(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】農薬用添加剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20250212BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A01N25/30
A01P13/00
(21)【出願番号】P 2020089611
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【氏名又は名称】山田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100164161
【氏名又は名称】三宅 彩
(72)【発明者】
【氏名】柴田 晃
(72)【発明者】
【氏名】中村 明彦
(72)【発明者】
【氏名】杓野 拓斗
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103450407(CN,A)
【文献】国際公開第2018/056124(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108359102(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103910832(CN,A)
【文献】特表2014-511852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/30
A01P 13/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位(I)と、下記一般式(2)で
表される単量体に由来する構成単位(II)とを、構成単位(I)1molに対し、構成単位(II)を1~6molの範囲で含み、かつ平均重量分子量が15,000~150,000の範囲である共重合体を含有し、さらに下記一般式(1)の
A
1
O基の平均付加モル数nが40~80であることを特徴とする農薬用水面拡展剤。
【化1】
(式中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基を表す。pは、0~2の整数を表し、qは0~1の整数を表す。
A
1
Oは、同一若しくは異なって、炭素原子数2~18のオキシアルキレン基を表す。R
4は、水素原子または炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。)
【化2】
(式中、R
5、R
6、およびR
7は、それぞれ独立に、水素原子、-CH
3または-(CH
2)
rCOOM
2を表し、-CH
3または-(CH
2)
rCOOM
2は互いに他の-COOM
1または-(CH
2)
rCOOM
2と無水物を形成していてもよい。無水物を形成している場合、それらの基のM
1、M
2は存在しない。M
1およびM
2は同一若しくは異なって、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基または置換アルキルアンモニウム基を表す。rは0~2の整数を表す。)
【請求項2】
前記共重合体が、下記一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位(III)を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の農薬用水面拡展剤。
【化3】
(式中、R
8、R
9およびR
10は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基を表す。R
11は炭素原子数1~4のヘテロ原子を含んでよい炭化水素基を表す。sは、0~2の整数を表す。)
【請求項3】
請求項1~2いずれかに記載の農薬用水面拡展剤を含む、農薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬用添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水田などの農業場面においては、農薬の効果を発揮させやすくし、また残留農薬を少なくし安全性を高めるために、散布場所から拡展させることが好ましい。そのため、農薬を拡展性能のある拡展剤とともに散布することが行われている。
【0003】
そのような拡展剤としては、水と接触後その水面上で、農薬を投入地点からより広範囲に拡展させることが期待されており、よって、農薬の移動距離や、農薬が沈降する前に素早く分散させること、さらに水面上で凝集を起こさないことが重要である。
【0004】
そのような農薬用添加剤(拡展剤)には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル部を有するエーテル型の界面活性剤が使用されてきた。特許文献1は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル部を有するエーテル型の界面活性剤として、アルキルアルコールのアルキレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩のモノエステル塩とジエステル塩との混合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-128605号公報 しかしながら、特許文献1では、リン酸エステル塩のモノエステル塩とジエステル塩の混合物の混合比により性能が安定しないことがあり、混合比が農薬用水面拡展剤の効果について改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、安定した拡展性能を発揮する農薬用添加剤を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意努力の結果、以下の構成により本発明の課題を解決するに至った。
すなわち本発明は以下の〔1〕~〔4〕である。
〔1〕下記一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位(I)と、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位(II)とを構成単位として含み、平均重量分子量が15,000~150,000の範囲である共重合体を含有することを特徴とする農薬用添加剤。
