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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20250212BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20250212BHJP
   H01G 11/30 20130101ALI20250212BHJP
   H01G 11/42 20130101ALI20250212BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20250212BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20250212BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20250212BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20250212BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250212BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20250212BHJP
【FI】
H01M10/058
H01G11/06
H01G11/30
H01G11/42
H01G11/78
H01M4/133
H01M4/587
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0566
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020194745
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022083349
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】金子 喬
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/054708(WO,A1)
【文献】特開2019-175775(JP,A)
【文献】特開2019-139872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
H01G 11/06
H01G 11/30
H01G 11/42
H01G 11/78
H01M 4/133
H01M 4/587
H01M 4/62
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質を含む負極を有する電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容する角型容器とを備え、
放電状態において上記電極体の少なくとも一部が押圧されており、
上記電極体が、上記負極の厚さ方向において上記角型容器の対向する内面によって挟まれ且つ押圧されており、
放電状態における上記電極体の上記対向する内面によって押圧された部分の、乾燥状態且つ押圧されていない状態における厚さをT1とし、上記角型容器の上記電極体を収容していない状態における上記対向する内面の間の距離である内寸をT2とした場合に、上記厚さと上記角型容器の内寸との比T1/T2が1.01以上であり、
上記負極活物質が、中実天然黒鉛粒子を含み、
上記中実天然黒鉛粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて取得されるSEM画像において観察される断面において観察される粒子全体の面積に対する粒子内の空隙の面積率が2%以下である蓄電素子。
【請求項2】
上記負極活物質における上記中実天然黒鉛粒子の含有割合が99質量%以上である請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
上記負極が、カルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含む請求項1又は請求項2に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。また、非水電解液二次電池以外の蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタ、非水電解液以外の電解液が用いられた蓄電素子等も広く普及している。
【0003】
蓄電素子としては、正極活物質を含む正極と負極活物質を含む負極とがセパレータを介して重ね合わされている電極体を備えるものが一般的である。このような電極体が電解液と共に容器に収納され、蓄電素子を構成している。負極活物質としては、黒鉛を初めとした炭素材料が広く用いられている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-222933号公報
【文献】特開2017-069039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らの検討によれば、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧された状態となるように設計された蓄電素子は、充放電サイクル後の容量維持率が向上する傾向にある。しかし、このように設計された蓄電素子は、充放電サイクル後の抵抗増加率が高いという不都合を有する。
【0006】
本発明の目的は、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧されている蓄電素子であって、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減された蓄電素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る蓄電素子は、負極活物質を含む負極を有する電極体、及び電解液を備え、放電状態において上記電極体の少なくとも一部が押圧されており、上記負極活物質が、中実天然黒鉛を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧されている蓄電素子であって、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減された蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。
