工程と
を含み、
前記第2工程及び前記第3工程では、前記第1導線、前記第2導線、及び、前記第3導線は、第1方向に巻かれ、
前記第4工程及び前記第5工程では、前記第1導線、前記第2導線、及び、前記第3導線は、第1方向と逆の第2方向に巻かれる、ステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、モータ、及び、ステータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動機の固定子では、第1、第3、第5コイルを第1、第3、第5ティースに第1の方向に巻回し、第2、第4、第6コイルを第2、第4、第6ティースに第2の方向に巻回し、第7、第9、第11コイルを第7、第9、第11ティースに第2の方向に巻回し、第8、第10、第12コイルを第8、第10、第12ティースに第1の方向に巻回する。従来の電動機の固定子の製造方法によれば、三本のノズルが同時に同一方向しか旋回できない簡単安価な構造の巻線機を用いて、三本の巻線を同時に迅速に巻回できて、電動機の固定子を、迅速かつ安価に製造できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電動機の固定子において、第1コイルと第2コイルと第7コイルと第8コイルとからなるU相巻線群、第3コイルと第4コイルと第9コイルと第10コイルとからなるV相巻線群、及び、第5コイルと第6コイルと第11コイルと第12コイルとからなるW相巻線群の各々は、電源端子に連なる一方端末線、及び、中性点に連なる他方端末線を有する。この場合、U相巻線群の一方端末線とW相巻線群の他方端末線とが周方向に隣接しているに過ぎず、他の端末線は、周方向に少なくとも1個以上のティース分だけ離れて位置する。換言すれば、U相巻線群、V相巻線群、及び、W相巻線群の各々の一方端末線及び他方端末線が、周方向に分散して位置している。従って、モータの形状の制約が大きくなる。例えば、U相巻線群、V相巻線群、及び、W相巻線群に電流を供給するための回路基板のサイズが大きくなる。その結果、モータの形状の制約が大きくなる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、3相の各巻線群の端末線の位置を集約できるステータ、モータ、及び、ステータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なステータは、ステータコアと、インシュレータと、第1相巻線群と、第2相巻線群と、第3相巻線群とを有する。ステータコアは、上下方向に延びる中心軸を中心に配置される。インシュレータは、前記ステータコアの少なくとも一部を覆う。第1相巻線群は、前記インシュレータを介して前記ステータコアに第1導線が巻き付けられた複数の巻線によって構成される。第2相巻線群は、前記インシュレータを介して前記ステータコアに第2導線が巻き付けられた複数の巻線によって構成される。第3相巻線群は、前記インシュレータを介して前記ステータコアに第3導線が巻き付けられた複数の巻線によって構成される。前記ステータコアは、コアバックと、第1ティースと、第2ティースと、第3ティースと、第4ティースと、第5ティースと、第6ティースと、第7ティースと、第8ティースと、第9ティースと、第10ティースと、第11ティースと、第12ティースと、を有する。コアバックは、中心軸を中心に環状に配置される。第1ティース、第2ティース、第3ティース、第4ティース、第5ティース、第6ティース、第7ティース、第8ティース、第9ティース、第10ティース、第11ティース、及び、第12ティースは、前記コアバックから径方向に延びる。前記第1ティース、前記第2ティース、前記第3ティース、前記第4ティース、前記第5ティース、前記第6ティース、前記第7ティース、前記第8ティース、前記第9ティース、前記第10ティース、前記第11ティース、及び、前記第12ティースは、この順番で周方向に配置される。前記第1相巻線群は、前記第1ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第1巻線と、前記第2ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向と逆の第2方向に巻き付けられた第2巻線と、前記第7ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第7巻線と、前記第8ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第8巻線とを有する。前記第2相巻線群は、前記第3ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第3巻線と、前記第4ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第4巻線と、前記第9ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第9巻線と、前記第10ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第10巻線とを有する。前記第3相巻線群は、前記第5ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第5巻線と、前記第6ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第6巻線と、前記第11ティースに対して前記インシュレータを介して第2方向に巻き付けられた第11巻線と、前記第12ティースに対して前記インシュレータを介して第1方向に巻き付けられた第12巻線とを有する。前記第1相巻線群では、前記第1巻線と前記第8巻線とが接続され、前記第8巻線と前記第7巻線とが接続され、前記第7巻線と前記第2巻線とが接続される。前記第2相巻線群では、前記第3巻線と前記第10巻線とが接続され、前記第10巻線と前記第9巻線とが接続され、前記第9巻線と前記第4巻線とが接続される。前記第3相巻線群では、前記第5巻線と前記第12巻線とが接続され、前記第12巻線と前記第11巻線とが接続され、前記第11巻線と前記第6巻線とが接続される。前記第1相巻線群の一方端末線は前記第1ティースに位置し、前記第2相巻線群の一方端末線は前記第3ティースに位置し、前記第3相巻線群の一方端末線は前記第5ティースに位置する。前記第1相巻線群の他方端末線は前記第2ティースに位置し、前記第2相巻線群の他方端末線は前記第4ティースに位置し、前記第3相巻線群の他方端末線は前記第6ティースに位置する。
【0007】
本発明の例示的なモータは、上記ステータと、ロータと、モールド樹脂部とを有する。ロータは、前記ステータの径方向内方に配置される。モールド樹脂部は、少なくとも、前記ステータコアの径方向の外面及び前記端子ホルダを樹脂で覆う。前記モールド樹脂部は、前記巻線接続部、前記第1中性点接続部、前記第2中性点接続部、及び、前記第3中性点接続部を覆う。前記電源接続端子の前記通電接続部は、前記モールド樹脂部から露出する。
【0008】
本発明の例示的なステータの製造方法では、前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアの少なくとも一部を覆うインシュレータを有する。前記ステータコアは、第1ティース、第2ティース、第3ティース、第4ティース、第5ティース、第6ティース、第7ティース、第8ティース、第9ティース、第10ティース、第11ティース、及び、第12ティースと、を有する。ステータの製造方法は、第1ティース、第2ティース、第3ティース、第4ティース、第5ティース、第6ティース、第7ティース、第8ティース、第9ティース、第10ティース、第11ティース、及び、第12ティースの順番で直線状に配置された前記ステータコアを用意する第1工程と、前記第1ティースへの前記インシュレータを介した第1導線の巻き付けと、前記第3ティースへの前記インシュレータを介した第2導線の巻き付けと、前記第5ティースへの前記インシュレータを介した第3導線の巻き付けとを実行する第2工程と、前記第2工程の後に、前記第8ティースへの前記インシュレータを介した前記第1導線の巻き付けと、前記第10ティースへの前記インシュレータを介した前記第2導線の巻き付けと、前記第12ティースへの前記インシュレータを介した前記第3導線の巻き付けとを実行する第3工程と、前記第3工程の後に、前記第7ティースへの前記インシュレータを介した前記第1導線の巻き付けと、前記第9ティースへの前記インシュレータを介した前記第2導線の巻き付けと、前記第11ティースへの前記インシュレータを介した前記第3導線の巻き付けとを実行する第4工程と、前記第4工程の後に、前記第2ティースへの前記インシュレータを介した前記第1導線の巻き付けと、前記第4ティースへの前記インシュレータを介した前記第2導線の巻き付けと、前記第6ティースへの前記インシュレータを介した前記第3導線の巻き付けとを実行する第5工程と、前記第5工程の後に、直線状に配置された前記ステータコアを曲げることで、前記ステータコアを環状に形成する第6工程とを含む。