【0008】
【化1】
(式中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基を表す。pは、0~2の整数を表し、qは0~1の整数を表す。A1Oは、同一若しくは異なって、炭素原子数2~18のオキシアルキレン基を表す。nは、20~300の整数を表す。R
4は、水素原子または炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。)
【0009】
【化2】
(式中、R
5、R
6、およびR
7は、それぞれ独立に、水素原子、-CH
3または-(CH
2)
rCOOM
2を表し、-CH
3または-(CH
2)
rCOOM
2は互いに他の-COOM
1または-(CH
2)
rCOOM
2と無水物を形成していてもよい。無水物を形成している場合、それらの基のM
1、M
2は存在しない。M
1およびM
2は同一若しくは異なって、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基または置換アルキルアンモニウム基を表す。rは0~2の整数を表す。)
〔2〕前記共重合体が、下記一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位(III)を、さらに含むことを特徴とする〔1〕に記載の農薬用添加剤。
【0010】
【化3】
(式中、R
8、R
9およびR
10は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基を表す。R
11は炭素原子数1~4のヘテロ原子を含んでよい炭化水素基を表す。sは、0~2の整数を表す。)
〔3〕前記共重合体であって、構成単位(I)1molに対し、構成単位(II)を1~6molの範囲で含むことを特徴とする〔1〕~〔2〕いずれかに記載の農薬用添加剤。
〔4〕〔1〕~〔3〕いずれかに記載の農薬用添加剤を含む、農薬組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、安定した拡展性能を発揮する農薬用添加剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
すなわち、本発明は下記一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位(I)と、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位(II)とを構成単位として含み、平均重量分子量が15,000~150,000の範囲である共重合体を含有することを特徴とする農薬用添加剤である。
【0013】
(構成単位(I))
構成単位(I)は、一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位である。
【0014】
【0015】
一般式(1)中のR1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基を表す。炭素原子数1~3のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。R3は、水素原子であることが好ましい。炭素原子数1~3のアルキル基は、置換基を有していてもよい(ただし、置換基の炭素原子数はアルキル基の炭素原子数には含まれない。)。R1は、水素原子であることが好ましい。R2は、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基であることがより好ましい。
一般式(1)中のpは、0~2の整数を表す。
一般式(1)中のqは、0~1の整数を表す。
【0016】
一般式(1)中のA1Oは、同一若しくは異なって、炭素原子数2~18のオキシアルキレン基を表す。該オキシアルキレン基(アルキレングリコール単位)としては、例えば、オキシエチレン基(エチレングリコール単位)、オキシプロピレン基(プロピレングリコール単位)、オキシブチレン基(ブチレングリコール単位)が挙げられ、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。
【0017】
上記「同一若しくは異なって」とは、一般式(1)中にA1Oが複数含まれる場合(nが2以上の場合)、それぞれのA1Oが同一のオキシアルキレン基であってもよいし、互いに異なる(2種類以上の)オキシアルキレン基であってもよい、ことを意味する。一般式(1)中にA1Oが複数含まれる場合の態様としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基からなる群から選ばれる2以上のオキシアルキレン基が混在する態様が挙げられ、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在する態様、またはオキシエチレン基とオキシブチレン基とが混在する態様であることが好ましく、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在する態様であることがより好ましい。異なるオキシアルキレン基が混在する態様において、2種類以上のオキシアルキレン基の付加は、ブロック状の付加であってもよく、ランダム状の付加であってもよい。なお、一般式(1)において、qが0のときは、炭素原子数pのアルキレン基とA1Oとは、酸素原子を介して結合する。
【0018】
一般式(1)中のnは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、20~300の整数を表す。nは、30~100であることが好ましく、40~100であることがより好ましく、40~80であることがさらに好ましい。平均付加モル数とは、単量体1モルに付加しているオキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。
【0019】
これにより、水面上で適度な立体反発性を示すことができるようになるため、特に農薬と併用した際の水面拡展性を良好に得ることができるようになる。
【0020】
一般式(1)中のR4は、水素原子または炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。R4は水素原子または炭素原子数1~10の炭化水素基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基であることがさらに好ましく、水素またはメチル基であることが最も好ましい。この範囲であれば、炭素原子数が大きくなりすぎないため、セメント混和剤のセメント分散性が良好に発揮される。
