(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】生体情報表示装置、生体情報表示システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
A61B5/00 102B
(21)【出願番号】P 2020194122
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 英明
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-263070(JP,A)
【文献】特開2017-153607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/398
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の患者の着床位置に対応付けて配置され、当該第一の患者の生体情報を表示手段に表示する生体情報表示装置であって、
患者の生体情報を管理する管理装置から、前記第一の患者とは異なる第二の患者の生体情報を受信する通信手段と、
前記受信された第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する制御手段と、を備え
、
前記制御手段は、前記第二の患者の個人情報を含まない生体情報を前記表示手段に表示するとともに、前記第一の患者の個人情報を含む生体情報を当該表示手段に表示する生体情報表示装置。
【請求項2】
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報を含む請求項1に記載の生体情報表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第一の患者のバイタル値の測定データを測定する第一の測定機器により測定された測定データが異常であるか否かを判別し、異常である場合に、前記通信手段を介して、当該第一の患者の測定データのアラーム情報を前記管理装置に送信する請求項2に記載の生体情報表示装置。
【請求項4】
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データを測定する第二の測定機器の異常を示す機器異常のアラーム情報を含む請求項1又は2に記載の生体情報表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第一の患者のバイタル値の測定データを測定する第一の測定機器が異常であるか否かを判別し、異常である場合に、前記通信手段を介して、当該第一の測定機器の機器異常のアラーム情報を前記管理装置に送信する請求項4に記載の生体情報表示装置。
【請求項6】
第一の患者の着床位置に対応付けて配置され、当該第一の患者の生体情報を表示手段に表示する生体情報表示装置であって、
患者の生体情報を管理する管理装置から、前記第一の患者とは異なる第二の患者の生体情報を受信する通信手段と、
前記受信された第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する制御手段と、を備え
、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者に対応するアラーム情報を含み、
前記制御手段は、前記第二の患者に対応するアラーム情報を受信していない場合に、当該第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示しない生体情報表示装置。
【請求項7】
前記第二の患者に対応するアラーム情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報、又は当該第二の患者のバイタル値の測定データを測定する第二の測定機器の異常を示す機器異常のアラーム情報である請求項6に記載の生体情報表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第二の患者に対応するアラーム情報を受信した場合に、当該第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する請求項6又は7に記載の生体情報表示装置。
【請求項9】
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者に関する患者関連情報を含む請求項1から
8のいずれか一項に記載の生体情報表示装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第二の患者の個人情報を含まない生体情報を前記表示手段に表示する請求項
6から8のいずれか一項に記載の生体情報表示装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第一の患者の生体情報とともに前記第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する請求項
6から8、10のいずれか一項に記載の生体情報表示装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記第二の患者の生体情報を受信したことを報知手段に報知させる請求項1から
11のいずれか一項に記載の生体情報表示装置。
【請求項13】
前記通信手段は、サブギガ無線を用いる請求項1から
12のいずれか一項に記載の生体情報表示装置。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の生体情報表示装置と、
前記第二の患者の生体情報を前記生体情報表示装置に送信する前記管理装置と、を備える生体情報表示システム。
【請求項15】
第一の患者の着床位置に対応付けて配置され、当該第一の患者の生体情報を表示手段に表示する生体情報表示装置のコンピューターを、
患者の生体情報を管理する管理装置から、前記第一の患者とは異なる第二の患者の生体情報を受信する通信手段、
前記受信された
前記第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する制御手段、として機能させ
、
前記制御手段は、前記第二の患者の個人情報を含まない生体情報を前記表示手段に表示するとともに、前記第一の患者の個人情報を含む生体情報を当該表示手段に表示するプログラム。
【請求項16】
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報を含む請求項
15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記制御手段は、前記第一の患者のバイタル値の測定データを測定する第一の測定機器により測定された測定データが異常であるか否かを判別し、異常である場合に、前記通信手段を介して、当該第一の患者の測定データのアラーム情報を前記管理装置に送信する請求項
16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データを測定する第二の測定機器の異常を示す機器異常のアラーム情報を含む請求項
15又は
16に記載のプログラム。
【請求項19】
前記制御手段は、前記第一の患者のバイタル値の測定データを測定する第一の測定機器が異常であるか否かを判別し、異常である場合に、前記通信手段を介して、当該第一の測定機器の機器異常のアラーム情報を前記管理装置に送信する請求項
18に記載のプログラム。
【請求項20】
第一の患者の着床位置に対応付けて配置され、当該第一の患者の生体情報を表示手段に表示する生体情報表示装置のコンピューターを、
患者の生体情報を管理する管理装置から、前記第一の患者とは異なる第二の患者の生体情報を受信する通信手段、
前記受信された