図2図2は、蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。
図3図3は、参考例2から6の各蓄電素子の容量維持率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
初めに、本明細書によって開示される蓄電素子の概要について説明する。
【0011】
本発明の一側面に係る蓄電素子は、負極活物質を含む負極を有する電極体、及び電解液を備え、放電状態において上記電極体の少なくとも一部が押圧されており、上記負極活物質が、中実天然黒鉛を含む。
【0012】
本発明の一側面に係る蓄電素子は、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧されている蓄電素子であって、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されている。この理由は定かではないが、以下の理由が推測される。一般的に蓄電素子においては、電極体内に含浸している電解液の一部は、充放電に伴うイオンの出入りにより活物質が膨張すると、電極体の空孔体積が減少し、電極体外へ流出する。そして活物質が収縮すると、電解液は電極体内へ流入する。このとき、電解液が電極体内へ戻りきらない場合、電極体内で電解液が枯渇した部分が生じ、電極体内における充放電に寄与する電極の反応面積が減少するため、抵抗増加を引き起こす。ここで、電極体が押圧された状態である場合、活物質が膨張したときに活物質間の空隙が狭くなりやすいため電極体外へ流出する電解液の量が増える。そして、活物質が収縮したときに電解液は押圧された状態の電極体内部にまで戻りにくくなることから、上記の抵抗増加が顕著になる。また、電極体内で電解液が枯渇した場合、電極体内における充放電に寄与する電極の反応面積が減少するため、充放電の電流密度が高まると考えられる。このため、電極体に電解液が戻りきらないまま充放電が繰り返されると、電流密度が高まったことで電解液の分解が促進されることなどにより、蓄電素子が劣化し、抵抗増加を引き起こしていることも考えられる。これに対し、本発明の一側面に係る蓄電素子においては、負極活物質として、充放電時の体積変化が小さい中実天然黒鉛が用いられていることで、電極体の少なくとも一部が押圧されているにもかかわらず、活物質が膨張したときに電極体外へ流出する電解液の量が少なくなり、活物質が収縮したときに電極体内へ戻らない電解液の量が少なくなる。このため、本発明の一側面に係る蓄電素子によれば、電極体内での電解液の枯渇が生じにくくなり、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されると推測される。
また、本発明の一側面に係る蓄電素子は、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧されるように構成されているため、充放電サイクル後の容量維持率が高い傾向にある。この理由は定かではないが、電極体の少なくとも一部が押圧されていることで、電極体にシワが生じにくくなり、電極間(正極と負極との間)の距離が均一化され、活物質の局所的な劣化等が抑制される結果、容量維持率が高まるものと推測される。
【0013】
ここで、蓄電素子の「放電状態」とは、以下の操作を行った後の状態をいう。まず、蓄電素子を1Cの充電電流で通常使用時の充電終止電圧となるまで定電流充電し、その後定電圧充電を行い、総充電時間を3時間として満充電状態とする。10分の休止後、1Cの放電電流で通常使用時の下限電圧まで定電流放電する。この状態を放電状態とする。ここで、通常使用時とは、当該蓄電素子について推奨され、又は指定される充放電条件を採用して当該蓄電素子を使用する場合であり、当該蓄電素子のための充電器が用意されている場合は、その充電器を適用して当該蓄電素子を使用する場合をいう。
【0014】
中実天然黒鉛における「中実」とは、天然黒鉛の粒子内部が詰まっていて実質的に空隙が存在しないことを意味する。より具体的には、「中実」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて取得されるSEM像において観察される粒子の断面において、粒子全体の面積に対する粒子内の空隙の面積率(空隙率)が2%以下であることをいう。好ましい一態様では、中実天然黒鉛の上記空隙の面積率は、1%以下であってよい。
黒鉛粒子における「粒子全体の面積に対する粒子内の空隙の面積率(空隙率)」は、以下の手順で決定することができる。
(1)測定用試料の準備
測定対象とする負極を熱硬化性の樹脂で固定する。樹脂で固定された負極について、クロスセクション・ポリッシャを用いることで、断面を露出させ、測定用試料を作製する。なお、測定対象とする負極は、下記の手順により準備する。当該蓄電素子を、0.1Cの電流で、通常使用時の下限電圧まで定電流放電し、放電された状態とする。この放電された状態の蓄電素子を解体し、負極を取り出して、ジメチルカーボネートにより充分に洗浄した後、室温にて減圧乾燥を行う。蓄電素子の解体からSEM像の取得までの作業は、露点-40℃以下の乾燥空気雰囲気中で行う。
(2)SEM像の取得
SEM像の取得には、走査型電子顕微鏡としてJSM-7001F(日本電子株式会社製)を用いる。SEM像は、二次電子像を観察するものとする。加速電圧は、15kVとする。観察倍率は、一視野に現れる黒鉛粒子が3個以上15個以内となる倍率に設定する。得られたSEM像は、画像ファイルとして保存する。その他、スポット径、ワーキングディスタンス、照射電流、輝度、フォーカス等の諸条件は、黒鉛粒子の輪郭が明瞭になるように適宜設定する。
(3)黒鉛粒子の輪郭の切り抜き
