(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】筐体フレーム構造、筐体フレーム組立方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20250212BHJP
H02B 1/30 20060101ALI20250212BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20250212BHJP
H05K 5/13 20250101ALI20250212BHJP
【FI】
H05K7/18 D
H02B1/30 A
H05K5/02 N
H05K5/02 Q
(21)【出願番号】P 2020127580
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】城市 洋
(72)【発明者】
【氏名】宇埜 暢祐
(72)【発明者】
【氏名】西岡田 卓也
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-061981(JP,A)
【文献】特開2003-078265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
H02B 1/30
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向のうち幅方向に延びる幅方向フレームと、
横方向のうち奥行方向に延び、一端部が前記幅方向フレームの一端部に対して締結具を介して接合されている奥行方向フレームと、
縦方向に延び、一端部が前記幅方向フレームの一端部、及び前記奥行方向フレームの一端部の夫々に対して締結具を介して接合されている縦方向フレームと、
一方側が前記幅方向フレームの一端部に対して締結具を介して接合され、他方側が前記奥行方向フレームに対して締結具を介して接合されている補強部材と、を備え
、
前記幅方向フレームは、
幅方向及び奥行方向に沿った板部である縦方向外側部を備え、
前記奥行方向フレームは、
幅方向及び奥行方向に沿った板部である縦方向外側部を備え、
前記補強部材は、
一方側に設けられ、幅方向及び奥行方向に沿った板部である縦方向外側部と、
他方側に設けられ、幅方向及び奥行方向に沿った板部である縦方向外側部と、を備え、
前記補強部材の一方側及び前記幅方向フレームは、前記補強部材における一方側の前記縦方向外側部と前記幅方向フレームの前記縦方向外側部とを重ね合わせて接合され、
前記補強部材の他方側及び前記奥行方向フレームは、前記補強部材における他方側の前記縦方向外側部と前記奥行方向フレームの前記縦方向外側部とを重ね合わせて接合されていることを特徴とする筐体フレーム構造。
【請求項2】
奥行方向に並んだ二つの前記幅方向フレーム、及び幅方向に並んだ二つの前記奥行方向フレームの夫々の端部同士を接合することで底枠が形成され、
奥行方向に並んだ二つの前記幅方向フレーム、及び幅方向に並んだ二つの前記奥行方向フレームの夫々の端部同士を接合することで天枠が形成され、
前記底枠、及び前記天枠の夫々の四隅同士が四つの前記縦方向フレームを介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載の筐体フレーム構造。
【請求項3】
前記締結具は、リベット、ねじ、及びボルトナットの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の筐体フレーム構造。
【請求項4】
前記幅方向フレーム及び前記奥行方向フレームは、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて接合されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の筐体フレーム構造。
【請求項5】
前記幅方向フレーム及び前記縦方向フレームは、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて接合され、
前記奥行方向フレーム及び前記縦方向フレームは、双方に形成された幅方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて接合されていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の筐体フレーム構造。
【請求項6】
前記幅方向フレーム、前記奥行方向フレーム、前記縦方向フレーム、及び前記補強部材は、何れも曲げ加工によって形成されていることを特徴とする請求項1~
5の何れか一項に記載の筐体フレーム構造。
【請求項7】
幅方向及び奥行方向の夫々の寸法が1,000mm以上であることを特徴とする請求項1~
6の何れか一項に記載の筐体フレーム構造。
【請求項8】
横方向のうち幅方向に延びる幅方向フレームの一端部と、横方向のうち奥行方向に延びる奥行方向フレームの一端部とを接合する際に、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて締結具を介して接合する工程と、
前記幅方向フレームの一端部と前記奥行方向フレームの一端部とを接合した後に、
縦方向に延びる縦方向フレームの一端部と、前記幅方向フレームの一端部とを接合する際に、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて締結具を介して接合し、且つ前記縦方向フレームの一端部と、前記奥行方向フレームの一端部とを接合する際に、双方に形成された幅方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて締結具を介して接合する工程と、
前記縦方向フレームの一端部と前記幅方向フレームの一端部とを接合し、且つ前記縦方向フレームの一端部と前記奥行方向フレームの一端部とを接合した後に、補強部材の一方側と前記幅方向フレームの一端部とを接合する際に、