前記第2工程及び前記第3工程では、前記第1導線、前記第2導線、及び、前記第3導線は、第1方向に巻かれる。前記第4工程及び前記第5工程では、前記第1導線、前記第2導線、及び、前記第3導線は、第1方向と逆の第2方向に巻かれる。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、3相の各巻線群の端末線の位置を集約できるステータ、モータ、及び、ステータの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るモータの構造を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るロータ及びステータを示す平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るステータを直線状に展開したときの模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るステータを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る電源接続端子を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る中性点端子を示す斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の一実施形態に係る電源接続端子及び巻線接続端子を示す斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の一実施形態に係る電源接続端子及び巻線接続端子を示す平面図である。
【
図7C】
図7Cは、本発明の一実施形態に係る電源接続端子の他の実施形態及び巻線接続端子を示す平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る中性点端子の一部及び巻線接続端子を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係るステータを示す側面図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る端子ホルダを上方から見たときの斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る端子ホルダが固定されたステータを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係る端子ホルダを下方から見たときの斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に係るステータを収容した樹脂ケーシングを示す斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態に係るステータを収容した樹脂ケーシング及び基板を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施形態に係るステータの製造方法を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本発明の一実施形態に係る直線状に配置されたステータコアを示す平面図である。
【
図17】
図17は、本発明の一実施形態に係るステータコアを環状に形成する際のステータコアを示す平面図である。
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
本明細書では、便宜上、モータの中心軸AX(
図1参照)の方向を上下方向として説明する場合がある。図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、及びZ軸を適宜記載する。Z軸の正方向は上方向を示し、Z軸の負方向は下方向を示す。ただし、上下方向、上方向、及び下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係るモータの使用時及び組立時の向きを限定しない。さらに、モータの中心軸AXと平行な方向を単に「軸方向AD」と記載し、モータの中心軸AXを中心とする径方向及び周方向を単に「径方向RD」及び「周方向CD」と記載する。また、「平面視」は、軸方向ADから対象物を見ることを示す。なお、本明細書において「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、「軸方向AD上方」は、「軸方向AD一方側」と記載することができ、「軸方向AD下方」は、「軸方向AD他方側」と記載することができる。
【0013】
図1から
図14を参照して、本発明の実施形態に係るモータMTを説明する。
図1は、本発明の一実施形態のモータMTの構造を示す断面図である。
図1に示すモータMTは、10極又は14極を有するとともに、12スロットの3相モータである。3相モータは、例えば、3相ブラシレスモータである。モータMTは、10極又は14極であるため、8極のモータと比較して、コギングトルクを低減できる。
【0014】
図1に示すように、モータMTは、ロータRTと、ステータSTと、回転軸SHと、第1カバー部材1と、第1軸受11と、第2カバー部材2と、第2軸受21と、基板SBと、ケーシングCSとを有する。モータMTは、端子ホルダ90をさらに有することが好ましい。端子ホルダ90については、後述する。
【0015】
ケーシングCSは、「樹脂モールド部」の一例に相当する。
【0016】
ロータRTは、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。つまり、一例として、モータMTは、インナーロータ型のモータである。なお、モータMTは、アウターロータ型のモータであってもよい。ロータRTは、中心軸AXの回りに回転する。ロータRTは、ステータSTの径方向RD内方に配置される。
【0017】
ロータRTは、マグネットMGと、ロータコアRCとを有する。マグネットMGは、例えば、永久磁石である。例えば、ロータRTは、略環状の単数のマグネットMGを有していてもよいし、周方向CDに配列された複数のマグネットMGを有していてもよい。「略環状」は例えば「略円環状」である。マグネットMGの極数は、「10」又は「14」である。
【0018】
ロータコアRCは、例えば、電磁鋼板が軸方向ADに積層した積層鋼板によって構成される。複数個のマグネットMGは、ロータコアRCの内部に配置される。本実施形態では、ロータRTはスポーク型ロータである。なお、マグネットMGが、ロータコアRCの径方向RD外面に固定されていてもよい。つまり、モータMTは、SPM(Surface Permanent Magnet)モータであってもよい。
【0019】
回転軸SHは、中心軸AXを中心として配置される。回転軸SHは略柱状である。回転軸SHはロータコアRCに固定される。従って、回転軸SHは、中心軸AXを中心として、ロータRTとともに回転する。
【0020】
第1カバー部材1は、モータMTの軸方向AD上側部分に配置される。
【0021】
第1カバー部材1は、円筒形状の第1軸受保持部12と、第1軸受保持部12の中央に形成された貫通孔とを有する。回転軸SHは、貫通孔を貫通する。第1軸受保持部12は、第1軸受11を保持する。第1軸受11は、回転軸SHを回転可能に支持する。第1軸受11は、例えば、転がり軸受である。第1カバー部材1は、ケーシングCSの開口側に嵌められる。
【0022】
第2カバー部材2は、モータMTの軸方向AD下側部分に配置される。
【0023】
第2カバー部材2は、円筒形状の第2軸受保持部22を有する。第2軸受21は、回転軸SHを回転可能に支持する。第2軸受21は、例えば、転がり軸受である。第2カバー部材2はケーシングCSに固定される。第2軸受保持部22は、第2軸受21を保持する。第2軸受保持部22は、中心に孔を有する略有底円筒形状である。
【0024】
ステータSTは、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。ステータSTは、マグネットMGと径方向RDに対向する。ステータSTは、ステータコア3と、インシュレータ4と、3相の巻線群5とを有する。
図1では、ある巻線群5を構成する巻線CLが示されている。巻線CLは、例えば、コイルである。具体的には、ステータSTは、3相の巻線群5として、U相巻線群5Uと、V相巻線群5Vと、W相巻線群5Wとを有する。
【0025】
U相巻線群5Uは、インシュレータ4を介してステータコア3に第1導線51(