画像編集ソフトAdobe Photoshop Elements 11の画像切り抜き機能を用いて、取得したSEM像から黒鉛粒子の輪郭を切り抜く。この輪郭の切り抜きは、クイック選択ツールを用いて黒鉛粒子の輪郭より外側を選択し、黒鉛粒子以外を黒背景へと編集して行う。このとき、輪郭を切り抜くことができた黒鉛粒子が3個未満であった場合は、再度、SEM像を取得し、輪郭を切り抜くことができた黒鉛粒子が3個以上になるまで行う。
(4)二値化処理
切り抜いた黒鉛粒子のうち1つ目の黒鉛粒子の画像について、画像解析ソフトPopImaging 6.00を用い、強度が最大となる濃度から20%分小さい濃度を閾値に設定して二値化処理を行う。二値化処理により、濃度の高い側の面積を算出することで「粒子内の空隙の面積S1」とする。
ついで、先ほどと同じ1つ目の黒鉛粒子の画像について、濃度10を閾値として二値化処理を行う。二値化処理により、黒鉛粒子の外縁を決定し、当該外縁の内側の面積を算出することで、「粒子全体の面積S0」とする。
上記算出したS1及びS0を用いて、S0に対するS1の比(S1/S0)を算出することにより、1つ目の黒鉛粒子における「粒子全体の面積に対する粒子内の空隙の面積率R1」を算出する。
切り抜いた黒鉛粒子のうち2つ目以降の黒鉛粒子の画像についても、それぞれ、上記の二値化処理を行い、面積S1、面積S0を算出する。この算出した面積S1、面積S0に基づいて、それぞれの黒鉛粒子の空隙の面積率R2、R3、・・・を算出する。
(5)空隙の面積率の決定
二値化処理により算出した全ての空隙の面積率R1、R2、R3、・・・の平均値を算出することにより、「粒子全体の面積に対する粒子内の空隙の面積率(空隙率)」を決定する。
【0015】
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、エックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。炭素材料の「放電状態」とは、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属リチウム(Li)を対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、上記単極電池における開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する炭素材料を含む負極の電位とほぼ同等である。つまり、上記単極電池における開回路電圧が0.7V以上であることは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。
【0016】
上記負極活物質が、実質的に上記中実天然黒鉛からなることが好ましい。このような場合、充放電の際の負極活物質の体積変化がより小さくなるため、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される傾向にある。なお、「負極活物質が、実質的に中実天然黒鉛からなる」とは、全ての負極活物質に対する中実天然黒鉛の含有割合が99質量%以上であることをいう。
【0017】
上記負極が、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)をさらに含むことが好ましい。このような場合、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される傾向にある。この理由は定かではないが、CMC-Naによって各成分の分散性(例えば、負極活物質表面におけるバインダ粒子の分散性など)が高まることなどが考えられる。
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る蓄電素子、蓄電装置の構成、蓄電素子の製造方法、及びその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0019】
<蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極、負極及びセパレータを有する電極体と、電解液と、上記電極体及び電解液を収容する容器と、を備える。電極体は、通常、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された積層型、又は、正極及び負極がセパレータを介して積層された状態で巻回された巻回型である。電解液は、正極、負極及びセパレータに含浸した状態で存在する。蓄電素子の一例として、非水電解液二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
【0020】
(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。
【0021】
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
【0022】
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。正極基材及び後述する負極基材の「平均厚さ」とは、所定の面積の基材を打ち抜いた際の打ち抜き質量を、基材の真密度及び打ち抜き面積で除した値をいう。
【0023】
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
【0024】
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
【0025】
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
【0027】
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
【0028】
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
【0029】
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
【0030】
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
【0031】
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
【0032】