前記補強部材の一方側に設けられ幅方向及び奥行方向に沿った板部である縦方向外側部と、前記幅方向フレームに設けられ幅方向及び奥行方向に沿った板部である縦方向外側部とを重ね合わせて締結具を介して接合し、且つ前記補強部材の他方側と前記奥行方向フレームの一端部とを接合する際に、
前記補強部材の他方側に設けられ幅方向及び奥行方向に沿った板部である縦方向外側部と、前記奥行方向フレームに設けられ幅方向及び奥行方向に沿った板部である縦方向外側部とを重ね合わせて締結具を介して接合する工程と、を含むことを特徴とする筐体フレーム組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体フレーム構造、筐体フレーム組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電盤や制御盤は、筐体内部に電気機器を収容して構成され、筐体のサイズが小さい場合は、引用文献1に示されるように、製造コストが低く、リードタイムが短いリベットフレームが採用される。筐体を構成する底枠や天枠は、一枚の鋼板に曲げ加工を行なって製作されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筐体のサイズが大きく、幅と奥行きの夫々が概ね1,000mm以上になるような場合は、底枠や天枠を製作するための鋼板が大きくなるので、曲げ加工を行なう大型のベンダが必要となり、製作が困難となる。大型のベンダを使用できない場合は、底枠や天枠を分割して製作し、後から溶接することになるため、熟練した作業者が必要とされ、リードタイムやコストの面で不利となる。
本発明の目的は、筐体フレーム構造において、大型であっても溶接を行なうことなく十分な強度を確保することで、作業性を高め、コストの増大を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る筐体フレーム構造は、横方向のうち幅方向に延びる幅方向フレームと、横方向のうち奥行方向に延び、一端部が幅方向フレームの一端部に対して締結具を介して接合されている奥行方向フレームと、縦方向に延び、一端部が幅方向フレームの一端部、及び奥行方向フレームの一端部の夫々に対して締結具を介して接合されている縦方向フレームと、一方側が幅方向フレームの一端部に対して締結具を介して接合され、他方側が奥行方向フレームに対して締結具を介して接合されている補強部材と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様に係る筐体フレーム組立方法は、横方向のうち幅方向に延びる幅方向フレームの一端部と、横方向のうち奥行方向に延びる奥行方向フレームの一端部とを接合する際に、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて締結具を介して接合する工程と、幅方向フレームの一端部と奥行方向フレームの一端部とを接合した後に、縦方向に延びる縦方向フレームの一端部と、幅方向フレームの一端部とを接合する際に、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて締結具を介して接合し、且つ縦方向フレームの一端部と、幅方向フレームの一端部とを接合する際に、双方に形成された幅方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて締結具を介して接合する工程と、縦方向フレームの一端部と幅方向フレームの一端部とを接合し、且つ縦方向フレームの一端部と奥行方向フレームの一端部とを接合した後に、補強部材の一方側と幅方向フレームの一端部とを接合する際に、双方に形成された幅方向及び奥行方向に沿った接合片同士を重ね合わせて締結具を介して接合し、且つ補強部材の他方側と幅方向フレームの一端部とを接合する際に、双方に形成された幅方向及び奥行方向に沿った接合片同士を重ね合わせて締結具を介して接合する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、幅方向フレーム、奥行方向フレーム、及び縦方向フレームの夫々を締結具を介して接合しており、且つ幅方向フレームと奥行方向フレームとの接合を補強部材によって補強している。これにより、大型であっても溶接を行なうことなく十分な強度を確保することで、作業性を高め、コストの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】幅方向フレームの一端部を示す斜視図である。
【
図3】幅方向フレームの一端部を示す投影図である。
【
図4】奥行方向フレームの一端部を示す斜視図である。
【
図5】奥行方向フレームの一端部を示す投影図である。
【
図6】縦方向フレームの一端部を示す斜視図である。
【
図7】縦方向フレームの一端部を示す投影図である。
【
図11】幅方向フレームと奥行方向フレームとを接合した状態を示す図である。
【
図12】縦方向フレームを接合した状態を示す図である。
【
図14】比較例における縦方向フレームを示す図である。
【
図15】比較例におけるコーナブラケットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
《一実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、幅方向、奥行方向、及び縦方向とする。幅方向及び奥行方向は、横方向(又は水平方向)の二方向であり、縦方向は、上下方向(又は垂直方向)である。なお、幅方向を奥行方向とし、奥行方向を幅方向としてもよい。
図1は、筐体フレーム構造の斜視図である。