【0021】
一般式(1)で表される単量体の製造方法としては、例えば、アリルアルコール、メタルアルコール、3-メチル-3-ブテン-1-オール等の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを20~300モル付加する方法が挙げられる。この方法で製造され得る単量体としては、(ポリ)エチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテルが例示される。これらの中では、親水性および疎水性のバランスから、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテルが好ましい。
【0022】
本明細書において、「(ポリ)」は、これに続いて記載される構成要素または原料が、複数個結合している場合および/または1個のみ存在する場合を意味する。「(メタ)アリル」という場合、メタアリルおよび/またはアリルを意味し、「(メタ)アクリレート」という場合、メタクリレートおよび/またはアクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」という場合、メタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。
【0023】
また、一般式(1)で表される単量体の他の製造方法としては、(メタ)アクリレート(以下、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタアクリレート」を意味する)などの不飽和モノカルボン酸と、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール、メトキシ(ポリ)エチレングリコール、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールなどの(ポリ)アルキレングリコールとをエステル化する方法が挙げられる。この方法で製造され得る単量体としては、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール(メタ)アクリレートなどの、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートが例示される。これらの中では、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0024】
本発明に用いられる共重合体は、構成単位(I)を1種含んでいてもよいし、互いに異なる単量体に由来する2種以上の構成単位(I)を含んでいてもよい。
【0025】
(構成単位(II))
構成単位(II)は、一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位である。
【0026】
【0027】
一般式(2)中のR5、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素原子、-CH3または-(CH2)rCOOM2を表し、-CH3または(CH2)rCOOM2は、互いに他の-COOM1または-(CH2)rCOOM2と無水物を形成していてもよく、無水物を形成している場合、それらの基のM1、M2は存在しない。R5は、水素原子であることが好ましい。
R6は、水素原子または-CH3であることが好ましい。R7は、水素原子であることが好ましい。
【0028】
一般式(2)中、M1およびM2は同一若しくは異なって、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基または置換アルキルアンモニウム基、M1、M2はそれぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属であることが好ましい。
【0029】
一般式(2)中、rは0~2の整数を表す。rは、0であることが好ましい。
【0030】
一般式(2)で表される単量体としては例えば、不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体等が挙げられる。不飽和モノカルボン酸系単量体としては例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等およびこれらの一価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等およびこれらの一価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩等、または、それらの無水物が挙げられる。単量体(II)としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸が好ましい。
【0031】
本発明に用いられる共重合体は、構成単位(II)を1種含んでいてもよいし、互いに異なる単量体に由来する2種以上の構成単位(II)を含んでいてもよい。
【0032】
(構成単位(III))
また本発明に用いられる共重合体は構成単位(III)を含むことが好ましく、そのような構成単位(III)は、一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位である。
【0033】
【0034】
一般式(3)中、R8、R9およびR10は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基を表す。炭素原子数1~3のアルキル基の例は、R1、R2およびR3における例と同様である。R8は、水素原子であることが好ましい。R9は、水素原子であることが好ましい。R10は、水素原子であることが好ましい。
【0035】
一般式(3)中、R11は炭素原子数1~4のヘテロ原子を含んでよい炭化水素基を表す。炭素原子数は、1~3であることが好ましく、2~3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、窒素原子、リン原子、ケイ素原子が挙げられ、酸素原子が好ましい。炭素原子数1~4の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、およびグリセリル基が挙げられる。R11が含むヘテロ原子の数は、1つであってもよいし2つ以上であってもよい。2つ以上のヘテロ原子を含む場合、それぞれのヘテロ原子は同一であってもよいし互いに異なっていてもよい。