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、活物質を安定して保持することができる。
【0033】
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。CMCは、通常、ナトリウム塩等の金属塩、アンモニウム塩等の形態で用いられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
【0034】
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
【0035】
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
【0036】
正極の作製は、例えば正極基材に直接又は中間層を介して、正極合剤ペーストを塗布し、乾燥させることにより行うことができる。乾燥後、必要に応じてプレス等を行ってもよい。正極合剤ペーストには、正極活物質、及び任意成分である導電剤、バインダ等、正極活物質層を構成する各成分が含まれる。正極合剤ペーストには、通常さらに分散媒が含まれる。
【0037】
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
【0038】
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
【0039】
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
【0040】
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
【0041】
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba、等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
【0042】
負極活物質は、中実天然黒鉛を含む。当該二次電池の負極活物質が中実天然黒鉛を含むことにより、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されている。天然黒鉛は、充放電前又は放電状態において測定されるCuKα線を用いたエックス線回折パターンにおいて、回折角2θが40から50°の範囲に4つのピークが現れるものであってよい。これらの4つのピークは、六方晶系の構造に由来する2つのピークと、菱面体晶系の構造に由来する2つのピークとであるとされている。人造黒鉛の場合、一般的に、六方晶系の構造に由来する2つのピークのみが現れるとされている。エックス線回折パターンにおいて、(100)面に由来するピーク強度に対する(012)面に由来するピーク強度の比((012)/(100))は0.3以上が好ましく、0.4以上がさらに好ましい。上記ピーク強度の比((012)/(100))は0.6以下が好ましい。ここで、(100)面は六方晶系の構造に由来し、(012)面は菱面体晶系の構造に由来する。
【0043】
中実天然黒鉛の平均粒径は、例えば、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下が好ましい。中実天然黒鉛の平均粒径を上記下限以上とすることで、中実天然黒鉛の製造又は取り扱いが容易になる。中実天然黒鉛の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の電子伝導性が向上する。
【0044】
負極活物質層における中実天然黒鉛の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい場合もある。中実天然黒鉛の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できると共に、充放電サイクル後の抵抗増加率をより低減することができる。
【0045】
負極活物質は、中実天然黒鉛以外の他の負極活物質を含んでいてもよい。他の負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;中実天然黒鉛以外の黒鉛、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。但し、全ての負極活物質に対する中実天然黒鉛の含有割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。このように、負極活物質が実質的に中実天然黒鉛のみからなる場合、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される傾向にある。
【0046】
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい場合もある。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
【0047】
負極活物質層には、正極で例示した増粘剤としての多糖類高分子の一つであるCMCが含まれていることが好ましい。負極活物質層は、CMCの金属塩が含まれていることが好ましく、CMCのアルカリ金属塩が含まれていることがより好ましく、CMCのナトリウム塩(カルボキシメチルセルロースナトリウム)が含まれていることがさらに好ましい。このような場合、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される傾向にある。
【0048】
負極活物質層におけるCMC(塩の形態のものも含む)等の増粘剤の含有量としては、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.4質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.6質量%以上2質量%以下がさらに好ましい。上記含有量を上記下限以上とすることで、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される。一方、上記含有量を上記上限以下とすることで、負極活物質層のエネルギー密度を高めることなどができる。
【0049】