筐体フレーム構造11としては、ここではインバータ盤を想定しているが、他にもキュービクル式高圧受電設備の外箱等、各種電気機器を収納するための制御盤、分電盤、配電盤等にも適用可能である。特に、幅方向、及び奥行方向の夫々の寸法が概ね1,000mm以上となる大型の筐体フレーム構造に好適である。
【0011】
筐体フレーム構造11は、幅方向フレーム12と、奥行方向フレーム13と、縦方向フレーム14と、を組み合わせて略直方体に形成されている。すなわち、幅方向に沿って延びる四本の幅方向フレーム12と、奥行方向に沿って延びる四本の奥行方向フレーム13と、縦方向に沿って延びる四本の縦方向フレーム14と、を備える。ここでは、一例として縦方向フレーム14が最も長く、奥行方向フレーム13が最も短い構成としている。幅方向フレーム12の一端部、奥行方向フレーム13の一端部、及び縦方向フレーム14の一端部は、全てリベット(締結具)を介して接合されている。幅方向フレーム12、奥行方向フレーム13、及び縦方向フレーム14が交わる各コーナには、強度を向上させる補強部材15が接合されている。したがって、計八つの補強部材15があり、全てリベットを介して接合されている。
【0012】
具体的には、底面側において、奥行方向に並んだ二本の幅方向フレーム12、及び幅方向に並んだ二本の奥行方向フレーム13の夫々の端部同士を接合することで、底枠16が形成されている。また、天井側において、奥行方向に並んだ二本の幅方向フレーム12、及び幅方向に並んだ二本の奥行方向フレーム13の夫々の端部同士を接合することで天枠17が形成されている。そして、底枠16、及び天枠17の夫々の四隅同士が四本の縦方向フレーム14を介して接合されている。幅方向フレーム12、奥行方向フレーム13、縦方向フレーム14、及び補強部材15は、何れも一枚の鋼板をベンダによって曲げ加工して形成されており、各鋼板の板厚は略均一であるものとする。
以下の説明では、底枠16のうち、図中のAで示す一つのコーナに注目し、各構成について詳述する。他のコーナについても、向きが上下又は左右に反転するなどの違いはあるが、基本的に同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。また、内側又は外側と称する場合、何れも筐体フレーム構造11の内側又は外側を指す。
【0013】
図2は、幅方向フレームの一端部を示す斜視図である。
図3は、幅方向フレームの一端部を示す投影図である。
図3の(a)は、幅方向フレーム12を奥行方向の内側から見た図である。
図3の(b)は、幅方向フレーム12を縦方向の内側から見た図である。
図3の(c)は、幅方向フレーム12のB‐B断面を示す図である。
図3の(d)は、幅方向フレーム12のC‐C断面を示す図である。幅方向フレーム12は、一枚の鋼板を略四角筒状に曲げ加工して形成されており、縦方向外側部21と、奥行方向外側部22と、幅方向外側部23と、奥行方向内側部24と、縦方向内側部25と、を備える。
【0014】
縦方向外側部21は、幅方向及び奥行方向に沿った板部であり、底枠16を構成する幅方向フレーム12の場合、床面に接地される。
奥行方向外側部22は、幅方向及び縦方向に沿った板部であり、縦方向外側部21における奥行方向の外側端部から縦方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。
幅方向外側部23は、奥行方向及び縦方向に沿った板部であり、奥行方向外側部22における幅方向の外側端部から奥行方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。幅方向外側部23における縦方向の寸法は、奥行方向外側部22における縦方向の寸法と略等しい。幅方向外側部23における奥行方向の寸法は、縦方向外側部21における奥行方向の寸法よりも短い。
【0015】
奥行方向内側部24は、幅方向及び縦方向に沿った板部であり、縦方向外側部21における奥行方向の内側端部から縦方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。奥行方向内側部24は、縦方向外側部21における幅方向の先端からL1の範囲には形成されていない。奥行方向内側部24における縦方向の寸法は、奥行方向外側部22における縦方向の寸法よりも短い。
縦方向内側部25は、幅方向及び奥行方向に沿った板部であり、奥行方向外側部22における縦方向の内側端部から奥行方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。縦方向内側部25における奥行方向の寸法は、縦方向外側部21における奥行方向の寸法よりも短い。
【0016】
幅方向外側部23における奥行方向の内側には、縦方向に並んだ二つの貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、奥行方向フレーム13との接合を行なうときにリベットが挿入される。幅方向外側部23における奥行方向の外側には、縦方向に並んだ二つの貫通孔27が形成されている。貫通孔27は、縦方向フレーム14との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、幅方向外側部23が、奥行方向フレーム13との接合片、及び縦方向フレーム14との接合片となる。
縦方向外側部21における幅方向の外側には、一つの貫通孔28が形成されている。貫通孔28は、補強部材15との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、縦方向外側部21における幅方向の外側が、補強部材15との接合片となる。貫通孔28は、縦方向の外側が皿モミ加工されている。
【0017】
図4は、奥行方向フレームの一端部を示す斜視図である。
図5は、奥行方向フレームの一端部を示す投影図である。
図5の(a)は、奥行方向フレーム13を幅方向の内側から見た図である。
図5の(b)は、奥行方向フレーム13を縦方向の内側から見た図である。