図3)が巻き付けられた複数の巻線CLによって構成される。V相巻線群5Vは、インシュレータ4を介してステータコア3に第2導線52(
図3)が巻き付けられた複数の巻線CLによって構成される。W相巻線群5Wは、インシュレータ4を介してステータコア3に第3導線53(
図3)が巻き付けられた複数の巻線CLによって構成される。第1導線51、第2導線52、及び、第3導線53は、金属線が被膜によって被覆された被覆導線である。金属線の素材は、例えば、アルミニウムである。ただし、金属線の素材がアルミニウムに代えて銅でもよい。金属線を被覆する被膜は、例えば、絶縁性の樹脂である。樹脂の素材は、例えば、エナメルである。インシュレータ4は、ステータコア3と巻線CLとを電気的に絶縁する。インシュレータ4は、絶縁材料で構成される。インシュレータ4は、例えば、熱可塑性の樹脂により構成される。
【0026】
U相巻線群5Uは、「第1相巻線群」の一例に相当し、V相巻線群5Vは、「第2相巻線群」の一例に相当し、W相巻線群5Wは、「第3相巻線群」の一例に相当する。U相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wの詳細は後述する。
【0027】
ステータコア3は、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。一例として、ステータコア3は、中心軸AXを囲んで配置され、略環状である。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。ステータコア3は、例えば、薄板の電磁鋼板が軸方向ADに積層した積層鋼板によって構成される。ステータコア3は、コアバック31と、複数のティースTとを有する。ステータコア3の詳細は後述する。
【0028】
インシュレータ4は、ステータコア3の少なくとも一部を覆う。一例として、インシュレータ4は、中心軸AXを囲んで配置され、略環状である。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。インシュレータ4は電気絶縁体である。インシュレータ4は、単一の部材によって構成されていてもよいし、複数個の別部材によって構成されていてもよい。例えば、インシュレータ4は、ステータコア3をインサートする樹脂成型品である。また、インシュレータ4は、ステータコア3に対して別途取り付ける構造であってもよい。インシュレータ4の詳細は後述する。
【0029】
基板SBは略平板状である。基板SBは、軸方向ADに対して略直交する。基板SBは、配線の印刷されたプリント基板であり、各種電子部品を搭載する。基板SBは、ステータSTの少なくとも一部及びロータRTの少なくとも一部と軸方向ADに対向し、略水平に配置される。
【0030】
ケーシングCSは、ロータRTの少なくとも一部及びステータSTを収容する。具体的には、ケーシングCSは、軸方向AD上方に向かって開放される開口を有する。ケーシングCSは、略有底筒状であり、熱硬化性の樹脂製の部材である。「略有底筒状」は例えば「略有底円筒状」である。ケーシングCSは、ステータSTが挿入された金型の内部に、樹脂を流し込むことにより得られる。つまり、ケーシングCSは、ステータSTをインサートする樹脂成型品である。従って、ステータSTはケーシングCSによって固定される。第2軸受保持部22は、ケーシングCSの軸方向AD底部に固定される。
【0031】
ケーシングCSは、少なくとも、ステータコア3の径方向RDの外面を樹脂で覆う。本実施形態では、ケーシングCSは、少なくとも、ステータコア3の径方向RDの外面及び端子ホルダ90を樹脂で覆う。一方、ステータコア3の少なくとも径方向RDの内面は、ケーシングCSから露出する。また、ケーシングCSは、ロータRTの少なくとも一部を収容する。
【0032】
次に、
図1及び
図2を参照して、ステータSTの詳細を説明する。
図2は、
図2は、ロータRT及びステータSTを示す平面図である。
【0033】
図2に示すように、コアバック31は、周方向CDに沿って配置される。具体的には、コアバック31は、中心軸AXを中心に略環状に配置される。「略環状」は例えば「略角環状」又は「略円環状」である。「略角環状」は、少なくとも外縁が多角形状であることを示す。「略円環状」は、少なくとも外縁が円形状であることを示す。コアバック31は、単一の部材によって構成されていてもよいし、複数個の別部材によって構成されていてもよい。一例として、コアバック31は、12個のコアバック部311を有する。12個のコアバック部311は、周方向CDに沿って配置される。12個のコアバック部311は、単一の部材として構成されてもよいし、別部材であってもよい。また、一例として、インシュレータ4は、12個のインシュレータ部41を有する。12個のインシュレータ部41は、周方向CDに沿って配置される。12個のインシュレータ部41は、単一の部材として構成されてもよいし、別部材であってもよい。
【0034】
例えば、
図1に示すように、インシュレータ部41は、ティースTの一部及びコアバック部311の一部を覆う。具体的には、インシュレータ部41は、ティースTの軸方向ADの両端面と、ティースTの周方向CDの一方端面の少なくとも一部と、ティースTの周方向CDの他方端面の少なくとも一部と、コアバック部311の軸方向ADの一方端面の少なくとも一部と、コアバック部311の軸方向ADの他方端面の少なくとも一部とを覆う。
【0035】
図2に戻って、ステータコア3は、複数のティースT(
図1)として、第1ティースT1と、第2ティースT2と、第3ティースT3と、第4ティースT4と、第5ティースT5と、第6ティースT6と、第7ティースT7と、第8ティースT8と、第9ティースT9と、第10ティースT10と、第11ティースT11と、第12ティースT12とを有する。第1ティースT1~第12ティースT12は、周方向CDに沿って等間隔で配置される。12個のコアバック部311は、それぞれ、第1ティースT1~第12ティースT12に対応して設けられる。12個のインシュレータ部41は、それぞれ、第1ティースT1~第12ティースT12に対応して設けられる。
【0036】
第1ティースT1、第2ティースT2、第3ティースT3、第4ティースT4、第5ティースT5、第6ティースT6、第7ティースT7、第8ティースT8、第9ティースT9、第10ティースT10、第11ティースT11、及び、第12ティースT12は、コアバック31から径方向RDに延びる。一例として、第1ティースT1~第12ティースT12は、コアバック31から径方向RD内方に延びる。第1ティースT1~第12ティースT12の各々の径方向RDの先端面は、マグネットMGに対して、間隔をあけて径方向RDに対向する。
【0037】
第1ティースT1、第2ティースT2、第3ティースT3、第4ティースT4、第5ティースT5、第6ティースT6、第7ティースT7、第8ティースT8、第9ティースT9、第10ティースT10、第11ティースT11、及び、第12ティースT12は、この順番で周方向CDに配置される。
【0038】
U相巻線群5Uは、巻線CL(
図1)として、第1巻線U1と、第2巻線U4と、第7巻線U3と、第8巻線U2とを有する。第1巻線U1は、第1ティースT1に対してインシュレータ4を介して第1方向D1に巻き付けられる。第1方向D1は、例えば、時計回りを示す。第2巻線U4は、第2ティースT2に対してインシュレータ4を介して第1方向D1と逆の第2方向D2に巻き付けられる。第2方向D2は、例えば、反時計回りを示す。第7巻線U3は、第7ティースT7に対してインシュレータ4を介して第2方向D2に巻き付けられる。第8巻線U2は、第8ティースT8に対してインシュレータ4を介して第1方向D1に巻き付けられる。
【0039】
V相巻線群5Vは、巻線CL(
図1)として、第3巻線V1と、第4巻線V4と、第9巻線V3と、第10巻線V2とを有する。第3巻線V1は、第3ティースT3に対してインシュレータ4を介して第1方向D1に巻き付けられる。第4巻線V4は、第4ティースT4に対してインシュレータ4を介して第2方向D2に巻き付けられる。第9巻線V3は、第9ティースT9に対してインシュレータ4を介して第2方向D2に巻き付けられる。第10巻線V2は、第10ティースT10に対してインシュレータ4を介して第1方向D1に巻き付けられる。
【0040】
W相巻線群5Wは、巻線CL(
図1)として、第5巻線W1と、第6巻線W4と、第11巻線W3と、第12巻線W2とを有する。第5巻線W1は、第5ティースT5に対してインシュレータ4を介して第1方向D1に巻き付けられる。第6巻線W4は、第6ティースT6に対してインシュレータ4を介して第2方向D2に巻き付けられる。第11巻線W3は、第11ティースT11に対してインシュレータ4を介して第2方向D2に巻き付けられる。第12巻線W2は、第12ティースT12に対してインシュレータ4を介して第1方向D1に巻き付けられる。