【0036】
R11は、ヘテロ原子を含む炭素原子数1~4の炭化水素基であることが好ましく、酸素原子を含む炭素原子数1~4の炭化水素基であることがより好ましい。該基としてはたとえば、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、およびグリセリル基が挙げられ、このうち2-ヒドロキシプロピル基が好ましい。
【0037】
一般式(3)中、sは、0~2の整数を表す。sは、0であることが好ましい。
【0038】
一般式(3)で表される単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸のモノエステル体が挙げられる。不飽和モノカルボン酸モノエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0039】
本発明に用いられる重合体は、構成単位(III)を1種含んでいてもよいし、互いに異なる単量体に由来する2種以上の構成単位(III)を含んでいてもよい。
【0040】
(構成単位(IV))
本発明に用いられる共重合体は、構成単位(I)~(III)とは別に、構成単位(IV)を含んでいてもよい。構成単位(IV)は、一般式(1)~(3)で表される単量体に共重合可能な単量体に由来する構成単位である。一般式(1)~(3)で表される単量体に共重合可能な単量体は、一般式(1)~(3)により表される単量体とは構造上区別される。構成単位(IV)を構成する単量体としては特に限定されないが、例えば、下記の各単量体を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることが可能である。
【0041】
一般式(IV-1):
【0042】
【0043】
で示されるジアリルビスフェノール類、例えば4,4’-ジヒドロキシジフェニルプロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホンの3および3’位アリル置換物;
【0044】
一般式(IV-2):
【0045】
【0046】
で示されるモノアリルビスフェノール類、例えば4,4’-ジヒドロキシジフェニルプロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホンの3位アリル置換物;
【0047】
一般式(IV-3):
【0048】
【0049】
で示されるアリルフェノール;
【0050】
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのハーフエステル、ジエステル類;
上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;
【0051】
上記アルコールまたはアミンに、炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを1~500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと、上記不飽和ジカルボン酸類との、ハーフエステル、ジエステル類;
【0052】
上記不飽和ジカルボン酸類と、炭素原子数2~18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;
【0053】
マレアミド酸と、炭素原子数2~18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2~500とのポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;
【0054】
炭素原子数1~30のアルコールに炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを1~500モル付加させたアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールと(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類とのエステル類;
【0055】
(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノメタクリレート等の、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類への炭素原子数2~18のアルキレンオキシドの1~500モル付加物類(ただし、一般式(1)~(3)で表される単量体を除く);
【0056】
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;
【0057】
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;
【0058】
トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;
【0059】
ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2-(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3-(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホネート、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4-(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2-メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩;
【0060】
メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのアミド類;
【0061】
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メチルスチレン等のビニル芳香族類;
【0062】
1,5-ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類(ただし、一般式(3)で表される単量体を除く。);