図5の(c)は、奥行方向フレーム13のD‐D断面を示す図である。
図5の(d)は、奥行方向フレーム13のE‐E断面を示す図である。奥行方向フレーム13は、一枚の鋼板を略四角筒状に曲げ加工して形成されており、縦方向外側部31と、幅方向外側部32と、奥行方向外側部33と、突出片34と、幅方向内側部35と、縦方向内側部36と、を備える。
【0018】
縦方向外側部31は、奥行方向及び幅方向に沿った板部であり、底枠16を構成する奥行方向フレーム13の場合、床面に接地される。
幅方向外側部32は、奥行方向及び縦方向に沿った板部であり、縦方向外側部31における幅方向の外側端部から縦方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。幅方向外側部32における縦方向の寸法は、幅方向フレーム12における奥行方向外側部22の縦方向の寸法と略等しい。
奥行方向外側部33は、幅方向及び縦方向に沿った板部であり、幅方向外側部32における奥行方向の外側端部から幅方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。奥行方向外側部33における縦方向の寸法は、幅方向外側部32における縦方向の寸法と略等しい。奥行方向外側部33における幅方向の寸法は、縦方向外側部31における幅方向の寸法よりも短い。
【0019】
突出片34は、奥行方向及び縦方向に沿った板部であり、奥行方向外側部33における幅方向の内側端部から奥行方向の外側に向かって直角に曲げて形成されている。
幅方向内側部35は、奥行方向及び縦方向に沿った板部であり、縦方向外側部31における幅方向の内側端部から縦方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。幅方向内側部35は、縦方向外側部31における奥行方向の先端からL2の範囲には形成されていない。幅方向内側部35における縦方向の寸法は、幅方向外側部32における縦方向の寸法よりも短い。
縦方向内側部36は、奥行方向及び幅方向に沿った板部であり、幅方向外側部32における縦方向の内側端部から幅方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。縦方向内側部36における幅方向の寸法は、縦方向外側部31における幅方向の寸法よりも短い。
【0020】
突出片34には、縦方向に並んだ二つの貫通孔37が形成されている。貫通孔37のピッチは、幅方向フレーム12の幅方向外側部23に形成された貫通孔26のピッチと同一である。貫通孔37は、幅方向フレーム12との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、突出片34が、幅方向フレーム12との接合片となる。
奥行方向外側部33には、縦方向に並んだ三つの貫通孔38が形成されている。貫通孔38は、縦方向フレーム14との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、奥行方向外側部33が、縦方向フレーム14との接合片となる。
縦方向外側部31における奥行方向の外側には、一つの貫通孔39が形成されている。貫通孔39は、補強部材15との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、縦方向外側部31における奥行方向の外側が、補強部材15との接合片となる。貫通孔39は、縦方向の外側が皿モミ加工されている。
【0021】
図6は、縦方向フレームの一端部を示す斜視図である。
図7は、縦方向フレームの一端部を示す投影図である。
図7の(a)は、縦方向フレーム14を幅方向の内側から見た図である。
図7の(b)は、縦方向フレーム14を奥行方向の内側から見た図である。
図7の(c)は、縦方向フレーム14のF‐F断面を示す図である。縦方向フレーム14は、一枚の鋼板を略四角筒状に曲げ加工して形成されており、幅方向外側部41と、奥行方向外側部42と、幅方向内側部43と、奥行方向内側部44と、縦方向外側部45と、を備える。
幅方向外側部41は、奥行方向及び縦方向に沿った板部である。幅方向外側部41における奥行方向の寸法は、幅方向フレーム12における縦方向外側部21の奥行方向の寸法と略等しい。
【0022】
奥行方向外側部42は、幅方向及び縦方向に沿った板部であり、幅方向外側部41における奥行方向の外側端部から幅方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。奥行方向外側部42における幅方向の寸法は、奥行方向フレーム13における奥行方向外側部33の幅方向の寸法と略等しい。
幅方向内側部43は、奥行方向及び縦方向に沿った板部であり、奥行方向外側部42における幅方向の内側端部から奥行方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。幅方向内側部43における奥行方向の寸法は、幅方向外側部41における奥行方向の寸法よりも短い。
【0023】
奥行方向内側部44は、幅方向及び縦方向に沿った板部であり、幅方向外側部41における奥行方向の内側端部から幅方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。奥行方向内側部44における幅方向の寸法は、奥行方向外側部42における幅方向の寸法と略等しい。
縦方向外側部45は、幅方向及び奥行方向に沿った板部であり、幅方向外側部41における縦方向の外側端部から幅方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。縦方向フレーム14の底面側となる縦方向外側部45は、床面に接地される。縦方向外側部45における幅方向の寸法は、奥行方向外側部42における幅方向の寸法と略等しい。
【0024】