負極活物質層には、導電剤が含まれていないことが好ましい場合がある。当該二次電池においては、負極活物質層に良好な導電性を有する中実天然黒鉛が含まれており、また、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧された構造であるため、中実天然黒鉛の粒子間の導電性も十分に確保できる。このため、当該二次電池は、負極活物質層に導電剤が含まれていなくても良好な充放電性能を発揮することができる。また、負極活物質層に導電剤が含まれていない場合、負極活物質の含有量を増やすことができ、負極活物質層のエネルギー密度を高めることができる。
【0050】
負極活物質層におけるバインダの含有量は、例えば0.1質量%以上10質量%以下であってよいが、0.2質量%以上4質量%以下が好ましく、0.4質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.6質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層のエネルギー密度を高めつつ負極活物質を安定して保持することができる。また、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム等を用いた場合、このように比較的バインダの含有量が少ない場合であっても、バインダの分散性が高く、充放電サイクル後の抵抗増加率を十分に低減することができる。負極活物質層におけるバインダとしては、正極で例示した材料と同様のものが挙げられるが、エラストマーが好ましく、スチレンブタジエンゴムがより好ましい。
【0051】
負極の作製は、例えば負極基材に直接又は中間層を介して、負極合剤ペーストを塗布し、乾燥させることにより行うことができる。乾燥後、必要に応じてプレス等を行ってもよい。負極合剤ペーストには、負極活物質、及び任意成分である導電剤、バインダ、増粘剤等、負極活物質層を構成する各成分が含まれる。負極合剤ペーストには、通常さらに分散媒が含まれる。
【0052】
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解液の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
【0053】
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
【0054】
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
【0055】
(非水電解液)
非水電解液二次電池は、電解液として非水電解液を備える。非水電解液としては、公知の電解液の中から適宜選択できる。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
【0056】
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
【0057】
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
【0058】
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
【0059】
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
【0060】
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
【0061】
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
【0062】
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
【0063】
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
【0065】
(電極体への押圧)
電極体は、放電状態において、その少なくとも一部が押圧された状態となっている。通常、電極体は、正極、負極及びセパレータが重ね合わされた方向(各層の厚さ方向)に押圧されている。すなわち、正極活物質層及び負極活物質層が厚さ方向に押しつぶされる方向に押圧されている。但し、電極体の一部(例えば、扁平状の巻回型の電極体における一対の曲面部等)は、押圧されていなくてもよい。また、積層型の電極体、及び扁平状の巻回型の電極体の平坦部の一部、例えば中央部分のみが押圧されていてもよい。なお、当該二次電池は、このように放電状態において、電極体の少なくとも一部が押圧された状態となっているため、充放電を繰り返しても活物質層内の十分な導電性が維持され、充放電サイクル後の容量維持率も高まる傾向にある。
【0066】
放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧された状態とするためには、例えば、容器として角型容器を用い、放電状態における電極体の厚さ(T1)と、この電極体の厚さ方向における角形容器の内寸(T2)との比(T1/T2)が1.00を超えるように当該二次電池を設計することが好ましい。上記電極体の厚さ(T1)は、重ね合わされた正極、負極及びセパレータの厚さ方向の厚さであり、乾燥状態且つ押圧されていない状態の電極体における厚さである。なお、このとき電極体は、通常、扁平状の巻回型の電極体、又は積層型の電極体であり、扁平状の巻回型の電極体であることが好ましい。また、角型容器の内寸(T2)は、電極体を挿入していない状態における内寸である。上記比(T1/T2)は1.01以上が好ましい。また、上記比(T1/T2)の上限は、電極体の容器への挿入の容易性等を考慮して、例えば1.1であってよく、1.05であってもよい。
【0067】
当該二次電池においては、上記比(T1/T2)を1.00超に設定することとは別に、又は上記の設定と共に加圧部材等によって、容器を外側から押圧するように構成されていてもよい。このとき、容器に収納された電極体の少なくとも一部は、容器の外部から、すなわち容器を介して押圧された状態となる。加圧部材は、容器の形状を拘束する拘束部材であってよい。加圧部材(拘束部材)は、例えば容器を介して電極体を厚さ方向の両面から挟み込んで押圧するように設けられる。電極体において押圧される面は、直接又は他の部材を介して、容器の内面と接している。このため、容器が押圧されることにより、電極体が押圧される。加圧部材としては、例えば拘束バンド、金属製のフレームなどが挙げられる。例えば金属製のフレームにおいては、ボルト等によって荷重が調整可能に構成されていてよい。また、複数の二次電池(蓄電素子)を、電極体の厚さ方向に並べて配置し、この厚さ方向の両端から複数の二次電池を押圧した状態でフレーム等を用いて固定してもよい。