前記第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する制御手段、として機能させ
、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者に対応するアラーム情報を含み、
前記制御手段は、前記第二の患者に対応するアラーム情報を受信していない場合に、当該第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示しないプログラム。
【請求項21】
前記第二の患者に対応するアラーム情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報、又は当該第二の患者のバイタル値の測定データを測定する第二の測定機器の異常を示す機器異常のアラーム情報である請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記制御手段は、前記第二の患者に対応するアラーム情報を受信した場合に、当該第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する請求項20又は21に記載のプログラム。
【請求項23】
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者に関する患者関連情報を含む請求項
15から
22のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項24】
前記制御手段は、前記第二の患者の個人情報を含まない生体情報を前記表示手段に表示する請求項
20から22のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項25】
前記制御手段は、前記第一の患者の生体情報とともに前記第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する請求項
20から22、24のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項26】
前記制御手段は、前記第二の患者の生体情報を受信したことを報知手段に報知させる請求項
15から
25のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報表示装置、生体情報表示システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院などの医療機関において、ベッドに寝ている患者の状態を監視するシステムが知られている。例えば、患者のベッドサイドに設けられ、医用テレメータにより患者の生体情報を取得して表示するベッドサイドモニターと、ナースステーションに設けられ、ベッドサイドモニターから患者の生体情報を取得し、ベッドサイドモニターと同様の表示態様で当該患者の生体情報を表示するセントラルモニターと、を備える生体情報監視システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の生体情報監視システムでは、ベッドサイドモニターが設けられたベッドにいる患者の生体情報しか表示できなかった。例えば、看護師がナースステーションにいなく病室の各ベッドを周っていると、当該看護師は、セントラルモニターの生体情報を確認できない。仮に、看護師に携帯端末を持たせて、患者の生体情報を当該携帯端末に表示させる構成としても、看護師は病室で両手がふさがった状態が最も長く、この状態では目と耳と口としか動かせないため、看護師が携帯端末をポケットから取り出して、現在いるベッドの患者以外の他の患者の生体情報を目視により確認することができないおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、看護師などのユーザーが第一の患者の生体情報を確認するとともに、他の第二の患者の生体情報を確認することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
第一の患者の着床位置に対応付けて配置され、当該第一の患者の生体情報を表示手段に表示する生体情報表示装置であって、
患者の生体情報を管理する管理装置から、前記第一の患者とは異なる第二の患者の生体情報を受信する通信手段と、
前記受信された第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第二の患者の個人情報を含まない生体情報を前記表示手段に表示するとともに、前記第一の患者の個人情報を含む生体情報を当該表示手段に表示する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の生体情報表示装置において、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報を含む。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の生体情報表示装置において、
前記制御手段は、前記第一の患者のバイタル値の測定データを測定する第一の測定機器により測定された測定データが異常であるか否かを判別し、異常である場合に、前記通信手段を介して、当該第一の患者の測定データのアラーム情報を前記管理装置に送信する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の生体情報表示装置において、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データを測定する第二の測定機器の異常を示す機器異常のアラーム情報を含む。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の生体情報表示装置において、
前記制御手段は、前記第一の患者のバイタル値の測定データを測定する第一の測定機器が異常であるか否かを判別し、異常である場合に、前記通信手段を介して、当該第一の測定機器の機器異常のアラーム情報を前記管理装置に送信する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、
第一の患者の着床位置に対応付けて配置され、当該第一の患者の生体情報を表示手段に表示する生体情報表示装置であって、
患者の生体情報を管理する管理装置から、前記第一の患者とは異なる第二の患者の生体情報を受信する通信手段と、
前記受信された第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する制御手段と、を備え、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者に対応するアラーム情報を含み、
前記制御手段は、前記第二の患者に対応するアラーム情報を受信していない場合に、当該第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示しない。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の生体情報表示装置において、
前記第二の患者に対応するアラーム情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報、又は当該第二の患者のバイタル値の測定データを測定する第二の測定機器の異常を示す機器異常のアラーム情報である。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の生体情報表示装置において、
前記制御手段は、前記第二の患者に対応するアラーム情報を受信した場合に、当該第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の生体情報表示装置において、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者に関する患者関連情報を含む。