【0041】
次に、
図3を参照して、U相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wの詳細を説明する。
図3は、ステータSTを直線状に展開したときの模式図である。なお、
図3では、四角形の図形によって第1ティースT1~第12ティースT12が模式的に表される。また、矢印付きの四角形の図形によって、第1巻線U1~第12巻線W2が模式的に表される。この場合、矢印は、第1巻線U1~第12巻線W2の巻回方向を示している。
【0042】
図3に示すように、U相巻線群5Uでは、第1巻線U1と第8巻線U2とが接続される。加えて、第8巻線U2と第7巻線U3とが接続される。加えて、第7巻線U3と第2巻線U4とが接続される。具体的には、U相巻線群5Uは、巻線同士を接続する渡り線511、512、513を有する。渡り線511、512、513は、第1導線51の一部である。そして、渡り線511は、第1巻線U1と第8巻線U2とを接続する。渡り線512は、第8巻線U2と第7巻線U3とを接続する。渡り線513は、第7巻線U3と第2巻線U4とを接続する。つまり、第1巻線U1と第8巻線U2と第7巻線U3と第2巻線U4とは、渡り線511~513によって、この順番で直列に接続される。
【0043】
V相巻線群5Vでは、第3巻線V1と第10巻線V2とが接続される。加えて、第10巻線V2と第9巻線V3とが接続される。加えて、第9巻線V3と第4巻線V4とが接続される。具体的には、V相巻線群5Vは、巻線同士を接続する渡り線521、522、523を有する。渡り線521、522、523は、第2導線52の一部である。そして、渡り線521は、第3巻線V1と第10巻線V2とを接続する。渡り線522は、第10巻線V2と第9巻線V3とを接続する。渡り線523は、第9巻線V3と第4巻線V4とを接続する。つまり、第3巻線V1と第10巻線V2と第9巻線V3と第4巻線V4とは、渡り線521~523によって、この順番で直列に接続される。
【0044】
W相巻線群5Wでは、第5巻線W1と第12巻線W2とが接続される。加えて、第12巻線W2と第11巻線W3とが接続される。加えて、第11巻線W3と第6巻線W4とが接続される。具体的には、W相巻線群5Wは、巻線同士を接続する渡り線531、532、533を有する。渡り線531、532、533は、第3導線53の一部である。そして、渡り線531は、第5巻線W1と第12巻線W2とを接続する。渡り線532は、第12巻線W2と第11巻線W3とを接続する。渡り線533は、第11巻線W3と第6巻線W4とを接続する。つまり、第5巻線W1と第12巻線W2と第11巻線W3と第6巻線W4とは、渡り線531~533によって、この順番で直列に接続される。
【0045】
U相巻線群5Uの一方端末線5USは、第1ティースT1に位置する。V相巻線群5Vの一方端末線5VSは、第3ティースT3に位置する。W相巻線群5Wの一方端末線5WSは、第5ティースT5に位置する。
【0046】
加えて、U相巻線群5Uの他方端末線5UEは、第2ティースT2に位置する。V相巻線群5Vの他方端末線5VEは、第4ティースT4に位置する。W相巻線群5Wの他方端末線5WEは、第6ティースT6に位置する。
【0047】
従って、本実施形態によれば、12スロット構造のステータSTにおいて、U相巻線群5Uの両端末線5US、5UE、V相巻線群5Vの両端末線5VS、5VE、及び、W相巻線群5Wの両端末線5WS、5WEを、第1ティースT1~第6ティースT6に集約できる。つまり、3相の各巻線群5の端末線5US、5UE、5VS、5VE、5WS、5WEの位置を集約できる。従って、3相の各巻線群の端末線の位置が周方向に分散している場合と比較して、モータMTの形状の制約を緩和できる。例えば、U相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wに電流を供給するための基板SBのサイズが大きくなることを抑制できる。その結果、基板のサイズが大きい場合と比較して、モータMTの形状の制約が小さくなる。なお、例えば、3相の各巻線群の端末線の位置が周方向に分散している場合は、基板のサイズが大きくなって、モータの形状の制約が大きくなる。
【0048】
なお、例えば、端末線5US、5VS、5WSは、それぞれ、第1導線51、第2導線52、及び、第3導線53の巻き始めの端末線を示す。この場合、例えば、端末線5UE、5VE、5WEは、それぞれ、第1導線51、第2導線52、及び、第3導線53の巻き終わりの端末線を示す。ただし、この例に対して、巻き始めと巻き終わりとが逆であってもよい。
【0049】
また、本実施形態によれば、第1巻線U1と第3巻線V1と第5巻線W1の巻回方向は、第1方向D1であり、同じである。従って、第1ティースT1への第1導線51の巻き付けと、第3ティースT3への第2導線52の巻き付けと、第5ティースT5への第3導線53の巻き付けとを、第1方向D1に同時に実行できる。加えて、第8巻線U2と第10巻線V2と第12巻線W2の巻回方向は、第1方向D1であり、同じである。従って、第8ティースT8への第1導線51の巻き付けと、第10ティースT10への第2導線52の巻き付けと、第12ティースT12への第3導線53の巻き付けとを、第1方向D1に同時に実行できる。
【0050】
加えて、第7巻線U3と第9巻線V3と第11巻線W3の巻回方向は、第2方向D2であり、同じである。従って、第7ティースT7への第1導線51の巻き付けと、第9ティースT9への第2導線52の巻き付けと、第11ティースT11への第3導線53の巻き付けとを、第2方向D2に同時に実行できる。加えて、第2巻線U4と第4巻線V4と第6巻線W4の巻回方向は、第2方向D2であり、同じである。従って、第2ティースT2への第1導線51の巻き付けと、第4ティースT4への第2導線52の巻き付けと、第6ティースT6への第3導線53の巻き付けとを、第2方向D2に同時に実行できる。
【0051】
以上の結果、ステータSTにおいて、U相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wを形成する際の巻線時間を短縮できる。
【0052】
さらに、本実施形態によれば、U相巻線群5Uの端末線5USとV相巻線群5Vの端末線5VEとW相巻線群5Wの端末線5WSとを中性点に接続する。この場合、U相巻線群5Uの端末線5UEとV相巻線群5Vの端末線5VSとW相巻線群5Wの端末線5WEとに通電することで、通電方向を同じにできる。従って、U相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wに対して通電方向を個別に制御することが要求されない。その結果、U相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wに通電するための制御IC(Integrated Circuit)の制御及び基板SBの配線パターンを簡素化できる。
【0053】
次に、
図2~
図4を参照して、ステータSTの詳細を説明する。
図3に示すように、ステータSTは、U相巻線群5UからW相巻線群5Wのうちのいずれか1つの巻線群5と、巻線群5に通電する通電線Lとを電気的に接続する電源接続端子6をさらに有する。本実施形態では、ステータSTは、電源接続端子6A、6B、6Cを有する。電源接続端子6AはW相巻線群5Wに通電し、電源接続端子6BはV相巻線群WVに通電し、電源接続端子6CはU相巻線群5Uに通電する。電源接続端子6A~6Cは、例えば、導電性を有する金属製である。なお、電源接続端子6A~6Cは、基板SBに形成された配線パターンに直接的に接続されてもよい。この場合、配線パターンが、「通電線」に相当する。なお、
図2及び
図3では、図面を見やすくするために、電源接続端子6A~6Cにドットハッチングを付している。
【0054】
ここで、
図3を参照して、「通電端末線」を定義する。W相巻線群5Wの通電端末線は、W相巻線群5Wの一方端末線5WS及び他方端末線5WEのうちどちらか一方の端末線である。V相巻線群5Vの通電端末線は、V相巻線群5Vの一方端末線5VS及び他方端末線5VEのうちどちらか一方の端末線である。U相巻線群5Uの通電端末線は、U相巻線群5Uの一方端末線5US及び他方端末線5UEのうちどちらか一方の端末線である。本実施形態では、端末線5WE、端末線5VS、及び、端末線5UEの各々が、通電端末線である。以下、端末線5WE、端末線5VS、及び、端末線5UEを、それぞれ、通電端末線5WE、通電端末線5VS、及び、通電端末線5UEと記載する場合がある。
【0055】
図3に示すように、電源接続端子6Aは、通電接続部61と、巻線接続部62と、配線部63とを有する。通電接続部61は通電線L1と接続する。巻線接続部62は、通電端末線5WEと直接的又は間接的に接続する。なお、「直接的に接続」は、例えば、通電端末線5WEが巻線接続部62に半田によって接続されることを示す。「間接的に接続」は、例えば、通電端末線5WEが、ピン等の端子を介して巻線接続部62に半田によって接続されることを示す。