【0068】
本実施形態の蓄電素子は、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されている。ここで、一般的な蓄電素子においては、通常、高電流密度(高レート)で充放電が行われるとき、充放電サイクル後の抵抗増加が顕著に生じる。これは、速い速度で充放電がなされるため電解液の移動が追従しきれず、電極体内において電解液が枯渇した部分が特に生じ易くなるためであると考えられる。このため、電極体内での電解液の枯渇が生じにくくなるように構成された本実施形態の蓄電素子は、高電流密度で充放電が行われる用途、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源等に好適に用いられる。
【0069】
本実施形態の蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
【0070】
図1に角型電池の一例としての蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。また、図1の蓄電素子1においては、図示しない加圧部材等が、例えば容器3の両面(通常、図1における手前側の面と奥側の面)を挟み込んで、容器3、及び容器3に収納された電極体2を加圧するように設けられていてよい。
【0071】
<蓄電装置の構成>
本実施形態の蓄電素子は、EV、HEV、PHEV等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
【0072】
図2に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30には、図示しないフレーム等の加圧部材(拘束部材)が設けられていてよい。
【0073】
<蓄電素子の製造方法>
本実施形態の蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備することと、電解液を準備することと、電極体及び電解液を容器に収容することと、を備える。電極体を準備することは、正極及び負極を準備することと、セパレータを介して正極及び負極を積層又は巻回することにより電極体を形成することとを備える。
【0074】
電解液を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、容器に形成された注入口から電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
【0075】
<その他の実施形態>
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
【0076】
上記実施形態では、蓄電素子が充放電可能な非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。また、本発明の蓄電素子は、電解液が非水電解液以外の電解液である蓄電素子にも適用できる。
【0077】
上記実施形態では、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極体について説明したが、電極体は、セパレータを備えなくてもよい。例えば、正極又は負極の活物質層上に導電性を有さない層が形成された状態で、正極及び負極が直接接してもよい。
【実施例
【0078】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例等で用いた黒鉛(中実天然黒鉛及び中空天然黒鉛)の空隙率は、上記した方法で測定した値である。
【0079】
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質であるLiNi1/3Co1/3Mn1/3、導電剤であるアセチレンブラック(AB)、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)及び分散媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を用いて正極合剤ペーストを調製した。なお、正極活物質、AB及びPVDFの質量比率は93:4:3(固形分換算)とした。正極基材としてのアルミニウム箔の両面に正極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、正極を得た。
【0080】
(負極の作製)
負極活物質である中実天然黒鉛、バインダであるスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースアンモニウム(CMC-NH)、並びに分散媒である水を混合して負極合剤ペーストを調製した。なお、中実天然黒鉛、SBR及びCMC-NHの質量比率は98:1:1(固形分換算)とした。負極基材としての銅箔の両面に負極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、負極を得た。上述の方法で算出した中実天然黒鉛の空隙率は、0.49%だった。
【0081】
(非水電解液)
エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比率30:70で混合した溶媒に、1.2mol/dmの濃度でLiPFを溶解させ、非水電解液を得た。
【0082】
(セパレータ)
セパレータには、ポリオレフィン製微多孔膜を用いた。
【0083】
(電池の組み立て)
上記正極と負極とセパレータとを用いて巻回型の電極体を得た。なお、初期充放電後の放電状態における電極体の厚さ(T1)と、この電極体の厚さ方向における角形容器の内寸(T2)との比(T1/T2)が1.019になるように電極体の厚さを調整した。電極体を角型容器に収納し、非水電解液を注入して封口した。これにより、実施例1の蓄電素子(二次電池)を得た。