【0063】
ブタジエン、イソプレン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2-クロル-1,3-ブタジエン等のジエン類;
【0064】
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;
【0065】
(メタ)アクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;
【0066】
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;
【0067】
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類(ただし、一般式(3)で表される単量体を除く。);
【0068】
ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;
【0069】
(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;
【0070】
メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、等のビニルエーテルあるいはアリルエーテル類(ただし、一般式(1)で表される単量体を除く。);および、
【0071】
ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン-ビス-(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン-ビス-(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン-(1-プロピル-3-アクリレート)、ポリジメチルシロキサン-(1-プロピル-3-メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン-ビス-(1-プロピル-3-アクリレート)、ポリジメチルシロキサン-ビス-(1-プロピル-3-メタクリレート)等のシロキサン誘導体(ただし、一般式(3)で表される単量体を除く。)。
【0072】
本発明に用いられる共重合体は、構成単位(IV)を1種含んでいてもよいし、互いに異なる単量体に由来する2種以上の構成単位(IV)を含んでいてもよい。
【0073】
<共重合体の製造方法>
本発明に用いられる共重合体は、それぞれの所定の単量体を、公知の方法によって共重合させて製造することができる。該方法としては、例えば、溶媒中での重合、塊状重合などの重合方法が挙げられる。
【0074】
(反応溶媒)
溶媒中での重合において使用される溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;シクロヘキサン、n-ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。原料単量体および得られる共重合体の溶解性の面から、水および低級アルコールからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、その中でも水を用いることがより好ましい。
【0075】
溶媒中で共重合を行う場合は、各単量体と重合開始剤を各々反応容器に連続滴下してもよいし、各単量体の混合物と重合開始剤を各々反応容器に連続滴下してもよい。また、反応容器に溶媒を仕込み、単量体と溶媒の混合物と、重合開始剤溶液を各々反応容器に連続滴下してもよいし、単量体の一部または全部を反応容器に仕込み、重合開始剤を連続滴下してもよい。
【0076】
(開始剤)
共重合に使用し得る重合開始剤は、特に限定されない。水溶媒中で共重合を行う際に使用し得る重合開始剤としては例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの水溶性過酸化物が挙げられる。この際、L-アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩などの促進剤を併用してもよい。低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類あるいはケトン類等の溶媒中で共重合を行う際に使用し得る重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどのパーオキサイド;クメンパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリルなどの芳香族アゾ化合物などが挙げられる。この際、アミン化合物などの促進剤を併用してもよい。水-低級アルコール混合溶剤中で共重合を行う場合に使用し得る重合開始剤は、前述の重合開始剤あるいは重合開始剤と促進剤との組合せの中から適宜選択すればよい。重合温度は、用いる溶媒、重合開始剤の種類等重合条件によって適宜異なるが、通常50~120℃である。
【0077】
(連鎖移動剤)
共重合においては、必要に応じて連鎖移動剤を用いて分子量を調整することができる。使用される連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、および、2-メルカプトエタンスルホン酸などの既知のチオール系化合物;亜リン酸、次亜リン酸、およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物およびその塩;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。共重合体の分子量調整のためには、一般式(1)~(3)で表される単量体および構成単位(VI)を構成する単量体以外の、連鎖移動性の高い単量体(V)を用いてもよい。連鎖移動性の高い単量体(V)としては、例えば(メタ)アリルスルホン酸(塩)系単量体が挙げられる。単量体(V)の配合率は、共重合体において、通常は20重量%以下であり、10重量%以下であることが好ましい。なお、上記配合率は、共重合体を製造する際の、一般式(1)で表される単量体の配合率+一般式(2)で表される単量体由来の配合率+一般式(3)で表される単量体の配合率+構成単位(IV)を構成する単量体の配合率=100重量%としたときの配合率である。
【0078】
(中和)