幅方向内側部43における縦方向の外側には、縦方向に並んだ二つの貫通孔46が形成されている。貫通孔46のピッチは、幅方向フレーム12の幅方向外側部23に形成された貫通孔27のピッチと同一である。貫通孔46は、幅方向フレーム12との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、幅方向内側部43における縦方向の外側が、幅方向フレーム12との接合片となる。
奥行方向内側部44における縦方向の外側には、縦方向に並んだ三つの貫通孔47が形成されている。貫通孔47のピッチは、奥行方向外側部33に形成された貫通孔38のピッチと同一である。貫通孔47は、奥行方向フレーム13との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、奥行方向内側部44における縦方向の外側が、奥行方向フレーム13との接合片となる。
【0025】
図8は、補強部材を示す斜視図である。
図9は、補強部材を示す投影図である。
図9の(a)は、補強部材15を縦方向の内側から見た図である。図中の(b)は、補強部材15を幅方向の内側から見た図である。図中の(c)は、補強部材15を奥行方向の内側から見た図である。補強部材15は、一枚の鋼板を曲げ加工して形成されており、縦方向外側部51と、奥行方向外側部52と、奥行方向内側部53と、幅方向内側部54と、縦方向外側部55と、幅方向外側部56と、を備える。
【0026】
縦方向外側部51は、幅方向及び奥行方向に沿った板部である。縦方向外側部51における幅方向の寸法は、幅方向フレーム12において奥行方向内側部24が形成されていないL1の長さよりも短い。縦方向外側部51における奥行方向の寸法は、幅方向フレーム12における縦方向外側部21の奥行方向の寸法と略等しい。
奥行方向外側部52は、幅方向及び縦方向に沿った板部であり、縦方向外側部51における奥行方向の外側端部から縦方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。奥行方向外側部52における縦方向の寸法は、幅方向フレーム12における奥行方向外側部22の縦方向の寸法よりも短い。
【0027】
奥行方向内側部53は、幅方向及び縦方向に沿った板部であり、縦方向外側部51における奥行方向の内側端部から縦方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。奥行方向内側部53における縦方向の寸法は、奥行方向外側部52における縦方向の寸法よりも長く、且つ幅方向フレーム12における奥行方向内側部24の縦方向の寸法と略等しい。
幅方向内側部54は、奥行方向及び縦方向に沿った板部であり、奥行方向内側部53における幅方向の外側端部から奥行方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。幅方向内側部54における縦方向の寸法は、奥行方向内側部53における縦方向の寸法、及び奥行方向フレーム13における幅方向内側部35の縦方向の寸法と略等しい。
【0028】
縦方向外側部55は、幅方向及び奥行方向に沿った板部である。縦方向外側部55における奥行方向の寸法は、奥行方向フレーム13において幅方向内側部35が形成されていないL2の長さよりも短い。縦方向外側部55における幅方向の寸法は、奥行方向フレーム13における縦方向外側部31の幅方向の寸法と略等しい。
幅方向外側部56は、奥行方向及び縦方向に沿った板部であり、縦方向外側部55における幅方向の外側端部から縦方向の内側に向かって直角に曲げて形成されている。幅方向外側部56における縦方向の寸法は、奥行方向フレーム13における幅方向外側部32の縦方向の寸法よりも短く、且つ幅方向内側部54における縦方向の寸法よりも短い。
【0029】
縦方向外側部51には、一つの貫通孔57が形成されている。貫通孔57は、幅方向フレーム12との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、縦方向外側部51が、幅方向フレーム12との接合片となる。
縦方向外側部55には、一つの貫通孔58が形成されている。貫通孔58は、奥行方向フレーム13との接合を行なうときにリベットが挿入される。したがって、縦方向外側部55が、奥行方向フレーム13との接合片となる。
【0030】
次に、筐体フレーム構造11の組立方法について説明する。
図10は、底枠及び天枠を示す図である。
組立方法の概略としては、先ず底枠16及び天枠17の組み立てを行なう。すなわち、奥行方向に並んだ二つの幅方向フレーム12、及び幅方向に並んだ二つの奥行方向フレーム13の夫々の端部同士を接合することで底枠16を形成する。また、奥行方向に並んだ二つの幅方向フレーム12、及び幅方向に並んだ二つの奥行方向フレーム13の夫々の端部同士を接合することで天枠17を形成する。
【0031】
そして、底枠16及び天枠17の夫々の四隅同士を、四つの縦方向フレーム14を介して接合すると共に、各コーナに補強部材15を接合することで、筐体フレーム構造11を完成させる。なお、底枠16又は天枠17に対して、縦方向フレーム14を接合する際には、縦方向フレーム14を寝かせ、且つ底枠16又は天枠17を起こした状態で行なうことが望ましい。
以下の説明では、底枠16のうち、図中のAで示す一つのコーナに注目し、組立方法について詳述する。他のコーナについても、向きが上下又は左右に反転するなどの違いはあるが、基本的に同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0032】
図11は、幅方向フレームと奥行方向フレームとを接合した状態を示す図である。