【0056】
また、電源接続端子6Aにおいて、配線部63は、通電接続部61と巻線接続部62とを繋ぐ。配線部63は、第1ティースT1から第12ティースT12に対して離隔しつつ、第1ティースT1から第12ティースT12のうちの連続する2以上のティースTに渡って配置される。一例として、配線部63は、巻線接続部62から、第5ティースT5及び第4ティースT4に渡って配置される。なぜなら、巻線接続部62は、最も近い電源接続端子6Bに対して、第5ティースT5及び第4ティースT4の分だけ隔てて配置されるからである。
【0057】
本実施形態によれば、電源接続端子6Aの巻線接続部62が他の電源接続端子6B、6Cに対して孤立している場合であっても、電源接続端子6Aの通電接続部61を、配線部63によって、他の電源接続端子6B、6Cの近くに配置できる。従って、複数の電源接続端子6A~6Cを集約できる。その結果、電源接続端子6A~6Cにそれぞれ接続される基板SBのサイズが大きくなることを更に抑制できる。
【0058】
図4は、ステータSTを示す斜視図である。
図2及び
図4に示すように、電源接続端子6Aの配線部63は、第5巻線W1及び第4巻線V4に対して軸方向ADに沿って離隔して配置される。具体的には、配線部63は、第5巻線W1及び第4巻線V4に対して軸方向AD上方に離隔して配置される。従って、本実施形態によれば、配線部63が第5巻線W1及び第4巻線V4に接触することを防止できる。
【0059】
なお、配線部63が第1巻線U1~第12巻線W2及び後述の中性点端子7に接触しない限りは、配線部63の配置は、特に限定されない。例えば、配線部63は、平面視において、第1巻線U1~第12巻線W2に対して、径方向RD外方にずれた位置に配置されてもよい。
【0060】
ここで、
図4に示すように、電源接続端子6B、6Cは、電源接続端子6Aと同様に、通電接続部61と、巻線接続部62と、配線部63とを有する。この場合、電源接続端子6Bの巻線接続部62は、通電端末線5VS(
図3)と直接的又は間接的に接続する。また、電源接続端子6Cの巻線接続部62は、通電端末線5UE(
図3)と直接的又は間接的に接続する。なお、通電端末線5VS、5UEに関し、「直接的に接続」及び「間接的に接続」は、通電端末線5WEの場合と同様である。また、「間接的に接続」の例として、電源接続端子6Bの巻線接続部62と通電端末線5VSとの間に隙間があり、その隙間を半田が介在することで間接的に接続される。つまり、巻線接続部62と通電端末線5VSとが電気的に導通していればよい。この点は、電源接続端子6Cの巻線接続部62と通電端末線5UEとの接続、及び、電源接続端子6Aの巻線接続部62と通電端末線5WEとの接続についても同様である。
【0061】
次に、
図2及び
図5を参照して、電源接続端子6Aの詳細を説明する。
図2に示すように、電源接続端子6Aの配線部63は、平面視において、周方向CDに沿って湾曲している。また、巻線接続部62は、平面視において、配線部63から、径方向RD外方に向かって延びる。
【0062】
図5は、電源接続端子6Aを示す斜視図である。
図5に示すように、電源接続端子6Aの通電接続部61は、軸方向ADに沿って延びる。具体的には、通電接続部61は、軸方向AD上方に延びる。また、通電接続部61と配線部63と巻線接続部62とは、単一の部材として構成されることが好ましい。この好ましい例によれば、ステータSTの部品点数を低減できる。また、電源接続端子6Aを構成する各部位を接続する構造が不要であり、電源接続端子6Aの構造を簡素化できる。本実施形態において、「各部位を接続する構造」は、たとえば、半田又はカシメである。
【0063】
また、電源接続端子6Aの巻線接続部62は、平坦部621と、貫通孔622とを有することが好ましい。平坦部621は、軸方向ADに対して交差する方向に拡がる。具体的には、平坦部621は、軸方向ADに対して略直交する方向に拡がる。貫通孔622は、平坦部621を軸方向ADに貫通する。平坦部621及び貫通孔622については後述する。
【0064】
なお、他の電源接続端子6B、6Cの構成は、
図5を参照して説明した電源接続端子6Aの構成と同様である。
【0065】
次に、
図2~
図4及び
図6を参照して、中性点について説明する。中性点は、U相巻線群5Uの端末線5US、5UEのうちのいずれかの端末線と、V相巻線群5Vの端末線5VS、5VEのうちのいずれかの端末線と、W相巻線群5Wの端末線5WS、5WEのうちのいずれかの端末線とが、共通に接続される結線部である。中性点の電位は、例えば、一定電位に設定される。一定電位は、例えば、ゼロボルトである。この場合、中性点は、例えば、接地される。
【0066】
ここで、
図3を参照して、「中性点端末線」を定義する。W相巻線群5Wの中性点端末線は、W相巻線群5Wの一方端末線5WS及び他方端末線5WEのうちどちらか一方の端末線であって、通電線端末と異なる端末線である。V相巻線群5Vの中性点端末線は、V相巻線群5Vの一方端末線5VS及び他方端末線5VEのうちどちらか一方の端末線であって、通電線端末と異なる端末線である。U相巻線群5Uの中性点端末線は、U相巻線群5Uの一方端末線5US及び他方端末線5UEのうちどちらか一方の端末線であって、通電線端末と異なる端末線である。本実施形態では、端末線5WS、端末線5VE、及び、端末線5USの各々が、中性点端末線である。以下、端末線5WS、端末線5VE、及び、端末線5USを、それぞれ、中性点端末線5WS、中性点端末線5VE、及び、中性点端末線5USと記載する場合がある。中性点端末線5WS、中性点端末線5VE、及び、中性点端末線5USは、中性点に接続される。
【0067】
図3に示すように、ステータSTは、中性点端子7をさらに有する。なお、
図2及び
図3では、図面を見やすくするために、中性点端子7にドットハッチングを付している。中性点端子7は、中性点端末線5WSと、中性点端末線5VEと、中性点端末線5USとを電気的に接続する。また、
図2~
図4に示すように、中性点端子7は、第1ティースT1から第12ティースT12に対して離隔しつつ、第1ティースT1から第12ティースT12のうちの連続する2以上のティースTに渡って配置される。一例として、中性点端子7は、第1ティースT1から第5ティースT5に渡って配置される。
【0068】
従って、本実施形態によれば、U相巻線群5Uの中性点端末線5US、V相巻線群5Vの中性点端末線5VE、及び、W相巻線群5Wの中性点端末線5WSの位置に関係なく、中性点端子7によって容易に中性点を形成できる。
【0069】
また、
図3に示すように、中性点端子7は、第1中性点接続部71と、第2中性点接続部72と、第3中性点接続部73と、中性点配線部74とを有する。第1中性点接続部71は、U相巻線群5Uの中性点端末線5USに接続する。第2中性点接続部72は、V相巻線群5Vの中性点端末線5VEに接続する。第3中性点接続部73は、W相巻線群5Wの中性点端末線5WSに接続する。中性点配線部74は、第1中性点接続部71と第2中性点接続部72と第3中性点接続部73とを繋ぐ。
【0070】
図2及び
図4に示すように、中性点配線部74は、平面視において、周方向CDに沿って湾曲している。また、一例として、中性点配線部74は、平面視において、コアバック31よりも、径方向RD外方に配置される。さらに、一例として、中性点配線部74は、平面視において、電源接続端子6Aの配線部63よりも、径方向RD外方に配置される。従って、中性点配線部74と電源接続端子6Aとが軸方向ADに重なって配置される場合と比較して、ステータSTの軸方向ADの長さを短くできる。さらに、一例として、中性点配線部74は、第1巻線U1~第12巻線W2に対して、径方向RDの位置がずれた位置に離隔して配置される。その結果、本実施形態によれば、中性点配線部74が第1巻線U1~第12巻線W2の軸方向AD上方に配置される場合と比較して、中性点配線部74が第1巻線U1~第12巻線W2と接触することを抑制できる。
【0071】
また、第1中性点接続部71、第2中性点接続部72、及び、第3中性点接続部73は、中性点配線部74から、径方向RD内方に向いて延びる。
【0072】
なお、中性点配線部74が第1巻線U1~第12巻線W2及び電源接続端子6A~6Cに接触しない限りは、中性点配線部74の配置は、特に限定されない。例えば、中性点配線部74は、平面視において、第1巻線U1~第12巻線W2の軸方向AD上方に配置されてもよい。
【0073】
次に、
図6を参照して、中性点端子7を説明する。
図6は、中性点端子7を示す斜視図である。