【0084】
[実施例2]
増粘剤をカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の蓄電素子を得た。
【0085】
[比較例1]
負極活物質を中空天然黒鉛に変えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の蓄電素子を得た。上述の方法で算出した中空天然黒鉛の空隙率は、7.59%だった。
【0086】
[参考例1]
負極活物質を中空天然黒鉛に変えたこと、及び初期充放電後の放電状態における電極体の厚さ(T1)と、この電極体の厚さ方向における角形容器の内寸(T2)との比(T1/T2)が0.996になるように電極体の厚さを調整したこと以外は実施例1と同様にして、参考例1の蓄電素子を得た。上述の方法で算出した中空天然黒鉛の空隙率は、7.59%だった。
【0087】
[評価]
(初期充放電)
得られた各蓄電素子について、25℃の温度環境下、1Cの電流で4.1Vまで定電流充電した後、4.1Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、総充電時間が3時間となるまでとした。10分間の休止を設けた後に、1Cの電流で2.5Vまで定電流放電を行い、10分間の休止を設けた。これらの充電及び放電の工程を1サイクルとして、2サイクルを実施した。
(抵抗増加率)
得られた各蓄電素子について、25℃にて、1.0Cの電流で定電流充電を行い、SOCを50%にした。-10℃の恒温槽に4時間保管した後、0.2C、0.5C、又は1.0Cの電流で、それぞれ30秒間放電した。各放電終了後には、1.0Cの電流で定電流充電を行い、SOCを50%にした。各放電における電流と放電開始後10秒目の電圧との関係をプロットし、3点のプロットから得られた直線の傾きから直流抵抗(初期の抵抗)を求めた。
次いで、以下の充放電サイクル試験を行った。55℃にて、8Cの電流で4.1Vまで定電流充電した。その後、8Cの電流で2.5Vまで定電流放電を行った。この充電及び放電を500時間実施した。
充放電サイクル試験後、上記初期の抵抗の測定と同様の方法にて、各二次電池の直流抵抗(充放電サイクル試験後の抵抗)を求めた。充放電サイクル試験後の抵抗と初期の抵抗との差を初期の抵抗で除することにより、充放電サイクル試験後の抵抗増加率を求めた。結果を表1に示す。
【0088】
(負極活物質層の膨張率)
実施例1、2、比較例1及び参考例1で作製した負極合剤ペーストと同様の負極合剤ペーストを負極基材としての銅箔の片面に塗布し、乾燥及びロールプレスすることで負極をそれぞれ作製し、金属リチウムを対極とした試験セルをそれぞれ作製した。なお、電解液は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比率30:35:35で混合した溶媒に、1.0mol/dmの濃度でLiPFを溶解させた非水電解液を用いた。
各試験セルに対して、以下の充放電サイクル試験を行った。25℃において、1Cの電流で、0.02Vまで定電流充電した後、0.02Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、定電圧充電時の電流が0.01Cに減衰するまでとした。その後、10分間の休止期間を設けた。次いで、1Cの電流で、2Vまで定電流放電を行い、その後、10分間の休止期間を設けた。これらの充電及び放電の工程を8サイクル実施した。なお、ここでは負極活物質にリチウムイオンが吸蔵される還元反応を「充電」、負極活物質からリチウムイオンが放出される酸化反応を「放電」という。
充放電サイクル試験前後での負極活物質層の厚さの差を充放電サイクル試験前の負極活物質層の厚さで除することにより、負極活物質層の膨張率を求めた。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
参考例1と比較例1とから示されるように、負極活物質として中空天然黒鉛を用いると、電極体の厚さ(T1)と、この電極体の厚さ方向における角形容器の内寸(T2)との比(T1/T2)が1.00超であり、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧されている場合(比較例1)、充放電サイクル後の抵抗増加率が非常に大きくなる。これに対し、実施例1、2のように、負極活物質として中実天然黒鉛を用いることで、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧されているにもかかわらず、抵抗増加率は大きく低減されることがわかる。さらに実施例2のように、増粘剤としてCMC-Naを用いた場合、抵抗増加率はより低減されることがわかる。
【0091】
[参考例2から6]
放電状態における電極体の厚さ(T1)と、この電極体の厚さ方向における角形容器の内寸(T2)との比(T1/T2)が、それぞれ0.970、0.983、1.014、1.037及び1.060になるように電極体の厚さを調整したこと以外は比較例1と同様にして、参考例2から6の各蓄電素子を得た。
【0092】
(容量維持率)
参考例2から6の各蓄電素子に対して、以下の充放電サイクル試験を行った。55℃において、8Cの電流で4.1Vまで定電流充電した。その後、8Cの電流で2.5Vまで定電流放電を行った。この充電及び放電を250時間実施した。参考例2から6の各蓄電素子における1サイクル目の放電容量に対する250時間充放電サイクル後の放電容量の維持率(容量維持率)を図3に示す。
【0093】
図3に示されるように、比(T1/T2)が1.00を超え、放電状態において電極体の少なくとも一部が押圧されている場合、充放電サイクルに伴う放電容量の低下が抑制されており、容量維持率が高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される蓄電素子などに適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1 蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
図1
図2
図3