【0012】
請求項10に記載の発明は、請求項6から8のいずれか一項に記載の生体情報表示装置において、
前記制御手段は、前記第二の患者の個人情報を含まない生体情報を前記表示手段に表示する。
【0013】
請求項11に記載の発明は、請求項6から8、10のいずれか一項に記載の生体情報表示装置において、
前記制御手段は、前記第一の患者の生体情報とともに前記第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する。
【0014】
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の生体情報表示装置において、
前記制御手段は、前記第二の患者の生体情報を受信したことを報知手段に報知させる。
【0015】
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載の生体情報表示装置において、
前記通信手段は、サブギガ無線を用いる。
【0016】
請求項14に記載の発明の生体情報表示システムは、
請求項1から13のいずれか一項に記載の生体情報表示装置と、
前記第二の患者の生体情報を前記生体情報表示装置に送信する前記管理装置と、を備える。
【0017】
請求項15に記載の発明のプログラムは、
第一の患者の着床位置に対応付けて配置され、当該第一の患者の生体情報を表示手段に表示する生体情報表示装置のコンピューターを、
患者の生体情報を管理する管理装置から、前記第一の患者とは異なる第二の患者の生体情報を受信する通信手段、
前記受信された前記第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する制御手段、として機能させ、
前記制御手段は、前記第二の患者の個人情報を含まない生体情報を前記表示手段に表示するとともに、前記第一の患者の個人情報を含む生体情報を当該表示手段に表示する。
【0018】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のプログラムにおいて、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報を含む。
【0019】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記第一の患者のバイタル値の測定データを測定する第一の測定機器
により測定された測定データが異常であるか否かを判別し、異常である場合に、前記通信手段を介して、当該第一の患者の測定データのアラーム情報を前記管理装置に送信する。
【0020】
請求項18に記載の発明は、請求項15又は16に記載のプログラムにおいて、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データを測定する第二の測定機器の異常を示す機器異常のアラーム情報を含む。
【0021】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記第一の患者のバイタル値の測定データを測定する第一の測定機器が異常であるか否かを判別し、異常である場合に、前記通信手段を介して、当該第一の測定機器の機器異常のアラーム情報を前記管理装置に送信する。
【0022】
請求項20に記載の発明は、
第一の患者の着床位置に対応付けて配置され、当該第一の患者の生体情報を表示手段に表示する生体情報表示装置のコンピューターを、
患者の生体情報を管理する管理装置から、前記第一の患者とは異なる第二の患者の生体情報を受信する通信手段、
前記受信された前記第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する制御手段、として機能させ、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者に対応するアラーム情報を含み、
前記制御手段は、前記第二の患者に対応するアラーム情報を受信していない場合に、当該第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示しない。
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載のプログラムにおいて、
前記第二の患者に対応するアラーム情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報、又は当該第二の患者のバイタル値の測定データを測定する第二の測定機器の異常を示す機器異常のアラーム情報である。
請求項22に記載の発明は、請求項20又は21に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記第二の患者に対応するアラーム情報を受信した場合に、当該第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する。
請求項23に記載の発明は、請求項15から22のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記第二の患者の生体情報は、当該第二の患者に関する患者関連情報を含む。
【0023】
請求項24に記載の発明は、請求項20から22のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記第二の患者の個人情報を含まない生体情報を前記表示手段に表示する。
【0024】
請求項25に記載の発明は、請求項20から22、24のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記第一の患者の生体情報とともに前記第二の患者の生体情報を前記表示手段に表示する。
【0025】
請求項26に記載の発明は、請求項15から25のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、前記第二の患者の生体情報を受信したことを報知手段に報知させる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ユーザーが第一の患者の生体情報を確認できるとともに、第二の患者の生体情報を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態のモニタリングシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】パルスオキシメーターの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】患者情報通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバーの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】患者情報通信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0029】
まず、
図1~
図4を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。
図1は、本実施形態のモニタリングシステム100の構成を示すブロック図である。
図2は、パルスオキシメーター1の機能構成を示すブロック図である。
図3は、患者情報通信装置2の機能構成を示すブロック図である。
図4は、サーバー3の機能構成を示すブロック図である。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態の生体情報表示システムとしてのモニタリングシステム100は、病院などの医療施設に設置され、当該医療施設に入院して病室にいる患者の状態をモニタリングするシステムである。モニタリングシステム100は、測定機器としての複数のパルスオキシメーター1と、生体情報表示装置としての複数の患者情報通信装置2と、管理装置としての1つのサーバー3と、を備える。