図6に示すように、中性点端子7の中性点配線部74は、周方向CDに沿って湾曲している。また、第1中性点接続部71と第2中性点接続部72と第3中性点接続部73と中性点配線部74とは、単一の部材として構成されることが好ましい。この好ましい例によれば、ステータSTの部品点数を低減できる。また、中性点端子7を構成する各部位を接続する構造が不要であり、中性点端子7の構造を簡素化できる。
【0074】
また、中性点端子7の第1中性点接続部71、第2中性点接続部72、及び、第3中性点接続部73の各々は、平坦部701と、貫通孔702とを有することが好ましい。平坦部701は、軸方向ADに対して交差する方向に拡がる。具体的には、平坦部701は、軸方向ADに対して略直交する方向に拡がる。貫通孔702は、平坦部701を軸方向ADに貫通する。平坦部701及び貫通孔702については後述する。
【0075】
次に、
図3、
図4、
図7A、
図7B、及び、
図8を参照して、端子台42A~42F及び巻線接続端子81A~81Fを説明する。
図4に示すように、ステータSTは、複数の端子台42A~42Fと、複数の巻線接続端子81A~81Fとをさらに有する。
【0076】
端子台42A、42D、42E、42B、42C、42Fは、周方向CDに沿って略等間隔に配置される。巻線接続端子81A~81Fは、それぞれ、端子台42A~42Fに対応して配置される。巻線接続端子81A~81Fは、それぞれ、端子台42A~42Fから軸方向ADに延びる。
【0077】
図3に示すように、巻線接続端子81A~81Fの各々は、U相巻線群5UからW相巻線群5Wのうちのいずれか1つの巻線群5に接続する。本実施形態では、巻線接続端子81Aは、W相巻線群5Wの通電端末線5WEに接続される。巻線接続端子81Bは、V相巻線群5Vの通電端末線5VSに接続される。巻線接続端子81Cは、U相巻線群5Uの通電端末線5UEに接続される。また、巻線接続端子81Dは、W相巻線群5Wの中性点端末線5WSに接続される。巻線接続端子81Eは、V相巻線群5Vの中性点端末線5VEに接続される。巻線接続端子81Fは、U相巻線群5Uの中性点端末線5USに接続される。
【0078】
図7Aは、電源接続端子6B及び巻線接続端子81Bを示す斜視図である。
図7Aに示すように、巻線接続端子81Bは、電源接続端子6Bの貫通孔622を軸方向ADに通る。そして、電源接続端子6Bの平坦部621の軸方向ADの両面621A、621Bのうち、端子台42B側の面621Bの反対の面621Aと、巻線接続端子81Bとは、半田(不図示)を介して電気的に接続される。
【0079】
本実施形態によれば、電源接続端子6Bの巻線接続部62が平坦部621を有することで、電源接続端子6Bの巻線接続部62を、巻線接続端子81Bに半田で接続する際に、平坦部621で半田を受けることができる。その結果、半田が垂れることを抑制できる。
【0080】
具体的には、巻線接続端子81Bは、軸方向ADに延びるピンである。そして、V相巻線群5Vの通電端末線5VSは、巻線接続端子81Bに巻き付けられた状態で、半田を介して巻線接続端子81Bと電気的に接続される。従って、本実施形態によれば、通電端末線5VSを半田付けする作業が容易である。なお、巻線接続端子81Bは、ピンに限られず、例えば、コネクタであってもよい。
【0081】
また、電源接続端子6Bの通電接続部61は、配線部63によって、巻線接続端子81Bに対して離隔している。従って、V相巻線群5Vの通電端末線5VSを巻線接続端子81Bに電気的に接続する際の半田の素材と、通電線L2を通電接続部61に電気的に接続する際の半田の素材とを異ならせることができる。従って、通電端末線5VS及び通電線L2の素材に応じて半田による接続を好適に行うことができる。
【0082】
また、
図7Aに示すように、端子台42Bは、インシュレータ4の軸方向AD上端に配置される。具体的には、端子台42Bは、インシュレータ部41の軸方向AD上端に配置される。特に、本実施形態では、端子台42Bは、インシュレータ4の一部として構成される。
【0083】
図7Bは、電源接続端子6B及び巻線接続端子81Bを示す平面図である。
図7Bに示すように、巻線接続部62の貫通孔622の内径d1は、通電端末線5VSが巻線接続端子81Bに巻き付けられた状態の径d2よりも大きいことが好ましい。この好ましい例によれば、巻線接続端子81Bに対して、通電端末線5VSを、密ではなく、軸方向ADに間隔を広げて巻き付けることができる。よって、通電端末線5VSの周囲を半田によって覆うことができる。その結果、通電端末線5VSと、巻線接続端子81Bとの電気的導通が良好となる。
【0084】
なお、電源接続端子6A、6C、巻線接続端子81A、81C、及び、端子台42A、42Cの構成は、
図3、
図4、
図7A及び
図7Bを参照して説明した、電源接続端子6B、巻線接続端子81B、及び、端子台42Bの構成と同様である。
【0085】
図7Cは、電源接続端子6Bの他の実施形態及び巻線接続端子81Bを示す平面図である。
図7Cに示すように、電源接続端子6Bの平坦部621は、
図7Bの貫通孔622に代えて、切欠623を有していてもよい。切欠623は、平坦部621において、軸方向ADに対して交差する方向に切り欠かれた部分である。本実施形態では、切欠623は、平坦部621において、軸方向ADに対して略直交する方向に切り欠かれた部分である。巻線接続端子81Bは、切欠623の内側を、軸方向ADに通る。
【0086】
なお、電源接続端子6A、6Cの平坦部621が、貫通孔622に代えて、切欠623を有していてもよい。
【0087】
図8は、中性点端子7の一部及び巻線接続端子81Dを示す斜視図である。
図8に示すように、巻線接続端子81Dは、中性点端子7の貫通孔702を軸方向ADに通る。そして、中性点端子7の平坦部701の軸方向ADの両面701A、701Bのうち、端子台42D側の面701Bの反対の面701Aと、巻線接続端子81Dとは、半田(不図示)を介して電気的に接続される。
【0088】
本実施形態によれば、中性点端子7の第3中性点接続部73が平坦部701を有することで、中性点端子7の第3中性点接続部73を、巻線接続端子81Dに半田で接続する際に、平坦部701で半田を受けることができる。その結果、半田が垂れることを抑制できる。
【0089】
また、巻線接続端子81Dは、軸方向ADに延びるピンである。そして、中性点端末線5WSは、巻線接続端子81Dに巻き付けられた状態で、半田を介して巻線接続端子81Dと電気的に接続される。
【0090】
さらに、貫通孔702の内径は、中性点端末線5WSが巻線接続端子81Dに巻き付けられた状態の径よりも大きいことが好ましい。この点は、
図7Bに示す貫通孔622の内径d1と同様である。また、平坦部701は、貫通孔702に代えて、
図7Cに示す切欠623を有していてもよい。
【0091】
なお、中性点端子7の第1中性点接続部71及び第2中性点接続部72、巻線接続端子81E、81F、並びに、端子台42E、42Fの構成は、
図8を参照して説明した、第3中性点接続部73、巻線接続端子81D、並びに、端子台42Dの構成と同様である。
【0092】
次に、
図9を参照して、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7を説明する。
図9は、ステータSTを示す側面図である。一例として、電源接続端子6B及び中性点端子7に着目する。
図9に示すように、電源接続端子6B及び中性点端子7は、ステータコア3及び巻線群5に対して、軸方向ADに離隔している。つまり、電源接続端子6B及び中性点端子7は、ステータコア3及び巻線群5よりも、軸方向AD上方に位置する。また、電源接続端子6Bの通電接続部61、配線部63、及び、巻線接続部62は、中性点端子7の中性点配線部74よりも、ステータコア3及び巻線群5に対して軸方向ADに離れて位置する。つまり、電源接続端子6Bの通電接続部61、配線部63、及び、巻線接続部62は、中性点端子7の中性点配線部74よりも、軸方向AD上方に位置する。
【0093】
また、電源接続端子6Bの巻線接続部62及び配線部63の高さは、中性点端子7の第1中性点接続部71、第2中性点接続部72、及び、第3中性点接続部73の高さと略同じである。「高さ」は、例えば、ステータコア3の軸方向AD上端を基準とした高さを示す。そして、中性点端子7において、中性点配線部74は、第1中性点接続部71、第2中性点接続部72、及び、第3中性点接続部73に対して、ステータコア3の側に位置する。
【0094】
なお、電源接続端子6A、6Cの通電接続部61、配線部63、及び、巻線接続部62についても、
図9を参照して説明した電源接続端子6Bと同様である。
【0095】
さらに、インシュレータ4は、渡り線配置部43を有する。
図9に示す渡り線配置部43には、巻線CL(第1巻線U1~第12巻線W2)の渡り線511~513、521~523、531~533(
図3)が配置される。特に、
図3に示すように、渡り線511、513、521、523、531、533は、第1ティースT1から第12ティースT12のうちの2以上のティースTに渡って配線される。さらに、