先ず、幅方向フレーム12の一端部と、奥行方向フレーム13の一端部とを接合する。この工程では、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット61(締結具)を介して接合する。すなわち、幅方向フレーム12における幅方向外側部23のうち二つの貫通孔26が形成された奥行方向の内側と、奥行方向フレーム13のうち二つの貫通孔37が形成された突出片34と、を重ね合わせる。そして、重ね合わせた貫通孔26及び貫通孔37の夫々に対して幅方向の内側からリベット61を挿入し、専用の締結工具を用いてリベット61における幅方向の外側端部をかしめ、固く密着させることで、幅方向フレーム12と奥行方向フレーム13とを接合する。このとき、幅方向フレーム12の縦方向外側部21と奥行方向フレーム13の縦方向外側部31とは、縦方向の外側端面同士が面一となる。リベット61としては、高剪断、高引張、高圧着が得られる構造体用のリベットを用いることが望ましく、ここでは丸頭タイプを使用している。
【0033】
図12は、縦方向フレームを接合した状態を示す図である。
幅方向フレーム12の一端部と奥行方向フレーム13の一端部とを接合した後に、縦方向フレーム14の一端部と、幅方向フレーム12の一端部とを接合する。この工程では、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット62(締結具)を介して接合する。すなわち、幅方向フレーム12における幅方向外側部23のうち二つの貫通孔27が形成された奥行方向の外側と、縦方向フレーム14のうち二つの貫通孔46が形成された幅方向内側部43と、を重ね合わせる。そして、重ね合わせた貫通孔27及び貫通孔46の夫々に対して幅方向の内側からリベット62を挿入し、専用の締結工具を用いてリベット62における幅方向の外側端部をかしめ、固く密着させることで、幅方向フレーム12と縦方向フレーム14とを接合する。このとき、幅方向フレーム12の縦方向外側部21と縦方向フレーム14の縦方向外側部45とは、縦方向の外側端面同士が面一となる。リベット62としては、高剪断、高引張、高圧着が得られる構造体用のリベットを用いることが望ましく、ここでは丸頭タイプを使用している。
【0034】
また、幅方向フレーム12の一端部と奥行方向フレーム13の一端部とを接合した後に、縦方向フレーム14の一端部と、奥行方向フレーム13の一端部とを接合する。この工程では、双方に形成された幅方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット63(締結具)を介して接合する。すなわち、奥行方向フレーム13のうち三つの貫通孔38が形成された奥行方向外側部33と、縦方向フレーム14のうち三つの貫通孔47が形成された奥行方向内側部44と、を重ね合わせる。そして、重ね合わせた貫通孔38及び貫通孔47の夫々に対して奥行方向の内側からリベット63を挿入し、専用の締結工具を用いてリベット63における奥行方向の外側端部をかしめ、固く密着させることで、奥行方向フレーム13と縦方向フレーム14とを接合する。このとき、奥行方向フレーム13の縦方向外側部31と縦方向フレーム14の縦方向外側部45とは、縦方向の外側端面同士が面一となる。リベット63としては、高剪断、高引張、高圧着が得られる構造体用のリベットを用いることが望ましく、ここでは丸頭タイプを使用している。なお、リベット63における奥行方向の外側端部が、リベット61における幅方向の外側端部と干渉しないように、リベット61における奥行方向の配置が設定されている。
【0035】
図13は、補強部材を接合した状態を示す図である。
縦方向フレーム14の一端部と幅方向フレーム12の一端部とを接合し、且つ縦方向フレーム14の一端部と奥行方向フレーム13の一端部とを接合した後に、補強部材15の一方側と幅方向フレーム12の一端部とを接合する。この工程では、双方に形成された幅方向及び奥行方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット64(締結具)を介して接合する。すなわち、幅方向フレーム12のうち一つの貫通孔28が形成された縦方向外側部21と、補強部材15のうち一つの貫通孔57が形成された縦方向外側部51と、を重ね合わせる。そして、重ね合わせた貫通孔28及び貫通孔57の夫々に対して縦方向の外側からリベット64を挿入し、専用の締結工具を用いてリベット64における縦方向の内側端部をかしめ、固く密着させることで、幅方向フレーム12と補強部材15とを接合する。このとき、補強部材15の奥行方向外側部52と幅方向フレーム12の奥行方向外側部22とが面接触することで、奥行方向の位置決めがなされる。補強部材15の奥行方向内側部53と幅方向フレーム12の奥行方向内側部24とは、奥行方向の内側端面同士が面一となる。リベット64としては、高剪断、高引張、高圧着が得られる構造体用のリベットを用いることが望ましく、ここでは皿頭タイプを使用している。
【0036】
縦方向フレーム14の一端部と幅方向フレーム12の一端部とを接合し、且つ縦方向フレーム14の一端部と奥行方向フレーム13の一端部とを接合した後に、補強部材15の他方側と奥行方向フレーム13の一端部とを接合する。この工程では、双方に形成された幅方向及び奥行方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット65を介して接合する。すなわち、奥行方向フレーム13のうち一つの貫通孔39が形成された縦方向外側部31と、補強部材15のうち一つの貫通孔58が形成された縦方向外側部55と、を重ね合わせる。そして、重ね合わせた貫通孔39及び貫通孔58の夫々に対して縦方向の外側からリベット65を挿入し、専用の締結工具を用いてリベット65における縦方向の内側端部をかしめ、固く密着させることで、奥行方向フレーム13と補強部材15とを接合する。このとき、補強部材15の幅方向外側部56と幅方向フレーム12の幅方向外側部32とが面接触することで、幅方向の位置決めがなされる。補強部材15の幅方向内側部54は、幅方向フレーム12の幅方向内側部35よりも幅方向の内側にある。リベット65としては、高剪断、高引張、高圧着が得られる構造体用のリベットを用いることが望ましく、ここでは皿頭タイプを使用している。