【0031】
パルスオキシメーター1は、患者情報通信装置2と有線通信可能に接続されている。パルスオキシメーター1と患者情報通信装置2との有線通信方式は、例えば、USB(Universal Serial Bus)である。患者情報通信装置2は、サーバー3と無線通信可能に接続されている。患者情報通信装置2とサーバー3との無線通信方式は、例えば、サブギガ無線(1[GHz]に満たない周波数帯を使う無線)である。これにより、パルスオキシメーター1によって取得した生体情報のバイタル値を測定したデータ(すなわち、測定データ)は、患者情報通信装置2を経由して、サーバー3にリアルタイム転送できる構成となっている。
【0032】
なお、本実施形態における測定データのリアルタイム転送とは、測定データに基づいて患者の状態を継続的に監視すること、すなわちモニタリングを指しており、データなどの処理及び転送に起因する遅延は除くものとする。
【0033】
パルスオキシメーター1は、患者(被験者)の指などの生体部位に装着され、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)や脈拍数などのバイタル値を測定する機器である。また、本実施の形態におけるパルスオキシメーター1の本体部は、例えば、腕時計のように患者の手首に対して装着される。
【0034】
図2に示すように、パルスオキシメーター1は、制御部11、操作部12、記憶部13、検出部14、測定制御部14a、LED(Light Emitting Diode)駆動回路14b、アナログフロントエンド回路14c、AD(Analog to Digital)コンバーター14d、表示部15、無線通信部16、有線IF(InterFace)回路17、電力供給部18、充電制御部18a、計時部19などを備える。
【0035】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。制御部11のCPUは、記憶部13に記憶されているシステムプログラムやアプリケーションプログラムなどのプログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0036】
操作部12は、各種スイッチ、各種機能ボタンなどを備え、これらの操作信号を制御部11に出力する。
【0037】
記憶部13は、フラッシュメモリーなどの半導体の不揮発性メモリーで構成され、各種プログラム及び各種データが記憶されている。また、この記憶部13には、後述する第1測定モード中の測定データを記憶できる。
【0038】
検出部14は、プローブともいい、患者の指先などの生体部位に装着可能に構成されている。検出部14は、測定制御部14aによってLED駆動回路14bを制御し、検出部14に備えられたLEDの発光部(図示略)によって赤色光と赤外光とを生体部位に向けて発光し、検出部14に備えられたフォトダイオードなどの受光部により受光した生体部位の透過光(又は反射光)のアナログ信号を、アナログフロントエンド回路14cによってノイズ除去や信号増幅を行い、ADコンバーター14dに入力するための電圧信号に整えた後、ADコンバーター14dによってデジタルの測定データに変換する。
【0039】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどにより構成され、制御部11から入力される表示信号の指示に従って表示を行う。表示部15に表示される情報としては、SpO2値と脈拍数の他に、例えば、後述する測定モードの種別、電池残量、日時情報などが挙げられる。
【0040】
無線通信部16は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの無線通信により、サーバー3などとデータ送受信を行うための無線アンテナ、無線モジュールなどの無線インターフェースを有する。なお、この無線通信部16は、測定データのリアルタイム転送には使用されず、パルスオキシメーター1に異常が発生した場合であって、かつパルスオキシメーター1が有線接続されていない場合に使用される。
【0041】
有線IF回路17は、サーバー3との間で測定データのリアルタイム転送を含む有線通信を可能とする回路部であり、例えばUSBケーブルの接続線17aの一端が接続される。接続線17aは、パルスオキシメーター1における有線IF回路17と、患者情報通信装置2におけるIF回路25とを接続し、データの送受信を可能とする通信線及びパルスオキシメーター1への電力の供給を可能とする電源線として機能する。そのため、有線IF回路17も、電力の受給が可能に構成されている。
【0042】
電力供給部18は、パルスオキシメーター1の各部が動作に要する電力を当該各部へ供給する。電力供給部18は、図示しないバッテリーから出力される電力を各部の動作電圧で供給する。バッテリーとしては、充電池、充電可能な内蔵バッテリーなどの二次電池を使用するものとするが、一次電池としての乾電池を使用してもよい。充電制御部18aは、制御部11の制御に従い、電力供給部18の充電を制御する。
【0043】
計時部19は、リアルタイムクロックであり、現在日時を計時し、現在日時情報を制御部11に出力する。
【0044】
以上のように構成されたパルスオキシメーター1は、電力供給部18の電池駆動により外部との接続なく単独での測定を行う第1測定モードと、患者情報通信装置2を介してサーバー3への測定データのリアルタイム転送をしながら測定を行う第2測定モードでの動作が可能となっている。パルスオキシメーター1における現在の測定モードが第1測定モードであるか第2測定モードであるかは、例えば、表示部15に表示される。
【0045】
第2測定モードは、測定データのリアルタイム転送が可能な場合に動作するモードであり、例えば、患者が病室の自分のベッドにいる(着床する)場合に、接続線17aが有線IF回路17に接続されているシチュエーションで動作する。また、第2測定モード中は、特に異常がなければ、有線接続時に、接続線17a及び有線IF回路17を介して電力を受給しながら測定を行うように動作することとなる。これにより、電力供給部18の電池残量を気にすることなく、継続的な測定及び測定データのリアルタイム転送が可能となる。一方、パルスオキシメーター1は、有線接続時における動作中に、何らかの異常で、通信は可能であるにもかかわらず電力の供給が途絶えた場合には、自動的に電力供給部18から電力を受給しながら測定を行うように動作する。
【0046】
測定データのリアルタイム転送が不可の場合は、パルスオキシメーター1が患者情報通信装置2に対して有線接続されていないか、有線接続されているにもかかわらず、何らかの異常により患者情報通信装置2との間でデータの送受信が正常に行われていない場合を指している。この場合、パルスオキシメーター1は、第1測定モードで動作する。より具体的に説明すると、第1測定モードは、測定データのリアルタイム転送が不可の場合に動作するモードであり、例えば、患者が自分のベッドから離れる(離床する)ことによって接続線17aが有線IF回路17から抜かれたシチュエーションで動作する。
【0047】
患者の離床時には、接続線17aを外す必要があるが、第1測定モードを停止することなく接続線17aをパルスオキシメーター1から外すことにより、自動的に内蔵メモリーである記憶部13への記憶動作に切り替わり、離床中も継続して測定が可能となっている。その後、再度着床した際に接続線17aを再接続すると、記憶部13に記録された離床中の測定データをサーバー3に自動的に転送するように動作する。
【0048】