共重合体を得る際に水溶媒中で共重合する場合、重合時のpHは通常不飽和結合を有する単量体の影響で強酸性となるが、これを適当なpHに調整してもよい。重合の際にpHの調整が必要な場合は、リン酸、硫酸、硝酸、アルキルリン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホン酸、(アルキル)ベンゼンスルホン酸などの酸性物質を用いてpHの調整を行えばよい。これら酸性物質の中では、pH緩衝作用がある点等から、リン酸が好ましい。しかし、エステル系の単量体が有するエステル結合の不安定さを解消するためには、pH1~7で重合を行うことが好ましい。また、pHの調整に用い得るアルカリ性物質に特に限定はないが、NaOH、Ca(OH)2などのアルカリ性物質が一般的である。pH調整は、重合前の単量体に対して行ってもよいし、重合後の共重合体溶液に対して行ってもよい。また、これらは重合前に一部のアルカリ性物質を添加して重合を行った後、さらに共重合体に対してpH調整を行ってもよい。
【0079】
(分子量)
本発明に用いられる共重合体の重量平均分子量は、15,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、35,000以上であることがさらに好ましい。重量平均分子量の上限は、150,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましく、80,000以下であることがさらに好ましい。これにより、農薬と併用した際に局在が均一となりやすく、共重合体による拡展性能を効果的に発揮することができるようになる。
【0080】
共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0以上であることが好ましく、1.20以上であることがより好ましい。上限は、3.0以下であることが好ましく、2.50以下であることがより好ましい。分子量分布は、1.2~3.0の範囲であることが好ましい。
【0081】
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)にてポリエチレングリコール換算する公知の方法にて測定できる。
【0082】
GPCの測定条件として特に限定はないが、例として以下の条件を挙げることができる。後段の実施例における重量平均分子量は、この条件で測定した値である。
測定装置;東ソー製
使用カラム;Shodex Column OH-pak SB-806HQ、SB-804HQ、SB-802.5HQ
溶離液;0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー製、GLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー製)
検量線;ポリエチレングリコール基準
【0083】
また本発明に用いられる共重合体は、構成単位(I)1molに対し、構成単位(II)を1~6molの範囲で含むことが好ましく、1~5.5molの範囲で含むことがさらに好ましい。構成単位(II)は親水性を示すため、水と接触した際に素早く濡れ広がる一方、非イオン的な効果を示す構成単位(I)が一定量存在しないと、水面上で拡展性能を発揮しにくい。よって、本発明に用いられる共重合体は上記範囲を満たすことが好ましい。
【0084】
なお、共重合体中の構成単位(I)及び(II)の含有量は、共重合反応に用いられる各構成単位を現す単量体が全量反応したこととみなすことができ、反応時の単量体の添加量から得ることができる。
【0085】
(任意成分)
本発明の農薬用添加剤は、本発明の効果を損なわない限り、上記共重合体に加えて任意成分を含んでもよい。任意成分としては、崩壊剤、その他の分散剤、キレート剤、洗浄剤、凝集剤、増粘剤、安定剤、展着剤、保水剤、保護コロイド剤、結合剤、吸水性樹脂等が挙げられる。
【実施例】
【0086】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。実施例中、特に断りの無い限り、「%」は、重量%を示し、「部」は、重量部を示す。
【0087】
(製造例1)
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水192.5部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個,分子量2404)192部(0.08mol)、過酸化水素0.5部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、アクリル酸(分子量72)5.76部(0.08mol)、3-メルカプトプロピオン酸0.1部、及び水35部を混合したモノマー水溶液を2時間、及びヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム1.4部を水48.6部に溶解した水溶液を2時間半で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させ、水酸化ナトリウムでpH4に中和すると同時に加水することで、共重合体1の水溶液を得た。液中の共重合体1は、重量平均分子量50,800、Mw/Mn1.97であった。(構成単位(II))/構成単位(I)=1.0)
【0088】
(製造例2)
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水58部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個,分子量2404)60部(0.025mol)、過酸化水素1.3部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、アクリル酸9部(0.125mol)、3-メルカプトプロピオン酸0.1部、及び水209部を混合したモノマー水溶液を2時間、及びヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム0.1部を水99.9部に溶解させた水溶液を2時間半で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させ、水酸化ナトリウムでpH4に中和すると同時に加水することで、共重合体2の水溶液を得た。液中の共重合体2は、重量平均分子量65,300、Mw/Mn2.19であった。(構成単位(II)/構成単位(I)=5.0)
【0089】
(製造例3)