【0037】
《作用》
次に一実施形態の主要な作用について説明する。
筐体を構成する底枠や天枠は、一般に一枚の鋼板に曲げ加工を行なって製作され、且つリベットによって接合される。しかしながら、筐体のサイズが大きく、幅と奥行きの夫々が概ね1,000mm以上になるような場合は、底枠や天枠を製作するための鋼板が大きくなるので、曲げ加工を行なう大型のベンダが必要となり、製作が困難となる。大型のベンダを使用できない場合は、底枠や天枠を分割して製作し、後から溶接することになるため、熟練した作業者が必要とされ、リードタイムやコストの面で不利となる。
【0038】
そこで一実施形態では、幅方向フレーム12、奥行方向フレーム13、縦方向フレーム14、及び補強部材15で、筐体フレーム構造11を構成した。奥行方向フレーム13の一端部は、幅方向フレーム12の一端部に対してリベット61を介して接合されている。縦方向フレーム14の一端部は、幅方向フレーム12の一端部に対してリベット62を介して接合され、且つ奥行方向フレーム13の一端部に対してリベット63を介して接合されている。補強部材15の一方側は、幅方向フレーム12の一端部に対してリベット64を介して接合され、補強部材15の他方側は、奥行方向フレーム13に対してリベット65を介して接合されている。このように、幅方向フレーム12、奥行方向フレーム13、及び縦方向フレーム14の夫々をリベットを介して接合しており、且つ幅方向フレーム12と奥行方向フレーム13との接合を補強部材15によって補強している。これにより、大型であっても溶接を行なうことなく十分な強度を確保することで、作業性を高め、コストの増大を抑制することができる。
【0039】
また、奥行方向に並んだ二つの幅方向フレーム12、及び幅方向に並んだ二つの奥行方向フレーム13の夫々の端部同士を接合することで底枠16を形成する。また、奥行方向に並んだ二つの幅方向フレーム12、及び幅方向に並んだ二つの奥行方向フレーム13の夫々の端部同士を接合することで天枠17を形成する。そして、底枠16及び天枠17の夫々の四隅同士を、四つの縦方向フレーム14を介して接合している。これにより、面の数が6、辺の数が12、頂点の数が8となる立方体の筐体フレーム構造11を形成することができる。
【0040】
また、幅方向フレーム12、奥行方向フレーム13、縦方向フレーム14、及び補強部材15の接合を行なう際に、締結具としてリベットを使用している。これにより、溶接を行なう必要がないため、作業性を高め、コストの増大を抑制することができる。
また、幅方向フレーム12及び奥行方向フレーム13は、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて接合されている。このように簡易な構造で、剛性の高い接合を行なうことができる。
また、幅方向フレーム12及び縦方向フレーム14は、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて接合されている。また、奥行方向フレーム13及び縦方向フレーム14は、双方に形成された幅方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせて接合されている。このように簡易な構造で、剛性の高い接合を行なうことができる。
【0041】
また、補強部材15の一方側及び幅方向フレーム12は、双方に形成された幅方向及び奥行方向に沿った接合片同士を重ね合わせて接合されている。また、補強部材15の他方側及び奥行方向フレーム13は、双方に形成された幅方向及び奥行方向に沿った接合片同士を重ね合わせて接合されている。このように簡易な構造で、剛性の高い接合を行なうことができる。
また、幅方向フレーム12、奥行方向フレーム13、縦方向フレーム14、及び補強部材15は、何れも曲げ加工によって形成されている。したがって、生産リードタイムや歩留まりの面で有利となる。
また、筐体フレーム構造11は、幅方向及び奥行方向の夫々の寸法が概ね1,000mm以上である。このように、大型であっても溶接を行なうことなく十分な強度を確保することで、作業性を高め、コストの増大を抑制することができる。
【0042】
また、一実施形態の組立方法では、以下の工程を含む。先ず、幅方向フレーム12の一端部と奥行方向フレーム13の一端部とを接合する際に、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット61を介して接合する。そして、縦方向フレーム14の一端部と幅方向フレーム12の一端部とを接合する際に、双方に形成された奥行方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット62を介して接合する。そして、縦方向フレーム14の一端部と奥行方向フレーム13の一端部とを接合する際に、双方に形成された幅方向及び縦方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット63を介して接合する。そして、補強部材15の一方側と幅方向フレーム12の一端部とを接合する際に、双方に形成された幅方向及び奥行方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット64を介して接合する。また、補強部材15の他方側と奥行方向フレーム13の一端部とを接合する際に、双方に形成された幅方向及び奥行方向に沿った接合片同士を重ね合わせてリベット65を介して接合する。このように、幅方向フレーム12、奥行方向フレーム13、及び縦方向フレーム14の夫々をリベットを介して接合しており、且つ幅方向フレーム12と奥行方向フレーム13との接合を補強部材15によって補強している。これにより、大型であっても溶接を行なうことなく十分な強度を確保することで、作業性を高め、コストの増大を抑制することができる。