離床時に接続線17aを外す際は、意図せず接続線17aが抜けた場合と見分けるために、離床時に接続線17aを抜く旨を認識する1操作(有線接続のロックを外す、離床ボタンを押下するなど)を行う離床ボタン(後述する操作部22)が、各患者のベッドサイドに備えられた患者情報通信装置2に設けられている。意図的に接続線17aを外す場合は、この離床ボタンを押した後に、接続線17aを外して有線接続を切断することにより、サーバー3は、異常ではなく有線接続が切れたことを判断する。
【0049】
なお、離床ボタンが押下されてから所定時間以内は、有線接続の切断を異常と認識しない期間としてもよい。また、離床ボタンは、パルスオキシメーター1と患者情報通信装置2とを接続する接続線17aを外す場合だけでなく、患者情報通信装置2に接続される後述の各種センサー用の接続線を外す場合にも押下される。
【0050】
また、パルスオキシメーター1は、外部機器(患者情報通信装置2、サーバー3、MT(Mobile Terminal)(図示略)など)からのコマンドにより、パルスオキシメーター1における各種設定情報を設定可能な構成としてもよい。MTは、医師、看護師などのユーザーがそれぞれ所持するタブレットPC(Personal Computer)、スマートフォンなどの携帯端末である。各種設定情報は、検出部14を含む各センサーの測定周期、間欠測定などの動作設定、リアルタイム転送している測定データ以外の異常判定用の閾値などの設定パラメーター、計時部19の時刻設定情報、オートパワーオフの有無及び時間の設定情報、パルスオキシメーター1の機器番号の設定情報などを含む。
【0051】
図1,
図3に示すように、患者情報通信装置2は、医療機関の病室の複数の患者のベッドのベッドサイドにそれぞれ据え付けて配置される端末装置である。患者情報通信装置2は、パルスオキシメーター1によって測定された測定データを、サーバー3にリアルタイム転送する。このような患者情報通信装置2は、患者ごとのベッドサイドに設置されており、ベッドサイド端末ともいう。
【0052】
また、患者情報通信装置2には、パルスオキシメーター1以外にも患者のバイタル値などをモニタリングする各種センサー(例えば、呼吸センサー4、体動センサー5、離床センサー6、脈拍センサー、体温センサー、血圧計など)も接続可能となっている。
【0053】
図3に示すように、患者情報通信装置2は、制御手段としての制御部21、操作部22、記憶部23、表示手段としての表示部24、IF回路25、通信手段としての無線通信部26、電源部27、NFC(Near Field Communication)リーダー28、報知手段としての出力部29などを備える。
【0054】
制御部21は、CPU、RAMなどにより構成される。制御部21のCPUは、記憶部23に記憶されているシステムプログラムやアプリケーションプログラムなどの各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0055】
操作部22は、各種スイッチ、各種機能ボタンなどを備えており、これらの操作信号を制御部21に出力する。各種機能ボタンには、パルスオキシメーター1から接続線17aを外す場合、上記のパルスオキシメーター1の接続線17a、各種センサー4,5,6用の接続線を外す場合に押下される上記の離床ボタンが含まれている。
【0056】
記憶部23は、フラッシュメモリーなどの半導体の不揮発性メモリーで構成され、各種プログラム及び各種データが記憶されている。また、記憶部23には、サーバー3において患者と各測定データとを紐付ける場合に利用する患者IDが予め記憶されている。また、記憶部23には、後述する患者情報通信処理を実行するための患者情報通信処理プログラムが記憶されている。
【0057】
表示部24は、例えばLCD、ELディスプレイなどにより構成されており、制御部21から入力される表示信号の指示に従って表示を行う。表示部24に表示される情報としては、患者情報通信装置2に接続されたパルスオキシメーター1や、その他の上記した各種センサー4,5,6で測定された測定データの測定値や測定波形を有する表示画面などが挙げられる。
【0058】
IF回路25は、パルスオキシメーター1及び各種センサー4,5,6との間で測定データのリアルタイム転送を含む有線通信と、無線通信部26及びNFCリーダー28との有線通信と、を可能とする回路部であり、接続線17aの接続部が含まれる。また、患者情報通信装置2からパルスオキシメーター1及び各種センサー4,5,6に対しては電力の供給が行われるため、IF回路25も、当該電力の供給が可能に構成されている。
【0059】
無線通信部26は、例えば、サブギガ無線通信によりサーバー3とデータ送受信を行うための無線アンテナ、無線モジュールを含む無線インターフェースを有する。すなわち、本実施の形態においては、患者情報通信装置2とサーバー3とは無線通信によってデータの送受信を行うものとする。なお、これに限定されるものではなく、患者情報通信装置2とサーバー3とは、有線による通信を行うものとしてもよい。
【0060】
電源部27は、系統電源又は病院の自家発電装置から電力を取得し、その電力を、IF回路25を含む患者情報通信装置2の各部へと送る電力供給部であり、接続線17aを介してパルスオキシメーター1にも電力を供給することができる。
【0061】
NFCリーダー28は、NFCの無線通信方式により、通信対象物に記憶されている情報を読み取る読取部であり、IF回路25を介して、読み取った情報を制御部21に出力する。NFCリーダー28は、例えば、看護師などのユーザーが所持するIDカードに記憶されている当該ユーザーのユーザーIDを読み取る。
【0062】
出力部29は、各種音を出力する音声出力部、振動を出力する振動出力部を含み、制御部21の制御に従い、自機に対応する患者又は他のベッドに設置された患者情報通信装置2に対応する他の患者のアラーム時における、アラーム音、振動などを出力する。
【0063】
本実施の形態では、例えば、患者情報通信装置2のうち、制御部21、操作部22、記憶部23、表示部24、出力部29は、タブレットPC20により実現されるものとする。タブレットPC20は、BluetoothやWi-Fiなどの無線通信が可能な無線通信部などを有する構成としてもよい。
【0064】
図1、
図4に示すように、サーバー3は、複数の患者に装着された複数のパルスオキシメーター1から複数の患者情報通信装置2を介して、当該複数の患者の測定データを受信し、当該複数の患者分の測定データを記憶して管理するとともに、当該複数の測定データ同時にリアルタイム表示する集中管理ステーション(集中管理システム、SS(Station Server))として機能する。
【0065】
図4に示すように、サーバー3は、制御部31、操作部32、記憶部33、表示部34、無線通信部35などを備える。サーバー3の各部は、バス36を介して接続されている。
【0066】
制御部31は、CPU、RAMなどにより構成される。制御部31のCPUは、記憶部33に記憶されているシステムプログラムやアプリケーションプログラムなどの各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0067】
操作部32は、キーボード、マウスなどのポインティングデバイスを有し、ユーザーからのキー入力、位置入力を受け付け、これらの操作信号を制御部31に出力する。
【0068】
記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの大容量記録媒体で構成され、各種プログラム及び各種データが記憶されている。また、記憶部33には、後述するサーバー処理を実行するためのサーバー処理プログラムが記憶されている。
【0069】