図9に示すように、渡り線配置部43は、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7に対してステータコア3を挟んで軸方向AD反対側に位置する。
【0096】
従って、本実施形態によれば、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7と、渡り線配置部43に配置された渡り線511~513、521~523、531~533とが接触しないように容易に配線できる。
【0097】
具体的には、渡り線配置部43は、周方向CDに沿って略環状に配置される。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。本実施形態では、渡り線配置部43は、複数の渡り線配置要素431を有する。複数の渡り線配置要素431は、周方向CDに沿って配置される。渡り線配置要素431はインシュレータ部41の軸方向AD下側部分である。
【0098】
次に、
図10~
図12を参照して、端子ホルダ90を説明する。
図10は、端子ホルダ90を上方から見たときの斜視図である。
図11は、端子ホルダ90が固定されたステータコア3を示す斜視図である。なお、
図10及び
図11では、図面を見やすくするために、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7にドットハッチングを付している。
【0099】
図10に示すように、一例として、端子ホルダ90は、略円弧形状である。端子ホルダ90は、電気絶縁体によって構成される。また、
図11に示すように、端子ホルダ90は、インシュレータ4に固定される。
【0100】
また、端子ホルダ90は、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7のうちの少なくとも1つの端子を保持する。本実施形態では、端子ホルダ90は、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7を保持する。
【0101】
従って、本実施形態によれば、端子ホルダ90によって、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7と他の金属部品とを絶縁することができる。この場合、他の金属部品は、例えば、巻線CL(第1巻線U1~第12巻線W2)、及び、ステータコア3である。
【0102】
また、端子ホルダ90が電源接続端子6A~6C及び中性点端子7を保持しているため、ステータSTに電源接続端子6A~6C及び中性点端子7を容易に固定できる。つまり、ステータSTに個々に端子を固定するのではなく、ステータSTに端子ホルダ90を固定することで、端子ホルダ90を介して電源接続端子6A~6C及び中性点端子7をまとめて固定できる。
【0103】
具体的には、端子ホルダ90は、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7を覆う。そして、電源接続端子6A~6Cの通電接続部61、巻線接続部62、中性点端子7の第1中性点接続部71、第2中性点接続部72、及び、第3中性点接続部73のうち少なくとも1つは、端子ホルダ90から端子の一部が露出する。本実施形態では、電源接続端子6A~6Cの通電接続部61及び巻線接続部62、並びに、中性点端子7の第1中性点接続部71、第2中性点接続部72、及び、第3中性点接続部73は、端子ホルダ90から露出する。
【0104】
従って、本実施形態によれば、モータMTの駆動に必要な配線を実現しつつ、インサート成型によって、端子ホルダ90に電源接続端子6A~6C及び中性点端子7を容易に保持させることができる。例えば、端子ホルダ90は、電源接続端子6A~6C及び中性点端子7をインサートする樹脂成型品である。
【0105】
また、本実施形態では、端子ホルダ90は、端子ホルダ90を軸方向ADに貫通する少なくとも1つのホルダ貫通孔903を有する。
図10の例では、端子ホルダ90は、複数のホルダ貫通孔903を有する。本実施形態によれば、端子ホルダ90にホルダ貫通孔903を設けることで、インサート成型する際に、空気を逃がすことができるので、空気によって樹脂の流れが阻害されることを抑制できる。その結果、インサート成型する際の樹脂の充填不足を回避できる。また、ホルダ貫通孔903に樹脂が入るので、樹脂による端子ホルダ90の浮き上がりを抑制できる。
【0106】
ここで、
図6に示すように、中性点端子7の中性点配線部74は、板形状である。加えて、中性点配線部74は、中性点配線部74の長手方向LDにおいて周方向CDに沿って延びる。加えて、中性点配線部74は、中性点配線部74の短手方向SDにおいて軸方向ADに向いて配置される。
【0107】
従って、本実施形態によれば、中性点配線部74の短手方向SDに垂直な方向に対して、中性点配線部74を曲げ易い。中性点配線部74の短手方向SDを軸方向ADに向けて配置することで、中性点端子7を端子ホルダ90に取り付ける場合、又は、中性点端子7をインサート金型に設置する際、中性点配線部74を曲げながら位置を微調整することが容易である。
【0108】
次に、
図4及び
図12を参照して、インシュレータ4への端子ホルダ90の取付構造を説明する。
図12は、端子ホルダ90を下方から見たときの斜視図である。
図12に示すように、端子ホルダ90は、爪部904と、規制部905と、爪部906と、規制部907とをさらに有する。
【0109】
爪部904と、規制部905と、爪部906と、規制部907は、端子ホルダ90の裏面901Bから、軸方向AD下方に突出する。爪部904は、径方向RD内方に突出する爪を有する。規制部905は、互いに略直交する略直方体状の部材によって構成される。爪部906は、径方向RD内方に突出する爪を有する。規制部907は、略直方体状の部材によって構成される。
【0110】
爪部904及び規制部905は、端子ホルダ90の周方向CDの一方端部に配置され、爪部906及び規制部907は、端子ホルダ90の周方向CDの他方端部に配置される。
【0111】
一方、
図4に示すように、インシュレータ4は、爪部45と、壁部46と、爪部47とをさらに有する。爪部45、壁部46、及び、爪部47は、インシュレータ4の軸方向AD上端に配置される。爪部45、47は、径方向RD外方に突出する爪を有する。壁部46は、インシュレータ4の軸方向AD上端から軸方向ADに突出する。
【0112】
インシュレータ4に端子ホルダ90を固定する際は、
図4及び
図12に示すように、端子ホルダ90の爪部904がインシュレータ4の爪部45に結合し、端子ホルダ90の爪部906がインシュレータ4の爪部47に結合する。その結果、
図11に示すように、端子ホルダ90がインシュレータ4に装着される。また、端子ホルダ90の規制部905が、周方向CDからインシュレータ4の壁部46に接触する。加えて、端子ホルダ90の規制部907が、周方向CDから、インシュレータ4の爪部47に接触する。その結果、端子ホルダ90の周方向CDの移動が規制される。
【0113】
次に、
図10及び
図13を参照して、ケーシングCSを説明する。
図13は、
図11のステータSTを収容したケーシングCSを示す斜視図である。
【0114】
図13に示すケーシングCSは、少なくとも、
図1に示すステータコア3の径方向RDの外面及び
図10に示す端子ホルダ90を樹脂で覆う。
【0115】
ケーシングCSは、
図10に示す巻線接続部62、第1中性点接続部71、第2中性点接続部72、及び、第3中性点接続部73を覆う。巻線接続部62、第1中性点接続部71、第2中性点接続部72、及び、第3中性点接続部73は水及び空気に触れない方がよいため、樹脂で覆われることで水及び空気にさらされることを防止できる。一方、
図10に示す電源接続端子6A~6Cの通電接続部61は、ケーシングCSから露出する。従って、ステータSTのU相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wに対して、容易に通電できる。
【0116】
また、ケーシングCSは、
図11に示す巻線接続端子81A~81Fを覆う。巻線接続端子81A~81Fは水及び空気に触れない方がよいため、樹脂で覆われることで水及び空気にさらされることを防止できる。
【0117】
具体的には、ケーシングCSは、円筒体200と、複数の突出部201と、カバー部202とを有する。円筒体200は、略円筒形状である。複数の突出部201は、周方向CDに沿って配置される。突出部201は、円筒体200の内面から、径方向RD内方に向かって突出する。また、突出部201は、軸方向AD上方に延びる。カバー部202は、円筒体200の内面において、周方向CDに延びる。
【0118】
3つの突出部201のうちの1つの突出部201は、