【0043】
なお、縦方向フレーム14を接合する工程と補強部材15を接合する工程の順序を入れ替えることはできない。つまり、縦方向フレーム14を接合する前に、補強部材15を接合することはできない。なぜなら、
図13に示されるように、リベット65を先に打ってしまうと、このリベット65に締結工具が干渉し、リベット63のうち特に縦方向の最も外側に位置するリベット63を打てなくなるからである。したがって、一実施形態では、幅方向フレーム12及び奥行方向フレーム13の双方に縦方向フレーム14を接合し、それから幅方向フレーム12及び奥行方向フレーム13の双方に補強部材15を接合している。この順序で接合を行なうことで、締結工具が干渉することを避け、リベット63を確実に締結することができる。
【0044】
次に、比較例について説明する。
ここでは、一枚の鋼板を曲げ加工して底枠71を形成し、底枠71に対してコーナブラケット72を介して縦方向フレーム73を接合する構成について説明する。
図14は、比較例における縦方向フレームを示す図である。
図14の(a)は、縦方向フレーム73を嵌め合わせる前の状態を示す。
図14の(b)は、縦方向フレーム73を嵌め合わせた後の状態を示す。底枠71には、コーナブラケット72と接合するときにリベットが挿入される貫通孔81が形成されている。縦方向フレーム73には、底枠71に嵌め合わされる切欠部82と、コーナブラケット72と接合するときにリベットが挿入される貫通孔83と、が形成されている。貫通孔83の周囲は絞り加工されている。縦方向フレーム73は、切欠部82が底枠71に嵌め合わされることで位置決めされる。
【0045】
図15は、比較例におけるコーナブラケットを示す図である。
図15の(a)は、コーナブラケット72の斜視図を示す。
図15の(b)は、コーナブラケット72を接合した状態を示す。コーナブラケット72には、底枠71と接合するときにリベットが挿入される貫通孔84と、縦方向フレーム73と接合するときにリベットが挿入される貫通孔85と、が形成されている。貫通孔85の周囲は絞り加工されている。コーナブラケット72は、底枠71に嵌め合わされ、貫通孔81及び貫通孔84に挿入されるリベット86によって底枠71と接合される。また、縦方向フレーム73は、貫通孔83及び貫通孔85に挿入されるリベット87によってコーナブラケット72と接合される。
【0046】
比較例によれば、縦方向フレーム73が底枠71に対して直接接合されておらず、コーナブラケット72を介して間接的に接合されている。そのため、接合強度を向上させる目的で、縦方向フレーム73やコーナブラケット72に絞り加工を行なっているが、絞り加工を行なうには特殊な金型が必要となり、コストの増大を招いてしまう。これに対して、一実施形態では、縦方向フレーム14が底枠16及び天枠17に対して直接接合されているので、比較例の構成よりも接合強度が向上する。補強部材15は、底枠16及び天枠17を補強する役割を果たしており、縦方向フレーム14に接合されることがないため、縦方向フレーム14や補強部材15に絞り加工を行なう必要がない。したがって、コストの増大を抑制することができる。
【0047】
《変形例》
一実施形態では、締結具としてリベットを使用しているが、これに限定されるものではなく、ねじやボルトナットを使用してもよい。要は、溶接のように熟練した作業者を必要とすることなく、作業性を高めることができればよいため、リベット、ねじ、ボルトナット等の任意の締結具を使用することができる。これにより、比較的簡易な作業で一定の接合強度を確保することができる。また、溶接に比べて接合箇所の検査も行ないやすい。特にリベットは基本的に緩むことがないため信頼性に優れる。
【0048】
一実施形態では、補強部材15の奥行方向内側部53と幅方向フレーム12の奥行方向内側部24とが非接触状態であるが、これに限定されるものではない。例えば補強部材15の縦方向外側部51、奥行方向外側部52、及び奥行方向内側部53を、幅方向フレーム12の縦方向外側部21、奥行方向外側部22と、及び奥行方向内側部24に嵌め合わせてもよい。これにより、補強部材15の接触面積が増加するため、剛性を高めることができる。同様に、補強部材15の幅方向内側部54と奥行方向フレーム13の幅方向内側部35とが非接触状態であるが、これに限定されるものではない。例えば補強部材15の縦方向外側部55、幅方向外側部56、及び幅方向内側部54を、奥行方向フレーム13の縦方向外側部31、幅方向外側部32、及び幅方向内側部35に嵌め合わせてもよい。これにより、補強部材15の接触面積が増加するため、剛性を高めることができる。
【0049】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0050】
11…筐体フレーム構造、12…幅方向フレーム、13…奥行方向フレーム、14…縦方向フレーム、15…補強部材、16…底枠、17…天枠、21…縦方向外側部、22…奥行方向外側部、23…幅方向外側部、24…奥行方向内側部、25…縦方向内側部、26…貫通孔、27…貫通孔、28…貫通孔、31…縦方向外側部、32…幅方向外側部、33…奥行方向外側部、34…突出片、35…幅方向内側部、36…縦方向内側部、37…貫通孔、38…貫通孔、39…貫通孔、41…幅方向外側部、42…奥行方向外側部、43…幅方向内側部、44…奥行方向内側部、45…縦方向外側部、46…貫通孔、47…貫通孔、51…縦方向外側部、52…奥行方向外側部、53…奥行方向内側部、54…幅方向内側部、55…縦方向外側部、56…幅方向外側部、57…貫通孔、58…貫通孔、61…リベット、62…リベット、63…リベット、64…リベット、65…リベット、71…底枠、72…コーナブラケット、73…縦方向フレーム、81…貫通孔、82…切欠部、83…貫通孔、84…貫通孔、85…貫通孔、86…リベット、87…リベット