表示部34は、例えばLCD、ELディスプレイなどにより構成されており、制御部31から入力される表示信号の指示に従って表示を行う。表示部34に表示される情報としては、モニタリングシステム100の全ての患者情報通信装置2に接続された、全てのパルスオキシメーター1や、その他の上記した各種センサー4,5,6により測定されたすべての患者のバイタル値の測定値や測定波形を有する表示画面などが挙げられる。
【0070】
無線通信部35は、例えば、患者情報通信装置2と通信をするためのサブギガ無線通信による無線通信部と、パルスオキシメーター1、MT(図示略)などと無線通信をするためのBluetooth、Wi-Fiなどの無線通信部とを含む。
【0071】
サーバー3を構成する各部のうち少なくとも表示部34は、例えば医療施設内の看護師が常駐する所謂ナースステーションに設置されており、看護師がいつでも患者の測定データを目視により確認できるようになっている。
【0072】
つぎに、
図5~
図7を参照して、モニタリングシステム100の動作を説明する。
図5は、患者情報通信処理を示すフローチャートである。
図6は、サーバー処理を示すフローチャートである。
図7は、測定データ表示画面200を示す図である。
【0073】
まず、
図5を参照して、医療施設の各患者情報通信装置2で実行される患者情報通信処理を説明する。パルスオキシメーター1は、有線IF回路17(、接続線17a)を介して、ベッドのサイドに設けられた患者情報通信装置2に有線接続/切断可能である。また、患者が対応するベッドに着床している場合に、パルスオキシメーター1により、SpO
2、脈拍数のバイタル値の測定が可能な状態となる。
【0074】
あらかじめ、患者情報通信装置2は、操作部22を介するユーザーからの入力、サーバー3からの患者関連情報受信などにより、自機の患者情報通信装置2が設けられているベッドに着床する患者の患者関連情報が設定されて記憶部23に記憶され、また、自機を識別する端末情報も記憶部23に記憶されているものとする。患者関連情報は、患者の識別情報、患者が着床するベッドの識別情報、患者の名前、性別などの情報である。
【0075】
また、あらかじめ、測定データが異常であるか否かを判別するための閾値が記憶部23に記憶されているものとする。測定データの閾値は、例えば、上限値、下限値を有する。例えば、測定データのSpO2が閾値の上限値を超えると異常と判別され、測定データのSpO2が閾値の下限値未満となると異常と判別されるものとする。
【0076】
患者情報通信装置2において、例えば、電源オンされたことをトリガーとして、制御部21は、記憶部23に記憶された患者情報通信処理プログラムに従い、患者情報通信処理を実行する。
【0077】
図5に示すように、制御部21は、IF回路25を介して、パルスオキシメーター1が自機の患者情報通信装置2に有線接続され、接続先のパルスオキシメーター1から測定されたバイタル値の測定データを受信したか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11で受信される測定データは、第2測定モードの測定データとする。また、測定データは、バイタル値と、計時部19による当該バイタル値の計測時の現在日時情報に基づく計測日時情報と、を含むものとする。
【0078】
また、例えば、パルスオキシメーター1が患者情報通信装置2に有線接続された状態で、操作部12又は操作部22を介して、看護師などのユーザーから測定データの転送指示が操作入力された場合に、記憶部13から読み出された第1測定モードの測定データがパルスオキシメーター1から患者情報通信装置2に転送されて表示部24に表示されるものとする。また、当該測定データが患者情報通信装置2からサーバー3に転送されて表示部34に表示されて記憶部33に記憶されるものとする。このため、本実施の形態では、第2測定モードの測定データについて説明する。
【0079】
測定データを受信した場合(ステップS11;YES)、制御部21は、測定データの閾値を記憶部23から読み出し、読み出した閾値を用いて、ステップS11で受信された測定データが異常であるか否かを判別する(ステップS12)。ステップS12では、測定データのSpO2、脈拍数のそれぞれについて異常が判別される。測定データが異常である場合(ステップS12;YES)、制御部21は、測定データのSpO2、脈拍数の少なくとも一方が異常であることを示す測定データのアラーム情報を生成し、無線通信部26を介して、生成した測定データのアラーム情報を記憶部23に記憶されている自機の患者情報通信装置2の端末情報とともに、サーバー3に送信する(ステップS13)。
【0080】
そして、制御部21は、無線通信部26を介して、ステップS11で受信された測定データをサーバー3に転送する(ステップS14)。そして、制御部21は、ステップS13で生成された測定データのアラーム情報を、記憶部23に記憶されている患者関連情報及びステップS11で受信された測定データとともに表示部24に表示し、出力部29を介して、患者の測定データのアラームの旨の音出力及び振動出力をして報知する(ステップS15)。測定データは、バイタル値の測定値、測定波形として表示され、患者情報通信装置2又はサーバー3における他の測定データ表示でも同様である。
【0081】
測定データが異常でない場合(ステップS12;NO)、制御部21は、無線通信部26を介して、ステップS11で受信された測定データを、記憶部23に記憶されている自機の患者情報通信装置2の端末情報とともに、サーバー3に転送する(ステップS16)。そして、制御部21は、ステップS11で受信された測定データを、記憶部23に記憶されている患者関連情報とともに表示部24に表示する(ステップS17)。
【0082】
測定データを受信していない場合(ステップS11;NO)、又はステップS15若しくはS17の実行後、制御部21は、IF回路25を介して、パルスオキシメーター1が自機の患者情報通信装置2に有線接続され、接続先のパルスオキシメーター1から当該パルスオキシメーター1の異常を示す機器異常情報を受信したか否かを判別する(ステップS18)。機器異常情報を受信した場合(ステップS18;YES)、制御部21は、接続先のパルスオキシメーター1の機器異常のアラーム情報を生成し、無線通信部26を介して、生成した機器異常のアラーム情報を記憶部23に記憶されている自機の患者情報通信装置2の端末情報とともに、サーバー3に送信する(ステップS19)。
【0083】
そして、制御部21は、ステップS19で生成した機器異常のアラーム情報を、記憶部23に記憶されている患者関連情報とともに、サーバー3に送信する(ステップS19)。表示部24に表示し、出力部29を介して、接続先のパルスオキシメーター1の機器異常のアラームの旨の音出力及び振動出力をして報知する(ステップS20)。
【0084】
機器異常情報を受信していない場合(ステップS18;NO)、又はステップS20の実行後、制御部21は、無線通信部26を介して、自機以外の患者情報通信装置2に着床する他の患者の測定データ又は機器異常のアラーム情報を、当該他の患者の患者関連情報とともにサーバー3から受信したか否かを判別する(ステップS21)。他の患者のアラーム情報及び患者関連情報を受信していない場合(ステップS21;NO)、ステップS11に移行される。
【0085】
他の患者のアラーム情報及び患者関連情報を受信した場合(ステップS21;YES)、制御部21は、ステップS21で受信された他の患者の患者関連情報から個人情報を削除する(ステップS22)。個人情報は、他の患者個人に関する情報であり、かつその情報に含まれる記述などによって当該患者を識別できる情報である。ここでは、個人情報は、医師、看護師などのユーザー以外の人物(自機の患者情報通信装置2に対応する患者、他の患者など)が患者を識別できる情報とし、例えば、他の患者の名前、性別である。
【0086】