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水113部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個,分子量2404)168部(0.07mol)、アスコルビン酸1.8部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、アクリル酸10.1部(0.14mol)、3-メルカプトプロピオン酸0.1部、及び水85.8部を混合したモノマー水溶液を2時間、及び過酸化水素0.7部及び水49.3部の混合液を2時間半で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させ、水酸化ナトリウムでpH4に中和すると同時に加水することで、共重合体3の水溶液を得た。液中の共重合体3は、重量平均分子量55,700、Mw/Mn1.68であった。(構成単位(II)/構成単位(I)=2.0)
【0090】
(製造例4)
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水113部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個,分子量2404)168部(0.07mol)、アスコルビン酸1.8部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、アクリル酸10.1部(0.14mol)、3-メルカプトプロピオン酸0.2部、及び水83部を混合したモノマー水溶液を2時間、及び30%過酸化水素2.4部を水47.6部に溶解させた水溶液を2時間半で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させ、水酸化ナトリウムでpH4に中和すると同時に加水することで、共重合体4の水溶液を得た。液中の共重合体4は、重量平均分子量39,700、Mw/Mn1.47であった。(構成単位(II)/構成単位(I)=2.0)
【0091】
(製造例5)
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水127部、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数53個,分子量2404)63.6部(0.0265mol)、30%過酸化水素0.7部を投入し、攪拌しながら反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で40℃に昇温した後、アクリル酸13.4部(0.186mol)、3-メルカプトプロピオン酸0.6部、及び水192部を混合したモノマー水溶液を2時間、及びヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム0.6部を水24.4部に溶解させた水溶液を
2時間半で、40℃に保持した反応容器に連続滴下した。滴下終了後、温度を保持した状態でさらに1時間反応させ、水酸化ナトリウムでpH6に中和すると同時に加水することで、共重合体5の水溶液を得た。液中の共重合体5は、重量平均分子量24,100、Mw/Mn1.98であった。(構成単位(II)/構成単位(I)=7.0)
【0092】
(製造例6)
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたステンレス製反応容器に水291部を仕込み、攪拌下で反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で100℃に昇温した後、メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数18,分子量892)61部(0.034mol)、アクリル酸2.0部(0.03mol)、メタクリル酸(分子量86)7.37部(0.086mol)、及び水50部を混合したモノマー水溶液を2時間、及び過硫酸ナトリウム0.9部を水49.1部に溶解させた水溶液を2時間半かけて100℃に保持した反応容器に連続滴下した。温度を100℃に保持した状態で1時間重合反応を行った。その後、反応容器の後段に位置する追加装置にて、70℃まで冷却し、水酸化ナトリウムでpH4に中和すると同時に加水することで、共重合体6の水溶液を得た。液中の共重合体6は、重量平均分子量14,800、Mw/Mn1.49であった。(構成単位(II)/構成単位(I)=3.4)
【0093】
(実施例1~5、比較例1)
<水面拡展性試験>
縦10cm、横40cmのプラスチック容器に硬度0.4の蒸留水を十分に張り、ステアリン酸カルシウム粉末0.2gをプラスチック容器の水面に一塊となるように浮かべた。その後、共重合体1~6をそれぞれ0.1wt%に希釈したものを、それぞれプラスチック容器の端部から水面上に添加し、ステアリン酸カルシウム粉末の水面上の拡散能力(cm)と停止時間(sec)を測定した。結果を表1に示す。
【0094】
<表面張力>
プレート法(Plate method、Vertical Plate method、Wilhelmy method)にて測定した。協和CBVP式表面張力計CBVP-A3型(協和界面科学株式会社製)用い、白金プレートをぶら下げ、製造例1~6の農薬用添加剤を、10%水溶液に調整し、液槽を引き上げ白金プレートに接触させ、その際に白金プレートが液槽に引っ張られる力(dyn/cm)を測定した。結果を表1に示す。
【0095】
<起泡性>
製造例1~6で得られた共重合体を、1%水溶液に調整し、100mLのメスシリンダーにてそれぞれ20mL計量する。その後、メスシリンダー上部に蓋をし、手動にて20回振とうさせた後、水平状に静置し、遅滞なく発生した泡層の量(mL)をメスシリンダーで読み取り測定した。結果を表1に示す。
【0096】
【0097】
(実施例6~10、比較例2)
<粒状農薬剤の水面拡展性試験>
粒剤農薬剤として、炭酸カルシウム82部、ベントナイト15部、共重合体1~6のいずれかを6wt%に調整したものを50部加え、均一に練り混ぜた。直径3mm,長さ5mmに切り出した後、105℃/30分さらにその後50℃/一晩乾燥させ各共重合体を含有する粒状農薬剤1~6を得た。それぞれの粒剤1~6について、プラスチック容器の端部に静かに置き、同様にステアリン酸カルシウム粉末の10分間の水面上の拡散能力(cm)を測定した。結果を表2に示す。
【0098】