図11に示す巻線接続端子81F及び第1中性点接続部71を覆う。他の突出部201は、
図11に示す巻線接続端子81C及び巻線接続部62を覆う。更に他の突出部201は、
図11に示す巻線接続端子81B及び巻線接続部62を覆う。また、カバー部202は、
図11に示す巻線接続端子81E及び第2中性点接続部72、巻線接続端子81D及び第3中性点接続部73、並びに、巻線接続端子81A及び巻線接続部62を覆う。
【0119】
また、
図10及び
図13に示すように、端子ホルダ90は、複数の露出部910をさらに有する。露出部910は、ケーシングCSから軸方向ADに向かって露出する。従って、本実施形態によれば、ステータSTをインサート成型する際、インサート成型金型で端子ホルダ90の露出部910を押さえることで、端子ホルダ90の浮き上がりを防止することができる。
【0120】
次に、
図10及び
図14を参照して、基板SBの取付構造を説明する。
図10に示すように、端子ホルダ90は、基板固定部902をさらに有する。基板固定部902は、端子ホルダ90の表面901Aから軸方向AD上方に突出する。基板固定部902は、周方向CDに突出する爪を有する。また、
図11に示すように、インシュレータ4は、基板固定部49を有する。基板固定部49は、インシュレータ4の軸方向AD上端から軸方向AD上方に突出する。基板固定部49は、周方向CDに突出する爪を有する。
【0121】
図13に示すように、基板固定部402は、軸方向ADに延び、ケーシングCSから突出する。
図11に示す基板固定部49もまた、ケーシングCSから軸方向ADに突出する。
【0122】
図14は、ステータSTを収容したケーシングCS及び基板SBを示す斜視図である。
図14に示すように、基板固定部902及び基板固定部49は、ステータSTに基板SBを固定する。本実施形態によれば、基板SBを固定する基板固定部材を端子ホルダ90及びインシュレータ4と別個に設ける場合と比較して、部品点数の低減と、組み立て工数の低減とを実現できる。
【0123】
図14の例では、基板固定部902及び基板固定部49は、ケーシングCSに基板SBを取り付けることで、ステータSTに基板SBを固定する。
【0124】
具体的には、基板固定部902は、基板SBの凹部SB1に結合する。また、基板固定部49は、基板SBの凹部SB2に結合する。その結果、基板SBが、ステータSTに固定される。なお、凹部SB1、SB2は、基板SBにおける周方向CDの窪みである。
【0125】
次に、
図15~
図17を参照して、ステータSTの製造方法を説明する。
図15は、ステータSTの製造方法を示すフローチャートである。
図15に示すように、ステータSTの製造方法は、第1工程S1~第6工程S6を含む。
【0126】
まず、第1工程S1において、第1ティースT1、第2ティースT2、第3ティースT3、第4ティースT4、第5ティースT5、第6ティースT6、第7ティースT7、第8ティースT8、第9ティースT9、第10ティースT10、第11ティースT11、及び、第12ティースT12の順番で直線状に配置されたステータコア3を用意する。そして、ステータコア3にインシュレータ4を形成する。
【0127】
具体的には、第1工程S1は、工程S11及び工程S12を含む。工程S11において、第1ティースT1~第12ティースT12の順番で直線状に配置されたステータコア3を用意する。工程S12において、ステータコア3にインシュレータ4を形成する。
【0128】
図16は、第1工程S1が完了した後のステータコアを示す平面図である。
図16に示すように、インシュレータ4が形成されたステータコア3が直線状に延びる。また、
図16には、巻線機100が示される。巻線機100は、第1ティースT1~第12ティースT12に第1導線51~第3導線53(
図3)を巻き付けることで、U相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wを形成する。巻線機100は、モータ101と、ノズルNZ1と、ノズルNZ2と、ノズルNZ3とを有する。ノズルNZ1は、U相巻線群5Uを形成するための第1導線51を出射する。ノズルNZ2は、V相巻線群5Vを形成するための第2導線52を出射する。ノズルNZ3は、W相巻線群5Wを形成するための第3導線53を出射する。モータ101は、ノズルNZ1~NZ3を駆動する。
【0129】
図15及び
図16に示すように、第1工程S1の後に、第2工程S2において、巻線機100は、第1ティースT1へのインシュレータ4を介した第1導線51の巻き付けと、第3ティースT3へのインシュレータ4を介した第2導線52の巻き付けと、第5ティースT5へのインシュレータ4を介した第3導線53の巻き付けとを実行する。
【0130】
第2工程S2の後に、第3工程S3において、巻線機100は、第8ティースT8へのインシュレータ4を介した第1導線51の巻き付けと、第10ティースT10へのインシュレータ4を介した第2導線52の巻き付けと、第12ティースT12へのインシュレータ4を介した第3導線53の巻き付けとを実行する。
【0131】
第3工程S3の後に、第4工程S4において、巻線機100は、第7ティースT7へのインシュレータ4を介した第1導線51の巻き付けと、第9ティースT9へのインシュレータ4を介した第2導線52の巻き付けと、第11ティースT11へのインシュレータ4を介した第3導線53の巻き付けとを実行する。
【0132】
第4工程S4の後に、第5工程S5において、巻線機100は、第2ティースT2へのインシュレータ4を介した第1導線51の巻き付けと、第4ティースT4へのインシュレータ4を介した第2導線52の巻き付けと、第6ティースT6へのインシュレータ4を介した第3導線53の巻き付けとを実行する。
【0133】
特に、本実施形態では、第2工程S2及び第3工程S3では、第1導線51、第2導線52、及び、第3導線53は、第1方向D1に巻かれる。加えて、第4工程S4及び第5工程S5では、第1導線51、第2導線52、及び、第3導線53は、第1方向D1と逆の第2方向D2に巻かれる。
【0134】
従って、本実施形態によれば、10極又は14極の12スロット構造において、U相、V相、及び、W相の3相を同時同方向巻きが可能である。従って、巻線時間を短縮できる。また、第1導線51の中性点端末線5US及び通電端末線5VS、第2導線52の中性点端末線5VE及び通電端末線5VS、並びに、第3導線53の中性点端末線5WS及び通電端末線5WEの6箇所を集約することができる。その結果、中性点端末線5US、通電端末線5VS、中性点端末線5VE、通電端末線5VS、中性点端末線5WS、及び、通電端末線5WEに接続する基板SBのサイズが大きくなることを抑制できる。よって、モータMTの形状の制約を抑制できる。
【0135】
第5工程S5の後に、第6工程S6において、直線状に配置されたステータコア3を曲げることで、ステータコア3を環状に形成する。この場合のステータコア3には、インシュレータ4、U相巻線群5U、V相巻線群5V、及び、W相巻線群5Wが形成されている。
図17は、ステータコア3を環状に形成する際のステータコア3を示す平面図である。
図17に示すように、ステータコア3を環状に形成して、ステータコア3の一方端と他方端とを結合することで、ステータSTが製造される。この場合、「結合」は、例えば、溶接、金属ビス、又は、フックによって行われる。
【0136】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態(変形例を含む。)について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。例えば、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、例えば、ステータ、モータ、及び、ステータの製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0138】
3 ステータコア
4 インシュレータ
5U U相巻線群(第1相巻線群)
5V V相巻線群(第2相巻線群)
5W W相巻線群(第3相巻線群)
6、6A、6B、6C 電源接続端子
7 中性点端子
31 コアバック
42A~42F 端子台
43 渡り線配置部
61 通電接続部
62 巻線接続部
63 配線部
71 第1中性点接続部
72 第2中性点接続部
73 第3中性点接続部
74 中性点配線部
81A~81F 巻線接続端子
90 端子ホルダ
902 基板固定部
910 露出部
CS ケーシング(モールド樹脂部)
MT モータ
RT ロータ
ST ステータ
T1~T12 第1ティース~第12ティース
U1 第1巻線
U4 第2巻線
V1 第3巻線
V4 第4巻線
W1 第5巻線
W4 第6巻線
U3 第7巻線
U2 第8巻線
V3 第9巻線
V2 第10巻線
W3 第11巻線
W2 第12巻線