そして、制御部21は、ステップS21で受信されたアラーム情報を、ステップS22で個人情報が削除された患者関連情報とともに、表示部24に表示し、出力部29を介して、他の患者のアラームの旨の音出力及び振動出力をして報知し(ステップS23)ステップS11に移行する。個人情報が削除された患者関連情報が表示部24に表示されるため、アラームが発生した他の患者の個人情報が、自機の患者情報通信装置2に対応する患者などに知られることを防ぐことができる。
【0087】
なお、制御部21は、看護師モードにおいて、操作部22を介して、ユーザーから、表示されたアラーム情報に対応する患者の個人情報の表示指示が操作入力された場合に、ステップS22で削除された個人情報を表示部24に表示する構成としてもよい。看護師モードとは、ユーザーとしての看護師が患者情報通信装置2を利用しているモードであり、例えば、制御部21は、NFCリーダー28を介して、看護師が所持するIDカードを読み取り、読み取られた看護師IDが正当であると認証した場合に、看護師モードに設定する。看護師モードでは、認証された看護師以外の患者などの人物は、患者情報通信装置2を利用できない。
【0088】
また、ステップS15,S20,S23における、アラーム情報の報知について、表示だけでなく、音出力、振動出力においても、アラームの対象の患者の違い(例えば、自機の患者情報通信装置2に対応する患者と他の患者との違い)や、アラーム情報の種類(測定データのアラーム情報、機器異常のアラーム情報)などにより、出力表現を変更する構成としてもよい。音出力の表現は、例えば、音の音階、大きさ、長さ、メロディなどである。振動出力の表現は、例えば、振動の大きさ、長さ、パターンなどである。
【0089】
また、ステップS15,S20,S23における、アラーム情報の報知の期間に関し、モニタリングシステム100のいずれかの患者情報通信装置2で、(看護師モード移行後に、)操作部22を介して、アラーム情報に対応する患者の処置を始めるユーザーからアラーム情報の報知の解除指示が操作入力された場合に、全ての患者情報通信装置2において、当該解除指示のアラーム情報の報知が停止される構成としてもよい。この報知の停止により、アラーム情報に対する処置をしていないユーザーが、別のユーザーが処置を開始した旨を認識できる。
【0090】
他の患者のアラーム情報の報知は、あらかじめ設定された所定期間後に停止してもよく、さらに所定時間後に、再開する(報知を繰り返す)構成としてもよい。
【0091】
また、全ての患者情報通信装置2において、処置開始の操作入力後、操作部22を介して、処置終了の操作入力が行われるまで、アラーム情報、処置中のユーザーの識別情報、処置中の患者の(個人情報を除く)患者関連情報、及び「処置中」の表示情報が、表示部24に表示される構成としてもよい。
また、患者情報通信装置2とサーバー3とは、サブギガ無線(1[GHz]に満たない周波数帯を使う無線)を用いられている場合には、転送量に制限があるため、サーバー3から受信する他の患者の測定データには、波形情報を含めない構成としてもよい。あるいは、転送量に余裕がある場合のみ、波形情報を含めるように構成してもよい。
【0092】
ついで、
図6を参照して、
図5の患者情報通信処理と並行して、サーバー3で実行されるサーバー処理を説明する。あらかじめ、サーバー3は、操作部32を介するユーザーからの入力などにより、各患者の患者関連情報と、各患者情報通信装置2の端末情報と、が対応付けられて記憶部33に記憶されているものとする。
【0093】
サーバー3において、例えば、電源オンされたことをトリガーとして、制御部31は、記憶部33に記憶されたサーバー処理プログラムに従い、サーバー処理を実行する。
【0094】
図6に示すように、まず、
図5の患者情報通信処理のステップS13,S14又はS16に対応して、制御部31は、無線通信部35を介して、端末情報及び測定データを患者情報通信装置2から受信したか否かを判別する(ステップS31)。端末情報及び測定データを受信した場合(ステップS31;YES)、制御部31は、ステップS31で受信された測定データを、ステップS31で受信された端末情報に対応して記憶部33に記憶されている患者関連情報に対応付けて記憶部33に記憶する(ステップS32)。
【0095】
そして、制御部31は、ステップS32で記憶された測定データをステップS32で記憶された患者関連情報に対応付けて表示部34に表示する(ステップS33)。表示部34を見られるのはユーザーであり、患者は見られないので、ステップS33及び後述するステップS36では、表示される患者関連情報に個人情報が含まれていてもよい。
【0096】
端末情報及び測定データを受信していない場合(ステップS31;NO)、又はステップS33の実行後、
図5のステップS13又はS19に対応して、制御部31は、無線通信部35を介して、端末情報及びアラーム情報を患者情報通信装置2から受信したか否かを判別する(ステップS34)。端末情報及びアラーム情報を受信していない場合(ステップS34;NO)、ステップS31に移行される。
【0097】
端末情報及びアラーム情報を受信した場合(ステップS34;YES)、制御部31は、ステップS34で受信されたアラーム情報を、ステップS34で受信された端末情報に対応して記憶部33に記憶されている患者関連情報に対応付けて記憶部33に記憶する(ステップS35)。そして、制御部31は、ステップS35で記憶されたアラーム情報をステップS35で記憶された患者関連情報に対応付けて表示部34に表示する(ステップS36)。
【0098】
そして、
図5のステップS21に対応して、制御部31は、無線通信部35を介して、ステップS35で記憶されたアラーム情報をステップS35で記憶された患者関連情報に対応付け、対応付けられた患者関連情報及びアラーム情報を、ステップS34のアラーム情報の送信元の患者情報通信装置2を除く全ての患者情報通信装置2にブロードキャスト送信し(ステップS37)、ステップS31に移行する。
【0099】
ついで、
図7を参照して、
図5の患者情報表示処理により表示される表示画面の一例としての測定データ表示画面200を説明する。まず、測定データ表示画面200が表示される患者情報通信装置2を自機とし、自機の患者情報通信装置2が設けられたベッドに着床する患者を自機の患者とする。また、患者関連情報は、患者ID、患者名、患者の性別、患者が着床するベッドのベッド番号を含むものとする。
【0100】
図7に示すように、測定データ表示画面200は、患者関連情報表示領域210と、測定データ表示領域220と、アラーム情報表示領域230と、を有する。患者関連情報表示領域210は、自機の患者の患者関連情報(患者ID(0001)、患者名(スズキ ジロウ)、性別(男)、ベッド番号(201-A))の表示領域である。
【0101】
測定データ表示領域220は、患者関連情報表示領域210と対応づけられ、自機の患者の測定データの表示領域である。
図7の測定データ表示領域220では、パルスオキシメーター1で測定された自機の患者のSpO
2、脈拍数と、呼吸センサー4で測定された自機の患者の呼吸数と、が測定波形として表示されている。
【0102】
アラーム情報表示領域230は、他の患者のアラーム情報の表示領域であり、ベッド番号231と、アラーム種類232と、を有する。ベッド番号231は、他の患者のベッド番号である。アラーム種類232は、ベッド番号231に対応する他の患者のアラーム種類であり、「S」がSpO
2を示し、「P」が脈拍数を示す。
図7のアラーム情報表示領域230では、ベッド番号231が、201-B,203-C,205-A,207-Bの4人の他の患者について、それぞれ、SpO
2、脈拍数、SpO
2、脈拍数で異常があることを示す。自機の患者には、測定データの異常がなく、また、自機の患者、他の患者のパルスオキシメーター1には、機器異常が発生していない。
【0103】
また、看護師モードでは、アラーム情報表示領域230に表示されている他の患者の測定データ(測定値、測定波形)などを測定データ表示画面200に表示可能な構成としてもよい。
【0104】
以上、本実施の形態によれば、患者情報通信装置2は、第一の患者の着床位置であるベッドに対応付けてベッドサイドに配置され、第一の患者の生体情報を表示部24に表示する。患者情報通信装置2は、患者の生体情報を管理するサーバー3から、第一の患者とは異なる他の第二の患者の生体情報を受信する無線通信部26と、受信された第二の患者の生体情報を表示部24に表示する制御部21と、を備える。モニタリングシステム100は、第一の患者、第二の患者の患者情報通信装置2と、第二の患者の生体情報を第一の患者の患者情報通信装置2に送信するサーバー3と、を備える。ここでの生体情報は、患者の生体に関する情報であり、患者の測定データ、アラーム情報、患者関連情報の少なくとも一つを含む情報であるものとする。
【0105】
このため、看護師などのユーザーが第一の患者の生体情報を目視により確認できるとともに、同じ位置で、他の患者としての第二の患者の生体情報を目視により確認できる。
【0106】
また、第二の患者の生体情報は、当該第二の患者のバイタル値の測定データが異常であることを示す測定データのアラーム情報を含む。このため、ユーザーが第二の患者の測定データに異常があることを目視により確認できる。
【0107】
また、制御部21は、第一の患者のバイタル値の測定データを測定するパルスオキシメーター1により測定された測定データが異常であるか否かを判別し、異常である場合に、無線通信部26を介して、第一の患者の測定データのアラーム情報をサーバー3に送信する。このため、サーバー3が、第一の患者の測定データのアラーム情報を第二の患者の患者情報通信装置2に送信して表示させることができ、第二の患者の患者情報通信装置2を目視するユーザーが第一の患者の測定データに異常があることを目視により確認できる。
【0108】
また、第二の患者の生体情報は、第二の患者のバイタル値の測定データを測定するパルスオキシメーター1の異常を示す機器異常のアラーム情報を含む。このため、ユーザーが第二の患者のパルスオキシメーター1に異常があることを目視により確認できる。
【0109】
また、制御部21は、第一の患者のバイタル値の測定データを測定するパルスオキシメーター1が異常であるか否かを判別し、異常である場合に、無線通信部26を介して、当該パルスオキシメーター1の機器異常のアラーム情報をサーバー3に送信する。このため、サーバー3が、第一の患者の機器異常のアラーム情報を第二の患者の患者情報通信装置2に送信して表示させることができ、第二の患者の患者情報通信装置2を確認しているユーザーが第一の患者のパルスオキシメーター1に異常があることを目視により確認できる。
【0110】
また、第二の患者の生体情報は、第二の患者に関する患者関連情報を含む。このため、ユーザーが第二の患者の患者関連情報を目視により確認できる。
【0111】
また、制御部21は、第二の患者の個人情報を含まない生体情報を表示部24に表示する。このため、第一の患者が第二の患者の個人情報を見てしまうことを防ぐことができる。
【0112】
また、制御部21は、第一の患者の生体情報(
図7の測定データ表示画面200の患者関連情報表示領域210、測定データ表示領域220)とともに第二の患者の生体情報(アラーム情報表示領域230)を表示部24に表示する。このため、ユーザーが第一の患者の生体情報を目視により確認すると同時に、第二の患者の生体情報を目視により確認できる。
【0113】
また、制御部21は、第二の患者の生体情報を受信(、表示)したことを出力部29の音出力、振動出力により報知させる。このため、ユーザーが、第二の患者の生体情報を確実に確認できる。
【0114】
また、無線通信部26は、サブギガ無線を用いる。このため、サブギガ無線により、比較的、長距離まで電波が届くので、中継器が少なくて済み、機器の設置の容易性を向上できるとともに、2.4[GHz]などの無線と異なり、電波の競合を発生しにくくできる。
【0115】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る好適な生体情報表示装置、生体情報表示システム及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0116】
例えば、上記実施の形態では、他の患者のアラーム情報を、各患者情報通信装置2で報知する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、各ユーザーが、イヤホンを接続したMT(図示略)を所持して当該イヤホンを着け、他の患者のアラーム情報が発生した場合に、サーバー3が、他の患者のアラーム情報をMTに送信してイヤホンを介して音出力する構成としてもよい。
【0117】
また、患者情報通信装置2が、患者が着床するベッドのベッドサイドに据え付けて配置される構成としたが、これに限定されるものではない。患者情報通信装置2が、移動可能なワゴンに置かれる又は据え付けられる構成としてもよい。この構成では、患者情報通信装置2の表示部24の表示画面が小さい場合や、ベッドからの移動先の廊下などでも、アラーム情報を報知し、ユーザーが視覚、聴覚により確認できる。
【0118】
また、MTは、腕時計型、ゴーグル型などのウェアラブルな携帯端末とし、サーバー3が、患者情報通信装置2から転送された患者のアラーム情報及び端末情報に対応するアラーム情報及び患者関連情報をMTに送信して当該アラーム情報及び患者関連情報を報知させる構成としてもよい。
【0119】
また、各病室に、共通で閲覧可能な表示装置を設け、サーバー3が、患者情報通信装置2から転送された患者のアラーム情報及び端末情報に対応するアラーム情報及び患者関連情報を当該表示装置に送信して当該アラーム情報及び患者関連情報を表示させる構成としてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、患者情報通信装置2の制御部21が、パルスオキシメーター1で測定された測定データが異常であるか否かを判別する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、サーバー3の制御部31が、患者情報通信装置2から受信された測定データが異常であるか否かを判別し、異常である場合に、対応する測定データのアラーム情報を生成し、無線通信部35を介して、生成した測定データのアラーム情報を、送信元の患者情報通信装置2以外の患者情報通信装置2にブロードキャスト送信し表示、報知させる構成としてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態では、バイタル値の測定データの測定機器として、パルスオキシメーター1を説明したが、これに限定されるものではない。測定機器を、SpO2や脈拍数以外のバイタル値の測定データを検出する各種センサーに適用する構成としてもよい。
【0122】
また、以上の実施の形態におけるモニタリングシステム100を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0123】
100 モニタリングシステム
1 パルスオキシメーター
11 制御部
12 操作部
13 記憶部
14 検出部
14a 測定制御部
14b LED駆動回路
14c アナログフロントエンド回路
14d ADコンバーター
15 表示部
16 無線通信部
17 有線IF回路
18 電力供給部
18a 充電制御部
2 患者情報通信装置
20 タブレットPC
21 制御部
22 操作部
23 記憶部
24 表示部
25 IF回路
26 無線通信部
27 電源部
28 NFCリーダー
3 サーバー
31 制御部
32 操作部
33 記憶部
34 表示部
35 無線通信部
36 バス